説明

外来蛋白質の生成を阻害するための非吸収性物品及び吸収性物品

【課題】非吸収性又は吸収性物品に関連する女性の膣及びその周囲の外来蛋白質生成の阻害に関する技術を提供する。
【解決手段】グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための非吸収性及び吸収性物品。非吸収性及び吸収性物品は、一般式(I)を有する有効な量の前駆体化合物を含み、式中、R1は、式(II)及び式(III)から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非吸収性物品又は吸収性物品との組み合わせで女性の膣及びその周囲における外来蛋白質生成を阻害することに関する。より詳細には、本発明は、使用時に前駆体化合物が膣及びその周囲の酵素活動によって加水分解されて細菌からの外来蛋白質の生成を低減する活性種を生成することができるような前駆体化合物を非吸収性物品又は吸収性物品の中又は上に組み込むことに関する。
【背景技術】
【0002】
膣浸出物の吸収のために、膣タンポンのような使い捨て吸収性物品が広く使用されている。これらの使い捨て物品は、一般的に、典型的には意図する消費者用途によって決まる望ましい形状に形成された吸収剤の圧縮された塊を有する。膣タンポンの分野では、この装置は、一般的に女性の月経期間中に排出される体液の吸収のために膣内に挿入するように意図されている。
【0003】
女性の体内では、膣及び生理学的関連区域を健康状態に維持する複雑な過程が存在する。初経から閉経の間の年齢の女性においては、正常な膣は、様々な微生物のための生態系を提供する。細菌は、膣に存在する微生物の主な種類であり、殆どの女性は、膣流体のグラム当たり約109の細菌を宿している。膣の細菌叢は、好気性及び嫌気性細菌の両方から成る。より一般的に分離される細菌は、乳酸菌種、コリネバクテリア種、膣ガルドネラ、ブドウ球菌種、レプトコッカス種、好気性及び嫌気性ストレプトコッカス種、及びバクテロイデス種である。時々膣から分離される他の微生物は、酵母(カンジダアルビカンス)、プロトゾア(膣トリコモナス)、マイコプラズマ(マイコプラズマホミニス)、クラミジア(クラミジアトラコマチス)、及びウイルス(単純ヘルペス)を含む。これら後者の生物は、一般的に膣炎又は性病に関連するが、症状を引き起こすことなく少数で存在する場合がある。
【0004】
生理学的、社会的、及び特異体質因子は、膣に存在する細菌の量及び種に影響を与える。生理学的因子は、年齢、月経周期の日、及び妊娠を含む。例えば、月経周期を通して膣に存在する微生物は、乳酸菌、コリネバクテリア、ウレアプラズマ、及びマイコプラズマを含む可能性がある。微生物の数及び微生物の種類は、個体に独特である。社会的及び特異体質因子は、避妊の方法、性行為、全身性疾患(例えば、糖尿病)、及び投薬を含む。
【0005】
膣に生成される細菌蛋白質及び代謝産物は、他の微生物及びヒト宿主に影響を与える可能性がある。例えば、月経期間と月経期間の間の膣は、約3.8から約4.5までの範囲のpHを有する弱酸性である。このpH範囲は、一般的に正常細菌叢の維持に対して最も好ましい条件と考えられる。そのpHにおいて、膣は、通常は、均衡の取れた生態系で微生物の多数の種を宿している。これらの微生物は、感染症に対して防御及び抵抗をもたらす有益な役割を果たし、黄色ブドウ球菌(S.aureus)のような一部の細菌の種に対して膣を住み難いものにする。低いpHは、乳酸菌の成長及びそれらの酸性産物の生成の結果である。膣の微生物はまた、他の細菌種に対して過酸化水素及び殺菌剤のような抗菌性化合物を生成することができる。一例は、ラクトシン、すなわち、乳酸菌の他の種に対する乳酸菌のバクテリオシン状生成物である。
【0006】
膣に生成される一部の微生物生産物は、ヒト宿主に悪影響を与える場合がある。例えば、黄色ブドウ球菌は、エンテロトキシン、「毒素性ショック症候群毒素−1(TSST−1)」、並びにエステラーゼ及びアミダーゼのような酵素を含む様々な外来蛋白質を生成してその環境内に排泄することができる。宿主の血流中に吸収されると、TSST−1は、非免疫性のヒトにおいて「毒素性ショック症候群(TSS)」の進行をもたらす場合がある。
【0007】
黄色ブドウ球菌は、月経年齢の健康女性のほぼ16%の膣に見られる。黄色ブドウ球菌の全ての株が、TSST−1を生成することができるとは限らない。これらの女性のほぼ25%が、黄色ブドウ球菌を生成するTSST−1を宿すことになる。TSST−1とブドウ球菌エンテロトキシンの一部とは、ヒトでTSSを起こすものとして特定されている。
【0008】
TSSの症状は、一般的に、発熱、下痢、嘔吐、及び発疹、及びそれに続く急速な血圧の低下を含む。多臓器障害は、この疾患が進行するヒトのほぼ6%に起こる。黄色ブドウ球菌は、この微生物の膣腔内への侵入の結果としてはTSSを開始しない。黄色ブドウ球菌が成長して増殖すると、これは、TSST−1を生成することができる。TSST−1は、血液中に入った後にのみ全身に作用し、TSSに起因する症状を出現させる。
【0009】
月経液は、約7.3のpHを有する。月経中に、膣のpHは、中性に近づいて弱アルカリ性になる可能性がある。この変化により、成長が酸性環境によって阻害される微生物を増殖可能にする。例えば、黄色ブドウ球菌は、月経期間と月経期間の間に集めた標本からよりも月経中の膣の標本から分離されることがより多い。
【0010】
黄色ブドウ球菌が、膣のような通常の微生物個体群を宿している人体の区域に存在する時には、健康な生態系に必要な正常微生物叢のメンバを阻害することなく黄色ブドウ球菌を撲滅するのは困難な場合がある。一般的に、黄色ブドウ球菌を殺す抗生物質は、それらの正常な膣の微生物叢に対する影響により、膣に挿入される製品に用いるための任意選択肢ではない。毒素を生成する細菌の機能を阻止するか又は実質的に低減するために、完全な撲滅に対する代替案が技術的に設計される。
【0011】
1つ又はそれよりも多くの生物静力学的、殺菌的、及び/又は解毒化合物を膣製品内に組み込むことにより、病原微生物及び月経で起こるTSSを低減又は除去する多くの試みが為されてきた。例えば、L−アスコルビン酸は、膣に見られる毒素を解毒するために月経タンポンに付加されている。他のものは、殺菌化合物としてグリセロールモノラウレートのような多価脂肪族アルコールのモノエステル及びジエステルを組み込んでいる(例えば、米国特許第5,679,369号を参照)。更に他のものは、解毒化合物としてアルキルエーテル、アルキルアミン、及びアルキルアミドのような他の非イオン性界面活性剤を導入している(例えば、米国特許第5,685,872号、第5,618,554号、及び第5,612,045号を参照)。
【0012】
上述の従来の試みの一部に関連する1つの大きな問題は、用いる化合物が、非吸収性又は吸収性物品内への組み込み中及び更に別の製造工程中に高度に揮発性である場合があることである。より詳細には、一部の芳香族化合物、テルペン、及びイソプレノイドのような化合物は、高温製造段階中に非吸収性又は吸収性製品から完全に揮発することが見出されている。また、一部の化合物は、消費者による使用前の保管中の揮発性問題を有することがある。
【0013】
従って、膣区域に見られる自然な細菌叢に対して実質的に害を及ぼすことなくグラム陽性細菌からのTSST−1のような外来蛋白質の生成を実質的に阻害することになる阻害化合物を含む非吸収性又は吸収性製品のようなパーソナルケア製品に対する必要性が依然として存在する。更に、これらの阻害化合物は、有効性に対して逆効果を有する可能性があって膣に存在する場合もあるリパーゼ、エステラーゼ、及びアミダーゼのような酵素の存在下でさえも活性を維持する必要がある。これらの化合物は、有効な阻害剤を消費者に届けるために製造、保管、及び輸送を通して低揮発性を有し、かつ製品に残存することが望ましい。
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,679,369号
【特許文献2】米国特許第5,685,872号
【特許文献3】米国特許第5,618,554号
【特許文献4】米国特許第5,612,045号
【特許文献5】米国特許第6,679,831号
【特許文献6】米国特許第4,711,235号
【発明の開示】
【0015】
本発明は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害する非吸収性製品及び吸収性物品に関する。より詳細には、本発明は、1つ又はそれよりも多くの芳香族化合物をエステル又はアミド結合を通じて1つ又はそれよりも多くの2次化合物に結合することによって形成される1つ又はそれよりも多くの前駆体化合物を組み込んだタンポンアプリケータのような膣タンポン又は非吸収性基体に関する。膣内に導入された状態で、これらの前駆体化合物は、自然膣細菌叢によって生成される酵素によって加水分解され、膣に存在する細菌叢に実質的に影響を与えることなくグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる活性種をもたらすことができる。一部の実施形態では、前駆体化合物自体もグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる。
【0016】
従って、本発明は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための外来蛋白質抑制具に関する。外来蛋白質抑制具は、膣内への挿入に適切で以下の一般式を有する前駆体化合物の有効な量を堆積させた非吸収性基体を含む。
【化1】

式中R1は、
【化2】

及び
【化3】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択され、前駆体化合物は、加水分解すると、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる。
【0017】
本発明は、更に、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するためのタンポンアプリケータに関する。タンポンアプリケータは、膣内への挿入に適切な非吸収性材料を含み、以下の一般式を有する前駆体化合物の有効な量をそこに堆積させている。
【化4】

式中R1は、
【化5】

及び
【化6】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択され、前駆体化合物は、加水分解すると、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる。
【0018】
本発明は、更に、女性の膣及びその周囲に位置するグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための潅水製剤に関する。潅水製剤は、薬学的に満足できる担体及び以下の一般式を有する前駆体化合物の有効な量を備えた膣洗浄製剤を含む。
【化7】

【化8】

及び
【化9】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択され、前駆体化合物は、加水分解するとグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができ、膣洗浄製剤は、女性の膣に使用するのに適するものである。
【0019】
本発明はまた、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための吸収性物品に関する。吸収性物品は、膣内への挿入に適切であり、吸収性構造体及び以下の一般式を有する前駆体化合物の有効な量を含む。
【化10】

式中R1は、
【化11】

及び
【化12】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択され、前駆体化合物は、加水分解するとグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる。
【0020】
本発明は、更に、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための膣タンポンに関する。膣タンポンは、吸収性タンポン材料及び以下の一般式を有する前駆体化合物の有効な量を含む。
【化13】

