説明

壁部に対する近接度が改善された先端保護フィルタ

【課題】血管の大きさ、形状、または血管への様々な装着方法にかかわらず塞栓細片を捕捉可能な、濾過性能および血管との近接度が改善された装置を提供すること。
【解決手段】血管内処置の際に血液が通過できる状態で塞栓物質の濾過を容易にするために様々な形状の太い血管および細い血管の双方に対する近接度が改善された先端保護/塞栓物質回収装置。この装置は、血管の内面に対するフィルタ部分の近接度を最大にするようにデザインされたフィルタ・バスケットを含み、濾過膜を周方向に支持してフィルタ・バスケットの「折れ曲がり」を解消するまたは最小限にするストラットも含むことができる。フィルタ・バスケットの濾過膜に薄膜材料を用いることもできる。加えて、本発明に生物学的に活性な物質および/または薬物を組み合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、治療および医療処置に有用な血管内装置に関する。詳細には、本発明は、血管内処置の際に塞栓物質が血管を介して流出するのを防止するための血液濾過システムに関する。
【0002】
2.関連技術
アテローム性動脈硬化症は、早ければ子供の時に始まり、動脈における堆積の結果として主に起こる、年齢と共に進行し得る複雑な疾患である。一部の患者では、進行がとても速い。血管が、完全に閉塞してしまうこともあるが、様々な要領で縮小および/または狭窄する場合が多い。狭窄は、血管の内壁に形成される通常は硬い石灰化物質であるアテロームによって起こり得る。狭窄はまた、血管内を流れる血流を制限し得る血栓物質の蓄積によっても起こり得る。一般に、アテローム性動脈硬化症は、脂肪質、コレステロール、老廃物、カルシウム、および動脈の内層に蓄積する他の物質のあらゆる組み合わせで起こる。この蓄積が、通常はプラークと呼ばれる。アテローム性動脈硬化症は、冠動脈性心疾患を引き起こす場合が多く、米国はもちろん諸外国でも男性および女性の両方で今日の大きな健康問題である。
【0003】
アテローム性動脈硬化症はまた、動脈を狭窄し得る血餅の発生により、発作や他の疾患を引き起こし得る。プラークは、動脈内の血流を大幅に減少させるほど大きく成長し得るが、障害の殆どは、プラークが脆弱になって破裂した時に起こるであろう。このようなプラークは、通常は脆弱性プラーク(vulnerable plaques)と呼ばれる。脆弱性プラークが破裂すると、通常は血餅が形成される。この血餅が、血液の流れを遮断したり、分解されて血管を介して体の別の部位に移動したりする場合がある。いずれの場合も、血管を支持し、かつ栄養を供給する血管が閉塞されて心発作が起こり得る。脳に血液を供給する血管が閉塞すると、これにより、発作が引き起こされ得る。下肢に血液を供給する血管が閉塞すると、下肢虚血が起こって、歩行が困難になり、かつ/または跛行と呼ばれる脚の痛みが起こり、最終的に壊疽が起こることがある。
【0004】
血管の狭窄障害(stenotic lesion)としても知られている動脈の狭窄が原因で、医療専門家により、このような症状を治療するためにこれまでに様々な血管内処置が開発され、長い間に進歩が遂げられ、経皮的バルーン血管形成術が最も一般的である。経皮的バルーン血管形成術では、バルーンカテーテルを血管内に挿入し、そのバルーンを病変部位で膨張させ、血管壁の内側に対して狭窄蓄積物を実質的に圧迫する。最近になって、この血管形成術の後またはこれと同時に病変部位に1または複数のステントが配置され、この血管形成術が補強されるようになった。このステントは、血管内の内部足場として機能し、血管の内腔の開存性を維持すると共に血管の再狭窄を防止する。一般に、ステントには、主にバルーン膨張型と自己拡張型の2種類がある。これらの語が示すように、バルーン膨張型ステントは、生体内でバルーンにより配置/膨張される一方、自己拡張型ステントは、ニチノールなどの形状記憶合金を利用することができる。このようなニチノール(ニッケル・チタン合金)などの合金は、形状記憶特性を有し、生体適合性であって、患者の血管内に挿入するようにデザインされており、その使用は当分野で周知である。このようないわゆる形状記憶合金は、適切な温度条件にさらされると元の形状に戻ることができる。このような合金の形状記憶特性により、装置が変形することができ、体腔または窩内への挿入が容易になる。体内の高温にさらされると、装置は元のプログラムされた形状に戻る。従って、小さな形状すなわち圧縮された状態で装置が血管系に挿入されたら、形状記憶特性を利用して装置を元の形状に拡張させることができる。ニチノールは超弾性特性も有することができるため、このようなニチノールなどの材料から製造された装置は、患者の血管系内への挿入を容易にするために、変形してその変形した状態を維持することができる。この変形により、材料の相が変態する。超弾性特性を有する装置が送達されたら、超弾性材料に対する制限を解除して応力を減少させて、予め圧縮されている超弾性部材をその元のプログラムされた変形していない形状に戻すことができ、これにより元の相に変態する。
【0005】
様々な血管内処置、特に血管形成術が非常に成功しているが、このような処置によって塞栓が生じることがある。例えば、ステントの拡張および配置の際に、血管壁が外傷して、この外傷による剥離物が塞栓になることがある。血管の内面を取り囲む塞栓は、血管の閉塞および/または、血管系および/または体の器官内での血餅の形成を引き起こし得る。このような事態は慎重かつ適切な処置により最小限にすることができるが、このような事態が起こると、患者に深刻な結果がもたらされる。このような事態を引き起こす原因となる血管内を移動する物質を十分に捕捉し、かつ/または濾過することによって、このような安全処置を行わない場合に起こり得る深刻な結果を回避できる。
【0006】
血管から塞栓細片/物質を捕捉および/または濾過するべく様々な試みがなされてきた。このような試みには、バスケット、ネット、吸引、そして細片の化学修飾さえも含まれる(捕捉した塞栓に溶解剤を送達するために追加の導管を利用する米国特許第5,053,008号を参照)。塞栓を捕捉するために大静脈に血管フィルタを使用することが開示されている(米国特許第4,727,873号および同第4,688,553号を参照)。静脈フィルタのデザインは、適合性などの問題を解消するため、および位置ずれを防止するために改善が行われている(米国特許第6,443,972号を参照)。機能が静脈フィルタに類似しているフィルタ・バスケットを用いる先端保護装置は、通常は内腔内に一次的に配置されるが、静脈フィルタは、その名称が示すように血管内、大抵は下大静脈に移植されるのが普通である。血管内処置の際に、塞栓細片/物質を捕捉するために処置の下流にフィルタ・バスケットを配置することも1つの方法である。このようなバスケット型装置は、血管系に導入して、目的の部位のやや遠位側すなわち下流の位置に最終的に配置するべく血管系内を移動させなければならないため、少ない外傷で必要な血管内の移送を可能にする概念および特徴を全てではないにしても殆ど含む(米国特許第6,391,044号を参照)。これは、サイズが縮小された装置または圧縮型の装置を使用することで実現できる。これにより、装置が血管内の目的の位置に達したら、その通常の動作サイズまで装置を拡張することができる。
【0007】
このようなバスケット型装置の殆どは、「拡張型フィルタ」を利用している。つまり、「拡張型フィルタ」は、血管内の比較的高い温度にさらされると元のプログラムされたサイズに戻る特性を有する形状記憶合金から製造することができる。別法では、ジオメトリに対する制限を取り除いて超弾性特性を利用することができる。このような装置は通常、血管内処置における装置の使用およびその存在によって分離するまたは生じ得るあらゆる断片、細片、および/または塞栓物質を捕捉するために狭窄部の遠位側すなわち下流に配置する。装置の下流への配置は、不所望の物質を移送する血管内の血液の流れを利用している。装置の濾過膜は通常、血液は通すが、微小塞栓や巨大塞栓などの大きな断片や細片の通過を制限するようにデザインされている。このような断片、細片、および/または塞栓物質は、ここに開示するようなフィルタ装置が配置されないと、下流への血流によって装置を通過してその先に移送される可能性がある。この方法により捕捉すべき物質の相当部分を十分に捕捉することができるが、このようなデザインの多くは円形の血管に対して最適化されている。血管の外形が円形または僅かな楕円形であっても、血管の内側の形状は、楕円または長円形などの非円形、または他の非円形の形状の場合もよくある。特に、血管内に石灰化が生じていると、血管の内側の形状は不規則な場合が多い。更に、血管の断面形状は、血管の位置や種類、そして患者によっても異なり得る。更に、血管内を通る血液の循環およびこの循環により生じる力によって、通常の血管の形状を更に変化させ得る動的な状態が存在する。