説明

外周材の塗布方法、ハニカム構造体、外周材の塗布装置

【課題】所定の品質の外周材層を形成できる外周材の塗布方法などを提供すること。
【解決手段】本発明の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程と、所定の内周形状を持つ環状の成形部材にハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する外周材の塗布方法、外周材スラリーが塗布されてなるハニカム構造体およびハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する外周材の塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、ボイラー、化学反応機器、燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体、排ガス中の微粒子(特にディーゼルエンジンからの排気ガス中の微粒子物質(PM))の捕集フィルタ(以下、DPFという)等には、セラミックス製のハニカム構造体が用いられている。
【0003】
セラミックス製のハニカム構造体は、一般に、多孔質体よりなり、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有している。そして、端面が市松模様状を呈するように、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有している。
【0004】
また、セラミックス製のハニカム構造体は、セルを区画するハニカム基材と、ハニカム基材の外周部に形成され外周面を区画する外周材層と、を有する。一般的なハニカム構造体は、ハニカム体を円柱形状などの形状に成形してハニカム基材を形成し、その外周部に外周材層を形成することで製造される。ハニカム基材を所定の形状に成形したときに、周方向にひろがる外周面は成形により表出した隔壁により凹凸状をなしている。そして、凹凸上の外周面に外周材スラリーを塗布、乾燥、焼成して外周材層を形成することで、この凹凸を埋め、なめらかな表面が形成されている。
【0005】
従来のハニカム構造体において、外周材スラリーの塗布は、ヘラを用いて手作業で行われていた。より具体的には、ハニカム基材をろくろ状の装置上に、軸方向が鉛直方向を向いた状態で載置し、その外周面にヘラで外周材スラリーを付着させるとともにハニカム基材を回転させて外周材スラリーを塗り伸ばして塗布していた。このように、従来の外周材スラリーの塗布は、塗りムラの発生や作業効率の低さ、作業員の熟練度などの問題から一定の品質を保つことが困難となっていた。
【0006】
また、手作業により外周材スラリーの塗布を行うことから、外周材スラリーの塗布に長時間を要するといった問題もあった。
【0007】
さらに、従来の外周材スラリーの塗布においては、外周材スラリーをハニカム基材に塗り伸ばした後に、塗り伸ばしに用いたヘラを外周面から径方向外方に変移して取り外したときに、ヘラが当接していた部分に外周材スラリーが突出してなるツノが立つという問題があった。つまり、外周材スラリーが塗布されたハニカム基材の外周形状は、所望の形状から部分的に突出している。この部分的な突出は、外周材スラリーを固化(ハニカム基材を焼成)した後に、成形することで解消される。外周材層は緻密であるためその成形には多大なコストが要求されるという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、所定の品質の外周材層を形成できる外周材スラリーの塗布方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明者らは外周材スラリーの塗布方法について検討を重ねた結果本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程と、所定の内周形状を持つ環状の成形部材にハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のハニカム構造体は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程と、所定の内周形状を持つ環状の成形部材にハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程と、を施してなり、軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の外周材の塗布装置は、周方向の外周面に外周材スラリーが塗布された軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を保持する保持手段と、所定の内周形状を持つ環状の成形部材と、保持部材および/または成形部材を変移させて、保持部材に保持されたハニカム基材を成形部材の軸心部に通過させる駆動手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塗布方法は、外周材スラリーが塗布されたハニカム基材を環状の成形部材の軸心部に通過させており、周方向の外周面をなめらかに形成することができる。さらに、ハニカム基材を成形部材に通過させるため、外周材スラリーのツノが周方向の外周面に形成されなくなっている。
【0014】
