説明

塵芥収集車

【課題】 箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】 車体フレーム1bの前部および中央部に、箱下空間Sdを形成した状態で塵芥収容箱2を着脱可能に固定する前支持部63および中央支持部64を設ける。車体フレーム1bの後部には、前支持部63および中央支持部64に対する塵芥収容箱2の固定を解除した状態で、塵芥収容箱2を後方傾動可能に支持する後支持部65を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを動力源として積込装置を動作させる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、塵芥収容箱の後方に塵芥投入箱を備えており、この塵芥投入箱内には、当該塵芥投入箱内に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための積込装置が設けられている。この積込装置は、車両に搭載された駆動装置を駆動させることにより積み込み動作を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
駆動装置は、動力源であるバッテリと、このバッテリから電力供給を受けて駆動するパワーユニット(電動モータおよび油圧ポンプ)とを備えており、エンジンを停止させた状態で積込装置を動作させることができる。このため、積み込み作業を低騒音で行うことができるとともに、排気ガス量を低減することができる。
【0003】
しかし、上記塵芥収集車は、車体フレームよりも下方のエンジン付近にバッテリや電動モータ等の駆動装置が配置されているため、車種によっては、駆動装置がエンジン周りの他の搭載機器と干渉して、駆動装置を取り付けることができないという問題があった。
そこで、本願出願人は、車体フレームと塵芥収容箱との間に箱下空間を形成し、この箱下空間に駆動装置を配置することを既に提案している(特願2009−183751号)。この塵芥収集車によれば、箱下空間が車体フレームよりも上方に存在するため、車種に影響を受けることなく駆動装置を配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−329871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塵芥収容箱内に収容された塵芥を排出板によって外部へ排出する構成としたいわゆる排出板式の塵芥収集車にあっては、塵芥収容箱は車体フレーム上に固定されている。このため、排出板式の塵芥収集車において、車体フレームと塵芥収容箱との間に形成された箱下空間に駆動装置を配置すると、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業をする際に、塵芥収容箱が邪魔になって作業しにくいという問題があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に前後移動可能に設けられた排出板により当該塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、バッテリを有するとともに、当該バッテリを動力源として前記積込装置の少なくとも一部を動作させる駆動装置と、を備え、前記駆動装置の少なくとも一部が、前記車体フレームと前記塵芥収容箱との間に形成された箱下空間に配置されている塵芥収集車であって、前記塵芥収容箱を、前記車体フレームに対して後方、右側方および左側方のうち少なくとも一方向に傾動可能に支持する傾動支持部を備えていることを特徴としている。
【0007】
このような構成の塵芥収集車によれば、塵芥収容箱を車体フレームに対して傾動可能に支持しているため、箱下空間に配置された駆動装置のメンテナンス作業をする際に、塵芥収容箱を傾動させることにより、塵芥収容箱に邪魔されることなくメンテナンス作業をすることができる。したがって、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、前記塵芥収集車は、前記車体フレーム上に設けられ、前記箱下空間を形成した状態で前記塵芥収容箱を支持している支持部材をさらに備え、前記傾動支持部が、前記支持部材の一部とされていることが好ましい。この場合、塵芥収容箱を傾動可能に支持する傾動支持部を、箱下空間を形成する支持部材の一部として兼用することができるので、部品点数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0009】
また、前記塵芥収容箱が、前記塵芥収容箱を傾動させる際に当該塵芥収容箱を吊り上げる外部装置を係合するための係合部を有することが好ましい。この場合、塵芥収容箱を外部装置により吊り上げることにより傾動させることができるため、塵芥収容箱を傾動させるためのアクチュエータを車両側に設ける必要がない。したがって、製造コストを効果的に低減することができる。
【0010】
また、前記塵芥収集車は、前記塵芥収容箱が所定角度以上に傾動するのを規制する傾動規制手段をさらに備えていることが好ましい。この場合、塵芥収容箱が必要以上に傾動することによって、車両が後方または側方に転倒するのを防止することができる。
【0011】
また、前記塵芥収集車は、前記塵芥収容箱が傾動した状態から倒伏するのを規制する倒伏規制手段をさらに備えていることが好ましい。この場合、塵芥収容箱を傾動させた状態で、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を行っている際に、塵芥収容箱が倒伏するのを規制することができる。したがって、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を安全に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塵芥収集車によれば、箱下空間に配置されている駆動装置を塵芥収容箱に邪魔されることなくメンテナンス作業を行うことができるため、箱下空間に配置されている駆動装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。
【図2】塵芥収集車の背面図である。
【図3】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図4】塵芥収集車を右舷側から見た側面図である。
【図5】塵芥収集車の運転室内のスイッチボックスの正面図である。
【図6】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図7】駆動装置を取付部材にユニット化した状態を示す右舷側斜め後方から見た斜視図である。
