説明

多層の分離層を有する薬剤形

本発明は、胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーからなるコーティング層で包囲されている作用物質含有コアを含有し、ここで、コアとコーティング層との間に膜形成性の水溶性ポリマーを含有している分離層が存在している薬剤形に関し、この分離層は、少なくとも3層に設計されており、この際、膜形成性の水溶性ポリマーの2層が撥水性物質を有している1層を取り囲んでいることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2層の分離層を有する薬剤形に関する。
【0002】
背景技術
EP0088951A2は、水中に分散されたコーティング剤を用いて薬剤形をコーティングする方法を記載している。カルボキシル基−含有(メタ)アクリレートコポリマーを粉末から再分散させて分散液にするために、カルボキシル基の部分中和が推奨されている。酸基の塩形成は、塩基との反応により開始する。塩基としては、アルカリ、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム又はアンモニア又は生理学的に認容性のアミン、例えばトリエタノールアミン又はトリス(ヒドロキシメチル)−アミノエタンがこれに該当する。再分散に関連して、コポリマー中に含有されているカルボキシル基の0.1〜10質量%の中和度が好適である。
【0003】
WO2004/096185は、薬剤形及びその製造法を記載している。この薬剤形は、必要時に部分中和されうるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーでコーティングされている。このアニオン性コポリマーの溶液を製造するために、通常は、酸基の部分的又は完全な中和が必要である。アニオン性コポリマーは、例えば1〜40質量%の最終濃度で水中にゆっくり撹拌導入することができ、この場合に塩基性物質、例えばNaOH、KOH、水酸化アンモニウム又は有機塩基、例えばトリエタノールアミンの添加によって部分的又は完全に中和することができる。既にその製造時に(部分)中和の目的で、塩基、例えばNaOHが添加されたコポリマーの粉末(従ってこの粉末は、既に(部分)中和されたポリマーである)を使用することも可能である。この溶液のpH−値は、通常は4より上、例えば4〜約7の範囲である。
【0004】
WO2005/007139は、配合された粘着性ペプチド−又はタンパク質作用物質を含有している多粒子薬剤形を記載している。この出願は、作用物質含有コポリマー層と腸溶性コポリマー層との間に、相互作用の防止の目的で、作用物質とコーティング剤とを分離する作用をする分離層を設けることができることを記載している。この層は、不活性の膜形成剤(例えば、HPMC、HPC又は(メタ)アクリル酸−コポリマー)又は例えば、タルク又は他の好適な製剤学的物質から成っていることができる。同様に、膜形成剤及びタルク又は類似物質からの組合わせ物も使用できる。部分的又は完全に中和された(メタ)アクリレートコポリマー分散液からの分離層を適用することも可能である。この分離層は、例えば下にあるマトリックス層と同じ又は異なる粘着性のポリマーから成っていてもよい。こうして、作用物質又は粘着性ポリマーと膜形成性(メタ)アクリレートコポリマー層との場合による相互作用又は非相容性に対処することができる。
【0005】
課題及び解決
従来、腸溶性コーティングされた薬剤形の場合に作用物質放出の高い再現性を得ることが全く効果的に試みられており、ここでは、特異的pH−値の達成時にできるだけ迅速に溶解するコーティングを生じたが、本発明は、選択的構想から出発している。
【0006】
本発明者は、腸液可溶性(メタ)アクリレート−コポリマーコーティングを備えている薬剤形では、既に放出された作用物質と場合により存在するこの作用物質に関連している物質及びなお付加的に溶解に携わるポリマー層の間で永久的な相互作用が起こることを確認した。この相互作用は、原則的に作用物質放出の再現性に妨害作用をする。
【0007】
人工的腸液から作用物質の放出が既に開始された時点を知る、コーティングされたペレットの走査電子顕微鏡像によれば、周りのポリマー層は、大抵、薬剤形のコアから未だ溶けていないか又は一部分のみが溶けたことが観察できる。この作用は、作用物質の一部分が多かれ少なかれ局所的に阻止されずに逃出し、他の部分は先ず周りのシェルの残分の間を通り抜けるはずであるので、作用物質放出に影響する。この場合に、このパラメータは実際に制御不能に永久的に変るので、このことは、高い再現性で至適にコントロールされる作用物質の放出に反対に作用する。従って、本発明の構想では、周りのポリマーシェルが、その作用物質放出を開始するできるだけ直前に、周りのポリマーを先ず少なくともほぼ完全に溶解又は脱離する、腸液可溶性にコーティングされた薬剤形が提供されるべきである。
【0008】
この課題は、胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーからのコーティング層で包囲されている作用物質含有コアを含有し、このコアとコーティング層との間に膜形成性の水溶性ポリマーを含有している1分離層を有している薬剤形によって解決され、この際、この分離層は、少なくとも2層に設計されており、この際、撥水性の物質を有する内層及びその上に膜形成性の水溶性ポリマーを有する層が存在していることを特徴としている。
【0009】
発明の詳細な説明
作用物質含有コア
この薬剤形は、作用物質含有コアを有する。通常このコアは、作用物質5〜100、好ましくは10〜50質量%及び更なる製剤助剤95質量%まで、好ましくは50〜90質量%を含有している。
【0010】
作用物質含有コアは、慣用の製造法、例えば直接圧縮、乾燥−、湿潤−又は焼結顆粒の圧縮、押出し及び引き続く丸み付け、湿式又は乾式造粒又は直接的ペレット化(例えばプレート上で)又は作用物質不含の球(ノンパレイル)又は作用物質含有粒子、例えば作用物質結晶上への粉末の結合(粉末成層)によって得ることができる。
【0011】
このコアは、作用物質と共に更なる製剤助剤として、例えば次のものを含有することができる:結合剤、例えばセルロース及びその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、湿度保持剤、崩壊促進剤、滑剤、発泡剤、(メタ)アクリレート、澱粉及びその誘導体、糖可溶化剤又は他の製剤学的に慣用の助剤。
【0012】
少なくとも2層の分離層
コアとコーティング層との間に、少なくとも2層に設計されている分離層が存在し、この際、撥水性物質を有している内層及びその上の膜形成性水溶性ポリマーを有している層が存在する。
【0013】
この場合に、撥水性物質を有している内層は、作用物質含有コアと境をなしている。この上に又はこれを覆って、膜形成性の水溶性ポリマーが存在し、外側のポリマーコーティングと境をなしている。
【0014】
コアとコーティング層との間に、3層に設計されている分離層が存在するのが有利であり、この際、膜形成性の水溶性ポリマーの2層が、撥水性物質を有している1層を取り囲んでいる。
【0015】
通常、かつ機能のためには、分離層を2−又は3層に設計すれば充分である。原則的に、分離層それ自体の機能に悪影響することなしに、更なる層、例えば膜形成性の水溶性ポリマーの層及びその中に取り囲まれた撥水性物質を含有している層を追加することも可能であるか又は考えられ得る。
【0016】
3層の分離層は、殊に作用物質の放出を外側のポリマーシェルが溶解又は脱離されるまで遅延させる機能を有する。この場合に、膜形成性の水溶性ポリマーの2層の間に取り囲まれた撥水性物質を有している層が、少なくとも特定の時間の間、作用物質を外の水性環境から分離し、このことが作用物質放出の所望の遅延化に寄与する。
【0017】
分離層の2−、3−又は場合によっては3層を上回る構成は、作用物質放出が僅かに遅延されて開始する前に、このポリマーコーティングがペレットの95%以上で完全に溶解する利点を有する。ポリマーコーティングのこの完全溶解は、ペレットの試験管内放出実験で作用物質放出が正に開始したことを示す走査顕微鏡像(REM又はSEM)を用いて証明することができる。それぞれHPMC3〜5質量%からの2層が、その間に存在するカプリン酸3〜5質量%(それぞれ、作用物質含有コアに対して)からの1層と共に存在することが有利である。
【0018】
膜形成性の水溶性ポリマー
膜形成性の水溶性ポリマーが、特別良好かつ迅速な水溶性であることが好ましく、このことは、コーティング層の溶解又は脱離のために好適である。従って、膜形成性の水溶性ポリマーからなる層のこの作用は、この短時間作用を意図している。
【0019】
膜形成性の水溶性ポリマーには、非イオン性セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)並びにナトリウム−カルボキシメチルセルロース、多糖類、例えば澱粉、アミロース、アルギン酸塩、ペクチン、キサンタン並びにゼラチン、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンが包含されうる。
【0020】
この水溶性ポリマーは、特別好ましく、1%溶液に対する粘度(質量/質量、例えばPharm.Eur.5.0,Methode 2.2.10,Rotationsviscosimeterに従って測定可能)1〜20、好ましくは2〜10、特別好ましくは4〜8mPasを有するヒドロキシプロピルメチルセルロースであることができ、例えばMethocel(R)E5が好適である。
【0021】
膜形成性の水溶性ポリマーの層は、作用物質含有コアの質量に対してそれぞれ1〜50、好ましくは2〜12、有利には3〜8質量%に達することができる。
【0022】
この膜形成性の水溶性ポリマーは、20℃での脱塩水中の溶解度少なくとも50g/lを有することができる(水溶解度は、標準法、例えばPharmeuropa-Technical Guide for the Elaboration of Monographs, 3rd Edition(1999), Chapter IV, AppendixIVに従い、1分間の激しい振動下、精製水中、20℃で15分放置による)。
【0023】
撥水性物質
撥水性物質は、有利にpH5.5以上の生理学的条件下に、迅速にコアからミセル形で脱離する層を形成する。しかしながら、ミセル形での脱離は、周りの媒体と接触する場合に、その上に存在する膜形成性の水溶性ポリマーを含有している層の溶解の後に初めて起こる。従って、撥水性物質を有している層は、作用物質の放出が遅延される短時間作用を得るように設計されている。通常、撥水性物質はポリマーではない。
【0024】
撥水性物質は、殊にC〜C24−脂肪アルコール、C〜C24−脂肪アルコールと有機酸とのエステル、C〜C24−脂肪酸、例えばステアリン酸又はカプリン酸、C〜C24−脂肪酸とアルコール又はポリアルコールとのエステル、例えばグリセロールモノステアレート又はグリセロールジステアレートであることができる。DAB(ドイツ医薬品集)による30〜40℃の範囲の融点を有する物質が特別有利である。
【0025】
撥水性物質を有している層は、作用物質含有コアの質量に対して0.1〜25、好ましくは1〜10、特別好ましくは3〜8質量%であることができる。
【0026】
撥水性物質は、20℃のアセトン中で少なくとも50g/lの溶解度を有することができる(アセトン中の溶解度は、標準法、例えばPharmeuropa-Technical Guide for the Elaboration of Monographs, 3rd Edition(1999), Chapter IV, AppendixIVに従い、1分間の激しい振動下、アセトン中、20℃で15分間放置による)。
【0027】
作用物質に関連している、作用物質の投薬を促進する物質を有する薬剤形
少なくとも2層の分離層は、本発明のもう一つの態様をもたらす。
【0028】
従って、本発明は、コア並びにこのコアを包囲している胃液抵抗性で腸液可溶性のポリマーコーティングを有している薬剤形にも関し、この際、このコアは、作用物質及び作用物質に関連している、作用物質の投薬を促進する物質を含有しており、この際、このコアとコーティング層との間に、膜形成性の水溶性ポリマーを含有している分離層が存在しており、この分離層は、少なくとも2層に設計されており、この際、撥水性物質を有している内層及びその上に膜形成性の水溶性ポリマーが存在していることを特徴としている。
【0029】
水溶性のポリマー膜形成剤の2層とその間にある疎水性物質の1層とから構成されている3層の分離層が存在することが有利である。
【0030】
「関連している」とは、具体的に含有されている作用物質の投薬を促進するために特定されている、従って薬剤形の所望の治療効果の達成のために欠くことのできない成分である物質を意味すると理解すべきである。通常この物質は、作用物質の直接周辺内に存在し、例えば作用物質と共に共通のマトリックス(これは場合により、なお他の同等の物質又は他の製剤助剤を含有していてよい)中に埋め込まれていることができる。
【0031】
