説明

外観検査装置

【課題】画像と判定結果とを重ね合わせた画像を保存して画面に表示する描画処理の処理負荷を軽減し、結果的に描画時間の遅れによる作業性の低下を抑制する。
【解決手段】良否判定部3は、撮像装置1で撮像した検査対象物の画像データを用いて外観の良否判定を行う。結果画像生成部4は、良否判定の結果を示す画像データである結果画像データを生成する。登録画像生成部5は、結果画像データを検査対象物の画像データと重ね合わせた登録画像データを生成する。画像記憶部6は登録画像データを保存し、表示処理部7は登録画像データをモニタ装置8の画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を撮像した画像に基づいて検査対象物の外観に関する良否判定を行う外観検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、検査対象物の画像を用いて、検査対象物の外観上の良否判定を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1、2参照)。この種の外観検査では、目的に応じて、検査対象物の欠け、凹み、異物の付着、歪み、ひび、しわ、色むらなど各種項目について検査することが提案されている。
【0003】
特許文献1には、対象物の画像や不良と判定した画像と同一画面に、良否判定条件の内容を表示することが記載されている。また、検査結果の数値を不良画像の上に一部を重ねて表示することが記載されている。また、特許文献2には、画面上に表示される画像に対して欠陥情報を重ね合わせて表示する技術が記載されている。具体的には、欠陥の種類を示す欠陥ラベルを欠陥部分の近傍に表示している。
【0004】
特許文献1、2に記載の構成では、良否判定条件や判定結果と画像とが同じ画面上に表示されるから、良否判定条件や判定結果と画像とを結びつける手間がかからず、判定結果の管理が容易である上に、不良品への対応作業が容易になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−71574号公報
【特許文献2】特開2001−266125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の構成では、記憶手段において画像と、良否判定条件・検査結果とを記憶手段において個別に記憶させている。また、特許文献2に記載の構成においても、画像メモリに画像データを記憶させ、画像データの欠陥情報は欠陥情報ファイルに保存させている。
【0007】
すなわち、特許文献1、2のいずれにおいても、画像と判定結果とは分離して保存されているから、画面に表示する際に画像と判定結果とを重ね合わせる処理が必要になっている。すなわち、複数種類の画像を重ね合わせる処理が必要であるから描画速度の低下につながるという問題を有している。とくに、多数の画像を画面に順に表示して欠陥の内容を確認する作業の際には、描画時間の遅れにより作業時間が長くなるという問題が生じる。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、画像と判定結果とを重ね合わせた画像を保存しておくことにより、画面に表示する描画処理の処理負荷を軽減し、結果的に描画時間の遅れによる作業性の低下を抑制した外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、検査対象物を撮像して得た画像データを用いて検査対象物の外観の良否判定を行う良否判定部と、良否判定の結果を示す画像データである結果画像データを生成する結果画像生成部と、結果画像データを検査対象物の画像データと重ね合わせた登録画像データを生成する登録画像生成部と、登録画像データを保存する画像記憶部と、画像記憶部に保存された登録画像データをモニタ装置の画面に表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする。
【0010】
登録画像生成部は、結果画像データの配置位置を決定する重合領域決定部を有し、重合領域決定部は、検査対象物の画像データのうち良否判定の結果が不合格となった部位を抽出し、モニタ装置の画面の表示領域うち少なくとも抽出した部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせるのが望ましい。
【0011】
この場合、重合領域決定部は、モニタ装置の画面の表示領域を複数に分割するとともに、分割した各領域のうち良否判定の結果が不合格となった部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせるようにしてもよい。
【0012】
さらに、重合領域決定部は、モニタ装置の画面の表示領域を等分するとともに分割数を調節する分割機能部を有し、分割機能部は、分割した各領域の少なくとも1領域において良否判定の結果が不合格である部位が含まれないときに当該分割数を採用するのが望ましい。
【0013】
また、モニタ装置はカラー画像を表示し、登録画像生成部は結果画像データの表示色の色相を、検査対象物の画像の表示色に対してコントラストが強調される色相とするのが望ましい。
【0014】