【図8】図7の駆動装置を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図9】上記塵芥収集車の平面図である。
【図10】塵芥収容箱とバッテリとの配置関係を模式的に示す車両前方から見た断面図である。
【図11】図7の正面図である。
【図12】図7の右側面図である。
【図13】第二箱前取付部を分解した状態を模式的に示す側面図である。
【図14】塵芥収容箱を後方傾動させた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置では塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2を開放して塵芥を排出することができる状態とする。
【0015】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置Tについて説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。
【0016】
一方、プッシュシリンダ(圧縮駆動手段)9のシリンダ側端部はピン10により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ(押込駆動手段)12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8と共に、プッシュシリンダ9の伸長動作により斜めに上昇し、収縮動作により斜めに下降する。
【0017】
これにより、押込板8は、図の実線で示す原位置から、プレスシリンダ12の収縮動作によりピン7を中心として反時計回り方向に回動する「反転」の行程を行う。また、押込板8は、反転工程後に、プッシュシリンダ9の収縮動作により「一次圧縮」の行程を行い、続いてプレスシリンダ12の伸長動作により時計回り方向に回動する「二次圧縮」の行程を行う。さらに、押込板8は、プッシュシリンダ9の伸長動作により「押込」の行程を行い、原位置に戻る。
【0018】
塵芥収容箱2の内部には、車両の前後方向に移動可能に排出板18が設けられ、この排出板18の後方(排出板18と開口部2aとの間)に、塵芥を収容する収容スペースSaが形成されている。テレスコ式のディスチャージシリンダ (排出板駆動手段)19の一端部19aは排出板18の後述する傾斜部18aの車幅方向略中間部に接続され、他端部19bは塵芥収容箱2の前壁2dの車幅方向略中間部に接続されている。排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図1の実線で示す最後方位置と二点鎖線で示す最前方位置との間で移動可能である。上記収容スペースSaが空のとき、排出板18は最後方位置より少し前方に位置する初期位置にあり、押込板8により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を、押込板8と排出板18との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ19を徐々に収縮させて排出板18を前方へ移動させ、収容スペースSaを広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ19を伸長させて排出板18を後方へ移動させることにより、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、開口部2aから外部へ排出できるようになっている。
【0019】
排出板18の下部には、後ろ下がりに傾斜した傾斜部18aが形成されており、押込板8の押込動作により、収容スペースSaに積み込まれた塵芥を、前記傾斜部18aに沿って上方へ移動させるようになっている。これにより、収容スペースSa全体にわたって隙間なく塵芥を収容することができる。
【0020】
図2は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(投入箱駆動手段)20は、上端が塵芥収容箱2側に取り付けられ(図1参照)、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長動作させると塵芥投入箱3が上方へ回動して塵芥収容箱2を開き、収縮動作するとこれを閉じる。
なお、本実施形態では、上記押込板8と、プッシュシリンダ9と、プレスシリンダ12と、排出板18と、ディスチャージシリンダ19と、スイングシリンダ20とによって、積込装置Tが構成されている。
【0021】
図3は、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19およびスイングシリンダ20に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、オイルタンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23a〜23e、プッシュシリンダ用電磁弁24、プレスシリンダ用電磁弁25、ディスチャージシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁27(テールゲートロック用電磁弁を兼用)、切換弁28a〜28b、逆止弁29a〜29g、およびフィルタ30a〜30b、テールゲートロック(シリンダ)31、および圧力センサ32を図示のように接続して構成されている。油圧ポンプ22は後述する電動モータ45により駆動される。また、圧力センサ32は、油圧ポンプ22の吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力を制御部47(後述)に提供する。なお、前記圧力制御弁23a〜23e、各種電磁弁24〜27、切換弁28a〜28b、および逆止弁29a〜29gにより、弁体が構成されている。
【0022】
押込板8が原位置で停止しているとき、プッシュシリンダ9およびプレスシリンダ12は共に伸長状態にあり、対応する各電磁弁24,25は中立位置にある。プレスシリンダ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると「反転」、ソレノイド25eが励磁されると「二次圧縮」、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24sが励磁されると「一次圧縮」、ソレノイド24eが励磁されると「押込」、の各工程動作が行われる。
【0023】