式中R1は、
【化14】

及び
【化15】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択され、前駆体化合物は、加水分解するとグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、一部は明白であり、一部は以下で指摘するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、一般的には、加水分解するとグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる活性種を生成する前駆体化合物を含む非吸収性又は吸収性物品に関する。詳細には、本発明は、エステル又はアミド結合によって芳香族化合物を2次化合物に結合することによって形成され、かつ膣の内側にある状態で酵素作用によって容易に加水分解されて活性種及び2次化合物を生成することができる前駆体化合物を含む非吸収性製品又は吸収性物品に関する。活性種は、グラム陽性細菌からのTSST−1のような外来蛋白質の生成を実質的に阻害することが見出されている。一般的に、前駆体化合物自体もグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる。更に、前駆体化合物は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を実質的に阻害するために、例えば、ミリスチン酸ミレス−3、グリセロールモノラウレート、及び/又はラウレス−4のような表面活性剤と組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明は、タンポンアプリケータに関連して本明細書で以下に詳細に説明するが、非吸収性失禁装置、バリア避妊装置、非吸収性避妊装置、及び膣洗浄器具のような他の非吸収性物品、装置、及び/又は製品に適用可能であることが当業者によって認識されるであろう。
【0024】
本明細書で用いられる場合、語句「非吸収性物品」は、一般的に、月経及び血液産物などのような流体を反発する実質的に疎水性の材料から形成された外側層を含む基体又は装置を意味する。本発明の非吸収性物品を構成するのに適切な材料は、例えば、ゴム、プラスチック、及び厚紙を含む。
【0025】
一般的に、タンポンアプリケータは、好ましくは中空チューブの形態の外側チューブを含む。チューブは、紙、板紙、厚紙、プラスチック、熱可塑性フィルム、水性コーティング、又はこれらの組合せから形成される。紙、板紙、又は厚紙が用いられる場合、それに耐水性を与えるために、それは、ワックス又は水不溶性ポリマーで被覆することができる。適切なプラスチック材料は、低密度ポリエチレン及び低密度ポリプロピレンのようなポリオレフィンを含む。外側チューブは、通常の膣圧下での崩壊を防止するために十分な強度及び剛性を有するべきである。外側チューブはまた、縦方向のシームを有する円筒形状に形成することができ、又は螺旋状又は回旋状に巻くことができる。外側チューブは、約10mmから約20mmまでの比較的小さな直径を有する。
【0026】
外側チューブは、第1及び第2の離間した端部を有する。外側チューブは、等しいか又は異なる板重量で構成することができる少なくとも2つの個別の層から形成される。層は、例えば板紙及びフィルムのような異なる材料から作ることができ、又は例えば異なる板重量の異なる特性を有する類似の材料から作ることができる。一実施形態では、外部層は、約0.06mmの薄い被覆板紙又は約0.01mmの厚みを有するフィルム材料から形成することができるが、1つ又はそれよりも多くの内側層は、より重い板重量を有する非被覆材料から形成することができる。外部層は、水分解性又は水分散性である高光沢の被覆紙から構成することができる。代替的に、外部層は、半光沢又はサテン仕上げのような異なる仕上げを有することができるであろう。外側チューブ上のコーティングは、広範な材料から選択することができる。適切なコーティングは、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ポリビニリデン、及びポリ塩化アルコールを含むことができる。外部層はまた、潤滑させることができ、又は添加剤を含有することができる。適切な潤滑剤及び添加剤は、従来的にタンポンアプリケータに用いられた薬学的に満足できる潤滑剤又は添加剤のいずれかを含む。このような潤滑剤及び添加剤は、脂肪酸の誘導体、例えばステアルアミド及びオレアミドのような有機化合物、長鎖脂肪族基を含む。
【0027】
タンポンアプリケータの構成に用いる紙は、リーム当たり約20ポンドから約200ポンドまで、適切にはリーム当たり約25ポンドから約100ポンドまで、及びより適切にはリーム当たり約30ポンドから約50ポンドまでの層当たりの板重量を有するべきである。「リーム」は、24インチ(609.6mm)×36インチ(914.4mm)×500シートの寸法を有する材料と定義される。各板紙層は、約0.4mm未満、適切には約0.04mmから約0.2mm、及びより適切には約0.05mmから約0.16mmの厚みを有するべきである。一般的に、外部層は、内部板紙層よりも薄くなることになる。
【0028】
層の1つが熱可塑性フィルムから作られる場合、それは、ポリエチレンとすることができる。適切なポリエチレンフィルムは、高い滑り特性及び低密度を有する。熱可塑性フィルムは、約0.1mm未満、適切には約0.010mmから約0.050mm、及びより適切には約0.012mmから約0.040mmの薄さであるべきである。他の種類のフィルムも用いることができる。このようなフィルムは、脂肪族及び芳香族エーテルの群から選択されたセルロースエーテルと、基本的基礎成分としてエチルセルロースを有するフィルム又はメチルセルロースのフィルムと、可撓性高可塑化セルロース酢酸塩、ギ酸塩、及び同様の他のアルキルエステルと、例えば「Pliofilm(登録商標)」又はビニライト樹脂のようなビニル塩化ビニリデン又は塩酸ゴムとを含む。
【0029】
熱可塑性フィルムは、透明又は不透明とすることができる。フィルムは、外側チューブの全長に及ぶ場合があり、又は単にその一部分に沿って延びることもできる。フィルムは、外側チューブの外面上とすることができ、又は内側層の1つとすることができる。
【0030】
外側チューブの層は、膠のような接着剤により、又は熱、圧力、超音波などにより互いに保持することができる。接着剤は、水溶性又は水不溶性のいずれかとすることができる。水溶性接着剤は、外側チューブが水に浸漬されると急速に壊れることになるという点で環境的理由に対しては好ましい。このような浸漬は、仮に外側チューブがそれをトイレに流すことによって廃棄されるとすれば発生することになる。
【0031】
外側チューブは、吸収性生理用タンポンを収納する大きさであり、かつそのように構成される。外側チューブの内径は、典型的な大きさのタンポンを収容する大きさである。通常は、外側チューブの内径は、約0.75インチ(約19mm)よりも小さく、より適切には約0.625インチ(約16mm)よりも小さい。タンポンの外径は変化するが、女性によって利用される殆どのタンポンは、約0.75インチ(約19mm)よりも小さな外径を有する。
【0032】
外側チューブは、タンポンアプリケータの女性の膣内への挿入を容易にすることになる実質的に滑らかな外面を有するべきである。外部層の表面が滑らかであり及び/又は滑りやすいと、外側チューブは、女性の膣の内部組織が擦り傷を受けることなく、女性の膣に容易に滑り込むことになる。外側チューブは、その外側チューブに高い滑り特性を与えるように被覆することができる。ワックス、ポリエチレン、ワックス及びポリエチレンの組合せ、セロファン、及び粘土は、快適な挿入を容易にするように外部層に付加することができる代表的なコーティングである。外側チューブは、縦中心軸上に形成された真っ直ぐな細長い円筒形チューブとすることができる。外側チューブを弓形形状に形成することも可能である。弓形又は湾曲形状は、外側チューブを女性の膣に挿入する時に快適性をもたらすのを助けることができる。湾曲タンポンアプリケータでは、タンポンの形状が女性の膣の曲率により良く適合すると考えられるので、ここでもまた一部の女性が使用するのにより快適であると考えられる湾曲タンポンを用いることが可能である。
【0033】
外側チューブの第1の端部上に一体的に形成され、そこから外向きの延びているのは、挿入先端部である。挿入先端部は、快適な方法で女性の膣への外側チューブの挿入を容易にするように設計される。挿入先端部は、女性の膣へのタンポンアプリケータの挿入期間中の膣液の急速な吸収に耐える薄い可撓性材料又は膜で作る必要がある。挿入先端部は、紙、板紙、又はフィルム材料で構成することができる。外側チューブが2層だけである時には、挿入先端部は、より低い板重量を有する層から形成すべきである。低い板重量の層は、通常はより薄い層である。フィルム材料は、それが薄く、柔らかく、かつ可撓性があるので好ましい。挿入先端部に適切な材料は、低密度ポリエチレン、可塑化塩化ポリビニル、又はポリウレタンで被覆した薄い結合不織布層を含む。挿入先端部はまた、膣液のあらゆる実質的な吸収を阻害するコーティング又は含浸剤を含むことができる。コーティング剤は、油、ワックス、又は満足できる有機化合物とすることができる。代替的に、挿入先端部は、自己潤滑性とすることができる。このような材料は、本質的に外面に低摩擦係数を備えたポリマーで作ることができる。この種の典型的なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン−プロピレン(FEP)、及び酸化ポリエチレン(PEO)のようにフッ素化される。
【0034】
挿入先端部は、外側チューブの外径にほぼ等しいか又はそれよりも小さな外径を有するべきである。直径が外側チューブの直径よりも小さい時には、その差は、外部層の端部が挿入中に女性によって感じることができないほど小さい必要があることに注意すべきである。一般的に、挿入先端部は、外側チューブの直径よりも小さな直径を有する。挿入先端部は、丸い半球形又は円錐台になるように構成することができる。他のノーズ又はドーム状形状も用いることができる。挿入先端部の丸い構成は、タンポンの前方端部が、それが覆われていなかった場合にそうであるように膣の壁に対して磨耗作用を及ぼすことを防止するように機能する。
【0035】
挿入先端部は、外側チューブを形成する層の少なくとも1つから形成され、挿入先端部がより小さな厚みを有する限り、必要に応じて1つよりも多い層から形成することができる。挿入先端部は、外側チューブが構成されている層の数よりも少なくとも1つ少ない層から形成することができる。挿入先端部が、柔らかくかつ可撓性があることを保証するために、挿入先端部は、外側チューブの厚みよりも小さな厚みを有する。挿入先端部の厚みは、外側チューブの厚みの約50%よりも小さく、適切には外側チューブの厚みの約75%よりも小さく、より適切には外側チューブの厚みの約80%よりも小さい必要がある。
【0036】
挿入先端部は、ドーム形ノーズ部を形成するように配置された複数の柔らかい可撓性花弁部を有することができる。花弁部は、幅の狭い溝によって分離されている。花弁部は、タンポンが内側チューブによって前方に押されるとタンポンが出ていくことができる拡大開口部をもたらすために半径方向外向きに屈曲又は曲げることができる。偶数又は奇数のいずれかの花弁部を用いることができるが、奇数の花弁部は、タンポンが排出された後に外側チューブが崩壊又は潰れないようにすることになるので、3、5、7などのような奇数の花弁部があることが好ましい。外側チューブが崩壊しないようにすることにより、タンポンアプリケータが使用者の膣から除去された時に膣組織が締め付けられないことを保証することができる。例えば、挿入先端部は、5つの花弁部を含むことになり、各々は、丸い端部を有する細長いほぼ切頭形状を有し、かつ各々は、長さが約7/16インチ(約11.1mm)である。
【0037】
