説明

塗装設備及び車体の生産方法

【課題】風速又は流量、温度、及び湿度が調整された空気を各塗装ゾーンに供給できると共に、排気を再使用できる塗装設備を提供する。
【解決手段】新鮮な空気を供給する新鮮空気供給機構49A、49B、49Cと、再使用される排気を供給する排気供給機構50A、50Bと、これら新鮮空気供給機構と排気供給機構との切替えを可能とする切替え機構54A、54Bと、供給される空気の風速又は流量、温度、及び湿度を調整する空気調和機構60A、60B、60Cと、塗装ゾーン内に供給される空気の風速又は流量を計測する計測手段55A、55B、55Cと、塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度を計測する濃度センサ57A、57B、57Cと、塗装条件をALC65に伝達する条件伝達手段56A、56B、56Cと、空気調和機構60A、60B、60C、及び切替え機構54A、54Bを独立して制御するALC65と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に塗料を塗布する塗装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の塗装には、温度や湿度が調整された適切な空気環境が必要であるため、空調装置を備えた塗装設備が実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は、特許文献1で提案されている塗装設備の基本構成を示す図である。図13に示されるように、塗装設備100は、車体等の被塗装物101が搬送されるブース本体102と、塗装ロボットで塗装を行う複数の塗装ゾーン103と、ブース本体102の天井部に天井フィルタ104を介して形成された静圧室105と、この静圧室105の上方に形成された動圧室106と、この動圧室106と静圧室105を連通する開ロ部にあるオートダンパ107と、このオートダンパ107を開閉操作するモータ108と、空気の温度や湿度を調整する空調装置109と、この空調装置109に接続された送風機111と、給気ダクト112と、空調装置109からの給気の流量を検出する流量センサ113と、各塗装ゾーン103への給気の流量を検出する流量センサ114と、各塗装ゾーン103へ給気される流量を制御する流量制御装置115と、からなる。
【0004】
空調装置109で温度と湿度が調整された空気は、給気ダクト112を通り、動圧室106に供給される。モータ108によりオートダンパ107が開けられ、給気は各静圧室105に分散して流れ込む。そして、給気は各塗装ゾーン103を通過し、排気となり屋外へ排出される。
【0005】
また、流量制御装置115で送風機111の回転数や各オートダンパ107の開度が個別に調整される。これにより、一定の温度と湿度に保たれた給気が各塗装ゾーン103へ適正に供給される。
【特許文献1】特開2004−237263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各塗装ゾーン103へ供給する空気は、風速や流量を個別に調整できるものの、温度と湿度を個別に調整することはできない。また、排気はそのまま屋外へ排出されるため、全ての給気用の空気を新たに調整する必要がある。
【0007】
即ち、塗装の品質と効率をより向上させるためには、各塗装ゾーンに供給される空気について、風速や流量のみならず、温度や湿度をも個別に調整できることが望ましい。また、省エネルギーや環境保護の観点から、各塗装ゾーンからの排気を汚染の無い状態で再使用することが求められる。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、風速又は流量、温度、及び湿度が調整された空気を各塗装ゾーンに供給でき、さらに、排気を再使用できる塗装設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、以下のような構成を備える塗装設備によれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
請求項1記載の塗装設備は、被塗装物の搬送方向に沿って、複数の塗装ゾーンを配置し、これらの塗装ゾーンで前記被塗装物へ順次塗装を施す塗装設備において、前記複数の塗装ゾーンは、各々塗装ゾーンに空気を供給する空気供給機構と、この空気供給機構で供給される空気の風速又は流量を計測する計測手段と、前記空気の温度や湿度を調整する空気調和機構とを備え、前記空気供給機構の入口に別の塗装ゾーンから得た排気を供給する排気供給路を備え、前記計測手段で計測された空気の風速又は流量を読込み、空気の風速又は流量が設定値になるように前記排気供給機構を個別に制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の塗装設備は、請求項1記載の塗装設備において、前記排気供給路に、霧状の塗料やVOC等を除去する排気浄化装置が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の塗装設備は、請求項1記載の塗装設備において、前記排気供給路には、排気供給機構と塗料ミスト等を除去する除去装置が接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の塗装設備は、請求項1から3のいずれかに記載の塗装設備において、前記塗装ゾーンの下部には、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の塗装設