説明

多層配線構造の製造法

【目的】配線段差の平坦化された多層配線構造の製造法を提供する。
【構成】パターンの形成された配線層を有する基材上に、芳香族四塩基酸二無水物1モルと炭素数4以下の1価のアルコールおよび/またはアルコール誘導体0.1〜1.0モルを、含有水分を0.1重量%以下とした溶剤中で加熱して芳香族四塩基酸二無水物の一部をジエステル化した後、分子長軸に対して非対称な位置にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物および必要に応じてその他のジアミン化合物0.8〜1.2モルを反応させて得られるポリイミド系樹脂前駆体を含む組成物を塗布し、硬化して層間絶縁膜とした後、スルーホールを形成し、ついで、該層間絶縁膜上に上層配線層を形成する多層配線構造の製造法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路、高密度実装基板等の電子回路部品における多層配線構造用層間絶縁膜として好適なポリイミド系樹脂前駆体を含有する組成物を用いた多層配線構造の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体集積回路等における多層配線構造の製造には、パターンの形成された配線層を有する基板上に真空蒸着、CVD(ケミカルベーパーデポジッション)等の気相成長法によりSiO2 、SiN等からなる層間絶縁膜を形成し、スルーホールを開孔した後、上層配線層を形成する方法が用いられている。しかし、気相成長法によって層間絶縁膜を形成する方法では、図3のように下層配線層2の段差が層間絶縁膜3の形成後もそのまま残り、上層配線層4を形成した際、上記段差部分で配線層が極めて薄くなり配線切れが起こりやすいという問題があった。図3において1は基板である。そこでこれを改良するために、図1のように層間絶縁膜5の形成を芳香族ジアミンと芳香族四塩基酸二無水物とから得られたポリアミック酸の溶液を塗布し、硬化して得られるポリイミドを用いる方法が提案され、現在では広く使われている(特公昭51−44871号公報)。
【0003】しかし、半導体集積回路等の電子部品における集積度の向上はめざましく、配線構造もますます多層化され、配線段差の平坦化に対する必要性は一層増大してきている。これに対して上記芳香族ジアミンと芳香族四塩基酸二無水物から得られるポリアミック酸では、ポリアミック酸の溶媒に対する溶解性が非常に低く、溶液を高濃度にすることができないため、上記配線段差の平坦化性が十分でなく、2層以上の多層配線構造の製造は困難であった。また、非常に微細な溝状のパターンに対しては、ポリイミド膜の埋込性が不充分で、溝部の膜にボイドが発生する問題もあった。パターンの形成された絶縁層を有する基材上に塗布するポリアミック酸溶液を高濃度化する程、配線段差の平坦化率、溝状パターンの埋込性が向上し、またポリアミック酸溶液を高濃度化するためには、低分子量のエステルオリゴマー化することが効果的であることが本発明者らによって明らかにされている(特開昭63−14452号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、半導体層間絶縁膜および表面保護膜は膜形成後、所定の位置にスルーホールを加工することが必要であり、ポリイミド系膜では、一般にネガまたはポジタイプのレジストをマスクとして、抱水ヒドラジンや水酸化テトラメチルアンモニウムを用いた湿式エッチング工程で穴あけする方法が用いられている。しかし、上記従来公知の低分子量エステルオリゴマー化によって得られるポリアミック酸溶液について、この湿式エッチング工程への適応性を評価した結果、スルーホール部にエッチング残渣が発生し、レジスト剥離時にポリイミド膜にクラックが発生する等の問題点があり、実質上使用できないことが明らかになった。本発明は、前記の従来技術の問題を解決し、配線段差の平坦化性、微細パターンの埋込性、湿式加工性および耐エッチング性に優れたポリイミド系樹脂前駆体組成物を用いた多層配線構造の製造法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、パターンの形成された配線層を有する基材上に、芳香族四塩基酸二無水物1モルと炭素数4以下の1価のアルコールおよび/またはアルコール誘導体0.1〜1.0モルを、含有水分を0.1重量%以下とした溶剤中で加熱して芳香族四塩基酸二無水物の一部をジエステル化した後、分子長軸に対して非対称な位置にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物および必要に応じてその他のジアミン化合物0.8〜1.2モルを反応させて得られるポリイミド系樹脂前駆体を含む組成物を塗布し、硬化して層間絶縁膜とした後、スルーホールを形成し、ついで、該層間絶縁膜上に上層配線層を形成する多層配線構造の製造法に関する。