上述のように、タンポンアプリケータは、内側チューブを含む。外側チューブと同様に、内側チューブは、螺旋状に巻かれるか、回旋状に巻かれるか、又は縦方向に縫い合わされた紙、板紙、厚紙、プラスチック、フィルム、水性コーティング、又はこれらの組合せから構成された中空チューブとすることができる。内側チューブはまた、材料を内側チューブ自体の上に重ね合わせることによって中空チューブ内に形成することができる。内側チューブは、外側チューブと同じ材料で構成することができ、又は内側チューブは、異なる材料で作ることができる。更に、内側チューブは、後で螺旋状に巻かれるか、回旋状に巻かれるか、又は縦方向に縫い合わされて円筒形チューブになる2つ又はそれよりも多くの層を有する積層体として構成することができる。巻きチューブ又は縦方向の縫い合わせチューブは、仕上げチューブが一定の厚みを備える壁を有することになるので好ましい。しかし、一部の製造業者は、中実棒として内側チューブを構成し、何らかの他の独特な形状を使用することを好む場合がある。内側チューブはまた、内側チューブの外側チューブ内への移動を容易にするために使用者の人差し指を置くことができる遠位又は自由端を有する。遠位端は、それによって人差し指の台座として機能する。より大きな接触面を備えた内側チューブの遠位端上に細長いリング又はフランジを形成することも可能である。
【0038】
内側チューブは、伸縮自在に外側チューブ内に移動することによって機能する。内側チューブが外側チューブ内に押し込まれると、タンポンは、挿入先端部に対して前方に強く押される。タンポンによる接触により、タンポンの外側チューブから排出を可能にするのに十分な直径まで半径方向に花弁部を開かせる。女性の膣でタンポンが適正に位置決めされた状態で、タンポンアプリケータを引き出して廃棄する。
【0039】
タンポンアプリケータの重量は、タンポンの大きさ及び吸収性に依存することになる。例えば、より長くてより吸収性のタンポンは、短くてより吸収性が低いタンポンよりも重いものになる。一般的に、通常の吸収性タンポンと共に本発明で使用するのに適切なアプリケータは、約3.62グラムの重量があることになり、超吸収性又は超プラス吸収性タンポンの使用に適切なアプリケータは、約4.12グラムの重量があることになる。
【0040】
本発明の他の適切な非吸収性物品は、例えば、非吸収性失禁装置、バリア避妊装置のような非吸収性避妊装置、及び膣洗浄器具を含む。本明細書で用いられる場合、「非吸収性失禁装置」は、女性の膣に挿入するように設計され、膀胱から尿道を通る尿の無意識の通過を軽減又は取除くように拡張された装置を意味する。非吸収性尿失禁装置の拡張は、尿道膣筋膜区域近くに位置する筋肉組織及び体組織に安定なバックドロップをもたらし、腹圧の増加の出現中に尿道にそれ自体に対して圧迫させるものである。更に、膣内の失禁装置の拡張は、尿道括約筋が円形断面構成を維持するのを助けることになる。適切な非吸収性失禁装置の一例は、Zunker他に付与された(2004年1月20日)米国特許第6,679,831号に開示されている。
【0041】
本発明のためのバリア避妊装置のような適切な非吸収性避妊装置は、当業技術で公知である。例えば、ウィリスに付与された(1987年12月8日)米国特許第4,711,235号は、気泡ゴムの2つの層の間に挟まれた弾性不透過性材料の中央シートを有するリングを含む装置を開示している。気泡ゴムは、膣分泌物の通常の酸pHによって破壊されるのに十分な時間にわたって膣の奥まった場所に精子及び細菌を捕捉する。リングは、シート材料を4つの側面を有するコップ形状に形成し、一方の対の対抗する側面は、内向きに曲げたワイヤコアを含み、別の対の側面は、一方が外向きに丸くしたワイヤコアを有し、他方がフォーク構成を有する。弾性不透過性材料は、一般的にネオプレン非吸収性ゴム材料である。
【0042】
本発明はまた、吸収性物品に関し、また、膣タンポンに関連して本明細書で以下に詳細に説明するが、生理用ナプキン、パンティライナ、成人用失禁衣、吸収性避妊用スポンジ、おむつ、創傷包帯、医療用包帯、及びグラム陽性細菌からの外来蛋白質の阻害が有益であると考えられる医療用、歯科用、外科用、及び/又は鼻用を意図したものなどの他の吸収性タンポンのような他の使い捨て吸収性物品に適用可能であることを当業者は理解するであろう。
【0043】
本明細書で用いられる場合、語句「吸収性タンポン」は、一般的に、膣タンポン、医療用タンポン、歯科用タンポン、外科用タンポン、及び鼻用タンポンを意味する。語句「吸収性物品」は、一般的に、体液を吸収して収容する装置を意味し、より詳細には、皮膚に対して又は皮膚の近くに又は体腔の内側に設けられて身体から排出される様々な流体を吸収して収容する装置を意味する。用語「使い捨て」は、一回使用後に吸収性物品として洗濯又は他の方法で修復又は再使用することを意図していない吸収性物品を説明する本明細書で用いられる。このような使い捨て吸収性物品の例は、以下に限定されるものではないが、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成の阻害が有益であると考えられる医療用、歯科用、外科用、及び/又は鼻用を意図したような包帯及びタンポンを含むヘルスケア関連製品、女性用衛生用品(例えば、生理用ナプキン、パンティライナ、及び膣タンポン)、おむつ、トレーニングパンツ、失禁製品などのようなパーソナルケア吸収性製品を含む。
【0044】
本発明で用いる適切な膣タンポンは、一般的に、膣腔内に容易に挿入することができる大きさの単体に圧縮された天然及び合成繊維を含む吸収性繊維のような吸収性材料で作られる。適切な繊維は、例えば、綿及びレーヨンのようなセルロース繊維を含む。繊維は、タンポン用途に適切であることが公知である100%綿、100%レーヨン、綿、及びレーヨンの混合物とすることができる。
【0045】
膣タンポンは、一般的に、膣タンポンが必要な吸収機能を備えるのに十分なほど大きな本体の材料を有することができるように細長い円筒形形態で作られるが、様々な形態で作ることができる。タンポンは、圧縮されても圧縮されなくてもよいが、圧縮した種類が一般的に好ましい。タンポンは、吸収性及び非吸収性線維の両方を含む様々な繊維混合物で作ることができ、タンポンは、カバー又は包装で包まれても包まれなくてもよい。一般的に、カバー又は包装は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン又はポリエチレンのような不織材料から形成することができる。適切な材料は、スパンボンド材料である。カバー又は包装は、タンポンの繊維が女性の膣の内壁に直接接触しないことを保証するのに有用である。これは、タンポンを除去した後で膣内に繊維が残されないことになることを保証する。カバーは、完全に繊維を取り囲んで封入するようにタンポンの遠位側に離間した端部内に押し込むことができる。カバー又は包装はまた、熱及び圧力等によってそれを繊維に結合するのを助けるヒートシール可能な材料から構成することができる。タンポンを製造するための適切な方法及び材料は、当業者には公知である。
【0046】
一実施形態では、本発明に用いる適切なタンポンは、カバー又は包装を有する。一般的に、カバー又は包装を有するタンポンの重量は、タンポンの吸収性のレベルに依存することになる。例えば、より吸収性のタンポンは、より吸収性が低いタンポンよりも重いものになる。一般的に、カバー又は包装を有する通常の吸収性タンポンは、約1.77グラムから約2.67グラムまで、適切には約2.22グラムの重量があることになり、カバー又は包装を有する超吸収性タンポンは、約2.67グラムから約3.57グラムまで、適切には約3.12グラムの重量があることになり、カバー又は包装を有する超プラス吸収性タンポンは、約3.67グラムから約4.97グラムまで、適切には約4.32グラムの重量があることになる。
【0047】
タンポンは、様々な大きさになる。別の実施形態では、本発明で用いるタンポンは、カバー又は包装を持たない。一般的に、本発明に適切なカバー又は包装なしの通常の吸収性タンポンは、約1.60グラムから約2.50グラムまで、適切には約2.05グラムの重量があることになり、カバー又は包装なしの超吸収性タンポンは、約2.49グラムから約3.39グラムまで、適切には約2.94グラムの重量があることになり、カバー又は包装なしの超プラス吸収性タンポンは、約3.49グラムから約4.79グラムまで、適切には約4.14グラムの重量があることになる。
【0048】
上述のように、本発明の非吸収性及び吸収性物品は、加水分解するとグラム陽性細菌による外来蛋白質の生成、特に黄色ブドウ球菌からのTSST−1の生成を実質的に阻害することができる活性種を生成する前駆体化合物の有効な量を構成する。本明細書で用いられる場合、用語「前駆体化合物」は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる活性種を生成するために、膣の内部及び/又は隣接して加水分解を受けることができる非吸収性又は吸収性物品内及び/又は上に導入される化合物を意味する。前駆体化合物は、芳香族化合物をエステル又はアミド結合で2次化合物に結合することによって形成される。前駆体化合物内に含まれるエステル又はアミド結合は、自然膣細菌叢内に見られる細菌によって生成されるリパーゼ、エステラーゼ、及び/又はアミダーゼのような酵素によって加水分解され、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる活性種をもたらす。生成される活性種と共に、加水分解反応は、活性種の機能にはそれほど重要でない2次化合物を生成する。一部の実施形態では、2次化合物は、ヒトの体内で自然に生じる化合物と同一又は類似であることになる。上述のように、2次化合物は重要なものではないが、前駆体化合物は、加水分解すると形成される2次化合物が膣又は膣にいる細菌に対して実質的に有害でないように設計すべきである。
【0049】
加水分解処理中に、前駆体化合物は、徐々に分解されて活性種及び2次化合物になり、上述のように前駆体化合物及び活性種の両方が、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる。この特性は、それがグラム陽性細菌による外来蛋白質生成の長時間持続する連続的阻害を可能にするので有利である。本発明の前駆体化合物は、加水分解前に外来蛋白質の生成を阻害することができ、更に、次に前駆体化合物が加水分解されると活性種が生成され、それが外来蛋白質生成を更に阻害することができる。
【0050】
本明細書で説明し、かつ非吸収性又は吸収性物品内及び/又は上への導入に適切な前駆体化合物は、製造工程及び棚保管中の両方にわたって非吸収性又は吸収性物品内及び/又は上の両方で実質的に安定である。すなわち、前駆体化合物は、高温製造工程中又は出荷及び保管中に非吸収性又は吸収性物品から出て又はから外には容易に揮発されない。前駆体化合物のこの特性は、それが消費者による最終的な使用に有効な量で非吸収性又は吸収性物品製品内又は上に残る前駆体化合物に対して重要であるので非常に望ましいものである。上述のように、非吸収性又は吸収性物品からの活性化合物の揮発は、過去において問題とされており、結果として活性物質を欠く非吸収性製品又は吸収性物品をもたらす可能性があるものである。
【0051】
特定の理論に拘泥するものではないが、本発明の前駆体化合物は、これら前駆体化合物の分子量の増大に起因する従来の成分と比較して、増大した量で非吸収性又は吸収性物品内又は上に残る可能性があると考えられている。本発明の前駆体化合物は、過去において利用された一部の活性成分と比較して一般的に高分子量を有するが、これら前駆体化合物は、適切には体内で加水分解され、グラム陽性細菌による外来蛋白質の生成を阻害するのに非常に有効であるベンジルアルコール及び安息香酸のような非常に望ましい活性種を生成する。
【0052】
製造、出荷、及び保管にわたって非吸収性又は吸収性製品内及び/又は上に低揮発性を有すること及び残存することができることに加えて、体内で生成される加水分解活性種及び2次化合物と共に本明細書に説明する前駆体化合物は、膣に見られる相当量の自然に発生する細菌を殺さない。この特性は重要であり、その理由は、自然な細菌叢が健康な膣を維持するのに必要とされるので、膣又はその周囲の細菌を完全に又は実質的に完全に非特異的に殺すことは、宿主に対して非常に有害である可能性があるからである。膣の全微生物を非特異的に殺す抗菌剤又は抗ウイルス剤のような作用物質と異なり、膣腔内及び周囲で生成される前駆体化合物及び加水分解化合物は、製品内に組み込まれる濃度では細菌に対する実質的な殺菌効果は持たないが、加水分解によって生成される活性種は、グラム陽性細菌からの外毒素の生成を実質的に阻害することができる。
【0053】
本発明の一実施形態では、前駆体化合物は、以下の一般化学構造式を有する。
【化16】

