説明

変速機のオイルガタープレート、及びそれを備えた変速機

【課題】ギヤで掻き上げられたオイルを効率的に捕捉でき、低車速時にも潤滑が必要な部位に適量のオイルを供給可能なオイルガタープレートを提供する。
【解決手段】ファイナルドリブンギヤ61の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第1オイル捕捉部81と、第1オイル捕捉部81から導出端73へ延びる第1オイル通路72と、第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72の側部に隣接して配置され、カウンターリバースギヤ17の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第2オイル捕捉部83と、第1オイル捕捉部81と第2オイル捕捉部83との間に立設されて軸方向に延びる仕切壁82とを備えた。仕切壁82は、第1オイル通路72における他の部分の側壁72bよりも高い寸法に設定されていることで、ギヤ61,17で掻き上げられたオイルを仕切壁82で受け止めて効率良く捕捉できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニュアルトランスミッションをはじめとする変速機のケース内に設置され、歯車等の回転要素で掻き上げられたケース内のオイルを重力で流下させて供給先へ案内するオイルガタープレート、及びそれを備えた変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マニュアルトランスミッション(MT)をはじめとする各種の変速機には、回転軸を支持するベアリングやギヤなど潤滑が必要な箇所にケース内のオイルを供給する潤滑油供給構造を有している。このような潤滑油供給構造には、オイルポンプを用いた強制潤滑式と、ギヤによる掻き上げオイルを利用した自然潤滑式とがある。変速機では、これらの潤滑油供給構造を利用してギヤの歯面、回転軸の内部、支持ベアリングなどの油膜形成や冷却を行うことで、ケース内の各部品のスムーズな動作及び強度耐久性を確保している。
【0003】
ここで、上記の強制潤滑式は、ポンプの駆動で油圧が発生するため、各部に必要な潤滑用オイルの供給量を主体的に調整できる。したがって、オイルパイプなどを用いることで潤滑が必要な部位に対して適量のオイルを供給することが可能となる。その反面、オイルポンプやオイルパイプなどを含む潤滑系の構成部品が多くなることで、変速機の構造の複雑化、コスト・重量増に繋がる懸念がある。一方、自然潤滑式は、ケース内の底部に溜まったオイルをファイナルドリブンギヤなどで掻き上げてケースの上部に貯め、それを自重で流下させることで潤滑が必要な部位に供給する。この場合、特許文献1に示すように、ギヤで掻き上げられたオイルを樋状のオイルガタープレートで被潤滑部に案内して供給するのが一般的である。この自然潤滑式では、オイルポンプなどが不要であるため、変速機の部品点数の削減、構造の簡素化を図ることができる。しかしながらその反面、ギヤで掻き上げたオイルを自然流下で供給する構造であるため、潤滑が必要な部位に対するオイルの供給量が不足するおそれがある。そのため、ギヤで掻き上げられたオイルを効率よく捕捉して供給できるように、オイルガタープレートの形状等の最適化を図ることが必要となる。
【0004】
特許文献1に記載のオイルガタープレートでは、ファイナルドリブンギヤが掻き上げたオイルを捕捉して潤滑を行うように構成している。しかしながら、低車速時には、ファイナルドリブンギヤの回転数が低いため、捕捉可能なオイルの量が少なくなる。そのため、ファイナルドリブンギヤが掻き上げたオイルを捕捉するだけでは、低車速時に被潤滑部への十分なオイル供給量を確保できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4573410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、歯車等の回転要素で掻き上げられたオイルをより効率的に捕捉することで、低車速時にも潤滑が必要な部位に適量のオイルを供給することができる変速機のオイルガタープレート、及びそれを備えた変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、ケース(5)と、ケース(5)内で平行に設置された入力軸(10)及び出力軸(12)と、入力軸(10)と出力軸(12)との間に設けた複数の歯車(40〜45,46〜51)からなる歯車列(55)と、出力軸(12)の回転が伝達される差動装置(62)の歯車(61)と、を備える変速機(1)において、ケース(5)内に設置されて、出力軸(12)上の歯車(17)及び差動装置(62)の歯車(61)を含むケース(5)内の回転要素で掻き上げられたオイルを潤滑対象である供給先へ案内するためのオイルガタープレート(70)であって、差動装置(60)の歯車(61)の回転で掻き上げられたオイルが捕捉される第1オイル捕捉部(81)と、第1オイル捕捉部(81)からオイルが導出される導出端(73)まで入力軸(10)及び出力軸(12)の軸方向に沿って延びる第1オイル通路(72)と、第1オイル捕捉部(81)及び第1オイル通路(72)に隣接して配置され、出力軸(12)上の歯車(17)の回転で掻き上げられたオイルが捕捉される第2オイル捕捉部(83)と、第2オイル捕