説明

塗装膜の乾燥度を非接触的に検知するための装置、及び、塗装膜の乾燥度を非接触的に検知するための方法

本発明は、基材4に塗布された塗装膜5の乾燥度を非接触的に、それゆえ非破壊的に測定するための装置1に関する。本発明においては、前記装置が、電磁波放射のための少なくとも1つの送信機2と、塗装膜5へと放射された電磁波の吸収を測定するための少なくとも1つの受信機7と、測定手段8とを備えている。測定手段8においては、受信機7によって測定されたそのままの測定値が処理され、そして、そこから計算された塗装膜5の乾燥度が表示される。マイクロ波又は近赤外領域の赤外線が測定用電磁波として用いられ、どちらの場合でも、一定波長にて吸収A(t)の時間依存的な少なくとも1種の測定が行われる。赤外線放射機を備えた乾燥手段は、乾燥度が予め設定したものに到達したときに、制御及び調整手段9によって自動的に電源が切られ得る。前記乾燥手段は、乾燥度の測定の結果、高水準の正確さで電源が切られ、これによって、非常に優れた再現性及び高品質な塗装という結果になる。さらに、本発明は、前記装置1を用いて塗装膜5の乾燥度を決定するための方法であり、近赤外領域における赤外線又はマイクロ波を用いるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上の塗装膜、具体的には飛行体の外被膜の乾燥度を非接触的に決定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
色に関する旅客機のデザインの観点でますます多様化している顧客の要求を満たすべく、多種多様の機構が飛行体の塗装のために採用されなければならない。例えば、用いられる塗料の種類、並びに塗装建屋内の気温及び湿度は、重要な因子である。さらに、例えば、塗料が単一成分のものであるか又は複数成分組成のものであるかによって、また、塗料が水溶性であるか又は溶剤に基づくものであるかによって、硬化時間が大幅に変化することから、用いられる塗料の化学組成は、重要な役割を有する。
【0003】
現状、塗装膜の各硬化度は、通常、手作業の力学的試験によって決定されている。これらの試験においては、鋭い刃を有する測定部材が塗装膜に押し当てられる。塗装膜における測定部材のノッチ効果が大きいほど、塗装膜の硬化が進行していないことになる。この決定方法の重大な欠点は、完全な状態の塗装膜が損なわれることにある。さらに、この決定方法は、自動化できず、測定の不確実性が比較的高い。
【0004】
乾燥設備は、非常に大きな電気エネルギー入力を必要とするものであるところ、具体的には赤外線放射機などの乾燥設備が、現状、製造工程を迅速化するために塗料の乾燥において用いられている。塗装された飛行体の工程時間を短くするために、また、エネルギー消費を最適化するために、乾燥設備の稼動時間をできるだけ短くすること、及び、塗装膜の乾燥度に応じて乾燥設備を制御できるようにすることが望ましい。これは、現状用いられている手作業の測定方法では、成し遂げられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の課題は、自動的且つ非接触的な方式によって高水準の正確性を同時に達成しつつ塗装膜の乾燥度を決定することが可能である装置を作ることにある。本発明のさらなる課題は、乾燥度の測定を行うための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、まず、請求項1記載の特徴を有する装置によって達成される。
【0007】
前記装置が、電磁波放射のための少なくとも1つの送信機と、少なくとも1つの受信機と、測定手段とを備えていることにより、塗装膜の乾燥度が、初めて非接触的且つ定量的な方式で高水準の正確性を有しつつ測定され得る。適切な波長の電磁波が送信機によって塗装膜の表面に放射される。塗装膜の表面にて反射された(拡散された)電磁波の強度は、受信機によって決定され、また、さらなる評価のために測定設備へ伝えられ、そして、その時点での塗装膜の乾燥度が決定される。
【0008】
前記装置は、1mmから1mの間の波長を有するマイクロ波領域の電磁波を用いて、又は、代わりに、0.8μmから2.5μmの間の波長を有する近赤外線(NIR)領域の電磁波を用いて操作され得る。
【0009】