【化17】

であり、R7は、−OCH2−であり、Xは0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択される。
【0054】
上述のように、本明細書に説明するヒドロカルビル部分は、例えば、ヒドロキシル基などの様々な置換基と置換しても置換しなくてもよい直鎖及び分鎖ヒドロカルビル部分の両方を含む。更に、ヒドロカルビル部分は、ヘテロ原子で遮断されても遮断されなくてもよい。ヒドロカルビル部分を遮断することができるヘテロ原子は、例えば、酸素、窒素、及びイオウを含む。一実施形態では、R5は、1から15の炭素原子、より適切には1から12の炭素原子を有する一価の飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分である。
【0055】
エステル結合を有し、本発明の上述の実施形態に適切な一部の特定の前駆体化合物は、以下の表1に見出すことができる。
【0056】
【表1】

【0057】
上記化合物は、単独又はその組合せで用いることができる。
【0058】
本明細書で示すように、月経液中に自然に発生する酵素と共に、膣細菌叢内に見られる黄色ブドウ球菌のような細菌によって生成されるエステラーゼのような酵素は、本明細書に説明する前駆体化合物を加水分解して活性種及び2次化合物を生成することができる。例えば、酵素エステラーゼは、上述の前駆体化合物のエステル結合と反応して、活性種ベンジルアルコール及び炭化水素を形成することができる。ベンジルアルコールは、実質的に細菌を除去することなくグラム陽性細菌からの外来蛋白質を実質的に阻害することが見出されている。
【0059】
別の実施形態では、前駆体化合物は、以下の一般化学構造式を有する。
【化18】

式中、R1は、
【化19】

であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択される。
【0060】
アミノ酸は、アミノ基及びカルボン酸基を含有する有機化合物である。R6に用いることができる適切なアミノ酸は、人体中に自然に見られる20のアミノ酸のいずれかである。より詳細には、本発明で用いるアミノ酸は、適切には、例えば、バリン、ロイシン、システイン、及びこれらの組合せを含む。
【0061】
この実施形態の適切な化合物は、以下の表2に見出すことができる。
【0062】
【表2】

【0063】
本明細書に説明する上記化合物は、単独又はその組合せで用いることができる。
【0064】
上述のように、月経液中に自然に発生する酵素と共に、膣細菌叢内に見られる黄色ブドウ球菌のような細菌によって生成されるアミダーゼのような酵素は、アミノ酸を含む前駆体化合物を加水分解することができる。例えば、酵素アミダーゼは、前駆体化合物と反応し、この実施形態の化合物のアミド結合を分解して安息香酸及びアミノ酸を放出することができる。上述のベンジルアルコールと同様に、安息香酸は、実質的に自然に発生する細菌叢を除去することなくグラム陽性細菌からの外来蛋白質を実質的に阻害することが見出されている。
【0065】
本発明によれば、非吸収性又は吸収性物品は、前駆体化合物の加水分解時に、非吸収性又は吸収性物品が黄色ブドウ球菌に露出される時のTSST−1のような外来蛋白質の形成を実質的に阻害するのに十分な量の活性剤が生成されるように、前駆体化合物の有効な量を含む。黄色ブドウ球菌の存在下でのTSST−1の生成の阻害に関するベンジルアルコール又は安息香酸のような可能な阻害剤の有効性を試験するためのいくつかの方法が当業技術で公知である。1つのこのような好ましい方法は、実施例1に示されている。本明細書に説明する方法に従って試験すると、好ましくは前駆体化合物の加水分解から生成される活性種は、黄色ブドウ球菌によるTSST−1の形成を少なくとも約40%だけ、より好ましくは少なくとも約50%だけ、更により好ましくは少なくとも約60%だけ、更により好ましくは少なくとも約70%だけ、更により好ましくは少なくとも約80%だけ、更により好ましくは少なくとも約90%だけ、更により好ましくは少なくとも約95%だけ低減する。更に、上述のように、前駆体化合物もまた、一部の実施形態においてはグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害することができる。実施例1に示す試験手順はまた、前駆体化合物による阻害量を測定するのに用いることができる。一部の実施形態では、前駆体化合物は、TSST−1の形成を少なくとも約50%だけ、好ましくは少なくとも約80%だけ低減することができる。
【0066】
本発明によれば、非吸収性又は吸収性製品は、使用時に本明細書で説明するような膣又はその周囲の前駆体化合物及び/又はそこから生成される活性種が、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を実質的に阻害することができるように、適切な量の前駆体化合物を含む。一般的に、非吸収性製品は、約0.15%(非吸収性基体の重量による)から約2.0%(非吸収性基体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになり、吸収性物品は、約0.15%(吸収性構造体の重量による)から約2.0%(吸収性構造体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。これらの百分率は、一般的に「添加重量百分率」と呼ばれる。望ましい実施形態では、非吸収性製品は、約0.17%(非吸収性基体の重量による)から約1.7%(非吸収性基体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになり、吸収性製品は、約0.17%(吸収性構造体の重量による)から約1.7%(吸収性構造体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。
【0067】
1つの特定的な実施形態では、本明細書に説明するようなタンポンアプリケータは、使用時に本明細書に説明するような膣又はその周囲の前駆体化合物及び/又はそこから生成される活性種が、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を実質的に阻害することができるように、適切な量の前駆体化合物を含む。一般的に、タンポンアプリケータは、約0.15%(非吸収性基体の重量による)から約2.0%(非吸収性基体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。望ましい実施形態では、タンポンアプリケータは、約0.17%(非吸収性基体の重量による)から約1.7%(非吸収性基体の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。
【0068】
別の特定的な実施形態では、カバー又は包装材料なしの本明細書に説明するような膣タンポンは、使用時に本明細書に説明するような膣又はその周囲の前駆体化合物及び/又はそこから生成される活性種が、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を実質的に阻害することができるように、適切な量の前駆体化合物を含む。一般的に、カバー又は包装なしの膣タンポンは、約0.15%(吸収性タンポン材料の重量による)から約2.0%(吸収性タンポン材料の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。望ましい実施形態では、膣タンポンは、約0.17%(吸収性タンポン材料の重量による)から約1.7%(吸収性タンポン材料の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。
【0069】
別の特定的な実施形態では、使用時に本明細書に説明するような膣又はその周囲の前駆体化合物及び/又はそこから生成される活性種が、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を実質的に阻害することができるように適切な量の前駆体化合物を含むカバー又は包装材料を有する本明細書に説明するような膣タンポンが提供される。前駆体化合物は、膣タンポンの吸収性基体内又は上に導入されているのとは対照的に、カバー又は包装材料内又は上に直接導入される。望ましい実施形態では、膣タンポンのカバー又は包装材料は、約2.6%(カバー又は包装材料の重量による)から約35.0%(カバー又は包装材料の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。より望ましくは、膣タンポンのカバー又は包装材料は、約2.95%(カバー又は包装材料の重量による)から約29.5%(カバー又は包装材料の重量による)までの前駆体化合物を含むことになる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、有益な細菌叢を著しく除去することなくTSST−1のような外来蛋白質の生成を更に低減する1つ又はそれよりも多くの表面活性剤と組み合わせて非吸収性物品又は吸収性製品内及び/又は上に導入することができる。前駆体化合物と組み合わせて用いる表面活性剤はまた、更に製品性能を改善するように潤滑剤及び/又は皮膚軟化剤として作用することができる。膣タンポンと組み合わせて用いると、表面活性剤は、更に「乾燥タンポン」の除去を助けることができる。タンポンアプリケータ又は膣タンポンを含む一実施形態では、適切な表面活性剤は、クラフト・ケミカル・コーポレーション(米国イリノイ州メルローズパーク)によって「CETIOL 1414」として市販されているミレス−3−ミリスチン酸塩である。本発明の他の適切な表面活性剤は、例えば、グリセロールモノラウレート及びラウレス−4を含む。
【0071】
本発明によれば、非吸収性又は吸収性製品は、使用時に表面活性剤がグラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を更に阻害することができるように、適切な量の表面活性剤を含むことができる。一般的に、非吸収性製品は、約0.4%(非吸収性基体の重量による)から約1.1%(非吸収性基体の重量による)までの表面活性剤を含むことになる。1つの特定的な実施形態では、非吸収性製品は、約0.75%(非吸収性基体の重量による)の表面活性剤を含むタンポンアプリケータである。一般的に、吸収性製品は、約0.4%(吸収性構造体の重量による)から約1.1%(吸収性構造体の重量による)までの表面活性剤を含むことになる。1つの特定的な実施形態では、吸収性製品は、カバーを有する膣タンポンであり、約0.75%(カバーを含む全タンポンの重量による)の表面活性剤を含むことになる。
【0072】
別の実施形態では、表面活性成分は、膣タンポンの吸収性基体内又は上に導入されているものとは対照的に、カバー又は包装材料内又は上に直接導入することができる。一般的に、膣タンポンのカバー又は包装材料は、約13%(カバー材料の重量による)の表面活性剤を含むことになる。
【0073】
更に、本明細書に説明する前駆体化合物は、有益な細菌叢を著しく除去することなくTSST−1のような外来蛋白質の生成を更に低減する1つ又はそれよりも多くの2次作用物質と組み合わせて非吸収性又は吸収性製品内及び/又は上に導入することができる。本発明で有用な2次作用物質の適切な例は、C8−C18脂肪酸を芳香族アルコールに結合するエーテル、エステル、アミド、グルコシド、又はアミン結合との化合物から成る群から選択された作用物質を含む。
【0074】
一実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、以下の一般式を有するエステル化合物と組み合わせて用いることができる。
【化20】

