説明

塩素含有ポリマーのための安定化組成物

【課題】パイプ、取付具(フィッテング)、中実シート、発泡シート、(硬質または可撓性)フィルム、プロフィルの製造に好ましく使用できる安定化組成物、特にPVC樹脂の安定化に有用な組成物。
【解決方法】少なくとも一種の式(I)のヒドラジド化合物と少なくとも一種の共安定化剤化合物とを含む、金属を含まない、塩素含有ポリマーおよび樹脂用の安定化組成物。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を含まない安定化剤(スタビライザ)組成物、特に塩素含有ポリマー(特にPVC)を安定化するための、鉛、バリウムおよびカドニウムを含まない安定化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PVCは添加剤の添加によって安定化できる。この目的に特に適した安定化剤系としては古くから鉛、バリウムおよびカドニウムの化合物が工業スケールで用いられてきた。しかし、こうした重金属を含むことに起因する生態系への悪影響が現在では問題にされている(下記文献参照)。
【非特許文献1】Kirk-Othmer、Enシクロpedia of Chemical Technology、第4版、1994、第12巻、pp. 1071-1091、「Heat Stabilizers」
【0003】
そのため、鉛、バリウムおよびカドニウムを含まない、効果的な安定化剤および安定化剤の組合せが今日でも続いている。
塩素含有ポリマーおよび樹脂のための安定化剤としては1,3-二置換アミノウラシルが知られている(下記文献参照)。
【特許文献1】米国特許第2,567,651号明細書
【特許文献2】米国特許第6,174,941B1号明細書
【特許文献3】米国特許第5,925,696号明細書
【特許文献4】米国特許第6,156,830号明細書
【特許文献5】米国特許第6,084,013号明細書
【特許文献6】米国特許第6,194,494B1号明細書
【0004】
塩素含有ポリマーおよび樹脂の安定化のためのその他の物質も公知で、下記文献に記載されている:
【特許文献7】欧州特許公開第EP 945,485A1号公報(潜在メルカプタンタイプ)
【特許文献8】米国特許第5,143,953号明細書(N-アルキルマレイミド−タイプの物質)
【0005】
PVC物品の成形性を改善するために、モノおよびジカルボン酸のヒドラジドを好ましくはプロピレンオキシド基を有する化合物と組み合わせて用いることは下記文献に記載されている。
【特許文献9】フランス国特許第FR 976.560号公報
【0006】
ジカルボン酸のモノエステル−モノヒドラジドは下記文献に記載されている。
【特許文献10】フランス国特許第FR 1533020号公報
【0007】
N-アクリロイル、N'-シアノアセトヒドラジドおよび芳香族ジヒドラジドもPVC樹脂の安定化剤として研究されている(下記文献参照):
【非特許文献2】N.A.Mohamed, M.W.Sabaa, Polymer International 45 (1998), 147-156
【非特許文献3】N.A.Mohamed, Polymer Degradation and stability, 56 (1997), 317-329
【0008】
下記文献には一般式:RCONHNH2で表されるモノヒドラジド(ここで、Rはアルキル(C1〜C2)またはアリール基)によって塩素含有樹脂の成形物を安定化する方法が記載されている。
【特許文献11】日本特許第JP 62-197440号公報
【0009】
ある種のヒドラジドは発泡プラスチック物品の製造での発泡剤として使われている。例えば下記文献を参照:
【特許文献12】米国特許第2,626,933号明細書(スルホン酸ヒドラジド)
【特許文献13】米国特許第4,164,611号明細書(芳香族スルホニルヒドラジドおよびセミカルバジド)
【0010】
しかし、金属を含くまない上記安定化剤をベースにした安定化剤組成物は安定化性能が悪く、金属を含む安定化剤に比べて性能が大幅に劣る。特に、加工時に塩素含有ポリマーに加わる温度および剪断力が高い場合、典型的には180℃以上および/または加工装置によって大きな剪断力が加わる条件下では安定化性能が大幅に低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が対決する課題は、金属を含まない環境にやさしい新規で効率的な塩素含有ポリマーの安定化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記式(I)のヒドラジド化合物の一種以上と、下記の少なくとも一種の共安定化剤としての化合物とをベースにした、金属の安定化剤を含まない、塩素含有ポリマーの安定化組成物を提供する:
【0013】
ヒドラジド化合物
【化7】

【0014】
[ここで、
1は下記(1)〜(8)のいずれか一つを表す:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基(置換されていてもよい)か、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシル基またはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキル、−COORまたは−OCOR(ここで、RはC1−C12アルキル基)で置換されていてもよいフェニル、ベンジル、ナフチル、トルイル基、
【0015】
【化8】

【0016】
2は下記のいずれかを表し、
【化9】

【0017】
3、R4は下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基(置換されていてもよい)によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環式基またはハロゲン原子またはヒドロキシ基またはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCOR(ここで、RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニル基、ナフチル基、フェニル基、
【0018】
Xは下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキレン基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキレン、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキレン基、一つまたは複数のフェニル基(置換または未置換)で置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換されたC1−C30アルキレン基、
(2)フェニレン(オルト、メタ、パラ)、ナフチレン、−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたは−OCOR(RはC1−C12アルキル基)で置されたフェニレン基、
(ただし、R1が−CH=CH−で、R2が−CO−(ケトン基)の場合には、R1とR2は共有結合によって結合されていてもよい)
【0019】
共安定化剤としての化合物
(1)ポリオールおよび/または2糖類アルコール、
(2)過塩素酸塩化合物、
(3)グリシジル化合物、
(4)層状格子化合物(ヒドロタルサイト)、
(5)ゼオライト化合物、
(6)ホスファイト化合物、
(7)β−ジケトンおよび/またはβ−ケトエステル、
(8)メルカプトカルボン酸エステル、
(9)金属石鹸、
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
好しいヒドラジドは下記のものである:
1が下記の(1)〜(8)で、
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基で置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキル、−COORまたはOCOR(RはC1−C12アルキル基)で置換されていてもよいベンジル、ナフチル、トルイル基、または−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキルまたはOCOR基(RはC1−C12アルキル基)で置換されていてもよいフェニル基、
【0021】
【化10】

【0022】
3とR4が下記(1)または(2)で、
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基(置換または未置換)によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCOR基(ここで、RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニル、ナフチル、フェニル基、
【0023】
Xは下記(1)または(2)である:
(1)C1−C30アルキレン基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキレン、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキレン基、一つまたは複数のフェニレン基(置換または未置換)によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換されたC1−C30アルキレン基、
(2)−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCOR(ここで、RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニレン(オルト、メタ、パラ)、ナフチレン、フェニレン基
(なお、R1=−CH=CH−で、R2=−CO−(ケトン基)の場合には、R1とR2とは共有結合で結合されていてもよい)。
【0024】
ただし、下記文献に記載の、R2=H、R1=COORおよびホスファイト化合物で置換されたフェニレンであるヒドラジドを含む組成物は除く。
【特許文献14】フランス国特許第FR 1 533 020号公報
【0025】
最も好ましいヒドラジド組成物は少なくとも一種のヒドラジドは下記のものである:
1が下記の(1)〜(3)である:
(1)C1−C17アルキル基、例えばメチル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ステアリル、ラウリル、
(2)XCONHNH2(ここで、Xは置換または未置換のC1−C17アルキレン基、例えばメチレン、ブチレン、オクチレン、2−エチルヘキシル、ステアリレン、ドデシレンまたは1,3-フェニレン基)
(3)オルト位が置換されたフェノール、ベンゼン環、イソフタル基、ナフトール、シクロ−Sペンタジエン−2,4、C65−(CH2)n、(ここで、n=1)
2はHまたはCOR3である(ここで、R3はC1−C17アルキル基、例えば、メチル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ステアリル、ラウリル、ベンゼン環の中から選択するのが好ましい)
【0026】
1.ポリオールおよび2糖類アルコール
ポリオールおよび2糖類アルコールとして好ましい化合物は以下のものである:ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、ビストリメチロールプロパン、イノシトール(シクリトール)、ポリビニールアルコール、ビス−トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グルシトール(ヘキシトール)、マルチトール、イソマルチトール、セロビトール(cellobiitol)、ラクチトール(lactitol)、リカシン(lycasine)、マンニトール、ラクトース、ルクロース(leucrose)、トリ(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、パラチニトール(palatinitol)、テトラメチロールシクロヘキサノール、テトラメチロールシクロペンタノール、テトラシクロピラノール、キシリット、アラビトール(ペンチトール)、テトリトール(teトリtols)、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、チオジグリセリンまたは1−O−α−D−グリコピラノシル-Dマンニトール二水化物。好ましいものは2糖類アルコールである。
ポリオールのシロップ、例えばグルシトール、マンニトールおよびマルチトールのシロップを使用することもできる。ポリオールおよび/または2糖類化合物の量は100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂(例えばPVC)当たり、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜20重量部、特に、0.1〜10重量部である。
【0027】
2.過塩素酸塩化合物
過塩素酸塩化合物の例は式:M(ClO4)nで表されるものである。ここで、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、LaまたはCeである。数nはMの原子価に従って1、2または3である。過塩素酸塩塩は溶液の形か、アルコール(ポリオール、シクロデキストリン)またはエーテルアルコールまたはエステルアルコールと錯体を形成してもよい。エステルアルコールにはポリオール部分エステルも含まれる。多価アルコールまたはポリオールの場合には、その二量体、三量体、オリゴマおよび適当なポリマー、例えばジ−、トリ−、テトラ-およびポリ−グリコール、ジ−、トリ−、テトラペンタエリスリトール、または、種々の重合度のポリビニールアルコールも適している。他に適した溶剤はリン酸エステルや環式および非環式の炭酸エステルがある。
【0028】
過塩素酸塩は種々の形で使用でき、例えば塩、水溶液または有機溶剤の溶液の形で使用でき、担体物質、例えばPVC、Caシリケート、ゼオライトまたはヒドロタルサイト上に吸着させるか、化学反応によってヒドロタルサイト、その他の層状格子化合物へ結合させることができる。ポリオール部分エーテルとしてはグリセリンモノエーテルとグリセリンモノチオエーテルが好ましい。その具体的例は下記文献に記載されている。
【特許文献15】欧州特許第EP 0 394 547号公報
【特許文献16】欧州特許第EP EP 0 457 471号公報
【特許文献17】国際特許第WO 94/24200号公報
【0029】
過塩素酸塩の使用量は例えば100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂(例えばPVC)当たり0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、特に0.01〜2重量部である。
【0030】
3.グリシジル化合物
グリシジル化合物は炭素、酸素、窒素または硫黄原子に直接結合したグリシジル基を有するもので、例えば下記の式で表される:
【化11】

