境界特定装置、筆界特定装置、境界特定方法、筆界特定方法、及びプログラム
【課題】境界を示す図形を少なくとも含む公図等の境界地図データを用いて境界を特定可能な境界特定装置を提供する。
【解決手段】4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部11と、測量された地図であり、4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部12と、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部15と、変換部15がアフィン変換した境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部16と、を備える。
【解決手段】4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部11と、測量された地図であり、4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部12と、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部15と、変換部15がアフィン変換した境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部16と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の境界を特定することができる境界特定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土地の境界を巡っては数多くの争いが起こっている。例えば、隣人同士で、土地の境界がどこに位置するのかを巡って問題が発生することも多い。そのような場合に、土地の位置や境界を特定するための重要な資料である旧土地台帳附属地図(いわゆる「公図」である)を用いることができれば好適である。
【0003】
なお、関連する従来技術として、原図をデジタルカメラで撮影し、撮影方向、レンズ収差等に起因する誤差を補正することによって、撮影対象である原図のコピー図面を作成する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−295423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公図は土地の位置や境界を特定する重要な資料ではあるが、公図によって示される土地の形状が実際の土地の形状と異なっていることもある。これは、当時の測量技術が土地の境界を確認する上では十分であったが、現在の測量技術と比較して、測量の精度があまり高くないことに起因するものである。したがって、公図を用いたとしても、土地の境界を容易に特定することができない場合もある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、境界を示す図形を少なくとも含む公図等の境界地図データを用いて境界を特定可能な境界特定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による境界特定装置は、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部と、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部と、前記4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部と、前記変換部がアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、境界地図データにおける境界図形が測量地図データにおいてどこに位置するのかを知ることができ、境界の位置を特定することが可能である。その結果、例えば、土地の境界を巡る争いが起こっている場合に、その争いを解決することができうる。
【0008】
また、本発明による境界特定装置では、前記変換後情報は、前記境界図形がアフィン変換された画像データを含んでもよい。
このような構成により、変換後の境界図形が画像により示されるため、どこが境界であるのかを視覚的に容易に特定することができうる。
【0009】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界図形は、前記4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在するものであり、前記変換部は、前記基準四角形の内部の画像データの全体を変換し、前記変換後情報は、前記基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。
このような構成により、境界図形のみでなく、変換後の基準四角形の画像データも出力されるため、境界図形の位置等をより特定しやすくなる場合がありうる。
【0010】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データにおいて、前記境界基準点ごとに前記基準四角形の外部に3個の補助基準点が設定されており、前記変換部は、前記12個の補助基準点と、前記4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、前記12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行い、前記変換後情報は、前記9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。
【0011】
このような構成により、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形のみでなく、その周りの領域についても変換を行うことになり、変換後の境界地図データを含む変換後情報を出力する場合に、変換後の基準四角形の画像と、その周りの画像との連続性を保つことができ、よりきれいな画像を出力することができる。
【0012】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データにおける前記境界基準点の設定指示を受け付ける設定指示受付部と、前記設定指示受付部が受け付けた設定指示に応じて、前記境界地図データにおける境界基準点を設定する設定部と、をさらに備え、前記境界地図データ記憶部で記憶されている境界地図データにおける4個の境界基準点は、前記設定部が設定したものであってもよい。
このような構成により、設定指示により、ユーザが境界基準点を自由に設定することができるようになる。
【0013】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データは、公図を光学的機器により読み取ったデータであってもよい。
このような構成により、公図を用いて、境界を特定することができうる。公図は、土地の位置や境界を特定するための重要な資料であるため、このような境界の特定は適切なものであると考えられ、また、例えば、土地の境界を巡る紛争当事者が、その境界の特定結果に納得する可能性も十分高いと考えられる。
【0014】
また、本発明による境界特定装置では、前記測量地図データは、座標に関する情報を含むものであり、前記変換後情報は、前記測量地図データにおける境界図形の位置を示す座標情報を含んでもよい。
【0015】
このような構成により、変換後情報によって、境界図形の位置が座標情報によって示されることになる。したがって、ユーザは、この座標情報を用いることによって、境界がどこに位置するのかを知ることができうる。
【0016】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界図形は、1以上の点を含んでもよく、1以上の線を含んでもよく、1以上の領域を含んでもよい。
【0017】
また、本発明による筆界特定装置は、上記境界特定装置と同一の構成を有するものであって、特定したい境界が筆界であることを特徴とするものである。
このような構成により、筆界を特定することができうる。その結果、筆界に関する紛争等を解決することができうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による境界特定装置等によれば、境界地図データにおける境界図形が測量地図データにおいてどこに位置するのかを知ることができ、境界の位置を特定することが可能である。その結果、例えば、土地の境界を巡る争いが起こっている場合に、本発明による境界特定装置等を用いることにより、その争いを解決することができうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による境界特定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による境界特定装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による境界特定装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施の形態による境界特定装置1は、境界地図データ記憶部11と、測量地図データ記憶部12と、設定指示受付部13と、設定部14と、変換部15と、出力部16とを備える。
【0021】
境界地図データ記憶部11では、境界地図データが記憶される。ここで、境界地図データとは、4個の境界基準点と、特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである。なお、「境界」は、所有権界(所有権境)であってもよく、筆界であってもよく、その他の土地に関する何らかの区切りであってもよい。すなわち、「境界」は「筆界」を含む概念である。その境界地図データにおいて、境界基準点ごとに3個の補助基準点が設定されていてもよい。その補助基準点は、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の外部に設定されているものとする。この境界地図データは、例えば、ラスタデータであり、そのデータ形式は問わない。この境界地図データは、例えば、公図やその他の信頼性の高い境界を示す地図を光学的機器により読み取ったデータであってもよい。光学的機器とは、例えば、デジタルスチルカメラや、スキャナ等である。なお、境界地図データを、公図等を光学的機器により読み取ることにより作成した場合に、境界地図データを公図等と正確に一致させるために、画像補正を行ってもよい。したがって、この境界地図データは、例えば、上記特許文献1の技術を用いて作成されたデータであってもよい。4個の境界基準点は、境界地図データの示す境界地図上に設定された基準点であり、例えば、後述する設定部14により設定されてもよく、あるいは、交差点やランドマーク、その他の特徴的な位置等を自動検出するソフトウェア等を用いて自動的に設定されてもよい。本実施の形態では、境界基準点が設定部14によって設定される場合について説明する。境界図形は、特定したい境界を示すものであれば、どのようなものであってもよい。境界図形は、例えば、1以上の点を含むものであってもよく、1以上の線(例えば、直線でもよく、曲線でもよい)を含むものであってもよく、1以上の領域(すなわち、2次元的な広がりを有するもの)を含むものであってもよい。境界図形が、例えば、境界標の位置を示すものである場合には、点となりうる。また、境界図形が、例えば、土地の境界を示す場合には、線となりうる。また、境界図形が、例えば、土地の範囲を示す場合には、領域となりうる。境界図形は、1個の図形であってもよく、2以上の図形の集合であってもよい。また、境界地図データに1個の境界図形が含まれてもよく、あるいは、2以上の境界図形が含まれてもよい。また、境界図形は、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在してもよく、あるいは、外部に存在してもよい。本実施の形態では、前者の場合について説明する。
【0022】
境界地図データ記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。境界地図データ記憶部11に境界地図データが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよい。本実施の形態では、記録媒体を介して境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになるものとする。
【0023】
測量地図データ記憶部12では、測量地図データが記憶される。ここで、測量地図データとは、測量された地図であり、4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである。この測量地図データにより、実際の土地の形状や位置等が正確に示されるものとする。測量基準点は、境界基準点と同様に、手動で設定されてもよく、あるいは、自動的に設定されてもよい。この測量地図データは、例えば、ラスタデータであってもよく、あるいは、ベクタデータであってもよい。測量地図データがラスタデータである場合には、そのラスタデータに座標に関する情報である座標情報が対応付けられていることが好適である。なお、ベクタデータには、あらかじめ座標情報が含まれている。この座標情報の示す座標値は、例えば、測量地図データにおいて任意に設定された座標系における座標値であってもよく、あるいは、実際の土地の位置を特定可能な座標値(例えば、緯度と経度やその他の位置を特定可能な情報等)であってもよい。この測量地図データのデータ形式は問わない。この測量地図データは、例えば、現地で測量した結果を基に作成された座標値の設定されているデータであってもよく、座標値の設定されている航空写真のデータであってもよく、オルソ画像(航空写真を幾何補正した画像)のデータであってもよく、都市計画図等の既存の地図のデータであってもよく、その他のデータであってもよい。
