説明

外観検査方法および装置

【課題】処理に必要な資源を抑える技術を提供することにある。
【解決手段】照明ユニット30の点灯状態に応じて、増幅制御ユニット62が増幅器60による画像信号の増幅率を調整することにより、複数の検査用画像の光量を平衡させる。したがって、複数の検査用画像に対する画像処理を円滑化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外観検査技術に関する。この発明はとくに、被検査体を走査して画像を取得し、被検査体の外観の検査を行う外観検査方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ITブームを支えるハードウエアは、インフラとしてのインターネットと、端末としてのPC、PDA、携帯電話などの情報機器に大別することができる。後者、すなわち各種端末が爆発的に普及した背景には、技術革新による商品の小型化と低価格化の寄与するところが大きく、それらを高集積度設計が支えている。
【0003】
高集積度設計を実現する要素には、各種設計ツールの充実、半導体技術の進歩のほかに、高密度実装技術が挙げられる。高密度実装のポイントは、製造技術および検査技術にある。最近、実装密度の高さのために、非接触型、とくに画像認識技術を用いた外観検査装置の需要が伸びている。
【0004】
外観検査に画像認識技術を用いるという考え方自体は非常に古くから知られている。しかし、コンパクトな基板でも数百から千を超える部品が実装されていることが多い今日の状況下、検査画像に求められる解像度は非常に高い。例えば20ミクロン前後の解像度を考える場合、部品の実装に比べて、検査のための時間が非常に大きくなり、これが激烈な商品開発競争にあって、非常に大きな足かせになりつつある。
【0005】
こうした状況下、本出願人は先に、特開平8−254500号公報において、ラインセンサを搭載した外観検査装置を提案した。この装置は、当時一般的であった側方照明源のほかに落射照明源を設け、試験項目に応じてこれらの切替を行っている。その趣旨は以下のとおりである。
【0006】
いま、図1を被検査体である基板1とする。図2(a)、図2(b)はそれぞれ側方光6aと落射光6bの効果を示す。図2(a)のごとく、側方光6aの反射光8aは、部品2の水平面については斜め上方へ向かい、ハンダ4が正しく盛られた傾斜部分については一部が垂直上方へ向かう。一方、図2(b)のごとく、落射光6bの反射光8bは、部品2の水平面においてほぼ全反射し、垂直上方へ向かうが、前記の傾斜部分についてはそうならない。
【0007】
図3(a)、図3(b)は、それぞれ側方光6a、落射光6bにより、基板1の垂直上方に設けられたCCDセンサによって得られた画像を示す。図3(a)のごとく側方光6aによれば、コピーマシンのような画像が得られ、部品のリード部分のブリッジ、すなわちハンダが複数のリードをショートさせる実装不良や部品の極性マークの判定が比較的容易である。一方、図3(b)のごとく落射光6bによれば、強いコントラスト画像が得られ、立体物の輪郭部分やハンダの傾斜部分が黒く写る。したがって、部品の位置ずれや欠品の他、ハンダが正しく部品の電極やリードに付いているかどうかの判定が比較的容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここ数年、部品にその型番その他の文字や数字(以下単に型番という)をレーザで刻印することが増えている。レーザで刻印された型番は、その部分の凹凸がほとんどなく、従来の外観検査装置では一般に型番の確認が困難になりつつある。そのため、搭載部品自体の特定のほか、その部品の属性、すなわち抵抗値、容量、極性などの検査が困難になる傾向がある。本発明者による実験においても、前述の側方光を用いた検査でもレーザ刻印の確認は難易度が高いことがわかった。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品の刻印を適切に確認できる外観検査技術の提供にある。この際、前述した一般的課題である処理速度の向上にも配慮する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、外観検査方法に関する。この方法は、照明源の点灯状態を切り替えることにより、異なる照明状況下にて被検査体を撮影し、複数の検査用画像を取得する方法において、照明源の点灯状態に応じて、画像の取得または処理の工程における信号の増幅率を調整することにより、複数の検査用画像の光量を平衡させる。ここで、「光量を平衡させる」とは、光量を所定の範囲内に収めるようにすることをいう。したがって、複数の検査用画像に対する画像処理、例えば、画像中のエッジ検出処理、画像における明暗部の判断処理等を共有でき、または円滑化できる。
【0011】
被検査体の上面に対し、最も浅い角度で光を投ずる照明状況下にて検査用画像を撮影する際に、増幅率を最も高めるようにしてもよい。ここで、「浅い角度」とは、被検査体の上面に対する入射角が90度に近いことを示す。これにより、他の検査用画像との光量を適切に平衡させることができる。