排出板18が最後方位置(図1の実線)で停止しているとき、ディスチャージシリンダ19は最も伸長した状態にあり、ディスチャージシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ディスチャージシリンダ用電磁弁26のソレノイド26eが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は伸長動作する。また、ソレノイド26sが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は収縮動作する。励磁オフでディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置にあるときは、ディスチャージシリンダ19の両ポート19e,19sは封止された状態となる。但し、圧力制御弁23cや切換弁28aが開位置に動作すれば、ディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置であってもディスチャージシリンダ19が収縮可能となり、排出板18は前方移動可能となる。
【0024】
塵芥投入箱3が閉鎖されているとき(図1の実線)、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁27は中立位置にあり、切換弁28bは図示の位置にある。スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロック31がロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、切換弁28bが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油が切換弁28bおよびスイングシリンダ用電磁弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27sが励磁されると、テールゲートロック31がロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド27sは消磁されるが、逆止弁29gによりテールゲートロック31のロック状態は維持される。
【0025】
圧力制御弁23a〜23e、各電磁弁24〜27、切換弁28a、逆止弁29a〜29g、フィルタ30bおよび圧力センサ32は、バルブブロック33に内蔵されている。
図4は、塵芥収集車を右舷側から見た側面図である。バルブブロック33は、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の略中央部に垂下固定されている。また、バルブブロック33には、各シリンダ9,12,19,31に作動油を給排するための複数の油圧配管40が接続されている。
【0026】
これらの油圧配管40は、バルブブロック33から底板2bと支持本体部62(後述)とにより形成された角部2e(図10も参照)に沿って後方に延びるように配設された配管部40aと、底板2bの後端から上方に屈曲し、塵芥収容箱2の側壁2fと塵芥収容箱2の後端縁を補強するスチフナ2gとにより形成された角部2hに沿って上斜め前方に延びるように配設された配管部40bとを備えている。このように、油圧配管40は塵芥収容箱2の各角部2e,2hに沿って配置されているので、車両の走行中や積込装置Tの動作中に、油圧配管40および塵芥収容箱2の振動音が共鳴するのを抑制することができる。
【0027】
図5は、運転室1a内に設けられているスイッチボックスSB1を示す平面図ある。図において、スイッチボックスSB1には、メインスイッチ34、テールゲートスイッチ35、排出板スイッチ36、かき出しスイッチ37、メインランプ38、ロックランプ39が設けられている。
メインスイッチ34は、「積込」、「OFF」、「排出」のいずれかの位置に保持することができるスイッチであり、「OFF」から「積込」位置に操作することで積込動作が可能である。「排出」位置ではディスチャージシリンダ19やスイングシリンダ20を動作させることができる。
【0028】
テールゲートスイッチ35は、「上」に操作すると塵芥投入箱3が上昇し、「下」に操作すると塵芥投入箱3が下降する。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。排出板スイッチ36は、「排出」に操作するとディスチャージシリンダ19が伸長動作して排出板18が最後方位置まで後退し、「戻り」に操作すると排出板18が初期位置に戻る。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
かき出しスイッチ37は、「自動」または「手動」の選択スイッチであり、「自動」位置では、塵芥投入箱3を上方端まで回動させると自動的に積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱3の底に残っている塵芥を排出することができる。
メインランプ38は、スイッチボックスSB1の各スイッチ操作が可能な状態のとき点灯している。ロックランプ39は、テールゲートロック31がロック状態のとき点灯している。
【0029】
一方、図2において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0030】
図6は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は電動モータ45により駆動され、この電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。なお、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回および排出板18の排出動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0031】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0032】
制御部47は、収納部である制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55およびメインスイッチ34を介して通電される。また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46およびAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0033】
