説明

多段クロスフィンチューブ式熱交換器

【課題】クロスフィンチューブ式熱交換器において、大型化することなく、効果的に熱交換効率を向上させることを可能とした多段クロスフィンチューブ式熱交換器を提供すること。
【解決手段】熱交換流体の流通方向に対して直角方向に互いに平行に且つ一定距離を隔てて配される多数枚のフィン12を順次貫通するように伝熱管14が配設されて構成された2つのクロスフィンチューブ16a,16bを、熱交換流体の流通方向に対して所定距離を隔てて平行に配列すると共に、それらクロスフィンチューブ16aを構成するフィン12とクロスフィンチューブ16bを構成するフィン12とが、互いに直交するように配置して、熱交換器10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気等の熱交換流体と冷媒との間で熱交換が行われる熱交換器に係り、特に、ヒートポンプ式空気調和機の室外機用や、ヒートポンプ式空気調和機の蒸発器用として好適に用いられるクロスフィンチューブ式熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和機用の熱交換器として、また、炭酸ガス冷媒を使用したヒートポンプ式給湯器の蒸発器として、主に、クロスフィンチューブ式熱交換器が用いられている。このクロスフィンチューブ式熱交換器は、複数のフィンに対して、複数の伝熱管を垂直方向に差し込み、それらの伝熱管を拡管することによって、フィンと伝熱管とを接合させてなる構造とされている。そして、所定の冷媒を伝熱管内に流通させる一方、伝熱管に対して直角な方向に、フィンに沿って空気が流れるようにすることによって、冷媒と空気との間で熱交換が行われるようになっている。
【0003】
また、そのようなクロスフィンチューブ式熱交換器は、一般的に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製のフィンと、銅若しくは銅合金製の伝熱管にて構成され、1枚のフィンに複数の伝熱管を挿通させた構造とされている。そして、空気調和機の室外熱交換器やヒートポンプ式給湯器の蒸発器として用いられる熱交換器として、平板状や、平板を折り曲げた形状とされたクロスフィンチューブ式熱交換器が、好適に用いられており、例えば、特開2008−111622号公報(特許文献1)の図3や、特開2006−200874(特許文献2)の図2において、空気調和機の室外熱交換器として、平板をL字状に折り曲げた形状とされたクロスフィンチューブ式熱交換器が、明らかにされている。
【0004】
そして、それら特許文献1,2にて明らかにされているクロスフィンチューブ式熱交換器にあっては、熱交換器を構成するクロスフィンチューブが、空気流の方向に対して2段に配置された構成とされており、例えば、特許文献1の熱交換器にあっては、風上に位置する風上熱交換器部1Aと、この風上熱交換器部1Aとは分離した形態において、近接して配され、風下に位置する風下熱交換器部1Bとからなる、2つのフィンチューブ形の熱交換器にて、構成されている。
【0005】
このように、2段目のクロスフィンチューブを設けることによって、高温側となる伝熱管が貫通せしめられるフィンと低温側の伝熱管が貫通せしめられるフィンとを分割することで、高温側の伝熱管を流通する冷媒の熱が、低温側の伝熱管を流通する冷媒へ、フィンを介して移動するという問題、即ち、本来ならフィンから放熱されるべき熱が再び熱交換サイクル内に戻ってしまうという問題が発生せず、1段目のクロスフィンチューブと2段目のクロスフィンチューブとの間の断熱効果が有効に発揮されて、熱交換性能をある程度向上させることが出来ることとなったのであるが、2段目のクロスフィンチューブにおいては、1段目のクロスフィンチューブと比較して有効な前縁効果を得ることが出来ず、その為、熱交換性能を充分に向上させるものではなかった。
【0006】
ここで、この前縁効果とは、熱交換流体(空気)の流れ内に平板を置いたときに、平板の前縁部分では境界層の厚さが薄くなる一方、下流に行くにしたがって厚くなるところから、平板の前縁部分において熱伝達率が良好となるため、この性質を利用して、平板の前縁部を熱伝達部として積極的に用いることにより実現出来る効果のことである。即ち、フィン面に生成した温度境界層を薄くすることによって、フィンにおける熱伝達率を促進する効果的な方法である。
【0007】