【0024】
測量地図データ記憶部12は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。測量地図データ記憶部12に測量地図データが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよい。本実施の形態では、記録媒体を介して測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになるものとする。
【0025】
設定指示受付部13は、設定指示を受け付ける。ここで、設定指示とは、境界地図データにおける境界基準点の設定を指示する情報である。設定指示は、他の設定を指示する情報であってもよい。例えば、設定指示により、補助基準点の設定の指示がなされてもよく、境界地図データの示す境界地図と、測量地図データの示す測量地図との相対的な位置関係や相対的な大きさの関係等を変更する旨の指示がなされてもよい。また、設定指示は、境界地図データ以外のデータ、例えば、測量地図データへの設定を指示するものであってもよい。ここで、この受け付けは、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報の受け付けでもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信でもよい。本実施の形態では、入力デバイスから入力された設定指示を受け付けるものとする。なお、設定指示受付部13は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、設定指示受付部13は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0026】
設定部14は、設定指示受付部13が受け付けた設定指示に応じて、境界地図データにおける境界基準点を設定する。また、設定指示受付部13が他の設定指示を受け付けた場合には、その設定指示に応じた処理を行ってもよい。例えば、設定指示受付部13が境界地図データの示す境界地図と、測量地図データの示す測量地図との相対的な位置関係を変更する旨の指示を受け付けた場合には、その指示に応じて、その相対的な位置関係を変更してもよい。
【0027】
変換部15は、境界地図データにおける4個の境界基準点が、測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データの境界図形をアフィン変換する。このアフィン変換の詳細については後述する。この変換により、少なくとも境界図形は変換されるものとする。その変換によって、測量地図データが示す測量地図において、境界図形がどこに位置するのかがわかることになる。なお、境界図形のみでなく、境界図形以外の領域についても変換がなされてもよいことは言うまでもない。例えば、変換部15は、境界図形を含む基準四角形の内部の画像データの全体を変換してもよい。また、境界地図データが4個の境界基準点と、12個の補助基準点とを含む場合には、変換部15は、12個の補助基準点と、4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行ってもよい。12個の補助基準点と、4個の境界基準点とからなる9個の各四角形の具体的な位置関係等については、後述する具体例において説明する。
【0028】
出力部16は、変換後情報を出力する。ここで、変換後情報とは、変換部15がアフィン変換した境界図形の位置を少なくとも示す情報である。この変換後情報によって、測量地図データにおいて境界図形が存在する位置を知ることができることになり、例えば、土地の境界の紛争を解決することができうる。この変換後情報は、画像データであってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。前者の場合には、変換後情報に含まれる変換後の境界図形の画像データと、測量地図データとの位置関係がわかるようになっていることが好ましい。例えば、変換後の境界図形の画像データと測量地図データとが重ね合わされたデータが変換後情報であってもよく、変換後の境界図形の画像データと、その画像データと測量地図データとの相対的な位置関係を示す情報が変換情報に含まれていてもよい。変換後情報が画像データでない場合には、変換後情報は、例えば、測量地図データにおける変換後の境界図形の位置を示す座標情報を含んでもよい。また、変換後情報は、境界図形がアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換部15が基準四角形の内部の画像データを変換した場合には、変換後情報は、基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換部15が補助基準点と境界基準点とからなる9個の各四角形について変換を行った場合には、変換後情報は、その9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換後情報は、境界地図データにおける、その9個の各四角形の外部の画像データ、すなわち、変換されていない画像データを含んでもよい。また、変換後情報は、測量地図データを含んでもよい。
【0029】
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよい。本実施の形態では、この出力は、ディスプレイへの表示、または、磁気ディスク等の記録媒体への蓄積であるとする。なお、出力部16は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部16は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0030】
なお、境界地図データ記憶部11と、測量地図データ記憶部12とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、境界地図データを記憶している領域が境界地図データ記憶部11となり、測量地図データを記憶している領域が測量地図データ記憶部12となる。
【0031】
次に、本実施の形態による境界特定装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)設定指示受付部13は、設定指示を受け付けたかどうか判断する。そして、設定指示を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
【0032】
(ステップS102)設定部14は、設定指示受付部13が受け付けた設定指示に応じて、境界地図データへの設定を行う。この設定は、例えば、境界基準点の設定等である。なお、設定指示が境界地図データ以外のデータ、例えば、測量地図データへの設定を指示する場合には、その指示に応じた設定を行うものとする。そして、ステップS101に戻る。
【0033】
(ステップS103)変換部15は、変換を開始するかどうか判断する。変換部15は、例えば、境界特定装置1が変換を開始する旨のユーザからの指示を受け付けた場合に、変換を開始すると判断してもよく、あるいは、他のタイミングによって変換を開始すると判断してもよい。そして、変換を開始する場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0034】
(ステップS104)変換部15は、変換を行うことができるかどうか判断する。例えば、4個の境界基準点と、対応する4個の測量基準点とが設定されていない場合には、変換を行うことができないと判断する。そして、変換を行うことができる場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0035】
(ステップS105)変換部15は、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データを変換する。なお、境界地図データの変換は、前述のように、境界地図データに含まれる境界図形の変換でもよく、基準四角形の変換でもよく、境界地図データのその他の領域を含む変換でもよい。この処理の詳細については後述する。
【0036】
(ステップS106)出力部16は、変換部15が変換を行った境界地図データを含む変換後情報を出力する。そして、境界地図データの変換を行う一連の処理は終了となる。
【0037】
図3は、図2のフローチャートにおける境界地図データの変換処理(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。なお、この図3のフローチャートでは、4個の境界基準点と、12個の補助基準点とからなる9個の四角形について、それぞれ変換を行う場合について説明する。また、この図3のフローチャートで示される処理が開始される以前に、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点の近傍に位置するように、境界地図データと測量地図データとの相対的な位置関係の設定が行われているものとする。
【0038】
(ステップS201)変換部15は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS202)変換部15は、i番目の四角形を変換しなければならないかどうか判断する。i番目の四角形の境界基準点に対応する頂点が、測量基準点に一致していない場合には、変換部15は、i番目の四角形を変換しなければならないと判断する。そして、変換しなければならない場合には、ステップS203に進み、そうでない場合には、ステップS204に進む。
【0039】
(ステップS203)変換部15は、i番目の四角形について変換を行う。なお、この四角形の変換の処理の詳細については後述する。
(ステップS204)変換部15は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0040】
(ステップS205)変換部15は、i番目の四角形が存在するかどうか判断する。本実施の形態では、9個の四角形について処理を行うため、i=10であればi番目の四角形が存在しないと判断すればよい。そして、i番目の四角形が存在する場合には、ステップS202に戻り、そうでない場合には、境界地図データを変換する一連の処理は終了となり、ステップS106に進む。
【0041】
図4は、図3のフローチャートにおける四角形の変換処理(ステップS203)の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートでは、四角形の内分比を一定に保存するように変換を行うものとする。
【0042】
(ステップS301)変換部15は、変換後のi番目の四角形からなるi番目の四角形を含む長方形を設定する。この長方形は、そのi番目の四角形を含む最小の大きさの長方形であることが好適である。ここで、変換後の四角形とは、4個の測量基準点からなる四角形、あるいは、補助基準点と測量基準点とからなる四角形である。補助基準点は、変換によって移動しない点であるため、変換後にも四角形の頂点となりうる。なお、4個の境界基準点からなる四角形、あるいは、補助基準点と境界基準点とからなる四角形のことを変換前の四角形と呼ぶことにする。
(ステップS302)ステップS301で設定した長方形において、点Psを初期位置に設定する。この初期位置は、例えば、長方形の頂点の位置である。
【0043】
(ステップS303)変換部15は、点Psが変換後のi番目の四角形の内部に存在するかどうか判断する。そして、内部に存在する場合には、変換を行う必要があるためステップS304に進み、そうでない場合には、変換を行う必要がないためステップS307に進む。この判断は、どのような方法によって行われてもよい。例えば、i番目の四角形の外部に点を取り、その外部の点と点Psとを両端点とする線分と、i番目の四角形の各辺との交点の数をカウントすることによって、点Psがi番目の四角形の内部に存在するかどうかを判断してもよい。すなわち、交点の数が0または2であれば、点Psはi番目の四角形の外部に存在することになり、交点の数が1であれば、点Psはi番目の四角形の内部に存在することになる。
【0044】
(ステップS304)変換部15は、変換前のi番目の四角形における、点Psに対応する点Pcの位置を算出する。なお、この算出において、変換前のi番目の四角形における点Pcの内分比と、変換後のi番目の四角形における点Psの内分比とが同じになるように、点Pcの位置を算出する。このように、四角形において内分比を保存するアフィン変換は、「単純アフィン変換」と呼ばれることもある。この処理の具体例については後述する。
【0045】
(ステップS305)変換部15は、点Pcに対応する境界地図データの画素値を取得する。
(ステップS306)変換部15は、ステップS305で取得した境界地図データの点Pcの画素値を、点Psの位置に設定する。この設定は、例えば、境界地図データ記憶部11において、変換後の境界地図データのために割り当てられた記憶領域に点Psの位置に対応付けて点Pcの画素値を蓄積することによってなされる。
【0046】
(ステップS307)変換部15は、点PsがステップS301で設定した長方形における最終の位置であるかどうか判断する。そして、最終の位置である場合には、四角形を変換する一連の処理は終了となり、ステップS204に進み、そうでない場合には、ステップS308に進む。
【0047】
(ステップS308)変換部15は、点Psを次の位置に移動させ、新たな点Psを設定する。この移動の方法は、あらかじめ設定されているものとする。例えば、その移動の方法は、一画素だけ右に移動できる場合には一画素だけ右に移動し、一画素だけ右に移動できない場合、すなわち、それ以上右に画素が存在しない場合には、一画素だけ下の一番左の画素に移動する、という方法であってもよい。そして、ステップS303に戻る。
