説明

多数のサンプルの融点測定

サンプル物質の融解、軟化又は分解に関連する温度値を測定する方法において、サンプルの配列はサポートトレイ上に堆積される。サポートトレイは温度感知手段が設けられた加熱装置上に載置され、サポートトレイは照明され、サンプルの配列は、撮像装置によって観察される。加熱装置の温度を変化させながら、撮像装置からの画像データは画像記録装置に供給され、画像データのそれぞれの供給に関連する温度値も記録される。画像データが精査されて、それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像強度などの画像の変化が検出され、サンプルの状態変化に関連する画像変化時の加熱装置の温度が記録に残される。画像処理ソフトウェアを使用して、それぞれのサンプル位置における画像の変化、例えば画像の強度における変化を検出することができる。この方法は、サンプル、特にポリマーサンプルのライブラリーの構成要素の物理的特性を比較するために融点値を迅速に取得する手段として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー又はその他の物質の多数のサンプルについて、特に融点に関連するが、分解点又は軟化点にも関連する温度値を測定する方法と、該方法を実施するための装置に関する。本発明の方法は、特に、多数のポリマーサンプルの融点値を提供するのに適するが限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
キャピラリチューブ内のサンプルの観察、あるいは示差走査熱量測定器(DSC)の使用などの従来の融点の測定方法は時間がかかり、一度に1つのサンプルを評価することを含む。自動化された場合でさえ、DSCは、1時間あたりせいぜい12個のサンプルを処理するだけである。
【0003】
ポリマー分野へのコンビナトリアルケミストリーの発展は、新しいポリマーの物理的な性質の迅速な評価を要求するという結果をもたらした。特に、1回の動作での多数のサンプルのスクリーニングに適合させることができる融点測定システムが必要とされている。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、サンプルが融解するときの目視観察で、固体から液体への、及びそのサンプルの逆の相変化の結果生じるサンプルの光度又は反射率における顕著な変化が検出可能であるという知見に基づいている。光度又は反射率の変化をサンプルの温度と相関させて、サンプルの物理的性質の迅速な評価において使用することができる再現可能な融点値を与えることができる。さらに、画像処理技術を用いて、多数のサンプルの光度又は反射率の変化を1回の動作でスクリーニングすることができる。
【0005】
本発明は、最も広範な態様において、
サンプルサポートプレートを用意すること、
該サポートプレート上に複数の別々のサンプルを載置すること、
前記サポートプレートの温度を変化させること、
サンプルを観察して、サンプルの状態の変化により生じる光度又は反射率の変化を検出すること、及び
光度又は反射率の変化に関連するプレートの温度を記録すること
を含む、融解、軟化又は分解に関連する温度値の測定方法を提供する。
【0006】
本発明は、主として、融点値を迅速に取得して、サンプル、特にポリマーサンプルのライブラリーの構成要素の物理特性を比較するための手段として考えられている。しかしながら、本発明の方法は、光度又は反射率の変化をもたらす軟化又は分解などのその他の状態変化に関連する温度を記録するためにも使用することができる。
【0007】
通常、サポートプレートは、その上に複数のサンプルを、好ましくは規則的な配列で載置することができるサンプルトレイである。
【0008】
サポートトレイは、その温度を連続的又は増加的に変えられるように入熱が制御された加熱素子又は加熱ブロックなどの熱源の上に載置することができる。
【0009】
サンプルは、カメラ、好ましくはデジタル画像データを出力可能なデジタルカメラなどの撮像装置によって観察されるのが好ましい。サンプル(単数又は複数)の光度又は反射率を連続的に監視できるように、例えばウェブカメラなどの、画像データの連続出力を提供するカメラが使用されるのが最も適切である。最も好ましくは、カメラの画像出力は、サポートプレート上のサンプルの位置に相当する画像領域を監視するように取り計られた画像処理ソフトウェアによって監視される。適切な画像形成を確実にするために、サンプルは、全ての実験について一定の光度を与えるように光源で照明することが好ましい。
【0010】
したがって、本発明の好ましい一態様は、
サンプルの配列をサポートトレイ上に形成すること、