本発明のハニカム構造体は、本発明の塗布方法で外周材スラリーが塗布されてなるハニカム構造体であり、軸方向に垂直な断面における外周形状が真円となっている。
【0015】
本発明の塗布装置は、本発明の塗布方法を実現することができる塗布装置であり、周方向の外周面がなめらかなハニカム構造体の製造を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(外周材スラリーの塗布方法)
本発明の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程(塗布工程)と、所定の内周形状を持つ環状の成形部材にハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程(成形工程)と、を有する。
【0017】
塗布工程は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程である。すなわち、塗布工程は、外周面に外周材スラリーが塗布されたハニカム基材を準備する工程である。塗布工程において外周材スラリーが塗布されたハニカム基材を準備することで、その後の成形工程で外周形状を成形することが可能となる。
【0018】
成形工程は、所定の内周形状を持つ環状の成形部材にハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程である。環状の成形部材の軸心部に外周材スラリーが塗布されたハニカム基材を通過させることで、外周材スラリーにより形成されるハニカム基材の外周形状が成形部材の内周形状に対応した形状となる。また、環状の成形部材にハニカム基材を通過させることで、周方向の外周面がなめらかになる。本発明において成形部材は、ハニカム基材に塗布された外周材スラリーの塗り伸ばしの機能ももつ。
【0019】
なお、本発明において成形工程は、成形部材をハニカム基材が通過する形態とすればよく、ハニカム基材を固定した状態で成形部材を軸方向に動かしても、成形部材を固定した状態でハニカム基材を軸方向に動かしても、ハニカム基材と成形部材の両者を軸方向に動かしても、いずれの形態でもよい。
【0020】
本発明の塗布方法は、成形部材にハニカム基材を通過させており、ハニカム基材が成形部材を抜けるときに外周材スラリーのツノが発生するが、ハニカム基材の端面から突出した状態で発生する。つまり、ハニカム基材の外周面にツノが発生しなくなっている。この結果、本発明の塗布方法は、ツノによる外周面の形状変化が抑えられた、成形性に優れた塗布方法となっている。
【0021】
成形部材は、少なくとも軸方向の一部が所定の内周形状をもつ環状に形成されていればその具体的な形状が特に限定されるものではない。たとえば、所定の開口形状をもつ板状部材により形成されていても、筒状部材により形成されていても、筒状部材よりも軸方向の長さが短いリング状の部材により形成されていても、いずれでもよい。
【0022】
成形部材のハニカム基材が挿入される端部に、ハニカム基材をガイドするガイド部を有することが好ましい。ガイド部材を有することで、ハニカム基材を成形部材の軸心部に通過させることを簡単に行うことができる。特に、成形部材の軸心部とハニカム基材の軸心部とを一致させることを簡単に行うことができ、外周材スラリーの塗布厚さをほぼ均一とすることができる。
【0023】
ガイド部は、成形部材と一体に形成されていても、別体で形成されていても、いずれでもよい。ガイド部は成形部材と一体に形成されていることがより好ましい。また、ガイド部の具体的な形態(形状)についても特に限定されるものではない。
【0024】
成形部材は、ハニカム基材が挿入される端部がテーパ状に拡径した筒状を有することが好ましい。ハニカム基材が挿入される端部のテーパ状に拡径した部分がガイド部に相当し、ガイド部以外の筒状の部分(縮径した部分)でハニカム基材の成形を行う。この成形部材の形態は、少なくともハニカム基材が挿入される端部が拡径した形態であればよく、ハニカム基材が抜け出る端部(ハニカム基材が挿入される端部の逆側の端部)は縮径したままの形態(たとえば、漏斗形状)であっても、拡径した形態(鼓状)であっても、いずれでもよい。
【0025】
成形部材は、その内周面に過剰な外周材スラリーを排出する排出口が開口していることが好ましい。排出口を有することで、外周材スラリーを筒状の成形部材の軸心部から排出することができる。これにより、成形部材がハニカム基材の成形を行うことで生じた過剰な外周材スラリーが成形部材の軸心部に留まってハニカム基材の軸方向の移動を規制することを抑えることができる。また、過剰なスラリーが成形部材の内部に貯まると、ハニカム基材と成形部材の内周面との間に多量のスラリーが存在することで、ハニカム基材の軸がずれやすくなり、成形性が低下するおそれもある。
【0026】
筒状の成形部材において、排出口は、内周形状が縮径した部分の直上流部に開口したことが好ましい。縮径した部分においては、過剰な外周材スラリーがハニカム基材から掻き落とされることとなり、この部分に排出口が開口することで、掻き落とされた外周材スラリーを直ちに成形部材の外部に排出できるようになる。この結果、掻き落とされた外周材スラリーが成形部材をハニカム基材が通過することを規制しなくなる。
【0027】
