多段構造のアクチュエータ
【課題】ロングストロークの位置決めをする場合においても、イナーシャを比較的に小さくし得る多段構造のアクチュエータを提供する。
【解決手段】この多段構造のアクチュエータ1は、複数の駆動ユニット10A〜10Cおよび案内ユニット20を備え、案内ユニット20は、各駆動ユニット10A〜10Cと一体に移動する案内部材3と、その案内部材3をスライド移動可能に支持する案内レール2とを有し、各駆動ユニット10A〜10Cは、同じ案内レール2上に配置されるとともに、一つのモータ8によって同時に駆動される二つのボールねじ11A,11Bを有している。そして、二つのボールねじ11A,11Bは、モータ8によって歯車機構19を介してナット回転で駆動されるとともに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸4,4相互が連結され且つねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体Aを搬送するようになっている。
【解決手段】この多段構造のアクチュエータ1は、複数の駆動ユニット10A〜10Cおよび案内ユニット20を備え、案内ユニット20は、各駆動ユニット10A〜10Cと一体に移動する案内部材3と、その案内部材3をスライド移動可能に支持する案内レール2とを有し、各駆動ユニット10A〜10Cは、同じ案内レール2上に配置されるとともに、一つのモータ8によって同時に駆動される二つのボールねじ11A,11Bを有している。そして、二つのボールねじ11A,11Bは、モータ8によって歯車機構19を介してナット回転で駆動されるとともに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸4,4相互が連結され且つねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体Aを搬送するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロングストロークの位置決めに好適な多段構造のアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロングストロークの位置決めを目的としたアクチュエータとしては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。同文献に記載の技術は、上下方向に大きなストロークが必要な場合に好適な技術であって、上下に配設された2軸のボールねじのねじ軸をサーボモータで回転させ、ナット移動によって駆動する駆動ユニットを備えており、これを上下方向のスライド機構毎に別個の案内ユニットを用いた2段の多段構造とすることで被駆動体に対しロングストロークを得ている。
【特許文献1】特開2006−102886号公報(図1)
【特許文献2】特開2007−218285号公報(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、上下移動の用途に使用する場合には問題ないものの、水平移動の用途に使用する場合には、スライド機構が片持ちになってしまう。そのため、ロングストロークになるほど重力の影響によって案内ユニットに対応する案内部材に過大なモーメント荷重がかかる。また、これが更に多段構造(例えば3段構造)となった場合には、水平方向で自重を支えることが困難なので、駆動ユニットを支えるために別途に長尺の案内ユニットが必要となる。さらに、ねじ軸回転、ナット移動によって駆動しているので、加減速時にはボールねじのイナーシャ分の回転エネルギーを消費していまい、特にロングストロークを位置決めする場合にはねじ軸が長くなり、その分イナーシャも大きくなるためエネルギーロスが大きくなる。
【0004】
これに対し、例えば特許文献2に記載の技術では、ナット回転によって2軸の送りねじを1つのモータで駆動する駆動ユニットを有しており、送りねじをボールねじに置き換えれば軸方向に精密な位置決めが可能となる。しかし、特許文献2に記載の技術は、複数の駆動ユニットを用いて多段構造とするものではなく、また、駆動ユニット同士の送りねじをオーバーラップ(搬送方向で重なる状態)して配置する技術を提供するものでもない。そのため、駆動ユニットの長さ以上に長い送りねじを用いたロングストロークの位置決めをすることができない。したがって、多段構造のアクチュエータを構成する上で未だ解決すべき課題が残されている。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ロングストロークの位置決めをする場合においても、イナーシャを比較的に小さくし得る多段構造のアクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の駆動ユニットと、該複数の駆動ユニットを案内する案内ユニットとを備える多段構造のアクチュエータであって、前記案内ユニットは、各駆動ユニットに付設されてこれと一体に移動する案内部材と、該案内部材をスライド移動可能に支持する案内レールとを有し、前記各駆動ユニットは、同じ案内レール上に配置されるとともに、一つのモータと、該一つのモータによって同時に駆動される二つのボールねじとを有し、各駆動ユニットの二つのボールねじは、前記一つのモータによって歯車機構を介してナット回転で駆動されるように構成されており、さらに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が連結されるとともに、ねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体を搬送するようになっていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る多段構造のアクチュエータによれば、各駆動ユニットがナット回転駆動なので、長尺のねじ軸を回転する構成に比べて低イナーシャとすることができる。そのため、加減速時のエネルギーロスを抑えることができ、経済的な運転が可能となる。そして、この駆動ユニットを同じ案内レール上に複数配置し、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互を連結しているので、多段構造のアクチュエータ全体としてもイナーシャを比較的に小さくしつつロングストロークの位置決めが可能である。
【0008】
なお、本発明に係る多段構造のアクチュエータの各駆動ユニットにおいて、1つのモータで歯車機構を介して2つのナットを駆動する構成としては、例えば、ねじれ方向が同じボールねじの場合には、ナットを互いに逆方向に回転させ、また、ねじれ方向が逆のボールねじの場合には、ナットを同方向に回転させることによってねじ軸を互いに相対移動させることができる。また、案内ユニットとしては、案内部材が、ボールあるいはローラ等の転動体を介して案内レールに跨設されており、案内レールと案内部材とが予圧を持って隙間なく保持されていれば、駆動ユニットを円滑にスライド移動させるとともにその振動を抑える上で好適である。
【0009】
ここで、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、例えば、前記複数の駆動ユニットが、いずれも同一の構成であれば、多段構造のアクチュエータを構成する上でより経済的である。
また、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、例えば、前記各駆動ユニットは、他の駆動ユニットのねじ軸との干渉を避けるための貫通穴または切り欠き部を有することは好ましい。このような構成であれば、相手側の駆動ユニットに、干渉を避けるための貫通穴、あるいは切欠き穴を設けてあるので、多段構造のアクチュエータの伸縮時に、各駆動ユニットのボールねじのねじ軸と他の駆動ユニットとの干渉が防止される。そのため、駆動ユニット同士のねじ軸をオーバーラップして配置することができる。したがって、各駆動ユニットに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができる。