本発明は、含有されている作用物質が、ペプチド、タンパク質、核酸又は多糖類、例えばヘパリン又は記載物質群の誘導体であり、作用物質の投薬を促進する関連している物質と組み合わされている場合に(WO2005/007139、WO2006/061069参照)、特別有利に使用することができる。正にこの場合には屡々、作用物質放出の極めて高い再現性が要求される(WO2005/007139、WO2006/061069参照)。
【0032】
作用物質に関連している物質は、好ましくは浸透促進剤及び/又は粘着性ポリマーであることができる。更に作用物質に関連している物質は、消化器官中で起こる酵素による作用物質の酵素分解を阻止する物質であることができる。作用物質に関連している物質は、更にエフラックス−ポンプ−インヒビター(Pgp−インヒビター)であってもよい。
【0033】
浸透促進剤の例は、アミノアルキル(メタ)アクリレート−コポリマー、例えばEudragit(R)E100又はEudragit(R)EPO(EP1302201A1参照)である。好適な浸透促進剤は、次のものである:殊に可塑剤、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリマー、例えば、カルボマー、キトサン、キトサン−システイン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、N−トリメチル化されたキトサン、ポリカルボフィル−システイン、長鎖脂肪酸、それらのエステル(例えばモノ及びジグリセリド)及びそれらの塩、例えばラウリン酸、ラウリンスルホン酸、パルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、アシルカルニチン、キレート形成剤、例えばEDTA、サリチル酸塩、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、胆汁酸、例えばコール酸、コリルタウリン、コリルサルコシン、ケノデオキシコール酸及びその塩、例えばNa−コレート、Na−グリコレート、Na−タウロコレート、Na−タウロジヒドロフジテート、Na−グリコジヒドロフジテート、界面活性剤及び乳化剤、例えば殊にポリエチレン−660−12−ヒドロキシ−ステアレート(Solutol(R) HS15)(Solutol HS15)、ポリソルベート80(Tween 80)、ポリオキシエチル化ヒマシ油(Cremophor EL)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール(Pluronic(R)F68)、毒素ゾヌラ・オクルデンス・トキシン(ZOT)並びにビタミン、例えばビタミンE(Tocopherol)及びそれらの誘導体又はビタミンB12。
【0034】
粘着作用を有するポリマーの例は、殊にキトサン(Chitosan und Derivate, Chitosane)、メチルメタクリレート20〜45質量%とメタクリル酸55〜80質量%とから成る(メタ)アクリレートコポリマー、粘着作用を有するセルロース、殊にメチルセルロース、例えばNa−カルボキシメチルセルロース(例えばBlanose(R))である。
【0035】
酵素阻害剤の例は、ボウマン・バーク・インヒビター(US2004/0219216A1参照)、酸の添加剤(EP0929270B1、US6086918)又はアミノアルキル(メタ)アクリレート−コポリマー、例えばEudragit(R)E100又はEudragit(R)EPO(EP1466626A1参照)である。製剤学的に好適なプロテアーゼ阻害剤は、例えばアンチパイン、アプロチニン、バシトラシン、ベンザミジン、ベスタチン、カプトプリル、キモスタチン、チキン・オボインヒビター、EDTA−Na、キトサン−EDTA−コンジュゲート、Na−グリココレート、ロイペプチン、ペプスタチン、大豆トリプシンインヒビター、チオルファン、Tos−Lys−クロロメチルケトン、ジャガイモカルボキシペプチダーゼインヒビターである。
【0036】
エフラックス−ポンプ−インヒビターの例は、例えばケトコナゾール又はポリエチレン−660−12−ヒドロキシ−ステアレート(Solutol(R)HS15)である。
【0037】
試験管内放出実験で作用物質放出が正に開始したことを示すペレットの走査電子顕微鏡像(REM又はSEM)を用いて、本発明による3層の分離層が、コーティング層がこの時点までに既に殆ど完全にコアから分離するか又は脱離することに、かなり確実に作用することを確認できる。
【0038】
殊に少なくとも2層の分離層は、当初にコーティングされたペレットの形の本発明による薬剤形(これは、USPによるインビトロ作用物質放出実験から10〜30%の作用物質放出の間の時点で知ることができる)が、100ペレットの任意抽出検体における走査顕微鏡像で、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%が明白に検知可能なポリマーシェルの残分をもはや有しないことに作用している。
【0039】
このことは、コーティングの残留分に基づき、作用物質と共に配合され、作用物質に適合された浸透促進性で、粘着性及び/又は酵素阻害性の物質からの作用物質のコントロールされない早期の作用物質の分離が現れることを阻止する。このことは、即ち、成分の1つが部分的に場所的に限られたポリマーコーティングの孔を通って逃出し、他方で他の成分はなお残留する場合に起こることができる。従って、本発明によれば、作用物質及び関連している浸透促進性で、粘着性及び/又は酵素阻害性の物質が、同時に作用場所に意図するように到達することが高い確実性で達成される。
【0040】
この有利な作用効果は、実際に含有されている作用物質の投薬を促進し、かつこの方法で薬剤形の治療効果を保証するように決められている関連している物質が存在するかぎり、特定の作用物質に限定されるものではない。少なくとも2−又は3層の分離層は、作用物質及びその関連している物質の無視しうる僅かな早期の、かつ不所望の解離又は分離を確保することにも役立つ。
【0041】
しかしながら、難溶性の作用物質及び殊に、ペプチド、タンパク質、核酸又は多糖類又は記載の物質群の誘導体である作用物質の場合には、浸透促進性及び/又は粘着性物質を有する製剤が特別重要であるので、本発明はこれらの作用物質に対して有利に使用することができる。殊に本発明のこの態様は、記載の作用物質群が、作用物質の酵素分解を抑制する物質と組み合わされている場合にも適用することができる。それというのも、ここで治療効果は、特別厳密に、作用物質が作用場所に到達するまで、酵素分解に対して保護されることに左右されるからである。
【0042】
胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマー
本発明による薬剤形は、胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーからのコーティングを有する。アニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーが好適である。
【0043】
このアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のラジカル重合されたC〜C−アルキルエステル25〜95、好ましくは40〜95、殊に60〜40質量%及びアニオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー75〜5、好ましくは60〜5、殊に40〜60質量%の組成を有することができる。
【0044】
通常、記載の割合を加算すると100質量%になる。しかしながら付加的に、本質的特性に悪影響又は変化をもたらすことなしに、0〜10、例えば1〜5質量%の範囲の少量の他のビニル系共重合可能なモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートを含有することができる。他のビニル系の共重合可能なモノマーを含有しないことが有利である。
【0045】
アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステルは、殊にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレートである。
【0046】
アニオン基を有している(メタ)アクリレート−モノマーは、例えばアクリル酸、好ましくはメタクリル酸である。
【0047】
メタクリル酸40〜60質量%及びメタクリル酸メチル60〜40質量%又はアクリル酸エチル60〜40質量%からのアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(R)L又はEUDRAGIT(R)L100−55)が好適である。
【0048】
EUDRAGIT(R)Lは、メタクリル酸メチル50質量%とメタクリル酸50質量%とからのコポリマーである。腸液又は人工腸液中での特異的な作用物質放出開始時のpH−値はpH6.0であることができる。
【0049】
EUDRAGIT(R)L100−55は、アクリル酸エチル50質量%とメタクリル酸50質量%とからのコポリマーである。EUDRAGIT(R)L30D−55は、EUDRAGIT(R)L100−55 30質量%を含有している分散液である。腸液又は人工腸液中でのこの特異的な作用物質放出開始時のpH−値はpH5.5であることができる。
【0050】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%とメタクリル酸メチル80〜60質量%とからのアニオン性(メチル)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(R)S)も好適である。腸液又は人工腸液中でのこの特異的な作用物質放出の開始時のpH−値は、pH7.0であることができる。
【0051】
メタクリル酸メチル10〜30質量%、アクリル酸メチル50〜70質量%及びメタクリル酸5〜15質量%とからなる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(R)FS)が好適である。腸液又は人工腸液中でのこの特異的な作用物質放出開始時のpH−値は、pH7.0であることができる。
【0052】
EUDRAGIT(R)FSは、メタクリル酸メチル25質量%、アクリル酸メチル65質量%及びメタクリル酸10質量%とからのコポリマーである。EUDRAGIT(R)FS30Dは、EUDRAGIT(R)FS 30質量%を含有している分散液である。
【0053】
更に、次の組成:
メタクリル酸及び/又はアクリル酸 20〜34質量%
アクリル酸メチル 20〜69質量%及び
アクリル酸エチル 0〜40質量%及び/又は場合により
他のビニル系共重合可能なモノマー 0〜10質量%
から成っているコポリマー(但し、ISO11357−2、セクシヨン3.3.3によるこのコポリマーのガラス転移温度は最大60℃であることを条件とする)が好適である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、その良好な引裂き時の伸び特性の故に、殊にペレットから錠剤までの圧縮のために好適である。
【0054】
更に、次の組成:
メタクリル酸及び/又はアクリル酸 20〜33質量%
アクリル酸メチル 5〜30質量%及び
アクリル酸エチル 20〜40質量%及び
メタクリル酸ブチル 10〜30質量%及び場合により
他のビニル系共重合可能なモノマー 0〜10質量%
(この際、モノマーの割合の合計は100質量%になる)を有するコポリマー(但し、ISO11357−2、セクション3.3.3によるこのコポリマーのガラス転移温度(中央温度Tmg)は55〜70℃であることを条件とする)が好適である。このタイプのコポリマーは、その良好な機械特性に基づき、殊にペレットから錠剤までの圧縮のために好適である。
【0055】
前記のコポリマーは、殊にラジカル重合された単位:
メタクリル酸メチル又はアクリル酸、好ましくはメタクリル酸
20〜33、好ましくは25〜32、特別好ましくは28〜31質量%、
アクリル酸メチル5〜30、好ましくは10〜28、特別好ましくは15〜25質量%、
アクリル酸エチル20〜40、好ましくは25〜35、特別好ましくは18〜22質量%
並びに
メタクリル酸ブチル10〜30、好ましくは15〜25、特別好ましくは18〜22質量%
から成っており、この際、モノマー組成は、コポリマーのガラス転移温度が55〜70℃、好ましくは59〜66、特別好ましくは60〜65℃であるように選択されている。
【0056】
ここでガラス転移温度とは、殊に ISO11357−2、セクシヨン3.3.3による中央温度Tmgであると理解される。この測定は、可塑剤添加なしに、100ppmを下回る残留モノマー含分(REMO)、加熱速度10℃/minで、かつ窒素雰囲気中で行われる。
【0057】
このコポリマーは、前記の量範囲内で、実質的にもっぱら90、95又は99〜100質量%がモノマーメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びメタクリル酸ブチルから成っているのが好ましい。
【0058】
