説明

多数の属性を持つ画像を表示するシステム

画像データセットから画像のサブセットを表示するシステム、特にMRIやCTスキャンなどの医療用表示装置(30)である。画像はそれぞれの値域を有する3つの属性と関連する。ディスプレイ上の画像は2つの属性のそれぞれの値域のサブレンジ内の値と、第3の属性の値域の1つの値を有する。画像はマトリクスに示される。マトリクスの各行は第2の属性の1つの値に相当する。各列は第2の属性の1つの値に相当する。ディスプレイ34上の全ての画像は第3の属性に関して同一の値を有する。ユーザは、表示のために、画像の第1および第2の属性に関して他のサブレンジを選択することにより、または、第3の属性に関して別の値を選択することにより、画像データセットをスクロールすることができる。サブレンジの選択は第1および第2の属性に関しては水平および垂直方向のスクローリングにより行う。第3の属性に関する別の値の選択は仮想z軸にほぼ平行な方向のスクローリングにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データセットからユーザ選択可能な画像サブセットを表示する、特に医療用の表示システムに関するものであり、前記画像は少なくとも2次元の画像であり且つそれぞれの値域を持つ少なくとも1つの属性のセットと関連するものである。本発明はこのようなシステム用のソフトウエアにも関するものである。本発明は更に画像データセットからユーザ選択可能な画像サブセットを表示する方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像診断システムにおいては、ユーザは複合画像データセットにアクセスすることができ、これらの画像は少なくとも2次元(以後「2D」と記す)画像である。各データセットは1つ以上の属性を持つ多数の画像を含む。磁気共鳴(以後「MR」と記す)画像の場合には、可能な属性は、タイプ、エコー、スタック、スライス、フェーズ、ダイナミック、化学シフト、拡散方向である。例えば、スライスは被検体、例えば脳または心臓、の空間的に連続する断面の像である。フェーズは被検体の一つの断面の時間順序画像である。MR画像データセットは少なくとも1つの属性につき各別の値域を持つ画像を具える。多くの場合、2つ、3つまたはそれ以上の属性が各別の値域を有する。このような画像データセットの観察は一般にこれらの画像をビュープレーンに表示することにより行なわれる。
【0003】
ビュープレーンはビューポートの2Dマトリクスであり、各ビューポートは1つの画像を表示する。ビュープレーン内の列および行はそれぞれ1つの画像属性と関連する。ビュープレーンの列および行の数は関連する属性の値域(値の数)に等しい。ディスプレイはビュープレーンの一部分であり、この部分をビューポートエリアという。2Dビューポートエリアの一例を図1に示す。ビューポートエリア2内の画像は列および行と関連する属性の値を有し、これらの値はそれぞれの属性の値域のサブレンジ(部分値域)内にある。
【0004】
図1に示す画像データセット内の各画像3は2つの属性(Att.1およびAtt.2)と関連する。両属性の値域は1−20である。ビュープレーン1は20×20マトリクスである。このマトリクスにおいて、各行はAtt.1に関して一定の値を有しAtt.2に関して異なる値を有する画像3を具える。各列はAtt.2に関して一定の値を有しAtt.1に関して異なる値を有する画像を具える。ディスプレイ上にはビュープレーン1の一部分、即ちビューポートエリア2のみが示される。Att.1に関して4−6のサブレンジ内の値を有しATT.2に関して1−3のサブレンジ内の値を有する画像3のみが可視化される。
【0005】
ナビゲーションによりユーザはビューポート内の他の画像を見ることができる。画像セットのナビゲーションはビュープレーン1を列または行に沿ってスクロールすることにより行うことができる。列または行のスクローリングはそれぞれの属性の値域のサブレンジの選択、従ってビュープレーン1の可視化部分の変更に相当する。列または行のスクローリングは、通常マウスやジョイスティックのようなポインタデバイスをディスプレイの水平x軸または垂直y軸にほぼ平行に動かすことにより行なわれる。スクローリングは、多くの場合、マウスをマウスボタンの一つを押しながら画像上で所望のスクロール方向に動かすダイレクトマウスマニピュレーション(以後「DMM」という)により行なわれる。