【0012】
また、本発明の別の態様も、外観検査方法に関する。この方法は、照明源の点灯状態を切り替えることにより、異なる照明状況下にて被検査体を撮影し、複数の検査用画像を取得する方法において、照明源の点灯状態としてオン、オフの定常状態を設定するだけでなく、オンの状態の中に所定のデューティ比でオフの時間を設けることによって光量を調整し、複数の検査用画像の光量を平衡させる。
【0013】
一次元センサの走査方向と垂直の方向に、一次元センサと被検査体とを相対的に移動させながら、前記照明源の点灯状態を走査ライン単位で順次切り替えることによって検査体用画像を走査ライン単位で取得するようにし、その走査ライン単位で、複数の検査用画像の光量を平衡させる処理を順次切り替えて行うようにしてもよい。ここで、同一の照明源の点灯状態である複数の走査ライン単位により得られる画像を1つの「検査用画像」とよぶ。よって、照明源の点灯状態を走査ライン単位に順次切り替える場合には、「複数の検査用画像」が得られる。この態様によれば、光量の平衡による処理の円滑化に加え、複数の検査用画像の同時取得による検査時間の短縮が実現する。
【0014】
本発明の別の態様は、外観検査装置に関する。この装置は、照明源の点灯状態を切り替えることにより、異なる照明状況下にて被検査体を撮影し、複数の検査用画像を取得するものであり、照明源として落射照明源と側方照明源を設け、側方照明源の点灯状態を、通常の側方試験用の第1モードと、より浅い角度からの光のみが投じられるよう、その下部のみが点灯する第2モードとに設定可能に構成したことを特徴とする。これによって、被検査体上の細かな凹凸部分、例えば、実装された部品の刻印を把握しやすい画像を取得できる。
【0015】
被検査体の表面には、刻印がされており、第2のモードにて撮影された検査用画像に基づいて、被検査体の表面の刻印(以下、刻印された文字やマークを単に「印」という)を読み取り、所定の印と一致するか否かを判定する解析ユニットをさらに有するようにしてもよい。これによって被検査体に実装された部品上の刻印に基づいて、被検査体に正当な部品が実装されているか否かを適切に検査できる。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明を方法、システム、コンピュータプログラムなどとして表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外観検査装置の検査可能事項を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】被検査体の例である基板の外観図である。
【図2】図2(a)、図2(b)はそれぞれ、側方試験における側方光、落射試験における落射光およびそれらの反射光の方向を示す図である。
【図3】図3(a)、図3(b)はそれぞれ、側方試験、落射試験において得られる画像の例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る外観検査装置の全体構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る試験ユニットの詳細斜視図である。
【図6】照明ユニットを含む走査ユニットの側面図である。
【図7】図7(a)、図7(b)、図7(c)は、それぞれ、落射試験、側方試験、低側方試験の際の照明の点灯または消灯状態を示す図である。
【図8】低側方試験の照明が基板に実装された部品に照射された状態を示す図である。
【図9】増幅制御ユニットによる制御の内容を説明する図である。
【図10】落射試験と側方試験をインターリーブして行う手順を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る外観検査装置の全体構成図である。
【図12】第2の実施形態に係る点灯状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図4は、実施の形態に係る外観検査装置10の構成を示す。この装置は、被検査体の検査面をラインセンサで走査して画像を形成し、画像認識によって部品実装状態の合否を判定するものである。ラインセンサによる走査方向と垂直に被検査体を流すことで順次ラインごとの画像がえられる。
【0020】
図4のごとく、外観検査装置10は、メインユニット12と試験ユニット14を備える。試験ユニット14の下部にはコンベア22が設けられ、被検査体である基板1が把持された状態で、例えば、他の工程から一定の速度で流れてくる。試験ユニット14の上部には、走査ヘッド16が設けられている。
【0021】
走査ヘッド16は照明ユニット30、レンズ32およびラインセンサ34を有する。これらの部材はフレーム36上に固定されている。照明ユニット30は、後述の落射照明源、側方照明源、ハーフミラーなどを内蔵する。基板1から垂直上方への反射光はハーフミラーでレンズ32へ導かれ、レンズ32を通過した後、一次元CCDセンサであるラインセンサ34へ入力される。ラインセンサ34はライン単位に基板1を走査してその画像データ54を出力する。
