説明

多孔質溶解性固体基材及びカチオン性界面活性剤コンディショナーの表面残留コーティング

本発明は、毛髪ケア組成物、特に多孔質溶解性固体基材である毛髪ケア物品の形態の毛髪ケア組成物に関する。多孔質溶解性固体基材は、コンディショニング効果をもたらすことができるカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪ケア組成物、特に多孔質溶解性固体基材とカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質とを含む物品の形態でコンディショニング効果をもたらす毛髪ケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪ケア組成物は、従来、液体製品として販売されてきた。これらの液体毛髪ケア製品は、一般に、処方の中に相当量の水を含む。液体であることに加えて、毛髪ケア製品の多くは、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い及び扱い易さに関連する消費者に認識される1つ以上の効果をもたらすために、コンディショニング剤を含有する。毛髪コンディショニング剤の最も有効な部類の一つは、広範囲の小売用毛髪コンディショナー製品に普及しているカチオン性界面活性剤コンディショナーである。
【0003】
カチオン性界面活性剤コンディショナーは、これらが他の成分に対して有し得る強力な相互作用に起因して、液体コンディショニング組成物内に配合するのが困難であり得る。このような負の相互作用はアニオン性成分(例えば、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマーなど)を含む組成物において広く認められるが、カチオン性界面活性剤コンディショナーの組み込みもまた他の成分との、特に、毛髪コンディショニング製品内で典型的に採用される非イオン性脂肪族アルコールコンディショナーとの、組み合わせにおいて、配合に困難さを呈することが知られている。特に、カチオン性界面活性剤コンディショナーは、脂肪族アルコール(及び他の共界面活性剤)と協力して最適な層状ゲルネットワーク構造を作製する。これは消費者が受け入れ得る製品レオロジーをもたらすものであり、保存安定性を有する。層状ゲルネットワークはまた、意図された主なコンディショニング効果を毛髪にもたらすために、カチオン性界面活性剤コンディショナーの十分な付着をもたらさなければならない。加えて、ゲルネットワーク形成の度合いは、組成物内のカチオン性界面活性剤コンディショナーの濃度に強く結びついており、特にカチオン性界面活性剤コンディショナーの脂肪族アルコールに対する比率により影響される。更に、カチオン性界面活性剤コンディショナーの付着及び送達され、得られる毛髪コンディショニングの程度は、層状ゲルネットワーク組成物内のカチオン性界面活性剤の濃度により強く影響される。
【0004】
それゆえに、カチオン性界面活性剤コンディショナーを含む液体毛髪コンディショナーの配合中に、毛髪コンディショニング、消費者に受け入れられ得るレオロジー及び製品貯蔵安定性の改善という効果を同時に達成することに対しての三分法が現在存在する。これらの消費者目的の3つ全ては、組成物内のカチオン性界面活性剤コンディショナーの濃度(及び他の成分に対するその比率)により直接及び同時に影響され、1つの目的を果たすのに必要とされる最適濃度は、他の目的のうちの1つ又は両方を果たすのに必要とされる最適濃度とは異なり得る。更に、この問題は、各々が異なる度合いの毛髪コンディショニング及び対応して異なる濃度のカチオン性コンディショナーを求める、複数の消費者区分が存在するという事実により複雑化されている。これは、時間がかかる反復性の及び高度に資源集約的な配合努力を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、より大きな配合容易性及び柔軟性を呈するカチオン性界面活性剤を含む毛髪ケア製品を提供することである。特に、本発明の目的は、カチオン性界面活性剤コンディショナーの濃度が主に又は単独で元々所望された毛髪コンディショニング性能効果に影響し、製品レオロジー/外観又は製品貯蔵安定性などの他の競合する製品効果に同時に影響しないようなやり方で、カチオン性界面活性剤コンディショナーを組み込んでいる毛髪ケア製品を提供することである。
【0006】
加えて、本発明の目的は、カチオン性界面活性剤コンディショナーを含む多孔質溶解性固体基材の加工方法を提供することであり、これにより上記プロセスは後期工程において差異を生じる。このカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質は、毛髪コンディショニング組成物の基本配合を変更せずに、添加すること及び変性させることができる。本発明の更なる目的は、単位用量の毛髪ケア製品の形態でカチオン性界面活性剤コンディショナーと共に多孔質溶解性固体基材を提供することである。
【0007】
加えて、本発明の目的は、消費者の手の平で便利にかつ素早く溶解して、液体毛髪ケア組成物を構成することができる多孔質溶解性固体基材を提供することである。加えて、本発明の目的は、カチオン性コンディショナー活性物質と追加の活性物質とを含有する多孔質溶解性固体基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の要求を満たす。本発明は、消費者が望む濃度のアニオン性洗浄界面活性剤とカチオン性界面活性剤コンディショナーの両方をより容易にかつ柔軟に配合できる形態で提供しながら、毛髪への適用が容易になるように、消費者の手の平で便利にかつ素早く溶解して、液体毛髪ケア組成物を再構成することができる単位用量の毛髪ケア物品の形態の多孔質溶解性固体基材を提供する。
【0009】
本発明は、(1)約10%〜約75%の界面活性剤と約10%〜約50%の水溶性ポリマーと約1%〜約30%の可塑剤とを含む多孔質溶解性固体基材、及び、(2)約10%〜約100%の1種以上のカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング、を含む毛髪ケア物品を提供し、ここで、多孔質溶解性固体基材と表面残留コーティングの比は、約110:1〜約0.5:1である。
【0010】
別の態様では、本発明は、(1)約5%〜約50%の界面活性剤(1種又は複数種)と約5%〜約35%の水溶性ポリマーと約0.5%〜約20%の可塑剤とを含む加工混合物を調製する工程、(2)ガスを加工混合物に導入することにより加工混合物に通気して、通気された湿潤混合物を形成する工程、(3)通気された湿潤混合物を1つ以上の所望の形状に成形する工程、(4)通気された湿潤混合物を乾燥させて多孔質溶解性固体基材を形成する工程、並びに(5)粉末形態のカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質の表面残留コーティングを多孔質溶解性固体基材に適用する工程、を含む毛髪ケア物品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、実施形態の以下の説明を、類似の参照番号が類似の要素を特定する添付図面と併せ読むことにより、より良好に理解されると考えられる。
【図1】表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を有する多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図2】表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質層を間に有する2つの多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図3A】くぼみ部内に表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を有するくぼみ付き多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図3B】くぼみ部内に表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を有するくぼみ付き多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図4】表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を密封するように折り畳まれた多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図5】多孔質溶解性固体基材のマイクロ−CT立体画像。
【図6】多孔質溶解性固体基材の上領域と中領域と下領域のスーパーインポーズ断面SEM画像。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の全ての実施形態において特に断らない限り、百分率は全て、組成物全体の重量を基準としている。特に断らない限り、比は全て重量比である。全ての範囲は、包括的及び結合可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に断らない限り、数量はいずれも、「約」という語によって修飾されているものと理解される。特に断らない限り、全ての測定は25℃で周囲条件下において行われたものと理解される。ただし「周囲条件」とは、約1気圧の圧力下で約50%の相対湿度における条件のことを意味する。列挙される成分についてのこうした重量は全て活性レベルに基づいたものであり、特に断らない限り、市販の物質に含有される可能性のある基剤又は副生成物は含まれない。
【0013】
I.定義
本明細書で使用するとき、用語「毛髪ケア組成物」は、過度の望ましくない影響を与えずに哺乳動物の毛髪及び皮膚に適用することができる組成物を意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「コンディショニング効果」は、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、損傷、扱い易さ、及び隔離されたカチオン性コンディショニング活性物質によりもたらされる脂っぽさに関連する、消費者に認識される1つ以上の効果を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「カチオン性界面活性剤コンディショニング活性物質」は、アルキル四級アンモニウム塩及びアルキルアミンからなる群から選択される1つの物質又は1つ超の物質の混合物を意味する。アミンは、pH 7でカチオン性であるものを包含し、一実施形態では塩形態でもある。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング」は、多孔質溶解性固体基材の固体/空気界面の少なくとも一部に吸着される少なくとも1種のカチオン性界面活性剤コンディショニング活性物質を含む微粒子固体組成物又は材料を指す。得られる表面残留コーティングは、製品の貯蔵寿命にわたって、及び毛髪ケア物品を消費者による使用時に水と接触させる前に、組み込まれているカチオン性界面活性剤コンディショナーと、溶解性多孔質固体のバルク内に存在するアニオン性界面活性剤と、の間の物理的相互作用を最小化する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「毛髪ケア物品」は、アニオン性界面活性剤と水溶性ポリマーと可塑剤とを含む多孔質溶解性固体基材、及び、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング、を意味する。毛髪ケア物品は、本明細書で「物品」と呼ばれることがある。
【0018】
本明細書で使用するとき、「溶解性」は、多孔質溶解性固体基材が、本明細書に記載の「手溶解方式試験」の条件を満たす溶解度を有することを意味する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「多孔質溶解性固体基材」は、周囲大気のガス(通常は、空気)を含む空間又は気泡の相互接続網を定義する固体ポリマー含有マトリックスを意味する。その構造物の相互結合性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)、又は開放気泡含有百分率によって記載され得る。
【0020】
II.毛髪ケア物品
本発明は、消費者が望む濃度のカチオン性界面活性剤コンディショナーをより容易にかつ柔軟に配合できる形態で提供しながら、毛髪への適用が容易になるように、消費者の手の平で便利にかつ素早く溶解して、液体毛髪ケア組成物を再構成することができる単位用量の毛髪ケア物品の形態の多孔質溶解性固体基材を提供する。
【0021】
これは、製造プロセス中に多孔質溶解性固体基材の連続的固体構造にカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を添加するよりもむしろ、多孔質溶解性固体基材上に表面残留コーティングとしてカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を組み込むことにより、達成される。多孔質溶解性固体基材にカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を適用して、多孔質溶解性固体基材の固体/空気界面の少なくとも一部分に吸着される表面残留コーティングを形成するために、任意の好適な適用方法を使用することができる。好ましい実施形態では、カチオン性コンディショナー活性物質は、粉末コーティングであり、多孔質溶解性固体基材の表面に適用される。従来的には、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質(すなわち、アルキル四級アンモニウム塩及びアルキルアミン塩)は、これらを他の成分(すなわち、脂肪族アルコール、他の界面活性剤など)と直接相互作用させ、これにより所望の毛髪コンディショニング性能に加えて複数の製品性能に影響を与えるというやり方で、水性液体毛髪コンディショナー組成物内で配合される。これは、カチオン性界面活性剤コンディショナーが、消費者が受け入れ得る製品レオロジーをもたらし、保存安定性要件を満たす最適な層状ゲルネットワーク構造を作製するために、脂肪族アルコール(及び他の共界面活性剤)と協力しなければならない毛髪コンディショナー製品の配合において特に問題である。これは、異なる濃度のカチオン性界面活性剤コンディショナー(及び脂肪族アルコール及び他の活性物質との異なる比率)が、所望される3つの効果のそれぞれをもたらすように、層状ゲルネットワーク組成物内のカチオン性界面活性剤コンディショナーに必要とされ得るような三分法を生じる。この問題は、独自の目標とされるコンディショング度合い及び対応するカチオン性界面活性剤コンディショナー濃度を有する異なる毛髪コンディショナーの製品バージョンが、典型的には異なる消費者区分にアピールするために所与のブランド製品全体に必要とされるという事実により増幅される。それに応じて、液体毛髪コンディショニング製品の配合時に、時間がかかり資源集約的な配合努力を要する有意な配合複雑性及び不可避の性能トレードオフが存在する。
