説明

多孔性ポリプロピレンフィルムおよび蓄電デバイス

【課題】 熱寸法安定性が良好であり、セパレータとして用いた際に優れた特性を示す多孔性ポリプロピレンフィルムを提供すること。
【解決手段】 β晶形成能が40〜90%のポリプロピレン樹脂を用いてなる、フィルムの長手方向および幅方向のいずれか一方向における135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%である多孔性ポリプロピレンフィルムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性ポリプロピレンフィルムに関する。さらに詳しくは、非水溶媒電池、またはキャパシタに用いられるセパレータに好適に使用できる、高安全、高出力である多孔性ポリプロピレンフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池やリチウムイオン電池などの非水溶媒電池は、使用する電解液が有機溶媒であり、水系電池の水溶液溶媒と比較して電池の発熱に対して安全性に劣るという問題がある。そのため、従来、非水溶媒電池、中でもエネルギー密度の大きなリチウムイオン電池の安全性を改善するために、ポリエチレンを主とするオレフィン系材料の微孔性多孔膜を用いたセパレータが使用されてきた。ポリエチレンが主として使用されるのは、ポリエチレンが有機溶媒中で使用可能なことに加え、電池が短絡などによって異常発熱した場合に適切な温度(130℃前後)でポリエチレンが溶融し、多孔構造が閉塞すること(シャットダウン)により安全性の確保が可能となるからである。
【0003】
しかしながら、近年、ハイブリッド自動車(HEV)用電池、工具用電池等のような大型電池は、高出力化が進んでおり、130℃より高い温度に急激に上昇するため適切な温度(130℃前後)でシャットダウンする機能が必ずしも求められず、耐熱性が求められる。さらに、高温地域でHEV用電池として使用する場合、電池周辺温度が135℃まで上昇する場合があり、135℃という高温での熱収縮率が低く、寸法安定性が良好であることが重要となってきた。
【0004】
また、電池の高出力化、およびリチウムイオンキャパシタに用いるためには、イオン電導性を高めるために、セパレータ単体の平均孔径が大きいことが求められている。さらに、HEV用電池では、10年という長寿命と、さらに厳しい安全性を保障できることも重要となる。本発明のフィルムはセパレータとして、高安全、高出力であることから電気自動車用途や分散型電源用途といった大型リチウムイオン電池のセパレータに好適に使用できる。
【0005】
特許文献1では、超高分子量ポリオレフィンを含有し、かつ長さ方向と幅方向の弾性率の比を特定範囲に調整することで、熱寸法安定性に優れ、平均孔径の大きい微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、135℃などの高温での収縮率が大きく、寸法安定性は十分であるとはいえない。さらに、当該方法では、多孔膜全体に含まれている溶媒を洗浄用の有機溶媒で洗浄することにより除去しているため、有機溶媒が大量に必要となり、環境上の観点から好ましくない。
【0006】
特許文献2では、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂を積層することで、熱寸法安定性に優れる微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、ポリエチレン樹脂をマトリックスとしているため、120℃を超えると、フィルム自体が融解し、孔が閉塞してしまうことから、使用できる用途が限定されるという問題がある。
【0007】
特許文献3では、熱寸法安定性に優れ、大型電池のような高出力用途に適しているポリプロピレン不織布をセパレータに用いる提案がされている。しかしながら、この場合には、繊維を構成材料とした不織布を基材としているために数μm程度の大きな平均孔径を有していることから、微短絡が起こりやすいことが示唆され、HEV用電池のような長寿命、またさらに厳しい安全性要求に対しては十分に補償できない。さらに、不織布を用いる限り膜厚が大きくなり体積増加は必至であり、電池の小型軽量化という時代の流れに逆行してしまう問題点もある。
【0008】
特許文献4では、フィルム表面に粒子をコーティングすることで、熱寸法安定性に優れる微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、フィルム表面に粒子をコーティングする方法では、フィルムを取り扱っている最中に、内部から粒子が脱落する場合や、セパレータとして使用中に粒子が電解液中で遊離して、電極上に移動してしまい、絶縁してしまう可能性があった。また、粒子自身のコストに加え、フィルム製造工程が複雑になり、コストアップするという問題がある。
【0009】
特許文献5では、横延伸温度や熱固定温度、リラックス率を特定範囲に調整することで、熱寸法安定性に優れ、高空孔率である微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、135℃などの高温での収縮率が大きく、寸法安定性は十分であるとはいえない。
【0010】
特許文献6では、多孔性フィルムロールを高温のオーブン中で熱処理することで、熱寸法安定性に優れる微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、135℃などの高温での収縮率が大きく、寸法安定性は十分であるとはいえない。
【0011】
特許文献7では、フィルム状のセパレータとセラミックセパレータを組み合わせ、また、フィルム表面の平均粗さを所定の範囲に調整することで、耐熱性・サイクル特性に優れる微多孔膜の製造方法を開示している。しかしながら、この場合には、セラミック物質を含有することから重量が重くなり、電池の小型軽量化という時代の流れに逆行してしまう問題点もある。また、セラミック物質自身のコストに加え、フィルム製造工程が複雑になり、コストアップするという問題がある。
【0012】
これまで述べたように、平均孔径を大きくすることやフィルムの表面粗さを所定の範囲にすることで、出力特性を高める手法は今まで知られていた。また、耐熱樹脂や無機粒子の含有・オフアニール等の手法により耐熱性を高める手法も知られていた。しかしながら、耐熱樹脂や無機粒子を実質的に含有せず、電池の小型軽量化・低コストの要求を満たし、かつ、出力特性・135℃での耐熱性を両立した微多孔ポリプロピレンフィルムといったものはこれまで存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−7053号公報
【特許文献2】特開2010−111095号公報
【特許文献3】特開昭60−52号公報
【特許文献4】特開2008−123996号公報
【特許文献5】特開2008−248231号公報
【特許文献6】特開2010−100845号公報
