説明

塗料供給装置及び塗装方法

【課題】 装置を大型化させることなく、一度に2種類の常温架橋硬化型塗料A,Bを複数の各塗装ガン2a〜2dに供給可能な塗料供給装置1を提供する。
【解決手段】 混合器6に備えられた各ミキサー64a,64bから各塗装ガン2a〜2dに到る塗料通路72,74の途中にシリンダタンク82,84を設け、ここに供給過剰分の塗料A,Bを、各塗料A,Bでの塗装中に貯蔵する。そして、ミキサー64aから塗料Aを供給して一部の塗装ガンから吐出させている間に、シリンダタンク84から一時貯蔵分の塗料Bを供給して残りの塗装ガンから吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば主剤と硬化剤を混合して得られる常温架橋2液硬化型塗料などの多液塗料の供給装置と、例えば自動車ボディや部品等の被塗物への多液塗料による塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
常温架橋硬化型塗料(多液塗料の一例)は、主剤、硬化剤、さらには促進剤などの混合により化学反応を生じさせて塗膜を形成するため、溶剤の揮発によって硬化する1液タイプの単液塗料に比べ、耐候性や耐薬品性等に優れた塗膜を形成することができる。
【0003】
この種の塗料の混合装置としては、従来より種々の提案がなされている。例えば特許文献1では、複数の主剤タンクから切替バルブとポンプを介して供給される主剤と、複数の硬化剤タンクから切替バルブとポンプを介して供給される硬化剤とを、混合器で混合した後、塗装ガンに供給するように構成した2液混合装置が開示されている。特許文献2では、第1液供給装置により供給され、切換バルブを経て流量計による流量計測の後、開閉弁の制御により送られる第1液と、第2液供給装置により供給され、切換バルブを経て流量計による流量計測の後、開閉弁の制御により送られる第2液とを混合器で混合した後、スプレーガンに供給するように構成した2液混合装置が開示されている。
【0004】
ところで、この種の塗料で多色化を図り、例えば自動車ボディの上塗りラインなどで使用することを想定した場合、例えば、混合器の上流側に、複数の切替バルブを持つカラーチェンジバルブユニット(CCV)と称される色替え用のバルブユニットを組み込み、このCCVにより混合器へ供給される液剤(主剤や硬化剤など)種を切り替えることによって、1つの混合器で複数色の塗料を得るように構成するとともに、混合器の下流側にも同様のCCVを組み込むことによって、1つの混合器で複数色の塗料を1つの塗装ガンに供給するように構成することが考えられる。こうした塗料供給装置を各塗装ガン毎に配置した例を図15に示す。同図では1つの塗装ガンに対して1つの混合器が配置されている。
【0005】
しかしながら、図15に示す構成の塗料供給装置では、1つの塗装ガンに対して1つの混合器が配置されるため、装置が大型化し、生産効率が悪化するとの問題があった。
【0006】
そこで、混合器の設置台数を減らすために、複数の塗装ガンで1つの混合器を共用し、1つの混合器で複数色の塗料を各塗装ガンに供給するように構成することも考えられる。こうした塗料供給装置の一例を図16に示す。同図では複数の塗装ガンに対して1つの混合器が配置されている。
【0007】
しかしながら、図16に示す構成の塗料供給装置では、各塗装ガンに対して、一度に1種類の塗料しか供給できない。このため、例えば連続して搬送される自動車ボディの上塗りライン等に設置される複数の塗装ガンでは、最初のステージに配置される塗装ガン(図ではガン4)と最後のステージに配置される塗装ガン(図ではガン1)で、同時に違う塗料種での塗装を望むにもかかわらず、最初の塗料Aでの塗装がすべての塗装ガンで終了するまで、次色の塗料Bでの塗装を開始することができなかった。これを回避するためには、混合器の共用を断念し、混合器を増設せざるを得ないとの問題があった。
【0008】
また、各塗装ガンに対して一度に供給される塗料が1種類に限られるため、コンベアによる連続的な搬送で、ある塗装ガンと他の塗装ガンとの間の塗装タイミングにずれがある場合、塗装対象である被塗物を連続して塗装することはできなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平11−244744号公報
【特許文献2】特開2005−40680号公報
【発明の開示】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、装置を大型化させることなく、一度に複数の多液塗料を複数の塗装ガンに供給することができる塗料供給装置と、一度に複数の多液塗料を供給して複数の塗装ガンから吐出させることができる塗装方法とを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る塗料供給装置は、
多液塗料を複数の供給経路を介して複数の塗装ガンに供給するミキサーを複数備えた混合器と、
少なくとも1つのミキサーから各塗装ガンに到る供給経路の途中に、前記多液塗料を一時的に貯蔵し、かつ貯蔵後の多液塗料を各塗装ガンへ再供給可能な貯蔵手段とを、有する。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る塗装方法は、
多液塗料を混合器から供給して複数の塗装ガンから吐出させる塗装方法であって、
第1の多液塗料を混合器から供給して一部の塗装ガンから吐出させる第1メイン塗装工程と、
第1の多液塗料を一部の塗装ガンから吐出させている間に、吐出量を超える第1の多液塗料を混合器から供給し続け、供給過剰分の第1の多液塗料を一時的に貯蔵する第1貯蔵工程と、
所定量の第1の多液塗料を貯蔵した後、混合器への第1の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を停止する第1液体停止工程と、
混合器への液体の供給を停止した後、一時的に貯蔵された第1の多液塗料を供給して残りの塗装ガンから吐出させる第1サブ塗装工程と、
一時的に貯蔵された第1の多液塗料を残りの塗装ガンから吐出させている間に、混合器への第2の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を開始し、第2の多液塗料を混合器から供給して第1の多液塗料の吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる第2メイン塗装工程とを、有する。
【0013】
本発明の塗料供給装置によると、一度に複数の多液塗料を複数の塗装ガンに供給することができる。また、1つの混合器を複数の塗装ガンで共用可能なため、装置が大型化することもない。
【0014】
本発明の塗装方法によると、一度に複数の多液塗料を供給して複数の塗装ガンから吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
塗料供給装置
図1に示すように、本実施形態に係る塗料供給装置1は、複数の塗装ガン2a〜2dに対して、一度に、複数の多液塗料を供給するための装置である。
【0017】
本実施形態でいう「多液」とは2液以上の液体を使用するものをいう。このような形態で各塗装ガン2a〜2dに供給される「多液塗料」に制限はなく、主として常温架橋硬化型塗料が使用されるが、溶媒揮発乾燥型塗料でも良く、さらには複数色の混色塗料でも良い。
【0018】
常温架橋硬化型塗料には、ウレタン塗料、エポキシ塗料、シリコン塗料、アクリルウレタン塗料などを含み、主剤、硬化剤及び促進剤など複数の液剤を混合することにより得られるものであって、耐候性、耐薬品性などが優れた塗膜を形成することができる。例えばウレタン塗料の場合、通常2液とされ、ポリエステル樹脂からなる主剤と、イソシアネート樹脂からなる硬化剤が用いられる。この場合、予め主剤及び硬化剤の少なくとも一方に有機溶剤を添加して混合時に塗装粘度となるように調整したものが用いられる。ただし、主剤及び硬化剤の原液を用い、第3槽に有機溶剤を用いて3液が混合時に塗装粘度となるようにすることもでき、さらには3液以上の液体の混合塗料にも適用することができる。
