説明

多層微多孔フィルム

本発明の実施形態は、第1および第2の層を含む微多孔膜に関する。第1の層は、20.0重量%以下のポリメチルペンテンを含み、第2の層は、相溶化剤を含む。本発明は、かかる膜の作製方法およびバッテリーセパレータフィルムとしてのかかる膜の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年1月27日出願の米国特許出願第61/298,752号の優先権を主張し、2010年1月27日出願の米国特許出願第61/298,756号、2009年6月19日出願の米国特許出願第61/218,720号、2010年5月20日出願の米国特許出願第61/346,675号、および2010年6月4日出願の米国特許出願第61/351,380号の利益および優先権を主張し、それらの全てはその全体が参照により組み込まれるものとする。
【0002】
本発明の実施形態は、第1および第2の層を含む微多孔膜に関する。第1の層は、20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含み、第2の層は、相溶化剤を含む。本発明は、かかる膜の作製方法およびバッテリーセパレータフィルムとしてのかかる膜の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
微多孔膜は、リチウムイオン電池等におけるバッテリーセパレータフィルム(「BSF」)として使用することができる。電気自動車およびハイブリッド電気自動車の動力源として使用することができる電池等の大容量電池は、BSFのメルトダウン温度および突刺強度を上げることによって、多孔性、透過性、および熱安定性(熱収縮)等の他の重要な膜特性を有意に低下させることなく改善することが可能であった。強度を上げることは、BSF故障に起因する内部短絡のリスクを低減するので、重要である。
【0004】
(i)ポリメチルペンテンおよびポリエチレンならびに(ii)ポリメチルペンテンおよびポリプロピレンを含む単層BSFは200℃以上のメルトダウン温度を有するが、これらのフィルムは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含むBSFよりも低い突刺強度を有する。
【発明の概要】
【0005】
ある実施形態においては、本発明は、膜であって、
(a)第1の層の重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1の層と、
(b)(i)相溶化剤を含み、かつ(ii)第1の層の組成と実質的に同じではない組成を有する第2の層とを含み、微多孔性であり寸法安定性のある、
膜に関する。
【0006】
別の実施形態においては、本発明は、微多孔膜の製造方法であって、
(a)第1の希釈剤と、第1のポリマーの重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1のポリマーブレンドとを含む第1の混合物を形成する工程、
(b)第2の希釈剤と、相溶化剤を含む第2のポリマーブレンドとを含む第2の混合物を形成する工程、
(c)第3の希釈剤と、第3のポリマーの重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第3のポリマーブレンドとを含む第3の混合物を形成する工程、
(d)第1の混合物を含む第1の層と、第3の混合物を含む第3の層と、第2の混合物を含み第1および第3の層の間に位置する第2の層とを含むシートを製造する工程、ならびに
(e)第1、第2、および第3の希釈剤の少なくとも一部をシートから除去する工程
を含む微多孔膜の製造方法に関する。
本発明は、かかる方法によって製造される膜にも関する。
【0007】
さらに別の実施形態においては、本発明は、負極と、正極と、電解質と、負極と正極の間に位置する少なくとも1つのセパレータとを含む電池であって、セパレータが、第1の層の重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1の層と、相溶化剤を含む第2の層とを含み、セパレータが、微多孔性であり寸法安定性のある膜である、電池に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(膜の重量を基準として)20.0重量%以上のポリメチルペンテンおよび60.0重量%以下のポリエチレンを含む微多孔膜は、比較的高いメルトダウン温度および比較的小さい熱収縮を有するが、比較的低い強度を有する。100重量%のポリエチレンまたはポリエチレンとポリプロピレンとの混合物を含む微多孔膜は、より高い強度を有するが、より低いメルトダウン温度およびより大きい熱収縮を有する。(第1の層の重量を基準として)20.0重量%以上のポリメチルペンテンおよび60.0重量%以下のポリエチレンを含む第1の層と、ポリエチレンを含む第2の層とを含む多層膜は、剥離等の寸法不安定性を示すことがあることがわかっている。本発明は、ポリメチルペンテンを含む第1の層と、第1の層のポリメチルペンテンと相溶する種(例えば相溶化剤)を含む第2の層とを有する多層微多孔膜の発見に一部基づいている。かかる膜は、第2の層内に相溶化剤を含有しない膜と比べて寸法安定性が向上している(例えば、剥離に対してより抵抗性である)ことがわかっている。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「ポリマー」という用語は、複数の高分子を含む組成物を意味し、これらの高分子は1種または複数のモノマーに由来する繰返し単位を含む。高分子は、大きさ、分子構造、原子含有量等が異なっていてもよい。「ポリマー」という用語は、コポリマー、ターポリマー等の高分子を含む。「ポリエチレン」は、50.0%以上(個数基準)のエチレン由来の繰返し単位、好ましくは、ポリエチレンホモポリマー、および/または繰返し単位の少なくとも85%(個数基準)がエチレン単位であるポリエチレンコポリマーを含有するポリオレフィンを意味する。「ポリプロピレン」は、50.0%超(個数基準)のプロピレン由来の繰返し単位、好ましくは、ポリプロピレンホモポリマー、および/または繰返し単位の少なくとも85%(個数基準)がプロピレン単位であるポリプロピレンコポリマーを含有するポリオレフィンを意味する。「ポリメチルペンテン」は、50.0%以上(個数基準)のメチルペンテン由来の繰返し単位、好ましくは、ポリメチルペンテンホモポリマー、および/または繰返し単位の少なくとも85%(個数基準)がメチルペンテン単位であるポリメチルペンテンコポリマーを含有するポリオレフィンを意味する。「微多孔膜」は、細孔を有する薄膜であって、膜の細孔量の90.0パーセント以上(体積基準)が0.01μm〜10.0μmの範囲の平均直径を有する細孔にある膜である。押出物から製造される膜に関しては、機械方向(「MD」)は、ダイから押出物が製造される方向と定義される。横方向(「TD」)は、押出物のMDおよび厚さ方向の両方に対して垂直な方向と定義される。
【0010】
ある実施形態においては、本発明は、少なくとも2つの層を有し、かつ比較的高い強度、メルトダウン温度、および熱安定性を有する、寸法安定性のある微多孔膜に関する。1つまたは複数の実施形態の膜は、第1の層内に20.0重量%以上のポリメチルペンテンが存在することに由来して比較的高いメルトダウン温度および比較的小さい熱収縮を有し、第2の層内にポリエチレンが存在することに由来して比較的高い強度を有する。かかる膜は、第2の層内に有効量の相溶化剤が存在することが原因で、より剥離しにくいと考えられる。以下、選択された実施形態についてさらに詳細に説明するが、この説明は本発明のより広い範囲内にある他の実施形態を除外することを意図するものではない。
層の構成成分
【0011】
ある実施形態においては、第1の層は、第1の層の重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含み、第2の層は、ポリマー、およびポリメチルペンテンと相溶する種を含む。
ポリメチルペンテン
【0012】
ある実施形態においては、ポリメチルペンテン(「PMP」)は、繰返し単位の少なくとも80.0%(個数基準)がメチルペンテン単位であるポリマーまたはコポリマーを含む。望ましいPMPは、例えば200.0℃〜250.0℃の範囲、例えば210.0℃〜240.0℃、または約220.0℃〜約230.0℃といった、200.0℃以上の融解温度(Tm)を有する。膜が240.0℃超、また特に250.0℃超のTmを有するPMPを含有する場合、170.0℃超の温度にさらされた時に機械的強度の喪失しない膜を製造することがより困難であるということが認められている。いかなる理論またはモデルにも拘束されることを望まないが、これはPEのTmとPMPのTmの差が大きい場合にPMPとPEとの均一な混合物の製造が困難であることが原因である、と考えられる。また、膜が200.0℃未満のTmを有するPMPを含有する場合、比較的高いメルトダウン温度を有する膜を製造することがより困難であるということも認められている。PMPのTmは、ポリプロピレンについて以下に説明する方法と同様の示差走査熱量測定法で決定することができる。
【0013】
ある実施形態においては、PMPは、例えば約0.5dg/分〜60.0dg/分、例えば約1dg/分〜約30dg/分、例えば10dg/分〜40dg/分の範囲といった、80.0dg/分以下のメルトフローレート(「MFR」、ASTM D 1238に従って測定;260℃/5.0kg)を有する。PMPのMFRが80.0dg/分超であると、比較的高いメルトダウン温度を有する膜を製造することがより困難となり得る。1つまたは複数の実施形態においては、PMPは、1.0×10〜4.0×10の範囲のMwを有する。PMPのMwは、"Macromolecules, Vol. 38, pp. 7181-7183 (2005)"に例示されている、ポリプロピレンについて以下に説明する方法と同様のゲル浸透クロマトグラフィー法で決定することができる。
【0014】
