説明

変圧器電力合成器

【課題】複数の入力ポートと少なくとも1つの出力ポートとを備え、高い変圧器結合効率及び高い電力合成効率を達成するオンチップ変圧器電力合成器を提供する。
【解決手段】変圧器電力合成器は、複数の一次巻線導体と複数の二次巻線導体とを含む。一次巻線導体は、入力ポートにそれぞれ電気的に接続される。加えて、各一次巻線導体は対応する入力ポートのプラス端子とマイナス端子との間に電気的に接続されている。二次巻線導体は、一次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される。二次巻線導体は、出力ポートのプラス端子とマイナス端子との間に直列接続及び並列接続を含むトポロジー構造を持つように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送信予定の入力信号の増幅に関し、特に高い変圧器結合効率と高い電力合成効率を有する電力増幅システムにおいて実施されるオンチップ変圧器電力合成器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力合成技術は一般に無線通信システムの電力増幅器において、送信予定の信号(例えば無線周波数(RF)信号)に十分な信号電力を与えるために利用される。電力合成の一実施例としては、変圧器電力合成器を利用することである。図1を参照する。図1は従来の電力増幅システムを表す略回路図である。電力増幅システム100は変圧器電力合成器102と、複数の電力増幅器104_1、104_2、・・・104_Nとを含む。各電力増幅器104_1、104_2、・・・104_NはインピーダンスrSに並列接続されるRF電流源i1、i2、・・・iNでモデル化することができる。また、変圧器電力合成器102にも寄生インピーダンスrが存在する。
【0003】
巻数比を1:1とすれば、負荷インピーダンスrL両端の出力電圧は変圧器電力合成器102の各入力ポートにおける入力電圧レベルV1、V2、・・・VNの和に等しい。対応する入力ポートにおいて特定の増幅器によって見られる入力インピーダンスZinは下記式1に示すとおりである。
【0004】
【数1】

i1=i2=・・・ij=・・・iN(すなわち各一次巻線を流れる電流iが各二次巻線を流れる電流iに等しい)という理想的な場合では、各電力増幅器によって見られる入力インピーダンスは同一であり、すなわち
【0005】
【数2】

言い換えれば、理想的な場合では、変圧器電力合成器102の入力ポートに供給される入力信号は位相と振幅が互いに同期しており、変圧器電力合成器102の出力ポートで最大の電力を供給できる最適な電力合成効率が得られる。しかし、CMOS技術などのシリコン技術で製作される電力増幅システムに用いられるオンチップ変圧器電力合成器にとって、一次巻線と二次巻線の間には不利に容量結合が存在する。その結果、各電力増幅器によって見られる入力インピーダンスは望ましくない容量結合により同一でなくなり、変圧器電力合成器102の入力ポートに供給される入力信号は互いに同期しなくなる。
【0006】
例えば、望ましくない容量結合により
【0007】
【数3】

となった場合では、対応する入力インピーダンスZin、jは無限大となり(すなわちZin、j=∞)、これは入力ポートが開回路であることを示す。望ましくない容量結合により
【0008】
【数4】

となった場合では、対応する入力インピーダンスZin、jは負となり(すなわちZin、j<0)、これはシステムが不安定になることを示す。
【0009】
まとめて言えば、ディープ・スケールド・テクノロジーによるオンチップ変圧器電力合成器は、容量結合により大きく影響されている。例えば、電力増幅器によって見られる負荷インピーダンスは、電力増幅器が求める最適なインピーダンス値に合致できない場合がある。その結果、電力合成効率が低下し、実際の出力電力が所要の最大値に達することができない。なお、電力増幅器によって見られる負荷インピーダンスが負になることもありうる。結果として、電力増幅器から供給される電力は変圧器電力合成器の出力ポートから戻って来、システムが不安定になる。また、各入力ポートでの入力インピーダンスが他の入力ポートの特性に大きく頼っていることを示す前記式1に示されるように、変圧器電力合成器の各入力ポートに供給される入力信号の振幅/位相の変化により、変圧器電力合成器から発せられる出力電力は非直線的になる。
【0010】
従来、集積回路に巻装される金属導体を利用して変圧器を実施する方法が多数ある。例えば、片側共平面型、両側共平面型、ブロードサイド型またはハイブリッド型などのデザインでオンチップ変圧器を実施することが可能である。良好な結合効率とより少ない結合損失を有するオンチップ変圧器では一般に、一次巻線と二次巻線の間でより多くの容量結合が発生し、前述のように電力合成効率及び/またはシステム安定性が低下する。すなわち、ディープ・スケールド・テクノロジーのように高抵抗と高容量の金属層を用いて回路素子を製作することは、低損失変圧器に大きな結合容量を持たせ、不均衡で非効率的な電力合成をもたらし、特に高周波の応用例(例えばmmWaveアプリケーション)では影響が大きい。最悪の場合、システム全体が不安定になる。
【0011】
したがって、従来のオンチップ変圧器電力合成器の設計では、変圧器効率と電力合成効率という二律背反する設計パラメータの妥協が必要である。電力増幅システム、特に高周波(例えば60GHz以上の周波数で動作するmmWaveアプリケーション)で動作する電力増幅システムにとって、この2つの設計パラメータを同時に満足できる解決策が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0135422号明細書
【特許文献2】米国特許第7129784号明細書
【特許文献3】米国特許第6549071号明細書