【特許文献7】特開2009−238752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は上記した問題を解決することにある。すなわち、本発明は、熱寸法安定性が良好でありながら、適切な孔径を有することから、セパレータとして用いた際に、高安全、高出力である多孔性ポリプロピレンフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題は、β晶形成能が40〜90%のポリプロピレン樹脂を用いてなる、フィルムの長手方向および幅方向のいずれか一方向における135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%である多孔性ポリプロピレンフィルムによって達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は熱寸法安定性が良好でありながら、貫通孔が適切な孔径を有することから、セパレータとして用いた際に、高安全、高出力である多孔性ポリプロピレンフィルムとして提供することができる。また、本発明のフィルムをセパレータとして用いた蓄電デバイスは、ハイブリッドカーや電気自動車のバッテリーとして好適に用いることができるため、ガソリン等の使用を抑えることができ、ひいてはCOの排出を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムについて説明する。ポリプロピレンとはプロピレンの付加重合によって得られる高分子化合物である。本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分としてなることが好ましい。ここで、ポリプロピレン樹脂を主成分とするとは、ポリプロピレン樹脂成分が全樹脂成分中に占める割合が好ましくは50質量%以上であることをいい、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。なお、本発明の目的を損なわない範囲であればプロピレンにプロピレン以外の単量体を共重合したランダム共重合体やブロック共重合体としてもよいし、ポリプロピレンに前記共重合体をブレンドしてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体としては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、5−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘプテン、1−ノネン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、アクリル酸およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、積層フィルムにおいては、少なくとも1つの層の主成分がポリプロピレン樹脂であることが好ましく、積層フィルム全体として主成分がポリプロピレン樹脂であることが更に好ましい。
【0018】
本発明で用いるポリプロピレン樹脂には、メルトフローレート(以下、MFRと表記する)が2〜30g/10分のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いることが押出成形性及び孔の均一な形成の観点から好ましい。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値である。本発明においては230℃、2.16kgで測定した値を指す。
【0019】
また、本発明においてはポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%の範囲であることが好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満の場合、樹脂の結晶性が低くなってしまい、製膜性が悪化したり、フィルムの強度が不十分となる場合がある。本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する貫通孔を複数有している。
【0020】
フィルム中に貫通孔を形成する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わないが、工程を簡略化できることから乾式法が望ましい。
【0021】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向のいずれか一方向における135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%が好ましい。0〜8%であればより好ましく、0〜5%であればさらに好ましい。135℃、60分間の熱収縮率が長手方向および幅方向のいずれの方向についても10%を超えると、多孔性ポリプロピレンフィルムをリチウム電池用セパレータとして用いた場合に、電池の発熱によりセパレータが収縮し、その端部で短絡が発生する場合がある。
【0022】
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向のいずれの方向についても135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%が好ましい。0〜8%であればより好ましく、0〜5%であればさらに好ましい。巻回型電池用セパレータとして用いた場合、フィルム長手方向の熱収縮率が10%を超えても問題となりにくいが、ラミネート型電池用セパレータとして用いた場合には、長手方向及び幅方向のうち、どちらかの熱収縮率(135℃、60分間)が10%を超えると、電池の発熱によりセパレータが収縮し、その端部で短絡が発生する場合がある。
【0023】
135℃、60分間の熱収縮率を上記好ましい範囲に制御する方法としては、例えば、横延伸後に超低速延伸しながら高温で熱処理を行うことが挙げられる。この方法を用いると、熱による孔の収縮を抑えられるために、高透過性やフィルムの粗面化も併せて達成することができる。
【0024】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、貫通孔の平均孔径が80〜200nmであれば好ましく、80〜180nmであればより好ましく、100〜180nmであればさらに好ましい。平均孔径が80nm以上であると、イオンの透過性能に特に優れるため、電池の出力性の観点で好ましい。平均孔径が80nm未満であると、イオンの移動が阻害されるために電池の出力が低下する場合がある。また、平均孔径が200nmより大きくなると、充放電の繰り返しで発生したデンドライトや、電極作成時や電池組立工程で脱落した電極活物質がセパレータの孔を通って容易に貫通してしまい、内部短絡の原因となる場合がある。
【0025】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、透気抵抗が10〜1,000秒/100mLであることが好ましい。より好ましくは50〜300秒/100mLであり、さらに好ましくは60〜250秒/100mL、さらに好ましくは、80〜200秒/100mLである。透気抵抗が10秒/100mL未満であると、耐デンドライト性の指標とされるフィルムの突刺強度が低くなりすぎてしまい、安全性に劣る場合がある。透気抵抗が1,000秒/100mLを超えると、特に高出力電池用のセパレータとして用いたとき出力特性が低下する場合がある。
【0026】
透気抵抗を上記好ましい範囲に制御する方法としては、例えば、横延伸後に超低速延伸しながら高温で熱処理を行うことで、フィブリル間の空孔部分の開孔化が進行し、透気抵抗を制御することができる。