【0022】
メインユニット12は、本装置全体を統括的に制御するもので、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた外観検査機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
メインユニット12のヘッド制御ユニット40はまず、照明制御信号50を照明ユニット30へ出力し、試験の内容に応じて異なる点灯状態を実現する。ヘッド制御ユニット40はさらに、増幅制御信号66を増幅制御ユニット62へ、試験開始信号56をメモリ制御ユニット42へそれぞれ出力する。増幅制御ユニット62は、増幅器60により、後述するように複数の試験で得られた画像の光量が平衡するように画像データ54を増幅する。増幅器60で増幅された画像データは、アナログ・ディジタル変換器64(A/D変換器)で、ディジタル形式に変換されてメモリ44に供給される。試験が異なっていても光量が平衡するように調整されているので、それぞれを適切にディジタル変換できる。一方、試験開始信号56を参照し、メモリ制御ユニット42はメモリ44へのディジタル形式の画像データの書込を制御し、以降、画像データがライン単位で記録されていく。
【0024】
解析ユニット46は、走査と並行して、または走査完了後にメモリ44から画像データを読み出し、判定基準記憶部48に予め記録された判定基準に照らして、検査項目ごとに合否を判断する。本実施形態では、複数の試験により得られた画像の光量が平衡しているので、例えば、エッジ検出や、画像中の明暗判定等を同一または類似の処理にて判断できる。ここで、検査項目として、落射照明を用いる試験(落射試験という)による部品の位置ずれ、欠品、ハンダのヌレの判定など、側方照明を用いる試験(側方試験という)によるハンダブリッジの有無、実装部品の間違い、極性の反転の判定など、側方照明の下方の照明を用いる試験(低側方試験という)による実装部品の間違い判定などがある。判定基準記憶部48には予め検査すべき基板1の部品実装について、合否に関する判断基準または基準画像が記録され、実際にラインセンサ34で取得された画像にそれらの基準または画像を適用して合否判定が行われる。
【0025】
図5は試験ユニット14の斜視図、図6は試験ユニット14を走査方向110から見た模式図である。照明ユニット30は落射照明源100と側方照明源102を有し、これらがハーフミラー108を取り囲んでいる。落射照明源100とハーフミラー108にはレンチキュラーシート106が間挿され、落射光はレンチキュラーシート106、ハーフミラー108を通過して基板1の検査面へ入射角がほぼゼロで投じられる。側方照明源102の下にはアクリルシート104が設けられる。この実施の形態では落射照明源100に幅をもたせており、基板1が反ったときでも入射角がゼロになるような落射光成分が存在するよう配慮している。
【0026】
図6のごとく、落射照明源100は中央からふたつのサブ基板100a、100bに分かれ、それぞれ走査方向110にLED(発光ダイオード)群をもつ。これらのサブ基板100a、100bは微妙に内側を向け合う形で接続され、それぞれのLED群が効率的に検査中のライン112へ落射光を投ずる配置とされている。
【0027】
一方、ふたつの側方照明源102は、3列のLED群をもつ高側方照明源102aと、1列のLED群をもつ低側方照明源102bとを有し、落射照明源100同様、前記ライン112へ効率的に側方光を投ずるよう傾斜がつけられている。前記ライン112からの反射光はハーフミラー108で反射し、レンズ32へ向けられる。これを図5で示せば、落射照明源100内のある点Pからの落射光L1は基板1上の点Q付近で反射し、反射光L2がハーフミラー108で再度反射し、その反射光L3がレンズ32へ入射する。なお、落射照明源100の中央に近い2列のLED群と、それ以外の4列のLED群は、それぞれ独立に点灯制御可能なよう、図示しない電源が別系統になっている。また、高側方照明源102aと、低側方照明源102bとは、それぞれ独立に点灯制御可能なよう、図示しない電源が別系統になっている。
【0028】
アクリルシート104は、側方照明源102からの側方光を拡散する。側方照明源102は点光源であるLEDの集合体であるため、拡散作用がないと、スポット的な光が画像データへ写り込んで検査精度に悪影響を及ぼす懸念がある。一方、レンチキュラーシート106は、走査方向110について落射光を基板1に垂直な成分に絞り込むよう作用する。なお、落射光に関する拡散作用はレンチキュラーシート106によって実現される。
【0029】
図7(a)、図7(b)、図7(c)は、それぞれ落射試験時、側方試験時、低側方試験時に点灯させるLED群を斜線で示している。まず落射試験の際、落射照明源100全体が点灯され、落射光160が基板1の垂直上方から投じられる。落射照明源100に駆動方向の幅を持たせることで基板1の反りまたはたわみに対応している。
【0030】
