説明

外観検査装置と基板の外観検査方法

【課題】基板の導通貫通孔の信頼性を確保するため、電気を用いた導通検査のみでなく、画像処理を用いた外観検査を行うことで、欠損や断線しかかり等の異常の検出を行い、信頼性の高い導通貫通孔を備えた基板を選別して提供する。
【解決手段】基板の貫通孔の形成方向に対して所定角度から前記貫通孔へ光を照射する照明手段と、前記照明手段の反対側に貫通孔の形成方向に対して所定角度で設置された撮像手段と、画像処理手段とを備えた外観検査装置を用いてスルーホール等の貫通孔の外観検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を撮像して得られた、画像データを画像処理することにより検査対象物について所定の検査を行う外観検査装置基板の外観検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来プリント配線板の導通検査としては、プリント配線板の両端に検査用パッドを設け、これらのパッドに検査用プローブを接触させ、検査したい箇所を順次切換えながら電流を流し、断線や短絡(ショート)を検査していた。
【0003】
しかしながら、上記の方法においては、検査段階で完全に断線、および短絡しているものについては欠陥を発見することができるが、図4に示すような、ひげ状の導体21が隣接する導体20に近づいている場合、あるいは図5に示すように導体22が断線しかかっている場合は、それを発見し、取り除くことが困難となり、電子機器を使用中に断線や短絡に至る可能性もあった。
【0004】
そこで、外観検査装置により、図4、図5に示すような導体を検出し、選別することによって、対応していた。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平4−136747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
絶縁基板上に形成された導体パターンの外観検査においては、従来の方法で対応することも可能であるが、図6に示すスルーホール17の外観検査は、従来の検査装置で対応するのが困難であった。
【0007】
そこで従来においては、プリント基板のスルーホールの保障は電気検査による導通・絶縁保障のみとなり、外観検査においては、人為的に一穴ずつ目視にて行う方法しかなかった。
【0008】
ところが、上記従来の外観検査では内壁を検査するのに、基板を斜めにして検査を行うため検査がやりにくく、約1kgある板状の物を持ち上げて検査を行うのは、作業者に多大の負担を強いた状態になっていた。
【0009】
また、人為的な目視検査では、スルーホールの状態の不具合を完全に把握することが困難であり、外観検査装置を用いた検査方法が望まれていた。
【0010】
すなわち、電気検査ではスルーホールの導通検査は可能であるが、スルーホールが断線しかかった場合は、電気検査で欠損検出をすることは出来ない。
【0011】
特に、高信頼性を要求されるプリント基板においては、それらの欠損を確実に検出するために、画像処理を用いた検査方法でスルーホール欠損の検出を確実に行う必要がある。
【0012】
そこで従来は、スルーホール17の外観検査として、図7(a)に示すように、スルーホール17の内壁に入射光Lが入射できる角度に照明光源14をセットし、反射光Rを撮像手段15で画像を撮像する方法があった。
【0013】
しかしながら、このような外観検査装置での外観検査の場合、スルーホール17からの反射光Rのみでなく、ランド19からの反射光Rが表示され、図7(b)に示すようにスルーホール17とランド19では面積の多くをランド19が占めてしまう。この場合、スルーホール17の欠陥の面積が占める割合は僅かな比率となり、ランド19の仕上がり寸法のバラツキを考慮すると、欠陥の大きさがバラツキ内に吸収されて、欠損の有無の判定をすることができず、そのため検査をすることができないという問題があった。
【0014】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、基板の導通貫通孔(スルーホール)の信頼性を確保するため、電気を用いた導通検査のみでなく、画像処理を用いた外観検査を行うことで、欠損や断線しかかり等の異常の検出を行い、信頼性の高い導通貫通孔を備えた基板を選別して提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0016】
本発明の請求項1に記載の発明は、貫通孔を備えた基板を検査部へ搬送する搬送手段と、検査部に搬送された基板の貫通孔の形成方向に対して所定角度から前記貫通孔へ光を照射する照明手段と、検査部に搬送された基板を介して前記照明手段と反対側に撮像手段と、画像処理手段とを備え、前記撮像手段は、貫通孔の形成方向に対して所定角度で貫通孔からの反射光を撮像する位置に設置されていることを特徴とする外観検査装置というものであり、スルーホール状態の不具合を完全に把握することが可能な外観検査装置を提供することができ、これにより、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定することが可能となるという作用を有する。
