説明

壁掛構造

【課題】掛止軸の掛止状態を良好に維持することができる壁掛構造を提供する。
【解決手段】前側に表示面を有する表示装置の後面側に取付けられる4本の掛止軸は先端部に抜止部を設け、壁部に取付けられる壁取付体は、各掛止軸が挿入される複数の大孔及び該大孔の下部に連通し、抜止部に係合して掛止軸の抜出しを阻止する複数の小孔を設け、大孔及び小孔の連通部に、横方向へ突出し、掛止軸の上方への移動を規制する規制部を設け、掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶テレビジョン、プラズマテレビジョン等の薄型の表示装置、額縁、看板等を壁掛けするための壁掛構造に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置を壁掛けするための壁掛構造は、表示装置の後面側で、横方向及び上下に離隔した4箇所に取付けられる4本の掛止軸と、壁部に取付けられ、前記掛止軸が掛止される四つの掛止凹部を有する壁取付体とを備える。壁取付体の四つの掛止凹部は、横方向間隔、及び上下間隔がVESA(ベサ)規格(Video Electoronics Standard Association)により規格化されている。
【0003】
図10は従来の壁掛構造の構成を示す説明図である。壁掛構造は、図10に示すように、螺子孔100を有する4本の掛止軸101に、前記螺子孔100に螺入されるビス102にて掛止板103を固定し、該掛止板103が壁取付体104の掛止凹部105に掛止されるタイプと、特許文献1に記載されているように、4本の掛止軸の先端に抜止部を設け、該掛止軸が壁取付体の掛止凹部に直接掛止されるタイプとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−69937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図10に示す壁掛構造にあっては、掛止軸101に固定される掛止板103及び該掛止板103を掛止軸101に固定するビス102が必要であるため、部品点数が多く、コスト高になるし、また、掛止軸101の先端に掛止板103及びビス102が取付けられるため、表示装置の後面と壁面との間の離隔距離が長くなり、改善策が要望されていた。
【0006】
また、特許文献1記載のように、先端に抜止部を有する掛止軸が掛止凹部に直接掛止されるものにあっては、掛止軸が取付けられている表示装置に上方への外力が加わった場合、掛止軸が掛止凹部から上方へ移動し、掛止が解除されることになり、改善策が要望されていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は掛止軸を壁取付体に直接掛止するタイプにおいて、掛止軸の掛止状態を良好に維持することができる壁掛構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る壁掛構造は、被壁掛物に取付けられる複数の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸の先端部には、径方向に突出して軸長方向への抜出しが阻止される抜止部を設けてあり、前記壁取付体は、前記掛止軸が挿入される複数の大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する複数の小孔を有し、前記大孔及び小孔の連通部は、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有することを特徴とする。
【0009】
この発明にあっては、薄型の表示装置等の被壁掛物に掛止軸が取付けられ、壁取付体が壁部に取付けられる。被壁掛物が壁掛けされる際、掛止軸が大孔に挿入された状態で、被壁掛物の荷重にて掛止軸が連通部を経て小孔に移動することにより、掛止軸の抜止部が小孔の縁部に係合し、掛止軸の抜出しが阻止される。被壁掛物に上方への外力が加わった場合、掛止軸が連通部の規制部に当接し、上方への移動を規制することができるため、特別の部品を設けることなく掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を簡易に高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る壁掛構造は、前記大孔及び小孔は、上下に長い長孔であり、長孔の対向する長辺の一方に前記規制部を配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、大孔、小孔、連通部及び規制部を一度に成形することが可能であるため、規制部を有する割に簡易にでき、コストを低減できる。
【0011】
また、本発明に係る壁掛構造は、被壁掛物に取付けられる複数の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸は、軸長方向の中間に、周方向に延びる溝を有し、該溝よりも先端側を、軸長方向への抜出しが阻止される抜止部としてあり、前記壁取付体は、前記掛止軸が挿入される複数の大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する複数の小孔を有し、前記大孔及び小孔の連通部は、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有することを特徴とする。
