説明

多層管状構造体のための識別装置

【課題】 処理中及び使用中に損傷または破損しない電子検出装置を有する多層管状構造体を提供すること。
【解決手段】 製品を保存するための多層管状構造体であって、電子検出装置がその管状構造体の多数の層の2つの間に埋設または介在される多層管状構造体が提供される。電子検出装置は、高周波に応答し、多層管状構造体、製品、及びそれらに対してなされたプロセスについての情報を記憶し、かつ送信することができる。電子検出装置を多数の層の2つの間に埋設することによって、多層管状構造体を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「スマートパッケージング(smart packaging)」システム及び方法に関し、さらに詳細には、高周波識別装置(以後、「RFID」タグまたは装置と呼ぶ)のような電子検出装置、並びにこれらの装置を包装に用いる方法及び包装物追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
品物の位置と状態を監視することは、多くの用途において有利である。例えば、製造環境では、工場内における品物の所在を知ることが重要であり、輸送環境では、倉庫などに出入りする品物を識別し、記録することが重要である。従来から、品物を識別し追跡するのにバーコードが用いられている。特に、1Dバーコードは、最も一般的であり、食料品店などで品物を識別するのに用いられている。さらに最近になって、2Dバーコードが開発されているが、この2Dバーコードは、1Dバーコードよりもかなり多くの情報を提供する。このため、2Dバーコードは、バーコードと関連する品物の識別に、より多くの情報が必要とされる場合に、出荷ラベルなどと共に用いられる。しかし、1Dバーコードシステムと2Dバーコードシステムとは、相互に互換性がないことが多く、また、バーコードは、関連する情報を伝達するために、明確に視認可能であるとともに、スキャナーなどによって読取可能でなければならない。
【0003】
品物を追跡し、及び/または品物についての情報を送信するための他の方法は、品物の外面に取り付けられ、予めプログラム化されたコード化情報を有する磁気片を介して行なわれる。すなわち、磁気片を高解像度の磁気読取機を通過させて電界を生成することによって情報が読み取られる。この技術は、情報を適切に読み取るのに、読取機と磁気片との間が障害物なしに見通せることを必要としないが、磁気片が読取り可能な距離は制限され、またシステムが読取り専用に制限される。さらに、磁気片が損傷を受け易く、多くのデータを含む長い磁気片の場合、問題になることがある。
【0004】
品物を追跡する他の手法は、RFIDを用いるものである。RFIDは、最近では衣服を荷台から運搬車に追跡する用途を含む種々の用途に用いられている。RFIDは、誘導原理に基づいて機能する。受動式RFIDシステムでは、読取機が所定の周波数で磁場を生成する。通常は読取り専用または読取り/書込み用として分類されるRFIDタグが磁場内に入ると、コイルアンテナ及びキャパシタを備えたタグの共鳴回路に小電流が生じる。すなわち回路がRFIDタグに電力を供給し、次いで、RFIDタグは、タグに予めプログラム化された情報を、125kHz(低周波数)または13.56MHz(高周波数)のような所定の周波数で読取機に送信するために磁場を変調する。続いて、読取機が信号伝送を受信、復調、及び復号し、さらにデータを処理するために、そのデータをシステムと関連するホストコンピュータに送信する。
【0005】
能動式RFIDも、殆ど同じように動作するが、能動式システムにおけるRFIDタグは、タグからのデータや情報の送信をボタン操作で行えるように、それ自体に電池を備えている。例えば、遠隔制御ガレージドア開閉機は、通常、ガレージドアをユーザの判断で昇降させるために、所定のコードを受信機に送信する能動式RFIDタグを用いている。
【0006】
RFIDタグに関連する他の技術は、バイスタティクス(Bistatix)として知られている。バイスタティクスタグは、RFIDタグにおけるコイルアンテナ及びキャパシタが、印刷された炭素基材料によって置き換えられている以外は、RFIDタグと殆ど同じように操作される。その結果、バイスタティクスタグは、極めて平坦であり、かつ比較的柔軟性がある。但し、この種の装置は、現在、約125KHzの周波数範囲に制限されていることに加えて、バイスタティクスタグの読取り可能範囲が、その大きさに依存するので、長い読取り距離を必要とする場合には、それに対応して大きなタグが必要となる。ともかく、バイスタティクス、能動式または受動式RFIDタグのいずれかを特定の追跡システムに用いることで、これらのタグ及びシステムが、極めて先進的な包装物追跡及びデータ管理を可能にすることになる。
【0007】
