説明

増粘剤とアミノ酸を含有する食品組成物

【課題】ダイエット用食品や医療用食品に好適である、腹持ちがよく食事としての満足感の高い食品組成物を提供する。
【解決手段】タンパク質、ミネラル及びビタミンを含む粉体状又は液状の食品組成物であって、さらに増粘剤と、固形分で少なくとも2重量%の遊離アミノ酸とを含有する。増粘剤が、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、タラガム、アルギン酸(ナトリウム)、ジェランガム、ペクチン、及びカラギーナンのいずれか1種以上であり、遊離アミノ酸が、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、プロリン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸から選ばれる1種以上である。液状組成物の場合は、粘度を300〜1000mPa・秒に調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘剤と遊離アミノ酸とを含有する食品組成物に関する。当該食品組成物は、腹持ちがよく、食事としての満足感が高いので、ダイエット用食品や医療用食品に好適である。
【背景技術】
【0002】
低カロリー代替食の販売個数、顧客数は年々伸張しており、手軽に喫食できるドリンクタイプやゼリータイプ等種々の食品が上市されている。これらの低カロリー代替食は、必要な栄養素は満たされているものの、カロリーが低いことから空腹感を満たすことが難しく、また、糖質主体であることから、満腹感を維持することも難しいという課題を有する。このような状況の中、腹持ちを良くするためにタンパク質を含んだゲル状食品が開発されており、忙しくてゆっくり食事の時間がとれない世代から高齢者で食物摂取が自由にできない人たちの栄養補給、栄養調整等として提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、難消化性デキストリン、グルコマンナン、ゲル化剤を組み合わせることで満腹感を起こさせて過度の食事を制限する効果を持つ過食防止用食品(ゼリー)という発明も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−189074号公報
【特許文献2】特開2005−224150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、消費者調査等の結果より、既存低カロリー代替食使用者のほとんどがダイエットに失敗しており、その理由としては、低カロリー代替食の「腹持ちの悪さ」、「食事としての満足感の低さ」等があげられる。従って、低カロリー代替食の「腹持ちの悪さ」や「食事としての満足感の低さ」の改善が強く望まれている。
【0004】
従って本発明の課題は、腹持ちがよく食事としての満足感の高い食品組成物を提供することにある。さらに、当該食品組成物を用いて、低カロリーのダイエット用食品や医療用食品に適用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討し、増粘剤と遊離アミノ酸とを配合して組合せることにより、腹持ちがよく食事としての満足感の高い食品組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の内容を包含する。なお、本発明における食品組成物には、粉体等の固体状の組成物であって喫食時に水等を加えて液状組成物とするもの、及び液状の食品組成物が含まれる。
【0006】
(1)タンパク質、ミネラル及びビタミンを含む粉体状又は液状の食品組成物であって、さらに増粘剤と、固形分で少なくとも2重量%の遊離アミノ酸と、を含有する食品組成物。当該遊離アミノ酸は、塩の形態であってもよい。
(2)前記の増粘剤が、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、タラガム、アルギン酸(ナトリウム)、ジェランガム、ペクチン、カラギーナンのいずれか1種以上であることを特徴とする(1)記載の食品組成物。
(3)前記の遊離アミノ酸が、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、グルタミン、プロリン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(2)に記載の食品組成物。
(4)喫食時において液状であり、前記遊離アミノ酸が当該液状組成物中に、総量で0.25〜2.5重量%含まれる、(1)〜(3)に記載の食品組成物。
(5)前記遊離アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量、又はロイシン、イソロイシン、バリン、リジン及びスレオニンの総量が0.01〜1.3重量%含まれる、(4)に記載の食品組成物。