【0012】
この発明にあっては、薄型の表示装置等の被壁掛物に掛止軸が取付けられ、壁取付体が壁部に取付けられる。被壁掛物が壁掛けされる際、掛止軸が大孔に挿入された状態で、被壁掛物の荷重にて掛止軸が連通部を経て小孔に移動することにより、掛止軸の抜止部が小孔の縁部に係合し、掛止軸の抜出しが阻止される。被壁掛物に上方への外力が加わった場合、掛止軸が連通部の規制部に当接し、上方への移動を規制することができるため、特別の部品を設けることなく掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を簡易に高めることができる。しかも、軸体に溝を設けるだけで、抜止部を有する掛止軸が形成されるため、抜止部を有する掛止軸を簡易に得ることができ、コストを低減できる。
【0013】
また、本発明に係る壁掛構造は、被壁掛物の横方向及び上下に離隔した4箇所に取付けられる4本の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸の先端部には、軸長方向への抜出しが阻止される抜止部を設けてあり、前記壁取付体は、横方向へ離隔した2箇所に、上側2本の前記掛止軸が挿入される大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する小孔を有し、且つ前記大孔及び小孔の連通部に、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有する孔を配してあり、前記2箇所よりも下側の2箇所に、下側2本の前記掛止軸が軸長方向への抜出しを規制可能に挿入される第2孔を配してあることを特徴とする。
【0014】
この発明にあっては、薄型の表示装置等の被壁掛物の4箇所に掛止軸が取付けられ、壁取付体が壁部に取付けられる。被壁掛物が壁掛けされる際、上側2本の掛止軸が大孔に挿入され、下側2本の掛止軸が第2孔に挿入された状態で、被壁掛物の荷重にて上側2本の掛止軸が連通部を経て小孔に移動することにより、掛止軸の抜止部が小孔の縁部に係合し、また、下側2本の掛止軸の抜止部が第2孔の縁部に係合し、各掛止軸の軸長方向への抜出しが阻止される。被壁掛物に上方への外力が加わった場合、上側2本の掛止軸が連通部の規制部に当接し、上方への移動を規制することができるため、特別の部品を設けることなく各掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を簡易に高めることができる。また、上側2箇所の孔には規制部があり、下側2箇所の第2孔には規制部がないため、横方向及び上下に離隔した4箇所に取付けられている掛止軸を孔及び第2孔に容易に掛止することができ、被壁掛物の壁掛け作業性を高めることができ、しかも、被壁掛物が取外しされる際には、下側2本の掛止軸の抜止部を、規制部にて規制されることなく非係合にすることができるため、被壁掛物の取外しを容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る壁掛構造は、前記掛止軸は、前側に表示面を有する表示装置の後面側に取付けられる被取付部を有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、前側に表示面を有し、後面側に掛止軸が取付けられている表示装置が壁掛けされる際、掛止軸が大孔に挿入された状態で、表示装置の荷重にて掛止軸が連通部を経て小孔に移動することにより、掛止軸の抜止部が小孔の縁部に係合し、掛止軸の抜出しが阻止される。表示装置に上方への外力が加わった場合、掛止軸が連通部の規制部に当接し、上方への移動を規制することができるため、特別の部品を設けることなく掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を簡易に高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大孔に挿入された掛止軸が連通部を経て小孔に移動し、掛止軸先端部の抜止部が小孔の縁部に係合し、掛止軸の抜出しを阻止することができるとともに、小孔に掛止されている掛止軸が上方へ移動するのを規制部にて規制することができ、掛止軸の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る壁掛構造の構成を示す縦断側面図である。
【図2】本発明に係る壁掛構造の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る壁掛構造の壁取付体の構成を示す正面図である。
【図4】本発明に係る壁掛構造の掛止軸が壁取付体の孔に掛止されている状態を示す一部の斜視図である。
【図5】本発明に係る壁掛構造の掛止軸が壁取付体の孔に掛止される過程を示す説明図である。
【図6】本発明に係る壁掛構造における壁取付体の他の構成を示す正面図である。
