説明

多層配線基板及びその製造方法

【課題】ビア導体の接続信頼性を高めることができる多層配線基板を提供すること。
【解決手段】多層配線基板において、下層導体層41と上層導体層42とを隔てる樹脂層間絶縁層33にビア穴51が形成され、ビア穴51内に下層導体層41と上層導体層42とを接続するビア導体52が形成されている。樹脂層間絶縁層33の表面は粗面であり、ビア穴51は樹脂層間絶縁層33の粗面にて開口している。ビア穴51を包囲する開口縁は、開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部53とされ、段差部53の表面粗さは、開口縁の周辺領域の表面粗さよりも大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下層導体層と上層導体層とを隔てる層間絶縁層にビア穴が形成され、ビア穴内に下層導体層と上層導体層とを接続するビア導体が形成された多層配線基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器、電子機器等の小型化に伴い、これらの機器に搭載される多層配線基板等にも小型化や高密度化が要求されている。この多層配線基板としては、樹脂層間絶縁層と導体層とを交互に積層一体化する、いわゆるビルドアップ法にて製造された配線基板が実用化されている(特許文献1〜3等参照)。多層配線基板において、樹脂層間絶縁層の下層導体層と上層導体層とは、樹脂層間絶縁層内に形成されたビア導体を介して接続されている。
【0003】
上記多層配線基板を製造する場合、レーザー加工によって樹脂層間絶縁層にビア穴を形成し、樹脂層間絶縁層の上面に無電解銅めっき、電解銅めっき等を施し、さらに不要部分をエッチングにより除去する。この結果、樹脂層間絶縁層の上面に所望のパターンの上層導体層が形成されるとともに、上層導体層と下層導体層とを導通するビア導体がビア穴内に形成される。なお、樹脂層間絶縁層の表面は、粗化処理が施されることで粗面となっており、導体層との密着性が確保されている。
【0004】
なお、ビア穴を形成する方法としては、上述したレーザー加工法以外に、露光工程及び現像工程などからなる公知のフォトリソグラフィー技術を用いる手法(例えば、特許文献2,3参照)も実用化されている。
【0005】
また、樹脂層間絶縁層の上面となるビア導体の上端部にはビア穴の直径よりも大きなランドが形成されており、ビア導体はそのランドを介して導体層の配線パターンと接続されている。
【0006】
ところで、樹脂層間絶縁層101の表面粗さが大きくなると、配線パターン102(導体層)を形成する銅めっき時において、その樹脂層間絶縁層101の表面における凹部103に配線パターン102の銅めっきが入り込み、その凹部103に入り込んだ銅めっきの部分102aは、配線幅W1の規定範囲よりも外側にはみ出た状態となる(図17参照)。この場合、配線パターン102の高密度化の妨げとなってしまう。従って、近年の多層配線基板では、樹脂層間絶縁層101の表面粗さを従来よりも小さくして、配線パターン102を高密度に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−270768号公報
【特許文献2】特開2005−33231号公報
【特許文献3】特開2000−244127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、樹脂層間絶縁層101の表面粗さを小さくすると、樹脂層間絶縁層101と配線パターン102との密着強度が低下してしまう。また、配線パターン102とビア導体との接続部分(ランドの接続部分)には、比較的大きな応力が加わる。このため、配線パターン102とビア導体との接続部分が起点となってデラミネーションが起こりやすくなる。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビア導体部分でのデラミネーションを抑制し、ビア導体の接続信頼性を高めることができる多層配線基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記多層配線基板を製造するのに好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、下層導体層と上層導体層とを隔てる層間絶縁層にビア穴が形成され、前記ビア穴内に前記下層導体層と前記上層導体層とを接続するビア導体が形成された多層配線基板において、前記層間絶縁層の表面は粗面であり、前記ビア穴は前記層間絶縁層の前記粗面にて開口するとともに、前記ビア穴を包囲する開口縁は、前記開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部とされ、前記段差部の表面粗さは、前記周辺領域の表面粗さよりも大きいことを特徴とする多層配線基板がある。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、層間絶縁層においてビア穴の開口縁に段差部が形成されている。このようにすると、ビア穴の開口縁周囲が同一平面である場合に比べて、ビア穴の開口縁の付近で応力が集中することが回避されるとともに、上層導体層と層間絶縁層との密着性を確保することができる。さらに、段差部の表面粗さが周辺領域の表面粗さよりも大きいので、その段差部において上層導体層と層間絶縁層との密着強度を十分に高めることができる。この結果、ビア導体と上層導体層との接続部分でのデラミネーションを抑制することができ、ビア導体の接続信頼性を向上することができる。なお、本明細書で述べられている表面粗さの測定方法は、JIS B0601:2001に準じるものとする。