【0022】
本発明は、消費者が望む濃度のカチオン性界面活性剤コンディショナーを、より容易にかつ柔軟に配合できる表面残留コーティングの形態で提供しながら、毛髪への適用が容易になるように、消費者の手の平で便利にかつ素早く溶解して、液体毛髪ケア組成物を再構成することができる単位用量の毛髪ケア物品の形態の多孔質溶解性固体基材を提供することにより、これらの配合複雑性及びトレードオフを軽減する。
【0023】
A.多孔質溶解性固体基材
多孔質溶解性固体基材は、アニオン性界面活性剤、水溶性ポリマー及び可塑剤を含む。多孔質溶解性固体基材は、消費者の手の平で便利かつ素早く溶解させて、その結果、液体毛髪ケア組成物が得られるように調製することができる。いったん溶解すると、この毛髪ケア組成物は、従来の液体毛髪ケア組成物と同じように使用することができ、すなわち、頭皮及び/又は毛髪に適用することができる。このような多孔質溶解性固体基材は、今度は、現在の液体毛髪ケア組成物のものと同様の性能を供給できることが判明した。多孔質溶解性固体基材は、最大気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.02mm〜約0.15mm、一実施形態では約0.025mm〜約0.12mm、別の実施形態では約0.03mm〜約0.09mm、及び更に別の実施形態では約0.035mm〜約0.06mmの気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、気泡間に最低レベルの相互接続性を有し、この相互接続性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)及び連続気泡含有率によって定量化される。多孔質溶解性固体基材は、約1mm3〜約90mm3、一実施形態では約1.5mm3〜約60mm3、別の実施形態では約2mm3〜約30mm3、及び更に別の実施形態では約2.5mm3〜約15mm3の星形体積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.0〜約3.0、一実施形態では約0.5〜約2.75、及び別の実施形態では約1.0〜約2.50の負でない構造モデル指数を有する。多孔質溶解性固体基材は、約80%〜100%、一実施形態では約85%〜約97.5%、及び別の実施形態では約90%〜約95%の連続気泡含有率を有する。多孔質溶解性固体基材は、また、最小の比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03m2/g〜約0.25m2/g、一実施形態では約0.035m2/g〜約0.22m2/g、別の実施形態では約0.04m2/g〜約0.19m2/g、及び更に別の実施形態では約0.045m2/g〜約0.16m2/gの比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約125g/m2〜約3,000g/m2、一実施形態では約300g/m2〜約2,500g/m2、別の実施形態では約400g/m2〜約2,000g/m2、別の実施形態では約500g/m2〜約1,500g/m2、別の実施形態では約600g/m2〜約1,200g/m2、別の実施形態では約700〜約1,000g/m2の坪量を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03g/cm3〜約0.40g/cm3、一実施形態では約0.05g/cm3〜約0.35g/cm3、別の実施形態では約0.08g/cm3〜約0.30g/cm3、別の実施形態では約0.10g/cm3〜約0.25g/cm3、別の実施形態では約0.12g/cm3〜約0.20g/cm3の固体密度を有する。
【0024】
一実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、パッド、ストリップ又はテープの形の平らで柔軟な基材であり、また、以下の方法によって測定されるときに、約0.5mm〜約10mm、一実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、更に別の実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。別の実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、溶解性繊維ウェブ構造の形態を取ることもできる。
【0025】
1.界面活性剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、消費者が指示に従った場合に、非泡立ち性のものであってもよい。多孔質溶解性基材は、乾燥(固化)に先立って安定な発泡固体を生成するための加工助剤として、少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0026】
非泡立ち性の多孔質溶解性固体基材は、毛髪ケア物品の約10重量%〜約75重量%、別の実施形態では約15重量%〜約60重量%、別の実施形態では約20重量%〜約50重量%の界面活性剤を含み、界面活性剤は、以下に述べる界面活性剤の1つ以上を含む。
【0027】
(i)アニオン性界面活性剤
本発明の毛髪ケア製品は非泡立ち性のものであり、したがって、主に安定した発泡固体を製造する際の加工助剤として使用される最高濃度10%(又は10%未満)のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。乾燥前に安定した発泡固体を生成する界面活性剤濃度に達するように、追加の非イオン性界面活性剤をアニオン性界面活性剤と組み合わせることができる。
【0028】
(ii)カチオン性界面活性剤
一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、安定した多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として含まれる。本発明での使用に好適なカチオン性界面活性剤には、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheon’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものが挙げられる。好適な四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド及びこれらの塩を挙げることができ、ここで、塩化物は、ハロゲン(例えば、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸、硝酸、硫酸又はアルキル硫酸により置換される。
【0029】
特定の実施形態では、本発明で使用するための四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、例えば、ClariantによりGENAMIN CTACとして及びAkzo Nobelにより供給されているArquad 16/29として市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリド、Clariantにより供給されているGENAMIN KDMPなどのベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)、並びに、Clariantにより供給されているGENAMIN DSAPなどのジステアリルジメチルアンモニウムクロリドである。前述の物質のうちのいずれかの混合物もまた好適であり得る。好ましい実施形態では、四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)である。
【0030】
(iii)非イオン性界面活性剤
一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、安定した多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として含まれる。本発明での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheon’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものが挙げられる。本発明の毛髪ケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N−アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられる。
【0031】
(iv)高分子界面活性剤
高分子界面活性剤は、また、本発明の多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として単独又はイオン性及び/若しくは非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用される界面活性剤でもよい。本発明の毛髪ケア組成物での使用に好適な高分子界面活性剤としては、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
2.水溶性ポリマー(「ポリマー構造剤」)
多孔質溶解性固体基材は、構造剤として機能する水溶性ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、用語「水溶性ポリマー」は水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーの両方を包含するのに十分幅広く、25℃において少なくとも0.1グラム/リットル(g/L)として測定される、水への溶解度を備える、ポリマーとして定義される。一部の実施形態では、このポリマーは、25℃で測定されるときに、約0.1グラム/リットル(g/L)〜約500グラム/リットル(g/L)の水溶性を有する(これは、巨視的には等方性の又は透明な、有色若しくは無色の溶液の生成を示す)。これらの固体物を作製するためのポリマーは、合成のもの又は天然由来のものでもよく、かつ化学反応によって変性されてもよい。それは被膜を形成するものであってもよく、そうでなくてもよい。ポリマーは、生理学的に許容可能なものであるべきであり、つまり皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮に適合すべきである。
【0033】
水溶性ポリマーは、多孔質溶解性固体基材の約10重量%〜約50重量%の1種以上の水溶性ポリマーが存在してもよく、一実施形態では多孔質溶解性固体基材の約15重量%〜約40重量%、特定の実施形態では多孔質溶解性固体基材の約20重量%〜約30重量%の1種以上の水溶性ポリマーが存在してもよい。
【0034】
本発明の1種以上の水溶性ポリマーは、重量平均分子量が約40,000〜約500,000、一実施形態では約50,000〜約400,000、更に別の実施形態では約60,000〜約300,000、更に別の実施形態では約70,000〜約200,000であるように選択される。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固体物内に存在するポリマーの総重量によるそれぞれの相対的な重量パーセントを乗じて計算する。
【0035】
一実施形態では、1種以上の水溶性ポリマーの少なくとも1種は、約2重量%の水溶性ポリマー溶液が、20℃で約4センチポワズ〜約80センチポワズ、代替実施形態では約5センチポワズ〜約70センチポワズ、別の実施形態では約6センチポワズ〜約60センチポワズの粘度を示すように選択される。
【0036】
本発明の水溶性ポリマーとしては、米国特許第5,582,786号及び欧州特許第A−397410号に記載されているようなエチレン不飽和カルボン酸モノマーとエチレン不飽和モノマーなどのアクリルモノマーから誘導されたポリマーを含む、米国特許出願第61/120,786号に記載されたような合成ポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。好適である水溶性ポリマーは、また、米国特許出願第61/120,786号に記載されている植物起源の例のものなどの天然由来のポリマーから選択されてもよい。また、改質された天然ポリマーが、本発明の水溶性ポリマーとして有効であり、米国特許出願第61/120,786号に挙げられている。一実施形態では、本発明の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリレートの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。別の実施形態では、本発明の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。好適なポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Dallas,TX)から商品名CELVOL(登録商標)として入手可能なものが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースと組み合わせたものなどのDow Chemical Company(Midland,MI)から商品名METHCEL(登録商標)で入手可能なものが挙げられる。