電子検出装置、特に、RFIDシステムにおける課題の1つは、いかにRFIDタグを品物に付けるかにある。現在、タグは、コンテナまたはパレットの外面に接着されており、この方法は、多くの用途には充分であるが、タグの突き出している個所が露出していることが多く、処理中の損傷や不注意な剥離を受けることがある。タグの取付けに関する他の例としては、タグを衣服に縫い込んだり、金属締め具によって品物に留めたりしている。検出装置の取付けに関する問題は、このような装置またはタグを、巻き物品の支持や食品の包装に用いられる管状ロールまたは容器に付ける場合に、特に顕著である。何故なら、この種の構造体は、製造時に相互に擦られ、タグに損傷が生じる場合が多いからである。加えて、再使用可能なキャリアまたはコンテナは、織編物用糸の処理におけるドッフィングや供給管替えのように、多数回用いられることが多く、これは、RFIDタグへの損傷をさらに促進する可能性がある。従って、処理中に損傷あるいは破損しない電子検出装置を有する容器または支持体を製造する必要がある。
【発明の開示】
【0008】
これら及び他の必要性は、本発明による多層管状構造体及び多層管状構造体を形成する方法によって、もたらされる。有利には、本発明の多層管状構造体は、高周波識別装置またはタグのような電子検出装置が埋設された管状体を備えている。従って、本発明の検出装置は、多層管状構造体の処理または使用中に、損傷または破損することがない。この装置は、多層管状構造体の内側に隠蔽されているので、見え難く、また取り去られる可能性も少なく、安全の検知から有用である。
【0009】
さらに具体的に、本発明の一実施形態による多層管状構造体は、管状体であって、管状体の軸の周りに重ねて巻き付けられ、かつ共に接着され、半径方向の積層された構造をなす板紙のような柔軟性材料の多数のプライまたは層から形成される管状体を備えている。このような管状体は、クッキーやポテトチップスのような製品を包装するための容器として、及びチューブの外面に巻き付けられる布地、紙品などのような製品を支持するための巻付けコアとして、用いられる。ここで、「多層管状構造体」という用語は、容器及び巻付けコアの両方を指すのに用いられ、本発明の有利な特徴は、いずれの形式の管状体にも存在することに留意すべきである。
【0010】
多層管状構造体は、管状体の多数の層の2つの間に介在する高周波識別(RFID)装置のような電子検出装置も備えている。この識別装置は、多層管状構造体、多層管状構造体の内外に保存される製品、またはその両方と関連するデータを記憶及び送信することができる。加えて、他のデータが識別装置に記憶、送信及び受信され、及び識別装置から削除されるようにすることができる。
【0011】
識別装置は、多くの形状と構成を有することができるが、一実施形態によれば、この装置は、比較的薄くかつ平坦で、高周波送信機によってもたらされるような磁場に対応するコイルアンテナ及びキャパシタを備えている。識別装置は、管状体の両端から所定距離だけ離間され、一実施形態では、管状体の多数の層の少なくとも1つに積層される。
【0012】
他の実施形態では、管状体の多数の層の少なくとも1つは、識別装置に適合する大きさの開口を画成し、これによって、識別装置は、この層の開口を実質的に占めることができる。
【0013】
さらに他の実施形態では、識別装置は、管状体の少なくとも一部の内部における識別可能な金属粒子のマトリックスから構成される。特に、金属粒子は、識別装置が管状体に一体に結合されるように、柔軟性材料をなす紙繊維のような繊維と混合されるようにすることができる。識別装置は、複数の個々の粒子から構成されるが、これらの粒子は、共に作用し、コイルアンテナ及びキャパシタを有する識別装置と同じような機能する。金属粒子は、管状体の特定領域に局在化されてもよく、または管状体の実質的に全体にわたって分散されてもよい。いずれの場合も、識別装置は、管状体の一部として形成されているので、多層管状構造体から容易に取り去られることがない。しかし、多層管状構造体及び製品に関する情報または他の情報は、識別装置から削除、上書き、置換、及び/または転送することができる。
【0014】
多層管状構造体を製造し、かつ用いる方法も、本発明の一部をなす。一方法によれば、製品を保存するための多層管状構造体は、柔軟性材料の多数の層をマンドレルの周りに巻付け、管状体を形成する工程と、巻付け工程中に、識別装置が管状体の多数の層の2つの間に介在するように、識別装置を管状体に埋設する工程とによって、製造される。一方法によれば、識別装置は、多数の層の少なくとも1つに積層される。また、他の方法によれば、巻付け工程中に、開口が多数の層の少なくとも1つに形成され、これによって、識別装置がこの開口を実質的に占めるようにされる。有利には、1つまたは多数の層によって画成される開口は、識別装置が管状体に膨出または隆起部を生成しないように、識別装置の厚みを収容する。
【0015】