PMPは、例えば、(チタン、またはチタンとマグネシウムを含有する触媒系等の)チーグラー・ナッタ触媒系または「シングルサイト触媒」を用いる重合プロセスで製造することができる。ある実施形態においては、PMPは、4−メチルペンテン−1またはメチルペンテン−1等のメチルペンテン−1モノマーをα−オレフィン等の1つまたは複数のコモノマーとともに用いて配位重合により製造される。所望によりα−オレフィンは、ブタン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクタン−1、ノネン−1、およびデセン−1の1つまたは複数である。シクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、ノルボルネン、トリシクロ−3−デセン等の、環状コモノマー(1つまたは複数)を用いてもよい。ある実施形態においては、コモノマーはヘキセン−1である。PMP中のコモノマー含有量は、通常は20.0モル%以下である。
【0015】
PMPは、例えば240.0℃以下といった250.0℃以下のTmを有する混合物を製造するために、PMPの混合物(例えば乾燥混合または反応器ブレンド)であってもよい。
ポリエチレン
【0016】
特定の実施形態においては、ポリエチレン(「PE」)は、2つ以上のポリエチレン(以下に記載の「PE1」、「PE2」、「PE3」、「PE4」等)の混合物等の、PEの混合物または反応器ブレンドを含んでもよい。例えばPEは、(i)第1のPE(PE1)および/または第2のPE(PE2)と(ii)第4のPE(PE4)とのブレンドを含んでもよい。所望により、これらの実施形態は第3のPE(PE3)をさらに含んでもよい。
PE1
【0017】
ある実施形態においては、第1のPE(「PE1」)は、例えば、例えば約1.0×10〜約0.90×10の範囲といった、1.0×10未満のMw、約2.0〜約50.0の範囲の分子量分布(「MWD」、Mwを数平均分子量「Mn」で割ったものと定義される)、および炭素原子1.0×10個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するものであってもよい。所望によりPE1は、約4.0×10〜約6.0×10の範囲のMwおよび約3.0〜約10.0のMWDを有する。所望によりPE1は、炭素原子1.0×10個当たり0.14以下、または炭素原子1.0×10個当たり0.12以下、例えば炭素原子1.0×10個当たり0.05〜0.14の範囲(例えば、測定の検出限界よりも下)の末端不飽和基量を有する。PE1は、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製のSUNFINE(登録商標)、SH-800(登録商標)またはSH-810(登録商標)高密度ポリエチレンであってもよい。
PE2
【0018】
ある実施形態においては、第2のPE(「PE2」)は、例えば、例えば約2.0×10〜約0.9×10の範囲といった、1.0×10未満のMw、約2〜約50の範囲のMWD、および炭素原子1.0×10個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有するPEであってもよい。所望によりPE2は、炭素原子1.0×10個当たり0.30以上、または炭素原子1.0×10個当たり0.50以上、例えば炭素原子1.0×10個当たり約0.6〜約10.0の範囲の末端不飽和基量を有する。PE2の非限定的な例としては、例えば約7.5×10といった、約3.0×10〜約8.0×10の範囲のMw、および約4〜約15のMWDを有するものがある。PE2は、例えば、バセル(Basell)社製のLupolen(登録商標)であってもよい。
【0019】
PE1および/またはPE2は、例えばエチレンホモポリマー、またはα−オレフィン等の1種または複数のコモノマーをモル比で100%のコポリマーを基準として5.0モル%以下で含有するエチレン/α−オレフィンコポリマーであってもよい。所望によりα−オレフィンは、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、またはスチレンの1種または複数である。かかるPEは、132℃以上の融点を有してもよい。PE1は、例えばチーグラー・ナッタ触媒またはシングルサイト重合触媒を用いるプロセスで製造することができるが、これは必須ではない。末端不飽和基量は、例えばPCT公開第WO97/23554号に記載の手順に従って測定することができる。PE2は、例えばクロム含有触媒を用いて製造することができる。
PE3
【0020】
ある実施形態においては、PE3は、例えば、130.0℃以下のTmを有するPEであってもよい。130.0℃以下のTmを有するPE3を用いると、例えば130.5℃以下のシャットダウン温度といった、望ましいほどに低いシャットダウン温度を有する最終膜を得ることができる。
【0021】
所望によりPE3は、例えば105.0℃〜130.0℃、例えば115.0℃〜126.0℃の範囲といった、85.0℃以上のTmを有する。所望によりPE3は、例えば1.0×10〜4.0×10の範囲、例えば1.5×10〜約3.0×10の範囲といった、5.0×10以下のMwを有する。所望によりPE3は、例えば1.8〜3.5といった、2.0〜5.0の範囲のMWDを有する。所望によりPE3は、0.905g/cm〜0.935g/cmの範囲の質量密度を有する。ポリエチレンの質量密度はASTM D1505に従って決定する。
【0022】
ある実施形態においては、PE3は、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、または他のモノマーの1つまたは複数等の5.0モル%以下のコモノマーとのコポリマーである。所望により、コモノマーの量は1.0モル%〜5.0モル%の範囲である。ある実施形態においては、コモノマーはヘキセン−1および/またはオクテン−1である。
【0023】
PE3は、チーグラー・ナッタ触媒またはシングルサイト重合触媒を用いるプロセス等のいずれかの都合のよいプロセスで製造することができる。所望によりPE3は、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、中密度ポリエチレン、分岐状LDPE、またはメタロセン触媒により製造されるポリエチレン等の直鎖状低密度ポリエチレンの1つまたは複数である。PE3は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,084,534号に開示されている方法(例えば当該特許の実施例27および41に開示されている方法)に従って製造することができる。
PE4
【0024】
ある実施形態においては、第4のPE(「PE4」)は、例えば、例えば約1.0×10〜約5.0×10の範囲といった1.0×10以上のMwおよび約1.2〜約50.0のMWDを有するものであってもよい。PE4の非限定的な例としては、例えば約2.0×10といった、約1.0×10〜約3.0×10のMw、および約2.0〜約20.0、好ましくは約4.0〜約15.0のMWDを有するものがある。PE4は、例えば、エチレンホモポリマー、またはモル比で100%のコポリマーを基準として5.0モル%以下のα−オレフィン等の1種または複数のコモノマーを含有するエチレン/α−オレフィンコポリマーであってもよい。コモノマーは、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、またはスチレンの1つまたは複数であってもよい。かかるポリマーまたはコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒またはシングルサイト触媒を用いて製造することができるが、これは必須ではない。かかるPEは、134℃以上の融点を有してもよい。PE4は、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、例えば三井化学株式会社製のHI-ZEX MILLION(登録商標)、240-m(登録商標)ポリエチレンであってもよい。
【0025】
PE1〜PE4の融点は、例えばPCT特許公開第WO2008/140835号に開示されている方法を用いて決定することができる。
ポリプロピレン
【0026】
ある実施形態においては、ポリプロピレン(「PP」)は、例えば、例えば7.5×10以上、例えば約0.8×10〜約2.0×10の範囲、例えば約0.9×10〜約3.0×10の範囲といった、6.0×10以上のMwを有するPPであってもよい。所望によりPPは、160.0℃以上のTm、および例えば100.0J/g以上、例えば110J/g〜120J/gの範囲といった、90.0J/g以上の融解熱(「ΔHm」)を有する。所望によりPPは、例えば約1.5〜約10.0の範囲、例えば約2.0〜約8.5の範囲、または2.5〜6.0の範囲といった、20.0以下のMWDを有する。所望によりPPは、プロピレンと5.0モル%以下のコモノマーとのコポリマー(ランダムまたはブロック)であり、コモノマーは、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、およびスチレン等の1つまたは複数のα−オレフィン、またはブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等の1つまたは複数のジオレフィンである。
【0027】
ある実施形態においては、PPはアイソタクチックポリプロピレンである。用語「アイソタクチックポリプロピレン」は、(アイソタクチックPPの合計モル数を基準として)約50.0モル%mmmmペンタッド以上、所望により約94.0モル%mmmmペンタッド以上、または好ましくは96.0モル%mmmmペンタッド以上のメソペンタッド分率を有するPPを意味する。ある実施形態においては、PPは、(a)約90.0モル%mmmmペンタッド以上、好ましくは94.0モル%mmmmペンタッド以上のメソペンタッド分率、および(b)例えば炭素原子1.0×10個当たり約20以下といった、炭素原子1.0×10個当たり約50.0以下の立体的欠陥量、または例えば炭素原子1.0×10個当たり約5.0以下といった、炭素原子1.0×10個当たり約10.0以下の立体的欠陥量を有する。所望によりPPは、以下の特性の1つまたは複数を有する:(i)162.0℃以上のTm、(ii)230℃の温度および25秒−1のひずみ速度における、約5.0×10Pa秒以上の伸張粘度、(iii)約230℃の温度および25秒−1のひずみ速度にて測定した場合の、約15以上のトルートン比、(iv)約0.1dg/分以下、所望により約0.01dg/分以下(すなわち、値が低く事実上MFRが測定不能)のメルトフローレート(「MFR」;ASTM D-1238-95 条件L、230℃および2.16kgにて)、または(v)PPの重量を基準として、例えば0.2重量%以下、例えば0.1重量%以下といった、0.5重量%以下の抽出可能な種の量(PPと沸騰キシレンとを接触させることにより抽出可能)。