【0037】
特定の実施形態では、前述の水溶性ポリマーは、本明細書に記載されたような必須の構造と物理的/化学的特性を備える毛髪ケア物品を提供するのに役立つ場合に限り、必要とされる水溶性ポリマーの全体濃度を下げるような量で充填剤物質として任意の単一のデンプン又はデンプンの組み合わせとブレンドしてもよい。
【0038】
そのような例では、水溶性ポリマーとデンプンをベースとする材料との組み合わせの重量パーセントは、一般に、多孔質溶解性固体基材の全重量に対して約10重量%〜約50重量%、一実施形態では約15重量%〜約40重量%、及び特定の実施形態では約20重量%〜約30重量%の範囲である。デンプンをベースとする材料に対する水溶性ポリマーの重量比は、一般に約1:10〜約10:1、1つの実施形態においては約1:8〜約8:1、更に別の実施形態においては約1:7〜約7:1、更にまた別の実施形態においては約6:1〜約1:6の範囲であることができる。
【0039】
デンプンをベースとする材料の典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。天然供給源としては、トウモロコシ、豆、ジャガイモ、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼが挙げられる。また、デンプンをベースとする材料には、米国特許出願第61/120,786号に記載されたものなどの、当該技術分野で既知の任意の改質を使用して改質された天然デンプンを含んでもよい。
【0040】
3.可塑剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、毛髪ケア組成物での使用に好適な水溶性可塑剤を含む。一実施形態では、1種以上の可塑剤は、多孔質溶解性固体基材の約1重量%〜約30重量%、別の実施形態では約3重量%〜約25重量%、別の実施形態では約5重量%〜約20重量%、更に別の実施形態では約8重量%〜約15重量%存在してもよい。水溶性可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ソルビトール、マニトール、ラクチトール及び他の一価及び多価低分子量アルコール(例、C2〜C8アルコール)のような糖アルコール類;フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、及び高フルクトースコーンシロップ固形物並びにアスコルビン酸のようなモノ、ジ−及びオリゴ糖が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるポリカルボン酸の好適な例は、米国特許出願第61/120,786号に開示されている。
【0041】
一実施形態では、可塑剤は、グリセリン又はプロピレングリコール及びこれらの組み合わせを含む。欧州特許第283165(B1)号は、プロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体が挙げられる、他の好適な可塑剤を開示している。
【0042】
4.任意成分
多孔質溶解性固体基材は、本明細書に記載の特定の必須材料と適合するか又は毛髪ケア組成物の性能を過度に損なわないという条件で毛髪ケア組成物で使用でき、あるいは有用であることが知られている、他の任意成分を更に含んでもよい。
【0043】
このような任意成分は、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992のような参考文献に記載されている物質である。このような任意成分の例は、米国特許出願第12/361,634号に開示されている。追加の任意成分としては、ジンクピリチオン、硫化セレン及び米国特許公開第2003/0215522(A1)号に開示されている活性物質などだがこれらに限定されない、ふけ防止活性物質が挙げられる。
【0044】
他の任意成分としては、有機溶媒、特に、高分子構造剤のための溶解剤として及び乾燥促進剤として有用な水混和性溶媒及び共溶媒が挙げられる。好適な有機溶媒の例は、米国特許出願第12/361,634号に開示されている。他の任意成分としては、ラテックス又はエマルジョンポリマー、水溶性ポリマー等の増粘剤、クレイ、シリカ、二ステアリン酸エチレングリコール、コアセルベート形成成分などの付着補助剤が挙げられる。
【0045】
アニオン性界面活性剤に加えて、他の非アニオン性界面活性剤を含んでもよい。これらの非アニオン性界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤又はこれらの組み合わせを挙げてもよい。これらの非アニオン性界面活性剤の例は、米国特許出願第61/120,786号に見出すことができる。
【0046】
B.カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング
一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、全体に吸着される又は分配されて、大表面積の薄いコーティングを形成することになるカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングのための、連続的かつ接近可能な大表面積の「足場」(「支柱」の三次元ネットワーク)を提供する。
【0047】
一実施形態では、表面残留コーティングは、約10%〜約100%、別の実施形態では約25%〜約100%、更に別の実施形態では約40%〜約100%の1種以上のカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む。一実施形態では、多孔質溶解性固体基材とカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングとの比は、約110:1〜約0.5:1、別の実施形態では約20:1〜約1:1、別の実施形態では約10:1〜約1.5:1、更に別の実施形態で約7:1〜約3:1である。
【0048】
本発明の組成物での使用に好適なカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質は、組成物中に溶解したときに正に帯電するアミノ又は四級アンモニウム親水性部分を含有する。
【0049】
本明細書での使用に有用である好適な四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質としては、式(I)を有するものが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
【化1】

1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、(a)炭素原子数が1〜22の脂肪族基、又は(b)炭素原子を最大22個まで有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩生成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである。一実施形態では、アルキルサルフェートラジカルはメトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0051】
脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基のような他の基を含有することができる。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素原子が約12個以上のものは、飽和でもよく又は不飽和でもよく、並びに、分枝鎖でもよく又は分枝鎖でなくてもよい。一実施形態では、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の部類は、R1及びR2が、それぞれ独立して、少なくとも1個のエステル結合をR1及びR2の両方の中に含むC16〜C22ヒドロカルビル鎖から選択され、R3及びR4が、それぞれ独立して、CH3及びCH2CH2OHから選択される。別の実施形態では、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の部類は、R1及びR2が、それぞれ独立して、C16〜C22飽和若しくは不飽和から選択され、R3及びR4が、それぞれ独立して、CH3、CH2CH2OH及びCH3から選択される。更に別の実施形態では、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の部類は、R1がC16〜C22アルキル鎖であり、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、CH3、CH2CH2OH及びCH3から選択される。
【0052】
好適な一般式(I)の四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリドPEG−2オレイルアンモニウムクロリド及びこれらの塩を挙げることができ、ここで、塩化物は、ハロゲン(例えば、臭化物)、酢酸、クエン酸塩、乳酸、グリコール酸、リン酸、硝酸、硫酸又はアルキル硫酸により置換される。
【0053】
特定の実施形態では、本発明で使用するための四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、例えば、ClariantによりGENAMIN CTACとして及びAkzo Nobelにより供給されているArquad 16/29として市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリド、Clariantにより供給されているGENAMIN KDMPなどのベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)、並びに、Clariantにより供給されているGENAMIN DSAPなどのジステアリルジメチルアンモニウムクロリドである。前述の物質のうちのいずれかの混合物もまた好適であり得る。好ましい実施形態では、四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)である。
【0054】
他の好適なカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質としては、一級、二級及び三級脂肪アミンの塩を挙げることができる。一実施形態では、このようなアミンのアルキル基は、約12〜約22個の炭素原子を有し、置換若しくは非置換であることができる。これらのアミンは、カチオン種を得るために、通常、酸と組み合わせて使用される。
【0055】
本明細書で有用である好適なアルキルアミン塩としては、一般式(II)を有するアルキルアミンに対応する塩が挙げられるが、これらに限定されない。
1−C(O)−N(H)−R2−N(R3)(R4
式中、R1は12〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸であり、R2は1〜4個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、R3及びR4は、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。R1は飽和でもよく又は不飽和でもよく、並びに、分枝鎖でもよく又は分枝鎖でなくてもよい。
【0056】
好適な一般式(II)の物質は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン及びジエチルアミノエチルステアロアミドである。
【0057】
他の好適なアルキルアミン塩としては、ジメチルステアラミン、ジメチル大豆アミン、大豆アミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロープロパンジアミン、エトキシル化(5モルのエチレンオキシドで)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン及びアラキジルベヘニルアミンを挙げることができる。好ましい実施形態では、アルキルアミン塩は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。前述の物質のうちのいずれかの混合物もまた好適であり得る。
【0058】
カチオン性コンディショナー活性物質を提供するために使用される酸は、遊離アミン窒素を中和するのに十分な酸強度の有機酸又は鉱酸であり得る。このような酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸及びプロピオン酸又はこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、アミドアミン化合物を中和して組成物の最終pHを約2.5〜約6の、別の実施形態では約3〜約5の範囲内に調整するのに十分な量の酸を添加する。一実施形態では、プロトン化可能なアミン基とH+のモル比は、約1:0.3〜約1:1.2であり、別の実施形態では約1:0.5〜約1:1.1である。上記カチオン性コンディショナー活性物質のいずれかの混合物もまた好適であり得る。
【0059】
カチオン性界面活性剤コンディショナーを含む表面残留コーティングは、微粒子形態で多孔質溶解性固体基材に適用される。一実施形態では、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングは、微細粉末の形態である。図1で分かるように、本発明の特定の実施形態では、毛髪ケア物品10は、多孔質溶解性固体基材14の表面の少なくとも一部分に配置されたカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング12を含有する。隔離された、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング12は、常に、多孔質溶解性固体基材14に近接していなくてもよいことが理解される。特定の実施形態では、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング12は、多孔質溶解性固体基材14の全体又は部分に広げることもできる。
