説明

塗装用ロボットシステム

【課題】複数の塗装工程を一台のロボットで行えるようにし、装置全体の設置面積を縮小することが可能な塗装用ロボットシステムを提供する。
【解決手段】塗装用ロボットシステム10は、ロボットアーム21を有するロボット20と、ロボット20のロボットアーム21の先端21aに取り付けられた支持部材30と、支持部材30に、回動軸J、Jを中心に回動自在に取り付けられたスプレーユニット40A、40Bとを備えている。各スプレーユニット40A、40Bは、塗料を塗布する複数のスプレーガン51A−53A、51B−53Bを有している。複数のスプレーガン51A−53A、51B−53Bは、それぞれ前記回動軸J、Jを中心に一体となって回動し、使用するスプレーガン51A−53A、51B−53Bを切り替え可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装用ロボットシステムに係り、とりわけ複数の塗装工程を一台のロボットで行えるようにし、装置全体の設置面積を縮小することが可能な塗装用ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば小型携帯端末などの被塗装物を塗装する場合、被塗装物を回転式の治具に設置し、この被塗装物に対してロボットを用いて塗装を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−290733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の一般的な塗装システムにおいては、例えば下塗り、中塗り、上塗りなど複数の工程ごとに、異なるロボットを配置して塗装を行う必要がある。したがって、装置全体の設置面積が広くなっているという問題がある。また、従来、複数のロボットで塗装を行っているため、それぞれのロボットごとに教示を行う必要がある。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、例えば下塗りから上塗りまでの複数の塗装工程を一台のロボットで行えるようにし、装置全体の設置面積を縮小することが可能な、塗装用ロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、塗装用ロボットシステムにおいて、ロボットアームを有するロボットと、ロボットのロボットアーム先端に取り付けられた支持部材と、支持部材に、回動軸を中心に回動自在に取り付けられたスプレーユニットとを備え、スプレーユニットは、塗料を塗布する複数のスプレーガンを有し、複数のスプレーガンは、前記回動軸を中心に一体となって回動し、使用するスプレーガンを切り替え可能となっていることを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【0007】
本発明は、スプレーユニットは、複数のスプレーガンが取り付けられるとともに回動軸を中心に回動するマニホールドを更に有し、マニホールド内に、各スプレーガンに塗料を供給する供給管が配設されていることを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【0008】
本発明は、スプレーユニットの各スプレーガンは、回動軸に対して45°乃至180°の角度を付けて配置されていることを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【0009】
本発明は、複数のスプレーガンは、回動軸の周囲に放射状に配置され、各スプレーガンと回動軸との距離は互いに同一となっていることを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【0010】
本発明は、複数のスプレーガンは、下塗り用の第1のスプレーガンと、中塗り用の第2のスプレーガンと、上塗り用の第3のスプレーガンとを含むことを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【0011】
本発明は、支持部材の一端に、第1の回動軸を中心に回動自在に設けられた第1のスプレーユニットが取り付けられ、支持部材の他端に、第2の回動軸を中心に回動自在に設けられた第2のスプレーユニットが取り付けられていることを特徴とする塗装用ロボットシステムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、支持部材に回動軸を中心に回動自在に取り付けられたスプレーユニットは、塗料を塗布する複数のスプレーガンを有しており、この複数のスプレーガンは、回動軸を中心に一体となって回動する。このことにより、複数の塗装工程を一台のロボットによって実行することができ、装置全体の設置面積を縮小することができる。また、一台のロボットで複数の塗装工程を実行できるので、教示作業を最小限に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを示す正面図。
【図2】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを示す底面図(図1のII方向矢視図)。
【図3】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを示す側面図(図1のIII方向矢視図)。
【図4】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを用いて被塗装物を塗装している状態を示す側面図。
【図5】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを用いて筒状の被塗装物を塗装している状態を示す側面図。
