外部装置、電子閃光装置、およびカメラ
【課題】無線通信を介して接続される装置間で処理の同期をとること。
【解決手段】 マスター電子閃光装置200のCPU206mは、制御情報を含む通信パケットを生成してアンテナ201mを介して出力する。リモート電子閃光装置400は、アンテナ201rを介して受信した通信パケットは検出器205rに入力され、検出器205rは、通信パケットの読み込みを行い、通信パケットを全て読み込む前に同期データを検出し、同期データが検出されたときに撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号をCPU206rへ出力する。
【解決手段】 マスター電子閃光装置200のCPU206mは、制御情報を含む通信パケットを生成してアンテナ201mを介して出力する。リモート電子閃光装置400は、アンテナ201rを介して受信した通信パケットは検出器205rに入力され、検出器205rは、通信パケットの読み込みを行い、通信パケットを全て読み込む前に同期データを検出し、同期データが検出されたときに撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号をCPU206rへ出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに接続して使用するための外部装置、電子閃光装置、およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなワイヤレス増灯システムが例えば特許文献1によって知られている。このシステムでは、補助ストロボは、カメラに接続されている主ストロボの発光を検知して自身の発光動作を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−267682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムにおいては、主ストロボの発光を検出してからタイマによる計測を開始するため、カメラ側の主ストロボと外部装置としての補助ストロボの発光タイミングの同期を精度高くとることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無線接続されたカメラから制御情報および制御対象を特定するための情報を含む通信パケットを受信し、受信した通信パケットに自分自身を制御対象として特定する情報が含まれている場合に、制御情報に基づく処理を実行する電子閃光装置であって、当該電子閃光装置が複数存在する場合には、自分自身を制御対象として特定する情報は、自分自身を個別に特定するための情報、または全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報のいずれかであり、通信パケットに自分自身を個別に特定するための情報が含まれている場合には、本発光に先立って行う予備発光を開始し、通信パケットに全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報が含まれている場合には、本発光を行うことを特徴とする。
本発明による外部装置は、無線接続されたカメラから第1の制御情報を含む第1の通信パケット、および第2の制御情報を含む第2の通信パケットを受信し、第1の通信パケットを受信した後、所定の有効時間以内に第2の通信パケットを受信した場合に、第1の制御情報および第2の制御情報に基づく処理を実行することを特徴とする。
本発明による電子閃光装置は、無線接続されたカメラから制御情報を含む通信パケットを受信し、通信パケットを受信した場合に、制御情報に基づく処理を実行し、処理の実行結果を示す情報として、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方を含む情報をカメラに送信することを特徴とする。
本発明はまた、制御情報を含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを出力するカメラと無線接続される外部装置であって、通信パケットを受信してメモリに記録し、受信した通信パケットを全てメモリに記録する前に、受信済みのパケットからの情報の読み込みを開始することを特徴とする。このとき、読み込まれたパケットから撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期データを検出し、同期データが検出されたときに、撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号を出力することが好ましい。
本発明によるカメラは、制御情報を含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを無線接続された複数の外部装置へ出力し、外部装置が複数ある場合、通信パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための制御情報を含む通信パケットを生成することを特徴とする。このとき、外部装置が電子閃光装置である場合には、制御情報は、それぞれの外部装置の発光量を示す情報を含むようにしてもよい。
本発明による電子閃光装置、外部装置、およびカメラは、さらに、互いに無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラと外部装置の処理のタイミングの同期を精度高くとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図である。
【図3】リモート電子閃光装置400のブロック図である。
【図4】デジタル通信のフォーマットに則った通信パケットの一例を示す図である。
【図5】システムで固有に定義した情報を備えた通信パケットの一例を示す図である。
【図6】サーチパケットの具体例を示す図である。
【図7】モニタ発光起動パケットの具体例を示す図である。
【図8】モニタ発光時の処理の流れを示す図である。
【図9】発光ゲインコマンドパケットの具体例を示す図である。
【図10】発光ゲインコマンドパケットの送信から本発光までの処理の流れを示す図である。
【図11】発光ゲインコマンドパケットを受信したリモート電子閃光装置400における処理を示すフローチャート図である。
【図12】本発光起動パケットの具体例を示す図である。
【図13】本発光起動パケットを送信するに当たってのマスター電子閃光装置200における処理を示すフローチャート図ある。
【図14】本発光起動パケットを受信したリモート電子閃光装置400における処理を示すフローチャート図である。
【図15】発光確認パケットの具体例を示す図である。
【図16】報告パケットの具体例を示す図である。
【図17】本発光起動パケットが送信された場合の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。この発光制御システム100においては、ストロボ(マスター電子閃光装置)200を搭載したカメラ300と、外部ストロボ(リモート電子閃光装置)400とが無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはZigBeeなどの規格を用いた無線通信を介して接続されている。なお、発光制御システム100は、マスター電子閃光装置200を搭載した1台のカメラ300と、少なくとも1台の外部装置としてのリモート閃光装置400とで構成されるが、図1では、1台のカメラ300と2台のリモート閃光装置400とで構成される場合の具体例を示している。
【0009】
マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図を図2に示す。マスター電子閃光装置200とカメラ300とは、カメラ300の上部に装備されるホットシューのX端子2aを介して接続されている。また、リモート電子閃光装置400のブロック図を図3に示す。
【0010】
なお、マスター電子閃光装置200とリモート電子閃光装置400とは、その構成が同一であるため、図2および図3に示すように、それぞれを構成する各部に付与する符号は数字部分を一致させて表す。そして、各部に付与する符号の末尾にマスター電子閃光装置200においては「m」を、リモート電子閃光装置400においては「r」を付加することによって両者を区別する。本実施の形態では、マスター電子閃光装置200の構成を代表して説明し、リモート電子閃光装置400の構成については説明を省略する。
【0011】
マスター電子閃光装置200は、アンテナ201mと、周波数ダウンコンバータ202mと、変調送信回路203mと、復調回路204mと、検出器205mおよび210mと、CPU206mと、バッファメモリ207mおよび211mと、エラー検出回路208mと、発振器209mと、発光制御回路212mと、キセノン管213mとを備えている。カメラ300は、レンズ301と、シャッタ302と、撮像素子303と、測光センサ304と、シャッタ駆動装置305と、CPU306と、レリーズスイッチ307とを備えている。
【0012】
ここで、マスター電子閃光装置200が備えるアンテナ201m〜バッファメモリ211m(CPU206mを除く)は、リモート電子閃光装置400と無線通信するための無線モジュールを構成する。すなわち、図2に示す例では、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300においては、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを備えている。なお、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを搭載しておらず、カメラ300が無線モジュールを搭載している場合には、カメラ300が備える無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。また、マスター電子閃光装置200およびカメラ300のいずれもが無線モジュールを搭載している場合には、いずれか一方、例えばマスター電子閃光装置200側の無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。
【0013】
このように、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300、およびリモート電子閃光装置400とを有する発光制御システム100においては、使用者によってカメラ300のレリーズスイッチ307が押下されたときに、シャッタ302を開いてレンズ301を通して入力される被写体像を撮像素子303で撮像するタイミング、マスター電子閃光装置200の発光タイミング、および全てのリモート電子閃光装置400の発光タイミングの同期をとる必要がある。また、撮影時の各リモート電子閃光装置400の発光量を決定するために、撮影に当たっての発光(本発光)に先立って予備発光(モニタ発光)を行う場合には、各々のリモート電子閃光装置400の発光タイミングと測光センサ304による測光との同期をとる必要がある。
【0014】
このため、本実施の形態では、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、カメラ300のCPU306の命令に基づいて、リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光および本発光の指示を出す。このとき、本発光のタイミングおよびモニタ発光のタイミングの同期をとるための信号(同期データ)や制御の内容を示す制御情報を含んだデジタル通信のフォーマットに則った通信パケットを生成する。CPU206mは、例えば図4に示すようなフォーマットの通信パケットを生成する。図4において、preamble4aは、通信の最初に送信する助走部分のようなデータであり、4バイト程度のpreamble4aの送信が義務付けられている。preamble4aは、例えば0,0,0,0・・・のような固定ビットパターンが設定される。
【0015】
SFD(Start of Frame Delimiter)4bは、preamble4aに続いてパケットの先頭部分に付加される同期用データである。Flame length4cは、通信データ容量(バイト数)を示すデータである。その後、規格上は2バイトのFCF(Frame Control Field)4dおよび1バイトのData Sequence Number4eが続いて付加される。しかしながら、規格に完全準拠しなくとも通信自体は実用化できることから、本実施の形態では、これらのFCF4dおよびData Sequence Number4eを省略し、図5に示すように、代わりにシステムで固有に定義した1バイトのコマンド4f、1バイトの相手先ID4g、および種々の情報を含むデータ4hとを付加する。
【0016】
SFD4bは、本来は通信方式に固有の固定データであって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止する働きがある。すなわち、受信側では、あらかじめ設定されているSFDとデータのパターンが一致しないSFDを含む通信パケットを受信した場合には、そのパケットは自分自身が受信すべきパケットではないと判断する。本実施の形態では、カメラ300のCPU306と、マスター電子閃光装置200のCPU206mと、リモート電子閃光装置400のCPU206rとがSFD4bをこのような混信時の誤動作防止を目的として使用した上で、さらに上述したようにマスター電子閃光装置200の本発光タイミング、リモート電子閃光装置400の本発光タイミング、およびカメラ300のシャッタ302を開くタイミングの同期を取るための同期データとして使用する。同様にSFD4bは、各々のリモート電子閃光装置400のモニタ発光のタイミングと測光センサ304による測光との同期を取るための同期データとしても使用される。
【0017】
具体的には、送信側はSFD4bを送信するタイミングで同期を取るための同期信号を出力し、受信側はSFD4bを受信したタイミングで同期信号を出力する。そして、送信側および受信側のそれぞれで、この同期信号が出力されてから設定された所定時間後に後述するコマンド4fに定義されているコマンドを実行することによって、送信側および受信側における処理開始のタイミングを一致させることができる。
【0018】
ここで、受信側においては、送信側と比べてデコード時間などの遅延時間(受信遅延時間)が発生するため、受信側におけるSFD4bの受信完了タイミングAは、送信側におけるSFD4bの送信完了Bタイミングよりも遅れ、両者は完全には一致しない可能性がある。しかしながら、この遅延時間は極めて微小な時間であるため無視しても問題ない。また、無視できないほどの遅延時間が発生する場合でも、この遅延時間はほぼ一定の時間であることから、固定値としてあらかじめ設定しておき、この遅延時間を考慮してコマンド4fに定義されているコマンドの実行タイミングを調整することによって、送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させることができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、SFD4bの送受信完了タイミングAおよびBに基づいて送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させる方法について説明するが、Flame length4cの送受信完了タイミングに基づいて送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させるようにしてもよい。
【0020】
