多段階または1段階硬化の接着材料およびその使用法
【課題】ほぼあらゆる製品の表面に接着でき、特に航空宇宙ビークル、自動車両、建物、家具等の1つ以上の部材の1つ以上の表面への接着に有用である接着材料、その接着材料を使用するプロセスを提供する。
【解決手段】エポキシ材料と、硬化剤とを含む接着剤30が、第1の表面32、第2の表面34またはこの両方に結合するために提供される。接着剤30は、通常、熱、湿分またはこれらの組合せなどの状態に曝露されると硬化する少なくとも1種類の硬化剤を含む。
【解決手段】エポキシ材料と、硬化剤とを含む接着剤30が、第1の表面32、第2の表面34またはこの両方に結合するために提供される。接着剤30は、通常、熱、湿分またはこれらの組合せなどの状態に曝露されると硬化する少なくとも1種類の硬化剤を含む。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、2006年8月4日出願の米国仮特許出願第60/821,467号、2006年9月13日出願の米国仮特許出願第60/825,500号、ならびに2007年7月25日出願の米国特許出願第11/782,806号の出願日の利益を主張する。これらの出願を、あらゆる目的のため、参照によりここに援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に接着材料に関する。より詳細には、本発明は、1、2またはそれ以上のメカニズムに従った硬化に適した接着材料に関する。
【背景技術】
【0003】
数多くの公知の接着材料があり、これらの接着材料は多くの異なるメカニズムに従って硬化することができる。しかし、産業界は、多くの場合、絶えず変わり続ける加工条件、製品の変更、ならびに特定の工程と物品、これらの組合せなどのために望ましい性質と特性に対応するために、新しくかつ革新的な接着材料を作り、調整することを求めた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、産業界が求める1つ以上の特性を示す革新的な接着材料を提供する。本発明は、製造技術またはその他の技術の効率、コスト効率、速度またはその他の特性を促進することができる接着材料の使用プロセスを、付加的あるいは試行的に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、接着プロセスが提供される。このプロセスによれば、第1の表面および第2の表面が提供される。接着材料も提供される。接着材料は、通常、エポキシ材料、硬化剤またはこの両方を含む。接着材料は、通常、使用前は第1の温度に保持されている。その後、接着材料が、第1の表面、第2の表面またはこの両方に接触される。このような接触が行われている間またはその後に、接着材料は、通常、接着材料を活性化して硬化させ、第1の表面および第2の表面への所望の接着レベルを得るためのある温度範囲内の第2の温度に曝露される(さらされる)。好ましくは、第2の温度は第1の温度よりも高い。
【0006】
本発明の各種特徴および態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、図面などを読むことで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、新しい接着材料、その接着材料を使用するプロセス、またはこの両方の提供に基づく。本接着材料は、ほぼあらゆる製品の1つ以上の表面に接着でき、この表面は、物品の同じ部材の一部であっても、別の部材の一部であってもよいことが理解される。しかし、本接着材料は、航空宇宙ビークル、自動車両、建物、家具等の1つ以上の部材の1つ以上の表面への接着に特に有用であることがわかっている。
【0008】
この接着材料は、以下の任意の組合せを含むが、これに限定するものではない。
1)通常、エポキシ樹脂等の1種類以上のポリマー材料を含む基材。
2)第1のメカニズムによって活性化されて硬化する第1の硬化剤。このような第1のメカニズムは、例えば、湿分、高い温度、放射、またはこの組合わせへの曝露を含みうる。
3)第2のメカニズムによって活性化されて硬化する第2の硬化剤。このような第2の機構は、例えば、高い温度への曝露を含みうる。
4)発泡剤。好適に活性化されるか、あるいはそれ以外で活性化されて、気泡を発生させるか、基材を発泡させるか、この両方を行う。
5)充填材、定着剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、難燃剤、サーファクタント、あるいはこれらの任意の組合せなど。
【0009】
接着材料の使用工程は、通常、次のステップの1つまたは任意の組合せを含む。
1)通常、自動車両、航空宇宙ビークル(航空機など)などの製品の1つ、2つまたはそれ以上の部材の1つ、2つまたはそれ以上の表面を提供するステップ。
2)表面に接着材料を接触させるステップ。
3)硬化および/または表面への接着の第1の程度を得るために、第1のメカニズムによって第1の硬化剤を活性化させるステップ。第1の機構は、例えば、第1の硬化剤の湿分曝露を含む。
4)表面への接着の第2の程度を得るために、第2のメカニズムによって第2の硬化剤を活性化させる段階。第2の機構は、例えば、高い温度への曝露を含む。
【0010】
基材
基材は、通常、硬化可能および/または熱硬化可能な材料であり、多くの場合、少なくとも部分的にまたはほぼ完全にポリマー材料から構成される。本明細書で使用されるように、「ポリマー材料」との文言には、ポリマーであるか、あるいは接着材料が硬化するとポリマーになる(すなわち重合する)任意の材料が含まれる。ポリマー材料は、1種類のポリマーの種類のみを含んでいても、2、3、4種類またはいくつかの異種のポリマーの混合物であってもよい。ポリマー材料の混合物は、熱可塑性ポリマー、エラストマ、プラストマ、これらの組合せなどのさまざまなポリマー(コポリマーなど)を含むことができる。ポリマー混合物に適切に添加可能なポリマーは、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリフォスファジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、シラン、スルホン、アリル、オレフィン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、シリコーン、フェノール樹脂、ゴム、ポリフェニレンオキシド、テルフタラート、アセテート(EVAなど)、アクリレート、メタクリレート(エチレンメチルアクリレートポリマーなど)、あるいはこれらの任意の組合せまたは混合物を含むが、これらに限定されない。