【0048】
なお、この図4のフローチャートで示される四角形の変換の方法は一例であって、四角形の内分比を一定に保存するように変換を行うのであれば、図4のフローチャートとは異なるように変換を行ってもよい。
【0049】
次に、本実施の形態による境界特定装置1の動作について、具体例を用いて説明する。
この具体例において、境界特定装置1の境界地図データ記憶部11に、図5で示される境界地図データが記録媒体から読み込まれたとする。この境界地図データは、ラスタデータであるとする。図5の境界地図データにおいて、土地Aと土地Bとの間の境界線が問題になっていたとする。この場合、図5の境界地図データの破線で示されるように、境界図形は線分である。
【0050】
まず、境界特定装置1のユーザは、その境界地図データをディスプレイに表示し、マウス等を操作することによって、境界基準点の位置を指定し、その位置を境界基準点に設定する旨の設定指示を入力する(ステップS101)。すると、設定部14は、その設定指示に応じて、境界基準点を設定する(ステップS102)。ユーザは、4個の境界基準点のそれぞれについて、その設定指示の入力を行うものとする。図6で示される境界地図データにおいて、そのようにして設定された境界基準点が黒丸「●」で示されている。図6で示されるように、4個の境界基準点からなる四角形が境界図形を内部に含むように境界基準点が設定されることが好ましい。
【0051】
次に、境界特定装置1のユーザは、各境界基準点に対して、3個の補助基準点を設定する(ステップS101,S102)。この設定も、境界基準点の場合と同様にしてなされる。なお、この補助基準点は、境界基準点と、その境界基準点に対して設定された3個の補助基準点とを用いて、四角形を形成することができるように設定されなければならない。また、12個の補助基準点を結んでなる多角形の内側のみについて画像の変換が行われることになるため、移動させたくない領域、例えば、道路の領域や川の領域等が、12個の補助基準点を結んでなる多角形の外側に位置するように、補助基準点の位置を設定することが好適である。また、12個の補助基準点と、4個の境界基準点を頂点とする3×3の各四角形のそれぞれが略矩形となるように補助基準点が設定されることが好適である。図6で示される境界地図データにおいて、そのようにして設定された補助基準点が黒三角「▲」で示されている。このようにして、図6で示されるように、1〜9までの9個の四角形が設定されることになる。なお、各四角形の変換において、移動可能な点は境界基準点のみであり、補助基準点は移動することのできない固定点である。
【0052】
図7は、記録媒体から測量地図データ記憶部12に読み込まれた測量地図データを示す図である。この測量地図データは、ベクタデータであるとする。したがって、この測量地図データにおいて、各位置の座標を示す座標情報を容易に取得することができるものとする。図7で示される測量地図データにおいて、測量基準点が×印によって示されている。この測量基準点は、境界基準点にそれぞれ対応する点である。この測量基準点は、測量地図データにおいてはじめから設定されていてもよく、あるいは、境界基準点と同様に、ユーザが設定してもよい。
【0053】
なお、境界地図データの変換を開始する前に、ユーザは、あらかじめ境界地図データと、測量地図データとを重ね合わせてだいたいの位置決めを行っているものとする。例えば、図8で示されるように、境界地図データの各境界基準点が、測量地図データの各測量基準点の近傍に位置するように、両者を重ね合わせておく。図8では、説明の便宜上、境界基準点と測量基準点のみを示しているが、実際には、境界地図データと測量地図データとが重ね合わされることになる。そして、境界地図データと測量地図データとを重ね合わせた場合における相対的な位置関係、例えば、両地図データの原点の相対的な位置関係や、両地図データの所定の軸(例えば、x軸)の相対的な角度、両地図データの相対的な大きさの関係等が境界地図データ記憶部11等において保持されるものとする。なお、図8で示されるように、各境界基準点が、各測量基準点に一致するように、4個の境界基準点からなる四角形が変換されることになる。ここで、境界基準点と測量基準点との対応は、手動で入力されてもよく、あるいは、自動で判断されてもよい。後者の場合には、例えば、ある境界基準点に最も近い測量基準点が、その境界基準点に対応する測量基準点であると判断されてもよい。
【0054】
次に、ユーザが、マウス等を操作することにより、境界地図データを変換する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、変換部15は、変換を開始すると判断し(ステップS103)、境界地図データにおいて境界基準点が設定されており、測量地図データにおいて測量基準点が設定されているため、変換を行うことができると判断する(ステップS104)。そして、境界地図データの変換の処理(ステップS105)が開始される。
【0055】
まず、変換部15は、図6で示される境界地図データを参照し、1個目の四角形について変換が必要であるかどうか判断する(ステップS201,S202)。この場合には、図8で示されるように、その1個目の四角形の右下の境界基準点を測定基準点に移動させることによって両基準点を一致させるため、1個目の四角形について変換が必要であると判断される。なお、この具体例では、図8で示されるように、4個の境界基準点のうち、右上の境界基準点のみが測量基準点とはじめから一致していることになる。したがって、図6の境界地図データにおいて、3番目の四角形以外は、すべて変換が必要であると判断されることになる。
【0056】
ここで、変換部15が行う四角形の変換処理の一般的な方法について説明する。この説明において、図9で示されるように、変換部15が、境界基準点P1〜P4からなる四角形の画像を、測量基準点Q1〜Q4からなる四角形の領域に変換する場合について説明する。この変換は、前述のように、内分比を保存するように行われる。すなわち、図9において、線分P1P2をξ:(1−ξ)に内分する点と、線分P3P4をξ:(1−ξ)に内分する点とを通る線分をL1とする。また、線分P1P3をη:(1−η)に内分する点と、線分P2P4をη:(1−η)に内分する点とを通る線分をL2とする。そして、線分L1と、線分L2との交点が点Pcであるとする。ここで、図9において、ξ:(1−ξ)と、η:(1−η)とが四角形P1P2P4P3における点Pcの内分比である。
【0057】
この点Pcが変換された後の点をPsとする。その点Psは、図10で示されるように、線分L3と、線分L4との交点である。線分L3は、線分Q1Q2をξ:(1−ξ)に内分する点と、線分Q3Q4をξ:(1−ξ)に内分する点とを通る線分である。同様に、線分L4は、線分Q1Q3をη:(1−η)に内分する点と、線分Q2Q4をη:(1−η)に内分する点とを通る線分である。なお、ξ、ηは共に、0≦ξ≦1、0≦η≦1を満足する実数である。
【0058】
図9、図10からわかるように、四角形の内分比を保存する変換とは、変換前の四角形P1P2P4P3の内部の点Pcを、その正規化座標(ξ,η)の値が変わらないように、変換後の四角形Q1Q2Q4Q3の内部の点Psに変換することである。この変換を四角形の内部のすべての点について行うことにより、辺完全の四角形の画像を、変換後の四角形の画像に変換することができる。なお、正規化座標(ξ,η)については、次の文献に記載されている。
文献:「計算幾何学と地理情報処理(第2版)」、腰塚武志(編集)、共立出版、1993年3月
【0059】
このように点Pcを点Psに移動させる変換を四角形の内分比を保存する変換と呼ぶ。この変換は、アフィン変換の一形態として広く知られており、その詳細な説明を省略する。
【0060】
なお、具体的な変換処理としては、変換後の点Psに対応する変換前の点Pcを算出し、その点Pcに対応する画素値を点Psに対応する画素値に設定することによって、変換を行う。以下、その方法について説明する。
【0061】
まず、変換部15は、図11で示されるように、測量基準点からなる四角形を含むように、x軸、y軸に平行な線分で最小の大きさの長方形を設定する(ステップS301)。ここで、点QNのx座標値をQNxとし、点QNのy座標値をQNyとする。ただし、Nは、1から4までのいずれかの整数である。すると、図11における長方形の右上の座標値は、(x、y)=(Max(Q1x、Q2x、Q3x、Q4x)、Max(Q1y、Q2y、Q3y、Q4y))となる。一方、左下の座標値は、(x、y)=(Min(Q1x、Q2x、Q3x、Q4x)、Min(Q1y、Q2y、Q3y、Q4y))となる。
【0062】
次に、変換部15は、この長方形の左上の頂点に、点Psを設定する(ステップS302)。その位置が点Psの初期位置である。すると、変換部15は、そのPsの位置と、四角形Q1Q2Q3Q4との位置とを比較し、点Psが四角形Q1Q2Q3Q4の内部に存在しないと判断する(ステップS303)。そして、変換部15は、点Psの位置を1画素だけ右側にずらす(ステップS307,S308)。
【0063】
このようして、点Psが移動されて、四角形Q1Q2Q3Q4の内部に位置するようになったとする。すると、変換部15は、図9,図10を用いて説明したようにして、内分比を保存する点Psに対応する点Pcの位置を特定する(ステップS304)。そして、境界地図データから、その点Pcに対応する画素値を取得し(ステップS305)、変換後の境界地図データにおいて、点Psに対応付けてその取得した画素値を蓄積する(ステップS306)。なお、拡大や縮小が行われたことなどにより、点Pcの位置に画素値が設定されていない場合、あるいは、点Pcの位置に2以上の画素値が設定されている場合には、その点Pcの近傍の画素値や、点Pcの複数の画素値を用いて補間等を行うことによって、点Pcに対応する画素値を取得してもよい。このような補間等の処理については広く知られており、その詳細な説明を省略する。
【0064】
これらの処理を、図11で示される長方形のすべての画素について実行することにより、四角形P1P2P3P4の内部の画像を、四角形Q1Q2Q3Q4の内部の位置に変換することができる。なお、この説明では、四角形のすべての頂点が移動する場合について説明したが、四角形の少なくとも1個の頂点が移動する場合について、容易に応用することができる。例えば、境界基準点のいずれかが補助基準点である場合には、その補助基準点は固定点であるので、変換部15は、境界基準点のみを測量基準点に一致するように四角形を変換すればよいことになる。
【0065】
図6に戻り、変換部15は、4個の境界基準点が、対応する4個の測量基準点に一致するように、9個の四角形の画像を順番に変換する(ステップS201〜S205)。なお、変換後の境界地図データにおいて、9個の四角形以外の領域の画像としては、元の境界地図データの画像を用いるものとする。そして、変換部15は、測量地図データと、それに重ね合わせた変換後の境界地図データと、両地図データの相対的な位置関係等を示す情報とを出力部16に渡す。すると、出力部16は、その測量地図データと、変換後の境界地図データとを、両者の位置関係等を示す情報を用いて重ね合わせた画像を変換後情報としてディスプレイに出力する(ステップS106)。
【0066】
図12は、ディスプレイに出力された変換後情報の一例を示す図である。図12で示されるように、境界地図データの境界図形が変換されているため、土地Aと、土地Bとの間の境界がどこに位置するのかが容易にわかることになる。また、測量地図データが有する座標情報を用いることにより、その境界図形の位置を座標情報として取得することも可能である。また、9個の四角形の外側については、画像の変換が行われないため、例えば、道路の画像が変換されてしまう、というような不適切な変換が行われることを防止することもできうる。
【0067】
なお、この具体例では、境界基準点からなる四角形以外の8個の四角形の画像についてもアフィン変換を行う場合について説明したが、境界基準点からなる四角形のみについて、アフィン変換を行ってもよい。その場合には、境界地図データにおいて、補助基準点が設定されていなくてもよい。また、その場合には、境界地図データにおける境界基準点からなる四角形の画像を切り取って測量地図データの測量基準点からなる四角形に合うように変換して測量地図データに貼り付けてもよい。そのようにする場合には、境界基準点が測量基準点の近傍となるように、境界地図データと測量地図データとの位置関係等を調整する処理を行わなくてもよい。
【0068】
また、この具体例では、変換後情報に測量地図データと、変換後の境界地図データとが含まれる場合について説明したが、変換後情報には、例えば、測量地図データと、変換後の境界図形のみが含まれてもよい。境界図形のみを変換する場合には、例えば、境界図形に含まれる画素Pcに対応する変換後の点Psを算出し、その点Psの画素値として、画素Pcの画素値を設定するようにしてもよい。
【0069】
以上のように、本実施の形態による境界特定装置1によれば、4個の境界基準点を4個の測量基準点に一致させるようにアフィン変換を行うことによって、測量地図データにおける境界図形の位置を求めることができる。その結果、その境界図形の位置を用いることにより、土地の境界に関する紛争を解決することができうる。また、この境界特定装置1を筆界特定に用いることもできる。
【0070】
また、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形のみでなく、その周りの領域、すなわち、境界基準点と補助基準点とからなる8個の各四角形についても変換を行うことによって、変換後の境界地図データを含む変換後情報を出力する場合に、変換後の基準四角形の画像と、その周りの画像との連続性を保つことができ、より自然できれいな画像を出力することができる。