全体的に円形の血管に対してデザインされる拡張型フィルタは、上記した追加の因子を考慮すると、少なくとも血管壁の内周面の一部に対する近接が不足している。拡張型装置の最終的な形状が円形であるのに対して血管の内腔の断面形状が非円形である場合が多いため、このようなギャップすなわち漏れ通路が生じ得る。装置と内腔の内面との間に生じるこのようなギャップにより、装置によって捕捉されるべき塞栓に、血管の内壁と装置の外面との間のギャップなどを通過できる十分な空間が与えられる。このような場合、濾過されない通路を塞栓が通過できるようになるため、この装置の主目的である断片、細片、および/または塞栓物質の捕捉ができなくなる。血管自体がたとえ円形であったとしても、「折れ曲がり」が起こると、血管の内腔に対する円形フィルタの適合が最適でなくなることがある。「折れ曲がり」とは、システムの支持されていない膜が、膜を支持しているストラット間の位置で折れ曲がった状態を指す。この状態では、理想的な円形の血管であっても、近接するストラット間の位置で血管の内壁と膜との間にギャプが形成される。「折れ曲がり」は、血管を十分に覆うべくオーバーサイズの装置(装置が配置される血管よりも大きな装置)を用いる場合にも起こり得る。このような場合、オーバーサイズの装置のストラットが血管壁に接触すると、装置の拡張が止まる。結果的に、この拡張がプログラムされた完全な拡張サイズよりも小さいため、膜が十分に伸びない。従って、膜に残った緩みにより「折れ曲がり」が生じ、これにより濾過されない通路が形成される。更に、たとえ「折れ曲がり」が存在しなくても、真円の血管への円形型装置の使用で、最終的な装置の変形が血管の変形に十分に一致しないことがあるため、血管への装着および/または血管の変形の際に十分に対応できないことがある。この異なった変形により、血管への装着および/または血管の変形の際に血管内壁と装置との間にギャップまたは漏れ通路が形成され得る。
【0008】
従って、血管の大きさ、形状、または血管への様々な装着方法にかかわらず塞栓細片を捕捉可能な、濾過性能および血管との近接度が改善された先端保護装置が要望されている。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明に従った近接度が改善された先端保護装置は、現在利用されている装置の不都合な点および欠点を解消し、様々な荷重条件および無荷重条件における様々な大きさおよび形状の血管の近接度を改善して塞栓細片の捕捉を最大化し、これまで満たされていない要望に応える。
【0010】
本発明は、血管系内を流れる血液中の塞栓を捕捉できる血管内濾過装置およびこの装置を用いた方法に関する。この濾過装置は、拡張可能なバスケットを含み、中心に配置されるガイドワイヤに対して径方向外側に配置できるように構成されている。血管に対する適合性が改善された濾過装置の拡張は、太い血管および細い血管に対して、そして血管自体が受ける様々な内部荷重および/または外部荷重条件に対しても、円形および非円形の血管における血液の濾過が改善されるように行われる。更に、本発明に生物学的に活性な物質および/または薬物を含めるまたは適用すると別の利点が得られる。
【0011】
本発明の例示的な一実施形態に従えば、フィルタ・バスケットと支持ストラットが協働し、これにより、内部血管壁に対する適合性および近接度の改善という上記した目的が果たせる。フィルタ・バスケットと支持ストラットが協働する本発明のこの例示的な実施形態では、フィルタ・バスケットの拡張がストラットから分離されているため、フィルタ・バスケットの拡張を、フィルタ・バスケットに機能的に結合された支持ストラットの拡張から独立させることができる。本発明の例示的な実施形態に従ったこのような機能的な連結では、膜に連結されたストラットが等間隔であり、これにより、ストラットの径方向の移動により膜の径方向の拡張を制御することができ、かつ膜に対するストラットの独立した長手方向すなわち軸方向の移動が可能になる。例えば、本発明に従って、膜に固定されたループ内をストラットがスライドできるように膜にストラットを機能的に取り付け、これにより、個々のストラットの軸方向の移動とは独立した膜の径方向の拡張を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、それぞれの支持ストラットの個々の拡張により、フィルタ・バスケットに個々に作用してこのバスケットを拡張させることができる。このフィルタ・バスケットの拡張は、非均一にすることができる。この結果、各ストラットの独立した径方向の拡張が装置のフィルタ部分に作用して、血管壁への近接度が改善される。このような血管の内面に対する適合性の改善により、適合性が改善されていない場合に血管に近接して配置されていない装置の周りを通過可能であった塞栓物質および/または他の物質を捕捉できるようになって濾過性能が改善されている。これは、患者に大きな恩恵をもたらす。
【0012】
本発明の別の例示的な実施形態では、支持ストラットのない弾性フィルタ・バスケットで同様の効果を得ることができる。本発明のこの代替の例示的な実施形態では、フィルタ・バスケット自体は、薄膜ニチノールなどの自己拡張材料または自己拡張ポリマー材料から形成して、または拡張するときに自由に適合するメッシュとして機能し得る自己拡張部材の格子として、自己拡張できるようにすることができる。この自由な適合性により、血管に対する適合性が改善される。フィルタ・バスケットから応力除去および/または材料除去を行って、フィルタ・バスケットの適合性を更に改善することができる。本発明のフィルタ・バスケットの拡張は、自己拡張材料を用いるまたは用いない機械的な拡張またはバルーンによる拡張などの代替手段で達成することもできる。
【0013】
本発明の更に別の例示的な実施形態では、ストラット自体は、近接するストラット/フィルタ部材に対して独立して拡張するフィルタ・バスケットを他のフィルタ部材とともに構成する独立したフィルタ部材として形成することができる。1または複数のフィルタ・フランジが、それぞれのストラットに機能的に取り付けられている。結合されたストラットとフィルタ・フランジ部材が近接するストラットおよびフィルタ・フランジ部材と相互作用して、非円形の形状に対応できるフランジが重なり合ったフィルタ・コーンを形成する。このフィルタ・コーンは、装置が配置される好適な内腔すなわち血管の直径に拡張することができる。
【0014】
本発明の第4の例示的な実施形態では、円形および非円形の血管の双方において適合性が改善され、フィルタ部分の「折れ曲がり」が解消される。本発明の例示的な実施形態では、支持ストラットの経路は軸方向と周方向の両方である。各ストラットは、フィルタの先端部分で軸方向に延び、次いで膜の周囲の一部分のためにフィルタの中間点で周方向に延び、次いでフィルタの残りの基端部分で軸方向に延びている。本発明のこの例示的な実施形態では、血管の内腔に近接した、装置の基端部と先端部の間の実質的に3分の1の中央に位置する装置の周囲の相当な部分に沿って濾過膜を支持することで血管に対する適合性が改善されている。濾過膜に作用するストラットの周囲部分により、血管に対する適合性が改善され、周囲のかなりの部分に亘って濾過膜が血管に近接するように支持され、「折れ曲がり」が生じないようになっている。
【0015】
本発明の第5の例示的な実施形態では、円形の血管および非円形の血管の双方に対する適合性を改善するべく最適化された独立した一連のストラットを用いて、システムの折り畳みおよび/または圧縮外形を更に縮小して血管の内腔内に対する適合性を改善できる。これは、フィルタ・バスケットの基端部分のみを占める独立したストラットループを用いて、フィルタ・バスケットの先端部分からストラットを排除して、フィルタ・バスケットの先端部分の圧縮時の形状を更に縮小して達成することができる。それぞれの独立したストラットループは、他のストラットループに対して同じ要領または別の要領で拡張することができるため、血管壁に対する膜の適合性を改善することができる。本発明に従えば、ストラットループの例として、U型およびV型のループを挙げることができる。ストラットのループ形成では、ストラットの実質的に軸方向に延びた部分を外周の一部分として周方向に案内し、次いで第2の実質的に軸方向の部分を通り、ストラットの開始位置近傍に戻して完全なループを形成する。U型ループでは、ループの周囲部分と2つの軸方向部分で文字Uに類似した形状を形成し、V型の構造では、ストラットの先端軸方向部分が文字Vに類似した形状を形成することができる。V型の構造では、圧縮時に整合可能な先端軸方向部分により、装置の容易かつ効果的な圧縮および/または折り畳みが容易になり、血管内を通って目的の部位まで送達する際に極めて重要となる外形寸法が小さくなる。V型の構造は、小さな外形の管からカットすることもできる。あらゆる好適な構造が可能であることに留意されたい。膜に機能的に取り付けられたストラットの周囲部分が血管壁に近接して膜を支持することにより、ストラットの周囲部分が血管壁への適合性を確実にするため、血管に対する適合性が改善されるとともに「折れ曲がり」が最小限になる。圧縮すなわち折り畳まれる濾過膜とストラットの組み合わせにより、先端部分にストラットを設けずにストラットループを装置の基端部分に限定することができ、装置の先端部分の外形を小さくすることができる。