【0027】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、135℃、60分間の熱処理後の透気抵抗が熱処理前の透気抵抗の2倍以下であることが好ましい。より好ましくは1.7倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下である。2倍より大きくなると、電池またはキャパシタの組み立て前の乾燥工程において透気性が悪化し性能が悪化したり、高温環境下での使用時に出力特性が低下する場合がある。
【0028】
熱処理後の透気抵抗増加率を上記好ましい範囲に制御する方法としては、例えば、横延伸後に超低速延伸しながら高温で熱処理を行うことが挙げられる。この方法を用いると、熱による孔の収縮を抑えられるために、高透過性やフィルムの粗面化も併せて達成することができる。
【0029】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片方の表面の粗さの算術平均粗さRaが0.4〜3.0μmであることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.5μmである。3.0μmより大きくなると、厚さ精度が必要な薄いセパレータとして使用する場合、平面性の低下が起こる場合がある。一方、0.4μm未満であると電池用セパレータ表面に電解質がたまる部分が減少することにより、電池の出力が低下する場合がある。
【0030】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片方の表面の粗さの十点平均粗さRzが5.0〜10.0μmであることが好ましい。より好ましくは6.0〜8.0μmである。10.0μmより大きくなると、厚さ精度が必要な薄いセパレータとして使用する場合、平面性の低下が起こる場合がある。一方、5.0μm未満であると電池用セパレータ表面に電解質がたまる部分が減少することにより、電池の出力が低下する場合がある。
【0031】
Ra、及びRzを上記好ましい範囲に制御する方法としては、例えば、横延伸後に超低速延伸しながら高温で熱処理を行うことで、フィブリル間の空孔部分の開孔化が進行し、フィブリル部分と空孔部分の凹凸が大きくなる。超低速延伸熱処理工程における延伸速度の制御により、空孔部分の開孔化を制御することで、Ra、及びRzの値を制御できる。
【0032】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片方の表面の粗さの山谷平均間隔Smが2〜20μmであることが好ましく、7〜18μmであればより好ましく、10〜15μmがさらに好ましい。この山谷平均間隔Smは、その表面の粗さの凹凸がどれだけの間隔で発生しているかの指標になると考えられる。Smが2μm未満であると、電池の出力特性が低下する場合がある。また、20μmより大きくなると、熱収縮率が高くなる場合がある。
【0033】
Smを上記好ましい範囲に制御する方法としては、例えば、横延伸後に超低速延伸しながら高温で熱処理を行うことで、フィブリル間の空孔部分の開孔化が進行し、フィブリル間距離を制御することができる。超低速延伸前の延伸条件や超低速延伸倍率の制御により、フィブリル間距離を制御することで、Smの値を制御できる。
【0034】
Ra、Rz、Smが同時に上記範囲に制御されていることが好ましい。これら3つの粗さのパラメータの1つ、または2つが上記好ましい範囲から外れると出力特性が低下する場合がある。
【0035】
一般的に、二軸延伸フィルムの熱寸法安定性を高めるためには、延伸応力を緩和させるために、横延伸後に高温で熱固定を行う方法やリラックスを与える方法が用いられる。しかしながら、多孔性フィルムでは、熱固定やリラックスによって孔が収縮して平均孔径が小さくなり、透気性の悪化や表面粗度の低下を起こしたり、フィルムが溶融して孔が閉孔し、透気性の悪化や表面粗度の低下を起こし、セパレータに用いた時に出力特性が低下する場合があった。
【0036】
フィルムの低熱収縮率と高透過性、フィルム表面の粗面化を両立し、セパレータに用いた時に出力特性と安全性を両立させる方法としては、延伸後の熱処理工程において、高温で長時間熱処理を行うことと、それに加えて、フィルム表面の孔が熱によって収縮せず、また、延伸応力が残留しないよう、非常に低い延伸速度でフィルム長手方向、幅方向の少なくともどちらか一方向に延伸することで制御可能である。具体的な方法は後述する。
【0037】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは空隙を効率よく形成する観点から、用いるポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40〜90%であることが好ましい。60〜85%であればより好ましく、65〜80%であればさらに好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないために、α晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果透過性に劣るフィルムとなる場合がある。一方、β晶形成能が90%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が悪化するなど工業的な実用価値が低い。
【0038】
β晶分率とは、ポリプロピレン樹脂中に形成されるβ晶の存在比率である。このβ晶分率は40%以上であることが好ましい。β晶分率40%以上を達成するために、ポリプロピレン樹脂に添加することでβ晶の形成を助ける働きを有する添加剤、一般にβ晶核剤と呼ばれているものを使用することが好ましい。
【0039】
β晶核剤としては、たとえば、安息香酸ナトリウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができる。これらの中でも下記化学式(1)、(2)で示される、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物が特に好ましいβ晶核剤として挙げることができる。
【0040】
−NHCO−R−CONH−R (1)
ここで、式中のRは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基または炭素数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R、Rは同一または異なる炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。
【0041】
−CONH−R−NHCO−R (2)
ここで、式中のRは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジアミン残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジアミン残基または炭素数6〜12の複素環式ジアミン残基または炭素数6〜28の芳香族ジアミン残基を表し、R、Rは同一または異なる炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。
【0042】
かかる特に好ましいβ晶核剤もしくはβ晶核剤添加ポリプロピレンの具体例としては、新日本理化(株)製β晶核剤“エヌジェスター”(タイプ名:NU−100など)、などが挙げられる。