【0017】
本発明の請求項2に記載の発明は、照明手段から照射される光は白色光であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、白色光には赤、緑、青の光の三原色が含まれており、スルーホール内のあらゆる状態に反射光として撮像手段へ反射することができる。これにより、スルーホール内の銅めっき被膜のみならず、プリフラックス塗布、はんだレベラー処理、ソルダレジストインキ等の異常等を把握することができるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項3に記載の発明は、照明手段は直線状の平行光源であり、撮像手段はラインセンサーカメラであることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、基板の搬送方向に垂直に位置する複数の貫通孔を同時に検査することができ、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項4に記載の発明は、照明手段の光を照射する所定角度は35〜37°の範囲であり、撮像手段が反射光を撮像する所定角度は7〜10°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、スルーホール状態の検出にバラツキなく、確実に行うことができるという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項5に記載の発明は、照明手段の光を照射する所定角度は36°であり、撮像手段が反射光を撮像する所定角度は9°であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、スルーホール状態の検出に最も適した設定条件を提供するものであり、これによりバラツキなく、確実に検査を行うことができるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項6に記載の発明は、画像処理手段は、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データと、予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データとを比較する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、これにより、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データ(良品データ)とを比較することにより、良品または不良品に判定することが可能となるという作用を有する。
【0022】
本発明の請求項7に記載の発明は、他の貫通孔内壁の画像データは、良品と判断される状態の貫通孔内壁の画像データであることを特徴とする請求項5に記載の外観検査装置というものであり、良品と判断される状態の貫通孔内壁を比較データとすることにより、良品または不良品の判定を容易に行うことができるという作用を有する。
【0023】
本発明の請求項8に記載の発明は、搬送手段は基板を水平に搬送するものであり、照明手段は搬送手段の下方、撮像手段は搬送手段の上方に備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置というものであり、基板を水平に搬送することにより、インライン化が可能となり、生産性が向上するという作用を有する。
【0024】
本発明の請求項9に記載の発明は、回路パターンと貫通孔を備えた基板の前記貫通孔の形成方向に対して所定角度で前記貫通孔内へ照明手段から光照射するステップと、基板を介して前記照明手段と反対側でかつ貫通孔の形成方向に対して所定角度に設置された撮像手段で前記貫通孔からの反射光を撮像するステップと、前記貫通孔内壁を撮像して得られた画像データと予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データとを比較するステップと、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定するステップを備えた基板の外観検査方法というものであり、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データ(良品データ)とを比較することにより、良品または不良品に判定し、スルーホール内の欠損の検出を高い確率で行うことができる。
【0025】
本発明の請求項10に記載の発明は、貫通孔は、電気めっきまたは無電解めっきを施したスルーホールであることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、電気めっきまたは無電解めっきを施した導通貫通孔のスルーホール状態を検出し、断線しかかりやピンホール等の異常を検出することに適した外観検査方法を提供することができるという作用を有する。
【0026】