【0028】
ある実施形態においては、PPは、約0.8×10〜約3.0×10、所望により0.9×10〜約2.0×10の範囲のMw、例えば約2.0〜約8.5、所望により2.0〜6.0の範囲といった、8.5以下のMWD、および90.0J/g以上のΔHmを有するアイソタクチックPPである。通常は、かかるPPは、94.0モル%mmmmペンタッド以上のメソペンタッド分率、炭素原子1.0×10個当たり約5.0以下の立体的欠陥量、および162.0℃以上のTmを有する。
【0029】
PPの非限定的な例、ならびにPPのTm、メソペンタッド分率、立体規則性、固有粘度、トルートン比、立体的欠陥、および抽出可能な種の量の決定方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT特許公開第WO2008/140835号に記載されている。
【0030】
PPのΔHmは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT特許公開第WO2007/132942号に開示されている方法で決定する。Tmは、パーキンエルマーインスツルメント社製、model Pyris 1 DSCによって得た示差走査熱量測定(DSC)デ−タから決定することができる。約5.5〜6.5mgの重量の試料をアルミニウム製の試料パンに封入する。DSCデータを、まず初めに、第一融解(デ−タは記録せず)と呼ぶ、試料を10℃/分の速度で230℃に加熱することにより記録する。冷却加熱サイクルを適用する前に、試料を10分間230℃に保持する。次いで、試料を10℃/分の速度で230℃から25℃に冷却(「結晶化」と呼ぶ)した後、10分間25℃に保持し、次いで10℃/分の速度で230℃に加熱(「第二融解」と呼ぶ)する。結晶化と第二融解の両方における熱事象を記録する。融解温度(T)は第2の融解曲線のピーク温度であり、結晶化温度(T)は結晶化ピークのピーク温度である。
相溶化剤
【0031】
1つまたは複数の実施形態においては、相溶化剤は、有効量で使用された場合に膜の寸法安定性を向上させる(例えば剥離を防止する)組成物(例えばポリマーまたはポリマーブレンド)である。相溶化剤(「相溶化剤」と呼ぶ)は、ポリマー、または反応器ブレンドもしくは乾燥混合物等のポリマーの混合物であってもよい。いかなる理論またはモデルにも拘束されることを望まないが、相溶化剤は、第2の層内に有効量以上の量で存在した場合、比較的高いPE含有量を有する層(例えば第2の層)と比較的高いPMP含有量を有する層(例えば第1の層)の間の親和性を(例えば表面張力を小さくすることにより)高めることがあると考えられる。
【0032】
一実施形態においては、第1の層は、20.0重量%以上のPMPを含み、第2の層は、PEおよび相溶化剤を含み、相溶化剤は、例えば、第1および第2の層間の親和性を高めるポリマーまたはポリマー混合物である。ある実施形態においては、相溶化剤は、(i)ポリマー(ポリマーの混合物を含む)を含み、かつ(ii)以下の関係を満たす:
1.相溶化剤は、19(MPa)1/2以下のヒルデブランド溶解パラメータを有する。
2.相溶化剤は、第2の層のPEの融点(T2)より高い融点(Tp)を有する。
3.相溶化剤は、第1の層のPMPの融点(T1)以下の融点を有する。
4.T1−Tpは、例えば75.0℃以下、例えば65.0℃以下といった、90.0℃以下である。
5.Tp−T2は、例えば40.0℃以下、例えば30.0℃以下といった、120.0℃以下である。
【0033】
特定の実施形態においては、相溶化剤は、ポリ(α−オレフィン)を含むがPEホモポリマーは含まない。例えば、相溶化剤は、PP、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、PMP、ポリオクテン−1、およびポリヘキセン−1等の炭素数3以上のポリ(α−オレフィン)の1つまたは複数に由来するポリマーまたはコポリマーであってもよい。特定の実施形態においては、相溶化剤は、PMPとPPとのブレンドを含んでもよい。ブレンドを用いる場合、PMPとPPの重量比(相溶化剤の重量を基準とする)は、例えば約20:1〜0.05:1の範囲であってもよく、他の実施形態においては5:1〜0.2:1、また他の実施形態においては2:1〜0.5:1であってもよい。
【0034】
これらの、または他の実施形態においては、相溶化剤は、約0.8×10〜約3.0×10の範囲のMw、約2.0〜約8.5の範囲のMWD、および90.0J/g以上のΔHmを有するアイソタクチックPP等の、比較的高い結晶化度を有するポリマーを含む。
他の種
【0035】
所望により、無機種(ケイ素および/またはアルミニウム原子を含有する種等)、ならびに/またはPCT公開第WO2007/132942号および同第WO2008/016174号(ともにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリマー等の耐熱性ポリマーは、第1および/または第2の層中に存在してもよい。
【0036】
微多孔膜が押出しによって製造される場合、最終微多孔膜は、通常は、押出物の製造に用いるポリマーを含む。処理中に導入する少量の希釈剤または他の種もまた、通常は、膜の重量を基準として1重量%未満の量で存在してもよい。処理中にポリマーの分子量が少量低下することがあるが、これは許容可能なものである。ある形態においては、処理中に分子量の低下があったとしても、膜中のポリマーのMWDの値と膜の製造に用いるポリマーのMWD(例えば押出し前)との違いは、例えば、わずか約10%、わずか約1%、またはわずか約0.1%にしかならない。
MwおよびMWDの決定
【0037】
ポリマーのMwおよびMWDは、示差屈折計(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ、すなわち「SEC」(GPC PL 220、ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて決定することができる。測定は、"Macromolecules, Vol. 34, No.19, pp. 6812-6820 (2001)"に開示されている手順に従って行う。MwおよびMWDの決定には、3本のPLgel Mixed-Bカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いる。PEに関しては、公称流量は0.5cm/分であり、公称注入量は300μLであり、トランスファーライン、カラム、およびDRI検出器が、145℃に維持されたオーブン内に含まれている。PPおよびPMPに関しては、公称流量は1.0cm/分であり、公称注入量は300μLであり、トランスファーライン、カラム、およびDRI検出器が、160℃に維持されたオーブン内に含まれている。
【0038】
使用するGPC溶媒は、約1000ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、濾過済みの、アルドリッチ社製の、試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。TCBを、SECに導入する前にオンライン脱気装置で脱気する。SEC溶離液として同じ溶媒を用いる。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量のTCB溶媒を加え、次いでこの混合物を160℃で継続的に撹拌しながら約2時間加熱することにより、ポリマー溶液を調製する。ポリマー溶液の濃度は0.25〜0.75mg/mlである。試料溶液は、GPCに注入する前に、モデルSP260 Sample Prep Station(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて2μmフィルターでオフラインろ過する。
【0039】
Mp(「Mp」はMwにおけるピークと定義される)が約580〜約10,000,000の範囲の17種のそれぞれのポリスチレン標準を用いて作成した検量線でカラムセットの分離効率を較正する。ポリスチレン標準はポリマーラボラトリーズ社(マサチューセッツ州アマースト)より入手する。各PS標準についてDRI信号のピークにおける保持容量を記録し、このデータセットを二次多項式に当てはめることによって、検量線(logMp対保持容量)を作成する。ウェーブメトリクス社(Wave Metrics, Inc.)製IGOR Proを用いて試料を分析する。
三層構造
【0040】
本発明の特定の実施形態は、少なくとも3つの層:第1および第3の層と第1および第3の層の間に位置する第2の層、を含む微多孔膜に関する。所望により、第1および第3の層は、実質的に同じ厚さおよび実質的に同じ組成を有する。例えば、ある実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層の全重量を基準として20.0重量%以上のPMPを含む。所望により第2の層は、第2の層の全重量を基準として、75.0重量以上のPEおよび25.0重量%以下の相溶化剤を含む。湿式法で製造されるかかる多層膜に関して本発明を説明するが、本発明はそれに限定されるものではなく、この説明は本発明のより広い範囲内にある他の実施形態を除外することを意図するものではない。
第2の層‐相溶化剤の量
【0041】