【0016】
生物学的に活性な化合物または薬剤的に活性な化合物を本発明に含めるまたは適用することが、本発明の更なる目的であり、所望の部位への作用物質の送達に導管を用いる方法および/または装置の改善につながる。以下に示すような化合物を、これらの装置にコーティングとして適用することができ、治療薬および医薬品を送達するために用いることができる。このような化合物の例として、天然物を含む抗増殖剤/有糸分裂阻害剤:ビンカアルカロイド(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxins)(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アンティノマイシンD(antinomycin D))、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝させ、自身のアスパラギンを合成する能力を持たない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ);G(GP)IIb/IIIa阻害剤およびビトロネクチン受容体拮抗薬などの抗血小板薬;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似薬、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホン酸‐ブスルファン、ニトロソウレア(nirtosoureas)((カルムスチンcarmustine)(BCNU)および類似薬、ストレプトゾシン)、トラゼン‐ダカルバジニン(DTIC)(trazenes‐dacarbazinine)などの抗増殖アルキル化剤(anti-proliferative alkylating agent)/有糸分裂阻害アルキル化剤(antimitotic alkylating agent);葉酸類似薬(メトトレキサート)、ピリミジン類似薬(フルオロウラシル、フロクスウリジン、およびシタラビン)、プリン類似薬および関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)などの抗増殖代謝拮抗剤(anti-proliferative antimetabolite)/有糸分裂阻害代謝拮抗剤(antimitotic antimetabolite);白金配位錯体(platinum coordination complexes)(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩(synthetic heparin salts)および他のトロンビン阻害剤);繊維素溶解剤(組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ(abciximab);抗遊走剤(antimigratory);抗分泌剤(antisecretory)(ブレベルジン(breveldin));抗炎症薬:副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α‐メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン);非ステロイド剤(サリチル酸誘導体すなわちアスピリン;パラアミノフェノール誘導体すなわちアセトアミノフェン;インドール酢酸およびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク、およびエトドラク(etodalac))、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラック)、アリールプロピオン酸(イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸、およびメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム)など;免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管形成剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF);アンジオテンシン受容体遮断薬;酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligionucleotides)、およびそれらの組合せ;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、および成長因子受容体情報伝達キナーゼ阻害剤(growth factor receptor signal transduction kinase inhibitors);レテノイド(retenoids)、サイクリン/CDK阻害剤;HMG補酵素レダクターゼ阻害剤(HMG co-enzyme reductase inhibitors(スタチン));プロテアーゼインヒビターを挙げることができる。
【0017】
化合物を本発明に用いることにより、既存の治療および/または装置に明らかな臨床上の恩恵を与えることができる。具体的には、塞栓細片を溶解または分解することができる化合物を本発明のフィルタ部分内に含めることができる。このような化合物の選択で考慮すべき点は、塞栓を形成する血栓、プラーク、アテローム、または他の形態などの細片の起源である。本発明のフィルタ部分のメッシュおよび/または孔の大きさが小さくなると、本発明の濾過機構でより多くの塞栓物質が捕捉され、これによりフィルタ部分の負荷が大きくなる。小さな塞栓(通常は100μm未満)は、体の自然の力により塞栓を酵素的に分解、消化、または溶解できるため大きな問題ではないが、フィルタ自体に対する塞栓の負荷が過剰になり、血栓が形成できるような部分で血流が著しく低下すると、血栓が形成されることがある。このような場合に、捕捉した塞栓を分解できる化合物を含めるまたは適用するのが有利である。好適な化合物の例として、組織プラスミノーゲン(TPA)、ストレプトキナーゼ(SK)、レテプラーゼ(Reteplase)、テネクテプラーゼ(Tenecteplase)、ウロキナーゼ、ラノテプラーゼ(Lanoteplase)、スタフィロキナーゼ、および/またはナドロパリン(Nadroparin(anti-factor Xa)を挙げることができる。加えて、本発明のフィルタ部分は、血栓の形成を防止するために抗血栓薬および/または抗血栓性物質を含むことができる。例示的な化合物の例として、ヘパリン、フラグミン(ダルテパリン(dalteparin)、低分子ヘパリン)、ReoPro(商標)(アブシキマブ(abciximab)、抗血小板抗体)アセノクマロールなどのモノクローナル抗体、アニシンジオン(Anisindione)、ジクマロール(Dicumarol)、ワルファリン、エノキサパリン(Enoxaparin)(Lovenox)、アナグレライド(Anagrelide)(Agrylin)、インドメタシン(Indocin)、ジピリダモール、クロピドグレル(Clopidogrel)、アグレノックス(Aggrenox)、および/またはクマジンを挙げることができる。更に、親和結合化合物(affinity-binding compounds)を単独または他の化合物と組み合わせて、本発明のフィルタ部分に含めることもできる。親和結合化合物は、塞栓物質の結合および/または接着を促進し、塞栓物質の捕捉およびそれに続く塞栓物質の血流からの除去を容易にすることができる。化学表面処理、ボンバードメント(bombardment)、またはタンク内での浸漬などの方法によってストラットまたは膜の中に含める、材料自体に混合する(ストラットと膜がポリマー材料からなる場合)、またはストラットおよび/または膜に化合物をコーティングするなどの方法にかかわらず、ここに記載する任意の化合物またはそれらの組み合わせを用いることができる。更に、当業者であれば様々な他の化合物にも想到し、このような化合物を単独または他の化合物と組み合わせて本発明に用いることができる。
【0018】
本発明の上記した例示的な実施形態はそれぞれ、血管の大きさや形状または荷重条件にかかわらず、血管の内面に対する装置の外面の近接度を著しく改善する、信頼性が高く、製造が容易で、使用方法が単純な装置を提供する。更に、本発明に従って、送達装置の外形を比較的に小さくすることができる。更に、拡張することでき、かつ拡張時に円形および非円形の形状の双方に独立して適合できる、ここに開示する装置の構成要素の任意の組み合わせを用いることができる。患者の利益となる血栓形成の防止、結合の促進、および血栓の分解のために、上記したように生物学的に活性な物質および/または薬剤的に活性な物質を本発明に含めることができる。