【0006】
時には、ユーザは1つの属性に関する値域のもっと大きなサブレンジ内の値を有する画像を見たいと思う。この場合には、ビュープレーンを各ビューポートが1つの画像を示す1次元(以後「1D」と記す)のビューポートの行とする。ディスプレイ上では1Dビューポートエリア内の画像は2Dマトリクスに配列される。このようなマトリクスの一例を図2に示す。図2では、図1と同じ画像データセットが使われている。本例ではビュープレーン1は20個の画像を有する行である。全ての画像3はAtt.2に関して同一の値を有するがAtt.1に関して異なる値を有する。ビューポートエリア2はAtt.1に関してサブレンジ4−12内の値を有する9個の画像を具える。9個の画像を同時に表示するために、ビュープレーン1は3×3マトリクスに折りたたまれる。IDビューポートエリア2ではスクローリングは一方向(図2で水平方向)にのみ可能である。
【0007】
多くの場合、画像セットのナビゲーションは、2Dビューポートエリアがディスプレイ上に示されているときに可視画像の3つの属性の値を変えることによって行うのが望ましい。例えば、行が種々のスライスと関連し、列が種々のエコーと関連するとき、ユーザは画像のスタックの変更を希望することができる。エコーは同じ断面の画像であるがコントラストが異なる。一つのエコーでは、例えば流体が明るく見え、他のエコーでは骨が明るく見える。異なるスタックからの画像は異なる構造部分(例えば左ひざおよび右ひざ)を示す。第1および第2属性の値を変更するために列および行のスクローリングが使用される。第3属性の値の変更はもっと難しい。第3属性の値を変更するためには、キーボード上の特別のキーまたはインタラクティブダイアログが使用される。2Dマトリクスに提示されるIDビューポートエリアの場合には、第2属性に関して異なる値を有する画像をナビゲートするためにキーボードまたはダイアログが使用される。このキーボード又はダイアログの使用はMRIスキャンの結果を診断する医師を妨害する操作である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、画像セットの容易なナビゲーションを可能にする改良されたユーザインターフェースを提供することにある。
【0009】
本発明のシステムによれば、この目的が、仮想z軸にほぼ平行にスクロールすることにより追加の属性の値を選択可能とすることによって実現される。列または行のスクローリングはビュープレーンの可視部分の変更に相当する。z方向のスクローリングはビューポートエリア全体をビュープレーン層の積重ね内で前後に移動させる。z軸が、例えばスタック属性と関連するとき、z方向のスクローリングは他の構造部分の画像の表示を生ずる。
【0010】
仮想z軸をx軸とy軸との間を延在する直線として実現すれば、z方向のスクローリングは直感的になる。スクローリング中にスクロール方向を示すマウスポインタを付与することにより追加の直感的な帰還情報を与えることができる。
【0011】
ユーザに3つの軸の各軸でどの属性を表すかを設定可能にする設定ダイアログを付与する。可能なスクローリング方向を表すために同じ交差軸を使用することにより直感的な視覚的帰還が与えられる。
【0012】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は以下に記載する実施例を参照すると明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ユーザ選択可能な画像サブセットを表示するシステムおよび方法を医療用に関して説明する。本システムおよび方法は他の用途にも適用することができ、一般に、物体を測定し測定値を処理することにより各画像が一組の属性と関連する画像データセットを生成することができる全ての物体の構造の検査用のシステムに使用できる。
【0014】
図3は、本発明によるシステムのブロック図を示す。本システムはワークステーションや高性能パーソナルコンピュータのような慣例のコンピュータシステムで実現することができる。システム30は画像データセットを受信する入力部35を具える。画像データセットはイーサネット(登録商標)のような慣例のコンピュータネットワーク、または、電気通信ネットワーク(有線または無線)、または、その組み合わせを介して供給することができ、またテープ、CD、DVDなど(フラッシュメモリのような固体メモリを含む)のような磁気記録または光記録用情報キャリヤを読み取るコンピュータ周辺装置により供給することができる。
