説明

外観検査装置

【課題】プリント配線板に反りが生じた場合にも、検査ポイントを不良箇所に合わせて表示する。
【解決手段】電子部品が実装された配線基板5の外側縁5aを支持する支持部6と、検査対象となる電子部品を撮像する撮像装置7と、配線基板5の法線方向に拡散し、検査対象となる電子部品について設定された要検査部位を通過する扇状の第1の光線を斜め上方から照射する第1の照射装置8aと、配線基板5の法線方向に拡散し、電子部品の要検査部位を通過する扇状の第2の光線を斜め上方から照射する第2の照射装置8bとを備え、第1の光線と第2の光線とが交叉することにより、配線基板5の検査ポイントPを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装されたプリント配線板の実装状態を検査する外観検査装置に関し、特に高密度実装された配線板の外観検査に用いて好適な外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板にICやLSI、抵抗器やコンデンサ等の電子部品を実装するに際しては、近年の電子機器の小型化、高性能化、低コスト化の要請から、表面実装技術が広く用いられている。
【0003】
プリント配線板に電子部品等を表面実装するに当たっては、先ず、ガラスエポキシ等のリジッドのプリント配線板にクリーム半田印刷や銅箔のエッチング等により配線パターンや電子部品が実装されるパッドが形成される。次いで、スクリーン印刷等によってパッドにクリーム半田が印刷された後、自動部品搭載機等によって所定の位置に表面実装部品を搭載し、リフロー半田付けを行う。製造後、外観検査装置によって実装状況や半田付け状況等の外観検査が行われ、また、回路の導通検査、電気的動作の機能確認が行われる。
【0004】
ここで、電子部品等が表面実装されたプリント配線板の外観検査では、自動検査装置による検査と目視による検査が併用され、自動検査装置による外観検査によってNGとされたプリント配線板について、目視による外観検査を行い、実装不良の態様を確認している。
【0005】
自動検査装置による外観検査としては、プリント配線板上部から2次元画像を撮像した撮像データと輝度データとを用いた方法、あるいはプリント配線板の3次元表面形状の計測データを用いた方法等が知られている。後者の例としては、半田実装する部品の3次元形状データに基づくマスタパターンと、部品実装後に3次元画像センサによって計測した3次元計測データとの照合を行う外観検査方法や(例えば、特許文献1参照)、クリーム半田を印刷するためのパッドを囲う検査枠を予め設定して記憶させ、部品実装後に3次元計測によって計測した半田の延出部が前記検査枠と交差するか否かによって半田ブリッジを検出する外観検査装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、これら自動検査装置による外観検査はいずれも推定検査であり、また、不良品の流出防止の観点から実装不良と評価する閾値を厳しく設定していることから、NGと評価されたプリント配線板が実際に実装不良を起こしているか、どのような実装不良が起きているかを目視による外観検査を行うことで確認している。目視による外観検査は、外観目視検査装置を用いて行われている。
【0007】
外観目視検査装置は、自動検査装置において実装不良とされたプリント配線板を支持する支持部と、自動検査装置において実装不良とされた特定の箇所を撮像するカメラと、カメラを実装不良とされた箇所に移動させる移動手段とを備える。カメラが撮像した画像は、外観目視検査装置と接続されたモニタに表示される。なお、カメラは、プリント配線板の法線方向から撮像する正面カメラと、プリント配線板の斜め方向から撮像する斜めカメラとを備えることで、実装不良箇所を詳細に撮像、表示することができる。
【0008】
外観目視検査装置は、自動検査装置において特定された不良箇所の位置データを用いて予めカメラによって撮像しモニタ表示する検査ポイントを特定し、当該検査ポイントに合わせてカメラを移動させる。これにより、検査者は、モニタに表示された検査ポイントを確認することで、容易に外観検査を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−91932号公報
【特許文献2】特開2004−317291号公報