【0043】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、二軸延伸を行って貫通孔を形成する場合、延伸時の空隙形成効率の向上や、孔径が拡大することによる透気性向上の観点から、以下に例示するポリエチレン系樹脂やエラストマーを含有することが好ましい。低密度ポリエチレン(LDPE)、(直鎖状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン・ブテンラバー(EBR)、エチレン・プロピレンラバー(EPR)、プロピレン・ブテンラバー(PBR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン・エタクリレート(EEA)、エチレン・メチルメタクリレート(EMMA)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)、水添スチレブタジエンラバー(H−SBR)、スチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等があげられる。中でもメタロセン触媒法によって得られたエチレン・α・−オレフィン共重合体は効果が高く、融点が60〜90℃の超低密度ポリエチレンが好ましく、更にオクテン−1を共重合したものは好ましく、たとえば、ダウ・ケミカル製“Engage(エンゲージ)(登録商標)”(タイプ名:8411、8452、8100など)を挙げることができる。
上記、ポリエチレン系樹脂やエラストマーの含有量としては、多孔性ポリプロピレンフィルム全体に対し10質量%以下とすることが好ましい。
【0044】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましいが、多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン組成物100質量部に対して酸化防止剤の含有量は2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。
【0045】
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムの製造方法について、具体的に以下に説明する。
【0046】
まず、基材フィルムを構成するポリプロピレン樹脂を押出機に供給して200〜320℃の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押し出し、冷却用金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化させて未延伸シートとする。
【0047】
ここで、未延伸シートに多量のβ晶を生成させるためには、溶融押出温度は低い方が好ましいが、200℃未満であると、口金から吐出された溶融ポリマー中に未溶融物が発生し、後の延伸工程で破れなどの工程不良を起こす原因となる場合がある。また、320℃を超えると、ポリプロピレンの熱分解が激しくなり、得られる多孔性ポリプロピレンフィルムのフィルム特性、例えば、ヤング率、破断強度などに劣る場合がある。
【0048】
冷却用金属ドラムの温度は60〜130℃とし、多量かつ均一にβ晶を生成させて、延伸後に高透過性の多孔性ポリプロピレンフィルムとする。冷却用金属ドラムの温度が60℃未満であると、得られる未延伸シートのファーストランのβ晶分率が低下する場合があり、130℃を超えると、ドラム上でのシートの固化が不十分となり、冷却用金属ドラムからのシートの均一剥離が難しくなる場合がある。ここで、未延伸シート中のβ晶量は、未延伸シートをサンプルとし、示差走査熱量計を用いて得られるファーストランの熱量曲線から得られるβ晶分率に対応する。透過性の高い多孔性ポリプロピレンフィルムとする場合には、冷却用金属ドラム温度は、好ましくは100〜125℃である。
【0049】
未延伸シートが冷却用金属ドラムに接触する時間(以下、ドラムへの接触時間と称する)は、6〜60秒であることが好ましい。ここで、ドラムへの接触時間とは、上記キャスト工程において、溶融ポリマーがドラム上に最初に着地した時点を開始時間(=0秒)とし、未延伸シートがドラムから剥離した時点までに要する時間を意味する。なお、キャスト工程が複数個のドラムで構成されている場合は、未延伸シートがそれらドラムに接触した時間の総和が、冷却用金属ドラムへの接触時間となる。冷却用金属ドラムへの接触時間が上記範囲未満であると、温度にもよるが上記剥離時点において未延伸シートが粘着したり、未延伸シートに生成するβ晶が少ない(未延伸シートのβ晶分率が低い)ために、二軸延伸後のフィルムの空孔率が不十分なレベルまで低くなる場合がある。冷却用金属ドラムへの接触時間が上記範囲を超えると、冷却用金属ドラムの大きさにもよるが、必要以上に冷却用金属ドラムの周速が低く、生産性が著しく悪化する場合がある。通常、該接触時間10分以上は実質的に取れない場合がある。金属ドラムへの接触時間は、より好ましくは7〜45秒、さらに好ましくは8〜40秒である。
【0050】
また、冷却用金属ドラムへの密着方法としては静電印加(ピンニング)法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを得る手法としては、厚み均一性が良好で、その吹き付けエアーの温度により冷却速度を制御可能であるエアーナイフ法、静電印加法を用いることが好ましい。ここで、エアーナイフ法では、エアーは非ドラム面(ドラムに接触しない方の面)から吹き付けられ、その温度は10〜200℃とすることが好ましく、表面の冷却速度を制御することにより、表面β晶量を制御し、ひいては表面開孔率を制御でき、すなわち得られる多孔性ポリプロピレンフィルムの透過性を制御することが可能となる。
【0051】
また、多孔性ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に第2、第3の層を共押出積層した積層体とする場合には、上記したポリプロピレンの他に各々所望の樹脂を必要に応じて準備し、これらの樹脂を別々の押出機に供給して所望の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とするそれぞれの積層厚みでスリット状口金から押し出し、冷却用金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化せしめ未積層延伸シートとすることができる。
【0052】
次に得られた未延伸シートを二軸延伸してフィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。二軸延伸の方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透気性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
【0053】
具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを長手方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、110〜140℃、さらに好ましくは120〜135℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率は1.1〜8倍であることが好ましく、より好ましくは1.5〜6倍、更に好ましくは2〜5倍である。延伸倍率が1.1倍未満であると透気性が悪化する場合があり、また生産性が低下する場合がある。延伸倍率を高くするほど透気性が良化するが、8倍を超えて延伸すると、次の横延伸工程でフィルム破れが起きやすくなってしまう場合がある。
