説明

壁面取付金具

【課題】薄型の装置を壁面に取り付ける壁面取付金具において、装置の裏面に装着する装置側の取付金具と壁面に取り付ける壁面側の取付金具を同一の形状とし両者に兼用可能な形状とする。
【解決手段】取付金具(100−1,100−2)は、薄型の装置(200)の裏面あるいは壁面(300)にネジ等で固定される底板と、底板の一方の端部から垂直に立ち上がり2つのネジ穴(151−1,151−2)を有する第1の側面(150)と、底板の他方の端部から第1の側面(150)と平行に立ち上がりT字形の溝(141)を有する第2の側面(140)を有している。装置の裏面に取付けられている第1の取付金具(100−1)と壁面に取り付けられている第2の取付金具(100−2)の、一方の第1の側面(150)のネジ穴(151−1,151−2)と他方の第2の側面(140)のT字形の溝(141)を止めネジ(160−1,160−2)により結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面アンテナ等の薄型の装置を壁面に取り付ける壁面取付金具に関するものであり、詳しくは、装置の裏面に取り付けられた第1の金具と壁面に取り付けられた第2の金具を結合することにより装置を壁面に取り付ける金具であり、壁面から大きく突出すること無く装置を壁面に取り付けることを可能とする壁面取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面アンテナ等を建物に取り付ける取付金具の構成、あるいは取付機能に関する文献には以下の特許文献が存在する。
特開2002-043817公報(特許文献1)に記載される平面アンテナの取付装置は、本体金具18とホルダ金具19からなり、本体金具18の側面の外側にホルダ金具19の側面が接している。両側面の上方においてネジ24で結合されると共に、一方の円弧状長穴19bを介してネジ24が本体金具18の側面にねじ込まれかつ他方の円弧状長穴19bを介して仰角セットノブ21が本体金具18の側面にねじ込まれている構成である。
【0003】
また、特開2002-009517公報(特許文献2)に記載されるアンテナ取付構造は、アンテナ本体1を、その仰角方向の回転中心で回転可能に保持するアンテナ取付部材10を備えた構造であり、アンテナ本体1とアンテナ取付部材10との間でアンテナ本体の重心より離れた位置にスペーサ6を介在して、アンテナ本体の回転中心を設定し、アンテナ取付部材10に、スペーサ6とアンテナ取付部材10との間に摩擦力を発生させ且つ摩擦力を調節する摩擦力発生・調節手段(取付ボルト15)を設け、摩擦力によりアンテナ本体を回転中心において仰角方向に角度調節可能に保持する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-043817号公報
【特許文献2】特開2002-009517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンテナの分野において、近年アンテナ本体を薄型化し且つ指向性を広くすることが可能となり、薄型のアンテナに対する需要が増加している。平面アンテナ等の薄型の装置を壁面に取り付けるためには、装置の裏面に取り付ける第1の取付金具と、壁面に取り付けて装置側の第1の取付金具と結合させる第2の取付金具の2種類の金具が必要となる。また、装置を確実に取り付けるためには、装置側の第1の取付金具と壁面側の第2の取付金具を正確に結合させると共に、両者を止めネジ等により確実に固定する必要がある。止めネジ等を強く締め付けるためには広い作業空間を必要とするため、装置を壁面に近接させて設置することが困難となる。
【0006】
本発明は、平面アンテナ等の薄型の装置を壁面に取り付ける壁面取付金具において、装置の裏面に取り付ける第1の取付金具と壁面に取り付ける第2の取付金具を同一の形状とし、両者を兼用可能とするものである。また、薄型の装置に取り付けられた第1の取付金具と壁面に取り付けられた第2の取付金具を簡単に結合することができ、結合の作業に大きな労力と広い空間を必要としない取付金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る取付金具は、薄型の装置の裏面、及び建物等の壁面にネジ等により固定される底板と、底板の一方の端部から垂直に立ち上がり、2つの止めネジ用のネジ穴を有する第1の側面と、底板の他方の端部から第1の側面と平行に立ち上がり、T字形の溝を有する第2の側面から構成されている。2つの取付金具を対向させて結合した時、第1の側面に開けられた2つのネジ穴が、第2の側面に設けられたT字形の溝の2つの端部と重なる構成となっている。