しかしながら付加的に、主要特性に悪影響をもたらすことなしに、0〜10、例えば1〜1.5質量%の範囲の少量の他のビニル系共重合可能なモノマー、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、マロン酸ビニル、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル及び/又はこれらの誘導体を含有することができる。
【0059】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの製造
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの製造は、自体公知の方法でモノマーのラジカル重合によって行うことができる(例えばEP0704207A2及びEP0704208A2参照)。本発明によるコポリマーは、自体公知の方法で、例えばDE−C2135073中に記載の方法によって、特にアニオン性乳化剤の存在下における水相でのラジカル乳化重合によって製造可能である。
【0060】
このコポリマーは、ラジカル重合の慣用法によって、連続的又は非連続的(バッチ法)に、ラジカル形成開始剤及び場合によっては分子量の調節のための調節剤の存在下で、塊状で、溶液中で、ビーズ重合によって又は乳液中で製造することができる。平均分子量M(例えば溶液粘度の測定により測定される重量平均)は、例えば80000〜1000000(g/モル)の範囲内にあることができる。水溶性開始剤及び(有利にはアニオン性の)乳化剤の存在下における水相での乳化重合が有利である。
【0061】
塊状重合の場合には、固体形のコポリマーが、粉砕、押出し、造粒又はダイフェース切断により得ることができる。
【0062】
(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法で、ラジカル塊状重合、溶液重合、粒状重合又は乳化重合によって得られる。これは、適当な粉砕−、乾燥−又はスプレー法による加工の前に、本発明による粒度範囲にされるべきである。このことは、押出されかつ冷却された顆粒ストランドの簡単な破断又はダイフェース切断によって行うことができる。
【0063】
殊に、他の粉末又は液体との混合時に粉末の使用は有利でありうる。粉末の製造のための好適な器具は当業者に慣用であり、例えば空気ジェットミル、ピンディスクミル、ファンミルである。場合によっては適当な篩別工程を取り入れることができる。工業的な大量に対して好適なミルは、例えば約6バール過圧で操作される向流ジェットミル(Multi No.4200)である。
【0064】
部分中和
有利な1実施形では、本発明による薬剤形の(メタ)アクリレート−コポリマーコーティングが部分中和された形で使用される。この部分中和は、薬剤形からのコーティング層の溶解又は脱離を促進する。これによって、第1工程での特異的pH−値におけるコーティング層の溶解又は脱離と直後に続いている作用物質放出との相互作用が好適になる。
【0065】
コーティングのアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーは、全体として塩基を用いて全て又は部分的に中和されていてよい。混合物が存在しない場合には、存在する(メタ)アクリレート−コポリマーが一様に部分中和されている。混合物の場合には、中和されていない(メタ)アクリレート−コポリマーが完全に及び/又は部分的に中和された(メタ)アクリレート−コポリマーと混合して存在することができる。場合によっては、種々の中和度又は部分中和度の(メタ)アクリレート−コポリマーの混合物も存在しうる。
【0066】
この場合には、全ての存在する(メタ)アクリレート−コポリマーのアニオン基は、有利に、全体として、即ち場合によっては計算上の平均で、0.1〜25、特別好ましくは5〜15%が中和されているべきである。
【0067】
アニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーを部分中和された形で使用することは公知である。これによって、水中のポリマーの改善された溶解度及びポリマー分散液の安定化が達成される。部分中和のための塩基として通常は、NaOH、KOH、水酸化アンモニウム又は有機塩基、例えばトリエタノールアミン等の物質が挙げられる(例えばEP0088951A2又はWO2004/096185参照)。
【0068】
例えばNaOHを用いて部分中和された及び中和されていないアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーからの膜を比較すると、部分中和された膜が、緩衝液系中に、その特異的な溶解pH−値で、中和されていない膜よりもより迅速に溶解することが確認される。
【0069】
従来は次の効果は知られていなかった:本発明者は、前記の部分中和された膜及び部分中和された膜でコーティングされた薬剤形の前記の特性が、作用物質放出の開始の特異的pH−値まで再緩衝される前に膜又は薬剤形を差し当たりpH1.2で2時間放置する場合に、EP008951A2又はWO2004/096185から公知である塩基(例えばNaOH)を部分中和のために使用する場合に僅かにのみ現れることを確認した。しかしながら、薬剤形が差し当たり胃内に達し、次いで初めて腸管内に進む場合に、正にこれらの条件が生体内に存在する。従って、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの前記の部分中和は、促進された作用物質放出特性を得るためには、限定的に好適であるだけである。
【0070】
生体内での改善された促進効果は、部分中和のためにリシン(M146)又はM>150、好ましくは>155、特別好ましくは>160、例えば>150〜20000を有するカチオン性の有機塩基を使用する場合に達成することができ:殊にリシン又はカチオン性の塩基性アミノ酸、ヒスチジン、アルギニンが好適である。アミノ酸グルタミン及びアスパラギンは、プロトン化されていない酸アミド官能性を有し、従ってカチオン性塩基には区分されないので、殆ど適当でないか又は不適当である。
【0071】
この部分中和のためには更に、例えば3〜100、好ましくは5〜25単位の、ヒスチジン、アルギニン又はリシン、ポリ−ヒスチジン、ポリ−アルギニン、ポリ−リシン、カチオン性又は両性イオンリン脂質、例えばホスファチジルコリンからの天然の又は合成のオリゴマー又はポリマーが好適でありうる。
【0072】
部分中和のために、更にリボヌクレオシドが好適でありうる:リボースの炭素原子1の所のヒドロキシ官能基とRNA中の存在に相応する塩基アデニン、グアニン、シトシン、チミン又はウラシルのヘテロ環式アミノ官能基との縮合生成物。
【0073】
更に部分中和のために、デオキシリボヌクレオシドが好適でありうる:デオキシリボースの炭素原子1の所のヒドロキシル官能基とDNA中の存在に相応する塩基アデニン、グアニン、シトシン、チミン又はウラシルのヘテロ環式アミノ官能基との縮合生成物。
【0074】
更に部分中和のために、カチオン性表面活性の助剤又は乳化剤の塩基、例えばベンザルコニウム(CAS RN:8001−54−5)、ベンゼトニウム(CAS 121−54−0)、セタルコニウム(CAS 122−18−9)、セトリミド(CAS 8044−71−1)、セトリモニウム(CAS 57−09−0)、セチルピリジニウム(CAS 123−03−5)、ステアラルコニウム(CAS 122−19−0)、ジアリルジメチルアンモニウム(CAS 230−993−8)が好適でありうる。
【0075】
本発明の目的のために、EP0088951A2又はWO2004/096185に挙げられている塩基が限定的に好適である。殊に苛性ソーダ、苛性カリ(KOH)、水酸化アンモニウム又は有機塩基、例えばトリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム又はアンモニア又は生理学的に認容性のアミン、例えばトリエタノールアミン又はトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン。
【0076】
これらの塩基は、最大でも150のMを有する(トリエタノールアミン)。トリエタノールアミンは、アミノ酸ヒスチジン、アルギニン、リシンの場合に近い分子量を有するが、生体内でのこの物質の溶解促進効果は、僅かな程度のみで現れる。リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウムはカチオン性ではなく、相応する酸の塩である。水酸化アンモニウム、苛性ソーダ、苛性カリ(KOH)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムは、低い分子量を有するだけであるかもしくは無機塩基に区分できる。
【0077】
ポリマーコーティングは、リシン又はアルギニン又はアルギニンとリシンを部分中和剤として含有するのが有利である。
【0078】
ポリマーコーティングは、ポリマーの乾燥物質に対して10〜30質量%の濃度でリシンを含有することが特別好有利である。
【0079】
殊にこのポリマーコーティングは、中和剤としてのリシン又はアルギニン又はアルギニンとリシンをポリマーに対して5〜25、好ましくは8〜20質量%の可塑剤と組み合わせて含有することができる。
【0080】
記載の物質の分子量は公知であるか又は分子中に存在する原子に基づき原子量によって計算することができる。
【0081】
混合物による部分中和度の調節
部分中和度の調節の場合の方法技術的利点は、既に記載の混合物により生じることもできる。
【0082】
例えば、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル25〜95モル%及び1個のアニオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜75質量%のラジカル重合された単位からなっている、部分中和されていないアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーを、同じモノマー組成の部分中和された(メタ)アクリレートコポリマーと混合することが可能であり、こうして有利に混合物の計算上の平均で、含有アニオン性基の0.1〜25%が中和されている。
【0083】
この混合物は、例えば、部分中和されていないアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーの分散液中に、部分中和されたアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーの分散液から例えばスプレー又は凍結乾燥により得られた粉末を、撹拌導入ことにより製造することができる。
【0084】
混合物
コアを包囲する、胃液抵抗性で腸液可溶性の、かつ場合により部分中和された(メタ)アクリレート−コポリマーは、通常は更なるポリマーを混合することなしに使用することができる。しかしながら、この(メタ)アクリレート−コポリマーは、特性を変性するために他の製剤学的に使用されるコポリマーとの混合物を得るためにも好適である。混合物は、特別変性された放出像の調節の場合の当業者の設計自由範囲を高める。
【0085】
従って、コアを包囲する胃液抵抗性で腸液可溶性の、かつ場合により部分中和された(メタ)アクリレート−コポリマーの混合物は、次のものと共に存在することができる:
メタクリル酸メチル及び/又はアクリル酸エチル及び場合により5質量%を下回るメタクリル酸からのコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ジメチルエチルからのコポリマー、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びトリメチルアンモニウムメチルメタクリレートからのコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフト−コポリマー(Kollicoat(R))、澱粉及びその誘導体、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP、Coateric(R))、ポリビニルアセテート(PVAc、Kollicoat)、酢酸ビニル−ビニルピロリドン−コポリマー(Kollidon(R)VA64)、酢酸ビニル:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA、Kollicoat(R)VAC)、1000(g/モル)を上回る分子量を有するポリエチレングリコール、キトサン、架橋及び/又は非架橋のポリアクリル酸、Na−アルギネート及び/又はペクチン。
【0086】
混合物中の胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーの割合は、好ましくは少なくとも50質量%、特別好ましくは少なくとも75質量%、殊に少なくとも90又は好ましくは少なくとも95質量%であり、従ってその特性を支配する。
【0087】
分散液
場合により部分中和された(メタ)アクリレート−コポリマーは、例えば固体分10〜50パーセントを有する水性分散液の形で存在することができる。
【0088】
場合により部分中和された(メタ)アクリレート−コポリマーは、分散液から例えばスプレー乾燥によって得られた再分散可能な粉末の形で存在することができる。