【0010】
また、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、前記複数の駆動ユニットは、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が同軸に連結されていることは好ましい。このような構成であれば、ボールねじは被駆動体を搬送する際の軸力を受けるものの、隣り合うねじ軸を同軸上に配置することでモーメントが発生することがない。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明に係る多段構造のアクチュエータによれば、ロングストロークの位置決めをする場合においても、イナーシャを比較的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る多段構造のアクチュエータの実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、以下の第一および第二実施形態は、3つの駆動ユニットを用いて多段構造を構成した例である。
まず、本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態について、図1ないし図2を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図1は本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態の平面図である。また、図2は、図1の駆動ユニットを説明する図であり、同図(a)は図1でのA矢視図、また同図(b)は(a)のU−U断面図である。
【0013】
図1に示すように、この多段構造のアクチュエータ1は、複数の駆動ユニット10A,10B,10Cと、その複数の駆動ユニット10A〜10Cをそれぞれ案内する案内ユニット20とを備えて構成されている。複数の駆動ユニット10A〜10Cは、いずれも同じ構成を有している。なお、本明細書では、同図での右側のユニットから順に、第一駆動ユニット10A、第二駆動ユニット10B、第三駆動ユニット10Cと呼ぶ。
【0014】
図2に示すように、各駆動ユニット10A〜10Cは、一つのサーボモータ8と、そのサーボモータ8によって同時に駆動される二つのボールねじ11A,11Bとを有する。各ボールねじ11A,11Bは、ねじ軸4と、これに多数のボール(不図示)を介して外嵌するナット5とを有している。そして、二つのボールねじ11A,11B相互のナット5,5は、サーボモータ8が駆動されると歯車機構19を介して同時に回転するように構成されている。
【0015】
より詳しくは、図2に示すように、各駆動ユニット10A〜10Cは、ユニットハウジング9を備えている。このユニットハウジング9にはサーボモータ8が付設されており、また、ユニットハウジング9内には、歯車機構19および支持軸受18が設けられている。そして、二つのボールねじ11A,11Bのうち、同図下側のボールねじ11Bは、そのナット5が、このユニットハウジング9内の歯車機構19を介してサーボモータ8の出力軸8aに連結されている。そして、各ナット5,5は、ユニットハウジング9の高さ方向に上下して並列に配置され、支持軸受18によって回転自在に且つ径方向および軸方向の移動を拘束して支持されている。
【0016】
本実施形態では、上記二つのボールねじ11A,11Bのねじ溝のねじれ方向はいずれも同じ(例えばいずれも右ねじ)であり、サーボモータ8によってボールねじ11Bのナット5が回転駆動されると、これに歯車機構19を介して接続された他方のボールねじ11Aのナット5も同時に逆方向に回転駆動され、これにより、二つのボールねじ11A,11B相互のナット5,5は、互いに逆方向に回転し、互いのねじ軸4,4が逆方向に相対移動するようになっている。なお、二つのボールねじ11A,11Bのねじ溝4,4のねじれ方向が逆の場合には、相互のナット5,5間に、もう1つあるいは奇数個の中間歯車を有する歯車機構19を介してナット5,5相互を連結してもよい。なおまた、本実施形態では、サーボモータ8の出力軸8aに歯車を直接取り付けた例で説明しているが、歯車の回転軸を軸受にて支持し、カップリング等を介してモータと連結してもよい。
【0017】
一方、案内ユニット20は、各駆動ユニット10A〜10Cに付設されて各駆動ユニット10A〜10Cと一体に移動する複数(各駆動ユニット毎に2つ)の案内部材3と、これら複数の案内部材3を軸方向にスライド移動可能に支持するようにベースB上に並列配置された二本の案内レール2とを有して構成されている。
各案内部材3は、転動体としてボールないしローラを内部に備えており、その転動体を介して案内レール2に跨設されている。また、案内レール2と各案内部材3とは予圧を持って隙間なく保持されており、これにより、各駆動ユニット10A〜10Cの振動を抑えることができ、静音化を図っている。また、案内ユニット20に予圧を付与することで、各駆動ユニット10A〜10Cの軸直角方向の剛性が上がるので、隣り合うナットからモーメント力が発生した場合においても軸方向に換算した際の位置決め精度を向上させている。
【0018】
そして、この多段構造のアクチュエータ1は、上述した各駆動ユニット10A〜10Cを、図1に示すように、上記案内ユニット20が有する同じ案内レール2によって軸方向にスライド移動可能に支持している。
以下、上述の各駆動ユニット10A〜10Cによる多段構造について説明する。なお、図3(a)〜(e)に示す5つの図は、図1でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図である。
【0019】
図3に示すように、この多段構造のアクチュエータ1は、第二駆動ユニット10Bを、第一駆動ユニット10Aに対してナット5のオフセット量F分だけずらして配置し、さらに、第三駆動ユニット10Cを、第二駆動ユニット10Bに対してナット5のオフセット量F分だけ、上下方向(図2(a)での左右方向)にずらして配置しており、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部44を軸方向に沿って設けている。
【0020】
詳しくは、ナット5,5相互は、図2(a)に示すように、オフセット量Fを有して配置されている。このオフセット量Fは、各ねじ軸4の軸方向において、歯車機構19や支持軸受18などの構造物と二つのボールねじ11A,11B相互のねじ軸4,4とが干渉しない位置になるように定められている。さらに、各ユニットハウジング9には、貫通穴22と、切り欠き部24とがねじ軸4の軸方向に沿って設けてある。これら貫通穴22および切り欠き部24は、上記オフセット量Fと同じ間隔を隔てて設けられており、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるように対向する位置に形成されている。
【0021】
そして、図1において、第一駆動ユニット10Aのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−1B)は、その一端(同図右端部)が固定腕7を介してベースBに、回転が拘束された状態で固定されている。この第一駆動ユニット10Aは、そのユニットハウジング9が、図3(e)に示すように、上記案内ユニット20上の案内部材3でスライド移動可能に支持されているので、これにより、ボールねじ11Bのナット5の回転に伴い案内レール2上をスライド移動するようになっている。
【0022】