【0031】
ここで、R1およびR3がともに水素で、R2が水素またはメチルで、nが0であるか、R1およびR3がともに−CH2−CH2または−CH2−CH2−CH2−で、R2が水素で、nが0または1である。
【0032】
I) グリシジルエステルおよびβ-メチルグリシジルエステルは分子中に少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物にエピクロルヒドリンまたはグリセリンジクロルヒドリンまたはβ-メチルエピクロルヒドリンを反応させて得ることができる。反応は塩基の存在下で行うのが好ましい。
分子中に少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物としては脂肪族カルボン酸が使用できる。このカルボン酸の例としてはグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー化またはトリマーされたリノール酸、アクリル酸、メタアクリル酸、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ペラルゴン酸が挙げられ、さらに後で有機亜鉛化合物に関して記載する酸も使用できる。
【0033】
さらに、脂環式カルボン酸も使用でき、例えばシクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸が使用できる。芳香族カルボン酸も使用でき、その例としては安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸およびピロメリト酸が挙げられる。
さらに、トリメリト酸のポリオール、例えばグリセリンまたは2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)との末端がカルボキシル基で終るアダクトを使用することもできる。本発明で使用可能なその他のエポキシド化合物は下記文献に記載されている。
【特許文献18】欧州特許第EP 0 506 617号公報
【0034】
II) グリシジルエーテルまたはβ-メチルグリシジルエーテルはアルカリ条件下、酸性触媒の存在下で、少なくとも一つの遊離アルコール性ヒドロキシル基および/またはフェノールのヒドロキシル基を有する化合物を置換エピクロルヒドリンと反応させ、その後にアルカリ処理することによって得られる。
この種のエーテルは例えば非環式アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、高級ポリ(オキシエチレン)グリコール)、高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン-1,2-ジオールまたはポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘキサン-2,4,6-トリオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、ビストリ−メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールから誘導でき、また、ポリエピクロルヒドリン、ブタノール、アミルアルコール、ペンタノール、さらには一官能性アルコール、例えばイソオクタノール、2-エチルヘキサノール、イソデカノール、C7-C9−アルカノールおよびC9-C11−アルカノール混合物から誘導できる。
【0035】
さらに、脂環式アルコール、例えば1,3-または1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキシ-3-エンから誘導でき、これらは芳香核、例えばN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリンまたはp,p'-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンを有することができる。
【0036】
エポキシド化合物は単核フェノール類、例えばフェノール、レソルシノールまたはハイドロキノンからも誘導でき、また、多核フェノール類、例えばビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)−プロパン、ジヒドロキシジフェニルスルホンから誘導でき、また、酸性条件下で得られるフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物、例えばフェノールノボラックにすることもできる。
末端がエポキシドである他の例としてはグリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、2-ビフェニルグリシジルエーテル、N-(2,3-エポキシプロピル)フタルイミドおよび2,3-エポキシプロピル4-メトキシフェニルエーテルが挙げられる。
【0037】
III) N−グリシジル化合物は、少なくとも一つのアミノ水素原子を有するアミンとエピクロルヒドリンとの反応生成物の脱塩化水素化で得られる。このアミンの例としてはアニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、ブチルアミン、ビス(4-アミノフェニル)メタン、m-キシリレンジアミン、ビス(4-メチルアミノフェニル)メタン、N,N,O-トリグリシジル-m-アミノフェノールまたはN,N,O−トリグリシジル-p-アミノフェノールが挙げられる。
【0038】
N−グリシジル化合物にはシクロアルキレン尿素誘導体のN, N'−ジ-、N, N', N''-トリ−およびN, N', N'', N'''-テトラグリシジル誘導体、例えばエチレン尿素、1,3−プロピレン尿素、ヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体、例えば5,5−のジメチルヒダントイン、グリコールユリル(glycoluril)およびトリグリシジルイソシアヌレートが含まれる。
【0039】
IV) S−グリシジル化合物、例えばジ−S−ジチオールに由来するグリシジル誘導体、例えばエタン-1,2-ジチオールまたはビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテル。
【0040】
V) 上記式でR1およびR3がともに−CH2−CH2−で、nが0でるエポキシ化物はビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3-エポキシシクロペンチルグリシジルエーテルまたは1,2-ビス(2,3-エポキシシクロペンチルオキシ)エタンである。上記式でR1およびR3がともに−CH2−CH2−で、nが1であるエポキシ樹脂は例えば(3',4'-エポキシ−6'−メチルシクロヘキシル)メチル3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレートである。
適当な末端エポキシドの例としては以下のものが挙げられる:
【0041】
a) 液状のビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばAraldit (登録商標)GY 240、Araldit(登録商標)GY 250、Araldit(登録商標)GY 260、Araldit(登録商標)GY 266、Araldit(登録商標)GY 2600、Araldit(登録商標)MY 790、
b) 固体のビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばAraldit(登録商標)GT 6071、Araldit(登録商標)GT 7071、Araldit(登録商標)GT 7072、Araldit(登録商標)GT 6063、Araldit(登録商標)GT7203、Araldit(登録商標)GT 6064、Araldit(登録商標)GT 7304、Araldit(登録商標)GT 7004、Araldit(登録商標)GT 6084、Araldit(登録商標)GT 1999、Araldit(登録商標)GT 7077、Araldit(登録商標)GT 6097、Araldit(登録商標)GT 7097、Araldit(登録商標)GT7008、Araldit(登録商標)GT6099、Araldit(登録商標)GT6608、Araldit(登録商標)GT6609、Araldit(登録商標)GT6610、
【0042】
c) 液状のビスフェノールFジグリシジルエーテル、例えばAraldit(登録商標)GY 281、Araldit(登録商標)PY 302、Araldit(登録商標)PY 306、
【0043】
d) 固体のテトラフェニルエタンポリグリシジルエーテル、例えばCG Epoxy Resin.0163、
【0044】
e) 固体およびり液体のフェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、例えばEPN 1138、EPN 1139、GY 1180、PY 307、
f) 固体および液状のo-クレゾールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、例えばECN 1235、ECN 1273、ECN 1280、ECN 1299、
g) 液体のアルコールグリシジルエーテル、例えばShell Glycidyl エーテル162、Araldit(登録商標)DY0390、Araldit(登録商標)DY 0391、
【0045】
h) 液体のカルボン酸グリシジルエーテル、例えばShellR.Cardura Eテレフタル酸エステル、トリメリト酸エステル、Araldit(登録商標)PY 284、
i) 固体の複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)、例えばAraldit(登録商標)PT 810、
j) 液体の脂環式エポキシ樹脂、例えばAraldit(登録商標)CY 179、
【0046】
k) 液状のパラアミノフェノールのN,N,O−トリグリシジルエーテルエーテル、例えばAraldit(登録商標)MY 0510、
l) テトラグリシジル-4,4'-メチレンベンズアミンまたはN, N, N', N'-テトラグリシジルジアミノ−フェニルメタン、例えばAraldit(登録商標)MY 720、Araldit(登録商標)MY 721。
2つの官能基を有するエポキシ化物を使用するのが好ましいが、少なくとも一つ、3つの官能基を有するエポキシ化物を使用することもできる。
【0047】
芳香族基を有するエポキシ化物、特にジグリシジル化合物を使用するのが好ましい。必要な場合には、互いに異なるエポキシ化物の混合物を使用することもできる。
特に好ましい末端エポキシ化合物としてはビスフェノールをベースにしたジグリシジルエーテル、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンまたはビス(オルト/パラ−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)の混合物が挙げられる。
末端エポキシ化合物の使用量は100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂、例えばPVC当たり、少なくとも0.1重量部、例えば0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、特に、1〜25重量部である。
【0048】
4.ヒドロタルサイト
この化合物の化学組成は当業者に公知で、例えば下記文献に記載されている。
【特許文献19】ドイツ特許第DE 3,843,581号公報
【特許文献20】欧州特許第EP 0062 813号公報
【特許文献21】国際特許第WO 93/20135号公報
【0049】
ヒドロタルサイト系化合物は下記一般式で記載できる:
2+1-x3+x(OH)2(Anb-x/b.dH2
(ここで、
2+=Mg、Ca、Sr、Zn、Snから選択される一つ以上の金属、
3+=AlまたはB、
Anは原子価nを有するアニオン、
bは1〜2の数、
0<x<0.5
mは0〜20の数、
dは0〜300の範囲の数)
【0050】
好ましくは、An=OH-、ClO4-、HCO3-、CH3COO-、C6H5COO-、CO32-、(CHOHCOO)22-、(CH2COO)22-、CH3CHOHCOO-、HPO3-またはHPO42-である。
ヒドロタルサイトの例としてはAl2O3 6MgO CO2 12H2O (i)、Mg45 Al2(OH)13CO2 3 5H2O (ii)、4MgO Al2O3 CO2 9H2O、(iii)、4MgO Al2O3 CO2.6H2O、ZnO 3MgO Al2O3 CO2 8-9H2O およびZnO 3MgO Al2O3 CO2 5-6H2Oがある。
特に好ましいものは(I)、(ii)および(iii)である。
【0051】
5.ゼオライト(アルカリ金属、アルカリ土類金属アルミノ珪酸塩)
これは下記一般式で記載できる:
x/n[(AlO2)x(SiO2)y]wH2O、
(ここで、
nはカチオンMの電荷、
Mは、第1または第2の主元素、例えばLi、Na、K、Mg、Ca、SrまたはBaの中から選択され、
y:xは0.8〜15、好ましくは0.8〜1.2、
wは0〜300、好ましくは0.5〜30の数)
好ましいゼオライトはナトリウムの全部または一部がLi、K、Mg、Ca、SrまたはZnで置換されたものである。
好ましいゼオライトの例はゼオライトA、ソーダライト、ゼオライトY、LSXとよばれるSi/Alの比が約1:1のゼオライトX(Low Silica X)、Na原子をLi、K、Mg、Ca、SrまたはZn原子 で完全または部分的に置換したゼオライトである。
上記ゼオライトは含水率を下げるか、無水にすることができる。
他の好ましいゼオライトは、arezeolite Pzeolite MAP またはNa原子をLi、Kおよび/またはH原子で完全または部分的に置換したゼオライト、例えば下記文献に記載のゼオライトK-F、ゼオライトDである。
【非特許文献4】Barrer et al., J. Chem. Soc. 1952, 1561-71
【特許文献22】米国特許第2,950,952号明細書
【0052】
さらに、下記のゼオライトも適している:オフェレタイト(offretite)、ゼオライトR、ゼオライトLZ-217、Ca-フリーなゼオライトLZ-218、ゼオライトT、ゼオライトLZ-220、ゼオライト L、ゼオライトLZ-211、ゼオライトLZ-212、ゼオライトO、ゼオライトLZ-217、ゼオライトLZ-219、ゼオライトRho、ゼオライトLZ-214、ゼオライトZK-19、ゼオライトW(K-M)、ゼオライトZK-5、ゼオライトQ.
【0053】
特に好ましいのは上記の式でxが2〜5で、yが3.5〜10のゼオライトPであり、さらにはxが2で、yが3.5〜10のゼオライトMAPである。特に好ましいものはMがNaであるゼオライトNa−Pである、このゼオライトは一般に変形物Na−P−1、Na−P−2、Na−P−3ができ、これらには立方体、四角形、斜方晶系の構造の違いがある(下記文献参照)
【非特許文献5】R. M. Barrer, B. M. Munday, J. Chem. Soc.A 1971, 2909-14
【0054】
この文献にはゼオライトP−1およびP−2も記載されている。この文献によるとゼオライトP-3は非常に稀にしかできない。従って、実際には実質的に使用できない。ゼオライトP−1の構造は上記のゼオライト構造のアトラスで公知のジムソンダイト(gismondite)構造に対応する。最近の文献(下記文献)では、Pタイプの立方体(ゼオライトBまたはPc)と正方晶(ゼオライトP1)とを区別している。
【特許文献23】欧州特許第EP-A-384 070号公報
【0055】
この文献ではSi/Al比が1.07:1以下である比較的新しいPタイプのゼオライトも記載されている。これらはMAPまたはMA−Pすなわち「Maximum Aluminum P」とよばれるゼオライトである。
ゼオライトPは調製工程に応じて少量の他のゼオライトを含むことがある。下記文献には極めて純粋なゼオライトPが記載されている。
【特許文献24】国際特許第WO 94/2666号公報
【0056】
本発明では水溶性の有機または無機分散剤の存在下で沈殿、結晶させたこれらの微粉な非水溶性アルミノ珪酸ナトリウムも使用することができる。これらは沈殿および結晶化中またはその前に任意の方法で反応溶液中に加えることができる。
極めて特定なものとしてはNaゼオライトAおよびNaゼオライトPが挙げられる。
ヒドロタルサイトおよび/またはゼオライトの使用量は100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂(例えばPVC)に対して例えば0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、特に0.1〜5重量部である。
【0057】
6.ホスファイト(phosphorous トリmester)、チオホスファイト、チオリン酸エステル、
これらの例としてはトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビスイソデシルオキシ−ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ−tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、ビス(2,4−ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトが挙げられる。特に適したものはトリオクチル、トリデシル、トリドデシル、トリテトラデシル、トリステアリル、トリオレイル、トリフェニル、トリクレシル、トリ-p−ノニルフェニルまたはトリシクロヘキシルホスファイトであり、特に、アリールジアルキルおよびアルキルジアリールホスファイト、例えばフェニルジデシル、2,4−ジ-tert-ブチルフェニルジドデシルホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルジドデシルホスファイト、ジアルキルおよびジアリールペンタエリスリトールジホスファイト、例えばジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、さらに、非化学量論的なトリアリールホスファイト、例えば組成のものである:(H199−C64)O1.5P(OC12.1325.271.5または(H817−C64)O2P(i−C817O)または(H199−C64)O1.5P(OC91119.231.5または下記化合物である:
【0058】
【化12】