また、制御ボックス56内には、制御部47をメンテナンス作業するためのメンテナンス部48が収納されている。なお、上記制御部47、メンテナンス部48、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56およびコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52および制御装置Cとにより、本発明の駆動装置58が構成されている。なお、駆動装置58の構成部材として、上記以外にバルブブロック33を含めることも可能である。
【0034】
バルブブロック33内の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sおよび切換弁28a〜28bは、制御部47によって励磁・消磁される。なお、各ソレノイド等のブロックの名称は、機能で表示している。制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜37,42〜44、圧力センサ32、後述する温度計59および回転数センサ60から入力信号が与えられる。また、各種ランプ38〜39が制御部47の出力により点灯する。
【0035】
電動モータ45には、この電動モータ45の温度を検出する温度計59および電動モータ45の回転数を検出する回転数センサ60が取り付けられている。温度計59および回転数センサ60の検出信号は制御部47に与えられ、電動モータ45が温度上昇により破損しないように、制御部47により当該電動モータ45の出力が制御されている。
【0036】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で後方傾動可能に支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、塵芥収容箱2の底部に沿って配置された支持本体部62と、支持本体部62の前端部、中央部および後端部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、中央支持部64および後支持部(傾動支持部)65とを備えている。
【0037】
支持本体部62は、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各支持本体部62の上面は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定されている(図10参照)。各支持本体部62の前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各支持本体部62の車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、支持本体部62の下面前部には、下方に開口する凹部62aが形成されている(図10参照)。
【0038】
図1および図14において、後支持部65は、ヒンジ機構によって構成されており、各車体フレーム1b上面の後端部に溶接により固定された固定ヒンジ65aと、各支持本体部62下面の後端部に溶接により垂下固定された可動ヒンジ65bと、固定ヒンジ65aに可動ヒンジ65bを回動自在に連結するヒンジピン65cとを有している。これにより、後述する箱下空間Sdに配置された駆動装置58のメンテナンス作業をする際に、車体フレーム1bに対して塵芥収容箱2を後支持部65のヒンジピン65cを中心として後方傾動させることができる。なお、前支持部63および中央支持部64の詳細構造については後述する。
【0039】
塵芥収容箱2の上面前部の車幅方向中央部には、外部装置である例えばクレーン98のフック98aを係合するための係合部2iが固定されている。係合部2iは、円弧状に形成された止め輪からなる。この係合部2iに上記フック98aを係合させた状態で、塵芥収容箱2の前部をクレーン98で上方へ吊り上げることにより、塵芥収容箱2を後方傾動させることができる。
【0040】
塵芥投入箱3の底部には、塵芥収容箱2が所定角度以上に後方傾動するのを規制する傾動規制手段67が設けられている。傾動規制手段67は、塵芥投入箱3の底部後側に固定された接地部67aを地面に接地させることにより、塵芥収容箱2の所定角度以上の後方傾動を規制するものである。接地部67aは、例えば合成樹脂材によって、側面視において台形状に形成されているとともに、車幅方向に延びて形成されている(図2参照)。なお、上記所定角度は、車両の重心位置を考慮して車両毎にそれぞれ設定される。本実施形態では、上記所定角度を約30度に設定している。
【0041】
中央支持部64と後支持部65との間には、塵芥収容箱2が後方傾動した状態から倒伏するのを規制する倒伏規制手段68が設けられている。この倒伏規制手段68は、車体フレーム1b上に固定された固定部68aと、固定部68aに基部が回動可能に取り付けられたアーム部68bと、アーム部68bの先部に固定された係合部68cとを備えている。係合部68cは、支持本体部62下面の凹状に形成された被係合部62b(図1参照)に係合可能となっている。したがって、図14に示すように、塵芥収容箱2を後方傾動させた状態で、係合部68cを被係合部62bに係合させることにより、塵芥収容箱2が倒伏するのを規制することができる。これにより、塵芥収容箱2を、傾動規制手段67と倒伏規制手段68とによって傾動状態に保持することができる。
傾倒規制手段67を使用しないとき、すなわち塵芥収容箱2が倒伏した状態のとき、傾倒規制手段67は、支持本体部62、中央支持部64、車体フレーム1bおよび後支持部65によって囲まれた空間(デッドスペース)に格納される。
【0042】
支持部材61には、支持本体部62の下面に形成された上記凹部62aと、前支持部63の後面と、中央支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。また、前支持部63の前面および塵芥収容箱2の前壁2dと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sd(キャブバックスペース)が形成されている。
【0043】
箱下空間Sdおよび箱前空間Sfには、駆動装置58の全構成部材が一体的にユニット化された状態で配置されている。以下、駆動装置58の各構成部材の配置およびその取付構造について説明する。
図7は、駆動装置58がユニット化された状態を示す右舷側斜め後方から見た斜視図であり、図8は、その駆動装置58を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図9は、塵芥収集車1の平面図である。
図7および図8において、駆動装置58の各構成部材は、すべて共用の取付部材71に取り付けられて一体化されている。取付部材71は、箱下空間Sdに配置された駆動装置58の一部が取り付けられている箱下取付部72と、箱前空間Sfに配置された駆動装置58の他部が取り付けられている箱前取付部73とを備えている。
【0044】