【0019】
溶媒揮発乾燥型塗料としては、例えば硝化綿ラッカー等を塗料と有機溶剤に分けて2液として用いることもできる。
【0020】
複数色の塗料としては、例えば赤、橙、黄、緑、青、藍、紫などの各単色塗料を複数混合したものであり、例えば赤と青の各色塗料を分けて2液として用いることもできる。この場合、これらの混合比率を変えることで中間色を表現できたり、色が刻々と変化するグラデーション模様を表現することも可能である。
【0021】
以下では、「多液塗料」として、主剤と硬化剤を混合して得られる常温架橋2液硬化型塗料(以下、単に「塗料」という。)を例示して説明する。
【0022】
各塗装ガン2a〜2dとしては、回転霧化式静電塗装ガンやエアー式静電塗装ガンなどが用いられ、供給された塗料を被塗物に向かって噴霧する。
【0023】
各塗装ガン2a〜2dには、いずれも混合器6から導出される塗料が供給されるが、塗装ガン2a〜2cに対しては、メインカラーチェンジバルブユニット(以下、「メインCCV」という。)42,44,46と塗料ポンプ52,54,56を介して供給される。
【0024】
混合器6には、複数の主剤タンク(図示省略)からサブカラーチェンジバルブユニット(以下、「サブCCV」という。)47及び主剤ポンプ57を介して供給される何れかの主剤と、複数の硬化剤タンク(図示省略)からサブCCV48及び硬化剤ポンプ58を介して供給される何れかの硬化剤とが供給され、混合されて塗料を形成する。
【0025】
各CCV42,44,46〜48は、マニホールド42a,44a,46a〜48aに、複数の塗料種切替バルブ42b,44b,46b,…または液剤種切替バルブ47b,48b…と、シンナー等の洗浄液を供給する洗浄液切替バルブ42c,44c,46c〜48cと、エアを供給するエア切替バルブ42d,44d,46d〜48dを接続することで構成してある。
【0026】
マニホールド42a,44a,46a〜48aの内部には塗料通路または液剤通路(いずれも図示省略)が形成してあり、これらの各通路に臨むように上記各切替バルブが設けてある。これらの各通路の下流側出口にはニードルバルブ(図示省略)が設けてある。ニードルバルブは、塗料通路または液剤通路に送り込まれた塗料または液剤(主剤及び硬化剤)に対して下流側への導出/停止を司る。
【0027】
各塗料種切替バルブ42b,44b,46bには、混合器6から塗料通路72,74を介して、例えば塗料Aや塗料Bなどの各種塗料が供給される。
【0028】
各液剤種切替バルブ47b,48bには、複数の主剤タンクから液剤配管(図示省略)を介して、例えば主剤Aや主剤Bなどの各種主剤が供給され、同様に、複数の硬化剤タンクから液剤配管(図示省略)を介して、例えば硬化剤Aや硬化剤Bなどの各種硬化剤が供給される。主剤には、例えばアクリル、ポリエステル、ウレタン、ポリエステルウレタン、あるいはアクリルウレタン等が用いられる。硬化剤には、例えばイソシアネート等が用いられる。
【0029】
各洗浄液切替バルブ42c,44c,46c〜48cには洗浄液が供給され、各エア切替バルブ42d、44d,46d〜48dには圧縮エアーが供給される。洗浄液と圧縮エアーは、塗料種または液剤種を変更する際にマニホールド42a,44a,46a〜48a内部の塗料通路または液剤通路や、マニホールド42a,44a,46a〜48aより下流側の通路内を洗浄するのに用いられる。
【0030】
各切替バルブ42b〜42d,44b〜44d,46b〜46dには、電磁弁が内蔵してあり、複数の塗料種切替バルブ42b,44b,46bのうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、送り込まれた複数の塗料のうちの1つの塗料を選択的に各マニホールド42a,44a,46a内部の塗料通路に供給可能となっている。
【0031】
各切替バルブ47b〜47d,48b〜48dにも、上記同様の電磁弁が内蔵してあり、複数の液剤種切替バルブ47bのうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の主剤タンクのうちの1つのタンクからの主剤を選択的にマニホールド47a内部の液剤通路に供給可能となっている。同様に、複数の液剤種切替バルブ48bのうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の硬化剤タンクのうちの1つのタンクからの硬化剤を選択的にマニホールド48a内部の液剤通路に供給可能となっている。
【0032】
各切替バルブに内蔵される電磁弁は、各マニホールド42a,44a,46a〜48aへの塗料または液剤供給機能の他に、外部に廃液を行うダンプ弁としても機能するものであり、例えば洗浄時に洗浄液を外部に排出可能である。
【0033】
塗料ポンプ52,54,56及び液剤ポンプ57,58は、本実施形態ではいずれもギアポンプで構成してある。ギアポンプは、図示省略してあるモータを介して駆動し、ギアの回転数に応じて制御される一定流量の塗料(または液剤)を各塗装ガン2a〜2c(または混合器6)に圧送する。特に、液剤ポンプ57,58では、変速機を用いて、現在使用している主剤と硬化剤の所要の配合比に合わせて両ポンプ57,58の回転比を調整し、両ポンプ57,58からの主剤と硬化剤の吐出量の比を上記配合比に合致させることができるようになっている。なお、各ポンプ57,58は、ギアポンプに代えて流量計を用いても良い。
【0034】
両ポンプ57,58の下流側には、両ポンプ57,58から吐出されるそれぞれの液剤量を調整する1対の開閉バルブ49a,49bを介して、混合器6が設けてある。
【0035】
本実施形態で用いる混合器6は、マニホールド62の下流側に、2つのミキサー64a,64bを接続することで構成してある。マニホールド62は、液剤ポンプ57の下流側の主剤通路76を接続する主剤流入ポート62aと、液剤ポンプ58の下流側の硬化剤通路78を接続する硬化剤流入ポート62bと、該両流入ポート62a,62bから供給される主剤と硬化剤を吐出する2つの吐出ポート62c,62dを有し、これら各ポート62a〜62dは、マニホールド62の内部に形成された液剤通路(図示省略)に臨むように設けてある。この液剤通路の途中には切替バルブ(図示省略)が設けてあり、主剤流入ポート62aから流入した主剤と硬化剤流入ポート62bから流入した硬化剤の流路を、選択的に第1吐出ポート62c側または第2吐出ポート62d側に切り替え、第1ミキサー64a及び第2ミキサー64bのいずれかに送り出すことができるようになっている。
【0036】
各ミキサー64a,64bは、本実施形態ではいずれもスタティックミキサで構成してあり、液剤が流通する筒状の流路内に、捻れ方向が逆向きであって螺旋状の板からなる2種類のエレメントを交互に配置したものであり、各エレメントを通過するときに液剤の流れを分割する作用と、隣り合うエレメント間を移行するときに液剤の流れの捻れ方向を反転させる作用を繰り返すことにより、主剤と硬化剤を混練する。各ミキサー64a,64bは、塗料通路72,74の上流端に配置されている。
【0037】
特に本実施形態では、各ミキサー64a,64bの下流側にはそれぞれ、シリンダタンク82,84が設けてある。
【0038】
図1〜図3に示すように、各シリンダタンク82,84は、本発明の貯蔵手段の一例であり、各ミキサー64a,64bから供給される塗料を一時的に貯蔵し、かつ貯蔵後の塗料を各塗装ガン2a〜2d側へ再供給するものであって、タンク本体822,842を有する。
【0039】
