説明

多方向入力装置

【課題】 本発明は、センタにある第1スイッチ部と、この第1スイッチ部の外周にある第2スイッチ部とをそれぞれ独立して確実に入力操作可能な操作性に優れた多方向入力装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の多方向入力装置1の操作部材9には、第1のキートップ15を弾性付勢する第1操作部10と、この第1操作部10の外周側に位置して第2キートップ16を弾性付勢する複数の第2操作部11とが一体形成され、
第1キートップ15は、第2キートップ16に対して独立して昇降可能となって所定の作動力で押圧操作することで第1の入力操作が可能になっており、第2キートップ16は、異なる2種類の作動力で押圧操作可能になっており、異なる2種類の作動力で第2キートップ16を押圧操作することで、第2、第3の異なる入力操作が可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に係わり、例えばキートップの異なる位置を押圧することで複数の多方向の入力が可能な多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多方向入力装置100は、図10に示すように、外部筐体180の内部には、円形状のキートップ170がプッシュスライド150に圧入嵌合されて取り付けられ、プッシュスライド150は、回転板132と筐体部121とを取付けた状態で、中央部に第1スイッチ部110fと、外周側に第2スイッチ部110b、110dとがドーム状に形成されてスイッチ基板110に載置されている。
そして、キートップ170の操作面170aが水平状の初期状態において、第1の操作で操作面170aの外周縁部側を矢印A方向に押圧すると、キートップ170が矢印A方向に傾倒操作される。
このキートップ170の傾倒操作に伴って、プッシュスライド150及び回転板132及び筐体部121が共に傾倒して、筐体部121の外周側の凸部121hがスイッチ基板110のドーム状の第2スイッチ部110bを所定の操作力にて押圧操作し、この押圧操作によって、第2スイッチ部110bがオンされる。
【0003】
次に、矢印A方向への押圧を解除すると、ドーム状の第2スイッチ部110bの弾性力によって、プッシュスライド150、回転板132、筐体部121、キートップ170のそれぞれが、初期状態に戻される。
これによって、第2スイッチ部110bはオフとなる。そして、これらの傾倒操作は、操作面170aの他の外周縁部の近傍を押圧してもキートップ170は、それぞれの方向に傾倒され、この傾倒によって、筐体部121の各突部121hが第2スイッチ部110b、110dをそれぞれオンするように動作する。
【0004】
次に、従来の多方向入力装置100の第2の動作は、図11に示すように、操作部170aが水平状態の初期状態において、キートップ170の中心部を矢印B方向に押圧する。すると、プッシュスライド150がスライド復帰用バネ140の弾性力に抗して降下して、プッシュスライド150の突部150dがスイッチ基板110の第1スイッチ部110fを押圧操作し、第1スイッチ部110fがオンする。
その後、キートップ170の矢印B方向への押圧を解除すると、第1スイッチ部110fの弾性復帰力、及びスライド復帰用バネ140の弾性力によってキートップ170が元の初期状態に自動復帰して、第1スイッチ部110fがオフするようになっている。
【特許文献1】特開2001−345031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述したような従来の多方向入力装置100は、第1スイッチ部110f、又は第2スイッチ部110b、110dを入力時に、キートップ170の操作面170aの押圧位置にバラツキ等があると、第1スイッチ部110f、及び第2スイッチ部110b、又は110dが同時に入力操作される、誤入力が発生するおそれがあった。
本発明は、前述したような課題を解決するためになされたもので、センタにある第1スイッチ部と、この第1スイッチ部の外周にある第2スイッチ部とをそれぞれ独立して確実に入力操作可能な操作性に優れた多方向入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明の多方向入力装置は、所定の高さ位置に支持された第1キートップと、この第1キートップの外側に前記第1キートップを囲むように前記第1キートップと同じ高さ位置に支持された環状の第2キートップと、前記第1、第2キートップを前記高さ位置に弾性付勢する操作部材と、前記第1、第2キートップと対向する側に前記操作部材を介して入力操作可能な複数のスイッチ部を有するメンブレンスイッチとを備え、