箱下取付部72は、前後方向に延びる角パイプからなる左右一対の基部フレーム72aと、左右の基部フレーム72aの各内側面に両端が固定された前後一対のチャンネル材からなる載置フレーム72bと、左右の基部フレーム72aの各上面の後端に両端が固定されたアングル材からなる補助フレーム72cとを有している。各載置フレーム72bの上面には、上記バッテリ46が載置されている。
【0045】
バッテリ46は、図9の平面視において長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている。バッテリ46の前面および後面には、それぞれ前方および後方に突出する複数の突出部46aが一体形成されており、これらの突出部46aの上面に、コ字形に形成された固定枠46bがそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。各固定枠46bは、前後の載置フレーム72bにそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。なお、図8に示すように、これらのボルトによる突出部46a、固定枠46bおよび基部フレーム72bの各固定位置は、バッテリ46の前面側および後面側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0046】
図10は、塵芥収容箱2とバッテリ46との配置関係を模式的に示す車両前方から見た断面図である。
バッテリ46上面の左右両端部には、凸部46c,46dが形成されており、各凸部46c,46dは、左右の支持本体部62の凹部62aに導入されている。また、バッテリ46上面の左右方向の中央部には、凹部46eが形成されている。この凹部46eには、塵芥収容箱2の底板2bに突設されたチャンネル材からなる補強部2b1の下部が導入されている。また、凹部46eには、電気配線用の円筒状の配管91が配置されており、この配管91の前後両端部は、バッテリ46の固定枠46bにボルト・ナットにより固定されている(図7参照)。
【0047】
さらに、凹部46eには、オイルタンク21および油圧ポンプ22をそれぞれバルブブロック33に接続する油圧ホース92,93が配置されている。この油圧ホース92,93は、塵芥収容箱2を車体フレーム1bに対して後方傾動させる際に、固定側(車体フレーム1b側)のオイルタンク21および油圧ポンプ22と、可動側(塵芥収容箱2側)のバルブブロック33との接続を維持することができる程度の長さに設定されている。具体的には、油圧ホース92,93は、オイルタンク21および油圧ポンプ22から当該油圧ホース92,93を上記凹部46eおよび車体フレーム1bに沿って後支持部65まで延設するとともに、ヒンジピン65cを巻回して支持本体部62に沿って車両前方へ延設することによりバルブブロック33に接続することができる長さに設定されている。
なお、底板2bの下方には、ディスチャージシリンダ19とバルブブロック33とを接続する左右一対の油圧配管94が配置されているが、この油圧配管94を凹部46eに配置させてもよい。
【0048】
図7および図8において、後側の載置フレーム72bの上面および補助フレーム72cの上面には、上記充電器50が載置されている。充電器50の後面には、後方へ突出する突出部50cが一体形成されており、この突出部50cがボルト(図示せず)により補助フレーム72cに固定されている。
充電器50に接続されるコネクタ52は、左舷側の中央支持部64後方の基部フレーム72a上面に、その接続口52aを外側方に向けて取り付けられている(図12参照)。したがって、外部電源からの電源ケーブル51を車両の左舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。なお、コネクタ52は、中央支持部64の後面に取り付けてもよい。
【0049】
図11は、図7の駆動装置58を前方から見た正面図である。
箱前取付部73は、箱前空間Sfの右舷側に配置される第一箱前取付部74と、箱前空間Sfの左舷側に配置される第二箱前取付部75とを有している。
第一箱前取付部74は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム74aと、基部フレーム74aの上面に立設された支持フレーム74bと、支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されたL字型(図8参照)の載置フレーム74cと、支持フレーム74bおよび載置フレーム74cをそれぞれ補強するための補強フレーム74d,74eとを有している。
【0050】
基部フレーム74aは、箱下取付部72の右側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図8参照)。これにより、第一箱前取付部74は、箱下取付部72に一体的に設けられている。載置フレーム74cは、基部フレーム74aに対して右側方にオフセットした状態で配置されており、その水平面には上記オイルタンク21が載置された状態でベルト状の取付枠74fにより固定されている。補強フレーム74dは、一端が基部フレーム74aに固定され、他端が載置フレーム74cの水平面に固定されている。また、補強フレーム74eは、一端が基部フレーム75a(後述)に固定され、他端が支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されている。
【0051】
オイルタンク21の内側上部には、上記オイルフィルタ30aが接続されている。また、オイルタンク21の内側下部には、一端が油圧ポンプ22に接続された油圧配管95の他端が接続されている。さらに、オイルタンク21の上面および外側面には、ステップ96が配置されており、その上下両端部は支持フレーム74bおよび載置フレーム74cに固定されている。これにより、作業者がステップ96を昇って箱前空間Sfへ移動することにより、塵芥収容箱2の前壁2dに設けられた点検窓(図示せず)から塵芥収容箱2内やディスチャージシリンダ19の点検を容易に行うことができる(図4参照)。
【0052】
図8および図11において、第二箱前取付部75は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム75aと、基部フレーム75aの上面に固定された前後一対のアングル材からなる支持フレーム75bと、各支持フレーム75bの上方に配置されたアングル材からなる載置フレーム75cとを有している。
図12は、図7の駆動装置58の右側面図である。
