外壁目地の2次防水部材、外壁目地の2重防水構造、及び外壁目地の2重防水構造施工方法。
【課題】 本発明は、作業性良く施工することが可能であり、下地材や外壁パネル取付用金具5との干渉を抑えることができる外壁目地の2次防水部材1を提供する。
【解決手段】 外壁パネル3間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材1であって、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体17と、その両側縁に沿ってそれぞれ形成されたシート体17よりも硬質の一対の補強部材18と、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体17の両側縁の前記補強部材18と固定されることで当該シート体17をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体17より硬質な弾性体より形成される複数の補強部材18と、を備える。
【解決手段】 外壁パネル3間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材1であって、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体17と、その両側縁に沿ってそれぞれ形成されたシート体17よりも硬質の一対の補強部材18と、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体17の両側縁の前記補強部材18と固定されることで当該シート体17をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体17より硬質な弾性体より形成される複数の補強部材18と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル間の縦目地から屋内側に水が侵入することを抑止する外壁目地の2次防水部材、この外壁目地の2次防水部材を用いた外壁目地の2重防水構造、及びこの外壁目地の2重防水構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の互いに隣接する外壁パネル間に形成される目地から建物内部に風雨などが侵入することを防ぎ、且つ、建物の外観を良好に保つために、乾式の外壁目地ガスケットが用いられる。外壁目地ガスケットは、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成され、目地の幅よりもやや幅広の長手形状であって、屋外側から目地に圧入して固定するものである。
【0003】
このような外壁目地ガスケットにおいては、防水性をさらに高めるために、例えば図11(A)に示すように、対向する垂直板を底板部に立設して嵌着溝を形成してなるベース目地材101と、該ベース目地材101の嵌着溝106に嵌入する凸条103を筒形中空状のシール部104に垂設すると共に、シール部104のシール面にシリコン系被覆層を形成し、かつ、シール部104の下端部を目地幅に合わせて肉厚に形成してなるトップ目地材102とからなる外壁目地ガスケット100が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このように構成することで外壁目地ガスケット100は、図11(B)に示すように、シール部104の防水性による一次防水に加えて、ベース目地材101が外壁パネル105の裏面105aに当接密着することによって、二次防水を行うことができ、より防水効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−74130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような外壁目地ガスケット100においては、ベース目地材101の幅が外壁目地の目地幅よりも広くなるので、ベース目地材101を外壁目地から屋内側に挿入することが困難であり、建物の屋内側からベース目地材101を取り付ける作業をする必要がある。したがって、外壁パネル105の屋内側に配置される下地材や外壁パネル取付用金具等が邪魔になって、ベース目地材101を取り付ける作業が困難となる場合も多かった。
【0007】
また、ベース目地材101と外壁の下地材や外壁パネル取付用金具等とが狭い空間を取り合うことになるので、外壁パネル105の屋内側の空間の厚みによってはこのベース目地材101を設置することができない場合もあった。
【0008】
そこで、本発明は、作業性良く施工することが可能であり、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる外壁目地の2次防水部材、この外壁目地の2次防水部材を用いる外壁目地の2重防水構造、及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材は、外壁パネル間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材であって、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の外壁目地の2次防水部材は、前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴としている。
【0011】
なお、ここで「可視光を透過可能」とは、可視光を100パーセント透過することができるものに限られず、シート体の裏側に設置された部材を視認することができる程度に透明または半透明であればよい。