あるいはまた、モニタ装置はカラー画像を表示し、登録画像生成部は結果画像データの背景色として、結果画像データのコントラストを強調する色を用いるのが望ましい。
【0015】
登録画像生成部は、検査対象物の画像データと結果画像データとを異なるレイヤに分けた登録画像データを生成してもよい。
【0016】
また、良否判定部を備える専用装置と、結果画像生成部と登録画像生成部と画像記憶部と表示処理部とを備える外部装置とを設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成によれば、良否判定の結果を示す結果画像データを検査対象物の画像データと重ね合わせた登録画像データを生成し、この登録画像データを画像記憶部に保存し、モニタ装置の画面には登録画像データを表示するから、検査対象物の画像データと良否判定の結果とを別途に保存し、モニタ装置の画面に表示する描画の際に両者を重ね合わせるようにした従来構成に比較すると、描画処理に要する時間が短縮される。したがって、描画処理の処理負荷が軽減され、描画時間の遅れによる作業性の低下を抑制することができる。
【0018】
また、検査対象物の画像と良否判定の結果の画像とが結合された状態で保存されているから、両者の対応関係を誤ることがなく、良否判定の結果の管理が容易である。従来構成と同様に、検査対象画像の画像と良否判定の結果とをモニタ装置の画面上で同時に見ることができるから、判定結果の不良品への対応作業を迅速に行うことができるという効果もある。加えて、登録画像データを印刷すれば判定結果も印刷されるから、書類を作成する際にも検査対象物の画像に判定結果を対応付ける処理が不要であり、書類作成が容易である上に、判定結果の確認作業が容易になる。
【0019】
モニタ装置の画面の表示領域のうち、良否判定の結果が不合格となった部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせる構成では、良否判定の結果が不合格となった領域と結果画像データとが重ならないようにすることで、検査対象物の画像データに結果画像データを重ね合わせながらも、不合格となった部位を視認して不合格の原因を確認する作業が可能になる。
【0020】
また、モニタ装置の画面の表示領域を複数に分割し、良否判定の結果が不合格となった部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせる構成では、結果画像データを重ね合わせる領域の抽出が容易である。
【0021】
モニタ装置の画面の表示領域を等分する際の分割数を調節する構成では、モニタ装置の画面の表示領域を4分割したり9分割したりして調整し、適宜の分割数になったときに不合格の部位が含まれい領域があれば、当該領域に結果画像データを重ね合わせるから、比較的簡単な処理で、不合格の部位に重ならないように結果画像データを配置することができる。
【0022】
結果画像データの表示色の色相を、検査対象物の画像の表示色に対してコントラストが強調される色相とした構成、あるいは結果画像データの背景色として、結果画像データのコントラストを強調する色を用いた構成では、結果画像データが判別しやすく、良否判定の全体を確認する作業が容易になる。
【0023】
検査対象物の画像データと結果画像データとを異なるレイヤに分けた構成を採用すると、画像記憶部において検査対象物の画像データと結果画像データとが1ファイルとして扱われるから画像データの管理が容易であり、しかも検査対象物の画像データと結果画像データとが1ファイルの画像データであるから描画処理も容易である。さらに、検査対象物の画像データと結果画像データとが異なるレイヤに分けられているから、モニタ装置の画像として結果画像データを非表示とすれば、検査対象物の画像データのみを表示することも可能になる。
【0024】
また、良否判定部を備える専用装置と、結果画像生成部と登録画像生成部と画像記憶部と表示処理部とを備える外部装置とを別に設けるようにすれば、専用装置の処理負荷を増加させることなく、結果画像データの管理機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【図3】同上の他の動作例を示す動作説明図である。
【図4】同上のさらに他の動作例を示す動作説明図である。
【図5】同上の別の動作例を示す動作説明図である。
【図6】同上における専用装置と外部装置との関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に説明する実施形態における検査対象物は、回路基板、電子部品、組立品などを想定しており、良否検査は、検査対象物の欠け、凹み、異物の付着、歪み、ひび、しわ、色むらなどに対する検査内容から選択されるものとする。また、検査対象物に文字が表記されている場合には、文字に関する欠けやかすれについての良否検査を行ってもよい。文字の表記方法は、印刷、捺印、刻印などから選択される。
【0027】