タンク本体822,842の底壁部(図2及び図3では右壁部または左壁部)には、各ミキサー64a,64bからの塗料の流入を許容する塗料流入部824,844と、この塗料流入部824,844から流入した塗料を各塗装ガン2a〜2d側へ向けて吐出する複数の塗料吐出部826,…及び846,…とが形成されている。塗料流入部824,844は、各ミキサー64a,64bの下流側の塗料通路72,74に接続され、複数の塗料吐出部826,…及び846,…は、各塗装ガン2a〜2dの上流側の複数の塗料通路72,74,…に接続されている。本実施形態では、塗料流入部824,844を逆止弁構造としており、一旦、塗料流入部824,844から流入した塗料が、各ミキサー64a,64b側へ逆流することを防止することができるようになっている。
【0040】
タンク本体822,842内には、内部で摺動自在となるフリーピストン827,847と、このフリーピストン827,847の裏面側に一端828a,848aが連接された軸方向に移動自在なロッド828,848とが配置されている。ロッド828,848の他端には、ロッド828,848を軸方向に移動させることが可能な駆動源(図示省略)が接続してある。
【0041】
そして、各塗料吐出部826,…及び846,…から、各塗装ガン2a〜2dまで(厳密には、各メインCCV42,44,46のいずれかの塗料種切替バルブ42b,44b,46b,…と、塗装ガン2dとに至るまで)の塗料通路72,74に、当該塗料通路72,74の内容積を超える量の塗料を各ミキサー64a,64bから吐出させた場合、供給過剰分の塗料は、一時的に行き場がなくなり、シリンダタンク82,84のタンク本体822,842内で、フリーピストン827,847の表面を駆動源側(図2では左側、図3では右側)に押し戻し、当該フリーピストン827,847の表面とタンク本体822,842の内壁との間に空間(塗料貯蔵室)823,843を作りながら、ここに貯蔵されるようになっている。その後、必要に応じて駆動源を作動させ、ロッド828,848を駆動源側から引き出す方向(図2では右方向、図3では左方向)に移動させることにより、タンク本体822,842の塗料貯蔵室823,843内に一時貯蔵された塗料を、複数の塗料吐出部826,…及び846,…を通じて、各塗装ガン2a〜2d側へ向けて吐出することができるようになっている。
【0042】
なお、各CCV42,44,46〜48のニードルバルブ、各切替バルブ42b〜42d,44b〜44d,46b〜46d,47b〜47d,48b〜48d、混合器6のマニホールド62内部の切替バルブの切替制御は、各ポンプ52,54,56〜58、各塗装ガン2a〜2dとともに、塗装制御装置(図示省略)から送られる制御信号により実行される。
【0043】
本実施形態の塗料供給装置1によると、1つの混合器6に備えられる2つのミキサー64a,64aから複数の各塗装ガン2a〜2dに到る塗料通路72,74の途中に一時貯蔵手段としてのシリンダタンク82,84を有するため、塗料Aを第1ミキサー64aから供給して一部の塗装ガン(例えば塗装ガン2c及び2d)から吐出させながら、これと同時に、塗料Bを第2ミキサー64bの下流側に配置されるシリンダタンク84から供給して残りの塗装ガン(例えば塗装ガン2a及び2b)から吐出させることができる。これとともに、塗料Bを第2ミキサー64bから供給して一部の塗装ガンから吐出させながら、これと同時に、塗料Aを第1ミキサー64aの下流側に配置されるシリンダタンク82から供給して残りの塗装ガンから吐出させることができる。いずれにしても、一度に2つの塗料A,Bを複数の塗装ガン2a〜2dに供給することができる。また、1つの混合器6を複数の塗装ガン2a〜2dで共用可能なため、装置1が大型化することもない。
【0044】
また、各ミキサー64a,64aから複数の各塗装ガン2a〜2dに到る塗料通路72,74の途中に一時貯蔵手段としてのシリンダタンク82,84を有するため、色替えを行うに当たっては、各メインCCV42,44,46から下流側の経路を洗浄すればよく、混合器からガン先までの経路をすべて洗浄しなければ色替えを行うことができなかった従来の混合装置と比較して、残塗料の廃棄量を削減することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、必ずしも、各ミキサー64a,64bの下流側にそれぞれシリンダタンク82,84を設ける必要はなく、少なくとも各ミキサー64a,64bの何れかの下流側にシリンダタンク82,84の何れかが設けてあればよい。例えば、第2ミキサー64bの下流側にだけシリンダタンク84を設け、第1ミキサー64aの下流側にはシリンダタンク82を設けない場合でも、塗料Aを第1ミキサー64aから供給して一部の塗装ガンから吐出させながら、これと同時に、塗料Bを第2ミキサー64bの下流側に配置されるシリンダタンク84から供給して残りの塗装ガンから吐出させることができる。すなわち、一度に2つの塗料A,Bを複数の塗装ガンに供給することができる。
【0046】
塗装方法
次に、本実施形態に係る塗料供給装置1を用いた塗装方法の一例を説明する。
【0047】
本実施形態では、混合器6から供給される塗料を各塗装ガン2a〜2dから吐出させる工程が「メイン塗装工程」を構成し、シリンダタンク82,84から供給される一時貯蔵された塗料を各塗装ガン2a〜2dから吐出させる工程が「サブ塗装工程」を構成する。
【0048】
本実施形態の塗装方法は、塗料Aを混合器から供給して一部の塗装ガンから吐出させる第1メイン塗装工程と、
塗料Aを一部の塗装ガンから吐出させている間に、吐出量を超える塗料Aを混合器から供給し続け、供給過剰分の塗料Aを一時的に貯蔵する第1貯蔵工程と、
所定量の塗料Aを貯蔵した後、混合器への塗料Aを得るのに必要な主剤A及び硬化剤Aの供給を停止する第1液体停止工程と、
混合器への主剤A及び硬化剤Aの供給を停止した後、一時的に貯蔵された塗料Aを供給して残りの塗装ガンから吐出させる第1サブ塗装工程と、
一時的に貯蔵された塗料Aを残りの塗装ガンから吐出させている間に、混合器への塗料Bを得るのに必要な主剤B及び硬化剤Bの供給を開始し、塗料Bを混合器から供給して塗料Aの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる第2メイン塗装工程とを、有し、さらに、
塗料Bを一部の塗装ガンから吐出させている間に、吐出量を超える塗料Bを混合器から供給し続け、供給過剰分の塗料Bを一時的に貯蔵する第2貯蔵工程と、
所定量の塗料Bを貯蔵した後、混合器への塗料Bを得るのに必要な主剤B及び硬化剤Bの供給を停止する第2液体停止工程と、
混合器への主剤B及び硬化剤Bの供給を停止した後、一時的に貯蔵された塗料Bを供給して残りの塗装ガンから吐出させる第2サブ塗装工程と、
一時的に貯蔵された塗料Bを残りの塗装ガンから吐出させている間に、混合器への塗料Aを得るのに必要な主剤A及び硬化剤Aの供給を再び開始し、塗料Aを混合器から供給して塗料Bの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる第1メイン塗装工程とを有し、その後再び、第1貯蔵工程、第1液体停止工程、第1サブ塗装工程を実行する。
【0049】
本実施形態の塗装方法によると、塗料Aを混合器6から供給して一部の塗装ガンから吐出させている(第1メイン塗装工程)間に、吐出量を超える塗料Aを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Aを一時的に貯蔵し(第1貯蔵工程)、所定量の塗料Aを貯蔵した後、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を停止し(第1液体停止工程)、その後に一時的に貯蔵された塗料Aを供給して残りの塗装ガンから吐出させる(第1サブ塗装工程)。その一方で、この間に、混合器6への主剤B及び硬化剤Bの供給を開始し、塗料Bを混合器6から供給して塗料Aの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる(第2メイン塗装工程)。
【0050】