備は、請求項1から4のいずれかに記載の塗装設備において、前記排気供給路には、リサイクルする空気と外部に排出する空気との比率を調節するダンパが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の塗装設備は、塗装ブースに流入した空気を前記塗装ブースにリサイクル循環させる塗装設備において、前記塗装ブースに揮発性有機化合物の濃度を検出する濃度センサを設置し、該濃度センサの出力が所定値以上になった場合には、空調リサイクル空気に含まれる揮発性有機化合物を含んだ空気を処理装置で処理した後に外部に排出すると共に、新鮮な空気を前記塗装ブースに導入して、空調リサイクルを行うことを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の塗装設備は、請求項6記載の塗装設備において、前記塗装ブースは、複数のゾーンから構成されて各ゾーンの空調をリサイクルすることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の塗装設備は、請求項6又は7記載の塗装設備において前記塗装ブースの空調リサイクル経路には、塗料ミストや揮発性有機化合物を除去する除去装置が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の塗装設備は、被塗装物の搬送方向に沿って配置された複数の塗装ゾーンを備え、これら複数の塗装ゾーンで前記被塗装物を順次塗装する塗装設備において、前記複数の塗装ゾーンの各々が、前記塗装ゾーン内に空気を供給する空気供給機構と、前記空気供給機構により供給される空気の風速又は流量、温度、及び湿度を調整する空気調和機構と、前記空気供給機構により供給された空気の風速又は流量を計測する計測手段と、前記塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度を計測する濃度センサと、を備え、前記空気供給機構が、隣接する他の一の塗装ゾーンから排出された排気を供給する排気供給機構と、新鮮な空気を供給する新鮮空気供給機構と、前記排気供給機構と前記新鮮空気供給機構との切替えを可能とする切替え機構と、を備え、前記塗装設備が、前記計測手段で計測される空気の風速又は流量が設定値になるように前記空気調和機構を制御すると共に、前記濃度センサで計測された揮発性有機化合物濃度が所定の濃度を超えたときには、前記切替え機構を駆動させて前記排気供給機構から前記新鮮空気供給機構への切替えを行い、揮発性有機化合物濃度が所定の濃度以下となったときには、前記切替え機構を駆動させて前記新鮮空気供給機構から前記排気供給機構への切替えを実行する制御部をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の塗装設備は、請求項9記載の塗装設備において、前記複数の塗装ゾーンの各々が、前記被塗装物の種類、塗料の種類、及び前記塗料の塗出量からなる群より選ばれる少なくとも1の条件を前記制御部に伝達する条件伝達手段をさらに備え、前記制御部が、前記条件伝達手段から伝達された条件に基づいて前記設定値を決定する設定値決定手段を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項11記載の塗装設備は、請求項9又は10記載の塗装設備において、前記排気供給機構が、塗料ミストを除去する除去装置を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項12記載の塗装設備は、請求項9から11のいずれかに記載の塗装設備において、前記塗装ゾーンの各々が、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置を下方に備えることを特徴とする。
【0022】
請求項13記載の車体の生産方法は、車体に前処理を施す前処理工程と、前記前処理工程を経た車体に電着塗装を施す電着塗装工程と、前記電着塗装工程を経た車体に中塗り塗装を施す中塗り塗装工程と、前記中塗り塗装工程を経た車体に上塗り塗装を施す上塗り塗装工程と、前記上塗り塗装工程を経た車体にクリア塗装を施すクリア塗装工程と、前記クリア塗装工程を経た車体の検査を行う検査工程と、を有する車体の生産方法において、前記中塗り塗装工程、前記上塗り塗装工程、前記クリア塗装工程、及び前記検査工程のうち、少なくとも1つの工程を請求項1から12のいずれかに記載の塗装設備を用いて行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の塗装設備では、各塗装ゾーンに応じて風速、流量、温度、湿度が調整された空気を供給する。これにより、塗装の品質と効率を向上させることができる。
また、塗装ゾーンからの排気を別の塗装ゾーンから得た給気として再使用し、複数の空気供給機構に直列に流れる空気流れを発生させる。これにより、空気の風速、流量、温度、湿度等の調整に必要とされるエネルギーを低減することができる。
【0024】
請求項2記載の塗装設備では、排気浄化装置により、排気の汚れが除去される。この排気浄化装置により、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー、CO2削減等、環境にも配慮できる。
【0025】
請求項3記載の塗装設備では、空気供給機構と除去装置により、排気の汚れが除去され、排気が再使用される。空気供給機構と除去装置により、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー、CO2削減等、環境にも配慮できる。