【0012】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造は、外壁パネル間の縦目地よりも幅広に弾性体により形成され、前記縦目地に圧入されて保持される1次防水部材と、前記縦目地の屋内側に形成された前記縦目地の目地幅よりも幅広の2次防水部材と、を備える外壁目地の2重防水構造であって、前記2次防水部材は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設されて、円弧形状に形成されており、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備える外壁パネル間の縦目地よりも幅広の2次防水部材を、前記支持部材の一端側から前記縦目地に挿入し、その後、前記支持部材を前記縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に、前記支持部材の他端を前記縦目地の屋内側に押し込むことで、当該支持部材を屋外側に開口させて、前記縦目地を屋内側から2次防水部材で覆うように配置し、次に、前記縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を、屋外側から前記縦目地の間に圧入することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材によると、防水性を有するシート体の両側縁に沿って形成された補強部材の一方が縦目地を形成する一方の外壁パネルの屋内面、他方が縦目地を形成する他方の外壁パネルの屋内面に夫々近接配置された状態で、当該シート体が縦目地を屋内側から覆うので、確実に縦目地からの水の侵入を防ぐことができる。また、本2次防水部材は、縦目地の屋外側より支持部材の一端側から挿入し、その後支持部材を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に支持部材の他端を縦目地の屋内側に押し込むという簡便な作業にて、支持部材の弾性反発力により、当該支持部材を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うことができる。以上に基づき、本2次防水部材は、作業性良く施工することができる。
【0016】
また、この2次防水部材では、下地材や外壁パネル取付用金具が設置される位置に、柔軟性を有すると共に、弛んだ状態で支持部材に支持されているシート体を設置して、これを柔軟に変形させること、並びに、当該位置に支持部材が配設されないことにより、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる。
【0017】
請求項2に記載の外壁目地の2次防水部材によると、シート体が可視光を透過可能であるので、それらの屋内側に配置されている外壁パネル取付用金具を視認することができる。これにより、2次防水部材よりも後に取り付ける1次防水部材の外れ防止部材の取付け位置が外壁パネル取付用金具と重ならないように調整することができる。
【0018】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造によると、1次防水部材を縦目地に圧入して、更に2次防水部材が縦目地を屋内側から覆うので、さらに確実に縦目地からの水の侵入を防ぐことができる。また、本2重防水構造では、下地材や外壁パネル取付用金具が設置される位置に柔軟性を有すると共に、弛んだ状態で支持部材に支持されているシート体を設置して、これを柔軟に変形させること、並びに、当該位置に支持部材が配設されないことにより、2次防水部材と、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる。
【0019】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造によると、シート体が可視光を透過可能であるので、2次防水部材よりも後に取り付ける1次防水部材の外れ防止部材の取付け位置が外壁パネル取付用金具と重ならないように調整することができる。
【0020】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、2次防水部材を縦目地の屋外側より支持部材の一端側から挿入し、その後、支持部材を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に、支持部材の他端を縦目地の屋内側に押し込むことで、支持部材を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うように配置し、次に、縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を屋外側から縦目地の間に圧入することができる。上記のように、2次防水部材を外壁目地から容易に挿入できるので、極めて作業性良く外壁目地の2重防水構造を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】2重防水構造の全体構成を説明する外壁縦目地の水平断面図。
【図2】1次防水部材の外観構成を説明する一部省略斜視図。
【図3】2次防水部材の外観構成を説明する一部省略斜視図。
【図4】外壁パネル取付用金具を用いて、外壁パネルを軸組に固定する工程を説明する一部省略断面図。
【図5】外装パネルが軸組に固定された状態を示す一部省略断面図。
【図6】2次防水部材の支持部材の一端側を外壁縦目地へ挿入する工程を説明する一部省略断面図。
【図7】2次防水部材の支持部材の他端まで外壁縦目地に挿入する工程を説明する一部省略断面図。
【図8】2次防水部材の支持部材の他端を外壁縦目地に押し込む工程を説明する一部省略断面図。
【図9】2次防水部材が外壁縦目地に収納された状態を説明する一部省略断面図。
【図10】2重防水構造の全体構成を説明する図であり、外壁パネル取付金具が設置されている位置における一部省略断面図。
【図11】従来の縦目地防水に用いられる外壁目地ガスケットの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。外壁目地の2次防水部材1及び外壁目地の2重防水構造2が用いられる外壁は、図1及び図9に示すように、複数の外壁パネル3を建物の構造躯体を構成する軸組4に外壁パネル取付用金具5を用いて固定して形成される。外壁パネル3は、矩形平板状に形成された例えば樹脂系、セメント系、セラミック系、又は金属系のサイディング材である。この外壁パネル3の周縁の屋内側にはこの外壁パネル3を建物の梁や柱に固定するために断面C型の金属枠6が目地方向に開口して取り付けられている。