どちらの場合においても、乾燥工程の過程における塗装膜内で起こる物理化学的な変化、例えば、各溶媒(水又は化学溶媒)の外方側への拡散、重合過程などが検知される。
【0010】
マイクロ波が用いられる場合、マイクロ波は、所定の送信機から、塗装膜がある基材へと放射される。受信機は、反射によって引き起こされる測定信号を生じる。測定信号は、例えば拡散反射の結果生じた損失だけでなく、塗装膜及び基材における吸収の結果生じた損失も含んでいる。送信機及び受信機から塗装膜への距離と、送信機の放射強度とが塗料の乾燥の測定において一定に保たれていれば、拡散反射による損失も変化せず、受信機によって受信されたマイクロ波の強度は、塗料における吸収のみによって決まるとみなされる。特定波長における吸収は、同様に塗料の乾燥度に関連している塗料の電気的誘電率(絶縁定数)によって決まる。誘電率と乾燥との間には相関関係があることから、乾燥度は、吸収をそれぞれ測定することによって決定され得る。しかしながら、マイクロ波の絶対的な強度の情報は、必要でない。なぜなら、一定の出力強度のもと、また、他の一定の環境条件のもとで、マイクロ波の測定曲線の一次導関数が時間の経過に伴って決定されることにより、受信機によって受信されたマイクロ波の時間に対する変化のみが評価されるからである。
【0011】
しかしながら、赤外線が用いられる場合、塗料における分子結合は、誘起されて振動する。そもそも異なる分子結合は、誘起されるためには、異なるエネルギー(周波数、W=h*f)を要する。それゆえ、特定の分子構造は、いずれの場合にも特定の周波数によってのみ誘起される。誘起された結果、放射されたエネルギーは、塗料における運動エネルギー(熱)へと変換され、そして完全に吸収される。従って、分子の特定官能基は、いずれの場合においても、特有の波長を吸収する。それゆえ、乾燥工程において変化する塗料中の化学結合の情報は、近赤外領域における電磁波放射によって塗料の乾燥特性を観測するために必要である。この一具体例が、具体的には水溶性塗料の場合において、乾燥工程中に揮発する水である。測定された曲線は、主として水分子によって吸収される周波数及び波長の測定から決定され、その曲線においては、この周波数の反射は、最大になるまで時間とともに増加する。他の分子群の場合においては、例えば、新たな分子群が複数成分組成の塗料を硬化する間に作られるときに、時間とともに吸収が増加し得る。しかしながら、乾燥工程の継続中にわたって時間に対する反射の変化が測定され得る周波数は、用いられる特定の塗料系統に依存していずれの場合においても、常に存在する。
【0012】
一方、前記装置は、時間に対する反射測定の動向から得られた、測定曲線の傾斜のみを評価することから、絶対的な放射強度の情報は、赤外線放射を採用するときには重要でない。
【0013】
この装置をさらに改良したものとして、測定設備が制御及び/又は調整手段に結合したものが提供される。
【0014】
このことは、全体的な測定及び評価の結合が装置内で自動化され得ることを意味する。さらに、結合された制御及び/又は調整手段は、装置内においてさらなる関数群を制御することを可能にする。
【0015】
さらに有利な構成として、少なくとも1つの乾燥設備、具体的には、少なくとも1つの電動赤外線放射機が提供される。該乾燥設備は、塗装膜の到達した乾燥度に応じて、制御及び/又は調整手段によって制御され、具体的には、所望の乾燥度に到達したときに自動的に電源が切られる。
【0016】
このようにして、自動的に作動する乾燥手段は、完全に自動化された塗装手段における最終段階にて提供され得る。
【0017】
本発明のさらなる構成としては、送信機によって放射される電磁波が短波長赤外線であるものが提供される。
【0018】
これにより、マイクロ波を用いる測定と比較して、前記装置の構造が単純なものになる。近赤外線は、好ましくは0.8μmから2.5μmの間の波長のスペクトル領域にて、送信機によって放射され、受信機によって感知され、乾燥度を定量化すべく測定手段によって測定及び評価される。
【0019】
前記装置のさらに好ましい構成が、さらなる請求項において示されている。
【0020】
加えて、本発明の課題は、請求項10又は12のいずれかの方法によって達成される。これにより、乾燥度は、近赤外線(NIR)の波長に応じて拡散反射を測定することにより、又は、特定波長を有するマイクロ波の拡散反射を測定することにより、どの場合においても48時間までの全乾燥期間をかけて前記装置によって決定される。個々の吸収測定の間における時間間隔は、測定手段における記憶容量に応じて1秒から10分の間の範囲で動く。