【0059】
好ましい有機ホスファイトはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトおよびフェニルジデシルホスファイトである。その他の適当なホスファイトは(上記ラジカルとの)亜燐酸ジエステルおよび(上記ラジカルとの)亜燐酸モノエステルで、多くはそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアルミニウム塩の形である。アルモ(alumo)塩化合物で可能なことはこれらの亜燐酸エステルでも可能である。この点に関しては下記文献を参照された。
【特許文献25】ドイツ特許第DE A-4 031 818号公報
【0060】
有機ホスファイトの量は100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂、例えばPVCに対して例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に0.1〜3重量部である。
チオホスファイトおよびチオホスフェートとは一般式:(RS)3P、(RS)3P=Oおよび(RS)3P=Sの化合物を意味し、これらについては下記文献に記載されている。
【特許文献26】ドイツ特許第DE 2 809 492号公報
【特許文献27】欧州特許第EP 0090 770号公報
【特許文献28】欧州特許第EP 0090 770号公報
【特許文献29】欧州特許第EP 0 573 394号公報
【0061】
これらの化合物の例としては、トリチオヘキシルホスファイト、トリチオオクチルホスファイト、トリチオラウリルホスファイト、トリチオベンジルホスファイト、トリチオ亜燐酸トリ(カルボ-i-オクチルオキシ)メチルエステル、トリチオ亜リン酸トリ(カルボトリメチルシクロヘキシルオキシ)メチルエステル、トリチオリン酸S,S,S-トリス(カルボ-i-オクチルオキシ)メチルエステル、トリチオリン酸S,S,S-トリス(カルボ-2- エチルヘキシルオキシ)メチルエステル、トリチオリン酸S,S,S-トリス-1-(カルボヘキシルオキシ)エチルエステル、トリチオリン酸S,S,S-トリス-1-( カルボ-2-エチルヘキシルオキシ)エチルエステルそして、トリチオリン酸S,S,S-トリス-2-(カルボ-2-エチルヘキシルオキシ)エチルエステルがある。
【0062】
7.β−ジケトン、β−ケトエステル
1,3- ジカルボニル化合物使うことができる‖直鎖であるか環式のジカルボニル化合物にすることができる。下記式のジカルボニル化合物を使用するのが好ましい:
R'1COCHR'2−COR'3
[ここで、R'1はC1−C22−アルキル、C5−C10-ヒドロキシアルキル、C2−C18−アルケニル、フェニル、OH−、C1−C4−アルキル−、C1−C4−アルコキシ−または、ハロゲン−置換されたフェニル、C7−C10−フェニルアルキル、C5−C12−シクロアルキル、C1−C4−アルキル−置換C5−C12−シクロアルキル)または基−R'5−S−R'6または−R'5−O−R'6、R'2は水素、C1−C8−アルキル、C2−C12−アルケニルフェニル、C7−C12−アルキルフェニル、C7−C10−フェニルアルキルまたは基−CO−R'4、(ここで、R'3はR'1で定義のものか、C1−C18−アルコキシであり、R'4はC1−C4−アルキルまたはフェニルであり、R5はC1−C10−アルキレンであり、R'6はC1−C12−アルキル、フェニル、C7−C18−アルキルフェニルまたはC7−C10−フェニルアルキルである)]
【0063】
これらには下記特許文献28に記載のヒドロキシル-ジケトン、下記特許文献29に記載のオキサチアジケトン、下記特許文献30に記載のイソシアン酸をベースにしたケトエステルが含まれる。
【特許文献30】欧州特許第EP 0 346 279号公報
【特許文献31】欧州特許第EP 0 307 358号公報
【特許文献32】米国特許第4,339,383号明細書
【0064】
R'1およびR'3のアルキルは特にC1−C18−アルキルであり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシルまたはオクタデシルが挙げられる。
R'1およびR'3のヒドロキシアルキルは特に−(CH2)n−OH基であり、ここで、nは5、6または7である。
R'1およびR'3のアルケニルはビニル、アリル、メタリル、1-ブテニル、1-ヘキセニルまたはオレイルであり、好ましくはアリルである。
【0065】
R'1およびR'3のOH−、アルキル−、アルコキシ−またはハロゲン−置換フェニルの例はトリル、キシリル、tert-ブチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、ヒドロキシフェニル、クロルフェニルまたはジクロロフェニルである。
R'1およびR'3のフェニルアルキルは特にベンジルである。
R'2およびR'3のシクロアルキルまたはアルキルシクロアルキルとしては特にシクロヘキシルまたはメチルシクロヘキシルが挙げられる。R'2のアルキルとしては特にC1−C4−アルキルが挙げられる。R'2のC2−C12−アルケニルは特にアリルである。R'2のアルキルフェニルは特にトリルである。R'2のフェニルアルキルは特にベンジルである。R'2は水素であるのが好ましい。
R'5のアルコキシの例としてはメトオキシ、エトオキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシまたはオクタデシルオキシが挙げられる。R'5のC1−C10−アルキレンは特にC2−C4−アルキレンである。
R'6のアルキルは特にC4−C12−アルキルで、例えばブチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはドデシルである。R'6のアルキルフェニルは特にトリルである。R'6のフェニルアルキルは特にベンジルである。
【0066】
上記式の1,3−ジカルボニル化合物とそのアルカリ金属、アルカリ土類金属および亜鉛キレートは下記が挙げられる:アセチルアセトン、ブタノイルアセトン、ヘプラノイルアセトン、ステロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ラウロイルアセトン、7-tert-ノニルチオ-2,4-ヘプタンジオン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、イソオクチルベンゾイルメタン、5-ヒドロキシカプロノイル−ベンゾイルメタン、トリベンゾイルメタン、ビス(4-メチルベンゾイル)メタン、ベンゾイル-p-クロルベンゾイルメタン、ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)メタン、4-メトオキシベンゾイル−ベンゾイルメタン、ビス(4-メトオキシベンゾイル)メタン、1-ベンゾイル-1-アセチルノナン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル-4-メトキシベンゾイルメタン、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルフォルミルメタン、ベンゾイルフェニルアセチルメタン、ビスシクロヘキサノイルメタン、ジ−ピバロイルメタン、2-アセチルシクロペンタノン、2-ベンゾイルシクロペンタノン、メチル、エチルおよびアリルジアセトアセテート、メチルおよびエチルベンゾイル−、プロピオニル−およびブチリルアセトアセテート、トリアセチルメタン、メチル、エチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルまたはオクタデシルアセトアセテート、メチル、エチル、ブチル、2-エチルヘキシル、ドデシルまたはオクタデシルベンゾイルアセテート、さらに、C1−C18−アルキルプロピオニルアセテートおよびブチリルアセテート、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはオクチルステアロイルアセテート、さらには下記文献に記載の多環式β-ケトエステルおよびヒドラ酢酸とその亜鉛、マグネシウムまたはアルカリ金属塩。
【特許文献33】欧州特許第EP 0 433 230号公報
【0067】
上記式の1,3-ジケト化合物のR'1はC1−C18−アルキル、フェニル、OH−、メチル−またはメトオキシ−置換フェニル、C7−C10−フェニルアルキルまたはシクロヘキシルであるのが好ましく、R'2は水素で、R'3はR'1で定義のものが好ましい。
1,3-ジケト化合物の使用量は100重量部の塩素含有ポリマーおよび樹脂(例えばPVC)に対して例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜3重量部、特に0.01〜2重量部である。
【0068】
8.メルカプトカルボキシルエステル
この化合物の例はチオグリコール酸、チオリンゴ酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト安息香酸、チオ乳酸のエステル、メルカプトエチルステアラートおよびメルカプトエチルオレアートである。これらは下記特許に記載されている。
【特許文献34】フランス特許第FR 2459 816号公報
【特許文献35】欧州特許第EP 0090 748号公報
【特許文献36】フランス特許第FR 2 552 440号公報
【特許文献37】欧州特許第EP 0 365 483号公報
【0069】
メルカプトカルボキシルエステルにはポリオールエステルおよびその部分エステルとそれから誘導れれるチオエーテルとが含まれる。これらの分子は下記特許に記載の潜在性−メルカプチド(latent-marcaptides)でもよい
【特許文献38】欧州特許第EPA1-945 485号公報
【0070】
9.金属石鹸
金属石鹸は主として好ましくは比較的長い鎖をカルボン酸の金属炭酸塩である。よく知られている例はステアレートおよびラウリン酸塩、オレアートと、短い鎖のアルカンカルボン酸塩である。アルキル安息香酸塩も金属石鹸に含まれる。金属としてはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、アル、La、Ceおよび希土類金属が挙げられる。相乗混合物として知られるバリウム/亜鉛、Mg/亜鉛、カルシウム/亜鉛またはカルシウム/Mg/亜鉛安定化剤もしばしば使用される。金属石鹸は単独または混合物として使用できる。一般的な金属石鹸の概論は下記文献に記載されている。
【非特許文献6】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol. A16 (1985), p. 361 ff.
【0071】
有機金属セッケンを使用するのが好ましく、これは下記系列から選択できる:脂肪族飽和C2−C22カルボキシレート、不飽和脂肪族C3−C22カルボキシレート、少なくとも一つのOH基で置換された脂肪族C2−C22カルボキシレート、5〜22の炭素原子を有する環式および二環式カルボキシレート、少なくとも一つのOH基および/またはC1−C16−アルキルによって置換された未置換ベンゼンカルボキシレート、少なくとも一つのOH基および/またはC1−C16−アルキルによって置換された不飽和ナフタリンカルボキシレート、フェニルC1−C16−アルキルカルボキシレート、ナフチルC1−C16−アルキルカルボキシレートまたは未置換またはC1−C12−アルキル−置換されたフェノラート、タレート(tallates)およびレジネート(resinates)。
具体例としては一価カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、エナンチオ酸、オクタン酸、ネオデカン酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、N,N-ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、n-プロピル安息香酸、サリチル酸、p-tert-オクチルサリチル酸、ソルビン酸の亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム塩、二価カルボン酸、例えば蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、ペンタン-1,5-ジカルボン酸、ヘキサン−1,6-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、オクタン-1,8-ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびヒドロキシフタル酸のモノエステル、三価または四価のカルボン酸、例えばヘミメリト酸、トリメリト酸、ピロメリト酸および枸櫞酸のジ−またはトリエステルのカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛塩、