そして、それら特許文献1,2にて明らかにされているクロスフィンチューブ式熱交換器におけるクロスフィンチューブの配置にあっては、2段目のクロスフィンチューブのフィン先端と1段目のクロスフィンチューブのフィン後端との位置関係が必ずしも一定ではなく、その為、熱交換流体(空気)がフィンに直接に吹き付けられる1段目のクロスフィンチューブと比較して、2段目のクロスフィンチューブにおけるフィンの前縁効果は殆ど期待できないものとなってしまい、効果的な熱交換性能の向上効果を得られないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−111622号公報
【特許文献2】特開2006−200874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、クロスフィンチューブ式熱交換器、特に、空気調和機用の室外熱交換器やヒートポンプ式給湯器の蒸発器用のクロスフィンチューブ式熱交換器において、大型化することなく、効果的に熱交換効率を向上させることを可能とした多段クロスフィンチューブ式熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、熱交換流体の流通方向に対して直角な方向において互いに平行に且つ一定距離を隔てて配される多数枚のフィンからなるフィン群の複数が、該熱交換流体の流通方向に互いに一定距離を隔てて平行に配列されると共に、それら複数のフィン群をそれぞれ貫通するように伝熱管が配設されてなる構造の多段クロスフィンチューブ式熱交換器にして、前記複数のフィン群を、隣り合うフィン群間において、一方のフィン群のフィンと他方のフィン群のフィンとが互いに交差して位置するように、多段に配列せしめたことを特徴とする多段クロスフィンチューブ式熱交換器を、その要旨とするものである。
【0011】
なお、このような本発明に従う多段クロスフィンチューブ式熱交換器の望ましい態様の一つによれば、ヒートポンプ式空気調和機の室外機用として用いられることとなり、更に別の望ましい態様の一つにあっては、ヒートポンプ式給湯機の蒸発器用として用いられることとなる。
【発明の効果】
【0012】
従って、このような本発明に従う構成とされた多段クロスフィンチューブ式熱交換器によれば、熱交換流体の流通方向に多段に配置されたクロスフィンチューブのフィン群が、隣り合うフィン群間において、一方のフィン群のフィンと他方のフィン群のフィンとが互いに交差するように配置されているところから、熱交換流体の流通方向の下流側に配置されたフィン群においても、フィンの前縁部に効果的に熱交換流体を当てて、有効な前縁効果を得ることが可能となったのであり、以て、熱交換器全体としての熱交換性能を有利に向上することが出来るのである。
【0013】
また、隣り合うフィン群間において、一方のフィン群のフィンと他方のフィン群のフィンとが互いに交差しているため、熱交換流体の流通方向の上流側のフィン表面で形成された温度・速度境界層が、下流側のフィン前縁部で分断・更新される一方、上流側のフィン前縁部で分断・更新された温度・速度境界層が、下流側のフィン表面において合体されることとなる。即ち、熱交換流体に捩れ効果(攪乱効果)が生じ、より伝熱が促進されることによって、更に熱交換効率を効果的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従う多段クロスフィンチューブ式熱交換器の一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1に示される多段クロスフィンチューブ式熱交換器の一部を拡大して示す説明図である。
【図3】図1に示される多段クロスフィンチューブ式熱交換器における、熱交換流体の流通する様子をイメージ的に示す説明図であって、(a)は、上下方向(図1におけるz方向)におけるイメージを示し、(b)は、水平方向(図1におけるy方向)のイメージを示している。
【図4】本発明に従う多段クロスフィンチューブ式熱交換器の形状の別の例を示す説明図である。