【0023】
この外壁パネル3を軸組4に固定する外壁パネル取付用金具5は、軸組4に固定され、軸組4から屋外方向に突出する基部7と、基部7を軸として回転可能に固定されており、外壁パネル3の金属枠6を軸組4との間に挟持するパネル固定部8と、このパネル固定部8を回転動作させる操作部9とを備える。外壁パネル3を固定する際には、軸組4に外壁パネル3の金属枠6を押し当てて、外壁パネル取付用金具5の操作部9を操作してパネル固定部8を回転させ、パネル固定部8と軸組4とで外壁パネル3の金属枠6を挟持して固定する。このとき、操作部9は、外壁パネル3間の縦目地の奥に位置するように構成されている。したがって、屋外側から目地内に図外のドライバなどの工具を挿入しつつ操作することにより、外壁パネル3を屋外側から取り付けることができ、また、リフォームなどの際にも外壁パネル3を屋外側から取り外すことができる。
【0024】
外壁目地の2重防水構造2は、このような外壁パネル3間の縦目地に配置されるものであって、外壁パネル3間の縦目地を通過して建物の屋内側に雨水等が侵入することを防止するものである。この外壁目地の2重防水構造2は、図1に示すように、外壁パネル3間の縦目地に圧入される1次防水部材10と、縦目地の屋内側に配置される2次防水部材1とにより構成される。
【0025】
1次防水部材10は、図1及び図2に示すように、縦目地に水密的に圧入される本体11と、この本体11が縦目地から脱落することを防止する複数の外れ防止部材12から成る。本体11は、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成されており、目地幅に対し圧入可能であることを条件に当該目地幅よりも幅広の長手形状に形成されている。この本体11の内部は複数の空間が形成されており、縦目地にこの本体11を圧入したときには、この本体11が弾性変形して縦目地をシールすることができる。また、縦目地に圧入した際に屋内側になる部分には、先端が膨らんだ凸条13が形成されている。外れ防止部材12は、例えばポリ塩化ビニル等の弾性を有する材料により形成されており、本体11の凸条13に一定間隔で固定され、目地幅に屋外側から挿入可能であることを条件に当該縦目地よりも広くひろがって外壁パネル3の屋内側面に引っ掛かる係止部14と、凸条13を嵌め込む嵌着部15と、係止部14及び嵌着部15を連結する連結部16とから構成されている。このような1次防水部材10は、本体11の凸条13に所定間隔で外れ防止部材12を固定した状態で、縦目地に圧入されることにより縦目地に固定される。
【0026】
外壁目地の2次防水部材1は、図1及び図3に示すように、縦目地の屋内側に収納される防水部材である。この外壁目地の2次防水部材1は、長尺の帯状に形成されたフィルム状のシート体17と、該シート体17の両側縁に沿ってそれぞれ形成される一対の補強部材18と、外壁目地の2次防水部材1が縦目地の屋内側に収納されたときに屋内側に膨らむ円弧形状を有し、シート体17の両側縁の補強部材18と固定されることで当該シート体17をその開口方向に弛んだ状態で位置させる複数の支持部材19と、により構成される。
【0027】
前記シート体17は、例えばポリプロピレンのような軟質樹脂により形成されており、透明であり、やわらかく、容易に変形させることができる柔軟性、及び水の透過を防止できる防水性を有すると共に、長さが例えば外壁パネル3の高さとほぼ等しく、幅が支持部材19の開口幅より広く形成されている。前記補強部材18は、例えばアクリル、ポリカーボネイト等の樹脂により形成され、シート体17より硬質であり、長さが例えばシート体17とほぼ等しく、幅が例えば数mm程度である。なお、補強部材18を形成する材料については、防水性の有無を問わない。また、シート体17と補強部材18との接続は、例えば補強部材18をシート体17の側縁より当該シート体17に巻き込んだ状態で接着することにより行ってよい。
【0028】
前記支持部材19は、シート体17より硬質な弾性体、例えばアクリル、ポリカーボネイト等の樹脂又はステンレス等の金属により形成されており、所定間隔毎に配設されている。支持部材19は、図9に示すように、縦目地の屋内側に収納した際に、外壁パネル取付用金具5と同じ高さに配設されないように間隔が調整されている。また、支持部材19は、縦目地の屋内側に収納した際の高さが例えば30mm程度であり、開口幅が縦目地の目地幅より広く、例えば縦目地の目地幅が11mm程度であるときに30mm程度である。また、縦目地の屋内側に収納した際の支持部材19の奥行きは、図1に示すように、その円弧状に膨らんだ部分が軸組4の窪みに嵌り込み、屋外側に開口したときに、支持部材19の補強部材18が取付けられた部分より先端部分である一端20及び他端21が、外壁パネル3の屋内面22に当接する程度であり、例えば18mm程度である。さらに、一端20及び他端21は、外壁目地の2次防水部材1を縦目地の屋内側に挿入する際に外壁パネル3等に当該支持部材19が引っ掛ることを防止するために、丸みを帯びてシート体17側へ折り返されている。
【0029】
以上のように構成される外壁目地の2次防水部材1、及び外壁目地の2重防水構造2を施工する際には、図4に示すように、外壁パネル3を建物の軸組4に固定する。具体的には、軸組4に外壁パネル取付用金具5を取り付け、外壁パネル3の金属枠6の屋内側面を軸組4に当接させる。そして、外壁パネル取付用金具5の操作部9を操作してパネル固定部8を回転させ、このパネル固定部8を金属枠6の屋外側面に当接させ、このパネル固定部8と軸組4とで金属枠6を挟持して固定する。これにより、図5に示すように、2枚の外壁パネル3の縁の間に縦目地が形成される。
【0030】