【0011】
ポリマー混合物は、通常は、かなりの割合の接着材料(例えば最大85重量%以上)を含んでいる。好ましくは、ポリマー混合物は、接着材料の約25%から約85%、より好ましくは約40%から約75%、更に好ましくは約50%から約70重量%含まれる。
【0012】
ポリマー混合物または基材は、通常、エポキシ化学に少なくとも部分的にまたはほぼ完全に基づいており、1種類以上のエポキシ材料を含みうる。ここで使用するエポキシ樹脂または材料は、少なくとも1つのエポキシ官能基またはその組合せを有する、従来のモノマー、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーのエポキシ材料のいずれかを指す。ポリマーベースの材料は、開環反応によって重合可能なオキシラン環を1つ以上有するエポキシ基含有物質でありうる。好ましい実施形態では、構造接着材料は最大約80%のエポキシ樹脂を含む。より好ましくは、接着材料は、約10重量%から70重量%のエポキシ樹脂、更に好ましくは約30重量%から50重量%のエポキシ樹脂を含む。
【0013】
エポキシ樹脂は、脂肪族、脂環族、芳香族等でありえる。エポキシ樹脂は、固体として(例えば、ペレット、チャンク、細片等として)、あるいは液体(23℃で液体のエポキシ樹脂等またはその組合せ)として供給されうる。エポキシ樹脂は、アルファオレフィンをもつエチレンのコポリマーまたはターポリマーを含んでもよい。コポリマーまたはターポリマーでは、当該ポリマーは、2種または3種の異なるモノマー(すなわち高い化学反応性を有し、類似する分子と結合可能な小分子)から構成される。好ましくは、エポキシ樹脂は、接着材料の接着性を向上させるために当該材料に添加される。1つの例示的なエポキシ樹脂はフェノール樹脂であってもよく、このフェノール樹脂はノボラック型(novalac type)または別のタイプの樹脂であってもよい。別の好ましいエポキシ含有材料は、ビスフェノール−Aエピクロロヒドリンエーテルポリマー、または改質されうるビスフェノールAエポキシ樹脂を含んでもよい。
【0014】
一部の実施形態では、接着材料に使用されるエポキシ樹脂の1種類以上は、多官能価および/または比較的高い官能価(例えばエポキシ官能価)を有する。このような官能価の比較的高い樹脂が使用される場合、エポキシ樹脂の少なくとも5%、より一般的には少なくとも10%、更により一般的には少なくとも15%、更には少なくとも20%は、約2を超える(約2.6以上など)、おそらく約3を超える(約3.6以上など)官能価を有する。有利なことに、このように高い官能価は、特定の場合、高温性能の改善(例えば、第1の硬化または第2の硬化の前、その間、あるいはその後に高いTgを示すなど)、ラップシェア強度の改善、あるいはこれらの組合せを与えることができる。
【0015】
好ましい一実施形態では、ポリマー材料の少なくとも70%、90%、95%またはそれ以上は、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、そのグリシジルエーテル、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0016】
第1の硬化剤または第2の硬化剤
接着材料に、1種類以上の硬化剤および/または硬化剤用促進剤を添加してもよい。このため、1種類の硬化剤が使用されても、2種類以上の硬化剤が使用されてもよいことが理解できる。2種類以上の硬化剤が使用される場合、この2種類以上の硬化剤が、同じクラスの硬化剤であっても、別のクラスの硬化剤であってもよく、同じまたは別のポリマー材料を硬化するようにされていてもよいことがわかる。
【0017】
硬化剤および硬化剤用促進剤の量は、所望の網状構造のタイプ、接着材料が膨張可能である場合には、接着材料の所望の膨張の量または速度、所望の膨張速度、接着材料の所望の構造特性などに応じて、接着材料中で大きく変わりうる。接着材料中の硬化剤、硬化剤促進剤、またはこの両者の合計の有効量の例示的な範囲は、約0.1重量%から約7重量%である。
【0018】
好ましくは、硬化剤は、ポリマー、エポキシ樹脂またはこの両者を架橋することにより、接着材料の硬化に役立つ。また、硬化剤が接着材料の熱硬化に役立つことが好ましい。有用な硬化剤のクラスは、脂肪族または芳香族のアミンあるいはこれらのそれぞれの付加物、アミドアミン、ポリアミド、イミダゾール、脂環族アミン、無水物、ポリカルボキシルポリエステル、イソシアネート、フェノールベースの樹脂(例えばフェノールまたはクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペン、ポリビニルフェノール、ビスフェノールAホルムアルデヒドコポリマー等のコポリマー、ビスヒドロキシフェニアルカン等)、これらの過酸化物または混合物から選択される材料である。特に好ましい硬化剤は、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン テトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミドなどの改質または未改質のポリアミンまたはポリアミドを含む。また、接着材料を調製するために、硬化剤用の促進剤(例えばメチレンジフェニルビス尿素等の修飾または未修飾の尿素、第三級アミン、イミダゾールまたはこれらの組合せ)が与えられてもよい。必要に応じて、硬化および/または接着の第1の程度またはそれ以下の程度を得るために、これらの硬化剤のうちの特定のものが、非化学量論的レベルまたは化学量論的レベル以下で使用されてもよいことがと考察される。例えば、下記に更に記載する第1の硬化を行うために、このようなものが使用されてもよい。