【図5】比較例として用いた従来の構成の2段のクロスフィンチューブ式熱交換器を、図2と同様に一部分を拡大した形態において示す、斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1には、本発明に従う多段クロスフィンチューブ式熱交換器の一実施形態が、斜視図の形態において示されている。そこにおいて、熱交換器10は、熱交換流体の流通方向(図中、x方向)に対して直角方向に互いに平行に且つ一定距離を隔てて配される多数枚のフィン12からなるフィン群に、かかるフィン12に設けられた取付孔を順次貫通するように伝熱管14が組み付けられてなる、2つのクロスフィンチューブ16a,16bにて構成され、2段のクロスフィンチューブ式熱交換器を与えている。そして、そこでは、それら2つのクロスフィンチューブ16a,16bは、熱交換流体の流通方向に対して所定距離を隔てて平行に配列されると共に、それらクロスフィンチューブ16aを構成するフィン12とクロスフィンチューブ16bを構成するフィン12とが、フィン面が互いに直交するように配置されて、目的とする2段のクロスフィンチューブ式熱交換器として、構成されているのである。
【0017】
より詳細には、クロスフィンチューブ16a,16bを構成するフィン12は、それぞれ、従来のクロスフィンチューブ式熱交換器と同様に、アルミニウム若しくはその合金等の所定の金属材料にて形成された、矩形形状を呈する薄肉の板状フィンとされ、その複数枚が、図1の一部を拡大した図2にも示されるように、熱交換流体である空気の流通方向(図1や図2においてx方向)に対して直角方向(図1や図2においてy、z方向)に、所定のフィンピッチ(フィン間隔:P1,P2)をもって互いに平行に配列されて、それぞれフィン群を形成している。
【0018】
一方、伝熱管14は、熱交換器10に要求される伝熱性能等に応じて、アルミニウムや銅又はそれらの合金等の中から適宜に選択された、所定の金属材質にて構成される、内面溝付伝熱管等の公知のものであって、ここでは、そのような伝熱管14は、例えば、直線部分とヘアピン曲げ部分を有した、U字形状において用いられている。
【0019】
そして、そのようなフィン12と伝熱管14とが、公知の手法に従って組み付けられて、一体化されている。即ち、複数枚のフィン12を、かかるフィン12に形成された複数の取付孔のそれぞれを一致させた状態で、互いに平行に且つ所定のフィン間隔(フィンピッチ:P1,P2)を隔てて配列して、その一致された取付孔内に、伝熱管14のU字形状の直線部分を挿入せしめた後、従来と同様にして、伝熱管14の拡管加工を行うことによって、かかる伝熱管14と複数枚のフィン12からなるフィン群とが固着せしめられてなるクロスフィンチューブ16a,16bが、形成されている。
【0020】
なお、そのようなクロスフィンチューブ16a,16bの、フィン12に固着せしめられた伝熱管14の開口した端部同士は、ここでは図示されてはいないが、通常のクロスフィンチューブ形熱交換器と同様にして、U字形状を呈するUベンド管を用いて接続されていることによって、複数枚のフィン12からなるフィン群を、伝熱管14が蛇行形態をもって順次貫通する形態のクロスフィンチューブとして、構成されている。
【0021】
そして、そのような2つのクロスフィンチューブ16a,16bが、一方のクロスフィンチューブのフィン12と他方のクロスフィンチューブのフィン12とが互いに直交するような配置形態において、熱交換流体の流通方向に所定間隔を隔てて互いに平行に配置されると共に、冷却媒体が一方のクロスフィンチューブ16の伝熱管14内を順次通過した後に、他方のクロスフィンチューブ16の伝熱管14内を順次通過するように、それぞれのクロスフィンチューブ16(16a,16b)の伝熱管14が連結され、以て、多段クロスフィンチューブ式熱交換器10として、構成されているのである。
【0022】
なお、このような構成とされた多段クロスフィンチューブ式熱交換器10においては、フィン12の厚さとしては、熱交換器10の大きさや熱交換性能に応じて種々選択されるものであるが、望ましくは、0.1mm程度とされることとなる。また、隣り合うフィン12,12の間の間隔(ピッチ:P1,P2)にあっても、熱交換器の所望の伝熱性能等に応じて適宜に決定されるのであるが、一般に1.0mm〜1.5mm程度の間隔とされ、望ましくは、1.2mm程度とされることとなる。更に、熱交換流体の流通方向に多段に配列されるクロスフィンチューブ16a,16bのフィン群間の相互の間隔も、一般に0.8mm〜1.5mm程度の間隔とされ、望ましくは、1.0mm程度とされることとなる。
【0023】
従って、このような本発明に従う構成とされた熱交換器10によれば、熱交換流体である空気の流通方向に対して、ここでは、2段に配列されたクロスフィンチューブ16aのフィン12とクロスフィンチューブ16bのフィン12とが、互いに直交する配置とされているところから、気流の下流側となるクロスフィンチューブ16bにおいても、そのフィン12の前縁部に、効果的に熱交換流体である空気を当てて、有効な前縁効果を得ることが可能となるのであって、その結果、熱交換器10の熱交換性能を有利に向上することが出来ることとなるのである。