【0072】
好ましいのは7〜18の炭素原子を有するカルボン酸のカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛カルボキシレート(狭義の金属石鹸)、例えばベンゾレートまたはアルカノレート、好ましくはステアレート、オレレート、ラウレート、パルミタート、ベヘネート、ヒドロキシステアラート、ジヒドロキシステアラートまたは、2-エチルヘキサノエートである。特に好ましはステアラート、オレレートおよびp-tert-ブチルベンゾレートである。塩基過剰(Overbased)なカルボキシレート、例えば塩基過剰な亜鉛オクトエート(overbased zinc octoate)も好ましい。また、塩基過剰なカルシウム石けんも好ましい。
必要に応じて、異なる構造のカルボン酸エステルの混合物を使用することもできる。
好ましい組成物は既に述べたように有機亜鉛および/または有機カルシウム化合物を含む。
上記化合物に加えて、有機アルミニウム化合物も適している。これは上記のものと類似した化合物、特にアルミニウムトリステアラート、アルミニウムジステアラート、アルミニウムモノステアラート、アルミニウムアセテートおよびこれらから誘導体される塩基性誘導体である。アルミニウム化合物に関する更なる情報は下記文献を参照されたい。
【特許文献39】米国特許第4,060,512号明細書
【特許文献40】米国特許第3,243,394号明細書
【0073】
上記化合物に加えて、有機希土類化合物、特に上記と物類の化合物も適している。希土類化合物という用語はセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ランタンおよびイットリウム元素、これらの混合物、特にセリウムとの混合物の化合物を意味する。好ましい希土類化合物は下記文献に記載されている。
【特許文献41】欧州特許第EP-A-0 108023号公報
【0074】
必要に応じて異なる構造の亜鉛、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、セリウム、ランタンまたはランタノイド化合物の混合物を使用することができる。さらに、アルモ(alumo)塩化合物上にコートした有機亜鉛、有機アルミニウム、有機セリウム、有機−アルカリ金属、有機アルカリ性土類金属、有機ランタンまたは有機ランタノイド化合物も使用できる。これに関しては下記文献を参照された。
【特許文献42】ドイツ特許第DE-A-4031818号公報
【0075】
金属石鹸および/またはその混合物の使用量は100重量部の塩素含有ポリマーまたは樹脂(例えばPVC)に対して例えば0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜8重量部、特に0.05〜5重量部である。他の金属安定化剤も同じである。
【0076】
10 他の金属安定化剤
これらには有機金属系安定化剤、特に有機錫安定剤が挙げられる。これは特にカルボキシレート、マレアート、メルカプチドおよびスルフィドにすることができる。その適当な化合物の例は下記文献に記載されている。
【特許文献43】米国特許第4,743,640号明細書
【特許文献44】米国特許第2,567,651号明細書
【特許文献45】米国特許第2,598,936号明細書
【特許文献46】米国特許第2,567,652号明細書
【特許文献47】米国特許第6,174,941B1号明細書
【特許文献48】米国特許第5,925,696号明細書
【特許文献49】米国特許第6,156,830号明細書
【特許文献50】米国特許第6,084,013号明細書
【特許文献51】米国特許第6,194 494B1号明細書
【特許文献52】米国特許第4,105,627号明細書
【特許文献53】米国特許第4,352,903号明細書
【特許文献54】ドイツ国特許第DE 2,427,853号公報
【0077】
本発明組成物には慣用されている下記のような一般的な添加剤も必要に応じて添加できる:例えば、他の安定化剤、助剤、加工助剤、例えばアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属間化合物、滑剤、可塑剤、ピグメント、充填剤、エポキシド化脂肪酸エステル、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、光沢剤、衝撃吸収剤、加工助剤、ゲル化剤、帯電防止剤、生物致死剤、金属受動態化剤、難燃剤、発泡剤、防霧剤、軟化剤、アンチプレートアウト(antiplateouts)剤(下記文献参照)。
【非特許文献7】Handbook of PVC Formulating" by E. J. Wickson, John Wiley & Sons, New York 1993
【0078】
以下、これら添加剤の例を説明する:
I.充填剤および補強剤
充填剤および補強剤の例は炭酸カルシウム、ドロマイト、ウォラストナイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸エステル、カオリン、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、木粉、マイカ、金属酸化物、金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、岩石粉末、重晶石、ガラス繊維、タルク、カオリン、チョークである。充填剤の量は100重量部の塩素含有ポリマーまたは樹脂(例えばPVC)に対して例えば5〜80重量部、好ましくは10〜40重量部、特に10〜20重量部である。
【0079】
II. アルカリ金属およびアルカリ土類金属間化合物
これは主として上記金属石鹸(9項参照)のカルボキシレートを意味するが、対応するオキサイドおよび/または水酸化物または炭酸エステルも意味する。また、その有機酸との混合物も適している。例としてはLiOH、NaOH、KOH、CaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2、Sr(OH)2、Al(OH)3、CaCO3(さらには塩基性炭酸エステル、例えばマグネシア・アルバおよびユータイト(hutite))、脂肪酸のNaおよびK塩が挙げられる。アルカリ土類金属およびZnカルボキシレートの場合にはMOまたはM(OH)2とのアダクトも使用できる(M=Ca、Mg、SrまたはZn)(過剰塩基(overbased)化合物として知られている)。本発明の安定化剤と一緒にアルカリ金属カルボキシレート、アルカリ土類金属炭酸塩および/またはアルミニウムカルボキシレートを組合せて使用するのが好ましい。
【0080】
III.滑剤
滑剤の例はモンタンワックス、脂肪酸エステル、PEワックス、アミドワックス、塩素化パラフィン、グリセリンエステルまたはアルカリ土類金属石鹸である。使用可能な剤は下記文献に記載されている。
【非特許文献8】"Kunststoffadditive", R. Gachter/H. Muller, Carl Hanser Verlag, 3rd Ed., 1989, pages 478-488
【0081】
その例は下記特許文献53に記載のような脂肪質のケトンや、下記特許文献54に記載のようなシリコーンベースの滑剤または下記特許文献55に記載のようなこれの組み合わせである。
【特許文献55】ドイツ国特許第DE 4 204 887号公報
【特許文献56】欧州特許第EP 0 225 261号公報
【特許文献57】欧州特許第EP 259,783号公報
【0082】
ステアリン酸カルシウムも好ましい。滑剤にはアルモ塩(alumo salt)化合物も含まれる。これに関しては下記文献参照。
【特許文献58】ドイツ国特許第DE-A-4 031 818号公報
【0083】
IV. 可塑剤
適した有機可塑剤の例は以下の群の中基から選択できる:
【0084】
A) フタレート
この種の可塑剤の例はジメチル、ジエチル、ジブチル、ジヘキシル、ジ-2-エチルヘキシル、ジ-n-オクチル、ジイソオクチル、ジイソノニル、ジイソデシル、ジイソトリデシル、ジシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジメチルグリコール、ジブチルグリコール、ベンジルブチル、ジフェニルフタレートおよびこれらフタレートの混合物、例えば直鎖のアルコールのみから得られるC7−C9、C9−C11−アルキルフタレート、C6−C10−n−アルキルフタレート、C8−C10−n−アルキルフタレートである。好ましくはジブチル、ジヘキシル、ジ-2-エチルヘキシル、ジ-n-オクチル、ジイソオクチル、ジイソノニル、ジイソデシル、ジイソトリデシル、ベンジルブチルフタれートと、これらアルキルフタレートの混合物である。特に好ましいものはジ-2-エチルヘキシル、ジイソノニル、ジイソデシルフタレートで、これらは一般に略称DOP(フタル酸ジオクチル、ジ−2−エチルヘキシルフタラート)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)で知られている。
【0085】
B) 脂肪族ジカルボン酸のエステル
特に、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸のエステル。この種の可塑剤の例はジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソオクチルアジペート(混合物)、ジイソノニルアジペート(混合物)、ジイソデシルアジペート(混合物)、ベンジルブチルアジペート、ベンジルオクチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼラート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジイソデシルセバケート(混合物)がある。好ましいのはジ-2-エチルヘキシルアジペートとジイソオクチルアジペートである。
【0086】
C) トリメリテート(trimellitates)
この例はトリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート(混合物)、トリイソトリデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート(混合物)、トリ-C6−C8−アルキル、トリ−C6−C10−アルキル、トリ−C7−C9−アルキル−およびトリ−C9−C11−アルキルトリメリテートである。後者のトリメリテートは対応するアルカノール混合物をトリメリト酸とのエステル化して形成される。好しいトリメリテートはトリ-2-エチルヘキシルトリメリテートとアルカノール混合物からの上記トリメリテートである。一般的な略称ではTOTM(トリオクチルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート)、TIDTM(トリイソデシルトリメリテート)、TITDTM(トリイソトリデシルトリメリテート)である。
【0087】
D) エポキシ可塑剤
これは主としてエポキシド化した不飽和脂肪酸である。その例はエポキシド化大豆油である。
【0088】
E) 高分子可塑剤
この可塑剤の定義の例は下記文献に記載されている。
【非特許文献9】Kunststoffadditive", R. Gachter/H. Muller, Carl Hanser Verlag, 3rd ed., 1989, section 5.9.6, pages 412-415
【非特許文献10】PVC Technology, W. V. Titow, 4th ed., Elsevier Publ., 1984, pages 165-170
【0089】
ポリエステル可塑剤を調製するための最も一般的な原料はジカルボン酸、例えばアジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸とジオール、例えば1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールである。
【0090】
F) リン酸エステル