【図7】本発明に係る壁掛構造における壁取付体の他の構成を示す平面図である。
【図8】本発明に係る壁掛構造における壁取付体の他の構成を示す側面図である。
【図9】図6のIX−IX線断面図である。
【図10】従来の壁掛構造の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る壁掛構造の構成を示す縦断側面図、図2は壁掛構造の構成を示す分解斜視図、図3は壁掛構造の壁取付体の構成を示す正面図、図4は壁掛構造の掛止軸が壁取付体の孔に掛止されている状態を示す一部の斜視図である。
【0019】
図示した壁掛構造は、前側に表示面を有し、略直方体をなす表示装置Aの後面側に取付けられる4本の掛止軸1と、壁部Bに取付けられ、掛止軸1が掛止される四つの孔2を有する壁取付体3とを備える。
【0020】
掛止軸1及び孔2は、VESA規格により決められた間隔で横方向及び上下に離隔して配されている。
【0021】
掛止軸1は、基端側に嵌入部を有し、先端側の中心部に螺子孔11を有する有底の円筒体からなり、表示装置Aの後面側に開設された4箇所の取付孔に嵌入部が嵌入固定されている。掛止軸1の先端部外周には、孔2の縁部に係合する環状の溝12が設けられ、該溝12よりも先端側を、溝12の底部よりも径方向外方に突出して軸長方向への抜出しが阻止される抜止部13としてある。
【0022】
壁取付体3は、VESA規格により決められた孔2の横方向の間隔よりも長く、孔2の上下間隔よりも長い四角形に形成された金属板製であり、横方向両側には、上下両端に亘って厚さ方向へ変位する凸条部31,31が設けられ、凸条部31,31の上部及び下部に孔2が開設されている。凸条部31,31の高さは、抜止部13の長さとほぼ等しく、壁部Bに取付けられている壁取付体3の孔2に掛止軸1の先端部が挿入されたとき、掛止軸1の先端が壁部Bに当接した状態で孔2の縁が溝12と上下に対向するようになしてある。
【0023】
凸条部31夫々の横方向両側には図4に示すように複数のビス孔32が開設され、ビス孔32に挿入するビス4にて壁取付体3を壁部Bに取付けるようになしてある。尚、ビス孔32は一部分にしか図示されていないが、実際には凸条部31夫々の横方向両側に上下に離隔して複数開設されている。
【0024】
孔2は掛止軸1の抜止部13よりも大径の大孔21及び該大孔21の下部に連通部22にて連通し、掛止軸1の抜止部13よりも小径の小孔23を有する上下に長い長孔である。
【0025】
凸条部31,31の上部に配される孔2の連通部22には、対向する長辺の一方から他方に向けて横方向に突出し、溝12にて小孔23に嵌入されている掛止軸1が上方へ移動するのを規制する規制部24が設けられている。
【0026】
規制部24は、小孔23に嵌入されている掛止軸1の周面と上下に対向し、掛止軸1の上方への移動を規制しているが、上下方向と交差する方向への移動は許容してある。規制部24の小孔23と対向する側は斜め上方へ傾斜し、掛止軸1が小孔23から大孔21へ移動する際の案内面になっている。
【0027】
以上のように構成された壁掛構造は、掛止軸1が表示装置Aの後面側に取付けられ、壁取付体3が複数本のビス4にて壁部Bに取付けられ、両側の凸条部31,31が壁部Bから離隔している。
【0028】
表示装置Aは、前側に表示面を有する表示部と、該表示部の周縁部及び後面側を覆うキャビネットとを備え、表示部の後面で、横方向に離隔した2箇所に、上下に長い帯板状の補強扞が取付けられており、該補強扞の上下2箇所、即ち、横方向及び上下に離隔した4箇所に掛止軸1の基端側が取付けられ、キャビネットにおける掛止軸1と対向する位置に貫通孔5が開設され、掛止軸1の抜止部13及び溝12が貫通孔5から外部へ露出している。
【0029】
図5は壁掛構造の掛止軸1が壁取付体3の孔2に掛止される過程を示す説明図である。表示装置Aが壁掛けされる場合、表示装置Aを持ち上げ、壁取付体3と前後に対向する位置で表示装置Aの4本の掛止軸1を、壁取付体3における四つの孔2の各大孔21に挿入する(図5A)。挿入された各掛止軸1は、先端が壁部Bに当接し、この当接状態で表示装置Aを若干下げることにより掛止軸1の溝12に大孔21の下縁部が嵌入され、抜止部13が大孔21の縁部に係合し(図5B)、掛止軸1の軸長方向への抜出しが阻止される。この状態で表示装置Aがさらに若干下げられることにより、上側2本の各掛止軸1は規制部24に沿いつつ連通部22を経て溝12部が小孔23に嵌入され、下側2本の各掛止軸1は連通部22を経て溝12部が小孔23に嵌入され、各掛止軸1の抜止部13が小孔23の縁部に係合し(図5C)、掛止軸1の軸長方向への抜出しが阻止されるとともに、表示装置Aの落下が阻止され、壁掛けされる。
【0030】
壁取付体3の上側2箇所に開設されている各孔2の連通部22には、小孔23に嵌入されている掛止軸1の周面と対向する規制部24があるため、表示装置Aに上方への外力が加わっても掛止軸1の上方への移動が規制され(図5D)、掛止軸1が孔2から抜け出すのを阻止することができ表示装置Aの壁掛け状態を維持することができる。
【0031】