1つまたは複数の実施形態においては、第2の層は、第2の層の全重量を基準として、例えば2.50重量%以上といった、1.0重量%以上の相溶化剤を含み、他の実施形態においては5.0重量%以上、他の実施形態においては7.5重量%以上、また他の実施形態においては10.0重量%以上の相溶化剤を含む。これらの、または他の実施形態においては、第2の層は、第2の層の全重量を基準として、25.0重量%以下、他の実施形態においては18.0重量%以下、他の実施形態においては16.0重量%以下、また他の実施形態においては12.0重量%以下の相溶化剤を含む。所望により第2の層は、25.0重量%未満の相溶化剤を含む。所望により第2の層は、第2の層の全重量を基準として、例えば5.0重量%〜18.0重量%、例えば7.5重量%〜16.0重量%といった、約2.50重量%〜約20.0重量%の範囲の量の相溶化剤を含む。
【0042】
特定の実施形態においては、相溶化剤は、PMPとPPの組合せを含む。かかる組合せを用いる場合、(i)第1の層内のPMPの量(重量%、第1の層の重量が基準)の(ii)第2の層内の相溶化剤(PMPおよびPP)の量(重量%、第2の層の重量が基準)に対する比率は、例えば20.0以下、例えば18.0以下、または15.0以下といった、30.0以下である。
【0043】
これらの実施形態においては、第2の層は、第2の層の重量を基準として、1.0重量%以上、他の実施形態においては2.0重量%以上、他の実施形態においては3.0重量%以上、また他の実施形態においては4.0重量%以上の、PMPおよびPPのそれぞれを含む。これらの、または他の実施形態においては、第2の層は、第2の層の重量を基準として、12.0重量%以下、他の実施形態においては10.0重量%以下、他の実施形態においては8.0重量%以下、また他の実施形態においては6.0重量%以下の、PMPおよびPPのそれぞれを含む。例えば第2の層は、約1.0重量%〜約11.0重量%の範囲の量のPMPおよび1.0重量%〜11.0重量%の範囲の量のPPを含有してもよい。
第2の層‐ポリエチレンの量
【0044】
1つまたは複数の実施形態においては、第2の層は、第2の層の全重量を基準として、例えば82.0重量%以上といった、75.0重量%以上のPE、他の実施形態においては84.0重量%以上、他の実施形態においては86.0重量%以上、また他の実施形態においては88.0重量%以上のPEを含む。所望により第2の層は、75.0%超のPEを含む。これらの、または他の実施形態においては、第2の層は、第2の層の全重量を基準として、99.0重量%以下、他の実施形態においては96.0重量%以下、他の実施形態においては94.0重量%以下、また他の実施形態においては92.0重量%以下のPEを含む。所望により第2の層は、第2の層の全重量を基準として、例えば82.0重量%〜95.0重量%、例えば84.0重量%〜92.5重量%といった、約80.0重量%〜約97.5重量%の範囲の量のPEを含む。
【0045】
ある実施形態においては、第2の層は、第2の層の重量を基準として、例えば5.0重量%以上、例えば15.0重量%以上、例えば25.0重量%以上の量のPE4を含む。ある実施形態においては、第2の層は、第2の層の重量を基準として、例えば50.0重量%以上、例えば60.0重量%以上といった、40.0重量%以上の量の、PE1もしくはPE2または混合したPE1とPE2を含む。ある実施形態においては、第2の層は、第2の層の重量を基準として、例えば20.0重量%以下、例えば10.0重量%以下といった、25.0重量%以下の量のPE3を含む。
第1および第3の層‐ポリメチルペンテンの量
【0046】
1つまたは複数の実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層の全重量を基準として、例えば22.5重量%以上といった、20.0重量%以上のPMP、他の実施形態においては23.0重量%以上、他の実施形態においては24.0重量%以上、また他の実施形態においては25.0重量%以上のPMPを含む。これらの、または他の実施形態においては、第1および第3の層は、層(例えば場合によって第1または第3の層)の重量を基準として、45.0重量%以下、他の実施形態においては40.0重量%以下、他の実施形態においては35.0以下、他の実施形態においては30.0重量%以下、また他の実施形態においては25.0重量%以下のPMPを含む。例えば第1および第3の層は、層の重量を基準として、例えば22.5重量%〜40.0重量%、例えば25.0重量%〜35.0重量%のPMPといった、約20.0重量%〜45.0重量%の範囲の量のPMPを含有してもよい。
第1および第3の層‐ポリプロピレンの量
【0047】
任意ではあるが、第1および第3の層はPPをそれぞれ含んでもよい。1つまたは複数の実施形態においては、第1および第3の層は、層(例えば場合によって第1または第3の層)の重量を基準として、5.0重量%以上、他の実施形態においては10.0重量%以上、他の実施形態においては15.0重量%以上、他の実施形態においては20.0重量%以上、また他の実施形態においては25.0重量%以上のPPを含んでもよい。これらの、または他の実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層の全重量を基準として、45.0重量%以下、他の実施形態においては40.0以下、他の実施形態においては35.0重量%以下、他の実施形態においては30.0重量%以下、また他の実施形態においては25.0重量%以下のPPを含む。例えば、第1および第3の層それぞれの中のPPの量は、層の重量を基準として、例えば10.0重量%〜35.0重量%の範囲、例えば20.0重量%〜30.0重量%の範囲のPPといった、約0.0重量%〜45.0重量%の範囲であってもよい。
第1および第3の層‐ポリプロピレンおよびポリメチルペンテンの量
【0048】
第1および第3の層がPPおよびPMP(例えばブレンド)を含む特定の実施形態においては、第1および第3の層は、層(例えば場合によって第1または第3の層)の全重量を基準として、合わせて40.0重量%以上、他の実施形態においては42.0重量%以上、他の実施形態においては44.0重量%以上、また他の実施形態においては46.0重量%以上のPMPおよびPPをそれぞれ含んでもよい。これらの、または他の実施形態においては、第1および第3の層は、層の全重量を基準として、合わせて65.0重量%以下、他の実施形態においては64.0重量%以下、他の実施形態においては63.0重量%以下、また他の実施形態においては62.0重量%以下のPMPおよびPPを含む。例えば、第1および第3の層のそれぞれの中のPPとPMPとを合わせた量は、層の全重量を基準として、例えば、合わせて42.0重量%〜64.0重量%、例えば44.0重量%〜63.0重量%のPMPおよびPPといった、約40.0重量%〜約65.0重量%の範囲であってもよい。
第1および第3の層‐ポリエチレンの量
【0049】
1つまたは複数の実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層(例えば場合によって第1または第3の層)の全重量を基準として、10.0重量%以上、他の実施形態においては30.0重量%以上、他の実施形態においては40.0重量%以上、他の実施形態においては55.0重量%以上、他の実施形態においては60.0重量%以上、また他の実施形態においては75.0重量%以上のPEを含む。これらの、または他の実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層の全重量を基準として、80.0重量%以下、他の実施形態においては75.0重量%以下、他の実施形態においては65.0重量%以下、他の実施形態においては60.0重量%以下、他の実施形態においては50.0重量%以下、また他の実施形態においては40.0重量%以下のPEを含む。これらの、または他の実施形態においては、第1および第3の層はそれぞれ、層の重量を基準として、例えば25.0重量%〜67.5重量%といった、約10.0重量%〜約80.0重量%の範囲の量のPEを含む。ある実施形態においては、第1および第3の層のそれぞれは、(i)5.0重量%以上のPE4および/または(ii)10.0重量%以上のPE1もしくはPE2またはPE1とPE2の組合せを含有する。
膜の製造方法
【0050】
微多孔膜の製造を湿式法に関して説明するが、本発明はそれに限定されるものではなく、またこの説明は本発明のより広い範囲内にある他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0051】
ある実施形態においては、本発明の多層微多孔膜は二層膜である。別の実施形態においては、膜は、第1の層材料を含む第1および第3の層と、第1の層と第3の層の間に位置し第1の層および第3の層と層間接触している、第2の層材料を含む第2の層とを有する三層膜である。第1の層材料(第1のポリマーブレンドとも呼ぶ)は、通常は、膜の第1の層または第1および第3の層についての先の説明において明記したものと(同じ相対量の)同じポリマーを含む。同様に、第2の層材料(第2のポリマーブレンドとも呼ぶ)は、通常は、膜の第2の層についての先の説明において明記したものと(同じ相対量の)同じポリマーを含む。
【0052】
膜の製造プロセスでは、多層押出物からの希釈剤の除去を行う。押出物の第1および第3の層は、第1の層材料および少なくとも第1の希釈剤を含み、押出物の第2の層は、第2の層材料および少なくとも第2の希釈剤を含む。第1および第3の層は、スキン層とも呼ぶ、押出物の外層であってもよい。当業者であれば、押出物の第3の層が、第1の層とは異なる層材料、例えば第3の層材料から製造でき、また第1の層とは異なる厚さを有し得るということを理解するであろう。押出しの後、第1および第2の希釈剤の少なくとも一部を押出物から除去する。このプロセスはMDおよび/またはTDへの押出物の延伸をさらに含んでもよい。延伸は希釈剤除去の前および/または後に行ってもよい。以下、三層膜を製造するための実施形態についてさらに詳細に説明する。
第1の混合物
【0053】