【特許文献4】米国特許第5389890号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Avantek, GaAs IC system, p.267, 1989
【非特許文献2】“A 90−nm CMOS Broadband and Miniature Q−band Balanced Medium Power Amplifier”, MTT−S, p.1129, 2007
【非特許文献3】“A 1−Watt Doubly Balanced 5GHz Flip−Chip SiGe Power Amplifier”, RFIC, p. 141, 2003
【非特許文献4】“A Monolithic Voltage−Boosting Parallel−Primary Transformer Structures for Fully Integrated CMOS Power Amplifier Design”, RFIC, p.419, 2007
【非特許文献5】“A 2.45−GHz 0.13−um CMOS PAWith Parallel Amplification”, JSSC, p.551, 2007
【非特許文献6】“40−W CW Broad−Band Spatial Power Combiner Using Dense Finline Arrays”, TMTT, p.1070, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的のひとつは、二次巻線導体が一次巻線導体に磁気的に結合され且つ直列接続と並列接続を含むトポロジー構造を持ち、高い変圧器結合効率と高い電力合成効率を達成するオンチップ変圧器電力合成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例では、複数の入力ポートと1以上の出力ポートを備える変圧器電力合成器を提供する。当該変圧器電力合成器は、入力ポートにそれぞれ電気的に接続される複数の一次巻線導体と、一次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される複数の二次巻線導体とを含む。前記各一次巻線導体は対応する入力ポートのプラス端子とマイナス端子の間に電気的に接続されており、前記二次巻線導体は前記出力ポートのプラス端子とマイナス端子の間に、直列接続と並列接続を含むトポロジー構造を持つ。
【0016】
前記実施例の一実施例では、一次巻線導体と二次巻線導体は電圧合成器に電気的に接続される複数の電流合成器を形成するように構成されており、各電流合成器はその通過電流を合成するように構成されており、電圧合成器は電流合成器の両端電圧を合成して出力ポートで出力を生成するように構成されている。
【0017】
前記実施例の他実施例では、一次巻線導体と二次巻線導体は電流合成器に電気的に接続される複数の電圧合成器を形成する。各電圧合成器はその両端電圧を合成するように構成されており、電流合成器は電圧合成器を通過する電流を合成して出力ポートで出力を生成するように構成されている。
【0018】
本発明の他実施例では変圧器電力合成器を提供する。当該変圧器電力合成器は、直列接続される複数の電流合成器と、前記電流合成器の直列接続に結合される電圧合成器とを含む。電流合成器は複数の二次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される複数の一次巻線導体を含み、その通過電流を合成するように構成されている。電圧合成器は、前記電流合成器の両端電圧を合成して前記変圧器電力合成器の出力を生成するように構成されている。
【0019】
本発明の他もう1つの実施例では変圧器電力合成器を提供する。当該変圧器電力合成器は、並列接続される複数の電圧合成器と、複数の電圧合成器の並列接続に結合される電流合成器とを含む。電圧合成器は複数の二次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される複数の一次巻線導体を含む。各電圧合成器はその両端電圧を合成するように構成されている。電流合成器はその通過電流を合成して前記変圧器電力合成器の出力を生成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の電力増幅システムを表す略回路図である。
【図2】本発明の実施例1による電力増幅システムを表す略回路図である。
【図3】本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの一例を表す説明図である。
【図4】BJT/HBT素子を用いる電力増幅システムのレイアウトの一例と、図3に示すレイアウトを有する電力合成器とを表す説明図である。
【図5】FET素子を用いる電力増幅システムのレイアウトの一例と、図3に示すレイアウトを有する電力合成器とを表す説明図である。
【図6】本発明の実施例2による電力増幅システムを表す略回路図である。
【図7】本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの一例を表す説明図である。
【図8】本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの他の例を表す説明図である。
【図9】BJT/HBT素子を用いる電力増幅システムのレイアウトの一例と、図7に示す電力合成器とを表す説明図である
【図10】FET素子を用いる電力増幅システムのレイアウトの他実施例と、図7に示す電力合成器とを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