捉部(83)で捕捉されたオイルを第1オイル通路(72)に合流させるための第2オイル通路(75)と、第1オイル捕捉部(81)及び第1オイル通路(72)と、第2オイル捕捉部(83)及び第2オイル通路(75)との間に立設されて軸方向に延びる仕切壁(82)と、を備え、仕切壁(82)は、その高さ寸法が第1オイル捕捉部(81)及び第1オイル通路(72)における他の部分の側壁(72b)よりも高い寸法に設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるオイルガタープレートによれば、差動装置の歯車の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第1オイル捕捉部に加えて、出力軸上の歯車の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第2オイル捕捉部を設けたことで、差動装置の歯車で掻き上げられたオイルだけでなく、当該差動装置の歯車よりも高回転の領域でケース内のオイルの掻き上げを行っている出力軸上の歯車が掻き上げたオイルも捕捉することができるので、オイルガタープレートによるオイルの捕捉量を多くすることが可能となる。特に、このオイルガタープレートを備えた変速機を搭載した車両が低速で走行している際には、差動装置の歯車の回転数が低下することで、差動装置の歯車が掻き上げたオイルだけでは、変速機の各部を潤滑するために必要なオイルの量が不足するおそれがあるところ、その場合でも、差動装置の歯車より高速で回転している出力軸上の歯車が掻き上げたオイルによって、各部の潤滑に必要なオイル量を効果的に補うことが可能となる。
【0009】
また、本発明にかかるオイルガタープレートでは、第1捕捉部及び第1オイル通路と第2捕捉部及び第2オイル通路との間に仕切壁を設け、この仕切壁の高さ寸法を第1捕捉部及び第1オイル通路における他の部分の側壁よりも高い寸法に設定したことで、差動装置の歯車及び出力軸上の歯車で掻き上げられたオイルを仕切壁で効率良く受け止めて第1、第2オイル捕捉部に捕捉させることができる。したがって、オイルガタープレートで捕捉されるオイルの量をより多くすることが可能となる。すなわち、仮に、仕切壁の高さ寸法を第1捕捉部及び第1オイル通路の他の側壁と同一かそれよりも低い寸法に設定すると、差動装置の歯車又は出力軸上の歯車で掻き上げられたオイルのうち高い位置まで飛んだオイルが仕切壁で受け止められず、第1、第2オイル捕捉部を飛び越えて反対側へ落下してしまう。そのため、オイルガタープレートで捕捉されるオイルの量を多くすることができない。
【0010】
また、上記のオイルガタープレートでは、仕切壁(82)の第1オイル通路(72)と反対側には、仕切壁(82)よりもその高さが低い樋状のリブ(74)が形成されており、第2オイル捕捉部(83)及び第2オイル通路(75)は、樋状のリブ(74)と仕切壁(82)との間に画成されているとよい。
【0011】
この構成によれば、仕切壁の外側に樋状のリブを形成するだけで、出力軸上の歯車で掻き上げられたオイルを捕捉する第2オイル捕捉部及び第2オイル通路を設けることができる。したがって、オイルガタープレートの形状の複雑化や大型化を招くことなく、オイルガタープレートによるオイルの捕捉量を多くすることができる。
【0012】
また、上記のオイルガタープレートでは、仕切壁(82)の下流側の端部に対応する位置には、第2オイル通路(75)を第1オイル通路(72)に合流させる合流部(76)が設けられており、第1オイル通路(72)における合流部(76)と導出端(73)との間の側壁(72c)には、第1オイル通路(72)のオイルを吐出させて入力軸(10)と出力軸(12)の間に設けた歯車列を含む構成要素に供給するオイル吐出部(77)が設けられているとよい。
【0013】
この構成によれば、第2オイル通路が第1オイル通路に合流する合流部を、入力軸と出力軸との間に設けた歯車列にオイルを供給するオイル吐出部より上流側に設けたことで、オイル吐出部の位置を流れるオイルの流量を多くすることができる。したがって、入力軸と出力軸との間に設けた歯車列などに供給するオイルが不足することを効果的に防止できる。
【0014】
またこの場合、合流部(76)よりも下流側の第1オイル通路(72)の底面(72a)には、第1オイル通路(72)を流れるオイルをオイル吐出部(77)側へ案内するための整流用のリブ(78)が形成されているとよい。このような整流用のリブを設けることで、オイル吐出部から吐出されるオイルの流量を確保することが可能となる。したがって、入力軸と出力軸との間に設けた歯車列などの潤滑を効果的に行うことができる。
【0015】
また、上記のオイルガタープレートでは、第1オイル通路(72)を挟んで第2オイル通路(75)と反対側の位置に、差動装置(62)の歯車(61)で掻き上げられたオイルの一部がケース(5)の内面(5a)を伝って導かれるように構成した第3オイル捕捉部(85)を形成するとよい。
【0016】
この構成によれば、差動装置の歯車で掻き上げられてケースの内面に当たるオイルを第3オイル捕捉部で捕捉することができる。したがって、オイルガタープレートで捕捉されるオイルの量をより多くすることが可能となる。
【0017】