第1の混合物は、第1の層材料(所望により乾燥混合または溶融ブレンドされたもの、または例えば反応器ブレンドの形態のもの)と第1の希釈剤とを混合することにより製造される。第1の希釈剤(希釈剤の組合せであってもよい)は、例えば第1の層材料のポリマー用の溶媒であってもよい。第1の混合物は、所望により1種または複数の酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。ある実施形態においては、このような添加剤の量は、ポリマーと希釈剤との混合物の重量を基準として1.0重量%を超えることはない。
【0054】
希釈剤は、押出温度にて第1の層材料と合わさって単相を形成することが可能な種を含んでもよい。例えば第1の希釈剤は、第1の層材料のポリマー用の溶媒であってもよい。代表的な希釈剤の例としては、ノナン、デカン、デカリン、およびパラフィン油等の脂肪族または環状炭化水素、ならびにフタル酸ジブチルおよびフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステルが挙げられる。40℃での動粘度が20〜200cStであるパラフィン油を用いてもよい。第1の希釈剤、混合条件、押出し条件等の選択は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO2008/016174号に開示されているものと同じであってもよい。
【0055】
第1の混合物中の第1の希釈剤の量は重要ではない。ある実施形態においては、第1の希釈剤の量は、第1の混合物の混合重量を基準として、例えば60重量%〜80重量%といった、約50重量%〜約85重量%の範囲である。混合中に第1の混合物がさらされる温度は、押出し用の単相混合物を製造するのに十分高くあるべきであり、例えば210.0℃以上、例えば220.0℃以上、例えば230.0℃以上、またはさらには240.0℃以上ではあるが、例えば希釈剤やポリマーが有意な分子量の低下を起こす温度は超えない温度である。
第2の混合物
【0056】
第2の混合物は、第2の層材料および第2の希釈剤から製造される。第2の混合物は、第1の混合物の製造に用いるのと同じ方法で製造することができる。ある実施形態においては、(a)第2の混合物中のポリマーの量は、第2の混合物の重量を基準として28.0重量%以下であり、(b)相溶化剤は、PPおよびPMPであり、(c)(i)第1の混合物中のPMPの量(重量%、第1の混合物の重量が基準)の(ii)第2の混合物中の相溶化剤(PMPおよびPP)の量(重量%、第2の混合物の重量が基準)に対する比率は、例えば3.60以下、例えば3.50以下、または3.25以下といった、3.70以下である。第2の希釈剤は、第1の希釈剤と同じ希釈剤の中から選択してもよい。また、第2の希釈剤は第1の希釈剤とは独立して選択してもよい(また通常は独立して選択される)が、希釈剤は、第1の希釈剤と同じであってもよく、また、第1の希釈剤を第1の混合物中で使用するのと同じ相対濃度で使用してもよい。混合中に第2の混合物がさらされる温度は、押出し用の単相混合物を製造するのに十分高くあるべきであり、例えば210.0℃以上、例えば220.0℃以上、例えば230.0℃以上、またはさらには240.0℃以上ではあるが、例えば希釈剤やポリマーが有意な分子量の低下を起こす温度は超えない温度である。
押出し
【0057】
ある実施形態においては、第1の混合物は、第1の押出機から第1および第3のダイへと導かれ、第2の混合物は、第2の押出機から第2のダイへと導かれる。シート状の層状押出物(すなわち、厚さ方向よりも平面方向の方が有意に大きい物体)を第1、第2、および第3のダイから押し出して、第1の混合物を含む第1のスキン層、第3の混合物を含む第2のスキン層、および第2の混合物を含むコア層を有する多層押出物を製造することができる。
【0058】
ダイ(1つまたは複数)および押出し条件の選択は、例えばPCT特許公開第WO2008/016174号に開示されているものと同じであってもよい。ダイ中で第1および第2の混合物がさらされる温度は、押出し中に第1および第2の混合物のそれぞれを(例えば溶融状態の)単相として維持するために十分に高くあるべきであり、例えば210.0℃以上、220.0℃以上、例えば230.0℃以上、またはさらには240.0℃以上ではあるが、例えば希釈剤やポリマーが有意な分子量の低下を起こす温度は超えない。
押出物の冷却(任意)
【0059】
多層押出物を15℃〜50℃の範囲の温度にさらして冷却押出物を形成してもよい。所望により押出物は、押出物の温度(冷却した温度)が押出物のゲル化温度とほぼ同じ(またはそれ以下)になるまで、最低でも約30℃/分の冷却速度で冷却してもよい。冷却の処理条件は、例えば、PCT公開第WO2008/01617号に開示されているものと同じであってもよい。ある実施形態においては、冷却押出物は、例えば0.1mm〜10mmまたは0.5mm〜5mmの範囲といった、10mm以下の厚さを有する。通常は、冷却押出物の第2の層は、冷却押出物の全厚さの60%〜80%の厚さを有し、冷却押出物の第1および第3の層は、実質的に同じ厚さを有し、第1および第3の層の厚さはそれぞれ冷却押出物の全厚さの10%〜20%の範囲である。
押出物の延伸(任意)
【0060】
押出物(または冷却押出物)を少なくとも1つの方向(例えばMDまたはTD等の少なくとも1つの平面方向)に延伸(「上流」延伸または延伸(orientation)と呼ぶ)して延伸押出物を製造することができる。所望により、押出物をTDおよびMDに同時に4〜6の範囲の倍率に延伸する。好適な延伸方法は、例えばPCT公開第WO2008/016174号に記載されている。必須ではないが、MDおよびTDの倍率は同じであってもよい。ある実施形態においては、延伸倍率はMDおよびTDにおいて5に等しい。倍率はフィルムの大きさに乗法的に影響する。例えば、TDに4倍の倍率まで延伸される、最初の幅(TD)が2.0cmであるフィルムは、最終幅が8.0cmとなる。
【0061】
必須ではないが、延伸は、押出物をおよそTcdからTmの範囲の温度にさらしながら行ってもよく、ここでTcdおよびTmは、結晶分散温度、および押出物の製造に用いるポリエチレンの中で最も融点の低いPEの融点と定義される。結晶分散温度は、ASTM D 4065に従って動的粘弾性の温度特性を測定することにより決定する。Tcdが約90℃〜約100℃の範囲である実施形態においては、延伸温度は、約90℃〜約125℃、好ましくは約100℃〜約125℃、より好ましくは105℃〜125℃であってもよい。
【0062】
所望により延伸押出物は、希釈剤除去の前に熱処理にかけられてもよい。熱処理では、延伸押出物は、押出物が延伸中にさらされる温度より高い(温かい)温度にさらされる。延伸押出物がそのより高い温度にさらされている間、延伸押出物の平面寸法(MDの長さおよびTDの幅)は一定に保つことができる。押出物はポリマーおよび希釈剤を含有しているため、その長さおよび幅は「湿潤」長さおよび「湿潤」幅と呼ばれる。ある実施形態においては、延伸押出物は、1秒〜100秒の範囲の時間、110℃〜125℃の範囲の温度にさらされるが、その間は、テンタークリップを用いて延伸押出物をその外周に沿って保持すること等により、湿潤長さおよび湿潤幅は一定に保たれる。言い換えれば、熱処理の間はMDまたはTDへの延伸押出物の拡大または縮小(すなわち寸法変化)はない。
【0063】
この工程、および試料(例えば押出物、乾燥押出物、膜等)を高温にさらす下流延伸および熱処理等のその他の工程において、こうした暴露は、空気を熱し、次いでこの加熱空気を試料の近くに運ぶことにより行うことができる。加熱空気の温度は、通常は所望の温度と等しい設定値に制御され、次いでプレナム等を通して試料に向けて導かれる。試料を加熱面にさらす方法、オーブンでの赤外線加熱等の従来の方法を含む、試料を高温にさらすその他の方法を、加熱空気とともに、または加熱空気の代わりに用いてもよい。
希釈剤の除去
【0064】
ある実施形態においては、第1および第2の希釈剤の少なくとも一部を押出物から除去(または置換)して膜を形成する。置換(または「洗浄」)溶媒を用いて第1および第2の希釈剤を除去(洗浄、または置換)してもよい。第1および第2の希釈剤を除去するための処理条件は、例えばPCT公開第WO2008/016174号に開示されているものと同じであってもよい。「乾燥膜」という用語は、希釈剤の少なくとも一部が除去されている押出物を指す。全ての希釈剤を押出物から除去する必要はないが、希釈剤を除去すると最終膜の多孔度が増加するのでそうすることが望ましいと言える。
【0065】
ある実施形態においては、洗浄溶媒等の残留したいずれかの揮発性種の少なくとも一部を、希釈剤除去後のいずれかの時点において乾燥膜から除去してもよい。加熱乾燥、風乾(空気を動かすこと)等の従来の方法を含む、洗浄溶媒を除去することが可能ないずれの方法を用いてもよい。洗浄溶媒等の揮発性種を除去するための処理条件は、例えばPCT公開第WO2008/016174号および同第WO2007/132942号に開示されているものと同じであってもよい。
膜の延伸(任意)
【0066】
膜を、少なくとも1つの方向に延伸(「乾燥延伸」または「下流延伸」と呼ぶ)してもよい。下流延伸にかけられた乾燥膜は、「延伸」膜と呼ぶ。下流延伸の前には、乾燥膜は、MDの最初の大きさ(第1の乾燥長さ)およびTDの最初の大きさ(第1の乾燥幅)を有する。本明細書で用いる用語「第1の乾燥幅」は、下流延伸開始前における乾燥膜のTDへの大きさを指す。用語「第1の乾燥長さ」は、下流延伸開始前における乾燥膜のMDへの大きさを指す。例えば、WO第2008/016174号に記載の種類のテンター延伸装置を用いることができる。
【0067】
下流延伸は、MD、TD、または両方の方向に行ってもよい。乾燥膜は、第1の乾燥長さから、約1.1〜約1.5の範囲の倍率(「MD乾燥延伸倍率」)で第1の乾燥長さより長い第2の乾燥長さへMDに延伸してもよい。TD乾燥延伸を用いる場合、乾燥膜は、第1の乾燥幅から、ある倍率(「TD乾燥延伸倍率」)で第1の乾燥幅より広い第2の乾燥幅へTDに延伸してもよい。TD乾燥延伸倍率は、約1.1〜約1.6の範囲であってもよい。延伸をMDおよびTDの両方に行う場合、逐次的または同時的であってもよい。通常は、TD熱収縮はMD熱収縮よりも電池の特性に与える影響が大きいため、TD乾燥倍率の大きさは、通常はMD乾燥倍率の大きさを超えることはない。二軸乾燥延伸を用いる場合、乾燥延伸は、MDおよびTDに同時的、または逐次的であってもよい。乾燥延伸が逐次的の場合、通常はMD延伸を最初に行い、続いてTD延伸を行う。