表示装置Aに取付けられている掛止軸1は、先端部の周面に溝12があり、溝12よりも先端側を抜止部13としてあるため、表示装置Aの壁部Bからの離隔距離を比較的短くすることができ、表示装置Aの壁掛け状態での安定性を高めることができる。
【0032】
また、掛止軸1自体の溝12部が孔2の縁部に係合して掛止されるため、掛止軸1とは別個の掛止部品及び掛止部品を掛止軸1に取付けるための取付部品が必要でなく、部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0033】
また、掛止軸1には螺子孔11が開設されているため、螺子孔11に螺入されるビスにて既存の掛止板を取付けることができ、既存の掛止板にて表示装置を壁掛けすることも可能である。
【0034】
また、掛止軸1は丸軸状であるため、略直方体をなす表示装置が、横方向に長い状態で壁掛けされる場合でも、また、縦方向に長い状態で壁掛けされる場合でも、同じ壁取付体に同様の壁掛け作業で掛止することができる。
【0035】
実施の形態2
図6は壁掛構造における壁取付体3の他の構成を示す正面図、図7は壁掛構造における壁取付体3の他の構成を示す平面図、図8は壁掛構造における壁取付体3の他の構成を示す側面図、図9は図6のIX−IX線断面図である。
【0036】
この壁取付体3は、横方向に長い帯板状をなす上側の壁取付体分体3a(図6A)と、横方向に長い帯板状をなす下側の壁取付体分体3b(図6B)とを備える。壁取付体分体3a,3bは、横方向に長い取付板部33と、該取付板部33の幅方向中央部に両端に亘って厚さ方向へ突出する凸条板部34とが一体に成形されている。
【0037】
凸条板部34は、上下に対向する上板部34a及び下板部34bと、上板部34a及び下板部34bの先端に連なる先板部34cとを有する。
【0038】
取付板部33の幅方向両側と、幅方向中央部とには長手方向に離隔して複数の挿通孔35が開設されている。凸条板部34における挿通孔35と対向する位置には、挿通孔35よりも若干大径の貫通孔36が開設されている。
【0039】
壁取付体分体3a,3bにおける凸条板部34の両端側には、VESA規格により決められた間隔で掛止凹部37,38が設けられている。
【0040】
上側の壁取付体分体3aにおける凸条板部34の掛止凹部37は、掛止軸1の直径よりも広幅の受入部37aと、該受入部37aの下部に掛止軸1の直径よりも狭幅の連通路37bを経て連なり、掛止軸1の直径よりも狭幅の受止部37cとを有し、連通路37bの途中に、掛止軸1の上方への移動を規制する規制部37dが設けられている。規制部37dは、連通路37bの対向する二つの辺を横方向(連通路の幅方向)へ屈曲させることにより形成されている。上板部34aにおける受入部37aと対向する位置には、受入部37aよりも若干広幅に欠除された欠除部34dが設けられている。
【0041】
下側の壁取付体分体3bにおける凸条板部34の掛止凹部38は、掛止軸1の直径よりも広幅の受入部38a及び該受入部38aに同幅で連なる受止部38bを有する。上板部34aにおける受入部38aと対向する位置には、受入部38aよりも若干広幅に欠除された欠除部34dが設けられている。
【0042】
各凸条板部34の突出高さは、抜止部13の長さとほぼ等しく、壁部Bに取付けられている壁取付体分体3a,3bの掛止凹部37,38に各掛止軸1の先端部が挿入されたとき、各掛止軸1の先端が各取付板部33に当接した状態で掛止凹部37,38の受入部37a,38aが各溝12と上下に対向するようになしてある。
【0043】
以上のように構成された上側及び下側の壁取付体分体3a,3bは、壁部Bにおける上下に離隔した位置に、挿通孔35に挿通されるビスにて取付けられる。
【0044】
後面側の4箇所に掛止軸1が取付けられている表示装置Aが壁掛けされる場合、表示装置Aを持ち上げ、壁取付体分体3a,3bと前後に対向する位置で表示装置Aの4本の掛止軸1を、壁取付体分体3aにおける二つの掛止凹部37の受入部37aと、壁取付体分体3bにおける二つの掛止凹部38の受入部38aとに挿入する。
【0045】
この際、上側二つの受入部37aと、下側二つの受入部38aとは、上方へ開放されているため、4本の掛止軸1を受入部37a,38aに容易に挿入することができ、表示装置の壁掛け作業性を高めることができる。
【0046】
受入部37a,38aに挿入された各掛止軸1は、先端が各取付板部33に当接し、この当接状態で表示装置Aを若干下げることにより、上側2本の掛止軸1の溝12に連通路37bの対向辺部が嵌入され、抜止部13が連通路37bの対向辺部に係合し、掛止軸1の軸長方向への抜け出しが阻止される。この状態で表示装置Aがさらに若干下げられることにより、上側2本の掛止軸1は連通路37bに沿いつつ下方へ移動し溝12部に受止部37cが嵌入され、下側2本の掛止軸1は受入部38aから下方へ移動し溝12部に受止部38bが嵌入され、各掛止軸1の抜止部13が受止部38bの縁部に係合し、掛止軸1の軸長方向への抜け出しが阻止されるとともに、表示装置Aの落下が阻止され、壁掛けされる。
【0047】
表示装置に上方への外力が加わった場合、上側2本の掛止軸1が連通路37bの規制部37dに当接し、上方への移動を規制することができるため、特別の部品を設けることなく各掛止軸1の掛止が解除されるのを防ぐことができ、安全性を簡易に高めることができる。