【0019】
本発明の配合物では、5分未満、場合によっては30秒未満の硬化時間が可能であるが、硬化時間は長くてもよい。更に、この硬化時間は、追加のエネルギー(熱、光、放射など)が材料に与えられるかどうか、材料が室温で硬化されるかどうか、または製品の処理の所定の段階で望ましい硬化度によって決まりうる。
【0020】
発泡剤
必要に応じて、接着材料内に解放および/または密閉型の網状構造を形成する不活性ガスを発生させるために、接着材料に1種類以上の発泡剤を添加してもよい。このようにして、この材料から作製される物品の密度を低減させることが可能となりうる。更に、材料の膨張は、封止機能、音響抑制またはこの両者の改善に役立つことができる。
【0021】
発泡剤は、アミド、アミン等の窒素含有基を1つ以上含みうる。適切な発泡剤の例は、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4i−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン、およびN,Ni−ジメチル−N,Ni−ジニトロソテレフタルアミドを含む。熱可塑性シェル内に封入された溶媒などの物理発泡剤を使用することもできる。このような発泡剤は、商品名EXPANCELとして販売されており、アクゾノーベル社から商業的に入手可能である。
【0022】
下記に記載する湿分硬化接着材料の気泡の発生および/または発泡に使用することができる別の発泡剤は、アミンと反応して、このような発泡および/または気泡発生をする発泡剤である。このような発泡剤の例に、ポリメチル水素シロキサン等のシロキサンがある。このような発泡剤は、商品名MH1107液として販売されており、ダウコーニング社から商業的に入手可能である。この発泡剤は、好ましくは、接着材料の湿分硬化中に、このように発泡をする。
【0023】
また、接着材料に発泡剤用の促進剤を与えてもよい。発泡剤の活性化温度を低下させるか、発泡剤が不活性ガスを生成する速度を上げるか、この両方を行うために、さまざまな促進剤を使用することができる。1つの好ましい発泡剤用促進剤は、金属塩または金属酸化物(例えば酸化亜鉛)等の酸化物である。ほかの好ましい促進剤には、尿素等の有機塩基、またはアジピン酸や安息香酸等の有機酸が含まれる。亜鉛ベンゼンスルフィナートも、望ましい促進剤でありうる。
【0024】
発泡剤および発泡剤用促進剤の量は、所望の網状構造のタイプ、接着材料の所望の膨張量、所望の膨張速度などに応じて、接着材料内で大きく変わりうる。接着材料中の発泡剤および発泡剤用促進剤の量の例示的な範囲は約0.001重量%から約5重量%であり、好ましくは接着材料中、重量百分率で少量である。
【0025】
一実施形態では、本発明は、発泡剤を使用しない形態を考察する。しかし、好ましくは、本発明の材料、発泡剤またはこの両者は、熱によって活性化される。別の実施形態では、例えば湿分、放射などの別の手段によって活性化を得るために別の薬剤を使用してもよい。
【0026】
エラストマまたは付加物
接着材料が、非反応状態で接着剤に混入されるエラストマか、ほかの材料と反応されるエラストマ(付加物としてなど)か、この両方の組合せを含んでいてもよい。適切なエラストマの例としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン−ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ブタジエンニトリルゴム(例えばカルボキシル終端ブタジエンニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマ、アクリルエラストマ、アクリロニトリルエラストマ、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマ、EPDM(エチレン−プロピレンジエンゴム)、クロロスルフォン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されない一実施形態では、再生タイヤゴムが使用される。
【0027】
非常に好適な実施形態では、本発明の接着材料中にエラストマ含有付加物が、好ましくは比較的高濃度(例えば、ほぼエポキシ樹脂に匹敵する濃度で)で使用される。付加物は、接着材料の最大約80重量%の量で含有されうる。より好ましくは、エラストマ含有付加物は、接着材料の約20から60%、より好ましくは約35%から55重量%である。当然、エラストマ含有付加物が2つ以上の特定の付加物を組み合せたものであってもよく、付加物は、23℃の温度で固体の付加物であっても液体の付加物であっても、これらの組合せであってもよい。
【0028】
好ましいエポキシ/エラストマ付加物は、一般に、エポキシ:エラストマ比で約1:5から5:1部、より好ましくはエポキシ:エラストマ比で約1:3から3:1部である。より一般的には、付加物は、少なくとも約5%、より一般的には少なくとも約12%、更により一般的には少なくとも約18%のエラストマを含み、約50%以下、更により一般的には約40%以下、更により一般的には約30%以下のエラストマを含むが、これより割合が高くても低くてもよい。エラストマ化合物は、当業界で開示されている適切なエラストマ(熱硬化性エラストマなど)であれば、どのようなものであってもよい。追加または代替のエポキシ/エラストマの例、あるいは本発明に使用するのに適した他の付加物は、米国特許出願公開第2004/0204551号に開示されており、これを、あらゆる目的のために参照によりここに援用する。
【0029】
エラストマ含有付加物は、接着材料に添加される場合には、好ましくは、接着材料の強度、靭性、剛性、曲げ率等の構造特性を変えるために追加される。
【0030】
充填材
接着材料は1種類以上の充填材を含むことができ、これには粒状材料(粉末など)、ビーズ、小球体、ナノ粒子などがあるがここに挙げたものに限定されない。好ましくは、充填材は、接着材料に存在するほかの成分と通常は反応しない比較的低密度の物質を含む。