【0054】
次に、一軸延伸ポリプロピレンフィルムをテンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入し、幅方向に延伸して二軸延伸フィルムを得る。延伸温度は130〜155℃が好ましく、高い透気性が得られることから145〜150℃がより好ましい。幅方向の延伸倍率は1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは1.5〜6倍である。延伸倍率が1.1倍未満であると空孔率が低下して電池特性が悪化する場合があり、また生産性が低下する場合がある。また、延伸倍率を高くするほど透気性が良化するが、10倍を超えて延伸すると、フィルム破れが起きやすくなってしまう場合がある。なお、このときの横延伸速度としては500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。延伸速度が2,000%/分以下と低速にすることが特に好ましい。
【0055】
続いて前述した様に、フィルムの低熱収縮率と低透気抵抗、フィルム表面の粗面化を両立させるために、以下に示す熱処理工程(長手方向及び/又は幅方向の超低速延伸工程)に導入する。
【0056】
熱処理工程としては、0.01〜5%/秒、さらに好ましくは0.1〜3%/秒の延伸速度範囲で、フィルム長手方向に超低速延伸しながら、10〜600秒間熱処理することが好ましい。なお、このときの延伸温度(熱処理温度)は、用いるポリプロピレン樹脂の融点をTmとした場合、Tm−5〜Tm+7℃の温度範囲であり、延伸倍率は1.1〜5倍であることが好ましい。
【0057】
上記の熱処理温度(延伸温度)がTm−5℃未満の場合、熱処理の効果が不十分であり、高温での長手方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。また、Tm+7℃を超えると、多孔性ポリプロピレンフィルムが融解して、透気性が悪化してしまう恐れがある。
【0058】
熱処理工程における延伸速度が0.01%/秒未満の場合、熱処理によって孔が収縮してしまうことから、透気性の悪化やフィルム表面粗さが低下してしまうことがある。また、熱処理工程における延伸速度が5%/秒を超えると、延伸応力の残留により、高温での長手方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。
【0059】
熱処理時間が10秒未満の場合、熱処理の効果が不十分であり、高温での長手方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。また、熱処理時間が600秒を超えると、熱処理によって孔が収縮してしまうことがある。
【0060】
熱処理工程でのフィルム長手方向の延伸倍率が1.1倍未満であると、熱処理によって孔が収縮してしまうことから、透気性の悪化や、フィルム表面の粗さが低下する傾向がある。また、延伸倍率が5倍を超えると、延伸応力の残留により、高温での長手方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。
【0061】
幅方向についても上記の長手方向の超低速延伸の熱処理と同様に0.01〜5%/秒、さらに好ましくは0.1〜3%/秒の延伸速度範囲で、フィルム幅方向に超低速延伸しながら、10〜600秒間熱処理することが好ましい。なお、このときの延伸温度は、用いるポリプロピレン樹脂の融点をTmとした場合、Tm−5〜Tm+7℃の温度範囲であり、延伸倍率は1.1〜5倍であることが好ましい。
【0062】
熱処理温度がTm−5℃未満の場合、熱処理の効果が不十分であり、高温での幅方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。また、Tm+7℃を超えると、多孔性ポリプロピレンフィルムが融解して透気性の悪化や、フィルム表面の粗さが低下する場合がある。
【0063】
熱処理工程における延伸速度が0.01%/秒未満の場合、熱処理によって孔が収縮してしまうことから、透気性の悪化や、フィルム表面の粗さが低下する場合がある。また、熱処理工程における延伸速度が5%/秒を超えると、延伸応力の残留により、高温での幅方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。
【0064】
熱処理時間が10秒未満の場合、熱処理の効果が不十分であり、高温での幅方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。また、熱処理時間が600秒を超えると、熱処理によって孔が収縮してしまうことがある。
【0065】
熱処理工程でのフィルム幅方向の延伸倍率が1.1倍未満であると、熱処理によって孔が収縮してしまうことから、透気性の悪化や、フィルム表面の粗さが低下する場合がある。また、延伸倍率が5倍を超えると、延伸応力の残留により、高温での幅方向の熱寸法安定性の向上が達成できない場合がある。
【0066】
フィルムの長手方向、及び幅方向の熱寸法安定性を向上する方法としては、熱処理工程において、フィルム長手方向に超低速延伸後、幅方向に超低速延伸、あるいは幅方向に超低速延伸後、長手方向に超低速延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に超低速延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、同時二軸延伸法を採用することが好ましい。
【0067】
本発明のポリプロピレン多孔性フィルムは、熱寸法安定性が良好でありながら、適切な表面粗さを有し、適切な孔径を有することから、セパレータとして用いた際に、高安全、高出力である蓄電デバイスを構成することが可能となる。また、蓄電デバイスの中でもリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ、電気二重相キャパシタ、電解コンデンサーに好ましく使用することができる。なお、セパレータ用途以外にも、包装用品、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シートにも使用することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
【0069】
(1)熱収縮率
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、サンプルの下端に3gの加重をかけ、135℃に加熱した熱風オーブン内に60分間設置し加熱処理を行った。熱処理後、放冷し、加重を外したあと、標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。
【0070】
(2)β晶分率、β晶形成能