コマンド4fは、処理を起動するための制御コマンドを表すデータである。例えば、上述した本発光の実行を指示する通信パケット(本発光起動パケット)には、コマンド4fとして本発光起動コマンドを表すデータが付加される。また、上述したモニタ発光の実行を指示する通信パケット(モニタ発光起動パケット)には、コマンド4fとしてモニタ発光起動コマンドを表すデータが付加される。相手先ID4gは、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行対象となるリモート電子閃光装置400のIDが含まれる。すなわち、相手先ID4gに指定したリモート電子閃光装置400に対して、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行を指示する。
【0021】
なお、各リモート電子閃光装置400には個別にID(個別ID)が付加されており、この個別IDによって各リモート電子閃光装置400を一意に識別することができる。よって、相手先ID4gには、この個別IDを指定して、コマンド4fの実行対象を指定することができる。また、この個別IDに代えて、全てのリモート電子閃光装置400をコマンド4fの実行対象として指定するためのID(全装置ID)を指定することもできる。例えば、図1に示した2台のリモート電子閃光装置400の個別IDが1および2である場合に、これらをまとめて指定する場合の全装置IDとして0を指定することができる。また、マスター電子閃光装置200にもマスター電子閃光装置200を示すIDとして例えばMが付加されている。
【0022】
これによって、全てのリモート電子閃光装置400に同じコマンド4fを実行させたい場合には、相手先ID4gに全装置IDを指定することで、全てのリモート電子閃光装置400に対して一括してコマンド4fで定義した制御コマンドの実行を指示することができる。すなわち、通信パケットを受信したリモート電子閃光装置400においては、後述するように、相手先ID4gに自分自身の個別IDが含まれている場合、または全装置IDが含まれている場合に、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行対象が自分自身であることを認識する。
【0023】
データ4hの種類としては、モード情報、時間情報、およびチェックデータ等が含まれる。モード情報は、本発光、モニタ発光を示す発光モードなどの動作モードを示す情報である。時間情報は、同期信号が出力されてから処理開始までの所定時間に関する情報である。チェックデータは、誤動作防止のためのチェックサムやCRC等のエラーチェック用のデータである。
【0024】
マスター電子閃光装置200のCPU206mで生成された通信パケットは、バッファメモリ211mへ一時的に格納された後、検出器210mに出力される。検出器210mは、入力されるパケットを先頭から読み込んで解析する。そして、検出器210mは、同期データとしてのSFD4bの読み込みが完了したことを検出したときに、同期信号をCPU206mへ出力する。すなわち、検出器210mは、通信パケットを送信完了する前に同期データを検出する。検出器210mは、この同期信号を割り込み信号としてCPU206mの同期タイミング用ピン(割り込み端子)に出力する。そして、CPU206mは、X端子2aを介して同期信号をCPU306の同期タイミング用ピンに出力する。
【0025】
CPU206mおよび306は、同期信号の割り込みを検出した場合には計時を開始する。そして、CPU206mは、生成した通信パケットに含まれるコマンド4fに基づいて、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があるか否かを判断する。具体例として、コマンド4fが本発光コマンドを表すデータである場合について説明する。この場合は、マスター電子閃光装置200の発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングとを一致させる必要がある。よって、カメラ300のCPU306からの指示に基づいて、CPU206mは、本発光コマンドを生成し、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があると判断する。
【0026】
そして、CPU206mは、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があると判断した場合には、検出器210mからの同期信号の割り込みを検出してからあらかじめ設定された所定時間後にコマンド4fに基づいて必要な処理を開始する。例えば、コマンド4fが本発光コマンドを表すデータである場合には、CPU206mは、同期信号の割り込みを検出してから上述した所定時間経過後に発光制御回路212mに対して本発光の開始を指示する。CPU306は、同期信号の割り込みを検出してから上述した所定時間経過後にシャッタ駆動装置305に対してシャッタ302を開くように指示する。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300側での処理開始タイミングの同期を精度高くとることができる。なお、カメラ300が備えるシャッタ302は、機械式シャッタでなく、撮像素子の電子シャッタであってもよい。
【0027】
一方、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要がないと判断した場合には、CPU206mは、発光制御回路212mに対して処理の開始を指示しない。
【0028】
また、通信パケットは、検出器210mから変調送信回路203mへ出力され、変調送信回路203mにて通信パケットを所定の周波数の無線伝送可能な信号に変調された後、搬送波の形でアンテナ201mを介してリモート電子閃光装置400へ出力される。この所定の周波数は発振器209mにより決められる。リモート電子閃光装置400は、アンテナ201rを介して搬送波の形でこの通信パケットを受信する。
【0029】
リモート電子閃光装置400では、受信した搬送波は、まず周波数ダウンコンバータ202rに入力される。周波数ダウンコンバータ202rでは、受信したパケットを所定の低周波数のデータにダウンコンバートした後、復調回路204rへ出力する。この所定の周波数は発振器209rにより決められる。復調回路204rでは、入力された信号をデジタル通信パケットに復調して検出器205rへ出力する。
【0030】
検出器205rは、上述したマスター電子閃光装置200における検出器210mと同様に、入力されるパケットを先頭から読み込んで解析し、同期データとしてのSFD4bの読み込みが完了したことを検出したときに、同期信号を割り込み信号としてCPU206rの同期タイミング用ピンに出力する。このとき、検出器205rは、読み込んだSFD4bが、あらかじめ設定されているデータ列と一致した場合のみ、同期信号を出力する。これによって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止することができる。
【0031】
また、検出器205rは、読み込んだ通信パケットをバッファメモリ207rへ出力して記録し、記録された通信パケットの一部はさらにエラー検出回路208rへ出力される。エラー検出回路208rは、情報4hに含まれているエラーチェック用のチェックデータに基づいて、受信した通信パケットにエラーがないかを検出する。その検出結果は、CPU206rへ出力される。
【0032】
リモート電子閃光装置400のCPU206rは、検出器205からの同期信号の割り込みを検出した場合には計時を開始する。そして、バッファメモリ207rに記憶されたパケットに含まれるコマンド4fに基づいて、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要があるか否かを判断する。具体的には、コマンド4fが本発光を行うための本発光コマンドまたはモニタ発光を行うためのモニタ発光コマンドを表すデータである場合には、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、処理開始の同期をとる必要があると判断する。CPU206rは、コマンド4fが本発光コマンドとモニタ発光コマンドのいずれでもないと判断した場合は、計時を終了する。
【0033】
そして、CPU206rは、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要があると判断し、かつエラー検出回路208rによる検出結果がエラーなしであると判断した場合には、検出器205rからの同期信号の割り込みを検出してから情報4hに含まれている時間情報から得られる所定時間、すなわち設定された所定時間後に発光制御回路212rへ処理の開始を指示するための信号を出力する。
【0034】
この情報4hに含まれている時間情報から得られる所定時間(第2の所定時間)は、上述したようにマスター電子閃光装置200のCPU206mおよびカメラ300のCPU306が同期信号の割り込みを検出してから処理を開始するまでの時間(第1の所定時間)と同じ時間が設定されている。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理を開始するタイミングと、リモート電子閃光装置400が処理を開始するタイミングの同期をとることができる。さらに、複数のリモート電子閃光装置400がある場合でも、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、同じ時間に処理を開始することができるため、各リモート電子閃光装置400間での処理開始タイミングの同期も精度高くとることができる。
【0035】
一方、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要がないと判断した場合、またはエラー検出回路208rによる検出結果がエラーありであると判断した場合には、CPU206rは発光制御回路212rに処理の開始を指示するための信号を出力しない。
【0036】
また、本発光を行うときのように、リモート電子閃光装置400の処理開始タイミングをマスター電子閃光装置200やカメラ300とも処理開始タイミングとも同期をとる必要がある場合には、第2の所定時間は、上述した受信遅延時間を加味した時間を設定してもよい。これによって、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400との間で処理開始タイミングの同期を精度高くとることができる。
【0037】
なお、以上説明した例では、マスター電子閃光装置200のCPU206mで通信パケットを生成してリモート電子閃光装置400へ送信する場合に処理開始タイミングの同期をとる方法について説明したが、リモート電子閃光装置400のCPU206rで通信パケットを生成してマスター電子閃光装置200へ送信する場合にも同様の手順で処理が行われる。
【0038】
次に、本実施の形態における処理の具体例について説明する。まず、マスター電子閃光装置200の電源がオンされると、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、図6に示すサーチパケットを生成して送信し、リモート電子閃光装置400からの応答を得ることによって、通信範囲内に存在するリモート電子閃光装置400を検出する。すなわち、サーチパケットを受信したリモート電子閃光装置400では、CPU206rは、バッファメモリ207rにコマンド4fとしてサーチコマンドが記憶された場合に、自身が存在することを示すパケットを生成してマスター電子閃光装置200へ送信する。なお、このサーチコマンドは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ内容のパケットを送信すればよいため、相手先ID4gには上述した全装置IDを示す0が指定されている。
【0039】
その後、カメラ300のCPU306は、使用者によってカメラ300のレリーズスイッチ307が押下されたことを検出したときに、その検出信号をマスター電子閃光装置200のCPU206mへ出力する。また、CPU306は、CPU206mへ各電子閃光装置を制御するための発光制御情報を送信する。そして、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光を指示するために、モニタ発光起動パケットを生成して送信する。図7は、モニタ発光起動パケットの具体例を示す図である。
【0040】
この図7に示すように、コマンド4fにモニタ発光コマンドを表すデータが設定され、情報4hには、モニタ発光時の光量を表す光量情報7a、上述した第2の所定時間に相当する時間を表す時間情報7b、およびエラーチェック用のチェックデータ7cを含んでいる。光量情報7aと時間情報7bは、カメラ300のCPU306より入力した発光制御情報に基づいて生成される。なお、モニタ発光時の光量情報7aや時間情報7bなどは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよいため、モニタ発光起動パケットでは相手先ID4gに全装置IDを示す0が指定されている。
【0041】
このモニタ発光起動パケットを受信した各リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、検出器205rからの同期信号(割り込み信号)の入力を検出した場合に計時を開始する。そして、エラー検出回路208rによるエラー検出結果に基づいて、通信パケットにエラーがないと判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶された時間情報7bに指定されている第2の所定時間を経過した後に、光量情報7aに指定されている光量でモニタ発光を行うように、発光制御回路212rに対して指示を出す。発光制御回路212rは、CPU206rからの指示に基づいてキセノン管213rを発光させてモニタ発光を行う。
【0042】
リモート電子閃光装置400でモニタ発光が行われると、カメラ300が搭載する測光センサ304によってモニタ発光時の光量が測定され、測定結果はCPU306へ出力される。なお、カメラ300のCPU306は、あらかじめ設定された第1の所定時間を経過した後に測光を行う。第1の所定時間と第2の所定時間とは、モニタ発光のタイミングと測光のタイミングとが一致するように、カメラ300のCPU306が事前に設定する。
【0043】
カメラ300のCPU306は、測光センサ304による測光量が少なく測光値を示すデータのS/Nが悪いと判断した場合には、光量情報7aで指定する光量を前回よりも大きくして再度モニタ発光起動パケットを生成することを示す発光制御情報をマスター電子閃光装置200のCPU206mへ送信する。そして、CPU206mは、再度モニタ発光パケットを生成し、各リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光コマンドを再度発信する処理を実行する。逆に、測光センサ304による測光量が大きく、測光レンジをオーバーフローした場合には、カメラ300のCPU306は、光量情報7aで指定する光量を前回よりも小さくして再度モニタ発光起動パケットを生成することを示す発光制御情報をCPU206mへ送信する。そして、CPU206mは、再度モニタ発光パケットを生成し、各リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光コマンドを再度発信する処理を実行する。
【0044】
すなわち、図8に示すように、適正な測光結果が得られるまでモニタ発光を繰り返す。なお、図8に示す例では、モニタ発光コマンド1に基づく測光結果が満足のいくものではなかったことから、CPU206mが再度モニタ発光コマンド2を含むモニタ発光起動パケットを送信して測光を行う処理を実行する場合を示している。
【0045】