【0031】
充填材の例には、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ、タルク、色素、着色剤、ガラスのビーズまたはバブル、ガラスファイバー、カーボンファイバーまたはセラミックファイバー、抗酸化剤などがある。このような充填材(特にクレイ)は、接着材料の流動中にその高さを均一に保つ(level itself)のに役立つことができる。充填材として使用可能なクレイは、カオリナイト、イライト、クロリテム(chloritem)、スメシタイト(smecitite)またはセピオライトの群のクレイのナノ粒子および/またはクレイを含んでもよく、これらは焼成されてもよい。適切な充填材の例としては、タルク、バーミキュライト、パイロフィライト、ソーコナイト、サポナイト、ノントロナイト、モンモリロナイト、珪灰石またはこれらの混合物を含むが、ここに挙げたものに限定されない。また、クレイは、炭酸塩、長石、マイカおよび石英など、ほかの成分を微量含んでもよい。また、二酸化チタンも使用される可能性がある。本発明の1つ以上の実施形態では、充填剤(例えば、珪灰石やその他などの鉱物質充填剤)のかなりの部分(例えば40%、70%またはそれ以上)が、2:1以上の比較的高いアスペクト比を有することが望ましいことがあるが、これよりも低くてもよく、より一般的には3または4:1以上、おそらく8:1、12:1、20:1以上またはそれ以上であってもよい。
【0032】
好ましい一実施形態では、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなど、1種類以上の鉱物型または石型の充填材を充填材として使用することができる。別の好ましい実施形態では、マイカ等のケイ酸塩鉱物を充填材として使用することができる。
【0033】
接着材料中の充填材は、使用される場合、接着材料の1重量%から90重量%の範囲をとりうる。一部の実施形態によれば、接着材料は、約3%から約30重量%、より好ましくは約10%から約20重量%のクレイまたは同様の充填材を含むことができる。
【0034】
材料の充填材のうちの1種類または他の成分は、引張り強度、圧縮強度またはシェア強度などの特性のほか、材料の流動を調整できるよう、チキソトロピックであってもよいことが考察される。
【0035】
他の添加剤
また、必要に応じて、その他の添加剤、薬剤または性能改質剤が接着材料に含まれてもよく、このような物質には、抗紫外線剤、難燃剤、衝撃改質剤、コア/シェルポリマー、粒状ゴム、熱安定剤、紫外光架橋剤、着色剤、加工助剤、抗酸化剤、潤滑剤、架橋助剤、補強材(チョップトガラスまたは連続ガラス、ガラスファイバー、セラミックまたはセラミックファイバー、アラミド繊維、アラミドパルプ、カーボンファイバー、アクリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、これらの組合せなど)が含まれるが、ここに挙げたものに限定されない。好ましい一実施形態では、例えば、硬化密度を向上させるために、アクリレート架橋助剤が使用されうる。接着材料は、酸化、硬化速度またはこの両者の調整を補助するために、(ペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)など)の抗酸化剤を、約0.10から約5.00重量%含んでいてもよい。このような抗酸化剤の例は、商品名IRGANOX(登録商標)1010として販売されており、スイス国バーゼル ポストファッチ クライベックシュトラーセ141、4002所在のチバ・スペシアリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals CoMPany)から商業的に入手可能である。
【0036】
形成
接着材料の形成は、各種の新規あるいは公知の技術に従って行うことができる。好ましくは、接着材料は、実質的に均質な組成の材料として形成される。しかし、各種の結合技術を使用して、接着材料の特定の部分において特定の成分の濃度を加減してもよいことが考察される。
【0037】
一実施形態によれば、接着材料は、当該材料の諸成分を、ペレット、チャンクなどの固体形状、液体形状、またはこれらを組合せた形状で供給することにより形成される。諸成分は、通常、例えば大型のビン(bin)または他の容器などの1つ以上の容器内で混合される。好ましくは、この容器は、当該容器を回転させるかほかの方法で移動させることにより成分を混合するために使用することができる。その後、熱、圧力またはこの両方が加えられて、成分が撹拌などにより混合されて、単一の均質な組成となるように、成分が軟化または液化されうる。
【0038】
別の実施形態によれば、接着材料は、ポリマーベースの材料など、成分のうち通常軟化または液化しやすい1種類以上の成分を加熱して、これらの成分を混合可能な状態とすることによって形成されうる。その後、残りの成分が軟化された成分と混合されうる。
【0039】
使用する成分によっては、接着材料の活性化(例えば、気体の生成、膨脹、流動化、硬化、熱硬化またはその他の活性化)を引き起こす可能性がある特定の活性化温度未満に、諸成分の温度が確実に保持されるようにすることが重要となりうる。特に、接着材料が発泡剤または特定の硬化剤を含む場合、通常は、接着材料を形成する間、または表面に接着材料を適用する前に、接着材料の温度を、その発泡剤または硬化剤の活性化温度未満に保持することが望ましい。接着材料を低温に保持することが望ましい状況においては、圧力を印加するか、圧力と熱の両方を印加して、成分を半固体または粘弾性状態に保持して、接着材料の諸成分を混合することが望ましいことがある。熱、圧力またはこの両方を材料に加えるためのさまざまな機械が設計されている。
【0040】
接着材料は、液体、半固体、固体またはその組合せに形成されうる。このようにして、接着剤が、噴霧可能な液体、ペースト、固体または半固体の塊などに形成され、ペースト、テープ、フィルムなどとして供給されうる。
【0041】
適用