【0012】
上層導体層はビア導体の上端部に接続されたランドであり、ランドの最大径は段差部の最大径と同じまたはそれよりも大きいことが好ましい。このようにすると、層間絶縁層において、表面粗さが大きい段差部表面がランドによって確実に覆われるので、配線パターンをファインピッチで形成することが可能となる。さらに、段差部上に形成された導体層の厚みは、開口縁の周辺領域上に形成された導体層の厚みよりも大きいことが好ましい。即ち、デラミネーションの起点となりやすいビア導体と導体層との接続部分において、導体層の厚みが厚くなるため、デラミネーションをより確実に抑制することができる。
【0013】
ビア穴、段差部及びランドは、同心円状に配置されていることが好ましい。このようにすると、ビア穴に対して段差部を比較的容易に形成することができる。また、段差部の深さは1μm以上3μm以下であり、段差部の表面粗さは1μm未満であることが好ましい。
【0014】
段差部の幅は10μm以上30μm以下であることが好ましい。このようにすると、ランドの最大径よりも段差部の最大径を小さくすることができる。
【0015】
層間絶縁層は、絶縁樹脂材料中に50重量%以上の無機フィラーを含有してなるビルドアップ材を用いて形成されることが好ましい。このように、無機フィラーの含有量を多くすることにより、層間絶縁層の表面粗さを抑えることができ、層間絶縁層に導体層をファインピッチで形成することが可能となる。
【0016】
ビア導体は、銅めっきにて形成されたフィルドビアであることが好ましい。ビア導体はコンフォーマルビアであってもよいが、フィルドビアとするとビア導体の低抵抗化を図ることができる。なお、コンフォーマルビアとは、ビア穴の形状に沿って均一な厚さのめっき層が形成され、それゆえビア穴が完全にはめっき層で充填されておらず、窪みを有するタイプのビアを指している。これに対してフィルドビアとは、めっき層の厚さが均一ではなく、そのめっき層によってビア穴が完全に充填されており、窪みを有しないタイプのビアを指している。
【0017】
多層配線基板を構成する層間絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。層間絶縁層の形成材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、層間絶縁層に含まれる無機フィラーとしては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物からなるフィラーが挙げられる。特に、シリカフィラーは誘電率が低く、線膨張率が低いため、層間絶縁層にシリカフィラーを添加すると、多層配線基板の品質をより高めることができる。
【0018】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、手段1に記載の多層配線基板の製造方法であって、前記下層導体層を覆う前記層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、前記層間絶縁層のビア穴形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うとともに、前記層間絶縁層の段差部形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーよりも弱い第2のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うレーザー照射工程と、前記レーザー照射工程の後、前記層間絶縁層を粗化することにより、前記層間絶縁層の表面全体を粗面とするとともに、前記段差部形成予定位置に前記段差部を形成しかつその表面を粗面とする粗化工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。
【0019】
手段2に記載の発明によると、レーザー照射によって、層間絶縁層にビアが形成されるとともに、ビア穴の開口縁の段差部形成予定位置が削り取られる。そして、粗化工程を行うことによって段差部が形成されるとともにその表面が粗化される。このようにすると、ビア穴の開口縁に段差部を確実に形成することができ、上層導体層と層間絶縁層との密着強度を十分に高めることができる。
【0020】
粗化工程は、エッチング液を用いたデスミア工程であることが好ましい。この場合、層間絶縁層の表面全体及び段差部表面を粗化することに加えて、レーザー照射後にてビア穴内に残存するスミアを確実に除去することができる。また、粗化工程としては、液体以外に固体や気体を用いた粗化工程であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を具体化した第1の実施形態の多層配線基板を示す概略断面図。
【図2】同じく、ビア穴及びビア導体を示す拡大断面図。
【図3】同じく、ビア穴及びランドを示す平面図。
【図4】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】同じく、ビア穴のSEM写真を示す説明図。
【図10】同じく、多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】同じく、ビア穴及びビア導体のSEM写真を示す説明図。
【図12】第2の実施形態の半導体パッケージを示す概略断面図。