また、端部に係止片を、底板からの立ち上がり部に係止孔を有する第3の側面を設け、2つの取付金具を結合させた時、一方の取付金具の係止片が他方の取付金具の係止孔に侵入する構成とすることにより、2つの取付金具の結合作業を確実かつ容易とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を有する本発明の取付金具は、薄型の装置の裏面に固定されている第1の取付金具の第1の側面と、壁面に取り付けられている第2の取付金具の第2の側面が止めネジにより固定し、薄型の装置の裏面に取り付けられている第1の取付金具の第2の側面と、壁面に取り付けられている第1の取付金具の第1の側面が止めネジより固定することにより、平面アンテナ等の薄型の装置を壁面に取り付けるものである。ネジ止め作業は、装置の裏面と壁面に取り付けられた2つの取付金具の第1の側面と第2の側面の横方向から止めネジにより固定するものである。
上記構成により、装置の裏面に取り付ける第1の取付金具と壁面に取り付ける第2の取付金具を同一の形状とすることができ、製造コストを低減することが可能となる。また、薄型の装置の裏面と壁面の間隔は取付金具の第1の側面と第2の側面の高さと略一致し、装置が壁面から大きく突出することはない。従来装置の多くが装置と壁面の間の空間で取付作業を行う必要があったが、本発明に係る取付金具では、取付金具の横方向からネジ止めの作業を行うことが可能となり、作業効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る壁面取付金具の1つの実施例の投影図
【図2】図1に示される壁面取付金具の斜視図
【図3】図1に示される壁面取付金具を装置の裏面に取り付けた図
【図4】図1に示される壁面取付金具を壁面に取り付けた図
【図5】装置を壁面に取り付ける工程を示す図
【図6】装置を壁面に取り付けた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る取付金具は、1つを平面アンテナ等の薄型の装置(以下「アンテナ」と表記する)の裏面に取り付け、他の1つを壁面等アンテナを設置する箇所に取り付け、これら2つの取付金具をネジにより結合することによりアンテナを壁等に取り付けるものである。
図1は本発明の1つの実施態様に係る取付金具100の詳細な投影図であり、(a)は取付金具100の上面図、(b)は第3の側面の図、(c)は第2の側面の図、(d)は第1の側面の図である。また、図2は2つの取付金具の斜視図であり、100−1はアンテナの裏面に取り付ける第1の取付金具、100−2は壁面等に取り付ける第2の取付金具であり、両者は同一の形状である。160は2つの取付金具の結合に使用する止めネジである。本実施態様では4本の止めネジを使用するが、2本のみが図示されている。
【0011】
取付金具100は矩形の底板110と、底板110の四辺から垂直に立ち上がる第1の側面150、第2の側面140、第3の側面120、及び第4の側面130により構成されている。第1の側面150と第2の側面140と第3の側面120は略同一の高さであり、第4の側面130は他の側面の略半分の高さである。
第3の側面120の上部中央に第4の側面130に向かって垂直に突出する係止片121が設けられている。また、第3の側面120が底板110から立ち上がる辺の中央部には、2つの取付金具100を結合した時、他方の取付金具の係止片121が挿入される係止孔122が設けられている。図3乃至図6に示される作業工程では、アンテナに取り付けられている第1の取付金具100−1の係止片121が、壁面に取り付けられている第2の取付金具100−2の係止孔122に挿入される。
【0012】
第2の側面140には、上辺に開口部141を有するT字形の溝が形成されている。2つの取付金具100を結合した時、T字形の溝の2つの端部142−1と142−2に結合用の止めネジが位置する。
第1の側面150には2つの取付金具100を結合する結合用のネジのネジ穴151−1と151−2が開けられている。ネジ穴151−1と151−2は、第2の側面140に開けられたT字形の溝の2つの端部142−1と142−2に対向する位置に設けられている。図1(d)の第1の側面150には第2の側面140に設けられたT字形の溝が点線で図示されている。
第4の側面130は他の3つの側面の略半分の高さであり、2つの取付金具100を結合した時、両者の第4の側面130の先端が対向する状態となる。
【0013】