かかる装置の特徴を詳述するために、具体的な実施例を挙げ、図を参照にして以下に説明する。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲では特定の素子に特定の用語を使用する。当業者に理解できるように、メーカーにより他用語で同一の装置を呼ぶことが可能である。本書類では名称でなく機能で素子を区別する。本明細書及び特許請求の範囲に用いる「含む」という文言は限定的に捉えるべきでなく、「含むがそれに限らない」と解すべきである。また、「結合」とはあらゆる直接的または間接的な電気的接続手段をいう。したがって、第一装置が第二装置に結合されるとは、第一装置が第二装置に直接に電気的に接続されるか、または他装置及び接続を通じて第二装置に間接的に電気的に接続されることを意味する。
【0023】
図2は本発明の実施例1による電力増幅システムを表す略回路図である。本発明による電力増幅システム200は複数の電力増幅器202_1、202_2、202_3、202_4と、変圧器電力合成器204とを含む。変圧器電圧合成器204は電力増幅器202_1〜202_4にそれぞれ結合される複数の入力ポートと、出力負荷ZLに結合される出力ポートとを有する。変圧器電力合成器204は複数の一次巻線導体214_1、214_2、214_3、214_4及び複数の二次巻線導体216_1、216_2、216_3、216_4によって形成される電流合成器206_1、206_2を含むように構成されている。また、変圧器電力合成器204は電圧合成器208も含む。各電流合成器206_1、206_2はその通過電流を合成する(例えば2I=I+I)ように構成され、電圧合成器208は電流合成器の両端電圧(例えばN1とN3の間の電圧とN3とN2の間の電圧)を合成して出力ポートで出力VOを生成するように構成されている。
図2に示すように、一次巻線導体214_1は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体216_1に磁気的に結合されている。一次巻線導体214_2は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体216_2に磁気的に結合されている。一次巻線導体214_3は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体216_3に磁気的に結合されている。一次巻線導体214_4は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体216_4に磁気的に結合されている。また、インピーダンス整合のため、電力増幅システム200には複数のマッチング回路(マッチングネットワーク、MN)210_1、210_2、210_3、210_4、212が設けられている。マッチング回路の実施は当業者に周知のため、詳しい説明は省略される。図2に示す実施例では、説明のために4つの電力増幅器202_1〜202_4しか示していない。もっとも、これは本発明を限定する意味を有しない。本発明の精神に従った他種の設計では、設計上の考慮に従って、変圧器電力合成器で4つ以上の電力増幅器の電力を合成することも可能である。
【0024】
図1に示すように、従来の変圧器電力合成器に巻装される二次巻線導体は直列接続されている。従来の設計に比べて、図2に示す実施例による二次巻線導体216_1〜216_4は、変圧器電力合成器204の出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に直列接続と並列接続を含むトポロジー構造を持つ。詳しく言えば、二次巻線導体216_1、216_2は入力ポートのプラス端子N1と接続ノードN3の間に並列接続されており、二次巻線導体216_3、216_4は接続ノードN3と入力ポートのマイナス端子N2の間に並列接続されている。巻数比を1:1とすれば、電力増幅器202_1によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体216_2に並列接続され更に二次巻線導体216_3及び216_4の並列接続に直列接続される二次巻線導体216_1によって決められる。同じく、電力増幅器202_2によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体216_1に並列接続され更に二次巻線導体216_3及び216_4の並列接続に直列接続される二次巻線導体216_2によって決められ、電力増幅器202_3によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体216_4に並列接続され更に二次巻線導体216_1及び216_2の並列接続に直列接続される二次巻線導体216_3によって決められ、電力増幅器202_4によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体216_3に並列接続され更に二次巻線導体216_1及び216_2の並列接続に直列接続される二次巻線導体216_4によって決められる。したがって、出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間の直列接続と並列接続を含む新規のトポロジーを通じて接続される二次巻線導体216_1〜216_4により、各電力増幅器202_1〜202_4によって見られる入力インピーダンスは同一となる。このように、同一のRF電流源と同一のインピーダンスZSで各電力増幅器をモデル化するように電力増幅器202_1〜202_4をよく設計すれば、電力増幅器202_1〜202_4から生成されるすべての入力信号Viは互いに同期し、結果として変圧器電力合成器204の入力電流/電圧の振幅/位相も同期するようになる。
【0025】
