説明

塗装装置及び塗装方法

【課題】低粘度の塗料からある程度高粘度の塗料まで対応可能で、且つ塗装スピードを向上することができる塗布具及びこれを用いた塗装方法を提供する。
【解決手段】圧縮ガスの作用により塗料が供給される供給部材5に、着脱可能に接続される塗布具であって、供給部材5から供給される塗料が流れる流路を有する本体部と、流路から分岐する複数の吐出ノズル63a〜63cと、多数の毛が束ねられて構成されており、本体部に取り付けられて前記複数の吐出ノズル63a〜63cを収容するブラシ部62と、を備え、複数の吐出ノズル63a〜63cのうち、供給部材5から最も離れた吐出ノズル63aからの塗料の吐出量が、供給部材5に最も近い吐出ノズル63cからの塗料の吐出量よりも多くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料を塗布する塗装具及び塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄塔等の高構造物の塗装に使用する塗装機としては、例えば、特許文献1、2に開示されている。この主のタイプの塗装機は、作業者が携帯する携帯ガスボンベと、背負い式塗料タンクとを備えている。そして、ガスボンベのガス圧で塗料タンク内の塗料を刷毛等の塗布具に圧送することで、塗装が行われる。
【0003】
このような塗装機を用いた方法では、重力とタンク本体内の管との圧力損失の影響により、5Pa・s程度以上の高粘度塗料を用いると、十分な量の塗料を供給することができなかった。そのため、一回塗りで所望の厚膜を得るのが容易でなかった。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献3に開示されているように、高粘度塗料であっても、効率良く、且つ、仕上がり良く厚膜塗装できる、高粘度塗料の厚膜塗装に適した刷毛塗装装置を提案した。
【0005】
しかしながら、上記刷毛塗装装置を用いて鉄塔各所を塗装する場合に、塗料の粘度が低くなると、刷毛への塗料の含み具合が変化し、塗装作業性に不具合を生じる場合があった。
【0006】
また、塗装作業者の使い勝手を向上させる目的で、例えば特許文献4では、塗料供給体の先端部にある程度の角度を付けて刷毛を取り付け、作業者が手首を自由に動かせる刷毛装置が提案されている。しかしながら、この刷毛装置では、エアレス塗装機であるため地上からの塗料ホースが必要となり、ホース取りまわしが難しく作業性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−34063号公報
【特許文献2】特開2002−263556号公報
【特許文献3】特開2008−671号公報
【特許文献4】特開2006−314950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低粘度の塗料からある程度高粘度の塗料まで対応可能で、且つ塗装スピードを向上することができる塗布具及びこれを用いた塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧縮ガスの作用により塗料が供給される供給部材に、着脱可能に接続される塗布具であって、前記供給部材から供給される塗料が流れる流路を有する本体部と、前記流路から分岐する複数の吐出ノズルと、多数の毛が束ねられて構成されており、前記本体部に取り付けられて前記複数の吐出ノズルを収容するブラシ部と、を備え、前記複数の吐出ノズルのうち、前記供給部材から最も離れた吐出ノズルからの塗料の吐出量が、前記供給部材に最も近い吐出ノズルからの塗料の吐出量よりも多くなるように構成されている。
【0010】
この構成によれば、複数の吐出ノズルを備えているので、大きい面積の被塗布面への塗布が可能となる。また、供給部材から最も離れた吐出ノズルからの塗料の吐出量が、供給部材に最も近い吐出ノズルからの塗料の吐出量よりも多くなるように構成されているため、ブラシ部の内部への塗料の吐出量が適正に制御され、低粘度の塗料からある程度高粘度の塗料(例えば、0.3Pa・s〜30Pa・s)まで、ブラシ部への塗料の含み具合が良好となり、短時間で均一な膜厚の塗装が可能である。
【0011】
このような、塗布具は、塗装システムの一部として用いることができる。例えば、塗料が収容された塗料タンクと、前記塗料タンクへ圧縮ガスを注入する圧縮ガス注入手段と、前記塗料タンクに連結された可撓性のある供給部材と、を備えた塗布装置において、供給部材に連結することができる。供給部材としては、例えば、可撓性のある管部材を用いることができる。
【0012】