【特許文献3】特開2008−191106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年のプリント配線板では高密度実装の観点から基板の両面に表面実装が行われていることも多いことから、外観検査装置は、電子部品が実装されていないプリント配線板の外側縁を支持する必要がある。しかし、プリント配線板の外側縁を支持すると、プリント配線板の自重や、電子部品の重量が加わるために、反りが生じる場合がある。
【0011】
このように外観検査装置に支持されたプリント配線板に反りが生じると、自動検査装置において特定された不良箇所と、外観目視検査装置において当該不良箇所の位置データを用いて特定された検査ポイントとの間にずれが生じ、本来確認すべき不良箇所と異なる箇所を撮像、表示するおそれがある。
【0012】
近年のプリント配線板では小型化された電子部品が高密度に表面実装されていることから、カメラで撮像すべき不良箇所も狭小化されているため、不良箇所と検査ポイントとがずれた場合に、実装不良を起こしている電子部品をモニタの表示から特定することは困難である。
【0013】
そこで、本発明は、プリント配線板に反りが生じた場合にも、検査ポイントを不良箇所に合わせて表示し、確実に外観検査を行うことができる外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明に係る外観検査装置は、電子部品が実装された配線基板の外側縁を支持する支持部と、検査対象となる上記電子部品を撮像する撮像装置と、上記配線基板の法線方向に拡散し、検査対象となる上記電子部品について設定された要検査部位を通過する扇状の第1の光線を斜め上方から照射する第1の照射装置と、上記配線基板の法線方向に拡散し、上記電子部品の上記要検査部位を通過する扇状の第2の光線を斜め上方から照射する第2の照射装置とを備え、上記第1の光線と第2の光線とが交叉することにより、上記配線基板の検査ポイントを示すものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1の光線と第2の光線との交線は、配線基板上において光線の交点として表示され、この交点は、配線基板の反りに応じて要検査部位が昇降しても、配線基板上に映る光線の交点もZ軸に沿って追従し、常に配線基板の検査ポイントPとして指し示す。これにより、本発明によれば、照射装置によって照射される光線の交点を撮像装置によって捉えることで、確実に外観検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】外観検査装置を示す斜視図である。
【図2】外観検査装置を示す正面図である。
【図3】支持部を示す斜視図である。
【図4】撮像装置の装置本体の構成を示す図である。
【図5】レーザ照射装置による検査ポイントPを表示する構成を示す斜視図である。
【図6】要検査部位と検査ポイントPとの関係を説明するための図である。
【図7】モニタに表示される検査ポイントPを示す図である。
【図8】検査ポイントPをモニタの中心に位置するように補正した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された外観検査装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0018】
以下では、本発明を目視検査装置に適用した場合を例に説明する。この外観検査装置1は、ICやLSI、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品が表面実装されたプリント配線板の実装状態を目視検査するために用いられるものであり、図1、図2に示すように、箱状の外筐体2を備え、図示しないPC等の制御部3によって制御される。また、外観検査装置1は、モニタ4と接続され、撮像した画像をモニタ4に表示し、検査者による目視検査が可能とされている。
【0019】
[外筐体]
外観検査装置1は、外筐体2内に、プリント配線板5を支持する支持部6と、支持部6に支持されたプリント配線板の検査ポイントを撮像する撮像装置7と、プリント配線板の検査ポイントを示すレーザ照射装置8と、装置全体の動作を制御する制御部3とを備える。
【0020】
外筐体2は、正面側が開口され、床面11上に設けられている支持部6にプリント配線板5を出し入れ可能とされている。また、外筐体2は、上側に撮像装置7が配設され、また、側方にレーザ照射装置8が配設されている。さらに、外筐体2は、内部を照明する図示しない照明手段が設けられている。
【0021】
[支持部]