次に、図6に示すように、外壁パネル取付用金具5の配置されている高さ位置と異なる位置において、外壁目地の2次防水部材1の支持部材19の一端20側から縦目地に挿入する。その後、図7に示すように、支持部材19を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材19の他端21まで挿入する。
【0031】
次に、図7の状態で、支持部材19の他端21を図外のドライバ等の工具で縦目地の屋内側に押し込む。これにより、図8に示すように支持部材19は変形し、その弾性反発力により、図9に示すように円弧状に膨らんだ部分が軸組4の窪みに嵌り込み、屋外側に開口する。このことにより、外壁目地の2次防水部材1は縦目地を屋内側から覆うように配置される。この際、支持部材19の一端20及び他端21は、丸みを帯びてシート体17側に折り返されているので外壁パネル3等に引っ掛らず、よって、外壁目地の2次防水部材1はスムーズに上記位置に配置される。
【0032】
また、この状態にて、図10に示すように、シート体17の両側縁に形成された補強部材18の一方が縦目地に面する外壁パネル3のうち一方の屋内面22の縁、他方が前記外壁パネル3のうち他方の屋内面22の縁に夫々近接して配置され、シート体17が縦目地を屋内側から覆うので、縦目地から侵入した水が屋内側にさらに侵入することを十分に抑制できる。また、シート体17は透明であるので、外壁目地の2次防水部材1を縦目地の屋内側に収納した後においても、屋外側から外壁パネル取付用金具5を視認することができる。
【0033】
そして、次に1次防水部材10の外れ防止部材12の嵌着部15に本体11の凸条13を嵌め込む。このとき、外れ防止部材12の位置が外壁パネル取付用金具5の位置からずれるように配置する。そして、図10に示すように、1次防水部材10を縦目地に圧入して、外れ防止部材12が縦目地の奥まで挿入されるようにする。図10に示すように、外壁パネル取付用金具5が設置されている高さ位置には、外れ防止部材12が配置されておらず、図1に示すように外れ防止部材12が配置されている高さ位置には、外壁パネル取付用金具5が設置されていないので、お互いの部材が干渉しあって1次防水部材10が上手く縦目地に挿入されないといった不具合を防止することができる。
【0034】
以上のように、外壁目地の2次防水部材1は、縦目地の屋外側より支持部材19の一端20側から挿入し、その後支持部材19を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材19の他端21まで挿入し、次に支持部材19の他端21を縦目地の屋内側に押し込むという簡便な作業にて、支持部材19の弾性反発力により、当該支持部材19を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うことができる。従って、外壁目地の2次防水部材1は、作業性良く2次防水を行うことができる。
【0035】
また、外壁目地の2次防水部材1は、建物の下地材や外壁パネル取付用金具5が配置される位置に、柔軟性を有すると共に弛んだ状態で支持部材19に支持されているシート体17を配置して、これを柔軟に変形させ、また、当該位置に支持部材19が配置されないので、建物の下地材や外壁パネル取付用金具5との干渉を確実に抑えることができる。
【0036】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法を用いると、外壁の縦目地をより確実に防水することができる外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 外壁目地の2次防水部材
2 外壁目地の2重防水構造
3 外壁パネル
10 1次防水部材
17 シート体
18 補強部材
19 支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル間の縦目地から屋内側に水が侵入することを抑止する外壁目地の2次防水部材、この外壁目地の2次防水部材を用いた外壁目地の2重防水構造、及びこの外壁目地の2重防水構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の互いに隣接する外壁パネル間に形成される目地から建物内部に風雨などが侵入することを防ぎ、且つ、建物の外観を良好に保つために、乾式の外壁目地ガスケットが用いられる。外壁目地ガスケットは、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成され、目地の幅よりもやや幅広の長手形状であって、屋外側から目地に圧入して固定するものである。
【0003】
このような外壁目地ガスケットにおいては、防水性をさらに高めるために、例えば図11(A)に示すように、対向する垂直板を底板部に立設して嵌着溝を形成してなるベース目地材101と、該ベース目地材101の嵌着溝106に嵌入する凸条103を筒形中空状のシール部104に垂設すると共に、シール部104のシール面にシリコン系被覆層を形成し、かつ、シール部104の下端部を目地幅に合わせて肉厚に形成してなるトップ目地材102とからなる外壁目地ガスケット100が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このように構成することで外壁目地ガスケット100は、図11(B)に示すように、シール部104の防水性による一次防水に加えて、ベース目地材101が外壁パネル105の裏面105aに当接密着することによって、二次防水を行うことができ、より防水効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−74130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような外壁目地ガスケット100においては、ベース目地材101の幅が外壁目地の目地幅よりも広くなるので、ベース目地材101を外壁目地から屋内側に挿入することが困難であり、建物の屋内側からベース目地材101を取り付ける作業をする必要がある。したがって、外壁パネル105の屋内側に配置される下地材や外壁パネル取付用金具等が邪魔になって、ベース目地材101を取り付ける作業が困難となる場合も多かった。