【0026】
請求項4記載の塗装設備では、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置により、排気の汚れが除去される。この排気浄化装置により、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー、CO2削減等、環境にも配慮できる。
【0027】
請求項5記載の塗装設備では、排気チャンバに設けられたダンパにより、リサイクルする排気と外部に排出する比率が調節される。これにより、リサイクル効率及び塗装品質を向上することができる。
【0028】
請求項6記載の塗装設備では、揮発性有機化合物の濃度が所定値以上になった場合には空調リサイクルを中断し、揮発性有機化合物の濃度の高い空気を処理装置で処理した後に外部に排出すると共に、新鮮な空気を前記塗装ブースに導入して、再度空調リサイクルを開始する。これにより、排気中の揮発性有機化合物濃度に基づいて空調リサイクルと新鮮な空気の導入との切り替えが行われるため、塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度が高まることを回避でき、安全性が向上する。
【0029】
請求項7記載の塗装設備では、塗装ブースは、複数のゾーンから構成されて各ゾーンの空調をリサイクルするため、リサイクル効率が向上すると共に、省エネルギー化、CO削減等の環境保護に対応できる。
【0030】
請求項8記載の塗装設備では、塗装ブースの空調リサイクル経路に除去装置が設けられているため、排気中に含まれる塗料ミストや揮発性有機化合物が除去される。これにより、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー化、CO削減等の環境保護に対応できる。
【0031】
請求項9記載の塗装設備では、各塗装ゾーンに応じて風速又は流量、温度、及び湿度が調整された空気が供給される。これにより、各塗装の品質と効率を向上させることができる。具体的には、塗着効率の向上、塗装ガンの汚染防止、省エネルギー化、フィルタ目詰まりによる圧損又はバランス崩壊を回避できる。
また、隣接する他の一の塗装ゾーンから排出された排気を、塗装ゾーン内に供給して再使用する構成を採用することにより、複数の排気供給機構に直列に流れる空気流を発生させることができる。例えば、塗装ロボット等を備えた無人ゾーンである塗装ゾーン内に、排気を供給して再使用することができる。これにより、空気の風速又は流量、温度、及び湿度の調整に必要とされるエネルギーを低減させることができる。
さらには、排気の再使用により、塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度が問題となるところ、塗装ゾーン内に備えられた濃度センサにより揮発性有機化合物濃度が計測され、計測された揮発性有機化合物濃度に基づいて排気供給機構と新鮮空気供給機構との切り替えが行われるため、塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度が高まることを回避できる。
【0032】
請求項10記載の塗装設備では、被塗装物の種類、塗料の種類、及び塗料の塗出量からなる群より選ばれる少なくとも1の条件に基づいて、塗装ゾーン内に供給される空気の風速又は流量の設定値が決定されるため、各塗装ゾーンで施される各塗装条件に最適な風速又は流量で空気を供給できる。これにより、各塗装ゾーン内で施される塗装品質を向上させることができる。
【0033】
請求項11記載の塗装設備では、除去装置により、排気中に含まれる塗料ミストが除去される。これにより、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー化、CO削減等の環境保護に対応できる。
【0034】
請求項12記載の塗装設備では、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置により、排気中に含まれる汚染物質が除去される。これにより、リサイクル効率及び塗装品質が向上すると共に、省エネルギー化、CO削減等の環境保護に対応できる。
【0035】
請求項13記載の車体の生産方法では、請求項1から12のいずれかに記載の塗装設備を用いて車体の中塗り塗装、上塗り塗装、クリア塗装、及び検査のいずれかを行うことを特徴とする。これにより、塗装の品質と効率を向上させることができ、エネルギー使用量を低減できる。また、車体を生産する過程で排出される排気中の汚染物質が除去されるので、省エネルギー化、CO削減等の環境保護にも対応できる。
【0036】
ところで、車体の塗装には、4C3B塗装方式や5C3B塗装方式が従来より採用されている。4C3B塗装方式では、中塗り塗装を施して加熱硬化させた後、第一クリア塗装を施して加熱硬化させ、水研工程にて塗膜の平滑性を上げてからオーバーコートクリア塗装が施される。また、5C3B塗装方式では、仕上がり外観が高彩度且つ高陰影感となるように、着色透明ベースとクリア塗装が施される。このように、4C3B塗装方式及び5C3B塗装方式では、塗装工程が長く、大量のエネルギーを消費する等、環境に対する影響が大きい塗装方式であったところ、本発明の塗装設備を用いることにより、大きな省エネルギー効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る塗装設備の構成図であり、塗装設備10は、車体に代表される被塗装物11A、11B、11Cの搬送方向に沿って配置された複数の塗装ゾーン15A、15B、15Cと、排気浄化装置24と、を備えている。これら複数の塗装ゾーンにより塗装設備10において、各塗装工程が行われる塗装ブースが構成されている。なお、塗装ゾーン(塗装チャンバ)は、内装塗装室、外装塗装室、補正塗装室及び品質検証室等に使用されるが、これらに限定せず、ボディ清掃室等の他の用途に使用してもよい。
