説明

多層テープ、その製造方法および包装袋

【課題】耐圧性と易開封性に優れ、製造工程が簡便でコスト低減を図ることができる多層テープとその製造方法および包装体を提供すること。
【解決手段】多層テープ2Aの断面において、第一の表面層21は、多層テープ2Aの幅方向に沿って厚さが不均一となっている。第一の表面層21の両端には、薄く形成された薄肉部211および212を備え、薄肉部211と212に挟まれて厚く形成された厚肉部213を備えている。これら薄肉部211および212と厚肉部213とで凸状部を形成している。ここで、薄肉部211および212が破断しやすいまたは剥離しやすい部位となり、厚肉部213が破断しにくいまたは剥離しにくい部位となる。また、第一の表面層21と隣接する中間層23は、この凸状部と咬合するように凹状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層テープ、その製造方法および包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や薬品は、熱成形容器や軟質包装袋に包装されて保存される。これら包装体は、内容物が収納された後、用途に応じてレトルト殺菌が行われ、各地へ輸送される。このレトルト殺菌や輸送を行う際は破袋しない程度の内圧強度が求められるとともに、袋を開封する際には易開封性が求められている。
そこで、密封性と易開封性とを兼ね備えた包装体が検討されている。例えば、特許文献1には、複数素材の積層構造の間に中間材を挿入して密封する包装形態が記載されている。これは、中間材と包装体の内面とをシールする位置を中間材の両面でズラすことにより易開封性を得ており、さらに、中間材の内容物側の端部をシール位置より内容物側に突出させることで耐圧性を得ている。
【0003】
【特許文献1】特開平01−294466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装体では、中間材の両面のシール位置をズラす工程は、1工程ではできないので製造工程が複雑になってしまう。また、シール精度が悪いとシール位置にズレが生じず、易開封性や耐圧性を得られない可能性が大きい。
そして、内容物側に中間材の最内層が露出しているため、最内層の樹脂が内容物へ溶出するという問題が懸念され、最内層に使用する原料が制限されるとともに、中間材とシール部との境界点のシール強度が弱く、ピンホールが生じやすいという問題もある。
【0005】
また、液体包装に用いられるチャックテープ付き包装袋においては、チャックテープ部が液体に汚損されるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、耐圧性と易開封性に優れ、製造工程が簡便でコスト低減を図ることができる多層テープとその製造方法および包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多層テープは、複数の層が積層されるとともに包装体の内面で狭着してシールされることによりシール部が形成される多層テープであって、該多層テープの表面を形成する第一の表面層と第二の表面層の少なくとも2層からなり、前記第一の表面層と前記第二の表面層のうちいずれか一方の表面層は、前記多層テープ断面方向の前記シール部において厚みが均一でなく、破断しやすいまたは剥離しやすい部位と破断しにくいまたは剥離しにくい部位とを有するとともに、該多層テープの表面は前記シール部において略平滑に形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、多層テープは2層以上の複数層で形成され、包装体の内面に狭着してシールされ、シール部が形成される。
多層テープの表面を形成する第一の表面層と第二の表面層のうちいずれか一方の表面層のシール部において、破断しやすいまたは剥離しやすい部位と、破断しにくいまたは剥離しにくい部位とを有している。
破断しやすいまたは剥離しやすい部位とは、表面層の形状により、破断しやすい部位であったり、剥離しやすい部位であることを意味する。同様に、破断しにくいまたは剥離しにくい部位とは、表面層の形状により破断しにくい部位や剥離しにくい部位になることを意味する。
例えば、表面層が薄く形成されている部分がある場合、その位置から破断しやすいので、破断しやすい部位となる。また、該多層テープの表面に表面層と別の層との境界点がある場合は、その位置から剥離しやすいので、剥離しやすい部位となる。
【0009】
このような部位を有することにより、該多層テープの断面形状は、各層の厚さが均一に形成されず、凹凸状となっている。一方、多層テープの表面は略平滑に形成されているので、この表面層と隣接する層との境界面が凹凸状に形成されることになる。例えば、2層構成の場合は、多層テープの表面を形成している第一の表面層と第二の表面層が隣接しているため、第一の表面層と第二の表面層との境界面が凹凸状に形成される。また、3層以上の構成の場合は、第一の表面層と第二の表面層のうちいずれか一方の表面層と、この表面層と隣接する層との間の境界面が凹凸状に形成される。
このように、第一の表面層と第二の表面層のうちいずれか一方の表面層は、破断しやすいまたは剥離しやすい部位を有しているため、この位置で容易に破断または剥離される。したがって、この多層テープが取り付けられた包装体の易開封性を実現することができる。
【0010】
本発明の多層テープにおいて、前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位は薄く形成され、前記破断しにくいまたは剥離しにくい部位は厚く形成されていることが好ましい。
この発明によれば、表面層の破断しやすいまたは剥離しやすい部位が薄く形成されているので、前述のとおり、この部位が破断しやすく、易開封性に優れている。
また、表面層の破断しにくいまたは剥離しにくい部位は厚く形成されているので、この部位は破断しにくい。この部位を、包装袋の内容物側において応力が集中する位置に配置すると、多層テープが破断しにくいので、包装袋の密封性を維持することができる。
【0011】
本発明の多層テープにおいて、前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位は、該表面層と該表面層に隣接する層との境界部であることが好ましい。
この発明によれば、破断しやすいまたは剥離しやすい部位が該表面層と該表面層に隣接する層との境界部となっている。この境界部は多層テープの表面に設けられ、多層テープと包装袋をシールしたときのシール位置が境界部を含んでいなければならない。包装袋と多層テープの接着力が強く、多層テープの層間接着強度が弱いため、開封時は境界部で易剥離することになる。境界部が2箇所設けられているときは、包装袋の開口部側から易剥離し、包装袋の内容物側ではがれる。したがって、易開封性に優れている。