さらに、第一駆動ユニット10Aのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−1A)は、その一端(図1左端部)が、第二駆動ユニット10Bのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−2A)の一端(図1右端部)と連結部材25によって一体に連結されている。また、第一駆動ユニット10Aと第二駆動ユニット10Bとの間には、図3(d)に示すように、ねじ軸4との干渉がないように形成された略L字状の連結腕6が設けられている。この連結腕6はその基端部が案内レール2上の案内部材3に取り付けられ、案内レール2上をスライド移動するようになっている。そして、この連結腕6の先端部が上記連結部材25に連結されており、回転が拘束された状態のねじ軸4,4(BS−1A、BS−2A)と一体となって移動可能になっている。なお、第二駆動ユニット10Bは、図3(c)に示すように、オフセット量Fに合わせた高さとなるような支持部材26を介して案内レール2上の案内部材3に取り付けられている。
【0023】
また、同様にして、第二駆動ユニット10Bのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−2B)は、その一端(図1左端部)が、第三駆動ユニット10Cのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−3B)の一端(図1右端部)と連結部材25によって一体に連結されている。そして、図3(b)に示すように、第二駆動ユニット10Bと第三駆動ユニット10Cとの間にも、上記同様に、ねじ軸4との干渉がないように形成されたクランク状の連結腕6が、案内ユニット20上の案内部材3でスライド移動可能に設けられており、この連結腕6の先端部が、当該連結部材25に連結されており、回転が拘束された状態のねじ軸4,4(BS−2B、BS−3B)と一体となって案内レール2上をスライド移動可能になっている。なお、第三駆動ユニット10Cは、図3(a)に示すように、オフセット量F二つ分の高さとなるような支持部材26を介して案内レール2上の案内部材3に取り付けられている。
【0024】
また、第三駆動ユニット10Cのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−3A)は、その一端(図1左端部)が被駆動体連結腕12の先端に,回転が拘束された状態で連結され、この被駆動体連結腕12の基端部が、図1上側の案内レール2上の案内部材3に取り付けられ、これにより、被駆動体連結腕12と一体に案内レール2上をスライド移動するようになっている。
【0025】
そして、この多段構造のアクチュエータ1は、上記被駆動体連結腕12(ないしこれが取付く案内部材3)を目的の被駆動体Aに連結することで、ベースBと被駆動体Aの相対運動を行うことが可能となる。なお、被駆動体Aが複数存在する場合には各駆動ユニット10A〜10Cや各連結腕6と被駆動体Aとを連結し、各駆動ユニット10A〜10Cを独立で制御することで、複数の被駆動体Aを独立して位置決めする構成としてもよい。
【0026】
次に、上記第一実施形態の動作、および作用・効果について説明する。
図4は各駆動ユニット10A〜10C間の距離が詰まった状態の図である。
この第一実施形態の多段構造のアクチュエータ1によれば、上記構成を有することにより、1つのサーボモータ8で歯車機構19を介して2つのナット5,5を回転駆動し、拘束されているねじ溝4,4のねじれ方向が同じボールねじの場合にはナット5,5が互いに逆方向回転、ねじれ方向が逆のボールねじの場合にはナット5,5が同方向に回転することによってねじ軸4,4上を互いに相対移動するように各駆動ユニットを多段構造の形成としたので、ロングストロークの位置決めをすることができる。
【0027】
また、この多段構造のアクチュエータ1によれば、案内部材3は、転動体を介して案内レール2に跨設され、案内レール2と案内部材3は予圧を持って隙間なく保持されているので、各駆動ユニット10A〜10Cの振動を抑え、静音化を図ることができる。また、予圧を付与することで、各駆動ユニット10A〜10Cの軸直角方向の剛性が上がるので、隣り合うナットからモーメント力が発生した場合においても軸方向に換算した際の位置決め精度を向上させることができる。
【0028】
例えば、上記特許文献2に記載の技術では、案内構造は隙間をもった滑り案内であるため、ナットの回転に伴う振動等を軸と直角の方向に拘束する上で不十分である。そのため、同文献記載の技術においては、送りねじあるいはボールねじを高速で回転した場合には、ユニット全体が振動し、騒音が問題となってしまうという問題がある。これに対し、本実施形態の構成であれば、このような振動および騒音の問題も解決することができる。
【0029】
また、この多段構造のアクチュエータ1によれば、ナット回転駆動なので、長尺のねじ軸を回転するのに比べて低イナーシャになる。したがって、加減速時のエネルギーロスを抑えることができ、経済的な運転が可能となる。そして、各駆動ユニット10A〜10Cを同じ案内レール2上に複数配置し、相互のねじ軸4,4をその回転を拘束して連結することで、イナーシャを比較的に小さくしつつもロングストロークの位置決めを可能にしている。
【0030】
特に、この多段構造のアクチュエータ1によれば、図3に示すように、第二駆動ユニット10Bは、第一駆動ユニット10Aに対してナット5のオフセット量F分だけ、さらに、第三駆動ユニット10Cは、第二駆動ユニット10Bに対してナット5のオフセット量F分だけ、上下方向(図2(a)での左右方向)にずらして配置しており、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部44を軸方向に沿って設けたので、多段構造のアクチュエータ1の伸縮時に、各駆動ユニット10A〜10Cのボールねじ11A,11Bのねじ軸4と他の駆動ユニットとの干渉が防止される。そのため、図4にも示すように、駆動ユニット同士のねじ軸4をオーバーラップして配置することができる。したがって、この多段構造のアクチュエータ1によれば、各駆動ユニット10A〜10Cに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができる。
【0031】
つまり、図4(a)は、第一駆動ユニット10Aの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第二駆動ユニット10B及び第三駆動ユニット10Cに干渉する位置まで張り出すことができる。また同様に、図4(b)は、第二駆動ユニット10Bの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第三駆動ユニット10Cに、また、ボールねじ11Aのねじ軸4は、第一駆動ユニット10Aにそれぞれ干渉する位置まで張り出すことができる。さらに同様に、図4(c)は、第三駆動ユニット10Cの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第一駆動ユニット10A及び第二駆動ユニット10Bに干渉する位置まで張り出すことができる。
【0032】
このように、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部24がねじ軸4の軸方向に沿って設けてあるので、この干渉する位置までの張り出しが問題になることはなく、各駆動ユニット10A〜10C間の距離を図4(a)〜(c)に示す位置まで問題なく詰めることができる。なおまた、連結腕6についても、図3(b)および(d)に示すように、ねじ軸4との干渉がないように、略L字状やクランク状にそれぞれ形成しているので、連結腕6の下部および上部等でのねじ軸4との干渉が防止されている。したがって、この多段構造のアクチュエータ1によれば、各駆動ユニット10A〜10Cに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができるのである。
【0033】
次に、第二実施形態について説明する。