第1のモードである側方試験の際、側方照明源102全体を点灯して側方光162を投ずると同時に、落射照明源100の外側のLED群を点灯させ、補助光164を投じている。図2(a)、図2(b)からもわかるとおり、落射照明源100と側方照明源102が同等の明るさの場合、ラインセンサ34に検知される側方光6aからの反射光8aは、落射光6bからの反射光8bよりも暗い。そこでこれを補償するために、図7(b)のごとく、落射照明源100の外寄りの領域を点灯させる。これでも光量が平衡しないことが多いため、本発明による光量平衡処理は有用である。なお、補助光164は側方光162と異なる角度から投じられるため、側方試験で本来的に望ましい状態、すなわち撮影部の全周囲から均一に光を照射する状態に近づく。
【0031】
第2のモードである低側方試験の際、側方照明源102の低側方照明源102bを点灯して低側方光166を投じる。これにより、基板1に対してより浅い角度で光を投じることができる。
【0032】
図8は、低側方試験の照明が基板に実装された部品に照射された状態を示す図である。ここで、部品2の表面の一部には、例えば、レーザにより印3が刻まれているものとする。図8に示すように、部品2の印3以外の部分においては、低側方光166の反射光166aは、ほとんどが斜め上方へ向かう。本実施形態では、側方光166を基板に対して浅い角度で投じるため、反射光がラインセンサ34へほとんど導かれない。一方、部品2の印3の部分において、低側方光166の反射光166bは、一部が垂直上方へ向かい、ラインセンサ34へと導かれる。よって、部品2の印3の画像をより適切に取り込めることが実験でも確認されている。
【0033】
図9は、増幅制御ユニット62による制御の内容を説明する図である。増幅制御ユニット62は、各試験ごとに増幅器60による画像データの増幅率をかえて、得られる画像データの光量を平衡させる。本実施形態では、ヘッド制御ユニット40のからの通知により、落射試験の場合には、増幅器60によるゲインを「100」に設定し、側方試験の場合には「70」に設定し、低側方試験の場合には、反射する光量が最も少ないので、増幅器60によるゲインを最大の「250」に設定している。これらの数値は相対値であるが、例えば「100」を標準ゲインと考えてもよい。なお、増幅率が大きいときはノイズ成分が見えてくるので、ここではオフセットを一例として電圧値で設定している。
【0034】
図10は、落射試験、側方試験、低側方試験とをインターリーブして行う処理動作を示すフローチャートである。ここでは、落射光の点灯と、側方光および補助光の点灯と、低側方光の点灯とをインターリーブして行い、基板1が走査ヘッド16下を通過する間に落射試験用、側方試験用、および低側方試験用の画像を個別かつ一度に形成する。なお、このために、外観検査装置10による画像解像度は十分に高く、前記画像を数ラインおきに取得しても十分検査目的に耐えるとする。
【0035】
まず、コンベア22上を流れてくる基板1が所定の位置にくるまで待機し(S10)、所定の位置にきた場合、落射光のもと1ラインの走査が実施され(S12)、その画像データが増幅され、A/D変換され、メモリ44へ書き込まれる(S14)。そして、基板1の検査すべきエンド位置であるか否かが判定される(S16)。エンド位置でなければ(S16のN)、落射試験モードから次の順番の側方試験モードへ切替が行われ(S18)、側方光と補助光のもと次の1ラインの走査、メモリ44への書込(S12、S14)が行われ、再びエンド位置であるか否かが判定される(S16)。エンド位置でなければ(S16のN)、側方試験モードから次の順番の低側方試験モードへ切替が行われ(S18)、低側方光のもと次の1ラインの走査、メモリ44への書込(S12、S14)が行われる。このように、基板1がエンド位置にくるまでS12からS18の処理が繰り返され、各試験による複数の画像が形成される。3N+1番目(N=0,1,2・・・)のラインの画像は、落射光によって形成される落射試験の画像であり、3N+2番目(N=0,1,2・・・)のラインの画像は、側方光および補助光によって形成される側方試験の画像であり、3N番目(N=1,2・・・)のラインの画像は、低側方光によって形成される低側方試験の画像である。
【0036】
基板1がエンド位置にくれば、処理はS16のYからS20へ進み、各項目に関する検査が行われる。解析ユニット46はメモリ44から落射試験モード時に得られた画像を読み出して落射試験項目を検査し、つづいて側方試験モード時に得られた画像を読み出して側方試験項目を検査し、さらに、低側方試験モード時に得られた画像を読み出して低側方試験項目を検査する。合否判定のための基準その他の情報は判定基準記憶部48から読み出され、利用される。検査が終わると結果が表示される。このインターリーブ方式によれば、走査ヘッド下に基板1を1度通過させることにより複数の試験の画像を取得でき、検査時間の短縮が実現する。
【0037】
次いで、検査処理を終了するか否かが判断され(S22)、終了する場合(S22のY)、一連の処理から抜ける。一方、コンベア22上を流れてくる後続の基板1に対する検査処理を続ける場合(S22のN)、その基板1に対してS10からS20の処理を行う。このように、順次流れてくる基板1に対して検査処理を引き続き行うことができる。