【0012】
本発明の多層テープにおいて、前記シール部は、その開口部側端部が前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位に接し、さらに、その内容物側端部が前記破断しにくいまたは剥離しにくい部位に接することが好ましい。
この発明によれば、多層テープを包装体に取り付けるとき、シール部の開口部側端部が表面層の破断しやすいまたは剥離しやすい部位に接し、かつ、シール部の内容物側端部が表面層の破断しにくいまたは剥離しにくい部位に接する位置にシールする。
ここで、シール部の開口部側端部とは、包装袋の開封を開始する位置であり、開封時に最も応力のかかる場所である。また、シール部の内容物側端部とは、包装袋の内側からの応力が最もかかる場所である。
したがって、開封時に応力のかかる場所(シール部の開口部側端部)に破断しやすいまたは剥離しやすい部位が接しているので、この部位が破断または剥離しやすく、易開封性を得ることができる。また、内側からの応力がかかる場所(シール部の内容物側端部)に破断しにくいまたは剥離しにくい部位が接しているので、この部位は破断または剥離しにくく、密封性および耐圧性を得ることができる。
【0013】
本発明の多層テープにおいて、前記第一の表面層と前記第二の表面層との間に、前記第一の表面層および前記第二の表面層に使用される樹脂とは異なる樹脂で形成された中間層が設けられていることが好ましい。
中間層は一層でも複数層でもよい。多層テープの各層には、各種ポリオレフィンを使用することができる。例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などを1種または2種以上をブレンドした物が挙げられる。各層に使用するポリオレフィンは、3層とも異なるポリオレフィンを使用してもよいし(3種3層)、最外層である第一の表面層と第二の表面層には同じポリオレフィンを使用し、中間層だけを異なるポリオレフィンとしてもよい(2種3層)。
【0014】
また、第一の表面層と第二の表面層を異なるポリオレフィンとしてもよい(2種2層)。2種2層の例としては、RPP/LDPE、RPP/HDPEなどが挙げられる。
【0015】
3種3層の構成としては、HPP/LDPEまたはHDPEまたはLLDPE/RPP、BPP/HPPとLDPEとのブレンド/RPP、BPP/HPPとLDPEとHDPEとのブレンド/RPP、LLDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/HDPE、LDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/HDPE、LDPE/RPP/LLDPEなどが挙げられる。
【0016】
2種3層の構成としては、HPP/LDPEまたはHDPEまたはLLDPE/HPP、BPP/LDPEまたはHDPEまたはLLDPE/BPP、RPP/LDPEまたはHDPEまたはLLDPE/RPP、HPP/HPPとLDPEとのブレンド/HPP、BPP/HPPとLDPEとのブレンド/BPP、RPP/HPPとLDPEとのブレンド/RPP、RPP/HPPとLDPEとHDPEとのブレンド/RPP、LLDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/LLDPE、HDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/HDPEなどが挙げられる。
その他前記の樹脂にEPRやスチレン系エラストマーを添加してもよい。添加することによって開封感を向上させることが出来る。
【0017】
このように、隣接する層に使用する樹脂と異なる樹脂にすることによって、それらの境界面で剥離しやすくなる。特に、第一の表面層と第二の表面層のうち薄肉部を有する方の表面層と、この層と隣接する層に使用される樹脂の組み合わせを、比較的接着強度が弱い樹脂の組み合わせにすることで、より剥離しやすくなり、易開封性を向上させることができる。すなわち、樹脂の組み合わせを選択することで、剥離面を所望の位置にすることができるのである。
【0018】
本発明の多層テープにおいて、前記中間層は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤からなる粘着樹脂からなることが好ましい。
スチレン系エラストマーは、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体のことである。例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体などが挙げられる。
粘着付与樹脂とは、粘着性を向上させる樹脂のことで、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂等が挙げられる。
可塑剤とは、柔軟性,加工性を高める物質のことで、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系炭化水素)、合成ワックス等が挙げられる。
この発明によれば、中間層を粘着樹脂で形成しているので、第一の表面層と第二の表面層のうちのいずれか一方と中間層との間で剥離したときに粘着樹脂が露出し、この露出部を再接着させることができる。したがって、この多層テープを取り付けることで、再密封可能な包装体を提供することができる。
また、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤を主成分とする粘着樹脂を用いているので、臭気が少なく、再接着強度が高い。
【0019】
本発明の多層テープにおいて、該多層テープを包装体に取り付けたとき、前記中間層は、該多層テープの断面において、その端部が内容物側に露出していないことが好ましい。
この発明によれば、多層テープを包装体に取り付けたとき、中間層の端部が包装体の内容物側に露出していない。すなわち、包装体の内容物側において、中間層が第一の表面層および第二の表面層に被覆された形状となっており、中間層に用いた樹脂が内容物側に溶出する心配がないので、使用する樹脂の選択において制限がない。特に、中間層に粘着樹脂を用いても、衛生的で安全である。
また、内容物が多層テープの層間に浸透して、界面接着強度を低下させることがない。特に、刺激性内容物が収納されている場合に有効である。
【0020】
本発明の多層テープは、帯状基部がそれぞれ連接した一対の雌雄部材を備えたチャックテープのいずれか一方の部材と連結したことが好ましい。