本発明の第二実施形態は、上述の第一実施形態と同じ駆動ユニット10A〜10Cを、図5のように駆動ユニット10A〜10Cを交互に反転して配置している点が第一実施形態とは異なっている。つまり、この第二実施形態は、奇数番目の駆動ユニット同士(この例では1つである)、偶数番目の駆動ユニット同士は同じ向きを向いている。さらに、この第二実施形態では、ねじ軸4,4同士の連結において、連結腕6によって連結するねじ軸4,4を同軸上に配置している(図6(b)、(d)参照)。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0034】
このような構成であれば、各ボールねじは、被駆動体Aを搬送する際の軸力を受けるものの、隣り合う駆動ユニットのねじ軸4,4を同軸上に配置することで連結腕6の連結部(連結部材25)においてモーメントが発生することがない。
なお、図5では同じ形状の駆動ユニット10A〜10Cを用い、奇数番目の駆動ユニット10Bを反転して使用した例を示したが、奇数番目用の駆動ユニットと偶数番目用の駆動ユニットでオフセット量Fを逆方向にした駆動ユニットを用意し、サーボモータ8の向きを揃えて構成してもよい。
【0035】
次に、第三実施形態について説明する。
本発明の第三実施形態は、上述の第一実施形態と同じ2つの駆動ユニット10A、10Bを用いており、図7および8に示すように、駆動ユニット10A〜10Bを、ナット5,5の配置と貫通穴22の配置位置が同じ高さで同軸になるように向かい合わせて配置している点が第一実施形態とは異なっている。
【0036】
図9は、第三実施形態での駆動ユニット10A、10B同士が近づいたときの図である。
同図(a)は、第一駆動ユニット10Aの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4(BS−1B)は、第二駆動ユニット10Bに干渉する位置まで張り出している。また同様に、同図(b)は、第二駆動ユニット10Bの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Aのねじ軸4(BS−2A)は、第一駆動ユニット10Aにそれぞれ干渉する位置まで張り出している。
【0037】
しかし、図2(a)を参照して説明したように、各駆動ユニット10A、10Bには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部24がねじ軸4の軸方向に沿って設けてあり、本実施形態においては、ナット5,5の配置と貫通穴22の配置位置が同じ高さで同軸に向かい合わせになっているので、駆動ユニット10A、10B同士を向かい合わせたときに、図8に示すように、互いのねじ軸4,4が相互の貫通穴22を通るから、駆動ユニット10A〜10B同士の干渉を避けることができる。
【0038】
なお、本発明に係る多段構造のアクチュエータは、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、ボールねじ11A,11Bのナット5,5相互にオフセット量Fを与えた例で説明したが、これに限らず、第一実施形態に示す構成において用いる場合にはこのオフセット量Fはなくてもよい。つまり、図10に示す変形例のように、サーボモータ8、ボールねじ11A,11Bのナット5,5の軸心CLを一線上に配置してもよい。ただし、駆動ユニット間のねじ軸の干渉問題は上述同様に発生するから、駆動ユニット間のオフセット量Fと同じ間隔で各駆動ユニットに干渉問題を回避するための貫通穴や切欠きを設ける(同図は切り欠き24を設けた例である)。
【0039】
また、上記実施形態の変形例としては、例えば図11および図12に示すように、駆動ユニットの装着姿勢を90°回転させて配置してもよい。なお、図11および図12に示す例は第二実施形態において駆動ユニットを90°回転させた例である。
つまり、図12に示すように、この変形例では、支持部材26および連結腕6を、ベースB上に並列配置された二本の案内レール2上の相互の案内部材3を繋ぐように設けている。そして、その支持部材26上に装着姿勢を90°回転(サーボモータ8の側をベースB側)させた駆動ユニット10A〜10Cを載置固定しており、また、連結腕6に連結部材25を繋いでいる。このような構成であっても、上記第一ないし第二実施形態同様の作用および効果を奏する。
【0040】
また、上記各実施形態では、貫通穴22および切り欠き部24は、特に穴の径について言及しなかったが、ねじ軸4と干渉しないように形成される点に加え、さらに、貫通穴22および切り欠き部24とねじ軸4との隙間を、例えば僅かな隙間を隔てて摺動するように調整してねじ軸4の振動を抑える構成としてもよい。また、摺動をより円滑にするために、ブッシュを介してねじ軸4が挿通されるようにしてもよい。
【0041】
また、上記各実施形態では、2つ、または3つの駆動ユニットを用いて多段構造を構成した例で説明したが、これに限らず、駆動ユニットをさらに追加して多段構造(例えば4段以上)にしてもよい。
なおまた、長尺のボールねじをねじ軸回転駆動かつ高速回転で用いる場合には、危険速度が問題となる場合があるが、本発明に係る多段構造のアクチュエータは、ナット回転駆動なので、危険速度が問題となる場合には、例えば特許3438286号公報にあるような制振ダンパを採用することで危険速度の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態の平面図である。
【図2】図1の駆動ユニットを説明する図であり、同図(a)は図1でのA矢視図、また同図(b)は(a)のU−U断面図である。
【図3】図1でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図4】各駆動ユニット間の距離が詰まった状態の図である。
【図5】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第二実施形態の平面図である。
【図6】図5でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図7】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第三実施形態の平面図である。
【図8】図7でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図9】各駆動ユニット同士が近づいたときの図である。
【図10】本発明に係る多段構造のアクチュエータに用いられる駆動ユニットの変形例を説明する図であり、同図は、第一実施形態の図2に対応する図を示している。
【図11】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第二実施形態の変形例の平面図である。
【図12】図11でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【符号の説明】
【0043】
1 多段構造のアクチュエータ
2 案内レール
3 案内部材
4 ねじ軸
5 ナット
6 連結腕
7 固定腕
8 サーボモータ(モータ)
9 ユニットハウジング
10A,10B,10C 駆動ユニット
11A,11B ボールねじ
12 被駆動体連結腕
18 支持軸受
19 歯車機構
20 案内ユニット
22 貫通穴
24 切り欠き部
25 連結部材
26 支持部材
A 被駆動体
B ベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロングストロークの位置決めに好適な多段構造のアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロングストロークの位置決めを目的としたアクチュエータとしては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。同文献に記載の技術は、上下方向に大きなストロークが必要な場合に好適な技術であって、上下に配設された2軸のボールねじのねじ軸をサーボモータで回転させ、ナット移動によって駆動する駆動ユニットを備えており、これを上下方向のスライド機構毎に別個の案内ユニットを用いた2段の多段構造とすることで被駆動体に対しロングストロークを得ている。