【0015】
図3では、画像データセットは医療磁気共鳴(MR)スキャナまたはコンピュータトモグラフィ(CT)スキャナのような画像収集装置31により収集される。このような画像収集装置はシステム30の一部分とすることができるが、システム30の外部装置としてもよい。データセット内の画像は2Dまたは3Dとすることができる。システム30は画像データセットを格納する記憶装置39を含む。記憶装置39はハードディスクのような永久記憶媒体とするのが好ましい。
【0016】
システム30の出力部33がレンダリングのための画素値を出力するために使用される。出力部33は、例えばビットマップイメージのような画素値をネットワークを介して表示用の別のコンピュータシステムに供給してもよい。或いは又、出力部33は適切なディスプレイ34上に画像を直接レンダリングするためのグラフィックスカード/チップを含んでもよい。ディスプレイ34は、必ずしもその必要はないが、システム30の一部とすることができる。
【0017】
ユーザはキーボード37およびマウス38のような操作装置を具えるインターフェースを介してシステム30を制御することができる。トラックボールやジョイスティックやタッチパネルのような他の適切な手段を使用することもできる。システム30は、コンピュータプログラムの制御の下で、画像データセットをレンダリングのためのビューポートエリアの表示が得られるように処理するプロセッサ36を更に含む。プログラムは実行のために記憶装置39のような永久記憶媒体からRAMのようなワーキングメモリ32にロードすることができる。本例では、実行中記憶装置39からの画像データを記憶するために同じメモリ32を使用することができる。画像データが大きすぎて完全にメモリ32に格納できない場合には、記憶装置39を仮想メモリとして作用させることができる。
【0018】
本発明では、プロセッサ36はビューポートエリアに含める画像のサブセットを決定するよう動作する。このサブセットは、1つまたは2つの属性に関してそれぞれの値域のサブレンジ(部分値域)内の値を有する画像を含む。前記サブレンジは、例えば表示モード、デフォルト設定およびユーザによる設定およびナビゲーションに依存して決定される。ビューポートエリア内におけるサブセットの画像の配列も表示モード、デフォルト設定およびユーザによる設定により決まる。表示モードおよびナビゲーション方法のいくつかの例を図4−9を参照して説明する。図10および図11はユーザに表示およびナビゲーションモードを設定可能にする設定ダイアログの例を示す。
【0019】
図4は本発明によるディスプレイウインドウを示す。ディスプレイウインドウ41はキャプション42と、ウインドウコントロールボタン43と、ツールバー44と、プログラムコントロールボタン45を具える。ディスプレイウインドウはビューポートエリア2も具える。ビューポートエリアはn×mのビューポートマトリクスであり、nおよびmは1以上の整数である。従って、可能な最小ビューポートエリアは1×1マトリクスである。各ビューポートは1つの画像3、好ましくは画像のユーザ選択可能部分を表示する。特に、これらの画像は医療用である。これらの画像は、例えばMR画像、CTスキャンまたはスペクトロスコピーグラフとすることができる。ビューポートエリア2内のビューポートに利用できる画像3がないときは、そのビューポートは例えば完全に黒にする、所定のパターンを表示する、或いは、エラーメッセージを表示する。前記エラーメッセージは利用できない画像の属性値についての情報を含むことができる。
【0020】