【0007】
また、ベース目地材101と外壁の下地材や外壁パネル取付用金具等とが狭い空間を取り合うことになるので、外壁パネル105の屋内側の空間の厚みによってはこのベース目地材101を設置することができない場合もあった。
【0008】
そこで、本発明は、作業性良く施工することが可能であり、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる外壁目地の2次防水部材、この外壁目地の2次防水部材を用いる外壁目地の2重防水構造、及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材は、外壁パネル間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材であって、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の外壁目地の2次防水部材は、前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴としている。
【0011】
なお、ここで「可視光を透過可能」とは、可視光を100パーセント透過することができるものに限られず、シート体の裏側に設置された部材を視認することができる程度に透明または半透明であればよい。
【0012】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造は、外壁パネル間の縦目地よりも幅広に弾性体により形成され、前記縦目地に圧入されて保持される1次防水部材と、前記縦目地の屋内側に形成された前記縦目地の目地幅よりも幅広の2次防水部材と、を備える外壁目地の2重防水構造であって、前記2次防水部材は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設されて、円弧形状に形成されており、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備える外壁パネル間の縦目地よりも幅広の2次防水部材を、前記支持部材の一端側から前記縦目地に挿入し、その後、前記支持部材を前記縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に、前記支持部材の他端を前記縦目地の屋内側に押し込むことで、当該支持部材を屋外側に開口させて、前記縦目地を屋内側から2次防水部材で覆うように配置し、次に、前記縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を、屋外側から前記縦目地の間に圧入することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材によると、防水性を有するシート体の両側縁に沿って形成された補強部材の一方が縦目地を形成する一方の外壁パネルの屋内面、他方が縦目地を形成する他方の外壁パネルの屋内面に夫々近接配置された状態で、当該シート体が縦目地を屋内側から覆うので、確実に縦目地からの水の侵入を防ぐことができる。また、本2次防水部材は、縦目地の屋外側より支持部材の一端側から挿入し、その後支持部材を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に支持部材の他端を縦目地の屋内側に押し込むという簡便な作業にて、支持部材の弾性反発力により、当該支持部材を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うことができる。以上に基づき、本2次防水部材は、作業性良く施工することができる。
【0016】
また、この2次防水部材では、下地材や外壁パネル取付用金具が設置される位置に、柔軟性を有すると共に、弛んだ状態で支持部材に支持されているシート体を設置して、これを柔軟に変形させること、並びに、当該位置に支持部材が配設されないことにより、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる。
【0017】
請求項2に記載の外壁目地の2次防水部材によると、シート体が可視光を透過可能であるので、それらの屋内側に配置されている外壁パネル取付用金具を視認することができる。これにより、2次防水部材よりも後に取り付ける1次防水部材の外れ防止部材の取付け位置が外壁パネル取付用金具と重ならないように調整することができる。
【0018】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造によると、1次防水部材を縦目地に圧入して、更に2次防水部材が縦目地を屋内側から覆うので、さらに確実に縦目地からの水の侵入を防ぐことができる。また、本2重防水構造では、下地材や外壁パネル取付用金具が設置される位置に柔軟性を有すると共に、弛んだ状態で支持部材に支持されているシート体を設置して、これを柔軟に変形させること、並びに、当該位置に支持部材が配設されないことにより、2次防水部材と、下地材や外壁パネル取付用金具との干渉を抑えることができる。
【0019】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造によると、シート体が可視光を透過可能であるので、2次防水部材よりも後に取り付ける1次防水部材の外れ防止部材の取付け位置が外壁パネル取付用金具と重ならないように調整することができる。