本発明の請求項11に記載の発明は、貫通孔は、電気めっきまたは無電解めっきを施した長穴であることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、円形状のみならず、電気めっきまたは無電解めっきを施したビス止め用等の長穴のスルーホール状態を検出し、断線しかかりやピンホール等の異常を検出することも可能であるという作用を有する。
【0027】
本発明の請求項12に記載の発明は、基板はソルダレジストまたは部品配置図が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、導通貫通孔のみならず、貫通孔内へのソルダレジストインキまたは部品配置図インキの埋まり具合や貫通孔壁面への塗布状態の異常を検出することも可能であるという作用を有する。
【0028】
本発明の請求項13に記載の発明は、基板は、貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理が施されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、導通貫通孔のみならず、貫通孔内へ貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理後の貫通孔壁面の異常を検出することも可能であるという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項14に記載の発明は、基板は外形打ち抜き加工が施されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、外形打ち抜き加工終了後の外観検査に適したものであり、外形打ち抜き工程後の基材屑のスルーホールへの穴詰まり等の異常の検出も可能となり、さらに貫通孔内へ貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティング等の製品としての出荷前の最終検査として用いることもできるという作用を有する。
【0030】
本発明の請求項15に記載の発明は、照明手段から照射する光は、白色光であることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、照射光が白色光であることにより、スルーホール内のあらゆる状態に反射光として撮像手段へ反射することができる。これにより、導通貫通孔のみならず、貫通孔内へのソルダレジストインキまたは部品配置図インキの埋まり具合や貫通孔壁面への塗布状態、および貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理後の貫通孔壁面の異常を検出することも可能であるという作用を有する。
【0031】
本発明の請求項16に記載の発明は、照明手段から光照射するステップと撮像手段で前記貫通孔からの反射光を撮像するステップは、ともに搬送移動中の基板に対して行うことを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法というものであり、基板を搬送移動に画像データを把握することにより、外観検査の生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0032】
本発明の請求項17に記載の発明は、回路パターンと貫通導通孔を備えた基板の前記貫通導通孔を電気的導通検査を行うステップと、前記基板の前記貫通導通孔の形成方向に対して所定角度で前記貫通導通孔内へ照明手段から光照射するステップと、基板を介して前記照明手段と反対側でかつ貫通導通孔の形成方向に対して所定角度に設置された撮像手段で前記貫通導通孔からの反射光を撮像するステップと、前記貫通導通孔内壁を撮像して得られた画像データと予め記憶されている他の貫通導通孔内壁の画像データとを比較するステップと、貫通導通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定するステップを備えた基板の外観検査方法というものであり、電気的導通検査を用いた回路パターンと貫通導通孔に電気的導通検査と、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データ(良品データ)とを比較することにより、良品または不良品に判定する外観検査とを組み合わせることにより、スルーホール内の欠損の検出を高い確率で行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
以上の構成により本発明は、スルーホールの異常を電気的導通検査のみでは検出できないという従来の課題を解決し、スルーホール状態の不具合を完全に把握することが可能な外観検査装置を提供することができる。これにより、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定することが可能となり、この外観検査方法を採用することで高信頼性を要求される基板の欠損検出を行い、良品の基板のみを提供することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における外観検査装置の概略図である。
【0036】