(6)喫食時における液状組成物の粘度が、300〜1000mPa・秒であることを特徴とする(1)〜(5)に記載された食品組成物。
(7)喫食時における液状組成物の粘度が、400〜900mPa・秒であることを特徴とする(1)〜(5)に記載された食品組成物。
(8)前記遊離アミノ酸を1.0〜10.0g含むように1食分ずつ小分けされてなる、(1)〜(7)に記載の食品組成物。
(9)前記遊離アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量、又はロイシン、イソロイシン、バリン、リジン及びスレオニンの総量が、一食あたり0.5g〜5.0g含まれる、(8)に記載の食品組成物。
(10)(1)〜(9)に記載された食品組成物からなる、ダイエット用食品。
(11)タンパク質、ミネラル及びビタミンを含む粉体状又は液状の食品組成物において、さらに増粘剤と、固形分で少なくとも2重量%の遊離アミノ酸と、を含有させることを特徴とする、該食品組成物の食後の腹持ち、満足感を向上させる方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、腹持ちがよく食事としての満足感の高い食品組成物が提供される。そのため、本発明品は低カロリーのダイエット用食品や医療用食品に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るダイエット用食品は、ダイエット志向のある健康な成人男女が対象となり、食事の代替として、つまり、一日の食事のうち一食あるいは二食を本発明の食品組成物で摂取するものである。当該組成物は、低炭水化物、低脂肪にすることで低カロリーを保ち、かつ、タンパク質、ミネラル、ビタミン等の栄養素を一日に必要な量の約三分の一含有する。また、医療用には治療対象に合わせて所定の治療用薬剤を添加し、又は所定の成分を削除してもよい。
【0009】
タンパク質としては、特に制限はなく、例えば、乳タンパク質(カゼイン、カゼインナトリウム、ホエイ、全粉乳、脱脂粉乳、生乳等)、大豆タンパク質、卵白タンパク質等が挙げられる。ビタミン類としては、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、P、K、ナイアシン及びパントテン酸等が挙げられる。ミネラルとしては、例えば、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、卵殻カルシウム、ミルクカルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム剤、クエン酸鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄等の鉄剤、ミネラルを含む酵母等の亜鉛、マンガン、セレン、モリブデン、銅、ヨウ素等が挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明は、必要に応じ、糖類、甘味料、香料、果汁、調味料等を配合してもよい。
【0010】
本発明に係るダイエット用食品の飲食方法は、まず、容器に所定量の水又は温水を入れ、本発明の粉末状の食品組成物を所定量添加する。一回の食事として摂取することを考慮して、約350mLの水に約50gの食品組成物を溶解させることが好ましい。もちろん、溶解するための水又は温水の量は好みによって変えても良い。その後、シェイクして溶解させてから飲食する。
【0011】
本発明において増粘剤とは、たとえば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、タラガム、アルギン酸(ナトリウム)、ジェランガム、ペクチン、カラギーナンなど、食品の製造に使用できる増粘剤のことをいう。これらは1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。増粘剤の使用量は、同時に使用するタンパク質や食物繊維等の影響も併せて、本発明の食品組成物の粘度が300〜1000mPa・秒、好ましくは400〜900mPa・秒となるよう調整する。例えば、本発明の喫食時の液状組成物のキサンタンガム量は、0.35〜0.45重量%、グアーガム量は、0.6〜0.8重量%である。
【0012】
尚、本発明の液状組成物の粘度は、公知の測定機器を用いて測定することができ、例えば、B型粘度計ビスメトロンVDA2粘度計(芝浦システム社製)などを用いることができる。測定時間はサンプル調製120秒後、設定温度は20℃、ローターはNo.2、回転数は12rpmの条件が好適である。
【0013】