上記塗布具においては、前記本体部において、前記吐出ノズルとは反対側に取り付けられ、手によって支持可能な棒状のハンドルと、前記吐出ノズルへの塗料の供給を制御する制御部と、前記制御部を駆動する第1操作レバー及び第2操作レバーと、をさらに備えることができる。そして、前記第1及び第2操作レバーは、前記制御部を挟むように設けられ、一方の前記操作レバーが、前記ハンドル側に延びるように構成することができる。
【0013】
このように、ハンドル、及び2つの操作レバーを設けることで、通常の刷毛のコンパクトな使い勝手を保って、ペングリップ、パームハンドどちらの持ち方も選択することができる。そのため、手の届き難い塗装箇所でもブラシ部を回して塗装可能な設計としており、高所作業においてもあらゆる塗装箇所に対応して塗装作業者の使い勝手を向上させることができる。
【0014】
上記制御部は、種々の構成が可能であるが、例えば、流路の途中を開閉するニードル弁を有することができる。また、第1及び第2操作レバーのいずれか一方の押圧により、前記ニードル弁を開閉することができる。なお、流路の途中を開閉できるのであれば、ニードル弁以外の他の弁を用いることもできる。
また、各操作レバーを、本体部に対して揺動自在に固定する固定具をさらに設け、各操作レバーを、この固定具を中心として揺動可能とし、当該揺動により、ニードル弁の弁体を軸方向に可動させるように構成することができる。そして、固定具と弁体の軸方向の中心線との距離を、4〜10mmとすることができる。この構成によれば、固定具と弁体の軸方向の中心線との距離が小さいため、塗料の液漏れを防止できるとともに、作業時の疲労を防止することができる。
【0015】
上記塗布具においては、複数の吐出ノズルのノズル長さが同一とすることができる。そして、供給部材から最も離れた位置にある吐出ノズルのノズル口径が、供給部材から最も近い位置にある吐出ノズルのノズル口径の1.2〜3.0倍とすることができる。この構成によれば、塗料の流体速度制御によるブラシ部への含み具合の点から好適である。
【0016】
上記塗布具においては、前記ブラシ部の毛先から5〜50mmの位置に、吐出ノズルの吐出口を配置することできる。このようにすることで、ブラシ部への塗料の含み具合が良好になり、ブラシ部先端からの液ダレを防止することができる。例えば、この距離が5mm未満では、ブラシ部先端からの液ダレ、ノズルの被塗物への接触による塗装不良につながる恐れがある。一方、この距離が、50mmを超えるとブラシ部への塗料の含みが多くなるため塗膜液ダレや不均一な膜厚につながる場合があるので好ましくない。
【0017】
本発明は、上述した塗装具を使用する塗装方法であって、0.3〜30Pa・sの粘度を有する塗料を準備するステップと、前記本体部に対し、3〜10ml/秒となるように、前記塗料を供給するステップと、前記ノズルから塗料を吐出し、前記ブラシ部によって、被塗布面に塗料を塗布するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低粘度の塗料からある程度高粘度の塗料まで対応可能で、塗装スピードを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る塗装システムの一実施態様を示す概念図である。
【図2】図1の塗装システムの塗布具を拡大して示す側面図である。
【図3】図2の塗布具の正面図(a)本体部の断面図(b)、及び本体部の底面図(c)である。
【図4】図2の塗布具のノズル及び制御部を拡大して示す側面図である。
【図5】塗布具の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る塗装具の一実施形態について、図1〜図4を参照しつつ説明する。以下では、この塗装具を、塗料を塗布する塗装システムに装着した場合について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る塗装システム1は、塗料が収容された塗料タンク2と、この塗料タンク2に圧縮ガスを供給するガスボンベ3とを有しており、塗料タンクとガスボンベとは、圧縮ガス供給管3aを介して接続されている。また、塗料タンク2には、塗料を供給するための可撓性管(供給部材)5を介して、塗料を被塗布面に塗布するための塗布具6が連結されている。
【0022】
ガスボンベ3には、供給管3aが接続される供給ポート4が設けられている。また、供給管3aの途中には、圧縮ガスの供給圧力を調節するレギュレータ等の圧力調節具7と、開閉弁(2方弁)8と、が備えられている。このうち、圧力調整具7は、ガスボンベ3側に配置されており、手動操作可能なリリーフ弁を兼ねている。供給管3aの材質は特に制限されず、ウレタン、ナイロンなどの各材質が使用できるが、破壊圧力が2.0MPa以上であって最高使用圧力が1.0MPa以上のものが好ましい。一例として、内径が4mm、外形が6mm、破壊圧力が2.1MPa、最高使用圧力が1.0MPaのウレタンチューブを使用することができる。