この第2メイン塗装工程の間に、吐出量を超える塗料Bを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Bを一時的に貯蔵し(第2貯蔵工程)、所定量の塗料Bを貯蔵した後、混合器6への主剤B及び硬化剤Bの供給を停止し(第2液体停止工程)、その後に一時的に貯蔵された塗料Bを供給して残りの塗装ガンから吐出させる(第2サブ塗装工程)。その一方で、この間に、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を開始し、再び塗料Aを混合器6から供給して塗料Bの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる(第1メイン塗装工程)。
【0051】
その後、この第1メイン塗装工程の間に、吐出量を超える塗料Aを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Aを一時的に貯蔵し(第1貯蔵工程)、所定量の塗料Aを貯蔵した後、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を停止し(第1液体停止工程)、その後に一時的に貯蔵された塗料Aを供給して残りの塗装ガンから吐出させる(第1サブ塗装工程)。以下、詳細に説明する。
【0052】
(1)まず、塗料Aを混合器6から供給して塗装ガン2d→塗装ガン2c→塗装ガン2bの順で、一部の塗装ガン2b〜2dから吐出させる(第1メイン塗装工程)。すなわち、塗料Aで被塗物を塗装する。
【0053】
図4に示すように、塗料Aの調合を開始し、メインCCV42,44,46及び塗装ガン2d(ハンドガン)の手前まで塗料Aの充填を行う。
【0054】
被塗物が準備ゾーンへ投入されると、サブCCV47では、複数の液剤種切替バルブ47b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の主剤タンクのうちの1つのタンクからの主剤Aを選択的にマニホールド47a内へ導くとともに、マニホールド47aのニードルバルブを開いて選択した主剤Aを液剤ポンプ57に供給する。同様に、サブCCV48では、複数の液剤種切替バルブ48b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の硬化剤タンクのうちの1つのタンクからの硬化剤Aを選択的にマニホールド48a内へ導くとともに、マニホールド48aのニードルバルブを開いて選択した硬化剤Aを液剤ポンプ58に供給する。
【0055】
両液剤ポンプ57,58では、例えば変速機を用いて、現在使用している主剤Aと硬化剤Aの所要の配合比に合わせて回転比を調整し、主剤Aと硬化剤Aの吐出量の比を上記配合比に合致させる。これにより、両液剤ポンプ57,58の下流側の主剤通路76及び硬化剤通路78内にそれぞれ導出された主剤A及び硬化剤Aは、両液剤ポンプ57,58の吸引力によって開閉バルブ49a,49bで制御されながら所定流量で混合器6へと導かれる。
【0056】
混合器6のマニホールド62内へ主剤流入ポート62a及び硬化剤流入ポート62bを介して導入された主剤A及び硬化剤Aは、マニホールド62内部の液剤通路の途中に設けてある切替バルブを第1吐出ポート62c側へ流れるように切り替えることで、第1吐出ポート62cを通じて第1ミキサー64aへと送り出され、ここで混合されて常温架橋2液硬化型の塗料Aが得られる。
【0057】
混合器6で得られた塗料Aは、塗料通路72へ送り出された後、塗料流入部824(図2参照)を通じてシリンダタンク82へと導かれ、さらには複数の塗料吐出部826,…(図2参照)及び塗料通路72を介して各メインCCV42,44,46と、塗装ガン2dの手前まで送られる。
【0058】
図5に示すように、被塗物が塗装ガン2a〜2dに対して所定位置に到着すると、塗装ガン2dを塗料通路72に接続してガン先に塗料Aを充填する。これとともに、メインCCV46における複数の塗料種切替バルブ46b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、塗料Aを選択的にマニホールド46a内へ導くとともに、マニホールド46aのニードルバルブを開いて選択した塗料Aを塗料ポンプ56に供給する。塗料ポンプ56では、所定の塗出量となるようにその回転数が制御され、これにより下流側の塗料ホース73c内に導出される塗料Aは、塗料ポンプ56の吸引力によって所定流量で塗装ガン2cへと導かれ、ガン先に塗料Aが充填される。
【0059】
図6に示すように、塗装ガン2dにより被塗物の所定範囲に塗料Aを定量吐出して塗装を開始する。塗装ガン2b,2cでは、塗料ポンプ54,56を順次作動させ、内蔵されたON/OFFバルブを切り替えることで、混合器6→塗料通路72→シリンダタンク82→塗料通路72の順で各メインCCV44,46に送られた塗料Aを、被塗物の所定範囲に定量吐出する。
【0060】
(2)次に、塗料Aを一部の塗装ガン2b〜2dから吐出させている間に、吐出量を超える塗料Aを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Aを一時的に貯蔵する(第1貯蔵工程)。
【0061】
上記第1メイン塗装工程の前準備として、塗料Aを、混合器6→塗料通路72→シリンダタンク82→塗料通路72の順で、各メインCCV42,44,46と、塗装ガン2dの手前まで送るが、この段階は充填途中であるため、図2に示すように、塗料流入部824を通じてシリンダタンク82に導入された塗料Aは、フリーピストン827の表面を駆動源側(図2では左側)に押し戻すほどの圧力を持たず、複数の塗料吐出部826,…を介して塗装ガン2a〜2d側へと抜けていく。したがって、この段階での塗料Aはシリンダタンク82に貯蔵されない。
【0062】
図6に戻り、塗料Aによる塗装が開始されると、各ガン2b〜2dのガン先から所定量の塗料Aが継続して抜けていく。このため、これを補うべく、各ガン2b〜2dのガン先までへの塗料Aの供給を継続する。継続供給される塗料Aは、塗装開始直後は、一時的にすべて各ガン2b〜2dのガン先までへの充填に回されるが、ガン先への充填が終了すると吐出に必要な塗料Aの流量は減少する。
【0063】
本実施形態では、吐出に必要な塗料Aの流量が減少した後も、この必要吐出流量を超える流量の塗料A(吐出量を超える塗料A)を供給し続ける。このとき、継続供給する塗料Aの流量を、充填途中または塗装開始直後の塗料Aの供給流量と比較して変動させても良い。ただし、塗料Aの供給流量を変動させる場合、ガン先からの塗料Aの吐出量(実使用量)の変化を検知し、この結果を、混合器6へ導入される主剤Aと硬化剤Aの供給流量の制御にフィードバックさせなければ、混合器6での主剤Aと硬化剤Aの正確な混合を行うことができない。なお、こうしたフィードバック制御による主剤Aと硬化剤Aの供給流量の制御にはタイムラグがあり、開閉バルブ49a,49bの応答が間に合わず、混合比に誤差が生じることもありうる。したがって、本実施形態では、ガン先への塗料Aの充填が終了し、吐出に必要な塗料Aの流量が減少した後も、塗料Aの供給流量を変動させることなく一定流量で供給し続けることが好ましい。ガン先への塗料Aの充填が終了した後も、塗料Aの供給流量を一定にし続けることで、前記ガンからの塗料Aの吐出量(実使用量)の変化を検知し、この結果を、混合器6へ導入される主剤Aと硬化剤Aの供給流量の制御にフィードバックさせなくても、混合器6での主剤Aと硬化剤Aの正確な混合を行うことができる。
【0064】
このようにガン先への塗料Aの充填が終了した後も、塗料Aを一定流量で供給し続けることで、塗料Aは供給過剰となり、この過剰分の塗料Aがその圧力によって、図2に示すように、シリンダタンク82のタンク本体822内で、フリーピストン827の表面を駆動源側(図2では左側)に押し戻し、当該フリーピストン827の表面とタンク本体822の内壁との間に空間(塗料貯蔵室)823を作りながら、この空間823内に貯蔵される。