本発明において遊離アミノ酸とは、自然界に存在するアミノ酸の総称であり、タンパク質やペプチドを構成せず、遊離した状態で存在しているものをいう。例えば、バリン、ロイシン、スレオニン、イソロイシン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸など、食品の製造に使用できる遊離アミノ酸である。粉体中に存在する場合はグルタミン酸ナトリウムのような生理的に許容しうる塩の形態であってもよい。具体的な塩の例としては、グルタミン酸やアスパラギン酸のような酸性アミノ酸の場合は種々のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩が挙げられ、リジンやアルギニンのような塩基性アミノ酸の場合は種々の無機酸又は有機酸との塩が挙げられる。
【0014】
これらの遊離アミノ酸は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。遊離アミノ酸の使用量は、使用した遊離アミノ酸総量の固形分で少なくとも2重量%含み、好ましくは固形分として2〜20重量%、さらに好ましくは、4〜10重量%である。また、本発明の食品組成物は喫食時においては、粉体に水を加えて液状としたものであり、最良の条件で調製した際の液状組成物中の遊離アミノ酸は、0.25〜2.5重量%、好ましくは、0.5〜1.25重量(w/w)%である。
【0015】
さらに好ましくは、遊離アミノ酸のうち、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、つまり、ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量、又はロイシン、イソロイシン、バリン、リジン及びスレオニンの総量の濃度が0.01〜1.3重量%である。BCAAは、筋タンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めており、BCAAの補給により、筋肉組織の原料が豊富になり、ダイエット時の筋力低下を防止しうるという効果もある。
【0016】
本発明の食品組成物の製造方法は、特に困難は無く、ミキサー等により公知の方法で混合するのみでもよいが、当業者に公知の方法で造粒及び乾燥工程により顆粒状、又は粉末状の乾燥物として成型してもよい。ここでいう造粒方法は、押出造粒、流動造粒、攪拌造粒、転動造粒、圧扁造粒などをいうがこれらに限定されない。また、乾燥方法は、温風流動乾燥、振動乾燥、棚段式乾燥、各種真空乾燥など適宜用いることができる。上記のように設定された各成分を混合、粉砕して粉砕物を得る。粉砕物の粒径は好ましくは10μm〜1mmであり、更に好ましくは100μm以下である。この粉砕物に適量の加水をして押出し流動層造粒で、好ましくは粒径100μm〜500μmに造粒して、造粒物を得て、さらに造粒物を乾燥することにより本発明の粉体状の食品組成物が得られる。また、当該食品組成物のうち一部の組成物を上記方法で造粒、乾燥した後に、残りの組成物を混合して本発明の粉体状組成物を得てもよい。
【0017】
あるいは、上記粉体状の食品組成物に水を加えて液状となし、これを所定の容器に充填して液状食品組成物として販売しても良い。最終的な液状食品の形態において、少量のシリアル等の固形物を含んでいてもよい。
【0018】
このようにして製造された本発明の食品組成物は、一食当たり所定の成分を所定量含有するように小分けして包装し、配送することができる。これらの製品は室温又は低温で保存することができ、保存及び輸送に適した容器に収容して販売される。また用途に従って、例えば、ダイエット用に使用する際の取扱い説明書を添付し、又は容器に記載することができる。一食当たりに含まれる遊離アミノ酸の量は、1.0〜10.0gであることが好ましく、さらに好ましくは遊離アミノ酸のうち、BCAAの総量、又はBCAA、リジン及びスレオニンの総量の含量が0.5〜5.0gである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例に則して説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
本発明の食品組成物の製造
大豆蛋白97.5g、乳蛋白91.0g、アミノ酸ミックス36.0g(バリン4.89g、ロイシン8.74g、イソロイシン4.46g、スレオニン3.76g、リジン5.68g、ヒスチジン2.18g、メチオニン1.31g、フェニルアラニン3.76g、トリプトファン1.22gを含む)、食物繊維60.0g、ブドウ糖60.0g、ビタミンミックス(Vitamin Premix TYPE RD-2005(DSMニュートリションジャパン株式会社))1.0g、ドロマイト12.2g、炭酸カリウム5.0g、ピロリン酸第二鉄0.77g、リン酸二水素カリウム11.6g、ミネラル酵母ミックス(High Zinc Yeast、High Copper Yeast、High Manganese Yeast (セティ株式会社)などを配合)11.4g、全粉乳40.0g、ココアパウダー40.0g、香料15.0g、甘味料1.0g、キサンタンガム15.0g配合したものを10等分し、本発明品の一食分とした。分析あるいは評価を行う直前に水350mL入れた密栓付きビンに各調製品(一食分)を入れてシェイクした。
【0021】
[実施例2]