樹脂またはフィルムを5mg採取し、試料としてアルミニウム製のパンに装填し、示差走査熱量計(DSC、セイコー電子工業(株)製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から240℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、30℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観察される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、DSC曲線の高温側平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれた領域の面積から、それぞれの融解熱量を求める。α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とした。なお、融解熱量の較正はインジウムを用いて行った。
【0071】
β晶形成能(%) = 〔 ΔHβ / ( ΔHα + ΔHβ )〕 × 100
なお、ファーストランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出した値は、その試料の状態でのβ晶分率を示している。
【0072】
(3)透気抵抗
多孔性ポリプロピレンフィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切り取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mLの空気の透過時間の測定を行った。
【0073】
(4)熱処理後の透気抵抗増加率
上記(3)の透気抵抗測定で用いた試料を135℃に加熱した熱風オーブン内に60分間静置し加熱処理を行った。熱処理後に放冷し、JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mLの空気の透過時間の測定を行い、加熱前後の透気抵抗の変化から、下式を用いて、熱処理後の透気抵抗増加率を算出した。測定個所については、(3)の透気抵抗測定の測定箇所近傍を測定個所とした。
【0074】
熱処理後の透気抵抗増加率=熱処理後の透気抵抗(秒/100mL)/熱処理前の透気抵抗(秒/100mL)
(5)貫通孔の平均孔径
POROUS MATERIALS,Inc.製自動細孔径分布測定器“PERM−POROMETER”を用いて測定した。なお、測定条件は以下の通りである。
【0075】
試験液 :3M製“フロリナート”FC−40
試験温度 :25℃
試験ガス :空気
解析ソフト:Capwin
測定条件 :Capillary Flow Porometry−Wet up, Dry downのdefault条件による自動測定
なお、孔径(細孔直径)と試験圧力の間には以下の関係式が成立する。
【0076】
d=Cγ/P×10
[ただし、d:細孔直径(nm)、C:定数、γ:フロリナートの表面張力(16mN/m)、P:圧力(Pa)である。]
ここでは、上記に基づき、装置付属のデータ解析ソフトを用いて、1/2半濡れ曲線から平均孔径を算出した。但し、測定時の圧力上限の問題により、測定限界を37nmとした。同じサンプルについて同様の測定を、場所を変えて5回行い、得られた平均孔径の平均値を当該サンプルにおける貫通孔の平均孔径とした。
【0077】
(6)山谷平均間隔Sm
JIS B0601−1994に準拠し測定する。まず、電池用セパレータを10mm幅×50mm長さで切り出す。切り出した電池用セパレータを、ガラス板(松浪硝子工業社製、マイクロスライドガラス S1225、76mm×26mm)に15mm以上離して平行に貼った両面テープ(日東電工社製 両面接着テープ No.501F、5mm幅×20m)に貼り付ける。
【0078】
前記サンプルを、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)、対物レンズ(ニコン社製 CF IC EPI Plan)を用いて、下記の順序で測定・解析を行った。
【0079】
(1) ステージを最下限まで下げ、10倍の対物レンズを用いて原点出しを行った。
【0080】
(2) RUN MODEを白黒超深度に、VIEW MODEをカラー生画に設定し、サンプルをステージ台に乗せた。
【0081】
(3) 対物レンズを50倍に変更し、レーザーをONにして、フォーカシングハンドルを調整してピントを合わせた。
【0082】
(4) 測定開始ボタンを押し、オートゲインを粗調整した。
【0083】
(5) 光量が240〜250の範囲に入る様に、受光ゲインを調整した。
【0084】
(6) ビーム減衰機を閉じ、光量が30〜40の範囲に入る様に、オフセットを調整した。
【0085】
(7) ビーム減衰機を開け、再度、光量が240〜250の範囲に入る様に、受光ゲインを調整した。
【0086】
(8) レンズ位置移動ボタンにより、ピントが合わなくなるまでレンズを上げ、測定レンジの上限を設定し、同様に、レンズを下げることで、測定レンジの下限を設定した。
【0087】
(9) PITCHを0.1μmに設定し、測定・保存した。
【0088】
(10) 画像計測・解析ソフトVK−H1Wを立ち上げ、測定画像を読み込み、長手方向と幅方向の線粗さを測定した。なお、測定範囲は長手方向110μm、幅方向150μmであり、DCLは0に、BCLは255に設定し、スムージング、及び傾き補正は行わなかった。
【0089】
(11) 長手方向5箇所、幅方向5箇所の山谷平均間隔Smの平均値をSmとした。
【0090】
(7)算術平均粗さRa、十点平均粗さRz
JIS B0601−1994に準拠して測定した。まず、電池用セパレータを10mm幅×50mm長さで切り出す。切り出した電池用セパレータを、ガラス板(松浪硝子工業社製、マイクロスライドガラス S1225、76mm×26mm)に15mm以上離して平行に貼った両面テープ(日東電工社製 両面接着テープ No.501F、5mm幅×20m)に貼り付ける。
【0091】
前記サンプルを、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)、対物レンズ(ニコン社製 CF IC EPI Plan)を用いて、下記の順序で測定・解析を行った。
【0092】
(1) ステージを最下限まで下げ、10倍の対物レンズを用いて原点出しを行った。
【0093】
(2) RUN MODEを白黒超深度に、VIEW MODEをカラー生画に設定し、サンプルをステージ台に乗せた。
【0094】
(3) 対物レンズを50倍に変更し、レーザーをONにして、フォーカシングハンドルを調整してピントを合わせた。
【0095】
(4) 測定開始ボタンを押し、オートゲインを粗調整した。
【0096】
(5) 光量が240〜250の範囲に入る様に、受光ゲインを調整した。
【0097】
(6) ビーム減衰機を閉じ、光量が30〜40の範囲に入る様に、オフセットを調整した。
【0098】
(7) ビーム減衰機を開け、再度、光量が240〜250の範囲に入る様に、受光ゲインを調整した。
【0099】
(8) レンズ位置移動ボタンにより、ピントが合わなくなるまでレンズを上げ、測定レンジの上限を設定し、同様に、レンズを下げることで、測定レンジの下限を設定した。
【0100】
(9) PITCHを0.1μmに設定し、測定・保存した。
【0101】
(10) 画像計測・解析ソフトVK−H1Wを立ち上げ、測定画像を読み込み、表面粗さを測定した。なお、測定範囲は長手方向110μm×幅方向150μmであり、DCLは0に、BCLは255に設定し、スムージング、及び傾き補正は行わなかった。
【0102】
(11) 測定画像内の5箇所の算術平均粗さRa、十点平均粗さRzの平均値をそれぞれ、Ra、Rzとした。