【0065】
シリンダタンク82での塗料Aの貯蔵は、未だ塗料Aを吐出していない塗装ガン2aを含めて残りの各塗装ガン2a〜2dで吐出する塗料Aの必要吐出量が貯蔵されるまで行う。
【0066】
(3)次に、図7に示すように、シリンダタンク82での塗料Aの貯蔵が終了すると、両液剤ポンプ57,58の作動を止め、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を停止する(第1液体停止工程)。そして、次色の塗料Bの充填に備えて、混合器6の第1ミキサー64aより上流側の洗浄を行う。
【0067】
まず、主剤Aと硬化剤Aを各サブCCV47,48の各マニホールド47a,48a内へ導いた各液剤種切替バルブ47b,48bの電磁弁を閉じるとともに、両サブCCV47,48の洗浄液切替バルブ47c,48cの電磁弁を開き、洗浄液を混合器6の第1ミキサー64aにまで流して両サブCCV47,48の下流側から第1ミキサー64aまでの経路を洗浄した後、エア切替バルブ47d,48dの電磁弁を開き、当該経路を掃気する。なお、サブCCV47,48の下流側から第1ミキサー64aまで残留する主剤A、硬化剤A及び塗料A並びにエアは、例えば第1ミキサー64aの下流側の塗料通路72にドレンバルブ(図示省略)を設け、ここから排出させることができる。
【0068】
(4)本実施形態では、上の洗浄を行っている最中に、各塗装ガン2a〜2cへ一時的に貯蔵された上記塗料Aをシリンダタンク82から供給する。具体的には、図2に示すように、図示しない駆動源を作動させ、ロッド828を駆動源側から引き出す方向(図2では右方向)に移動させることにより、タンク本体822の塗料貯蔵室823内に一時的に貯蔵された上記塗料Aを、複数の塗料吐出部826,…を通じて各塗装ガン2a〜2c側へ向けて供給し、供給された塗料Aを各塗装ガン2a〜2cから被塗物の所定範囲に所定量吐出する(第1サブ塗装工程)。
【0069】
(5)次に、第1サブ塗装工程の間に、混合器6への主剤B及び硬化剤Bの供給を開始し、塗料Bを混合器6から供給して塗料Aの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる(第2メイン塗装工程)。すなわち、塗料Aでの塗装を継続しながら塗料Bで塗装する。
【0070】
図8に示すように、次に、塗料Bの調合を開始し、メインCCV42,44,46及び塗装ガン2dの手前まで塗料Bの充填を行う。サブCCV47では、複数の液剤種切替バルブ47b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の主剤タンクのうちの1つのタンクからの主剤Bを選択的にマニホールド47a内へ導くとともに、マニホールド47aのニードルバルブを開いて選択した主剤Bを液剤ポンプ57に供給する。同様に、サブCCV48では、複数の液剤種切替バルブ48b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、複数の硬化剤タンクのうちの1つのタンクからの硬化剤Bを選択的にマニホールド48a内へ導くとともに、マニホールド48aのニードルバルブを開いて選択した硬化剤Bを液剤ポンプ58に供給する。
【0071】
両液剤ポンプ57,58では、図4の場合と同様に、主剤Bと硬化剤Bの所要の配合比に合わせて回転比を調整し、主剤Bと硬化剤Bの吐出量の比を上記配合比に合致させる。これにより、両液剤ポンプ57,58の下流側の主剤通路76及び硬化剤通路78内にそれぞれ導出された主剤B及び硬化剤Bは、両液剤ポンプ57,58の吸引力によって開閉バルブ49a,49bで制御されながら所定流量で混合器6へと導かれる。
【0072】
混合器6のマニホールド62内へ主剤流入ポート62a及び硬化剤流入ポート62bを介して導入された主剤B及び硬化剤Bは、マニホールド62内部の液剤通路(図示省略)途中に設けてある切替バルブ(図示省略)を第2吐出ポート62d側へ流れるように切り替えることで、第2吐出ポート62dを通じて第2ミキサー64bへと送り出され、ここで混合されて常温架橋2液硬化型の塗料Bが得られる。
【0073】
混合器6で得られた塗料Bは、塗料通路74へ送り出された後、塗料流入部844(図3参照)を通じてシリンダタンク84へと導かれ、さらには複数の塗料吐出部846,…(図3参照)及び塗料通路74を介して各メインCCV42,44,46と、塗装ガン2dの手前まで送られる。そして、被塗物が塗装ガン2dに対して所定位置に到着すると、塗装ガン2dを塗料通路74に接続し、塗料Bのガン先への充填を行い、被塗物への塗料Bによる塗装を開始する。
【0074】
塗装ガン2cでは、次色の塗料Bの充填に備えて、メインCCV46からガン先までの洗浄を行う。
【0075】
まず、塗料AをメインCCV46のマニホールド46a内へ導いた各塗料種切替バルブ46bの電磁弁を閉じるとともに、メインCCV46の洗浄液切替バルブ46cの電磁弁を開き、洗浄液を塗装ガン2cにまで流してメインCCV46の下流側の全通路を洗浄した後、エア切替バルブ46dの電磁弁を開き、全通路を掃気する。なお、メインCCV46から塗装ガン2cまで残留する塗料A及びエアは、ガン先から排出される。
【0076】
本実施形態では、上の洗浄及び塗装ガン2dによる塗料Bの塗装を行っている最中にも、各塗装ガン2a及び2bへは、図7における場合と同様に、一時的に貯蔵された上記塗料Aをシリンダタンク82から供給しており、これによって供給された塗料Aが各塗装ガン2a及び2bから被塗物の所定範囲に所定量吐出される(第1サブ塗装工程)。
【0077】
図9に示すように、被塗物が塗装ガン2cに対して所定位置に到着すると、メインCCV46における複数の塗料種切替バルブ46b,…のうちの1つの切替バルブの電磁弁を開き、塗料Bを選択的にマニホールド46a内へ導くとともに、マニホールド46aのニードルバルブを開いて選択した塗料Bを塗料ポンプ56に供給する。塗料ポンプ56は、所定の塗出量となるようにその回転数が制御され、これにより下流側の塗料ホース73c内に導出される塗料Bは、塗料ポンプ56の吸引力によって所定流量で塗装ガン2cへと導かれ、ガン先に塗料Bが充填される。塗装ガン2cでは、塗料ポンプ56を作動させ、内蔵されたON/OFFバルブを切り替えることで、混合器6→塗料通路74→シリンダタンク84→塗料通路74の順でメインCCV46に送られた塗料Bを、被塗物の所定範囲に定量吐出する(第2メイン塗装工程)。
【0078】
塗装ガン2cより上流側に配置される塗装ガン2dでは、すでに被塗物に対して塗料Bの定量吐出が開始されている。
【0079】
(6)次に、塗料Bを一部の塗装ガン2c及び2dから吐出させている間に、吐出量を超える塗料Bを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Bを一時的に貯蔵する(第2貯蔵工程)。
【0080】
上記第2メイン塗装工程の前準備として、塗料Bを、混合器6→塗料通路74→シリンダタンク84→塗料通路74の順で、各メインCCV42,44,46と、塗装ガン2dの手前まで送るが、この段階は充填途中であるため、図3に示すように、塗料流入部844を通じてシリンダタンク84に導入された塗料Bは、フリーピストン847の表面を駆動源側(図3では右側)に押し戻すほどの圧力を持たず、複数の塗料吐出部846,…を介して塗装ガン2a〜2d側へと抜けていく。したがって、この段階での塗料Bはシリンダタンク84に貯蔵されない。
【0081】
図9に戻り、塗料Bによる塗装が開始されると、各ガン2b〜2dのガン先から所定量の塗料Bが継続して抜けていく。このため、これを補うべく、各ガン2b〜2dのガン先までへの塗料Bの供給を継続する。継続供給される塗料Bは、塗装開始直後は、一時的にすべて各ガン2b〜2dのガン先までへの充填に回されるが、ガン先への充填が終了すると吐出に必要な塗料Bの流量は減少する。