キャプション42は表示画像3についての関連情報を示すことができ、どの表示モードが使用されているか識別することができる。キャプション42はその画像3が示されている画像データセットの名前も表示することができる。ウインドウコントロールボタン43はデフォルトウインドウビユーの一部であり、ツールバー44の表示/非表示、ディスプレイウインドウの最大化/最小化、ディスプレイウインドウの閉成を実行するボタンを具える。プログラムコントロールボタン45はツールバー44上に位置する。プログラムコントロールボタンは、例えば画像データセット(の一部分)の開/閉または保存、画像の編集、表示オプションの設定、ズーミングまたは設定ダイアログの呼び出しを実行するために使用できる。ビューポートエリアに列や行を付加したりビューポートエリアから列や行を除去するためのコントロールボタンも存在させることができる。別のプログラムコントロールボタンによりユーザが1つのビューポートビューとビューポートエリアビューとを容易に切り替えることができるようにすることができる。画像3は断面に関する画像データの視覚的表示を含む。画像はその属性値についての情報も含むことができる。例えば、ビューポートエリア2内の右上画像は属性値Sl(スライス):1,Ph(フェーズ):3,Dy(ダイナミック):1を有する。例えば収集日時のような他の画像特定情報を含めることもできる。或いは又、ディスプレイウインドウ41は全画面表示に切り替えることもできる。この全画面表示も、例えばプログラムコントロールボタン45とユーザに全画面表示からディスプレイウインドウ41の表現への切り替えを可能にするコントロールボタンを具えることができる。しかし、ナビゲーションはダイレクトマウスマニピュレーション(DMM)により行うのが好ましく、ディスプレイウインドウ表示にも全画面表示にもスクロールバーを設けてビュープレーン内のナビゲーションを可能にすることができる。
【0021】
図5は本発明による2Dビュープレーンの多数の層の概念図を示す。フロント層4は2Dビュープレーンである。このエリアの一部分、ビューポートエリア2がディスプレイに可視化される。2Dビューポートエリア2は画像3を含む複数のビューポートを具える。x軸およびy軸がそれぞれ第1および第2の属性と関連する。フロント層4の背後にビュープレーンの他の層がある。各層ではz軸と関連する第3の属性が異なる値を有する。層の数は関連する属性の値の数に等しい。1つの層のみがビューポートエリア2を具え、ディスプレイ上に可視化される。
【0022】
例えば、x軸はエコーと関連し、y軸はスライスと関連し、z軸はタイプと関連する。この例では、ビュープレーン4の一列内の全ての画像がエコーに関して同一の値を有し、一行内の全ての画像がスライスに関して同一の値を有し、一つの層内の全ての画像がタイプに関して同一の値を有する。ビューポートエリア2内の画像はエコーおよびスライスに関してそれぞれの値域のサブレンジ内の値を有し、タイプに関しては全て同一の値を有する。エコーおよびスライスに関するサブレンジおよびタイプに関する値はユーザ選択可能である。大きなサブレンジを選択するとディスプレイ上の画像が多くなるが小さくなる。小さいサブレンジを選択するとディスプレイ上の画像が少なくなるが大きくなる。サブレンジがそれぞれの値域に等しいとき、それぞれの属性に関する全て異なる値を有する画像が示される。サブレンジの上限値または下限値をそれぞれの値域の上限値又は下限値に等しくすると、それぞれの限界値の方向のスクローリングが禁止される。例えば、1つの属性が値域[1,20]を有し、ビューポートエリアの一行がサブレンジ[1,3]内の値を有する画像を示すとき、右方向のスクローリングのみが可能で、新サブレンジ[2,4]の選択が可能である。他のスクローリング方法も予想される。例えば、サブレンジの限界値を2以上のステップで増大または減少させることによりもっと速いスクローリングが得られる。サブレンジの限界値を増大または減少させるステップ幅は可変にすることもできる。例えば、スクローリングの開始時には小ステップで正確なスクローリングを可能にし、スクローリングを持続する場合にはステップを広げて高速スクローリングを可能にする。プログラミングの分野では他のスクローリング方法も既知である。
【0023】