このエステルの定義は上記非特許文献8 (Taschenbuch der Kunststoffadditive" section 5.9.5, pp. 408-412)に記載されている。この種のリン酸エステルの例はトリブチルホスフェート、トリ-2-エチルブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリクロルエチルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、リフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリニルホスフェートである。好ましいのはトリ-2-エチルヘキシルホスフェートReofos(登録商標)50および95(Ciba Spezialitatenchemie)である。
【0091】
G) 塩素化炭化水素(パラフィン)
H) 炭化水素
I) モノエステル
例えばオレイン酸ブチル、フェノキシエチルオレアート、オレイン酸テトラヒドロフルフリルおよびアルキル硫酸エステル。
J) グリコールエステル
例えばジグリコールベンゾエート。
【0092】
上記G)〜J)のグループの可塑剤の定義およびその例は下記文献に記載されている。
【非特許文献11】Kunststoffadditive, R. Gachter/H. Muller, Carl Hanser Verlag, 3rd ed., 1989, section 5.9.14.2, pp. 422-425, (group G)、section 5.9.14.1, p. 422, (group H)
【非特許文献12】PVC Technology, W. V. Titow, 4th ed., Elsevier Publishers, 1984, section 6.10.2, pages 171-173, (group G), section 6.10.5 page 174, (group H), section 6.10.3, page 173, (group I)、section 6.10.4, pages 173-174 (group J)
【0093】
異なる可塑剤の混合物を使用することもできる。
可塑剤の使用量は100重量部の塩素含有ポリマーまたは樹脂(例えばPVC)に対して5〜20重量部、好ましくは10〜20重量部である。硬質またはセミリジッドなPVCは10%まで、好ましくは5%までの可塑剤を含むか、可塑剤を含まないのが好ましい。
【0094】
V. 顔料
適当な基質は当業者に公知である。無機顔料の例はTiO2、酸化ジルコニウムをベースにした顔料、BaSO4、亜鉛酸化物(亜鉛華)、リトポン(硫化亜鉛/硫酸バリウム)、カーボンブラック、カーボンブラック/酸化チタン混合物、酸化鉄顔料、Sb23、(Ti,Ba、Sb)O2、Cr23、スピネル、例えばコバルトブルー、コバルト緑、Cd(S,Se)、ウルトラマリンである。有機顔料の例はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール色素、アントラキノン色素である。好ましいのはミクロ化された形のTiO2である。
【0095】
VI. エポキシド化脂肪酸エステル、その他のエポキシ化合物
本発明の安定化剤は少なくとも一つのエポキシド化脂肪酸エステルをさらに含むのが好ましい。そうしたエステルとして特に適したものは自然起源、例えば大豆油またはなたね油の脂肪酸(脂肪酸グリセライド)であるが、エポキシド化オレイン酸ブチルのような合成物を使用することもできる。エポキシド化ポリブタジエンおよびポリイソプレンは部分的にヒドロキシル化した形で使用でき、また、ホモまたはコポリマー状のグリシジルアクリレート、グリシジルアクリレートも使用できる。これらのエポキシ化物はアルモ(alumo)塩化合物にも適用できる。この点に関しては下記文献を参照されたい。
【特許文献59】ドイツ国特許第DE A-4031818号公報
【0096】
VII. 抗酸化剤
一般的な抗酸化剤を単独または組み合せて記載使用できる。この種の化合物の適当な例としてはアルキル化されたモノフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル−4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-キシレノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソ−ブチルフェノール、2,6-ジ−シクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α−メチルシクロヘキシル)-4,6-キシレノール、2,6-ジ−オクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ−tert-ブチル-4-メトオキシメチルフェノール、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルウンデス-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルヘペタデックス-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルトリデック-1'-イル)フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールおよびこれの混合物が挙げられる。
【0097】
アルキルチオメチルフェノール類の例は2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシル チオメチル-4- ノニルフェノールである。
【0098】
アルキル化されたハイドロキノン誘導体の例は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトオキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペートである。
ヒドロキシル化されたチオジフェニルエーテルの例は2,2'-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-2- メチルフェノール)、4,4'-チオビス-(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4'-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルファイドである。
【0099】
アルキリデンビスフェノールの例は2,2'-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[(4-メチル-6-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチル−フェニル)ブタン、1,1-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3、3-ビス-(3'-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-tert-ブチル−4-メチルフェニルイル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5- テトラ(5-tert- ブチル-4- ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタンである。
【0100】
ベンジル化合物の例は3,5,3',5'−テトラ-tert-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ−ジベンジルエーテル、オクタデシル−4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジル−メルカプトアセテート、トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル−メルカプトアセテートである。
【0101】
ヒドロキシベンジル化されたマロネートの例はジオクタデシル2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオアクタデシル2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)−フェニル]−2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネートである。
【0102】
芳香族ヒドロキシベンジル化合物の例は1,3,5-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノールである。
【0103】
トリアジン化合物の例は2,4-ビスオクチルメルカプト-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリ(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリ-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである。
【0104】
ホスフェートおよびホスホナイトの例はジメチル−2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、モノエチル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートのCa塩、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホニト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ[d,g]−1,3,2-ジオキサホスヒホシン(phosphocine)、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ−tert-ブチル-12-メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2-ジオキサホスヒホシンである。
【0105】
アシルアミノフェノール類の例は4-ヒドロキシルアウラアニリド、4-ヒドロキシスシアラアニリド、オクチルN-(3,5-ジ−tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバミメートである。
【0106】
β−(3,5-ジ−tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のモノ-または多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリトール、トリ(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0107】
β−(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸とモノ-または多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリ(ヒドロキシ)エチルイソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0108】
β−(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のモノ-または多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリ(ヒドロキシ)エチルイソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0109】
3,5-ジ-tert-ヒドロキシフェニル酢酸とモノ-または多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリ(ヒドロキシ)エチルイソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチルプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0110】
β−(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、例えばN,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン。
ビタミンE(トコフェロール)とその誘導体。
【0111】