【特許文献1】特開2006−102886号公報(図1)
【特許文献2】特開2007−218285号公報(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、上下移動の用途に使用する場合には問題ないものの、水平移動の用途に使用する場合には、スライド機構が片持ちになってしまう。そのため、ロングストロークになるほど重力の影響によって案内ユニットに対応する案内部材に過大なモーメント荷重がかかる。また、これが更に多段構造(例えば3段構造)となった場合には、水平方向で自重を支えることが困難なので、駆動ユニットを支えるために別途に長尺の案内ユニットが必要となる。さらに、ねじ軸回転、ナット移動によって駆動しているので、加減速時にはボールねじのイナーシャ分の回転エネルギーを消費していまい、特にロングストロークを位置決めする場合にはねじ軸が長くなり、その分イナーシャも大きくなるためエネルギーロスが大きくなる。
【0004】
これに対し、例えば特許文献2に記載の技術では、ナット回転によって2軸の送りねじを1つのモータで駆動する駆動ユニットを有しており、送りねじをボールねじに置き換えれば軸方向に精密な位置決めが可能となる。しかし、特許文献2に記載の技術は、複数の駆動ユニットを用いて多段構造とするものではなく、また、駆動ユニット同士の送りねじをオーバーラップ(搬送方向で重なる状態)して配置する技術を提供するものでもない。そのため、駆動ユニットの長さ以上に長い送りねじを用いたロングストロークの位置決めをすることができない。したがって、多段構造のアクチュエータを構成する上で未だ解決すべき課題が残されている。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ロングストロークの位置決めをする場合においても、イナーシャを比較的に小さくし得る多段構造のアクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の駆動ユニットと、該複数の駆動ユニットを案内する案内ユニットとを備える多段構造のアクチュエータであって、前記案内ユニットは、各駆動ユニットに付設されてこれと一体に移動する案内部材と、該案内部材をスライド移動可能に支持する案内レールとを有し、前記各駆動ユニットは、同じ案内レール上に配置されるとともに、一つのモータと、該一つのモータによって同時に駆動される二つのボールねじとを有し、各駆動ユニットの二つのボールねじは、前記一つのモータによって歯車機構を介してナット回転で駆動されるように構成されており、さらに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が連結されるとともに、ねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体を搬送するようになっていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る多段構造のアクチュエータによれば、各駆動ユニットがナット回転駆動なので、長尺のねじ軸を回転する構成に比べて低イナーシャとすることができる。そのため、加減速時のエネルギーロスを抑えることができ、経済的な運転が可能となる。そして、この駆動ユニットを同じ案内レール上に複数配置し、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互を連結しているので、多段構造のアクチュエータ全体としてもイナーシャを比較的に小さくしつつロングストロークの位置決めが可能である。
【0008】
なお、本発明に係る多段構造のアクチュエータの各駆動ユニットにおいて、1つのモータで歯車機構を介して2つのナットを駆動する構成としては、例えば、ねじれ方向が同じボールねじの場合には、ナットを互いに逆方向に回転させ、また、ねじれ方向が逆のボールねじの場合には、ナットを同方向に回転させることによってねじ軸を互いに相対移動させることができる。また、案内ユニットとしては、案内部材が、ボールあるいはローラ等の転動体を介して案内レールに跨設されており、案内レールと案内部材とが予圧を持って隙間なく保持されていれば、駆動ユニットを円滑にスライド移動させるとともにその振動を抑える上で好適である。
【0009】
ここで、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、例えば、前記複数の駆動ユニットが、いずれも同一の構成であれば、多段構造のアクチュエータを構成する上でより経済的である。
また、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、例えば、前記各駆動ユニットは、他の駆動ユニットのねじ軸との干渉を避けるための貫通穴または切り欠き部を有することは好ましい。このような構成であれば、相手側の駆動ユニットに、干渉を避けるための貫通穴、あるいは切欠き穴を設けてあるので、多段構造のアクチュエータの伸縮時に、各駆動ユニットのボールねじのねじ軸と他の駆動ユニットとの干渉が防止される。そのため、駆動ユニット同士のねじ軸をオーバーラップして配置することができる。したがって、各駆動ユニットに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができる。
【0010】
また、本発明に係る多段構造のアクチュエータにおいて、前記複数の駆動ユニットは、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が同軸に連結されていることは好ましい。このような構成であれば、ボールねじは被駆動体を搬送する際の軸力を受けるものの、隣り合うねじ軸を同軸上に配置することでモーメントが発生することがない。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明に係る多段構造のアクチュエータによれば、ロングストロークの位置決めをする場合においても、イナーシャを比較的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る多段構造のアクチュエータの実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、以下の第一および第二実施形態は、3つの駆動ユニットを用いて多段構造を構成した例である。
まず、本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態について、図1ないし図2を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図1は本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態の平面図である。また、図2は、図1の駆動ユニットを説明する図であり、同図(a)は図1でのA矢視図、また同図(b)は(a)のU−U断面図である。
【0013】
図1に示すように、この多段構造のアクチュエータ1は、複数の駆動ユニット10A,10B,10Cと、その複数の駆動ユニット10A〜10Cをそれぞれ案内する案内ユニット20とを備えて構成されている。複数の駆動ユニット10A〜10Cは、いずれも同じ構成を有している。なお、本明細書では、同図での右側のユニットから順に、第一駆動ユニット10A、第二駆動ユニット10B、第三駆動ユニット10Cと呼ぶ。
【0014】
図2に示すように、各駆動ユニット10A〜10Cは、一つのサーボモータ8と、そのサーボモータ8によって同時に駆動される二つのボールねじ11A,11Bとを有する。各ボールねじ11A,11Bは、ねじ軸4と、これに多数のボール(不図示)を介して外嵌するナット5とを有している。そして、二つのボールねじ11A,11B相互のナット5,5は、サーボモータ8が駆動されると歯車機構19を介して同時に回転するように構成されている。
【0015】