本発明の多層管状構造体は、多くの用途を有している。識別装置は、管状体に埋設されているので、処理中に打撃または衝撃による損傷または破損から守られ、また容易に喪失、除去、または窃盗されることがない。多層管状構造体は、クッキー、ポテトチップス、巻き製品などのような多層管状構造体の内外に保存される製品を追跡するのに特に有益である。本発明の方法は、特別の作製技術、端蓋、または管状構造体の部分内に切り込まれる特別の溝を必要としないので、製造効率を増大し、コストを低減させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の全ての実施形態ではないが、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明をさらに充分に説明する。これらの発明は、実際には多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに記載される実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用可能な法的要件を満たすように、提供されている。全体を通して同様の符号は同様の部材を指すものとする。
【0017】
図面を参照すると、図1及び図2は、本発明による多層管状構造体を示している。具体的に、符号10は、製品などを包装するのに用いられる多層管状構造体、または布地、紙、プラスチック、及び他の材料のような巻き物品を支持するのに用いられるような巻付けコアまたはチューブを指す。
【0018】
多層管状構造体10は、強靭で、製品の包装及び巻き物品の支持に特に有利な1つ以上の既知の柔軟性材料からなる多数の層またはプライを含んでいる。具体的に、多層管状構造体10は、外層12と内層14とを備え、これらの層12、14は、中心開口15と両端16、18とを画成する管形状を形成している。図示されていないが、多層管状構造体の他の一般的な層、例えば、ライナプライ及び/またはラベルプライなどが設けられてもよい。1つ以上のエンドキャップまたはオーバーキャップ(図示せず)が、多層管状構造体の使用上の要求に従って設けられてもよい。種々のプライまたは層は、様々な材料、例えば、制限されるものではないが、板紙、プラスチック、金属箔、金属化プラスチック、またはそれらの組合せなどから構成することができる。
【0019】
図1及び3A、3Bでは仮想線で示され、図4で詳細に示されるように、多層管状構造体10は、識別装置20も備えている。識別装置20は、異なる形態を有することができ、種々の材料から構成することができるが、一実施形態によれば、この識別装置は、高周波に応答し、コイルアンテナ30とキャパシタまたはプロセッサ32とからなる。このような高周波識別装置(RFID)またはタグは既知であり、モトローラ社やテキサスインストルメント社など種々の製造業者によるものが市販されている。コイルアンテナ30は、一般的には金属から作製されるが、ここに記載されるような印刷された炭素基材料が用いられてもよい。
【0020】
図2に示されるように、識別装置20は、管状体10の外層12と内層14との間(内層部24)に位置している。より多くの層またはプライが管状体10に設けられても良いが、ここに記載されている層の数は、簡単にするために制限されている。以下に述べるように、識別装置20は、製造中に管状体に埋設されるが、この埋設は、装置の損傷を防ぐのに役立ち、また装置を隠蔽するのに役立つ。
【0021】
装置20は、多層管状構造体10及びその多層管状構造体と関連する製品についての情報と、それらに関してなされた処理または動作に関する情報とを記憶することができる。例えば、図3Aは、管状構造体10であって、そこに巻き付けられたプラスチックシートのような巻き物品26を有する管状構造体10を示している。同様に、図3Bは、管状構造体10であって、クッキー、ビスケット、ポテトチップス、または非食品のようなそこに保存される製品28を有する管状構造体10を示している。装置20は、多層管状構造体10、物品26、または、運搬装置による管状構造体及び物品の移動または下流側の工程における物品の処理のような管状構造体または物品になされたプロセス用の固有のIDを記憶することができる。製品ID、技術データ、品質管理情報、日付コード、位置、及び発送状況のような他の情報が、装置20によって、取り込まれ、記憶され、及び送信されてもよい。情報が削除されることがあってもよく、このような情報の削除として、上書き、消去、置換、及び無効が挙げられる。従って、管状構造体10は、さらに他の製品または物品に再使用されることが可能である。このような特徴によって、在庫管理、在庫調整、工場内の製品位置、及び供給連鎖管理を改良することができる。
【0022】
図5A及び5Bは、本発明の多層管状構造体10の代替的実施形態を示している。ここでは、装置20は、管状構造体の少なくとも一部内に埋設された鉄薄片のような識別可能な金属薄片または粒子22のマトリックスの形態にある。この実施形態における装置20をなす粒子22は、前述した装置と同じように応答し、多層管状構造体、製品、またはそれらに対してなされたプロセスについての情報を記憶し、及び送信することができる。好ましくは、粒子22は、管状体の層の少なくとも1つを形成する繊維、例えば、紙繊維と混合または一体に結合され、以下に述べるように、管状体の特定の、すなわち、明確に区別された位置に集中されてもよく、または管状体の実質的に全体に分散されてもよい。