また、本発明にかかる変速機は、ケース(5)と、ケース(5)内で平行に設置された入力軸(10)及び出力軸(12)と、入力軸(10)と出力軸(12)との間に設けた複数の歯車(40〜45,46〜51)からなる歯車列(55)と、出力軸(12)上の歯車(60)と噛合する差動装置(62)の歯車(61)と、ケース(5)内に設置されて、出力軸(12)上の歯車(17)及び差動装置(62)の歯車(61)を含むケース(5)内の回転要素で掻き上げられたオイルを潤滑対象である供給先へ案内するためのオイルガタープレート(70)と、を備えた変速機(1)であって、上記のオイルガタープレート(70)は、本発明にかかる上記いずれかのオイルガタープレート(70)であり、当該オイルガタープレート(70)の第2オイル捕捉部(83)に向けてオイルを掻き上げる出力軸(12)上の歯車(17)は、差動装置(62)の歯車(61)と噛合する出力軸(12)上の他の歯車(60)よりも大径の歯車であることを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる変速機によれば、本発明にかかるオイルガタープレートをケース内に設置して、出力軸上の大径の歯車で第2オイル捕捉部に向けてオイルを掻き上げるように構成したことで、ケース内のオイルを当該大径の歯車で効率的に掻き上げることが可能となる。特に、ケースの底部に溜まったオイルが少量の場合にも、大径の歯車の歯面がオイルの油面に達し易いことで、当該オイルを効率的に掻き上げてオイルガタープレートで捕捉できるようになる。
【0019】
また、上記の変速機では、入力軸(10)及び出力軸(12)と平行に設置されたアイドル軸(14)と、アイドル軸(14)上に設けたアイドル歯車(19)と、を備え、アイドル歯車(19)は、第2オイル捕捉部(83)に向けてオイルを掻き上げる出力軸(12)上の歯車(17)と噛合しているとよい。
【0020】
また、上記の変速機(1)は、車両に搭載した状態で、出力軸(12)が入力軸(10)よりも低い位置となるように設定されているとよい。この構成によれば、出力軸上の歯車の外周がケース内の低い位置に達することで、ケースの底部に溜まったオイルを出力軸上の歯車で効率的に掻き上げることが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる変速機のオイルガタープレート及びそれを備えた変速機によれば、歯車等の回転要素で掻き上げられたオイルを効率的に捕捉でき、車両の低車速時にも潤滑が必要な部位に適量のオイルを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる変速機の一実施形態であるマニュアルトランスミッションの縦断面図である。
【図2】トランスミッションケース内のオイルガタープレートを出力軸の上方の位置から見た斜視図である。
【図3】オイルガタープレートを入力軸の上方の位置から見た斜視図である。
【図4】オイルガタープレートを真上位置から見た平面図である。
【図5】オイルガタープレートを軸方向の端部側から見た側面図である。
【図6】オイルガタープレートをクラッチケース側から見た斜視図である。
【図7】オイルガタープレートを示す図で、(a)は、斜視図、(b)は、平面図である。
【図8】トランスミッションケースの内面に沿うオイルの流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる変速機の一実施形態にかかるマニュアルトランスミッション(手動変速機)の主断面図である。同図に示すマニュアルトランスミッション(以下、「変速機」と記す。)1は、車両に搭載される変速機であって、エンジン(図示せず)からの駆動力を変速して駆動輪(図示せず)に伝達するように構成されている。この変速機1は、トランスミッションケース(以下、単に「ケース」と記す。)5内で回転自在に支持された入力軸(メインシャフト)10及び出力軸(カウンターシャフト)12と、ケース5に固定されたリバース軸(アイドル軸)14とを備えている。入力軸10と出力軸12及びリバース軸14は、所定間隔で互いに平行に配置されている。また、入力軸10とクランクシャフト11との間には、クラッチケース7に収容されたクラッチ機構8が設けられている。クラッチ機構8は、公知の機構であるため、ここではその詳細な説明は割愛する。なお、以下の説明で軸方向というときは入力軸10及び出力軸12の軸方向を示すものとし、横方向というときは、当該軸方向に対する左右方向(幅方向)を示すものとする。また、上又は下というときは、変速機1を車両に搭載した状態での上又は下を指すものとする。
【0024】
入力軸10には、1速ドライブギヤ40及び2速ドライブギヤ41が固設されていると共に、3速ドライブギヤ42、4速ドライブギヤ43、5速ドライブギヤ44及び6速ドライブギヤ45が相対回転自在に支持されている。一方、出力軸12には、1速ドライブギヤ40及び2速ドライブギヤ41にそれぞれ噛合する1速ドリブンギヤ46及び2速ドリブンギヤ47が相対回転自在に支持されていると共に、3速ドライブギヤ42、4速ドライブギヤ43、5速ドライブギヤ44及び6速ドライブギヤ45にそれぞれ噛合する3速ドリブンギヤ48、4速ドリブンギヤ49、5速ドリブンギヤ50及び6速ドリブンギヤ51が固設されている。上記の1〜6速ドライブギヤ40〜45及び1〜6速ドリブンギヤ46〜51で、入力軸10と出力軸12との間に設けた歯車列55が構成されている。
【0025】