【図6】本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムを用いて筒状の被塗装物を塗装している状態を示す側面図。
【図7】塗装用ロボットシステムの変形例を示す側面図。
【図8】塗装用ロボットシステムの変形例を示す底面図(図7のVIII方向矢視図)。
【図9】塗装用ロボットシステムの他の変形例を示す部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図5は、本発明の一実施の形態を示す図である。
【0015】
まず、図1乃至図3により、本発明の一実施の形態による塗装用ロボットシステムの構成について説明する。
【0016】
図1乃至図3に示すように、塗装用ロボットシステム10は、ロボットアーム21を有するロボット20と、ロボット20のロボットアーム21の先端21aに取り付けられた支持部材30と、この支持部材30の左右の端部にそれぞれ回動軸J、Jを中心に回動自在に取り付けられた一対のスプレーユニット40A、40Bとを備えている。
【0017】
このうち一対のスプレーユニット40A、40Bは、第1のスプレーユニット40Aと、第2のスプレーユニット40Bとからなっている。第1のスプレーユニット40Aは、支持部材30の一端30aに取り付けられ、第1の回動軸Jを中心に回動自在に設けられている。第2のスプレーユニット40Bは、支持部材30の他端30bに取り付けられ、第2の回動軸Jを中心に回動自在に設けられている(以下、単にスプレーユニット40A、40B、回動軸J、Jともいう)。
【0018】
なお、ロボット20としては、一般に用いられるロボット(例えば垂直多関節ロボット)を用いることができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0019】
図1に示すように、ロボットアーム21の先端21aにおいて、第1伝動軸部材23が回動自在に配設されている。第1伝動軸部材23は、ロボットアーム21の長手方向に対して垂直に設けられている。また、第1伝動軸部材23は、ロボット20の基端側に設けられた図示しないモータと連結されており、このモータからの駆動力によって、当該第1伝動軸部材23が回動するようになっている。
【0020】
また、ロボットアーム21の先端21aには、凹部22が形成されており、この凹部22内に、スプレーユニット40A、40Bを回動させるための第2伝動軸部材24が設けられている。この第2伝動軸部材24は、回動軸Jを中心に回動自在となっている。
【0021】
さらに、第2伝動軸部材24の一端には傘歯車26が固着され、この傘歯車26は、凹部22内で第1伝動軸部材23側の傘歯車25と係合している。これにより、第1伝動軸部材23からの動力を第2伝動軸部材24に伝達する際、その回転方向を90°変換するようになっている。
【0022】
図1乃至図3に示すように、支持部材30は、長尺状の支持部材本体31と、支持部材本体31に突設された一対の取付部32とを有している。このうち一対の取付部32は、ロボットアーム21の先端21aに、回動軸Jを中心に回動自在に連結されている。なお、この回動軸Jは、上述した回動軸Jに対して垂直に位置している。
【0023】
また、上記第2伝動軸部材24は、支持部材本体31の中央部において、支持部材本体31に対して垂直に設けられており、第2伝動軸部材24の他端にはプーリ27が取り付けられている。
【0024】
一方、各スプレーユニット40A、40Bは、それぞれ塗料を塗布する複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bと、各々複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bが取り付けられるとともに、回動軸J、Jを中心に回動するマニホールド41A、41Bとを有している。各スプレーユニット40A、40Bのマニホールド41A、41Bの外面には、それぞれプーリ42A、42Bが取り付けられている。なお、各マニホールド41A、41Bが回動する回動軸J、Jは、第2伝動軸部材24の回動軸Jに対して平行に位置している。
【0025】
また、第2伝動軸部材24側のプーリ27と、各スプレーユニット40A、40Bのプーリ42A、42Bとには、タイミングベルト33が巻き掛けられている。そして、第1伝動軸部材23からの動力は、第2伝動軸部材24側のプーリ27、タイミングベルト33、および各スプレーユニット40A、40Bのプーリ42A、42Bからなるベルト伝動機構を介して各マニホールド41A、41Bに伝えられ、マニホールド41A、41Bと、マニホールド41A、41Bに連結された複数のスプレーガン51A−53A、51B−53Bとが、回動軸J、Jを中心に一体となって回動するようになっている。
【0026】
なお、スプレーユニット40A、40Bは、回動軸J、Jを中心に一方の方向(例えば図2の時計回り方向)へ回動するとともに、この一方の方向との逆の方向(例えば図2の反時計回り方向)へも回動するようになっている。
【0027】
本実施の形態において、複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bは、下塗り用の第1のスプレーガン51A、51Bと、中塗り用の第2のスプレーガン52A、52Bと、上塗り用の第3のスプレーガン53A、53Bとからなっている。そして複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bは、それぞれ回動軸J、Jを中心に一体となって回動し、用途に応じて、使用するスプレーガン51A−53A、51B−53Bを切り替え可能となっている。