【図13】同じく、多層配線基板を示す部分概略断面図。
【図14】別の実施の形態のビア穴及び段差部を示す平面図。
【図15】別の実施の形態のビア穴及び段差部を示す平面図。
【図16】別の実施の形態のビア穴及び段差部を示す平面図。
【図17】従来技術の層間絶縁層上の配線パターンを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10は、略矩形板状のコア基板11と、コア基板11のコア主面12上に形成される第1ビルドアップ層31と、コア基板11のコア裏面13上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0024】
本実施の形態のコア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状である。コア基板11は、例えば補強材としてのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる樹脂絶縁材(ガラスエポキシ材)にて構成されている。コア基板11には、複数のスルーホール導体16がコア主面12及びコア裏面13を貫通するように形成されている。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体17で埋められている。また、コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。
【0025】
コア基板11のコア主面12上に形成された第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。また、樹脂層間絶縁層33,35内における複数箇所にはビア穴51及びフィルドビア導体52が形成されている。各ビア導体52は、導体層41,42や端子パッド44に電気的に接続している。
【0026】
コア基板11のコア裏面13上に形成された第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。樹脂層間絶縁層34,36内における複数箇所にもビア穴51及びビア導体52が形成されている。各ビア導体52は、導体層41,42に電気的に接続している。また、樹脂層間絶縁層36の下面上において各ビア導体52の下端となる箇所には、ビア導体52を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。
【0027】
本実施の形態の多層配線基板10において、ビルドアップ層31,32を構成する樹脂層間絶縁層33〜36は、熱硬化性の絶縁樹脂材料(具体的には、エポキシ樹脂)中に60重量%の割合で無機フィラー(具体的には、シリカフィラー)を含有してなるビルドアップ材を用いて形成されている。これら樹脂層間絶縁層33〜36の表面は粗面であり、ビア穴51は樹脂層間絶縁層33〜36の粗面にて開口している。多層配線基板10において、樹脂層間絶縁層33〜36の表面を粗面とすることで、導体層42や各パッド44,48と樹脂層間絶縁層33〜36との密着性が確保されている。
【0028】
図2に示されるように、ビア穴51を包囲する開口縁は、開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部53とされ、段差部53の表面粗さは、開口縁の周辺領域の表面粗さよりも大きくなっている。なお、図2では、樹脂層間絶縁層33に形成されたビア穴51及びビア導体52が示されており、そのビア導体52は下側の導体層41(下層導体層)と上側の導体層42(上層導体層)とを接続している。図2に示される導体層42は、ビア導体52の上端部に接続されたランドである。図3に示されるように、導体層42のランド、ビア穴51、及び段差部53は、同心円状に配置されている。なお、図3は、樹脂層間絶縁層35及びソルダーレジスト37を取り除いた状態において樹脂層間絶縁層33の上方からみた導体層42(ランド)の平面図である。
【0029】
本実施の形態において、段差部53の深さは、2μm程度であり、段差部53の表面粗さは1μm未満となっている。また、段差部53の幅は20μm程度である。図2及び図3に示されるように、本実施の形態では、ビア導体52の上端部に接続されている導体層42(ランド)の最大径は、段差部53の最大径よりも大きくなっている。つまり、段差部53は導体層42によって完全に覆われている。
【0030】
次に、本実施の形態の多層配線基板10の製造方法について述べる。
【0031】
まず、ガラスエポキシからなる基材の両面に銅箔が貼付された銅張積層板を準備する。そして、ドリル機を用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板の表裏面を貫通する貫通孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、銅張積層板の貫通孔の内面に対する無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、貫通孔内にスルーホール導体16を形成する。その後、スルーホール導体16の空洞部を絶縁樹脂材料(エポキシ樹脂)で穴埋めし、閉塞体17を形成する。
【0032】
さらに、無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、閉塞体17の露出部分を含む銅張積層板の表面に銅めっき層を形成した後、その銅めっき層及び銅箔を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。この結果、図4に示されるように、導体層41及びスルーホール導体16が形成されたコア基板11を得る。