この発明は、チャックテープの帯状基部に本発明の多層テープが一体成形されたものである。この多層テープは、開口部側にチャックテープ部、内容物側に多層部が配置されるように包装袋の内面に溶着される。したがって、内容物とチャックテープ部とは、多層テープ部により遮断されているため、内容物がチャックテープ部の咬合部に付着せず、内容物が漏洩するおそれがない。特に、内容物が液体などの場合に有効である。
【0021】
本発明の多層テープの製造方法は、異形共押出法によって製造されることを特徴とする。
この発明によれば、各層を形成する樹脂を異形ダイに通すことにより、前述の2種2層、3種3層および3種4層などからなる多層テープや、チャックテープと一体化した多層テープを1つの工程で製造することができる。
【0022】
本発明の包装体は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の多層テープが互いに対向する包装体内面に取り付けられたことを特徴とする。
この発明によれば、包装体の内面に前述の多層テープが取り付けられているので、前述の効果を奏することができる包装体を提供することができる。
【0023】
本発明の包装体は、前記多層テープより開口部側の包装体内面にチャックテープが取り付けられたことが好ましい。
この発明は、多層テープのみ取り付けられた包装袋にチャックテープを取り付けることで、チャックテープと一体化した多層テープを取り付けた包装体と同等の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態の説明において同一符号を付した部材は説明を省略もしくは簡略にする。
まず、本発明の第一実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
[1.第一実施形態]
図1は本実施形態の積層テープが装着された包装袋の密封状態の正面図、図2は第一実施形態にかかる図1のII−II断面図、図3は図2の開封状態を示す断面図である。
【0025】
[1−1.包装袋100の構成]
図1に示されるように、袋体1の内面には、多層テープ2Aとチャックテープ3Aが取り付けられている。この袋体1は、包材となる基材フィルム11を重ね合わせて、その周縁にサイドシール部12およびトップシール部13を形成することによって形成される。袋体1の開口部14の内面に多層テープ2Aが取り付けられ、さらに、多層テープ2Aより開口部側にチャックテープ3Aが取り付けられている。
なお、この袋体1は、図示しない内容物が袋体1の底方向から収納された後は、袋体1の底辺をシールすることにより、密封状態とされる。
【0026】
使用者は、袋体1の開口部14において対向する基材フィルム11を両手で把持し、開封時にはチャックテープ3Aを開いた後、多層テープ2Aで密封された開口部14を開封する。
【0027】
[1−2.多層テープ2Aの構成]
多層テープ2Aは、図2にその断面構成を示すように、断面略矩形状で、最外層である第一の表面層21と、第二の表面層22と、これらの間に配置された中間層23とを備えた三層構造である。多層テープ2Aは、袋体1の対向する基材フィルム11に挟まれるように、シール部15にてシールされる。
【0028】
多層テープ2Aの断面において、第一の表面層21は、多層テープ2Aの幅方向に沿って厚さが不均一となっている。第一の表面層21の両端には、薄く形成された薄肉部211および212を備え、薄肉部211と212に挟まれて厚く形成された厚肉部213を備えている。これら薄肉部211および212と厚肉部213とで凸状部を形成している。ここで、薄肉部211および212が破断しやすいまたは剥離しやすい部位となり、厚肉部213が破断しにくいまたは剥離しにくい部位となる。また、第一の表面層21と隣接する中間層23は、この凸状部と咬合するように凹状に形成されている。
【0029】
なお、第一の表面層21の薄肉部211および212の厚さは0(薄肉部が欠落した状態)〜30μmの範囲であることが好ましい。30μmを超えると、第一の表面層21が切れにくくなり、易開封性を得られない。厚肉部213の厚さは、薄肉部211および212よりも厚く形成されていればよいが、40〜100μmの範囲であることが好ましい。(100μmを超えてもよいが、テープが厚くなりすぎ、包装体としたときにサイドシール部分の外観が悪くなる。)
【0030】
多層テープ2Aの各層の幅方向に沿った長さは、第一の表面層21と第二の表面層22との両方の端部が中間層23の端部よりも長く形成され、中間層23の両方の端部を覆うように互いに接合し、包装袋100Aの内容物側において、中間層23が露出しない構造となっている。
また、シール部15は、多層テープ2Aの各層の幅方向に沿った長さよりも短く、開口部側端部151が薄肉部211に接し、さらに、内容物側端部152が厚肉部213に接するような位置にシールされる。
【0031】
このような構成の多層テープ2Aであれば、図3に示すように、第一の表面層21の薄肉部211が破断し、第一の表面層21と中間層23との境界面で剥離する。そして、薄肉部212に到達すると、薄肉部212が破断して、包装袋100Aを開封することができる。
【0032】
多層テープ2Aの各層には、各種ポリオレフィンを使用することができる。例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などを1種または2種以上をブレンドした物が挙げられる。
【0033】
本実施形態では、中間層23に粘着樹脂を用いる。中間層23に使用される粘着樹脂は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体と粘着付与樹脂からなる粒子と、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体と可塑剤からなる粒子とを混合したものである。
【0034】
前記粘着樹脂は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体と粘着付与樹脂からなる粒子(A)、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体と可塑剤からなる粒子(B)に加え、さらに主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体からなる粒子(C)を混合すると、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率を調整することができ、粘着材料の要求に応じた物性変更ができる点で好ましい。
【0035】
(C)のゴム質ブロック共重合体として、上記(A)(B)に含まれるゴム質ブロック共重合体と同じ共重合体を使用できる。また、(C)のゴム質ブロック共重合体は、(A)(B)に含まれるゴム質ブロック共重合体と同じでも異なってもよい。