【0028】
この場合、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、それぞれ細長いブラケット43A、43Bを介してマニホールド41A、41Bの底面に取り付けられている。
【0029】
また、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、回動軸J、Jの周囲に放射状に配置されている(図2)。さらに、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、各回動軸J、Jの周りに等間隔に配置されており、隣接するスプレーガン51A−53A、51B−53B同士のなす角αは120°となっている(図2)。この場合、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bと回動軸J、Jとの距離は互いに同一となっている。しかしながらこれに限らず、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、各回動軸J、Jの周りに不均等な間隔で配置されていても良い。
【0030】
なお、本実施の形態において、各スプレーユニット40A、40Bは、それぞれ3つのスプレーガン51A−53A、51B−53Bを有しているが、これに限らず、スプレーユニット40A、40Bが2つまたは4つ以上のスプレーガンを有していても良い。例えばスプレーユニット40A、40Bが2つのスプレーガンを有している場合、隣接するスプレーガン同士のなす角αを180°としてもよい。あるいは、スプレーユニット40A、40Bが4つのスプレーガンを有している場合、隣接するスプレーガン同士のなす角αを90°としてもよい。また、この場合においても、各スプレーガンを回動軸J、Jの周りに不均等な間隔で配置しても良い。
【0031】
図3に示すように、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、回動軸J、Jに対して45°乃至180°の角度βを付けて配置されている。すなわち、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bから塗料を吐出する方向が、回動軸J、Jに対して45°乃至180°の角度をなしている。とりわけ、角度βは、例えば45°、60°、90°、120°、135°または180°のうちいずれかの角度から選択されても良い。また、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bの先端は、支持部材30側に向けられていても良く、支持部材30の反対側に向けられていても良い。
【0032】
また各マニホールド41A、41B内には、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bに塗料を供給する供給管44A、44Bが配設されている。各供給管44A、44Bの上端には、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bに対して塗料を供給する塗料用ホース45A、45Bと、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bに対してエアを供給するエア用ホース46A、46Bとがそれぞれ連結されている。
【0033】
図1および図3において、便宜上、各マニホールド41A、41Bに連結された塗料用ホース45A、45Bおよびエア用ホース46A、46Bを1本ずつ表示しているが、実際には、各マニホールド41A、41Bに、3つのスプレーガン51A−53A、51B−53Bに対応する3本の塗料用ホース45A、45Bおよび3本のエア用ホース46A、46Bが連結されている。
【0034】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について、図4を用いて説明する。なお、以下においては、一対のスプレーユニット40A、40Bのうち第1のスプレーユニット40Aに関して説明するが、第2のスプレーユニット40Bについても、図4の紙面奥側において同時に同様の作業を行っている。
【0035】
まず、図4に示すように、回転可能な載置台65上に被塗装物60を載置する。続いて、ロボット20のロボットアーム21を被塗装物60の近傍に移動し、スプレーユニット40Aの下塗り用の第1のスプレーガン51Aが被塗装物60の側方にくるようにする。このとき、第1のスプレーガン51Aは、被塗装物60に対して塗装が可能となる距離に位置している。
【0036】
続いて、載置台65により被塗装物60を回転させるとともに、ロボットアーム21を上下左右に移動させることにより、第1のスプレーガン51Aにより被塗装物60の外面61を塗装する(下塗り用塗装)。このとき、第1のスプレーガン51Aには、それぞれ塗料用ホース45Aおよびエア用ホース46Aを介して塗料およびエアが供給されている。
【0037】
その後、ロボット20のロボットアーム21が停止するとともに、第1のスプレーガン51Aからの塗料の塗布が停止し、下塗り用塗装が終了する。
【0038】
次に、ロボット20の基端側に設けられた図示しないモータが駆動することにより、第1伝動軸部材23が回動する。この第1伝動軸部材23からの動力は、第2伝動軸部材24側のプーリ27、タイミングベルト33、およびスプレーユニット40Aのプーリ42Aを順次介してマニホールド41Aに伝えられる。これにより、マニホールド41Aと、マニホールド41Aに連結された3つのスプレーガン51A−53Aとが、回動軸Jを中心に一体となって回動し始める。