また、各変速ギヤ段の切り替えを行うための1−2速同期装置52,3−4速同期装置53,5−6速同期装置54が設けられている。1−2速同期装置52は、出力軸12上の1速ドリブンギヤ46と2速ドリブンギヤ47との間に設けられている。3−4速同期装置53は、入力軸10上の3速ドライブギヤ42と4速ドライブギヤ43との間に設けられている。5−6速同期装置54は、入力軸10上の5速ドライブギヤ44と6速ドライブギヤ45との間に設けられている。
【0026】
後進段設定機構20は、出力軸12上に固設された後進用出力歯車(以下、「カウンターリバースギヤ」と記す。)17と、リバース軸14上に設置されて1速ドライブギヤ40に常時噛合する第1アイドル歯車18と、リバース軸14上に設置されてカウンターリバースギヤ17に常時噛合する第2アイドル歯車19とを備えている。また、後進段設定機構20は、リバース軸14上の第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19との間に配設された後進段確立用の同期装置30を備えている。
【0027】
入力軸10の動力は、各同期装置(シンクロメッシュ機構)52,53,54の操作によって、選択された変速ギヤ段を介して出力軸12に伝達される。そして、ファイナルドライブギヤ60及びファイナルドリブンギヤ61で構成される終減速機構で減速された後、デファレンシャル装置62に伝達される。これにより、左右の車軸に繋がるドライブシャフト63,64が前進方向に回転する。
【0028】
また、後進段の設定時には、後進段確立用の同期装置30でリバース軸14上の第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19とが同期結合される。これにより、入力軸10の動力が1速ドライブギヤ40及び第1アイドル歯車18を介してリバース軸14に伝達され、さらに、第2アイドル歯車19及びカウンターリバースギヤ17を介して出力軸12に伝達される。これにより、出力軸12が前進段の設定時とは逆向きに回転する。したがって、出力軸12からデファレンシャル装置62に伝達された駆動力によって、ドライブシャフト63,64が後進方向に回転する。
【0029】
次に、ケース5内に設置したオイルガタープレート70について詳細に説明する。図2乃至図6は、ケース5内のオイルガタープレート70を示す図で、図2は、オイルガタープレート70を出力軸12側の上方の位置から見た斜視図、図3は、オイルガタープレート70を入力軸10側の上方の位置から見た斜視図、図4は、オイルガタープレート70を真上位置から見た平面図、図5は、オイルガタープレート70を軸方向の端部(クラッチ機構8と反対の端部)側から見た側面図、図6は、トランスミッションケース5内のオイルガタープレート70をクラッチケース7側から見た斜視図である。また、図7は、オイルガタープレート70の詳細構成を示す図で、同図(a)は、斜視図、同図(b)は、平面図である。なお、図2では、変速機1のトランスミッションケース5及びクラッチケース7を点線で概略的に図示しており、図3及び図5では、クラッチケース7との合わせ面からトランスミッションケース5を取り外した状態を図示しており、図4では、トランスミッションケース5内の構成部品の一部のみを図示している。
【0030】
各図に示すように、オイルガタープレート70は、合成樹脂製の一体成型品からなる樋状の部材であって、ファイナルドリブンギヤ61及びカウンターリバースギヤ17などの回転で掻き上げられたケース5内のオイルを一時的に貯めて、入力軸10及び出力軸12上の歯車列55や同期装置52〜54のなどの潤滑対象に供給するための部材である。このオイルガタープレート70は、図5及び図6に示すように、出力軸12の上方においてケース5の内面5aとの間に画成された空間(以下、この空間を「天井部」と称す。)6に配置されている。
【0031】
オイルガタープレート70は、ファイナルドリブンギヤ61の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第1オイル捕捉部81に繋がる導入端71と、導入端71から入力軸10及び出力軸12の軸方向に沿って延びる第1オイル通路72と、第1オイル通路72の下流側の端部に設けた導出端73とを備えている。第1オイル通路72は、導入端71から導出端73まで帯状に延びる底面72aと、該底面72aの長手方向の両側に立設された側壁72b,72c,72dとによって構成されている。底面72aは、導入端71から導出端73に向かって複数の段差及び傾斜を経ることで、その高さ位置が次第に低くなるように構成されている。これにより、第1オイル通路72は、導入端71から導出端73に向かってオイルを重力で自然に流下させるようになっている。
【0032】
また、オイルガタープレート70には、出力軸12上のカウンターリバースギヤ17の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第2オイル捕捉部83と、第2オイル捕捉部83で捕捉されたオイルを第1オイル通路72との合流部76へ導くための第2オイル通路75とが設けられている。第2オイル捕捉部83及び第2オイル通路75は、軸方向に対する横方向において、第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72に隣接して配置されている。そして、第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72と、第2オイル捕捉部83及び第2オイル通路75との間には、軸方向に延びる平板状の仕切壁82が立設されている。仕切壁82は、その高さ寸法が第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72における他の部分の側壁72bよりも高い寸法に設定されている。