【0089】
分散液/部分中和
乳化重合体は、有利に10〜50−質量%の、殊に20〜40%の水性分散液の形で得られ、使用される。取り扱い形としては、30質量%の固体含有率が好ましい。加工処理のためにメタクリル酸−単位の部分的な中和が不可欠であるが、これは、例えばコーティング剤分散液の安定化又は濃化が望ましい場合には、5モル%まで又は10モル%までの範囲で可能である。重量平均値のラテックス−粒子寸法(半径)は、通常40〜100nm、有利には50〜70nmであり、これは1000mPa・sを下回る処理技術的に好適な粘度を保証する。粒子寸法は、レーザー回折によって、例えばMastersizer2000(Fa.Malvern)を用いて測定することができる。
【0090】
例えば10〜50モル%の高い中和度又は完全中和の場合には、このコポリマーを溶解された状態に移行させることが可能である。
【0091】
アニオン性コポリマーの溶液を製造するために通常は、酸基の部分的又は完全な中和が必要である。このアニオン性コポリマーを、例えば少しずつ1〜40質量%の最終濃度で水中に撹拌導入することができ、この場合にこれは、塩基性物質、例えばリシン又はアルギニンの添加によって部分的又は完全に中和される。コポリマーの粉末を使用することも可能であり、これに、その製造時に既に(部分)中和の目的で塩基、例えばリシンを添加すると、粉末は既に(部分)中和されたポリマーであった。この溶液のpH−値は、通常4を上回り、4〜約7の範囲内にある。この場合に、例えば、完全又は部分中和された分散液のバッチと中和されていない分散液との混合を行うこともでき、記載の方法で更に後処理する、即ち混合物をコーティングのために使用するか又は差し当たり凍結乾燥又はスプレー乾燥して粉末にすることもできる。
【0092】
この分散液は、例えば自体公知の方法でスプレー乾燥又は凍結乾燥させ、再分散可能な粉末の形で提供することもできる(例えばEP−A0262326参照)。もう一つの選択的方法は、凍結乾燥又は凝結及び押出機中での水の圧搾除去及び引き続く造粒である(例えばEP−A0683028参照)。
【0093】
スプレー乾燥又は凍結乾燥され、再分散された粉末からのコポリマー分散液は、高い剪断安定性を有することができる。このことは、殊にスプレー塗布の場合に有利である。この利点は、この分散液中に含有されているコポリマーの2〜10、好ましくは5〜7モル%が部分中和された形で存在する(コポリマー中に含有されている酸基に対して)場合に、特に強く現れる。この目的のために、リシン又はアルギニンの添加による部分中和が有利である。アニオン性乳化剤を0.1〜2質量%の量で含有するのが有利である。乳化剤としてはラウリル硫酸ナトリウムが特別有利である。
【0094】
部分中和された(メタ)アクリレートコポリマーの使用
>150を有するカチオン性の有機塩基又はリシンで部分中和されたアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーを、本発明の薬剤形のコーティング剤として有利に使用することができる。この場合に、含有作用物質の約90%、好ましくは95〜100%がUSP28による放出試験で、pH1.2で2時間及び作用物質放出の開始のpH−値までの引き続く再緩衝の後に、同じポリマーコーティングを有するが他の塩基により中和されていない又は部分中和されていない比較可能な薬剤形中で経過する時間の最大90%、好ましくは最大75%、殊に最大50%で放出される。
【0095】
リシン又はM>150を有するカチオン性有機塩基を用いて部分中和されていない薬剤形は、USP28による放出試験で、pH1.2で2時間及び引き続く作用物質放出開始時のpH−値、例えばpH5.5までの再緩衝の後に、作用物質を、例えば再緩衝の後120分で90%放出するが、そのコーティングがリシン又はM>150を有するカチオン性の有機塩基で部分中和された比較可能な薬剤形は、そのために最大108分(時間の90%)、最大90分(75%)又は最大60分(50%)を必要とする。
【0096】
当業者にとっては、記載のUSP28、殊にUSP28<711>パドル−法(=装置2)による放出試験は充分に公知である。
【0097】
典型的な試験法は次の通りである:
1.放出装置の容器に0.1M−HCl(pH 1.2)各360mlを充填し、水浴の温度を37±0.5℃に調節する、
2.羽根攪拌機を100rpmの回転速度でスイッチを入れる、
3.装置の各容器中にペレット1gを加える。ペレット−表面上には気泡がないように注意する、
4.120分後に、リン酸塩−緩衝液(37℃まで加熱された)140mlを添加して、500mlの最終量中で、所望のpH−値を生じさせる:pH 5.5;5.6;5.7;5.8又は7.0、
5.作用物質に応じて、例えばテオフィリンの場合には、100%の作用物質放出の時点を、217nmでの光度測定法により、回転法で測定する。
【0098】
薬剤形
本発明は、胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーから成るコーティング層で包囲されている作用物質含有コアを含有している薬剤形(この際、コアとコーティング層との間に、膜形成性の水溶性ポリマーを含有している分離層が存在する)に関し、この分離層は、少なくとも2層に設計されている(この際、撥水性物質を有している1内層及びその上に膜形成性の水溶性ポリマーを有する1層が存在する)ことを特徴としている。
【0099】
分離層は、3層に設計されているのが有利であり、この際、膜形成性の水溶性ポリマーの2層が、撥水性物質を有している1層を取り囲んでいる。
【0100】
この薬剤形は、有利にポリマーコーティングを、部分中和剤としてのリシン又はアルギニンで、ポリマーに対して5〜25質量%の可塑剤と組み合わされて含有することができる。
【0101】
本発明による薬剤形は、例えば多粒子薬剤形、ペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、小袋、沸騰錠又は乾燥ジュースの形で存在することができる。
【0102】
薬剤形の製造法
更に本発明は、製剤学的に慣用の方法を用いる自体公知の方法で、例えば直接圧縮、乾燥−、湿潤−又は焼結顆粒の圧縮、押出し及び引き続く丸み付け、湿式又は乾式造粒又は直接ペレット化又は粉末の結合(粉末成層)により、作用物質不含の球又は中性コア(ノンパレイル)又は作用物質粒子上への懸濁液又は溶液の吹き付けにより、かつスプレー法でのポリマーコーティングの適用によって又は流動床造粒によって、本発明による薬剤形を製造する方法に関する。
【0103】
多粒子薬剤形の製造
本発明は、殊に多粒子薬剤形の製造のために好適である。それというのも、包囲する(メタ)アクリレート−コポリマーは、ペレットと充填物質と一緒の圧縮の際の高い圧力に耐えるからである。
【0104】
作用物質含有粒子と一緒の製剤学的に慣用の結合剤の圧縮による多粒子薬剤形の製造は、例えば、Beckert et al.(1996), "Compression of enteric-coated pellets to disintegrating tablets", International Journal of Pharmaceutics 143, S.13-23,及びWO96/01624中に詳細に記載されている。
【0105】
作用物質含有ペレットは、成層法を用いて作用物質を適用することにより製造することができる。このために、作用物質を他の助剤(離型剤、場合による可塑剤)と一緒にホモジナイジングし、結合剤中に溶かすか又は懸濁させる。渦動床法を用いて、この液体をプラセボペレット又はその他の適当な担持剤上に適用することができ、この際、溶剤又は懸濁剤は蒸散される(文献:International Journal of Pharmaceutics 143, S.13-23)。この製造法の後に、乾燥工程を接続することができる。作用物質を多層で適用することができる。
【0106】
いくつかの作用物質、例えばアセチルサリチル酸は、作用物質結晶の形で市販されており、この形で作用物質含有ペレットの代わりに使用することができる。
【0107】
作用物質含有ペレット上の膜コーティングは、通常、渦動床装置中で適用される。この出願明細書中に処方例が記載されている。膜形成剤は、通常、適当な方法で可塑剤及び離型剤と混合される。この場合に、膜形成剤は溶液又は懸濁液として存在することができる。膜形成のための助剤も同様に、溶解されて又は懸濁されていることができる。有機の又は水性の溶剤又は分散剤を使用することができる。分散液の安定化のために、付加的な安定剤を使用することができる(例:Tween 80又は他の好適な乳化剤又は安定剤)。
【0108】
離型剤の例は、グリセロールモノステアレート又は他の好適な脂肪酸誘導体、珪酸誘導体又はタルクである。可塑剤の例は、プロピレングリコール、フタレート、ポリエチレングリコール、セバケート又はシトレート並びに文献中に挙げられている他の物質である。
【0109】
作用物質含有コポリマー層と腸溶性コポリマー層との間に、相互作用を避ける目的で作用物質とコーティング剤とを分離する役目をする1分離層を設けることができる。この層は、不活性の膜形成剤(例えばHPMC、HPC又は(メタ)アクリル酸−コポリマー)又は例えばタルク又は他の好適な製剤学的物質から成っていることができる。同様に膜形成剤とタルク又は類似物質とからの組み合わせ物を使用することができる。
【0110】
部分的又は完全に中和されたコポリマー分散液からの分離層を適用することも可能である。
【0111】
ペレットと打錠のための好適な結合剤との混合、必要な場合には崩壊促進物質の添加及び必要な場合には滑剤の添加によって、コーティングされた粒子から錠剤を製造するための混合物が提供される。この混合は適当な機械中で行うことができる。コーティングされた粒子を損傷するミキサー、例えば鋤刃ミキサーは不適当である。好適な短い崩壊時間を得るために、コーティングされた粒子への助剤の添加時に特別な順序が必要になりうる。コーティングされた粒子と滑剤又は離型剤ステアリン酸マグネシウムとの前混合によって、この表面を疎水性化し、これにより粘着を避けることができる。
【0112】
打錠のために好適な混合物は、通常、崩壊助剤、例えばコリドンCL 3〜15質量%及び滑剤及び離型剤、例えばステアリン酸マグネシウム0.1〜1質量%を含有する。結合剤の割合は、コーティングされた粒子の要求割合によって決まる。
【0113】
典型的な結合剤は、例えばCellactose(R)、微晶セルロース、リン酸カルシウム、Ludipress(R)、ラクトース又は他の好適な糖類、硫酸カルシウム又は澱粉誘導体である。低い嵩密度を有する物質が有利である。
【0114】
典型的な崩壊助剤(砕解剤)は、架橋された澱粉−又はセルロース誘導体、並びに架橋されたポリビニルピロリドンである。同様にセルロース誘導体も好適である。好適な結合剤の選択によって崩壊助剤の使用を排除することができる。
【0115】
典型的な滑剤及び離型剤は、ステアリン酸マグネシウム又は他の好適な脂肪酸の塩又は文献中にこの目的のために挙げられている物質(例えばラウリン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク等)である。好適な装置(例えば外部潤滑を用いる錠剤圧縮機)の使用又は好適な製剤の場合には、混合物中の滑剤及び離型剤の使用を排除することができる。
【0116】
混合物に、場合によっては流動性改善のための助剤(例えば高分散性珪酸誘導体、タルク等)を添加することができる。
【0117】
打錠は、慣用の打錠機、偏心−又は回転打錠機上で、5〜40kN、好ましくは10〜20kNの範囲の圧縮力で行うことができる。打錠機は、外部潤滑用の系を備えていることができる。場合によっては、マトリックス充填を撹拌羽根を用いて避ける、マトリックス充填のための特別な系が使用される。
【0118】
本発明による薬剤形の更なる製造法
適用法は、有機溶液又は好ましくは水性分散液からのスプレー適用を用い、溶融又は直接粉末適用によって行なわれる。この場合に、この実施のためには、一様な孔不含のコーティングが生じることが重要である。
【0119】
技術水準による適用法に関しては、例えばBauer,Lehmann,Osterwald,Rothgang, "Ueberzogene Arzneiformen" Wissenschaftliche Verlagsgesellchaft mbH Stuttgart,Kap 7,S.165-196を参照されたし。
【0120】
適用のために重要な特性、必要な試験及び詳細は、医薬品集中に列記されている。
【0121】
詳細は、例えば次の慣用の教科書中に記載されている:
− Voigt,R.(1984):Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie;Verlag Chemie Weinheim-Beerfield Beach/Florida-Basel.
− Sucker,H.,Fuchs,O.,Speiser,P.:Pharmazeutische Technologie,Georg Thieme Verlag Stuttgart(1991),殊にKapitel 15及び16,625-642頁.