底板110には当該取付金具をアンテナの裏面に取り付けるネジ用の穴と、壁面に取り付ける壁掛け用の穴が設けられている。図示される実施態様では、ネジ用の穴は112−1ないし112−8の8個設けられており、壁掛け用の穴は111−1と111−2の2個設けられている。ネジ用の穴の112−2、112−3、112−6、112−7は正方形の頂点となる位置に設けられている。これら4個のネジ用の穴を用いて取付金具をアンテナ本体に取り付けることにより、取付金具をアンテナ本体に対して縦方向と横方向の任意の方向に取り付けることが可能となる。
【0014】
図3は、第1の取付金具100−1をアンテナ200の裏面に取り付けた状態を示す図である。アンテナ200の裏面に設けられた4つのネジ穴に第1の取付金具100−1のネジ用の穴、112−2、112−3、112−6、及び112−7を介してネジ止めすることにより、第1の取付金具100−1をアンテナ200の裏面に固定してある。第1の側面150に開けられている2つのネジ穴の一方、図5では第2のネジ穴151−2に止めネジ160−1が仮止めされている。
【0015】
図4は、第2の取付金具100−2を壁300に取り付けた状態を示す図である。壁300に取り付けられたフック用の金具113−1と113−2に第2の取付金具の底板100に開けられた壁掛け用の穴111−1と111−2を掛けることにより、第2の取付金具100−2は壁300に取り付けられている。第2の取付金具100−2の第1の側面150に開けられている2つのネジ穴の内、第1の取付金具100−1の止めネジ160−1が仮止めされているネジ穴と異なる側のネジ穴、図5では第1のネジ穴151−1に止めネジ160−2が仮止めされている。
【0016】
図5は、アンテナ200の裏面に取り付けられた第1の取付金具100−1を壁300に取り付けられた第2の取付金具100−2に結合させる作業工程を示す図であり、図6は取付金具100−1と100−2を結合した状態を示す図である。
図5において、第1の取付金具100−1と第2の取付金具100−2を対向させ、第1の取付金具100−1の止めネジ挿入口141が第2の取付金具100−2の第1ネジ穴151−1に仮止めされている止めネジ160−2の位置となるように、また、第1の取付金具100−1の第2ネジ穴151−2に仮止めされている止めネジ160−1が第2の取付金具100−2の止めネジ挿入口141の位置となるように、アンテナ200を壁300に向けて移動させる(図5の(a))。
【0017】
第2の取付金具100−2のネジ160−2が第1の取付金具100−1の止めネジ挿入口141に入り、第1の取付金具100−1の止めネジ160−1が第2の取付金具100−2の止めネジ挿入口141に入った時、第1の取付金具100−1の第3の側面120は第2の取付金具100−2の第3の側面120の外側に位置し、第1の取付金具100−1の第3の側面120に設けられている係止片121は、第2の取付金具100−1の第3の側面120の立ち上がり部に設けられている係止孔122に対向している。
上記の状態のアンテナ200を図5の(b)の方向に移動させる。この移動により、第2の取付金具100−2の止めネジ160−2は第1の取付金具100−1のT字形の溝の第2端部142−1に移動し、第1の取付金具100−1の止めネジ160−1は第2の取付金具100−2のT字形の溝の第1端部142−2に移動する。また、第1の取付金具100−1の係止片121は、第2の取付金具100−2の係止孔122内に侵入する。
【0018】
図5の(b)の方向の移動が完了した後、止めネジ160−1と止めネジ160−2を固定すると共に、図6に示される様に、止めネジ160−4を第2の取付金具100−2の第2ネジ穴151−2にネジ止めし、止めネジ160−3を第1の取付金具100−1の第1ネジ穴151−1にネジ止めする。
図3乃至図6に示される例では、第1の取付金具100−1のネジ穴151−2と第2の取付金具100−2のネジ穴151−1に止めネジを仮止めして2つの取付金具を結合する手順であるが、第1の取付金具100−1のネジ穴151−1と第2の取付金具100−2のネジ穴151−2に止めネジを仮止めして2つの取付金具を結合する手順も可能である。この場合、第1の取付金具100−1の第3の側面120は第2の取付金具100−2の第3の側面120の内側に位置する。アンテナ200を図5の(b)の逆方向に移動させることにより、第2の取付金具100−2の係止片121が、第1の取付金具100−2の係止孔122に入る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は薄型アンテナ等の板状の装置を壁面等に取り付ける際に使用する取付金具に関するものであり、装置の裏面に取り付けた第1の取り付け金具と壁面に取り付けた第2の金具を結合することにより装置を壁面に取り付ける取付金具に関するものである。本発明に係る取付金具は、底板と、底板の一方の端部から垂直に立ち上がる第1の側面と、底板の他方の端部から垂直に立ち上がり且つ第1の側面と平行な第2の側面を有している。底板には壁面あるいは装置の裏面に当該取付金具を取り付ける取付金具固定手段、例えばネジ用の穴と壁掛け用の穴が設けられている。また、第1の側面には少なくとも2つの止めネジ用のネジ穴が、第2の側面には側面の端部に止めネジの挿入口を有し且つ前記2つの止めネジが位置するT字形の溝が設けられている。