接着材料は、通常、1つ以上の表面に接触させて、その1つ以上の表面に接着される。本発明の接着材料は、通常、第1の接着の程度またはレベルでその1つ以上の表面に接着され、その後、第2の接着の程度またはレベルでその1つ以上の表面に接着される。しかし、第1の接着の程度またはレベルで表面に接着されるだけであってもよい。
【0042】
好ましい実施形態では、接着材料および/または第1の硬化剤は、第1のメカニズムによって活性化されて硬化する。上で示唆したように、第1の硬化剤が唯一の硬化剤であって、このため、第1の硬化剤の硬化は接着材料の唯一の硬化であってもよい。その唯一の硬化剤は、1段階で(例えば、1つの連続する期間に)硬化し、その1段階で硬化して、接着材料を1つ以上の表面に接着しうる。しかし、本発明では、接着材料が、2段階以上で(すなわち、2つ以上の異なるが、ほぼ連続する期間に)接着および/または硬化し、通常、2種類の別の硬化剤を含むか、または別の硬化メカニズムまたは接着メカニズムを有するように構成されることが一般に好ましい。
【0043】
図1を参照すると、接着材料30は、少なくとも1、2、3またはそれ以上の表面に接触されるが、第1の表面32と第2の表面34が図示されている。この表面は、1、2、3またはそれ以上の部材によって提供されうるが、製品の第1の部材36と第2の部材38が図示されている。その後、接着材料30は、表面32,34に対する接着材料30の接着を強化するため、表面32,34、部材36,38またはこの両方の間の連結の強度(例えば引張強度またはラップシェア強度)を強化するため、あるいはこの両方のために、第1の硬化剤によって少なくとも部分的に、またはほぼ完全に硬化される。
【0044】
接着材料は、湿分曝露あるいはそれ以外の硬化メカニズムへの曝露前は、表面への接着を促進するためにある程度の天然の粘着力を有するか、あるいはほぼ半硬化乾燥となるように調製されることが理解されよう。第1の硬化剤による硬化中に、接着材料を膨張させる、接着材料を発泡させる、接着材料の表面への濡れ(whet)を促進するか、これらのうちの複数を行うために、発泡剤のうちの1つを使用することができることも考察される。
【0045】
前述のように、硬化は、第2の硬化剤を使用せずに、第1の硬化剤のみによってもよい。しかし、好ましい一実施形態によれば、接着材料は、少なくとも第2の硬化剤による基材の硬化が関与する第2の活性化段階を経る。
【0046】
第2の硬化剤は、第1の硬化剤と同様に、さまざまなメカニズムによって活性化することができ、その一部をここに記載した。好ましい一実施形態では、接着材料は、高い温度への曝すことによって活性化すると、膨張、発泡、硬化(架橋、熱硬化など)、濡れ、接着、あるいはこれらの組合せを起こす。第2の硬化のための例示的な高い温度は、望ましくは約80℃から約200℃、より一般的には約100℃から約140℃であるが、特段の断りのない限り、温度がこれより上下してもよい。このような温度は、例えば、オートクレーブまたはオーブン内か、あるいは例えば、加熱ブランケット、赤外線ランプ、誘導加熱によって得ることができる。
【0047】
有利なことに、2段階の接着材料硬化では、第1の硬化により、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で、表面への連結、あるいは2以上の表面間の連結が強化されて、その表面を有する部材に対して、後続の処理(輸送、移動、更なる組立など)ができるようになる。次に、第2の硬化により、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で、製品の使用に充分耐えうるだけの強度の連結が得られる。例えば、航空宇宙ビークルまたは自動車両の部材の場合、第1の硬化によって、部材が、連結が外れることなく、更なる組立またはほかの処理を受けるのに充分な強度を有する連結が与えられる。次に、第2の硬化によって、飛行中または車両の走行中に発生しうる力に耐えるだけの充分な連結が与えられる。ここでも、接着剤によるこれらの連結のそれぞれは、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で充分でありうる。
【0048】
本発明の接着材料50を使用するプロセスの好ましい一実施形態が図2に示される。図に示すように、接着材料が第1の表面52と第2の表面54の間に置かれ、これらに接触している。図の実施形態では、第1の表面52は第1の部材58(パネルなど)の一部であり、第2の表面54は第2の部材60(パネルなど)の一部である。一実施形態では、第1の部材と第2の部材は、航空宇宙ビークルの部品である。考えられる適切な部品または部材としては、外板、リブ、スパー、ブラケット、これらの任意の組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい部品は、「箱形部品」またはトンネル形成部品であり、好ましくは航空宇宙用の操縦面、あるいは、エレベータ、ラダー、ウィングの可動部(例えば内側および外側のフラップおよび/またはエルロン)、安定板(水平安定板など)、フィン(垂直フィンなど)などの構造の一部である。
【0049】
接着剤は、表面52,54に接触している間かその後に、第1段階の硬化を受ける。その後、部材58,60が更に処理されうる。例えば、図に示すように、開口部(スルーホールなど)が、第1の部材、第2の部材、接着剤またはこれらの任意の組合せに形成される(穿孔されるなど)か、これらを貫通して形成されるか、この両方が行われうる。次に、第1の部材の第2の部材への取り付けを補助するために、リベット等の締結具が開口部に設けられる。更に、後続の処理前に、後続の処理中またはその後に、接着剤の接着材料50が第2の硬化を受けうる。例えば、接着材料は、第2の硬化のために、約80℃から約200℃、より一般的には約100℃から約140℃の高い温度に曝露されうる。
【0050】