【0103】
(8)セパレータとしての評価
(8−1)電池の作製
正極は宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)厚みが40μmの正極を使用し、一片47mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
【0104】
負極は、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、一片50mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
【0105】
電解質溶液には、有機溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で30:70の割合にて混合したものを用い、これに支持塩としてLiPF 1.0mol/Lを溶解させて使用した。
【0106】
正極電極と負極電極とを、正極、負極の活物質層どうしが互いに対向するように配置し、両者の間にセパレータを挟んでラミネートセルからなる電池セル内に設置した。ここでセパレータとしては各実施例・比較例のセパレータ用フィルムを使用し、その形状は正極電極、負極電極のいずれよりも面積が広くなるように、寸法の異なる二種類の長方形とした。各々のタブの先端が電池のラミネートセルの外部に引き出されるようにした。次いで電池のラミネートセル内に電解質溶液を充填した後、真空脱気してラミネートセルを密閉して、単層ラミネート型のリチウムイオン二次電池とした。寸法がフィルム長手方向に55mm、幅方向に52mmとするセパレータを用いた電池を電池A、フィルム幅方向に55mm、長手方向に52mmとするセパレータを用いた電池を電池Bとして各実施例・比較例につき各2個ずつ電池を作製し、以下に示す加熱試験、及び出力特性の評価に各1個ずつを供した。
【0107】
(8−2)加熱試験(電池表面温度)
作製した電池を25℃の雰囲気下、30mAで4.2Vまで3.5時間充電した後、130℃、1時間放置し、電池表面の温度及び状態を評価した。
【0108】
○:表面温度135℃以下。
【0109】
△:表面温度135℃を超え、140℃未満
×:表面温度140℃以上、セルの損傷
(8−3)出力特性
作製した各二次電池について、25℃の雰囲気下、充電を30mAで4.2Vまで3.5時間、放電を30mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量を調べた。さらに、充電を30mAで4.2Vまで3.5時間、放電を300mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量を調べた。
【0110】
[(300mAでの放電容量)/(30mAでの放電容量)]×100の計算式で得られる値を以下の基準で評価した。電池Aおよび電池Bのいずれかのうち、放電容量が低い方の値を評価した。
【0111】
☆:95%以上
◎:90%以上95%未満
○:85%以上90%未満
△:80%以上85%未満
×:80%未満
(実施例1)
多孔性ポリプロピレンフィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(MFR:7.5g/10分、融点:163℃)を95質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体であるダウ・ケミカル社製 Engage8411(MFR:18g/10分)を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部の比率で混合されるように、計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
【0112】
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルム長手方向に3倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で3倍に、延伸速度1,500%/分で、フィルム幅方向に延伸を行い、二軸延伸多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。次に、作製した多孔性ポリプロピレンフィルムをフィルム長手方向及び、幅方向に200mm四方に切り出し、以下の熱処理工程を行った。ブルックナー社製KARO−IVフィルムストレッチャーにサンプルセットし、オーブン温度を165℃に設定して、フィルム長手方向及び、幅方向に1%/秒の延伸速度で1.67倍に超低速延伸しながら、67秒間熱処理を行い、フィルム長手方向及びフィルム幅方向の最終倍率が、それぞれ5倍の最終厚み19.8μmのフィルムを得た。
【0113】
得られたフィルムの135℃、60分間の熱収縮率、透気抵抗、135℃1時間熱処理後の透気抵抗増加率、平均孔径、山谷平均間隔Sm、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、加熱試験、電池特性を測定し、結果を表1に示した。
【0114】
(実施例2)
実施例1において、テンターでの幅方向延伸倍率を4倍として二軸延伸多孔性ポリプロピレンフィルムを得た後、熱処理工程を行った。まず、フィルム長手方向のみに1%/秒の延伸速度で1.42倍に達するまで、42秒間低速延伸熱処理を行い、続いてフィルム長手方向に1.67倍、幅方向に1.25倍にそれぞれ1%/秒の延伸速度で25秒間、低速延伸熱処理を行うことで、フィルム長手方向及び、幅方向の最終倍率が5倍のフィルムを得た以外は実施例1と同様の操作を行い、最終厚み19.6μmのフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0115】
(実施例3)
実施例1の熱処理工程において、超低速延伸の速度をフィルム長手方向及び、幅方向に3%/秒とした以外は実施例1と同様の操作を行い、最終厚み20.2μmのフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0116】
(実施例4)
実施例1の熱処理工程において、熱処理時のオーブンの設定温度を169℃とした以外は実施例1と同様の操作を行い、最終厚み20.0μmのフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0117】
(実施例5)
実施例1において、テンターでの長手方向延伸倍率を5倍として二軸延伸多孔性ポリプロピレンフィルムを得た後、熱処理工程を行った。フィルム幅方向のみに1%/秒の延伸速度で1.67倍に達するまで、67秒間低速延伸熱処理を行うことで、フィルム長手方向及び、幅方向の最終倍率が5倍のフィルムを得た以外は実施例1と同様の操作を行い、最終厚み20.4μmのフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0118】
(比較例1)
多孔性ポリプロピレンフィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を95質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体であるダウ・ケミカル製 Engage8411(MFR:18g/10分)を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部の比率で混合されるように、計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