式中、R27は、8から約18までの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又は直鎖又は分岐アルケニルであり、R28は、アルコール、多価アルコール、及びエトキシル化アルコールから成る群から選択される。本明細書で用いられる場合、用語「多価」は、少なくとも2つの水酸(OH)基の化合物の存在を意味する。適切な化合物は、グリセリルモノラウレート、グリセリルジラウレート、ミレス−3−ミリスチン酸塩、及びこれらの混合物を含む。
【0075】
別の実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、以下の一般式を有するエーテル化合物と組み合わせて用いることができる。
【化21】

式中、R10は、8から約18までの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又は直鎖又は分岐アルケニルであり、R11は、アルコール、エトキシル化アルコール、ポリアルコキシル化硫酸塩、及びポリアルコキシル化スルホコハク酸塩から成る群から選択される。適切な化合物は、ラウレス−3、ラウレス−4、ラウレス−5、PPG−5ラウリルエーテル、1−0−ドデシル−ラク−グリセロール、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス(3)スルホコハク酸二ナトリウム塩、ラウレス(3)スルホコハク酸二カリウム塩、及び酸化ポリエチレン(2)ソルビトールエーテルを含む。
【0076】
別の実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、アルキルポリグリコシド化合物と組み合わせて用いることができる。前駆体化合物と組み合わせて用いるのに適切なアルキルポリグリゴシドは、以下の一般式を有するアルキルポリグリゴシドを含む。
【化22】

式中、Zは、5又は6の炭素原子を有するサッカリドであり、nは、1から6までの整数であり、R14は、約8から約18までの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基である。「Glucopon 220、225、425、600、及び625」(全て、米国ペンシルベニア州アンブラー所在のヘンケル・コーポレーションから市販)並びに「TL 2141」(米国デラウエア州ウィルミントン所在のICI・サーファクタンツから市販)は、本発明の前駆体化合物と組み合わせて用いるのに適切なアルキルポリグルコシドである。
【0077】
別の実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、以下の一般式を有するアミド含有化合物と組み合わせて用いることができる。
【化23】

式中、R17は、カルボニル炭素を含めて、8から18までの炭素原子を有するアルキル基であり、R18及びR19は、エステル基、エーテル基、アミン基、水酸基、カルボキシル基、カルボキシル塩、スルホン酸基、スルホン酸塩、及びこれらの混合物から選択された群と置換されても置換されなくてもよい1から約12までの炭素原子を有する水素又はアルキル基から独立に選択される。本明細書に説明する前駆体化合物と組み合わせて用いるのに好ましいアミド化合物は、ラウリル・サルコシン酸ナトリウム、ラウリルアミド・モノエタノールアミド、ラウリルアミド・ジエタノールアミド、ラウラミドプロピル・ジメチルアミン、ラウラミド・モノエタノールアミド・スルホコハク酸塩二ナトリウム、及びラウロアンホジ酢酸二ナトリウムを含む。
【0078】
別の実施形態では、本明細書に説明する前駆体化合物は、以下の一般式を有するアミン化合物と組み合わせて用いることができる。
【化24】

式中、R20は、約8から約18までの炭素原子を有するアルキル基であり、R21及びR22は、1から約18までの炭素原子を有する水素及びアルキル基から成る群から独立に選択され、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシル塩、及びイミダゾリンから成る群から選択された1つ又はそれよりも多くの置換部分を有することができる。本明細書に説明する前駆体化合物と共に用いるのに好ましいアミン化合物は、ラウレス硫酸トリエタノールアミド、ラウラミン、ラウラミノプロピオン酸、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリン、及びこれらの混合物を含む。
【0079】
別の実施形態では、アミン化合物は、以下の一般式を有するアミン塩とすることができる。
【化25】