【0068】
下流延伸は通常は、乾燥膜を、例えばおよそTcd−30℃〜Tmの範囲といった、Tm以下の温度にさらしながら行う。ある実施形態においては、延伸温度は通常は、例えば約120℃〜約132℃、または約122℃〜約130℃といった、約70〜約135℃の範囲の温度にさらした膜で行う。
【0069】
延伸率は延伸方向(MDまたはTD)に3%/秒以上であることが好ましく、この率はMDおよびTD延伸について独立して選択してもよい。延伸率は好ましくは5%/秒以上、より好ましくは10%/秒以上、例えば5%/秒〜25%/秒の範囲である。重要ではないが、延伸率の上限は膜の破裂を防ぐために50%/秒であることが好ましい。
制御された幅の縮小(任意)
【0070】
下流延伸に続き、乾燥膜に、第2の乾燥幅から第3の幅への制御された幅の縮小を施してもよいが、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅から第1の乾燥幅の約1.4倍の範囲である。通常は、幅の縮小は、Tcd−30℃以上であるがTm未満である温度に膜をさらしながら行う。例えば膜を、例えば約120℃〜約132℃、または約125℃〜約130℃といった、約70℃〜約135℃の範囲の温度にさらしてもよい。ある実施形態においては、膜の幅の減少は、膜をTmよりも低い温度にさらしながら行う。ある実施形態においては、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅の約1.1倍〜第1の乾燥幅の約1.4倍の範囲である。
【0071】
制御された幅の縮小中に、TD延伸中に膜がさらされた温度以上の温度に膜をさらすと、最終膜の耐熱収縮性がより高くなると考えられる。
熱処理(任意)
【0072】
所望により、例えば下流延伸の後、制御された幅の縮小の後、またはその両方の後に、希釈剤の除去に続いて、一回または複数回、膜を熱的に処理(熱処理)する。熱処理により、結晶が安定化して膜中に均一な薄層が形成されると考えられる。ある実施形態においては、熱処理は、例えば約100℃〜約135℃の範囲、例えば約120℃〜約132℃または約122℃〜約130℃といった、TcdからTmの範囲の温度に膜をさらしながら行われる。通常、熱処理は、例えば1,000秒以下、例えば1〜600秒の範囲の時間といった、膜中に薄層を形成するのに十分な時間行われる。ある実施形態においては、熱処理は一般的な熱処理「熱固定」条件下で実施する。「熱固定」という用語は、例えば熱処理中に膜の外周をテンタークリップで保持すること等によって膜の長さおよび幅を実質的に一定に維持しながら行う熱処理を指す。
【0073】
任意である、アニーリング処理、熱ローラー処理、熱溶媒処理、架橋処理、親水性処理、およびコーティング処理を、例えばPCT公開第WO2008/016174号に記載されているように所望により行ってもよい。
膜の構造および特性
【0074】
ある実施形態においては、膜は、各層が上記のポリマーに由来する組成物を有する少なくとも2つの層を有する、寸法安定性のある(例えば剥離に対して抵抗性である)微多孔膜である。
【0075】
膜は通常は、押出物の製造に用いるポリマーを含む。処理中に導入する少量の希釈剤または他の種もまた、通常は、膜の重量を基準として1.0重量%以下の量で存在してもよい。処理中にポリマーの分子量が少量低下することがあるが、これは許容可能なものである。ある実施形態においては、膜中のポリマーのMwは、膜の製造に用いるポリマーのMwに対して、10%以下、例えば1.0%以下、または0.1%以下だけ低下する。
厚さ
【0076】
1つまたは複数の実施形態においては、微多孔膜は、厚さTを有する第1の層、厚さTを有する第2の層、および厚さTを有する第3の層を含む。1つまたは複数の実施形態においては、T≧T+Tである。1つまたは複数の実施形態においては、TはTの0.8倍以上であり、他の実施形態においては、TはTの0.9倍以上であり、また他の実施形態においては、T=Tである。1つまたは複数の実施形態においては、Tの20.0倍≧T≧Tの2.0倍であり、他の実施形態においては、Tの8.0倍≧T≧Tの3.0倍である。1つまたは複数の実施形態においては、T≧3.0μm、他の実施形態においては、T≧5.0μm、また他の実施形態においては、T≧10.0μmである。これらの、または他の実施形態においては、T≦30.0μm、他の実施形態においては、T≦25.0μm、他の実施形態においては、T≦22.0μm、また他の実施形態においては、T≦20.0μmである。
【0077】
ある実施形態においては、膜は多層微多孔膜である。膜の厚さは通常は3.0μm以上である。例えば膜は、例えば約5.0μm〜約2.0×10μm、例えば約10.0μm〜約25.0μmの範囲といった、30.0μm以下の厚さを有してもよい。所望により第2の層は、膜の総厚さの60.0%〜80.0%の範囲の厚さを有し、第1および第3の層の厚さはそれぞれ、膜の総厚さの10.0%〜20.0%の範囲である。膜の厚さは、例えば、縦方向に1.0cm間隔で10.0cmの幅にわたって接触式厚さ計により測定することができ、次いで平均値を出して膜厚さを得ることができる。株式会社ミツトヨ製ライトマチック等の厚さ計が好適である。例えば光学的厚さ測定法等の、非接触式厚さ測定方法もまた好適である。
多孔度
【0078】
膜の多孔度は、膜の実重量と、100%ポリマーの同等の非多孔性膜(同じポリマー組成、長さ、幅、および厚さを有するという意味において同等)の重量とを比較することにより従来法で測定する。次に、以下の式を用いて多孔度を求める:多孔度%=100×(w2−w1)/w2。式中、「w1」は膜の実重量であり、「w2」は、同じ大きさおよび厚さを有する(同じポリマーの)同等の非多孔性膜の重量である。所望により膜の多孔度は、例えば25.0%〜85.0%の範囲、例えば35.0〜60.0%の範囲といった、20.0%以上である。
規格化透気度
【0079】
ある実施形態においては、膜は、30.0×10秒/100cm/20μm以下の規格化透気度を有する(JIS P8117に従って測定)。透気度値は、20μmのフィルム厚さを有する同等の膜の値に規格化するため、膜の透気度値は「秒/100cm/20μm」の単位で表す。所望により膜の規格化透気度は、約20.0秒/100cm/20μm〜約800.0秒/100cm/20μm、または約100.0秒/100cm/20μm〜約500.0秒/100cm/20μmの範囲である。規格化透気度はJIS P8117に従って測定し、その結果を、A=20μm*(X)/Tの式を用いて、20μmの厚さを有する同等の膜の透気度値に規格化する。式中、Xは実厚さTを有する膜の透気度の実測値であり、Aは20μmの厚さを有する同等の膜の規格化透気度である。所望により膜は、例えば1.0×10秒/100cm/20μm以下、例えば5.0×10秒/100cm/20μm以下といった、1.0×10秒/100cm/20μm以下の規格化透気度を有する。例えば膜は、約1.0×10秒/100cm/20μm〜約1.0×10秒/100cm/20μmの範囲の透気度を有してもよい。
規格化突刺強度
【0080】
膜の突刺強度は、20μmの厚さ[mN/20μm]を有する同等の膜の突刺強度として表す。突刺強度は、厚さTを有する膜を、末端が球面(曲率半径R:0.5mm)である直径1mmの針で2mm/秒の速度で突き刺した時に23℃にて測定した最大荷重、と定義される。この突刺強度(「S」)を、S=[20μm×(S)]/(T)(式中、Sは突刺強度の「実測値」であり、Tは膜の平均厚さである)の式を用いて、20μmの厚さを有する同等の膜の突刺強度値に規格化する。所望により膜の規格化突刺強度は、例えば2.0×10mN/20μm以上、例えば2.0×10mN/20μm以上といった、1.0×10mN/20μm以上である。ある実施形態においては、膜は、約2.0×10mN/20μm〜約8.0×10mN/20μmの範囲の規格化突刺強度を有する。
シャットダウン温度
【0081】
微多孔膜のシャットダウン温度は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT特開第WO2007/052663号に開示されている方法によって測定する。この方法に従い、微多孔膜を上昇していく温度(30℃で開始して5℃/分)にさらし、その間に膜の透気度を測定する。微多孔膜のシャットダウン温度は、微多孔膜の透気度(ガーレー値)が最初に1.0×10秒/100cmを超える時の温度と定義される。膜のメルトダウン温度およびシャットダウン温度を測定する目的で、透気度を、例えば透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)を用いてJIS P8117に従って測定してもよい。ある実施形態においては、膜は、例えば約120.0℃〜約140.0℃の範囲、例えば130.0℃〜138.0℃の範囲といった、140.0℃以下のシャットダウン温度を有する。
メルトダウン温度(膜の破裂により測定)
【0082】
メルトダウン温度は次のようにして測定する。5cm×5cmの微多孔膜の試料を、それぞれが直径12mmの円形の開口部を有する金属ブロックの間に挟むことによってその外周に沿って固定する。次いでこれらのブロックを膜の平面が水平になるような配置にする。直径10mmの炭化タングステンの球を上側のブロックの円形の開口部内の微多孔膜上に置く。30℃で開始した後、膜を5℃/分の速度で上昇する温度にさらす。膜のメルトダウン温度は、球が試料を完全に貫通する温度、すなわち試料が破壊する温度と定義される。ある実施形態においては、膜は、例えば180.0℃以上、例えば200.0℃以上といった、170.0℃以上のメルトダウン温度を有してもよい。ある実施形態においては、膜は、例えば190.0℃〜205.0℃の範囲といった、約180.0℃〜約210.0℃の範囲のメルトダウン温度を有する。