まず、本発明の外観検査装置の構成について説明する。
【0037】
外観検査装置1は、検査部2、搬送手段3、照明手段4、撮像手段5、画像処理手段6を備え、貫通孔7を備えた基板8を搬送手段3が検査部2へ搬送し、貫通孔7の内壁の状態を外観検査する構成である。
【0038】
また、検査部2に水平に搬送された基板8の貫通孔7の形成方向に対して下方から所定角度αで光Lを照射する照明手段4が設置されている。
【0039】
さらに、基板を介して照明手段4の反対側に当たる上方に撮像手段5があり、撮像手段5は、貫通孔7の形成方向に対して所定角度θで貫通孔7からの反射光Rを撮像する位置に設置されている。
【0040】
この構成の外観検査装置により、貫通孔7の内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定するというものである。
【0041】
なお、照明手段4から照射される光Lは白色光であることが望ましい。白色光には赤色光(波長約0.7μm)、緑色光(波長約0.5μm)、青色光(波長約0.4μm)の光の三原色よりなり、屈折や散乱のそれぞれ異なる光が含まれていることにより、スルーホール内のあらゆる状態に反射光Rとして撮像手段5へ反射することができるからである。特に赤色光(波長約0.7μm)は、暗くなりがちな貫通孔7へ入射し反射することに優れている。このことから、スルーホール内の銅めっき被膜のみならず、プリフラックス塗布、はんだレベラー処理、ソルダレジストインキ等の異常等を把握することができる。
【0042】
また、搬送手段3は基板を垂直に搬送することも可能であるが水平に搬送することによって、他の装置と連結するインライン化が容易となり、生産性の向上を図ることができる。
【0043】
また、照明手段4は直線状の平行光源であり、撮像手段5はラインセンサーカメラであることが望ましい。これにより基板8の搬送方向に垂直に位置する複数の貫通孔を同時に検査することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
次に、本発明の外観検査装置を用いた基板の外観検査方法について、外観検査装置の動作を含めて以下に説明する。
【0045】
図1に示すように、回路パターンと電気めっきまたは無電解めっきを施したスルーホールとしての貫通孔7を備えた基板8が搬送手段3により外観検査装置1の検査部2に搬送される。
【0046】
搬送と同時に、所定角度αで貫通孔7内へ照明手段4から白色光Lが照射される。白色光は貫通孔7内で反射し、その反射光Rは所定角度θに設置された撮像手段5で撮像される。
【0047】
撮像された画像は、画像処理手段6で画像データに変換され、予め記憶されている良品の貫通孔内壁状態を有する画像データとを比較する判定手段で判定され、良品の貫通孔内壁状態を有する画像データと異なりかつ許容範囲を超えた場合は、欠陥出力手段により、不良品の情報として出力される。
【0048】
記憶される良品と判断される状態の貫通孔内壁の画像データは、最良品から許容範囲限界までいくつかの段階の画像データを予め記憶させることも可能であり、これにより良品または不良品の判定を容易に行うことができる。
【0049】
本実施の形態のように、貫通孔7が電気めっきまたは無電解めっきを施したスルーホールである場合、断線しかかりやピンホール等の最良品から許容範囲限界まで画像データを予め記憶させることにより、スルーホール状態を検出し、断線しかかりやピンホール、および変色等の異常や、スルーホールの内壁粗さの穴詰まりの異常を容易に検出することができる。
【0050】
また、基板8が検査部2に搬送されて搬出される間に、画像データを把握し良品不良品の判定が終了するシステムとして構成することによって、外観検査は搬送移動中の基板に対して行うことができる。これにより外観検査の生産性を向上させることができる。
【0051】
次に、スルーホール等の貫通孔の欠損を確実に検出するための外観検査装置の構成の詳細を以下に説明する。
【0052】
上記で説明した外観検査装置1は、従来の問題であったランド19から光が反射しないようにするための構造を採用したものである。すなわち、検査部2に水平に搬送された基板8の貫通孔7の形成方向に対して下方から所定角度αで光Lを照射する照明手段4が設置され、基板を介した照明手段4の反対側上方に当たる位置に撮像手段5があり、撮像手段5は、貫通孔7の形成方向に対して所定角度θで貫通孔7からの反射光Rを撮像する位置に設置されている。
【0053】
この構造において重要な点は、図2(a)に示すように、照明手段4から照射した光Lの一部が基板1の絶縁基材10に入り、その反射光Rが撮像手段5に撮像されると、貫通孔7以外が反射して、図2(b)に撮像イメージとして示すような貫通孔7と絶縁基材10の境界が判別しにくい状態となり、貫通孔7の欠損や異常を検出することができない。
【0054】
特に、本実施の形態における外観検査装置の照明手段には前述したように白色光を用いている。通常、プリント配線板等の欠陥検出を行うに適しているのは、銅箔の検出には赤色光、ソルダレジストの検出には緑色光である。ただ、緑色光は直進光であり、ソルダレジスト等に過剰反応し、良品であるにもかかわらず、微細キズを欠陥として判定してしまうことがある。そこで本発明の外観検査装置では、散乱しやすい青色光を含む白色光を採用することで、微細キズに対する過剰な判定を押さえ、量産に対応可能な外観検査装置を実現することができた。