前記操作部材には、前記第1のキートップを前記弾性付勢する第1操作部と、この第1操作部の外周側に位置して前記第2キートップを前記弾性付勢する複数の前記第2操作部とが一体形成され、前記第1キートップは、前記第2キートップに対して独立して昇降可能となっており、所定の作動力で押圧操作することで第1の入力操作が可能となり、前記第2キートップは、異なる2種類の作動力で押圧操作することで、第2、第3の異なる入力操作が可能となることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記メンブレンスイッチには、前記第1操作部が対向する位置に、第1スイッチ部が形成されていると共に、前記第2操作部が対向する位置の円周方向の45度間隔の位置に第2スイッチ部が形成され、90度間隔の位置に位置する前記第2スイッチ部から所定の間隔を有して第3スイッチ部が形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記操作部材には、前記第3スイッチ部と対向する位置に前記90度間隔の前記第2、第3スイッチ部を入力操作可能な前記第2操作部が形成されると共に、互いに隣り合う前記第2操作部間に第3操作部が形成され、この第3操作部によって、前記第2操作部で入力操作されない部分の前記第2スイッチ部が入力操作可能になっていることを特徴とする。
【0007】
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記第1スイッチ部は、前記第1キートップの押圧操作で前記第1操作部が反転することで前記第1の入力操作が可能になっており、前記第2スイッチ部は、前記第2キートップに加える所定圧力の第2の入力操作で前記第2、第3操作部を介して入力操作可能になっており、前記第3スイッチ部は、前記第2キートップに加える前記所定圧力より大きな第3の入力操作で、ドーム状の前記第2操作部が反転することで入力操作可能になっていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記操作部材は、前記第1、第2、第3操作部のそれぞれが、細幅の連結部に連結されて一体形成されて前記第1、第2キートップを前記上昇位置に弾性付勢していることを特徴とする。
【0008】
また、前記課題を解決するための第6の手段として、前記第3操作部は、ドーム状の外周部の一部を切り欠きして前記クリック感触を前記第2操作部より弱くしたことを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第7の手段として、前記第2、第3操作部には、ドーム状の外周縁部から延出して前記第2スイッチ部を入力操作可能な第2スイッチ操作部がそれぞれ形成され、前記第2操作部には、ドーム状の天井部から内側に突出して前記第3スイッチ部を入力操作可能な第3スイッチ操作部が形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第8の手段として、前記第1キートップには、前記第1操作部を押圧操作可能な凸部が形成され、前記第2キートップには、前記第2、第3操作部を押圧操作可能な複数の凸部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多方向入力装置の操作部材には、第1のキートップを弾性付勢する第1操作部と、この第1操作部の外周側に位置して第2キートップを弾性付勢する複数の第2操作部とが一体形成され、第1キートップは、第2キートップに対して独立して昇降可能となっており、所定の作動力で押圧操作することで第1の入力操作が可能となり、第2キートップは、異なる2種類の作動力で押圧操作することで、第2、第3の異なる入力操作が可能となっているので、第1、第2スイッチ部をそれぞれ独立して確実に入力操作でき、誤入力等のない高性能の多方向入力装置を提供できる。
また、メンブレンスイッチには、第1操作部が対向する位置に、第1スイッチ部が形成されていると共に、第2操作部が対向する位置の円周方向の45度間隔の位置に第2スイッチ部が形成され、90度間隔の位置に位置する第2スイッチ部の外側に所定の間隔を有して第3スイッチ部が形成されているので、第2、第3の異なる入力操作で第2スイッチ部と、第3スイッチ部とを入力操作できる。そのために、部品点数を増やすことなく多方向の入力が可能となる。
【0010】
また、操作部材には、第3スイッチ部と対向する位置に90度間隔の第2、第3スイッチ部を入力操作可能な第2操作部が形成されると共に、互いに隣り合う第2操作部間に第3操作部が形成され、この第3操作部によって、第2操作部で入力操作されない部分の第2スイッチ部が入力操作可能になっているので、第2操作部で第2、第3の異なる入力操作を確実に行うことができる。