カメラ300のCPU306は、適正な測光結果が得られたと判断した場合には、カメラ300の測光センサ304によって計測されたモニタ発光時の光量に基づいて本発光に必要な光量を算出する。なお、本発光を公知のTTL方式で行う場合には、CPU306は、本発光に必要な光量をモニタ発光時の光量の測定結果に対する比率として算出する。この算出される比率を発光ゲインと呼ぶ。CPU306は、算出結果に基づいてマスター電子閃光装置200のCPU206mへ発光制御情報を送信する。そして、CPU206mは、発光制御情報に基づいて各リモート電子閃光装置400用の発光ゲインコマンドパケットを生成する。発光ゲインコマンドパケットには、本発光に必要な光量などの発光時の制御情報が含まれる。
【0046】
図9は、発光ゲインコマンドパケットの具体例を示す図である。この発光ゲインコマンドパケットにおいては、コマンド4fには発光ゲインコマンドを表すデータが設定され、情報4hには、発光モード9a、ゲインデータ9b、有効時間9cおよびチェックデータ7cを含んでいる。ここで、発光モード9aとは、本発光の方式を示すものであり、例えば上述したTTL方式を示すTTLモードが指定される。また、これ以外にも固定発光量での発光を指定するマニュアル発光モード、選択した固定発光量を指定回数だけ繰り返して発光を行うリピーティング発光モード、および微小発光を短い発光周期(60Hz程度)で1〜2秒ほど行うモデリング発光モードなどの種々のモードが指定される。
【0047】
また、ゲインデータ9bには、カメラ300のCPU306がモニタ発光時の光量の測定結果に基づいて算出した本発光に必要な光量、すなわち発光ゲインを指定する。この発光ゲインには、発光しないことを示すデータも含まれる。なお、発光モード9aおよびゲインデータ9bは、リモート電子閃光装置400ごとに異なる場合があるため、通信パケット内で各個別IDを指定して、各個別IDごとにそれぞれの発光モード9aおよびゲインデータ9bを指定する。このように、通信パケット内には、それぞれのリモート電子閃光装置400を個別に制御するための制御情報を含めることができる。
【0048】
このとき、各リモート電子閃光装置400ごとに、個別に発光ゲインコマンドパケットを生成して送信することも考えられるが、この場合には、マスター電子閃光装置200側で各発光ゲインコマンドパケットごとにpreamble4aから通信を行う必要があり、時間的なロスが生じる。よって、本実施の形態では、図9に示すように、1つの発光ゲ
インコマンドパケット内で各個別IDごとに発光モード9aおよびゲインデータ9bを指定することで、時間的なロスが発生することを防止している。
【0049】
有効時間9cは、発光ゲインコマンドパケットの有効時間を示すものである。そして、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、この有効時間9cで指定された有効時間に基づいてコマンド4fに基づく処理を実行するか否かを決定する。すなわち、CPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間が経過するまでの間に、後述する本発光の起動を指示するための本発光起動パケットを受信した場合には、本発光の処理を行う。これに対してCPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間9cに指定された有効時間が経過するまでの間に、本発光起動パケットを受信しない場合には、本発光の処理を行わない。なお、有効時間としては100msec〜500msec程度の時間が設定される。
【0050】
例えば、図10に示すように、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間tの間に本発光起動パケットを受信した場合のみ、本発光を行う。
【0051】
これによって、リモート電子閃光装置400が発光ゲインコマンドパケットを受信してから本発光起動コマンドを受信するまでの時間を、マスター電子閃光装置200による実質的な発光ゲインコマンドパケットと本発光起動コマンドの送信間隔に相当する時間内に制限することができる。このため、他のシステムの通信を拾ってしまい、リモート電子閃光装置400が誤作動を起こすことを防止することができる。なお、発光モード9a、ゲインデータ9b、有効時間9cは、カメラ300のCPU306より入力した発光制御情報に基づいて生成される。
【0052】
この発光ゲインコマンドパケットを受信したリモート電子閃光装置400では、CPU206rは、図11に示すフローに従って処理を実行する。すなわち、ステップS10において、受信した通信パケットに含まれるコマンド4fのバッファメモリ207からの読込みが完了するまで待機する。その後、ステップS20へ進み、読み込んだコマンド4fが発光ゲインコマンドを表すデータであるか否かを判断する。発光ゲインコマンドを表すデータでない場合には、処理を終了する。これに対して、発光ゲインコマンドを表すデータである場合には、ステップS30へ進む。
【0053】
ステップS30では、本発光起動コマンドの有効時間を計時するための基準時刻として現在時刻を記憶する。その後、ステップS40へ進み、バッファメモリ207rから相手先ID4gの読込みが完了するまで待機して、ステップS50へ進む。ステップS50では、相手先ID4gが自分自身のIDと一致するか否かを判断する。自分のIDと一致しないと判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶されているデータは自分宛てのデータではないと判断してステップS60へ進む。ステップS60では、その相手先ID4gに対して設定された発光モード9aおよびゲインデータ9bをバッファメモリ207rから空読みして、ステップ70へ進む。
【0054】
ステップS70では、空読みしたデータが発光ゲインコマンドパケットに含まれる最終データであるか否かを判断する。例えば、図9で上述したように、各個別IDごとにデータ4hが指定されている場合に、空読みしたデータがパケット内に含まれる最後の個別ID宛てのデータであるか否かを判断する。その結果、最終データであると判断した場合には、処理を終了する。これに対して最終データではないと判断した場合には、ステップS50へ戻る。
【0055】
一方、ステップS50において、相手先ID4gが自分自身のIDと一致すると判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶されているデータは自分宛てのデータであると判断してステップS80へ進む。ステップS80では、バッファメモリ207rに記憶されている発光モード9aおよびゲインデータ9bの読込みが完了するまで待機して、ステップS90へ進む。ステップS90では、読み込んだ発光モード9aおよびゲインデータ9bに基づいて、本発光時の制御パラメータ(本発光制御パラメータ)を設定して、ステップS100へ進む。
【0056】
ステップS100では、自分宛てのデータが発光ゲインコマンドパケットに含まれる上述した最終データであるか否かを判断する。最終データであると判断した場合には、処理を終了する。これに対して最終データではないと判断した場合には、ステップS50へ戻る。
【0057】
マスター電子閃光装置200において、CPU206mは、さらに図12に示す本発光起動パケットを生成する。なお、図12(a)は、上述した受信遅延時間を加味しない場合の本発光起動パケットを示し、図12(b)は、受信遅延時間を加味した場合の本発光起動パケットを示している。両者は、情報4hに受信遅延時間を指定するための受信遅延時間12aを含むか否かの点で相違する。ここでは、受信遅延時間は加味しないものとし、CPU206mは、図12(a)に示す本発光起動パケットを生成する場合について説明する。
【0058】
本発光起動パケットにおいては、コマンド4fには本発光コマンドを表すデータが設定される。この本発光起動パケットは、事前に送信してある発光ゲインコマンドパケットに基づいて本発光の起動を指示するためのパケットであるため、情報4hには上述した時間情報7bおよびチェックデータ7cのみを含む。また、これらの時間情報7bおよびチェックデータ7cは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよい。よって、全てのリモート電子閃光装置400を指定するために、相手先ID4gは1および2が設定されている。あるいは上述したように相手先ID4gとして全装置IDを示す0を指定してもよい。
【0059】
マスター電子閃光装置200のCPU206mは、本発光起動パケットを送信するに当たって、リモート電子閃光装置400と本発光のタイミングを一致させるために、検出器210mによってSFD4bが検出された時点で計時を開始し、あらかじめ設定された所定時間(第1の所定時間)経過後に本発光を開始する。図13は、本発光起動パケットを送信するに当たってのマスター電子閃光装置200におけるCPU206mの処理を示すフローチャートある。
【0060】
ステップS110において、検出器210mから同期信号(割り込み信号)が入力されたことを検出した場合に計時を開始する。このときX端子2aを介して同期信号をカメラ300のCPU306の同期タイミング用ピンに出力する。その後、ステップS120へ進む。ステップS120では、計時を開始してから上述した第1の所定時間が経過したか否かを判断する。第1の所定時間が経過したと判断した場合には、ステップS130へ進み、発光制御回路212mに対して発光開始を指示して、処理を終了する。なお、カメラ300においては、CPU306は、同期信号が入力されてから上述した第1の所定時間が経過後にシャッタ駆動装置305に対してシャッタ302を開くように指示する。
【0061】
また、この本発光起動コマンドを受信した各リモート電子閃光装置400においては、CPU206rは図14に示す処理を実行する。なお、CPU206rは、あらかじめ上述した発光ゲインコマンドパケットを受信していない場合には、図14に示す処理を実行しない。
【0062】
ステップS210において、CPU206rは、検出器205rから同期信号(割り込み信号)が入力されたことを検出した場合に計時を開始して、ステップS220へ進む。ステップS220では、受信した通信パケットに含まれるコマンド4fをバッファメモリ207rから読み込むまで待機する。その後、ステップS230へ進み、読み込んだコマンド4fが本発光コマンドを表すデータであるか否かを判断する。本発光コマンドを表すデータでない場合には、処理を終了する。これに対して、本発光コマンドを表すデータである場合には、ステップS240へ進む。
【0063】
ステップS240では、バッファメモリ207rに記憶されている相手先ID4gが自分自身のIDと一致するか、あるいは相手先ID4gが全装置IDであるか否かを判断する。相手先ID4gが自分の個別IDでも全装置IDでもない場合には、処理を終了する。これに対して、相手先ID4gが自分の個別IDか全装置IDのいずれかである場合には、ステップS250へ進む。
【0064】
ステップS250では、発光ゲインコマンドパケットを受信してから上述した有効時間9cで指定されていた有効時間以内であるか否かを判断する。すなわち、図11のステップS30で記憶した時刻からの経過時間が有効時間以内であるか否かを判断する。有効時間以上経過していると判断した場合には、当該本発光起動コマンドは無効であると判定して処理を終了する。一方、有効時間以内であると判断した場合には、当該本発光起動コマンドを受け付けてステップS260へ進む。
【0065】
ステップS260では、時間情報7bに指定されている所定時間(第2の所定時間)が経過したか否かを判断する。所定時間を経過したと判断した場合には、ステップS270へ進み、発光制御回路212rに対して発光開始を指示する。その後、処理を終了する。
【0066】
マスター電子閃光装置200のCPU206mは、本発光が完了した後、各リモート電子閃光装置400に対して、本発光における発光状況を報告させるために、例えば図15に示す発光確認パケットを生成して送信する。この発光確認パケットにおいては、コマンド4fは発光確認コマンドである。また、この発光確認パケットは、各リモート電子閃光装置400に対して個別に送信され、図15に示すパケットは、相手先ID4gに1を設定して個別IDが1のリモート電子閃光装置400を対象とした例を示している。
【0067】
この発光確認パケットを受信した各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、例えば図16に示す報告パケットを生成してマスター電子閃光装置200に本発光時の発光状況を報告する。この報告パケットは、マスター電子閃光装置200に対して本発光時の発光状況を示す情報としての報告データ16aを送信するためのパケットであり、マスター電子閃光装置200に対して処理の実行を指示するためのものではないため、コマンド4fは含まない。また、相手先ID4gにはマスター電子閃光装置200を示すID、例えばMが指定される。
【0068】
報告データ16aとしては、例えば(1)本発光コマンドを有効時間内に検出しなかったために本発光が行われなかった旨を示す情報、(2)発光ゲインコマンドパケットのゲインデータ9bで指定された目標光量がリモート電子閃光装置400の発光可能な光量を超えたためにフル発光させた旨を示す情報などが報告される。また、(3)本発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報を報告するようにしてもよい。
【0069】
図17は、本発光起動パケットが送信された場合のカメラ300およびリモート電子閃光装置400の処理の流れを示す図である。マスター電子閃光装置200から本発光起動コマンドが送信されると、所定時間Tds経過後に2台のリモート電子閃光装置400(個別ID:1、個別ID:2)が本発光を開始する。同時にカメラ300においては、シャッタ駆動装置305が一定時間シャッタ302を開く。発光モードがTTLモード、マニュアル発行モード、およびリピーティング発光モードの場合、シャッタ302の先幕が開ききってから後幕が閉じ始める前の期間に本発光が行われる。その後、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置(個別ID:1)に対して発光確認パケットを送信して、リモート電子閃光装置(個別ID:1)から報告(返信)を得ている。さらに、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置(個別ID:2)に対して発光確認パケットを送信して、リモート電子閃光装置(個別ID:2)から報告(返信)を得ている。
【0070】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)マスター電子閃光装置200の検出器205mと210m、およびリモート電子閃光装置400の検出器205rと210rは、通信パケットを全て読み込む前に同期データを検出して同期信号をCPU206mまたはCPU206rへそれぞれ出力するようにした。これによって、通信パケットを全て読み込むために要する時間が異なる場合でも、その前に同期信号を出力することができ、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400との間の処理開始の同期を精度高くとることができる。
【0071】
(2)検出器205m、210m、205r、および210rは、通信パケットに含まれるSFD4bを同期データとして検出するようにした。これによって、通信パケット内に必ず含まれる特定の意味を持ったデータ(特定データ)を同期データとして検出すればよいため、同期データとして特別なデータをパケットに含める必要がなくなる。
【0072】