【0055】
しかしながら、白色光は、散乱光も含むため、上記の図2に示した状態にならないように、照明手段4および撮像手段5の設置条件を設定する必要がある。
【0056】
そこで、本発明者は、貫通孔7の内壁に入射光Lが入射できる角度に照明手段4を配置する点、および、その反射光Rが、入射できて、且つ絶縁基材10からの反射光Rが入撮像されない位置に撮像手段5を配置することの重要性を把握し、以下の確認を行った。
【0057】
すなわち、貫通孔7の内壁の撮像の可否について、図3に示すように、撮像手段5の所定角度θ、および照明手段4の所定角度αを変更しながら検証を行った。
【0058】
検証は、撮像手段5の所定角度θを5〜12°の範囲、照明手段4の所定角度αを20〜40°の範囲において、撮像および検査の可否を確認した。
【0059】
その結果を(表1)に示す。なお、照明手段4の所定角度αが20〜34°および38〜40°の場合は、撮像不可のため省略する。
【0060】
なお、撮像手段5のカメラのフォーカス距離は400mm、分解能は30μm、照明手段4からの照明直線距離は50mmとする。
【0061】
また、撮像可否の結果は、×は撮像不可、△は撮像可能性大、○は最も撮像に適した場合を示した。
【0062】
【表1】

【0063】
(表1)の結果から、撮像手段5のカメラの所定角度θの範囲が7〜10°のとき、照明手段4の所定角度αの範囲が35〜37°のとき、非検査領域である絶縁基材10の部分は撮像されず、検査に必要な貫通孔7のみが撮像されて検査が可能になった。
【0064】
特に、撮像手段5の所定角度θが9°、照明手段4の所定角度αが36°の場合、最も良好な結果となった。
【0065】
本発明の外観検査装置は、照明手段4の光Lを照射する所定角度は35〜37°の範囲、望ましくは36°の角度に設定し、撮像手段5が反射光Rを撮像する所定角度は7〜10°の範囲、望ましくは9°の角度に設定することによって、貫通孔内壁の状態の検出に最も適した設定条件となる。これによりバラツキなく、確実に検査を行うことができる。
【0066】
なお、上述した本実施の他の形態として、回路パターンと貫通導通孔を備えた基板の貫通導通孔を電気的導通検査を行った後、上記で説明した外観検査方法を組み合わせて採用することもできる。この場合、電気的導通検査と外観検査とで、スルーホール内の欠損の検出を高い確率で行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、貫通孔として電気めっきまたは無電解めっきを施したスルーホールの欠損や異常の検出について説明したが、円形状のみならず、電気めっきまたは無電解めっきを施したビス止め用等の長穴のスルーホール状態を検出し、断線しかかりやピンホール等の異常を検出することも可能である。
【0068】
また、基板1にソルダレジストまたは部品配置図が形成されている場合、導通貫通孔のみならず、貫通孔内へのソルダレジストインキまたは部品配置図インキの埋まり具合や貫通孔壁面への塗布状態の異常を検出することも可能である。
【0069】
また、基板1の貫通孔7への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理が施されている場合、貫通孔内へ貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理後の貫通孔壁面の異常を検出することも可能である。
【0070】
さらに、基板1が外形打ち抜き加工が施されている場合、外形打ち抜き工程後の基材屑のスルーホールへの穴詰まり等の異常の検出も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上述べたように、本発明の構成によれば、電気的なスルーホールの導通検査のみでなく、画像処理を用いた外観検査を行うことで、欠損や断線しかかりレベルの検出を行うことができ、信頼性の高いスルーホールを備えたプリント配線板を供給することができ、産業上の利用可能性は大といえる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態における外観検査装置の概略図
【図2】本発明の実施の形態における外観検査方法を説明するための概略図
【図3】本発明の実施の形態における外観検査方法を説明するための概略図
【図4】従来の外観検査方法における課題を示す図
【図5】従来の外観検査方法における課題を示す図
【図6】従来の外観検査方法における課題を示す図
【図7】従来の外観検査方法における課題を示す図
【符号の説明】
【0073】
1 外観検査装置
2 検査部
3 搬送手段
4 照明手段
5 撮像手段
6 画像処理手段
7 貫通孔
8 基板
10 絶縁基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を備えた基板を検査部へ搬送する搬送手段と、