サポートトレイを、温度感知手段が設けられた加熱装置上に載置すること、
サポートトレイを照明し、そして、撮像装置によってサンプルの配列を観察すること、
サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも低い温度から、サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも高い温度までの温度範囲にわたって、加熱装置の温度を変化させること、
温度変化シーケンスの間、画像データを撮像装置から画像記録装置に供給すること、
画像データのそれぞれの供給に関連する加熱装置の温度の温度値を記録すること、
画像データを精査して、それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像強度などの画像の変化を検出すること、及び
サンプルの状態変化に関連する画像変化に関して記録された加熱装置の温度を記録に残すこと
を含む。
【0011】
最も好適には、画像処理ソフトウェアが用いられ、それぞれのサンプル位置において、例えば画像の強度などの画像の変化が検出される。したがって、本発明の好ましい一つの実施の形態では、加熱装置には、コンピュータで読取り可能なブロックの温度出力を与える温度感知手段が設けられ、撮像装置は、画像処理ソフトウェアが搭載されたコンピュータに画像を供給するデジタルカメラ又はウェブカメラであり、コンピュータは、それぞれの画像に関連する温度データを記録し、画像処理ソフトウェアが用いられて、それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像強度の変化を検出し、強度の著しい変化に関連する温度が示される。
【0012】
好ましい手順においては、通常はデジタルカメラのようなウェブカメラを用いてコンピュータに送信される連続画像は、画像の形成時に加熱ブロックから送信される温度値と共にコンピュータメモリーに保存され、加熱サイクルの完了後、保存された画像が処理されて、選択されたサンプル位置における画像の強度に関するデータを生成し、強度データ及び温度データを用いて、温度に対する強度のプロットが生成され、プロットから選択されたサンプルの融点値を見極めることができる。
【0013】
本発明はまた、
コンピュータで読取り可能なブロックの温度出力を与える温度感知手段を備えた加熱装置と、
サンプルサポートトレイの上に載置されたサンプルを加熱するために加熱装置上に載置することができる当該サンプルサポートトレイと、
サポートトレイ上のサンプルを観察するために位置決めできるカメラと、
カメラによる観察のためにサンプルを照明するための手段と、
サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも低い温度から、サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも高い温度までの温度範囲にわたって、加熱装置の温度を変化させるためのコントロール手段と、
デジタルカメラから画像データを受信し、加熱ブロック上の感知手段から温度データを受信するためのコンピュータと、
コンピュータに搭載されて、例えばそれぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像の強度を監視するデジタルカメラから受信される画像の変化を検出する動作可能である画像処理プログラムと、
それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像を記録に残し、且つ、この画像に関連する加熱ブロックの温度を記録するための記録手段と
を備え、それにより、画像の著しい変化を加熱ブロックの温度と相関させることができる、融点値、軟化点値又は分解点値の測定装置を提供する。
【0014】
本発明の方法を実施するための装置の実用的な実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を、単なる例として以下により詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、例えば融解の際の固体から液体への相変化を受ける固体物質が、実質的に不透明な固体形態から実質的に半透明な液体形態への変化の結果として起こる光度又は反射率の変化を示すという特性を利用する。
【0016】
本発明では、この特性を使用して、融点、軟化点又は分解点などの状態変化の温度値を取得する。本発明の主要な特徴は、サンプルサポートプレートを用意すること、サンプル化合物又はサンプルポリマーをサポートプレート上に載置すること、サポートプレートの温度を変化させること、サンプルを観察して、サンプルの状態変化、特に相変化により生じる光度又は反射率の変化を検出すること、及び、光度又は反射率の変化が生じたときのプレートの温度を記録することである。