第1の硬化後、接着材料は少なくとも約0.7MPaか、おそらくこれよりも低くてもよく、より一般的には少なくとも約1.6MPa、更におそらくは少なくとも約2.4MPaのラップシェア強度を示すと考察される。第1の硬化後、接着材料は100MPa未満か、おそらくこれよりも高くてもよく、より一般的には約10MPaまたは7MPa未満、更におそらくは4.5MPa未満のラップシェア強度を示すことも考察される。第2の硬化後、接着材料は少なくとも約10MPaか、おそらくこれよりも低くてもよく、少なくとも約15MPa、より一般的には少なくとも約20MPa、更におそらくは少なくとも約25MPaのラップシェア強度を示すと考察される。1段階の硬化では、強度は、通常、第2硬化後について記載した値に準ずる。本発明のラップシェア強度は、ASTM D1002-01「Apparent Shear Strength of Single-Lap-Joint Adhesively Noded Metal Specimens by Tesion Loading (Metal-to-Metal)」またはASTM D3528-96「Standard Test Method for Strength Properties of Double Lap Shear Adhesive Joints by Tension Loading」に従って計算することができる。
【0051】
湿分硬化
第1の硬化剤の活性化のための第1のメカニズムは、ここに記載したメカニズムのいずれかであっても、別のメカニズムであってもよい。しかし、好ましい実施形態では、第1の硬化剤は、接着材料、特に第1の硬化剤を湿分に曝露させることによって活性化されて、基材を硬化(架橋など)させる。
【0052】
本明細書で用いられる「湿分曝露」との文言は、通常は水への何らかの曝露を指すが、ほかの液体に対する曝露であってもよい。このため、特段の断りのない限り、湿分曝露には、湿気、蒸気、液体水、水を含む任意の材料、これらの組合せなどを含むことができるが、限定するものではない。
【0053】
第1の硬化剤は、接着材料の1つ以上の表面に湿分層を置く(塗付、噴霧、ブラッシング、塗布など)ことによって、湿分曝露されうる。接着材料は、接着材料を、水を含む液体中に沈めるか、あるいは霧または蒸気などの多湿環境または結露湿気環境に曝すことによって、湿分曝露されうる。接着剤が液体状態、ペースト、流動可能な状態、混合可能な状態、半固体状態、あるいはこれらの任意の組合せの状態で供給される場合、接着材料に水が混合されてもよい。
【0054】
接着材料、第1の硬化剤またはこの両者の曝露を促進するために、上記の方法に加えて、あるいはその別法として、複数の方法を使用することができる。一例として、接着材料の表面が受ける湿分曝露を上げやすい外部の湿分材料の場合、その湿分材料が、接着材料がとる任意の形態(フィルムまたはペーストなど)の接着材料の表面に積層および/または一体化されていてもよい。
【0055】
湿分材料は、繊維状材料(布帛など)、ファブリック、塊(agglomeration)またはそれ以外で提供されうる。好ましい一構成では、湿分材料は複数の開口部を提供しており、これが適用されると、開口部に湿分を集め、このため、接着材料の表面の湿分曝露の量を大きくするか、曝露の時間を長くするか、この両方を起こす。好ましい湿分材料の例は、湿分を受け容れる開口部を形成するように織られたり、ほかの方法で塊化された複数のポリマー繊維またはほかの繊維で形成されるスクリム材料の布帛である。
【0056】
湿分材料は、接着材料の1表面または複数の表面(例えば、2、3またはそれ以上の表面)に適用されうることが考察される。一実施形態では、湿分材料が接着材料の一方の表面に適用され、接着材料の他の表面には湿分材料が設けられない。有利なことに、湿分材料は、比較的非粘着で取り扱うための表面とされるに対し、もう一方の面は、湿分曝露の有無にかかわらず、部材の表面に接触および/または接着されうる。その後、湿分材料を有する表面が、同じか別の部材(the same of a different)の別の表面に接触および/または接着され、その際、好ましくは事前に湿分曝露されるが、事前の曝露が行われなくてもよい。
【0057】
これに加えて、あるいは別法として、表面の湿分曝露を、時間、量、あるいはこの両方について上げるために、複数の開口部(空洞など)および/または起伏(突出部など)が接着材料の1つ以上の表面に形成されてもよい。図3に示す一実施形態では、湿分保持用のポケットを作製するために、湿分材料の開口部が、接着材料の開口部と位置合わせされる。
【0058】
有利なことに、表面の湿分曝露を、時間、量、あるいはこの両方について上げると、接着材料の表面のほかに接着材料の内部の硬化が向上し、これは、湿分が表面から接着材料内にどの程度速くかつ効果的に拡散するかどうかによって決まる。接着材料への湿分の拡散を促進するために1つ以上の方法を使用することが望ましいこともある。このため、内部の湿分材料を接着材料に取り入れることが望ましいこともある。ここで上記した湿分材料のいずれも、接着材料の内部に取り入れることができるが、接着材料の内部に取り入れることができる追加あるいは代替の湿分材料について下記に記載する。これらの材料が、接着材料の内部にあるものとして説明するが、このような材料が、表面湿分材料として、表面の上で(層などで)使用されてもよいことも考えられる。
【0059】
内部湿分材料は、特段の断りのない限り、接着材料に混入するのに適した任意の親水性材料でありうる。内部湿分材料は、チャンク、ペレット、パルプ、繊維やこれらの組合せなどの、さまざまな構成の細片として提供することができる。繊維または繊維状材料が特に有効であることがわかっている。内部湿分材料のための材料は、ポリマー材料、セルロース、アラミド、ナイロン、ケブラー(登録商標)、シリカ、あるいはこれらの任意の組合せなどを含むことができる。有利なことに、内部湿分材料は、特に、湿分材料のない場合の接着材料の自然の拡散速度に比べて、接着材料への湿分の拡散速度を上げることができる。接着材料への水の移動を促進するために、接着材料を高い温度に加熱してもよいことが更に考察される。このような高い温度は、一般的には少なくとも約30℃、より一般的には少なくとも約40℃で、一般的には約120℃未満、より一般的には約100℃未満であるが、温度がこれよりも上下してもよい。