(3)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、検出器210mからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間後にコマンド4fに基づいて必要な処理の開始を指示するようにした。また、カメラ300のCPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間後に必要な処理の開始を指示するようにした。さらに、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、検出器205rからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間と同じ第2の所定時間後に発光制御回路212rへ処理の開始を指示するようにした。これによって、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングの同期を精度高くとることができる。例えば、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングを同時とすることができる。また、第2の所定時間をデコード時間などの遅延時間を加味して第1の所定時間とは異なる時間とすることで、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングの同期の精度をさらに向上させることができる。
【0073】
(4)マスター電子閃光装置200から本発光起動パケットが送信された場合には、マスター電子閃光装置200は第1の所定時間経過後に本発光を開始し、カメラ300は第1の所定時間経過後にシャッタ302を開き、リモート電子閃光装置400は第2の所定時間経過後に本発光を開始するようにした。これによって、カメラ300による撮影タイミングと、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400による本発光のタイミングとを一致させることができる。
【0074】
(5)マスター電子閃光装置200からモニタ発光起動パケットが送信された場合には、カメラ300は第1の所定時間経過後に測光を開始し、リモート電子閃光装置400は第2の所定時間経過後にモニタ発光を開始するようにした。これによって、カメラ300による測光タイミングと、リモート電子閃光装置400によるモニタ発光のタイミングとを一致させることができる。
【0075】
(6)検出器205mまたは210mから出力される同期信号は、CPU206mの割り込み端子に入力されるようにした。また、CPU206mから出力される同期信号は、CPU306の割り込み端子に入力されるようにした。さらに、検出器205rまたは210rから出力される同期信号は、CPU206rの割り込み端子に入力されるようにした。これによって、CPU206m、CPU206r、およびCPU306は高速に同期信号を検出することができる。
【0076】
(7)各リモート電子閃光装置400は、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間9cに指定された有効時間が経過するまでの間に本発光起動パケットを受信した場合のみ本発光を行うようにした。これによって、リモート電子閃光装置400が発光ゲインコマンドパケットを受信してから本発光起動コマンドを受信するまでの時間を、マスター電子閃光装置200による実質的な発光ゲインコマンドパケットと本発光起動コマンドの送信間隔に相当する時間内に制限することができ、他のシステムの通信を拾ってしまい、リモート電子閃光装置400が誤作動を起こすことを防止することができる。
【0077】
(8)本発光が完了した後は、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400に対して発光確認パケットを送信して、各リモート電子閃光装置400に対して本発光時の発光状況を報告させるようにした。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300は、各リモート電子閃光装置400の発光状況を把握することができる。
【0078】
(9)通信パケットに含まれる相手先ID4gとしては、リモート電子閃光装置400を個別に指定するための個別IDと全ての装置を一括して指定するための全装置IDのいずれかを設定できるようにした。これによって、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ内容のパケットを送信する場合には、全装置IDを設定して一括送信することができる。
【0079】
(10)1つの通信パケット内に複数の相手先ID4gを含め、これにそれぞれのリモート電子閃光装置400の個別IDを指定して、各個別IDごとにそれぞれの制御情報を指定できるようにした。これによって、各リモート電子閃光装置400ごとに個別に発光ゲインコマンドパケットを生成して送信した場合に発生する各発光ゲインコマンドパケット数と、preamble4aの通信時間との積に相当する時間的なロスの発生を防止することができる。
【0080】
(11)モニタ発光起動パケットには、光量情報7aとしてモニタ発光時の光量を指示するための情報を含め、発光ゲインコマンドパケットにはゲインデータ9bとして本発光時の光量を指示するための情報を含めるようにした。これによって、マスター電子閃光装置200側からモニタ発光および本発光時の各リモート電子閃光装置400における発光量を指示することができる。
【0081】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の発光制御システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、マスター電子閃光装置200から通信パケットを送信する場合には、検出器210mでSFD4bが検出された場合に同期信号はCPU206mの割り込み端子に入力される例について説明した。しかしながら、このように割り込みにより同期信号を検出しなくても、CPU206mはポーリングにより同期信号の入力を検出してもよい。すなわち、マスター電子閃光装置200から通信パケットを送信する場合には、CPU206mは、送信処理以外の他の処理を実行する必要がないことから、CPU処理時間の多くを同期信号の入力を検出するために使用することができる。よって、CPU206mは、通信パケットの送信処理を開始した後は、検出器210mからの割り込み信号の入力を継続して監視するようにしてもよい。同様に、カメラ300のCPU306およびリモート電子閃光装置400のCPU206rもポーリングにより同期信号の入力を検出してもよい。
【0082】
(2)上述した実施の形態では、検出器205m、210m、205r、および210rは、SFD4bを同期データとして検出するようにした。しかしながら、これ以外のデータ、例えばSFD4bを検出してから所定データ数あと(数ビット後)のデータを読み込んだときに、そのデータを同期データとして検出してもよい。
【0083】
(3)上述した実施の形態では、外部装置はリモート電子閃光装置400であるものとし、カメラ300による測光タイミングとリモート電子閃光装置400によるモニタ発光のタイミングの同期、およびマスター電子閃光装置200の本発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングとリモート電子閃光装置400の本発光タイミングの同期をとる場合について説明した。しかしながら、外部装置としてカメラ(外部カメラ)を用いてもよい。この場合、マスター電子閃光装置200の本発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングと外部装置としてのカメラのシャッタ302を開くタイミングの同期をとって、複数のカメラで同一被写体を撮影するようにしてもよい。
【0084】
(4)上述した実施の形態では、モニタ発光起動パケットではコマンド4fとしてモニタ発光コマンドを指定し、本発光起動パケットではコマンド4fとして本発光コマンドを指定して、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、このコマンド4fに指定されたコマンドに従ってモニタ発光または本発光を行う例について説明した。しかしながら、いずれの場合もコマンド4fは発光コマンドとし、CPU206rは、相手先ID4gの違いによって通信パケットがモニタ発光起動パケットか本発光起動パケットかを判断するようにしてもよい。すなわち、上述したように、モニタ発光の場合には光量情報7aや時間情報7bなどは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよい。このため、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、モニタ発光起動パケットでは相手先ID4gには全装置IDを指定するようにし、本発光起動パケットでは相手先ID4gに個別IDを指定するようにする。そして、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、通信パケット内の相手先ID4gに個別IDが指定されている場合には、当該通信パケットは本発光起動パケットであると判断し、相手先ID4gに全装置IDが指定されている場合には、当該通信パケットはモニタ発光起動パケットであると判断すればよい。
【0085】
(5)上述した実施の形態では、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400は、無線モジュールを内蔵している例について説明した。しかしながら、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400においては、無線モジュールを着脱可能としてもよい。また、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300では、マスター電子閃光装置200に無線モジュールを搭載する例について説明したが、カメラ300が無線モジュールを搭載してもよく、この場合、カメラ300における無線モジュールは内蔵しても着脱可能としてもよい。
【0086】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0087】
100 発光制御システム、200 マスター電子閃光装置、201m、201r アンテナ、202m、202r 周波数ダウンコンバータ、203m、203r 変調送信回路、204m、204r 復調回路、205m、205r、210m、210r 検出器、206m、206r、306 CPU、207m、207r、211m、211r バッファメモリ、208m、208r エラー検出回路、209m、209r 発振器、212m、212r 発光制御回路、213m、213r キセノン管、300 カメラ、301 レンズ、302 シャッタ、303 撮像素子、304 測光センサ、305 シャッタ駆動装置、307 レリーズスイッチ、400 リモート電子閃光装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに接続して使用するための外部装置、電子閃光装置、およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなワイヤレス増灯システムが例えば特許文献1によって知られている。このシステムでは、補助ストロボは、カメラに接続されている主ストロボの発光を検知して自身の発光動作を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−267682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムにおいては、主ストロボの発光を検出してからタイマによる計測を開始するため、カメラ側の主ストロボと外部装置としての補助ストロボの発光タイミングの同期を精度高くとることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無線接続されたカメラから制御情報および制御対象を特定するための情報を含む通信パケットを受信し、受信した通信パケットに自分自身を制御対象として特定する情報が含まれている場合に、制御情報に基づく処理を実行する電子閃光装置であって、当該電子閃光装置が複数存在する場合には、自分自身を制御対象として特定する情報は、自分自身を個別に特定するための情報、または全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報のいずれかであり、通信パケットに自分自身を個別に特定するための情報が含まれている場合には、本発光に先立って行う予備発光を開始し、通信パケットに全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報が含まれている場合には、本発光を行うことを特徴とする。
本発明による外部装置は、無線接続されたカメラから第1の制御情報を含む第1の通信パケット、および第2の制御情報を含む第2の通信パケットを受信し、第1の通信パケットを受信した後、所定の有効時間以内に第2の通信パケットを受信した場合に、第1の制御情報および第2の制御情報に基づく処理を実行することを特徴とする。
本発明による電子閃光装置は、無線接続されたカメラから制御情報を含む通信パケットを受信し、通信パケットを受信した場合に、制御情報に基づく処理を実行し、処理の実行結果を示す情報として、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方を含む情報をカメラに送信することを特徴とする。
本発明はまた、制御情報を含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを出力するカメラと無線接続される外部装置であって、通信パケットを受信してメモリに記録し、受信した通信パケットを全てメモリに記録する前に、受信済みのパケットからの情報の読み込みを開始することを特徴とする。このとき、読み込まれたパケットから撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期データを検出し、同期データが検出されたときに、撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号を出力することが好ましい。
本発明によるカメラは、制御情報を含む通信パケットを生成し、生成した通信パケットを無線接続された複数の外部装置へ出力し、外部装置が複数ある場合、通信パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための制御情報を含む通信パケットを生成することを特徴とする。このとき、外部装置が電子閃光装置である場合には、制御情報は、それぞれの外部装置の発光量を示す情報を含むようにしてもよい。
本発明による電子閃光装置、外部装置、およびカメラは、さらに、互いに無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラと外部装置の処理のタイミングの同期を精度高くとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図である。
【図3】リモート電子閃光装置400のブロック図である。
【図4】デジタル通信のフォーマットに則った通信パケットの一例を示す図である。
【図5】システムで固有に定義した情報を備えた通信パケットの一例を示す図である。
【図6】サーチパケットの具体例を示す図である。
【図7】モニタ発光起動パケットの具体例を示す図である。
【図8】モニタ発光時の処理の流れを示す図である。
【図9】発光ゲインコマンドパケットの具体例を示す図である。
【図10】発光ゲインコマンドパケットの送信から本発光までの処理の流れを示す図である。