【0071】
また、本実施の形態による境界特定装置1を、境界未定の解消についても利用することができうる。すなわち、境界がどこに位置するのかがわかっていない場合であっても、本実施の形態による境界特定装置1を用いることにより、公図等で示される境界が、測量地図データにおいてどこに位置するのかを容易に知ることができ、境界未定の問題を解決することができうる。
【0072】
また、本実施の形態による境界特定装置1を用いて境界を特定することにより、例えば、換地等が行われることにより境界が大幅にずれている箇所を容易に発見することができる。その結果、その境界の大幅なずれを解消することもできうる。
【0073】
また、本実施の形態による境界特定装置1を用いて、古地図における城や武家屋敷、商店等が、現在の地図においてどこに位置するのかを知ることができ、歴史の学習等に役立てることもできる。その場合には、境界地図データは、その古地図のデータとなり、測量地図データは、現在の地図のデータとなり、境界図形は、城や武家屋敷等の境界を示す図形となる。
【0074】
なお、本実施の形態では、変換部15が四角形を変換する場合に、内分比を保存するように変換すると説明したが、例えば、境界基準点からなる四角形の外側に境界図形が存在する場合には、外分比を保存するように変換を行ってもよい。外分比を保存する場合には、例えば、上記具体例での説明において、ξ、ηが任意の実数を取り得ることになる。なお、線分ABの外分点をPとして、AP:PB=ξ:(1−ξ)である場合に、ξが負の値であれば、点Pは、点A側の延長上にあることになる。一方、(1−ξ)が負の値であれば、点Pは、点B側の延長上にあることになる。この場合に、線分APの長さと、線分PBの長さとの比は、ξの絶対値と、(1−ξ)の絶対値との比と等しくなる。例えば、図13で示されるように、境界地図データにおいて、境界基準点からなる四角形の外側に境界図形(図13では破線で示されている)により、土地Bの領域が示されていたとする。その場合に、境界基準点を測量基準点に一致するように変換した場合の外分比を保存するように境界図形を変換することによって、測量地図データにおいて土地Bの境界線がどこに位置するのかを知ることができるようになり、土地Bの境界を特定することができうる。
【0075】
また、本実施の形態による境界特定装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、あるいは、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバであってもよい。後者の場合には、例えば、設定指示受付部13が通信回線を介して送信された設定指示を受信し、出力部16が通信回線を介して変換後情報を送信してもよい。また、境界地図データ記憶部11や、測量地図データ記憶部12は、送信されてきた境界地図データ等を記憶してもよい。このように、境界特定装置1がサーバである場合には、ASP(Application Service Provider)として境界特定装置1の機能が提供されてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、境界特定装置1が設定指示受付部13と設定部14とを備える構成について説明したが、境界地図データにおいて境界基準点を設定する等の処理を行わなくてよい場合には、境界特定装置1は、設定指示受付部13と設定部14とを備えていなくてもよい。
【0077】
また、本実施の形態による境界特定装置1において、特定したい境界は、前述のように、筆界であってもよい。その場合には、変換された境界図形の位置によって、その特定したい筆界の位置が特定されることになる。特定したい境界が筆界である場合には、境界特定装置を筆界特定装置と呼んでもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における境界特定装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を実行させるためのものである。
【0080】
なお、上記プログラムにおいて、情報を出力する出力ステップなどでは、ハードウェアでしか行われない処理、例えば、出力ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理は少なくとも含まれない。
【0081】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
【0082】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0083】
図14は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による境界特定装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される。
【0084】
図14において、コンピュータシステム100は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ105、FD(Flexible Disk)ドライブ106を含むコンピュータ101と、キーボード102と、マウス103と、モニタ104とを備える。
【0085】
図15は、コンピュータシステムを示す図である。図15において、コンピュータ101は、CD−ROMドライブ105、FDドライブ106に加えて、CPU(Central Processing Unit)111と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)112と、CPU111に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)113と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク114と、CPU111、ROM112等を相互に接続するバス115とを備える。なお、コンピュータ101は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0086】
コンピュータシステム100に、上記実施の形態による境界特定装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM121、またはFD122に記憶されて、CD−ROMドライブ105、またはFDドライブ106に挿入され、ハードディスク114に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ101に送信され、ハードディスク114に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM113にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM121やFD122、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0087】
プログラムは、コンピュータ101に、上記実施の形態による境界特定装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム100がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0088】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上より、本発明による境界特定装置等によれば、測量地図データにおける境界の位置を特定することができ、境界を特定するための画像処理を行う装置やシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1による境界特定装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図3】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図5】同実施の形態における境界地図データの一例を示す図
【図6】同実施の形態における境界地図データの一例を示す図
【図7】同実施の形態における測量地図データの一例を示す図
【図8】同実施の形態における四角形の画像の変換について説明するための図
【図9】同実施の形態における内分比を保存する変換について説明するための図
【図10】同実施の形態における内分比を保存する変換について説明するための図
【図11】同実施の形態における四角形の画像の変換について説明するための図
【図12】同実施の形態における測量地図データと変換後の境界地図データとの一例を示す図
【図13】同実施の形態における外分比を保存する変換について説明するための図
【図14】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図15】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0091】
1 境界特定装置
11 境界地図データ記憶部
12 測量地図データ記憶部
13 設定指示受付部
14 設定部
15 変換部
16 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の境界を特定することができる境界特定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土地の境界を巡っては数多くの争いが起こっている。例えば、隣人同士で、土地の境界がどこに位置するのかを巡って問題が発生することも多い。そのような場合に、土地の位置や境界を特定するための重要な資料である旧土地台帳附属地図(いわゆる「公図」である)を用いることができれば好適である。
【0003】
なお、関連する従来技術として、原図をデジタルカメラで撮影し、撮影方向、レンズ収差等に起因する誤差を補正することによって、撮影対象である原図のコピー図面を作成する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−295423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公図は土地の位置や境界を特定する重要な資料ではあるが、公図によって示される土地の形状が実際の土地の形状と異なっていることもある。これは、当時の測量技術が土地の境界を確認する上では十分であったが、現在の測量技術と比較して、測量の精度があまり高くないことに起因するものである。したがって、公図を用いたとしても、土地の境界を容易に特定することができない場合もある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、境界を示す図形を少なくとも含む公図等の境界地図データを用いて境界を特定可能な境界特定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による境界特定装置は、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部と、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部と、前記4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部と、前記変換部がアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、境界地図データにおける境界図形が測量地図データにおいてどこに位置するのかを知ることができ、境界の位置を特定することが可能である。その結果、例えば、土地の境界を巡る争いが起こっている場合に、その争いを解決することができうる。
【0008】
また、本発明による境界特定装置では、前記変換後情報は、前記境界図形がアフィン変換された画像データを含んでもよい。
このような構成により、変換後の境界図形が画像により示されるため、どこが境界であるのかを視覚的に容易に特定することができうる。
【0009】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界図形は、前記4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在するものであり、前記変換部は、前記基準四角形の内部の画像データの全体を変換し、前記変換後情報は、前記基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。
このような構成により、境界図形のみでなく、変換後の基準四角形の画像データも出力されるため、境界図形の位置等をより特定しやすくなる場合がありうる。
【0010】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データにおいて、前記境界基準点ごとに前記基準四角形の外部に3個の補助基準点が設定されており、前記変換部は、前記12個の補助基準点と、前記4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、前記12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行い、前記変換後情報は、前記9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。
【0011】