電気化学的安定性
【0083】
電気化学的安定性とは、比較的高温にさらされて保管または使用される電池内のBSFとして膜を使用する場合の、酸化等の化学変化に対する膜の耐性に関連した膜特性である。電気化学的安定性はmAhを単位とし、高温での保管または過充電中の総合充電ロスがより少ないことを表すより低い値が一般的には望ましい。本発明の膜は電気化学的安定性が向上しており、したがって高出力で大容量の電池において有用である。このような電池としては、電動工具用電池、および電気自動車やハイブリッド電気自動車を動かすための動力手段の起動、またはその動力手段への給電に用いる電池等の自動車用電池が挙げられる。膜は1.0×10mAh以下の電気化学的安定性を有するが、このことは、このような比較的高出力で大容量の用途は、BSFの電気化学的不安定性に起因する自己放電ロス等の電池容量のロスに特に敏感であるため、望ましい。「大容量」電池という用語は、通常は、例えば2.0Ah〜3.6Ahといった、1アンペア時(1Ah)以上供給することが可能な電池を意味する。ある実施形態においては、膜の電気化学的安定性は、例えば75.0mAh以下、例えば50.0mAh以下といった、80.0mAh以下である。ある実施形態においては、膜の電気化学的安定性は、1.0mAh〜50.0mAh、所望により10.0mAh〜35.0mAhの範囲である。
【0084】
膜の電気化学的安定性を測定するため、70mmの長さ(MD)および60mmの幅(TD)を有する膜を、膜と同じ面積を有する負極と正極の間に配置する。負極は天然黒鉛製であり、正極はLiCoO製である。電解質は、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(EMC)(4/6、V/V)との混合物中にLiPFを1M溶液として溶解させることにより調製する。負極と正極の間の領域にある膜の中に電解質を含浸させて電池を完成させる。電池を、23℃の温度にさらしながら4.2Vの電圧に充電する。次いで電池を60℃の温度に48時間さらす。電気化学的安定性は、48時間にわたって電圧源と電池との間に流れる積分電流(mAh)と定義される。
寸法安定性
【0085】
多層膜の寸法安定性(剥離抵抗性)は、次のようにして測定する:150.0mmの長さおよび50.0mmの幅を有する膜試料を、膜よりも同じかまたは大きい長さおよび幅ならびに約10.0mmの厚さを有するガラス基板上に平らに置く。基板を水平にし、ステンレス鋼針(先端曲率半径=5.0mm)を膜に接触させて置き、1.0×10gFの力で膜に押し付ける。膜、針、および基板を約25.0℃の温度にさらしながら、針は静止させたままで基板を膜の長さの方向(MD)に100.0mm移動させる。移動中に膜から分離して針の表面と膜の表面とによって定められる環状くさび形領域付近に蓄積したあらゆるポリマーを除去し、100.0mmの移動が完了した後に評量する。蓄積したポリマー(「アルファ」と呼ぶ)の量が0.1mg以下であると、膜は「寸法的に安定」である。
少なくとも1つの平面方向への105℃における熱収縮
【0086】
MDおよびTDへの105℃における膜の収縮は、次のようにして測定する:(i)周囲温度における微多孔膜の試験片の大きさをMDおよびTDの両方について測定し、(ii)微多孔膜の試験片を、荷重をかけずに8時間105.0℃の温度にて平衡化させ、次いで(iii)膜の大きさをMDおよびTDの両方について測定する。MDおよびTDへの熱(すなわち「熱による」)収縮は、測定結果(i)を測定結果で割り、(ii)得られた商を百分率で表すことによって得ることができる。
【0087】
所望により膜は、例えば5.0%以下、例えば0.5%〜5%の範囲といった、10.0%以下の少なくとも1つの平面方向(例えばMDまたはTD)への105℃における熱収縮を有する。
130℃におけるTD熱収縮≦25%、および170℃におけるTD熱収縮≦45%
【0088】
ある実施形態においては、膜は、例えば約1.0%〜約20.0%の範囲といった、25.0%以下の130℃におけるTD熱収縮、および/または例えば約1.0%〜約40.0%といった、45.0%以下の170℃におけるTD熱収縮を有する。
【0089】
130℃および170℃の熱収縮の測定値は、105℃における熱収縮の測定値とはわずかに異なるが、これは、横方向と平行である膜の端が、通常は電池内で固定され、特にMDと平行である端の中心付近においてはTDへの拡大または縮小(収縮)を可能にする自由度が限られている、という事実を反映している。したがって、TDに沿って50mm、MDに沿って50mmの正方形の微多孔性フィルムの試料を、TDと平行である端を(例えばテープにより)フレームに固定して、MDに35mmでTDに50mmの開放口を残し、23.0℃でフレームに設置する。次に、試料を取り付けたフレームを30分間130℃または170℃の温度にさらし、次いで冷却する。通常は、TD熱収縮によって、MDと平行であるフィルムの端が内側に(フレームの開口の中心に向かって)わずかに弓なりに曲がる。TDへの収縮(パーセントで表す)は、加熱前の試料のTDの長さを加熱後の試料のTDの(フレーム内の)最短長さで割り100パーセントを掛けたもの、と等しい。
バッテリーセパレータフィルムおよび電池
【0090】
膜は常圧で液体(水性および非水性)を透過させる。したがって膜は、バッテリーセパレータ、濾過膜等として使用することができる。熱可塑性フィルムは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等の二次電池用のBSFとして特に有用である。ある実施形態においては、本発明は、熱可塑性フィルムを含むBSFを含有するリチウムイオン二次電池に関する。かかる電池は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT特許公開WO2008/016174に記載されている。かかる電池は、例えば電気自動車およびハイブリッド電気自動車用の電源として用いることができる。
【0091】
以下の非限定的な例を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
実施例1
(1)第1の混合物の調製
【0092】
第1の混合物を次のようにして調製する。まず、(a)25.0重量%の、21dg/分のMFRおよび222℃のTmを有するポリメチルペンテン(三井化学株式会社、TPX:MX002)(PMP)、(b)25.0重量%の、1.1×10のMwおよび163.8℃のTmを有するアイソタクチックPP(PP)、(c)20.0重量%の、5.6×10のMwおよび134.0℃のTmを有するPE(PE1)、ならびに(d)30.0重量%の、1.9×10のMwおよび136.0℃のTmを有するPE(PE4)を混合する(重量パーセントは混合したポリマーの重量が基準である)。
【0093】
次に、27.5重量%の混合したポリマーを、58mmの内径および42のL/Dを有する強混合型二軸スクリュー押出機内に充填し、72.5重量%の流動パラフィン(40℃で50cst)を、サイドフィーダーを介して二軸スクリュー押出機に供給する。220℃および200rpmにて混合を行って第1の混合物を製造する(重量パーセントは第1の混合物の重量が基準である)。
(2)第2の混合物の調製
【0094】
第2の混合物を、以下のことを除いて第1の混合物と同じように調製する:混合したポリマーは、(a)4.0重量%のPMP、(b)4.0重量%のPP、(c)74.0重量%のPE1、および(d)18.0重量%のPE4を含む(重量パーセントは混合したポリマーの重量が基準である)。25.0重量%の混合したポリマーを、強混合型二軸スクリュー押出機内に充填し、75.0重量%の流動パラフィンをサイドフィーダーに供給する。220℃および400rpmにて混合を行って第2の混合物を製造する。
(3)膜の製造
【0095】
第1および第2の混合物を、それぞれの二軸スクリュー押出機から三層押出Tダイに供給し、そこから押し出して、層厚さ比15/70/15の第1の混合物/第2の混合物/第1の混合物の層状押出物を形成する。押出物を、20℃に制御された冷却ローラーに通しながら冷却して三層ゲル状シートを形成し、これを、テンター延伸機で、MDおよびTDの両方に5倍の倍率に115℃にて同時二軸延伸(上流延伸)する。延伸した三層ゲル状シートを20cm×20cmのアルミニウムフレームに固定し、25℃に制御された塩化メチレン浴に浸漬して3分間の100rpmの振動で流動パラフィンを除去し、室温の気流で乾燥させる。次いで、膜の大きさをほぼ一定に保ちながら、膜を125℃で10分間熱処理して最終微多孔膜を製造する。選択した出発物質、処理条件、および膜特性を表1に示す。
実施例2〜10および比較例1〜3
【0096】
表1に記載したことを除き実施例1を繰り返す。出発物質および処理条件は、表に記載したことを除き実施例1で使用したものと同じである。例えば実施例3および4は、125℃の温度および1.2のTD倍率の下流延伸にかける。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
結果
実施例1〜4は、20.0重量%以上のスキン層のPMP含有量と、PMPと相溶する有効量の第2のポリマーを含有するコア層とを有する、寸法安定性のある多層膜が製造できることを実証している。膜は、180.0℃以上のメルトダウン温度、2.0×10mN/20μm以上の規格化突刺強度、600.0×10秒/100cm/20μm以下の規格化透気度を有する。
【0101】