【0038】
そして、塗装ゾーン15A、15B、15Cは、塗装ゾーン15Aに新鮮な空気を供給する新鮮空気供給機構49及び塗装ゾーン15B、15Cに再使用される空気を供給する排気供給機構50A、50Bを有する空気供給機構と、新鮮空気供給機構49及び排気供給機構50A、50Bで供給される空気の風速又は流量を計測する計測手段55A、55B、55Cと、生産機種、派生機種、加工色条件を伝達する条件伝達手段56A、56B、56Cと、前記空気の温度や湿度を調整する空気調和機構60A、60B、60Cと、これらの空気調和機構60A、60B、60Cに内蔵されたファン53と、前記新鮮空気供給機構49、前記排気供給機構50A、50B及び前記空気調和機構60A、60B、60Cとを独立して制御する制御部(ALC〔アセンブリラインコントロールシステム〕)65とを備えている。
【0039】
排気供給機構50A、50Bと、供給された空気を最終的に排出する排気ファン61とは、入口に別の塗装ゾーンから得た排気を供給する排気供給路51A、51B、51Cを設けられている。
【0040】
排気供給機構50A、50B及び排気ファン61には、吐出口に塗料ミスト等を除去する除去装置(ミスト除去装置)52A、52B、52Cが設けられている。なお、除去装置52A、52B、52Cは想像線で示すように、排気供給機構50A、50B及び排気ファン61の吸込口側に設けてもよく、又は、吐出口及び吸込口の両側に設けてもよい。
【0041】
また、制御部(ALC)65は、生産機種、派生機種、加工色条件を伝送授受する条件伝達手段56A、56B、56Cと、新鮮空気供給機構49と、排気供給機構50A、50Bと、ファン53を内蔵した空気調和機構60A、60B、60Cと、排気ファン61とに接続されたインバータ66A、66B、66C、66Dを備えている。生産機種、派生機種、加工色等のパラメータにより、省エネルギー効果が高まることになる。
【0042】
図2は、図1の2−2線断面図である。塗装ゾーン15Bの内部には、空気調和機構60Bの出口に臨み、吹き込まれた空気を広げて速度を下げ、圧力を高める静圧室16と、この静圧室16の下面を一端塞ぎ、空気を下向き平行流れにして下方へ吹き出させる上部整流板17と、この上部整流板17の下方に位置する塗装室18と、この塗装室18の下方中央に配置され、被塗装物11Bを図面奥から手前へ搬送させるコンベア19と、このコンベア19の側方に配置され、被塗装物11Bへ塗料を噴射する塗装ロボット21と、これらコンベア19及び塗装ロボット21の下方に敷かれ、空気の下向き流れを維持させる下部整流板22と、この下部整流板22の下方に位置し、空気から塗料ミストや揮発性有機化合物(以下、VOC)を除去する排気浄化装置24としての捕集室25と、捕集室25に接続され、再度空気を浄化する排気チャンバ45と、排気チャンバ45から空気を取り出す排気供給路51Bとからなる。
【0043】
捕集室25は、下部整流板22の下方に配置された傾斜プレート26と、この傾斜プレート26と図面左右端に配置され、循環水27を図面表裏方向へ流す給水溝28、28と、傾斜プレート26の中央下部に配置され、空気をウォーターフォールに接触させるポット状の強制接触部30と、この強制接触部30から排出される循環水27を受ける循環水フロータンク36と、この循環水フロータンク36の水面の高さを調整するタンクレベルアジャスタ37と、ウォーターカーテンに循環水27を供給する給水溝38と、循環水フロータンク36から排出された排水を外へ導く排水溝40と、捕集室25の空間から空気を排出するブースダストキャッチャースリットゲート42と、チャンバダストキャッチャースリット44とからなる。
【0044】
排気チャンバ45には、ウォーターカーテンに循環水27を供給する給水溝46と、気流中に含まれた水滴を分離する二重エリミネータ48と、が設けられている。排気浄化装置24は、捕集室25、排気チャンバ45を備えるが、これらに限定されない。
【0045】
図3は、図2の要部拡大図であり、強制接触部30には、一方の傾斜プレート26の端部に曲面を有するガイドプレート31aが設けられ、他方の傾斜プレート26の端部29からガイドプレート31aに落下する循環水27は、第1ウォーターフォールゲート33aを形成する。端部29が設けられた傾斜プレート26には、別途、傾斜部途中の下側に曲面を有するガイドプレート31b及びガイドプレート31cが設けられ、ガイドプレート31aが設けられた傾斜プレート26には、傾斜部途中の下側に曲面を有するガイドプレート31dが設けられている。そして、第1ウォーターフォールゲート33aを形成して落下した循環水27は、ガイドプレート31aの端部からガイドプレート31bに落下することで第2ウォーターフォールゲート33bを形成し、ガイドプレート31bの端部からガイドプレート31dに落下することで第3ウォーターフォールゲート33cを形成する。
【0046】