好ましい抗酸化剤は1〜5、10および12のグループのもので、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,5-のジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸とオクタノール、オクタデカノールまたはペンタエリスリトールとのエステル、トリ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトである。
必要に応じて異なる構造の抗酸化剤の混合物を使用することができる。
抗酸化剤の量は100重量部のPVCに対して例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、特に0.1〜5重量部である。
【0112】
VIII. 紫外線吸収剤および光安定剤
これらの例は2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体、例えば2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンジトリアゾール、2-(3',5−ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンジ−トリアゾール、2-(5'-tert-ブチル-2-2'-ヒドロキシフェニル)ベンジトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンジトリアゾール、2-(3',5−ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5-クロルベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)-5-クロルベンジトリアゾール、2-(3'-sec-ブチル-5'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンジトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクトキシフェニル)ベンジトリアゾール、2-(3',5−ジ-tert-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5−ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2'-ヒドロキシフェニル)ベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロルベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル)-5−クロルベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンジトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル)ベンジトリアゾール、2-(3'-ドデシル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンジトリアゾールと、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンジトリアゾールとの混合物、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンジトリアゾル-2-イルフェノール]、2-[3'-tert-ブチル-5'-(2-メトオキシカルボニルエチル)-2'-ヒドロキシフェニル]ベンジトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換反応物(ここで、R=3'-tert-ブチル-4'-ヒドロキシ-5'-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル−フェニル)。
【0113】
2-ヒドロキシベンジフェノン、例えば4-ヒドロキシ、4-メトオキシ、4-オクトキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2',4'-トリヒドロキシ、2'-4,4'-ジメトキシ誘導体。
【0114】
置換または未置換の安息香酸誘導体のエステル、例えば4-tert-ブチルフェニルサリチレート、サリチル酸フェニル、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル−3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒトロキシ-ベンゾエート。
【0115】
アクリレート、例えばエチル−α-シアノ-β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−エチル−α-シアノ-β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α-カルボ−メトオキシシンナメート、メチル−α−シアノ-β−メチル-p-メトオキシンナメート、ブチル−α-シアノ-β−メチル-p-メトオキシシンナメート、メチル−α-カルボメトキシ-p-メトオキシシンナメート、N-(β−カルボメトキシ-b-シアノビニル)-2-メチル−インドリン。
【0116】
ニッケル化合物、例えば2,2'-チオビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、例えば1:1または1:2錯体(追加のリガント、例えばブチルアミン、トリエタノールアミンまたは、N- シクロヘキシルジエタノールアミンの有りまたは無し)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルホスホン酸のモノアルキルエステル、例えばメチル、エチルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体、例えば2-ヒドロキシ-4-メチルフェニルウンデシルケトキシム、1-フェニル-4-ラウロイル-5-ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体(追加のリガント有りまたは無し)。
【0117】
オキサルアミド、例えば4,4'-ジオクチルオキサオキサルアニリド、2,2'-ジオクチルオキシ-5,5'-ジ-tert-ブチル−オキサニド、2,2'-ジドデシルオキシ-5,5'-ジ-tert-ブチルオキサニド、2−エトキシ−2'-エチル−オキサニド、N,N'-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサアニリドミ、2-エトオキシ-5-tert-ブチル-2'-エチルオキサアニリドおよびそれと2-エトオキシ-2'-エチル-5,4'-ジ-tert-ブチル-オキサアニリドとの混合物、o-およびp-メトオキシとの混合物、o-およびp-エトオキシ−ジ−置換オキサニリドとの混合物。
【0118】
2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、例えば2,4,6-トリ(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)−1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0119】
立体障害アミン、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル−ピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)、n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンの直鎖または環式凝縮物、4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロル−1,3,5-s-トリアジン、トリ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラオエート、1,1'-(1,2-エタンジイル)−ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)2-n-ブチル-2(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロネート、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシナート、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンの直鎖または環式の縮合物、4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン、2−クロル-4,6-ジ-(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2-クロル-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ(1,2,2,6,6-)ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリドン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ピロリドン−2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ−および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロル-1,3,5-トリアジンの縮合物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6-トリクロル-1,3,5-トリアジンの縮合物、4-ブチルアミノ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(CAS登録番号[136504-96-6])、N-(2,2,6,6-テトラメチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル−4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ−スピロ[4.5]デカン、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ−3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロルヒドリンとの反応生成物、1,1-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル−4-ピペリジルオキシカルボニル)-2-(4-メトキシフェニル)エタン、エチレン、N,N'-ビスフォルミル-N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4-メトオキシメチレンマロン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ヒドロキシピペリジンジとのエステル、ポリ[メチルプロピル-3-オキシ-4-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)]−シロキサン、無水マレイン酸−α-オレフィン共重合体と2,2,6,6-テトラメチル-4-アミノピペリジンまたは1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-アミノピペリジンの反応生成物。
【0120】
IX. 発泡剤
発泡剤の例は有機アゾおよびヒドラゾ化合物、テトラゾール誘導体、オキサジン誘導体、無水イサト酸、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムである。好ましいものはアゾジカルボキシアミドと重炭酸ナトリウムおよびこれらの混合物である。
X. 他の添加剤
衝撃吸収剤、熱可塑性改質剤、加工助剤、ゲル化剤、静電防止剤、生物致死剤、殺菌剤、金属受動態化剤、光沢剤、難燃剤、防曇剤および可塑剤の定義および例は下記文献に記載されている。
【非特許文献13】Kunststoffadditive, R. Gachter/H. Muller, Carl Hanser Verlag, 3rd ed., 1989
【非特許文献14】Handbook of Polyvinyl Chloride Formulating、 E. J. Wickson, J. Wiley & Sons, 1993