より詳しくは、図2に示すように、各駆動ユニット10A〜10Cは、ユニットハウジング9を備えている。このユニットハウジング9にはサーボモータ8が付設されており、また、ユニットハウジング9内には、歯車機構19および支持軸受18が設けられている。そして、二つのボールねじ11A,11Bのうち、同図下側のボールねじ11Bは、そのナット5が、このユニットハウジング9内の歯車機構19を介してサーボモータ8の出力軸8aに連結されている。そして、各ナット5,5は、ユニットハウジング9の高さ方向に上下して並列に配置され、支持軸受18によって回転自在に且つ径方向および軸方向の移動を拘束して支持されている。
【0016】
本実施形態では、上記二つのボールねじ11A,11Bのねじ溝のねじれ方向はいずれも同じ(例えばいずれも右ねじ)であり、サーボモータ8によってボールねじ11Bのナット5が回転駆動されると、これに歯車機構19を介して接続された他方のボールねじ11Aのナット5も同時に逆方向に回転駆動され、これにより、二つのボールねじ11A,11B相互のナット5,5は、互いに逆方向に回転し、互いのねじ軸4,4が逆方向に相対移動するようになっている。なお、二つのボールねじ11A,11Bのねじ溝4,4のねじれ方向が逆の場合には、相互のナット5,5間に、もう1つあるいは奇数個の中間歯車を有する歯車機構19を介してナット5,5相互を連結してもよい。なおまた、本実施形態では、サーボモータ8の出力軸8aに歯車を直接取り付けた例で説明しているが、歯車の回転軸を軸受にて支持し、カップリング等を介してモータと連結してもよい。
【0017】
一方、案内ユニット20は、各駆動ユニット10A〜10Cに付設されて各駆動ユニット10A〜10Cと一体に移動する複数(各駆動ユニット毎に2つ)の案内部材3と、これら複数の案内部材3を軸方向にスライド移動可能に支持するようにベースB上に並列配置された二本の案内レール2とを有して構成されている。
各案内部材3は、転動体としてボールないしローラを内部に備えており、その転動体を介して案内レール2に跨設されている。また、案内レール2と各案内部材3とは予圧を持って隙間なく保持されており、これにより、各駆動ユニット10A〜10Cの振動を抑えることができ、静音化を図っている。また、案内ユニット20に予圧を付与することで、各駆動ユニット10A〜10Cの軸直角方向の剛性が上がるので、隣り合うナットからモーメント力が発生した場合においても軸方向に換算した際の位置決め精度を向上させている。
【0018】
そして、この多段構造のアクチュエータ1は、上述した各駆動ユニット10A〜10Cを、図1に示すように、上記案内ユニット20が有する同じ案内レール2によって軸方向にスライド移動可能に支持している。
以下、上述の各駆動ユニット10A〜10Cによる多段構造について説明する。なお、図3(a)〜(e)に示す5つの図は、図1でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図である。
【0019】
図3に示すように、この多段構造のアクチュエータ1は、第二駆動ユニット10Bを、第一駆動ユニット10Aに対してナット5のオフセット量F分だけずらして配置し、さらに、第三駆動ユニット10Cを、第二駆動ユニット10Bに対してナット5のオフセット量F分だけ、上下方向(図2(a)での左右方向)にずらして配置しており、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部44を軸方向に沿って設けている。
【0020】
詳しくは、ナット5,5相互は、図2(a)に示すように、オフセット量Fを有して配置されている。このオフセット量Fは、各ねじ軸4の軸方向において、歯車機構19や支持軸受18などの構造物と二つのボールねじ11A,11B相互のねじ軸4,4とが干渉しない位置になるように定められている。さらに、各ユニットハウジング9には、貫通穴22と、切り欠き部24とがねじ軸4の軸方向に沿って設けてある。これら貫通穴22および切り欠き部24は、上記オフセット量Fと同じ間隔を隔てて設けられており、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるように対向する位置に形成されている。
【0021】
そして、図1において、第一駆動ユニット10Aのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−1B)は、その一端(同図右端部)が固定腕7を介してベースBに、回転が拘束された状態で固定されている。この第一駆動ユニット10Aは、そのユニットハウジング9が、図3(e)に示すように、上記案内ユニット20上の案内部材3でスライド移動可能に支持されているので、これにより、ボールねじ11Bのナット5の回転に伴い案内レール2上をスライド移動するようになっている。
【0022】
さらに、第一駆動ユニット10Aのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−1A)は、その一端(図1左端部)が、第二駆動ユニット10Bのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−2A)の一端(図1右端部)と連結部材25によって一体に連結されている。また、第一駆動ユニット10Aと第二駆動ユニット10Bとの間には、図3(d)に示すように、ねじ軸4との干渉がないように形成された略L字状の連結腕6が設けられている。この連結腕6はその基端部が案内レール2上の案内部材3に取り付けられ、案内レール2上をスライド移動するようになっている。そして、この連結腕6の先端部が上記連結部材25に連結されており、回転が拘束された状態のねじ軸4,4(BS−1A、BS−2A)と一体となって移動可能になっている。なお、第二駆動ユニット10Bは、図3(c)に示すように、オフセット量Fに合わせた高さとなるような支持部材26を介して案内レール2上の案内部材3に取り付けられている。
【0023】
また、同様にして、第二駆動ユニット10Bのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−2B)は、その一端(図1左端部)が、第三駆動ユニット10Cのボールねじ11Bのねじ軸4(BS−3B)の一端(図1右端部)と連結部材25によって一体に連結されている。そして、図3(b)に示すように、第二駆動ユニット10Bと第三駆動ユニット10Cとの間にも、上記同様に、ねじ軸4との干渉がないように形成されたクランク状の連結腕6が、案内ユニット20上の案内部材3でスライド移動可能に設けられており、この連結腕6の先端部が、当該連結部材25に連結されており、回転が拘束された状態のねじ軸4,4(BS−2B、BS−3B)と一体となって案内レール2上をスライド移動可能になっている。なお、第三駆動ユニット10Cは、図3(a)に示すように、オフセット量F二つ分の高さとなるような支持部材26を介して案内レール2上の案内部材3に取り付けられている。
【0024】
また、第三駆動ユニット10Cのボールねじ11Aのねじ軸4(BS−3A)は、その一端(図1左端部)が被駆動体連結腕12の先端に,回転が拘束された状態で連結され、この被駆動体連結腕12の基端部が、図1上側の案内レール2上の案内部材3に取り付けられ、これにより、被駆動体連結腕12と一体に案内レール2上をスライド移動するようになっている。
【0025】
そして、この多段構造のアクチュエータ1は、上記被駆動体連結腕12(ないしこれが取付く案内部材3)を目的の被駆動体Aに連結することで、ベースBと被駆動体Aの相対運動を行うことが可能となる。なお、被駆動体Aが複数存在する場合には各駆動ユニット10A〜10Cや各連結腕6と被駆動体Aとを連結し、各駆動ユニット10A〜10Cを独立で制御することで、複数の被駆動体Aを独立して位置決めする構成としてもよい。
【0026】
次に、上記第一実施形態の動作、および作用・効果について説明する。
図4は各駆動ユニット10A〜10C間の距離が詰まった状態の図である。