画像データセットのナビゲーションはDMMで行うのが好ましい。所定の方向のマウス移動により第3の属性に関するサブレンジまたは選択値への調整を開始する。ナビゲーション中、ビューポートエリアが、マウス移動方向に依存して、ビュープレーン上を移動し、一つの層から他の層へ移動する。図6に、ビューポートエリアの移動方向と、マウスの移動方向との関係が概念的に示されている。マウスをx方向にほぼ平行に移動させると、サブレンジの限界値が増大する。マウス移動の方向が図6のエリアR内にあるときは、ビューポートエリアはビュープレーン内を右方向へ移動する。ビューポートエリアの右方向への移動はx軸と関連する属性の値域のサブレンジの限界値を増大させることにより実現される。例えば、x軸が属性エコーと関連し、選択したサブレンジが[2,4]である場合、エリアR内の方向のマウス移動はこのサブレンジを最初に[3,5]に、次に[4,6]に移動させ、以下同様である。同様に、エリアL内の左方向へのマウス移動はビューポートエリアを左方向に移動する。y軸にほぼ平行な方向にあるエリアUおよびDはビューポートエリアの上向きおよび下向き移動を生ずる。y軸が属性スライスと関連する場合、マウスの上向きおよび下向き移動は属性スライスに関して他の値を有する画像のディスプレイへの可視化を生じる。第3の属性に関する値も同様に変えることができる、仮想z軸はx軸とy軸との間を延在する直線に実現するする。z軸にほぼ平行な方向な方向のマウス移動は第3の属性に関する値の変化をもたらす。エリアFおよびB内の方向の全てのマウス移動はz軸にほぼ平行である。マウス移動の方向がエリアF内である場合、第3の属性の値が増大する。マウス移動の方向がエリアBの場合、第3の属性の値が減少する。
【0024】
図6の6つのエリアR,F,U,L,BおよびDの各々は、−180°と180°との間の全ての方向の一部分をカバーする。ここでは、x軸は0°の方向を有し、エリアRは−15°と15°との間の全ての方向を含むものと定めた。各エリアでカバーされる方向の範囲はデフォルト値(上記の例では30°)とすることができ、またユーザが設定することもできる。y軸は90°の方向であり、z軸はx軸とy軸の間の延在する。z軸は30°の方向、45°の方向または0°と90°の間の任意の他の方向にすることができる。z軸の方向はデフォルト値とすることができ、またユーザが設定することもできる。z軸の方向および各エリアでカバーされる方向の範囲は、どのエリアも他のエリアとオーバラップしないように定める必要がある。これらのエリアは隣接させてもよく、また2つのエリア間にスクローリングエリアが存在しないようにしてもよい。マウス移動がどのエリアでもカバーされない方向を有するときは、既に開始されているナビゲーション方向を維持してもよく、また全くナビゲーションを生起しないようにしてもよい。スクローリング中にスクロール方向を示すマウスポインタを付与することにより追加の直感的な視覚的帰還を与えることもできる。
【0025】
一実施例では、自動スクロールモードを付与する。このような自動スクロールモードは、各画像の所定の属性の値を自動的に周期的に増減させることにより実現することができる。自動スクロールモードを駆動すると、ディスプレイは前記所定の属性の異なる値を有する全ての画像のスライドショーを示す。3つの軸の各々と関連する属性を自動スクローリングのために使用することができる。
【0026】
サブレンジの上限値および下限値が同時に増大するとき、ビューポートエリアはビュープレーン内を単に移動する。特別のズームモードでは、2つの限界値の一つのみを変化させる。このズームモードは、例えばマウスボタンまたはキーボードのキーを押しながらマウスを移動させることにより駆動することができる。或いは又、プログラムコントロールボタン(図4の45)をズームモードの駆動のために使用することができる。このズームモードが駆動されると、x方向のほぼ平行な右方向へのマウス移動はビューポートエリアの右側に列の付加を生ずる。左方向へのマウス移動は列の削除を生ずる。同様に、マウスを上向きまたは下向きに移動させることにより行を付加したり削除したりできる。
【0027】
図5に示すディスプレイモードを2Dビューという。第3の属性の値は、仮想z軸の導入によって、DMMにより選択することができる。図7は本発明による1Dビューの一例を示す。この場合には、ビュープレーンはビューポートの1D行であり、各ビューポートが1つの画像を示す。ディスプレイ上の1Dビューポートエリア内の画像は2Dマトリクスに配列される。x軸と関連する属性に関して異なる値を有する画像のナビゲーションについては[背景技術] の項に記載されている。仮想z軸の導入によってユーザは第2の属性の値をDMMにより選択することができる。
【0028】