【0033】
そして、コア基板11のコア主面12の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、コア裏面13の上に第2ビルドアップ層32を形成するビルドアップ工程を行う。具体的には、図5に示されるように、コア基板11のコア主面12側及びコア裏面13側において、熱硬化性エポキシ樹脂中にシリカフィラーを含有させてなるシート状の樹脂層間絶縁層33,34を貼り付け、樹脂層間絶縁層33,34をある程度硬化(プレキュア)させる(層間絶縁層形成工程)。
【0034】
そして、図6に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCO2レーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂層間絶縁層33,34の所定の位置にビア穴51を形成する(レーザー照射工程)。なおここでは、樹脂層間絶縁層33,34のビア穴形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うとともに、段差部形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーよりも弱い第2のレーザーエネルギーでレーザー照射を行う。この結果、図7に示されるように、樹脂層間絶縁層33,34において、導体層41上にビア穴51が形成されるとともに、ビア穴51の開口縁にはその周辺領域よりも低くなった凹み54が形成される。
【0035】
次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴51内のスミアを除去するデスミア工程(粗化工程)を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。このデスミア工程を施すことで、図8に示されるように、樹脂層間絶縁層33,34の表面が粗化される。この結果、樹脂層間絶縁層33,34の表面全体を粗面とするとともに、ビア穴51の開口縁における段差部形成予定位置に段差部53を形成しかつその表面を粗面とする。ここで、段差部53の表面はレーザー照射によってある程度ダメージが加えられているため、段差部53の表面粗さは、周辺領域の表面粗さよりも大きくなる。
【0036】
図9には、デスミア処理後におけるビア穴51周辺のSEM写真60、及び段差部53を拡大したSEM写真61を示している。図9のSEM写真60,61において、ビア穴51の開口縁に沿って円環状の段差部53が形成され、その段差部53が周辺領域よりも荒らされていることが確認された。
【0037】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴51内にビア導体52を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂層間絶縁層33,34上に導体層42をパターン形成する(図10参照)。図11には、ビア導体52の軸線上でその厚さ方向に切断したビア導体52の切断面を示すSEM写真62、及びその切断面を拡大したSEM写真63を示している。図11のSEM写真62,63でも、ビア穴51の開口縁に段差部53が形成されていることが確認された。
【0038】
また、他の樹脂層間絶縁層35,36や各パッド44,48についても、上述した樹脂層間絶縁層33,34及び導体層42と同様の手法によって形成し、樹脂層間絶縁層33,34上に積層する。次に、樹脂層間絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部40,46をパターニングする。以上の工程を経ることで図1に示す多層配線基板10が製造される。
【0039】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0040】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、樹脂層間絶縁層33〜36において、ビア穴51の開口縁に段差部53が形成されている。このように段差部53を形成すると、ビア穴51の開口縁周囲が同一平面である場合に比べて、ビア穴51の開口縁の付近で応力が集中することが回避されるとともに、導体層42と樹脂層間絶縁層33〜36との密着性を確保することができる。さらに、段差部53の表面粗さが周辺領域の表面粗さよりも大きいので、段差部53において導体層42と樹脂層間絶縁層33〜36との密着強度を十分に高めることができる。この結果、ビア導体52と導体層42との接続部分でのデラミネーションを抑制することができ、ビア導体52の接続信頼性を向上することができる。
【0041】
(2)本実施の形態の多層配線基板10では、ビア導体52の上端部に接続された導体層42(ランド)の最大径は段差部53の最大径よりも大きくなっている。このようにすると、樹脂層間絶縁層33,34において、表面粗さが大きい段差部53表面が導体層42(ランド)によって確実に覆われるので、配線パターンをファインピッチで形成することが可能となる。
【0042】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、ビア穴51、段差部53及び導体層42のランドは、同心円状に配置されている。この場合、ビア穴51に対して段差部53を比較的容易に形成することができる。また、ビア穴51の開口縁に沿って均一な密着強度で導体層42を形成することができる。