【0039】
次いで、マニホールド41Aおよび3つのスプレーガン51A−53Aが回動軸Jの周りに120°回動し、中塗り用の第2のスプレーガン52Aが被塗装物60の側方にきたとき、図示しないモータが停止し、マニホールド41Aおよび3つのスプレーガン51A−53Aが停止する。
【0040】
続いて、載置台65により被塗装物60を回転した状態で、ロボットアーム21を上下左右に移動させることにより、第2のスプレーガン52Aを用いて被塗装物60の外面61を塗装する(中塗り用塗装)。
【0041】
中塗り用塗装が終了した後、下塗り用塗装から中塗り用塗装に切り替えるときと同様に、マニホールド41Aおよび3つのスプレーガン51A−53Aを回動軸Jの周りに回動させ、上塗り用の第3のスプレーガン53Aが被塗装物60の側方にくるようにする。その後、第3のスプレーガン53Aを用いて被塗装物60の外面61を塗装する(上塗り用塗装)。
【0042】
このようにして、下塗り用塗装、中塗り用塗装および上塗り用塗装の3工程からなる塗装工程が、1台のロボット20によって行われる。
【0043】
なお、被塗装物60としては、例えば円柱形、円筒形または直方体の物体等を挙げることができるが、これに限られるものではなく、どのような形状を有していても良い。また、ロボット20によって塗装される際、被塗装物60は必ずしも回転させる必要はなく、静止させておいても良い。
【0044】
このように本実施の形態によれば、スプレーユニット40A、40Bは塗料を塗布する複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bを有し、これら複数(3つ)のスプレーガン51A−53A、51B−53Bは、回動軸J、Jを中心に一体となって回動する。このことにより、スプレーユニット40A、40Bを回動軸J、Jの周りに回動させることにより、使用するスプレーガン51A−53A、51B−53Bを簡単に切り替えることができる。したがって、複数の塗装工程(例えば、下塗り用塗装工程、中塗り用塗装工程および上塗り用塗装工程)を一台のロボット20によって実行することができ、装置全体の設置面積を縮小することができる。また、一台のロボット20で複数の塗装工程を実行できるので、教示作業を最小限に減らすことができる。さらに、装置全体の設置コストを低減することができる。
【0045】
また本実施の形態によれば、スプレーユニット40A、40Bのマニホールド41A、41B内に、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bに塗料を供給する供給管44A、44Bが配設されているので、スプレーユニット40A、40B周辺の構造を簡単にすることができる。
【0046】
また本実施の形態によれば、スプレーユニット40A、40Bの各スプレーガン51A−53A、51B−53Bは、回動軸J、Jに対して45°乃至180°の角度βを付けて配置されているので、隣接するスプレーガン51A−53A、51B−53B同士の距離を離すことができる。このことにより、図5および図6に示すように、とりわけ筒状の被塗装物70の内面71を塗装する場合、使用していないスプレーガン51A−53A、51B−53Bが被塗装物70に干渉することを防止することができる。なお、図5は角度βが45°乃至90°、とりわけ角度βが45°乃至60°の場合の一例を示しており、図6は角度βが90°乃至180°の場合の一例を示している。
【0047】
さらに本実施の形態によれば、複数のスプレーガン51A−53A、51B−53Bは、回動軸J、Jの周囲に放射状に配置され、各スプレーガン51A−53A、51B−53Bと回動軸J、Jとの距離は互いに同一となっているので、ロボットアーム21を動かすことなくマニホールド41A、41Bを回動させるだけで、スプレーガン51A−53A、51B−53Bを同一の位置にもってくることができる。
【0048】
さらに本実施の形態によれば、支持部材30の一端に、第1の回動軸Jを中心に回動自在に設けられた第1のスプレーユニット40Aが取り付けられ、支持部材30の他端に、第2の回動軸Jを中心に回動自在に設けられた第2のスプレーユニット40Bが取り付けられているので、1台のロボット20を用いて、2つの被塗装物60に対して同時に同一の塗装作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0049】
変形例
以下、本実施の形態による塗装用ロボットシステムの各変形例について、図7乃至図9を参照して説明する。図7乃至図9において、図1乃至図6に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0050】
図7および図8は、塗装用ロボットシステムの一つの変形例を示す図である。このうち図7は、塗装用ロボットシステム10Aを示す側面図(図3に対応する図)であり、図8は、塗装用ロボットシステム10Aの底面図(図2に対応する図)である。
【0051】
図7および図8に示す変形例において、図1乃至図6に示す実施の形態と異なり、底面側から見て、第2伝動軸部材24を回動させる回動軸Jは、マニホールド41Aを回動させる回動軸Jとマニホールド41Bを回動させる回動軸Jとを結んだ直線上に位置せず、当該直線から離れて位置している。この場合、支持部材本体31の略中央部には側方に突出する凸部31aが設けられており、プーリ27は、この凸部31a内に配置されている。また、プーリ27の両側に、タイミングベルト33を案内するテンショナ29が配置されている。