【0060】
接着材料は、表面に接着材料を接触させた前、接触中あるいはその後で、湿分曝露されうることが理解されよう。接着材料は、湿分曝露あるいはそれ以外の硬化メカニズムへの曝露前は、表面への接着を促進するためにある程度の天然の粘着力を有するか、あるいはほぼ半硬化乾燥となるように調製されることも理解されよう。第1の硬化剤による硬化中に、接着材料を膨張させる、接着材料を発泡させる、接着材料の表面への濡れ(whet)を促進するか、これらのうちの複数を行うために、発泡剤のうちの1つを使用することができることも考えられる。
【0061】
第1の硬化剤は、通常、所定の望ましいメカニズムに従って基材を硬化させるように選択される。第1の硬化剤の一部として含有されうる好ましい材料は、アミン アミド、ケタミン、またはこれらの組合せなどである。
【0062】
アミンは、使用される場合には、第一級アミン、第二級アミンまたはこれらの組合せでありえる。また、アミンは、ジアミン、第三級アミンまたはそれ以外であってもよい。アミンは、メチル基、エチル基、ブチル基、あるいはこれらの任意の組合せなどの炭化水素部分を1つまたはそれ以上有してもよいが、これらに限定されない。特に好ましい1つのアミンは、エチレンジアミンである。
【0063】
第1の硬化剤は、基板またはバインダを有していてもよい。基板は通常ポリマー材料(コポリマーなど)であるが、これは必須ではない。基板は、アセテート、アクリレートまたはそれ以外であってもよい。更に、基板は、メチル基、エチル基、ブチル基、あるいはこれらの任意の組合せなどの部分を1つまたはそれ以上含みうるが、これに限定されない。特に好ましい1つの基板は、第1の硬化剤(例えばアミン)によって部分的またはほぼ完全に被覆されているか、これを含浸させたモレキュラシーブおよび/または担体材料などの多孔質材料である。このような材料は、微孔性の粉末またはペレットとして提供されうる。このような材料の例は、エチレンジアミンが実質的に含浸されており、エチレンブチルアクリレートコポリマーバインダを更に含むモレキュラシーブ材料である。このような硬化剤は、ペレットまたは粉末として供給され、商品名LOTADER XX1333Cとして販売されており、アルケマ・コーポレーション(Arkema Corporation)から商業的に入手可能である。このような硬化剤では、湿分は、アミンまたは他の硬化剤を、ポリマー材料を硬化(架橋など)させるように、基板、シーブまたは担体から移動させるように作用しうる。
【0064】
接着材料が、製品の部材または部品の表面に接着されるか、接着材料が第1の硬化を受けるか、この両方が行われると、前述のように、接着材料は、接着材料の表面への連結を強化するために、第2の硬化を受けうる。第2の硬化は、通常、接着材料を活性化させて、膨張、発泡、硬化(架橋、熱硬化など)、濡れ、接着、あるいはこれらの任意の組合せを起こさせることに関与する。第2の硬化剤は、第1の硬化剤と同様に、さまざまなメカニズムによって活性化され、その一部についてはここに記載した。好ましい一実施形態では、接着材料は、昇温または熱によって活性化される。
【0065】
湿分硬化接着材料は、それを適用する前は、低湿度環境に保管することが望ましいことがある。このため、接着材料が、密封容器(バッグなど)に入った、事前形成された塊として保管されてもよく、この容器には、乾燥剤、不活性ガスまたはこれらの複数が入っていてもよい。
【0066】
湿分/昇温硬化のための接着材料の例示的な配合を、量を重量%で表わして下記の表1に記載する。
【表1】
【0067】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0068】
2温度硬化
一実施形態では、接着材料は、第1の温度範囲内でほぼ硬化する第1の硬化剤と、第2の温度範囲内で硬化する第2の硬化剤を含むように調製される。第1の温度範囲には、周囲温度または室温またはその近傍の温度が入り、第2の温度範囲は、周囲温度または室温より高い温度が入りうる。別の実施形態では、第1の温度範囲と第2の温度範囲は、周囲温度または室温より高い温度でありうる。
【0069】
周囲温度/昇温の硬化では、第1の温度範囲には、一般的には少なくとも約−10℃、より一般的には少なくとも約8℃、更により一般的には少なくとも約15℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約55℃未満、更により一般的に25℃未満(約20℃近傍など)の温度が含まれる。第2の温度範囲には、一般には少なくとも約80℃、より一般的には少なくとも約105℃、更により一般的には少なくとも約115℃で、より一般的には約300℃未満、更により一般的には約180℃未満、更により一般的には約140℃未満の温度が含まれる。
【0070】
昇温/昇温の硬化では、第1の温度範囲には、一般には少なくとも約10℃、より一般的には少なくとも約25℃、更により一般的には少なくとも約35℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約55℃未満、更により一般的に45℃未満(約40℃近傍など)の温度が含まれる。第2の温度範囲には、一般には少なくとも約80℃、より一般的には少なくとも約105℃、更により一般的には少なくとも約115℃で、より一般的には約300℃未満、更により一般的には約180℃未満、更により一般的には約140℃未満の温度が含まれる。
【0071】
当然、特段の断りのない限り、上記の範囲よりも高い範囲や低い範囲も使用できると考えられる。第1の硬化剤または第2の硬化剤は、挙げた温度よりも高い温度で硬化しうるが、硬化剤が、記載した最低温度より低い温度では実質的に反応しないことが望ましいことがあるとも考えられる。
【0072】