外観検査装置は、図1に示すように、撮像装置1により検査対象物を撮像して得た画像データ(濃淡画像あるいはカラー画像の画像データ)に対して画像処理を行うことにより良否検査を行う。撮像装置1により撮像された画像データは作業用記憶部2に格納され、作業用記憶部2に格納された画像データについて、良否判定部3において良否判定が行われる。良否判定部3では検査内容に応じて適宜の手順が選択される。本発明は、良否判定の手順を要旨とするものではなく、良否判定の技術については必要に応じて周知の技術を採用することができるから、ここでは良否判定の手順については説明を省略する。
【0028】
良否判定部3からは検査対象物の外観の良否検査の判定結果を出力し、良否判定部3での判定結果を受けて結果画像生成部4では、良否検査の判定結果を示す画像データである結果画像データを生成する。結果画像データとしては、たとえば、「合格(OK)」あるいは「不合格(NG)」という文字をモニタ装置8(後述する)の画面に表示させるためのビットマップの画像データを用いる。
【0029】
結果画像生成部4で生成された結果画像データは、作業用記憶部2に格納されている検査対象物の画像データとともに登録画像生成部5に入力され、登録画像生成部5では、両画像データを重ね合わせることによりビットマップの画像データである登録画像データを生成する。すなわち、登録画像生成部5は、図2(a)のような検査対象物の画像データIaと、図2(b)のような良否検査の判定結果を示す結果画像データIbとを重ね合わせることによって、図2(c)のような登録画像データIcを生成する。登録画像生成部5には、結果画像データIbの配置位置を決定する重合領域決定部5aが設けられている。重合領域決定部5aの具体的な機能については後述する。
【0030】
登録画像生成部5で生成された登録画像データは、ハードディスクドライブ装置のような大容量の記憶装置を用いて構成された画像記憶部6に保存される。すなわち、画像記憶部6には、検査対象物の画像データに、良否検査の判定結果を示す結果画像データを重ね合わせた登録画像データが格納される。モニタ装置8に登録画像データを表示するには、画像記憶部6から登録画像データを読み出して表示処理部7に与える。表示処理部7は、画像データをモニタ装置8の画面に表示させる機能を備えており、登録画像データが与えられると登録画像データをモニタ装置8に表示する。
【0031】
上述の処理により、モニタ装置8に良否検査の検査結果を表示する際に、検査対象物の画像データと良否判定の結果である結果画像データとを重ね合わせた登録画像データを表示するから、検査対象物の画像データと良否検査の判定結果とを対応付けておく必要がなく、良否検査の判定結果の管理が容易であり、しかも、モニタ装置の画面上では、検査対象画像の画像と良否判定の結果とを同時に見ることができる。
【0032】
その上、描画処理の際に複数の画像データをスーパーインポーズなどの処理によって重ね合わせる場合に比較すると、描画処理に要する処理負荷が小さく、結果的に描画処理に要する時間の短縮になる。すなわち、検査結果をモニタ装置8に表示して確認する作業の際に、描画時間の遅れによる作業性の低下を抑制することができる。
【0033】
検査対象物の画像を印刷する場合には、画像記憶部6に保存されている登録画像データを読み出して印刷すれば、同時に判定結果も印刷されるから、書類を作成するにあたって検査対象物の画像に判定結果を対応付ける処理が不要である。
【0034】
ところで、登録画像生成部5に設けた重合領域決定部5aは、検査対象物の画像データのうち良否検査の判定結果が不合格となった部位を抽出する機能を有し、モニタ装置8の画面の表示領域うち少なくとも不合格となった部位を表示する部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせる。具体的には、図3に示すように、モニタ装置8の画面の表示領域を複数に分割して分割領域Ddを生成する。図示例ではモニタ装置8の画面の表示領域を等分割して9個の分割領域Ddを形成している。
【0035】
分割数は適宜に設定することが可能であり、たとえば、2分割、4分割、6分割などの分割数を採用することも可能である。モニタ装置8の表示領域の大きさにもよるが、1個の分割領域Ddの面積が結果画像データの表示範囲よりも小さくならないように、最大でも25分割程度に制限しておくことが望ましい。また、縦横の分割数は等しくするのが望ましい。この条件では、分割数の選択肢は、4分割、9分割、16分割、25分割の4種類になる。もちろん、この選択肢は一例であって本発明を限定する趣旨ではなく、また、上述の例では各分割領域Ddの面積が等しくなるように等分割しているが、モニタ装置8の画面の表示領域の分割の仕方についてはとくに制限はない。
【0036】
重合領域決定部5aでは、分割領域Ddを形成した後に、結果画像データを配置すべき分割領域Ddの位置を探索する。結果画像データを配置する位置としては、図3(a)のように、検査対象物に設定した良否検査のための検査領域Dsと重複しない分割領域Ddを選択することが可能である。図3(a)の例では、右下の分割領域Ddは検査領域Dsと重複していないから、この分割領域Ddに結果画像データIbを重ね合わせることにより、図3(b)のような登録画像データIcを生成することができる。
【0037】