各電力増幅器202_1〜202_4によって見られる入力インピーダンスを実質的に同一にさせるという所望の目標を達成するために、図2に示す新規の変圧器電力合成器204の構成に基づいて、集積回路の中でオンチップ変圧器電力合成器204のレイアウトをよく画定しなければならない。図3を参照する。図3は本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの一例を表す説明図である。例えば、本発明の一実施例では、図3に示すレイアウトは図2に示す変圧器電力合成器204を実現するために設計されている。図の左側には第一金属層M1に巻装される金属導線が示され、右側には第一金属層M1と異なる第二金属層M2に巻装される金属導線が示されている。注意すべきは、金属層につける名称は第一金属層と第二金属層の位置関係を限定する意味を有しない。例えば、本発明の一実施例において、第一金属層は第二金属層の下に設けられるように構成されているが、他実施例において、第一金属層を第二金属層の上に設けるように構成することも可能である。要するに、一次巻線導体と二次巻線導体が設置されている金属層は、設計上の要求に従って変わりうる。注意すべきは、図3に示すレイアウト設計は説明目的で用いられるに過ぎず、本発明を限定する意味を有しない。言い換えれば、本発明の精神に従った他のレイアウト設計も本発明の範囲に属する。
【0026】
図3に示すように、第一金属層M1に設けられる変圧器電力合成器204の一部レイアウトは実質的に対称であって、第二金属層M2に設けられる変圧器電力合成器204の一部レイアウトも実質的に対称である。本実施例によれば、図2に示す一次巻線導体214_1を実施するための一次巻線導体は、第一金属層M1に巻装される第一区間301(ノードAとBとの間)と第二区間302(ノードCとDとの間)と、第二金属層M2に巻装され且つ図3の破線で示されるバイアを通じて第一区間301と第二区間302を相互接続する第三区間303とを含む。図2に示す二次巻線導体216_1を実施するための二次巻線導体316_1(図2に示す一次巻線導体214_1を実施するための一次巻線導体に対応する)は、第二金属層の上でノードA’とB’との間に巻装されている。そのうちノードA’は出力ポートのプラス端子N1に電気的に接続されており、ノードB’は接続ノードN3に電気的に接続されている。図2に示す一次巻線導体214_2を実施するための一次巻線導体314_2は第一金属層M1の上でノードEとFとの間に巻装されている。第一金属層M1における第三区間303の投射パターンは一次巻線導体314_2と交差しており、詳しくは後掲図を参照する。図2に示す二次巻線導体216_2を実施するための、一次巻線導体314_2に対応する二次巻線導体は、第二金属層M2に巻装される第一区間304(ノードA’とC’との間)と第二区間305(ノードD’とB’との間)と、第一金属層M1に巻装され且つ破線で示されるバイアを通じて第一区間304と第二区間305を相互接続する第三区間306とを有する。第二金属層M2における第三区間306の投射パターンは二次巻線導体316_1と交差しており、詳しくは後掲図を参照する。
【0027】
図2に示す一次巻線導体214_3を実施するための一次巻線導体314_3は、第一金属層M1の上でノードGとHとの間に巻装されている。図2に示す二次巻線導体216_3を実施するための、一次巻線導体314_3に対応する二次巻線導体は、第二金属層M2に巻装される第一区間307(ノードE’とF’との間)と第二区間308(ノードG’とH’との間)と、第一金属層M1に巻装され且つ破線で示されるバイアを通じて第一区間307と第二区間308を相互接続する第三区間309とを有する。図2に示す一次巻線導体214_4を実施するための一次巻線導体は、第一金属層M1に巻装される第一区間310(ノードIとJとの間)と第二区間311(ノードKとLとの間)と、第二金属層M2に巻装され且つ破線で示されるバイアを通じて第一区間310と第二区間311を相互接続する第三区間312とを有する。第一金属層M1における第三区間312の投射パターンは一次巻線導体314_3と交差しており、詳しくは後掲図を参照する。図2に示す二次巻線導体216_4を実施するための二次巻線導体316_4は、第二金属層M2の上でノードE’とH’との間に巻装されている。図に示すように、ノードE’は接続ノードN3に電気的に接続され、ノードH’は出力ポートのマイナス端子N2に電気的に接続されている。また、第二金属層M2における第三区間309の投射パターンは二次巻線導体316_4と交差しており、詳しくは後掲図を参照する。
【0028】
なお、図2に示す接続ノードN3は、変圧器電力合成器204の出力ポートで電力を検出するための電力検知器320に結合されている。したがって、電力検出の結果に基づいて、他回路は変圧器電力合成器204の入力ポートに接続される電力増幅器の電力を調整することができる。もっとも、このような電力検知器の構成はオプションである。言い換えれば、実際の設計要求に応じて電力検知器320を省略してもよい。
【0029】
図4と図5に関連して図3を参照する。図4はBJT/HBT素子を用いる電力増幅システム400のレイアウトの一例と、図3に示すレイアウトを有する電力合成器204とを表す説明図であり、図5はFET素子を用いる電力増幅システム500のレイアウトの一例と、図3に示すレイアウトを有する電力合成器204とを表す説明図である。注意すべきは、図4と図5に示す実施例では、電力検知器の接続が省略されている。図4と図5に示すように、変圧器電力合成器全体は実質的に対称なレイアウトを有する。例えば、第一金属層M1又は第二金属層M2と平行な平面における一次巻線導体(区間301−303を含む一次巻線導体と一次巻線導体314_2とを含む)と二次巻線導体(二次巻線導体316_1と区間304−306を含む二次巻線導体とを含む)の第一投射パターンは実質的に対称であり、第一金属層M1又は第二金属層M2と平行な平面における一次巻線導体(一次巻線導体314_3と区間310−312を含む一次巻線導体とを含む)と二次巻線導体(区間307−309を含む二次巻線導体と二次巻線導体316_4とを含む)の第二投射パターンは実質的に対称である。