式中、R23は、アミンに関連するアニオン部分であり、8から約18までの炭素原子を有するアルキル基に由来し、R24、R25、及びR26は、1から約18までの炭素原子を有する水素及びアルキル基から成る群から独立に選択され、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシル塩、及びイミダゾリンから成る群から選択された1つ又はそれよりも多くの置換部分を有することができる。R24、R25、及びR26は、飽和又は不飽和とすることができる。アミン塩の好ましい例示的化合物は、ラウレス硫酸TEAである。
【0080】
TSST−1の生成を更に低減するように非吸収性製品に加えられる本明細書に説明する2次化合物の量は、約0.15%(非吸収性基体の重量による)から約2.0%(非吸収性基体の重量による)までの2次化合物であることが見出されている。より適切には、非吸収性製品は、約0.17%(非吸収性基体の重量による)から約1.7%(非吸収性基体の重量による)までの2次化合物を含む。
【0081】
TSST−1の生成を更に低減するように吸収性物品に加えられる本明細書に説明する2次化合物の量は、約0.15%(吸収性構造体の重量による)から約2.0%(吸収性構造体の重量による)までの2次化合物であることが見出されている。より適切には、吸収性製品は、約0.17%(吸収性構造体の重量による)から約1.7%(吸収性構造体の重量による)までの2次化合物を含む。
【0082】
前駆体化合物は、化学作用物質を望ましい非吸収性基体に付加するための従来の方法を用いて非吸収性基体に付加することができる。例えば、非吸収性物品は、前駆体化合物を含有する流体浴に直接浸漬することができ、次に、必要に応じてあらゆる揮発性溶剤を除去するために空気乾燥することができる。代替的に、本発明の非吸収性物品は、本発明の阻害化合物を用いて溶射又は他の方法で被覆することができる。
【0083】
前駆体化合物は、吸収性製品内への吸収を容易にするためのような望ましい用途に有用な1つ又はそれよりも多くの従来の薬学的に満足できかつ適合する担体材料を更に用いることができる。担体は、非吸収性又は吸収性物品に用いる前駆体化合物を相互溶解又は懸濁することができる。本発明に用いるのに適切な担体材料は、オイトメント、ローション、クリーム、軟膏、エーロゾル、坐薬、及びゲルなどのベースとして化粧品及び医療技術で使用するための公知のものを含む。例えば、1つの適切な担体は、「Cetiol」である。更に、上述のように、「Cetiol」はまた、潤滑剤及び皮膚軟化剤の両方として作用することができる。他の適切な担体材料は、水、様々なアルコール、及び他の有機溶剤を含む。
【0084】
別の実施形態では、本発明の前駆体化合物は、現在市販されている潅水製剤又はより高粘性潅水剤のような様々な製剤に処方することができる。例えば、本発明の前駆体化合物は、膣を洗浄して清潔にし、かつ膣感染症を防止するのに用いる製剤に組み込むことができる。更に、前駆体化合物は、「Cremophos RH60」又は「Tween 20」などのような界面活性剤、望ましくは非イオン性界面活性剤と共に処方することができる。本発明の製剤はまた、防腐剤を含有することができる。プロピレングリコールのようなより大きな粘性を付与することができる化合物は、本発明の製剤に加えることができる。一般的に、より高粘性製剤は、投薬後に比較的長い期間にわたって膣に留まる傾向があることになる製剤を作り出すために好ましい。
【0085】
前駆体化合物が、薬学的に満足できる担体を含む製剤に組み込まれる時、製剤は、一般的に、少なくとも約0.01%(重量/容積)、望ましくは少なくとも約0.04%(重量/容積)の前駆体化合物(製剤の総重量に基づく)を含む。一般的に、製剤は、約0.3%(重量/容積)よりも多くない前駆体化合物を含有する。膣洗浄用途に用いる特に適切な製剤は、前駆体化合物の少なくとも約0.2ミリモル/リットルから約50ミリモル/リットルまで、適切には約0.3ミリモル/リットルから約30ミリモル/リットルまで、より適切には約1.0ミリモル/リットルから約15ミリモル/リットルまでを含有することができる。
【0086】
本発明の前駆体化合物は、あらゆる適切な形態で調製して吸収性物品に付加することができるが、好ましくは、以下に限定されるものではないが、水溶液、ローション、香油、ゲル、軟膏、オイントメント、ボーラス、及び坐薬などを含む形態に調製される。
【0087】
前駆体化合物は、化学作用物質を望ましい吸収性物品に付加するための従来の方法を用いて吸収性物品に付加することができる。例えば、別々の包装なしの単体タンポンは、望ましい濃度の前駆体化合物を含有する溶液で溶射することができ、次に、必要に応じてあらゆる揮発性溶剤を除去するために空気乾燥することができる。圧縮タンポンに関しては、圧縮前にいずれかの化合物でタンポンを含浸することが一般的に好ましい。前駆体化合物は、タンポン材料上及び/又は内に組み込まれると、移動性、緩く接着、結合、又はこのいずれかの組合せとすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「移動性」は、組成物がタンポン材料を通って移動することができることを意味する。
【0088】
一般的に、必ずしも前駆体化合物でタンポンの吸収性本体全体を含浸する必要はない。最適な結果は、経済的にも機能的にも、使用中に最も有効と考えられるタンポン又は他の吸収性製品の外面上又はその近くに前駆体化合物を集中させることによって得ることができる。
【0089】
一部の実施形態では、本発明の前駆体化合物は、当業技術で定着した方式で、かつ通常の膣細菌叢を変えないと考えられる濃度で薬剤組成物に従来見られる補助成分と組合せて用いることができる。例えば、組成物は、補足的選択性抗菌剤、抗酸化剤、駆虫剤、抗掻痒剤、収斂剤、局所麻酔剤、又は抗炎症剤のような併用治療のための付加的な適合薬学活性物質を含有することができる。
【0090】
一実施形態では、前駆体化合物は、月経又は他の膣分泌物と接触すると溶解、分解、破裂、又は他の方法で分解して成分を放出することになるシェル型材料にマイクロ封入することができる。この実施形態により、マイクロ封入材料は、前駆体化合物の放出をもたらす分泌液で湿るまで前駆体化合物の揮発を遅らせる。このようなマイクロ封入により、製造及び保管後の製品内に存在する前駆体化合物の量を著しく増加させることができる。適切なマイクロ封入シェル材料は、当業技術で公知であり、セルロースベースポリマー材料(例えば、エチルセルロース)、炭水化物ベース材料(例えば、カチオン澱粉及び糖)、及びこれらに由来する材料(例えば、デキストリン及びシクロデキストリン)、並びにヒト組織に適合する他の材料を含む。
【0091】
マイクロ封入シェル厚みは、変更することができ、一般的に、単層又はより厚い積層体層、又は複合層とすることができる封入材料の薄層によって封入前駆体化合物を覆うことを可能にするように製造される。マイクロ封入層は、製品の取扱い又は出荷中のシェルの亀裂又は分解に抵抗するほど十分に厚くすべきである。マイクロ封入層は、保管、出荷、又は着用中の大気条件による湿度がマイクロ封入層の分解を起こし、結果として前駆体化合物の放出を引き起こすことにならないように構成すべきである。
【0092】
非吸収性又は吸収性物品に直接付加されるマイクロ封入製剤又は成分は、使用者が使用中に皮膚又は粘膜で封入シェルを感じることができないような大きさのものとすべきである。一般的に、カプセルは、約25マイクロメートルよりも大きくなく、望ましくは約10マイクロメートルよりも大きくない直径を有する。これらの大きさでは、製剤が皮膚に接触する時の「ざらざら」又は「ちくちく」感がない。
【0093】
本発明は、単に例示のためであって本発明の範囲又は本発明を実施することができる方法を限定するように考えないものとする以下の実施例によって示される。
【実施例1】
【0094】
この実施例では、黄色ブドウ球菌の成長及びTSST−1の生成に対する様々な試験化合物の効果が判断された。望ましい濃度(重量%(w/v)で表される)の試験化合物は、無菌の50mL円錐ポリプロピレンチューブ(米国ノースカロライナ州ニュートン所在のサーステット・インコーポレーテッド)の10mLの成長培地内に置かれた。
【0095】
成長培地は、製造業者の使用説明書に従って37グラムの脳心臓注入培養液(BHI)(米国メリーランド州コッキーズビル所在のディフコ・ラボラトリーズ)を880mLの蒸留水に溶解し、培養液を殺菌することによって調製された。BHIには、100mLウシ胎仔血清(FBS)(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー社)が追加された。塩化マグネシウムの6水和物の10mL0.021M無菌溶液(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)が、BHI−FBS混合物に加えられた。L−グルタミンの10mL0.027M無菌溶液(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)もBHI−FBS混合物に加えられた。
【0096】
試験される化合物には、N−ベンゾイル−DL−ロイシン(Sigma B−1504)及びN−ベンゾイル−DL−バリン(Sigma B−6500)を含めた。試験化合物は、固体として入手された。固体は、上述のように調製されたBHIに溶解された。試験化合物は、望ましい最終濃度を得るのに必要な量で成長培地に加えられた。「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)(米国イリノイ州メルローズパーク所在のクラフト・ケミカル・コーポレーション)を10mM濃度で一部の分析の成長培地内に含めた。
【0097】
試験化合物を含有する成長培地のチューブの植菌のための調製において、植菌培養液は、以下の方法で調製された。すなわち、黄色ブドウ球菌MN8をトリプシン大豆寒天プレート(TSA、米国メリーランド州コッキーズビル所在のディフコ・ラボラトリーズ)上に付着させ、35℃で培養した。この実施例の供試生物は、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のミネソタ大学医学部微生物学科のPat Schlievert博士から入手したものである。24時間培養後、3回から5回まで個々のコロニーを無菌植菌ループで採取し、10mLの成長培地に用いた。植菌成長培地のチューブは、大気中35℃で培養された。24時間培養後、培養液は培養器から除去され、S/P銘柄渦混合器上で十分に混合された。10mLの成長培地を含有する第2のチューブは、上述の24時間経った培養液0.5mLを植菌され、大気中で35℃で培養された。24時間培養後、培養液は培養器から除去され、S/P銘柄渦混合器上で十分に混合された。培養液の最適密度は、マイクロプレート読取器(米国バーモント州ウィヌースキ所在のバイオテック・インストルメンツ製「Model EL309」)で判断された。10mLの成長培地内に5×106CFU/mLを得るのに必要な接種量は、予め準備した標準曲線を用いて判断された。
【0098】
この実施例には、様々な濃度の試験化合物、様々な濃度の試験化合物及び「Cetiol 1414E」、並びに試験化合物なしの成長培地のチューブ(対照)を含めた。各チューブは、上述のように判断された接種量が植菌された。チューブは、発泡栓(米国ニュージャージー州サウスプレーンフィールド所在のVWR・サイエンティフィック・プロダクツから獲得したジェース・インダストリーズ製の「IDENTI−PLUG」プラスチック発泡栓)で蓋をした。チューブは、CO2を容積で5%含む大気中35℃で培養された。24時間培養後、チューブは培養器から除去され、培養液に対して黄色ブドウ球菌のコロニー形成単位の数が分析され、培養液は、上述のようにTSST−1の分析のために調製された。
【0099】
培養後のmL当たりのコロニー形成単位の数は、標準プレート計数手順を用いて判断された。TSST−1の分析の準備において、培養液培養液は、15分間2−10℃2500rpmで遠心分離され、上澄みは、0.2μM細孔径の「FISHERBRAND」0.45μmMCEフィルタを通してその後濾過滅菌された。得られた流体は、「FISHERBRAND」12×75mmポリスチレン培養チューブ(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ所在のフィッシャー・サイエンティフィック)において−70℃で冷凍された。
【0100】
mL当たりのTSST−1の量は、非競争サンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA)によって判断された。用いた方法は、以下の通りであった。すなわち、TSST−1(#TT−606)、ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgG(LTI−101)、西洋ワサビペルオキシダーゼ共役ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgG(#LTC−101)、及び正常ウサギ血清(NRS)認証「抗TSST−1」なし(#NRS−10)の4つの試薬が、トキシン・テクノロジー・インコーポレーテッド(米国フロリダ州サラソータ)から購入された。ポリクローナルウサギ「抗TSST−1」IgGの10μg/mL溶液が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中で調製された。PBSは、全てシグマ・ケミカル・カンパニー(米国ミズーリ州セントルイス)から入手可能な0.016MのNaH2PO4、0.004MのNaH2PO4−H2O、0.003MのKCl、及び0.137MのNaClから調製された。百マイクロリットルのポリクローナルウサギ「抗TSST−1」IgG溶液が、ポリスチレンマイクロプレート(Nunc−Denmark、カタログ番号#439454)の内側ウェルにピペットで取られた。プレートは、覆われて一夜室温で培養された。非結合抗毒素は、乾燥するまで排液することによって除去された。
【0101】
TSST−1は、0.05%(容積/容積)「Tween−20」(PBS−Tween)(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)及び1%(容積/容積)NRSを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)で10ng/mLに希釈され、一夜4℃で培養された。試験標本は、1%NRS(容積/容積)と組み合わされ、一夜4℃で培養された。培養液の標本及びTSST−1規準標準液は、3通りに分析された。
【0102】
PBS中のカゼイン(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)のナトリウム塩の1%(重量/容積)溶液百マイクロリットルが、ポリエチレンマイクロプレートの内側ウェルにピペットで取られた。プレートは、覆われて1時間35℃で培養された。非結合BSAは、「PBS−Tween」で3回洗浄により除去された。NRSで処理されたTSST−1規準標準液(10ng/mL)及び試薬対照が、プレートの第1及び第7コラム上のそれらのそれぞれのウェルに200μL容積だけピペットで取られた。百マイクロリットルの「PBS−Tween」を残りのウェルに加えた。TSST−1規準標準液及び試験標本は、次に、ウェルからウェルへ100マイクロリットル移すことにより、「PBS−Tween」内で連続的に5回希釈された。標本は、吸引及び圧搾の反復によって移す前に混合された。試験標本及びTSST−1規準標準液の標本は、3通りに分析された。これに35℃で1.5時間の培養、並びに非結合毒素を除去するために「PBS−T」で5回の洗浄及び蒸留水で3回の洗浄が続いた。西洋ワサビペルオキシダーゼ共役ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgGは、製造業者の使用説明書に従って希釈され、50マイクロリットルが共役制御ウェルであるウェル「A−1」を除く各マイクロリットルウェルに加えられた。プレートは、覆われて1時間にわたって35℃で培養された。
【0103】
培養に続いて、プレートは、「PBS−Tween」で5回及び蒸留水で3回洗浄された。洗浄に続いて、ウェルは、11mLのクエン酸塩緩衝剤(pH5.5)中5mgのo−フェニレンジアミン及び5μLの30%過酸化水素(両方とも米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニーから入手可能)から成る100マイクロリットルの西洋ワサビペルオキシダーゼ基質緩衝剤で処理された。クエン酸塩緩衝剤は、両方ともシグマ・ケミカル・カンパニー(米国ミズーリ州セントルイス)から入手可能な0.012M無水クエン酸及び0.026M二塩基リン酸ナトリウムから調製された。プレートは、35℃で15分間培養された。反応は、50マイクロリットルの5%硫酸溶液の添加によって停止された。各ウェルの呈色反応の強度は、バイオテック製「Model EL309」マイクロプレート読取器(外径490nm)を用いて値が求められた。試験標本中のTSST−1濃度は、各分析手順中に導き出された規準毒素回帰方程式から判断された。TSST−1の生成を阻害する時の化合物の有効性は、以下の表3に示されている。
【0104】
(表3)

【0105】
本発明によれば、表3のデータは、試験化合物を含有するアミノ酸の存在化下で、黄色ブドウ球菌MN8が、対照と比較してより少ないTSST−1を生成したことを示している。試験した濃度で、これらの化合物は、79%から93%だけ毒素生成の量を低減した。また、データは、「Cetiol 1414E」と組み合わせると、試験化合物を含有するアミノ酸の存在化下で、黄色ブドウ球菌MN8が、対照と比較してより少ないTSST−1を生成したことを示している。試験した濃度で、これらの化合物は、「Cetiol 1414E」と組み合わせると、93%から95%だけ毒素生成の量を低減した。しかし、毒素生成の量は著しく減少したが、黄色ブドウ球菌の成長に対する効果は、たとえあったとしても最小限であった。
【実施例2】
【0106】
この実施例では、黄色ブドウ球菌の成長及びTSST−1の生成に対するベンジルアルコール(「Aldrich 40」、283−4)及びマロン酸ベンジルエチル(「Aldrich 30」、069−1)(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・コーポレーション)の効果が判断された。実施例2で試験した試験化合物の効果は、実施例1で説明したように10mLの成長培地内に%(v/v)で表される望ましい濃度を配置することによって判断された。次に、試験化合物は、各試験が4通りに実施された以外は実施例1のように試験されて評価された。示す結果は、4つの数値の平均を表している。黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対する試験化合物の効果は、以下の表4に示されている。
【0107】
(表4)