【0033】
導入端71は、第1オイル通路72の長手方向に対して横向きに開口しており、ファイナルドリブンギヤ61の歯面61aの上方でその回転方向(円周方向)を向いて配置されている。仕切壁82は、ファイナルドリブンギヤ61の回転方向において、導入端71及び第1オイル捕捉部81よりも奥側の位置に立設されている。
【0034】
図3などに示すように、仕切壁82の第1オイル通路72に対する外側には、仕切壁82よりもその高さが低い樋状のリブ74が形成されている。第2オイル捕捉部83及び第2オイル通路75は、この樋状のリブ74と仕切壁82との間に画成されている。第2オイル通路75は、仕切壁82の外側(第1オイル通路72と反対側)で第1オイル通路72と平行に延びている。図7(b)に示すように、第2オイル捕捉部83及び第2オイル通路75の幅寸法(平面視の幅寸法)は、第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72の幅寸法よりも小さい寸法になっている。
【0035】
第1オイル通路72における合流部76と導出端73との間の側壁72cには、第1オイル通路72を流れるオイルを吐出させて滴下するための吐出口(オイル吐出部)77が形成されている。吐出口77は、第1オイル通路72の長手方向に沿って適宜の間隔で複数個(図では4個)が設けられている。各吐出口77は、側壁72cを貫通する小孔であって、入力軸10と出力軸12との間の真上位置に開口している。各吐出口77から吐出されて滴下したオイルは、入力軸10と出力軸12との間に設けた歯車列55の各ギヤ40〜45,46〜51及び同期装置52〜54などの回転要素に供給される。
【0036】
また、合流部76よりも下流側の第1オイル通路72の底面72aには、整流用のリブ78が形成されている。この整流用のリブ78は、後述する第3オイル捕捉部85との合流部79の手前側に設置されており、一方の側壁(吐出口77を設けた側壁72cに対向する側壁)72dから第1オイル通路72の中央に向けて横方向に張り出して形成されている。この整流用のリブ78によって、合流部76の下流側で第1オイル通路72を流れるオイルが吐出口77の方へ導かれるようになっている。
【0037】
第1オイル通路72の導出端73は、分流壁73cを挟んで第1導出口73aと第2導出口73bの二手に分岐している。第1導出口73aは、第1オイル通路72の長手方向の延長線上に位置しており、出力軸12の端部に対応して配置されている。一方、第2導出口73bは、第1オイル通路72の長手方向に対する横方向を向いて配置されており、その先端が入力軸10の端部に向けて開口している。
【0038】
また、オイルガタープレート70には、ファイナルドリブンギヤ61で掻き上げられてケース5の内面5aを伝うオイルが導かれるように構成した第3オイル捕捉部85が形成されている。第3オイル捕捉部85は、第1オイル通路72を挟んで第2オイル通路75と反対側の位置に設けられており、第1オイル通路72の長手方向の中間部付近に対して側壁72dで仕切られている。第3オイル捕捉部85の底面85aは、第1オイル通路72の底面72aよりも若干高い位置に配置されている。側壁72dの下流側の端部に対応する位置には、第3オイル捕捉部85を第1オイル通路72に合流させる合流部79が設けられている。合流部79は、整流用のリブ78よりも下流側の位置において、側壁72dの一部を切り欠いて設けられている。
【0039】
上記のオイルガタープレート70は、図6に示すように、導入端71の側部に設けた係止用の小突起70aをケース5の内面5aに設けた被係止用の小孔5fに係止させることで、ケース5内の天井部6の内面5aに取り付けられている。この状態で、オイルガタープレート70が出力軸12の上方でケース5の内面5aとの間に設置される。そして、図2などに示すように、オイルガタープレート70の導入端71がファイナルドリブンギヤ61の歯面61aの上方に配置され、第2オイル捕捉部83が出力軸12上のカウンターリバースギヤ17の上方に配置される。また、第1導出端73は、その先端が、トランスミッションケース5の内面に形成した油路溝(図示せず)を介して出力軸12の端部から軸内にオイルを導入するように配置されている。一方、第2導出端73は、上記の油路溝を介して入力軸10の端部から軸内にオイルを供給するように配置されている。また、オイルガタープレート70の仕切壁82や各側壁72b,72c,72dの上端辺は、ケース5の天井部6の内面5aに対して僅かな隙間を有した状態で対向するようになっている。なお、図3及び図4における符号57は、1−2速同期装置用の1−2速シフトフォークシャフトであり、符号58は、1−2速シフトフォークである。
【0040】