− Gennaro,A.R.(Editor),Remington'sPharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton Pennsylvania(1985),Chapter 88,S.1567-1573.
− List,P.H.(1982):Arzneiformenlehre,Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH,Stuttgart.
【0122】
助剤
本発明による製剤に、製造時に慣用の助剤又は添加剤を添加することができる。原則的に全ての使用される物質は、勿論毒物学的無害であり、殊に薬剤形で患者に対する危険なしに使用可能であるべきである。
【0123】
使用量及び薬剤コーティング又は層形成剤中の慣用の添加物の使用は、当業者には周知のことである。慣用の添加剤は、例えば可塑剤、離型剤、顔料、安定剤、酸化防止剤、孔形成剤、浸透促進剤、光沢剤、芳香物質、界面活性剤、滑剤又は矯味剤であることができる。これらは、加工助剤としての作用をし、安全かつ再現可能な製造法並びに良好な長時間貯蔵安定性を確保するか又はその薬剤形で付加的に有利な特性を達成させる。これらは、加工の前にポリマー組成物に添加され、コーティングの浸透性に影響することができ、このことは場合により付加的なコントロールパラメータとして利用することができる。
【0124】
・離型剤:
離型剤は、通常は親油性を有し、かつ通常はスプレー懸濁液に添加される。これは、膜形成の間のコアの凝集を阻止する。タルク、ステアリン酸Mg又はステアリン酸Ca、粉砕された珪酸、カオリン又は3〜8のHLB−値を有する非イオン乳化剤が有利に使用される。本発明のコーティング剤及び結合剤中の離型剤の慣用量は、コポリマーに対して0.5〜100質量%である。
【0125】
・顔料:
コーティング剤と非相容性である顔料とは、殊に、それが(メタ)アクリレート−コポリマー分散液に直接添加される場合に、例えば乾燥質量に対して20〜400質量%の慣用量での(メタ)アクリレート−コポリマーの撹拌混入によって、分散液の脱安定化、凝固、解乳化現象又は類似の不所望の作用効果をもたらすような顔料である。更に、使用される顔料は勿論無毒性であり、薬剤学的目的のために好適である。これに関しては、Deutche Forshungsgemeinschaft,Farbstoffe fuer Lebensmittel,Harald Boldt Verlag KG,Boppard(1978) ;Deutche Lebensmittelrundschau 74,Nr.4.S.156(1978); Arzneimittelfarbstoffverordnung AmFarbV vom 25.08.1980を参照されたし。
【0126】
コーティング剤と非相容性の顔料は、例えば酸化アルミニウム顔料であることができる。非相容性顔料は、例えばイエローオレンジ、コチニールレッドレーキ、酸化アルミニウムをベースとする着色顔料又はアゾ染料、スルホン酸染料、イエローオレンジS(E110、C.I.15985、FD&C イエロー6)、インジゴカルミン(E132、C.I.73015、FD&C ブルー2)、タートラジン(E102、C.I.19140、FD&C イエロー5)、ポンソー4R(E125、C.I.16255、FD&C コチニールレッドA)、キノリンイエロー(E 104、C.I.47005、FD&C イエロー 10)、エリスロシン(E127、C.I.45430、FD&C レッド3)、アゾルビン(E 122、C.I.14720、FD&C カルモイシン)、アマランス(E 123、C.I.16185、FD&C レッド2)、ブリリアント酸グリーン(E 142、C.I.44090、FD&C グリーンS)である。
【0127】
顔料の記載E−番号は、EU−番号付与に関連している。これに関しては、Deutsche Forschungsgemeinschaft,Farbstoffe fuer Lebensmittel,Harald Boldt Verlag KG, Boppard(1978);Deutsche Lebensmittelrundschau 74,Nr.4,S.156(1978);Arzneimittel Farbstoffverordnung AmFarbV vom 25.08.1980も参照されたし。FD&C−番号は、U.S.Food and Drug Administration,Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of Cosmetics and Colors:Code of Federal Regulations-Title 21 Color Additive Regulations Parts 82,Listing of Certified Provisionally Listed Colors and Specifications (CER 21 Part 82) 中に記載されている U.S.Food and Drug Administration (FDA)による、Zulassung in Food,Drugs und Cosmeticsに関連している。
【0128】
・可塑剤
更なる添加物質は、可塑剤であることもできる。慣用量は0〜50、有利には2〜20、殊に5〜10質量%である。
【0129】
可塑剤は、タイプ(親油性又は親水性)及び添加量に応じてポリマー層の機能に影響することができる。可塑剤は、ポリマーとの物理学的交換作用により、ガラス転移温度を低下させ、かつ添加された量に依存して膜形成を促進する。好適な物質は、通常100〜20000の分子量を有し、分子中に1個以上の親水性基、例えばヒドロキシル−、エステル−又はアミノ基を含有している。
【0130】
好適な可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート及びポリエチレングリコール200〜12000である。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)及びクエン酸アセチルトリエチルシトレート(ATEC)である。更に通常は、室温で液状のエステル、例えばシトレート、フタレート、セバケート又はひまし油を挙げることができる。クエン酸−及びセバシン酸エステルを使用するのが有利である。
【0131】
製剤のための可塑剤の添加は、公知方法で、直接、水溶液中で又は混合物の熱的前処理の後に行うことができる。可塑剤の混合物を使用することもできる。
【0132】
乳化剤
生じる層又は膜のスプレー可能性及びフレキシビリティを改良するために、通常は、乳化剤が使用される。乳化剤の使用は、例えば当該層又は膜の全質量に対して0.1〜50質量%の濃度で行うことができる。
【0133】
水溶性ポリマーからの層、例えば膜形成性の水溶性ポリマーを有している分離層の層を得るために、8より大きいグリフィンによるHLB−値を有する乳化剤を使用することができる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(Tween(R)20〜80)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー(Poloxamer(R)、Pluronic(R))、ポリエチレングリコール−脂肪アルコール−エーテル(Cremophor(R))、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル(Brij(R))、サッカロース脂肪酸エステル(Crodesta(R))、ポリオキシエチレン−ステアリルアルコール(Emulgin(R)、Cetomacrogol(R))が有利である。
【0134】
撥水性物質からなる層、例えば撥水性物質を有している分離層の層を得るために、8又は8を下回るグリフィンによるHLB−値を有する乳化剤を使用することができる。これによって、殊に撥水性層のミセル状溶解を更に促進することができる。従って、更なるコントロール要素として乳化剤の添加を使用することができる。
【0135】
8又は8を下回るHLB−値を有する乳化剤の例は次のものである:羊毛ワックスアルコール(Agnowax(R)、Hartolan(R)、Eucerit(R))、脂肪酸のグリセリンエステル、例えばグリセリンモノオレエート、グリセリンモノココエート又はグリセリンモノラウレート、ソルビタンエステル、例えばソルビタン−トリオレエート(Span(R)85)、ソルビタン−モノステアレート(Span(R)60、Arlacel(R)80)、ソルビタン−モノパルミテート(Crill(R)1、Arlacel(R)20、Span(R)20)、サッカロース−エステル、例えばサッカロース−トリステアレート、サッカロース−ジステアレート、サッカロース−ジパルミテート、PEG(200)−モノステアレート又は水素化されたひまし油。
【0136】
HLB−値は、1950年にグリフィンにより紹介された非イオン界面活性剤の親水性又は親油性の尺度である。これは、実験的にMarszallによるフェノール−滴定法に従って測定することができる;"Parfuemerie,Kosmetik",Band 60,1979, S.444-448参照;更なる文献は、Roempp,Chemie-Lexikon,8,Aufl.1983,S.1750.、更に例えばUS4795643(Seth)も参照されたし。
【0137】
HLB−値(親水性/親油性比)は、非イオン乳化剤の場合にのみ正確に測定することができる。アニオン乳化剤の場合には、この値は計算により測定できるが、実際には常に14より上回るか又は14を非常に上回っている。
【0138】
作用物質/医薬品
慣用の医薬品は、参考文献、例えばRoten Liste又はMerck Indexから知ることができる。
【0139】
本発明で使用される医薬品は、人体又は動物体中で、次のために使用することができる:
1.病気、苦痛、身体障害又は病的苦訴を快癒し、緩和し、予防し又は検知するため、
2.身体の容態、状態、機能又は精神的状態を検知するため、
3.人体又は動物体から生じる作用物質又は体液を置換するため、
4.病原体、寄生生物又は異物を防御し、除去し又は無害にするため、又は
5.身体の容態、状態又は機能又は精神的状態に影響するため。
【0140】
治療薬分類
この薬物学的活性物質は、下記の1種以上の作用物質群に属する:例えばACE−抑制剤、アドレナリン作動薬、副腎皮質ステロイド、挫創治療剤、アルドース−レダクターゼ−抑制剤、アルドステロン−拮抗薬、α−グルコシダーゼ抑制剤、α1−拮抗薬、アルコール乱用に対する薬剤、アミノ酸、殺アメーバ剤、同化作用剤、中枢神経興奮剤、麻酔剤−添加剤、麻酔剤(非吸入性)、麻酔剤(局所)、鎮痛剤、アンドロゲン、狭心症治療剤、拮抗薬、抗アレルギー剤、PDE−抑制剤の様な抗アレルギー剤、喘息治療用抗アレルギー剤、他の抗アレルギー剤(例えばロイコトリエン拮抗薬)、抗貧血剤、抗アンドロゲン、不安解消剤、抗関節炎剤、抗不整脈剤、抗細動脈硬化症薬、抗生物質、抗コリン作動薬、抗痙攣剤、抗抑圧剤、抗糖尿病剤、抗下痢剤、抗利尿剤、解毒薬、抗嘔吐剤、抗癲癇剤、抗フィブリン溶解剤、抗癲癇剤、抗寄生虫剤、抗ヒスタミン剤、抗低緊張症剤、抗過緊張症剤、抗高血圧症剤、抗低血圧症剤、抗血液凝固剤、抗糸状菌剤、抗エストロゲン、抗エストロゲン(非−ステロイド)、抗パーキンソン病剤、抗炎症剤、抗細胞増殖作用物質、抗原虫作用物質、抗リューマチ剤、抗住血吸虫剤、鎮痙剤、抗血栓剤、抗百日咳剤、食欲抑制剤、細動脈硬化症剤、静細菌剤、βレセプター遮断剤、血管拡張剤、カルボアンヒドラーゼー抑制剤、化学療法剤、胆汁分泌剤、コリン作動薬、コリンエステラーゼ−抑制剤、大腸潰瘍の治療剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、利尿薬、外寄生虫剤、催吐剤、酵素、酵素阻害剤、フィブリン溶解剤、静真菌剤、痛風薬、緑内障治療薬、グルココルチコイド、グルココルチコステロイド、止血剤、強心配糖体、ヒスタミンH2−拮抗薬、ホルモン及びそれらの抑制物質、免疫治療剤、強心薬、静コクチジウム剤、緩下剤、脂質低下剤、胃−腸治療剤、マラリア治療薬、片頭痛薬、抗微生物剤、クローン病の処置剤、転位抑制剤、片頭痛薬、ミネラル物質製剤、運動機能上昇作用物質、筋肉弛緩剤、神経鎮静剤、骨多孔症治療作用物質、耳鼻科用薬、パーキンソン病薬、植物薬剤、プロトンポンプ抑制剤、プロスタグランジン、初期前立腺肥大症治療用の作用物質、かゆみ症治療用作用物質、疥癬症作用物質、精神病薬、ラジカル捕捉剤、レニン−拮抗薬、甲状腺治療薬、脂漏症治療用作用物質、鎮痙剤、α−及びβ−交感神経類似薬、テナトプラゾール、血小板凝固抑制剤、チロシンキナーゼ抑制剤、トランキライザー、潰瘍治療剤、尿石症治療剤、静ウィルス剤、ビタミン、サイトカイン、静細胞剤。
【0141】
作用物質