【0060】
あるいは、カチオン性コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングは、毛髪ケア物品又はその部分の内部に含ませる(例えば、挟む又は入れる)ことができる。このようなカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングは、デポジタ(depositor)、シフタ、又は粉体床の使用によるような任意の他の適切な手段によって、噴霧、散布、散在、コーティング、表面印刷(例えば、所望の装飾、化粧又はパターンの形状に)、注入、内部に注射、又は浸漬することができる。図3A、図3B及び図4により示される実施形態では、毛髪ケア物品10は、多孔質溶解性固体基材の表面よりも下に配置できるカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングを含有する。毛髪ケア物品10の断面図である図3Bで分かるように、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング24は、多孔質溶解性固体基材26のくぼみ部22内に配置されている。
【0061】
次に図2を参照すると、特定の実施形態では、粉末が、後で接合される2つの多孔質溶解性固体基材の間に挟まれる(例えば、多孔質溶解性固体基材を実質的に溶解させないように、隣接面又は縁を水の薄層及び/又は可塑剤と圧力印加により封止して接着することによって)。この実施形態では、毛髪ケア物品10は、2つの多孔質溶解性固体基材16、18を含み、それらの間には、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング20が配置されている。
【0062】
あるいは、特定の実施形態では、粉末は、折り畳まれて粉末を封入するパウチを形成する1つの毛髪ケア物品上にあってもよい。図4に示すように、毛髪ケア物品10は、折り畳まれた多孔質溶解性固体基材34内に密封された、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング32を含む。
【0063】
基材の多孔質性に起因して、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショニング活性物質を含む表面残留コーティングは、一般に、露出した固体/空気界面全てにわたって均一に広がらない。むしろ、本発明の表面残留コーティングは、典型的には、コーティングが適用された多孔質溶解性基材の外側表面層の面上にわたってほとんどが分配され、一部の微粒子が重力及び採用されるコーティング方法に従って、約0.5〜3mm下方に延びる空洞の中に広がる。
【0064】
カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質に加えて、表面残留コーティングには、例えば、適用中の粉末の流動性を改善する目的で、あるいは、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質用のキャリアとして又は充填剤材料として機能させるために、追加の賦形剤を含ませることができる。このような賦形剤としては、デンプン、化工デンプン、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、非晶質シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、炭酸亜鉛、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、充填剤材料は、商品名DRY−FLO(登録商標)PCでAkzo Nobelから入手可能なオクテニルコハク酸デンプンアルミニウムである。
【0065】
カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングはまた、香料、シリコーン、カチオン性ポリマー、感触変性剤などの追加の任意美容活性物質を含むことができ、これらは、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されているものなどの化粧品での使用に認可されている任意の美容活性物質を包含する。このような任意成分の例は、米国特許出願第12/361,634号に開示されている。表面残留コーティングはまた、デンプン香料マトリックス微小球、香料充填無機吸収性粉末、β−シクロデキストリン封入香料及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない任意の美容活性物質微粒子錯体を含んでもよい。追加の任意活性物質としては、ジンクピリチオン、硫化セレン及び米国特許公開第2003/0215522(A1)号に開示されている活性物質などの、ただしこれらに限定されないふけ防止活性物質が挙げられる。
【0066】
本発明の表面残留カチオン性界面活性剤コンディショナーコーティングが、製品の貯蔵安定性の改善又は配合の複雑さの低減などの後期工程における差異のような配合利益のためにアニオン性界面活性剤を含まない多孔質溶解性基材上にコーティングできることも認められている。これらの場合では、多孔質溶解性基材は、主に非イオン性又は更にはカチオン性界面活性剤から構成することができ、そうでなければ、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質と物理的に相溶性であり得る。加えて、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングは、高度に帯電したアニオン性ポリマー、アニオン性粒子及びアニオン性溶解性分散体などが挙げられるがこれらに限定されないカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質と負の相互作用を及ぼす可能性を有する他のタイプの活性物質を含む多孔質溶解性基材に吸着し得る。
【0067】
一実施形態では、本発明の表面残留コーティングには、カチオン性ポリマー又はカチオン性染料が挙げられるがこれらに限定されないカチオン性又は界面活性剤コンディショナー以外のカチオン性活性物質を組み込んでもよい。双極性イオン物質(界面活性剤、ポリマー、染料など)もまた本発明の表面残留コーティング内に組み込むのに好適である。
【0068】
カチオン性ポリマーの例としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオンデンプン、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル第四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミドコポリマー、四級化ポリビニル−ピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合生成物、ビニルイミダゾリウムトリクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミンコポリマー、及び特開第53139734号公報及び同第60036407号公報に開示されているカチオン性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、及びジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミドコポリマーが好ましい。
【0069】
カチオン性染料としては、アゾ型、チアゾール型、スチルベン型、アントラキノン型、インジゴイド型、キナクリドン型、キノフタロン型、アミノケトン型、ヒドロキシケトン型、フタロシアニン型、ホルマザン型、シアニン型、ニトロ型、ニトロソ型、ジフェニルメタン型、トリアリールメタン型、キサンテン型、アクリジン型、アジン型、オキサジン型、チアジン型、インダミン型、インドフェノール型及びラクトン型のものを挙げてもよい。一部の例としては、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載のもののようなベーシックブルー6、ベーシックブルー7、ベーシックブルー9、ベーシックブルー26、ベーシックブルー41、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン4、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックグリーン1、ベーシックレッド2、ベーシックレッド22、ベーシックレッド76、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー11及びベーシックイエロー57が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
III.毛髪ケア物品の製品形態
毛髪ケア物品は、単独で使用されるか又は他の毛髪ケア成分との組み合わせで使用されるカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングと共に多孔質溶解性固体基材を含む様々な製品形態のいずれで製造されてもよい。製品形態にかかわらず、本明細書で検討される製品形態の実施形態は、多孔質溶解性固体基材と、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングとの組み合わせを含む、選択され定義された毛髪ケア物品を含む。
【0071】
一実施形態では、毛髪ケア物品は、ユーザーが容易に取り扱うことができるようにする適切なサイズの1つ以上の平坦なシート又はパッドの形である。それは、正方形、長方形又は円盤状又はその他のいかなる好適な形状であってよい。毛髪ケア物品は、また、穿孔及び又は切断メカニズムによって1つずつ取り出せる単独の部分を備えるテープ状ロールのディスペンサーで供給されているものを含む、連続的なストリップの形態であることができる。あるいは、毛髪ケア物品は、1つ以上の円筒状物体、球状物体、管状物体、又は任意の他の形状の物体の形態である。
【0072】
毛髪ケア物品は、テクスチャ化され、くぼみが付けられ、又は他の方法でパターン形成された、文字、ロゴ又は図を含む1つ以上の面を含んでもよい。テクスチャ化された基材は、その基材の最も外側の表面がその表面の他の領域に対して隆起している部分を含む、基材の形状によって生じ得る。隆起部分は、毛髪ケア物品の形成された形状によるものでもよく、例えば、毛髪ケア物品は、最初にくぼみ付きパターン又は格子パターンで形成されてもよい。隆起部分は、また、クレーピング加工、コーティングの刻印、パターンのエンボス加工、隆起部分を有する他の層への積層、又は多孔質溶解性固体基材自体の物理的形状の結果として得られてもよい。テクスチャ化は、また、1つの多孔質溶解性固体基材を、テクスチャ化された第二の多孔質溶解性固体基材に積層する結果として得られてもよい。特定の実施形態では、多孔質固体の中に入り込む又は中を貫通する穴又はチャネルを毛髪ケア物品に穿孔することができる。
【0073】
IV.製造方法
毛髪ケア物品は、(1)アニオン性界面活性剤(1種又は複数種)と溶解済みポリマー構造剤と可塑剤とを含む加工混合物を調製する工程、(2)ガスを加工混合物に導入することにより加工混合物に通気して、通気された湿潤混合物を形成する工程、(3)通気された湿潤混合物を1つ以上の所望の形状に成形する工程、(4)通気された湿潤混合物を乾燥させて多孔質溶解性固体基材を形成する工程、並びに(5)粉末形態のカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングを多孔質溶解性固体基材に適用する工程、を含む方法により調製することができる。
【0074】
A.加工混合物の調製
加工混合物は、一般に水、可塑剤及び他の任意成分の存在下でポリマー構造剤を溶解し、熱し、続いて冷却することにより調製する。これは、任意の好適な熱せられたバッチ撹拌システムにより、又は高せん断若しくは静的混合と共に単軸押出機若しくは双軸押出機若しくは熱交換器のいずれかを包含する任意の好適な連続的なシステムにより、達成することができる。任意の工程は、ポリマーが水、界面活性剤、可塑剤、及び成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による段階的加工を含む他の任意成分の存在下で、最終的に溶解するように想定され得る。
【0075】
本発明の加工混合物は、乾燥前に約15重量%〜約60重量%、一実施形態では約20重量%〜約55重量%、別の実施形態では約25重量%〜約50重量%、更に別の実施形態では約30重量%〜約45重量%の固体の加工混合物を含み、また約2,500cps〜約150,000cps、一実施形態では約5,000cps〜約100,000cps、別の実施形態では約7,500cps〜約75,000cps、及び更に別の実施形態では約10,000cps〜約60,000cpsの粘度を有する。
【0076】
固形分含有量は、水及び低沸点アルコールのような明らかに揮発性のいずれの物質も除く、固形分、半固形分及び液体成分の全ての加工混合物の総重量による重量パーセントの合計である。加工混合物の粘度値は、直径4.0cmの平行平板を取り付け、かつギャップが1,200マイクロメートルのTA Instruments AR500レオメーターを、せん断速度1.0-1秒で30秒間、23℃で使用することにより測定される。
【0077】
B.加工混合物の通気
加工混合物の通気は、混合物にガスを導入することによって行われる。一実施形態では、これは、機械的混合エネルギーによって行われる。別の実施形態では、これは、化学的手段により達成されてもよい。通気は、任意の好適な機械的加工方法によって達成されてもよく、その方法には、(i)遊星ミキサー又は他の好適な混合容器を組み入れる機械的混合によるバッチタンク通気、(ii)食品業界で使用される(加圧及び非加圧)半連続的又は連続的通気装置、若しくは(iii)多孔質固体物を形成するために熱を有している成形型内などで圧縮され得る通気されたビーズ又は粒子を形成するために、加工混合物をスプレー乾燥させる工程、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0078】