基部フレーム75aは、箱下取付部72の左側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている。これにより、第二箱前取付部75は、箱下取付部72に一体的に設けられている。
【0053】
図13は、第二箱前取付部75を分解した状態を模式的に示す側面図である。
支持フレーム75bと載置フレーム75cとの間には、弾性体である防振ゴム75dが配置されている。この防振ゴム75dは、ボルト75eにより支持フレーム75bの水平面上に固定されている。また、支持部フレーム75bおよび載置フレーム75cは、その長手方向が基部フレーム75aに対して左側方にオフセットした状態で配置されている(図11参照)。
【0054】
左右の載置フレーム75cの上面には、上記パワーユニット49および上記制御ボックス56が取り付けられている。具体的には、図8に示すように、各載置フレーム75cの長手方向の中央部に、上記電動モータ45がボルト(図示せず)により固定されており、電動モータ45の一端部(図8の左側)に上記油圧ポンプ22がボルト(図示せず)により固定されている。また、各載置フレーム75cの左右両端部には、制御ボックス56の四本の脚部56aが、電動モータ45の前後左右を囲むように配置され、図13に示すように、各防振ゴム75dの上端に固定されたボルト75fおよびナット75gにより、各脚部56aが載置フレーム75cに固定されている。
【0055】
各脚部56aの上下方向の長さは、図11に示すように電動モータ45の高さよりも長く形成されており、電動モータ45および制御ボックス56を、相互に干渉することなく載置フレーム75c上に固定することができる。また、制御ボックス56は、防振ゴム75dによって支持されているため、車両走行中の振動等により制御ボックス56に収納されている機器が破損するのを防止することができる。
【0056】
図8において、取付部材71には、上記支持部材61の前支持部63および中央支持部64が、駆動装置58の各構成部材とともに一体的にユニット化された状態で取り付けられている。
前支持部63は、箱下取付部72の基部フレーム72aの前端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のアングル材からなる支持フレーム63aと、各支持フレーム63aの上端に左右両端部が固定された平板状の載置フレーム63bとを有している。
【0057】
中央支持部64は、箱下取付部72の基部フレーム72aの後端部に、補助フレーム72cを前後に跨ぐように配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のチャンネル材からなる支持フレーム64aと、各支持フレーム64aの上端に固定された左右一対の平板状の載置フレーム64bとを有している。
【0058】
取付部材71は、固縛手段76により左右の車体フレーム1bに固定されている。固縛手段76は、取付部材71の前部を各車体フレーム1bの上面に固定している一対の前固縛部77と、取付部材71の後部を各車体フレーム1bの上面に固定している一対の後固縛部78とから構成されている。
前固縛部77は、Uボルト77aとナット77bとにより、各箱前取付部74,75の基部フレーム74a,65aをそれぞれ車体フレーム1bに固定している。後固縛部78は、ボルト78aとナット78bとにより、中央支持部64の外側面および車体フレーム1bの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット78c、78d同士を締結することにより、中央支持部64を車体フレーム1bに固定している。
【0059】
図12において、前支持部63および中央支持部64の各載置フレーム63b,64b上には、支持本体部62の下面が載置されており、支持本体部62は、締結手段80,81により前支持部63および中央支持部64に着脱可能に固定されている。
締結手段80は、ボルト80aとナット80bとにより、支持本体部62の外側面および前支持部63の支持フレーム63aの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット80a,80b同士を締結することにより、支持本体部62の前端部を前支持部63に固定している。
締結手段81は、ボルト81aとナット81bとにより、支持本体部62の外側面および中央支持部64の支持フレーム64aの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット81a,82b同士を締結することにより、支持本体部62の中央部を中央支持部64に固定している。
【0060】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58および塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図8に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63および中央支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する(図7参照)。また、塵芥収容箱2の底板2bに、支持部材61の支持本体部62を溶接により固定し、この支持本体部62の後端部下面に後支持部65の可動ヒンジ65cを溶接により固定する(図1および図10参照)。なお、底板2bに支持本体部62を固定する前に、予め支持本体部62に可動ヒンジ65cを固定しておいてもよい。
【0061】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図12に示すように、固縛手段76の前固縛部77および後固縛部78により、取付部材71の前後を車体フレーム1b上に固定する。また、車体フレーム1b後部の上面に、後支持部65の固定ヒンジ65aを溶接により固定する(図1参照)。
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2側に固定された可動ヒンジ65bを、車体フレーム1b側の固定ヒンジ65aにヒンジピン65cにより連結する。ついで、塵芥収容箱2側の支持本体部62を、車体フレーム1b側の前支持部63および中央支持部64の各上面に載置する。この状態で、締結手段80,81により支持本体部62を上支持部63および中央支持部64に締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0062】
次に、箱下空間Sdに配置された駆動装置58のメンテナンス作業をする際に、塵芥収容箱2を後方傾動させる作業について説明する。