好適な作用物質の例は、次のものである:アカルボース、アセチルサリチル酸、アバカビル、アセクロフェナク、アクラルビシン、アシクロビア、アクチノマイシン、アダリムマブ、アデフォビル、アデフォビルジピボキシル、アデノシルメチオニン、アドレナリン及びアドレナリン誘導体、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アレムツズマブ、アルフゾシン、アルモトリプタン、アロプリノール、アルモトリプタン、アロセトロン、アルファセプト、アルプラゾラム、アルプロスタジル、アマンタジン、アンブロキソール、アミスルプリド、アムロジピン、アモキシシリン、5−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アムプレナビル、アナグレリド、アナキンラ、アナストロゾール、アンドロゲン及びアンドロゲン誘導体、アポモルフィン、アリピプラゾール、三酸化ヒ素、アルテメテル、アテノロール、アトルバスタチン、アトシバン、アザチオプリン、アゼライン酸、バルビツール酸誘導体、バルサラジド、バシリキシマブ、ベクラペルミン、ベクロメタゾン、ベミパリン、ベナゼプリル、ベンゾジアゼピン、ベラプロスト、ベタヒスチン、ベキサロテン、ベザフィブレート、ビカルタミド、ビマトプロスト、クエン酸ビスマス、ビスマスサブサリチレート、ボセンタン、ボツリヌムトキシン、ブリモニジン、ブリンゾラミド、ブロマセパム、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブジピン、ブフェキサマック、ブメタニド、ブプレノフィン、ブプロピオン、ブチジン、カルシトニン、カルシウムアンタゴニスト、炭酸カルシウム、カルシウムドベシレート、カルシウム塩、カマゼパム、カンデサルタン、カペシタビン、カプトプリル、カルバマゼピン、カリフェナシン、カルヴェジロール、カスポフンギン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロスポリン、セフジトレン、セフプロジル、セフロキシム、セレコキシブ、セペシタビン、セリバスタチム、セチリジン、セトロレリクス、セツキシマブ、ケノデオキシコール酸、クロロジアゼポキシド、コリオゴナドトロピン、シクロスポリン、シドフォビル、シラザプリル、シメチジン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリトロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロバザム、クロブチノール、クロナゼパム、クロニジン、クロピドグレル、コデイン、カフェイン、コレスチラミン、クロモグリシン酸、コトリモキサゾール、クマリン及びクマリン誘導体、システアミン、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダクリズマブ、ダルフォプリスチン、ダナパロイド、ダピプラゾール、ダルベポエチン、デフェプリプロン、デスフェリキサミン、デシプラミン、デシルジン、デスロアラタジン、デスモプレッシン、デソゲストレル、デソニド、デキシブプロフェン、デキシケトプロフェン、ジダノシン、ジソプロキシル、ジアゼパム及びジアゼパム誘導体、ジダノシン、ジヒドララジン、ジルチアゼム、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピボキシル、ジピリダルノイル、ドラセトロン、ドムペリドン及びドムペリドン誘導体、ドネプジル、ドパミン、ドキサゾシン、ドキソルビジン、ドキシルアミン、ジクロフェナク、ジバルプロエクス、ドロナビノール、ドロスピレノン、ドロトレコギンアルファ、ジュロキセチン、ジュタステリド、エバスチン、エコナゾール、エファビレンツ、エレトリパン、エミダスチン、エムトリシタビン、エナラプリル、エンセプール、エンタカポン、エンフルビルチド、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン、エポエチン及びエポエチン誘導体、エプロサルタン、エプチフィバチド、エルタペネム、エソメプラゾール、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、エタネルセプト、エテンザミド、エチノエストラジオール、エトフェナメート、エトフィブレート、エトフィリン、エトノゲストレル、エトポシド、エトリコキシブ、エキセメスタン、エゼチミブ、ファムシクロヴィル、ファモチジン、ファロペナンダロキセート、フェロジピン、フェノフィブレート、フェノフィブリン酸、フェノルドパミン、フェンタニル、フェンチコナゾール、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルラゼパム、フルルビプロフェン、フルピルチン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、フォミビルセン、フォンダパリヌックス、フォルモテロール、フォスフォミシン、フォシノプリル、フロバトリプタン、フロセミド、フシジン酸、ガバペンチン、ガドベネート、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ガニレリックス、ガブチロキサシン、ゲフィチニブ、ゲムフィブロジル、ゲモパトリレート、ゲンタマイシン、ゲピロン、ゲスタゲン及びゲスタゲン誘導体、ギンクゴ、グラチラメール、グリベンクラミド、グリメプリド、グリピジド、グルカゴン、グルシトール及びグルシトール誘導体、グルコサミン及びグルコサミン誘導体、グリコシド抗生物質、グルタチオン、グリセロール及びグリセロール誘導体、ハイポタラムスホルモン、ゴセレリン、グラニセトロン、グレパフロキサシン、ギラーゼ抑制剤、グアネチジン、ギラーゼ抑制剤、ヘミン、ハロファントリン、ハロペリドール、経口抗糖尿病薬としての尿素誘導体、ヘパリン及びヘパリン誘導体、強心配糖体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド及びヒドロクロロチアジド誘導体、ヒドロキソメプラゾール、ヒドロキシジン、イブリツモマブ、イブプロフェン、イダルビシン、イフリキシマブ、イフォスファミド、イロプロスト、イマチニブ、イミダプリル、イミグルセラーゼ、イミプラミン、イミキモド、イミダプリル、インドメタシン、インドラミン、インフリキシマブ、インスリン、インスリングラルギン、インターフェロン、イルベサルタン、イリノテカン、イソコナゾール、イソプレナリン、イソルビド−モノニトレート、イソルビド−ジニトレート、イトラコナゾール、イバブラジン、ヨード及びヨード誘導体、オトギリソウ、カリウム塩、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ラミブジン、ラモトリギン、ランソプラゾール、ラロニダーゼ、ラタノプロスト、レフルノミド、レミノプラゾール、レピルジン、レルカニジピン、レテプリニム、レトロゾール、レバセチルメタドール、レベチラセタム、レボセトリジン、レボドーパ、レボドロプロピシン、レボフロキサシン、レボメタドン、リコフェロン、リネゾリド、リピナビル、リポン酸及びリポン酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロムスチン、ロペラミド、ロピナビル、ロラタジン、ロルノキシカム、ロサルタン、ロバスタチン、ルメファントリン、ルトロピン、マグネシウム塩、マクロリド抗生物質、マンガフォジピル、マプロチリン、メベダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナミン酸、メフロキン、メロキシカム、メマンチン、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メソプレストール、メスキシミド、メタミゾール、メタキソロン、メトフェルミン、メタドン、メトトレキセート、メチル−(5−アミノ−4−オキソペンタノェート)、メチルナロキソン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチルプレドニソロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミベフラジル、ミコナゾール、ミフェプリストン、ミグリトール、ミグルスタド、ミルナシプラン、ミノシクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、ミトマイシン、ミゾラスチン、モダフィニル、モエキシプリル、モルシドミン、モンテルカスト、モロクトコグ、モルフィナン、モルフィン及びモルフィン誘導体、モキシフロキサシン、麦角アルカロイド、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ナルコチン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネビボロール、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネオスチグミン、ネラメキサン、ネビラピン、ニセルゴリン、ニセタミド、ニフェジピン、ニフルミン酸、ニルタミド、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ネシリチド、ニソルジピン、ニザチジン、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ニスタチン、
オフロキサシン、オクトトリド、オランザピン、オルメサルタン、オルサラジン、オセルタミビル、オマパトリレート、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリステート、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキサリプラチン、オキサプロジン、オキシカルバセピン、オキシブチン、オキシコドン、オキシコナゾール、オキシブチミン、オキシコドン、オキシメタゾリン、パリビズマブ、パラノセトロン、パントプラゾール、パラセタモール、パレコキシブ、パロキセチン、ペガスパルガーゼ、Peg−インターフェロン、ペグフィルグラストリム、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシ、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペプチド抗生物質、ペルインドプリル、ペルフェナジン、ペチジン、植物エキス、フェナゾン、フェニラミン、フェニル酪酸、フェニトイン、フェノチアジン、フェンセリン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、ピンドロール、ピオグリタゾン、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピルリンドール、ピロキシカム、ピタバスタチン、ポサコナゾール、プラミペキソール、プラムリンチド、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピオン酸誘導体、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、ケチアピン、キナプリル、キナプリレート、キヌプリスチン、ラベプラゾール、ラミプリル、ラニチジン、ラロキシフェン、ラノラジン、ラパマイシン、ラスブリカーゼ、レボキセチン、レパクリニド、レプロテロール、レセルピン、レボフロキサシン、リバビリン、リファムピシン、リルゾール、リメキソロン、リセドロネート、リスペリドン、リトナビル、リツキシマブ、リバスチグミン、リサトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロピバカイン、ロシグリタゾン、ロチゴチン、ロキサチジン、ロキシトロマイシン、ルスコゲニン、ロスバスタチン、ルトシド及びルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サリチレート、サルメトロール、サペルコナゾール、甲状腺ホルモン、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルタリン、セベラメル、シブトラミン、シルデナフィル、珪酸塩、シンバスタチン、シロリムス、シトステリン、ソタロール、スパグルミン酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルフェート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタマイシリン、スルチアム、スマトリプタン、スクサメトニウムクロリド、タクリン、タクロリムス、タダラフィル、タリオロール、タルサクリジン、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テガセロド、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモポルフィン、テモゾロミド、テナトプラゾール、テネクテプラーゼ、テニポシド、テノフォビル、テノキシカム、テリパラチド、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テリパラチド、テルリプレッシン、テルタトロール、テストステロン及びテストステロン誘導体、テトラサイクリン、テトリゾリン、テゾセンタン、テオブロミン、テオフィリン、テオフィリン誘導体、チアマゾール、チアムフェニコール、チオテーパ、Thr.成長因子、チアガビン、チアプリド、チボロン、チクロピジン、チリジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオトロピウム、チオキソロン、チラゼタム、チロプラミド、トロフィバン、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリソン、トルテロジン、トピラメート、トポテカン、トラセミド、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラスツズマブ、トラボプロスト、トラゾドン、トレポスチニル、トリアムシノロン及びトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメタジジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トリフォスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロバフロキサシン、トロキセルチン、ツロブテロール、トリプシン、チラミン、チロスリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、テオフィリンウルソデキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル、バルプロイン酸、バルサルタン、バンコマイシン、バルデナフィル、ベクロニウムクロリド、ベンラファキシン、ベラパミル、ベルテポルフィン、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビクイジル、ビタミンD及びビタミンDの誘導体、ボリコナゾール、バルファリン、キサンチノールニコチネート、キシメラガトラン、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ザナミビル、ジドブジン、ジプラシドン、ゾレドロン酸、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾプリコン、ゾテピン及び類似物。