【0006】本発明に用いられる芳香族四塩基酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−スルホニルジフタル酸二無水物等の酸二無水物、これらの置換体等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。本発明に用いられるアルコールおよびアルコール誘導体は炭素数4以下のものであり、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の一種または二種以上が用いられる。炭素数が5以上では熱硬化時にエステル部が脱離せず、脱水閉環が完全に進まず、良好な特性をもつポリイミド樹脂被膜が得られない。
【0007】本発明に用いられる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキサイド等のアミド系溶媒、ブチルセロソルブ等のエーテルグリコール系溶媒などが挙げられるが、いずれの溶媒を用いる場合にも厳密に脱水され、含有水分が0.1重量%以下であることが必要である。溶媒の含有水分が0.1重量%を超えると、エステル化反応と並行して酸無水物の開環反応が進行するため、最終的に得られるポリイミド系樹脂前駆体を含む樹脂組成物の粘度のバラツキ、成膜性の低下等が生ずる。芳香族四塩基酸二無水物とアルコールおよび/またはアルコール誘導体は、上記溶媒中に加えられ、加熱されて芳香族四塩基酸二無水物の一部がジエステル化される。アルコールおよび/またはアルコール誘導体の使用割合は、芳香族四塩基酸二無水物1モルに対して0.1〜1.0モルの範囲とされる。アルコールおよびアルコール誘導体の使用量が0.1モル未満では高濃度にした場合に低粘度化が困難であり、また1モルを超えると、得られる樹脂組成物の硬化膜をエッチング加工後、レジストを剥離する際に膜にクラックが生じやすい。またエステル化の反応温度は、使用する溶媒によって異なるが、通常60℃〜150℃の範囲とされ、好ましくは得られる樹脂組成物の粘度の均一性および樹脂組成物の色相の点から80℃〜150℃とされる。
【0008】本発明に用いられる分子長軸に対して非対称な位置にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物としては、例えばメタフェニレンジアミン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。また必要に応じて用いられるその他のジアミン化合物としては、例えばパラフェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4´−メチレンジアニリン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサン系ジアミンなどが挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。
【0009】上記の芳香族ジアミン化合物および必要に応じて用いられるその他のジアミン化合物の使用量は、最終的に得られる樹脂組成物の硬化膜の耐熱性の点から、芳香族四塩基酸二無水物1モルに対して0.8〜1.2モルとされる。芳香族ジアミン化合物以外のジアミン化合物の使用量は、総ジアミン化合物の50モル%以内とすることが好ましい。上記のジアミン化合物と前記した部分的にジエステル化された芳香族四塩基酸二無水物と反応温度は、90℃以下とすることが好ましい。反応温度が高すぎると生成するポリイミド系樹脂前駆体がイミド化して溶解性が低下し、析出することがある。またこれらの反応に際しては、必要に応じて、上記エステル化反応に用いられる溶剤、キシレン、トルエン等の炭化水素系溶剤、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のアセテート系溶剤等を用いることができる。
【0010】上記のポリイミド系樹脂前駆体を含む組成物を用いて次のようにして多層配線構造を製造することが好ましい。まず、ポリイミド樹脂前駆体を含む組成物を、あらかじめパターンの形成された配線層を有する基材上に、スピンナ等を用いて塗布し、好ましくは80℃〜150℃の温度で乾燥した後、通常のホトリソグラフィー工程に従ってポジ型レジストを塗布、露光し、アルカリ系現像液をエッチャントとしてポリイミド系樹脂前駆体の乾燥膜とレジスト膜を同時にエッチングしてパターン(スルーホール)を形成する。この際、ポジ型レジストとしては通常のフェノールノボラック系レジストが用いられ、その膜厚は2〜5μmの間とすることが好ましい。2μmより薄い場合、現像時にレジストのカケ、クラック等が生じ易く、5μmを越えると解像性が低下する傾向がある。またレジストの乾燥温度は100℃未満では上記同様カケ、クラックが生じ易く、120℃を越えるとパターンの変形が生じる傾向があるので100〜120℃とすることが好ましい。レジストの露光は、使用するレジストの感光波長域をカバーする露光機であれば特に制限はない。現像は、好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウムの1.6〜3.2重量%水溶液を用い、50秒未満では現像終点のコントロールが難しく、150秒を越えるとレジストのカケ、クラックが生じ易いので、好ましくは50〜150秒の時間で行われる。次に、レジスト膜をn−酢酸ブチル、エチルセロソルブ等の溶剤で剥離した後、好ましくは200℃〜400℃の温度で硬化し、脱水閉環してポリイミド樹脂からなるスルーホールが形成された層間絶縁膜を得る。脱水閉環反応には、脱水剤として無水酢酸、燐酸等を用いてもよい。