支持部6は、プリント配線板5の外側縁5aを支持する支持フレーム12と、支持フレーム12を床面11の面内方向において移動させ、プリント配線板5と撮像装置7との相対位置を移動させるステージ機構13とを備える。
【0022】
支持フレーム12は、図3に示すように、プリント配線板5の長辺を支持する一対の長辺フレーム12a,12bと、長辺フレーム12a,12bの各両端側に設けられたコーナブロック14とを有する。支持フレーム12は、2対のコーナブロック14がそれぞれ連結バー15で連結されている。また、長辺フレーム12a,12bの背面には長辺プレート16a,16bが配設されている。外筐体2の前面側に設けられた長辺プレート16aには、長手方向に沿ってスリット17が形成され、プリント配線基板5の位置決めを行う固定ピン18が挿通されている。
【0023】
長辺フレーム12a,12bは、相対向してプリント配線板5の下面を支持する支持面が張り出し形成され、これによりプリント配線板5の外側縁5aを支持する。また、支持フレーム12は、外筐体2の背面側の長辺フレーム12bが、両側のコーナブロックが連結バー15に沿って前後方向にスライドすることで、外筐体2の前面側の長辺フレーム12aに対して近接離間可能とされ、また、固定ピン18をスリット17に沿ってスライドさせることによりプリント配線板5を左側のコーナブロック14に当接させることで、あらゆるサイズのプリント配線板5を支持することができる。
【0024】
支持フレーム12は、プリント配線板5の電子部品が実装されていない外側縁5aを下側から支持することにより、両面実装されたプリント配線板5についても、下面の実装部品に付加をかけることなく支持することができる。
【0025】
ステージ機構13は、支持フレーム12を一体に支持するX軸テーブル13aと、X軸テーブルをY方向へ移動可能に支持するYテーブル13bとを備える。X軸テーブル13aおよびY軸テーブル13bは、制御信号に基づいて動作するモータを備えており、これらモータを駆動することによりX軸テーブル13aがX方向へ、Y軸テーブル13bがY方向へ、支持フレーム12を一体に移動させる。
【0026】
[撮像装置]
支持フレーム12に支持されたプリント配線板5の実装不良箇所を撮像する撮像装置7は、外筐体2の上側で支持されることにより、実装不良箇所を上側から撮像するものである。撮像装置7は、図4に示すように、カメラ光軸を支持フレーム12に支持されたプリント配線板5の法線方向に向けた正面用カメラ20と、カメラ光軸をプリント配線板5に対して斜めに傾けた斜め用カメラ21とを備える。正面用カメラ20及び斜め用カメラ21は、それぞれレンズ鏡筒内に所定の撮像レンズ及び撮像素子が組み込まれている。
【0027】
撮像装置7は、斜め用カメラ21が正面用カメラ20を介して反対側に設けられ、これら正面用カメラ20及び斜め用カメラ21が装置本体7a内で一体化されることによりカメラユニットを構成する。また、撮像装置7は、正面用カメラ20の光軸αを中心に回転可能とされ、斜め用カメラ21によって、あらゆる方角から実装不良箇所を撮像可能とされている。
【0028】
なお、撮像装置7は、正面用カメラ20、斜め用カメラ21にフォーカス機能やズーム機能を備えてもよく、あるいは、これらの機能を備えず、深い被写界深度を実現するための焦点距離と絞りを有し、パンフォーカス撮影が可能なカメラを用いて撮影を行い、制御部3の処理によって適切な画像サイズで表示するようにしてもよい。
【0029】
撮像装置7は、後述するレーザ照射装置8によって示されたレーザ光の交点を検査ポイントPとして撮像できるように、レーザ照射装置8によって形成される交線Lの延長線上に予め正面用カメラ20の光軸αが一致するとともに、斜め用カメラ21の光軸αが当該交線L上を通過するように設計されている。
【0030】
なお、撮像装置7は、斜め用カメラ21を複数設けてもよい。例えば、撮像装置7は、高倍率カメラと低倍率カメラとからなる1対の斜め用カメラ21を設けることにより、検査箇所に応じて使い分けることができる。また、撮像装置7は、複数の斜め用カメラ21を正面要カメラ20の光軸α1の光軸周りに、等間隔で配置してもよく又は不等間隔で配置してもよい。
【0031】
[レーザ照射装置]
次いで、支持フレーム12に支持されたプリント配線板5の検査ポイントを指し示すレーザ光を照射するレーザ照射装置8について説明する。レーザ照射装置8は、可視光レーザを照射する装置であり、撮像装置7の装置本体7a内に、互いに交叉する扇状のレーザ光を斜め上方からプリント配線板5上に照射する第1、第2のレーザ照射装置8a,8bを備える。第1、第2のレーザ照射装置8a,8bは、装置本体7a内において、照射するレーザ光が互いに直交するように配置されることが好ましい。