【0023】
また、可撓性管5は、耐溶剤性があり、破壊圧力2.0MPa以上であって最高使用圧力が0.5MPa以上の耐圧性を有するものであれば、材質は限定されない。ここで、「耐溶剤性」とは、トルエン或いはキシレンなどの有機溶剤と接触した場合、微量の膨潤及び変質はあるものの、溶解はせず劣化が少ないことを意味する。そのような材料として、ウレタン、ナイロンを例示できる。
【0024】
可撓性管5は、内径が細いと圧力損失が大きいため、内径が極力大きいことが好ましい。可撓性管5の内径は、5〜15mmであることが好ましい。これは、内径が5mmより細いと、圧力損失が大きく十分な吐出量を得るためには、ガス圧を高くする必要がある一方、内径が15mmより太いと可撓性管5の操作性(取り回し)が悪く塗装作業に支障をきたすからである。なお、一例として、可撓性管5は、内側をナイロンで外側をウレタンの2層構造とし、破壊圧力2.1MPa、最高使用圧力1.0MPa、内径9.5mm、外形13mmとすることができる。
【0025】
塗料タンク2は、底面に塗料吐出ポート(図示せず)が設けられた筒状の容器本体11を備えており、吐出ポートには、上述した可撓性管5が接続される。また、容器本体11の天部は、蓋体13で塞がれており、この蓋体13には、上述した供給管3aが接続される圧縮ガスの注入ポート12が気密的に装着されている。
【0026】
なお、注入ポート12は、容器本体11の上部の外周面に取り付けてもよい。また、加圧ガスボンベ3は、腰ベルト等に吊り下げるほか、容器本体11または蓋体13に取り付けることもできる。さらに、加圧ガスボンベに代えて、圧縮ガス供給源として、図示しないコンプレッサーを設置して、コンプレッサーの吐出口と圧縮ガス注入ポート12とをホース(不図示)によって接続し、圧縮ガスを供給するようにしても良い。塗料タンク2は、図示しないが、肩バンド、腰バンド等を備えることにより、背負い式、腰ベルト吊り下げ式等の携帯型とすることが好適である。
【0027】
続いて、塗布具6について説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態に係る塗布具6は、スティック状のハンドル61と、このハンドル61の先端に固定される本体部60とを備えている。また、本体部60には、塗料を塗布するためのブラシ部62が取り付けられており、このブラシ部62は、毛が束ねられることで構成されている。ハンドル61の内部には、上述した可撓性管5が挿入されており、塗料を本体部60に供給するようになっている。本体部60は、マニホールドとして機能し、可撓性管5から供給された塗料が通過する流路67と、この流路67から分岐する3つの吐出ノズル63a、63b、63cとを備えている。3つの吐出ノズル63a、63b、63cは、流路67から平行に並ぶように延びており、ブラシ部62に差し込まれている。そして、各吐出ノズル63a、63b、63cから吐出される塗料は、ブラシ部62を介して対象物に塗布される。ここでは、ハンドル61から最も離れた吐出ノズルを第1ノズル63a、ハンドル61に最も近い吐出ノズルを第3ノズル63c、第1ノズル63aと第3ノズル63cとの間の吐出ノズルを第2ノズル63bと称することとする。
【0028】
また、各吐出ノズル63a、63b、63cは、次のように設計することができる。例えば、第1ノズル63aの塗料吐出量は、第2吐出ノズル63bの塗料吐出量より多くなるように、さらに第2吐出ノズル63bの塗料吐出量は第3吐出ノズル63cの塗料吐出量より多くなるようにノズル口径(内径)が調整されている。これは、次の理由からである。第1吐出ノズル63aの塗料吐出量を、他の吐出ノズル63b、63cの塗料吐出量より少なくすると、塗装作業が遅くなるからであり、また塗装膜厚を十分確保できないという不具合が生じる恐れがある。
【0029】
特に、各吐出ノズル63a、63b、63cのノズル長さを全て同一とし、第1吐出ノズル63aのノズル口径(内径)を、第3吐出ノズル63cのノズル口径(内径)の1.2〜3.0倍、特に1.2〜2.0倍とすることが、塗料の流体速度制御によるブラシ部62への含み具合の点から好適である。また、各吐出ノズル63a、63b、63cのノズル長さは、ブラシ部62の毛先からの長さeを基準に決めることができる。この長さeは、ブラシ部への塗料の含み具合、ブラシ部先端からの液ダレの観点から、5〜50mmとすることが好ましく、10〜40mmとすることがさらに好ましい。この距離eが5mm未満では、ブラシ部62先端からの液ダレ、ノズルの被塗物への接触による塗装不良につながる恐れがある。一方、長さeが、50mmを超えるとブラシ部への塗料の含みが多くなるため塗膜液ダレや不均一な膜厚につながる場合があるので好ましくない。