【図11】発光ゲインコマンドパケットを受信したリモート電子閃光装置400における処理を示すフローチャート図である。
【図12】本発光起動パケットの具体例を示す図である。
【図13】本発光起動パケットを送信するに当たってのマスター電子閃光装置200における処理を示すフローチャート図ある。
【図14】本発光起動パケットを受信したリモート電子閃光装置400における処理を示すフローチャート図である。
【図15】発光確認パケットの具体例を示す図である。
【図16】報告パケットの具体例を示す図である。
【図17】本発光起動パケットが送信された場合の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。この発光制御システム100においては、ストロボ(マスター電子閃光装置)200を搭載したカメラ300と、外部ストロボ(リモート電子閃光装置)400とが無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはZigBeeなどの規格を用いた無線通信を介して接続されている。なお、発光制御システム100は、マスター電子閃光装置200を搭載した1台のカメラ300と、少なくとも1台の外部装置としてのリモート閃光装置400とで構成されるが、図1では、1台のカメラ300と2台のリモート閃光装置400とで構成される場合の具体例を示している。
【0009】
マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図を図2に示す。マスター電子閃光装置200とカメラ300とは、カメラ300の上部に装備されるホットシューのX端子2aを介して接続されている。また、リモート電子閃光装置400のブロック図を図3に示す。
【0010】
なお、マスター電子閃光装置200とリモート電子閃光装置400とは、その構成が同一であるため、図2および図3に示すように、それぞれを構成する各部に付与する符号は数字部分を一致させて表す。そして、各部に付与する符号の末尾にマスター電子閃光装置200においては「m」を、リモート電子閃光装置400においては「r」を付加することによって両者を区別する。本実施の形態では、マスター電子閃光装置200の構成を代表して説明し、リモート電子閃光装置400の構成については説明を省略する。
【0011】
マスター電子閃光装置200は、アンテナ201mと、周波数ダウンコンバータ202mと、変調送信回路203mと、復調回路204mと、検出器205mおよび210mと、CPU206mと、バッファメモリ207mおよび211mと、エラー検出回路208mと、発振器209mと、発光制御回路212mと、キセノン管213mとを備えている。カメラ300は、レンズ301と、シャッタ302と、撮像素子303と、測光センサ304と、シャッタ駆動装置305と、CPU306と、レリーズスイッチ307とを備えている。
【0012】
ここで、マスター電子閃光装置200が備えるアンテナ201m〜バッファメモリ211m(CPU206mを除く)は、リモート電子閃光装置400と無線通信するための無線モジュールを構成する。すなわち、図2に示す例では、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300においては、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを備えている。なお、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを搭載しておらず、カメラ300が無線モジュールを搭載している場合には、カメラ300が備える無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。また、マスター電子閃光装置200およびカメラ300のいずれもが無線モジュールを搭載している場合には、いずれか一方、例えばマスター電子閃光装置200側の無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。
【0013】
このように、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300、およびリモート電子閃光装置400とを有する発光制御システム100においては、使用者によってカメラ300のレリーズスイッチ307が押下されたときに、シャッタ302を開いてレンズ301を通して入力される被写体像を撮像素子303で撮像するタイミング、マスター電子閃光装置200の発光タイミング、および全てのリモート電子閃光装置400の発光タイミングの同期をとる必要がある。また、撮影時の各リモート電子閃光装置400の発光量を決定するために、撮影に当たっての発光(本発光)に先立って予備発光(モニタ発光)を行う場合には、各々のリモート電子閃光装置400の発光タイミングと測光センサ304による測光との同期をとる必要がある。
【0014】
このため、本実施の形態では、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、カメラ300のCPU306の命令に基づいて、リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光および本発光の指示を出す。このとき、本発光のタイミングおよびモニタ発光のタイミングの同期をとるための信号(同期データ)や制御の内容を示す制御情報を含んだデジタル通信のフォーマットに則った通信パケットを生成する。CPU206mは、例えば図4に示すようなフォーマットの通信パケットを生成する。図4において、preamble4aは、通信の最初に送信する助走部分のようなデータであり、4バイト程度のpreamble4aの送信が義務付けられている。preamble4aは、例えば0,0,0,0・・・のような固定ビットパターンが設定される。
【0015】
SFD(Start of Frame Delimiter)4bは、preamble4aに続いてパケットの先頭部分に付加される同期用データである。Flame length4cは、通信データ容量(バイト数)を示すデータである。その後、規格上は2バイトのFCF(Frame Control Field)4dおよび1バイトのData Sequence Number4eが続いて付加される。しかしながら、規格に完全準拠しなくとも通信自体は実用化できることから、本実施の形態では、これらのFCF4dおよびData Sequence Number4eを省略し、図5に示すように、代わりにシステムで固有に定義した1バイトのコマンド4f、1バイトの相手先ID4g、および種々の情報を含むデータ4hとを付加する。
【0016】
SFD4bは、本来は通信方式に固有の固定データであって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止する働きがある。すなわち、受信側では、あらかじめ設定されているSFDとデータのパターンが一致しないSFDを含む通信パケットを受信した場合には、そのパケットは自分自身が受信すべきパケットではないと判断する。本実施の形態では、カメラ300のCPU306と、マスター電子閃光装置200のCPU206mと、リモート電子閃光装置400のCPU206rとがSFD4bをこのような混信時の誤動作防止を目的として使用した上で、さらに上述したようにマスター電子閃光装置200の本発光タイミング、リモート電子閃光装置400の本発光タイミング、およびカメラ300のシャッタ302を開くタイミングの同期を取るための同期データとして使用する。同様にSFD4bは、各々のリモート電子閃光装置400のモニタ発光のタイミングと測光センサ304による測光との同期を取るための同期データとしても使用される。
【0017】
具体的には、送信側はSFD4bを送信するタイミングで同期を取るための同期信号を出力し、受信側はSFD4bを受信したタイミングで同期信号を出力する。そして、送信側および受信側のそれぞれで、この同期信号が出力されてから設定された所定時間後に後述するコマンド4fに定義されているコマンドを実行することによって、送信側および受信側における処理開始のタイミングを一致させることができる。
【0018】
ここで、受信側においては、送信側と比べてデコード時間などの遅延時間(受信遅延時間)が発生するため、受信側におけるSFD4bの受信完了タイミングAは、送信側におけるSFD4bの送信完了Bタイミングよりも遅れ、両者は完全には一致しない可能性がある。しかしながら、この遅延時間は極めて微小な時間であるため無視しても問題ない。また、無視できないほどの遅延時間が発生する場合でも、この遅延時間はほぼ一定の時間であることから、固定値としてあらかじめ設定しておき、この遅延時間を考慮してコマンド4fに定義されているコマンドの実行タイミングを調整することによって、送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させることができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、SFD4bの送受信完了タイミングAおよびBに基づいて送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させる方法について説明するが、Flame length4cの送受信完了タイミングに基づいて送信側と受信側の処理開始のタイミングを一致させるようにしてもよい。
【0020】
コマンド4fは、処理を起動するための制御コマンドを表すデータである。例えば、上述した本発光の実行を指示する通信パケット(本発光起動パケット)には、コマンド4fとして本発光起動コマンドを表すデータが付加される。また、上述したモニタ発光の実行を指示する通信パケット(モニタ発光起動パケット)には、コマンド4fとしてモニタ発光起動コマンドを表すデータが付加される。相手先ID4gは、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行対象となるリモート電子閃光装置400のIDが含まれる。すなわち、相手先ID4gに指定したリモート電子閃光装置400に対して、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行を指示する。
【0021】
なお、各リモート電子閃光装置400には個別にID(個別ID)が付加されており、この個別IDによって各リモート電子閃光装置400を一意に識別することができる。よって、相手先ID4gには、この個別IDを指定して、コマンド4fの実行対象を指定することができる。また、この個別IDに代えて、全てのリモート電子閃光装置400をコマンド4fの実行対象として指定するためのID(全装置ID)を指定することもできる。例えば、図1に示した2台のリモート電子閃光装置400の個別IDが1および2である場合に、これらをまとめて指定する場合の全装置IDとして0を指定することができる。また、マスター電子閃光装置200にもマスター電子閃光装置200を示すIDとして例えばMが付加されている。
【0022】
これによって、全てのリモート電子閃光装置400に同じコマンド4fを実行させたい場合には、相手先ID4gに全装置IDを指定することで、全てのリモート電子閃光装置400に対して一括してコマンド4fで定義した制御コマンドの実行を指示することができる。すなわち、通信パケットを受信したリモート電子閃光装置400においては、後述するように、相手先ID4gに自分自身の個別IDが含まれている場合、または全装置IDが含まれている場合に、コマンド4fで定義した制御コマンドの実行対象が自分自身であることを認識する。
【0023】
データ4hの種類としては、モード情報、時間情報、およびチェックデータ等が含まれる。モード情報は、本発光、モニタ発光を示す発光モードなどの動作モードを示す情報である。時間情報は、同期信号が出力されてから処理開始までの所定時間に関する情報である。チェックデータは、誤動作防止のためのチェックサムやCRC等のエラーチェック用のデータである。
【0024】
マスター電子閃光装置200のCPU206mで生成された通信パケットは、バッファメモリ211mへ一時的に格納された後、検出器210mに出力される。検出器210mは、入力されるパケットを先頭から読み込んで解析する。そして、検出器210mは、同期データとしてのSFD4bの読み込みが完了したことを検出したときに、同期信号をCPU206mへ出力する。すなわち、検出器210mは、通信パケットを送信完了する前に同期データを検出する。検出器210mは、この同期信号を割り込み信号としてCPU206mの同期タイミング用ピン(割り込み端子)に出力する。そして、CPU206mは、X端子2aを介して同期信号をCPU306の同期タイミング用ピンに出力する。
【0025】
CPU206mおよび306は、同期信号の割り込みを検出した場合には計時を開始する。そして、CPU206mは、生成した通信パケットに含まれるコマンド4fに基づいて、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があるか否かを判断する。具体例として、コマンド4fが本発光コマンドを表すデータである場合について説明する。この場合は、マスター電子閃光装置200の発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングとを一致させる必要がある。よって、カメラ300のCPU306からの指示に基づいて、CPU206mは、本発光コマンドを生成し、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があると判断する。
【0026】
そして、CPU206mは、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要があると判断した場合には、検出器210mからの同期信号の割り込みを検出してからあらかじめ設定された所定時間後にコマンド4fに基づいて必要な処理を開始する。例えば、コマンド4fが本発光コマンドを表すデータである場合には、CPU206mは、同期信号の割り込みを検出してから上述した所定時間経過後に発光制御回路212mに対して本発光の開始を指示する。CPU306は、同期信号の割り込みを検出してから上述した所定時間経過後にシャッタ駆動装置305に対してシャッタ302を開くように指示する。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300側での処理開始タイミングの同期を精度高くとることができる。なお、カメラ300が備えるシャッタ302は、機械式シャッタでなく、撮像素子の電子シャッタであってもよい。
【0027】
一方、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理開始の同期をとる必要がないと判断した場合には、CPU206mは、発光制御回路212mに対して処理の開始を指示しない。
【0028】
また、通信パケットは、検出器210mから変調送信回路203mへ出力され、変調送信回路203mにて通信パケットを所定の周波数の無線伝送可能な信号に変調された後、搬送波の形でアンテナ201mを介してリモート電子閃光装置400へ出力される。この所定の周波数は発振器209mにより決められる。リモート電子閃光装置400は、アンテナ201rを介して搬送波の形でこの通信パケットを受信する。
【0029】
リモート電子閃光装置400では、受信した搬送波は、まず周波数ダウンコンバータ202rに入力される。周波数ダウンコンバータ202rでは、受信したパケットを所定の低周波数のデータにダウンコンバートした後、復調回路204rへ出力する。この所定の周波数は発振器209rにより決められる。復調回路204rでは、入力された信号をデジタル通信パケットに復調して検出器205rへ出力する。