【0021】
前記方法を用いることにより、基材に塗布された塗装膜の硬化度を、非接触的な様式、及び、それゆえ非破壊的な様式で比較的正確に決定することが初めて可能になり、これにより、初めて完全に自動化された塗布及び乾燥機構への統合が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】経過乾燥時間にわたって百分率にて塗装膜の乾燥度の動向を分により示したグラフ。
【図2】マイクロ波領域において電磁波放射を用いる装置の構造を模式的に示した図。
【図3】近赤外線(NIR)領域において電磁波を放射する装置を用いて決定した測定曲線を示した図。
【図4】λ=1480nmの波長を用いて図3における測定曲線から決定した、時間に対する吸収A(λ,t)の動向、及び、本課題のために数学的に計算した近似曲線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1のグラフは、例としてまず、時間に対する乾燥工程の塗装膜における動向を示しており、本発明の装置を用いて決定できるものである。
【0024】
どの場合においても、到達した乾燥度は、グラフの縦方向y軸において百分率として表され、一方、既に経過した乾燥時間は、水平方向x軸において表されている。t2=100分、即ち、時間t後の乾燥曲線の微分係数、つまり傾斜Sが、約0.6(35°に相当)の値に達したとき、乾燥度が既に約80%に達している。それゆえ、乾燥期間t2−t1のさらなる延長は、通常、測定された曲線がいったんt2=100分において0.6以下の傾斜Sになると、もはや目的にかなうものではない。飛行構造体において用いられる塗料系統の場合、S≦0.3の値は、既に乾燥工程の自動制御のための適切な終了基準になっている。
【0025】
図2は、基材に塗布された塗装膜におけるその時点における乾燥度又は硬化度を決定するための装置の基本的な構造を示している。
【0026】
前記装置1は、マイクロ波領域において最初の変化として電磁波を放射する送信機2を備えている。前記送信機2は、通常、ドライブエレクトロニクス(図示せず)と、該ドライブエレクトロニクスとつながっており放射される電磁波の各波長に対応する放射機とを備えている。
【0027】
前記送信機2は、基材4に塗布された塗装膜5にマイクロ波3を放射する。塗装膜5で反射されたマイクロ波6は、いずれの場合においても、用いられる電磁波に対応した受信機7によって感知される。即ち、マイクロ波の場合には、例えばアンテナによって感知される。そして、アンテナ7によって感知されたそのままの測定値を、増幅し、処理(フィルターをかけるなど)し、デジタル化し、また、数学的に評価すべく、最終段階にて接続されている測定手段へ伝える。測定手段8においては、塗装膜5及び/又は基材4にて反射され受信機によって受信されたマイクロ波が測定される。好ましくは、そのままの測定値は、測定手段8において予め数学的に処理される。測定手段8において増幅され、処理され、評価された測定値は、例えば、予め選択された乾燥度に到達したときに自動的に乾燥手段の電源を切るために、出力手段によって直接的に表示されるか、及び/又は、制御および調整手段9に伝えられる。例えば、特定の波長又は周波数(λ*f=c)における、時間に対する吸収A(λ,t)の動向は、適当な計測器、表示装置、監視装置、スクリーンなどにおいて映像として表され得る。
【0028】
適当な乾燥手段は、好ましくは、大面積の塗装膜5の温度をできるだけ均一となるように制御すべく、また、乾燥工程を促進できるように、列をなして配置され電動操作される複数の赤外線放射機10を備えている。測定手段8及び制御及び調整手段9は、統合されたコンピュータ設備、具体的には、標準的なパーソナルコンピュータ(例えばPC)の構成要素になり得る。
【0029】