外周材スラリーが塗布されたハニカム基材は、予備成形が施された後に成形部材を通過することが好ましい。予備成形は、特に限定されるものではないが、ハニカム基材の外周を周方向に相対的に変移するヘラ部材で成形する方法をあげることができる。すなわち、外周材スラリーが塗布されたハニカム基材は、ハニカム基材の外周を周方向に相対的に変移するヘラ部材で成形する予備成形が施された後に、成形部材で成形されることが好ましい。予備成形を行うことで、成形工程における成形量(成形時にハニカム基材から除去される量)が少なくなる。この結果、ハニカム基材を成形部材に通過させるときに要する時間などのコストを低減することができる。
【0028】
ヘラ部材を用いての予備成形の成形方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程(回転工程)と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程(スラリー供給工程)と、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程(予備成形工程)と、を有することが好ましい。
【0029】
回転工程は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材をその中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程である。ハニカム基材が水平方向に配された状態で回転することで、成形工程を施しているときに、外周材スラリーが重力で鉛直方向下方に流れて成形後の外周材スラリーが構成する外周形状が軸方向の場所により変化することを抑えることができる。また、中心軸が水平方向にのびた状態は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーの供給を容易に行うことができる。そして、ハニカム基材の中心軸と回転軸とが一致した状態で回転することで、ハニカム基材の外周面が回転中心からほぼ一定の距離に位置することとなり、ハニカム基材の外周面に塗布される外周材スラリーの塗布厚さがほぼ均一な厚さとなる。また、ハニカム基材が水平方向に配された状態で回転することで、ハニカム基材の軸方向において広い範囲を一度にヘラ部材で成形できる。
【0030】
スラリー供給工程は、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程である。スラリー供給工程においては、外周材スラリーがハニカム基材の外周面に供給される。スラリー供給工程において、外周材スラリーをハニカム基材の外周面に供給する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、ハニカム基材を中心軸が水平方向に一致した状態で保持し、鉛直上方から外周面に外周材スラリーを滴下する方法、従来と同様に手作業で外周材スラリーを塗りつける方法、外周材スラリーをスプレー等で吹き付ける方法などをあげることができる。
【0031】
回転工程とスラリー供給工程のいずれの工程を先に施してもよい。つまり、回転工程を施してハニカム基材を回転させた状態でスラリー供給工程を施しても、スラリー供給工程を施してハニカム基材の外周面にスラリーを供給した後に回転工程を施しても、いずれでもよい。好ましくは、回転工程を施してハニカム基材を回転させた状態でスラリー供給工程を施す形態である。
【0032】
予備成形工程は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程である。予備成形工程は、ハニカム基材の外周面に供給されたスラリーをその外周面に塗り伸ばす。そして、ヘラ部材が、回転中心から所定の距離に配置されることから、ハニカム基材の外周面に供給されたスラリーの厚さが過剰に厚い部分に存在する外周材スラリーは、ヘラ部材によりその部分から掻き取られ、外周材スラリーが不足した部分に塗り伸ばされる。この結果、中心軸から外周面までの距離が一定に成形される。そして、なお過剰なスラリーは、ヘラにより掻き落とされる。これにより、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが塗布されてなり、スラリーが塗布されたハニカム基材であって断面における外周形状が真円の塗布体が得られる。
【0033】
ハニカム基材は、外周面を複数箇所で回転中心方向に押圧して中心軸と回転中心とを一致させ、中心軸と回転中心とが一致した状態で両端面のそれぞれを一対の端面保持部材で押圧することで保持された状態で回転することが好ましい。これにより、ハニカム基材の中心軸と回転中心とが一致した状態で、ハニカム基材を回転させることができる。一対の端面保持部材がハニカム基材を保持することで、スラリーを塗布する外周面上に保持部材が配置されなくなり、外周面の全面にスラリーを塗布できるようになる。
【0034】
ヘラ部材は、ハニカム基材との当接部が、ハニカム基材の周方向に交差する方向にのびることが好ましい。すなわち、ヘラ部材のハニカム基材との当接部が少なくともハニカム基材の軸方向に伸びてもうけられた構成となることで、ハニカム基材が回転したときに外周面に供給された外周材スラリーを塗り伸ばすことが可能となる。
【0035】
ヘラ部材は、ハニカム基材との当接部が少なくともハニカム基材の軸方向に伸びた形状であれば、当接部が直線上であっても、らせん状の一部を形成する湾曲形状を形成していてもよい。ヘラ部材は、当接部がハニカム基材の軸方向に平行に形成されたことが好ましい。さらに好ましくは、当接部が直線状をなし、かつ当接部がハニカム基材の軸方向の長さ以上の長さに形成された形態である。このような形態となることで、一度にハニカム基材の外周面の全面の成形を行うことができる。