曲面状のガイドプレート31c及び31dの各端部には、ウォーターサーフェイスプレート32、32が取り付けられている。ウォーターサーフェイスプレート32、32は板状部材であり、捕集水である循環水27の液面上に、液面と必要な隙間を保つように設置される。ウォーターサーフェイスプレート32、32の形状は、平板状あるいは波板状が好ましく、強制接触部30の下端開口から外側に向かって100mm〜600mmの幅(A)とすることが好ましい。この幅が100mm未満では空気と循環水27との接触が不十分となることがある一方、600mmを超えると空気を通過させるための負荷が過大となり排気供給機構50に支障をきたすことがある。
【0047】
また、ウォーターサーフェイスプレート32、32と循環水27の水面との隙間(C)は、20mm〜160mmの範囲が好ましい。この隙間は、ウォーターサーフェイスプレート32、32全体にわたって一定である必要はない。例えば、ガイドプレート31c及び31dの各端部側の隙間を狭くし、外側に向かって広くすることで、ウォーターフォールの形成に使用した循環水27の巻き込みを防止し、空気の抜けを容易にすることができる。上記の隙間が20mm未満では、循環水27が巻き込まれたり空気を通過させるための負荷が過大となり排気供給機構50に支障をきたすことがある。一方、160mmを超えると、空気と循環水27との接触が不十分になることがある。なお、前記隙間の調整方法について制限はないが、例えば、循環水フロータンク36のオーバーフロー部分にタンクレベルアジャスタ37を設置することにより、適宜、液面を上下させることができる。
【0048】
図4は、本発明の変形例を説明するための図である。図4に示されるように、ウォーターサーフェイスプレート32は、図2の排気チャンバ45に面する片側だけ取り付けてもよい。このような形状とした場合には、空気を通過させるための負荷が軽くなり、排気供給機構50の負担を緩和することができる。
【0049】
図2に戻って、塗装ゾーン15B内での空気の流れを説明する。先ず、温度と湿度が調整された空気が矢印(1)のように静圧室16に供給される。上部整流板17を下方に通過した空気は、霧状の塗料と共に矢印(2)のように捕集室25に流下し、傾斜プレート26、26の上を流れる循環水27に接触し、次に、第1ウォーターフォールゲート33a、第2ウォーターフォールゲート33b、及び第3ウォーターフォールゲート33cをくぐり抜ける過程で、塗装ミストが循環水に混合され、空気は水で洗浄される。循環水27への塗装ミストの混合を容易にするために、塗装ミストを凝集させるためのゲル化剤を、ポット状の強制接触部30の直上に配置したスプレー39a、及び捕集室25内に配置したスプレー39bから噴射してもよい。
【0050】
第3ウォーターフォールゲート33cをくぐり抜けた空気は、次にウォーターサーフェイスプレート32、32の下に潜り込み、循環水27の液面に押し付けられながらウォーターサーフェイスプレート32、32の下を進行した後に解放され、矢印(3)のように流れる。
【0051】
上記ウォーターフォールゲートの数は、塗装設備の能力や形状を考慮して適宜決定することができる。また、曲面状のガイドプレート31a、31b、31c、及び31dについては、直線状のものを使用してもよい。
【0052】
その後、空気は、捕集室25の側面のブースサイドウォーターカーテン41とブースダストキャッチャースリットゲート42とをくぐって、さらにチャンバウォーターカーテン43とチャンバダストキャッチャースリット44とをくぐって排気チャンバ45に移動する。
【0053】
そして、排気チャンバ45内で、空気は、排気チャンバウォーターカーテン47a、47bを順次くぐって上昇する。オートダンパ54で空気の流れが2方向へ調整される。即ち、空気は二重エリミネータ48から外部へ排気されるか、又は、排気供給路51Bへ送られて再使用され、あるいは、上述したVOC処理装置70により浄化された後、排気ファン61より外部に解放される。オートダンパ54は、電子制御され、空気のリサイクル率が調整される。
【0054】
なお、ブースサイドウォーターカーテン41、チャンバウォーターカーテン43、排気チャンバウォーターカーテン47a、47bを形成するための排気チャンバ循環水は、図示したように循環水27の一部を利用することができる。
【0055】
この際に、矢印(2)の空気は、水で洗浄される。水は空気に含まれていたダスト、塗料ミスト等の異物を吸収した後、汚水となって排水溝40から排出される。このため、排気供給路51Bに至る空気はかなり浄化されたものとなる。
【0056】
図5は、別の変形例を説明するための図である。この変形例では、被塗装物11Bの搬送方向と直交する方向に一対のポット状の強制接触部30が設けられている。
【0057】
図6は、図5の要部拡大図である。強制接触部30に設けたウォーターサーフェイスプレート32の先端32aを水面に向けて屈曲し、塗装ミストを捕集しやすい構造となっている。この変形例では、幅(A)及び間隔(C)については前記と同様であるが、先端32aを含まない部分の幅(B)については、75〜490mmとし、先端32aの最外側と水面との間隔(d)については15〜80mmとする。
【0058】
以上の構成からなる塗装設備10の作用を次に述べる。
図7は塗装設備10全体の作用を示す図であり、外部から矢印(4)のように取入れられた空気は、空気調和機構60Aで塗装ゾーン15Aに適した温度と湿度に調整される。空気調和機構60Aで調整された空気は、排気供給機構50Aに送られて空気の流量が設定値になるよう調整される。流量が設定値になった空気は、矢印(5)のように塗装ゾーン15Aに給気として送られる。塗装ゾーン15Aから排出された空気は、排気供給路51Aに送られる。
【0059】
この排気は矢印(6)のように排気供給機構50Aに送られて空気の流量が設定値になるように調整される。流量が調整された空気は除去装置52Aに送られて捕集室にて除去しきれなかった霧状の塗料等が除去される。