【0020】
本発明に係る取付金具を装置の裏面と壁面の各々に取り付け、装置の裏面に取り付けられた第1の取付金具の第1の側面のネジ穴に仮止めされたとネジを壁面に取り付けられた第2取付金具の第2の側面に開けられたT字形の溝に挿入し、壁面の金具の第1の側面のネジ穴に仮止めされたネジを装置の裏面の金具の第2の側面に開けられたT字形の溝に挿入して固定することにより、装置を壁面等に取り付けることが可能となる。本発明に係る取付金具は装置の裏面に取り付ける第1の取付金具と壁面に取り付ける第2の取付金具は同一の形状であり、両者を兼用することが可能となる。
第1の側面と第2の側面をネジにより固定する作業は取付金具の横からの作業であり、装置と壁面の間に作業用の空間を必要とせず、装置を壁面に接近して設置することが可能となる。
【0021】
取付金具の第1の側面と第2の側面の間で底板からの立ち上がり、端部に係止片を有し底板からの立ち上がり部に前記の係止片が侵入可能な形状の係止孔を有する第3の側面を有する構成とすることが可能である。上記構成では、装置の裏面に取り付けた第1の取付金具と壁面に取り付けた第2の取付金具を結合したとき、一方の取付金具の係止片が他方の取付金具の係止孔に入ることにより、両者の位置関係が正確に規定される。この時、一方の取付金具の第2の側面に開けられたT字形の溝は他方の取付金具の第1の側面のネジ穴の前方に正確に位置し、ネジ穴に止めネジを螺号して2つの取付金具を固定する作業を容易に行うことが可能となる。
【0022】
本発明に係る取付金具の底板には、取付金具を装置の裏面あるいは壁面に取り付ける取付金具固定手段を有している。取付金具固定手段をネジ用の穴とすることによりネジ、或いは木ネジ等により簡単に装置の裏面あるいは壁面に取り付けることが可能となる。本実施態様では装置の裏面に取り付けるネジ穴と壁面の取り付ける穴は異なっているが、両者を兼用する構成とすることが可能である。
装置の裏面に取り付けるネジ穴を正方形の頂点となる位置に設けることにより、装置に対する取付金具の方向を縦方向と横方向から選択可能になり、装置の取付場所の状況に即した柔軟な対応が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に物品を取り付ける壁面取付金具であって、
前記壁面記取付金具は、底板と、前記底板の一方の端部から垂直に立ち上がる第1の側面と、前記底板の他方の端部から第1の側面と平行に立ち上がる第2の側面を有し、
前記底板は前記壁面あるいは前記物品の裏面に当該取付金具を取り付ける取付金具固定手段を有し、
前記第1の側面は少なくとも2つの止めネジ用のネジ穴を有し、
前記第2の側面は、前記第1の側面の前記2つの止めネジ用のネジ穴に対応する位置にT字形の溝を有することを特徴とする壁面取付金具。
【請求項2】
請求項1記載の壁面取付金具であって、
前記壁面取付金具は更に、第1の側面と第2の側面の間の底板の端部から垂直に立ち上がる第3の側面を有し、
前記第3の側面の端部には係止片を、前記第3の側面の立ち上がり部には前記係止片が侵入可能な形状の係止孔を有することを特徴とする壁面取付金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の壁面取付金具であって、
前記取付金具固定手段は複数のネジ止め用の穴であることを特徴とする壁面取付金具。
【請求項4】
請求項3記載の壁面取付金具であって、
少なくとも正方形の頂点となる4つのネジ止め用の穴を有することを特徴とする壁面取付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−7629(P2012−7629A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141343(P2010−141343)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】