【0030】
検出器205rは、上述したマスター電子閃光装置200における検出器210mと同様に、入力されるパケットを先頭から読み込んで解析し、同期データとしてのSFD4bの読み込みが完了したことを検出したときに、同期信号を割り込み信号としてCPU206rの同期タイミング用ピンに出力する。このとき、検出器205rは、読み込んだSFD4bが、あらかじめ設定されているデータ列と一致した場合のみ、同期信号を出力する。これによって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止することができる。
【0031】
また、検出器205rは、読み込んだ通信パケットをバッファメモリ207rへ出力して記録し、記録された通信パケットの一部はさらにエラー検出回路208rへ出力される。エラー検出回路208rは、情報4hに含まれているエラーチェック用のチェックデータに基づいて、受信した通信パケットにエラーがないかを検出する。その検出結果は、CPU206rへ出力される。
【0032】
リモート電子閃光装置400のCPU206rは、検出器205からの同期信号の割り込みを検出した場合には計時を開始する。そして、バッファメモリ207rに記憶されたパケットに含まれるコマンド4fに基づいて、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要があるか否かを判断する。具体的には、コマンド4fが本発光を行うための本発光コマンドまたはモニタ発光を行うためのモニタ発光コマンドを表すデータである場合には、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、処理開始の同期をとる必要があると判断する。CPU206rは、コマンド4fが本発光コマンドとモニタ発光コマンドのいずれでもないと判断した場合は、計時を終了する。
【0033】
そして、CPU206rは、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要があると判断し、かつエラー検出回路208rによる検出結果がエラーなしであると判断した場合には、検出器205rからの同期信号の割り込みを検出してから情報4hに含まれている時間情報から得られる所定時間、すなわち設定された所定時間後に発光制御回路212rへ処理の開始を指示するための信号を出力する。
【0034】
この情報4hに含まれている時間情報から得られる所定時間(第2の所定時間)は、上述したようにマスター電子閃光装置200のCPU206mおよびカメラ300のCPU306が同期信号の割り込みを検出してから処理を開始するまでの時間(第1の所定時間)と同じ時間が設定されている。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300が処理を開始するタイミングと、リモート電子閃光装置400が処理を開始するタイミングの同期をとることができる。さらに、複数のリモート電子閃光装置400がある場合でも、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、同じ時間に処理を開始することができるため、各リモート電子閃光装置400間での処理開始タイミングの同期も精度高くとることができる。
【0035】
一方、リモート電子閃光装置400が処理開始の同期をとる必要がないと判断した場合、またはエラー検出回路208rによる検出結果がエラーありであると判断した場合には、CPU206rは発光制御回路212rに処理の開始を指示するための信号を出力しない。
【0036】
また、本発光を行うときのように、リモート電子閃光装置400の処理開始タイミングをマスター電子閃光装置200やカメラ300とも処理開始タイミングとも同期をとる必要がある場合には、第2の所定時間は、上述した受信遅延時間を加味した時間を設定してもよい。これによって、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400との間で処理開始タイミングの同期を精度高くとることができる。
【0037】
なお、以上説明した例では、マスター電子閃光装置200のCPU206mで通信パケットを生成してリモート電子閃光装置400へ送信する場合に処理開始タイミングの同期をとる方法について説明したが、リモート電子閃光装置400のCPU206rで通信パケットを生成してマスター電子閃光装置200へ送信する場合にも同様の手順で処理が行われる。
【0038】
次に、本実施の形態における処理の具体例について説明する。まず、マスター電子閃光装置200の電源がオンされると、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、図6に示すサーチパケットを生成して送信し、リモート電子閃光装置400からの応答を得ることによって、通信範囲内に存在するリモート電子閃光装置400を検出する。すなわち、サーチパケットを受信したリモート電子閃光装置400では、CPU206rは、バッファメモリ207rにコマンド4fとしてサーチコマンドが記憶された場合に、自身が存在することを示すパケットを生成してマスター電子閃光装置200へ送信する。なお、このサーチコマンドは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ内容のパケットを送信すればよいため、相手先ID4gには上述した全装置IDを示す0が指定されている。
【0039】
その後、カメラ300のCPU306は、使用者によってカメラ300のレリーズスイッチ307が押下されたことを検出したときに、その検出信号をマスター電子閃光装置200のCPU206mへ出力する。また、CPU306は、CPU206mへ各電子閃光装置を制御するための発光制御情報を送信する。そして、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光を指示するために、モニタ発光起動パケットを生成して送信する。図7は、モニタ発光起動パケットの具体例を示す図である。
【0040】
この図7に示すように、コマンド4fにモニタ発光コマンドを表すデータが設定され、情報4hには、モニタ発光時の光量を表す光量情報7a、上述した第2の所定時間に相当する時間を表す時間情報7b、およびエラーチェック用のチェックデータ7cを含んでいる。光量情報7aと時間情報7bは、カメラ300のCPU306より入力した発光制御情報に基づいて生成される。なお、モニタ発光時の光量情報7aや時間情報7bなどは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよいため、モニタ発光起動パケットでは相手先ID4gに全装置IDを示す0が指定されている。
【0041】
このモニタ発光起動パケットを受信した各リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、検出器205rからの同期信号(割り込み信号)の入力を検出した場合に計時を開始する。そして、エラー検出回路208rによるエラー検出結果に基づいて、通信パケットにエラーがないと判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶された時間情報7bに指定されている第2の所定時間を経過した後に、光量情報7aに指定されている光量でモニタ発光を行うように、発光制御回路212rに対して指示を出す。発光制御回路212rは、CPU206rからの指示に基づいてキセノン管213rを発光させてモニタ発光を行う。
【0042】
リモート電子閃光装置400でモニタ発光が行われると、カメラ300が搭載する測光センサ304によってモニタ発光時の光量が測定され、測定結果はCPU306へ出力される。なお、カメラ300のCPU306は、あらかじめ設定された第1の所定時間を経過した後に測光を行う。第1の所定時間と第2の所定時間とは、モニタ発光のタイミングと測光のタイミングとが一致するように、カメラ300のCPU306が事前に設定する。
【0043】
カメラ300のCPU306は、測光センサ304による測光量が少なく測光値を示すデータのS/Nが悪いと判断した場合には、光量情報7aで指定する光量を前回よりも大きくして再度モニタ発光起動パケットを生成することを示す発光制御情報をマスター電子閃光装置200のCPU206mへ送信する。そして、CPU206mは、再度モニタ発光パケットを生成し、各リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光コマンドを再度発信する処理を実行する。逆に、測光センサ304による測光量が大きく、測光レンジをオーバーフローした場合には、カメラ300のCPU306は、光量情報7aで指定する光量を前回よりも小さくして再度モニタ発光起動パケットを生成することを示す発光制御情報をCPU206mへ送信する。そして、CPU206mは、再度モニタ発光パケットを生成し、各リモート電子閃光装置400に対してモニタ発光コマンドを再度発信する処理を実行する。
【0044】
すなわち、図8に示すように、適正な測光結果が得られるまでモニタ発光を繰り返す。なお、図8に示す例では、モニタ発光コマンド1に基づく測光結果が満足のいくものではなかったことから、CPU206mが再度モニタ発光コマンド2を含むモニタ発光起動パケットを送信して測光を行う処理を実行する場合を示している。
【0045】
カメラ300のCPU306は、適正な測光結果が得られたと判断した場合には、カメラ300の測光センサ304によって計測されたモニタ発光時の光量に基づいて本発光に必要な光量を算出する。なお、本発光を公知のTTL方式で行う場合には、CPU306は、本発光に必要な光量をモニタ発光時の光量の測定結果に対する比率として算出する。この算出される比率を発光ゲインと呼ぶ。CPU306は、算出結果に基づいてマスター電子閃光装置200のCPU206mへ発光制御情報を送信する。そして、CPU206mは、発光制御情報に基づいて各リモート電子閃光装置400用の発光ゲインコマンドパケットを生成する。発光ゲインコマンドパケットには、本発光に必要な光量などの発光時の制御情報が含まれる。
【0046】
図9は、発光ゲインコマンドパケットの具体例を示す図である。この発光ゲインコマンドパケットにおいては、コマンド4fには発光ゲインコマンドを表すデータが設定され、情報4hには、発光モード9a、ゲインデータ9b、有効時間9cおよびチェックデータ7cを含んでいる。ここで、発光モード9aとは、本発光の方式を示すものであり、例えば上述したTTL方式を示すTTLモードが指定される。また、これ以外にも固定発光量での発光を指定するマニュアル発光モード、選択した固定発光量を指定回数だけ繰り返して発光を行うリピーティング発光モード、および微小発光を短い発光周期(60Hz程度)で1〜2秒ほど行うモデリング発光モードなどの種々のモードが指定される。
【0047】
また、ゲインデータ9bには、カメラ300のCPU306がモニタ発光時の光量の測定結果に基づいて算出した本発光に必要な光量、すなわち発光ゲインを指定する。この発光ゲインには、発光しないことを示すデータも含まれる。なお、発光モード9aおよびゲインデータ9bは、リモート電子閃光装置400ごとに異なる場合があるため、通信パケット内で各個別IDを指定して、各個別IDごとにそれぞれの発光モード9aおよびゲインデータ9bを指定する。このように、通信パケット内には、それぞれのリモート電子閃光装置400を個別に制御するための制御情報を含めることができる。
【0048】
このとき、各リモート電子閃光装置400ごとに、個別に発光ゲインコマンドパケットを生成して送信することも考えられるが、この場合には、マスター電子閃光装置200側で各発光ゲインコマンドパケットごとにpreamble4aから通信を行う必要があり、時間的なロスが生じる。よって、本実施の形態では、図9に示すように、1つの発光ゲ
インコマンドパケット内で各個別IDごとに発光モード9aおよびゲインデータ9bを指定することで、時間的なロスが発生することを防止している。
【0049】
有効時間9cは、発光ゲインコマンドパケットの有効時間を示すものである。そして、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、この有効時間9cで指定された有効時間に基づいてコマンド4fに基づく処理を実行するか否かを決定する。すなわち、CPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間が経過するまでの間に、後述する本発光の起動を指示するための本発光起動パケットを受信した場合には、本発光の処理を行う。これに対してCPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間9cに指定された有効時間が経過するまでの間に、本発光起動パケットを受信しない場合には、本発光の処理を行わない。なお、有効時間としては100msec〜500msec程度の時間が設定される。
【0050】
例えば、図10に示すように、各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間tの間に本発光起動パケットを受信した場合のみ、本発光を行う。
【0051】
これによって、リモート電子閃光装置400が発光ゲインコマンドパケットを受信してから本発光起動コマンドを受信するまでの時間を、マスター電子閃光装置200による実質的な発光ゲインコマンドパケットと本発光起動コマンドの送信間隔に相当する時間内に制限することができる。このため、他のシステムの通信を拾ってしまい、リモート電子閃光装置400が誤作動を起こすことを防止することができる。なお、発光モード9a、ゲインデータ9b、有効時間9cは、カメラ300のCPU306より入力した発光制御情報に基づいて生成される。
【0052】
この発光ゲインコマンドパケットを受信したリモート電子閃光装置400では、CPU206rは、図11に示すフローに従って処理を実行する。すなわち、ステップS10において、受信した通信パケットに含まれるコマンド4fのバッファメモリ207からの読込みが完了するまで待機する。その後、ステップS20へ進み、読み込んだコマンド4fが発光ゲインコマンドを表すデータであるか否かを判断する。発光ゲインコマンドを表すデータでない場合には、処理を終了する。これに対して、発光ゲインコマンドを表すデータである場合には、ステップS30へ進む。
【0053】
ステップS30では、本発光起動コマンドの有効時間を計時するための基準時刻として現在時刻を記憶する。その後、ステップS40へ進み、バッファメモリ207rから相手先ID4gの読込みが完了するまで待機して、ステップS50へ進む。ステップS50では、相手先ID4gが自分自身のIDと一致するか否かを判断する。自分のIDと一致しないと判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶されているデータは自分宛てのデータではないと判断してステップS60へ進む。ステップS60では、その相手先ID4gに対して設定された発光モード9aおよびゲインデータ9bをバッファメモリ207rから空読みして、ステップ70へ進む。
【0054】
ステップS70では、空読みしたデータが発光ゲインコマンドパケットに含まれる最終データであるか否かを判断する。例えば、図9で上述したように、各個別IDごとにデータ4hが指定されている場合に、空読みしたデータがパケット内に含まれる最後の個別ID宛てのデータであるか否かを判断する。その結果、最終データであると判断した場合には、処理を終了する。これに対して最終データではないと判断した場合には、ステップS50へ戻る。
【0055】