【0019】
〔好適な実施形態の詳細な説明〕
本発明の特徴および上記した説明は、添付の例示的な図面を参照しながら以下の説明を読めば最もよく理解できるであろう。
【0020】
図1aおよび図1bはそれぞれ、円形の血管(100a)の断面および非円形の血管(100b)の断面を示している。円形の血管(100a)および非円形の血管(100b)のそれぞれに対してデザインされた従来の装置のおおよその相対的なカバー断面積(101a)および(101b)が、図1aおよび図1bのそれぞれの血管内に重ね合わされているのが模式的に示されている。この場合、血管壁(100a)および(100b)が、血管の内部に配置された装置の拡張を制限している。均一に拡張する既存の装置では、円形の血管および非円形の血管のそれぞれにおけるストラット点位置(1a)および(1b)が中心軸(3a)および(3b)から等距離となるように拡張する。従って、ストラット点位置(1b)が血管壁(100b)に接触する場合、1または複数のストラットが接触した時点で、次ぐ全ての拡張が停止する。図示されているように、全てのストラット点位置(1b)が同時に均一に拡張すると仮定すると、上部の2つおよび下部の2つのストラット点位置(1b)が血管壁(100b)に初めに接触し、これにより装置全体の更なる拡張が妨げられるため、右の2つおよび左の2つのストラット点位置(1b)が血管壁の内面(100b)に決して接触することはない。これにより、塞栓物質(5)のフィルタ装置の通過を可能にするカバー領域のギャップ(4)が生じる。カバー領域のギャップは、非円形の血管にだけ存在するものではなく、血管の非円形の程度によってはさらにギャップが増大することがあり、血管に対する様々な荷重状態によってもギャップが生じたり、増大したりする。
【0021】
これは、本発明に従って血管に対する適合性が改善された装置で実現される結果と対照的である。図2aおよび図2bに模式的に示されている類似のセットは、円形の血管(100a)および非円形の血管(100b)についての本発明に従ったカバー断面積および得られる効果を示している。図2aおよび図2bはそれぞれ、円形の血管(100a)および非円形の血管(100b)の断面図である。円形の血管(100a)および非円形の血管(100b)に重ね合わされた、本発明に従って改善された血管適合装置のカバー断面積(102a)および(102b)が模式的に示されている。この場合、血管壁(100a)および(100b)が、前記したように血管の内部に配置された装置の拡張を制限している。しかしながら、ストラット点位置(2a)および(2b)がフィルタ部分に結合されていないため、たとえ1つのストラット点位置が血管壁に接触した場合でも、これらのストラット点は、フィルタ・バスケットに対しておよび互いに対して自由に拡張することができる。従って、他のストラット点(2b)の外向きへの拡張が妨げられず、血管の断面形状の特徴にかかわらず、それぞれのストラット点が個々に血管壁に接触するまで拡張を続けることができる。これにより、カバー領域におけるギャップが最小限になる、または消滅する。
【0022】
図3は、ガイドワイヤ(80)に配置された本発明の例示的な実施形態の側面図である。フィルタ・バスケット(10)は、濾過膜(50)を支持するとともに形状を付与する1または複数のストラット(20)を含む。この例示的な実施形態の濾過膜(50)は、図示されているように均一の孔(22)を有するが、濾過性能を改善または最適化して所望の結果を達成するために様々な直径の孔が分布するようにもできる。当業者であれば、様々なデザインに想到し、このようなデザインを本発明に用いることができるであろう。ストラット(20)の先端部は、ガイドワイヤ(80)に固着、取り外し可能、または機能的に取り付けることができる支持カラー(30)にその周りを旋回可能に取り付けられている。機能的に取り付けられる場合、支持カラー(30)は、ガイドワイヤ(80)に対してスライドおよび/または回動することができる。ストラット(20)は、濾過膜(50)に機能的に取り付けられて、共同でフィルタ・バスケット(10)をなしている。別の引張部材(41)の先端部がストラット(20)の基端部に取り付けられており、その引張部材(41)の基端部が閉止リング(40)に固定されている。閉止リング(40)が基端側(支持カラー(30)から離れる方向)に移動すると、引張部材(41)の張力が増大し、ストラット部材(20)がガイドワイヤ(80)に向かって径方向内向きに引き寄せられ、これにより濾過膜(50)とストラット(20)からなるフィルタ・バスケット(10)が閉じて、バスケット内に全ての細片が保持される。次いで、この組立体全体を保持シース(90)内に引き入れることができる。内側スリーブ(35)も設けられており、ガイドワイヤ(80)に対するこの内側スリーブ(35)の軸方向の位置によって、閉止リング(40)または支持カラー(30)を移動させて、組立体を保持シース(90)内に引き入れたり、組立体を保持シース(90)から押し出すことができる。大きさが重要な細片の濾過を行いながら濾過膜(50)を通る血流を最大化するために、様々な大きさの孔の互いに対する位置の変更、および個々の孔(22)の直径の変更により、濾過膜(50)の孔の大きさを最適化することができる。本発明の個々の孔(22)の好適な直径は、約50μm〜150μmの範囲であるが、濾過膜(50)に配置される前記孔と同様に、大きな孔と小さな孔の様々な好適な組み合わせも可能である。
【0023】
図4aは、本発明の別の例示的な実施形態の部分側面図である。図示されているフィルタ・バスケット(50)は、可撓性の拡張型円錐膜である。この膜は、ポリウレタンおよび/またはニチノールなどの様々な材料から製造することができる。ニチノール薄膜が、その好適な機械的特性および薄さから特に有利である。当業者であれば、この膜の製造に様々な好適な生体適合性材料を用いることができることを理解できよう。濾過膜の先端部は、支持カラー(30)の基端面に機能的に取り付けられている。この膜に、図4bに示されているように幾何学的応力除去部(21)を設けて、非円形の内腔断面(100b)に対する適合性を最大にするために十分な可撓性、最小の厚み、および/または上記した事項の任意の組み合わせを達成することができる。
【0024】
図5は、非円形の血管(100b)に適合するために十分に拡張できるように、膜が設けられていない長手ストラット(24)と外周ストラット(23)だけからなるフィルタ・バスケットの部分側面図である。この実施形態では、ストラット(23)とストラット(24)が結合されて格子をなし、構造支持体として機能するとともに濾過膜を使用しないフィルタ部分としても機能する。外周部は、複数の長手ストラット(24)に対して実質的に垂直に延在する螺旋状に巻かれた単一ストラット、または実質的に円形の複数のストラットの組み合わせにすることができる。これらの複数のストラットは、互いに対して実質的に平行に延在するとともに長手ストラット(24)に対しては実質的に垂直に延在し、かつ径方向に自由に拡張可能である。
【0025】
図6aおよび図6bは、本発明の代替の例示的な実施形態を示している。この実施形態では、複数の独立したフィルタ・フランジ(31)が個々のストラット(20)に連結されている。これらのストラット(20)は、入れ子状のフィルタ・バスケット(51)を形成するために、支持カラー(30)の基端面、支持カラー(30)の外周面、または支持カラー(30)の内側に機能的に取り付けられており、これにより装置を受容する血管の内面に対する適合性が改善されている。図6bの詳細図は、図6aに示されているフィルタ・フランジ(31)を用いた本発明の別の例示的な実施形態の1つの部材の等角図である。この例示的な実施形態では、フィルタ・フランジ(31)は、先端部が支持カラー(30)に取り付けられた独立したストラット(20)に取り付けられている。フィルタ・フランジ(31)に設けられた貫通孔(22)により、細片を捕捉する十分な濾過能力を維持したまま、血液を通すことができる。貫通孔(22)は、様々な大きさにすることができるが、50μm〜150μmの範囲が好ましい。加えて、貫通孔(22)の数および配置も様々にすることができる。これらのストラットとフィルタ・フランジの組合体の幾つかが互いに協働して、図6aに示されているようなフィルタ・バスケット(51)を形成する。非円形の血管(100b)に対する適合性は、それぞれのストラット/フィルタ・フランジ組合体の個々の拡張によっても達成される。
【0026】