【0020】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、2次防水部材を縦目地の屋外側より支持部材の一端側から挿入し、その後、支持部材を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、次に、支持部材の他端を縦目地の屋内側に押し込むことで、支持部材を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うように配置し、次に、縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を屋外側から縦目地の間に圧入することができる。上記のように、2次防水部材を外壁目地から容易に挿入できるので、極めて作業性良く外壁目地の2重防水構造を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】2重防水構造の全体構成を説明する外壁縦目地の水平断面図。
【図2】1次防水部材の外観構成を説明する一部省略斜視図。
【図3】2次防水部材の外観構成を説明する一部省略斜視図。
【図4】外壁パネル取付用金具を用いて、外壁パネルを軸組に固定する工程を説明する一部省略断面図。
【図5】外装パネルが軸組に固定された状態を示す一部省略断面図。
【図6】2次防水部材の支持部材の一端側を外壁縦目地へ挿入する工程を説明する一部省略断面図。
【図7】2次防水部材の支持部材の他端まで外壁縦目地に挿入する工程を説明する一部省略断面図。
【図8】2次防水部材の支持部材の他端を外壁縦目地に押し込む工程を説明する一部省略断面図。
【図9】2次防水部材が外壁縦目地に収納された状態を説明する一部省略断面図。
【図10】2重防水構造の全体構成を説明する図であり、外壁パネル取付金具が設置されている位置における一部省略断面図。
【図11】従来の縦目地防水に用いられる外壁目地ガスケットの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。外壁目地の2次防水部材1及び外壁目地の2重防水構造2が用いられる外壁は、図1及び図9に示すように、複数の外壁パネル3を建物の構造躯体を構成する軸組4に外壁パネル取付用金具5を用いて固定して形成される。外壁パネル3は、矩形平板状に形成された例えば樹脂系、セメント系、セラミック系、又は金属系のサイディング材である。この外壁パネル3の周縁の屋内側にはこの外壁パネル3を建物の梁や柱に固定するために断面C型の金属枠6が目地方向に開口して取り付けられている。
【0023】
この外壁パネル3を軸組4に固定する外壁パネル取付用金具5は、軸組4に固定され、軸組4から屋外方向に突出する基部7と、基部7を軸として回転可能に固定されており、外壁パネル3の金属枠6を軸組4との間に挟持するパネル固定部8と、このパネル固定部8を回転動作させる操作部9とを備える。外壁パネル3を固定する際には、軸組4に外壁パネル3の金属枠6を押し当てて、外壁パネル取付用金具5の操作部9を操作してパネル固定部8を回転させ、パネル固定部8と軸組4とで外壁パネル3の金属枠6を挟持して固定する。このとき、操作部9は、外壁パネル3間の縦目地の奥に位置するように構成されている。したがって、屋外側から目地内に図外のドライバなどの工具を挿入しつつ操作することにより、外壁パネル3を屋外側から取り付けることができ、また、リフォームなどの際にも外壁パネル3を屋外側から取り外すことができる。
【0024】
外壁目地の2重防水構造2は、このような外壁パネル3間の縦目地に配置されるものであって、外壁パネル3間の縦目地を通過して建物の屋内側に雨水等が侵入することを防止するものである。この外壁目地の2重防水構造2は、図1に示すように、外壁パネル3間の縦目地に圧入される1次防水部材10と、縦目地の屋内側に配置される2次防水部材1とにより構成される。
【0025】
1次防水部材10は、図1及び図2に示すように、縦目地に水密的に圧入される本体11と、この本体11が縦目地から脱落することを防止する複数の外れ防止部材12から成る。本体11は、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成されており、目地幅に対し圧入可能であることを条件に当該目地幅よりも幅広の長手形状に形成されている。この本体11の内部は複数の空間が形成されており、縦目地にこの本体11を圧入したときには、この本体11が弾性変形して縦目地をシールすることができる。また、縦目地に圧入した際に屋内側になる部分には、先端が膨らんだ凸条13が形成されている。外れ防止部材12は、例えばポリ塩化ビニル等の弾性を有する材料により形成されており、本体11の凸条13に一定間隔で固定され、目地幅に屋外側から挿入可能であることを条件に当該縦目地よりも広くひろがって外壁パネル3の屋内側面に引っ掛かる係止部14と、凸条13を嵌め込む嵌着部15と、係止部14及び嵌着部15を連結する連結部16とから構成されている。このような1次防水部材10は、本体11の凸条13に所定間隔で外れ防止部材12を固定した状態で、縦目地に圧入されることにより縦目地に固定される。
【0026】
外壁目地の2次防水部材1は、図1及び図3に示すように、縦目地の屋内側に収納される防水部材である。この外壁目地の2次防水部材1は、長尺の帯状に形成されたフィルム状のシート体17と、該シート体17の両側縁に沿ってそれぞれ形成される一対の補強部材18と、外壁目地の2次防水部材1が縦目地の屋内側に収納されたときに屋内側に膨らむ円弧形状を有し、シート体17の両側縁の補強部材18と固定されることで当該シート体17をその開口方向に弛んだ状態で位置させる複数の支持部材19と、により構成される。
【0027】
前記シート体17は、例えばポリプロピレンのような軟質樹脂により形成されており、透明であり、やわらかく、容易に変形させることができる柔軟性、及び水の透過を防止できる防水性を有すると共に、長さが例えば外壁パネル3の高さとほぼ等しく、幅が支持部材19の開口幅より広く形成されている。前記補強部材18は、例えばアクリル、ポリカーボネイト等の樹脂により形成され、シート体17より硬質であり、長さが例えばシート体17とほぼ等しく、幅が例えば数mm程度である。なお、補強部材18を形成する材料については、防水性の有無を問わない。また、シート体17と補強部材18との接続は、例えば補強部材18をシート体17の側縁より当該シート体17に巻き込んだ状態で接着することにより行ってよい。
