説明

外壁材の取付構造及び外壁材の取付方法

【課題】地震等によって柱が傾いても、外壁材は割れたり落下したりせず、また、シーリング切れも発生しない外壁材の取付構造を提供する。
【解決手段】基礎1上に土台2が設けられる。土台2に複数の柱3が立設される。これらの柱3の上部に梁4が架設される。複数の外壁下地材5の上端及び下端にそれぞれ上横桟6及び下横桟7が架設されることによって外壁下地枠8が形成される。外壁下地枠8の上横桟6のみが梁4に固定される。複数の外壁材9が隣接して外壁下地枠8に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物における外壁材の取付構造及び外壁材の取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建築物において、外壁材9(サイディング)は図3に示すようにして取り付けられていた。まず、図3(a)に示すように、基礎1上に土台2を設け、この土台2に複数の柱3を立設させた後、これらの柱3の上部に梁4を架設する。次に、複数の外壁下地材5(縦胴縁)を柱3に固定したり、外壁下地材5の上端及び下端をそれぞれ梁4及び土台2に固定したりする。そして、図3(b)に示すように、複数の外壁材9を上下左右に隣接させると共に、各外壁材9を外壁下地材5に固定具で取り付けるようにしていた。図3(b)中、14は左右に隣接する外壁材9によって形成される目地である。そして、特に耐震性と免震性を向上させるようにした技術も種々提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−176409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような外壁材の取付構造にあっては、図4に示すように、地震等によって柱3が土台2に沿って傾くと、柱3に固定された外壁下地材5や、梁4と土台2の両方に固定された外壁下地材5も、柱3と同様に傾いてしまう。そうすると、外壁下地材5に取り付けた外壁材9に歪みがかかることによって、外壁材9に亀裂が入って割れたり、外壁材9が落下したりする。また、図4(b)に示すように、上下の目地14が左右にずれることによって、いわゆるシーリング切れも発生する。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、地震等によって柱が傾いても、外壁材は割れたり落下したりせず、また、シーリング切れも発生しない外壁材の取付構造及び外壁材の取付方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る外壁材の取付構造は、基礎1上に土台2が設けられ、土台2に複数の柱3が立設され、これらの柱3の上部に梁4が架設されると共に、複数の外壁下地材5の上端及び下端にそれぞれ上横桟6及び下横桟7が架設されることによって外壁下地枠8が形成され、この外壁下地枠8の上横桟6のみが梁4に固定されると共に、複数の外壁材9が隣接して外壁下地枠8に取り付けられて成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に係る外壁材の取付方法は、基礎1上に土台2を設け、土台2に複数の柱3を立設し、これらの柱3の上部に梁4を架設すると共に、複数の外壁下地材5の上端及び下端にそれぞれ上横桟6及び下横桟7を架設することによって外壁下地枠8を形成し、この外壁下地枠8の上横桟6のみを梁4に固定すると共に、複数の外壁材9を隣接させて外壁下地枠8に取り付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係る外壁材の取付構造によれば、地震等によって柱が土台に沿って傾いても、外壁下地枠は変形せず、外壁下地枠に取り付けた外壁材に歪みがかからないことによって、外壁材に亀裂が入って割れたり、外壁材が落下したりするのを防止することができ、また、シーリング切れの発生も防止することができるものである。
【0008】
本発明の請求項2に係る外壁材の取付方法によれば、地震等によって柱が土台に沿って傾いても、外壁下地枠は変形せず、外壁下地枠に取り付けた外壁材に歪みがかからないことによって、外壁材に亀裂が入って割れたり、外壁材が落下したりするのを防止することができ、また、シーリング切れの発生も防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は本発明に係る外壁材の取付構造の一例を示すものである。この例では、まず、コンクリート等で形成される基礎1上にアンカーボルト等を用いて土台2を設ける。次に、箱金物等を用いて、土台2に複数の柱3を離間して立設すると共に、これらの柱3の上部に梁4を架設する。ここで、柱3には間柱も含まれる。
【0011】
一方、複数の外壁下地材5(縦胴縁)を並行に配置し、これらの外壁下地材5の上端及び下端にそれぞれ上横桟6及び下横桟7を架設することによって、外壁下地枠8を形成する。そして、この外壁下地枠8の上横桟6のみを梁4の屋外側にボルト12等で固定する。ここで、外壁下地枠8は柱3及び土台2には固定されていない。なお、図1(a)に示すように、各柱3の屋外側に透湿防水シート13を張設し、この透湿防水シート13を介して外壁下地枠8の上横桟6のみを梁4に固定してもよい。
【0012】
その後、複数の外壁材9を上下左右に隣接させて外壁下地枠8に固定具で取り付けることによって、図1(c)に示すような外壁材の取付構造を形成することができる。なお、固定具としては、図示省略しているが、従来の留め金具及び留め金具用ビスからなるもの等を用いることができる。また、左右に隣接する外壁材9によって形成される目地14は、湿式シール材や乾式シール材を用いて目張りをする。そして、上記のようにして形成される外壁材の取付構造にあっては、図2に示すように、地震等によって柱3が土台2に沿って傾いても、外壁下地枠8は梁4から垂れ下がっているだけで、柱3にも土台2にも固定されていないので、外壁下地枠8自体が変形するようなことはないものである。そのため、このような外壁下地枠8に取り付けた外壁材9にも歪みがかからず、これにより、外壁材9に亀裂が入って割れたり外壁材9が落下したりするのを防止することができるものである。また、上下の目地14が左右にずれることもないので、シーリング切れの発生も防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る外壁材の取付構造の一例を示すものであり、(a)は断面側面図、(b)は外壁材を取り付ける前の正面図、(c)は外壁材を取り付けた後の正面図である。
【図2】同上の地震時における状態を示すものであり、(a)は断面側面図、(b)は外壁材を取り付ける前の正面図、(c)は外壁材を取り付けた後の正面図である。
【図3】従来の外壁材の取付構造の一例を示すものであり、(a)は外壁材を取り付ける前の正面図、(b)は外壁材を取り付けた後の正面図である。
【図4】同上の地震時における状態を示すものであり、(a)は外壁材を取り付ける前の正面図、(b)は外壁材を取り付けた後の正面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 基礎
2 土台
3 柱
4 梁
5 外壁下地材(縦胴縁)
6 上横桟
7 下横桟
8 外壁下地枠
9 外壁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎上に土台が設けられ、土台に複数の柱が立設され、これらの柱の上部に梁が架設されると共に、複数の外壁下地材の上端及び下端にそれぞれ上横桟及び下横桟が架設されることによって外壁下地枠が形成され、この外壁下地枠の上横桟のみが梁に固定されると共に、複数の外壁材が隣接して外壁下地枠に取り付けられて成ることを特徴とする外壁材の取付構造。
【請求項2】
基礎上に土台を設け、土台に複数の柱を立設し、これらの柱の上部に梁を架設すると共に、複数の外壁下地材の上端及び下端にそれぞれ上横桟及び下横桟を架設することによって外壁下地枠を形成し、この外壁下地枠の上横桟のみを梁に固定すると共に、複数の外壁材を隣接させて外壁下地枠に取り付けることを特徴とする外壁材の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−37635(P2006−37635A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222294(P2004−222294)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】