塗料等が除去された空気は、空気調和機構60Bに送られる。
流量が設定値になった空気は、矢印(7)のように不足分として新たに外部から取入れられた空気と共に空気調和機構60Bで温度と湿度に調整される。
温度と湿度が調整された空気は、矢印(8)のように塗装ゾーン15Bに給気として送られる。
【0060】
さらに、上記と同様にして矢印(9)から矢印(12)のように、空気が送られる。そして、排気ファン61に送られた空気は、最終的に除去装置52Cで汚れが除去されて外部に排出される。
【0061】
ここで図1に戻って、空気の流量は計測手段55A、55B、55Cで計測され、これらの計測値と、伝達された生産機種、派生機種、加工色条件を元に制御部65で、インバータ66A、66B、66Cを介して新鮮空気供給機構49と、排気供給機構50A、50Bと、排気ファン61と、空気調和機構60A、60B、60Cが制御される。
【0062】
なお、本発明の塗装設備10は、実施形態では塗装ゾーンが3つからなる塗装設備に適用したが、空気の流れを直列にして再使用できるものであればよく、塗装ゾーンが被塗装物の搬送方向に4つ以上配置されている塗装設備についても適用可能である。また、本発明の塗装設備10は、自動車車体用塗装に限らず、あらゆる塗装、例えば工業製品、各種部品、プラスチック製品の塗装に利用できる。
【0063】
次に、本発明の塗装設備の第2実施形態について説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0064】
[塗装設備]
図8は、本発明の第2実施形態に係る塗装設備の構成図である。塗装設備10は、車体に代表される被塗装物11A、11B、11Cの搬送方向に沿って配置された複数の塗装ゾーン15A、15B、15Cと、各塗装ゾーンの下方に配置された排気浄化装置24と、を備えている。各塗装ゾーンは、内装塗装室、外装塗装室、補正塗装室、品質検査室等に使用されるが、これらに限定せず、ボディ清掃室等の他の用途に使用してもよい。
【0065】
塗装ゾーン15A、15B、15Cは、空気供給機構として、塗装ゾーン15A、15B、15Cに新鮮な空気を供給する新鮮空気供給機構49A、49B、49Cと、塗装ゾーン15B、15Cに再使用される空気を供給する排気供給機構50A、50Bと、これら新鮮空気供給機構と排気供給機構との切替えを可能とする切替え機構54A、54Bと、を備える。また、これら新鮮空気供給機構49A、49B、49C、及び排気供給機構50A、50Bにより構成される空気供給機構から供給される空気の風速又は流量を計測する計測手段55A、55B、55Cと、塗装ゾーン内の揮発性有機化合物(以下、VOC)濃度を計測する濃度センサとしてのVOC濃度センサ57A、57B、57Cと、被塗装物の種類、塗料の種類、塗料の塗出量からなる群より選ばれる少なくとも1の条件を制御部(ALC〔アセンブリラインコントロールシステム〕)65に伝達する条件伝達手段56A、56B、56Cと、空気供給機構により供給される空気の風速、温度、及び湿度を調整する空気調和機構60A、60B、60Cと、これら空気調和機構60A、60B、60Cに内蔵されたファン53と、空気調和機構60A、60B、60C、及び切替え機構54A、54Bを独立して制御する制御部(ALC)65と、を備えている。
【0066】
排気供給機構50A、50B、及び、供給された空気を最終的に排出する排気ファン61には、隣接する他の一の塗装ゾーンから排出される排気を供給するための排気供給路51A、51B、51Cが設けられている。
【0067】
排気供給機構50A、50B、及び排気ファン61には、各吐出口に、塗料ミストを除去する除去装置52A、52B、52Cが設けられている。除去装置52A、52B、52Cは想像線で示されるように、排気供給機構50A、50B、及び排気ファン61の吸込口側に設けられていてもよく、吐出口及び吸込口の両側に設けられていてもよい。
【0068】
制御部(ALC)65は、計測手段55A、55B、55Cと、VOC濃度センサ57A、57B、57Cと、条件伝達手段56A、56B、56Cに接続されている。また、新鮮空気供給機構49A、49B、49Cと、排気供給機構50A、50Bと、ファン53を内蔵した空気調和機構60A、60B、60Cと、排気ファン61と、にインバータ66A、66B、66C、66Dを介して接続されている。制御部(ALC)65は、条件伝達手段56A、56B、56Cから伝達された条件に基づいて、供給される空気の風速又は流量の設定値を決定する設定値決定手段67(図示せず)を備える。
【0069】
制御部(ALC)65は、VOC濃度センサ57A、57B、57Cで計測された排気中のVOC濃度が、所定の濃度を超えたときには、切替え機構54A、54Bを駆動させ、排気供給機構50A、50Bから新鮮空気供給機構49B、49Cへの切替えを実行する。また、VOC濃度が所定の濃度以下となったときには、切替え機構54A、54Bを駆動させ、新鮮空気供給機構49B、49Cから排気供給機構50A、50Bへの切替えを実行する。
【0070】
ここで、VOC濃度センサ57A、57B、57Cで計測された排気中のVOC濃度が所定の濃度(例えば、400ppmC)を超えたときには、切替え機構(バルブ)54A、54Bを切り替えて、VOC処理装置70で処理された後、屋外に放出される(図9参照)。VOC処理装置70は、フィルタユニットと、活性炭ユニットと、VOC濃縮装置と、蓄熱式燃焼装置(RTO)、又は濃縮されたVOCを利用するコージェネレーションシステムと、を備える。VOC濃縮装置としては、例えば、ロータリー式の吸着・脱着装置を用いられる。