一方、ステップS50において、相手先ID4gが自分自身のIDと一致すると判断した場合には、バッファメモリ207rに記憶されているデータは自分宛てのデータであると判断してステップS80へ進む。ステップS80では、バッファメモリ207rに記憶されている発光モード9aおよびゲインデータ9bの読込みが完了するまで待機して、ステップS90へ進む。ステップS90では、読み込んだ発光モード9aおよびゲインデータ9bに基づいて、本発光時の制御パラメータ(本発光制御パラメータ)を設定して、ステップS100へ進む。
【0056】
ステップS100では、自分宛てのデータが発光ゲインコマンドパケットに含まれる上述した最終データであるか否かを判断する。最終データであると判断した場合には、処理を終了する。これに対して最終データではないと判断した場合には、ステップS50へ戻る。
【0057】
マスター電子閃光装置200において、CPU206mは、さらに図12に示す本発光起動パケットを生成する。なお、図12(a)は、上述した受信遅延時間を加味しない場合の本発光起動パケットを示し、図12(b)は、受信遅延時間を加味した場合の本発光起動パケットを示している。両者は、情報4hに受信遅延時間を指定するための受信遅延時間12aを含むか否かの点で相違する。ここでは、受信遅延時間は加味しないものとし、CPU206mは、図12(a)に示す本発光起動パケットを生成する場合について説明する。
【0058】
本発光起動パケットにおいては、コマンド4fには本発光コマンドを表すデータが設定される。この本発光起動パケットは、事前に送信してある発光ゲインコマンドパケットに基づいて本発光の起動を指示するためのパケットであるため、情報4hには上述した時間情報7bおよびチェックデータ7cのみを含む。また、これらの時間情報7bおよびチェックデータ7cは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよい。よって、全てのリモート電子閃光装置400を指定するために、相手先ID4gは1および2が設定されている。あるいは上述したように相手先ID4gとして全装置IDを示す0を指定してもよい。
【0059】
マスター電子閃光装置200のCPU206mは、本発光起動パケットを送信するに当たって、リモート電子閃光装置400と本発光のタイミングを一致させるために、検出器210mによってSFD4bが検出された時点で計時を開始し、あらかじめ設定された所定時間(第1の所定時間)経過後に本発光を開始する。図13は、本発光起動パケットを送信するに当たってのマスター電子閃光装置200におけるCPU206mの処理を示すフローチャートある。
【0060】
ステップS110において、検出器210mから同期信号(割り込み信号)が入力されたことを検出した場合に計時を開始する。このときX端子2aを介して同期信号をカメラ300のCPU306の同期タイミング用ピンに出力する。その後、ステップS120へ進む。ステップS120では、計時を開始してから上述した第1の所定時間が経過したか否かを判断する。第1の所定時間が経過したと判断した場合には、ステップS130へ進み、発光制御回路212mに対して発光開始を指示して、処理を終了する。なお、カメラ300においては、CPU306は、同期信号が入力されてから上述した第1の所定時間が経過後にシャッタ駆動装置305に対してシャッタ302を開くように指示する。
【0061】
また、この本発光起動コマンドを受信した各リモート電子閃光装置400においては、CPU206rは図14に示す処理を実行する。なお、CPU206rは、あらかじめ上述した発光ゲインコマンドパケットを受信していない場合には、図14に示す処理を実行しない。
【0062】
ステップS210において、CPU206rは、検出器205rから同期信号(割り込み信号)が入力されたことを検出した場合に計時を開始して、ステップS220へ進む。ステップS220では、受信した通信パケットに含まれるコマンド4fをバッファメモリ207rから読み込むまで待機する。その後、ステップS230へ進み、読み込んだコマンド4fが本発光コマンドを表すデータであるか否かを判断する。本発光コマンドを表すデータでない場合には、処理を終了する。これに対して、本発光コマンドを表すデータである場合には、ステップS240へ進む。
【0063】
ステップS240では、バッファメモリ207rに記憶されている相手先ID4gが自分自身のIDと一致するか、あるいは相手先ID4gが全装置IDであるか否かを判断する。相手先ID4gが自分の個別IDでも全装置IDでもない場合には、処理を終了する。これに対して、相手先ID4gが自分の個別IDか全装置IDのいずれかである場合には、ステップS250へ進む。
【0064】
ステップS250では、発光ゲインコマンドパケットを受信してから上述した有効時間9cで指定されていた有効時間以内であるか否かを判断する。すなわち、図11のステップS30で記憶した時刻からの経過時間が有効時間以内であるか否かを判断する。有効時間以上経過していると判断した場合には、当該本発光起動コマンドは無効であると判定して処理を終了する。一方、有効時間以内であると判断した場合には、当該本発光起動コマンドを受け付けてステップS260へ進む。
【0065】
ステップS260では、時間情報7bに指定されている所定時間(第2の所定時間)が経過したか否かを判断する。所定時間を経過したと判断した場合には、ステップS270へ進み、発光制御回路212rに対して発光開始を指示する。その後、処理を終了する。
【0066】
マスター電子閃光装置200のCPU206mは、本発光が完了した後、各リモート電子閃光装置400に対して、本発光における発光状況を報告させるために、例えば図15に示す発光確認パケットを生成して送信する。この発光確認パケットにおいては、コマンド4fは発光確認コマンドである。また、この発光確認パケットは、各リモート電子閃光装置400に対して個別に送信され、図15に示すパケットは、相手先ID4gに1を設定して個別IDが1のリモート電子閃光装置400を対象とした例を示している。
【0067】
この発光確認パケットを受信した各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、例えば図16に示す報告パケットを生成してマスター電子閃光装置200に本発光時の発光状況を報告する。この報告パケットは、マスター電子閃光装置200に対して本発光時の発光状況を示す情報としての報告データ16aを送信するためのパケットであり、マスター電子閃光装置200に対して処理の実行を指示するためのものではないため、コマンド4fは含まない。また、相手先ID4gにはマスター電子閃光装置200を示すID、例えばMが指定される。
【0068】
報告データ16aとしては、例えば(1)本発光コマンドを有効時間内に検出しなかったために本発光が行われなかった旨を示す情報、(2)発光ゲインコマンドパケットのゲインデータ9bで指定された目標光量がリモート電子閃光装置400の発光可能な光量を超えたためにフル発光させた旨を示す情報などが報告される。また、(3)本発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報を報告するようにしてもよい。
【0069】
図17は、本発光起動パケットが送信された場合のカメラ300およびリモート電子閃光装置400の処理の流れを示す図である。マスター電子閃光装置200から本発光起動コマンドが送信されると、所定時間Tds経過後に2台のリモート電子閃光装置400(個別ID:1、個別ID:2)が本発光を開始する。同時にカメラ300においては、シャッタ駆動装置305が一定時間シャッタ302を開く。発光モードがTTLモード、マニュアル発行モード、およびリピーティング発光モードの場合、シャッタ302の先幕が開ききってから後幕が閉じ始める前の期間に本発光が行われる。その後、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置(個別ID:1)に対して発光確認パケットを送信して、リモート電子閃光装置(個別ID:1)から報告(返信)を得ている。さらに、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置(個別ID:2)に対して発光確認パケットを送信して、リモート電子閃光装置(個別ID:2)から報告(返信)を得ている。
【0070】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)マスター電子閃光装置200の検出器205mと210m、およびリモート電子閃光装置400の検出器205rと210rは、通信パケットを全て読み込む前に同期データを検出して同期信号をCPU206mまたはCPU206rへそれぞれ出力するようにした。これによって、通信パケットを全て読み込むために要する時間が異なる場合でも、その前に同期信号を出力することができ、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400との間の処理開始の同期を精度高くとることができる。
【0071】
(2)検出器205m、210m、205r、および210rは、通信パケットに含まれるSFD4bを同期データとして検出するようにした。これによって、通信パケット内に必ず含まれる特定の意味を持ったデータ(特定データ)を同期データとして検出すればよいため、同期データとして特別なデータをパケットに含める必要がなくなる。
【0072】
(3)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、検出器210mからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間後にコマンド4fに基づいて必要な処理の開始を指示するようにした。また、カメラ300のCPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間後に必要な処理の開始を指示するようにした。さらに、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、検出器205rからの同期信号の割り込みを検出してから第1の所定時間と同じ第2の所定時間後に発光制御回路212rへ処理の開始を指示するようにした。これによって、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングの同期を精度高くとることができる。例えば、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングを同時とすることができる。また、第2の所定時間をデコード時間などの遅延時間を加味して第1の所定時間とは異なる時間とすることで、マスター電子閃光装置200、カメラ300、およびリモート電子閃光装置400の処理の開始タイミングの同期の精度をさらに向上させることができる。
【0073】
(4)マスター電子閃光装置200から本発光起動パケットが送信された場合には、マスター電子閃光装置200は第1の所定時間経過後に本発光を開始し、カメラ300は第1の所定時間経過後にシャッタ302を開き、リモート電子閃光装置400は第2の所定時間経過後に本発光を開始するようにした。これによって、カメラ300による撮影タイミングと、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400による本発光のタイミングとを一致させることができる。
【0074】
(5)マスター電子閃光装置200からモニタ発光起動パケットが送信された場合には、カメラ300は第1の所定時間経過後に測光を開始し、リモート電子閃光装置400は第2の所定時間経過後にモニタ発光を開始するようにした。これによって、カメラ300による測光タイミングと、リモート電子閃光装置400によるモニタ発光のタイミングとを一致させることができる。
【0075】
(6)検出器205mまたは210mから出力される同期信号は、CPU206mの割り込み端子に入力されるようにした。また、CPU206mから出力される同期信号は、CPU306の割り込み端子に入力されるようにした。さらに、検出器205rまたは210rから出力される同期信号は、CPU206rの割り込み端子に入力されるようにした。これによって、CPU206m、CPU206r、およびCPU306は高速に同期信号を検出することができる。
【0076】
(7)各リモート電子閃光装置400は、発光ゲインコマンドパケットを受信してから有効時間9cに指定された有効時間が経過するまでの間に本発光起動パケットを受信した場合のみ本発光を行うようにした。これによって、リモート電子閃光装置400が発光ゲインコマンドパケットを受信してから本発光起動コマンドを受信するまでの時間を、マスター電子閃光装置200による実質的な発光ゲインコマンドパケットと本発光起動コマンドの送信間隔に相当する時間内に制限することができ、他のシステムの通信を拾ってしまい、リモート電子閃光装置400が誤作動を起こすことを防止することができる。
【0077】
(8)本発光が完了した後は、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400に対して発光確認パケットを送信して、各リモート電子閃光装置400に対して本発光時の発光状況を報告させるようにした。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300は、各リモート電子閃光装置400の発光状況を把握することができる。
【0078】
(9)通信パケットに含まれる相手先ID4gとしては、リモート電子閃光装置400を個別に指定するための個別IDと全ての装置を一括して指定するための全装置IDのいずれかを設定できるようにした。これによって、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ内容のパケットを送信する場合には、全装置IDを設定して一括送信することができる。
【0079】
(10)1つの通信パケット内に複数の相手先ID4gを含め、これにそれぞれのリモート電子閃光装置400の個別IDを指定して、各個別IDごとにそれぞれの制御情報を指定できるようにした。これによって、各リモート電子閃光装置400ごとに個別に発光ゲインコマンドパケットを生成して送信した場合に発生する各発光ゲインコマンドパケット数と、preamble4aの通信時間との積に相当する時間的なロスの発生を防止することができる。
【0080】
(11)モニタ発光起動パケットには、光量情報7aとしてモニタ発光時の光量を指示するための情報を含め、発光ゲインコマンドパケットにはゲインデータ9bとして本発光時の光量を指示するための情報を含めるようにした。これによって、マスター電子閃光装置200側からモニタ発光および本発光時の各リモート電子閃光装置400における発光量を指示することができる。
【0081】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の発光制御システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、マスター電子閃光装置200から通信パケットを送信する場合には、検出器210mでSFD4bが検出された場合に同期信号はCPU206mの割り込み端子に入力される例について説明した。しかしながら、このように割り込みにより同期信号を検出しなくても、CPU206mはポーリングにより同期信号の入力を検出してもよい。すなわち、マスター電子閃光装置200から通信パケットを送信する場合には、CPU206mは、送信処理以外の他の処理を実行する必要がないことから、CPU処理時間の多くを同期信号の入力を検出するために使用することができる。よって、CPU206mは、通信パケットの送信処理を開始した後は、検出器210mからの割り込み信号の入力を継続して監視するようにしてもよい。同様に、カメラ300のCPU306およびリモート電子閃光装置400のCPU206rもポーリングにより同期信号の入力を検出してもよい。