このような構成により、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形のみでなく、その周りの領域についても変換を行うことになり、変換後の境界地図データを含む変換後情報を出力する場合に、変換後の基準四角形の画像と、その周りの画像との連続性を保つことができ、よりきれいな画像を出力することができる。
【0012】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データにおける前記境界基準点の設定指示を受け付ける設定指示受付部と、前記設定指示受付部が受け付けた設定指示に応じて、前記境界地図データにおける境界基準点を設定する設定部と、をさらに備え、前記境界地図データ記憶部で記憶されている境界地図データにおける4個の境界基準点は、前記設定部が設定したものであってもよい。
このような構成により、設定指示により、ユーザが境界基準点を自由に設定することができるようになる。
【0013】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界地図データは、公図を光学的機器により読み取ったデータであってもよい。
このような構成により、公図を用いて、境界を特定することができうる。公図は、土地の位置や境界を特定するための重要な資料であるため、このような境界の特定は適切なものであると考えられ、また、例えば、土地の境界を巡る紛争当事者が、その境界の特定結果に納得する可能性も十分高いと考えられる。
【0014】
また、本発明による境界特定装置では、前記測量地図データは、座標に関する情報を含むものであり、前記変換後情報は、前記測量地図データにおける境界図形の位置を示す座標情報を含んでもよい。
【0015】
このような構成により、変換後情報によって、境界図形の位置が座標情報によって示されることになる。したがって、ユーザは、この座標情報を用いることによって、境界がどこに位置するのかを知ることができうる。
【0016】
また、本発明による境界特定装置では、前記境界図形は、1以上の点を含んでもよく、1以上の線を含んでもよく、1以上の領域を含んでもよい。
【0017】
また、本発明による筆界特定装置は、上記境界特定装置と同一の構成を有するものであって、特定したい境界が筆界であることを特徴とするものである。
このような構成により、筆界を特定することができうる。その結果、筆界に関する紛争等を解決することができうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による境界特定装置等によれば、境界地図データにおける境界図形が測量地図データにおいてどこに位置するのかを知ることができ、境界の位置を特定することが可能である。その結果、例えば、土地の境界を巡る争いが起こっている場合に、本発明による境界特定装置等を用いることにより、その争いを解決することができうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による境界特定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による境界特定装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による境界特定装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施の形態による境界特定装置1は、境界地図データ記憶部11と、測量地図データ記憶部12と、設定指示受付部13と、設定部14と、変換部15と、出力部16とを備える。
【0021】
境界地図データ記憶部11では、境界地図データが記憶される。ここで、境界地図データとは、4個の境界基準点と、特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである。なお、「境界」は、所有権界(所有権境)であってもよく、筆界であってもよく、その他の土地に関する何らかの区切りであってもよい。すなわち、「境界」は「筆界」を含む概念である。その境界地図データにおいて、境界基準点ごとに3個の補助基準点が設定されていてもよい。その補助基準点は、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の外部に設定されているものとする。この境界地図データは、例えば、ラスタデータであり、そのデータ形式は問わない。この境界地図データは、例えば、公図やその他の信頼性の高い境界を示す地図を光学的機器により読み取ったデータであってもよい。光学的機器とは、例えば、デジタルスチルカメラや、スキャナ等である。なお、境界地図データを、公図等を光学的機器により読み取ることにより作成した場合に、境界地図データを公図等と正確に一致させるために、画像補正を行ってもよい。したがって、この境界地図データは、例えば、上記特許文献1の技術を用いて作成されたデータであってもよい。4個の境界基準点は、境界地図データの示す境界地図上に設定された基準点であり、例えば、後述する設定部14により設定されてもよく、あるいは、交差点やランドマーク、その他の特徴的な位置等を自動検出するソフトウェア等を用いて自動的に設定されてもよい。本実施の形態では、境界基準点が設定部14によって設定される場合について説明する。境界図形は、特定したい境界を示すものであれば、どのようなものであってもよい。境界図形は、例えば、1以上の点を含むものであってもよく、1以上の線(例えば、直線でもよく、曲線でもよい)を含むものであってもよく、1以上の領域(すなわち、2次元的な広がりを有するもの)を含むものであってもよい。境界図形が、例えば、境界標の位置を示すものである場合には、点となりうる。また、境界図形が、例えば、土地の境界を示す場合には、線となりうる。また、境界図形が、例えば、土地の範囲を示す場合には、領域となりうる。境界図形は、1個の図形であってもよく、2以上の図形の集合であってもよい。また、境界地図データに1個の境界図形が含まれてもよく、あるいは、2以上の境界図形が含まれてもよい。また、境界図形は、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在してもよく、あるいは、外部に存在してもよい。本実施の形態では、前者の場合について説明する。
【0022】
境界地図データ記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。境界地図データ記憶部11に境界地図データが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになってもよい。本実施の形態では、記録媒体を介して境界地図データが境界地図データ記憶部11で記憶されるようになるものとする。
【0023】
測量地図データ記憶部12では、測量地図データが記憶される。ここで、測量地図データとは、測量された地図であり、4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである。この測量地図データにより、実際の土地の形状や位置等が正確に示されるものとする。測量基準点は、境界基準点と同様に、手動で設定されてもよく、あるいは、自動的に設定されてもよい。この測量地図データは、例えば、ラスタデータであってもよく、あるいは、ベクタデータであってもよい。測量地図データがラスタデータである場合には、そのラスタデータに座標に関する情報である座標情報が対応付けられていることが好適である。なお、ベクタデータには、あらかじめ座標情報が含まれている。この座標情報の示す座標値は、例えば、測量地図データにおいて任意に設定された座標系における座標値であってもよく、あるいは、実際の土地の位置を特定可能な座標値(例えば、緯度と経度やその他の位置を特定可能な情報等)であってもよい。この測量地図データのデータ形式は問わない。この測量地図データは、例えば、現地で測量した結果を基に作成された座標値の設定されているデータであってもよく、座標値の設定されている航空写真のデータであってもよく、オルソ画像(航空写真を幾何補正した画像)のデータであってもよく、都市計画図等の既存の地図のデータであってもよく、その他のデータであってもよい。
【0024】
測量地図データ記憶部12は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。測量地図データ記憶部12に測量地図データが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになってもよい。本実施の形態では、記録媒体を介して測量地図データが測量地図データ記憶部12で記憶されるようになるものとする。
【0025】
設定指示受付部13は、設定指示を受け付ける。ここで、設定指示とは、境界地図データにおける境界基準点の設定を指示する情報である。設定指示は、他の設定を指示する情報であってもよい。例えば、設定指示により、補助基準点の設定の指示がなされてもよく、境界地図データの示す境界地図と、測量地図データの示す測量地図との相対的な位置関係や相対的な大きさの関係等を変更する旨の指示がなされてもよい。また、設定指示は、境界地図データ以外のデータ、例えば、測量地図データへの設定を指示するものであってもよい。ここで、この受け付けは、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報の受け付けでもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信でもよい。本実施の形態では、入力デバイスから入力された設定指示を受け付けるものとする。なお、設定指示受付部13は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、設定指示受付部13は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0026】
設定部14は、設定指示受付部13が受け付けた設定指示に応じて、境界地図データにおける境界基準点を設定する。また、設定指示受付部13が他の設定指示を受け付けた場合には、その設定指示に応じた処理を行ってもよい。例えば、設定指示受付部13が境界地図データの示す境界地図と、測量地図データの示す測量地図との相対的な位置関係を変更する旨の指示を受け付けた場合には、その指示に応じて、その相対的な位置関係を変更してもよい。
【0027】
変換部15は、境界地図データにおける4個の境界基準点が、測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データの境界図形をアフィン変換する。このアフィン変換の詳細については後述する。この変換により、少なくとも境界図形は変換されるものとする。その変換によって、測量地図データが示す測量地図において、境界図形がどこに位置するのかがわかることになる。なお、境界図形のみでなく、境界図形以外の領域についても変換がなされてもよいことは言うまでもない。例えば、変換部15は、境界図形を含む基準四角形の内部の画像データの全体を変換してもよい。また、境界地図データが4個の境界基準点と、12個の補助基準点とを含む場合には、変換部15は、12個の補助基準点と、4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行ってもよい。12個の補助基準点と、4個の境界基準点とからなる9個の各四角形の具体的な位置関係等については、後述する具体例において説明する。
【0028】
出力部16は、変換後情報を出力する。ここで、変換後情報とは、変換部15がアフィン変換した境界図形の位置を少なくとも示す情報である。この変換後情報によって、測量地図データにおいて境界図形が存在する位置を知ることができることになり、例えば、土地の境界の紛争を解決することができうる。この変換後情報は、画像データであってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。前者の場合には、変換後情報に含まれる変換後の境界図形の画像データと、測量地図データとの位置関係がわかるようになっていることが好ましい。例えば、変換後の境界図形の画像データと測量地図データとが重ね合わされたデータが変換後情報であってもよく、変換後の境界図形の画像データと、その画像データと測量地図データとの相対的な位置関係を示す情報が変換情報に含まれていてもよい。変換後情報が画像データでない場合には、変換後情報は、例えば、測量地図データにおける変換後の境界図形の位置を示す座標情報を含んでもよい。また、変換後情報は、境界図形がアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換部15が基準四角形の内部の画像データを変換した場合には、変換後情報は、基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換部15が補助基準点と境界基準点とからなる9個の各四角形について変換を行った場合には、変換後情報は、その9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含んでもよい。また、変換後情報は、境界地図データにおける、その9個の各四角形の外部の画像データ、すなわち、変換されていない画像データを含んでもよい。また、変換後情報は、測量地図データを含んでもよい。
【0029】
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよい。本実施の形態では、この出力は、ディスプレイへの表示、または、磁気ディスク等の記録媒体への蓄積であるとする。なお、出力部16は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部16は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0030】