【0036】
本発明の塗布方法において、ハニカム基材は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状を有しているハニカム基材であれば、従来公知のハニカム基材を用いることができる。たとえば、セラミックスハニカム基材を用いることができる。
【0037】
ハニカム基材を構成するセラミックスは、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、コーディエライト、ムライトより選ばれる一種を主成分とすることが好ましい。これらのセラミックスのうち、とくに、チタン酸アルミニウムを主成分とするセラミックスよりなることが好ましい。チタン酸アルミニウムよりなるセラミックスは、その内部にマイクロクラックをもつ。そして、このマイクロクラックをもつことで、セラミックスハニカム構造体が熱膨張を生じても、このマイクロクラックの開口が開閉することで熱膨張により生じる応力を緩和し、形状変化や損傷が生じなくなる。
【0038】
ハニカム基材は、隣接する二つのセルのうちの一方のセルの一方の端部が封止材で封止され、隣接する二つのセルのうちの他方のセルの他方の端部が封止材で封止されたことが好ましい。このような構成となることで、特にDPFなどのフィルタ触媒に使用することができる。ここで、ハニカム基材は、セルが封止材で封止されたウォールフロー型のフィルタ触媒に用いられるハニカム基材であることが好ましいが、封止材をもたないストレートフロー型の触媒に用いられるハニカム基材であっても問題はない。
【0039】
ハニカム基材は、従来公知のハニカム基材のように、複数部の分体を接合材で接合した構成としてもよい。このような構成は、分体ごとにその特性を変化させることで、ハニカム基材全体に所望の性能を付与できる。ハニカム基材が複数部の分体よりなるときに、それぞれの分体の材質その他の特性は同じであっても異なっていてもいずれでもよい。すなわち、ハニカム基材は、複数のセラミックス分体が接合材層を介して接合されてなることが好ましい。
【0040】
セラミックス分体を接合する接合材についても、従来公知の接合材を用いることができる。この接合材としては、例えば、SiC系接合材を用いることができる。分体を接合材で接合したときにセラミックス分体の間に形成される接合材層は、0.5〜5mmの厚さで形成することが好ましい。
【0041】
さらに、ハニカム基材が複数のセラミックス分体が接着剤層を介して接合されてなるときに、それぞれのセラミックス分体に形成されたセルの大きさ(セル形状)は、同じであっても、異なっていても、いずれでもよい。それぞれのセラミックス分体のセルの大きさ(セル形状)は、同じであることが好ましい。
【0042】
本発明の塗布方法において、ハニカム基材は、略円柱形状を有する。この略円柱形状は、角柱状のハニカム基材を製造し、その後、外周を切削して略円柱状に成形することで形成できる。略円柱状に成形する方法は、従来のようにノコギリなどの切削手段を用いて成形する方法を用いてもよいが、円筒状の切削歯をもつコアドリルなどの切削器具を用いて成形する方法であることが好ましい。コアドリルを用いることで、略円柱状のハニカム基材の外周の真円度が向上する。
【0043】
ハニカム基材の外周面に供給される外周材スラリーは、その材質等が特に限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、SiC、シリカ系化合物、チタン酸アルミニウムなどのアルミナ系化合物などを用いることができる。
【0044】
本発明の塗布方法において、塗布後に形成される外周材スラリーの塗布層の厚さは、特に限定されるものではない。外周材スラリーを塗布後にハニカム基材を乾燥、焼成したときに外周材スラリーの焼成体よりなる外周材層の厚さが、最も薄い部分で0.5mm以上をなすように、外周材スラリーが塗布されることが好ましい。
【0045】
本発明の塗布方法は、車両のエンジンなどの内燃機関の排気系に組み付けられる排ガス浄化用触媒やDPFなどに用いられるハニカム構造体の製造時に用いることができる。
【0046】
本発明の塗布方法は、ハニカム基材が回転した状態で外周面に外周材スラリーを塗り伸ばすことから、外周材スラリーが塗布された状態のハニカム基材の軸方向に垂直な断面の外周形状は、真円形状となる。この塗布体を乾燥、焼成する形成されるハニカム構造体が真円形状の外周形状をもつこととなる。
【0047】
(ハニカム構造体)
本発明のハニカム構造体は、上記した外周材の塗布方法を用いて外周材スラリーをハニカム基材の外周面に塗布してなるハニカム構造体である。
【0048】
そして、本発明のハニカム構造体は、軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上である。外形の短径と長径との比が0.95以上となることで、ハニカム構造体の断面の外周形状が凹凸のない真円となり、DPFなどの車両の排気の浄化に用いられるときに、排気管への挿入が容易となる。より具体的には、ハニカム構造体の外周面に凹凸が存在すると、凸部が排気管の内周面に当接して挿入に過剰な力を要するようになる。また、挿入時に凸部と排気管との摺接により凸部の周辺部の外周材層に損傷を生じるようになり、この外周材層の損傷がハニカム構造体の損傷を生じさせる。また、外周面に凹部が存在すると、排気管の内周面と凹部とに区画された空間を排ガスが通過するようになり、セルを通過しない排ガスが存在することとなり、ハニカム構造体を用いての排ガスの浄化特性が低下することとなる。