【0082】
(2)上述した実施の形態では、検出器205m、210m、205r、および210rは、SFD4bを同期データとして検出するようにした。しかしながら、これ以外のデータ、例えばSFD4bを検出してから所定データ数あと(数ビット後)のデータを読み込んだときに、そのデータを同期データとして検出してもよい。
【0083】
(3)上述した実施の形態では、外部装置はリモート電子閃光装置400であるものとし、カメラ300による測光タイミングとリモート電子閃光装置400によるモニタ発光のタイミングの同期、およびマスター電子閃光装置200の本発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングとリモート電子閃光装置400の本発光タイミングの同期をとる場合について説明した。しかしながら、外部装置としてカメラ(外部カメラ)を用いてもよい。この場合、マスター電子閃光装置200の本発光タイミングとカメラ300のシャッタ302を開くタイミングと外部装置としてのカメラのシャッタ302を開くタイミングの同期をとって、複数のカメラで同一被写体を撮影するようにしてもよい。
【0084】
(4)上述した実施の形態では、モニタ発光起動パケットではコマンド4fとしてモニタ発光コマンドを指定し、本発光起動パケットではコマンド4fとして本発光コマンドを指定して、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、このコマンド4fに指定されたコマンドに従ってモニタ発光または本発光を行う例について説明した。しかしながら、いずれの場合もコマンド4fは発光コマンドとし、CPU206rは、相手先ID4gの違いによって通信パケットがモニタ発光起動パケットか本発光起動パケットかを判断するようにしてもよい。すなわち、上述したように、モニタ発光の場合には光量情報7aや時間情報7bなどは、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じものを指示すればよい。このため、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、モニタ発光起動パケットでは相手先ID4gには全装置IDを指定するようにし、本発光起動パケットでは相手先ID4gに個別IDを指定するようにする。そして、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、通信パケット内の相手先ID4gに個別IDが指定されている場合には、当該通信パケットは本発光起動パケットであると判断し、相手先ID4gに全装置IDが指定されている場合には、当該通信パケットはモニタ発光起動パケットであると判断すればよい。
【0085】
(5)上述した実施の形態では、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400は、無線モジュールを内蔵している例について説明した。しかしながら、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400においては、無線モジュールを着脱可能としてもよい。また、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300では、マスター電子閃光装置200に無線モジュールを搭載する例について説明したが、カメラ300が無線モジュールを搭載してもよく、この場合、カメラ300における無線モジュールは内蔵しても着脱可能としてもよい。
【0086】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0087】
100 発光制御システム、200 マスター電子閃光装置、201m、201r アンテナ、202m、202r 周波数ダウンコンバータ、203m、203r 変調送信回路、204m、204r 復調回路、205m、205r、210m、210r 検出器、206m、206r、306 CPU、207m、207r、211m、211r バッファメモリ、208m、208r エラー検出回路、209m、209r 発振器、212m、212r 発光制御回路、213m、213r キセノン管、300 カメラ、301 レンズ、302 シャッタ、303 撮像素子、304 測光センサ、305 シャッタ駆動装置、307 レリーズスイッチ、400 リモート電子閃光装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続されたカメラから制御情報および制御対象を特定するための情報を含む通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で受信した前記通信パケットに自分自身を前記制御対象として特定する情報が含まれている場合に、前記制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段を備える電子閃光装置であって、
当該電子閃光装置が複数存在する場合には、前記自分自身を前記制御対象として特定する情報は、自分自身を個別に特定するための情報、または全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報のいずれかであり、
前記処理実行手段は、前記通信パケットに前記自分自身を個別に特定するための情報が含まれている場合には、本発光に先立って行う予備発光を開始し、前記通信パケットに前記全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報が含まれている場合には、前記本発光を行うことを特徴とする電子閃光装置。
【請求項2】
無線接続されたカメラから第1の制御情報を含む第1の通信パケット、および第2の制御情報を含む第2の通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段が前記第1の通信パケットを受信した後、所定の有効時間以内に前記第2の通信パケットを受信した場合に、前記第1の制御情報および第2の制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段を備えることを特徴とする外部装置。
【請求項3】
無線接続されたカメラから制御情報を含む通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で前記通信パケットを受信した場合に、前記制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段による処理の実行結果を示す情報として、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方を含む情報を前記カメラに送信する結果送信手段とを備えることを特徴とする電子閃光装置。
【請求項4】
制御情報を含む通信パケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケット生成手段で生成した前記通信パケットを出力するパケット出力手段とを備えるカメラと無線接続される外部装置であって、
前記通信パケットを受信し、メモリに記録するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で受信した前記通信パケットを全てメモリに記録する前に、受信済みのパケットからの情報の読み込みを開始するパケット読み込み手段とを備えることを特徴とする外部装置。
【請求項5】
請求項4に記載の外部装置において、
前記パケット読み込み手段によって読み込まれたパケットから撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期データを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記同期データが検出されたときに、前記撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号を出力する信号出力手段とをさらに備えることを特徴とする外部装置。
【請求項6】
制御情報を含む通信パケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケット生成手段で生成した前記通信パケットを無線接続された複数の外部装置へ出力するパケット出力手段とを備え、
前記パケット生成手段は、前記外部装置が複数ある場合、前記通信パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための前記制御情報を含む前記通信パケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記外部装置が電子閃光装置である場合には、前記制御情報は、それぞれの外部装置の発光量を示す情報を含むことを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項1または請求項3に記載の電子閃光装置において、
少なくとも前記パケット受信手段を含み、前記電子閃光装置と無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする電子閃光装置。
【請求項9】
請求項2、請求項4〜5のいずれか一項に記載の外部装置において、
少なくとも前記パケット受信手段を含み、前記カメラと無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする外部装置。
【請求項10】
請求項6または請求項7に記載のカメラにおいて、
少なくとも前記パケット出力手段を含み、前記外部装置と無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とするカメラ。
【請求項1】
無線接続されたカメラから制御情報および制御対象を特定するための情報を含む通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で受信した前記通信パケットに自分自身を前記制御対象として特定する情報が含まれている場合に、前記制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段を備える電子閃光装置であって、
当該電子閃光装置が複数存在する場合には、前記自分自身を前記制御対象として特定する情報は、自分自身を個別に特定するための情報、または全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報のいずれかであり、
前記処理実行手段は、前記通信パケットに前記自分自身を個別に特定するための情報が含まれている場合には、本発光に先立って行う予備発光を開始し、前記通信パケットに前記全ての電子閃光装置をまとめて特定する情報が含まれている場合には、前記本発光を行うことを特徴とする電子閃光装置。
【請求項2】
無線接続されたカメラから第1の制御情報を含む第1の通信パケット、および第2の制御情報を含む第2の通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段が前記第1の通信パケットを受信した後、所定の有効時間以内に前記第2の通信パケットを受信した場合に、前記第1の制御情報および第2の制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段を備えることを特徴とする外部装置。
【請求項3】
無線接続されたカメラから制御情報を含む通信パケットを受信するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で前記通信パケットを受信した場合に、前記制御情報に基づく処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段による処理の実行結果を示す情報として、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方を含む情報を前記カメラに送信する結果送信手段とを備えることを特徴とする電子閃光装置。
【請求項4】
制御情報を含む通信パケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケット生成手段で生成した前記通信パケットを出力するパケット出力手段とを備えるカメラと無線接続される外部装置であって、
前記通信パケットを受信し、メモリに記録するパケット受信手段と、
前記パケット受信手段で受信した前記通信パケットを全てメモリに記録する前に、受信済みのパケットからの情報の読み込みを開始するパケット読み込み手段とを備えることを特徴とする外部装置。
【請求項5】
請求項4に記載の外部装置において、
前記パケット読み込み手段によって読み込まれたパケットから撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期データを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記同期データが検出されたときに、前記撮影に関する処理のタイミングの同期をとるための同期信号を出力する信号出力手段とをさらに備えることを特徴とする外部装置。
【請求項6】
制御情報を含む通信パケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケット生成手段で生成した前記通信パケットを無線接続された複数の外部装置へ出力するパケット出力手段とを備え、
前記パケット生成手段は、前記外部装置が複数ある場合、前記通信パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための前記制御情報を含む前記通信パケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記外部装置が電子閃光装置である場合には、前記制御情報は、それぞれの外部装置の発光量を示す情報を含むことを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項1または請求項3に記載の電子閃光装置において、
少なくとも前記パケット受信手段を含み、前記電子閃光装置と無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする電子閃光装置。
【請求項9】
請求項2、請求項4〜5のいずれか一項に記載の外部装置において、
少なくとも前記パケット受信手段を含み、前記カメラと無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする外部装置。
【請求項10】
請求項6または請求項7に記載のカメラにおいて、
少なくとも前記パケット出力手段を含み、前記外部装置と無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とするカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−37370(P2013−37370A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193058(P2012−193058)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2006−204753(P2006−204753)の分割
【原出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2006−204753(P2006−204753)の分割
【原出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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