【0017】
添付図面の図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態では、特にポリマーサンプルライブラリーの融点値は、対象のポリマー又はその他の物質のサンプル(1)を規則的な配列でサポートトレイ(2)の上に積載することによって測定される。サンプルは、別々の固体粒子又は顆粒として積載することもできるし、融解したサンプルの液滴として積載して、試験の前に凝固させることもできるし、あるいは、溶媒を含有した流動可能な形態で積載して、試験前に溶媒を蒸発させることもできる。
【0018】
積載されたサポートトレイ(2)は、コンピュータで読取り可能な加熱ブロック(3)の温度出力を与える温度感知手段(4)が設けられた加熱ブロック(3)上に載置される。サンプル(1)は、デジタルカメラ(5)、便宜的にはウェブカメラによって観察される。サンプル(1)は、標準化された条件下で観察されるように、例えば電球(7)によって照明される。
【0019】
サポートトレイ(2)にサンプル(1)が積載されて、加熱ブロック(3)上に載置されたら、サンプル(1)の予想融点よりも低い温度からサンプル(1)の予想融点よりも高い温度までの温度範囲にわたって加熱ブロック(3)の温度を変化する。加熱サイクルの間、デジタルカメラ(5)からの画像データは、画像処理ソフトウェアが搭載されたコンピュータ(6)に送信される。画像処理ソフトウェアは、それぞれの(又は選択された)サンプル位置において、積載されたサポートトレイ(2)の画像の強度を監視するために使用される。同時に、温度データが加熱ブロック(3)の温度センサ(4)からコンピュータ(6)に送信されるので、サンプル(1)の相変化に起因すると考えられる光度又は反射率の変化に相当する画像の変化に関連する温度を記録することができる。
【0020】
本発明の方法に従って融点値を測定するために好適な装置は、
コンピュータで読取り可能な加熱ブロックの温度出力を与える温度感知手段(4)が設けられた加熱ブロック(3)と、
サンプルサポートトレイ(2)の上に載置されたサンプル(1)を加熱するために、加熱ブロック(3)上に載置することができる当該サンプルサポートトレイ(2)と、
サポートトレイ(2)上のサンプル(1)を観察するために位置決めすることができるウェブカメラなどのデジタルカメラ(5)と、
サンプル(1)をデジタルカメラ(5)によって観察することができるように、サポートトレイ(2)上のサンプル(1)を照明するための電球(7)又は他の手段と、
サンプル(1)の予想融点よりも低い温度からその予想融点よりも高い温度までの温度範囲にわたって、加熱ブロック(3)の温度を変化させるためのコントロール手段と、
デジタルカメラ(5)からの画像データと、加熱ブロック(3)上の感知手段(4)からの温度データを受信するようにデジタルカメラ(5)に接続されたコンピュータ(6)と、
コンピュータ(6)に搭載されて、それぞれのサンプル位置においてデジタルカメラ画像の変化、例えば画像の強度の変化を検出する動作可能な画像処理プログラムと、
画像強度の変化をサンプルの温度と相関させることができるように、サンプル位置の画像を記録し、そしてその画像に関連する加熱ブロック(3)の温度を記録するための、代表的にはコンピュータメモリー内にある記録手段と
を備える。
【0021】
本発明のシステムは、原則として、液体から固体への相変化、すなわち加熱ブロックをサンプルの凝固点よりも高い温度から冷却させる相変化と、固体から液体への相変化、すなわち加熱ブロックの温度をサンプルの融点よりも低い温度から上昇させる相変化との両方から融点値を測定する動作が可能である。しかしながら、最も便利な動作モードは、サンプルの加熱による測定を行い、固体から液体への相変化を引き起こす。本発明を、それに基づいて以下に説明する。
【0022】
本発明の目的は、使用される装置の正確な較正を必要とする正確な融点を提供することというよりも、例えばコンビナトリアルケミストリーによる調製技術を用いて作製されたポリマーサンプルのライブラリーにおいて、多数のサンプルの物理的性質を比較するために使用され得る互いに一致する融解データを提供することであるので、「融点」ではなく「融点値」という用語が使用される。またシステムは、サンプルの反射率において顕著な変化をも引き起こす軟化点又は分解点を検出するためにも使用することができる。
【0023】