【0049】
本発明のハニカム構造体において、短径と長径の比は、より大きい(より1に近い)ことが好ましく、0.97以上がより好ましい。さらに好ましくは、0.99以上である。
【0050】
(外周材の塗布装置)
本発明の外周材の塗布装置は、保持手段、成形部材および駆動手段を有する。本発明の外周材の塗布装置は、上記の外周材の塗布方法を用いてハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する塗布装置である。
【0051】
保持手段は、周方向の外周面に外周材スラリーが塗布された軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を保持する手段である。すなわち、保持手段は、成形部材で成形されるハニカム基材を保持する。
【0052】
成形部材は、所定の内周形状を持つ環状の部材である。環状の成形部材の軸心部に外周材スラリーが付着したハニカム基材を通過させることで、この軸心部の形状に対応した外周形状にハニカム基材の外周形状を成形できる。
【0053】
駆動手段は、保持部材および/または成形部材を変移させて、保持部材に保持されたハニカム構造体を成形部材の軸心部に通過させる手段である。変移手段を駆動することで、ハニカム基材が成形部材の軸心部を通過するようになる。
【0054】
本発明の塗布装置は、駆動手段を駆動して、外周材スラリーが塗布されたハニカム基材を成形部材の軸心部に通過させることで、周方向の外周面を成形する。
【0055】
保持手段は、ハニカム基材のそれぞれの端面に当接する、ハニカム基材の外周形状よりも小さな一対の端面保持部材を有することが好ましい。保持手段が、ハニカム基材の外周形状よりも小さな端面保持部材を有することで、ハニカム基材を成形部材の軸心部を通過させることが可能となる。
【0056】
保持手段は、ハニカム基材を端面保持部材の所定の位置にガイドする保持ガイド部材を有することが好ましい。保持手段が、保持ガイド部材をもつことで、ハニカム基材を端面保持部材の所定の位置に保持することができ、駆動手段を駆動したときにハニカム基材が成形部材の軸心部を通過できるようになる。保持ガイド部材は、ハニカム基材を所定の位置にガイドすることができる構成であれば特に限定されるものではなく、ハニカム基材の断面の外周形状と一致する内周形状をもつ略板状の部材や、ハニカム基材の外周面を回転中心方向に押圧する外周押圧部材、回転中心から所定の間隔に内周面が位置する受け部材と受け部材に向けてハニカム基材を付勢する付勢部材とからなる部材などをあげることができる。
【0057】
成形部材は、ハニカム基材が挿入される端部に、ハニカム基材をガイドする成形ガイド部を有することが好ましい。成形ガイド部を有することで、ハニカム基材を成形部材の軸心部に通過させることを簡単に行うことができる。特に、成形部材の軸心部とハニカム基材の軸心部とを一致させることを簡単に行うことができ、外周材スラリーの塗布厚さをほぼ均一とすることができる。
【0058】
成形ガイド部は、成形部材と一体に形成されていても、別体で形成されていても、いずれでもよい。成形ガイド部は成形部材と一体に形成されていることがより好ましい。また、成形ガイド部の具体的な形態(形状)についても特に限定されるものではない。
【0059】
成形部材は、ハニカム基材が挿入される端部がテーパ状に拡径した筒状を有することが好ましい。ハニカム基材が挿入される端部のテーパ状に拡径した部分がガイド部に相当し、筒状のそれ以外の部分(縮径した部分)でハニカム基材の成形を行う。
【0060】
この成形部材の形態は、少なくともハニカム基材が挿入される端部が拡径した形態であればよく、ハニカム基材が抜け出る端部は縮径したままの形態(たとえば、漏斗形状)であっても、拡径した形態(鼓状)であっても、いずれでもよい。
【0061】
成形部材は、その内周面に過剰な外周材スラリーを排出する排出口が開口していることが好ましい。排出口を有することで、外周材スラリーを筒状の成形部材の軸心部から排出することができる。これにより、成形部材がハニカム基材の成形を行うことで生じた過剰な外周材スラリーが成形部材の軸心部に留まってハニカム基材の軸方向の移動を規制することを抑えることができる。また、過剰なスラリーが成形部材の内部に貯まると、ハニカム基材と成形部材の内周面との間に多量のスラリーが存在することで、ハニカム基材の軸がずれやすくなり、成形性が低下するおそれもある。
【0062】
筒状の成形部材において、排出口は、内周形状が縮径した部分の直上流部に開口したことが好ましい。排出口を有することで、外周材スラリーを筒状の成形部材の軸心部から排出することができる。これにより、成形部材がハニカム基材の成形を行うことで生じた過剰な外周材スラリーが成形部材の軸心部に留まってハニカム基材の軸方向の移動を規制することを抑えることができる。また、過剰なスラリーが成形部材の内部に貯まると、ハニカム基材と成形部材の内周面との間に多量のスラリーが存在することで、ハニカム基材の軸がずれやすくなり、成形性が低下するおそれもある。
【0063】