【0036】
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体として、例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−ブタジエンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体などが挙げられる。好ましくは、臭気がないことからゴム質ブロック共重合体水素添加物である。
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体には、その特性を損なわない範囲において、酸化防止剤および滑剤などを加えてもよい。
【0037】
粘着付与樹脂としては、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系炭化水素)、合成ワックスなどが挙げられる。
【0038】
これらの樹脂の配合量は、ゴム質ブロック共重合体:粘着付与樹脂:可塑剤=40〜70質量%:20〜50質量%:10〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは、40〜60質量%:22〜50質量%:10〜28質量%である。この配合量から外れる場合、再接着強度が弱くなる恐れがある。
粘着樹脂は、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂および可塑剤等を、単軸押出機、二軸押出機および混練機などを用いて混練溶融して製造できる。
【0039】
なお、各層の材料の選択においては、剥離する境界面に隣接する第一の表面層21と中間層23との接着強度が、第二の表面層22と中間層23との接着強度、および第一および第二の表面層21、22と袋体1の基材フィルム11との接着強度よりも小さくなるようにすることが好ましい。
【0040】
[1−3.チャックテープ3Aの構成]
チャックテープ3Aは、一対の雄部材32および雌部材33から構成され、雄部材32は、袋体1に対して融着される帯状基部321と、断面が略鏃(やじり)形状の凸部322を備えている。また、雌部材33は、前記した雄部材32と同様に、袋体1に対して融着される帯状基部331と、凹部332とを備えている。そして、チャックテープ3Aは、雄部材32の凸部322と雌部材33の凹部332が咬合して咬合部31を形成しており、これらが離れたり咬合することにより、開封または再封が行われることとなる。
チャックテープ3Aは、多層テープ2Aで用いられた前述の樹脂を使用することができる。
【0041】
[1−4.多層テープ2Aの製造方法]
多層テープ2Aは、フィードブロック方式やマルチマニホールド方式の多層異形押出装置のほか、多層サーキュラーダイで押出した後、押しつぶしてテープ状にする方法などで製造することができる。
ここでは、3種3層からなる多層テープ2Aの製造方法を図4に基づいて説明する。
多層異形共押出機4は、3種類のポリオレフィンP、Q、Rを投入する3つのホッパー41と、投入されたポリオレフィンを押し出す押出機42と、押し出されたポリオレフィンを多層テープ2Aの形状に成形する異形ダイ43と、成形された多層テープ2Aを冷却する冷却ロール44および冷却された多層テープ2Aを巻き取る巻き取りロール45とを備えている。なお、ホッパー41および押出機42は、成形する多層テープの層の数だけ設置される。
【0042】
異形ダイ43の内部では、流路を変形させて第一の表面層21と中間層23と第二の表面層22からなる3層の多層テープ2Aを成形する。図4における異形ダイ43の斜視図が図5に示されている。図5は、一定間隔おきの異形ダイ43の断面を示しており、異形ダイ43の入口から順に431A、431B、431C,431Dとする。
断面431Aは、異形ダイ43の入口における断面図であり、各樹脂の流路432、433、434が形成されている。各流路間は、略等間隔となっている。中央に配置された流路433は粘着樹脂であり、粘着樹脂の両側の流路432および434は、ポリオレフィンである。
断面431Bでは、各流路が各層の形状に押し出され、断面431Cでは、各流路が当接し、異形ダイ43の出口である断面431Dに到達する。
断面431Dは、幅60mm×厚さ0.5mmの矩形状の流路435が一つだけ形成されている。入口では3つに分かれていた流路432、433、434が、異形ダイ43の内部で変形し(431B、431Cを参照)、出口では流路435になって、各材料が合流して3層構成の多層テープ2Aを成形する。
なお、多層テープ2Aの各層の厚さは、押出機42のスクリュー回転数の各層比率を変更し、多層テープ2Aの全厚および幅は、多層テープ2Aの引き取り速度により調整することができる。
【0043】
[1−5.包装袋100Aの製造方法]
次に、図6および図7を用いて多層テープ2Aを袋体1に装着する方法について説明する。図6には、包装袋100Aを製造する製造装置5の概略図が示され、図7には図6の各製造工程を示す概略図が示されている。
第一実施形態では、包装袋100Aを四方袋とした。袋体1の基材フィルム11には、ポリエチレンテレフタレート(PET)とナイロン(Ny)と無延伸ポリプロピレン(CPP)からなるフィルム、PETとアルミ箔(AL)とCPPからなるフィルム、PETとNyとL−LDPEからなるフィルム、PETとL−LDPEとからなる透明蒸着のフィルム、Nyとエチレンビニルアルコール(EVOH)とL−LDPEとからなるフィルムのほか、ポリプロピレン(PP)シートや、ポリエチレン(PE)とポリスチレン(PS)とからなる多層シート、NyとPEからなる多層シートの熱成形品等を使用することができる。
【0044】
図6に示すように、製造装置5は繰り出しロール51、52、53、54と、三台のロール55と、チャックテープシール装置56と、多層テープシール装置57と、超音波シール装置58と、基材フィルムシール装置59および60とを備えて構成されている。
繰り出しロール51は、多層テープ2Aを予め巻回させておき、この多層テープ2Aを送り出し、繰り出しロール52は、チャックテープ3Aを予め巻回させておき、このチャックテープ3Aを送り出し、繰り出しロール53および54は、基材フィルム11を予め巻回させておき、この基材フィルム11を送り出すものである。ロール55は、基材フィルム11を支持するものである。
【0045】