粘度と飲食時の好ましさ(飲みやすさ)
まず、以下のようにして、粘度と飲食時の飲みやすさについて検討した。実施例1で得られた本発明品のキサンタンガムの添加量を、一食当たり0g、0.5g、1.5g(本発明品)、及び2.0gに変えたものを調製した。
【0022】
上で得られたサンプル4種類について、粘度を測定した。測定機器は、B型粘度計ビスメトロンVDA2粘度計(芝浦システム社製)を用い、測定時間はサンプル調製120秒後、設定温度は20℃、ローターはNo.2を使用し、回転数は12rpmとした。官能評価は、(官能評価した人数:n=3、評価方法:シェイクを飲む方法、評価項目:特に設定せず、粘度と飲みやすさに関するフリーコメント)で行った。表1に粘度測定及び官能評価の結果を示す。粘度300〜1000mPa・秒において適度な粘度で好ましく、それ以下ではさらっとしすぎてものたりないこと、それ以上だとべたつきがあることがわかった。
【0023】
【表1】

【0024】
[実施例3]
粘度が腹持ち及び好ましさに与える影響
上記本発明品と、本発明品と同じ配合であるがキサンタンガムを入れない「キサンタンガム抜き品」を調製し、粘度及び腹持ち評価を行った。腹持ち評価は、(評価した人数:n=5、試験デザイン:1人につきクロスオーバーで2日間、摂取方法:昼食の代替として摂取、評価時間:サンプル摂取直前、直後、1,2,3,5時間後、評価方法:100mmのVAS(Visual Analog Scale)法、評価項目:空腹感(全く空腹を感じない〜とても空腹)、満腹感(全く満腹を感じない〜とても満腹)、満足感(とても不満足〜とても満足)、今、何か食べたいですか?(全く食べたくない〜とても食べたい))で行った。また、おいしさについては、サンプル摂取直後においしさ(とてもまずい〜とてもおいしい)で評価した。満腹感は単におなかがいっぱいになったこと、満足感は食事をしたという満足感、何か食べたいか?は、何かものたりない、口さみしいことをあらわす。表2に粘度測定結果、図1に腹持ち評価結果を示す。
【0025】
【表2】

【0026】
まず、表2の結果から、キサンタンガムを入れていないサンプルは、粘度が20mPa・秒と本発明品の554mPa・秒よりも低いことを確認した。次に、図1の結果から、キサンタンガム抜き品は、満腹感、満足感、何か食べたい感、おいしさの評点が低いことがわかった。以上から、粘度が満腹感、満足感、何か食べたい感、及びおいしさに関与することが明らかとなった。
【0027】
[実施例4]
遊離アミノ酸が腹持ちに与える影響
上記本発明品及び本発明品のうち、遊離アミノ酸を入れず、タンパク質で代替した「アミノ酸抜きタンパク質代替品」を調製し、粘度及び腹持ち評価を行った。粘度は実施例2と同じ条件で測定した。腹持ち評価は、(評価した人数:n=5、試験デザイン:1人につきクロスオーバーで2日間、摂取方法:昼食の代替として摂取、評価時間:サンプル摂取直前、直後、1,2,3,5時間後、評価方法:100mmのVAS(Visual Analog Scale)法、評価項目:空腹感(全く空腹を感じない〜とても空腹)、満腹感(全く満腹を感じない〜とても満腹)、満足感(とても不満足〜とても満足)、今、何か食べたいですか?(全く食べたくない〜とても食べたい))で行った。表3に粘度測定結果、図2にVAS評価結果を示す。
【0028】
【表3】

【0029】
まず、表3に示すように、本発明品と遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品の粘度は、ほぼ同等であることを確認した。また、図2の結果から、遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品は、満腹感、満足感、何か食べたい感が低いことがわかった。以上から、遊離アミノ酸には、満腹感、満足感、何か食べたい感に影響を与えることがわかった。
【0030】
[比較例1]
市販品との腹持ちの比較
上記本発明品及び発明品の配合からキサンタンガム及び遊離アミノ酸を抜いてタンパク質で代替した「キサンタンガム・遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品」を調製し、増粘剤及び遊離アミノ酸を含有していない市販品との腹持ち評価を行った。腹持ち評価は、(評価した人数:n=5、試験デザイン:1人につきクロスオーバーで3日間、摂取方法:昼食の代替として摂取、評価時間:サンプル摂取直前、直後、1,2,3,5時間後、評価方法:100mmのVAS(Visual Analog Scale)法、評価項目:空腹感(全く空腹を感じない〜とても空腹)、満腹感(全く満腹を感じない〜とても満腹)、満足感(とても不満足〜とても満足)、今、何か食べたいですか?(全く食べたくない〜とても食べたい))で行った。また、実施例2と同じ条件にて粘度の分析も行った。表4に粘度測定結果、図3にVAS評価結果を示す。図3中のオミッションとは、キサンタンガム・遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品を指す。