【0108】
試験した濃度で、化合物マロン酸ベンジルエチル及び活性種ベンジルアルコールの両方とも85%から94%だけ毒素生成の量を低減した。また、データは、「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)と組み合わせると、ベンジルアルコール又はマロン酸ベンジルエチルの存在化下で、黄色ブドウ球菌MN8が、対照と比較してより少ないTSST−1を生成したことを示している。試験した濃度で、これらの化合物は、「Cetiol 1414E」と組み合わせると98%から99%だけ毒素生成の量を低減した。
【0109】
この処理の統計的分析は、「分散分析」的に「最小二乗平均」での2つ1組の比較を用いて実施された。2つ1組の比較は、標準的な「T−検定」と同等である。比較の結果は、「Cetiol」なしの成長、又は「Cetiol」の有無に関わらずベンジルアルコール単独又はマロン酸ベンジルエチルの存在下での成長よりも、「Cetiol」単独の存在下の成長が、黄色ブドウ球菌の成長の著しく大きな阻害をもたらすことを示した。マロン酸ベンジルエチル、及び「Cetiol」とベンジルアルコール又はマロン酸ベンジルエチルとの組合せの存在下の成長は、「Cetiol」単独の存在下又は添加剤なしでの成長に比較すると、著しい毒素生成の減少をもたらした。しかし、毒素生成の量は、これらの条件下で著しく減少したが、黄色ブドウ球菌の成長に対する効果は、たとえあったとしても最小限であった。
【実施例3】
【0110】
この実施例では、黄色ブドウ球菌の成長及びTSST−1の生成に対するベンジル−(−)−乳酸塩(「Aldrich 42」、484−6)(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・コーポレーション)の効果が判断された。試験化合物の効果は、実施例1のように10mLの成長培地内に%(v/v)で表される望ましい濃度を配置することによって判断された。次に、化合物は、各試験が4通りに実施された以外は実施例1のように試験されて評価された。示す結果は、4つの数値の平均を表している。黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対する試験化合物の効果は、以下の表5に示されている。
【0111】
(表5)

【0112】
試験した濃度で、ベンジル−(−)−乳酸塩は、97%だけ毒素生成の量を低減した。また、データは、「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)と組み合わせると、ベンジル−(−)−乳酸塩の存在化下で、黄色ブドウ球菌MN8が、対照と比較してより少ないTSST−1を生成したことを示している。試験した濃度で、ベンジル−(−)−乳酸塩は、「Cetiol 1414E」と組み合わせると99%だけ毒素生成の量を低減した。
【0113】
この処理の統計的な比較は、実施例2で考察した方法によって実施された。比較の結果は、「Cetiol」単独、又は「Cetiol」及びベンジル−(−)−乳酸塩の存在下での成長が、「Cetiol」なしの成長又はベンジル−(−)−乳酸塩存在下での成長よりも黄色ブドウ球菌の成長の著しく大きな阻害をもたらすことを示した。ベンジル−(−)−乳酸塩、及び「Cetiol」とベンジル−(−)−乳酸塩との組合せの存在下の成長は、「Cetiol」単独の存在下又は添加剤なしの成長に比較すると、著しい毒素生成の減少をもたらした。
【実施例4】
【0114】
この実施例では、表面活性剤「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)と組み合わせたベンジル−(−)−乳酸塩の効果が、5×4格子状実験設計を用いて試験された。それによって黄色ブドウ球菌の成長及びTSST−1の生成に対する2つの試験化合物の相互作用の評価が可能であった。
【0115】
ベンジル−(−)−乳酸塩の5つの濃度(0.00、0.05%、0.13%、0.25%、及び0.50%)は、「Cetiol 1414E」の4つの濃度(10mM、5mM、2.5mM、及び0.0mM)と20チューブのアレイに組み合わされた。例えば、チューブ#1には、10mLの成長培地(実施例1で調製されたような)中に0.0mM「Cetiol 1414E」及び0.0%ベンジル−(−)−乳酸塩(w/v)を含有させた。チューブ#1−#20の各々には、ベンジル−(−)−乳酸塩及び「Cetiol」の固有の組合せを含有させた。溶液は、実験1のように試験されて評価された。黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対する試験化合物の効果は、以下の表6に示されている。
【0116】
(表6)

【0117】
「Cetiol 1414E」の全ての濃度で、ベンジル−(−)−乳酸塩は、TSST−1生成の阻害を増大する。この効果は、加法的であるように見える。
【実施例5】
【0118】
この実施例では、黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対するベンジルラウリン酸塩(米国ニュージャージー州フェアフィールド所在のペンタ・マニファクチャリング)の効果が判断された。試験化合物の効果は、実施例1のように10mLの成長培地内に%(v/v)で表される望ましい濃度を配置することによって判断された。次に、化合物は、実施例1のように試験されて評価された。黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対するベンジルラウリン酸塩の効果は、以下の表7に示されている。
【0119】
(表7)

【0120】
試験した濃度で、ベンジルラウリン酸塩は、62%から91%だけ毒素生成の量を低減した。試験した濃度で、ベンジルラウリン酸塩は、「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)と組み合わせると86%から90%だけ毒素生成の量を低減した。
【実施例6】
【0121】
この実施例では、市販のタンポン(米国ウイスコンシン州ニーナー所在のキンバリークラーク・ワールドワイド・インコーポレーテッドの「KOTEX super absorbency」)が、黄色ブドウ球菌MN8の成長及びTSST−1の生成に対する処理済みタンポンの効果を判断するためにベンジルアルコールで処理された。上述のように、市販のタンポンは、約0.75%(カバーを有する全タンポンの重量による)の「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)を含有することになる。実験の準備において、タンポンのヒモは切り取られ、綿撒糸は、ヒモ側の端部を下にして無菌の蓋をした50mLポリスチレン試験チューブ内に置かれた。
【0122】
綿撒糸は、「脳心臓注入培養液(BHI)」に溶解した5mLのベンジルアルコールの5つの濃度(0.0、0.3%、0.15%、0.075%、及び0.03%)で培養された。タンポン綿撒糸は、1時間にわたって室温で放置した。
【0123】
各綿撒糸は、次に、10.5mLの最終容積を達成するために5×106±1×106CFU/mLの黄色ブドウ球菌MN8を含有する5.5mLの植菌培養液で植菌された。チューブは、発泡栓(米国ニュージャージー州サウスプレーンフィールド所在のVWR・サイエンティフィック・プロダクツから獲得したジェース・インダストリーズ製の「IDENTI−PLUG」プラスチック発泡栓)で蓋をし、24時間37℃で培養した。綿撒糸は、培養器から除去し、50mLの無菌BHIを含有させた無菌「STOMACHER」バッグ(英国ノーフォーク所在のセワード・インコーポレーテッド)に個々に入れられた。次に、綿撒糸及び流体は、バッグ内で消化又は配合された。一定分量の流体が「STOMACHER」バッグから除去され、試験のために無菌チューブに入れられた。
【0124】
プレート計数標本が、標本をボルテックスすることによって準備され、5mLの標本を回収し、5mLを新しい無菌50mL遠心分離チューブに入れた。標本は、次に、「Virsonic600超音波セル分裂装置」(米国ニューヨーク州ガーディナー所在のバーチス・カンパニー)を用いて8%の出力電力で15秒間にわたって超音波分解された。全ての標本が超音波分解されると、mL当たりのコロニー形成単位(CFU)の数が、標準プレート計数手順を用いて判断された。
【0125】
TSST−1の分析の準備において、培養液は、5分間4℃9000rpmで遠心分離され、上澄みは、続いて0.2μM細孔径の0.45μmMCEフィルタを通して濾過滅菌された。得られた流体は、1.5mLポリプロピレンネジ蓋冷凍水薬瓶中で2つの1mL分割量で−70℃で冷凍された。
【0126】
mL当たりのTSST−1の量は、非競争サンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA)によって判断された。用いた方法は、以下の通りであった。すなわち、TSST−1(#606)、ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgG(LTI−101)、西洋ワサビペルオキシダーゼ共役ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgG(#LTC−101)、及び正常ウサギ血清(NRS)認証「抗TSST−1なし」(#NRS−10)の4つの試薬が、トキシン・テクノロジー・インコーポレーテッド(米国フロリダ州サラソタ)から購入された。62マイクロリットルの#LTC−101は、1:100の希釈が205nmで0.4の吸収度をもたらすように希釈され、続いて6.5mLのNa23緩衝剤、pH7.2、0.5M炭酸塩緩衝剤、pH9.6に加えられ、100μLの溶液が、ポリスチレンマイクロプレート(ヌンク−デンマークから入手可能、カタログ番号#439454)の内側ウェルの各々にピペットで取られた。プレートは、覆われて一夜37℃で培養された。
【0127】
非結合抗毒素は、リン酸緩衝生理食塩水(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニーから入手可能な0.016MのNa2HPO4)、pH7.2及び0.5%(v/v)「Tween 20」(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)を含有する0.9%(w/v)NaCl(米国ニュージャージー州サウスプレーンフィールド所在のVWR・サイエンティフィック・プロダクツ)を用いて、自動プレート洗浄機内で4回洗浄により除去された。プレートは、上述のNa2CO3プラスNaHCO3緩衝剤中でウシ血清アルブミン(BSA)分画V(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニー)の1%(w/v)溶液の100μLで処理された。プレートは、再度覆って1時間にわたって37℃で培養された。非結合BSAは、250μLの「PBS−Tween」の6回洗浄によって除去された。
【0128】
試験標本は、次に、室温で15分間正常ウサギ血清(10%(v/v)濃度)で処理された。TSST−1規準標準液(連続的に「PBS−Tween」で2−20ng/mLに希釈された)及びNRS処理試験標本(得られるTSST−1濃度が2−20ngであるように、「PBS−Tween」で連続的に希釈された)が、これらのそれぞれのウェルに対して100μL容積だけピペットで取られた。次に、標本は、37℃で2時間培養され、次に、非結合毒素は、250mL「PBS−Tween」の4回洗浄で除去された。西洋ワサビペルオキシダーゼ共役ウサギポリクローナル「抗TSST−1」IgGは、製造業者の使用説明書に従って希釈された。共役物の最終使用希釈液は、非希釈、1:2、及び1:4の希釈の共役物を有するTSST−1規準標準液の移動標準曲線によって判断された。従来のロットの共役物に最も匹敵する結果を示す希釈液が選択された。100μL容積のこの希釈液は、各マイクロタイターウェルに加えられた。プレートは、覆われて1時間にわたって37℃で培養された。
【0129】
培養に続いて、プレートは、250μLの「PBS−Tween」で6回洗浄された。洗浄に続いて、ウェルは、0.015Mのクエン酸ナトリウム、pH4.0、0.6mMの2、2’−アジノ−ビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩、及び0.009%(v/v)過酸化水素(全て米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・ケミカル・カンパニーから入手可能)から成る100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ基質溶液で処理された。各ウェルの呈色反応の強度は、「VersaMax分子素子マイクロプレート」読取器(外径405nm)及び「SoftMax Pro」ソフトウエア(両方ともモレキュラー・デバイシズ・インコーポレーテッドから入手可能)を用いて経時的に値が求められた。試験標本中のTSST−1濃度は、各分析手順に対する規準毒素回帰方程式から導き出された。
【0130】
黄色ブドウ球菌によるTSST−1の生成を阻害するベンジルアルコールの有効性は、以下の表8に示されている。
【0131】
(表8)