加熱ブロック(2)としては、Ventacon社(英国ハンプシャー州ウィンチェスター)により製造され、加熱素子が埋め込まれた特注装置がうまく使用されている。これは、CalControls Ltd社(英国ハートフォードシャー州ヒッチン)製のモデル3300などの自動調整温度コントローラと接続することができる。デジタルカメラ(5)の動作のための適切な照度は、2つの管状ストリップランプ(284mm長、60ワット)によって提供される。デジタルカメラ(5)は安価なウェブカメラであってもよく、好ましくは、最低でも1秒あたり1フレームの画像データを提供する。ウェブカメラとしては、Logitech社製のQuickcamモデルが首尾よく使用されている。
【0024】
本発明のシステムは、単一のサンプル、又は少数のサンプルのためにも使用することができるが、本発明の重要な目的は、コンビナトリアル技術を用いて得られるポリマーサンプルのライブラリーなどの多数のサンプルの迅速なスクリーニングを提供することである。
【0025】
サンプルトレイから55mm離れて上記のウェブカメラを使用して、画像処理のための満足な画像を、直径2mmの45個(9×5の配列)のサンプルセルが設けられた60mm×60mmのサンプルトレイを用いて、取得した。
【0026】
図2に示されるように、サンプルサポートトレイ(20)には、好ましくは、対象のサンプルの堆積物(21)を受け入れるためのセルとして機能する凹部(22)が形成される。凹部は、例えば、金属シートの穿孔及び変形によって、あるいはドリルによって形成することができる。セルは不可欠ではないが、サンプルが画像処理ソフトウェアによる認識のために規則的な配列で載置されることを確実にするのに用いると共に、液化したサンプルの望ましくない拡大を防止するのにも役立つ。続きのサンプルの混入汚染を回避するために、サポートトレイは使用後に使い捨てできることが好ましい。不透明のサンプルと半透明の液体サンプルとの間のコントラストを強めるために、サポートトレイは、黒色仕上げが好ましい。この場合、白黒画像において、相変化は事実上不透明の固体サンプルの「白色」画像からの、及び透明な液体が事実上バックグラウンドと同様の強度を有する「黒色」画像からの移行であるから、サンプルは「白色」であるように見える。
【0027】
図3は、本発明に従う手順でプログラムされた温度上昇の間に黒色トレイ上のサンプルを観察することによって得られる、一連のウェブカメラ画像からの3つの画像を示す。図3(a)の一連の158個の画像フレームの最初のフレームにおいて、6個のサンプルが、融解が起こる前に、25℃で暗色バックグラウンド上の白色スポットとして見える。図3(b)の158個のフレーム82において、矢印でマークしたサンプルは85℃で融解して無色又は透明になった。図3(c)の最後のフレームにおいて、180℃で、全てのサンプルが融解して無色になった。図3(b)において矢印でマークされたサンプルでは、サンプル位置において、白色サンプルから黒色バックグラウンド(無色又は透明の融解サンプルを通して見られる)への画像強度の変化がはっきりと分かる。
【0028】
画像処理ソフトウェアは、サンプル位置に対応するウェブカメラ画像の選択された領域における変化を見極めることができなければならない。選択は、マウス又はその他のポインティングデバイスを用いて手動で行なうことができる。またソフトウェアは、サンプルサポートトレイのサンプル位置の固定配列に対応する予め選択された領域を自動的に検査するようにセットアップされてもよい。ソフトウェアは、サポートトレイが上記のように構成される場合、白黒画像の選択された領域における白色から黒色への変化である色の強度の変化を検出することができなければならない。次に、「変化」事象は、サンプル位置の識別子と、試験下にあるサンプル配列のそれぞれのサンプル位置を一意に識別するために予め入力されたデータとを伴う変化時の加熱ブロックのセンサからの温度出力と一緒に記録することができる。ウェブカメラからの画像データ出力のフレームレート(画面書き換え速度)に応じて、ソフトウェアは、それぞれのサンプルの融解プロファイルを生成することができる。Media Cybernetics社(米国カリフォルニア州カールズバッド)から市販されているImage Plus Proシステムは、本発明のシステムにおいてうまく使用されている。
【0029】
本発明のシステムの原理を、該システムの本質的な要素を説明するために、事実上「リアルタイム」手順として上記に記載した。しかしながら、画像変化をリアルタイムに検出するのではなく、予想される融点範囲内で加熱ブロックを加熱しながらサンプルの連続画像を記録するのがより便利で効率的である。その後、画像データは、対象の選択されたサンプルに関して分析することができる。