【0082】
本実施形態では、吐出に必要な塗料Bの流量が減少した後も、この必要吐出流量を超える流量の塗料B(吐出量を超える塗料B)を供給し続ける。このとき、継続供給する塗料Bの流量を、充填途中または塗装開始直後の塗料Bの供給流量と比較して変動させても良い。ただし、塗料Bの供給流量を変動させる場合、ガン先からの塗料Bの吐出量(実使用量)の変化を検知し、この結果を、混合器6へ導入される主剤Bと硬化剤Bの供給流量の制御にフィードバックさせなければ、混合器6での主剤Bと硬化剤Bの正確な混合を行うことができない。なお、こうしたフィードバック制御による主剤Bと硬化剤Bの供給流量の制御にはタイムラグがあり、開閉バルブ49a,49bの応答が間に合わず、混合比に誤差が生じることもありうる。したがって本実施形態では、ガン先への塗料Bの充填が終了し、吐出に必要な塗料Bの流量が減少した後も、塗料Bの供給流量を変動させることなく一定流量で供給し続けることが好ましい。ガン先への塗料Bの充填が終了した後も、塗料Bの供給流量を一定にし続けることで、前記ガンからの塗料Bの吐出量(実使用量)の変化を検知し、この結果を、混合器6へ導入される主剤Bと硬化剤Bの供給流量の制御にフィードバックさせなくても、混合器6での主剤Bと硬化剤Bの正確な混合を行うことができる。
【0083】
このようにガン先への塗料Bの充填が終了した後も、塗料Bを一定流量で供給し続けることで、塗料Bは供給過剰となり、この過剰分の塗料Bがその圧力によって、図3に示すように、シリンダタンク84のタンク本体842内で、フリーピストン847の表面を駆動源側(図3では右側)に押し戻し、当該フリーピストン847の表面とタンク本体842の内壁との間に空間(塗料貯蔵室)843を作りながら、この空間843内に貯蔵される。
【0084】
シリンダタンク84での塗料Bの貯蔵は、未だ塗料Bを吐出していない塗装ガン2a及び2bを含めて残りの各塗装ガン2a〜2dで吐出する塗料Bの必要吐出量が貯蔵されるまで行う。
【0085】
図9に戻り、塗装ガン2bでは塗料Aによる塗装が終了したので、次色の塗料Bの充填に備えて、メインCCV44からガン先までの洗浄を行う。
【0086】
まず、塗料AをメインCCV44のマニホールド44a内へ導いた各塗料種切替バルブ44bの電磁弁を閉じるとともに、メインCCV44の洗浄液切替バルブ44cの電磁弁を開き、洗浄液を塗装ガン2bにまで流してメインCCV44の下流側の全通路を洗浄した後、エア切替バルブ44dの電磁弁を開き、全通路を掃気する。なお、メインCCV44から塗装ガン2bまで残留する塗料A及びエアは、ガン先から排出される。
【0087】
本実施形態では、上の洗浄及び塗装ガン2c及び2dによる塗料Bの塗装を行っている最中でも、塗装ガン2aへは、図7における場合と同様に、一時的に貯蔵された上記塗料Aをシリンダタンク82から供給しており、これによって供給された塗料Aが塗装ガン2aから被塗物の所定範囲に所定量吐出される(第1サブ塗装工程)。
【0088】
(7)次に、図10に示すように、シリンダタンク84での塗料Bの貯蔵が終了すると、両液剤ポンプ57,58の作動を止め、混合器6への主剤B及び硬化剤Bの供給を停止する(第2液体停止工程)。そして、次色の塗料A(別の塗料の一例)の充填に備えて、混合器6の第2ミキサー64bより上流側の洗浄を行う。
【0089】
まず、主剤Bと硬化剤Bを各サブCCV47,48の各マニホールド47a,48a内へ導いた各液剤種切替バルブ47b,48bの電磁弁を閉じるとともに、両サブCCV47,48の洗浄液切替バルブ47c,48cの電磁弁を開き、洗浄液を混合器6の第2ミキサー64bにまで流して両サブCCV47,48の下流側から第2ミキサー64bまでの経路を洗浄した後、エア切替バルブ47d,48dの電磁弁を開き、当該経路を掃気する。なお、サブCCV47,48の下流側から第2ミキサー64bまで残留する主剤B、硬化剤B及び塗料B並びにエアは、例えば第2ミキサー64bの下流側の塗料通路74にドレンバルブ(図示省略)を設け、ここから排出させることができる。
【0090】
塗装ガン2aでは塗料Aによる塗装が終了したので、次色の塗料Bの充填に備えて、メインCCV42からガン先までの洗浄を行う。
【0091】
まず、塗料AをメインCCV42のマニホールド42a内へ導いた各塗料種切替バルブ42bの電磁弁を閉じるとともに、メインCCV42の洗浄液切替バルブ42cの電磁弁を開き、洗浄液を塗装ガン2aにまで流してメインCCV42の下流側の全通路を洗浄した後、エア切替バルブ42dの電磁弁を開き、全通路を掃気する。なお、メインCCV42から塗装ガン2aまで残留する塗料A及びエアは、ガン先から排出される。
【0092】
塗装ガン2dでは塗料Bによる塗装が終了したので、次色の塗料Aの充填に備えて、塗装ガン2dを塗料通路74から取り外し、洗浄を行う。
【0093】
(8)本実施形態では、上の洗浄を行っている最中に、各塗装ガン2b及び2cへ一時的に貯蔵された上記塗料Bをシリンダタンク84から供給する。具体的には、図3に示すように、図示しない駆動源を作動させ、ロッド848を駆動源側から引き出す方向(図3では右方向)に移動させることにより、タンク本体842の塗料貯蔵室843内に一時的に貯蔵された上記塗料Bを、複数の塗料吐出部846,…を通じて各塗装ガン2b及び2c側へ向けて供給し、供給された塗料Bを各塗装ガン2b及び2cから被塗物の所定範囲に所定量吐出する(第2サブ塗装工程)。
【0094】
(9)次に、第2サブ塗装工程の間に、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を開始し、塗料Aを混合器6から供給して塗料Bの吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる(第1メイン塗装工程。第3メイン塗装工程の一例)。すなわち、塗料Bでの塗装を継続しながら次色の塗料A(別の塗料の一例)で塗装する。
【0095】
図11に示すように、再び、塗料Aの調合を開始し、メインCCV42,44,46及び塗装ガン2dの手前まで塗料Aの充填を行う。図4の説明と同じ工程にて、混合器6で得られた塗料Aは、塗料通路72へ送り出された後、塗料流入部824(図2参照)を通じてシリンダタンク82へと導かれ、さらには複数の塗料吐出部826,…(図2参照)及び塗料通路72を介して各メインCCV42,44,46と、塗装ガン2dの手前まで送られる。
【0096】
ここでは、被塗物が塗装ガン2dに対して所定位置に到着しているので、塗装ガン2dを塗料通路72に接続してガン先に塗料Aを充填し、塗料Aによる塗装を開始する。
【0097】
塗装ガン2cでは、塗料Bによる塗装が終了しているので、次色の塗料Aの充填に備えて、図8の説明と同じ工程にて、メインCCV46からガン先までの洗浄を行う。
【0098】
本実施形態では、上の洗浄及び塗装ガン2dによる塗料Aの塗装を行っている最中でも、各塗装ガン2a及び2bへは、図10における場合と同様に、一時的に貯蔵された上記塗料Bをシリンダタンク84から供給しており、これによって供給された塗料Bが各塗装ガン2a及び2bから被塗物の所定範囲に所定量吐出される(第2サブ塗装工程)。
【0099】
図12に示すように、塗装ガン2cでは、塗料ポンプ56を作動させ、内蔵されたON/OFFバルブを切り替えることで、混合器6→塗料通路72→シリンダタンク82→塗料通路72の順でメインCCV46に送られた塗料Aを、被塗物の所定範囲に定量吐出する。
【0100】
(10)次に、塗料Aを一部の塗装ガン2c及び2dから吐出させている間に、吐出量を超える塗料Aを混合器6から供給し続け、供給過剰分の塗料Aを一時的に貯蔵する(第1貯蔵工程)。
【0101】