送信機2から放射されるマイクロ波は、同様に塗装膜5の硬化度に影響されるその時の誘電率に対応して、塗装膜5及び/又は基材4において吸収される。塗装膜5又は基材4によって反射された、又は吸収されなかったマイクロ波の一部は、続いて、受信機7によって測定される。マイクロ波の送信機2としての放射機、及び受信機7としてのアンテナは、不可欠な構成要素として設置されている。測定手段8においては、吸収A(t)は、一般的に知られているように、送信機2によって放射されたマイクロ波3の強度と、受信機7によって決定される反射されたマイクロ波6の強度との間の差から決定され、この吸収は、塗装膜5の乾燥度の動向と相互に大きく関連している。そして、制御及び/又は調整手段9は、例えば、問題となる乾燥時間t1、即ち乾燥工程の開始t0の100分後にて、測定された曲線(図1参照)の傾斜Sが例えば0.3未満又は0.3になるとき、この場合では乾燥時間を過度に延長することによってもさらに高い乾燥度にもはや到達しないことから、単数又は複数の赤外線放射機10で構成された乾燥手段の電源を切ることができる。傾斜Sは、問題となる乾燥時間t1において測定された曲線に当てられた接線の勾配に相当する。さらに、マイクロ波の波長は、波長依存性及び時間依存性の吸収A(λ,t)の動向を決定するために、変化させることができる。
【0030】
代わりの改良例(図面において図示せず)においては、装置1は、0.8μmから2.5μmの間(“NIR線”)の“近赤外領域”又は“近赤外波長分布”における電磁波を用いて操作される。この場合、拡散反射測定方法が測定方法として用いられる。斯かる改良例においては、例えば、近赤外領域の一定の波長を有する電磁波を塗装膜5に放射する単数又は複数の半導体IRダイオードによって、送信機が構成され得る。受信機7は、例えば、塗装膜5又は基材にて反射された赤外線を評価するための少なくとも1つの光ダイオードを備え、受信機にて受信された拡散IR線は、電気的な出力信号へ変換され、即ち、結果として測定手段8において処理され、具体的には、増幅され、デジタル化され、また、時間に対する微分係数により数学的に処理される。ここで注目される時間に対する吸収A(λ,t)における変化は、試されたそれぞれの波長にて、受信機7が発生した測定信号から決定され得る。塗料の乾燥は、通常、測定された曲線の傾斜S≦0.3にて終了するとみなされる(図1参照)ことから、送信機2によって放射された近赤外領域の波長又は周波数について電磁波の正確な強度の情報は、必要でない。この点において、絶対数値的な測定は、それゆえ重要でない。
【0031】
送信機2によって放射された近赤外線又はIR線は、塗装膜5に含まれる分子の振動準位のエネルギー領域にある。即ち、IR線の吸収は、それに応じて分子内結合が振動することを促す。このような振動の状況は、例として図3のグラフに示されるように、山及び谷の形で、測定された吸収スペクトルA(λ,t)において可視化される。放射される線に関連するエネルギー又は周波数は、いずれの場合においても一般的な結合に特有のものであることから、個別の化学成分又は分子が特定され得る。塗装膜5の組成又は成分が連続的に変化し、結果として複雑な物理化学的工程が起きることによって乾燥工程が行われ、そして、組成及び材料におけるこれらの変化が、測定されたIR吸収スペクトルにおける変化に反映され、基材4上の塗装膜5における硬化又は乾燥の進行のそれぞれの程度がその時点にて導き出される。
【0032】
図3、4に示した測定された吸収A(λ、t)の曲線は、単にその定性的な動向を反映しており、定量的な吸収の値を決定することを意図するものではない。例えば、約λ=1480nmのIR線の波長における吸収A(λ、t)の動向を測定することは、上述した装置1を用いて決定した図3における測定曲線が示すように、飛行構造体において現在用いられている塗料又は塗料系統の乾燥度を決定するために優れたものであることが判明した。λ=1480nmの波長は、具体的には、塗装膜に含まれるウレタン基(−CO−NH−R)に特有なものであり、塗装膜5における開始剤、及び/又は、溶剤、又は薄膜化剤の吸収が干渉することにより重複するものでもない。乾燥工程の0分における開始時間t1から乾燥工程の例えば800分における終了時間t2までは、吸収の値A(λ、t)が最小値になるまで急激に低下することが、測定された曲線によって明確に示されている。別の塗料系統の場合、評価に関連している、時間に対する吸収A(λ、t)の変化は、通常、異なる化学成分による別の波長にて起こる。例えば、水を基にした塗料系統の場合、水又は水蒸気の吸収波長が、重要なものになる。
【0033】