2枚の基材フィルム11が繰り出しロール53および54より連続的に製造装置5に供給されるとともに、多層テープ2Aとチャックテープ3Aも繰り出しロール51および52より製造装置5に供給され、かかる多層テープ2Aとチャックテープ3Aが、2枚の基材フィルム11の間に挟まれるように配置され、まず、チャックテープ3Aと基材フィルム11とがチャックテープシール装置56によりシールされる(図7(A))。次に、多層テープシール装置57を用いて、多層テープ2Aと、2枚の基材フィルム11とを幅7mmのヒートシールバーにて両側からシールして接着する(図7(B))。
そして、超音波シール装置58により、包装袋100Aにおける開口部14の長さの間隔で、多層テープ2Aおよびチャックテープ3Aと、基材フィルム11とが重なる部分を超音波シールにより、超音波シール部16を形成する(図7(C))。
そして、基材フィルム11の長手方向とは垂直な方向に、超音波シール部16を含み、サイドシール部12となる区画部17を基材フィルムシール装置59でシールする。その後、基材フィルムシール装置60により、包装袋100Aのトップシール部13となる区画部18をシールする(図7(D))。
最後に、基材フィルム11を、区画部17の中心線に沿って切断することにより、包装袋100Aが得られる(図7(E))。
【0046】
[1−6.第一実施形態の作用効果]
したがって、第一実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)第一実施形態では、多層テープ2Aの第一の表面層21が薄肉部211を有しているため、包装袋100Aを開封するときにこの薄肉部211が破断しやすい。そして、第一の表面層21と隣接する中間層23との間の境界面で剥離し、第一の表面層21の内容物側の端部が薄くなった薄肉部212が破断し、容易に開封することができる。特に、第一実施形態では薄肉部211にシール部15の開口部側端部151が接するるようにシールしているので、易開封性をさらに向上させることができる。
【0047】
(2)一方、シール部15の内容物側端部152は、多層テープ2Aの厚肉部213と接しているので、内容物側に圧力がかかったとしても、容易に破断されない、したがって、密封性および耐圧性を維持することができる。
【0048】
(3)第一の表面層21と、中間層23に使用される樹脂を異なるものとしたので、第一の表面層21と中間層23との境界面で剥離しやすい。したがって、易開封性を向上させることができる。
【0049】
(4)また、多層テープ2Aは、中間層23の粘着樹脂が第一の表面層21および第二の表面層22に被覆され、外部に露出していない。したがって、粘着樹脂が内容物へ溶出することがないので、内容物を加熱殺菌したときの油溶成分の溶出が減少し、衛生的である。また、多層テープ2Aの層間に内容物が浸透しないので、麻婆豆腐やカレーなどの刺激性の内容物であっても、界面接着強度を低下させることがなく、密封性に優れた包装袋を提供することができる。
【0050】
(5)中間層23に粘着樹脂を使用しているので、一度開封した後でも密封することができる。また、粘着樹脂は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体から構成されているため、臭気が少なく、また、再接着強度が高い。
【0051】
(6)さらに、チャックテープ3Aと内容物との間に多層テープ2Aにより包装袋100Aを密封しているので、輸送やレトルト処理を行っても内容物がチャックテープに付着することがない。したがって、チャックテープが汚損されず美麗な状態を維持できる。また、チャックテープから内容物が漏洩することもなく密封性を維持することができる。
【0052】
(7)多層テープ2Aと袋体1をシールしているシール部15は、多層テープ2Aの両面で位置をズラす必要がないため、一工程で形成することができる。また、シール部15の幅は7mmで、多層テープ2Aに対して大幅に短いため、シールできる位置に幅がある。したがって、シール精度が悪い場合でも、確実にシールして密封性を確保することができるとともに、第一の表面層21の薄肉部211から破断されることで易開封性も維持することができる。
すなわち、製造工程を簡単に、しかも低コストで行うことができる。
【0053】
(8)多層テープ2Aの製造において、多層異型共押出機を用いているので、一工程で製造することができ、手間およびコストがかからない。
【0054】
[2.第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を図8と図9を用いて説明する。第二実施形態の多層テープは、チャックテープと一体成形されている。多層テープ以外は第一実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0055】
[2−1.多層テープ2Bの構成]
図8は、第二実施形態の多層テープ2Bを取り付けた包装袋100Bの断面図である。
多層テープ2Bは、図8に示すように、再封可能なチャックテープ部3Bと、包装袋100Bを密封する多層部20とを有している。
チャックテープ部3Bは、第一実施形態のチャックテープ3Aと同様に、一対の雄部材32および雌部材33から構成され、袋体1に対して融着される帯状基部321および331をそれぞれ有している。チャックテープ部3Bは、雄部材32と雌部材33が咬合することで咬合部31を形成しており、これらが離れたり咬合することにより、開封または再封が行われる。
【0056】
多層部20は、チャックテープ部3Bの帯状基部331が内容物側に向かって幅広に形成された幅広部に一体的に形成されている。
多層部20の断面形状は、第一実施形態と同様である。最外層である第一の表面層21と、第二の表面層22と、これらの間に配置された中間層23とを備えた3層構造で、第一の表面層21は、多層テープ2Bの幅方向に沿って厚さが不均一となっている。シール部15は、多層部20の略中央に位置するようにシールされることによって形成される。
【0057】
このような構成の多層テープ2Bは、図9に示すように、薄肉部211が破断し、第一の表面層21と中間層23との境界面で剥離する。そして、薄肉部212が破断し、開封することができる。
多層テープ2Bの各層に用いられる樹脂は、第一実施形態と同様であるが、第二実施形態では、2種3層構造とした。第一の表面層21および第二の表面層22には同種のポリオレフィンを用い、中間層23には粘着樹脂を用いた。
なお、多層テープ2Bは、第一実施形態で用いた多層異形共押出機4の異形ダイを、多層テープ2Bの形状とした異形ダイに代えることで製造することができる。
【0058】
したがって、第二実施形態では、第一実施形態と同様の作用効果と、以下の作用効果を奏することができる。