図6の説明と同様に、本実施形態では、各塗装ガン2c及び2dでの塗料Aによる塗装が開始されても、各ガン2b〜2dのガン先までへの塗料Aの供給を一定流量で継続する。これにより、塗料Aは供給過剰となり、この過剰分の塗料Aがその圧力によって、図2に示すように、シリンダタンク82のタンク本体822内で、フリーピストン827の表面を駆動源側(図2では左側)に押し戻し、当該フリーピストン827の表面とタンク本体822の内壁との間に空間(塗料貯蔵室)823を作りながら、この空間823内に貯蔵される。
【0102】
シリンダタンク82での塗料Aの貯蔵は、未だ塗料Aを吐出していない塗装ガン2a及び2bを含めて残りの各塗装ガン2a〜2dで吐出する塗料Aの必要吐出量が貯蔵されるまで行う。
【0103】
図12に戻り、塗装ガン2bでは、次色の塗料Aの充填に備えて、図9の説明と同じ工程にて、メインCCV44からガン先までの洗浄を行う。
【0104】
本実施形態では、上の洗浄及び塗装ガン2c及び2dによる塗料Aの塗装を行っている最中にも、塗装ガン2aへは、図10における場合と同様に、一時的に貯蔵された上記塗料Bをシリンダタンク84から供給しており、これによって供給された塗料Bが塗装ガン2aから被塗物の所定範囲に所定量吐出される(第2サブ塗装工程)。
【0105】
図13に示すように、塗料Bによる塗装がすべて終了すると、塗料Bによる固着防止のために、供給経路すべての洗浄を行う。
【0106】
図10の説明と同じ工程にて、混合器6の第2ミキサー64bより上流側の洗浄を行う。シリンダタンク84についても所定の洗浄を行う。
【0107】
塗装ガン2aでは塗料Bによる塗装が終了したので、次色の塗料Aの充填に備えて、図10の説明と同じ工程にて、メインCCV42からガン先までの洗浄を行う。
【0108】
被塗物が塗装ガン2bに対して所定位置に到着したので、塗装ガン2bでは、塗料ポンプ54を作動させ、内蔵されたON/OFFバルブを切り替えることで、混合器6→塗料通路72→シリンダタンク82→塗料通路72の順でメインCCV44に送られた塗料Aを、被塗物の所定範囲に定量吐出する(第1メイン塗装工程)。
【0109】
塗装ガン2bより上流側に配置される塗装ガン2cでは、すでに被塗物に対して塗料Aの定量吐出が開始されている。
【0110】
塗装ガン2dでは塗料Aによる塗装が終了したので、次色の一液塗料の充填に備えて、塗装ガン2dを塗料通路72から取り外し、洗浄を行う。
【0111】
(11)次に、図14に示すように、シリンダタンク82での塗料Aの貯蔵が終了すると、両液剤ポンプ57,58の作動を止め、混合器6への主剤A及び硬化剤Aの供給を停止する(第1液体停止工程)。そして、図7の説明と同じ手順にて、混合器6の第1ミキサー64aより上流側の洗浄を行う。
【0112】
塗装ガン2cでは塗料Aによる塗装が終了したので、次色の一液塗料の充填に備えて、図8の説明と同じ手順にて、メインCCV46からガン先までの洗浄を行う。
【0113】
(12)本実施形態では、上の洗浄を行っている最中にも、各塗装ガン2a及び2bへは、図7における場合と同様に、一時的に貯蔵された上記塗料Aをシリンダタンク82から供給しており、これによって供給された塗料Aが各塗装ガン2a及び2bから被塗物の所定範囲に所定量吐出される(第1サブ塗装工程)。
【0114】
そして、すべての塗装が終了したら塗料経路と塗装ガン2a及び2bを洗浄し、塗料A,Bの残渣が残らない状態に戻す。
【0115】
本実施形態の塗装方法では、塗料Aでの塗装を継続しながら塗料Bでの塗装を行い、さらには塗料Bでの塗装を継続しながら塗料Aでの塗装を行うことができる。すなわち、本実施形態の塗装方法によれば、一度に2つの塗料A,Bを供給して複数の塗装ガンから吐出させることができる。
【0116】
本実施形態では、塗料Aによる塗装を行いながら塗料Bによる塗装を行うことができるので、例えば連続して搬送される自動車ボディの上塗りライン等に設置される複数の塗装ガンにおいて、最初のステージに配置される塗装ガンでは塗料Aによる塗装を行いながら、最後のステージに配置される塗装ガンでは塗料Bによる塗装を行うことができる。すなわち、同時に違う塗料種での塗装を実現することができる。
【0117】
また、塗料Aでの塗装がすべての塗装ガンで終了する前に、次色の塗料Bでの塗装を開始することができるため、複数の塗装ガンで1つの混合器の共用でき、装置の大型化を防止できる。
【0118】
さらに、供給する塗料種を複数の各塗装ガンごとに設定することができるため、コンベアによる連続的な搬送で、ある塗装ガンと他の塗装ガンとの間の塗装タイミングにずれがある場合であっても、混合器6を色替えしながら活用しつつ、塗装対象である被塗物を連続して塗装することができる。
【0119】
本実施形態では、色替え(塗料A→塗料B→塗料A)を行うに当たり、混合器6からガン先までの経路すべてを洗浄する必要はなく、各メインCCV42,44,46から下流側の経路を洗浄すればよい。すなわち従来より短い経路での洗浄を行えば良いので、廃棄すべき残塗料の量を削減することができ、洗浄ロスを少なくすることができる。
【0120】
なお、従来の混合装置にて塗料の色替えを行う際には、各塗装ガン側へ供給する必要のある塗料の流量は、色替え時には、各塗装ガン側へ最大吐出量(塗装時の吐出量の2〜3倍の流量)で充填しており、しかも各塗装ガンに内蔵されるトリガーバルブのオン−オフに対応させて、塗料の供給を止めることもあった。また、主剤と硬化剤をそれぞれ主剤ポンプ及び硬化剤ポンプで混合器に定量圧送する従来の混合装置では、供給されるすべての塗装ガンに対しての吐出量総量を計算し、応答させて、混合器への主剤と硬化剤の送り出し量を計算させなければならなかったため、混合器の下流側から各塗装ガンまでの塗料経路(ホース)を破裂させる恐れがあるとの懸念もあった。
【0121】
本実施形態では、ガン先への充填が終了し、吐出に必要な塗料の流量は減少した後でも、塗料Aを一定流量で供給し続け、供給過剰分の塗料を、各ミキサー64a,64aから複数の各塗装ガンに到る供給経路72,74の途中に設けられたシリンダタンク82,84によって一時的に貯蔵し、再供給に回す。このため、ガンからの塗料の吐出量(実使用量)の変化を検知し、この結果を、混合器6へ導入される主剤と硬化剤の供給流量の制御にフィードバックさせなくても、混合器6での主剤と硬化剤の正確な混合を行うことができるとともに、混合器6の下流側から各塗装ガンまでの塗料経路72,74を破裂させる恐れもない。
【0122】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0123】
例えば、上述した実施形態では、本発明の第3メイン塗装工程の一例として、第1メイン塗装工程を例示し、その後に、第1貯蔵工程→第1液体停止工程→第1サブ塗装工程と続けたものであるが、本発明ではこの対応には限定されず、第3メイン塗装工程として、塗料Aでも塗料Bでもない塗料Cによる塗装を行うこととしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は本実施形態に係る塗料供給装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は図1のシリンダタンク82の部分拡大断面図である。
【図3】図3は図1のシリンダタンク84の部分拡大断面図である。
【図4】図4は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aの混合を開始し、メインCCVまで充填を行った状態を示す図である。
【図5】図5は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aの充填を塗装ガン2c及び2dに行った状態を示す図である。
【図6】図6は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aを塗装ガン2b〜2dから吐出させるとともに、ガンより吐出されない供給過剰分の塗料Aを貯蔵する状態を示す図である。