その結果、λ=1.48μmにおける吸収の値A(λ、t)の動向は、基材上の塗装膜5における乾燥処理の進行と非常に強く相互に関連する。この波長において決定された吸収の値A(λ=1480nm,t)は、−測定手段8において随意的に必要とされる数学的な中間作業の後−塗装膜5のその時点における乾燥度の測定においていずれの場合でも有利に利用され得る。
【0034】
図4において実線で描かれた測定曲線は、固定された1480nm A(λ=1480nm,t)の赤外波長により、例えばt1=0分からt2=800分の間で塗装膜5の全乾燥期間をかけて装置1を用いて測定された吸収A(λ、t)を示している。点線は、測定された吸収A(λ、t)の曲線に対し、既知の数学的加工方法によって得られた数学的な近似曲線を示している。図に示すように、この近似曲線は、乾燥時間t(分)において塗装膜5の乾燥度を百分率にて直接的に読み取ることができる図1の曲線が逆になったものになっている。このようにして、図1の乾燥曲線を直接的に導き出せる図4の近似曲線は、図4の未加工の測定曲線を反転することにより決定され得る。
【0035】
図1の乾燥曲線から得られる値は、必要であれば、装置1の使用者により表示のために直接利用され得る。
【0036】
しかしながら、図1の測定曲線の傾斜Sを追跡すること、即ち、特定の波長での近赤外領域における時間に対する吸収A(λ、t)の変化を単に追跡することは、例えば、赤外線放射機10が制御及び調整手段9によって傾斜値S≦0.3において電源停止されるといった方法によって、赤外線放射機10を備えた作動中の乾燥手段を十分に制御できるものである。
【0037】
さらなる実施形態を以下に提示する。
【0038】
実施形態1:基材(4)上の塗装膜(5)、具体的には飛行体の外被膜の乾燥度を非接触的に決定するための装置(1)であり、該装置(1)は、電磁波放射のための少なくとも1つの送信機(2)と、少なくとも1つの受信機(7)と、測定手段(8)とを備えている。
【0039】
実施形態2:前記測定手段(8)が制御及び/又は調整手段(9)と結合している実施形態1の装置(1)である。
【0040】
実施形態3:実施形態1又は2のどちらかの装置(1)であって、少なくとも1つの乾燥手段、具体的には少なくとも1つの電動赤外線放射機(10)を備えた装置が提供され、前記乾燥手段は、塗装膜(5)の到達した乾燥度に応じて、制御及び/又は調整手段(9)によって制御され得るものであり、具体的には、予め設定された乾燥度に到達したときに自動的に電源を停止できるものである。
【0041】
実施形態4:実施形態1〜3のいずれかの装置(1)であって、少なくとも1つの送信機(2)から放射される電磁波が、近赤外領域における短波長赤外線、具体的には0.8μmから2.5μmの間の波長を有するものである。
【0042】
実施形態5:実施形態4の装置(1)であって、塗装膜(5)の乾燥度が、赤外線の少なくとも1種の一定波長λにて、時間依存性の吸収A(λ、t)を決定することにより測定され得るものである。
【0043】
実施形態6:実施形態4又は5の装置(1)であって、送信機(2)によって放射される赤外線の波長λが、波長依存性及び時間依存性の吸収A(λ、t)を測定するために変化し得るものである。
【0044】
実施形態7:実施形態1〜3のいずれかの装置(1)であって、少なくとも1つの送信機(2)によって放射される電磁波が、マイクロ波、具体的には、1mmから1mの間の波長領域にあるものである。
【0045】
実施形態8:実施形態7の装置(1)であって、乾燥度が、マイクロ波の少なくとも1種の一定波長λにて、時間依存性のマイクロ波の吸収A(λ、t)を決定することにより測定され得るものである。
【0046】
実施形態9:実施形態7又は8の装置(1)であって、送信機(2)によって放射されるマイクロ波の波長λが、波長依存性及び時間依存性の吸収A(λ、t)を測定するために変化し得るものである。
【0047】
実施形態10:具体的には、請求項1〜6のいずれかに記載の装置(1)によって、基材(4)上の塗装膜(5)の乾燥度を決定するための方法であって、近赤外領域における赤外線の時間依存性の吸収A(λ、t)を決定することによって塗装膜(5)の乾燥度を決定し、具体的には、0.8μmから2.5μmの間の少なくとも1種の一定の波長にて決定するものである。
【0048】
実施形態11:実施形態10の方法であって、時間間隔をおいて、特に、48時間までの期間をかけて吸収A(λ、t)を評価するものである。
【0049】