【0031】
【表4】

【0032】
図3の結果から、本発明品は、市販品及びキサンタンガム・遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品と比較して、満腹感、満足感、摂取直後に何か食べたい感が高いこと、一方、市販品とキサンタンガム遊離アミノ酸抜き・タンパク質代替品は、ほぼ同等の挙動を示すことがわかった。以上から、低カロリーダイエット用食品において、粘度及び遊離アミノ酸は満腹感が維持される、つまり腹持ちをよくすること、また、食事としての満足感が高い効果を有すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の食品組成物は、ダイエット用食品又は医療用食品として食品産業や健康管理産業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明品とキサンタンガム抜き品との腹持ち及び味の好ましさについて比較した結果を示す。(A)は空腹感、(B)は満腹感、(C)は満足感、(D)は何か食べたいか?、及び(E)はおいしさを示すグラフである。
【図2】本発明品と遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品との腹持ちについて比較した結果を示す。(A)は空腹感、(B)は満腹感、(C)は満足感、及び(D)は何か食べたいか?を示すグラフである。
【図3】本発明品とキサンタンガム・遊離アミノ酸抜きタンパク質代替品と市販品との腹持ちについて比較した結果を示す。(A)は空腹感、(B)は満腹感、(C)は満足感、及び(D)は何か食べたいか?を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質、ミネラル及びビタミンを含む粉体状又は液状の食品組成物であって、さらに増粘剤と、固形分で少なくとも2重量%の遊離アミノ酸と、を含有することを特徴とする食品組成物。
【請求項2】
前記増粘剤が、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、タラガム、アルギン酸(ナトリウム)、ジェランガム、ペクチン、及びカラギーナンのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記遊離アミノ酸が、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、プロリン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、及びアスパラギン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品組成物。
【請求項4】
喫食時において液状であり、前記遊離アミノ酸が当該液状組成物中に、総量で0.25〜2.5重量%含まれることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の食品組成物。
【請求項5】
前記遊離アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量、又はロイシン、イソロイシン、バリン、リジン及びスレオニンの総量が0.01〜1.3重量%含まれる請求項4に記載の食品組成物。
【請求項6】
喫食時における液状組成物の粘度が、300〜1000mPa・秒であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の食品組成物。
【請求項7】
喫食時における液状組成物の粘度が、400〜900mPa・秒であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の食品組成物。
【請求項8】
前記遊離アミノ酸を1.0〜10.0g含むように1食分ずつ小分けされてなる請求項1〜7いずれか記載の食品組成物。
【請求項9】
前記遊離アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量、又はロイシン、イソロイシン、バリン、リジン及びスレオニンの総量が、一食あたり0.5g〜5.0g含まれる請求項8に記載の食品組成物。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載された食品組成物からなる、ダイエット用食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106217(P2009−106217A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283038(P2007−283038)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】