次に、上記構成のオイルガタープレート70によるオイルの流れついて説明する。ケース5内で回転するファイナルドリブンギヤ61は、ケース5内の底部に溜まったオイルを掻き上げる。ファイナルドリブンギヤ61が掻き上げたオイルは、オイルガタープレート70の導入端71から導入されて、第1オイル捕捉部81に捕捉される。このとき、ファイナルドリブンギヤ61が掻き上げたオイルは、その一部が仕切壁82で受け止められて第1オイル捕捉部81に集められる。第1オイル捕捉部81で捕捉されたオイルは、そこから第1オイル通路72に沿って重力で流下する。
【0041】
一方、ケース5内で回転するカウンターリバースギヤ17もケース5の底部に溜まったオイルを掻き上げる。このカウンターリバースギヤ17が掻き上げたオイルは、仕切壁82の外側の面で受け止められて、第2オイル捕捉部83に集められる。第2オイル捕捉部83で捕捉されたオイルは、そこから第2オイル通路75に沿って重力で流下する。
【0042】
第2オイル通路75のオイルは、合流部76で第1オイル通路72のオイルと合流する。合流したオイルは、第1オイル通路72をさらに流下する。このオイルは、整流用のリブ78で進路を曲げられることで側壁72cの吐出口77側に流れ、吐出口77から吐出されて滴下することで、入力軸10と出力軸12との間に設けた歯車列55や同期装置52〜54を潤滑する。
【0043】
また、第3オイル捕捉部85で捕捉されたオイルは、合流部79で第1オイル通路72のオイルと合流する。図8は、ケース5の天井部6の内面5a及びオイルガタープレート70の断面を示す図で、同図(a)は、図6のX−X矢視に対応する位置の側断面図、同図(b)は、同矢視に対応する一部切断状態の斜視図である。同図を用いて、第3オイル捕捉部85に集められるオイルの流れを説明する。ファイナルドリブンギヤ61の回転で掻き上げられたオイルは、オイルガタープレート70の第1オイル捕捉部81で捕捉されるほか、同図に示すように、ケース5の天井部6の内面5aを伝って流れる。この天井部6の内面5aを伝って流れたオイルは、第3オイル捕捉部85に落下して集められる。オイルガタープレート70では、第1オイル通路72の側部に天井部6の内面5aから落下したオイルを捕捉する第3オイル捕捉部85を設けたことで、より多くのオイルを効率的に捕捉することを可能としている。
【0044】
第1オイル通路72を流れるオイルのうち、吐出口77から吐出されなかった残りのオイルと、第3オイル捕捉部85で捕捉されて合流部79で第1オイル通路72に流入したオイルは、第1オイル通路72を更に流下して導出端73に達する。このオイルは、導出端73で分流壁73cによって第1導出口73aへの流れと第2導出口73bへの流れの二手に分けられる。第1導出口73aから導出されたオイルは、出力軸12の端部から軸内に供給される。また、第2導出口73bから導出されたオイルは、入力軸10の端部から軸内に供給される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の変速機1が備えるオイルガタープレート70によれば、ファイナルドリブンギヤ61の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第1オイル捕捉部81に加えて、カウンターリバースギヤ17の回転で掻き上げられたオイルを捕捉する第2オイル捕捉部83を設けたことで、ファイナルドリブンギヤ61で掻き上げられたオイルだけでなく、ファイナルドリブンギヤ61よりも高回転の領域でケース5内のオイルの掻き上げを行っているカウンターリバースギヤ17が掻き上げたオイルも捕捉することができる。したがって、オイルガタープレート70によるオイルの捕捉量をより多くすることが可能となる。
【0046】
特に、変速機1を搭載した車両の低速走行時には、ファイナルドリブンギヤ61の回転数が低下することで、ファイナルドリブンギヤ61で掻き上げられたオイルだけでは変速機1の各部を潤滑するために必要なオイル量が不足するおそれがあるところ、その場合でも、ファイナルドリブンギヤ61よりも高速で回転している出力軸12上のカウンターリバースギヤ17が掻き上げたオイルを捕捉することによって、潤滑が必要な箇所に適切なオイル量を効果的に補うことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態のオイルガタープレート70では、第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72と第2オイル捕捉部83及び第2オイル通路75との間に仕切壁82を設け、この仕切壁82の高さ寸法を第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72における他の部分の側壁72bよりも高い寸法に設定している。これにより、ファイナルドリブンギヤ61及びカウンターリバースギヤ17で掻き上げられたオイルを仕切壁82で効率的に受け止めて、第1オイル捕捉部81及び第2オイル捕捉部83で捕捉することができる。したがって、オイルガタープレート70によるオイルの捕捉量をより多くすることが可能となる。すなわち、仮に、仕切壁82の高さ寸法を第1オイル捕捉部81及び第1オイル通路72の他の側壁72bと同一かそれよりも低い寸法に設定すると、ファイナルドリブンギヤ61又はカウンターリバースギヤ17で掻き上げられたオイルのうち高い位置まで飛んだオイルを仕切壁82で受け止めることができず、当該オイルが第1オイル捕捉部81又は第2オイル捕捉部83を飛び越えて反対側へ落下してしまう。そのため、オイルガタープレート70で捕捉されるオイルの量を多くすることができない。
【0048】