また、第1スイッチ部は、第1キートップの押圧操作で第1操作部が反転することで第1の入力操作が可能になっており、第2スイッチ部は、第2キートップに加える所定圧力の第2の入力操作で第2、第3操作部を介して入力操作可能になっており、第3スイッチ部は、第2キートップに加える所定圧力より大きな第3の入力操作で、ドーム状の第2操作部が反転することで入力操作可能になっているので、第2キートップの作動力が異なる2段操作で2種類の入力操作が可能である。
【0011】
また、操作部材は、第1、第2、第3操作部のそれぞれが、細幅の連結部に連結されて一体形成されて第1、第2キートップを上昇位置に弾性付勢しているので、部品点数を削減して組立性を向上できる。
また、第3操作部は、ドーム状の外周部の一部を切り欠きしてクリック感触を第2操作部より弱くしたので、第2操作部の押圧操作で発生するクリック感触を確実に感じることができ、第3スイッチ部が入力されたことを確実に検知できる。
また、第2、第3操作部には、ドーム状の外周縁部から延出して第2スイッチ部を入力操作可能な第2スイッチ操作部が形成され、第2操作部には、ドーム状の天井部から内側に突出して第3スイッチ部を入力操作可能な第3スイッチ操作部が形成されているので、第2スイッチ部及び第3スイッチ部を確実に入力操作することができる。
また、第1キートップには、第1操作部を押圧操作可能な凸部が形成され、第2キートップには、第2、第3操作部を押圧操作可能な複数の凸部が形成されているので、第1、第2キートップの押圧操作で、第1操作部及び第2、第3操作部を確実に押圧操作して反転させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の多方向入力装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の多方向入力装置の分解斜視図であり、図2は第1キートップの断面図であり、図3は第1キートップの下面図であり、図4は第2キートップの断面図であり、図5は第2キートップの下面図であり、図6は操作部材の斜視図であり、図7は操作部材の平面図であり、図8は図7の8-8断面図であり、図9は本発明の多方向入力装置の操作を説明する模式図である。
【0013】
まず、本発明の多方向入力装置1は、最下部に板厚が0.3〜0.4mmの鉄板等の金属板からなる固定板2が配設され、この固定板2は、円形状のメンブレン載置部2aが形成されていると共に、メンブレン載置部2aから4方向の外向きに突出して取付腕部2bが形成され,この取付腕2bが外部の電子機器(図示せず)等に取付けられるようになっている。
前記取付腕部2bの根元部分のそれぞれには、後述するメンブレンスイッチ3及び操作部材9の取付腕部4e、9dをカシメ付け可能な一対の爪状のカシメ部2cが形成されている。また、爪状のカシメ部2cに挟まれた部分の固定板2には、所定高さの位置決め突起2dが切り曲げ形成され、この位置決め突起2dに、後述するメンブレンスイッチ3、及び操作部材9の位置決め孔4f、9cが嵌合可能になっている。
【0014】
また、固定板2のメンブレン載置部2a上には、メンブレンスイッチ3が載置されている、このメンブレンスイッチ3は、樹脂フィルムからなる1枚のシート部材4を、図9に示すように、上下に折り返して、メンブレン載置部2aに載置可能な略円形の上部シート4aと下部シート4bとが形成され、下部シート4bからは、端子部4dが引き出されて外部の電子機器等(図示せず)に接続可能になっている。また、上部シート4aと下部シート4bとを折り返し部4cで折り返したシート部材4には、固定板2の取付腕部2bに載置可能な取付腕部4eと、固定板2の位置決め突起2dに嵌合可能な位置決め孔4fとが形成されている。
【0015】
また、上部シート4aと下部のシート4bと間には、所定厚さのスペーサ5が挟持されており、スペーサ5は、図1に示すように、外形形状がシート部材4の上部シート4aと下部シート4bと略同形状に形成されて、4方向の位置に取付腕部5aと、位置決め孔5bとが形成されている。
前記スペーサ5のセンタには、所定の径寸法の第1の孔5cが貫通形成され、この第1の孔5cから等距離の位置で、第1の孔5cと4方向に形成された位置決め孔5bとを結ぶ線上に第2の孔5dが4個貫通形成されている。前記第2の孔5dは、第1の孔5cと同寸法の2つの孔を位置ズレさせてひょうたん状に形成されている。
【0016】
また、隣り合う第2の孔5d、5d間には、第1の孔5cと同寸法の4個の第3の孔5eが貫通形成されている。前記第2、第3の孔5d、5eは、第1の孔をセンタとして8方の放射状の位置に等間隔に形成されている。
また、4個の第3の孔5eは、第1の孔5cをセンタとする第2の孔5dの内側の孔の円周上に形成されている。