【0038】
図11は、第2の実施の形態に係る外観検査装置の全体構成図である。なお。同図において図4に示す外観検査装置と同等の構成には同一の符号を付し、異なる部分を説明する。ヘッド制御ユニット70は、照明制御信号50を照明ユニット30へ出力し、試験の内容に応じて異なる点灯状態を実現する。本実施形態では、照明ユニット30の照明源の点灯状態としてオン、オフの定常状態を設定するだけでなく、オンの状態の中に所定のデューティ比でオフの時間を設けることによって光量を調整する。これによって、ラインセンサ34から得られる複数の試験による各検査用画像の光量を平衡させる。
【0039】
図12は、第2の実施形態に係る点灯状態を説明する図である。
本実施の形態では、ヘッド制御ユニット70は、基板1の検査すべきラインが走査ヘッド16下にきたときから、250μs(マイクロ秒)ごとに、図7(a)に示す落射照明、図7(b)に示す側方照明、図7(c)に示す低側方照明の順に照明可能な状態に制御する。ここで、250μsは、コンベア22により1ライン分移動する時間の一例である。
【0040】
ヘッド制御ユニット70は、落射照明可能な状態のときそれを100μs間点灯させ、側方照明可能な状態ときそれを70μs間点灯させ、低側方照明可能なときそれを250μs間フル点灯させる。このように、反射光の強弱をうち消すように点灯時間を変えることにより、ラインセンサ34に取り込まれる複数の試験の画像光量を平衡させる。
【0041】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0042】
例えば、実施の形態では、コンベア22は、製造ラインから基板1にセットする構成としてもよい。
【0043】
実施の形態では、画像をメモリ44に格納する際、すなわち画像取得工程において信号の増幅率を調整したが、本発明はこれに限られず、メモリ44に格納されたデータを処理する工程において増幅率を調整してもよい。
【0044】
実施の形態では、走査ヘッド16を移動させずに基板1を移動させて画像を取得していたが、本発明はこれに限られず、基板1を移動させずに、走査ヘッド16を移動させて画像を取得するようにしてもよく、要は、走査ヘッド16と基板1とを相対的に移動させて画像を取ればよい。
【0045】
実施の形態では、被検査体として基板1を考えたが、外観検査装置10の適用はそれには限られない。例えば、BGA(Ball Grid Array)タイプのLSIのピンの検査をはじめ、落射試験、側方試験および低側方試験の組合せに意味のある検査に広く適用できる。
【0046】
実施の形態では落射照明源100と側方照明源102を別構成としたが、一体構成としてもよい。落射照明源100と側方照明源102の間に空隙がある必要はなく、ハーフミラー108からレンズ32へ向かう光路が確保できる限りいろいろな設計が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 基板、 10 外観検査装置、 12 メインユニット、 14 試験ユニット、 16 走査ヘッド、 30 照明ユニット、 34 ラインセンサ、 40 ヘッド制御ユニット、 42 メモリ制御ユニット、 44 メモリ、 46 解析ユニット、 60 増幅器、 62 増幅制御ユニット、 64 A/D変換器、 100 落射照明源、 102 側方照明源、 110 走査方向、 160 落射光、 162 側方光、 164 補助光、 166 低側方光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明源の点灯状態を切り替えることにより、異なる照明状況下にて被検査体を撮影し、複数の検査用画像を取得する方法において、
前記照明源の点灯状態としてオン、オフの定常状態を設定するだけでなく、オンの状態の中に所定のデューティ比でオフの時間を設けることによって光量を調整し、前記複数の検査用画像の光量を平衡させることを特徴とする外観検査方法。
【請求項2】
当該外観検査方法は、
一次元センサの走査方向と垂直の方向に、一次元センサと被検査体とを相対的に移動させながら、前記照明源の点灯状態を走査ライン単位で順次切り替えることによって検査体用画像を走査ライン単位で取得するものであり、
その走査ライン単位で、前記複数の検査用画像の光量を平衡させる処理を順次切り替えて行うことを特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−209296(P2011−209296A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136676(P2011−136676)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2001−73075(P2001−73075)の分割
【原出願日】平成13年3月14日(2001.3.14)
【出願人】(595039014)株式会社サキコーポレーション (31)
【Fターム(参考)】