本発明の塗布装置は、ハニカム基材に外周材スラリーを塗布する塗布装置と一体であっても、別体であっても、いずれでもよい。本発明の塗布装置がハニカム基材に外周材スラリーを塗布する塗布装置と一体であるときには、外周材スラリーの塗布後に直ちに外周形状の成形を行うことができる。つまり、外周材スラリーが塗布された状態のハニカム基材の成形を塗布後に直ちに行うことで、ハニカム基材に塗布された外周材スラリーが流れることによる形状変化を抑えることができる。
【0064】
本発明の塗布装置は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを供給する外周材スラリー供給手段と、ハニカム基材の表面から取り除かれた外周材スラリーを捕集する捕集手段と、捕集手段に捕集された外周材スラリーを、外周材スラリー供給手段に供給する循環手段と、を有することが好ましい。外周材スラリー供給手段を有することで、連続的にハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布(付着)することができる。そして、捕集手段および循環手段を持つことで、外周材スラリーのロスを低減できる。
【0065】
循環手段は、捕集した外周材スラリーの粘度を調整する粘度調整手段を有することが好ましい。粘度調整手段を有することで、捕集したスラリーの性質が安定し、捕集したスラリーの再利用が容易になるだけでなく、塗布されたスラリーの性質が安定する。より具体的には、ハニカム基材から掻き落とされた状態のスラリーはダマが生じやすい。捕集したスラリーの粘度を調節することでこのような問題の発生を抑えることができる。
【0066】
粘度調整手段は、捕集した外周材スラリーの粘度を調整することができる装置であれば、特に限定されるものではなく、たとえば、捕集したスラリーの温度を制御する調温手段、捕集したスラリーに剪断応力を付与する応力付与手段、などを挙げることができる。
【0067】
循環手段は、さらに、外周材スラリーの量が所定量から不足したときに外周材スラリーを追加するスラリー追加手段を有することが好ましい。スラリー追加手段を有することで、連続的な外周材スラリーの塗布を行うことができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0069】
本発明の実施例として、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する塗布装置を製造した。
【0070】
(外周材スラリーの塗布装置)
本実施例の外周材スラリーの塗布装置1は、ハニカム基材2の両端を保持する保持部材3および成形部材4を有する。本実施例の外周材スラリーの塗布装置1の主な構成を図1に示した。
【0071】
保持部材3は、略円柱状のハニカム基材2の端面に当接するとともに当接した端面を押圧する端部保持部材30と、ハニカム基材2の外周面と当接するとともにハニカム基材2を所定の位置にガイドするガイド部材35と、を有する。
【0072】
端部保持部材30,31は、ハニカム基材2の断面の外形と一致する円板状を有する。そして、この円板状の端部保持部材30,31の一方の表面がハニカム基材2の端面と当接する。端部保持部材30は、円板状の他方の表面がハニカム基材2の端面を押圧する押圧力を付与する圧力発生手段と接続され、圧力発生手段により発生した圧力によりハニカム基材2の端面を押圧する。そして、端部保持部材30,31はハニカム基材2の両端のそれぞれの端部を保持できるように一対でもうけられており、ハニカム基材2の両端面から押圧することで、ハニカム基材2が保持される。
【0073】
ガイド部材35は、端部保持部材30,31の外周に等間隔で二つ配置された略棒状(あるいは略帯状)の部材である。略棒状のガイド部材35は、保持部材3に保持された状態のハニカム基材2の軸方向にのびた状態で配置されている。また、ガイド部材35は、保持部材3に保持された状態のハニカム基材2の軸方向に変移可能な状態で配置されている。ガイド部材35は、ハニカム基材2の外周に当接可能な位置とハニカム基材2の外周から脱離した位置との間で変移する。なお、本実施例においては、ガイド部材35はハニカム基材2の軸方向に変移するが、径方向に変移する形態としてもよい。さらに、ガイド部材35は、ハニカム基材2の外周面との当接部が、ハニカム基材の外周面の湾曲形状に沿った湾曲形状をなしていてもよい。
【0074】
成形部材4は、円筒状に形成された部材よりなり、その中心軸がハニカム基材2の中心軸と一致する位置に配された部材である。成形部材4は、円筒状の本体部40と、一方の端部側に形成された拡径したガイド部41と、とを備えた構成を有している。本体部40は、内周面が真円形状をなすように形成されている。ガイド部41は、本体部40の一方の端部側に形成され、徐々に拡径する形状である略漏斗状に形成されている。
【0075】
成形部材4は、本体部40とガイド部41との境界部に、成形部材4の内部に貯まった外周材スラリーを外部に排出するための排出口42が開口している。排出口42から排出された外周材スラリーは、図示されない管路を通って、ハニカム基材2に外周材スラリーを塗布する塗布装置において外周材スラリーを貯留する貯留手段に送られる。
【0076】
(DPF用ハニカム構造体の製造)
実施例の塗布装置1を用いてDPF用ハニカム構造体を製造した。
【0077】