図8の概念図に示すディスプレイモードを2Dラップ(wrapped)ビューという。このディスプレイモードは、1つの属性の値域が比較的小さいときに特に有用である。図8において、x軸と関連する属性はたった5つの値を有する値域を有する。ビューポートエリア2は4×3マトリクスである。ビューポートエリアの第1行の全ての画像はy軸およびz軸とそれぞれ関連する第2および第3の属性に関して同一の値を有する。第2および第3の属性に関してこれらの値を有する画像が丁度5つある。最初の3つの画像はビューポートエリアの第1行に示される。図6に示す正規の2Dディスプレイモードでは、他の2つの画像はマウスを右方向に移動させることにより可視化させることができる。2Dラップディスプレイモードでは、これらの2つの画像は第2行の第1および第2ビューポートに位置させる。第2行6の第3ビューポート6は画像を含まない。このビューポートは、例えば完全に黒または所定のパターンを示す。ビューポートエリア2の第3および第4行は第2の属性に関して第1および第2行より1だけ高い値を有するとともに第3の属性に関して同一の値を有する画像を具える。第3属性に関して種々の値を有する画像のナビゲーションは仮想z軸にほぼ平行にスクローリングすることによって行なわれる。
【0029】
スクロール方向の使用可能性は表示モードとディスプレイ上に示されるサブレンジより大きい値域を有する属性の数とに依存する。3つの方向のうちどの方向にスクローリングが可能かを可視化するために、図9A−Fのインジケータをディスプレイに示すことができる。図9Aのインジケータは、スクローリングが全く不可能であるときに使われる。このインジケータは、各軸と関連する属性に関する全ての値を有する画像がビューポートエリアに含まれているときに示される。スクローリングがx方向またはy方向に可能であるときは、図9Bおよび図9Cのインジケータが使われる。図9Bおよび図9Cのインジケータは、仮想z軸と関連する属性がないときの1Dディスプレイモードの場合に使用される。図9Dのインジケータは、仮想z軸と関連する属性がないときの2Dディスプレイモードの場合に使用される。1より大きい値域を有する属性がz軸と関連するとき、図9Eのインジケータが1Dディスプレイモードの場合に、図9Fのインジケータが2Dディスプレイモードの場合に使用される。
【0030】
図10および図11は本発明によるシステムの設定ダイアログ100を示す。ダイアログ100はウインドウ内に与えられるが、全画面に与えることもできる。ダイアログ100はユーザにデータセットの画像の表示およびナビゲーションの環境設定を可能にする。設定ダイアログ100は、ユーザが設定したいオプションを容易に見つけることができるように全てのオプションを指定する種々のタブ101,102,103を具える。ダイアログ100は更にダイアログ100の可視タブにデフォルト設定を与えるデフォルトボタン108を具える。デフォルト設定は、例えば、アクティブタブに別のオプションの値を与えるかに依存して全てのオプションに対して1つのタブに与えるか、幾つかのオプションに対して1つ以上のタブに与えることができる。デフォルト設定値はシステムの製造メーカが付与してもよいし、ユーザが設定し格納してもよい。ダイアログ100は設定値を与え設定ダイアログ100を閉じるボタン109も具える。
【0031】
図10は表示オプションを設定する表示設定タブ101を示す。表示モードコントロール105はユーザに表示モード、例えば2D,2Dラップまたは1Dの選択を可能にする。表示モードコントロール105は全ての可能な表示モードを含むドロップダウンリストとするのが好ましい。表示設定タブの他のコントロールは表示モードに依存する。図10では、表示モードは2Dである。2D表示モードのとき、交差軸が表示設定タブ101に付与される。交差軸の3つの軸はビューポートエリア内のx、yおよびz方向である。3つの軸の各軸の近くに、各軸と関連する属性の選択をユーザに可能とする属性コントロール104が設けられている。図10では、x軸はエコーと関連し、y軸はスライスと関連し、z軸はタイプと関連する。属性コントロール104は、別の軸とまだ関連してない2以上の値を含む値域を有する全ての属性を含むドロップダウンリストとするのが好ましい。また、別の軸と既に関連している属性が選択されるとき、両属性がそれらの位置を交換するのも好ましい。ある表示モードでは、ムービー属性コントロール106を用いて他の属性を選択することができる。ビューポートエリアにおいて、選択されたムービー属性に関する値は周期的に増大または減少する。