【非特許文献15】Plastics Additives、G. Pritchard, Chapman & Hall, London, 1st ed., 1998
【0121】
衝撃吸収の詳細は下記文献に記載されている。
【非特許文献16】Impact Modifiers for PVC, J. T. Lutz/D. L. Dunkelberger, John Wiley & Sons, 1992
【0122】
本発明の組成物は下記文献に記載のアミノウラシル、特に6-アミノウラシルおよび/またはチオウラシル、特に4-アミノ6-ヒドロキシ−2メルカプトピリミジンのようなその他の安定化剤をさらに含むことができる
【特許文献60】米国特許第6,174,941B1号明細書
【0123】
本発明はさらに、塩素含有ポリマーの安定化方法にも関するものである。本発明方法は上記本発明の安定化組成物の少なくとも一つを加えることから成る。安定化とは少なくとも紫外線および熱に対する安定化を意味する。
【0124】
本発明で安定するポリマーされる塩素含有ポリマーの例は塩化ビニルおよび塩化ビニリデンのポリマー、塩化ビニル単位を構造中に含むビニール樹脂、例えば塩化ビニルのコポリマー、脂肪酸のビニルエステル、特に酢酸ビニール、アクリル酸またはメタアクリル酸のエステルまたはアクリロニトリルと塩化ビニルとのコポリマー、ジエン化合物または不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物と塩化ビニルとのコポリマー、例えばマレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチルまたは無水マレイン酸と塩化ビニルとのコポリマー、後処理で塩素化処理した塩化ビニルのポリマーおよびコポリマー、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンと不飽和アルデヒド、ケトン、その他、例えばアクロレイン、クロトンアルデヒド、ビニルメチルケトン、ビニルジメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等とのコポリマー、塩化ビニリデンおよび塩化ビニルと他の重合可能な化合物とのコポリマー、ビニルクロロ酢酸塩およびジクロロジビニルエーテルのポリマー、ジクロルジビニールエーテルのポリマー、塩素で処理されたビニルカルボン酸エステルのポリマー、例えば酢酸ビニール、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、塩素で処理されたアクリル酸、α置換されたアクリル酸、例えばメタアクリル酸のエステル、ニトリル、アミド、アルキルエステル、例えばアクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2-エチルヘキシルアクリレートのポリマー、芳香族ビニル誘導体のポリマー、例えばスチレン、ジクロロスチレン、塩素化ゴム、塩素処理したオレフィンのポリマー、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、(2.2.1)ビシクロヘプテン-2、(2.2.1)ビシクロヘプタ−ジエン-2,5、クロロブタジエンのポリマーおよびクロロブタジエンを後で塩素処理したポリマーおよびそれと塩化ビニルとのコポリマー、塩素処理した自然または合成のゴム、上記ポリマーと重合可能なその他の化合物との混合物。
【0125】
本発明でPVCという用語には上記ポリマーと、それと重合可能なその他の化合物、例えばアクリロニトリル、酢酸ビニールまたはABSとのコポリマーが含まれ、ポリマーはサスペンションでも、バルクでも、エマルジョンポリマーでもよい。好ましいのはPVCのホモポリマーおよびコポリマー(塩素後処理されていても、いなくてもよい)単独か、ポリアクリラートと組み合せたものである。さらにPVCにEVA、ABSおよびMBSをグラフトした重合体も含まれる。好しい基材には上記ホモおよびコポリマーの混合物も含まれる、特に塩化ビニルのホモポリマーと他の熱可塑性ポリマーおよび/またはエラストマー、特にABS、MBS、NBR、SAN、EVA、CPE、MBAS、PMA、PMMA、EPDMおよびポリアクトン(polyactones)との混合物が含まれる。
【0126】
これらのポリマーは熱可塑性ポリマーおよび/またはエラストマーでよく、そうした成分の例としては下記組成物が挙げられる:(i) 20-80重量部の塩化ビニルのホモポリマー(PVC)と、(ii) 80-20重量部のスチレンおよびアクリロニトリルをベースにした少なくとも一種の熱可塑性コポリマー、特にABS、NBR、NAR、SANおよびEVA。コポリマーで使用される略称は当業者に周知のもので、以下の意味を有する:
ABS:アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体、
SAN:スチレン−アクリロニトリル、
NBR:アクリロニトリル−ブタジエン、
NAR:アクリロニトリル−アクリラート、
EVA:エチレン−酢酸ビニール。
【0127】
また、アクリレートをベースにしたスチレン-アクリロニトリル共重合体(ASA)も好ましい。上記の(i)および(ii)を成分とする好ましいポリマー組成物は25〜75重量%のPVCに対して上記コポリマーを75〜25重量%含むものである。その例としては25〜40重量%のPVCと、75〜60重量%の上記コポリマー、40〜60重量%のPVCと、60〜40重量%の上記コポリマーがある。好ましいコポリマーはABS、SAN、変性EVA、特にABS、NBR、NARおよびEVAである。本発明組成物中には上記コポリマーの少なくとも一種が存在できる。特に重要な成分は以下から成る組成物である:(i) 100重量部のPVCと、(ii)0〜300重量部のABSおよび/またはSAN−変性ABSおよび0−80重量部のNBR、NARおよび/またはEVAコポリマー、特にEVA。
【0128】
本発明での安定化でさらに適したポリマーとしては塩素含有ポリマーのリサイクル品(recyclates)ポリマーが特に挙げられる。このポリマーは上記で説明したものの他に、加工時、使用時または貯槽時にダメッジを受けたものよる損害を受けたものである。PVCのリサイクル品が特に好ましい。リサイクル品には無数の異質物質、例えば紙、顔料、接着剤も含まれる。さらに、これらの異質物質は使用時または再処理時に多様な原料、例えば燃料、塗料成分、金属屑およびイニシエータ残り等と接触している。
【0129】
本発明の安定化はパイプおよびプロフィル用の一般的なPVC配合物において特に有利である。すなわち、安定化が重金属化合物(Sn、Pb、Cd、Znの安定化剤)を用いずに達成できる。この特徴は生態学的な理由からPVC物品の生産時および使用時に重金属なし(特に、亜鉛なし)が望まれている分野で特に有利である。また、重金属を含む安定化剤の生産は産業衛生上にも問題を生じることがある。さらに、重金属を含む原鉱のプロセッシングでは環境に重大な影響を与えることもある。ここで環境とは人類、禽獣(魚)、植物、空気および土壌を含む生物系を意味する。この理由から重金属を含むプラスチックの焼却およびごみ処理も問題になっている。
【0130】
式(I)の化合物は、塩素含有ポリマーまたは樹脂を安定化するために、安定されたポリマーまたは樹脂の合計重量の約0.01〜約10%、好ましくは約0.05〜約5%、特に約0.1〜約3%の比率で使用される。
【0131】
本発明の安定化組成物は、エマルションまたはディスバーションとして(例えば、ペースト状混合物の形で。本発明をこの形にする利点はペーストの安定性にある)、追加の安定化剤および/またはポリマー混合物の混合時にドライ混合物として、加工装置(例えば、カレンダ装置、ミクサー、配合器、押出機など)への直接の添加によって、または、溶液または焼融物として、さらには、ダトスフリーな形のフレークス、ペレット、ワン-パックプロダクトとして、取り入れることができる。
【0132】
本発明の安定化されたPVCは公知方法で公知装置を用いて製造することができる。例えば、上記の加工装置で本発明の安定化組成物を、必要に応じて添加される他の添加剤とともに、PVCと一緒に混合することで製造できる。この場合、各安定化剤は個別にまたは混合物の形、さらにはいわゆるマスターバッチの形で加えることができる。
【0133】
本発明で安定化されたPVCは公知方法で所望の形に成形できる。そうした方法の例としてはミル加工、カレンダー加工、押出加工、射出成形、紡糸加工、押出しブロー成形等が挙げられる。本発明の安定化されたPVCで発泡体材料を作ることもできる。
本発明で安定化されたPVCは例えば中空物品(ボトル)、包装フィルム(熱成形シート)、ブロー成形フィルム、パイプ、発泡体原料、重量プロフィル(窓枠)、透明壁用プロフィル、建設用プロフィル、サイディング(sidings)、取付具、オフィスフィルムおよび器械のハウジング(コンピュータ、家庭用器具の)に適している。
【0134】
好ましい用途はPVCの硬質発泡フォームおよびPVCのパイプ、例えば飲用水または廃水用パイプ、高圧管(圧力管)、ガス管、ケーブルダクト、ケーブル保護パイプ、産業用配管、浸透用パイプ、フローオフ(flowoff)パイプ、樋用パイプ、排水管である。用途の詳細は下記文献に記されている。
【非特許文献17】Kunststoffhandbuch PVC, Vol. 2/2, W. Becker/H. Braun, 2nd ed., 1985, Carl Hanser Verlag, Pages 1236-1277
【実施例】
【0135】
以下の実施例で「phr」という用語はPVC樹脂100に対する比率を意味する(例、0.2 phrとは100gのPVCに対して0.2gの意味)。
実施例1
2つのPVC配合物を190℃に加熱した2ロールミル(Collin 2-rollmill)で評価した。2本のロールの回転速度は20回転数/分および24回転数/分とし、2本のロールの間で材料を圧搾し、摩擦作用を加えながらゲル化した。ロール間間隙は0.5mmに調節した。ロール間から一定時間間隔でサンプルを採り、その着色状態を記録した。
【0136】
2つのPVC配合物の配合成分と、その量(phr)は以下の通り:
PVC(Lacovyl S110P、Atofina、kW = 68): 100
パラフィンワックス(Licolub XL 165、Clariant): 0.5
PEワックス(Licolub PE 520、Clariant): 0.7
酸化PEワックス(AC 316A、ハネウェル): 0.05
炭酸カルシウム(Omyalite 90T、Omya): 10
TiO2(CL 2220、クロノス): 1
ステアリン酸カルシウム(Stavinor CAPSE、Atofina) 0.7
NaゼオライトP(Wessalith P、デグッサ): 0.3
ヒドラジドタイプの安定化剤:([表I]) 0.2 または0
ヒドラジドタイプの安定化剤:([表II]) 1または0
【0137】
Stab 1=安息香酸ヒドラジド(CAS n°613-94-5)
Stab 2=サリチル酸ヒドラジド(CAS n°936-02-7)
Stab 3=チオフェン-2−カルボン酸ヒドラジド(CAS n°2361-27-5)
Stab 4=アジピン酸ヒドラジド(CAS n°1071-93-8)
Stab 5=イソフタル酸ヒドラジド(CAS n°2780-98-7)
Stab 6=ステアリン酸ヒドラジド(CAS n°4130-54-5)
Stab 7=マレインヒドラジド(環状)(CAS n°123-33-1)
Stab8=フマル酸ヒドラジド(CAS n°3538-81-6)
Stab9=1,2-ジベンゾイックヒドラジド(CAS n°787-84-8)
Stab10=2-フェニル酢酸ヒドラジド(CAS n°937-39-3)
Stab11=カルボカルホヒドラジド(CAS n°497-18-7)
黄変指数(Yellowing Index)(YI、ASTM 規格 E 313)は引き取った各サンプルで測定し、結果は[表1]または[表2]に示してある。
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
[表1]および[表2]の結果は、安定化をしていない配合物に比べて本発明組成物はPVC配合物の初期カラーに効果的であるだけでなく、長期間そのカラーが保持されることを示している。
【0141】
実施例2
[表3]は各種成分をヒドラジドと組み合わせた時の効果を示す結果である(黄変指数の結果は、実施例1に記載の2本のロールミル上で、190℃、20〜24回転数/分の温度および剪断力を加えたサンプルで測定)。
【0142】
【表3】