SiCを主成分とするセラミックス分体の原料を秤量し、この原料を十分に混合(混練)した後に、軸方向に多数のセルが形成された柱状のセラミックス分体20の成形体を従来公知の方法で成形した。セラミックス分体20の成形体は、断面が正方形状に区画されたセルをもつ。また、このセラミックス分体20の成形体を図2に示した。
【0078】
つづいて、固形分がほぼSiC粒子よりなるスラリーを調製した。なお、このスラリーは、粘度調整材等の添加剤を含む。そして、このスラリーを、接合体の両端の端部から所定のセルに注入し、乾燥させた。ここで、所定のセルとは、スラリーが注入されたセルが市松模様状をなすようにもうけられている。また、セルの一方の端部と他方の端部のいずれかの端部にスラリーが注入され、スラリーが注入されないセルは存在しなかった。
【0079】
その後、注入されたスラリーを乾燥した後に焼成して、所定のセルが封止材で封止されたセラミックス分体20を製造した。
【0080】
そして、セラミックス分体20同士をSiC系接合材で接合した。接合材による接合は、厚さが1.0±0.5mmとなるように接合材を塗布した後、別のハニカム分体2をすりあわせて接合した。この接合を繰り返して、断面が正方形をなすように16個のセラミックス分体20を接合した。その後、80℃で接合材を乾燥した後に850℃で熱処理して接合材を固化させた。
【0081】
そして、この焼成体をコアドリルを用いて切削し、軸方向にセルがのびる略円柱状のハニカム基材2が製造された。製造されたハニカム基材2を、その構成がわかるように、端面で図3に示した。ハニカム基材2は、複数の多孔質のSiCよりなるセラミックス分体20が接合材層21を介して接合された構成を有している。なお、ハニカム基材2の周方向の外周面は、セルを区画する隔壁による凹凸が形成されている。
【0082】
つづいて、製造されたハニカム基材2の外周面に外周材スラリーを塗布した。外周材スラリーの塗布は、まず、ハニカム基材2の端部を保持部材に保持し、保持部材をモータで回転させる。この回転は、ハニカム基材2の中心軸が回転軸となるようになされた。
【0083】
ハニカム基材2が回転した状態で、その外周面に外周材スラリーを付着し、中心軸から所定の間隔にヘラを配置した。ハニカム基材2の外周面に付着した外周材スラリーは、ヘラに当接した部分の外周材スラリーは塗りのばされ、過剰な外周材スラリーはヘラにより掻き落とされた。
【0084】
これにより、ハニカム基材2の外周面に外周材スラリーを塗布するとともに予備成形がなされた。
【0085】
その後、ハニカム基材2を塗布装置1の保持部材3に保持した。まず、ハニカム基材2の一方の端部を端部保持部材30に保持させる。端部保持部材30によるハニカム基材2の一方の端部の保持は、端部保持部材30の外周に配されたガイド部材35の内部に挿入することでなされた。挿入されたハニカム基材2は、ガイド部材35の作用により、中心軸が端部保持部材30の中心と一致した状態で保持された。
【0086】
そして、端部保持部材30を端部を端部保持部材31方向に変移させる。この変移により、端部保持部材30に保持されたハニカム基材2の他方の端部が端部保持部材31のガイド部材35内に挿入された。そして、さらに、端部保持部材30の変移を続け、ハニカム基材2を一対の端部保持部材30,31で狭持した。そして、端部保持部材30,31のそれぞれのガイド部材35を変移して、図4に示したように、ハニカム基材2の外周面を露出した。
【0087】
その後、ハニカム基材2を、その中心軸が成形部材4の中心軸に沿って成形部材4の軸心の中空部に通過させた。ハニカム基材2の成形部材4への挿入は、ガイド部41側から行った。ハニカム基材2を成形部材4に通過させたことで、ハニカム基材2の外周面がなめらかに成形された。
【0088】
成形後、ハニカム基材2に塗布された外周材スラリーを乾燥させ、その後、ハニカム基材2を保持部材3から取り外した。
【0089】
その後、ハニカム基材2を加熱・焼成し、外周材スラリーを焼成して外周材層とした。これにより、本実施例のDPF用ハニカム構造体9が製造できた。製造されたハニカム構造体9を、その構成がわかるように、端面で図5に示した。
【0090】
これにより、本実施例のハニカム構造体5が製造できた。
【0091】
製造されたハニカム構造体は、複数の多孔質のSiCよりなるセラミックス分体20が接合材層21を介して接合されてなるハニカム基材2と、ハニカム基材2の外周面上に形成された外周材層50と、を備えた構成を有している。ハニカム構造体5は、ハニカム基材2の外周面を区画するセルの内部にも外周材スラリーが充填されており、このセルの内部にも外周材層50が形成された。
【0092】
ハニカム構造体5において、外周材層50は、もっとも薄い部分の厚さが0.5mm以上となるように形成されている。また、ハニカム構造体5は、断面(軸方向に垂直な断面)における外周形状が真円形状をなしていた。具体的には、断面での外周形状の短径と長径の比が0.995(ほぼ1.0)であった。
【0093】
上記したように、本実施例の塗布装置1は、断面がほぼ真円形状のハニカム構造体5を製造することができた。
【0094】
また、本実施例の塗布装置1によるハニカム構造体の製造において、ヘラを用いて外周材スラリーを塗布した直後には、その外周面にヘラによるツノがヘラののびる方向にそってスジ状に形成されていたが、成形部材4で外周形状の成形を行った後には、このスジ状のツノが消失していた。この結果、本実施例の塗布装置1を用いてハニカム構造体を製造すると、外周面のスジ状のツノを取り除く成形処理を行う必要がなくなり、コストを低減できる効果を発揮した。