【0023】
図6は、本発明による複合多層管状構造体を作製する方法を示している。柔軟性ボディープライ材料121の連続帯片を、まず、整形マンドレル40に向かって、前進させる。図6におけるボディープライ材料121は、外層12と内層14との間に配置される内部層である。さらに多くの内部層が設けられてもよいが、一実施形態では、内部層が設けられず、内層と外層のみによって、管状体を構成している。また、図6に示されている代替的な一実施形態では、ボディープライ材料121に、フィーダ23によって所定の間隔でまたは連続的に分散された複数の金属粒子22が供給される。ボディープライ材料121は、好ましくは、粒子22がそこに分散または塗布されるとき、粒子と紙繊維が互いに一体に結合されるように、湿潤紙繊維の遊離した形態にあるとよいが、粒子を比較的湿潤したまたは乾燥しているボディープライ材料121の表面にのみ塗布することもできる。一実施形態では、ボディープライ材料121は、識別装置20に適合する大きさの開口25を画成している。また、ボディープライ材料121は、用途によって、接着剤ローラ及びヒータの下を通過するようにしてもよい。
【0024】
内層14もマンドレル40に向かって前進させ、さらに、一実施形態では塗布装置29によって塗布された識別装置20を有する支持層141をマンドレル40に向かって前進させる。また、識別装置20を支持層141に積層するために、加熱ニップ31が設けられてもよい。明確にするために、詳細には記載していないが、多層管状構造体10と関連して用いられる製品または物品によっては、種々のライナ及びバリア材料構成が、製造のこの一般的な工程に用いられることがあってもよい。
【0025】
内層14、ボディープライ材料121、及び支持層141をマンドレル40に向かって前進させ、マンドレルの周りに螺旋状に重ねて巻き付け、多層管状構造体を形成する。一実施形態では、ボディープライ材料121によって画成された開口25を、識別装置20が実質的にその開口を占めるように、マンドレル40の周りに前進させる。有利には、識別装置20の厚みは、その識別装置の存在が、隆起、凸部、または他の可視的な痕跡などによって、完成品の多層管状構造体10、特に、内層及び外層14、12に現われないように、開口25とボディープライ材料121の厚みによって調整される。
【0026】
管状構造体を、1対の対向するプーリ56の周りに延在する従来式の巻付けベルト54によって、マンドレル40の下流側に前進させる。巻付けベルト54は、管状構造体を回転かつ前進させるのみならず、圧力を個々の層またはプライに加え、それらの間の堅固な結合を確実にする。
【0027】
巻付けベルト54の下流側において、連続的な外層12を、接着剤を外層の内面に塗布する接着剤塗布装置58を通して、マンドレル40に向かって前進させる。次いで、外層12とそこに塗布された接着剤を、接着剤に実質的な粘着性を与えるために、ヒータの下方を通過させる。
【0028】
ヒータの下方を通過させた後、前進する管状構造体上に外層12をマンドレル40を囲むように巻き付ける。各プライまたは層をマンドレル40の周りに巻き付けるとき、プライの後縁をそのプライの後続の部分の前縁と接触させることによって、これらの縁が互いに当接し、突合せ接合をそれらの間に形成することに、留意すべきである。また、ここでは螺旋状の巻付けについて述べたが、本発明の多層管状構造体10は、畳み込み状の巻付けなどによっても形成することができることに、留意すべきである。
【0029】
次いで、巻き付けられた層またはプライを、巻付けベルト64によって、マンドレル40の下流側に前進させる。巻付けベルト64は、巻き付けられた層を回転かつ前進させ、圧力を層の重なる縁に加え、それぞれの縁間の堅固な結合を確実にする。多数の層がマンドレル上で互いに固着され、連続的な管状構造体を形成した後、この管状構造体を、切断ステーション66によって、刻み目を付けるかまたは切断する。切断は、好ましくは、(もし設けられているなら)、その識別装置が両端16、18の1つの近傍でかつそこから内側に離間するように、規則正しい間隔で行なわれる。切断した後、管状構造体10をマンドレル40から取り外す。
【0030】
このように、本発明の多層管状構造体及び方法は、従来のコンテナ及びコア、及びそのようなコンテナ及びコアを製造する方法によってもたらされる制約と欠陥を克服するものである。特に、本発明の多層管状構造体及びそれを製造するための方法は、損傷または窃盗を受け難い識別装置を備える多層管状構造体をもたらし、この構造は、従来の製造技術及びシステムを取り入れることによって、形成することができる。従って、本発明の多層管状構造体及び方法は、製造コストを低減するのみならず、供給連鎖管理、在庫管理、在庫調整、及び工場内の製品位置における効率の悪さを低減する。