【0043】
(4)本実施の形態の多層配線基板10では、樹脂層間絶縁層33〜36は、絶縁樹脂材料中に60重量%のシリカフィラーを含有してなるビルドアップ材を用いて形成されている。この場合、従来の樹脂層間絶縁層(シリカフィラーの含有率30%程度の絶縁層)よりもシリカフィラーを多く含むため、デスミア工程後における樹脂層間絶縁層33〜36の表面粗さを抑えることができる。この結果、樹脂層間絶縁層33〜36に導体層42の配線パターンをファインピッチで形成することが可能となる。
【0044】
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態の半導体パッケージを図面に基づき説明する。
図12に示されるように、本実施の形態の半導体パッケージ110は、多層配線基板111と、半導体集積回路素子であるICチップ121(半導体チップ)とからなるBGA(ボールグリッドアレイ)である。なお、半導体パッケージ110の形態は、BGAのみに限定されず、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。ICチップ121は、縦15.0mm×横15.0mm×厚さ0.8mmの矩形平板状であって、熱膨張係数が4.2ppm/℃のシリコンからなる。
【0045】
一方、多層配線基板111は、コア基板を有さず、銅からなる導体層151とエポキシ樹脂からなる4層の樹脂層間絶縁層143,144,145,146とを交互に積層して多層化した配線積層部140(積層構造体)を有している。本実施の形態の配線積層部140は、縦50.0mm×横50.0mm×厚さ0.4mmの平面視略矩形状である。本実施の形態において、樹脂層間絶縁層143〜146の熱膨張係数は、10〜60ppm/℃程度(具体的には20ppm/℃程度)となっている。なお、樹脂層間絶縁層143〜146の熱膨張係数は、30℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。
【0046】
図12に示されるように、配線積層部140の主面141上(第4層の樹脂層間絶縁層146の表面上)には、複数の端子パッド130(面接続端子)がアレイ状に配置されている。各端子パッド130は、樹脂層間絶縁層146に埋設されている。また、図13に示されるように、端子パッド130は、銅めっき層131(銅層)、ニッケルめっき層132(ニッケル層)及び金めっき層133(金層)をこの順序で積層した構造を有している。ここでは、銅めっき層131の厚さを10μm以上20μm未満(本実施の形態では10μm)、ニッケルめっき層132の厚さを3μm以上10μm未満(本実施の形態では5μm)、金めっき層133の厚さを0.1μm以上3μm未満(本実施の形態では0.5μm)に設定している。
【0047】
さらに、端子パッド130の表面上には、複数のはんだバンプ154が配設される。各はんだバンプ154には、ICチップ121の端子122が面接続される。即ち、ICチップ121は、配線積層部140の主面141側に搭載される。なお、各端子パッド130及び各はんだバンプ154が形成されている領域は、ICチップ121を搭載可能なICチップ搭載領域123である。
【0048】
一方、図12に示されるように、配線積層部140の裏面142上(第1層の樹脂層間絶縁層143の下面上)には、複数のBGA用パッド153がアレイ状に配設されている。BGA用パッド153は、銅端子上にニッケルめっき層及び金めっき層をこの順序で積層した構造を有している。また、樹脂層間絶縁層143の下面は、ソルダーレジスト147によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト147の所定箇所には、BGA用パッド153を露出させる開口部148が形成されている。各BGA用パッド153の表面上には、マザーボード接続用の複数のはんだバンプ155が配設されており、各はんだバンプ155により、配線積層部140は図示しないマザーボード上に実装される。
【0049】
図12,図13に示されるように、各樹脂層間絶縁層143〜146には、それぞれビア穴156及びビア導体157が設けられている。各ビア穴156は、円錐台形状をなし、各樹脂層間絶縁層143〜146に対してYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いた穴あけ加工を施すことで形成される。また、各ビア穴156は、配線積層部140の裏面142の方向(図12,図13では下方向)、即ち、端子パッド130側から樹脂層間絶縁層143〜145側に向かうに従って拡径した形状をなしている。各ビア導体157は、ビア穴156に充填された導体であって、配線積層部140の裏面142の方向(図12,図13では下方向)に拡径した導体であり、各導体層151、端子パッド130及びBGA用パッド153を相互に電気的に接続している。そして、端子パッド130は、ビア導体157における小径側端面158(図13参照)に接続している。一方、ビア導体157における大径側端面は、導体層151(層間配線)に接続している。
【0050】