なお、境界地図データ記憶部11と、測量地図データ記憶部12とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、境界地図データを記憶している領域が境界地図データ記憶部11となり、測量地図データを記憶している領域が測量地図データ記憶部12となる。
【0031】
次に、本実施の形態による境界特定装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)設定指示受付部13は、設定指示を受け付けたかどうか判断する。そして、設定指示を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
【0032】
(ステップS102)設定部14は、設定指示受付部13が受け付けた設定指示に応じて、境界地図データへの設定を行う。この設定は、例えば、境界基準点の設定等である。なお、設定指示が境界地図データ以外のデータ、例えば、測量地図データへの設定を指示する場合には、その指示に応じた設定を行うものとする。そして、ステップS101に戻る。
【0033】
(ステップS103)変換部15は、変換を開始するかどうか判断する。変換部15は、例えば、境界特定装置1が変換を開始する旨のユーザからの指示を受け付けた場合に、変換を開始すると判断してもよく、あるいは、他のタイミングによって変換を開始すると判断してもよい。そして、変換を開始する場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0034】
(ステップS104)変換部15は、変換を行うことができるかどうか判断する。例えば、4個の境界基準点と、対応する4個の測量基準点とが設定されていない場合には、変換を行うことができないと判断する。そして、変換を行うことができる場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0035】
(ステップS105)変換部15は、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、境界地図データを変換する。なお、境界地図データの変換は、前述のように、境界地図データに含まれる境界図形の変換でもよく、基準四角形の変換でもよく、境界地図データのその他の領域を含む変換でもよい。この処理の詳細については後述する。
【0036】
(ステップS106)出力部16は、変換部15が変換を行った境界地図データを含む変換後情報を出力する。そして、境界地図データの変換を行う一連の処理は終了となる。
【0037】
図3は、図2のフローチャートにおける境界地図データの変換処理(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。なお、この図3のフローチャートでは、4個の境界基準点と、12個の補助基準点とからなる9個の四角形について、それぞれ変換を行う場合について説明する。また、この図3のフローチャートで示される処理が開始される以前に、4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点の近傍に位置するように、境界地図データと測量地図データとの相対的な位置関係の設定が行われているものとする。
【0038】
(ステップS201)変換部15は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS202)変換部15は、i番目の四角形を変換しなければならないかどうか判断する。i番目の四角形の境界基準点に対応する頂点が、測量基準点に一致していない場合には、変換部15は、i番目の四角形を変換しなければならないと判断する。そして、変換しなければならない場合には、ステップS203に進み、そうでない場合には、ステップS204に進む。
【0039】
(ステップS203)変換部15は、i番目の四角形について変換を行う。なお、この四角形の変換の処理の詳細については後述する。
(ステップS204)変換部15は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0040】
(ステップS205)変換部15は、i番目の四角形が存在するかどうか判断する。本実施の形態では、9個の四角形について処理を行うため、i=10であればi番目の四角形が存在しないと判断すればよい。そして、i番目の四角形が存在する場合には、ステップS202に戻り、そうでない場合には、境界地図データを変換する一連の処理は終了となり、ステップS106に進む。
【0041】
図4は、図3のフローチャートにおける四角形の変換処理(ステップS203)の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートでは、四角形の内分比を一定に保存するように変換を行うものとする。
【0042】
(ステップS301)変換部15は、変換後のi番目の四角形からなるi番目の四角形を含む長方形を設定する。この長方形は、そのi番目の四角形を含む最小の大きさの長方形であることが好適である。ここで、変換後の四角形とは、4個の測量基準点からなる四角形、あるいは、補助基準点と測量基準点とからなる四角形である。補助基準点は、変換によって移動しない点であるため、変換後にも四角形の頂点となりうる。なお、4個の境界基準点からなる四角形、あるいは、補助基準点と境界基準点とからなる四角形のことを変換前の四角形と呼ぶことにする。
(ステップS302)ステップS301で設定した長方形において、点Psを初期位置に設定する。この初期位置は、例えば、長方形の頂点の位置である。
【0043】
(ステップS303)変換部15は、点Psが変換後のi番目の四角形の内部に存在するかどうか判断する。そして、内部に存在する場合には、変換を行う必要があるためステップS304に進み、そうでない場合には、変換を行う必要がないためステップS307に進む。この判断は、どのような方法によって行われてもよい。例えば、i番目の四角形の外部に点を取り、その外部の点と点Psとを両端点とする線分と、i番目の四角形の各辺との交点の数をカウントすることによって、点Psがi番目の四角形の内部に存在するかどうかを判断してもよい。すなわち、交点の数が0または2であれば、点Psはi番目の四角形の外部に存在することになり、交点の数が1であれば、点Psはi番目の四角形の内部に存在することになる。
【0044】
(ステップS304)変換部15は、変換前のi番目の四角形における、点Psに対応する点Pcの位置を算出する。なお、この算出において、変換前のi番目の四角形における点Pcの内分比と、変換後のi番目の四角形における点Psの内分比とが同じになるように、点Pcの位置を算出する。このように、四角形において内分比を保存するアフィン変換は、「単純アフィン変換」と呼ばれることもある。この処理の具体例については後述する。
【0045】
(ステップS305)変換部15は、点Pcに対応する境界地図データの画素値を取得する。
(ステップS306)変換部15は、ステップS305で取得した境界地図データの点Pcの画素値を、点Psの位置に設定する。この設定は、例えば、境界地図データ記憶部11において、変換後の境界地図データのために割り当てられた記憶領域に点Psの位置に対応付けて点Pcの画素値を蓄積することによってなされる。
【0046】
(ステップS307)変換部15は、点PsがステップS301で設定した長方形における最終の位置であるかどうか判断する。そして、最終の位置である場合には、四角形を変換する一連の処理は終了となり、ステップS204に進み、そうでない場合には、ステップS308に進む。
【0047】
(ステップS308)変換部15は、点Psを次の位置に移動させ、新たな点Psを設定する。この移動の方法は、あらかじめ設定されているものとする。例えば、その移動の方法は、一画素だけ右に移動できる場合には一画素だけ右に移動し、一画素だけ右に移動できない場合、すなわち、それ以上右に画素が存在しない場合には、一画素だけ下の一番左の画素に移動する、という方法であってもよい。そして、ステップS303に戻る。
【0048】
なお、この図4のフローチャートで示される四角形の変換の方法は一例であって、四角形の内分比を一定に保存するように変換を行うのであれば、図4のフローチャートとは異なるように変換を行ってもよい。
【0049】
次に、本実施の形態による境界特定装置1の動作について、具体例を用いて説明する。
この具体例において、境界特定装置1の境界地図データ記憶部11に、図5で示される境界地図データが記録媒体から読み込まれたとする。この境界地図データは、ラスタデータであるとする。図5の境界地図データにおいて、土地Aと土地Bとの間の境界線が問題になっていたとする。この場合、図5の境界地図データの破線で示されるように、境界図形は線分である。
【0050】
まず、境界特定装置1のユーザは、その境界地図データをディスプレイに表示し、マウス等を操作することによって、境界基準点の位置を指定し、その位置を境界基準点に設定する旨の設定指示を入力する(ステップS101)。すると、設定部14は、その設定指示に応じて、境界基準点を設定する(ステップS102)。ユーザは、4個の境界基準点のそれぞれについて、その設定指示の入力を行うものとする。図6で示される境界地図データにおいて、そのようにして設定された境界基準点が黒丸「●」で示されている。図6で示されるように、4個の境界基準点からなる四角形が境界図形を内部に含むように境界基準点が設定されることが好ましい。
【0051】
次に、境界特定装置1のユーザは、各境界基準点に対して、3個の補助基準点を設定する(ステップS101,S102)。この設定も、境界基準点の場合と同様にしてなされる。なお、この補助基準点は、境界基準点と、その境界基準点に対して設定された3個の補助基準点とを用いて、四角形を形成することができるように設定されなければならない。また、12個の補助基準点を結んでなる多角形の内側のみについて画像の変換が行われることになるため、移動させたくない領域、例えば、道路の領域や川の領域等が、12個の補助基準点を結んでなる多角形の外側に位置するように、補助基準点の位置を設定することが好適である。また、12個の補助基準点と、4個の境界基準点を頂点とする3×3の各四角形のそれぞれが略矩形となるように補助基準点が設定されることが好適である。図6で示される境界地図データにおいて、そのようにして設定された補助基準点が黒三角「▲」で示されている。このようにして、図6で示されるように、1〜9までの9個の四角形が設定されることになる。なお、各四角形の変換において、移動可能な点は境界基準点のみであり、補助基準点は移動することのできない固定点である。
【0052】
図7は、記録媒体から測量地図データ記憶部12に読み込まれた測量地図データを示す図である。この測量地図データは、ベクタデータであるとする。したがって、この測量地図データにおいて、各位置の座標を示す座標情報を容易に取得することができるものとする。図7で示される測量地図データにおいて、測量基準点が×印によって示されている。この測量基準点は、境界基準点にそれぞれ対応する点である。この測量基準点は、測量地図データにおいてはじめから設定されていてもよく、あるいは、境界基準点と同様に、ユーザが設定してもよい。
【0053】
なお、境界地図データの変換を開始する前に、ユーザは、あらかじめ境界地図データと、測量地図データとを重ね合わせてだいたいの位置決めを行っているものとする。例えば、図8で示されるように、境界地図データの各境界基準点が、測量地図データの各測量基準点の近傍に位置するように、両者を重ね合わせておく。図8では、説明の便宜上、境界基準点と測量基準点のみを示しているが、実際には、境界地図データと測量地図データとが重ね合わされることになる。そして、境界地図データと測量地図データとを重ね合わせた場合における相対的な位置関係、例えば、両地図データの原点の相対的な位置関係や、両地図データの所定の軸(例えば、x軸)の相対的な角度、両地図データの相対的な大きさの関係等が境界地図データ記憶部11等において保持されるものとする。なお、図8で示されるように、各境界基準点が、各測量基準点に一致するように、4個の境界基準点からなる四角形が変換されることになる。ここで、境界基準点と測量基準点との対応は、手動で入力されてもよく、あるいは、自動で判断されてもよい。後者の場合には、例えば、ある境界基準点に最も近い測量基準点が、その境界基準点に対応する測量基準点であると判断されてもよい。
【0054】
次に、ユーザが、マウス等を操作することにより、境界地図データを変換する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、変換部15は、変換を開始すると判断し(ステップS103)、境界地図データにおいて境界基準点が設定されており、測量地図データにおいて測量基準点が設定されているため、変換を行うことができると判断する(ステップS104)。そして、境界地図データの変換の処理(ステップS105)が開始される。
【0055】
まず、変換部15は、図6で示される境界地図データを参照し、1個目の四角形について変換が必要であるかどうか判断する(ステップS201,S202)。この場合には、図8で示されるように、その1個目の四角形の右下の境界基準点を測定基準点に移動させることによって両基準点を一致させるため、1個目の四角形について変換が必要であると判断される。なお、この具体例では、図8で示されるように、4個の境界基準点のうち、右上の境界基準点のみが測量基準点とはじめから一致していることになる。したがって、図6の境界地図データにおいて、3番目の四角形以外は、すべて変換が必要であると判断されることになる。
【0056】