まず、塵芥収容箱2上面の係合部2iにクレーン98のフック98aを係合させる。ついで、図12において、締結手段80,81のボルト80a,81aとナット80b,81bとの締結をそれぞれ解除し、前支持部63および中央支持部64に対する支持本体部62の固定を解除する。この状態からクレーン98により塵芥収容箱2の前部を吊り上げると、塵芥収容箱2は後方に傾動する。
【0063】
塵芥収容箱2の後方傾動によって、塵芥投入箱3の底部が地面に接近すると、図14に示すように、傾動規制手段67の接地部67aが接地し、塵芥収容箱2の後方傾動が停止する。ついで、倒伏規制手段68のアーム部68bを手動により上方回動させ、係合部68cを塵芥収容箱2側の被係合部62bに係合させる。これにより、塵芥収容箱2は後方傾動した状態に保持され、箱下空間Sdに配置されたバッテリ46や充電器50等のメンテナンス作業を行うことができる。
メンテナンス作業終了後は、前述と逆の手順で、傾動状態の塵芥収容箱1を倒伏させ、図1の走行可能な状態に戻す。
【0064】
以上のように構成された本実施形態の塵芥収集車1によれば、塵芥収容箱2を、傾動支持部(後支持部65)によって車体フレーム1bに対して後方傾動可能に支持しているため、箱下空間Sdに配置されたバッテリ46等のメンテナンス作業をする際に、塵芥収容箱2を後方傾動させることにより、塵芥収容箱2に邪魔されることなくメンテナンス作業を容易に行うことができる。したがって、箱下空間Sdに配置されている駆動装置58のメンテナンス作業を容易に行うことができる。特に、重量物であるバッテリ46の交換作業を行う際に有効となる。
【0065】
また、塵芥収容箱2を後方傾動可能に支持する傾動支持部(後支持部)65が、箱下空間Sdを形成する支持部材61の一部を兼用しているため、部品点数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
また、外部装置であるクレーン98により係合部2iを吊り上げることにより、塵芥収容箱2を後方傾動させるようにしたので、塵芥収容箱2を後方傾動させるためのアクチュエータを車両側に設ける必要がない。したがって、製造コストを効果的に低減することができる。
また、塵芥収容箱2を後方傾動させる際に、塵芥収容箱2が所定角度以上に後方傾動するのを傾動規制手段67によって規制するようにしたので、塵芥収容箱2が必要以上に傾動することによって、車両が後方に転倒するのを防止することができる。
【0066】
また、塵芥収容箱2が傾動した状態から倒伏するのを倒伏規制手段68によって規制するようにしたので、塵芥収容箱2を傾動させた状態で、箱下空間Sdの駆動装置58のメンテナンス作業を行っている際に、塵芥収容箱2が倒伏するのを規制することができる。したがって、箱下空間Sdに配置されている駆動装置58のメンテナンス作業を安全に行うことができる。また、倒伏規制手段67は、上記メンテナンス作業を行わない場合には、図1に示すように、中央支持部64と後支持部65との間のデッドスペースに格納することができるため、専用の格納スペースを別途設ける必要がない。したがって、車両全体をコンパクトに構成することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、傾動支持部(後支持部65)は、ヒンジ機構によって構成されているが、車体フレーム1b側に回転自在に設けたガイドローラ上を、塵芥収容箱2側の支持本体部62が後方へ摺動しながら塵芥収容箱2を後方傾動させる機構であってもよい。
また、傾動支持部は、支持本体部62を介して塵芥収容箱2を支持しているが、塵芥収容箱2の底板2bを直接支持するようにしてもよい。この支持構成は、特に支持本体部62を用いずに塵芥収容箱2と車体フレーム1bとの間に箱下空間Sdを形成している場合に有効である。
【0068】
さらに、傾動支持部は、支持部材61の一部(後支持部65)として兼用しているが、後支持部56とは別に設けることも可能である。
また、傾動支持部は、塵芥収容箱2を車体フレーム1bに対して後方に傾動可能に支持しているが、駆動装置58が箱下空間Sdの車幅方向の一方側に偏って配置されている場合は、その他方側となる右側方または左側方に傾動可能に支持することも可能である。この場合は、右側または左側の前支持部63、中央支持部64、後支持部65をヒンジ機構として構成し、傾倒規制手段67を塵芥収容箱2の側壁2f等に設ければよい。
【0069】
また、外部装置は、クレーン98以外に、ジャッキを適用することも可能である。この場合は、車体フレーム1bと支持本体部62との間にジャッキを配置し、このジャッキによって塵芥収容箱2の前部を持ち上げるようにすればよい。
また、塵芥収容箱2は、外部装置(クレーン98)により傾動させているが、車両側に設けた油圧シリンダ等のアクチュエータによって傾動させるようにしてもよい。但し、製造コストを低減するという観点では、外部装置により傾動させることが好ましい。
また、箱下空間Sdを形成する窪み部66は、支持部材61によって形成されているが、排出板18が最前方位置に移動した状態でその傾斜部18aの下部よりも前方に位置する塵芥収容箱2の底板2bに形成することも可能である。この場合、排出板18前方のデッドスペースを有効利用することができる。また、箱下空間Sdを形成するための支持部材61が不要になるため、部品点数を削減することができる。
【0070】
また、締結手段80,81は、支持本体部61を前支持部63および中央支持部64に対して着脱可能に固定しているが、支持本体部61を前支持部63および中央支持部64に一体的に固定し、前支持部63および中央支持部64を取付部材71(基部フレーム72a)に対して着脱可能に固定することも可能である。この場合、後固縛部78は、中央支持部64に代えて基部フレーム72aを車体フレーム1bに固縛すればよい。
また、傾動規制手段67の接地部67aは、車幅方向に延びる単一部材によって構成されているが、車幅方向に配置された複数の部材によって構成されていてもよい。また、傾動規制手段67は、接地ローラを有するジャッキによって構成することも可能である。
【0071】
また、駆動装置58の一部を箱下空間Sdに配置しているが、例えば、窪み部66を車両前後方向に長く形成して箱下空間Sdを広く形成することにより、この箱下空間Sdに駆動装置58の全部を配置するようにしてもよい。
また、支持本体部62、前支持部63、中央支持部64および後支持部65の可動ヒンジ65bは、それぞれ別部材として構成されているが、これらを一体形成することも可能である。
また、窪み部66は、支持本体部62、前支持部63および中央支持部64とによって形成されているが、嵩高に形成した支持本体部62のみによって形成されることも可能である。この場合、支持本体部62の一部を切り欠いて窪み部66を形成し、この窪み部66と車体フレーム1bとによって箱下空間Sdを形成すればよい。