【0032】
第1のレーザ照射装置8aは、自動検査装置30で予めプリント配線板5上に設定された要検査部位を通過する第1のレーザ光を照射する。同様に、第2のレーザ照射装置8bは、予めプリント配線板5上に設定された要検査部位を通過する第2のレーザ光を照射する。第1、第2のレーザ光は、いずれも支持フレーム12に支持されたプリント配線板5の法線方向に拡散する扇状の光線であり、互いに交叉することにより、プリント配線板5上に検査ポイントPを交点として指し示す。
【0033】
検査ポイントPは、外観検査装置1による目視検査に先立って行われた自動検査装置30による検査によって、実装不良が疑われる要検査部位が特定され、この要検査部位の位置データに基づいて、支持フレーム12に支持されたプリント配線板5上に設定された目視検査が必要な箇所をいう。撮像装置7は、この検査ポイントPを撮像するように、予め第1、第2のレーザ光の交線L上に正面用カメラ20の光軸αを一致させる位置に設けられ、支持フレーム12は、要検査部位の位置データを参照して、第1、第2のレーザ光の交線L上に要検査部位が位置するようにステージ機構13によって移動される。
【0034】
ここで、図6(a)に示すように、プリント配線板5に反りが生じていなければ、自動検査装置30によって設定された要検査部位の位置データに基づいてプリント配線板5と撮像装置7との相対位置を設定することで、斜め用カメラ21で目視検査が必要な検査ポイントPを捉えることができる。しかし、図6(b)に示すように、支持フレーム12に支持されたプリント配線板5に下反りが生じた場合、あるいは図6(c)に示すように、支持フレーム12に支持されたプリント配線板5に上反りが生じた場合、自動検査装置30において特定された要検査部位と、自動検査装置30によって設定された要検査部位の位置データに基づいて外観検査装置1において支持フレーム12に支持されたプリント配線板5と撮像装置7との相対位置を設定すると、モニタ4に表示される斜め用カメラ21の画像と実際の要検査部位との間にずれが生じる。
【0035】
図6(c)では、プリント配線基板5が上反りしたために、斜め用カメラ21の光軸αは、要検査部位の手前を捉え、図6(b)では、プリント配線基板5が下反りしたために、斜め用カメラ21の光軸αは、要検査部位の先を捉えている。このように、自動検査装置30によって設定された要検査部位のデータに基づいてプリント配線板5と撮像装置7との相対位置を設定したのでは、目視検査が必要な検査ポイントPを捉えることができず、検査者は、どの表面実装部品のどの位置を目視すればよいのか判らなくなる。特に近年では、表面実装部品として、0603チップ等の一辺が1mmに満たない極小のチップ部品が用いられ、これら極小チップが高密度に実装されることから、モニタ上で検査ポイントPを確認することが困難となる。
【0036】
そこで、外観検査装置1では、レーザ照射装置8によって、自動検査装置30によって設定された要検査部位のデータに基づいて設定された当該要検査部位を通過するレーザ光を照射する。このレーザ光は、プリント配線板5の法線方向に拡散する扇状の光線であり、互いに交叉することにより、互いの交線Lがプリント配線板5の要検査部位を通過する法線方向のZ軸を形成する(図5)。
【0037】
この交線Lは、プリント配線板5上においてレーザ光の交点として表示され、この交点は、図7に示すように、プリント配線板5の反りに応じて要検査部位が昇降しても、プリント配線板5上に映るレーザ光の交点もZ軸に沿って追従し、常にプリント配線板5の検査ポイントPとして指し示す。これにより、外観検査装置1によれば、レーザ照射装置8によって照射されるレーザ光の交点を撮像装置7によって捉えるようにすることで、確実に検査ポイントPを撮像し、モニタに表示させることができる。
【0038】
[制御部]
制御部3は、検査者の操作に応じて外観検査装置1の各部を制御することにより目視検査を実行させるものであり、例えばPC等の情報処理端末を用いて構成することができる。制御部3は、自動検査装置30より、目視検査の対象となったプリント配線板5の要検査部位の位置データを受け取る。そして、制御部3は、当該位置データに基づき、レーザ照射装置8の第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交線上に要検査部位が位置するように、ステージ機構13を駆動し支持フレーム12の位置を調整する。