実施形態12:具体的には、実施形態7〜9のいずれかに記載の装置(1)によって、基材(4)上の塗装膜(5)の乾燥度を決定するための方法であって、マイクロ波の時間依存性の吸収A(λ、t)を決定することによって塗装膜(5)の乾燥度を決定し、具体的には、1mmから1mの間の少なくとも1種の一定の波長にて決定するものである。
【0050】
実施形態13:実施形態12の方法であって、時間間隔をおいて、特に、48時間までの期間をかけて吸収A(t)を評価するものである。
【符号の説明】
【0051】
1:装置
2:送信機(NIR/マイクロ波)
3:マイクロ波(放射されたもの)
4:基材(例えば、機体の一部分の表面)
5:塗装膜
6:マイクロ波(反射されたもの)
7:受信機
8:測定手段
9:制御及び/又は調整手段
10:赤外線放射機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(4)上の塗装膜(5)、具体的には飛行体の外被膜の乾燥度を非接触的に決定するための装置であって、
電磁波を放射するための少なくとも1つの送信機(2)と、少なくとも1つの受信機(7)と、測定手段(8)とを備え、前記少なくとも1つの送信機(2)から放射される電磁波がマイクロ波(3)であり、マイクロ波(3)の少なくとも1種の一定波長(λ)にて、時間依存性のマイクロ波の吸収(A)を決定することにより前記乾燥度を測定可能であり、時間に対する吸収(A)の変化から生じた測定曲線の傾斜を前記測定手段(8)を用いて決定することが可能である装置。
【請求項2】
前記測定手段(8)が制御及び/又は調整手段(9)に結合していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの乾燥手段(10)が備えられ、該乾燥手段が、塗装膜(5)の到達した乾燥度に応じて前記制御及び/又は調整手段(9)によって制御される、具体的には、予め設定した乾燥度に到達したときに自動的に電源が切られることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記マイクロ波(3)が1mmから1mの間の波長領域を有することを特徴とする請求項1〜3の少なくともいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記送信機(2)から放射される電磁波の波長(λ)が、波長依存性及び時間依存性の吸収(A)を測定するために変化することを特徴とする請求項1〜4の少なくともいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
請求項1〜5の少なくともいずれか1項に記載された装置(1)を用いて基材(4)上の塗装膜(5)の乾燥度を決定するための方法であって、
マイクロ波の時間依存性の吸収(A)を、具体的には1mmから1mの間の少なくとも1種の一定波長にて決定することによって塗装膜(5)の乾燥度を決定し、前記塗装膜(5)の乾燥度を算定すべく、時間に対する吸収(A)の変化から生じた測定曲線の傾斜を前記測定手段(8)の使用によって決定することが可能であることを特徴とする方法。
【請求項7】
時間間隔をおいて、特に48時間までの期間をかけて前記吸収(A)を評価することを特徴とする請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−529785(P2011−529785A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521502(P2011−521502)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058627
【国際公開番号】WO2010/015475
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511009721)エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー (6)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS GMBH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg(DE)
【Fターム(参考)】