例えばムービー属性としてフェーズが選択されると、各ビューポートは固定断面の時間的変化を示し、断面の通常のムービーを生ずる。ムービー属性としてスライスが選択されると、各ビューポートは被検体を巡る断面ショーを示す。フェーズおよびスライスがムービー属性として特に好適であるが、他の属性をムービー属性として選択することもできる。ムービー属性コントロール106は属性とオプション「なし」を含むドロップダウンリストとするのが好ましい。オプション「なし」を選択すると、ムービーは表示されず、ムービータイプコントロール107は不活性化されるかダイアログから除去される。オプション「なし」が選択されないとき、ムービータイプコントロール107はムービーの再生モード、例えば循環、一度再生、2度再生または逆向き再生の選択をユーザに可能にする。
【0032】
2Dラップおよび1D表示モードのための表示設定タブ101は図10に示す表示設定タブ101に類似する。1D表示モードでは、2つの軸のみが属性と関連する。「なし」オプションを属性コントロール104のドロップダウンリスト内のオプションに加えると、ユーザは1Dビューのときのナビゲーションに使用しない軸を選択することができる。他の実施例では、第1の属性をデフォルトでx軸と関連させ、使用可能なら第2および第3の属性をデフォルトでそれぞれy軸およびz軸と関連させる。
【0033】
他の表示モードは1Dネスト表示モードである。この表示モードでは、すべての使用可能な画像をビュープレーン内に1行に配列する。画像は格納順序に従ってビュープレーンに配列される。図11は1Dネスト表示モード用の表示設定タブ101を示す。このタブは使用可能な全属性を含むソーティングオーダリスト112を具える。2以上の値の値域を有する属性しかソーティングに使用できない。ソーティングに使用できる属性は、例えば黒フォントカラーで表示する。他の属性は、例えばグレーフォントカラーで表示する。図11では、現在のソーティングオーダはタイプ、エコー、フェーズ、スライスである。属性フェーズがハイライトされている。属性はソートオーダリスト112内のその属性をクリックすることによりハイライトさせることができる。ソートオーダボタン111を用いてリスト内のハイライト属性を移動させることができる。図11において、例えば「アップ」ボタンを押すと、新しいソートオーダはタイプ、フェーズ、エコー、スライスになる。
【0034】
上述の実施例は本発明を限定するものでなく、当業者であれば本発明の範囲を逸脱することなく多くの代替例を設計することができる。本発明は幾つかの個別の素子を具えるハードウエアによって実現することも、プログラムコンピュータによって実現することもできる。幾つかの手段を列挙する装置請求項において、これらの手段の幾つかは一つの同一のハードウエアアイテムで具体化することができる。所定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実はこれらの手段の組合せは有利に使用できないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】2Dビューポートエリアの概念図を示す。
【図2】1Dビューポートエリアの概念図を示す。
【図3】本発明によるシステムのブレークダウン図を示す。
【図4】本発明によるディスプレイウインドウを示す図である。
【図5】本発明による2Dビュープレーンの多数の層の概念図を示す。
【図6】2Dスクローリング方向から3Dナビゲーションへの変換の概念図を示す。
【図7】本発明による1Dビューポートエリアの多数の層の概念図を示す。
【図8】本発明による2Dラップビューポートエリアの多数の層の概念図を示す。
【図9】A−Fはスクロール可能方向インジケータの6つの構成を示す図である。
【図10】本発明による設定ダイアログの2Dビューポートエリアのための設定タブを示す図である。
【図11】1Dネストビューポートエリアのための設定タブを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データセットからユーザ選択可能な画像サブセットを表示する特に医療用の表示システムであって、前記画像は少なくとも2次元の画像であり且つそれぞれの値域を持つ少なくとも1つの属性のセットおよび値域を持つ追加の属性と関連するものであり、
前記画像データセットを受信する入力部と、