特定の実施形態において、食品業界でマシュマロの製造で従来利用されていた連続加圧式エアレータ内で毛髪ケア物品を調製できることが分かった。好適な連続加圧式エアレーターとしては、Morton泡たて器(Morton Machine Co.(Motherwell,Scotland))、Oakes連続自動泡立て器(E.T.Oakes Corporation(Hauppauge,New York))、Fedco連続ミキサー(Peerless Group(Sidney,Ohio))、及びPreswhip(ホソカワミクロングループ(日本、大阪))が挙げられる。
【0079】
発泡系による二酸化炭素(CO2(g))の形成など、1つ以上の成分の化学反応を介する、その場でのガス形成による化学発泡剤での通気は、あまり好ましくないが包含される。更なる選択肢は、イソペンタン、ペンタン、イソブテンなどが挙げられるが、これらに限定されない、低沸点炭化水素などの揮発性発泡剤による通気である。
【0080】
一実施形態では、プレミックスは、通気プロセスに先立って、周囲温度よりも高い温度であるが、成分の分解を引き起こすいかなる温度よりも低い温度にて、迅速に予備加熱される。一実施形態では、プレミックスは、約40℃以上約99℃以下、別の実施形態では約50℃以上約95℃以下、別の実施形態では約60℃以上約90℃以下で維持される。一実施形態では、プレミックスの周囲温度での粘度は、約15,000cps〜約150,000cpsであり、任意の連続加熱を通気工程前に利用すべきである。別の実施形態では、通気中の高温の維持を試みるために通気プロセス中に追加の熱が加えられる。これは、1つ以上の表面からの導電性加熱、蒸気の注入、又は他の加工手段により達成することができる。
【0081】
一実施形態では、通気されたプレミックスの湿潤密度範囲は、約0.12g/cm3〜約0.50g/cm3、別の実施形態では約0.15g/cm3〜約0.45g/cm3、別の実施形態では約0.20g/cm3〜約0.40g/cm3、更に別の実施形態では約0.25g/cm3〜約0.35g/cm3である。
【0082】
C.通気された湿潤加工混合物の形成
通気された湿潤加工混合物の形成は、(i)通気された混合物を、アルミニウム、テフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラス及びこれらに類するものなどの非干渉性かつ非粘着性の表面を備える所望の形状とサイズの成形型に付着させること、(ii)他の場合にはデンプン成形製造技術として知られる、通気された混合物を浅いトレーに収容された乾燥粒状デンプンに刻み込まれた空洞内に付着させること、並びに(iii)通気された混合物を、後で打ち抜き、切断し、エンボス加工し、又はロールで貯蔵できる非干渉性又は非粘着性の材料のテフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラス及びこれらに類するものなどの連続したベルト又はスクリーン上に付着させることが挙げられるがこれらに限定されない、所望の形状の混合物を形成するのに好適な任意の手段によって達成されてもよい。
【0083】
D.多孔質溶解性固体基材内への通気された湿潤加工混合物の乾燥
形成された通気済み湿潤加工混合物の乾燥は、(i)制御された温度と圧力又は雰囲気条件を有する空間を有する乾燥室、(ii)制御された温度と必要に応じて湿度を有する非対流又は熱対流炉を含む炉、(iii)トラック/箱型乾燥機、(iv)多段直列乾燥機、(v)衝突炉、(vi)回転炉/乾燥機、(vii)直列焙焼炉、(viii)高速伝熱炉及び乾燥機、(ix)デュアルプレナム焙焼炉、及び(x)コンベヤ乾燥機、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な手段によって達成されてもよい。凍結乾燥法を含まない任意の好適な乾燥手段を使用できる。
【0084】
乾燥温度は、約40℃〜約200℃の範囲でよい。好ましい実施形態では、乾燥環境は、100℃〜150℃の温度に加熱される。一実施形態では、乾燥温度は、105℃〜145℃である。別の実施形態では、乾燥温度は、110℃〜140℃である。更なる実施形態では、乾燥温度は、115℃〜135℃でる。
【0085】
他の好適な乾燥環境としては、マイクロ波乾燥及び高周波(RF)乾燥などの高周波電磁界を用いる「体積測定加熱」技術が挙げられる。これらの技術を用い、伝導又は対流によるよりもむしろ、通気済み湿潤プレミックスを通して電磁的にエネルギーを伝える。
【0086】
上述の4種の加工工程のいずれかの間に、又は乾燥工程の後でも任意成分を与えることができる。
【0087】
E.カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングの調製
カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングの調製は、本明細書に記載のようなカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む微粒子組成物を製造するための任意の好適な機械的手段ないし別の物理的手段を含み得る。好ましい実施形態では、ペレット又は粒又は他の固体ベースの形態の純粋なカチオン性界面活性剤物質(残留溶媒及び可塑剤などの、供給元からもたらされるような任意のわずかな不純物を含む)は、例えばグラインダなどの様々な機械的手段によって、微粉末に粉砕される。一部の実施形態では、粉砕プロセス中に、例えば、Akzo Nobelから入手可能な商品名DRY−FLO(登録商標)PC及びDryFlow(登録商標)デンプンのオクテニルコハク酸デンプンアルミニウムといった不活性充填剤を、粉末の流動特性を改善しかつ粉末の製造又は取り扱い中の粒子間の固着又は凝集をなくすのに十分なレベルで含ませることが有用である。粉砕プロセス中において、本明細書に記載されたような他の任意選択の賦形剤又は美容活性物質を粉末に組み込むことができる。得られた粉末は、また、他の不活性粉末、本明細書に記載されたような不活性材料又は他の粉末活性複合物と混ぜ合わされてもよい。
【0088】
F.多孔質溶解性固体基材との、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングの組み合わせ
毛髪ケア物品の部分としてカチオン性コンディショナー活性物質を形成するように、任意の好適な適用方法を使用して、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングを多孔質溶解性固体基材に適用することができる。例えば、多孔質溶解性固体基材は、カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングを多孔質溶解性固体基材に付着し易くするために、粉末の適用前に溶解性多孔質固体を特定の含水率まで乾燥させることによって、粘着面を有することができる。一実施形態では、溶解性多孔質固体基材は、約0.1%〜約25%、一実施形態では約3%〜約25%、別の実施形態では約5%〜約20%、更に別の実施形態では約7%〜約15%の含水率まで乾燥させる。あるいは、前もって乾燥させた多孔質溶解性固体基材の表面を、粉末の適用前に、平衡状態に達するまでの特定の時間にわたって、制御された湿度環境内で制御されたレベルの大気水分を可逆的に吸収させることができる。一実施形態では、湿度環境は、相対湿度約20%〜約85%、別の実施形態では相対湿度約30%〜約75%、及び更に別の実施形態では相対湿度約40%〜約60%に制御される。
【0089】
別の実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、粉末を収容するバッグ、トレー、ベルト、若しくはドラム内に入れられるか又は別の方法で粉末にさらされ、粉末を適用し分散させるために、バッチ方式又は連続生産方式のいずれかで撹拌され、回転され、振動にかけられ、又は振とうされる。カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングは、多孔質溶解性固体基材の外側表面の部分又は全領域に適用されてもよく、並びに、修飾し、化粧し、ロゴを形成し、デザインするように適用されてもよい。
【0090】
V.試験方法
A.溶解度
本発明の毛髪ケア物品は、水と共に使用する際に毛髪ケア物品が素早く崩壊できるようにする溶解度を有する。毛髪ケア物品の溶解度は、下記の方法により決定される。
【0091】
手での溶解法:0.5〜1.5g(厚さ3〜10mmのシート/パッド形態の場合、約10〜20平方センチメートル)の毛髪ケア物品(本明細書の実施例に記載されたような)を、ニトリル手袋をはめたままの手の平に置く。毛髪ケア組成物に、7.5cm3の水道水のお湯(約30℃〜約35℃)を注射器で素早く加える。円運動により、溶解が生じるまで1度に2ストローク、手の平をこすり合わせる(30ストロークまで)。手での溶解値は、完全に溶解させるのに要するストローク数として、又は最大30ストロークとして記録する。後者のシナリオの場合、不溶解材料の重さを更に記録する。
【0092】
本発明の毛髪ケア物品は、約1〜約30ストローク、一実施形態では約2〜約25ストローク、別の実施形態では約3〜約20ストローク、更に別の実施形態では約4〜約15ストロークの手での溶解値を有する。
【0093】
B.厚さ
毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer型番IDS−1012E(Mitutoyo Corporation(965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504))などのマイクロメータ又は厚さ計を使用して得られる。マイクロメータは、直径1インチ、重さ32gのプラテンを有し、約6.2E−6Pa(40.7phi(6.32gm/cm2))の印加圧力において厚さを測定する。
【0094】
毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、プラテンを上げ、プラテンの下のスタンド上に試料の一部分を配置し、プラテンを試料と接触するまで下げ、プラテンを解放し、試料の厚さを数値表示装置上でミリメートル単位で測定することによって測定される。試料は、平坦でない剛性の高い試料の場合を除き、できるだけ少ない表面圧力で厚さが測定されるように、プラテンの全ての縁まで完全に延在されなければならない。完全には平坦でない剛性の高い試料の場合、試料の平らな部分上で衝突するプラテンの一部分だけを使用して試料の平坦な縁が測定される。パッド又はストリップに対してより大きな立体感を有する円筒状、球状、又は他の物体の場合は、厚さは、最短寸法の最大距離、つまり、例えば球状又は円筒状の直径、として取られ、厚さの範囲は上述と同じである。
【0095】
C.坪量
毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の坪量は、選択された毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の面積当たりの毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の重量として計算される(グラム/m2)。面積は、毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の外縁に垂直な平坦面上の投影面積として計算される。平らな物体に対しては、面積は、したがって試料の外側周囲内に取り囲まれている面積に基づいて計算される。球状の物体に対しては、面積は、したがって3.14×(直径/2)2として平均直径に基づいて計算される。円筒状の物体に対しては、面積は、したがって直径×長さとして平均直径及び平均長さに基づいて計算される。イレギュラーな形状の三次元物体に対しては、面積は、この側面に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大の外側寸法を備える側面に基づいて計算される。
【0096】
D.固体密度
本明細書に記載されたパーソナルケア組成物の多孔質溶解性固体基材は、固体密度を決定する観点から特徴付けることができる。
【0097】
多孔質溶解性固体基材の固体密度は、固体の重量を固体の既知の体積で割ることによって決定することができる。固体の既知の体積は、乾燥プロセス中の収縮又は膨張を考慮するために、既知のx−y寸法の型内で固体を作成しかつ得られた厚さを測定することを含むいくつかの技法によって決定することができる。また、固体は、円形又は正方形の打抜型の既知の直径を使用し、次に厚さを測定することによって、既知のx−y寸法に切断されてもよい。あるいは、大きな厚さ変化がない場合は、式:計算密度=多孔質固体の基本重量体/(平均多孔質固体厚さ×1,000)によって密度を計算することができる。
【0098】
E.気泡間結合性
本発明の毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、高度の気泡間接続性を有し、すなわち、大部分が独立気泡固形発泡体のものとは対照的に大部分が開放気泡固形発泡体である。気泡間接続性は、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、マイクロ計算断層撮影パラメーター(星形体積及びSMI指数)、ガスピクノメトリーパラメーター(開放気泡含有百分率)又は他の好適な方法により評価することができる。
【0099】