前記メンブレンスイッチ3は、図9に示すように、上部と下部のシート4a、4b間に挟持した状態のスペーサ5のセンタに位置する第1の孔5c内に、上部電極と下部電極とからなる第1スイッチ部6が印刷等で形成されている。
【0017】
また、メンブレンスイッチ3は、ひょうたん状の第2の孔5d内の内側に第2スイッチ部7と、外側に第3スイッチ部8とが形成されている。前記内周側の第2スイッチ部7は、図示を省略するが、4個の第3の孔5e内にもそれぞれ形成されて、第1スイッチ部6を中心とする8方向の位置に形成されている。
即ち、メンブレンスイッチ3には、例えば第1の孔5c内に第1スイッチ部6が1個、第2スイッチ部7が第2の孔5d内、及び第3の孔5e内のそれぞれに8個、第3スイッチ部8が第2の孔5dの外側に4個それぞれ形成されて、合計13個のスイッチ部が形成されている。
【0018】
また、メンブレンスイッチ3上には、メンブレンスイッチ3の上部シート4aと略同じ大きさで略円形状に形成された操作部材9が配設されている。
前記操作部材9は、板厚が50〜60μmの弾性を有する1枚の金属板からなり、プレス加工等により打抜きされて、図6、図7に示すように、メンブレンスイッチ3と外形が略同形状の円形状の外周縁部9aが形成されている。
この外周縁部9aからは、4方向に延出する取付腕部9bが形成されていると共に、取付腕部9bに固定板2の位置決め突起2dが嵌合可能な位置決め孔9cが形成されている。
【0019】
また、操作部材9には、メンブレンスイッチ3のセンタに位置する第1スイッチ部6と対向する位置に、直径寸法が略3mmで中央部をドーム状に膨出した第1操作部10が形成されている。
そして、第1操作部10のドーム状の操作面10aの頂部には、下向きに突出する押圧部10bが形成され、操作面10aの頂部を後述する第1キートップ15を所定圧力の作動力で押圧操作することで、操作面10aが反転して、押圧部10bが第1スイッチ部6を押圧して第1の入力操作が可能になっている。
前記第1操作部10が反転すると、同時にクリック感が生じ、このクリック感を、後述する第1キートップ15を押圧操作する操作者が感じて、第1の入力操作が行われたことを認識できるようになっている。
また、操作部材9には、90度間隔の位置に形成した4個のひょうたん状の第2の孔5dと対向する位置の4箇所に、直径寸法が第1操作部10と略同じ形状でドーム状の4個の第2操作部11が形成されている。
【0020】
前記4個の第2操作部11のそれぞれには、図6、図7に示すように、ドーム状の外周部から中央部の第1操作部10方向に所定寸法延出させて、第2スイッチ部7(4箇所)を入力操作可能な第2スイッチ操作部11aと、第2操作部11のドーム状の操作面11bの頂部から下向きに突出させて第3スイッチ部8を入力操作可能な第2押圧部11cとが形成されている。
前記第2操作部11は、図8に示すように、操作面11bの頂部から第2スイッチ操作部11aの下面までが寸法H(0.3〜0.35mm)に形成されていると共に、操作面11bのドーム状の高さが寸法h(0.15〜0.2mm)に形成されている。
そして、操作面11bの頂部に所定圧力の作動力(例えば160g)を加えると第2操作部11が反転して、第1操作部10と同様なクリック感を得られるようになっている。
【0021】
また、操作部材9には、互いに隣り合う第2操作部11、11間で、メンブレンスイッチ3の第3の孔5eと対向する位置の4箇所に、第2操作部11と略同形状のドーム状の第3操作部12が形成されている。
前記第3操作部材12には、第2操作部11の第2スイッチ操作部11aが操作しない部分(4箇所)の第2スイッチ部7を入力操作可能な第2スイッチ操作部12aが形成されている。前記第3操作部12は、第2第2スイッチ操作部12aが第2操作部11の第2スイッチ操作部11aと同形状でセンタの第1操作部10方向に延出形成されていると共に、円形状の外形の一部が切り欠きされて切欠部12bが形成されて、ドーム状の操作面12cの外形が略Dカット状になっている。
そのために、第3操作部12は、作動力が第2操作部11より小さな例えば80gで反転して、第1、第2操作部10、11より弱いクリック感が発生するようになっている。
前記第2、第3操作部11、12によって、後述する第2キートップ16を所定高さの上昇位置である初期位置に弾性付勢するようになっている。
【0022】
また、第3操作部12は、操作面12cの頂部から第2スイッチ操作部12a間での寸法が、第2操作部11の寸法Hと同じ寸法に形成されていると共に、操作面12cのドーム状の高さが、第2操作部11の寸法hと同じに形成されている。そして、第1、第2、第3操作部10、11、12のそれぞれは、ドーム状の外周の直径寸法が略3mmの小径に形成されて、細幅に形成された複数の連結部13に連結されている。この連結部13は、第2、第3操作部11、12から第1操作部10までの間が湾曲形成されているので、第2、第3操作部11、12から第1操作部10までの距離をかせいで、第1操作部10が弾性変形しても第2、第3操作部11、12への影響を小さくできるようになっている。