また、本実施形態のオイルガタープレート70では、仕切壁82の外側に樋状のリブ74を追加的に形成したことで、カウンターリバースギヤ17で掻き上げられたオイルを捕捉するための第2オイル捕捉部83を設けている。これにより、オイルガタープレート70の形状の複雑化や大型化を招くことなく、オイルガタープレート70によるオイルの捕捉量を多くすることを可能としている。
【0049】
また、第2オイル通路75と第1オイル通路72との合流部76を吐出口77の上流側に設けたことで、吐出口77の位置を流れるオイルの流量をより多くすることができる。したがって、入力軸10と出力軸12との間に設けた歯車列55や同期装置52〜54などに供給するオイルが不足することを効果的に防止できる。
【0050】
また、合流部76よりも下流側の第1オイル通路72の底面72aには、第1オイル通路72を流れるオイルを吐出口77側へ案内するための整流用のリブ78が形成されている。このような整流用のリブ78を設けたことで、吐出口77から吐出されるオイルの流量を確保することが可能となる。したがって、入力軸10と出力軸12との間に設けた歯車列55などの潤滑を効果的に行うことができる。
【0051】
また、第1オイル通路72を挟んで第2オイル通路75と反対側の位置には、ファイナルドリブンギヤ61で掻き上げられたオイルの一部がケース5の内面5a(天井部6の内面5a)を伝って導かれるように構成した第3オイル捕捉部85を設けている。この第3オイル捕捉部85によって、ファイナルドリブンギヤ61で掻き上げられてケース5の天井部6の内面5aに当たるオイルを効果的に捕捉することができる。したがって、オイルガタープレート70で捕捉されるオイルの量を更に多くすることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態の変速機1では、オイルガタープレート70の第2オイル捕捉部83に向けてオイルを掻き上げる出力軸12上のカウンターリバースギヤ17は、ファイナルドリブンギヤ61と噛合する出力軸12上のファイナルドライブギヤ60よりも大径の歯車である。さらに言えば、カウンターリバースギヤ17は、出力軸12上の歯車のうち最も大径の歯車である。このように、出力軸12上の大径の歯車であるカウンターリバースギヤ17で第2オイル捕捉部83に向けてオイルを掻き上げるように構成したことで、ケース5内のオイルを効率的に掻き上げることが可能となる。なぜなら、ケース5の底部に溜まったオイルが少量の場合にも、大径のカウンターリバースギヤ17は、その歯面がオイルの油面に達し易いことで、オイルを効率的に掻き上げてオイルガタープレート70に捕捉させることができるからである。
【0053】
また、本実施形態の変速機1は、図5などに示すように、車両に搭載した状態で、出力軸12の高さ位置が入力軸10の高さ位置よりも低い位置となるように設定されている。このことにより、出力軸12上のカウンターリバースギヤ17の外周がケース5内の低い位置に達しているので、ケース5内の底部に溜まったオイルをカウンターリバースギヤ17でより効率的に掻き上げることが可能となる。
【0054】
また、図示は省略するが、カウンターリバースギヤ17は、隣接する出力軸12上の1速ドリブンギヤ46などと比較して、その歯(歯列)の傾斜度が小さい。そのため、カウンターリバースギヤ17の回転で掻き上げられたオイルは、カウンターリバースギヤ17の回転方向に対して比較的真っ直ぐに飛ぶ傾向がある。これに対して、本実施形態のオイルガタープレート70では、図4などに示すように、第2オイル捕捉部83及び仕切壁82をカウンターリバースギヤ17の回転方向の延長線上及びその近傍に配置していることで、カウンターリバースギヤ17で掻き上げられたオイルを確実に仕切壁82に当てて第2オイル捕捉部83に集めることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、オイルガタープレート70の第2オイル捕捉部83に向けてオイルを掻き上げる歯車は、出力軸12上のカウンターリバースギヤ17である場合を示したが、本発明にかかるオイルガタープレートは、変速機の出力軸上に設けた他の歯車で掻き上げられたオイルを捕捉するように構成したものであってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、本発明にかかるオイルガタープレートを設置した変速機として、マニュアルトランスミッションを示したが、本発明にかかるオイルガタープレートを設置する変速機は、ケース内で平行に設置された入力軸及び出力軸と、入力軸と出力軸との間に設けた歯車列と、出力軸の回転が伝達される差動装置の歯車とを備えた変速機であれば、マニュアルトランスミッション以外にも、例えば、デュアルクラッチ式のトランスミッションなど他の種類の変速機にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 変速機
5 ケース(トランスミッションケース)
5a 内面
6 天井部
10 入力軸(メインシャフト)
12 出力軸(カウンターシャフト)
14 リバース軸(アイドル軸)
16 後進用入力歯車
17 後進用出力歯車(カウンターリバースギヤ)
20 後進段設定機構
40〜45 1〜6速ドライブギヤ
46〜51 1〜6速ドリブンギヤ
52 1−2速同期装置
53 3−4速同期装置
54 5−6速同期装置
55 歯車列