【0030】
典型的な手順では、加熱コントローラは、加熱ブロック、及びサンプルトレイの温度を10℃/分で上昇させるように設定される。ウェブカメラにより取得される画像データが保存され、続いて、処理すべきデータ量を減らすために5秒ごとに1つの画像が検査される。このことは、温度が0.5℃上昇するごとに1つの画像が見極められることを意味し、スクリーニングの目的には十分である。画像シーケンスは、グレースケール又はカラーで記録され、白色ピクセルは最大強度を有し、黒色ピクセルは強度を有さない。選択されたサンプルは、ウェブカメラからの最初の画像、すなわち全てのサンプルが固体である画像において、ソフトウェアで処理するために「タグ付け」される。図4は、この手順の間に表示されたImage Plus Proからのスクリーンショット(画面)を示す。コンピュータマウスを用いて、ウェブカメラ画像中の6個のサンプルに、表示画像上に丸印が付けられ、ソフトウェアにより連続参照番号1〜6が割り当てられる。それぞれのタグ付きスポットの「白色」強度がソフトウェアにより決定され、隣接するウィンドウに表示される。空の位置に、リファレンスポイント7としてタグが付けられ、その強度は、バックグラウンド値を提供する。参照番号及び関連した強度はスプレッドシートにエクスポートされ、温度に対する強度のプロットを与えることができる。このプロットから、白色から無色への変化、すなわち黒色バックグラウンドと同等の変化を見極めることができ、したがって固体から液体への相変化を検出することができる。融点値は、ソフトウェアのユーザーがプロットから見極めることもできるし、あるいは、適切な閾値を予め設定して、融点値の自動計算を可能にすることもできる。
【0031】
いくつかの代表的なプロットを、有機化合物サンプルについて図5に、そしてポリマーサンプルについて図6に示す。図示されるように、多数のサンプルの特性が比較できるように、幾つかのプロットをソフトウェアにより一つのディスプレイに都合よく組み合わせることができる。
【産業上の利用の可能性】
【0032】
上記の融点測定システムは、特に、1回の操作での多数のサンプルのスクリーニングに適する。これは、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて調製された新しいポリマーの物理的性質の迅速な評価を可能にする。結果として、特定の産業のための更なる開発やその他の用途に有用な特性を有する新しいポリマーを迅速に同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の装置の側面概略図である。
【図2】図1の装置で使用されるサンプルサポートトレイの側面断面図である。
【図3】異なる温度における、図1の装置に積載されたサンプルサポートトレイの、ウェブカメラにより提供された一連の画像の一部を示し、(a)は25℃、(b)は85℃、及び(c)は180℃におけるものを示す。
【図4】加熱したサンプルの画像を処理するために使用される画像処理ソフトウェアからのスクリーンショット(画面コピー)であり、研究用サンプルのタグ付けを示す。
【図5】有機化合物の加熱サンプルの画像を処理することによって取得された値を用いた、温度に対する画像強度のサンプルプロットを示す。
【図6】ポリマーの加熱サンプルの画像を処理することによって取得された値を用いた、温度に対する画像強度のサンプルプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルサポートプレートを用意すること、
該サポートプレート上に複数の別々のサンプルを載置すること、
前記サポートプレートの温度を変化させること、
サンプルを観察してサンプルの状態の変化により起こる光度又は反射率の変化を検出すること、及び
前記光度又は反射率の変化に関連する前記プレートの温度を記録すること
を含む、融解、軟化又は分解に関連する温度値の測定方法。
【請求項2】
サンプルサポートプレートの画像を精査して、サンプルの状態変化の結果として生じる、サンプル位置における画像強度の変化を検出する、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
撮像装置が、前記サンプルサポートプレートの画像をコンピュータに供給し、該画像と関連させるために温度感知装置が温度を前記コンピュータに供給し、前記サンプルの状態変化の結果として生じる強度の変化が温度値と関連付けできるように、画像処理ソフトウェアを用いて前記画像を精査して画像強度の変化を検出する、請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