【0024】
また、そのように、クロスフィンチューブ16aのフィン12とクロスフィンチューブ16bのフィン12とが直交していることによって、熱交換流体に捩れ効果(攪乱効果)が生じ、より伝熱が促進されて、更なる熱交換効率の向上効果が発揮されることとなる。即ち、図1に示した熱交換器10の側面(図1においてxz平面)イメージを示す図3(a)に示されるように、上流側のクロスフィンチューブ16aのフィン12の表面で形成された温度・速度境界層が、下流側のクロスフィンチューブ16bのフィン12の前縁部で分断・更新される一方、図1に示した熱交換器10の上面(図1においてxy平面)イメージを示す図3(b)に示されるように、上流側のフィン12の前縁部で分断・更新された温度・速度境界層が、下流側のフィン12の表面において合体されるため、熱交換流体への攪乱効果が発揮され、以て、熱交換器10の熱交換性能が向上されるのである。
【0025】
さらに、このように、多段クロスフィンチューブ式である熱交換器10の熱交換効率を効果的に向上することが可能となるところから、従来の構成とされた多段のクロスフィンチューブ式熱交換器と同じ熱交換性能を維持しつつ、熱交換器の大きさをよりコンパクト化することが出来るのである。そして、このような多段クロスフィンチューブ式の熱交換器10は、ヒートポンプ式空気調和機の室外機用として、或いはヒートポンプ式給湯機の蒸発器用として、より好適に用いられることとなる。
【0026】
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0027】
例えば、前述の実施形態においては、平板状のクロスフィンチューブ16a,16bが熱交換流体の流通方向に対して2段に配列された形態の、多段クロスフィンチューブ式熱交換器10を例示したが、そのようなクロスフィンチューブ16の配列段数は2段に限られるものではなく、3段あるいはそれ以上の段数となるようにクロスフィンチューブを配列した多段クロスフィンチューブ式熱熱交換器とすることも可能である。
【0028】
また、前述の実施形態においては、1段目のクロスフィンチューブ16aのフィン12と、2段目のクロスフィンチューブ16bのフィン12とが、互いに直交するような配置とされていたが、互いのフィン12,12の交差する角度は、90°でなくてもよい。なお、そのような交差角度は、熱交換器10の形状やクロスフィンチューブ16a,16bの配置等に応じて、適宜に決定されることとなるが、2段目以降のクロスフィンチューブにおける前縁効果を効果的に発揮するためにも、望ましくは、45〜135°程度の範囲の角度とされることとなる。
【0029】
さらに、熱交換器10の形状は、前述の実施形態に示した平板状のものの他にも、例えば、図4(a)に示される如く、平板をL字形状に折り曲げた形状の熱交換器30とすることも可能である。このようなL字状に折り曲げた形状のクロスフィンチューブは、例えば、一旦、平板状に形成したクロスフィンチューブに曲げ加工を施すことによって、L字形状に成形して、製作することも可能であるが、図4(a)に示される熱交換器30の2段目のクロスフィンチューブ34のように、フィンの長さ方向をL字形状に折り曲げるような加工は難しい。従って、このような場合にあっては、予め、L字形状に切断したフィン12に対して伝熱管14を組み付けて、目的とするL字形状のクロスフィンチューブ34を形成したり、或いは、図4(b)に示される如く、L字状に折り曲げた形状のクロスフィンチューブ32と、2つの分割された平板状のクロスフィンチューブ36,38を用いて、熱交換器40を構成することも可能である。
【0030】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明の代表的な実施例の一つを示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0032】
先ず、本発明に従う構造の多段クロスフィンチューブ式熱交換器を構成するために用いる伝熱管として、りん脱酸銅(JIS H3300 C1220)からなる、外径:6.35mm、底肉厚:0.23mmの内面溝付管を用意し、これにヘアピン曲げ加工を施して、U字形状となるように形成した。一方、フィン材料としては、板厚:0.09mmの、純アルミニウム(JIS A1050)の板材を準備し、それを所定のフィン寸法に切断すると共に、その幅方向の略中央部位に、伝熱管が挿通される取付孔を、所定間隔を隔てて複数箇所形成したものを用意した。