ここで、変換部15が行う四角形の変換処理の一般的な方法について説明する。この説明において、図9で示されるように、変換部15が、境界基準点P1〜P4からなる四角形の画像を、測量基準点Q1〜Q4からなる四角形の領域に変換する場合について説明する。この変換は、前述のように、内分比を保存するように行われる。すなわち、図9において、線分P1P2をξ:(1−ξ)に内分する点と、線分P3P4をξ:(1−ξ)に内分する点とを通る線分をL1とする。また、線分P1P3をη:(1−η)に内分する点と、線分P2P4をη:(1−η)に内分する点とを通る線分をL2とする。そして、線分L1と、線分L2との交点が点Pcであるとする。ここで、図9において、ξ:(1−ξ)と、η:(1−η)とが四角形P1P2P4P3における点Pcの内分比である。
【0057】
この点Pcが変換された後の点をPsとする。その点Psは、図10で示されるように、線分L3と、線分L4との交点である。線分L3は、線分Q1Q2をξ:(1−ξ)に内分する点と、線分Q3Q4をξ:(1−ξ)に内分する点とを通る線分である。同様に、線分L4は、線分Q1Q3をη:(1−η)に内分する点と、線分Q2Q4をη:(1−η)に内分する点とを通る線分である。なお、ξ、ηは共に、0≦ξ≦1、0≦η≦1を満足する実数である。
【0058】
図9、図10からわかるように、四角形の内分比を保存する変換とは、変換前の四角形P1P2P4P3の内部の点Pcを、その正規化座標(ξ,η)の値が変わらないように、変換後の四角形Q1Q2Q4Q3の内部の点Psに変換することである。この変換を四角形の内部のすべての点について行うことにより、辺完全の四角形の画像を、変換後の四角形の画像に変換することができる。なお、正規化座標(ξ,η)については、次の文献に記載されている。
文献:「計算幾何学と地理情報処理(第2版)」、腰塚武志(編集)、共立出版、1993年3月
【0059】
このように点Pcを点Psに移動させる変換を四角形の内分比を保存する変換と呼ぶ。この変換は、アフィン変換の一形態として広く知られており、その詳細な説明を省略する。
【0060】
なお、具体的な変換処理としては、変換後の点Psに対応する変換前の点Pcを算出し、その点Pcに対応する画素値を点Psに対応する画素値に設定することによって、変換を行う。以下、その方法について説明する。
【0061】
まず、変換部15は、図11で示されるように、測量基準点からなる四角形を含むように、x軸、y軸に平行な線分で最小の大きさの長方形を設定する(ステップS301)。ここで、点QNのx座標値をQNxとし、点QNのy座標値をQNyとする。ただし、Nは、1から4までのいずれかの整数である。すると、図11における長方形の右上の座標値は、(x、y)=(Max(Q1x、Q2x、Q3x、Q4x)、Max(Q1y、Q2y、Q3y、Q4y))となる。一方、左下の座標値は、(x、y)=(Min(Q1x、Q2x、Q3x、Q4x)、Min(Q1y、Q2y、Q3y、Q4y))となる。
【0062】
次に、変換部15は、この長方形の左上の頂点に、点Psを設定する(ステップS302)。その位置が点Psの初期位置である。すると、変換部15は、そのPsの位置と、四角形Q1Q2Q3Q4との位置とを比較し、点Psが四角形Q1Q2Q3Q4の内部に存在しないと判断する(ステップS303)。そして、変換部15は、点Psの位置を1画素だけ右側にずらす(ステップS307,S308)。
【0063】
このようして、点Psが移動されて、四角形Q1Q2Q3Q4の内部に位置するようになったとする。すると、変換部15は、図9,図10を用いて説明したようにして、内分比を保存する点Psに対応する点Pcの位置を特定する(ステップS304)。そして、境界地図データから、その点Pcに対応する画素値を取得し(ステップS305)、変換後の境界地図データにおいて、点Psに対応付けてその取得した画素値を蓄積する(ステップS306)。なお、拡大や縮小が行われたことなどにより、点Pcの位置に画素値が設定されていない場合、あるいは、点Pcの位置に2以上の画素値が設定されている場合には、その点Pcの近傍の画素値や、点Pcの複数の画素値を用いて補間等を行うことによって、点Pcに対応する画素値を取得してもよい。このような補間等の処理については広く知られており、その詳細な説明を省略する。
【0064】
これらの処理を、図11で示される長方形のすべての画素について実行することにより、四角形P1P2P3P4の内部の画像を、四角形Q1Q2Q3Q4の内部の位置に変換することができる。なお、この説明では、四角形のすべての頂点が移動する場合について説明したが、四角形の少なくとも1個の頂点が移動する場合について、容易に応用することができる。例えば、境界基準点のいずれかが補助基準点である場合には、その補助基準点は固定点であるので、変換部15は、境界基準点のみを測量基準点に一致するように四角形を変換すればよいことになる。
【0065】
図6に戻り、変換部15は、4個の境界基準点が、対応する4個の測量基準点に一致するように、9個の四角形の画像を順番に変換する(ステップS201〜S205)。なお、変換後の境界地図データにおいて、9個の四角形以外の領域の画像としては、元の境界地図データの画像を用いるものとする。そして、変換部15は、測量地図データと、それに重ね合わせた変換後の境界地図データと、両地図データの相対的な位置関係等を示す情報とを出力部16に渡す。すると、出力部16は、その測量地図データと、変換後の境界地図データとを、両者の位置関係等を示す情報を用いて重ね合わせた画像を変換後情報としてディスプレイに出力する(ステップS106)。
【0066】
図12は、ディスプレイに出力された変換後情報の一例を示す図である。図12で示されるように、境界地図データの境界図形が変換されているため、土地Aと、土地Bとの間の境界がどこに位置するのかが容易にわかることになる。また、測量地図データが有する座標情報を用いることにより、その境界図形の位置を座標情報として取得することも可能である。また、9個の四角形の外側については、画像の変換が行われないため、例えば、道路の画像が変換されてしまう、というような不適切な変換が行われることを防止することもできうる。
【0067】
なお、この具体例では、境界基準点からなる四角形以外の8個の四角形の画像についてもアフィン変換を行う場合について説明したが、境界基準点からなる四角形のみについて、アフィン変換を行ってもよい。その場合には、境界地図データにおいて、補助基準点が設定されていなくてもよい。また、その場合には、境界地図データにおける境界基準点からなる四角形の画像を切り取って測量地図データの測量基準点からなる四角形に合うように変換して測量地図データに貼り付けてもよい。そのようにする場合には、境界基準点が測量基準点の近傍となるように、境界地図データと測量地図データとの位置関係等を調整する処理を行わなくてもよい。
【0068】
また、この具体例では、変換後情報に測量地図データと、変換後の境界地図データとが含まれる場合について説明したが、変換後情報には、例えば、測量地図データと、変換後の境界図形のみが含まれてもよい。境界図形のみを変換する場合には、例えば、境界図形に含まれる画素Pcに対応する変換後の点Psを算出し、その点Psの画素値として、画素Pcの画素値を設定するようにしてもよい。
【0069】
以上のように、本実施の形態による境界特定装置1によれば、4個の境界基準点を4個の測量基準点に一致させるようにアフィン変換を行うことによって、測量地図データにおける境界図形の位置を求めることができる。その結果、その境界図形の位置を用いることにより、土地の境界に関する紛争を解決することができうる。また、この境界特定装置1を筆界特定に用いることもできる。
【0070】
また、4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形のみでなく、その周りの領域、すなわち、境界基準点と補助基準点とからなる8個の各四角形についても変換を行うことによって、変換後の境界地図データを含む変換後情報を出力する場合に、変換後の基準四角形の画像と、その周りの画像との連続性を保つことができ、より自然できれいな画像を出力することができる。
【0071】
また、本実施の形態による境界特定装置1を、境界未定の解消についても利用することができうる。すなわち、境界がどこに位置するのかがわかっていない場合であっても、本実施の形態による境界特定装置1を用いることにより、公図等で示される境界が、測量地図データにおいてどこに位置するのかを容易に知ることができ、境界未定の問題を解決することができうる。
【0072】
また、本実施の形態による境界特定装置1を用いて境界を特定することにより、例えば、換地等が行われることにより境界が大幅にずれている箇所を容易に発見することができる。その結果、その境界の大幅なずれを解消することもできうる。
【0073】
また、本実施の形態による境界特定装置1を用いて、古地図における城や武家屋敷、商店等が、現在の地図においてどこに位置するのかを知ることができ、歴史の学習等に役立てることもできる。その場合には、境界地図データは、その古地図のデータとなり、測量地図データは、現在の地図のデータとなり、境界図形は、城や武家屋敷等の境界を示す図形となる。
【0074】
なお、本実施の形態では、変換部15が四角形を変換する場合に、内分比を保存するように変換すると説明したが、例えば、境界基準点からなる四角形の外側に境界図形が存在する場合には、外分比を保存するように変換を行ってもよい。外分比を保存する場合には、例えば、上記具体例での説明において、ξ、ηが任意の実数を取り得ることになる。なお、線分ABの外分点をPとして、AP:PB=ξ:(1−ξ)である場合に、ξが負の値であれば、点Pは、点A側の延長上にあることになる。一方、(1−ξ)が負の値であれば、点Pは、点B側の延長上にあることになる。この場合に、線分APの長さと、線分PBの長さとの比は、ξの絶対値と、(1−ξ)の絶対値との比と等しくなる。例えば、図13で示されるように、境界地図データにおいて、境界基準点からなる四角形の外側に境界図形(図13では破線で示されている)により、土地Bの領域が示されていたとする。その場合に、境界基準点を測量基準点に一致するように変換した場合の外分比を保存するように境界図形を変換することによって、測量地図データにおいて土地Bの境界線がどこに位置するのかを知ることができるようになり、土地Bの境界を特定することができうる。
【0075】
また、本実施の形態による境界特定装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、あるいは、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバであってもよい。後者の場合には、例えば、設定指示受付部13が通信回線を介して送信された設定指示を受信し、出力部16が通信回線を介して変換後情報を送信してもよい。また、境界地図データ記憶部11や、測量地図データ記憶部12は、送信されてきた境界地図データ等を記憶してもよい。このように、境界特定装置1がサーバである場合には、ASP(Application Service Provider)として境界特定装置1の機能が提供されてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、境界特定装置1が設定指示受付部13と設定部14とを備える構成について説明したが、境界地図データにおいて境界基準点を設定する等の処理を行わなくてよい場合には、境界特定装置1は、設定指示受付部13と設定部14とを備えていなくてもよい。
【0077】
また、本実施の形態による境界特定装置1において、特定したい境界は、前述のように、筆界であってもよい。その場合には、変換された境界図形の位置によって、その特定したい筆界の位置が特定されることになる。特定したい境界が筆界である場合には、境界特定装置を筆界特定装置と呼んでもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における境界特定装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を実行させるためのものである。
【0080】
なお、上記プログラムにおいて、情報を出力する出力ステップなどでは、ハードウェアでしか行われない処理、例えば、出力ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理は少なくとも含まれない。
【0081】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
【0082】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0083】
図14は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による境界特定装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される。
【0084】
図14において、コンピュータシステム100は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ105、FD(Flexible Disk)ドライブ106を含むコンピュータ101と、キーボード102と、マウス103と、モニタ104とを備える。
【0085】
図15は、コンピュータシステムを示す図である。図15において、コンピュータ101は、CD−ROMドライブ105、FDドライブ106に加えて、CPU(Central Processing Unit)111と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)112と、CPU111に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)113と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク114と、CPU111、ROM112等を相互に接続するバス115とを備える。なお、コンピュータ101は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0086】