ついで、スルーホールが形成された層間絶縁膜上に真空蒸着、スパッタリング、CVD(ケミカルベーパーデポジション)等の方法を用いて上層配線層を形成する。上層配線層をパターニングした後、上記工程を繰り返すことにより配線層と絶縁層が多層化された多層配線構造が得られる。上記ポリイミド樹脂の層間絶縁膜の形成に際しては、基板表面への密着性を高める目的で、樹脂組成物にアミノシラン、エポキシシラン等の接着助剤を必要に応じて添加することも可能である。本発明におけるパターンの形成された配線層を有する基材とは、例えば、アルミニウム配線層を形成したシリコン半導体基板、銅配線層を形成したセラミック高密度実装基板、銅配線層を形成したセラミックハイブリッド基板等を指す。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1(1)ポリイミド樹脂前駆体を含む組成物の製造攪拌機、温度計、窒素導入管およびジムロート冷却管を備えた0.2リットルのフラスコを十分乾燥してドライボックス中に設置し、乾燥窒素を約1時間流した後、該フラスコ中に含有水分が0.03重量%のN−メチル−2−ピロリドン70.6gと3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.21gを仕込み、80℃まで加熱した後、エタノール2.3gを加え、さらに90℃で2時間反応させてベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の一部をジエステルとした。次にこの溶液にメタフェニレンジアミン4.86g、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル9.01gおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2.49gを仕込み、25℃で5時間、ついで40℃で1時間反応させた。得られたポリイミド樹脂前駆体を含む組成物の樹脂分濃度は40重量%で、25℃で30ポイズの粘度を示した。
【0012】(2)多層配線構造の形成厚さ1μmで幅0.5〜5μmのアルミニウム配線パターンをスパッタリングおよび通常のホトリソグラフィーとドライエッチングの工程で形成したシリコンウェーハ上に、上記のポリイミド樹脂前駆体を含む組成物をスピンナ塗布機を用いて塗布した。その後、ホットプレートを用いて90℃で60秒、ついで140℃で60秒乾燥した後、ポジ型レジスト(OFPR−5000、東京応化工業社製)をスピンナ塗布し、110℃で60秒乾燥してG線ステッパを用いて露光量300mj/cm2 で露光した。その後、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液を用い、パドル法でレジストとポリイミド樹脂乾燥膜を同時エッチングした。エッチング時間100秒で良好なパターンが得られた。次にn−酢酸ブチルを用いてスプレー法でレジストの剥離を行なった後、コンベクションオーブンで200℃で1時間ついで350℃で1時間で硬化して厚さ2μmのポリイミド層間絶縁膜を得た。該層間絶縁膜上に上層アルミニウム配線層をスパッタリング法によって形成し、図1のような多層配線構造を得た。図1において、5がポリイミドの層間絶縁膜である。
【0013】(3)平坦化率と埋込性の評価得られた多層配線構造の下層配線段差平坦化率を図2のa、bの値から次式〔(a−b)/a〕×100により求めたところ、およそ90%であった。また基板をカッティングして走査型電子顕微鏡で断面形状を観察したところ、いずれの配線間スペースにもポリイミド樹脂層間絶縁膜が十分充填されていることがわかった。
【0014】実施例2実施例1と同様のフラスコ中に含有水分が0.03重量%のN−メチル−2−ピロリドン63.6gと3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物31.01gを仕込み、80℃まで加熱した後、エタノール3.2gを加え、さらに90℃で2時間反応させてビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物の一部をジエステルとした。次にこの溶液に3,3´−ジアミノジフェニルスルホン17.38g、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル5.01gおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン1.24gを仕込み、25℃で5時間ついで40℃で1.5時間反応させた。得られたポリイミド樹脂前駆体組成物の樹脂分濃度は45重量%で、25℃で50ポイズの粘度を示した。次に上記のポリイミド樹脂前駆体を含む組成物を用いて実施例1と同様にして厚さ2μmの層間絶縁膜をもつ多層配線構造を形成し、その平坦化率を評価したところ、およそ95%であった。また得られた多層配線構造の配線間スペースの埋込性、湿式加工性、レジスト剥離後の膜状態ともに良好であった。