60 ファイナルドライブギヤ
61 ファイナルドリブンギヤ(差動装置の歯車)
62 デファレンシャル装置(差動装置)
70 オイルガタープレート
70a 小突起
71 導入端
72 第1オイル通路
72a 底面
72b,72c,72d 側壁
73 導出端
74 樋状のリブ
75 第2オイル通路
76 合流部
77 吐出口(オイル吐出部)
78 整流用のリブ
79 合流部
81 第1オイル捕捉部
82 仕切壁
83 第2オイル捕捉部
85 第3オイル捕捉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内で平行に設置された入力軸及び出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けた複数の歯車からなる歯車列と、
前記出力軸の回転が伝達される差動装置の歯車と、を備える変速機において、
前記ケース内に設置されて、前記出力軸上の歯車及び前記差動装置の歯車を含む前記ケース内の回転要素で掻き上げられたオイルを潤滑対象である供給先へ案内するためのオイルガタープレートであって、
前記差動装置の歯車の回転で掻き上げられたオイルが捕捉される第1オイル捕捉部と、
前記第1オイル捕捉部から前記オイルが導出される導出端まで前記入力軸及び前記出力軸の軸方向に沿って延びる第1オイル通路と、
前記第1オイル捕捉部及び前記第1オイル通路に隣接して配置され、前記出力軸上の歯車の回転で掻き上げられたオイルが捕捉される第2オイル捕捉部と、
前記第2オイル捕捉部で捕捉されたオイルを前記第1オイル通路に合流させるための第2オイル通路と、
前記第1オイル捕捉部及び前記第1オイル通路と、前記第2オイル捕捉部及び前記第2オイル通路との間に立設されて前記軸方向に延びる仕切壁と、を備え、
前記仕切壁は、その高さ寸法が前記第1オイル捕捉部及び前記第1オイル通路における他の部分の側壁よりも高い寸法に設定されている
ことを特徴とする変速機のオイルガタープレート。
【請求項2】
前記仕切壁の前記第1オイル通路と反対側には、前記仕切壁よりもその高さが低い樋状のリブが形成されており、
前記第2オイル捕捉部及び前記第2オイル通路は、前記樋状のリブと前記仕切壁との間に画成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機のオイルガタープレート。
【請求項3】
前記仕切壁の下流側の端部に対応する位置には、前記第2オイル通路を前記第1オイル通路に合流させる合流部が設けられており、
前記第1オイル通路における前記合流部と前記導出端との間の側壁には、前記第1オイル通路のオイルを吐出させて前記入力軸と前記出力軸の間に設けた前記歯車列を含む構成要素に供給するオイル吐出部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機のオイルガタープレート。
【請求項4】
前記合流部よりも下流側の第1オイル通路の底面には、前記第1オイル通路を流れるオイルを前記オイル吐出部側へ案内するための整流用のリブが形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の変速機のオイルガタープレート。
【請求項5】
前記第1オイル通路を挟んで前記第2オイル通路と反対側の位置には、前記差動装置の歯車で掻き上げられたオイルの一部が前記ケースの内面を伝って導かれるように構成した第3オイル捕捉部が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変速機のオイルガタープレート。
【請求項6】
ケースと、
前記ケース内で平行に設置された入力軸及び出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けた複数の歯車からなる歯車列と、
前記出力軸の回転が伝達される差動装置の歯車と、
前記ケース内に設置されて、前記出力軸上の歯車及び前記差動装置の歯車を含む前記ケース内の回転要素で掻き上げられたオイルを潤滑対象である供給先へ案内するためのオイルガタープレートと、を備えた変速機であって、
前記オイルガタープレートは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のオイルガタープレートであり、
前記オイルガタープレートの前記第2オイル捕捉部に向けてオイルを掻き上げる前記出力軸上の歯車は、前記差動装置の歯車と噛合する前記出力軸上の他の歯車よりも大径の歯車である
ことを特徴とする変速機。
【請求項7】
前記入力軸及び前記出力軸と平行に設置されたアイドル軸と、
前記アイドル軸上に設けたアイドル歯車と、を備え、
前記アイドル歯車は、前記第2オイル捕捉部に向けてオイルを掻き上げる前記出力軸上の歯車と噛合している
ことを特徴とする請求項6に記載の変速機。
【請求項8】
前記変速機を車両に搭載した状態で、前記出力軸が前記入力軸よりも低い位置となるように設定されている
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108595(P2013−108595A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255598(P2011−255598)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】