この第一実施形態の多段構造のアクチュエータ1によれば、上記構成を有することにより、1つのサーボモータ8で歯車機構19を介して2つのナット5,5を回転駆動し、拘束されているねじ溝4,4のねじれ方向が同じボールねじの場合にはナット5,5が互いに逆方向回転、ねじれ方向が逆のボールねじの場合にはナット5,5が同方向に回転することによってねじ軸4,4上を互いに相対移動するように各駆動ユニットを多段構造の形成としたので、ロングストロークの位置決めをすることができる。
【0027】
また、この多段構造のアクチュエータ1によれば、案内部材3は、転動体を介して案内レール2に跨設され、案内レール2と案内部材3は予圧を持って隙間なく保持されているので、各駆動ユニット10A〜10Cの振動を抑え、静音化を図ることができる。また、予圧を付与することで、各駆動ユニット10A〜10Cの軸直角方向の剛性が上がるので、隣り合うナットからモーメント力が発生した場合においても軸方向に換算した際の位置決め精度を向上させることができる。
【0028】
例えば、上記特許文献2に記載の技術では、案内構造は隙間をもった滑り案内であるため、ナットの回転に伴う振動等を軸と直角の方向に拘束する上で不十分である。そのため、同文献記載の技術においては、送りねじあるいはボールねじを高速で回転した場合には、ユニット全体が振動し、騒音が問題となってしまうという問題がある。これに対し、本実施形態の構成であれば、このような振動および騒音の問題も解決することができる。
【0029】
また、この多段構造のアクチュエータ1によれば、ナット回転駆動なので、長尺のねじ軸を回転するのに比べて低イナーシャになる。したがって、加減速時のエネルギーロスを抑えることができ、経済的な運転が可能となる。そして、各駆動ユニット10A〜10Cを同じ案内レール2上に複数配置し、相互のねじ軸4,4をその回転を拘束して連結することで、イナーシャを比較的に小さくしつつもロングストロークの位置決めを可能にしている。
【0030】
特に、この多段構造のアクチュエータ1によれば、図3に示すように、第二駆動ユニット10Bは、第一駆動ユニット10Aに対してナット5のオフセット量F分だけ、さらに、第三駆動ユニット10Cは、第二駆動ユニット10Bに対してナット5のオフセット量F分だけ、上下方向(図2(a)での左右方向)にずらして配置しており、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部44を軸方向に沿って設けたので、多段構造のアクチュエータ1の伸縮時に、各駆動ユニット10A〜10Cのボールねじ11A,11Bのねじ軸4と他の駆動ユニットとの干渉が防止される。そのため、図4にも示すように、駆動ユニット同士のねじ軸4をオーバーラップして配置することができる。したがって、この多段構造のアクチュエータ1によれば、各駆動ユニット10A〜10Cに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができる。
【0031】
つまり、図4(a)は、第一駆動ユニット10Aの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第二駆動ユニット10B及び第三駆動ユニット10Cに干渉する位置まで張り出すことができる。また同様に、図4(b)は、第二駆動ユニット10Bの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第三駆動ユニット10Cに、また、ボールねじ11Aのねじ軸4は、第一駆動ユニット10Aにそれぞれ干渉する位置まで張り出すことができる。さらに同様に、図4(c)は、第三駆動ユニット10Cの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4は、第一駆動ユニット10A及び第二駆動ユニット10Bに干渉する位置まで張り出すことができる。
【0032】
このように、各駆動ユニット10A〜10Cには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部24がねじ軸4の軸方向に沿って設けてあるので、この干渉する位置までの張り出しが問題になることはなく、各駆動ユニット10A〜10C間の距離を図4(a)〜(c)に示す位置まで問題なく詰めることができる。なおまた、連結腕6についても、図3(b)および(d)に示すように、ねじ軸4との干渉がないように、略L字状やクランク状にそれぞれ形成しているので、連結腕6の下部および上部等でのねじ軸4との干渉が防止されている。したがって、この多段構造のアクチュエータ1によれば、各駆動ユニット10A〜10Cに長いボールねじを採用できるので、1つの駆動ユニットあたりのストロークを一層大きく設定することができるのである。
【0033】
次に、第二実施形態について説明する。
本発明の第二実施形態は、上述の第一実施形態と同じ駆動ユニット10A〜10Cを、図5のように駆動ユニット10A〜10Cを交互に反転して配置している点が第一実施形態とは異なっている。つまり、この第二実施形態は、奇数番目の駆動ユニット同士(この例では1つである)、偶数番目の駆動ユニット同士は同じ向きを向いている。さらに、この第二実施形態では、ねじ軸4,4同士の連結において、連結腕6によって連結するねじ軸4,4を同軸上に配置している(図6(b)、(d)参照)。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0034】
このような構成であれば、各ボールねじは、被駆動体Aを搬送する際の軸力を受けるものの、隣り合う駆動ユニットのねじ軸4,4を同軸上に配置することで連結腕6の連結部(連結部材25)においてモーメントが発生することがない。
なお、図5では同じ形状の駆動ユニット10A〜10Cを用い、奇数番目の駆動ユニット10Bを反転して使用した例を示したが、奇数番目用の駆動ユニットと偶数番目用の駆動ユニットでオフセット量Fを逆方向にした駆動ユニットを用意し、サーボモータ8の向きを揃えて構成してもよい。
【0035】
次に、第三実施形態について説明する。
本発明の第三実施形態は、上述の第一実施形態と同じ2つの駆動ユニット10A、10Bを用いており、図7および8に示すように、駆動ユニット10A〜10Bを、ナット5,5の配置と貫通穴22の配置位置が同じ高さで同軸になるように向かい合わせて配置している点が第一実施形態とは異なっている。
【0036】
図9は、第三実施形態での駆動ユニット10A、10B同士が近づいたときの図である。
同図(a)は、第一駆動ユニット10Aの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Bのねじ軸4(BS−1B)は、第二駆動ユニット10Bに干渉する位置まで張り出している。また同様に、同図(b)は、第二駆動ユニット10Bの二つのボールねじ11A,11Bのねじ軸4,4に着目した図であるが、ボールねじ11Aのねじ軸4(BS−2A)は、第一駆動ユニット10Aにそれぞれ干渉する位置まで張り出している。
【0037】
しかし、図2(a)を参照して説明したように、各駆動ユニット10A、10Bには、他の駆動ユニットのねじ軸4との干渉を避けるための貫通穴22および切り欠き部24がねじ軸4の軸方向に沿って設けてあり、本実施形態においては、ナット5,5の配置と貫通穴22の配置位置が同じ高さで同軸に向かい合わせになっているので、駆動ユニット10A、10B同士を向かい合わせたときに、図8に示すように、互いのねじ軸4,4が相互の貫通穴22を通るから、駆動ユニット10A〜10B同士の干渉を避けることができる。
【0038】