【0033】
このように用意された伝熱管とフィン材料を用いて、先ず、フィン材料の複数を、それぞれのフィン材料の貫通孔が一致した状態下において、所定間隔を隔てて平行に位置するように配列し、そしてその貫通孔にU字形状とした伝熱管の直線部分が順次貫通するように挿通させた後に、伝熱管を拡管して、伝熱管とフィンを一体化させた。このように、それぞれの取付孔に伝熱管を挿通し、拡管を行いフィンと一体化した後に、それら伝熱管の近接した開口端部を、所定のUベンド管で連結して、平板形状のクロスフィンチューブを形成した。
【0034】
そして、このように形成された平板状のクロスフィンチューブの2つを、それぞれのフィンが互いに直交する位置において、所定間隔を隔てて平行に配置して、図1に示される如き形状の2段のクロスフィンチューブ式熱交換器(10)を製作し、これを、実施例1とした。
【0035】
なお、それぞれのクロスフィンチューブ(16a,16b)を構成するフィンの大きさは、幅(W):24mm、長さ(L):287mmとし、フィン1枚当たりの伝熱管本数は、どちらも16本とし、伝熱管の間隔(ピッチ:P3,P4)は、18mmとした。更に、一つのクロスフィンチューブあたりのフィン枚数は、どちらも205枚とし、フィンピッチ(P1,P2)はどちらも1.4mmとした。また、1段目のクロスフィンチューブ(16a)と2段目のクロスフィンチューブ(16b)の間隔:aは1.0mmとし、熱交換器全体の大きさは、長さはフィン長さと同じ287mm、高さは287mm、幅はフィン幅の2倍とクロスフィンチューブ同士の間隔を合計した49mmとした。
【0036】
一方、比較例として、実施例1と同様な伝熱管とフィン材料を用意し、実施例1と同様の製作方法によって、図5に示される如き、1段目と2段目のクロスフィンチューブのフィンの配列方向が同一の、クロスフィンチューブ式熱交換器(50)を製作し、これを比較例1とした。かかる比較例1の熱交換器における、フィンの形状や大きさ、伝熱管の太さやフィン1枚当たりの伝熱管の本数やピッチ、またフィン群としたときのフィン枚数やフィンピッチ、及びクロスフィンチューブ同士の間隔、そして熱交換器の幅や長さや高さは、実施例1の熱交換器と同じ値となるようにした。
【0037】
そして、このように準備されたそれぞれのクロスフィンチューブ式熱交換器において、熱交換流体として空気を用い、その空気側を、乾球温度:35℃、湿球温度:24℃、前面風速:0.5m〜2.0m/sの条件とする一方、伝熱管内部を流通させる冷媒としてR410Aを用い、その冷媒側を、飽和温度40℃、冷媒入口加熱度15K、冷媒出口加熱度5Kの条件として、熱交換試験を行い、それぞれの熱交換性能を測定した。
【0038】
その結果、実施例1の熱交換器においては、比較例1の熱交換器に比して、1.3倍の熱交換性能を達成することが確認された。
【符号の説明】
【0039】
10 熱交換器
12 フィン
14 伝熱管
16a,16b クロスフィンチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換流体の流通方向に対して直角な方向において互いに平行に且つ一定距離を隔てて配される多数枚のフィンからなるフィン群の複数が、該熱交換流体の流通方向に互いに一定距離を隔てて平行に配列されると共に、それら複数のフィン群をそれぞれ貫通するように伝熱管が配設されてなる構造の多段クロスフィンチューブ式熱交換器にして、
前記複数のフィン群を、隣り合うフィン群間において、一方のフィン群のフィンと他方のフィン群のフィンとが互いに交差して位置するように、多段に配列せしめたことを特徴とする多段クロスフィンチューブ式熱交換器。
【請求項2】
ヒートポンプ式空気調和機の室外機用として用いられる、請求項1に記載の多段クロスフィンチューブ式熱交換器。
【請求項3】
ヒートポンプ式給湯機の蒸発器用として用いられる、請求項1に記載の多段クロスフィンチューブ式熱交換器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−243067(P2010−243067A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92581(P2009−92581)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】