【0015】比較例1実施例2において、含有水分が0.3重量%のN−メチル−2−ピロリドンを用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド樹脂前駆体を含む組成物を製造した。その組成物の樹脂分濃度は45重量%で、25℃で20ポイズの粘度を示した。次に上記ポリイミド樹脂前駆体組成物を用いて実施例2と同様にして厚さ2μmの層間絶縁膜をもつ多層配線構造を形成し、その平坦化率を評価したところ、平坦化率は90%であったが、ポリイミド層間絶縁膜に若干の濁りと異物付着が見られた。そこで、ポリイミド樹脂前駆体を含む組成物を詳細に観察したところ、開環酸と推定される不溶物の存在が認められた。
【0016】比較例2実施例1と同様のフラスコ中に含有水分が0.03重量%のN−メチル−2−ピロリドン63.7gと3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.21gを仕込み、80℃まで加熱した後、エタノール9.2gを加え、さらに90℃で2時間反応させ、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の全てをジエステルとした。次にこの溶液にメタフェニレンジアミン4.86g、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル9.01gおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2.49gを仕込み、25℃で5時間ついで40℃で1時間反応させた。得られたポリイミド樹脂前駆体組成物の樹脂分濃度は40重量%で、25℃で2ポイズの粘度を示した。次に上記ポリイミド樹脂前駆体組成物を用いて実施例1と同様にして厚さ2μmの層間絶縁膜をもつ多層配線構造を形成の試みたが、エッチング後、ポリイミド膜の開口部にエッチング残りが生じ、またレジスト剥離後のポリイミド膜にクラックが発生した。レジスト剥離後のクラックについては、ポリイミド前駆体組成物の乾燥温度を150℃以上とすることにより解消可能であったが、その状態ではエッチング液にほとんど溶解せず、加工できなかった。
【0017】比較例3実施例1と同様のフラスコ中に含有水分が0.03重量%のN−メチル−2−ピロリドン76.8gと3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.21gを仕込み、80℃まで加熱した後、エタノール2.3gを加え、さらに90℃で2時間反応させ、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の一部をジエステルとした。次にこの溶液に4,4´−ジアミノジフェニルエーテル18.02gおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2.49gを仕込み、25℃で5時間ついで40℃で1時間反応させた。得られたポリイミド樹脂前駆体を含む組成物の樹脂分濃度は40重量%で、25℃で50ポイズの粘度を示した。次に上記ポリイミド樹脂前駆体組成物を用いて実施例1と同様にして厚さ2μmの層間絶縁膜をもつ多層配線構造の形成を試みたが、エッチング後、ポリイミド膜の開口部に比較例2と同様にエッチング残りが生じ、良好なパターンが得られなかった。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、多層配線構造において、下層配線層の段差をほぼ完全に平坦化することができ、多層配線化による段差の発生がほとんどない信頼性に優れた多層配線構造を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリイミドを用いた多層配線構造の断面図の一例。
【図2】平坦化率の評価方法を示す。
【図3】気相成長法によるSiO2 膜を層間絶縁膜とした従来法による多層配線構造の断面図の一例。
【符号の説明】
1…基材、2…下層配線層、3…層間絶縁膜、4…上層配線層、5…層間絶縁膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パターンの形成された配線層を有する基材上に芳香族四塩基酸二無水物1モルと炭素数4以下の1価のアルコールおよび/またはアルコール誘導体0.1〜1.0モルを、含有水分を0.1重量%以下とした溶剤中で加熱して芳香族四塩基酸二無水物の一部をジエステル化した後、分子長軸に対して非対称な位置にアミノ基を有する芳香族ジアミン化合物および必要に応じてその他のジアミン化合物0.8〜1.2モルを反応させて得られるポリイミド系樹脂前駆体を含む組成物を塗布し、硬化して層間絶縁膜とした後、スルーホールを形成し、ついで、該層間絶縁膜上に上層配線層を形成することを特徴とする多層配線構造の製造法。
【請求項2】 ポジレジストをマスクとし、該レジストの現像液をエッチャントとしてレジストと層間絶縁膜を同時にエッチングしてスルーホールを形成する請求項1記載の多層配線構造の製造法。
【請求項3】 芳香族四塩基酸二無水物が3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である請求項1または2記載の多層配線構造の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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