なお、本発明に係る多段構造のアクチュエータは、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、ボールねじ11A,11Bのナット5,5相互にオフセット量Fを与えた例で説明したが、これに限らず、第一実施形態に示す構成において用いる場合にはこのオフセット量Fはなくてもよい。つまり、図10に示す変形例のように、サーボモータ8、ボールねじ11A,11Bのナット5,5の軸心CLを一線上に配置してもよい。ただし、駆動ユニット間のねじ軸の干渉問題は上述同様に発生するから、駆動ユニット間のオフセット量Fと同じ間隔で各駆動ユニットに干渉問題を回避するための貫通穴や切欠きを設ける(同図は切り欠き24を設けた例である)。
【0039】
また、上記実施形態の変形例としては、例えば図11および図12に示すように、駆動ユニットの装着姿勢を90°回転させて配置してもよい。なお、図11および図12に示す例は第二実施形態において駆動ユニットを90°回転させた例である。
つまり、図12に示すように、この変形例では、支持部材26および連結腕6を、ベースB上に並列配置された二本の案内レール2上の相互の案内部材3を繋ぐように設けている。そして、その支持部材26上に装着姿勢を90°回転(サーボモータ8の側をベースB側)させた駆動ユニット10A〜10Cを載置固定しており、また、連結腕6に連結部材25を繋いでいる。このような構成であっても、上記第一ないし第二実施形態同様の作用および効果を奏する。
【0040】
また、上記各実施形態では、貫通穴22および切り欠き部24は、特に穴の径について言及しなかったが、ねじ軸4と干渉しないように形成される点に加え、さらに、貫通穴22および切り欠き部24とねじ軸4との隙間を、例えば僅かな隙間を隔てて摺動するように調整してねじ軸4の振動を抑える構成としてもよい。また、摺動をより円滑にするために、ブッシュを介してねじ軸4が挿通されるようにしてもよい。
【0041】
また、上記各実施形態では、2つ、または3つの駆動ユニットを用いて多段構造を構成した例で説明したが、これに限らず、駆動ユニットをさらに追加して多段構造(例えば4段以上)にしてもよい。
なおまた、長尺のボールねじをねじ軸回転駆動かつ高速回転で用いる場合には、危険速度が問題となる場合があるが、本発明に係る多段構造のアクチュエータは、ナット回転駆動なので、危険速度が問題となる場合には、例えば特許3438286号公報にあるような制振ダンパを採用することで危険速度の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第一実施形態の平面図である。
【図2】図1の駆動ユニットを説明する図であり、同図(a)は図1でのA矢視図、また同図(b)は(a)のU−U断面図である。
【図3】図1でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図4】各駆動ユニット間の距離が詰まった状態の図である。
【図5】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第二実施形態の平面図である。
【図6】図5でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図7】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第三実施形態の平面図である。
【図8】図7でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【図9】各駆動ユニット同士が近づいたときの図である。
【図10】本発明に係る多段構造のアクチュエータに用いられる駆動ユニットの変形例を説明する図であり、同図は、第一実施形態の図2に対応する図を示している。
【図11】本発明に係る多段構造のアクチュエータの第二実施形態の変形例の平面図である。
【図12】図11でのV−VからZ−Z断面をそれぞれ示す図(a)〜(e)である。
【符号の説明】
【0043】
1 多段構造のアクチュエータ
2 案内レール
3 案内部材
4 ねじ軸
5 ナット
6 連結腕
7 固定腕
8 サーボモータ(モータ)
9 ユニットハウジング
10A,10B,10C 駆動ユニット
11A,11B ボールねじ
12 被駆動体連結腕
18 支持軸受
19 歯車機構
20 案内ユニット
22 貫通穴
24 切り欠き部
25 連結部材
26 支持部材
A 被駆動体
B ベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動ユニットと、該複数の駆動ユニットを案内する案内ユニットとを備える多段構造のアクチュエータであって、
前記案内ユニットは、各駆動ユニットに付設されてこれと一体に移動する案内部材と、該案内部材をスライド移動可能に支持する案内レールとを有し、
前記各駆動ユニットは、同じ案内レール上に配置されるとともに、一つのモータと、該一つのモータによって同時に駆動される二つのボールねじとを有し、
各駆動ユニットの二つのボールねじは、前記一つのモータによって歯車機構を介してナット回転で駆動されるように構成されており、さらに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が連結されるとともに、ねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体を搬送するようになっていることを特徴とする多段構造のアクチュエータ。
【請求項2】
前記複数の駆動ユニットは、いずれも同一の構成であることを特徴とする請求項1に記載の多段構造のアクチュエータ。
【請求項3】
前記各駆動ユニットは、他の駆動ユニットのねじ軸との干渉を避けるための貫通穴または切り欠き部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の多段構造のアクチュエータ。
【請求項4】
前記複数の駆動ユニットは、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が同軸に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多段構造のアクチュエータ。
【請求項1】
複数の駆動ユニットと、該複数の駆動ユニットを案内する案内ユニットとを備える多段構造のアクチュエータであって、
前記案内ユニットは、各駆動ユニットに付設されてこれと一体に移動する案内部材と、該案内部材をスライド移動可能に支持する案内レールとを有し、
前記各駆動ユニットは、同じ案内レール上に配置されるとともに、一つのモータと、該一つのモータによって同時に駆動される二つのボールねじとを有し、
各駆動ユニットの二つのボールねじは、前記一つのモータによって歯車機構を介してナット回転で駆動されるように構成されており、さらに、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が連結されるとともに、ねじ軸の回転が拘束されることによって被駆動体を搬送するようになっていることを特徴とする多段構造のアクチュエータ。
【請求項2】
前記複数の駆動ユニットは、いずれも同一の構成であることを特徴とする請求項1に記載の多段構造のアクチュエータ。
【請求項3】
前記各駆動ユニットは、他の駆動ユニットのねじ軸との干渉を避けるための貫通穴または切り欠き部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の多段構造のアクチュエータ。
【請求項4】
前記複数の駆動ユニットは、隣り合う駆動ユニットのねじ軸相互が同軸に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多段構造のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−133519(P2010−133519A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311281(P2008−311281)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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