また、第一金属層M1における変圧器電力合成器204の一部レイアウトは実質的に対称であり(例えば一次巻線導体314_2と区間301、302、306のレイアウトパターンは、一次巻線導体314_3と区間309、310、311のレイアウトパターンのミラーパターンである)、第二金属層M2における変圧器電力合成器204の一部レイアウトも実質的に対称である(例えば二次巻線導体316_1と区間303、304、305のレイアウトパターンは、二次巻線導体316_4と区間307、308、312のレイアウトパターンのミラーパターンである)。このように、よく境界明りょうな実質的に対称なレイアウトにより、各電力増幅器によって見られる入力インピーダンスは、変圧器電力合成器に設けられる変圧器の結合効率と関係なく、実質的に同一となる。なお、図3に示すレイアウトの一例によれば、本実施例による変圧器はブロードサイド型(例えば、1つの一次巻線区間と1つの二次巻線区間が金属層の垂直方向に沿ってオーバーラップしている)と片側共平面型(例えば、同一の金属層に巻装される隣接した一次巻線区間と二次巻線区間)で実施されるので、変圧器結合効率は改善される。このように、図3に示す回路レイアウトで構成されるオンチップ変圧器電力合成器は、高い変圧器結合効率と高い電力合成効率を達成することができる。
【0030】
図6は本発明の実施例2による電力増幅システムを表す略回路図である。本実施例による電力増幅システム600は複数の電力増幅器602_1、602_2、602_3、602_4と、変圧器電力合成器604とを含む。変圧器電圧合成器604は電力増幅器602_1〜602_4にそれぞれ結合される複数の入力ポートと、出力負荷ZLに結合される出力ポートとを含む。変圧器電力合成器604は複数の電圧合成器606_1、606_2と電流合成器608を含むように構成されている。電圧合成器606_1と606_2は複数の一次巻線導体614_1、614_2、614_3、614_4と複数の二次巻線導体616_1、616_2、616_3、616_4から形成される。電圧合成器606_1はその両端電圧(例えば二次巻線導体616_1の両端電圧と二次巻線導体616_2の両端電圧)を合成するように構成されている。同じく、電圧合成器606_2はその両端電圧(例えば二次巻線導体616_3の両端電圧と二次巻線導体616_4の両端電圧)を合成するように構成されている。電流合成器608は電圧合成器606_1と606_2を通過する電流を合成し(例えば2I=I+I)、変圧器電力合成器604の出力ポートで出力VOを生成するように構成されている。
【0031】
図6に示すように、一次巻線導体614_1は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体616_1に磁気的に結合されている。一次巻線導体614_2は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体616_2に磁気的に結合されている。一次巻線導体614_3は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体616_3に磁気的に結合されている。一次巻線導体614_4は対応する入力ポートのプラス端子(+)とマイナス端子(−)の間に電気的に接続されるとともに、二次巻線導体616_4に磁気的に結合されている。また、インピーダンス整合のため、電力増幅システム600には複数のマッチング回路網610_1、610_2、610_3、610_4、612が設けられている。図6に示す実施例では、説明のために4つの電力増幅器602_1〜602_4しか示していない。もっとも、これは本発明を限定する意味を有しない。本発明の精神に従った他種の設計では、設計上の考慮に従って、変圧器電力合成器で4つ以上の電力増幅器の電力を合成することも可能である。
【0032】
図2に示す二次巻線導体216_1〜216_4のトポロジーと同じように、図6に示す本実施例による二次巻線導体616_1〜616_4も、出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に、直列接続と並列接続を含むトポロジー構造を持つ。しかし、本実施例による二次巻線導体616_1と616_2は出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に直列接続されており、二次巻線導体616_3と616_4は出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に直列接続されている。図に示すように、二次巻線導体616_1と616_2の直列接続と二次巻線導体616_3と616_4の直列接続は、出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に並列接続されている。
【0033】