コンピュータシステム100に、上記実施の形態による境界特定装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM121、またはFD122に記憶されて、CD−ROMドライブ105、またはFDドライブ106に挿入され、ハードディスク114に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ101に送信され、ハードディスク114に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM113にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM121やFD122、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0087】
プログラムは、コンピュータ101に、上記実施の形態による境界特定装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム100がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0088】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上より、本発明による境界特定装置等によれば、測量地図データにおける境界の位置を特定することができ、境界を特定するための画像処理を行う装置やシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1による境界特定装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図3】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態による境界特定装置の動作を示すフローチャート
【図5】同実施の形態における境界地図データの一例を示す図
【図6】同実施の形態における境界地図データの一例を示す図
【図7】同実施の形態における測量地図データの一例を示す図
【図8】同実施の形態における四角形の画像の変換について説明するための図
【図9】同実施の形態における内分比を保存する変換について説明するための図
【図10】同実施の形態における内分比を保存する変換について説明するための図
【図11】同実施の形態における四角形の画像の変換について説明するための図
【図12】同実施の形態における測量地図データと変換後の境界地図データとの一例を示す図
【図13】同実施の形態における外分比を保存する変換について説明するための図
【図14】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図15】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0091】
1 境界特定装置
11 境界地図データ記憶部
12 測量地図データ記憶部
13 設定指示受付部
14 設定部
15 変換部
16 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部と、
測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部と、
前記4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部と、
前記変換部がアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部と、を備えた境界特定装置。
【請求項2】
前記変換後情報は、前記境界図形がアフィン変換された画像データを含む、請求項1記載の境界特定装置。
【請求項3】
前記境界図形は、前記4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在するものであり、
前記変換部は、前記基準四角形の内部の画像データの全体を変換し、
前記変換後情報は、前記基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含む、請求項1または請求項2記載の境界特定装置。
【請求項4】
前記境界地図データにおいて、前記境界基準点ごとに前記基準四角形の外部に3個の補助基準点が設定されており、
前記変換部は、前記12個の補助基準点と、前記4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、前記12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行い、
前記変換後情報は、前記9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含む、請求項3記載の境界特定装置。
【請求項5】
前記境界地図データにおける前記境界基準点の設定指示を受け付ける設定指示受付部と、
前記設定指示受付部が受け付けた設定指示に応じて、前記境界地図データにおける境界基準点を設定する設定部と、をさらに備え、
前記境界地図データ記憶部で記憶されている境界地図データにおける4個の境界基準点は、前記設定部が設定したものである、請求項1から請求項4のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項6】
前記境界地図データは、公図を光学的機器により読み取ったデータである、請求項1から請求項5のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項7】
前記測量地図データは、座標に関する情報を含むものであり、
前記変換後情報は、前記測量地図データにおける境界図形の位置を示す座標情報を含む、請求項1から請求項6のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項8】
前記境界図形は、1以上の点を含む、請求項1から請求項7のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項9】
前記境界図形は、1以上の線を含む、請求項1から請求項8のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項10】
前記境界図形は、1以上の領域を含む、請求項1から請求項7のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項11】
境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、
前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を備えた境界特定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、
前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれか記載の境界特定装置と同一の構成を有する筆界特定装置であって、
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする筆界特定装置。
【請求項14】
請求項11記載の境界特定方法と同一の処理を行う筆界特定方法であって、
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする筆界特定方法。
【請求項15】
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする、請求項12記載のプログラム。
【請求項1】
4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データが記憶される境界地図データ記憶部と、
測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データが記憶される測量地図データ記憶部と、
前記4個の境界基準点が、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換部と、
前記変換部がアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力部と、を備えた境界特定装置。
【請求項2】
前記変換後情報は、前記境界図形がアフィン変換された画像データを含む、請求項1記載の境界特定装置。
【請求項3】
前記境界図形は、前記4個の境界基準点からなる四角形である基準四角形の内部に存在するものであり、
前記変換部は、前記基準四角形の内部の画像データの全体を変換し、
前記変換後情報は、前記基準四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含む、請求項1または請求項2記載の境界特定装置。
【請求項4】
前記境界地図データにおいて、前記境界基準点ごとに前記基準四角形の外部に3個の補助基準点が設定されており、
前記変換部は、前記12個の補助基準点と、前記4個の境界基準点とからなる9個の各四角形について、前記12個の補助基準点を固定点とするアフィン変換を行い、
前記変換後情報は、前記9個の各四角形の内部の画像データがアフィン変換された画像データを含む、請求項3記載の境界特定装置。
【請求項5】
前記境界地図データにおける前記境界基準点の設定指示を受け付ける設定指示受付部と、
前記設定指示受付部が受け付けた設定指示に応じて、前記境界地図データにおける境界基準点を設定する設定部と、をさらに備え、
前記境界地図データ記憶部で記憶されている境界地図データにおける4個の境界基準点は、前記設定部が設定したものである、請求項1から請求項4のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項6】
前記境界地図データは、公図を光学的機器により読み取ったデータである、請求項1から請求項5のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項7】
前記測量地図データは、座標に関する情報を含むものであり、
前記変換後情報は、前記測量地図データにおける境界図形の位置を示す座標情報を含む、請求項1から請求項6のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項8】
前記境界図形は、1以上の点を含む、請求項1から請求項7のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項9】
前記境界図形は、1以上の線を含む、請求項1から請求項8のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項10】
前記境界図形は、1以上の領域を含む、請求項1から請求項7のいずれか記載の境界特定装置。
【請求項11】
境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、
前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を備えた境界特定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
境界地図データ記憶部で記憶されている、4個の境界基準点と特定したい境界を示す境界図形とを少なくとも含む境界地図を示すデータである境界地図データにおける前記4個の境界基準点が、測量地図データ記憶部で記憶されている、測量された地図であり、前記4個の境界基準点にそれぞれ対応する4個の測量基準点を含む測量地図を示すデータである測量地図データにおける、それぞれ対応する4個の測量基準点に一致するように、前記境界地図データの境界図形をアフィン変換する変換ステップと、
前記変換ステップでアフィン変換した前記境界図形の位置を少なくとも示す情報である変換後情報を出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれか記載の境界特定装置と同一の構成を有する筆界特定装置であって、
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする筆界特定装置。
【請求項14】
請求項11記載の境界特定方法と同一の処理を行う筆界特定方法であって、
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする筆界特定方法。
【請求項15】
前記特定したい境界が筆界であることを特徴とする、請求項12記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−90639(P2008−90639A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271392(P2006−271392)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(502106820)株式会社オーエムアイ (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(502106820)株式会社オーエムアイ (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]