【0052】
さらに、図7に示すように、支持部材本体31上には一対の取付部32aが設けられている。この場合、各取付部32aは、支持部材本体31からロボットアーム21側に向けて約90°湾曲されている。なお、図7および図8において、他の構成は上述した図1乃至図6に示す実施の形態と略同一である。
【0053】
図9は、塗装用ロボットシステムの他の変形例を示す図である。図9は、塗装用ロボットシステム10Bを示す部分正面図である。
【0054】
図9に示す変形例において、図1乃至図6に示す実施の形態と異なり、支持部材30に複数のスプレーユニットが設けられている。図9においては、第2伝動軸部材24の左右にそれぞれ3つずつ、計6つのスプレーユニットが設けられている(なお、図9においては、右側(すなわち一端30a側)の3つのスプレーユニット40A、40A、40Aを示している)。しかしながら、支持部材30に設けられるスプレーユニットの個数はこれに限られるものではなく、例えば3つ以上であってもよい。また、第2伝動軸部材24の左右に、互いに異なる数のスプレーユニットが設けられていても良い。
【0055】
図9において、スプレーユニット40A、40Aは、それぞれ2つのプーリ42A、42Aを有している。そして隣接するスプレーユニット40A、40Aのプーリ42A同士がタイミングベルト33aを介して連結され、かつ隣接するスプレーユニット40A、40Aのプーリ42A同士がタイミングベルト33bを介して連結されている。
【0056】
この場合、第1伝動軸部材23からの動力は、第2伝動軸部材24側のプーリ27、タイミングベルト33、スプレーユニット40Aのプーリ42A、スプレーユニット40Aのプーリ42A、タイミングベルト33a、スプレーユニット40Aのプーリ42A、スプレーユニット40Aのプーリ42A、タイミングベルト33b、スプレーユニット40Aのプーリ42Aの順で伝えられる。このようにして、各スプレーユニット40A、40A、40Aのマニホールド41Aおよびスプレーガン51A−53Aが、回動軸Jを中心に互いに同期して回動するようになっている。
【0057】
このほか、各スプレーユニット40A、40A、40Aの構成は、上述したスプレーユニット40A、40Bと略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0058】
10、10A、10B 塗装用ロボットシステム
20 ロボット
21 ロボットアーム
22 凹部
23 第1伝動軸部材
24 第2伝動軸部材
25、26 傘歯車
27 プーリ
30 支持部材
31 支持部材本体
32 取付部
33 タイミングベルト
40A 第1のスプレーユニット
40B 第2のスプレーユニット
41A、41B マニホールド
42A、42B プーリ
43A、43B ブラケット
44A、44B 供給管
45A、45B 塗料用ホース
46A、46B エア用ホース
51A、51B 第1のスプレーガン
52A、52B 第2のスプレーガン
53A、53B 第3のスプレーガン
60 被塗装物
65 載置台
70 被塗装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装用ロボットシステムにおいて、
ロボットアームを有するロボットと、
ロボットのロボットアーム先端に取り付けられた支持部材と、
支持部材に、回動軸を中心に回動自在に取り付けられたスプレーユニットとを備え、
スプレーユニットは、塗料を塗布する複数のスプレーガンを有し、
複数のスプレーガンは、前記回動軸を中心に一体となって回動し、使用するスプレーガンを切り替え可能となっていることを特徴とする塗装用ロボットシステム。
【請求項2】
スプレーユニットは、複数のスプレーガンが取り付けられるとともに回動軸を中心に回動するマニホールドを更に有し、マニホールド内に、各スプレーガンに塗料を供給する供給管が配設されていることを特徴とする請求項1記載の塗装用ロボットシステム。
【請求項3】
スプレーユニットの各スプレーガンは、回動軸に対して45°乃至180°の角度を付けて配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の塗装用ロボットシステム。
【請求項4】
複数のスプレーガンは、回動軸の周囲に放射状に配置され、各スプレーガンと回動軸との距離は互いに同一となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の塗装用ロボットシステム。
【請求項5】
複数のスプレーガンは、下塗り用の第1のスプレーガンと、中塗り用の第2のスプレーガンと、上塗り用の第3のスプレーガンとを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の塗装用ロボットシステム。
【請求項6】
支持部材の一端に、第1の回動軸を中心に回動自在に設けられた第1のスプレーユニットが取り付けられ、支持部材の他端に、第2の回動軸を中心に回動自在に設けられた第2のスプレーユニットが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の塗装用ロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200676(P2012−200676A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67902(P2011−67902)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】