【0028】
前記支持部材19は、シート体17より硬質な弾性体、例えばアクリル、ポリカーボネイト等の樹脂又はステンレス等の金属により形成されており、所定間隔毎に配設されている。支持部材19は、図9に示すように、縦目地の屋内側に収納した際に、外壁パネル取付用金具5と同じ高さに配設されないように間隔が調整されている。また、支持部材19は、縦目地の屋内側に収納した際の高さが例えば30mm程度であり、開口幅が縦目地の目地幅より広く、例えば縦目地の目地幅が11mm程度であるときに30mm程度である。また、縦目地の屋内側に収納した際の支持部材19の奥行きは、図1に示すように、その円弧状に膨らんだ部分が軸組4の窪みに嵌り込み、屋外側に開口したときに、支持部材19の補強部材18が取付けられた部分より先端部分である一端20及び他端21が、外壁パネル3の屋内面22に当接する程度であり、例えば18mm程度である。さらに、一端20及び他端21は、外壁目地の2次防水部材1を縦目地の屋内側に挿入する際に外壁パネル3等に当該支持部材19が引っ掛ることを防止するために、丸みを帯びてシート体17側へ折り返されている。
【0029】
以上のように構成される外壁目地の2次防水部材1、及び外壁目地の2重防水構造2を施工する際には、図4に示すように、外壁パネル3を建物の軸組4に固定する。具体的には、軸組4に外壁パネル取付用金具5を取り付け、外壁パネル3の金属枠6の屋内側面を軸組4に当接させる。そして、外壁パネル取付用金具5の操作部9を操作してパネル固定部8を回転させ、このパネル固定部8を金属枠6の屋外側面に当接させ、このパネル固定部8と軸組4とで金属枠6を挟持して固定する。これにより、図5に示すように、2枚の外壁パネル3の縁の間に縦目地が形成される。
【0030】
次に、図6に示すように、外壁パネル取付用金具5の配置されている高さ位置と異なる位置において、外壁目地の2次防水部材1の支持部材19の一端20側から縦目地に挿入する。その後、図7に示すように、支持部材19を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材19の他端21まで挿入する。
【0031】
次に、図7の状態で、支持部材19の他端21を図外のドライバ等の工具で縦目地の屋内側に押し込む。これにより、図8に示すように支持部材19は変形し、その弾性反発力により、図9に示すように円弧状に膨らんだ部分が軸組4の窪みに嵌り込み、屋外側に開口する。このことにより、外壁目地の2次防水部材1は縦目地を屋内側から覆うように配置される。この際、支持部材19の一端20及び他端21は、丸みを帯びてシート体17側に折り返されているので外壁パネル3等に引っ掛らず、よって、外壁目地の2次防水部材1はスムーズに上記位置に配置される。
【0032】
また、この状態にて、図10に示すように、シート体17の両側縁に形成された補強部材18の一方が縦目地に面する外壁パネル3のうち一方の屋内面22の縁、他方が前記外壁パネル3のうち他方の屋内面22の縁に夫々近接して配置され、シート体17が縦目地を屋内側から覆うので、縦目地から侵入した水が屋内側にさらに侵入することを十分に抑制できる。また、シート体17は透明であるので、外壁目地の2次防水部材1を縦目地の屋内側に収納した後においても、屋外側から外壁パネル取付用金具5を視認することができる。
【0033】
そして、次に1次防水部材10の外れ防止部材12の嵌着部15に本体11の凸条13を嵌め込む。このとき、外れ防止部材12の位置が外壁パネル取付用金具5の位置からずれるように配置する。そして、図10に示すように、1次防水部材10を縦目地に圧入して、外れ防止部材12が縦目地の奥まで挿入されるようにする。図10に示すように、外壁パネル取付用金具5が設置されている高さ位置には、外れ防止部材12が配置されておらず、図1に示すように外れ防止部材12が配置されている高さ位置には、外壁パネル取付用金具5が設置されていないので、お互いの部材が干渉しあって1次防水部材10が上手く縦目地に挿入されないといった不具合を防止することができる。
【0034】
以上のように、外壁目地の2次防水部材1は、縦目地の屋外側より支持部材19の一端20側から挿入し、その後支持部材19を縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材19の他端21まで挿入し、次に支持部材19の他端21を縦目地の屋内側に押し込むという簡便な作業にて、支持部材19の弾性反発力により、当該支持部材19を屋外側に開口させて縦目地を屋内側から覆うことができる。従って、外壁目地の2次防水部材1は、作業性良く2次防水を行うことができる。
【0035】
また、外壁目地の2次防水部材1は、建物の下地材や外壁パネル取付用金具5が配置される位置に、柔軟性を有すると共に弛んだ状態で支持部材19に支持されているシート体17を配置して、これを柔軟に変形させ、また、当該位置に支持部材19が配置されないので、建物の下地材や外壁パネル取付用金具5との干渉を確実に抑えることができる。
【0036】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法を用いると、外壁の縦目地をより確実に防水することができる外壁目地の2次防水部材1、外壁目地の2重防水構造2、及び外壁目地の2重防水構造施工方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 外壁目地の2次防水部材
2 外壁目地の2重防水構造
3 外壁パネル
10 1次防水部材
17 シート体
18 補強部材
19 支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネル間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材であって、
柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、