【0030】
また、本体部60の流路の途中には、塗料吐出ノズル63への塗料供給を制御する制御部64が取り付けられている。制御部64は、本体部60に嵌め込まれたニードル弁と、このニードル弁を操作する一対の操作レバー66a,66bとを有している。図4(a)に示すように、本体部60には、吐出ノズル63a、63b、63cとは反対側の端部(上部)に穴が形成されており、この穴が流路67に連通している。そして、この穴に上述したニードル弁が嵌め込まれている。ニードル弁は、軸状の弁体と、この弁体が接離する弁座とを備えており、弁体が圧縮コイルバネ651によって、流路67の途中を閉じる閉側に付勢されている。また、弁体は、本体部60の穴にOリングを介して嵌め込まれており、これによって穴からの液漏れを防止している。このような、Oリングとしては、液漏れを防止する点から塗料中の溶剤による膨潤率が低い、弾性のシリコーンゴム、EPDM、パーフルオロエラストマー等を使用することが好適である。
【0031】
また、弁体の上端部は、本体部60から外部へ突出しており、この突出部分に、2つの棒状の操作レバー、つまり第1及び第2操作レバー66a,66bが取り付けられている。第1操作レバー66aは、ハンドル61に沿って上方に延びており、第2操作レバー66bは、第1操作レバー66aとは反対方向に、吐出ノズル側へ下方へ向かって延びている。第1操作レバー66aは、弁体からやや離れた位置に設けられた円柱バー66a1を介して、本体部60に固定されており、第1操作レバー66aはこの円柱バー66a1を中心に揺動自在となっている。すなわち、図4(b)に示すように、第1操作レバー66aをハンドル61側に押し込んで揺動させると、弁体の上端部が引き上げられ、弁体を弁座から離間させるようになっている。同様に、第2操作レバー66bも、弁体からやや離れた位置に設けられた円柱バー66a1を介して、本体部60に固定されており、第2操作レバー66bはこの円柱バー66b1を中心に揺動自在となっている。したがって、図4(c)に示すように、第2操作レバー66bを吐出ノズル側に押し込むと、弁体の上端部が引き上げられ、弁体を弁座から離間させるようになっている。以上のような各操作レバー66a,66bの押し込み操作により、流路67が開通し、吐出ノズル63a、63b、63cから塗料が吐出される。
【0032】
第1操作レバー66aはハンドル61内に収まる程度に幅を狭くすることで通常の刷毛のようなコンパクトな使い勝手を保つことができる。一方、第2操作レバー66bは指先で軽く押しやすいようにブラシ部62の幅と同程度の幅(20〜40mm)にすることができる。また、両操作レバー66a及び66bの荷重は1.0〜5.0N程度にすることが好ましく、こうすることで、塗装作業者が違和感なく、且つ長時間作業による疲労が蓄積することなく塗装することができる。
【0033】
また、上記円柱バー66a1及び66b1は、各操作レバー66a及び66bの揺動の支点として作用するものであり、図4の紙面方向に延びている。これら円柱バー66a1及び66b1の中心軸と、ニードル弁65の弁体652の中心線との距離dを出来るだけ小さく設計することが、塗料の液漏れ防止及び作業時の疲労防止の点から好ましい。具体的には距離dを4〜10mmとするのが好ましく、4〜7mmとすることがさらに好ましい。また、圧縮コイルバネによる荷重(ひずみエネルギー)を確保することによって塗料吐出のON/OFFを確実にできる。上記のようなニードル弁においては、3.0N以上、特に5.0〜20Nの荷重で液漏れを防止可能である。
【0034】
続いて、上記のように構成された塗装システムを用いて塗装する方法について、以下に説明する。まず、塗料タンク2の容器本体11内に塗料を充填する。本実施形態において使用する塗料としては、特には限定されず、公知のものが使用できるが、例えば、鉄塔の防食塗料としてはエポキシ樹脂及びアミン系硬化剤を含有する塗料が好適に使用できる。塗料粘度としては、0.3〜30Pa・s、好ましくは0.5〜5Pa・sの粘度(B型粘度計を用いて60rpmで測定した粘度)であることが適当である。
【0035】
塗料充填後、塗料タンク2から塗布具6への塗料の吐出流量が3〜10ml/秒、好ましくは、4〜8ml/秒となるように、圧力調節具4の設定圧力を調節する。例えば、圧力調節具の設定圧力を、0.05〜0.5MPaの範囲内で調節して、ガスボンベ3に圧縮ガスを供給することができる。
【0036】