図7aおよび図7bは、本発明の別の例示的な実施形態の等角図である。この実施形態では、個々のストラット(20)の経路がそれぞれ、軸方向および周方向の両方に延在している。本発明のこの例示的な実施形態ではまた、個々のストラット(20)の先端部は、支持カラー(30)に取り付けられ、実質的に軸方向のガイドワイヤ(80)(図7aおよび図7bには不図示)に実質的に整合している。ストラット(20)は、フィルタ・バスケット(50)の基端開口の先端側の装置のほぼ中間または3分の1で周方向に曲がって、フィルタ・バスケットの外周の一部を形成し、次いでストラット(20)の基端部が軸方向に整合するように再び曲がってガイドワイヤ(80)(図7aおよび図7bには不図示)に整合し、支持カラー(40)まで延びている。このストラット(20)の構造では、特にストラット(20)の外周部分により、図8aおよび図8bに示されているように、血管内壁(100)の内周に対するフィルタ・バスケット(50)の近接が改善されている。図8aは、8本のストラット(20)の軸部分だけに支持されたている濾過膜(50)が配置された一般的な血管の断面を示している。近接するストラット間の「折れ曲がり」により、塞栓が通過できるギャップ(44)がフィルタ・バスケット(50)と血管壁(100)との間に生じている。図8bは、周囲の一部分が周方向に延びているストラット(20)によって支持されている濾過膜(50)が配置された類似の血管壁(100)の断面を示している。図8bに示すように、ストラット(20)の周囲部分によって濾過膜(50)が血管壁(100)に対して更に支持され、これにより「折れ曲がり」によるギャップが解消されている。ストラット(20)の周囲部分の長さを長くすることで、血管の内壁(100)に対するフィルタ・バスケット/膜の近接度を低くすることなく、濾過膜(50)を支持するのに必要なストラット(20)の数を効果的に減らすことができる。これにより、ストラット(20)の数が減り、装置全体の外形が更に小さくなり、より細い血管に送達することが可能となる。図7cおよび図7dはそれぞれ、濾過膜(50)を備えていない本発明の実施形態および濾過膜(50)を備えた本発明の実施形態の側面図である。図7eおよび図7fはそれぞれ、濾過膜(50)を備えていない本発明の実施形態および濾過膜(50)を備えた本発明の実施形態の正面図である。図7fはまた、本発明のフィルタ孔(22)の例示的な構造を示している。
【0027】
図9は、フィルタ・バスケット(50)の先端部分のストラット(20)を省略することにより外形をより小さくした本発明の代替の例示的な実施形態を示している。図9ならびに図10aおよび図10bに示すように、ストラット(20)はフィルタ・バスケットの基端側の位置から始まり、フィルタ・バスケット(50)の基端開口まで実質的に軸方向に延び、そこから周方向に曲げられてフィルタ・バスケット(50)の外周の一部として延び、次いで軸方向に曲げられて基端側の開始位置まで延び、ループの実質的な部分を形成している。これが、設けられる各ストラットに対して繰り返される。先端部分にストラット(20)が存在しないため、その先端部分のフィルタ・バスケット(50)の寸法が追加されずに、前記した実施形態で達成したのと同様の要領で血管(100)の内面に対するフィルタ・バスケットの基端開口の適合性が改善される。本発明のこの例示的な実施形態では、ストラットループが、フィルタ・バスケット(50)に形状を与え、かつフィルタ・バスケット(50)を支持するため、先端支持カラー(30)はオプションである。一例では、フィルタ・バスケットは、その形状を実質的に球形または放物線状にすることができる。従って、フィルタ・バスケットは、先端支持カラー(30)を用いずにネットまたはパラシュート状に形成することができる。別法では、フィルタ・バスケット(50)の更なる制御が望ましい場合は、支持カラー(30)を取り付けることができる。
【0028】
図10aおよび図10bはそれぞれ、上記した支持カラー(30)を備えた本発明に従った実施形態を示している。図10aは、4つの独立したストラットループ(20)からなる4ループ構造を示している。一方、図10bは、3つの独立したストラットループ(20)からなる3ループ構造を示している。それぞれのストラットループ(20)は、その起点および終点の両端部が基端支持リング(40)に固定されているが、それぞれストラットループの先端側の外周部分はフィルタ・バスケット(50)の基端開口に固定されている。この例示的な実施形態において、図示されている構造では、先端支持カラー(30)はオプションである。更に、図示していないが、濾過膜(50)は、一定の大きさの孔または様々な大きさの孔と様々な分布を組み合わせて濾過能力を最適にすることができる。それぞれの好適な実施形態では、ループ(20)および基端支持リング(40)の両方を含む装置は、別の構造材を用いずに、1つの管からカットすることができる。一例では、ステントの製造に用いられるレーザーカット技術を用いて、本発明に従った実施形態を製造することができる。レーザーカットまたは他の好適な方法によって1つの管から構造要素の全てまたは殆どをカットすることにより、製造工程が減ってコストを著しく削減することができる。場合によっては、成形ワイヤを用いて本発明に従った装置を製造することもできる。ある種の装置のデザインおよび形状は、単に低コストのレーザーカットに適していないため、ワイヤ成形の方が低コストになる。支持ストラット(20)は、金属、セラミック、およびポリマーを含む様々な生体適合性材料から製造することができる。支持ストラット(20)に好適な材料は、ニチノールなどの形状記憶合金および超弾性合金である。
【0029】
別の実施形態が図11a〜図11eに示されている。これらの実施形態では、3ループまたは4ループ構造を、図11bおよび図11eに示すようにストラット部材(26)による別のフィルタ支持構造で補強することができる。本発明のこれらの実施形態も、1つの管から製造することができる。このような追加の中間ストラット部材(26)は、ループ構造(27)を有するストラット間に位置するのが好ましい。別法では、ストラットループ構造(27)は、図11cに示すU型構造、または図11dに示すV型構造にすることができる。別法では、膜(50)を、図11c〜図11eに示す波形(51)として、フィルタ性能を低下させることなく外形を更に縮小することができる。
【0030】
ここに図示および記載した実施形態は、最も実用的かつ好適と思われる本発明の実施形態であるが、当業者であれば、ここに図示および記載した特定のデザインの他の形態および変更形態に容易に想到し、これらを、本発明の概念、範囲、または不可欠の特徴から外れることなく利用することができるであろう。本発明は、上記した実施形態に制限されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての変形形態、組み合わせ、および変更形態に一致すると解釈されるべきである。
【0031】
〔実施の態様〕
(1)血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
基端部および先端部を有する主支持ストラットであって、前記支持ストラットの前記先端部が前記支持カラーに機能的に取り付けられ、前記支持ストラットの前記基端部が前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、前記主支持ストラットと、
前記支持ストラットおよび前記支持カラーの双方に機能的に取り付けられた、実質的に円錐状の弾性膜と、を含む、濾過装置。
(2)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記主支持ストラットから離間した、基端部および先端部を有する1または複数の追加の支持ストラットを更に含み、
前記膜が、前記追加の支持ストラットのそれぞれに機能的に取り付けられており、前記追加の支持ストラットのそれぞれの前記先端部が、前記支持カラーに機能的に取り付けられており、前記追加の支持ストラットのそれぞれの前記基端部が、前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、濾過装置。
(3)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングと、
基端部および先端部を有する引張部材と、を更に含み、
前記引張部材の前記基端部が前記閉止リングに取り付けられ、前記引張部材の前記先端部が前記主支持ストラットの前記基端部に取り付けられている、濾過装置。
(4)実施態様(3)に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記閉止リングの先端側に位置する、前記ガイドワイヤに固定できる内側スリーブを更に含む、濾過装置。
(5)実施態様(3)に記載の濾過装置であって、
前記閉止リングが前記ガイドワイヤに固定することができ、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記閉止リングの先端側に位置する内側ストッパーを更に含む、濾過装置。
【0032】
(6)血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