該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、
所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備えることを特徴とする外壁目地の2次防水部材。
【請求項2】
前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴とする請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材。
【請求項3】
外壁パネル間の縦目地よりも幅広に弾性体により形成され、前記縦目地に圧入されて保持される1次防水部材と、
前記縦目地の屋内側に形成された前記縦目地の目地幅よりも幅広の2次防水部材と、を備える外壁目地の2重防水構造であって、
前記2次防水部材は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、
該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、
所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を具備することを特徴とする外壁目地の2重防水構造。
【請求項4】
前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴とする請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項5】
柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設されて、円弧形状に形成されており、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備える外壁パネル間の縦目地よりも幅広の2次防水部材を、前記支持部材の一端側から前記縦目地に挿入し、
その後、前記支持部材を前記縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、
次に、前記支持部材の他端を前記縦目地の屋内側に押し込むことで、当該支持部材を屋外側に開口させて、前記縦目地を屋内側から2次防水部材で覆うように配置し、
次に、前記縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を、屋外側から前記縦目地の間に圧入することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【請求項1】
外壁パネル間の縦目地の屋内側に収納されて、該縦目地から屋内側に水が浸入することを抑止する外壁目地の2次防水部材であって、
柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、
該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、
所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備えることを特徴とする外壁目地の2次防水部材。
【請求項2】
前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴とする請求項1に記載の外壁目地の2次防水部材。
【請求項3】
外壁パネル間の縦目地よりも幅広に弾性体により形成され、前記縦目地に圧入されて保持される1次防水部材と、
前記縦目地の屋内側に形成された前記縦目地の目地幅よりも幅広の2次防水部材と、を備える外壁目地の2重防水構造であって、
前記2次防水部材は、柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、
該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、
所定間隔毎に配設され、前記縦目地の屋内側に収納されたときに当該縦目地の目地幅より幅広に開口した屋内側に膨らむ円弧形状を有し、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を具備することを特徴とする外壁目地の2重防水構造。
【請求項4】
前記シート体は少なくとも可視光を透過可能であることを特徴とする請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項5】
柔軟性を有し、長尺の帯状に形成された防水性を有するシート体と、該シート体の両側縁に沿ってそれぞれ形成された前記シート体よりも硬質の一対の補強部材と、所定間隔毎に配設されて、円弧形状に形成されており、前記シート体の両側縁の前記補強部材と固定されることで当該シート体をその開口方向に弛んだ状態で位置させる前記シート体より硬質な弾性体より形成される複数の支持部材と、を備える外壁パネル間の縦目地よりも幅広の2次防水部材を、前記支持部材の一端側から前記縦目地に挿入し、
その後、前記支持部材を前記縦目地への挿入方向に回転させて当該支持部材の他端まで挿入し、
次に、前記支持部材の他端を前記縦目地の屋内側に押し込むことで、当該支持部材を屋外側に開口させて、前記縦目地を屋内側から2次防水部材で覆うように配置し、
次に、前記縦目地よりも幅広に形成された弾性体からなる1次防水部材を、屋外側から前記縦目地の間に圧入することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−174322(P2011−174322A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40316(P2010−40316)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
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