続いて、いずれかの操作レバー66を押し込み、ニードル弁65を開く。これにより、各吐出ノズル63a、63b、63cから塗料が吐出するので、被塗装面を刷毛塗装する。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、複数の吐出ノズル63a、63b、63cを備えているので、大きい面積の被塗布面への塗布が可能となる。また、第1吐出ノズル63aからの塗料の吐出量が、第3吐出ノズル63cからの塗料の吐出量よりも多くなるように構成されているため、ブラシ部62の内部への塗料の吐出量が適正に制御され、低粘度の塗料からある程度高粘度の塗料(例えば、0.3Pa・s〜30Pa・s)まで、ブラシ部62への塗料の含み具合が良好となり、短時間で均一な膜厚の塗装が可能である。
【0038】
また、ハンドル61と、2つの操作レバー66a、66bを有しているため、通常の刷毛のコンパクトな使い勝手を保って、ペングリップ、パームハンドどちらの持ち方も選択することができるので、手の届き難い塗装箇所でもブラシ部62を回して塗装可能な設計としており、高所作業においてもあらゆる塗装箇所に対応して塗装作業者の使い勝手を向上させることができる。例えば、図5に示すように、塗装作業者が使い勝手や塗装部位に応じて、ペングリップ(図5(a)、図5(b))、パームハンド(図5(c))のどちらの持ち方も選択することができる。また、図5(a)及び図5(b)に示すように、持ち方に応じて、2つの操作レバー66a、66bのうち、操作しやすい位置に配置された操作レバーを選択することができる。
【符号の説明】
【0039】
5 可撓性管(供給部材)
6 塗布具
60 本体部
61 ハンドル
62 ブラシ部
63a 第1吐出ノズル
63b 第2吐出ノズル
63c 第3吐出ノズル
66a 第1操作レバー
66b 第2操作レバー
67 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ガスの作用により塗料が供給される供給部材に、着脱可能に接続される塗布具であって、
前記供給部材から供給される塗料が流れる流路を有する本体部と、
前記流路から分岐する複数の吐出ノズルと、
多数の毛が束ねられて構成されており、前記本体部に取り付けられて前記複数の吐出ノズルを収容するブラシ部と、を備え、
前記複数の吐出ノズルのうち、前記供給部材から最も離れた吐出ノズルからの塗料の吐出量が、前記供給部材に最も近い吐出ノズルからの塗料の吐出量よりも多くなるように構成されている、塗布具。
【請求項2】
前記本体部において、前記吐出ノズルとは反対側に取り付けられ、手によって支持可能な棒状のハンドルと、
前記吐出ノズルへの塗料の供給を制御する制御部と、
前記制御部を駆動する第1操作レバー及び第2操作レバーと、をさらに備え、
前記第1及び第2操作レバーは、前記制御部を挟んで異なる方向に延びており、一方の前記操作レバーが、前記ハンドル側に延びている、請求項1に記載の塗装具。
【請求項3】
前記制御部は、前記流路の途中を開閉するニードル弁を有しており、
前記第1及び第2操作レバーのいずれか一方の押圧により、前記ニードル弁が開閉される、請求項2に記載の塗装具。
【請求項4】
前記各操作レバーを、前記本体部に対して揺動自在に固定する固定具をさらに備え、
前記各操作レバーは、前記固定具を中心として揺動可能となっており、当該揺動により、前記ニードル弁の弁体を軸方向に可動させるように構成され、
前記固定具と前記弁体の軸方向の中心線との距離が、4〜10mmである、請求項3に記載の塗装具。
【請求項5】
前記複数の吐出ノズルのノズル長さが同一であり、
前記供給部材から最も離れた位置にある吐出ノズルのノズル口径が、前記供給部材から最も近い位置にある吐出ノズルのノズル口径の1.2〜3.0倍である、請求項1から4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記ブラシ部の毛先から5〜50mmの位置に、前記吐出ノズルの吐出口が位置している、請求項1から5のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の塗装具を使用する塗装方法であって、
0.3〜30Pa・sの粘度を有する塗料を準備するステップと、
前記本体部に対し、3〜10ml/秒となるように、前記塗料を供給するステップと、
前記ノズルから塗料を吐出し、前記ブラシ部によって、被塗布面に塗料を塗布するステップと、
を備えている、塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−5441(P2011−5441A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152657(P2009−152657)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【出願人】(503293732)関西ペイント販売株式会社 (3)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】