【0048】
上側2箇所の掛止凹部37には規制部37dがあり、下側2箇所の掛止凹部38には掛止軸1の上方への移動を規制する規制部がないため、横方向及び上下に離隔した4箇所に取付けられている掛止軸1を掛止凹部37,38に容易に掛止することができ、表示装置の壁掛け作業性を高めることができる。また、表示装置が取外しされる際には、下側2本の掛止軸1の抜止部13を、規制部にて規制されることなく非係合にすることができるため、表示装置の取外しを容易に行うことができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0049】
尚、以上説明した実施の形態では、掛止軸1に環状の溝12を設けたが、その他溝12は、周方向の2箇所に周方向に延びる平行状に配してある非環状であってもよく、また、略C字形をなす非環状であってもよい。
【0050】
また、以上説明した実施の形態では、壁取付体3の上側2箇所に、規制部24を有する孔2を配し、下側2箇所に規制部24がない孔2(第2孔)を配したが、その他、上側2箇所及び下側2箇所に規制部24を有する孔2を配してもよい。また、実施の形態2においても同様である。
【0051】
また、以上説明した実施の形態では、掛止軸1に溝12を設けて抜止部13を形成したが、その他、溝12がなく、先端部が基体側よりも大径で、径方向へ突出する抜止部を有する構成としてもよい。また、抜止部13は、全周に亘って形成されている他、周方向の一箇所又は複数箇所に形成されている構成であってもよいし、また、止め輪等を取付けることにより該止め輪等を抜止部としてもよい。
【0052】
また、本発明に係る壁掛構造は、前側に表示面を有し、略直方体をなす薄型の表示装置が被壁掛物である他、額縁、看板等の比較的薄型の物品が被壁掛物であってもよく、掛止軸が取付けられる被壁掛物の物品は特に制限されず、表示装置と同様の壁掛けができる。
【符号の説明】
【0053】
1 掛止軸
12 溝
13 抜止部
2 孔(第2孔)
21 大孔
22 連通部
23 小孔
24 規制部
3 壁取付体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被壁掛物に取付けられる複数の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸の先端部には、径方向に突出して軸長方向への抜出しが阻止される抜止部を設けてあり、前記壁取付体は、前記掛止軸が挿入される複数の大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する複数の小孔を有し、前記大孔及び小孔の連通部は、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有することを特徴とする壁掛構造。
【請求項2】
前記大孔及び小孔は、上下に長い長孔であり、長孔の対向する長辺の一方に前記規制部を配してある請求項1記載の壁掛構造。
【請求項3】
被壁掛物に取付けられる複数の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸は、軸長方向の中間に、周方向に延びる溝を有し、該溝よりも先端側を、軸長方向への抜出しが阻止される抜止部としてあり、前記壁取付体は、前記掛止軸が挿入される複数の大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する複数の小孔を有し、前記大孔及び小孔の連通部は、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有することを特徴とする壁掛構造。
【請求項4】
被壁掛物の横方向及び上下に離隔した4箇所に取付けられる4本の掛止軸及び壁部に取付けられ、前記掛止軸夫々が掛止される壁取付体を備える壁掛構造において、前記掛止軸の先端部には、軸長方向への抜出しが阻止される抜止部を設けてあり、前記壁取付体は、横方向へ離隔した2箇所に、上側2本の前記掛止軸が挿入される大孔及び該大孔の下部に連通し、前記抜止部に係合して前記掛止軸の軸長方向への抜出しを阻止する小孔を有し、且つ前記大孔及び小孔の連通部に、横方向へ突出し前記掛止軸の上方への移動を規制する規制部を有する孔を配してあり、前記2箇所よりも下側の2箇所に、下側2本の前記掛止軸が軸長方向への抜出しを規制可能に挿入される第2孔を配してあることを特徴とする壁掛構造。
【請求項5】
前記掛止軸は、前側に表示面を有する表示装置の後面側に取付けられる被取付部を有する請求項1から4のいずれか一つに記載の壁掛構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−79669(P2013−79669A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219505(P2011−219505)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】