巻数比を1:1とすれば、電力増幅器602_1によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体616_2に直列接続され更に二次巻線導体616_3と616_4との直列接続に並列接続される二次巻線導体616_1によって決められる。同じく、電力増幅器602_2によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体616_1に直列接続され更に二次巻線導体616_3と616_4との直列接続に並列接続される二次巻線導体616_2によって決められ、電力増幅器602_3によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体616_4に直列接続され更に二次巻線導体616_1と616_2との直列接続に並列接続される二次巻線導体616_3によって決められ、電力増幅器602_4によって見られるインピーダンスは、二次巻線導体616_3に直列接続され更に二次巻線導体616_1と616_2との直列接続に並列接続される二次巻線導体616_4によって決められる。したがって、出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に、直列接続と並列接続を含む新規のトポロジーを通じて接続される二次巻線導体616_1〜616_4により、各電力増幅器602_1〜602_4によって見られる入力インピーダンスは同一となる事は評価される。このように、同一のRF電流源と同一のインピーダンスZSで各電力増幅器をモデル化するように電力増幅器602_1〜602_4をよく設計すれば、電力増幅器602_1〜602_4から生成されるすべての入力信号Viは互いに同期し、結果として変圧器電力合成器604の入力電流/電圧の振幅/位相は同期するようになる。
【0034】
各電力増幅器602_1〜602_4によって見られる入力インピーダンスを実質的に同一にさせるという所望の目標を達成するために、図6に示す新規の変圧器電力合成器604の構成に基づいて、集積回路においてオンチップ変圧器電力合成器604のレイアウトをよく画定しなければならない。図7を参照する。図7は本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの一例を表す説明図である。例えば、本発明の一実施例では、図7に示すレイアウトは図6に示す変圧器電力合成器604を実現するために設計されている。図の左側には第一金属層M1に巻装される金属導線が示され、右側には第一金属層M1と異なる第二金属層M2に巻装される金属導線が示されている。前述のように、金属層につける名称は第一金属層と第二金属層の位置関係を限定する意味を有しない。例えば、本発明の一実施例において、第一金属層は第二金属層の下に設けられるように構成されているが、他実施例において、第一金属層を第二金属層の上に設けるように構成することも可能である。要するに、一次巻線導体と二次巻線導体が設置されている金属層は、設計上の要求に従って変わりうる。注意すべきは、図7に示すレイアウト設計は説明目的で用いられるに過ぎず、本発明を限定する意味を有しない。言い換えれば、本発明の精神に従った他のレイアウト設計も本発明の範囲に属する。
【0035】
図7に示すレイアウトで図6に示す変圧器電力合成器604を実現する実施例では、図6に示す一次巻線導体614_1〜614_4と二次巻線導体616_1〜616_4はそれぞれ、図7に示す一次巻線導体714_1〜714_4と二次巻線導体716_1〜716_4で実施される。図7に示すように、一次巻線導体714_1〜714_4は集積回路の第一金属層M1に対称的に巻装されており、二次巻線導体716_1〜714_6は集積回路の第二金属層M2に対称的に巻装されている。本実施例によれば、第一の二次巻線導体716_1(ノードA、Bの間)と第二の二次巻線導体716_2(ノードC、Dの間)は、第二金属層M2の上でノードB、Cの間に巻装される第一導体702により電気的に接続されている。第三の二次巻線導体716_3(ノードE、Fの間)と第四の二次巻線導体716_4(ノードH、Gの間)は、第二金属層M2の上でノードF、Gの間に巻装される第二導体704により電気的に接続されている。第二の二次巻線導体716_2と第四の二次巻線導体716_4は、第二金属層M2の上でノードD、Hの間に巻装される第三導体706により電気的に接続されている。第一の二次巻線導体716_1と第三の二次巻線導体716_3は、ノードA、Eの間に電気的に接続される第四導体により電気的に接続されている。この第四導体は、第二金属層M2に巻装される第一区間712と第二区間713と、第一金属層M1に巻装される第三区間715とを含む。第一区間712、第二区間713、第三区間715は図7の破線に示すバイアを通じて電気的に接続されている。なお、プラス端子N1はバイアを通じて第一区間712に電気的に接続されており、マイナス端子N2はバイアを通じて第三区間716に電気的に接続されている。第二金属層M2における第三区間715の投射パターンは第三導体706と交差しており、詳しくは後掲図を参照する。
【0036】
また、図7に示す接続ノードN3、N4はオプションとして形成され、変圧器電力合成器604の出力ポートで電力を検出するための電力検知器720に結合することができる。電力検出の結果に基づいて、他回路は変圧器電力合成器604の入力ポートに接続される電力増幅器602_1〜602_4の電力を調整することができる。本実施例によれば、接続ノードN4はバイアを通じて第三導体706に電気的に接続されているので、接続ノードN4はマイナス端子N2にも電気的に接続されている。接続ノードN3は第三区間715を通じてプラス端子N1に電気的に接続されている。このように、接続ノードN1、N2での電圧レベルは、接続ノードN3、N4に結合される電力検知器720でモニターすることができる。しかし、そのような電力検知器構成は、任意的であることに注意しなければならない。すなわち、他実施例において、電力検知器720は実際の設計要求に応じて省略される。設計上の考慮に従って電力検知器720を実施しない場合では、接続ノードN3、N4と、接続ノードN3、N4に電気的に接続される関連バイアと、接続ノードN3、N4と電力検知器720の間に設けられる信号トレースは、すべて省略される。
【0037】