図13に示されるように、樹脂層間絶縁層146の裏面におけるビア穴156の開口を包囲する開口縁は、開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部161とされ、段差部161の表面粗さは、開口縁の周辺領域の表面粗さよりも大きくなっている。なお、図13には、樹脂層間絶縁層145,146に形成されたビア穴156及びビア導体157が示されており、例えば樹脂層間絶縁層146に形成されたビア導体157は、下側の導体層151(下層導体層)と上側の端子パッド130(上層導体層)を接続している。なお、上記したように、端子パッド130は、はんだバンプ154を介してICチップ121と接続するためのパッドである。
【0051】
また、段差部161上に形成された導体層151の厚みt1は、開口縁の周辺領域上に形成された導体層151の厚みt2より大きくなっている。なお、厚みt1,t2を有する導体層151は、ビア導体157の下端部に接続されたランドを含んでいる。本実施の形態では、ビア導体157の下端部に接続されているランドの最大径は、段差部161の最大径よりも大きくなっている。つまり、段差部161は導体層151によって完全に覆われている。
【0052】
次に、本実施の形態の半導体パッケージ110の製造方法について述べる。本実施の形態では、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、多層配線基板111(配線積層部140)の導体層151及び樹脂層間絶縁層143〜146をビルドアップしていく方法を採用している。
【0053】
詳述すると、まず、支持基板の両面に、それぞれ積層金属シート体(即ち支持体層)を配置する。両積層金属シート体は、2枚の銅箔層を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき)を介して各銅箔層を積層することで積層金属シート体が形成されている。各銅箔層において対向していない側の面は粗化面となっており、微細な凹凸が存在している。
【0054】
続く端子形成工程では、積層金属シート体上にめっきレジスト(マスク)としてのドライフィルム(厚さ約15μm)をラミネートする。次に、露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムの所定箇所に開口(内径100μm)を形成し、銅箔層の表面の一部を露出させる。そして、開口から露出している銅箔層部分に、金めっき層133、ニッケルめっき層132及び銅めっき層131をこの順序で積層することにより、端子パッド130を形成する。より詳しくは、まず、電解金めっきを行い、所定厚さの金めっき層133を形成する。次に、電解ニッケルめっきを行い、金めっき層133上に所定厚さのニッケルめっき層132を形成する。さらに、電解銅めっきを行うことにより、ニッケルめっき層132上に所定厚さの銅めっき層131を形成し、端子パッド130を完成させる。その後、ドライフィルムを除去する。
【0055】
続く層間絶縁層形成工程では、両積層金属シート体の上にシート状の絶縁樹脂基材を積層し、真空圧着熱プレス機(図示略)を用いて真空下にて加圧加熱した後、硬化させることにより、端子パッド130を被覆する第4層の樹脂層間絶縁層146を形成する。そして、レーザー加工を施すことによって樹脂層間絶縁層146の所定の位置にビア穴156を形成し、次いで各ビア穴156内のスミアを除去する従来周知のデスミア工程(粗化工程)を行う。なお、ここでは、上述したレーザー照射工程と同様、ビア穴156の形成予定位置に対して、第1のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うとともに、段差形成予定位置に対して、第1のレーザーエネルギーよりも弱い第2のレーザーエネルギーでレーザー照射を行う。この結果、図13に示されるように、ビア穴156の開口縁にはその周辺領域よりも低くなった段差部161が形成される。
【0056】
続く導体形成工程では、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴156内にビア導体157を形成する。このとき、樹脂層間絶縁層146に形成されたビア導体157の小径側端面158が、端子パッド130に接続される。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂層間絶縁層146上に導体層151をパターン形成する。
【0057】
また、第1層〜第3層の樹脂層間絶縁層143〜145及び導体層151についても、上述した第4層の樹脂層間絶縁層146及び導体層151と同様の手法によって形成し、樹脂層間絶縁層146上に積層していく。そして、BGA用パッド153が形成された樹脂層間絶縁層143上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト147を形成する。次に、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト147に開口部148をパターニングする。以上の製造工程によって、支持基板の両側にそれぞれ積層金属シート体、樹脂層間絶縁層143〜146及び導体層151を積層した積層体が形成される。積層体において積層金属シート体上に位置する領域が、配線積層部140となる。
【0058】
そして、この積層体をダイシング装置により切断し、積層体における配線積層部140の周囲領域を除去する。この際、配線積層部140とその周囲部との境界部分において、配線積層部140を支持基板ごと切断する。この切断によって、樹脂層間絶縁層146にて封止されていた積層金属シート体の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部の除去によって、支持基板と樹脂層間絶縁層146との密着部分が失われる。この結果、配線積層部140及び支持基板が積層金属シート体のみを介して連結した状態となる。