検査部に搬送された基板の貫通孔の形成方向に対して所定角度から前記貫通孔へ光を照射する照明手段と、
検査部に搬送された基板を介して前記照明手段と反対側に撮像手段と、
画像処理手段とを備え、
前記撮像手段は、貫通孔の形成方向に対して所定角度で貫通孔からの反射光を撮像する位置に設置されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
照明手段から照射される光は白色光であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
照明手段は直線状の平行光源であり、撮像手段はラインセンサーカメラであることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項4】
照明手段の光を照射する所定角度は35〜37°の範囲であり、撮像手段が反射光を撮像する所定角度は7〜10°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項5】
照明手段の光を照射する所定角度は36°であり、撮像手段が反射光を撮像する所定角度は9°であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項6】
画像処理手段は、貫通孔内壁を撮像して得られた画像データと、予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データとを比較する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項7】
他の貫通孔内壁の画像データは、良品と判断される状態の貫通孔内壁の画像データであることを特徴とする請求項5に記載の外観検査装置。
【請求項8】
搬送手段は基板を水平に搬送するものであり、照明手段は搬送手段の下方、撮像手段は搬送手段の上方に備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項9】
回路パターンと貫通孔を備えた基板の前記貫通孔の形成方向に対して所定角度で前記貫通孔内へ照明手段から光照射するステップと、
基板を介して前記照明手段と反対側でかつ貫通孔の形成方向に対して所定角度に設置された撮像手段で前記貫通孔からの反射光を撮像するステップと、
前記貫通孔内壁を撮像して得られた画像データと予め記憶されている他の貫通孔内壁の画像データとを比較するステップと、
貫通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定するステップを備えた基板の外観検査方法。
【請求項10】
貫通孔は、電気めっきまたは無電解めっきを施したスルーホールであることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項11】
貫通孔は、電気めっきまたは無電解めっきを施した長穴であることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項12】
基板はソルダレジストまたは部品配置図が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項13】
基板は、貫通孔への表面処理またはプリフラックスコーティングまたははんだレベラー処理が施されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項14】
基板は外形打ち抜き加工が施されていることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項15】
照明手段から照射する光は、白色光であることを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項16】
照明手段から光照射するステップと撮像手段で前記貫通孔からの反射光を撮像するステップは、ともに搬送移動中の基板に対して行うことを特徴とする請求項9に記載の基板の外観検査方法。
【請求項17】
回路パターンと貫通導通孔を備えた基板の前記貫通導通孔を電気的導通検査を行うステップと、
前記基板の前記貫通導通孔の形成方向に対して所定角度で前記貫通導通孔内へ照明手段から光照射するステップと、
基板を介して前記照明手段と反対側でかつ貫通導通孔の形成方向に対して所定角度に設置された撮像手段で前記貫通導通孔からの反射光を撮像するステップと、
前記貫通導通孔内壁を撮像して得られた画像データと予め記憶されている他の貫通導通孔内壁の画像データとを比較するステップと、
貫通導通孔内壁を撮像して得られた画像データを良品または不良品に判定するステップを備えた基板の外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−177847(P2006−177847A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372809(P2004−372809)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】