【0119】
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルム長手方向に5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で5倍に、延伸速度1,500%/分で延伸を行い、そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で7秒間の熱処理を行い、幅1m、最終厚み19.9μmの二軸延伸多孔性ポリプロピレンフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0120】
(比較例2)
実施例1の熱処理工程において、超低速延伸の速度をフィルム長手方向及び、幅方向に10%/秒とした以外は実施例1と同様の操作を行い、最終厚み19.7μmのフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0121】
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレン WF836DG3(MFR:7g/10分、アイソタクチックインデックス:97%)を94質量部、Basell社製高溶融張力ホモポリプロピレン Pro−fax PF814(MFR:2.5g/10分、アイソタクチックインデックス:97%)を1質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体である、ダウ・ケミカル社製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分)を5質量部混合したところに、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製Nu−100)を0.2質量部加えて2軸押出機に供給し、220℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリオレフィン樹脂原料を得た。
【0122】
このポリオレフィン樹脂を単軸押出機に供給して220℃にて溶融押出を行い、焼結フィルターにて異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラム上に吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして、未延伸シートを得た。ついで、95℃に加熱したロールを用いて未延伸シートを加熱し、長手方向に5倍延伸を行った。一旦冷却後、ステンター式横延伸機にて145℃で幅方向に延伸速度1,500%/分で5倍延伸を行い、そのまま155℃で5秒間熱固定を行い、ついで140℃、リラックス率10%で5秒間弛緩処理を行い、最終厚み21.2μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得て、各物性値を表1に示した。
【0123】
(比較例4)
多孔性ポリプロピレンフィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFSX80E4を94質量部、高溶融張力ポリプロピレン樹脂であるBasell製ポリプロピレンPF−814を1質量部、エチレン−オクテン−1共重合体であるダウ・ケミカル製 Engage8411(MFR:18g/10分)を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部の比率で混合されるように、計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
【0124】
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で5倍に、延伸速度1,500%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で7秒間の熱処理を行い、最終厚み20.4μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。作製した多孔性ポリプロピレンフィルムを幅700mmにスリットし、巻取張力30N/mで内径152.4mm、外径172.4mmのプラスチックコアに500m巻き取りフィルムロールを得た。ついで、該フィルムロールをコアの両端を保持したまま温度80℃、湿度10%RH雰囲気下のオーブンに投入し、50時間熱処理し、得られた多孔性フィルムの各物性値を表1に示した。
【0125】
【表1】

【0126】
表1から、出力特性に関しては、平均孔径、透気抵抗、表面粗さの各パラメータが全て請求項記載の範囲に入る時に極めて良い出力特性を示す。そして、Ra、Rz、Smの3つのパラメータの1つ、または2つが好ましい範囲から外れると、出力特性が低下することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、熱寸法安定性に優れ、電池特性が良好な多孔性フィルムとして提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β晶形成能が40〜90%のポリプロピレン樹脂を用いてなる、長手方向および幅方向のいずれか一方向における135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%である多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項2】
長手方向および幅方向のいずれの方向についても、135℃、60分間の熱収縮率が0〜10%である、請求項1に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項3】
少なくとも片方の表面の算術平均粗さRaが0.4〜3.0μmであり、十点平均粗さRzが5.0〜10μmであり、かつ山谷平均間隔Smが2〜20μmである、請求項1または2に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項4】
貫通孔の平均孔径が80〜200nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項5】
透気抵抗が10〜1,000秒/100mLである、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項6】
135℃、60分間熱処理後の透気抵抗が熱処理前の透気抵抗の2倍以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムを用いてなる蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電デバイス用セパレータを用いた蓄電デバイス。

【公開番号】特開2012−72380(P2012−72380A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185666(P2011−185666)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】