【0059】
続く支持体層除去工程では、まず、積層体を配線積層部140と支持基板とに分離し、銅箔層を露出させる。具体的に言うと、積層金属シート体を2枚の銅箔層の界面にて剥離して、配線積層部140を支持基板から分離する。さらに、配線積層部140(樹脂層間絶縁層146)の主面141上にある銅箔層に対してエッチングを行って、銅箔層を除去するとともに、端子パッド130の金めっき層133等を主面141から露出させる。続くはんだバンプ形成工程では、多層配線基板111における最表層の樹脂層間絶縁層146上に形成された複数の端子パッド130上に、ICチップ接続用のはんだバンプ154を形成する。
【0060】
その後、配線積層部140のICチップ搭載領域123にICチップ121を載置する。このとき、ICチップ121側の端子122と、配線積層部140側のはんだバンプ154とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各はんだバンプ154をリフローすることにより、端子122とはんだバンプ154とが接合され、配線積層部140にICチップ121が搭載された図12の半導体パッケージ110が完成する。
【0061】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0062】
(5)本実施の形態の端子パッド130には、接続される部品(ICチップ121)や別の配線基板の影響によって応力が集中する。かかる端子パッド130に直接接続されたビア導体157にも比較的大きな応力が作用する。このため、ビア導体157と、ビア導体157に直接接続された導体層151との接続部分が起点となって、デラミネーションが起こりやすくなる。そこで、本実施の形態では、ビア穴156の開口を包囲する開口縁を、開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部161としている。かかる段差部161により、ビア導体157と導体層151との接続部分に掛かる応力を分散させ、デラミネーションを抑制することが可能となる。
【0063】
(6)本実施の形態では、段差部161上とビア穴156の開口縁の周辺領域上とに層間配線(導体層151)が形成され、周辺領域上に形成された層間配線に他のビア導体157が接続されている。また、本実施の形態では、樹脂層間絶縁層146における段差部161上に形成された導体層151の厚みt1が、樹脂層間絶縁層146における周辺領域上に形成された導体層151の厚みt2より大きくなっている。即ち、デラミネーションの起点となりやすいビア導体157の大径側端面と導体層151との接続部分において、導体層151の厚みを厚くしているため、デラミネーションを確実に抑制することができる。しかも、導体層151はランドを含み、ランドの最大径は段差部161の最大径よりも大きくなっている。その結果、段差部161がランドによって確実に覆われるため、デラミネーションをより確実に抑制することができる。
【0064】
(7)本実施の形態の端子パッド130は、はんだバンプ154を介してICチップ121と接続するためのパッドである。ICチップ121と多層配線基板111とは熱膨張係数が異なるため、両者の接続部分に応力が集中しやすい。しかし、本実施の形態の多層配線基板111では、段差部161によってビア導体157と導体層151との接続部分に掛かる応力が分散されるのに伴い、端子パッド130と導体層151との接続部分に掛かる応力を分散させ、デラミネーションを抑制することが可能である。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0066】
・上記第1の実施形態の多層配線基板10では、ビア穴51に対して同心円状に段差部53を形成していたがこれに限定されるものではない。図14〜図16は段差部の変形例を示している。図14の段差部53aは、円形状に対して一部が外周側に突出した形状となっている。また、図15の段差部53bは、楕円形状となっている。さらに、図16の段差部53cは、ビア穴51に対して偏心させた形状となっている。これら段差部53a〜53cの形状は、ビア導体52に接続される導体層42の配線パターンの接続位置等に応じて適宜変更することができる。このようにすると、ビア導体52部分でのデラミネーションを確実に抑制することが可能となる。
【0067】
・上記第1の実施形態では、レーザー照射工程において、樹脂層間絶縁層33〜36のビア穴形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うとともに、段差部形成位置に対し、第1のレーザーエネルギーよりも弱い第2のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うものであったが、これに限定されるものではない。例えば、ビア穴形成予定位置と段差部形成位置とで別々のタイミングでレーザー照射を行って、樹脂層間絶縁層33〜36にビア穴51及び段差部53を形成するようにしてもよい。
【0068】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0069】
(1)手段1において、前記ビア導体がフィルドビアであることを特徴とする多層配線基板。