【0039】
これにより、プリント配線板5に反りが生じ、要検査部位が反りに応じて上下方向に移動した場合にも、第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交点は各レーザ光の交線Lに沿って、すなわちプリント配線板5の法線方向に沿って移動するため、常にプリント配線板5の要検査部位を検査ポイントPとして指し示すことができる。
【0040】
次いで、制御部3は、撮像装置7の正面カメラ20及び斜め用カメラ21でプリント配線板5の要検査部位を撮像し、モニタ4に撮像装置7によって撮像された画像を表示する。この画像には、検査ポイントPとして、第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交点が表示されているため、検査者は、この交点を目印に容易に要検査部位の検査を行うことができる。
【0041】
また、制御部3は、モニタ4の中心に、検査ポイントPを表示するようにしてもよい。すなわち、プリント配線板5が撓むことにより、要検査部位が上下方向に移動することにより、撮像装置7の撮像画像においても、図7に示すように、要検査部位を示す検査ポイントPがモニタ4上において中心からずれることがあり、反りが大きい場合などはモニタ4に表示されなくなるおそれもある。
【0042】
そこで、制御部3は、図8に示すように、第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交点をモニタ4の中心にくるように制御することで、目視検査の利便性を向上させることができる。この制御は、例えば、撮像装置7によってパンフォーカス撮影された原画像のトリミング範囲を、第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交点を中心に設定し所定の画像サイズでモニタ4表示することにより行うことができる。あるいは、この制御は、撮像装置7の斜め用カメラ21に、画角の調節機能と、第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交点を探索、検知する機能とを与え、当該レーザ光の交点を中心に撮像することにより行うこともできる。
【0043】
このとき、外観検査装置1は、図4に示すように、斜め用カメラ21と第1又は第2のレーザ照射装置8a,8bの一方とを同一方向に向けて、あるいは対向して配置し、斜め用カメラ21の光軸αとプリント配線板5の法線とがなす面S1と、プリント配線板5の法線方向に拡散する第1又は第2のレーザ照射装置8a,8bの一方のレーザ光がなす面S2とが同一平面上に位置するようにしてもよい。
【0044】
これにより、図8に示すように、当該第1又は第2のレーザ照射装置8a,8bの一方が照射するレーザ光は、モニタ4に表示される斜め用カメラ21の画像において上下方向に照射されY軸を構成する。また、第1又は第2のレーザ照射装置8a,8bの他方が照射するレーザ光は、モニタ4に表示される斜め用カメラ21の画像において左右方向に照射されX軸を構成する。したがって、検査ポイントPも当該Y軸上に位置することとなり、モニタ4の中心に検査ポイントPを位置させるに際しては、Y軸に沿って、斜め用カメラ21の画像トリミング範囲の調整、あるいは斜め用カメラ21の画角調整を行うことができ、調整を容易に行うことができる。
【0045】
[他の構成]
なお、上述した外観検査装置1では、支持部6に支持フレーム12をXY方向に移動させるステージ機構13を設けることとしたが、本発明は、撮像装置7にX、Y、Z方向の移動機構を設け、プリント配線板5と撮像装置7との相対位置を移動させるようにしてもよい。
【0046】
また、上述した外観検査装置1では、レーザ照射装置8の第1、第2のレーザ照射装置8a,8bの各レーザ光の交線と撮像装置7の正面用カメラ20の光軸とが一致するように予め両者の位置を固定し、支持部6をXY方向に移動させて、要検査部位をレーザ光の交線上に位置させていたが、本発明は、レーザ照射装置8及び撮像装置7が組み込まれた装置本体7aにX、Y、Z方向の移動機構を設けてもよい。
【0047】
さらに、上述した外観検査装置1では、装置本体7a内に撮像装置及びレーザ照射装置8を組み込みユニット化したが、本発明は、撮像装置7とレーザ照射装置8とを別々に構成し外筐体2に組み込んでもよい。
【0048】