また、箱下空間Sdは、車体フレーム1bと下方に開口した窪み部66とによって形成されているが、支持部材61に貫通孔を形成して箱下空間Sdを形成することも可能である。
【0072】
また、箱下空間Sdは、前支持部63と中央支持部64との間に形成されているが、中央支持部63と後支持部65との間に形成することも可能である、また、例えば前支持部63を上記実施形態の配置よりも少し後方に配置して前支持部63の前方に箱下空間Sdを形成したり、あるいは後支持部65を上記実施形態の配置よりも少し前方に配置して後支持部65の後方に箱下空間Sdを形成することも可能である。前者の場合は、箱下空間Sdと箱前空間Sfとが連続する空間として形成されるため、これらの空間における駆動装置58の配置自由度を高めることができる。
また、箱下空間Sdは、支持本体部62の下面よりも下方に形成されているが、支持本体部62の車幅方向外側または内側であって、前記下面よりも上方、かつ塵芥収容箱2の底板2bよりも下方の空間を、箱下空間Sdとしてもよい。
【0073】
また、箱下空間Sdに配置される駆動装置58は、塵芥収容箱2を支持部材61上に搭載する前に、箱下取付部72に取り付けられているが、塵芥収容箱2の搭載後に取り付けられるようにしてもよい。
また、箱下空間Sdおよび箱前空間Sfに配置される駆動装置58を、それぞれ箱下取付部72および箱前取付部73を介して車体フレーム1bに取り付けているが、両空間Sd,Sfのうち、いずれか一方または両方の空間に配置される駆動装置58を車体フレーム1bの上面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0074】
また、後支持部65の固定ヒンジ65aは、車体フレーム1b上に固定されているが、例えば箱下取付部72の基部フレーム72aを後方に延長形成することにより、この基部フレーム72aの上面に固定することも可能である。この場合は、固定ヒンジ65aを箱下取付部72に一体的にユニット化することができるので、固定ヒンジ65aと箱下取付部72とを個別に車両に取り付けることなく車両への取り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
また、塵芥収容箱2の底板2bは、平板状に形成されているが、車幅方向両端部に下方に開口する凹部を形成し、この凹部にバッテリ46の凸部46c,46dを収容することも可能である。この場合は、塵芥収容箱2の全高が増加するのをさらに効果的に抑制することができる。さらに、上記凹部を、排出板18が最前方位置に移動した状態でその傾斜部18aの下部よりも前方の底板2bに形成すれば、上記凹部を排出板18前方のデッドスペースに配置することができるため、排出板前方の塵芥収容箱2内の収容スペースSaを減少させることなく塵芥収容箱2の全高が増加するのを抑制することができる。
【0075】
また、バルブブロック33は、塵芥収容箱2側に固定されているが、車体フレーム1b側に固定されていてもよい。この場合、バルブブロック33と各シリンダ9,12,19,31との接続を、油圧配管40に代えて可撓性の油圧ホースにすれば、塵芥収容箱2を傾動させる際に上記接続状態を維持することができる。
また、駆動装置58は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ9,12,19,20を動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。
また、積込装置Tは、押込板8のみで塵芥を積み込むプレス式であるが、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であってもよい。この場合、押込板と、回転板と、これらを動作させるシリンダおよび/またはモータとが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0076】
1 塵芥収集車
1a 運転室
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
2i 係合部
3 塵芥投入箱
3a 投入口
18 排出板
46 バッテリ
58 駆動装置
61 支持部材
65 後支持部(傾動支持部)
67 傾動規制手段
68 倒伏規制手段
Sd 箱下空間
T 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、
前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に前後移動可能に設けられた排出板により当該塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、
バッテリを有するとともに、当該バッテリを動力源として前記積込装置の少なくとも一部を動作させる駆動装置と、を備え、
前記駆動装置の少なくとも一部が、前記車体フレームと前記塵芥収容箱との間に形成された箱下空間に配置されている塵芥収集車であって、
前記塵芥収容箱を、前記車体フレームに対して後方、右側方および左側方のうち少なくとも一方向に傾動可能に支持する傾動支持部を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記車体フレーム上に設けられ、前記箱下空間を形成した状態で前記塵芥収容箱を支持している支持部材をさらに備え、
前記傾動支持部が、前記支持部材の一部とされている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記塵芥収容箱が、前記塵芥収容箱を傾動させる際に当該塵芥収容箱を吊り上げる外部装置を係合するための係合部を有する請求項1または2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記塵芥収容箱が所定角度以上に傾動するのを規制する傾動規制手段をさらに備えている請求項1〜3に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記塵芥収容箱が傾動した状態から倒伏するのを規制する倒伏規制手段をさらに備えている請求項1〜4に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−110965(P2011−110965A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266498(P2009−266498)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】