【0071】
VOC濃度センサ57A、57B、57Cで計測された排気中のVOC濃度が所定の濃度(例えば、400ppmC)を超えたときには、排気供給機構50Aから排出された排気は、フィルタユニット及び活性炭ユニットを通った後に、VOC濃縮装置にてVOC濃度がさらに濃縮され、この濃縮されたVOCは、VOCを酸化分解する蓄熱式燃焼装置(RTO)、又は濃縮されたVOCを利用するコージェネレーションシステム経て大気中に排出される。
【0072】
これにより、VOC濃度センサ57A、57B、57Cで計測された排気中のVOC濃度が所定の濃度(例えば、400ppmC)を超えたときにおいても、VOC処理装置70によってこの排気中に含まれるVOCを濃縮して分解処理したり、コージェネレーションシステムに用いたりできるので、排気による大気の汚染を低減でき、また、省エネルギー化を図れる。
【0073】
尚、第2実施形態では、図10に示すように、排気チャンバ45には、オートダンパ及び二重エリミネータ48は設けられていない。
【0074】
以上の構成からなる塗装設備10の作用を次に述べる。図11は、第2実施形態に係る塗装設備10全体の作用を示す図である。外部から矢印(4)のように取入れられた空気は、空気調和機構60Aで塗装ゾーン15Aに適した温度と湿度に調整される。空気調和機構60Aで調整された空気は、矢印(5)のように塗装ゾーン15Aに給気として送られる。塗装ゾーン15Aから排出された空気は、排気供給路51Aに送られる。
【0075】
排気供給路51Aに送られた排気は、矢印(6)のように排気供給機構50Aにより、空気調和機構60Bに送られて、温度と湿度が調整されると共に、空気の風速又は流量が設定値になるように調整される。排気供給機構50Aの出口側には除去装置52Aが設けられており、これにより、捕集室にて除去しきれなかった塗料ミスト等が除去される。
また、VOC濃度センサ(図示せず)により計測される塗装ゾーン内のVOC濃度が、所定の濃度を超えたときには、新鮮空気供給機構49Bにより、矢印(7)のように不足分として新たに外部から新鮮な空気が取り込まれる。空気調和機構60Bで温度と湿度が調整された空気は、矢印(8)のように塗装ゾーン15Bに給気として送られる。
【0076】
ここで、VOC濃度センサで計測された排気中のVOC濃度が所定の濃度を超えたときには、排気供給機構50Aから排出された排気は、フィルタユニット及び活性炭ユニットを通った後にVOC濃縮装置にてVOC濃度がさらに濃縮され、この濃縮されたVOCは、VOCを酸化分解する蓄熱式燃焼装置(RTO)、又は濃縮されたVOCを利用するコージェネレーションシステム経て大気中に排出される。
【0077】
さらに、上記と同様にして矢印(9)から矢印(12)のように、空気が送られる。
【0078】
[車体の生産方法]
図12は、本発明に係る車体の生産方法のフローを説明するための図である。
ステップ(以下、STと記す。)01では、被塗装物の前処理を施し、ST02では、前処理を施した被塗装物に、下塗り塗装として電着塗装を施す。
次いで、ST03では、電着塗装を施した被塗装物に、中塗り塗装を施し、ST04では、中塗り塗装を施した被塗装物に上塗り塗装を施し、ST05では、上塗り塗装を施した被塗装物にクリア塗装を施し、ST06では、クリア塗装を施した被塗装物の検査を行う。
【0079】
ここで、本発明に係る車体の生産方法は、ST03における中塗り塗装工程、ST04における上塗り塗装工程、ST05におけるクリア塗装工程、及びST06における検査工程を、本発明の塗装設備10を用いて行うことを特徴とする。これにより、塗装の品質と効率を向上させることができ、エネルギー使用量を低減できる。また、車体を生産する過程で排出される排気中の汚染物質が除去されるので、省エネルギー化、CO削減等の環境保護にも対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の塗装設備は、車体等の工業製品の塗装に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態に係る塗装設備の構成図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明の変形例を説明するための図である。
【図5】本発明の他の変形例を説明するための図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】第1実施形態に係る塗装設備全体の作用を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る塗装設備の構成図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】図8の2−2線断面図である。
【図11】第2実施形態に係る塗装設備全体の作用を示す図である。
【図12】本発明に係る車体生産方法のフローを説明するための図である。
【図13】従来の塗装設備の基本構成図である。
【符号の説明】
【0082】
10…塗装設備、11A、11B、11C…被塗装物、15A、15B、15C…塗装ゾーン、24…排気浄化装置、25…捕集室、33a、33b、33c…ウォーターフォールゲート、45…排気チャンバ、49A、49B、49C…新鮮空気供給機構、