また、操作部材9は、複数の連結部13が外周縁部9aに連結されて第1、第2、第3操作部10、11、12のそれぞれが一体化されている。
【0023】
また、複数の連結部13は、図9に示すように、取付腕部9bから所定高さになるようにプレス加工等で図示上方に膨出形成されている。そのために、操作部材9は、取付腕部9bをメンブレンスイッチ3に載置すると、第1、第2、第3操作部10、11、12のそれぞれがメンブレンスイッチ3から浮き上がるようになっている。
この時の第2、第3操作部11、12は、外周縁部9aに近い外周側よりも、内周側の第2スイッチ操作部11a、及び第2スイッチ操作部12aがメンブレンスイッチ3から大きく離間した状態になっている。
【0024】
また、第2、第3操作部11、12間に位置する連結部13の4方向の位置には、所定の径寸法の取付孔14からなる固着部が貫通形成されている。即ち、第2操作部11近傍の連結部13には、後述する第2キートップ16に固着するための固着部(取付孔14)が形成されている。
そして、操作部材9とメンブレンスイッチ3とは、それぞれの取付腕部9b、4eを位置合わせした状態で、固定板2のメンブレン載置部2a上に載置して、それぞれの位置決め孔4f、9cを、位置決め突起2dに嵌合させて位置決めするようになっている。
【0025】
また、操作部材9のセンタに形成した第1操作部10上には、図2、図3に示すような、外形が略円形状の第1キートップ15が配設されている。前記第1キートップ15は、樹脂材料からなり断面が略台形状の押圧面15aと、この操作面15aの台形状の裾野部分から外側に突出して鍔部15bが形成されている。また、第1キートップ15には、下面側センタに第1操作部10のドーム状の頂部に当接する所定高さの凸部15cが突出形成されていると共に、鍔部15b外周部の4方向の位置が円弧状に切り込みされて回り止め部15dが形成されている。
このような第1キートップ15は、図9に示すように、後述する第2キートップ16の嵌合孔16aに挿通すると共に、鍔部15bによって嵌合孔16aから抜け止めされて支持されて、操作面15aを矢印C方向に押圧操作可能になっている。
【0026】
また、操作部材9の第2、第3操作部11、12上には、図4、図5に示すような、外形が第1キートップ15より大きくて、中央部に第1キートップ15が挿通して抜け止め可能な円形状の嵌合孔16aを有する環状の第2キートップ16が配設されている。前記第2キートップ16は、樹脂材料からなり嵌合孔16a周囲に環状の操作面16bが形成され、この操作面16bの外周側に鍔部16cが形成され、この鍔部16cが、電子機器(図示せず)等の筐体に支持されて、所定高さ以上第2キートップ16が上昇しないように規制されるようになっている。
【0027】
また、第2キートップ16の下面側には、図5に示すように、45度間隔の8方向で所定の径寸法の円周上に、第2、第3操作部11、12に当接する8個の凸部16dが突出形成されている。更に、第2キートップ16の下面側には、複数の凸部16dの内側に、操作部材9の4個の取付孔14に嵌合する4個の取付突起16eが形成されていると共に、嵌合孔16aに接する周囲の4箇所に回り止め突起16fが形成されている。
そして、操作部材9の固着部である取付孔14に取付突起16fを嵌合させて、取付突起16fを熱カシメ等を行うことで、操作部材9と第2キートップ16とが一体化されている。同時に、操作部材9の第1操作部10によって第1キートップ15も所定高さ位置に弾性付勢されるようになっている。
また、操作部材9は、取付孔14を形成した部分の連結部13が第2キーっトップ16の取付突起16eに固着されることで、第2、第3操作部11、12のドーム状の頂部が、第2キートップ16の8個所に形成した凸部16dに弾接するようになっている。
【0028】
このような第2キートップ16の嵌合孔16aに、第1キートップ15のドーム状の操作面15aを嵌合させると、回り止め部15dが回り止め突起16fに係合する。このことにより、第1キートップ15は、第2キートップ16に対して回り止めされると共に、鍔部15bによって嵌合孔16aから抜け止めされる。
そして、第1キートップ15の操作面15aと第2キートップ16の操作面16bとが同一面上に位置する。
前記第1キートップ15を嵌合孔16aに嵌合させた状態の第2キートップ16の取付突起16eに、操作部材9の取付孔14を嵌合させて、図9に示すように取付突起16eを熱カシメ等行うと、第1キートップ15を取付けた第2キートップ16と操作部材9とが一体化される。