3.0%以下の105℃TD熱収縮、および30.0mAh以下の電気化学的安定性。実施例5から、(i)膜が三層膜であり、(ii)コア層およびスキン層がPEを含み、(iii)相溶化剤がPMPであり、かつ(iv)コア中の相溶化剤の量がコア層の重量を基準として25.0重量%以上であると、得られる膜は、実施例1〜4の膜と比べて透気度の低下(ガーレー値の上昇)および強度の低下を示していることがわかる。スキン層内のPPの量を増やしコア層内の相溶化剤の量を減らすと、強度はより高くなるがメルトダウン温度はより低くなる(例えば実施例5および6を参照)。相溶化剤としてPPの代わりにPMPを用いると、膜の強度がわずかに低下する(例えば実施例2および7を参照)。実施例8から、相溶化剤がPMPおよびPPである場合、スキンPMPとコア中の相溶化剤との比は、第2の混合物中のポリマーの量が第2の混合物の重量を基準として28.0重量%以下である場合は3.70以下であるべきだということがわかる。実施例3、4、9、および10から、コア層の重量を基準として25.0重量%以上のコア層PE4量により、比較的高い透過度の膜におけるより高い強度につながり得ることがわかる。比較例1および2は、PMP含有量が20.0重量%以下であるために低いメルトダウン温度を示している。比較例3は剥離しているが、これは、膜がコア層内に相溶化剤を含有していないためであると考えられる。
【0102】
優先権書類を含む、本明細書で引用した全ての特許、試験手順、およびその他の文献は、参照により、かかる開示が本発明に矛盾しない範囲で完全に組み込まれ、またかかる組込みが許容される全ての権限について、完全に組み込まれる。
【0103】
本明細書中に開示した例示的形態は特定のものについて記載しているが、種々の他の変形態様が、当業者にとっては明らかであり、かつ当業者によって本開示の精神および範囲から逸脱することなく容易に行われ得ることが理解されるであろう。したがって、本明細書に添付した特許請求の範囲の範囲は本明細書中に示した実施例および説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲は、本開示が属する分野の当業者によってその等価物として扱われる全ての特徴を含む、本明細書に備わる全ての新規な特徴を包含するものとして解釈されることが意図されている。
【0104】
数値の下限および数値の上限が本明細書中に列挙されている場合、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が想定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜であって、
(a)第1の層の重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1の層と、
(b)(i)相溶化剤を含み、かつ(ii)第1の層の組成と実質的に同じではない組成を有する第2の層とを含み、微多孔性であり寸法安定性のあることを特徴とする膜。
【請求項2】
膜が、3.0μm以上の厚さ、170.0℃以上のメルトダウン温度、1.0×10mN/20μm以上の規格化突刺強度、30.0×10秒/100cm/20μm以下の規格化透気度、10.0%以下の105℃TD熱収縮、0.10mg以下のアルファ、および1.0×10mAh以下の電気化学的安定性を有することを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項3】
第1および第2の層が、それぞれポリエチレンをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の膜。
【請求項4】
相溶化剤が、ポリエチレンホモポリマーを除くポリ(α−オレフィン)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
【請求項5】
相溶化剤が、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、およびポリプロピレンとポリメチルペンテンとの混合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜。
【請求項6】
相溶化剤がポリメチルペンテンおよび/またはポリプロピレンを含む場合に、(i)第1の層内のポリメチルペンテンの量(重量%、第1の層の重量が基準)の(ii)相溶化剤の量(重量%、第2の層の重量が基準)に対する比率が30.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜。
【請求項7】
膜が、第3の層をさらに含み、第2の層が、第1および第3の層の間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の膜。
【請求項8】
第1および第3の層が、実質的に同じ組成および実質的に同じ厚さを有し、第1または第3の層の少なくとも1つが、第2の層と層間接触していることを特徴とする請求項7に記載の膜。
【請求項9】
(a)第1および第3の層がそれぞれ、20.0重量%〜45.0重量%の、1.0×10〜4.0×10の範囲のMwおよび200.0℃以上のTmを有するポリメチルペンテン;0.0重量%〜45.0重量%の、6.0×10以上のMwおよび162.0℃以上のTmを有するアイソタクチックポリプロピレン;および10.0重量%以上のポリエチレンを含み(重量パーセントは層の重量が基準である)、(b)第2の層が、層の重量を基準として5.0重量%以上の、ポリエチレンホモポリマーを除くポリ(α−オレフィン)を含む相溶化剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の膜。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の膜を含むことを特徴とするバッテリーセパレータ。
【請求項11】
微多孔膜の製造方法であって、
(a)第1の希釈剤と、第1のポリマーの重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1のポリマーブレンドとを含む第1の混合物を形成する工程、
(b)第2の希釈剤と、相溶化剤を含む第2のポリマーブレンドとを含む第2の混合物を形成する工程、
(c)第3の希釈剤と、第3のポリマーの重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第3のポリマーブレンドとを含む第3の混合物を形成する工程、
(d)第1の混合物を含む第1の層と、第3の混合物を含む第3の層と、第2の混合物を含み第1および第3の層の間に位置する第2の層とを含むシートを製造する工程、ならびに
(e)第1、第2、および第3の希釈剤の少なくとも一部をシートから除去する工程
を含むことを特徴とする微多孔膜の製造方法。
【請求項12】
第1および第3の混合物が、実質的に同じ混合物であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1、第2、および第3の希釈剤が、実質的に同じ希釈剤であることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
第1のポリマーブレンドが、第1のポリマーブレンドの重量を基準として25.0重量%以上のポリメチルペンテンを含み、ポリメチルペンテンが、1.0×10〜4.0×10の範囲のMwおよび200.0℃以上のTmを有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第1のポリマーブレンドが、0.0重量%〜45.0重量%以上の、6.0×10以上のMwおよび162.0℃以上のTmを有するアイソタクチックポリプロピレン、ならびに10.0重量%以上のポリエチレン(重量パーセントは第1のポリマーブレンドの重量が基準である)をさらに含むことを特徴とする請求項12〜14に記載の方法。
【請求項16】
相溶化剤が、ポリメチルペンテンおよび/またはポリプロピレンであり、第2のポリマーブレンドが、第2のポリマーブレンドの重量を基準として75.0重量%以上のポリエチレンをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第2のポリマーブレンドが、第2のポリマーブレンドの重量を基準として、5.0重量%以上のPE4、ならびに40.0重量%以上のPE1および/またはPE2を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(d)に続いてシートを冷却する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
工程(e)の前および/または後に少なくとも1つの方向にシートを延伸する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
延伸が、工程(e)の前および後に行われ、かつ工程(e)の後の延伸が、シートを120℃〜132℃の範囲の温度にさらしながら行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項11〜20のいずれかに記載の方法により作製されることを特徴とする微多孔膜。
【請求項22】
負極と、正極と、電解質と、負極と正極の間に位置する少なくとも1つのセパレータとを含む電池であって、セパレータが、第1の層の重量を基準として20.0重量%以上のポリメチルペンテンを含む第1の層と、相溶化剤を含む第2の層とを含み、セパレータが、微多孔性であり寸法安定性のある膜であることを特徴とする電池。
【請求項23】
請求項22に記載の電池および電池に電気的に接続された負荷。
【請求項24】
電解質が、リチウムイオンを含有することを特徴とする請求項22または23に記載の電池。
【請求項25】
電池が、電気自動車またはハイブリッド電気自動車用の電源として使用されるリチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項24に記載の電池。

【公表番号】特表2012−530618(P2012−530618A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516125(P2012−516125)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/037758
【国際公開番号】WO2010/147799
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(510157580)東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 (31)
【Fターム(参考)】