【0142】
これら作用物質は、所望の場合にはそれらの薬物学的に認容性の塩又は誘導体の形で使用することもでき、かつキラル作用物質の場合には、光学的に活性の異性体もラセミ体又はジアステレオ異性体混合物も使用することができる。所望の場合には、本発明による組成物は、2種以上の薬物学的な作用物質を含有することができる。
【0143】
ペプチド−又はタンパク質−作用物質
本発明による薬剤形は、作用物質に関連している、作用物質の投薬を促進する物質と共に配合されているペプチド−又はタンパク質−作用物質に対して特に好適である。好適な製剤は、例えばWO2005/007139から公知である。
【0144】
分子量M<3000を有するペプチド作用物質
アバレリックス、アンギオテンシンII、アニジュラフンギン、アンチド、アルギプレッシン、アザリン及びアザリンB、ボンベシン−拮抗薬、ブラディキニン、ブセレリン、セトロレリックス、シクロスポリンA、デスモプレッシン、デチレリックス、エンケファリンス(Lue−、Met−)ガニレリックス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン−分泌促進剤、ミカフンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルニチド、オキシトシン、ラモレリックス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレッシン、テトラコサクチド、テベレリックス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン又はバソプレッシン。
【0145】
3000〜10000の平均分子量Mを有するタンパク質又はペプチド−作用物質
カルシトニン、コルチコトロピン、エンドルフィン、上皮成長因子、グルカゴン、インスリン、ノボリン、上皮小体ホルモン、リラキシン、プロ−ソマトスタチン又はサーモンセクレチン。
【0146】
3000〜10000の平均分子量Mを有するタンパク質又はペプチド−作用物質
インターフェロン(α、β、γ)、インターロイキン(IL1、IL2)、ソマトトロピン、エリスロポイエチン、腫瘍壊死因子(TNFα、β)、リラキシン、エンドルフィン、ドルナーゼアルファ、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒトコリオンゴナドトロピン(HCG)、ヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)、黄体分泌ホルモン(LH)又は上皮増殖因子。
【0147】
核酸−作用物質
本発明による薬剤形は、作用物質に関連している、作用物質の投薬を促進する物質と共に配合されている核酸−作用物質のために特別好適である。好適な製剤は、例えばWO2006/061069から公知である。
【0148】
核酸−作用物質は、通常、生体内の目標場所で、哺乳動物細胞、殊にヒト細胞のDNAとの置換作用(これは細胞中で変性されたDNA−構造をもたらすか又は全く一般的に変性された細胞特性をもたらす)を惹起させる課題を有する。ここでは、先ず第一に、その目的が遺伝に帰因する疾病における欠陥遺伝子構造の修復である、いわゆる遺伝子治療が挙げられる。この場合にこれは、例えば、不所望の遺伝子活性、例えば腫瘍細胞中のテロメラーゼ活性の不活性化又は遮断でありうる。通常健康な細胞中に存在する遺伝子活性、例えば、従来から公知の集約的に研究されている腫瘍抑制−遺伝子中のp53−遺伝子活性の回復も重要である。従って、本発明は、特に遺伝子治療における、核酸−作用物質の経口適用可能な薬剤形に関する。
【0149】
核酸−作用物質は、1本鎖又は2本鎖のDNA(デオキシリボ核酸)又はRNA(リボ核酸)又はDNA−RNA−キメラであることができ、この際、天然に生じる及び/又は天然に生じない人工的に変性されたヌクレオチドを含有することができる。核酸−作用物質は、線状又は環状で存在することができる。これは、例えば、10〜200塩基又は塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチド単位であることができる。これは、例えば200〜100000、500〜10000又は1000〜5000塩基又は塩基対の長い単位であることもできる。特有の作用物質として機能する配列と並んで、例えば目標細胞中に存在しているか又は置換されるべき核酸配列と共にこの核酸−作用物質中には場合により、通常、目標細胞中に存在せずこれと置換作用しないベクター配列を含有することもできる。
【0150】
例えばプラスミド又はウイルス系をベースとするベクターに基づく2本鎖DNAをベースとしているベクター系は公知である。例えば,組み換えアデノ随伴ウイルス−ベクター(rAAV)が公知である。他の2本鎖ベクターは、サイトメガリーウイルス(CMV)又はSV40−ウイルスからのプロモーター配列又は調節配列を含有することができる。他のベクターは、接合されたRNAエレメントを用いて分解に対して保護されうる1本鎖DNAに基づくことができる。いわゆるRDO I及びRDO II構成も公知であり、ここでは、例えば30〜60塩基の短いDNA−片に、末端に1〜4塩基の短いRNA片が与えられる。付加的に、半価時間又はヌクレアーゼ抵抗を高めるために、天然に生じないヌクレオチドをこのRNA又はDNA中に導入することができる。この場合には例えば、個々の酸素原子が硫黄原子で置換されて、リン−硫黄−橋(MSO)が得られる。遺伝子−修復又は遺伝子−置換−ベクターとして好適な多様な核酸形(これらは、本発明の意味で作用物質として使用することのできる)は、例えばNature Reviews Vol.4,2003, S.679-689,Li Liu et alに記載されている。本質的に作用物質として機能する核酸−配列のみを含有し、ベクターDNAを含有しないか又は小割合のみを含有している核酸−フラグメントが有利である。
【0151】
核酸−作用物質は、例えばカチオンポリマー又はタンパク質、例えば抗体との複合体又は接合体中に存在することができる。この複合体又は接合体−形成は、化学的架橋結合による可逆的又は不可逆的な共有結合で又はファン−デル−ワールス−力、イオン結合、疎水性結合を介する副原子価結合で行うことができる。しかしながら、複合体又は接合体中に核酸−作用物質と共に含有される分子は、それ自体治療作用を発揮せず、従って製剤助剤とみなされ、作用物質又は作用物質の部分とはみなされない。
【0152】
核酸−作用物質は、場合によってはタンパク質又はペプチドの援助下に配合されうる。しかしながら、これ自体は治療作用を発揮しないので、製剤助剤とみなされ、作用物質又は作用物質の部分とはみなされない。
【0153】
核酸は、例えばWO02/094983によれば、特異的に核酸に結合する抗体及びカチオン物質との複合体の形で存在することができる。この手段が、イン−ビトロ及びイン−ビボでの高いトランスフェクシヨン率に寄与できることが明らかにできた。この場合に、特に、モノクローナルIgG−抗体又はIgM−抗体(これらは完全に又はフラグメント、Fc−抗体−フラグメント、Fab’−抗体−フラグメント、F(a,b)’−2−抗体フラグメント又は半抗体フラグメントとしても行動するが、それぞれ少なくとも1個の抗−DNA−結合部位を有しているはずである)が重要である。核酸と抗−DNA−抗体との分子比は、例えば1対20〜1対5であることができる。
【0154】
核酸−作用物質は、例えば血友病を治療する目的を有し、血液凝固因子−遺伝子、例えばヒト血液凝固因子IXのcDNA−遺伝子を含有することができる(例えば、WO03/028657又はPalmer et al.,Blood,1989,73(2),p.438-445又はYao et al., Proc Natl Acad Sci U S A,1992,89(8): p.3357-3361参照)。治療に有効な遺伝子部分に加えてこの核酸−作用物質は、免疫寛容性−誘導遺伝子、例えばFas−リガンドを含有することができる。共発現されるFas−リガンド又は−遺伝子分節は、目標細胞中への遺伝子伝達後に特異的に活性化されうるT−細胞中にアポトースを引き起こすことがある。白血病−細胞中のアポトース−誘導と関連しているベクターは、Walensky et al.,2004, "Activation of Apoptosis in Vivo by a Hydrocarbon-Stapled BH3 Helix",Science,305, S.1466-1470から知ることもできる。
【0155】
核酸−作用物質は、例えば遺伝子分節、殊にヒトテロメラーゼ−遺伝子のプロモータ領域を有することができる。例えばWO99/38964中に記載の遺伝子治療−ベクタ−pGT62−codAupp又は他のWO99/38964から知ることのできるベクターが当業者に好適である。核酸−作用物質は、腫瘍サプレッサー遺伝子分節、例えばp53−腫瘍サプレッサー−遺伝子又はそのフラグメントを含有することができる。US6451593B1は、本発明における核酸−作用物質の製造のために好適である、遺伝子治療用の発現ベクターに関する構成原理を記載している。
【0156】
実施例
A) リシンを用いる部分中和の作用効果
USP28<711>パドル−法(=装置2)によるテオフィリン−ペレットの放出試験
方法:
1.放出装置の容器に、0.1M−HCl(pH 1.2)各360mlを充填し、水浴の温度を37±0.5℃に調節する。
2.羽根攪拌機を、100Upmの回転速度でスイッチを入れる。
3.装置の各容器中にペレット1gを加える。ペレット−表面上に気泡が存在しないように注意する。
4.120分後にリン酸塩−緩衝液(37℃に熱処理された)140mlを添加して、500mlの最終量中で所望のpH−値:pH5.5;5.6;5.7;5;8又は7.0を生じさせる。
5.100%の作用物質放出の時点の測定(271nmでの光度測定、回転法)。
【0157】
結果については、第1表を参照されたし。
【0158】
【表1】

【0159】
例A1.リシンを有する処方
EUDRAGIT L30D55(アクリル酸エチル50質量%とメタクリル酸50質量%とからのコポリマーを含有している30%分散液)を有するペレットコーティングをリシンで部分中和する。Firma Klinge Pharmaからの粒子寸法0.7〜1.0mmを有するテオフィリンペレット100g上に、次の処方を有するポリマー分散液(メタクリル酸50質量%とアクリル酸エチル50質量%とからのメタクリレートコポリマー)の乾燥物質30%をコーティングする。全乾燥物質−適用量は、バッチ量に対して35.7質量%である。
【0160】
作用物質の90質量%放出試験結果については、第1表を参照されたし。
【0161】
【表2】

【0162】
Huettlin Mycrolab中でのスプレーパラメータ:
スプレーノズル 0.6mm
スプレー速度 26g/min/kg
スプレー圧 1.0バール
微小気候 0.6バール
供給空気流 20m
供給空気温度 33−39℃
生成物温度 26−29℃
装置中での仕上げ乾燥時間 40℃で10分
スプレー時間 1.5〜2時間
室温(RT)で一晩乾燥。
【0163】
例A2.NaOHを有する処方
EUDRAGIT(R)L30D55を有するペレットコーティングを、NaOHで部分中和した。Firma Klinge Pharmaからの粒子寸法0.7〜1.0mmを有するテオフィリンペレット100g上に、次の処方を有するポリマー分散液(メタクリル酸50質量%とアクリル酸エチル50質量%とからのメタクリレートコポリマー)の乾燥物質30%でコーティングする。全乾燥物質−適用量は、バッチ量に対して33.11質量%である。
【0164】
作用物質の90質量%放出試験結果については、第1表を参照されたし。
【0165】
【表3】

【0166】
Huettlin Mycrolab中でのスプレーパラメータ:
スプレーノズル 0.6mm
スプレー速度 27g/min/kg
スプレー圧 1.0バール
微小気候 0.6バール
供給空気流 20m
供給空気温度 33−40℃
生成物温度 26−30℃
装置中での仕上げ乾燥時間 40℃で10分
スプレー時間 1〜1.5時間
室温Tで一晩乾燥。
【0167】
例A3.部分中和されていない処方
部分中和されていないEUDRAGIT L30D55を有するペレットコーティング。
【0168】
Firma Klinge Pharmaからの粒子寸法0.7〜1.0mmを有するテオフィリンペレット100g上に、次の処方を有するポリマー分散液(メタクリル酸50質量%とアクリル酸エチル50質量%とからのメタクリレートコポリマー)の乾燥物質30%でコーティングする。全乾燥物質−適用量は、バッチ量に対して32.111質量%である。
【0169】
作用物質の90質量%放出試験結果については、第1表を参照されたし。
【0170】
【表4】

【0171】
MiniGlatt中のスプレーパラメータ:
スプレーノズル 0.5mm
スプレー速度 1〜2g/min
スプレー圧 0.8バール
供給空気 0.7バール
供給空気温度 35〜37℃
生成物温度 32〜33℃
装置中での仕上げ乾燥時間 40℃で10分
スプレー時間 約2〜3時間
室温Tで一晩乾燥。
【0172】
B) 3層の分離層及び場合によりリシンで部分中和されたポリマーコーティングを有している薬剤形
コーティングの製造
全てのコーティングのための出発物質として、Fa.Klinge Pharmからのテオフィリン含有率94.13%を有するテオフィリン−ペレット(710〜1250μm)を使用した。
【0173】
例B1(比較、本発明によらない)
標準EUDRAGIT(R)L30D−55製剤:
テオフィリンペレット(710〜850μm)100g上に、Huettlin Mycrolab中で、水性スプレー懸濁液を用いて 乾燥物質15.0%をスプレーする。
【0174】
懸濁液の組成:EUDRAGIT(R)L30D−55 66.7g、クエン酸トリエチル2.0g、グリセリンモノステアレート1.5g、ポリソルベート80 0.6g。