この場合、レーザ照射装置8として、各レーザ光が直交するように第1のレーザ照射装置8a及び第2のレーザ照射装置8bを配置した場合、一方にX方向及びZ方向の移動機構を設け、他方にY方向及びZ方向の移動機構を設けてもよい。第1のレーザ照射装置8a及び第2のレーザ照射装置8bは、それぞれZ方向の移動機構を設けることにより、レーザの照射角度を調整することができる。したがって、要検査部位との間に高さのある電子部品が搭載され、これによりレーザ光が遮光される場合にも、照射位置を上げることによりレーザ光を要検査部位に照射することができる。
【0049】
また、この場合、斜め用カメラ21の光軸αと第1又は第2のレーザ照射装置8a,8bの一方のレーザ光がなす面S2とが同一平面上に位置させる配置は、撮像装置7を正面用カメラ20の光軸を中心に回転させることで容易に構成することができる。
【0050】
また、上記では本発明に係る外観検査装置を、目視検査装置に適用した場合を例に説明したが、本発明は、自動検査装置に適用してもよい。この場合も、要検査部位を第1、第2のレーザ照射装置8a、8bの各レーザ光の交点として示し、この交点を検出し斜め用カメラ21で撮像するように制御することで、確実に要検査部位を捉え、この撮像画像や位置データを目視検査に供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 外観目視検査装置、2 外筐体、3 制御部、4 モニタ、5 プリント配線板、6 支持部、7 撮像装置、8 レーザ照射装置、11 床面、12 支持フレーム、13 ステージ機構、20 正面用カメラ、21 斜め用カメラ、30 自動検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された配線基板の外側縁を支持する支持部と、
検査対象となる上記電子部品を撮像する撮像装置と、
上記配線基板の法線方向に拡散し、検査対象となる上記電子部品について設定された要検査部位を通過する扇状の第1の光線を斜め上方から照射する第1の照射装置と、
上記配線基板の法線方向に拡散し、上記電子部品の上記要検査部位を通過する扇状の第2の光線を斜め上方から照射する第2の照射装置とを備え、
上記第1の光線と第2の光線とが交叉することにより、上記配線基板の検査ポイントを示す外観検査装置。
【請求項2】
上記撮像装置は、上記配線基板の法線方向から撮像する第1のカメラと、上記配線基板に対して斜め上方から撮像する第2のカメラとを備え、
上記第1、第2の照射装置と、上記撮像装置とは、上記第1のカメラの光軸と、上記第1の光線と第2の光線との交線とが一致するように配置されている請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
上記支持部を上記配線基板の面内方向に移動させる移動部材を備える請求項2記載の外観検査装置。
【請求項4】
上記撮像装置が撮像した画像を写すモニタと、
上記第1の光線と上記第2の光線との交点を上記モニタの中心に合わせて表示するように上記モニタ画像を制御する制御手段とを備える請求項1記載の外観検査装置。
【請求項5】
上記撮像装置は、上記配線基板の法線方向から撮像する第1のカメラと、上記配線基板に対して斜め方向から撮像する第2のカメラとを備え、
上記第2のカメラの光軸と上記配線基板の法線とがなす面が、上記第1の照射装置又は上記第2の照射装置のいずれかの光線がなす面と同一平面上に位置する請求項4記載の外観検査装置。
【請求項6】
上記第1の照射装置及び上記第2の照射装置を、上記配線基板の法線方向へ移動させる移動手段を備える請求項1記載の外観検査装置。
【請求項7】
上記第1の照射装置及び上記第2の照射装置を、上記配線基板の面内方向へ移動させる移動手段を備える請求項6記載の外観検査装置。
【請求項8】
上記第1の照射装置及び上記第2の照射装置は、上記第1の光線と上記第2の光線とが直交するように配置されている請求項1記載の外観検査装置。
【請求項9】
上記撮像装置を上記配線基板の面内方向及び上記配線基板の法線方向の全部又は一部に移動させる移動手段を備える請求項1記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92508(P2013−92508A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236314(P2011−236314)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(508183782)WIT株式会社 (3)
【Fターム(参考)】