【0132】
本発明によれば、データは、「Cetiol 1414E」だけを含有する対照タンポンと比較すると、黄色ブドウ球菌MN8が、ベンジルアルコール及び「Cetiol 1414E」(ミレス−3−ミリスチン酸塩)の両方を含有するタンポンの存在化下で、より少ないTSST−1を生成したことを示している。試験した濃度で、ベンジルアルコールは、8%から50%だけ毒素生成の量を低減した。
【実施例7】
【0133】
この実施例では、様々な試験化合物の一体性に対する黄色ブドウ球菌MN8の成長の効果が、黄色ブドウ球菌MN8によって生成された酵素によって引き起こされた試験化合物の分解の量を測定することによって判断された。試験化合物は、望ましい濃度で無菌の500mLの「Corning Fleaker」(米国ペンシルベニア州ピッツベリー所在のフィッシャー・サイエンティフィック)中の100mLの成長培地に入れられた。成長培地及び接種材料は、実施例1のように調製された。
【0134】
試験される化合物には、0.2%(v/v)ベンジルアルコール(「Aldrich 40」、283−4)、0.5%(wt/v)安息香酸ナトリウム、0.3%(v/v)ベンジル−(−)−乳酸塩(「Aldrich 42」、484−6)、0.8%(v/v)マロン酸ベンジルエチル(「Aldrich 30」、069−1)、及び0.3%(wt/v)N−ベンジル−DL−ロイシン(Sigma B−1504)を含めた。試験化合物は、望ましい最終濃度を得るために必要な量で成長培地に加えられた。
【0135】
各「fleaker」は、上述のように求めた接種材料の量を植菌された。「fleaker」は、無菌アルミニウム箔で蓋をし、180rpmで「Lab−Line」環状水槽(米国イリノイ州マクゴーパークの所在のVWR・サイエンティフィック・プロダクツから入手可能)において大気中の空気の35℃で培養された。15ミリリットル標本は、3、6、9、及び24時間で除去された。培養液の最適密度(595nm)が判断され、24時間で収集された培養液は、標準プレート計数手順を用いて黄色ブドウ球菌MN8のコロニー形成単位の数が分析された。試験化合物は、試験された濃度で黄色ブドウ球菌の成長を阻害しなかった。
【0136】
試験化合物の一体性の分析の準備において、培養液は、15分間2−10℃3000rpmで遠心分離された。上澄みは、0.45μM細孔径の「AUTOVIAL 5」シリンジレスフィルタ(米国ニュージャージー州クリフトン所在のワットマン・インコーポレーテッドから入手可能)を通して濾過滅菌された。得られた流体は、化学分析を実施することができるまで「FISHERBRAND」(12mm×75mm)ポリスチレン培養チューブ(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ所在のフィッシャー・サイエンティフィック)において−70℃で冷凍された。
【0137】
「Agilent Technologies 5973N GC/MS」を用いて、分析は、試験化合物を分解する黄色ブドウ球菌MN8の機能を評価するために3、6、9及び24時間で非希釈溶液に関して実施された。分析に基づくと、試験化合物を加えていなかった対照標本は、全ての時間間隔で殆ど酢酸を含んでいた。安息香酸及びベンジルアルコールを含有する標本は、主な化合物としてそれぞれ安息香酸及びベンジルアルコールを有することが見られたが、安息香酸及びベンジルアルコール濃度は、時間と共に減少した。試験化合物としてN−ベンゾイル−DL−ロイシンを含む標本は、主な化合物として安息香酸を含有するのが見られ、濃度は、時間と共に低減した。
【0138】
試験化合物としてベンジル−(−)−乳酸塩を含む標本は、主な化合物としてベンジルアルコールを含有するのが見られた。更に、ベンジルアルコールの濃度は、時間と共に減少するのが見られた。最後に、試験化合物としてマロン酸ベンジルエチルを含む標本は、主な化合物としてベンジルアルコールを含有するのが見られた。更に、ベンジルアルコールの濃度は、時間と共に増加することが見られた。
【0139】
本発明によれば、上述のGC/MS分析は、前駆体化合物が、黄色ブドウ球菌MN8によって生成される酵素によって分解されて活性種を生成することを示している。更に、前駆体化合物は、活性種による外来蛋白質生成の長時間持続する連続的な阻害を可能にするために時間と共に徐々に分解されることを見ることができる。
【0140】
6時間及び24時間標本の追加分析が、液体クロマトグラフィーによって行われた。クロマトグラフィーの準備において、標本は、水で10倍希釈された。次に、希釈液は、分離を達成するためにイオン排除コラムを用いて分析された。化合物の検出は、230nmにおけるUV吸収を通して達成された。
【0141】
本発明によれば、試験化合物の液体クロマトグラフィー分析は、化合物が、24時間の期間にわたって分解されて活性種、安息香酸、及びベンジルアルコールになることを示している。より詳細には、0.3%N−ベンゾイル−DL−ロイシンを含有する6時間及び24時間標本は、化合物が安息香酸に分解する証拠を示している。更に、ベンジル−(−)−乳酸塩及びマロン酸ベンジルエチルを含有する6時間及び24時間標本は、化合物がベンジルアルコールに分解する証拠を示している。更に見ることができるように、ベンジル−(−)−乳酸塩及びマロン酸ベンジルエチルを含有する24時間標本は、6時間標本に比較してベンジルアルコールのレベルの上昇の証拠を示している。
【0142】
以上に鑑みて、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られたことが分るであろう。
【0143】
本発明又はその好ましい実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、[an」、「the」、及び「said」は、1つ又はそれよりも多くの要素があることを意味するものとする。用語「comprising」、「including」、及び「having」は、包含的であり、列挙する要素以外の付加的な要素があり得ることを意味するものとする。
【0144】
本発明の範囲を逸脱することなく上記において様々な変更を行うことができると考えられるので、上述の説明に含み添付図面に示した全ての内容は、制限的な意味はなく例示的に解釈されるべきであることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための外来蛋白質抑制具であって、
膣内への挿入に適した非吸収性基体を備え、
前記非吸収性基体には、一般式:
【化1】

を有する前駆体化合物の有効量が付着され、
ここで、R1は、
【化2】

及び
【化3】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択されるものであり、
加水分解すると、前記前駆体化合物は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる、
ことを特徴とする抑制具。
【請求項2】
5は、1から15の炭素原子を有するヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい一価の飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であることを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項3】
2は、H及びOHから成る群から選択され、R3及びR4は、単独でHであることを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項4】
ミレス−3−ミリスチン酸塩、グリセロールモノラウレート、及びラウレス−4から成る群から選択された表面活性剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項5】
前記前駆体化合物は、ベンジル−(−)−乳酸塩、マロン酸ベンジルエチル、ベンジル−ラウリン酸塩、安息香酸ベンジル、ベンジルパラベン、サリチル酸ベンジル、及びフェノキシエチルパラベンから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項6】
前記前駆体化合物は、約0.15%(前記非吸収性基体の重量による)から約2.0%(該非吸収性基体の重量による)までの量で存在することを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項7】
6は、アミノ酸であり、
前記アミノ酸は、バリン、ロイシン、及びシステインから成る群から選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項8】
前記前駆体化合物は、n−ベンゾイル−dl−バリン、n−ベンゾイル−dl−ロイシン、及びn−ベンゾイル−dl−システインから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項9】
前記非吸収性基体は、非吸収性失禁装置、バリア避妊装置、非吸収性避妊装置、タンポンアプリケータ、及び膣洗浄器具から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項10】
膣洗浄製剤を含む膣洗浄器具として構成され、
前記前駆体化合物が、約0.2ミリモル/リットルから約50ミリモル/リットルまでの量で前記膣洗浄製剤に存在する、
ことを特徴とする請求項9に記載の外来蛋白質抑制具。
【請求項11】
グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するための吸収性物品であって、
吸収性構造体と、
一般式:
【化4】

を有する前駆体化合物の有効な量と、
を含み、
【化5】

及び
【化6】

から成る群から選択され、R7は、−OCH2−であり、Xは、0又は1であり、R5は、ヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい置換又は非置換芳香環又は一価の飽和又は不飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であり、R6は、アミノ酸、アミノ酸のメチルエステル、及びアミノ酸のエチルエステルから成る群から選択され、R2、R3、及びR4は、H、OH、COOHから成る群から独立に選択されるものであり、
加水分解すると、前記前駆体化合物は、グラム陽性細菌からの外来蛋白質の生成を阻害するのに有効な活性種を生成することができる、
ことを特徴とする物品。
【請求項12】
5は、1から15の炭素原子を有するヘテロ原子で置換しても置換しなくてもよい一価の飽和、置換又は非置換、分鎖又は直鎖ヒドロカルビル部分であることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
2は、H及びOHから成る群から選択され、R3及びR4は、単独でHであることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項14】
ミレス−3−ミリスチン酸塩、グリセロールモノラウレート、及びラウレス−4から成る群から選択された表面活性剤を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記前駆体化合物は、ベンジル−(−)−乳酸塩、マロン酸ベンジルエチル、ベンジル−ラウリン酸塩、安息香酸ベンジル、ベンジルパラベン、サリチル酸ベンジル、及びフェノキシエチルパラベンから成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記前駆体化合物は、約0.15%(前記吸収性構造体の重量による)から約2.0%(該吸収性構造体の重量による)までの量で存在することを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項17】
6は、アミノ酸であり、
前記アミノ酸は、バリン、ロイシン、及びシステインから成る群から選択される、
ことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記前駆体化合物は、n−ベンゾイル−dl−バリン、n−ベンゾイル−dl−ロイシン、及びn−ベンゾイル−dl−システインから成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項19】
膣タンポン、生理用ナプキン、パンティライナ、失禁用下着、避妊用スポンジ、おむつ、創傷包帯、歯科用タンポン、医療用タンポン、外科用タンポン、及び鼻用タンポンから成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項20】
吸収性タンポン材料とカバー材料とを備えた膣タンポンを含み、
前記前駆体化合物は、前記カバー材料上に少なくとも約2.6%(該カバー材料の重量による)から約35%(該カバー材料の重量による)までの量で存在する、
ことを特徴とする請求項19に記載の吸収性物品。

【公表番号】特表2008−514698(P2008−514698A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534582(P2007−534582)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/028366
【国際公開番号】WO2006/038980
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】