前記画像データセットを格納するメモリと、
操作装置を具え、ユーザからの命令を受信するインターフェースと、
コンピュータプログラムで制御されるプロセッサであって、
・ユーザに、前記操作装置でディスプレイの水平x軸または垂直y軸にほぼ平行にスクローリングすることによりそれぞれの値域のサブレンジを選択することを可能にし、
・ユーザに、前記操作装置で仮想z軸にほぼ平行にスクローリングすることにより前記追加の属性に関する値を選択することを可能にし、
・前記少なくとも一つの属性のセットに関して前記それぞれのサブレンジ内の値を有するとともに前記追加の属性に関する前記値も有する画像を選択することにより前記画像サブセットを決定し、
・前記画像サブセットのビューを発生させる、
プロセッサと、
ディスプレイ上に表示するために前記ビューの画素値を出力する出力部と、
を具えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記操作装置はポインタ装置を具え、前記仮想z軸は前記x軸とy軸との間を延在する直線として実現されていることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記サブレンジまたは前記追加の属性の値の選択中に視覚的帰還を付与するためにマウスポインタが付与されることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項4】
前記3つの軸のどの軸方向にスクローリングが可能であるかを示すインジケータが付与されることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項5】
前記3つの軸の各軸でどの属性を表すかを設定するための設定ダイアログが付与されることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、コンピュータプログラムの制御の下で、
・前記セットの一つの属性の値または前記追加の属性の値を周期的に増大または減少させることにより前記画像サブセットを変化させ、
・前記ビューを前記変化された画像サブセットに従って変化させる、
ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、コンピュータプログラムの制御の下で、
・前記3つの軸の一つにほぼ平行な方向のスクローリングにより選択できない各画像の他の属性の値を周期的に増大又は減少させ、
・前記ビューを前記変化された値に従って変化させる、
ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項8】
画像データセットからユーザ選択可能な画像サブセットを表示する特に医療用の表示方法であって、前記画像は少なくとも2次元の画像であり且つそれぞれの値域を持つ少なくとも1つの属性のセットおよび値域を持つ追加の属性と関連するものであり、
前記画像データセットを受信し格納するするステップと、
ユーザに、操作装置でディスプレイの水平x軸または垂直y軸にほぼ平行にスクローリングすることによりそれぞれの値域のサブレンジを選択することを可能にするステップと、
ユーザに、前記操作装置で仮想z軸にほぼ平行にスクローリングすることにより前記追加の属性に関する値を選択することを可能にするステップと、
前記少なくとも一つの属性のセットに関して前記それぞれのサブレンジ内の値を有するとともに前記追加の属性に関する値も有する画像を選択することにより前記画像サブセットを決定するステップと、
前記画像サブセットのビューを発生させるステップと、
ディスプレイ上に表示するために前記ビューの画素値を出力するステップと、
を具えることを特徴とする表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2007−517542(P2007−517542A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540720(P2006−540720)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052442
【国際公開番号】WO2005/052866
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】