上述の例では、検査領域Dsと重複しない分割領域Ddが存在しているが、図4(a)のように、すべての分割領域Ddが検査領域Dsに重複する場合もある。ただし、モニタ装置8の画面の表示領域に複数の検査領域Dsが存在するときに、すべての検査領域Dsにおいて判定結果が不合格となる可能性は実質的に生じないと考えてよいから、このような場合には、判定結果が合格であった検査領域Dsに重複している分割領域Ddに結果画像データIbを重複させる。
【0038】
図4に示す例では、右下の分割領域Ddに重複する検査領域Dsにおいて判定結果が合格であった場合を示しており、図4(b)のように、右下の分割領域Ddに結果画像データIbを配置している。良否検査において合格した場合、画像を確認する必要は通常では生じないから、上述のように、判定結果が合格である検査領域Dsに結果画像データIbが重複していても差し支えない。
【0039】
要するに、良否判定の結果が不合格となった部位を含まない分割領域Ddに結果画像データIbを重ね合わせておけば、不合格の原因を確認するために検査対象物の画像データIaを確認する際に問題が生じることはない。また、良否判定の結果が不合格となった部位を含まないように分割領域Ddを抽出して結果画像データIbを重ね合わせればよいから、結果画像データIbを重ね合わせる分割領域Ddを比較的容易に抽出することができる。
【0040】
上述したように、分割領域Ddを生成する際の分割数は適宜に選択可能であるから、重合領域決定部5aにおいて分割数を自動的に調節する分割機能部5bを設けてもよい。分割機能部5bは、分割数の最小値から始めて順に分割数を増加させるとともに、各分割数の状態において、良否検査の判定結果が不合格である部位を含んでいない分割領域Ddが少なくとも1個存在すれば、その時点で分割数を増加させる処理を終了する。
【0041】
この場合、分割領域決定部5aでは、分割機能部5bが生成した分割領域Ddのうち、良否検査の判定結果が不合格である部位を含んでいない分割領域Ddに結果画像データIbを重ね合わせる。このように、分割機能部5bを設けることにより、比較的簡単な処理で、不合格の部位に重ならないように結果画像データIbを配置することが可能になる。
【0042】
なお、検査領域Dsが定位置に定められているときには、オペレータが結果画像データIbの配置位置を指定してもよい。また、検査対象物に表記された文字の文字認識を行う場合には、文字が表記された領域を抽出するから、文字以外の領域を結果画像データIbの配置位置とすることができる。あるいはまた、結果画像データIbのサイズに見合う大きさの矩形領域を設定し、検査対象物の画像データ内で当該矩形領域を走査し、矩形領域が検査領域Dsに重複しないときに、その位置における矩形領域の範囲を結果画像データの配置位置としてもよい。
【0043】
ところで、登録画像生成部5において生成する登録画像データについて、モニタ装置8の画面に表示したときに結果画像データに対応する部位の画像が見やすくなるよう画像のパラメータを調整しておくと、良否検査の判定結果をオペレータが認識する時間を短縮できると考えられる。そこで、モニタ装置8の画面にカラー画像を表示し、登録画像生成部5では、結果画像データの表示色の色相を、検査対象物の画像の表示色に対してコントラストが強調される色相としておく。表示色のコントラストを高めるには、たとえば、検査対象物の表示色の色相に対して補色となる色相を選択すればよい。あるいはまた、登録画像生成部5では、結果画像データの背景色として、結果画像データのコントラストを強調する色を用いればよい。たとえば、背景色を黒として結果画像データを白とするか、背景色を白として結果画像データを黒とすればよい。
【0044】
このように、検査対象物の画像の表示色に対して結果画像データのコントラストを強調すると、結果画像データが判別しやすくなり、良否判定の全体を確認する作業が容易になり、結果的に作業効率の向上につながる。
【0045】
上述のように登録画像データでは、検査対象物の画像データと良否判定の判定結果を示す結果画像データとを重ね合わせて一体化しているから、登録画像データをモニタ装置8の画面に表示する場合だけでなく、プリンタ装置を用いて印刷する際も検査対象物の画像データに結果画像データを結合した状態での印刷を行うことになる。
【0046】
ところで、結果画像データを含まない検査対象物の画像データが必要になる場合があるから、この場合には、上述した処理とは逆の手順で結果画像データを消去すればよい。ただし、判定結果が合格であった領域に結果画像データを重ね合わせている場合は、この領域については結果画像データを消去しても検査対象物の画像データを復元することはできない。したがって、結果画像データが検査領域Dsの一部に重複する場合は、検査対象物の画像データを別途に保存するようにしてもよい。
【0047】
本発明では、検査対象物の画像データと結果画像データとを1つのファイルにまとめることによりモニタ装置8への表示の際に描画処理の処理負荷を軽減することができればよいから、登録画像生成部5において、検査対象物の画像データと結果画像データとを異なるレイヤに分けた登録画像データを生成する構成を採用することが可能である。
【0048】