非円形の拡張を可能にする幾何学的応力除去部、前記支持カラーに取り付けられた先端ベース、および基端開口を有する自己拡張型弾性濾過膜と、を含む、濾過措置。
(7)実施態様(6)に記載の装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングと、
基端部および先端部を有する少なくとも1つの閉止部材と、を更に含み、
前記閉止部材の前記基端部が、前記閉止リングに取り付けられ、前記閉止部材の前記先端部が、前記濾過膜の前記基端開口に機能的に取り付けられている、濾過装置。
(8)血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
前記支持カラーに機能的に取り付けられた先端ベース、および基端開口を有する実質的に円錐状の弾性濾過膜と、
基端部、先端部、およびこれらの両端部の間に位置する中間外周部分を有する少なくとも1つの主支持ストラットと、を含み、
前記支持ストラットの前記先端部および前記中間外周部分が、前記濾過膜に機能的に取り付けられている、濾過装置。
(9)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記支持ストラットの前記基端部に機能的に取り付けられた、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングを更に含む、濾過装置。
(10)血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
それぞれが基端部および先端部を有する複数の長手フィルタ・ストラットであって、前記フィルタ・ストラットの前記先端部が前記支持カラーに機能的に取り付けられ、前記支持ストラットの前記基端部が前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、前記複数の長手フィルタ・ストラットと、
前記長手フィルタ・ストラットに対して実質的に垂直であって、等角拡張できるように前記長手フィルタ・ストラットに機能的に取り付けられた、実質的に螺旋状に巻かれた外周フィルタ・ストラットと、を含む、濾過装置。
【0033】
(11)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
(12)実施態様(11)に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
(13)実施態様(6)に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
(14)実施態様(13)に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
(15)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
【0034】
(16)実施態様(15)に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
(17)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
(18)実施態様(6)に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
(19)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
(20)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
【0035】
(21)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
(22)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
(23)実施態様(10)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
(24)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
(25)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
【0036】
(26)実施態様(6)に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
(27)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
(28)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
(29)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
(30)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
【0037】
(31)実施態様(10)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
(32)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
(33)実施態様(1)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
(34)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
(35)実施態様(2)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
【0038】
(36)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
(37)実施態様(8)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
(38)実施態様(10)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
(39)実施態様(10)に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
(40)実施態様(20)に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
【0039】
(41)実施態様(21)に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
(42)実施態様(22)に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
(43)実施態様(23)に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
(44)実施態様(20)に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
(45)実施態様(21)に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
【0040】
(46)実施態様(22)に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
(47)実施態様(23)に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
(48)実施態様(40)に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(49)実施態様(41)に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(50)実施態様(42)に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【0041】
(51)実施態様(43)に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(52)実施態様(44)に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(53)実施態様(45)に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(54)実施態様(46)に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
(55)実施態様(47)に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【0042】
(56)濾過装置を製造するための方法であって、
(a)中空の管を用意するステップと、