(9)第二実施形態では、チャックテープ部3Bを一体化した多層テープ2Bとしたので、多層異形共押出機4によって、一工程でチャックテープの機能を備えた多層テープ2Bを製造することができる。また、袋体1に多層テープ2Bを取り付ける工程で2枚の基材フィルム11の間に多層テープ2Bを挿入するときの位置決めおよび溶着も簡単に行うことができる。
【0059】
[3.第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図10を用いて説明する。第三実施形態の多層テープ2Cは、2層構成で、包装袋100Cの内面に取り付けられている。多層テープ2C以外は、第一実施形態と同様であるので、説明は省略する。
[3−1.多層テープ2Cの構成]
図10は第三実施形態の多層テープ2Cの断面図である。
図10に示すように、多層テープ2Cは断面略矩形状で、第一の表面層21と、第二の表面層22とを備えた2層構造である。
【0060】
多層テープ2Cの断面において、第一の表面層21と第二の表面層22は、多層テープ2Cの幅方向に沿って厚さが不均一となっている。第一の表面層21において、開口部側は薄く形成された薄肉部211となっている。また、内容物側は薄肉部211より厚く形成された厚肉部213となっている。第三実施形態では、薄肉部211が破断しやすいまたは剥離しやすい部位、厚肉部213が破断しにくいまたは剥離しにくい部位である。
【0061】
多層テープ2Cの各層には、第一実施形態で使用した各種ポリオレフィンを使用することができる。第一の表面層21と第二の表面層22に使用される樹脂は、これら2層と基材フィルム11との接着強度より弱い接着強度である樹脂の組み合わせが、易開封性を得るという点で好ましい。たとえば、基材フィルム11にLLDPEを使用し、第一の表面層21にLDPEを、第二の表面層22にRPPを使用する。LDPEとRPPとの接着強度は、LLDPEとLDPEとの接着強度およびLLDPEとRPPとの接着強度よりも弱い。したがって、LDPE(第一の表面層21)とRPP(第二の表面層22)との境界面で剥離する。
多層テープ2Cは、袋体1の対向する基材フィルム11に挟まれるようにシールされ、シール部15を形成する。シール部15は多層テープ2Aの略中央に位置するようにシールされる。
【0062】
このような構成の多層テープ2Cは、図10の破線で示したように、第一の表面層21の薄肉部211が破断し、第一の表面層21と第二の表面層22との境界面で剥離して包装袋100Cを開封することができる。
【0063】
[3−2.多層テープ2Cの製造方法]
多層テープ2Cは、第一実施形態と同様に、多層異形共押出機4により一工程で製造することができる。ただし、多層テープ2Cは2層構造であるので、ホッパー、押出機および異形ダイの入口における流路は2つずつで構成される。これにより、第一実施形態と同様の製造方法により、多層テープ2Cを成形する。
したがって、第三実施形態では、第一実施形態の(1)(2)(3)(6)(7)(8)と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
[4.第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図11を用いて説明する。第四実施形態の多層テープ2Dは、3層構成である。多層テープ2Dの断面形状以外は、第一実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0065】
[4−1.多層テープ2Dの構成]
図11は第四実施形態の多層テープ2Dの断面図である。
図11に示すように、多層テープ2Dの断面において、第一の表面層21は第二の表面層22よりも短く、包装袋100Dの開口部側において中間層23が多層テープ2Dの表面に露出した形状となっている。
【0066】
第一の表面層21は、厚く形成された厚肉部213と、薄く形成された薄肉部212とを有している。第四実施形態では、第一の表面層21と中間層23との境界部Sが破断しやすいまたは剥離しやすい部位であり、厚肉部213が破断しにくいまたは剥離しにくい部位である。
このような形状であれば、図11の破線で示したように、中間層23と第一の表面層21との境界部Sから破断し、これらの層の境界面で剥離する。そして、薄肉部212が破断して包装袋100Dを開封することができる。
したがって、第四実施形態では、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
[5.本発明の変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、多層テープ2の断面形状は、第一実施形態から第四実施形態に示したものに限られず、たとえば以下のような形状でもよい。
【0068】
3層構造の場合は、図12に示すように、中間層23が包装袋100の内容物側において露出した形状でもよい。この場合、中間層23に使用する樹脂は安全性の高いものを使用する必要がある。このような形状の多層テープ2は、破線に沿って剥離する。
さらに、これら以外にも図13から図17に示すような断面形状の多層テープでもよい。これらの断面形状であれば、各図の破線で示したように、第一の表面層21の薄肉部211または第一の表面層21と中間層23との境界部Sが破断し、第一の表面層21と中間層23との境界面で剥離する。
【0069】
2層構造の場合は、図18から図21に示すような断面形状の多層テープでもよい。これらの断面形状であれば、各図の破線で示したように、第一の表面層21の薄肉部211または第一の表面層21と第二の表面層22との境界部Sが破断し、第一の表面層21と第二の表面層22との境界面で剥離する。
【0070】
また、多層テープは、第一実施形態および第二実施形態の3層構造、および第三実施形態の2層構造に限られない。たとえば、3種類の樹脂からなる4層構造で形成されていてもよい。この場合の樹脂の組み合わせとしては、RPP/HPP/LDPEまたはHDPEまたはLLDPE/RPP、RPP/BPP/HPPとLDPEとのブレンド/RPP、RPP/BPP/HPP+LDPE+HDPE/RPP、LLDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/HDPE/LLDPE、LDPE/HPPまたはBPPまたはRPP/HDPE/LDPEなどが挙げられる。このように、表面層を同じ樹脂にすることによって、ヒートシール温度を同じにすることができるため、両側の表面層の収縮率が同じになる。したがって、包装袋がカールせず、見た目の美しい包装袋を提供することができる。
【0071】
さらに、前記実施形態では、多層テープ2の超音波シール部16がサイドシール部12の端まで形成されていたが、図22のように、多層テープ2の長さを短くして超音波シール部16をサイドシール部12の内側のみに形成してもよい。これにより、サイドシール部12の端縁は、基材フィルム11同士でシールされるので、密封性がさらに向上する。