その後、操作部材9の取付腕部9bを、メンブレンスイッチ3の取付腕部4eに位置合わせした状態で、固定板2の位置決め突起2dに、それぞれの位置決め孔4f、9cを嵌合させて固定板2とメンブレンスイッチ3と操作部材9とを位置決めする。
【0029】
そして、固定板2の互いに対向する爪状のカシメ部2cを内側に折り畳むようにカシメ付けると、メンブレンスイッチ3と操作部材9との動きが規制される。
すると、付勢部材9の連結部13の付勢力で第2キートップ16が固定板2から所定高さの位置に弾性支持されると共に、第1キートップ15が第1操作部10の付勢力で、矢印C方向と反対方向の上方に弾性付勢されて、図9に示すように、それぞれの操作面15a、16bがほぼ同じ高さとなる初期状態となって本発明の多方向入力装置1が組立てられている。
この時の第2キートップ16は、鍔部16cが電子機器等の筐体(図示せず)側に支持されて、固定板2から所定高さの上昇位置以上に上昇しないように動きが規制されるようになっている。
【0030】
このように組立てられた本発明の多方向入力装置の操作を、図9に基づいて説明すると、まず、第2キートップ16の嵌合孔16aから操作面15aが所定高さで上昇した初期状態にある第1キートップ15の操作面15aに、所定圧力の作動力(略160g)を加えて矢印C方向に押圧操作する。
すると、第1付勢部10は、自身の付勢力に抗してメンブレンスイッチ3上に降下すると共に、反転して押圧部10bがメンブレンスイッチ3の第1スイッチ部6を押圧して、上部電極が下部電極に接触して、第1の入力操作が行われる。
【0031】
その後、第1キートップ15に加えていた作動力を解除すると、第1キートップ15が第1付勢部10に弾性付勢されて上昇し初期状態に自動復帰する。
次に、初期状態にある第2キートップ16の操作面16bに、第1キートップ15に加えていた作動力より小さい作動力(例えば略80g)を、操作者の指等により加えて矢印D方向に押圧操作すると、第2付勢部11、又は第3付勢部12は、自身の付勢力に抗してメンブレンスイッチ3上に降下し、第2スイッチ操作部11a、又は押圧部12aが、8個の第2スイッチ部7の中野1個が押圧されて第2の入力操作が行われる。
【0032】
また、第2キートップ16に小さい作動力を加えた状態の操作者の指を、操作面16bの円周方向に沿って滑らせると、8個の第2スイッチ部7が順番に入力されて8方向の入力を行うことができる。
次に、第2の入力操作後に、第3スイッチ部8と対向する位置の第2キートップ16の操作面16bに、更に大きな作動力(例えば略160g)を加えて押圧操作する。すると、第3スイッチ部8上に位置するドーム状の第2付勢部11が反転して、第2付勢部11の第2押圧部11cが第3スイッチ部8を押圧して、第3の入力操作が行われる。
即ち、本発明の多方向入力装置1は、第1キートップ15が第2キートップ16に対して独立して昇降可能となっており、第1キートップ15を所定の作動力で押圧操作することで第1の入力操作が可能になっており、第2キートップ16は、異なる2種類の作動力で押圧操作することで、第2、第3の異なる入力操作が可能になっている。
【0033】
尚、本発明の実施の形態では、操作部材9を第2キートップ16に固着することで説明したが、操作部材9を第1キートップ15に固着して第2キートップ16を上方に弾性付勢するものでも良い。
また、メンブレンスイッチ3、操作部材9、第1、第2キートップ15、16は、円形状に限らず、例えば矩形状のものでも良い。また、本発明の実施の形態では、操作部材9の取付孔14を第2キートップ16の取付突起16eにカシメ付けることで説明したが、接着剤で接着するようにしたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の多方向入力装置の分解斜視図である。
【図2】第1キートップの断面図である。
【図3】第1キートップの下面図である。
【図4】第2キートップの断面図である。
【図5】第2キートップの下面図である。
【図6】操作部材の斜視図である。
【図7】操作部材の平面図である。
【図8】図7の8-8断面図である。
【図9】本発明の多方向入力装置の操作を説明する模式図である。
【図10】従来の多方向入力装置の要部断面図である。
【図11】従来の多方向入力装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 本発明の多方向入力装置
2 固定板
2a メンブレン載置部
2b 取付腕部
2c カシメ部
2d 位置決め突起
3 メンブレンスイッチ
4 シート部材
4a 上部シート
4b 下部シート
4c 折り返し部
4d 端子部
4e 取付腕部
4f 位置決め孔
5 スペーサ
6 第1スイッチ部
7 第2スイッチ部