すなわち、図5(a)のような検査対象物の画像データIaと、図5(b)のような結果画像データIbとが存在する場合に、図5(c)のように、画像データIaと結果画像データIbとを異なるレイヤL1,L2とした登録画像データIcを生成するのである。登録画像データをモニタ装置8に表示する際には、図5(d)のように、レイヤL1,L2は重ねた状態として表示するから、描画処理における処理負荷の増加はない。印刷に際してもレイヤL1,L2を重ねた状態とすればよい。
【0049】
一方、レイヤL1,L2を用いているから、結果画像データIbを含むレイヤL2を非表示とするだけで、レイヤL1における検査対象物の画像データのみをモニタ装置8に表示することが可能になり、検査対象物の画像データと良否判定の判定結果とを分離せずに一体化しておくという目的を達成しながらも、モニタ装置8の画面上での表示では、結果画像データの表示と非表示とを選択して、検査対象物のみの画像データを必要に応じて表示することが可能になり、利便性が一層増すことになる。
【0050】
なお、作業用記憶部2、良否判定部3は、撮像装置1により撮像された画像に対する処理を行うから、図6に示すように、画像に基づく検査対象物の検査を行う専用装置Xに設けるようにし、結果画像生成部4、登録画像生成部5、画像記憶部6、表示処理部7は、パーソナルコンピュータのような外部装置Yに設けるのが望ましい。この場合、専用装置Xと外部装置Yとは通信可能に接続しておき、画像ファイル、当該画像ファイルの画像に対する良否判定部3での判定結果などを、専用装置Xから外部装置Yに引き渡すことができるようにしておく。この構成を採用すれば、専用装置Xにおける処理負荷を増加させることなく、上述したファイル管理の機能を付加することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 撮像装置
2 作業用記憶部
3 良否判定部
4 結果画像生成部
5 登録画像生成部
5a 重合領域決定部
5b 分割機能部
6 画像記憶部
7 表示処理部
8 モニタ装置
Dd 分割領域
Ds 検査領域
Ia (検査対象物の)画像データ
Ib 結果画像データ
Ic 録画像データ
X 専用装置
Y 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像して得た画像データを用いて検査対象物の外観の良否判定を行う良否判定部と、良否判定の結果を示す画像データである結果画像データを生成する結果画像生成部と、結果画像データを検査対象物の画像データと重ね合わせた登録画像データを生成する登録画像生成部と、登録画像データを保存する画像記憶部と、画像記憶部に保存された登録画像データをモニタ装置の画面に表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記登録画像生成部は、結果画像データの配置位置を決定する重合領域決定部を有し、重合領域決定部は、検査対象物の画像データのうち良否判定の結果が不合格となった部位を抽出し、モニタ装置の画面の表示領域うち少なくとも抽出した部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせることを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記重合領域決定部は、モニタ装置の画面の表示領域を複数に分割するとともに、分割した各領域のうち良否判定の結果が不合格となった部位を含まない領域に結果画像データを重ね合わせることを特徴とする請求項2記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記重合領域決定部は、モニタ装置の画面の表示領域を等分するとともに分割数を調節する分割機能部を有し、分割機能部は、分割した各領域の少なくとも1領域において良否判定の結果が不合格である部位が含まれないときに当該分割数を採用することを特徴とする請求項3記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記モニタ装置はカラー画像を表示し、前記登録画像生成部は結果画像データの表示色の色相を、検査対象物の画像の表示色に対してコントラストが強調される色相とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記モニタ装置はカラー画像を表示し、前記登録画像生成部は結果画像データの背景色として、結果画像データのコントラストを強調する色を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記登録画像生成部は、検査対象物の画像データと結果画像データとを異なるレイヤに分けた登録画像データを生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記良否判定部を備える専用装置と、前記結果画像生成部と前記登録画像生成部と前記画像記憶部と前記表示処理部とを備える外部装置とを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−47777(P2011−47777A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196055(P2009−196055)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】