【図7】図7は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aの供給を完了した後に、貯蔵分の塗料Aを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図8】図8は本実施形態に係る塗装方法において塗料Bの混合を開始し、塗装ガン2dへの供給、塗装ガン2cを洗浄とともに、メインCCVまで充填を行った状態を示す図である。
【図9】図9は本実施形態に係る塗装方法において塗料Bの塗装を開始し、ガンより吐出されない供給過剰分の塗料Bを貯蔵しつつ貯蔵分の塗料Aを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図10】図10は本実施形態に係る塗装方法において塗料Bの混合を終了した後に、貯蔵分の塗料Bを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図11】図11は本実施形態に係る塗装方法において再び塗料Aの塗装を開始し、ガンより吐出されない供給過剰分の塗料Aを貯蔵しつつ、貯蔵分の塗料Bを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図12】図12は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aにより塗装しながら、引き続きガンより吐出されない供給過剰分の塗料Aを貯蔵しつつ、貯蔵分の塗料Bを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図13】図13は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aにより塗装しながら、引き続きガンより吐出されない供給過剰分の塗料Aを貯蔵する状態を示す図である。
【図14】図14は本実施形態に係る塗装方法において塗料Aの供給を完了した後に、貯蔵分の塗料Aを各ガンに供給する状態を示す図である。
【図15】図15は従来の塗料供給装置の全体構成を示す概略図である。
【図16】図16は従来の塗料供給装置の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0125】
1… 塗料供給装置
2a〜2d… 塗装ガン
42,44,46… メインCCV
47,48… サブCCV
42a,44a,46a〜48a… マニホールド
42b,44b,46b… 塗料種切替バルブ
47b,48b… 液剤種切替バルブ
42c,44c,46c〜48c… 洗浄液切替バルブ
42d,44d,46d〜48d… エア切替バルブ
49a,49b… 開閉バルブ
52,54,56… 塗料ポンプ
57,58… 液剤ポンプ
6… 混合器
62… マニホールド
62a… 主剤流入ポート
62b… 硬化剤流入ポート
62c… 第1吐出ポート
62d… 第2吐出ポート
64a,64b… ミキサー
72,74… 塗料通路
76… 主剤通路
78… 硬化剤通路
82,84… シリンダタンク
822,842… タンク本体
823,843… 空間(塗料貯蔵室)
824,844… 塗料流入部
826,846… 塗料吐出部
827,847… フリーピストン
828,848… ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多液塗料を混合器から供給して複数の塗装ガンから吐出させる塗装方法であって、
第1の多液塗料を混合器から供給して一部の塗装ガンから吐出させる第1メイン塗装工程と、
第1の多液塗料を一部の塗装ガンから吐出させている間に、吐出量を超える第1の多液塗料を混合器から供給し続け、供給過剰分の第1の多液塗料を一時的に貯蔵する第1貯蔵工程と、
所定量の第1の多液塗料を貯蔵した後、混合器への第1の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を停止する第1液体停止工程と、
混合器への液体の供給を停止した後、一時的に貯蔵された第1の多液塗料を供給して残りの塗装ガンから吐出させる第1サブ塗装工程と、
一時的に貯蔵された第1の多液塗料を残りの塗装ガンから吐出させている間に、混合器への第2の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を開始し、第2の多液塗料を混合器から供給して第1の多液塗料の吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる第2メイン塗装工程とを、有する塗装方法。
【請求項2】
第1の多液塗料を混合器から一定流量で供給し続けることで、供給過剰分の第1の多液塗料を一時的に貯蔵する請求項1に記載の塗装方法。
【請求項3】
第2の多液塗料を一部の塗装ガンから吐出させている間に、吐出量を超える第2の多液塗料を供給し続け、供給過剰分の第2の多液塗料を一時的に貯蔵する第2貯蔵工程と、
所定量の第2の多液塗料を貯蔵した後、混合器への第2の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を停止する第2液体停止工程と、
混合器への液体の供給を停止した後、一時的に貯蔵された第2の多液塗料を供給して残りの塗装ガンから吐出させる第2サブ塗装工程と、
一時的に貯蔵された第2の多液塗料を残りの塗装ガンから吐出させている間に、混合器への第1の多液塗料を含む別の多液塗料を得るのに必要な液体の供給を開始し、当該別の多液塗料を混合器から供給して第2の多液塗料の吐出が終了した一部の塗装ガンから吐出させる第3メイン塗装工程とを、さらに有する請求項1または2に記載の塗装方法。
【請求項4】
第2貯蔵工程において、第2の多液塗料を混合器から一定流量で供給し続けることで、供給過剰分の第2の多液塗料を一時的に貯蔵する請求項3に記載の塗装方法。
【請求項5】
別の多液塗料が第1の多液塗料であり、第3メイン塗装工程が第1メイン塗装工程であって、その後に、第1貯蔵工程、第1液体停止工程、第1サブ塗装工程及び第2メイン塗装工程を介して、第2貯蔵工程以降を繰り返す請求項3または4に記載の塗装方法。
【請求項6】
多液塗料として、少なくとも主剤及び硬化剤を混合して得られる常温架橋2液硬化型の塗料を用いる請求項1〜5のいずれかに記載の塗装方法。
【請求項7】
多液塗料を複数の供給経路を介して複数の塗装ガンに供給するミキサーを複数備えた混合器と、
少なくとも1つのミキサーから各塗装ガンに到る供給経路の途中に、前記多液塗料を一時的に貯蔵し、かつ貯蔵後の多液塗料を各塗装ガンへ再供給可能な貯蔵手段とを、有する塗料供給装置。
【請求項8】
前記貯蔵手段は、
ミキサーの下流側の供給経路に接続され、ミキサーからの多液塗料の流入を許容する塗料流入部と、各塗装ガンの上流側の複数の供給経路に接続され、前記塗料流入部から流入した多液塗料の導出を許容する複数の塗料吐出部とが形成してあるタンク本体と、
タンク本体の内部で摺動自在となるフリーピストンと、
フリーピストンの裏面に一端が連接され、他端に駆動源が接続される軸方向に移動自在なロッドとを、有し、
フリーピストンを駆動源側に押し戻すことにより、フリーピストンの表面とタンク本体の内壁との間に形成される空間内に塗料流入部から流入した多液塗料を一時的に貯蔵し、ロッドを駆動源側から引き出す方向に移動させることにより、前記空間内に一時貯蔵された多液塗料を複数の塗料吐出部から導出するようにしたシリンダタンクで構成してある請求項7に記載の塗料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−302315(P2008−302315A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152817(P2007−152817)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】