図7に示すレイアウト設計は説明目的で用いられるに過ぎない。本発明の精神に従った他種の設計も可能である。図8を参照する。図8は本発明による変圧器電力合成器のレイアウトの他の例を表す説明図である。例えば、図8に示すレイアウトの例は、図6に示す変圧器電力合成器604のレイアウトの他の例である。図8に示すレイアウトは図7に示すレイアウトに類似しており、両者の相違点はノードA、D、E、Hの接続構成にある。図8に示すように、第一の二次巻線導体716_1と第三の二次巻線導体716_3は、第二金属層M2の上でノードA、Eの間に巻装される第三導体806により電気的に接続されている。第二の二次巻線導体716_2と第四の二次巻線導体716_4は、ノードD、Hの間電気的に接続される第四導体により電気的に接続されている。この第四導体は第二金属層M2に巻装される第一区間812と第二区間814と、第一金属層M1に巻装される第三区間816とを有する。第一区間812、第二区間814及び第三区間816は図8の破線に示すバイアを通じて電気的に接続されている。本実施例では、プラス端子N1はバイアを通じて第三導体806に電気的に接続されており、マイナス端子N2はバイアを通じて第二区間814に電気的に接続されている。なお、第二金属層M2における第三区間816の投射パターンは、第三導体806と交差している。当業者は前掲図7に示すレイアウトの説明から図8の他部分のレイアウトを理解できるので、説明を簡潔にするために詳しい説明は省略される。
【0038】
図9と図10に関連して図7を参照する。図9はBJT/HBT素子を用いる電力増幅システム900のレイアウトの一例と、図7に示す電力合成器604とを表す説明図であり、図10はFET素子を用いる電力増幅システム1000のレイアウトの他実施例と、図7に示す電力合成器604とを表す説明図である。注意すべきは、図9と図10に示す実施例では、電力検知器の接続が省略されていることである。図9と図10に示すように、変圧器電力合成器全体は実質的に対称なレイアウトを有する。すなわち図7と図8に示すように、一次巻線導体714_1〜714_4は第一金属層M1に対称的に巻装されており、二次巻線導体716_1〜716_4は第二金属層M2に対称的に巻装されている。このように、よく画定された実質的に対称なレイアウトにより、各電力増幅器によって見られる入力インピーダンスは、変圧器電力合成器に設けられる変圧器の結合効率と関係なく、実質的に同一となる。なお、本実施例による変圧器は、図7と図8に示すレイアウトを利用してブロードサイド型のデザインで実施されるので、変圧器結合効率は改善される。このように、図7と図8に示す回路レイアウトで構成されるオンチップ変圧器電力合成器は、高い変圧器結合効率と高い電力合成効率を達成することができる。
【0039】
また、本発明は更に、以下のような新規な負荷インピーダンス最適化技術を提案する。図2に示す実施例を再び参照する。電力増幅器によって見られる負荷インピーダンスを調整するために、オプションとして設けられる容量素子(例えばコンデンサC1)を出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に電気的に接続することができる。変圧器は一般に寄生インダクタを含むので、変圧器インダクタンスを共振させて寄生インダクタの効果を軽減し、負荷インピーダンスを所望の値に適切に調整するために、コンデンサC1が設けられている。同じく、図6に示す他実施例では、負荷インピーダンスを調整するために、オプションとして設けられる容量素子(例えばコンデンサC2)を出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間に電気的に接続することができる。図7と図8に示すレイアウト設計では、接続ノードN3、N4はそれぞれプラス端子N1とマイナス端子N2に電気的に接続されているので、図6に示すコンデンサC2はN1とN4の間、またはN2とN3の間に接続することができる。また、システムにおいてオプションの電力検知器720を実施しない場合では、図6に示すコンデンサC2は、N3とN4の間に接続することも可能である。
【0040】
また、電力検知器320、720を適切に設計すれば、電力検知器320、720は変圧器電力合成器の出力ポートで出力電力を検出するのみならず、負荷インピーダンスも調整できる。すなわち、出力電力の検出に加えて、通信システムにおいて実施される電力検知器720は、出力ポートのプラス端子N1とマイナス端子N2の間で見られる容量特性を有し、負荷インピーダンスを調整できるようなものとして構成することができる。電力検知器720を負荷インピーダンスの最適化に用いれば、前記容量素子(すなわち図6に示すコンデンサC2)は省略できる。前掲概念に従えば、図3に示す変圧器電力合成器204のレイアウトは、負荷インピーダンスを調整するためにプラス端子N1とマイナス端子N2の間に接続されるコンデンサまたは電力検知器を有するものとして修正することができる。また、レイアウト対称性を保つことを前提に、プラス端子N1とマイナス端子N2の距離を短縮してコンデンサまたは電力検出器接続のレイアウトを簡素化するように、図3に示すレイアウトを適切に修正することもできる。例えば、図3の右上の部分を接続ノードN3に対して右回りに曲げ、図3の右下の部分を接続ノードN3に対して左回りに曲げ、プラス端子N1とマイナス端子N2の距離を短縮することができる。レイアウト全体の対称性を保つために、第一金属層M1における変圧器電力合成器204の一部レイアウトも、第二金属層M2における変圧器電力合成器204の一部レイアウトにかかる前掲修正に応じて適切に曲げられている。
【0041】
前掲実施例による完全に同期している変圧器電力合成器すべてのクラス(例えばAクラス、ABクラスなど)の電力増幅器と互換性があるので、種々の応用分野で利用できる。また、前掲実施例による変圧器電力合成器の電力合成性能は、変圧器の設計と関係なくすべての周波数帯域に適用できる。言い換えれば、前掲実施例による変圧器電力合成器は、mmWaveなどの高周波応用に限られていない。