【0070】
(2)手段1において、前記ビア導体は、銅めっきであることを特徴とする多層配線基板。
【0071】
(3)手段1において、前記層間絶縁層は、熱硬化性樹脂からなるビルドアップ材を用いて形成されてなることを特徴とする多層配線基板。
【0072】
(4)手段2において、前記粗化工程はデスミア工程であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0073】
(5)層間絶縁層と、前記層間絶縁層に形成されたビア穴に充填されたビア導体と、前記層間絶縁層に埋設された端子パッドと、前記層間絶縁層の表面に形成され、前記ビア導体を介して前記端子パッドと接続される層間配線とを有する多層配線基板であって、前記ビア穴は、前記端子パッド側から前記層間配線側に向かうに従って拡径した形状であり、前記層間絶縁層の表面における前記ビア穴の開口を包囲する開口縁は、前記開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部を有していることを特徴とする多層配線基板。
【0074】
(6)技術的思想(5)において、前記段差部上に形成された前記層間配線の厚みは、前記開口縁の周辺領域上に形成された前記層間配線の厚みより大きいことを特徴とする多層配線基板。
【0075】
(7)技術的思想(5)または(6)において、前記層間配線は前記ビア導体の端部に接続されたランドを含み、前記ランドの最大径は前記段差部の最大径と同じまたはそれよりも大きいことを特徴とする多層配線基板。
【0076】
(8)技術的思想(5)乃至(7)のいずれか1つにおいて、前記端子パッドは、はんだバンプを介して半導体チップと接続するためのパッドであることを特徴とする多層配線基板。
【0077】
(9)技術的思想(5)乃至(8)のいずれか1つにおいて、前記段差部上及び前記周辺領域上に前記層間配線が形成され、前記周辺領域上に形成された前記層間配線に他のビア導体が接続されていることを特徴とする多層配線基板。
【符号の説明】
【0078】
10,111…多層配線基板
33〜36,143〜146…樹脂層間絶縁層
41,151…下層導体層としての導体層
42…上層導体層
51,156…ビア穴
52,157…ビア導体
53,53a〜53c,161…段差部
130…上層導体層としての端子パッド
t1…段差部上に形成された導体層の厚み
t2…開口縁の周辺領域上に形成された導体層の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層導体層と上層導体層とを隔てる層間絶縁層にビア穴が形成され、前記ビア穴内に前記下層導体層と前記上層導体層とを接続するビア導体が形成された多層配線基板において、
前記層間絶縁層の表面は粗面であり、前記ビア穴は前記層間絶縁層の前記粗面にて開口するとともに、前記ビア穴を包囲する開口縁は、前記開口縁の周辺領域よりも低くなった段差部とされ、前記段差部の表面粗さは、前記周辺領域の表面粗さよりも大きいことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記上層導体層は前記ビア導体の上端部に接続されたランドであり、前記ランドの最大径は前記段差部の最大径と同じまたはそれよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記段差部上に形成された導体層の厚みは、前記開口縁の周辺領域上に形成された前記導体層の厚みより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記ビア穴、前記段差部及び前記ランドは、同心円状に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記段差部の深さは1μm以上3μm以下であり、前記段差部の表面粗さは1μm未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記段差部の幅は10μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記層間絶縁層は、絶縁樹脂材料中に50重量%以上の無機フィラーを含有してなるものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層配線基板の製造方法であって、
前記下層導体層を覆う前記層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、
前記層間絶縁層のビア穴形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うとともに、前記層間絶縁層の段差部形成予定位置に対し、第1のレーザーエネルギーよりも弱い第2のレーザーエネルギーでレーザー照射を行うレーザー照射工程と、
前記レーザー照射工程の後、前記層間絶縁層を粗化することにより、前記層間絶縁層の表面全体を粗面とするとともに、前記段差部形成予定位置に前記段差部を形成しかつその表面を粗面とする粗化工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−142559(P2012−142559A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240394(P2011−240394)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】