気泡間接続性を決定する定性的方法は、光学顕微鏡によるものである。これは、通常のx−y最大面を横切って測定された毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の幅2〜3mmのスライバ(sliver)を、はさみ又は鋭利な刃物を用いてz方向に切断し、得たスライバを90度回転させて、新しく切断された断面領域の内部気泡構造を明らかにすることによって行われる。この断面領域は接近しての目視観察か、又はより正確にはOlympus Olympus America Inc.(Center Valley,PA)から入手可能なSZX12 Stereo microscopeなどの立体顕微鏡での倍率を選択することで評価することができる。本発明の開放気泡毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、断面の深さを通る第三次元を含んで互いに相互接続される支柱のまわりの開口空所を有する大部分に支柱の三次元ネットワークを含む断面領域の内部を調べることによって容易に識別することができる。対照的に、独立気泡の発泡体内部断面は別個の気泡として現れることがあり、別個の気泡は横切って切断されて、切断プロセスは切断領域の露出を生じさせるという理由から、次いで断面表面でのみ二次元で内部接続される。
【0100】
気泡間接続性を決定する別の手段は、星形体積と構造モデル指数によるものである。マイクロ計算断層撮影システム(μCT80、SN 06071200、Scanco Medical AG)を用いて直径およそ4cm、高さ3〜7mmの円盤状サンプルをスキャンする。各試料を、円筒型の管の底の上に平らに配置して撮像する。画像取得のパラメーターは、45kVp、177μA、51.2mmの視野、集積時間800ms、1000投影である。スライスの数は、試料の高さをカバーするように調節する。再生されるデータセットは、25μmの等方性解像度を備える各2048×2048ピクセルの画像の積み重ねから構成される。データ分析には、表面領域を避けて十分に試料内に入るように対象とする体積を選択する。典型的には、対象とする体積は1028×772×98ボクセルである。
【0101】
構造モデル指数(SMI)は、Scanco Medicalの骨梁形態計測評価を用いて閾値17で測定する。この指数で、骨梁の構造概観が数量化される(T.Hildebrand,P.Ruegsegger.Quantification of bone microarchitecture with the structure model index.Comp Meth Biomech Biomed Eng 1997;1:15〜23を参照されたい)。三角表面は極く僅かに正常方向に拡張され、かつ新しい骨表面及び体積が計算される。これにより、骨表面の誘導体(dBS/dr)を決定する。次いでSMIは以下の等式によって表される。
【0102】
【数1】

SMIは、モデルタイプに対する構造物の凸性に関連する。理想的な(平らな)プレートは、0のSMI(プレートの拡張を備える表面変化が全くない)を有するのに対して、理想的な円筒型の棒は3のSMI(棒の拡張を備える表面の線形増加)を有する。丸い球体は4のSMIを有する。凹性構造物は、負のdBSを提示し、その結果負のSMI値をもたらす。対象とする体積のエッジでの人工的な境界は、計算には含まれず、したがって排除されている。
【0103】
Scanco医療分析に加えて、星形体積測定を行なう。星形体積測定は、二相構造物内の空隙の開放度の測定である。対象とする相(本発明の場合、これは背面である)においてランダムに均一に分配した点のセットを選択することにより、これらの点それぞれからランダムな方向に線を延ばすことができる。それらの線が最前面相に触れるまで延ばす。次いでそれらの各線の長さを記録する。それらのランダムな点を、各方向毎に(x/y/z)に10点サンプリングし、各点で10の角度をランダムに選択する。線が対象とするROIの境界にまで伸びた場合には、その線は棄却される(表面相と実際に交差する線を受け入れたいだけである)。最終等式は、Star volume in bone research.A histomorphometric analysis of trabecular bone structure using vertical sections;Vesterby,A.;Anat Rec.;1993 Feb;235(2):325〜334に公開された研究に基づく:
【0104】
【数2】

「dist」とあるのは個々の距離であり、Nは調べる線の数である。
【0105】
開放気泡含有百分率は、ガス比重びん法により測定される。ガス比重びん法は、体積を正確に測定するガス置換法を用いる一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスを使用する。試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積へと拡張する。拡張前後の圧力を測定し、試料体積を計算するのに使用する。この体積を試料重量で割って、気体置換密度を得る。
【0106】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重びん(Air Comparison Pycnometer)の古いモデルを用いて開放気泡の割合を決定する手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重びんを用いるテストを実施することにより便利にかつ精密に開放気泡率を決定することができる。ASTM手順D2856は、発泡材料の開放気泡の割合を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)を説明する。
【0107】
これらの実験のために、窒素ガスを用い、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、開放気泡率を計算するために使われるべきである。この方法は、キャリパー及び標準体積計算を用いて決定される幾何学量を、Accupycによって決定される純粋体積と単純に比較する。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行なうことを薦める。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0108】
F.気泡壁の厚さ
毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の気泡壁厚さは、本明細書に記載されたようなマイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)により走査画像から計算される。その気泡壁厚さは、Scanco Medicalの骨梁形態計測評価を用いて骨梁厚さの測定のために定められている方法に従って決定される。Scancoユーザーマニュアルから引用されるような骨梁厚さの定義:骨梁厚さには、ユークリッドの(Euclidean)距離変換(EDM)を用い、最前面相内の任意の点から背面の最も近い点までのユークリッド距離を計算する。骨梁厚さは、EDMの極大位置に関連付けられる中心線の値の2倍を意味し、すなわち中心線は物体の中心までの距離(この距離の2倍が厚さを表す)を表す。
【0109】
G.比表面積
毛髪ケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の比表面積は、気体吸着技術によって測定される。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定値である。BET(Brunauer,Emmet and Teller)理論は、表面積を決定するのに用いられる最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を用いてガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又はガス流下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスされた試料+試料管の重量−空の試料管重量により得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析をスタートする。この分析方法の最初の工程は、試料管の排気であり、次に液体窒素温度でヘリウムガスを用いて試料管内の空き空間体積を測定する。次に試料に2度目の排気をし、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザーが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。
【0110】
試料調製(脱ガス):吸収した汚染物質を適切に洗浄していない試料は分析中にガスを放出し、表面の一部は、測定のためのアクセスが不可能になる。脱ガスの目的は、分析に先立って試料の表面からこれらの吸着された分子を除去することである。吸着性分子は、曝露される純表面積について表面の全部分に到達しなければならない。試料を加熱すると共に同時に試料管を排気することにより、試料を調製する。
【0111】
これらの実験では、一晩室温にて排気下において、試料を脱ガスする。試料を次に、クリプトンガス吸着でASAP 2420を用いて分析することができる。クリプトンガスは、液体窒素温度で窒素の約1/300の飽和圧力を有するので窒素ガスより好ましい(クリプトン:0.33kPa(2.5トル);窒素:101.3kPa(760トル))。したがって、窒素と比較して、試料上の空き領域に、同一の相対圧にて約1/300の数のクリプトン分子が存在する。単層を形成するには、およそ同数のクリプトン及び窒素分子が必要なので、この数は、窒素の場合よりもはるかに大きな比率の投与量を表す。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.によって行なうことができる(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0112】
H.カチオン性界面活性剤コンディショニング活性物質を含む表面残留コーティングの評価
本発明のカチオン性界面活性剤コンディショニング活性物質を含む表面残留コーティングの存在は、多数の技術によって判定することができる。微粒子又は粉体被覆を検出するために、適用面並びに多孔質溶解性固体基材のより大きい面に垂直な断面を、微視的手法によって調べることができる。そのような微視的手法には、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。光学顕微鏡法としては、明視野、暗視野、又は共焦点顕微鏡法が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。断面上のシリコンなどの固有の元素又は四級アンモニウム基などの特殊な官能基をマッピングする他の技術には、飛行時間型二次イオン質量分光法(ToF−SIMS)又は赤外線顕微鏡法が挙げられる。
【0113】
試料を切断せずに多孔質溶解性固体基材の表面から内部までの粒子の分布を調べることができる方法には、マイクロコンピュータ断層撮影法(マイクロCT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、音響映像法、共焦点蛍光顕微鏡法、共焦点ラマン分光法、及び共焦点赤外線反射分光法が挙げられる。
【0114】
切断された多孔質溶解性固体基材上の表面残留コーティング粒子の決定は、多孔質固体の切断面全体にわたる粒子の分布を比較することによって行なうことができる。具体的には、表面残留コーティング粒子は、元の固体/空気界面には存在するが、固体の露出した新しく切断された断面内部を分析することによって確認できるように、固体気泡壁の露出した断面内部には存在しないはずである。多孔質固体の切断プロセスの結果として、新しく切断された断面固体気泡壁内部の汚染が生じる場合があることに注意されたい。しかしながら、ほとんどの表面残留コーティング粒子分布(一実施形態では、約50%〜約100%)は、気泡壁の露出した切断面内部ではなく元の固体/空気界面に生じる。
【0115】
また、本発明の表面残留コーティング粒子が、一般に、全ての露出した固体/空気界面全体に均一に広がりはしないことに注意されたい。より正確に言うと、本発明の表面残留コーティングが、一般に、重力によってコーティング適用点からキャビテイ内に約0.5〜約3.0mm広がることが分かった。したがって、(前述したような)本発明の美容活物質の表面残留粒子の決定は、多孔質固体の上から下と縁から縁の様々な断面全体に行われなければならない。存在する場合には、表面残留美容活性物質粒子は、一般に、美容活性物質が最初に適用された表面の近傍領域内(表面から約0.5〜約3.0mm以内まで)にある。
【0116】
I.湿潤時及び乾燥時の櫛通り評価
湿潤時及び乾燥時の櫛通り性能は、10人の訓練を受けた等級判定者の品質委員会を使って、評価される。クラリファイングシャンプー(Procter & Gamble(Cincinnati OH)により流通しているPantene Pro−V Clarifying Shampoo)の適用と、同じクラリファイングシャンプーの後に別個の毛髪コンディショナー(Procter & Gamble(Cincinnati OH)により流通しているPantene Pro−V Always Smooth Conditioner)を適用する二工程での適用と、を包含する2つの対照が各試験に含まれる。典型的試験において、8つの別個の配合物をこれらの性能について対照と比較して評価することができる。基材は、均一性及び有意な表面ダメージがないことを保証するためにスクリーニングされた各種供給源から入手可能な未加工の茶色の毛髪である。
【0117】
5つの8インチの長さのヘアピース(それぞれ4グラム)をヘアピースホルダーの中で組み合わせ、均一な濡れを確保するように40℃にて中程度の水硬度(0.15〜0.17g/L(ガロンあたり9〜10グレーン))を有する水で10秒にわたって操作しながら濡らす。ヘアピースを軽く脱液し、一体化させたヘアピースの長さだけ、ホルダーの1インチ下から末端に向かって、乾燥した毛髪の1グラムあたり0.1グラムの製品(ホルダー内の組み合わせた20グラムの毛髪に対して2グラムの製品)量の製品を均一に適用する。30秒にわたって消費者により典型的に使用されるこすり動作により、組み合わせたヘアピースを泡立て、40℃にて30秒にわたって(毛髪を操作しながら)5.7L/分(1.5ガロン毎分)で水を流してすすぎ、すすぎの完全性を確保する。次に、この工程を繰り返す。上記が、クラリファイングシャンプー対照を適用するのに使用されるプロトコルである。同じクラリファイングシャンプーの後に別個の毛髪コンディショナーを適用する二工程での適用では、コンディショナーが上記クラリファイングシャンプーと同じやり方で続いて適用されるが、コンディショナー適用は一回のみ行われ、クラリファイングシャンプーの場合のように繰り返さない。