【0042】
以上は本発明に好ましい実施例であって、本発明の実施の範囲を限定する意味を有しない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、本発明の精神の下においてなされ、本発明に対して均等の効果を有するものは、いずれも本発明の特許請求の範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力ポートと少なくとも1つの出力ポートを備える変圧器電力合成器であって:
前記入力ポートにそれぞれ電気的に接続される複数の一次巻線導体と、
前記一次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される複数の二次巻線導体と、
電流合成器とを含み、
前記各一次巻線導体は、対応する入力ポートのプラス端子とマイナス端子との間に電気的に接続され、
前記二次巻線導体は、前記出力ポートのプラス端子とマイナス端子との間に、直列接続及び並列接続を含むトポロジー構造を持ち、
前記一次巻線導体及び前記二次巻線導体は、前記電流合成器に電気的に接続される複数の電圧合成器を形成し、各電圧合成器はそれらの両端電圧を合成するように構成され、前記電流合成器は、前記電圧合成器を通過する電流を合成して前記出力ポートで出力を生成するように構成される、変圧器電力合成器。
【請求項2】
前記二次巻線導体は、第一の二次巻線導体と、第二の二次巻線導体と、第三の二次巻線導体と、第四の二次巻線導体とを含み、
前記第一の二次巻線及び前記第二の二次巻線導体は、前記出力ポートのプラス端子と前記出力ポートのマイナス端子との間に電気的に直列接続され、
前記第三の二次巻線及び前記第四の二次巻線導体は、前記出力ポートのプラス端子と前記出力ポートのマイナス端子との間に電気的に直列接続される、請求項1に記載の変圧器電力合成器。
【請求項3】
前記変圧器電力合成器は、集積回路に形成されるオンチップ変圧器電力合成器である、請求項2に記載の変圧器電力合成器。
【請求項4】
前記一次巻線導体は、前記集積回路の第一金属層に対称的に巻装され、前記二次巻線導体は、前記集積回路の第二金属層に対称的に巻装される、請求項3に記載の変圧器電力合成器。
【請求項5】
前記第一の二次巻線導体及び前記第二の二次巻線導体は、前記第二金属層に巻装される第一導体により電気的に接続され、前記第三の二次巻線導体及び前記第四の二次巻線導体は、前記第二金属層に巻装される第二導体により電気的に接続され、前記第二の二次巻線導体及び前記第四の二次巻線導体は、第三導体により電気的に接続され、前記第一の二次巻線導体及び前記第三の二次巻線導体は、第四導体により電気的に接続され
前記第三導体及び前記第四導体の一方は、前記第二金属層に巻装され、前記第三導体及び前記第四導体の他方は、前記第二金属層に巻装される第一区間及び第二区間と、前記第一金属層に巻装され、バイアを通じて前記第一区間及び前記第二区間を相互接続する第三区間とを有し、前記第二金属層における前記第三区間の投射パターンは、前記第二金属層に巻装される前記第三導体及び前記第四導体のいずれかと交差する、請求項4に記載の変圧器電力合成器。
【請求項6】
変圧器電力合成器であって:
並列接続される複数の電圧合成器と、
前記電圧合成器の並列接続に結合される電流合成器とを含み、
前記電圧合成器は複数の二次巻線導体にそれぞれ磁気的に結合される複数の一次巻線導体を含み、各電圧合成器はその両端電圧を合成するように構成され、
前記電流合成器はその通過電流を合成して前記変圧器電力合成器の出力を生成するように構成され、
前記一次巻線導体は集積回路の第一金属層に対称的に巻装され、前記二次巻線導体は集積回路の第二金属層に対称的に巻装される、変圧器電力合成器。
【請求項7】
前記二次巻線導体は、第一の二次巻線導体と、第二の二次巻線導体と、第三の二次巻線導体と、第四の二次巻線導体とを含み、
前記第一の二次巻線及び前記第二の二次巻線導体は、前記第二金属層に巻装される第一導体により電気的に接続され、前記第三の二次巻線導体及び前記第四の二次巻線導体は、前記第二金属層に巻装される第二導体により電気的に接続され、前記第二の二次巻線導体及び前記第四の二次巻線導体は、第三導体により電気的に接続され、前記第一の二次巻線導体及び前記第三の二次巻線導体は、第四導体により電気的に接続され、
前記第三導体及び前記第四導体の一方は、前記第二金属層に巻装され、前記第三導体及び前記第四導体の他方は、前記第二金属層に巻装される第一区間及び第二区間と、前記第一金属層に巻装され、バイアを通じて前記第一区間及び前記第二区間を相互接続する第三区間とを有し、前記第二金属層における前記第三区間の投射パターンは、前記第二金属層に巻装される前記第三導体及び前記第四導体のいずれかと交差する、請求項6に記載の変圧器電力合成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−97615(P2011−97615A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279034(P2010−279034)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2008−284735(P2008−284735)の分割
【原出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(506423280)聯發科技股▲ふん▼有限公司 (68)
【氏名又は名称原語表記】MEDIATEK INC.
【住所又は居所原語表記】No.1,Dusing Rd.1st,Science−Based Industrial Park,Hsin−chu,Taiwan 300(CN).
【Fターム(参考)】