サンプルの配列をサポートトレイ上に形成すること、
前記サポートトレイを、温度感知手段が設けられた加熱装置上に載置すること、
前記サポートトレイを照明し、そして、撮像装置によって前記サンプルの配列を観察すること、
前記サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも低い温度から、該サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも高い温度までの温度範囲にわたって、前記加熱装置の温度を変化させること、
該温度変化シーケンスの間、画像データを前記撮像装置から画像記録装置に供給すること、
画像データのそれぞれの供給に関連する前記加熱装置の温度の温度値を記録すること、
画像データを精査して、それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像強度などの画像の変化を検出すること、及び
サンプルの状態変化に関連する画像変化に関して記録された前記加熱装置の温度を記録に残すこと
を含む、請求項3に記載の融解、軟化又は分解に関連する温度値の測定方法。
【請求項5】
画像処理ソフトウェアを用い、それぞれのサンプル位置において、画像の変化、例えば画像の白色強度を検出する、請求項4に記載の測定方法。
【請求項6】
加熱装置には、コンピュータで読取り可能なブロックの温度出力を与える温度感知手段が設けられ、撮像装置は、画像処理ソフトウェアが搭載されたコンピュータに画像を供給するデジタルカメラ又はウェブカメラであり、前記コンピュータは、それぞれの画像に関連する温度データを記録し、前記画像処理ソフトウェアを用いて、それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像強度の変化を検出し、そして、強度の著しい変化に関連する温度が示される、請求項5に記載の測定方法。
【請求項7】
コンピュータに送信される連続画像は、画像の形成時に加熱ブロックから送信される温度と共にコンピュータメモリーに保存され、加熱サイクルの完了後、前記保存された画像が処理されて、選択されたサンプル位置における画像の強度に関するデータを生成し、該強度データ及び前記温度データを用いて、温度に対する強度のプロットが生成され、そこから選択されたサンプルの融点値を見極めることができる、請求項6に記載の測定方法。
【請求項8】
コンピュータで読取り可能なブロックの温度出力を与える温度感知手段を備えた加熱装置と、
該加熱装置上に載置され、サンプルサポートトレイの上に載置されたサンプルを加熱することができる当該サンプルサポートトレイと、
前記サポートトレイ上のサンプルを観察するために位置決めできるカメラと、
カメラによる観察のために前記サンプルを照明するための手段と、
サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも低い温度から、該サンプルの予想される融点、軟化点又は分解点よりも高い温度までの温度範囲にわたって、前記加熱装置の温度を変化させるためのコントロール手段と、
カメラから画像データを受信し、加熱ブロック上の前記感知手段から温度データを受信するためのコンピュータと、
それぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像を記録に残し、且つ、前記加熱ブロックの温度を記録するための記録手段と、
前記コンピュータに搭載されて、例えばそれぞれのサンプル位置又は選択されたサンプル位置における画像の強度を監視するカメラから受信される画像を精査できる画像処理プログラムと
を備え、それにより、前記画像の著しい変化を前記加熱ブロックの温度と相関させることができる、融点値の測定装置。
【請求項9】
カメラが、加熱シーケンスの間、画像データをコンピュータに送信するデジタルカメラ又はウェブカメラである請求項8に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−533970(P2007−533970A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530606(P2006−530606)
【出願日】平成16年10月11日(2004.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004313
【国際公開番号】WO2005/036149
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(303055316)ユニバーシティー オブ サザンプトン (1)
【Fターム(参考)】