【実施例1】
【0072】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
実施例1、2および比較例1に示される方法で作製した多層テープを取り付けた包装袋の密封性と開封性を評価した。
【0073】
[実施例1]
チャックテープと一体化した多層テープを作製した。なお、多層部の層構成は、2種類の樹脂で3層構成とし、多層部の断面形状は、第一実施形態と同様の形状とした。使用した樹脂は以下の通りである。
【0074】
A.チャックテープ部の雌部材および多層部の両側の表面層:RPP(商品名「プライムポリプロF−744NP」、(株)プライムポリマー製、MI=7g/10min、密度0.9)
B.多層部の中間層:LLDPE(商品名「モアテック0628G」、(株)プライムポリマー製、MI=6g/10min、密度0.916)
C.チャックテープ部の雄部材:RPP(商品名「プライムポリプロF−744NP」、(株)プライムポリマー製、MI=7g/10min、密度0.9)
【0075】
上記AおよびBの樹脂を多層異形共押出機のホッパーにそれぞれ投入し、多層部の内側にある表面層は30mmφの押出機を用い、雌部材と多層部の外側にある表面層は40mmφの押出機を用い、多層部の中間層は30mmφの押出機を用いて異形押出によりチャックテープと一体化した多層テープを成形した。なお、多層テープの断面形状の寸法は、多層部の長さ15mm、チャックテープ部の長さ20mm、帯状基部の厚さ0.15mm、表面層の薄肉部の厚さ0.01μm、厚肉部の厚さ0.06μmとした。
また、Cの樹脂を多層異形共押出機のホッパーに投入し、雄部材を成形した。
【0076】
次に、多層テープを袋体に取り付けて製袋した。袋体に使用された基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム(AL)/ナイロン(Ny)/無延伸ポリプロピレン(CPP)からなる多層フィルムである。
2本のロールから繰り出された2枚の基材フィルムのCPP面どうしを向かい合わせた状態で製袋機に供給させるとともに、2枚の基材フィルムの間に雌雄部材を咬合させた多層テープを挿入し、CPP面に熱接着させた。
次に、雌部材と連結した多層部と、対向する基材フィルムのCPP面とを、幅7mmのヒートシールバーによりシールした。
そして、先端が35mm×20mmの超音波ホーンにより、2枚の基材フィルムと多層テープの端部を潰すようにしてシールした後、この超音波シール部の位置に合わせて包装袋の三方をシールし、カットした。なお、包装袋の外寸は、140mm×190mmである。
【0077】
[実施例2]
実施例2では、中間層に粘着樹脂を使用した以外は、実施例1と同様の方法で多層テープを作製した後、この多層テープを袋体に取り付けて包装袋を作製した。使用した粘着樹脂は、以下の材料を2:1:2の割合でドライブレンドして用いた。
【0078】
材料1:ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(商品名「クインタック3520」、日本ゼオン(株)製、MFR=7/10min(200℃、荷重5kg)、比重0.93)25質量%に対し、C5−方向族系共重合水素添加樹脂粒子(商品名「アイマーブP−125」、出光興産(株)製、軟化点125℃、密度1.03g/m(20℃))75質量%を混合したもの100質量部に、酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャリティケミカル(株)製)を1質量部加えて攪拌混合した。この後、二軸押出機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出し、さらにこれをカッティングし造粒した。
【0079】
材料2:ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(商品名「クインタック3520」、日本ゼオン(株)製、MFR=7g/10min(200℃、荷重5kg)、比重0.93)40質量%に対し、プロセスオイル(商品名「プロセスオイルダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産(株)製、密度0.8722g/m(15℃))60質量%を加えて攪拌混合した後、二軸押出機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出し、さらにこれをカッティングして造粒した。造粒品は梱包保管中、粒子同士のブロッキングを防ぐためにタルク粉0.2質量部を外添した。
【0080】
材料3:スチレン系ゴム質ブロック共重合体(商品名「クインタックSL−125」、日本ゼオン(株)製、MFR=17g/10min(200℃、荷重5kg)、比重0.93)
【0081】
[比較例1]
チャックテープを異形押出機により成形し、袋体の内面に取り付けて包装袋を作成した。樹脂は、実施例1でチャックテープ部に使用したものと同様のものを使用した。
【0082】
[接着強度の評価]
接着強度の評価を行った。多層テープのヒートシール部を、ヒートシール部に対して直角に幅15mmに切り取り、(株)イマダ製デジタル フォースゲージ MODEL−DPSIIを用いて開口部側と内容物側の接着強度を測定した。なお、一般に、密封性を示すには23N/15mm以上、易開封性を示すには12N/15mm以下であることが目安とされている。
また、実施例2については、再封したときの接着強度についても同様に評価した。再封時の密封性は、通常は4N/15mm程度しか得られないことが知られている。
【0083】
[製袋品の評価]
市販のレトルトカレー150gを充填し、密封した後、120℃で30分間、0.2MPaの圧力で、定圧熱水レトルト処理を行った。
評価結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
実施例1および実施例2の未開封時の内容物側の接着強度は23N/15mm以上となっており、十分な密封性があることが確認できた。また、製袋品のレトルトカレーの評価についても、内容物がチャックテープの咬合部へ漏洩することなく、開封後のチャックテープは美麗であった。
さらに、実施例1および実施例2の未開封時の開口部側の接着強度は12N/15mm以下となっており、易開封性も備えていることが確認できた。
実施例2では、再封時の接着強度が10N/15mmとなっており、非常に強い再接着強度が得られた。