【0118】
湿潤時及び乾燥時の櫛通り評価は、訓練を受けた等級判定者を使って、得る。上記の調製したばかりの濡れたヘアピースを湿潤時の櫛通り等級判定の直前までアルミホイル内に保存する。ヘアピースを金属ラックに引掛ける。各処置から1つのヘアピースが等級判定セットに含まれる。2人の消費者に各ヘアピースについて等級判定するように依頼し、第一消費者がまず、櫛通り評価に先立って、狭い歯のナイロン櫛の狭い末端部により、濡れたヘアピースをほぐす(消費者により使用される典型的なやり方)。等級判定者に依頼して、ナイロン櫛を下に下ろすやり方でヘアピースを櫛でとくことにより湿潤時の櫛通りについて(A〜Jで標識された)トリートメントを比較し、櫛通りの容易さ/困難さを0〜10点の尺度で評価してもらう。等級判定者は、較正目的のために評価に先立って、2つのトリートメントが対照(A及びB)を表すことを知らされる。トリートメントの順番(A〜J)を様々な等級判定者の間でランダムにする。各トリートメントについて10人の消費者で等級を平均して平均値を出し、次に、フィッシャーの最小有意差(LSD)法を採用して、Statgraphicsソフトウェア(Statpoint Technologies,Inc.(Warrenton,VA))のStatAdvisor(商標)機能により、平均値から95%信頼群を計算する。次に平均値を以下の等式により標準化百分率として計算する:
【0119】
【数3】

【0120】
乾燥時の櫛通り性評価のために、ヘアピースを温度及び湿度が制御された部屋(22℃(72°F)/50% RH)に移動させ、一晩乾燥させる(ラックにかけておく)。次に等級判定者に頼み、上記の湿潤時の櫛通り評価と同様のやり方で0〜10点の尺度で櫛通りの容易さ/困難さについて、ナイロン櫛を用いて乾燥時の櫛通り性能を評価してもらう。湿潤時の櫛通りデータについて上記したように、等級判定データを計算し、分析する。
【0121】
J.毛髪上へのシリコーンの付着
ヘアピースを付着試験用に切断する。20mLシンチレーション瓶中において、50:50のトルエン:メチルイソブチルケトン6mLで1.5gの毛髪からシリコーンを抽出する。パルス渦発生装置で30分にわたって瓶を撹拌する。誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)を用いて、抽出物のシリコーンを定量化する。試験される生成物と同一又は構造的に比較可能な型のシリコーン原材料を用いて既知のシリコーン濃度のICP較正標準を行なう。本方法の作用範囲は、毛髪1グラム当たりシリコーン8〜2300μgである。
【0122】
K.毛髪上への四級化アルキルコンディショナーの付着
ヘアピースを付着試験用に切断する。20mLシンチレーション瓶中において、20:20:60のメチルイソブチルケトン:メタノール:ヘキサン15mLで1.5gの毛髪から四級化界面活性剤を抽出する。パルス渦発生装置で30分にわたって瓶を撹拌する。500μLの抽出物を2mLオートサンプラーバイアル瓶に移し、穏やかな窒素流下で乾燥するまで蒸発させる。試料を100μLのメタノールで再構成する。トリフルオロ酢酸/メタノール勾配を用いるWaters XBridge C8カラム上での逆相HPLC及び蒸発光散乱検出を使用して、抽出物中の四級界面活性剤を定量する。試験されている製品と同じ界面活性剤原材料を用いて、既知の四級界面活性剤濃度の較正標準を作製した。この方法の作用範囲は、毛髪1グラム当たり四級界面活性剤およそ50〜500μgである。
【0123】
L.毛髪上への脂肪族アルコール付着
ヘアピースを付着試験用に切断する。20mLシンチレーション瓶中において、20:20:60のメチルイソブチルケトン:メタノール:ヘキサン15mLで1.5gの毛髪から脂肪族アルコールを抽出する。パルス渦発生装置で30分にわたって瓶を撹拌する。1mLの抽出物を2mLオートサンプラーバイアル瓶に移し、穏やかな窒素流下で乾燥するまで蒸発させる。Sylon BFTのジクロロメタン溶液500μLで、試料を再構成する。ノナデカノール内部標準及び市販の脂肪族アルコール標準を用い、GC/FIDを使用して、抽出物中の脂肪族アルコールを定量する。この方法の作用範囲は、毛髪1グラム当たり脂肪族アルコールおよそ6〜6000μgである。
【0124】
IV.使用方法
本発明の組成物は、毛髪及び/又は頭皮などの哺乳類ケラチン組織を処理するために使用され、また迅速なすすぎ性能を提供し得る。毛髪をコンディショニングする方法は、a)有効量の毛髪ケア製品を手に適用する工程、b)毛髪ケア製品を水で濡らし擦って固体を溶かす工程、c)溶けた物質を、処理することになる毛髪又は頭皮のいずれかに適用する工程、及びd)薄めたトリートメントを、水を使用して毛髪又は頭皮からすすぐ工程を含んでもよい。これらの工程は、所望のトリートメント効果を達成するために所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【実施例】
【0125】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。別段の指定がない限り、例示される量は全て、全組成物の重量を基準とした濃度、すなわち、重量/重量百分率である。
【0126】
実施例1:液体加工混合物の調製
以下の界面活性剤/ポリマー液体加工組成物を、以下に記載のように示された重量百分率で調製した。
【0127】
【表1】

1 Sigma−AldrichカタログNo.363081、分子量85,000〜124,000、87〜89%加水分解
2 McIntyre Group Ltd(University Park,IL)のMackam HPL−28ULS
3 UCARE(商標)ポリマーLR−400、Amerchol Corporation(Plaquemine,Louisiana)から入手可能。
【0128】
目標重量300グラムの上記組成物を、従来のオーバーヘッド撹拌機(IKA(登録商標)Works,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM撹拌機)とホットプレート(Corning Incorporated Life Sciences(Lowell,MA))を使用して調製する。蒸留水及びグリセリンを容器の中に100〜150rpmで撹拌しながら添加する。カチオン性ポリマーが存在する場合には、それを次に、均質になるまで一定の撹拌を行いながらゆっくりと添加する。ポリビニルアルコールを好適な容器に計量し、目に見える塊が形成されるのを避けて、撹拌し続けながらスパチュラを用いて、主混合物に少しずつゆっくりと加える。混合速度は泡の形成を最小限に抑えるように調整する。混合物を80℃までゆっくり加熱し、その後で界面活性剤を加える。次に、撹拌し続けながら混合物を85℃に加熱し、次に室温まで放冷する。蒸発して失われた水を埋め合わせるために更に蒸留水を添加する(容器の元々の自重に基づく)。最終的なpHは5.2〜6.6の間であり、必要であればクエン酸で調整するか又は水酸化ナトリウムで希釈する。得られた加工混合物の粘度を測定する。
【0129】
実施例2:開放気泡多孔質溶解性固体シャンプー基材の調製
実施例1からの液体加工混合物から下記のように、開放気泡多孔質溶解性固体シャンプー基材を調製した。
【0130】
【表2】

【0131】
300gの加工混合物(実施例1から)を、70℃の対流式オーブンに2時間超入れて加工混合物を予熱する。次にこの混合物を、平坦な泡立て取り付け具及び70〜75℃の水道水を収容する水槽取り付け具を取り付けたKITCHENAID(登録商標)ミキサー型番K5SS(Hobart Corporation(Troy,OH)から入手可能)の(70℃のオーブンの中に15分超にわたって配置することにより)予め加熱した4.75リットル(5クォート)のステンレス鋼ボウルの中に移す。およそ0.26g/cm3の湿潤密度が達成されるまで、混合物を最大速度設定10で激しく通気する(表に時間が記録されている)。体積が既知のカップに充填して、スパチュラを用いてカップの頂部を均一にこすり取って重さを測ることにより、密度を測定する。得られた通気済み混合物を次にスパチュラで深さ6.5mmの160mm×160mmの正方形のアルミニウム成形型に広げ、過剰な湿潤発泡体を、角度45°に固定した大きな金属スパチュラの直線状端部を成形型表面に対してゆっくりと均一に引くことにより除去する。次に、アルミニウム型を130℃の対流式オーブンに約35〜45分間入れる。成形型を室温に冷まし、ほぼ乾燥した多孔質固体物を薄いスパチュラ及びピンセットの助けを借りて成形型から取り出す。
【0132】
得られたパッド形態の160mm×160mmの正方形基材をそれぞれ、打抜型とSamco SB20切断装置を使用して、9個の43mm×43mm正方形(丸い縁を有する)に切断する(各正方形の表面積は、約16.9cm2である)。次に、得られたより小さい基材を、室内雰囲気に開けたままにした大きなジップロック・バッグに入れ、21℃(70°F)で相対湿度50%に維持された一定の環境空間内で一晩(14時間)平衡状態にする。次に、各基材を秤量し、元の型面を下向きにした状態で個々の秤皿上に乗せる。平均基材重量を記録し、平均基材重量を0.00169平方メートルで割って基本重量を計算する。得られた基材の厚さをデジタル・カリパスで測定し記録する。
【0133】
実施例3:四級化コンディショナー粉末の調製
2〜3分の間で反復パルスで小さなBlack & Decker(登録商標)コーヒーミル内で元々のペレットを粉砕することにより、2種の代表的な四級化コンディショナー粉末を調製した(粉末調製当たりおよそ10グラム)。選択される代表的な四級化コンディショナーとしては、Clariant Corporation(Charlotte,North Carolina)からそれぞれGENAMIN STAC及びGENAMIN DSAPとして入手可能なステアロイルトリメチルアンモニウムクロリド(STMAC)及びジステアロイルジメチルアンモニウムクロリド(DSDMAC)が挙げられる。前者はおよそ79.1%の活性を有し、後者はおよそ92.4%の活性を有した。後者のGENAMIN DSAPの粘性の増加に起因して、GENAMIN DSAPは、粉砕されるのに先立って、コーンスターチ(National StarchからDRY−FLO PCとして入手可能)と80:20で混合した。
【0134】
実施例4:多孔質溶解性固体シャンプー基材の構造的な特徴
下表は、実施例3の多孔質溶解性固体シャンプー基材に関して得られた構造測定値と定性的な物理的一体性等級を要約している。より低密度の物品のSEM及びマイクロCT画像を撮影し、これらは添付の図5〜6で参照される。データは本明細書に記載の方法によって収集された。
【0135】
【表3】

【0136】
上記データ及び参照画像は、実施例3の多孔質溶解性固体シャンプー基材が主に開放気泡であることを示し、本明細書に記載のようにシミュレートされた手での溶解プロトコル内で高速溶解性能(6〜8ストローク)を呈する。
【0137】
実施例5:湿潤時及び乾燥時の櫛通り並びに付着データ
i)一工程でのクラリファイングシャンプーの対照適用及びii)二工程でのクラリファイングシャンプーと別個の毛髪コンディショナーの対照適用について相対比較を行うことで、湿潤時及び乾燥時の櫛通り評価を行う。実施例3の多孔質溶解性固体シャンプー基材上に適用した実施例4からの四級化粉末の表面残留コーティングの影響を評価するために、多孔質溶解性固体シャンプー基材の16.9平方センチメートル基材(2平方メートル当たりおよそ2〜2.2グラムの固体シャンプー)2個が150グラムの毛髪への適用に対する単回投与を構成するとみなされた。湿潤時及び乾燥時の櫛通りプロトコルに従って20グラムの毛髪に適用するために、ハサミで基材を切断することにより、これをおよそ0.28グラム(毛髪20グラム当たり0.28グラムの固体シャンプー)にスケールダウンした。シリコーンが二者一体型コンディショニングシャンプーに共通であるとすれば、容積式マイクロディスペンサーを用いておよそ0.016グラムのアミノシリコーン(Momentive,Performance Materials(Albany NY)、製品コード65850 Y−14945、25℃にて14,500cpsの粘度、0.050meq/gのアミン含有量)を切片の上面にコーティングし(乾燥プロセス中にその面を大気に曝露し、製造中にその反対面をアルミニウム成形型と接触させる)、数時間にわたって開放気泡表面の中に浸漬させておく。次に、元々の0.29gの固体重量の重量百分率として表される所望の量の粉末で、切片の、曝露された表面をコーティングする(追加の粉末がコーティングされ、過剰な粉末はスパチュラで固体片を振盪することにより除去される、反復プロセス)ことにより、例えば、(0.016グラムのアミノシリコーンの添加後に)およそ0.020グラムの粉末に相当する、固体の7.1重量%で適用される粉末を、固体シャンプーの0.28グラム切片上にコーティングすることにより、実施例4からのSTMAC及びDSDMAC粉末それぞれを適用する。フィッシャーの最小有意差(LSD)法を採用して、Statgraphicsソフトウェア(Statpoint Technologies,Inc.(Warrenton,VA))のStatAdvisor(商標)機能により、平均値から95%信頼群を計算した(百分率への標準化に先立って)。付着データを本明細書に記載のように測定した。
【0138】
【表4】

【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