(b)先端支持カラー、基端支持リング、およびストラット部材が残るように前記管から材料を除去するステップと、を含み、
前記同じ管から形成された前記先端支持カラー、前記基端支持リング、および前記ストラット部材が互いに対して一体的に結合している、方法。
(57)実施態様(56)に記載の方法であって、
前記管がニッケル・チタン合金である、方法。
(58)実施態様(56)に記載の方法であって、
前記材料の除去ステップをレーザーカットで行う、方法。
(59)濾過装置を製造するための方法であって、
(c)細長いワイヤを用意するステップと、
(d)前記細長いワイヤをストラットループに形成するステップと、
(e)前記ストラットループを支持カラーに取り付けるステップと、を含む、方法。
(60)実施態様(59)に記載の方法であって、
前記細長いワイヤがニッケル・チタン合金である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は、円形の血管に対する従来の濾過装置のカバー面積を示す平面図である。(b)は、濾過装置の不十分な適合性により生じたギャップを示す、非円形の血管に対する従来の濾過装置のカバー面積を示す平面図である。
【図2】(a)は、血管に対する適合性が改善された本発明に従ったフィルタによるカバー断面積を示す平面図である。(b)は、図1bに模式的に示されている従来の装置で得られる結果に比べて、非円形の血管でギャップが著しく小さくなっていることを示す、血管に対する適合性が改善された本発明に従ったフィルタによるカバー断面積を示す平面図である。
【図3】ガイドワイヤに配置された本発明に従った濾過装置の部分側面図である。
【図4a】本発明に従った、支持ストラットを用いない適合性膜濾過バスケットの部分側面図である。
【図4b】本発明に従った、血管に対する適合性を更に改善するために応力除去部を備えた、適合性膜濾過バスケットの部分側面図である。
【図5】本発明に従った、フィルタ部分として機能する適合性の格子をなすように構成されたストラットの網状構造の部分側面図である。
【図6a】本発明に従った、独立したフィルタ部分を備えたフィルタ・バスケットの部分側面図である。
【図6b】本発明に従った、ストラットおよびそのストラットに取り付けられたフィルタ・フランジを示す、図6aに示されているフィルタ・バスケットの1つの独立したフィルタ部材の詳細図である。
【図7a】本発明に従った、血管に対する適合性が改善された濾過装置の別の例示的な実施形態を示す立体斜視図である。
【図7b】本発明に従った、図7aに示されているストラットの周囲部分を模式的に示す部分側面図である。
【図7c】見やすくするために濾過膜を取り外した本発明に従ったストラット構造を示す部分側面図である。
【図7d】濾過膜が取り付けられた図7cに示されている本発明に従った実施形態の部分側面図である。
【図7e】見やすくするために濾過膜を取り外した、本発明に従った血管内を流れる血液が衝当する部分を示す正面図である。
【図7f】濾過膜が取り付けられた図7eに示されている本発明に従った実施形態の正面図である。
【図8】(a)は、周囲部分が支持されておらず、「折れ曲がり」が生じている装置の断面図である。(b)は、周囲部分がストラットに支持されて血管に対する適合性が改善され、血管に対して濾過膜がほぼ周囲の360度をシールし、これにより「折れ曲がり」が最小限になったまたは完全に消滅した、本発明に従った装置の断面図である。
【図9】血管に対する適合性が改善され、かつ外形が縮小した、本発明に従った濾過装置の別の例示的な実施形態を示す部分側面図である。
【図10a】本発明に従った、濾過膜に機能的に取り付けられたU型構造の4本のストラットループを示す立体斜視図である。
【図10b】本発明に従った、濾過膜に機能的に取り付けられたU型構造の3本のストラットループを示す立体斜視図である。
【図11a】本発明に従った、図10aに示されているU型構造の4本のストラットループの実施形態の部分側面図である。
【図11b】本発明に従った、別の濾過膜支持を備えた図10aに示されているU型構造の4本のストラットループの実施形態の部分側面図である。
【図11c】本発明に従った、更なる外形の縮小を可能にした波形の膜を示す、図10aに示されているU型構造の4本のストラットループの実施形態の部分側面図である。
【図11d】本発明に従った、更なる外形の縮小を可能にした波形の膜を示す、図10aに示されているV型構造の4本のストラットループの実施形態の部分側面図である。
【図11e】本発明に従った、波形の膜および追加の濾過膜支持を示す、図10aに示されているU型構造の4本のストラットループの実施形態の部分側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
基端部および先端部を有する主支持ストラットであって、前記支持ストラットの前記先端部が前記支持カラーに機能的に取り付けられ、前記支持ストラットの前記基端部が前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、前記主支持ストラットと、
前記支持ストラットおよび前記支持カラーの双方に機能的に取り付けられた、実質的に円錐状の弾性膜と、を含む、濾過装置。
【請求項2】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記主支持ストラットから離間した、基端部および先端部を有する1または複数の追加の支持ストラットを更に含み、
前記膜が、前記追加の支持ストラットのそれぞれに機能的に取り付けられており、前記追加の支持ストラットのそれぞれの前記先端部が、前記支持カラーに機能的に取り付けられており、前記追加の支持ストラットのそれぞれの前記基端部が、前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、濾過装置。
【請求項3】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングと、
基端部および先端部を有する引張部材と、を更に含み、
前記引張部材の前記基端部が前記閉止リングに取り付けられ、前記引張部材の前記先端部が前記主支持ストラットの前記基端部に取り付けられている、濾過装置。
【請求項4】
請求項3に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記閉止リングの先端側に位置する、前記ガイドワイヤに固定できる内側スリーブを更に含む、濾過装置。
【請求項5】
請求項3に記載の濾過装置であって、
前記閉止リングは前記ガイドワイヤに固定することができ、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記閉止リングの先端側に位置する内側ストッパーを更に含む、濾過装置。
【請求項6】
血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
非円形の拡張を可能にする幾何学的応力除去部、前記支持カラーに取り付けられた先端ベース、および基端開口を有する自己拡張型弾性濾過膜と、を含む、濾過措置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングと、
基端部および先端部を有する少なくとも1つの閉止部材と、を更に含み、
前記閉止部材の前記基端部が、前記閉止リングに取り付けられ、前記閉止部材の前記先端部が、前記濾過膜の前記基端開口に機能的に取り付けられている、濾過装置。
【請求項8】
血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
前記支持カラーに機能的に取り付けられた先端ベース、および基端開口を有する実質的に円錐状の弾性濾過膜と、
基端部、先端部、およびこれらの両端部の間に位置する中間外周部分を有する少なくとも1つの主支持ストラットと、を含み、
前記支持ストラットの前記先端部および前記中間外周部分が、前記濾過膜に機能的に取り付けられている、濾過装置。
【請求項9】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記支持カラーの基端側に位置し、かつ前記支持ストラットの前記基端部に機能的に取り付けられた、前記ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する閉止リングを更に含む、濾過装置。
【請求項10】
血管濾過装置であって、
ガイドワイヤにスライド可能に係合するように構成された同軸貫通孔を有する支持カラーと、
それぞれが基端部および先端部を有する複数の長手フィルタ・ストラットであって、前記フィルタ・ストラットの前記先端部が前記支持カラーに機能的に取り付けられ、前記支持ストラットの前記基端部が前記ガイドワイヤから離れる方向に自由に拡張できる、前記複数の長手フィルタ・ストラットと、