一方、比較例1では、内容物がチャックテープ咬合部にしみ込み、開封後のチャックテープが汚れていた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、食品や薬品を収納する包装袋などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる包装袋を示す正面図。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる図1のII-II断面図。
【図3】図2において、開封した状態を示す断面図。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる多層テープの製造方法を示す概略図。
【図5】図4における異形ダイの断面を示す斜視図。
【図6】本発明の第一実施形態にかかる包装袋の製造方法を示す概略図。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる包装袋の各製造工程を示す概略図。
【図8】本発明の第二実施形態にかかる図1のII-II断面図。
【図9】図8において、開封した状態を示す断面図。
【図10】本発明の第三実施形態にかかる多層テープの断面図。
【図11】本発明の第四実施形態にかかる多層テープの断面図。
【図12】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図13】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図14】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図15】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図16】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図17】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図18】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図19】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図20】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図21】本発明の変形例にかかる多層テープの断面図。
【図22】本発明の変形例にかかる包装袋を示す正面図。
【符号の説明】
【0088】
100…包装袋
1…袋体
15…ヒートシール部
2…多層テープ
21…第一の表面層
22…第二の表面層
23…中間層
3…チャックテープ
31…咬合部
32…雄部材
33…雌部材
321、331…帯状基部
4…多層異形共押出機
5…製造装置
S…境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層されるとともに包装体の内面で狭着してシールされることによりシール部が形成される多層テープであって、
該多層テープの表面を形成する第一の表面層と第二の表面層の少なくとも2層からなり、
前記第一の表面層と前記第二の表面層のうちいずれか一方の表面層は、前記多層テープ断面方向の前記シール部において厚みが均一でなく、破断しやすいまたは剥離しやすい部位と破断しにくいまたは剥離しにくい部位とを有するとともに、
該多層テープの表面は前記シール部において略平滑に形成されていることを特徴とする多層テープ。
【請求項2】
請求項1に記載の多層テープにおいて、
前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位は薄く形成され、
前記破断しにくいまたは剥離しにくい部位は厚く形成されていることを特徴とする多層テープ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の多層テープにおいて、
前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位は、該表面層と該表面層に隣接する層との境界部であることを特徴とする多層テープ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の多層テープにおいて、
前記シール部は、その開口部側端部が前記破断しやすいまたは剥離しやすい部位に接し、さらに、その内容物側端部が前記破断しにくいまたは剥離しにくい部位に接することを特徴とする多層テープ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の多層テープにおいて、
前記第一の表面層と前記第二の表面層との間に、前記第一の表面層および前記第二の表面層に使用される樹脂とは異なる樹脂で形成された中間層が設けられていることを特徴とする多層テープ。
【請求項6】
請求項5に記載の多層テープにおいて、
前記中間層は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤からなる粘着樹脂からなることを特徴とする多層テープ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の多層テープにおいて、
該多層テープを包装体に取り付けたとき、前記中間層は、該多層テープの断面において、その端部が内容物側に露出していないことを特徴とする多層テープ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の多層テープにおいて、
帯状基部がそれぞれ連接した一対の雌雄部材を備えたチャックテープのいずれか一方の部材と連結したことを特徴とする多層テープ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の多層テープの製造方法であって、
異形共押出法によって製造されることを特徴とする多層テープの製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の多層テープが互いに対向する包装体内面に取り付けられたことを特徴とする包装体。
【請求項11】
請求項10に記載の包装体において、
前記多層テープより開口部側の包装体内面にチャックテープが取り付けられたことを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−221486(P2008−221486A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59065(P2007−59065)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】