上記データは、四級コンディショナーを表面残留粉末コーティングとして付与すること(試験される全濃度にて−5a〜5eの凡例を参照されたい)が、湿潤時及び乾燥時のコンディショニングの両方において元々の多孔質溶解性固体シャンプー基材に比較して有意な改善を生じるということを単独で可変的に示す(表3及び4を参照されたい)。表3の付着データはまた、四級コンディショナーの表面残留粉末コーティングが存在することにより、トリートメント後に有意な濃度の四級コンディショナーが毛髪上に付着しているようになることも示す(表5を参照されたい)。このデータは、強力な毛髪コンディショニング性能を単一工程でのシャンプー適用で達成できること、並びに、コンディショニング効果が二工程でのシャンプー及び別個のコンディショナーの対照の性能に接近できる(その性能の約40%〜約99%)こと、を示す。
【0142】
実施例6:適用された四級化コンディショナー表面残留コーティングを有する多孔質溶解性固体基材のヘアピース起泡評価
適切な二者一体型の小売コンディショニングシャンプー(Pantene Pro−V Smooth and Sleek)について相対比較することで、ヘアピース起泡評価を行った。実施例3の多孔質溶解性固体シャンプー基材上に適用した実施例4からの四級化粉末の表面残留コーティングを評価するために、多孔質溶解性固体シャンプー基材の16.9平方センチメートル基材(1平方当たりおよそ1.1グラムの固体シャンプー)1個が100グラムの毛髪に適用されるとみなされた。これは、インドにおける消費者習慣を考慮に入れており、インドでは、消費者は、典型的には、一回目の洗浄において袋のシャンプーの投与量のおよそ1/2を適用し、その直後に繰り返し適用において袋の残りの1/2を再適用する。ヘアピース起泡プロトコルに従って15グラムの毛髪に適用するために、ハサミで基材を切断することにより、これをおよそ0.165グラム(0.33グラムを2で徐算)にスケールダウンした。シリコーンが二者一体型コンディショニングシャンプーに共通であるとすれば、容積式マイクロディスペンサーを用いておよそ0.009グラムのアミノシリコーン(Momentive,Performance Materials(Albany NY)、製品コード65850 Y−14945、25℃にて14,500cpsの粘度、0.050meq/gのアミン含有量)を切片の上面にコーティングし(乾燥プロセス中にその面を大気に曝露し、製造中にその反対面をアルミニウム成形型と接触させる)、数時間にわたって開放気泡表面の中に浸漬させておく。次に、元々の0.165gの固体重量の重量百分率として表される所望の量の粉末で、切片の曝露された表面をコーティングする(追加の粉末がコーティングされ、過剰な粉末はスパチュラで固体片を振盪することにより除去される、反復プロセス)ことにより、例えば、(0.009グラムのアミノシリコーンの添加後に)およそ0.009グラムの粉末に相当する固体の5.5重量%で適用される粉末を固体シャンプーの0.165グラム切片上にコーティングすることにより、実施例4からのDSDMAC粉末を適用する。付着データを本明細書に記載のように測定した。
【0143】
【表7】

【0144】
上記データは、四級コンディショナーを表面残留粉末コーティングとして付与すること(元々のシャンプー固体の5.5重量%の濃度にて−6aの凡例を参照されたい)が、得られるシャンプー固体の起泡性能に有意な影響を与えないということを単独で可変的に示す(表6を参照されたい)。
【0145】
実施例7:適用された四級化コンディショナー表面残留コーティングを有する多孔質溶解性固体基材の手での溶解の評価
手での溶解評価を本明細書に記載のように行った。実施例3の多孔質溶解性固体シャンプー基材上に適用した実施例4からの四級化粉末の表面残留コーティングの影響を評価するために、多孔質溶解性固体シャンプー基材の16.9平方センチメートル基材(1平方メートル当たりおよそ1.1グラムの固体シャンプー)1個が毛髪への適用に先立って水を汲んで水で満たされた一方の手による基材上面へのシミュレートされた水の添加によりもう一方の手において溶解されるとみなされた。シリコーンが二者一体型コンディショニングシャンプーに共通であるとすれば、容積式マイクロディスペンサーを用いておよそ0.06グラムのアミノシリコーン(Momentive,Performance Materials(Albany NY)、製品コード65850 Y−14945、25℃にて14,500cpsの粘度、0.050meq/gのアミン含有量)を一部の基材の上面に下表に記しているようにコーティングし(乾燥プロセス中にその面を大気に曝露し、製造中にその反対面をアルミニウム成形型と接触させる)、数時間にわたって開放気泡表面の中に浸漬させておく。次に、0.06グラムのDSDMAC粉末が元々の固体基材のおよそ5.5重量%であるコーティングとして付着するまで、(基材の両面を秤皿内の遊離粉末中に浸し、所望の重量が達成されるまで過剰な粉末を振り落とすことにより)基材の曝露された表面をコーティングすることにより、実施例4からのDSDMAC粉末を一部の基材に下表に記しているように適用する。
【0146】
【表8】

【0147】
上記データは、四級コンディショナーを表面残留粉末コーティングとして付与すること(元々のシャンプー固体の5.5重量%の濃度にて−7a及び7bの凡例を参照されたい)が、得られるシャンプー固体の手での溶解性能に有意な影響を与えないということを示す(表7を参照されたい)。
【0148】
本明細書に開示された任意の活性物質及び/又は組成物は、以下の米国特許出願:米国特許第61/229981号、同第61/229986号、同第61/229990号、同第61/229996号、同第61/230000号、同第61/230004号、並びに、これらに優先権を主張する任意の出版物に開示されている物品、特に家庭用ケア物品、の内部で及び/又はそれらと共に使用できることに留意すべきである。そのような物品は、洗浄剤性界面活性剤、可塑剤、酵素、泡立ち抑制剤、泡立ち促進剤、漂白剤、漂白安定剤、ケラント(chelant)、洗浄溶剤、向水性剤、二価イオン、繊維柔軟剤(例えば、第4級アンモニウム化合物)、非イオン性界面活性剤、香料、及び/又は香料送達システムのうちの1つ以上を含んでもよい。このような物品は、洗濯機に投入して布地を洗浄及び/又は処理すること、食器洗浄機に投入して食器を洗浄及び/又は処理すること、並びに、水に投入して布地及び/又は硬質表面を洗浄及び/又は処理すること、が挙げられるがこれらに限定されない方法において利用され得る。
【0149】
本明細書で開示した寸法及び値は、列挙した厳密な数値に厳格に限定されるものとして解釈されるものではない。むしろ、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙した値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0150】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0151】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.)
i.約10%〜約75%の界面活性剤と、
ii.約10%〜約50%の水溶性ポリマーと、
iii.約1%〜約30%の可塑剤と、を含む、多孔質溶解性固体基材、及び、
b.)約10%〜約100%の1種以上のカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティング、を含む、毛髪ケア物品であって、
前記多孔質溶解性固体基材と前記表面残留コーティングの比が約110:1〜約0.5:1であり、かつ
前記界面活性剤が、
−約0〜約10%のアニオン性界面活性剤、
−非イオン性界面活性剤、
−高分子界面活性剤、及び
−これらの組み合わせからなる群から選択される、毛髪ケア物品。
【請求項2】
前記多孔質溶解性固体基材と前記表面残留コーティングの比が、約20:1〜約1:1であり、好ましくは前記比が約10:1〜約1.5:1であり、更に好ましくは前記比が約7:1〜約3:1である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項3】
前記カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む前記表面残留コーティングが、粉末である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項4】
前記隔離されたカチオン性コンディショナー活性物質が、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルアミン塩及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項5】
前記隔離されたカチオン性コンディショナー活性物質が、式I:
【化1】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、1〜22個の炭素原子の脂肪族基又は最高22個までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基からなる群から選択され、かつXは、ハロゲンラジカル、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、アルキルサルフェートラジカル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩形成アニオンであり、かつR1及びR2は、それぞれ独立して、R1及びR2の両方で少なくとも1個のエステル結合を含むC16〜C22ヒドロカルビル鎖からなる群から選択され、かつR1及びR2は、それぞれ独立して、C16〜C22の飽和又は不飽和鎖から選択され、かつR3及びR4は、それぞれ独立して、CH3及びCH2CH2OHから選択される)を有するアルキル四級アンモニウム塩である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項6】
前記隔離されたカチオン性コンディショナー活性物質が、式II:
1−C(O)−N(H)−R2−N(R3)(R4
(式中、R1は12〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖であり、R2は1〜4個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、R3及びR4は独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)を有するアルキルアミンに対応するアルキルアミン塩であり、かつ前記アルキルアミン塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸及びプロピオン酸並びにこれらの組み合わせからなる群から選択された酸で中和された式IIを有するアルキルアミンに対応する塩である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項7】
前記カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む表面残留コーティングが、層、コーティング及びこれらの組み合わせの形態である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項8】
前記カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む前記表面残留コーティングが、前記多孔質溶解性固体基材の外側表面の少なくとも一部に取り付けられる、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項9】
前記溶解性毛髪ケア物品が2つの多孔質溶解性固体基材を含み、かつ前記カチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質を含む前記表面残留コーティングが、前記2つの多孔質溶解性固体基材の間に位置する層である、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項10】
前記多孔質溶解性固体基材が、約125g/m2〜約3,000g/m2の坪量及び約0.5mm〜約10mmの厚さを有する、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項11】
前記多孔質溶解性固体基材が約0.03m2/g〜約0.25m2/gの比表面積を有する、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項12】
前記多孔質溶解性固体基材が約80%〜約100.0%の開放気泡含有百分率を有する、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項13】
前記多孔質溶解性固体基材が約0.02mm〜約0.15mmの気泡壁厚さを有する、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項14】
前記毛髪ケア物品が、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種以上の水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の毛髪ケア物品。
【請求項15】
前記毛髪ケア物品が、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンポリオールからなる群から選択される可塑剤を含む、請求項1に記載の毛髪ケア物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512963(P2013−512963A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543220(P2012−543220)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059359
【国際公開番号】WO2011/071964
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】