8 第3スイッチ部
9 操作部材
9a 外周縁部
9b 取付腕部
9c 位置決め孔
10 第1操作部
11 第2操作部
12 第3操作部
13 連結部
14 取付孔
15 第1キートップ
15a 操作面
15b 鍔部
15c 凸部
15d 回り止め部
16 第2キートップ
16a 嵌合孔
16b 操作面
16c 鍔部
16d 凸部
16e 取付突起
16f 回り止め突起



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さ位置に支持された第1キートップと、この第1キートップの外側に前記第1キートップを囲むように前記第1キートップと同じ高さ位置に支持された環状の第2キートップと、前記第1、第2キートップを前記高さ位置に弾性付勢する操作部材と、前記第1、第2キートップと対向する側に前記操作部材を介して入力操作可能な複数のスイッチ部を有するメンブレンスイッチとを備え、
前記操作部材には、前記第1のキートップを前記弾性付勢する第1操作部と、この第1操作部の外周側に位置して前記第2キートップを前記弾性付勢する複数の前記第2操作部とが一体形成され、
前記第1キートップは、前記第2キートップに対して独立して昇降可能となっており、所定の作動力で押圧操作することで第1の入力操作が可能となり、前記第2キートップは、異なる2種類の作動力で押圧操作することで、第2、第3の異なる入力操作が可能となることを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記メンブレンスイッチには、前記第1操作部が対向する位置に、第1スイッチ部が形成されていると共に、前記第2操作部が対向する位置の円周方向の45度間隔の位置に第2スイッチ部が形成され、90度間隔の位置に位置する前記第2スイッチ部から所定の間隔を有して第3スイッチ部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記操作部材には、前記第3スイッチ部と対向する位置に前記90度間隔の前記第2、第3スイッチ部を入力操作可能な前記第2操作部が形成されると共に、互いに隣り合う前記第2操作部間に第3操作部が形成され、この第3操作部によって、前記第2操作部で入力操作されない部分の前記第2スイッチ部が入力操作可能になっていることを特徴とする請求項2記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ部は、前記第1キートップの押圧操作で前記第1操作部が反転することで前記第1の入力操作が可能になっており、前記第2スイッチ部は、前記第2キートップに加える所定圧力の第2の入力操作で前記第2、第3操作部を介して入力操作可能になっており、前記第3スイッチ部は、前記第2キートップに加える前記所定圧力より大きな第3の入力操作で、ドーム状の前記第2操作部が反転することで入力操作可能になっていることを特徴とする請求項3記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記第1、第2、第3操作部のそれぞれが、細幅の連結部に連結されて一体形成されて前記第1、第2キートップを前記上昇位置に弾性付勢していることを特徴とする請求項3、又は4記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記第3操作部は、ドーム状の外周部の一部を切り欠きして前記クリック感触を前記第2操作部より弱くしたことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記第2、第3操作部には、ドーム状の外周縁部から延出して前記第2スイッチ部を入力操作可能な第2スイッチ操作部がそれぞれ形成され、前記第2操作部には、ドーム状の天井部から内側に突出して前記第3スイッチ部を入力操作可能な第3スイッチ操作部が形成されていることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記第1キートップには、前記第1操作部を押圧操作可能な凸部が形成され、前記第2キートップには、前記第2、第3操作部を押圧操作可能な複数の凸部が形成されていることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1項に記載の多方向入力装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−242343(P2007−242343A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61061(P2006−61061)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】