【0031】
前述の説明と関連する図面に現われる示唆の利得を受けるこれらの本発明が属する技術分野における熟練者にとって、ここに述べた本発明に対する多くの修正及び他の実施形態が、思い浮かぶであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されるものではなく、修正及び他の実施形態は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることが、理解されるべきである。ここでは特定の用語を用いているが、それらの用語は、包括的かつ叙述的な意味でのみ用いられ、制限する目的では用いられていない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態による多層管状構造体の側透視図である。
【図2】図1に示される多層管状構造体の端面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による巻き製品が外部に巻き付けられた多層管状構造体の透視図である。
【図3B】本発明の一実施形態による製品が内部に配置された多層管状構造体の透視図である。
【図4】本発明の一実施形態による識別装置の上面図である。
【図5A】本発明の一実施形態による局在的な粒子のマトリックスが埋設された多層管状構造体の透視図である。
【図5B】本発明の一実施形態による実質的に分散された粒子のマトリックスが埋設された多層管状構造体の透視図である。
【図6】本発明の一実施形態による多層管状構造体を作製するための方法を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 多層管状構造体
12 外層
14 内層
15 中心開口
16、18 端
20 識別装置
22 粒子
23 フィーダ
24 内部層
25 開口
26 巻き物品
28 製品
29 塗布装置
30 コイルアンテナ
31 加熱ニップ
32 キャパシタ
40 マンドレル
54 巻付けベルト
56 プーリ
58 接着剤塗布装置
64 巻付けベルト
66 切断ステーション
121 ボディープライ材料
141 支持層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を保存するための多層管状構造体であって、
軸を中心として重ねて巻き付けられ、かつ相互に接着された柔軟性材料の多数の層から形成され、内面と外面および両端を有する管状体と、
前記管状体の多数の層の2つの間に介在し、かつ前記管状体の前記両端から所定距離だけ離間して配設されている電子検出装置と
を備えている、多層管状構造体。
【請求項2】
前記電子検出装置は、前記管状体の前記多数の層の少なくとも1つに積層されている、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項3】
前記管状体の前記多数の層の少なくとも1つには、前記電子検出装置に適合する大きさの開口が設けられ、前記電子検出装置が、前記多数の層の前記少なくとも1つの前記開口を実質的に占めることができる、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項4】
前記電子検出装置が、前記管状構造体及び製品の少なくとも1つと関連したデータを記憶しかつ送信する機能を備えている、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項5】
前記電子検出装置が、コイルアンテナ及びキャパシタを含んでいる、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項6】
前記電子検出装置が、印刷された炭素基アンテナを含んでいる、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項7】
前記多数の層の複数が、少なくとも部分的に板紙から形成されている、請求項1に記載の多層管状構造体。
【請求項8】
製品を保存するための多層管状構造体であって、
軸を中心として重ねて巻き付けられ、かつ相互に接着された柔軟性材料の多数の層から形成され、内面と外面および両端を有する管状体と、
前記管状構造体及び製品の少なくとも1つと関連したデータを記憶しかつ送信する機能を備え、前記管状体の少なくとも一部に埋設された識別可能な金属粒子のマトリックスから構成され、前記管状体と前記識別可能な粒子とが相互に結合されるような電子検出装置と
を備えている、多層管状構造体。
【請求項9】
前記粒子が、前記管状体の実質的に全体に分散されている、請求項8に記載の多層管状構造体。
【請求項10】
前記多数の層の複数が、少なくとも部分的に板紙から形成されている、請求項8に記載の多層管状構造体。
【請求項11】
製品を保存するための多層管状構造体の製造方法であって、
柔軟性材料の多数の層をマンドレルの周りに巻き付けて、内面と外面および両端を有する管状体を形成する工程と、