【0143】
実施例3
3つのPVC配合物の動的な熱的安定性を実施例1と同じ方法で測定した(190℃、20〜24回転数/分)。測定した3つのPVC配合物の成分と価値結果は[表4]に示してある。
【0144】
【表4】

【0145】
亜鉛カルボン酸エステルの存在によってPVC配合物のカラーが改善することが示されている。亜鉛カルボン酸エステルと本発明の安定化組成物との間に相乗効果があることが示されている。
【0146】
実施例4
3つのPVC配合物の動的な熱的安定性を実施例1と同じ方法で測定した(190℃、20〜24回転数/分)。測定した3つのPVC配合物の成分と価値結果は[表5]に示してある。
【0147】
【表5】

【0148】
本発明の安定化組成物の性能を最適化するためには他の添加剤(例えば滑剤、ステアリン酸カルシウム、顔料・・・)を適当に選択する必要があることを示している。
【0149】
実施例5
[表6]と[表7]はヒドラジドベースの系に加えた共安定化剤(costabilizers)の役目を示している。テスト方法は実施例1と同じ(190℃、20〜24回転数/分)。
【0150】
【表6】

【0151】
【表7】

【0152】
実施例6
[表8]はヒドラジドの濃度を高くした場合の効果を示している(ヒドラジド−ゼオライト系)。上記のテストと同様に、テストは2本のロールミル上で190℃で、20〜24回転数/分で行った。
【0153】
【表8】

【0154】
実施例8
[表9]に示すパイプ押出し用の5種のPVC配合物を単軸スクリュー押出機(Polylab Rheomex 252P、Haake、19mm、L/D 25)で加工した。温度プロファイルは以下の通りに設定した:195−200−195℃、スクリュー回転速度=40回転数/分(ダイ入口でのバルクの温度:188℃)。
【0155】
【表9】

【0156】
本発明の安定化剤は、押出し成形品の表面外観界面およびカラー状態が公知の有機ベースの系に比べて大きく向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種以上の下記の式(I):
【化1】

[ここで、
1は下記(1)〜(8)のいずれか一つを表す:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基(置換されていてもよい)か、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシル基またはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキル、−COORまたは−OCOR(ここで、RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニル、ベンジル、ナフチル、トルイル基、
【化2】

2は下記のいずれかを表し、
【化3】

3、R4は下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つまたは複数のフェニル基(置換されていてもよい)によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環式基またはハロゲン原子またはヒドロキシ基またはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)フェニル基、ナフチル基、−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCORで置換されたフェニル基(RはC1−C12アルキル基)、
Xは下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキレン基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和されたC2−C30アルキレン、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキレン基、一つまたは複数のフェニル基(置換または未置換)で置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換されたC1−C30アルキレン基、
(2)フェニレン(オルト、メタ、パラ)、ナフチレン、−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたは−OCOR(RはC1−C12アルキル基)で置されたフェニレン基、
(ただし、R1が−CH=CH−で、R2が−CO−(ケトン基)の場合には、R1とR2は共有結合によって結合されていてもよい)
のヒドラジド化合物と、共安定化剤としての少なくとも一種の下記化合物:
(1)ポリオールおよび/または2糖類アルコール、
(2)過塩素酸塩化合物、
(3)グリシジル化合物、
(4)層状格子化合物(ヒドロタルサイト)、
(5)ゼオライト化合物、
(6)ホスファイト化合物、
(7)β−ジケトンおよび/またはβ−ケトエステル、
(8)メルカプトカルボン酸エステル、
(9)金属石鹸、
とをベースにした、金属の安定化剤を含まない、塩素含有ポリマーの安定化組成物。
【請求項2】
一種以上の下記の式(I):
【化4】

([ここで、
1は下記(1)〜(8)のいずれか一つを表す:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つ以上のフェニル基によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシ基またはアルコキシ基によって置換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキル、−COORまたはOCOR(RはC1−C12アルキル基)によって置換されていてもよいベンジル、ナフチル、トルイル基または−OH、−Cl、−アルコキシ、−アルキル、−シクロアルキルまたはOCOR(RはC1−C12アルキル基)によって置換されていてもよいフェニル基、
【化5】

2は下記のいずれかを表し、
【化6】

3、R4は下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキル基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキル基、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキル基、一つ以上のフェニル基(置換または未置換で置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環式基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換換されたC1−C30アルキル基、
(2)−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCOR(RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニル、ナフチル、フェニル基、
Xは下記(1)または(2)のいずれかを表し:
(1)C1−C30アルキレン基(直鎖または分岐鎖)、モノまたはポリ不飽和のC2−C30アルキレン、ヘテロ原子を含むC1−C30アルキレン基、一つ以上のフェニル基によって置換されているか、エポキシ基または脂環式基または複素環基またはハロゲン原子またはヒドロキシまたはアルコキシによって置換されたC1−C30アルキレン基、
(2)−OH、−Cl、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、−COORまたはOCOR(RはC1−C12アルキル基)で置換されたフェニレン(オルト、メタ、パラ)、ナフチレン、フェニレン基、
(ただし、R1=−CH=CH−で、R2=−CO−(ケトン基)の場合には、R1とR2は共有結合で結合されていてもよい)
のヒドラジド化合物と、下記(1)〜(9):
(1)ポリオールおよび/または2糖類アルコール、
(2)過塩素酸塩化合物、
(3)グリシジル化合物、
(4)層状格子化合物(ヒドロタルサイト)、
(5)ゼオライト化合物、
(6)ホスファイト化合物、
(7)β−ジケトンおよび/またはβ−ケトエステル、
(8)メルカプトカルボン酸エステル、
(9)金属石鹸、
の中から選択される少なくとも一種の共安定化剤としての化合物とをベースにした、請求項1に記載の安定化組成物。
【請求項3】
少なくとも一つのヒドラジドの、
1
(1)C1−C17アルキル基、例えばメチル、ブチル、オクチル、エチル−2−ヘキシル、ステアリル、ラウリル、
(2)XCONHNH2(ここで、XはC1−C17アルキレン基、例えばメチレン、ブチレン、オクチレン、エチル−2−ヘキシレン、ステアリレン、ドデシレンまたは1,3−置換フェニレン基)、
(3)オルト位がベンゼン環、ナフトール、シクロ−Sペンタジエン−2,4で置換されたフェノール、
のいずれかで、
がHまたはCOR3(ここで、R3はC1−C17アルキル基、例えばメチル、ブチル、オクチル、エチル−2−ヘキシル、ステアリル、ラウリル、ベンゼン環)である、
請求項1または2に記載の安定化組成物。
【請求項4】
少なくとも一つのヒドラジドのR1が、

で且つR2が水素である請求項1〜3のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項5】
少なくとも一種の共同安定化剤がヒドロタルサイトおよび/またはトリメチロールプロパノールおよび/またはゼオライトP および/または過塩素酸塩化合物および/またはホスファイトおよび/またはエポキシド化大豆油および/またはβ−ジカルボニル化合物の中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の実質的に、金属を含まない安定化組成物。
【請求項6】
亜鉛カルボン酸エステルおよび/またはアルカリ金属カルボン酸エステル(特にステアリン酸カルシウム)および/またはアルカリ土類金属炭酸塩および/またはアルミニウムカルボン酸エステルの少なくとも一種を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の実質的に金属を含まない安定化組成物。
【請求項7】
一種または複数の安定化剤、加工助剤、滑剤、可塑剤、顔料、充填剤、エポキシド化脂肪酸エステル、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、光沢剤、衝撃吸収剤、加工助剤、ゲル化剤、帯電防止剤、生物致死剤、殺菌剤、金属受動態化剤、難燃剤、発泡剤、防霧剤、可塑剤および/またはアンチプレートアウト(antiplateouts)剤をさらにを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項8】
上記の安定化剤をCaZnまたはBaZn系、錫系、アミノおよびチオウラシル系、潜在メルカプチド系、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、αフェニルインドール(ピロリジン誘導体)の中から選択する請求項7に記載の安定化組成物。
【請求項9】
塩素含有ポリマーの少なくとも一部がリサイクル品である請求項1〜8のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項10】
塩素含有ポリマーがPVC、例えばPVCのホモポリマー、塩素で後処理されたPVCおよび/またはPVCのコポリマーである請求項1〜9のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項11】
金属を含まないパイプまたは取付具の製造で使用される請求項1〜10のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項12】
金属を含まない中実または発泡シート、フィルム(硬質または可撓性)、プロフィルの製造で使用される請求項1〜10のいずれか一項に記載の安定化組成物。
【請求項13】
金属を含まない安定化剤を0.2〜5、特に1〜2phrの比率で使用する請求項1〜10のいずれか一項に記載の安定化組成物。

【公表番号】特表2007−526929(P2007−526929A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518185(P2006−518185)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008554
【国際公開番号】WO2005/005530
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】