【0095】
(塗布装置の第一の変形形態)
上記の外周材スラリーの塗布装置1は、成形部材4のガイド部41が、略棒状の部材により形成された形態であってもよい。
【0096】
ガイド部41がこのような形状となると、本体部60を通過させるときに掻き落とされた外周材スラリーが成形部材4から直ちに落下する。つまり、過剰な外周材スラリーにより生じる通過時の抵抗が減少し、ハニカム基材の挿入(通過)をより容易に行うことができる。
【0097】
(塗布装置の第二の変形形態)
上記の外周材スラリーの塗布装置1は、成形部材4が筒状を有しているが、成形部材4が円環状に形成された形態であってもよい。本変形形態においても、第一の変形形態の時と同様な効果を発揮する。
【0098】
(塗布装置のその他の変形形態)
上記した実施例の塗布装置1は、外周材スラリーをハニカム基材に塗布(付着)する塗布装置とは別の装置であったが、両装置が一体をなしていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施例の外周材スラリーの塗布装置の構成を示した図である。
【図2】ハニカム基材のセラミックス分体を示した図である。
【図3】ハニカム基材を示した図である。
【図4】成形部材を通過するために保持部材に保持された状態のハニカム基材を示した図である。
【図5】ハニカム構造体の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0100】
1:塗布装置
2:ハニカム基材
3:保持部材
4:成形部材
5:ハニカム構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程と、
所定の内周形状を持つ環状の成形部材に該ハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程と、
を有することを特徴とする外周材の塗布方法。
【請求項2】
前記成形部材の前記ハニカム基材が挿入される端部に、該ハニカム基材をガイドするガイド部を有する請求項1記載の外周材の塗布方法。
【請求項3】
前記成形部材は、前記ハニカム基材が挿入される端部がテーパ状に拡径した筒状を有する請求項2記載の外周材の塗布方法。
【請求項4】
前記成形部材は、その内周面に過剰な前記外周材スラリーを排出する排出口が開口している請求項1記載の外周材の塗布方法。
【請求項5】
前記外周材スラリーが塗布された前記ハニカム基材は、該ハニカム基材の外周を周方向に相対的に変移するヘラ部材で成形する予備成形が施された後に、前記成形部材で成形される請求項1記載の外周材の塗布方法。
【請求項6】
軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを塗布する工程と、
所定の内周形状を持つ環状の成形部材に該ハニカム基材を通過させて外周形状を成形する工程と、
を施してなり、
軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項7】
周方向の外周面に外周材スラリーが塗布された軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を保持する保持手段と、
所定の内周形状を持つ環状の成形部材と、
該保持部材および/または該成形部材を変移させて、該保持部材に保持された該ハニカム基材を該成形部材の軸心部に通過させる駆動手段と、
を有することを特徴とする外周材の塗布装置。
【請求項8】
前記保持手段は、前記ハニカム基材のそれぞれの端面に当接する、該ハニカム基材の外周形状よりも小さな一対の端面保持部材を有する請求項7記載の外周材の塗布装置。
【請求項9】
前記保持手段は、前記ハニカム基材を該端面保持部材の所定の位置にガイドする保持ガイド部材を有する請求項8記載の外周材の塗布装置。
【請求項10】
前記成形部材は、前記ハニカム基材が挿入される端部に、該ハニカム基材をガイドする成形ガイド部を有する請求項7記載の外周材の塗布装置。
【請求項11】
前記成形部材は、前記ハニカム基材が挿入される端部がテーパ状に拡径した筒状を有する請求項10記載の外周材の塗布装置。
【請求項12】
前記成形部材は、前記ハニカム基材と対向する内周面に、過剰な前記外周材スラリーを排出する排出口が開口している請求項7記載の外周材の塗布装置。
【請求項13】
前記ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを供給する外周材スラリー供給手段と、
該ハニカム基材の表面から取り除かれた該外周材スラリーを捕集する捕集手段と、
該捕集手段に捕集された該外周材スラリーを、該外周材スラリー供給手段に供給する循環手段と、
を有する請求項7記載の外周材の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−119604(P2008−119604A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306537(P2006−306537)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000220767)東京窯業株式会社 (211)
【Fターム(参考)】