50A、50B…排気供給機構、51A、51B、51C…排気供給路、52A、52B、52C…除去装置、54A、54B…切替え機構、55A、55B、55C…計測手段、60A、60B、60C…空気調和機構、65…制御部(ALC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装物の搬送方向に沿って、複数の塗装ゾーンを配置し、これらの塗装ゾーンで前記被塗装物へ順次塗装を施す塗装設備において、
前記複数の塗装ゾーンは、各々塗装ゾーンに空気を供給する空気供給機構と、この空気供給機構で供給される空気の風速又は流量を計測する計測手段と、前記空気の温度や湿度を調整する空気調和機構とを備え、
前記空気供給機構の入口に別の塗装ゾーンから得た排気を供給する排気供給路を備え、
前記計測手段で計測された空気の風速又は流量を読込み、空気の風速又は流量が設定値になるように前記空気供給機構を個別に制御する制御部を備えることを特徴とする塗装設備。
【請求項2】
前記排気供給路に、霧状の塗料やVOC等を除去する排気浄化装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の塗装設備。
【請求項3】
前記排気供給路には、前記空気供給機構と塗料ミストを除去する除去装置が接続されていることを特徴とする請求項1記載の塗装設備。
【請求項4】
前記塗装ゾーンの下部には、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の塗装設備。
【請求項5】
前記排気供給路には、リサイクルする空気と外部に排出する空気との比率を調節するダンパが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塗装設備。
【請求項6】
塗装ブースに流入した空気を前記塗装ブースにリサイクル循環させる塗装設備において、
前記塗装ブースに揮発性有機化合物の濃度を検出する濃度センサを設置し、該濃度センサの出力が所定値以上になった場合には、空調リサイクル空気に含まれる揮発性有機化合物を含んだ空気を処理装置で処理した後に外部に排出すると共に、新鮮な空気を前記塗装ブースに導入して、空調リサイクルを行うことを特徴とする塗装空調システム。
【請求項7】
前記塗装ブースは、複数のゾーンから構成されて各ゾーンの空調をリサイクルすることを特徴とする請求項6記載の塗装設備。
【請求項8】
前記塗装ブースの空調リサイクル経路には、塗料ミストや揮発性有機化合物を除去する除去装置が設けられていることを特徴とする請求項6又は7記載の塗装設備。
【請求項9】
被塗装物の搬送方向に沿って配置された複数の塗装ゾーンを備え、これら複数の塗装ゾーンで前記被塗装物を順次塗装する塗装設備において、
前記複数の塗装ゾーンの各々が、前記塗装ゾーン内に空気を供給する空気供給機構と、前記空気供給機構により供給される空気の風速又は流量、温度、及び湿度を調整する空気調和機構と、前記空気供給機構により供給された空気の風速又は流量を計測する計測手段と、前記塗装ゾーン内の揮発性有機化合物濃度を計測する濃度センサと、を備え、
前記空気供給機構が、隣接する他の一の塗装ゾーンから排出された排気を供給する排気供給機構と、新鮮な空気を供給する新鮮空気供給機構と、前記排気供給機構と前記新鮮空気供給機構との切替えを可能とする切替え機構と、を備え、
前記塗装設備が、前記計測手段で計測される空気の風速又は流量が設定値になるように前記空気調和機構を制御すると共に、前記濃度センサで計測された揮発性有機化合物濃度が所定の濃度を超えたときには、前記切替え機構を駆動させて前記排気供給機構から前記新鮮空気供給機構への切替えを行い、揮発性有機化合物濃度が所定の濃度以下となったときには、前記切替え機構を駆動させて前記新鮮空気供給機構から前記排気供給機構への切替えを実行する制御部をさらに備えることを特徴とする塗装設備。
【請求項10】
前記複数の塗装ゾーンの各々が、前記被塗装物の種類、塗料の種類、及び前記塗料の塗出量からなる群より選ばれる少なくとも1の条件を前記制御部に伝達する条件伝達手段をさらに備え、
前記制御部が、前記条件伝達手段から伝達された条件に基づいて前記設定値を決定する設定値決定手段を備えることを特徴とする請求項9記載の塗装設備。
【請求項11】
前記排気供給機構が、塗料ミストを除去する除去装置を備えることを特徴とする請求項9又は10記載の塗装設備。
【請求項12】
前記塗装ゾーンの各々が、ウォーターフォールゲートを有する排気浄化装置を下方に備えることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の塗装設備。
【請求項13】
車体に前処理を施す前処理工程と、前記前処理工程を経た車体に電着塗装を施す電着塗装工程と、前記電着塗装工程を経た車体に中塗り塗装を施す中塗り塗装工程と、前記中塗り塗装工程を経た車体に上塗り塗装を施す上塗り塗装工程と、前記上塗り塗装工程を経た車体にクリア塗装を施すクリア塗装工程と、前記クリア塗装工程を経た車体の検査を行う検査工程と、を有する車体の生産方法において、
前記中塗り塗装工程、前記上塗り塗装工程、前記クリア塗装工程、及び前記検査工程のうち、少なくとも1つの工程を請求項1から12のいずれかに記載の塗装設備を用いて行うことを特徴とする車体の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−154145(P2009−154145A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169648(P2008−169648)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】