前記柔軟性材料を前記マンドレルの周りに巻き付ける際に、アンテナ及びキャパシタを有する電子検出装置を、該電子検出装置が、前記柔軟性材料の前記多数の層のうちの2つの間であって前記管状体の前記内面と外面との間に介在しかつ前記管状体の前記両端から離間されるように、前記管状体に埋設する工程と
を含む、多層管状構造体の製造方法。
【請求項12】
前記電子検出装置を、前記柔軟性材料の前記多数の層の少なくとも1つに積層する工程をさらに含む、請求項11に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項13】
前記多層管状構造体と前記製品の少なくとも1つについての情報を、前記電子検出装置に記憶させる工程をさらに含む、請求項11に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項14】
前記電子検出装置に記憶させた、前記多層管状構造体と前記製品の少なくとも1つについての情報を、読取装置を用いて識別する工程をさらに含む、請求項13に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項15】
前記巻付け工程中に前記電子検出装置が前記開口を実質的に占めるように、前記多数の層の少なくとも1つに開口を形成する工程をさらに含む、請求項11に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項16】
製品を保存するための多層管状構造体の製造方法であって、
複数の繊維を柔軟性材料の細長いシートに形成する工程と、
前記柔軟性材料の細長いシートからなる多数の層をマンドレルの周りに巻付け、内面と外面および両端を有する管状体を形成する工程と、
前記柔軟性材料を形成する工程中に、電子検出装置を前記繊維と混合することにより前記管状体に埋設する工程と
を含む、多層管状構造体の製造方法。
【請求項17】
前記柔軟性材料を形成する工程は、複数の紙繊維を柔軟性板紙材料の細長シートに形成する工程を含む、請求項16に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項18】
前記多層管状構造体と前記製品の少なくとも1つについての情報を、前記電子検出装置に記憶させる工程をさらに含む、請求項16に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項19】
前記電子検出装置に記憶させた、前記多層管状構造体と前記製品の少なくとも1つについての情報を、読取装置を用いて識別する工程をさらに含む、請求項18に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項20】
前記電子検出装置を埋設する工程は、金属粒子のマトリックスと前記繊維とを相互に結合させる工程を含む、請求項16に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項21】
前記電子検出装置を埋設する工程は、金属粒子のマトリックスを前記管状体の全体に分散させる工程を含む、請求項16に記載の多層管状構造体の製造方法。
【請求項22】
製品を周囲に巻きつけて支持するための多層管状構造体の製造および使用方法であって、
前記管状構造体を、内側ボディ層と外側ボディ層とを含み、内面と外面および両端を有する複数のボディ層から形成する工程と、
アンテナ及びキャパシタを有し前記管状構造体に固有の識別をもたらす電子検出装置を、該電子検出装置が前記内側ボディ層と外側ボディ層との間に介在するように、前記複数のボディ層に埋設する工程と、
製品を前記外側ボディ層の外周面に巻き付ける工程と、
前記複数のボディ層の周りに巻き付けられた前記製品についての情報を、前記電子検出装置に記憶させる工程と、
前記電子検出装置に記憶させた前記製品についての前記情報を、読取装置を用いて識別する工程と
を含む、多層管状構造体の製造および使用方法。
【請求項23】
前記製品についての前記記憶情報を、前記電子検出装置と前記管状構造体とが他の製品に関連して再使用され得るように、削除する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−531676(P2007−531676A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507404(P2007−507404)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/011339
【国際公開番号】WO2005/097604
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(599057065)ソノコ・デヴェロップメント,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】