前記長手フィルタ・ストラットに対して実質的に垂直であって、等角拡張できるように前記長手フィルタ・ストラットに機能的に取り付けられた、実質的に螺旋状に巻かれた外周フィルタ・ストラットと、を含む、濾過装置。
【請求項11】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
【請求項12】
請求項11に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
【請求項13】
請求項6に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
【請求項14】
請求項13に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
【請求項15】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記膜がポリマーフィルムである、濾過装置。
【請求項16】
請求項15に記載の濾過装置であって、
前記ポリマーフィルムが、少なくとも1つの貫通孔を有するポリウレタンである、濾過装置。
【請求項17】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
【請求項18】
請求項6に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
【請求項19】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記膜が、少なくとも1つの貫通孔を有するニッケル・チタン合金の薄膜フィルムである、濾過装置。
【請求項20】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
【請求項21】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
【請求項22】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
【請求項23】
請求項10に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが金属である、濾過装置。
【請求項24】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項25】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項26】
請求項6に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項27】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記膜が活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項28】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項29】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項30】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項31】
請求項10に記載の濾過装置であって、
前記ストラットが活性化合物を含む、濾過装置。
【請求項32】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
【請求項33】
請求項1に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
【請求項34】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
【請求項35】
請求項2に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
【請求項36】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
【請求項37】
請求項8に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
【請求項38】
請求項10に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがポリマーである、濾過装置。
【請求項39】
請求項10に記載の濾過装置であって、
前記ストラットがセラミックである、濾過装置。
【請求項40】
請求項20に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
【請求項41】
請求項21に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
【請求項42】
請求項22に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
【請求項43】
請求項23に記載の濾過装置であって、
前記金属が形状記憶合金である、濾過装置。
【請求項44】
請求項20に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
【請求項45】
請求項21に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
【請求項46】
請求項22に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
【請求項47】
請求項23に記載の濾過装置であって、
前記金属が超弾性合金である、濾過装置。
【請求項48】
請求項40に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項49】
請求項41に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項50】
請求項42に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項51】
請求項43に記載の濾過装置であって、
前記形状記憶合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項52】
請求項44に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項53】
請求項45に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項54】
請求項46に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項55】
請求項47に記載の濾過装置であって、
前記超弾性合金がニッケル・チタン合金である、濾過装置。
【請求項56】
濾過装置を製造するための方法であって、
(a)中空の管を用意するステップと、
(b)先端支持カラー、基端支持リング、およびストラット部材が残るように前記管から材料を除去するステップと、を含み、
前記同じ管から形成された前記先端支持カラー、前記基端支持リング、および前記ストラット部材が互いに対して一体的に結合している、方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法であって、
前記管がニッケル・チタン合金である、方法。
【請求項58】
請求項56に記載の方法であって、
前記材料の除去ステップをレーザーカットで行う、方法。
【請求項59】
濾過装置を製造するための方法であって、
(c)細長いワイヤを用意するステップと、
(d)前記細長いワイヤをストラットループに形成するステップと、
(e)前記ストラットループを支持カラーに取り付けるステップと、を含む、方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法であって、
前記細長いワイヤがニッケル・チタン合金である、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図7d】
image rotate

【図7e】
image rotate

【図7f】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図11c】
image rotate

【図11d】
image rotate

【図11e】
image rotate


【公開番号】特開2006−187625(P2006−187625A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−379024(P2005−379024)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】