【0175】
USPNo.2(パドル)による0.1NHCl中2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)の後のこのペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は、次の通りである:
【表5】

【0176】
例B2(比較、本発明によらない)
EUDRAGIT(R)L30D−55を含有し、リシンで15%部分中和された製剤:
テオフィリンペレット(710〜850μm)100g上に、Huettlin Mycrolab中で、水性スプレー懸濁液を用いて乾燥物質15.0%をスプレーする。懸濁液の組成:EUDRAGIT(R)L30D−55 66.7g、リシン2.5g、クエン酸トリエチル2.0g、グリセリンモノステアレート1.5g、ポリソルベート80 0.6g。USPNo.2(パドル)による0.1NHCl中2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)の後のこのペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は、次の通りである:
【表6】

【0177】
例B3(比較、本発明によらない)
EUDRAGIT(R)L30D−55及び1層分離層としてのHPMCを有している製剤:
A.)HPMC(Methocel E5)10.0gを脱塩水132.9g中に溶かす。テオフィリンペレット(710〜850μm)100g上に、Huettlin Mycrolab中でスプレー適用を実施する。
【0178】
引き続きA.)からのペレット100g上に、例1のスプレー懸濁液をスプレーする。
【0179】
USPNo.2(パドル)に従い、0.1NHCl中で2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)中の後の、このペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は次の通りである:
【表7】

【0180】
例B4(本発明による)
EUDRAGIT(R)L30D−55及び3層の分離層としてのHPMC/カプリン酸/HPMCを有している製剤:
B)HPMC(Methocel E5)5.0gを脱塩水66.4g中に溶かし、テオフィリンペレット(710〜850μm)100g上に、Huettlin Mycrolab中でスプレーする。
C)カプリン酸5.0gを無水エタノール61.7g中に溶かし、B)からのペレット100.0g上に同様にHuttlin Mycrolab中でスプレーする。
D)HPMC(Methocel E5)5.0gを脱塩水66.4g中に溶かし、C)のペレット100g上に改めてスプレーする。
【0181】
引き続き例1のスプレー懸濁液をペレットD)100g上に適用する。
【0182】
USPNo.2(パドル)に従い、0.1NHCl中で2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)中の後の、このペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は、次の通りである:
【表8】

【0183】
例B5(本発明によらない)
リシン15%で部分中和されたEUDRAGIT(R)L30D−55を有し、かつ1層の分離層としてのHPMCを有している製剤:
A)HPMC(Methocel E5 Premium)10.0gを脱塩水132.9g中に溶かし、引き続きテオフィリンペレット(710〜850μm)100g上にHuettlin Mycrolab中でスプレーする。
【0184】
引き続き例2のスプレー懸濁液をペレットA)100g上に適用する。
【0185】
USPNo.2(パドル)に従い、0.1NHCl中で2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)中の後の、このペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は、次の通りである:
【表9】

【0186】
例B6(本発明による)
リシン15%で部分中和されたEUDRAGIT(R)L30D−55及び3層の分離層としてのHPMC/カプリン酸/HPMCを有する製剤:
B)HPMC(Methocel E5 Premium)5.0gを脱塩水66.4g中に溶かし、引き続きテオフィリンペレット(710〜1250μm)100g上にHuettlin Mycrolab中でスプレーする。
C)カプリン酸5.0gを無水エタノール61.7g中に溶かし、B)からのペレット100.0g上に、同様にHuettlin Mycrolab中でスプレーする。
D)HPMC(Methocel E5 Premium)5.0gを脱塩水66.4g中に溶かし、C)からのペレット100g上に改めてスプレーする。
【0187】
引き続き例2のスプレー懸濁液をペレットD)100g上にスプレーする。
【0188】
USPNo.2(パドル)に従い、0.1NHCl中で2時間及び引き続くリン酸塩緩衝液(pH5.8)中の後の、このペレットの作用物質放出又は残留作用物質含分は、次の通りである:
【表10】

【0189】
膜脱離試験
例B1〜B6からのペレット各250mgを、USPNo.2(パドル)に従い、0.1N−HCl700ml中で2時間撹拌し、引き続きNaPO−溶液でpH5.8に調節する。約10ペレットの試料採取を、120分後(再緩衝の前)、140分後、145分後又は150分後に(リン酸塩緩衝液pH5.8)行う。
【0190】
湿潤ペレットを、吸収可能な布上に置き、室温で乾燥させる。引き続き、ペレットの表面及び断片を走査顕微鏡(REM)で検査し、残っている層厚を測定する。
【0191】
層厚に対する残留作用物質含分の評価
【表11】

【0192】
+ = EUDRAGIT(R)L30D−55不含層(0〜5μm)
++ = 薄いEUDRAGIT(R)L30D−55層(5〜約20μm)
+++= 厚いEUDRAGIT(R)L30D−55層(20〜約45μm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃液抵抗性で腸液可溶性の(メタ)アクリレート−コポリマーからなるコーティング層で包囲されている作用物質含有コアを含有し、この際、コアとコーティング層との間に膜形成性の水溶性ポリマーを含有している分離層が存在する薬剤形において、この分離層は、少なくとも2層に設計されており、この際、撥水性物質を有している1内層及びその上に膜形成性の水溶性ポリマーを有している1層が存在していることを特徴とする、薬剤形。
【請求項2】
分離層は3層に設計されており、この際、膜形成性の水溶性ポリマーの2層が撥水性物質を有している1層を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤形。
【請求項3】
膜形成性の水溶性ポリマーには、非イオン性セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、多糖類、例えば澱粉、アミロース、アルギン酸塩、ペクチン、キサンタン並びにゼラチン、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンが包含されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の薬剤形。
【請求項4】
膜形成性の水溶性ポリマーは、1%溶液(質量/質量)に対する粘度1〜20mPasを有するヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項3に記載の薬剤形。
【請求項5】
膜形成性の水溶性ポリマーの層は、作用物質含有コアの質量に対してそれぞれ1〜50質量%に達していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項6】
撥水性物質は、C〜C24−脂肪アルコール、C〜C24−脂肪アルコールと有機酸とのエステル、C〜C24−脂肪酸、例えばステアリン酸又はカプリン酸、C〜C24−脂肪酸とアルコール又はポリアルコールとのエステル、例えばグリセロールモノステアレート又はグリセロールジステアレートであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項7】
撥水性物質の層は、作用物質含有コアの質量に対して0.1〜25質量%に達していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項8】
膜形成性の水溶性ポリマーは、20℃での脱塩水中の溶解度少なくとも50g/lを有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項9】
撥水性物質は、20℃でのアセトン中の溶解度少なくとも50g/lを有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項10】
胃液抵抗性で腸液可溶性のポリマーコーティングは、アクリル酸又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル25〜95質量%とアニオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜75質量%とのラジカル重合単位から成っているアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項11】
アニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーは、メタクリル酸40〜60質量%とメタクリル酸メチル60〜40質量%又はアクリル酸エチル60〜40質量%とのラジカル重合単位から成っていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項12】
コーティングのアニオン性(メタ)アクリレート−コポリマーは、全て又は部分的に塩基によって、全体として部分中和されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項13】
(メタ)アクリレート−コポリマーのアニオン基は、全体として0.1〜25%が中和されていることを特徴とする、請求項12に記載の薬剤形。
【請求項14】
塩基として、150を上回る分子量を有するカチオン性有機塩基又はリシンを含有していることを特徴とする、請求項12又は13に記載の薬剤形。
【請求項15】
塩基として、ヒスチジン、アルギニン、ポリ−ヒスチジン、ポリ−アルギニン、ポリ−リシン、リン脂質、例えばホスファチジルコリン、リボヌクレオシド又はデオキシリボヌクレオシド、カチオン界面活性助剤又は乳化剤からの塩基を含有していることを特徴とする、請求項14に記載の薬剤形。
【請求項16】
アルギニン又はリシンとアルギニンを部分中和剤として含有していることを特徴とする、請求項14又は15に記載の薬剤形。
【請求項17】
ポリマーコーティングは、リシン及び/又はアルギニンを、ポリマーに対して5〜25質量%の可塑剤と組み合わせて含有していることを特徴とする、請求項14から16までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項18】
ポリマーコーティングは、リシン及び/又はアルギニンを、ポリマーに対して10〜30質量%の濃度で含有していることを特徴とする、請求項14から17までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項19】
コアは、1作用物質及びこの作用物質に関連している、作用物質の放出を促進する物質を含有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項20】
作用物質は、ペプチド、タンパク質、核酸又は多糖類又は記載物質群の誘導体であることを特徴とする、請求項19に記載の薬剤形。
【請求項21】
作用物質に関連している、作用物質の放出を促進する物質は、浸透促進剤及び/又は粘着性ポリマー及び/又は消化器官中で生じる酵素による作用物質の酵素分解を抑制する物質又はエフラックス−ポンプ−インヒビター(Pgp−インヒビター)であることを特徴とする、請求項19又は20に記載の薬剤形。
【請求項22】
多粒子薬剤形、ペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、小袋、沸騰錠剤又は乾燥ジュースの形で存在していることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の薬剤形。
【請求項23】
自体公知の方法で、製剤学的に慣用の方法、例えば直接圧縮、乾燥−、湿潤−又は焼結顆粒の圧縮、押出し及び引き続く丸み付け、湿式又は乾式造粒又は直接ペレット化を用いるか又は粉末の結合(粉末成層)によって、懸濁液又は溶液を作用物質不含の球又は中性コア(ノンパレイル)又は作用物質含有粒子上に吹き付けることによって、及びスプレー法でのポリマーコーティングの適用を用いるか又は渦動床造粒によって製造する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の薬剤形を製造する方法。
【請求項24】
タンパク質−、ペプチド−、核酸−又は多糖類の薬剤形の製剤のために、作用物質又はその誘導体を使用する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の3層の分離層を有する薬剤形の使用。

【公表番号】特表2009−544639(P2009−544639A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521173(P2009−521173)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052549
【国際公開番号】WO2008/012115
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】