接着剤の使用のために、接着剤の原料が混合されて、その後実質的に未硬化で保持される。周囲温度/昇温硬化では、原料は、通常混合されて、その後、周囲温度または室温より低い温度に保持される。例えば、図4において、接着材料の原料が、押出し機として示される混合装置66で混合されて、塊68(細片またはテープなど)に形成され(例えば、押出され)、その後、適用されるまで低温(例えば、15℃、0℃またはそれ以下)で保管される。接着剤の塊68は、上記のように適用され、第1の硬化を受けて、第1の硬化剤の活性化温度(すなわち周囲温度または室温)で表面に接着できるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。次に、接着剤が、第2の硬化剤の第2の活性化および/または硬化のための活性化温度に曝露されうる。
【0073】
昇温/昇温硬化では、原料は、通常混合されて、その後、第1の硬化剤の活性化温度より低い温度(例えば、周囲温度または室温)に保持される。例えば、再び図4を参照すると、接着材料の原料が、押出し機として示される混合装置66で混合されて、塊68(細片またはテープなど)に形成され(例えば、押出され)る。しかし、塊68を周囲温度または室温より低い温度で保管しなくてもよい。接着剤の塊68は、上記のように適用され、第1の硬化を受けて、第1の硬化剤の活性化温度で(すなわち、接着材料を第1の活性化範囲の昇温に曝露することによって)表面に接着できるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。次に、接着剤が、第2の硬化剤の第2の活性化および/または硬化のための活性化温度に曝露されうる。
【0074】
混合中に、温度が第1の硬化剤および/または第2の硬化剤の硬化温度を超える可能性があると考えられる。しかし、接着材料がすばやく混合され、塊に形成されて、好ましくは、活性化より低い温度に急速に冷却されれば、使用前に塊を実質的に未硬化のままで保つことができる。
【0075】
環境温度/昇温硬化
2温度硬化(環境温度/昇温硬化など)のための接着材料の1つの好ましい配合が、下記の表2に示されている。
【表2】
【0076】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0077】
昇温/昇温硬化
2温度硬化(昇温/昇温硬化など)のための接着材料の1つの好ましい配合が、下記の表3に示されている。
【表3】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0078】
単一硬化
一実施形態では、接着材料は、第1の温度で未硬化で保持されて、次に、一般に第1の温度よりも高い第2の温度で膨張、発泡、硬化、熱硬化、またはこれらの任意の組合せを起こすように設計される。この実施形態の接着材料は、一般に、所定の温度範囲内の第2の温度で、接着材料をほぼ完全に硬化させる(例えば、少なくとも90%、95%、99%またはそれ以上硬化させる)か、完全に硬化させる硬化剤を含むように調製される。第1の温度は一般には約40℃未満、より一般的には約15℃未満、更により一般的には約7℃未満、更により一般的には約0℃未満、おそらく約−11℃未満であるが、これより高い温度も可能である。通常、硬化剤および/または接着材料は、上に記載した温度よりも低い温度では、ほぼ反応しないことが望ましい。温度範囲には、少なくとも約−10℃、より一般的には少なくとも約8℃、更により一般的には少なくとも約15℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約75℃または50℃未満、更により一般的には約35℃未満、おそらく約25℃未満(23℃近傍など)の温度が通常含まれるが、温度がこれよりも上下してもよい。
【0079】
好ましい一実施形態では、接着材料は、接着材料の初期硬化および/または流動を促進する第1の温度範囲の高い温度(約40℃など)に曝露され、その後、硬化の継続中に別の温度(約23℃など)に冷却されうる。有利なことに、高い温度に曝露されると、一部の接着材料が流れ、接着材料が接着される2表面の間から一部はみ出すように促進されうる。このような利点については、下記で更に述べる。
【0080】
単一硬化の原料は、周囲温度/昇温での硬化に使用されるのと同じ方法で混合されて塊、細片に形成され、その後、同様の方法で保管されうる。接着剤の塊は、上記のように適用され、硬化剤の活性化温度で活性化(硬化、発泡またはこの両方など)を受けて、表面に接着されるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。
【0081】
混合中に、温度が硬化剤の硬化温度を超える可能性があることが考えられる。しかし、接着材料がすばやく混合され、塊に形成されて、好ましくは、活性化より低い温度に急速に冷却されれば、使用前に塊を実質的に未硬化のままで保つことができる。
【0082】
【表4】
【0083】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0084】
刺激
別の追加の実施形態または代替の実施形態では、接着材料内で硬化反応を生じさせる放射、エネルギーまたは電流等の刺激に接着剤を曝露させることで、第1の硬化を行うことができる。一般に、本明細書で使用するように、「放射」とは、光線、波、粒子等によるエネルギーの伝達を含む。放射は、使用される場合には、例えば、電磁放射、熱放射、赤外線、紫外線、可視光、マイクロ波、これらの組合せなどから選択されうる。
【0085】
図5を参照すると、接着材料74が、1つ以上の部材の1つ以上の表面と接触して配置され、接着材料74を硬化(例えば第1の硬化)させる刺激78に、接着材料74を曝露させるために、機械または装置76を使用することができると考えられる。刺激78は、ここに記載したものであればどのような刺激であってもよい。刺激78は、例えば、接着材料を加熱してこれによって硬化させるマイクロ波であってもよい。刺激78は、(誘導によってなどによって)電流の流れおよび/または加熱を引き起こし、これによって接着材料を硬化させる起電力であってもよい。刺激78は、硬化を起こさせる紫外線であってもよい。
【0086】
刺激として紫外線などの光が使用される場合、図5Aに示すように、光84によって生じる化学反応(硬化反応など)のために、接着材料88を通って光84が伝搬されてもよいことが考察される。しかし、別法として、図5Bに示すように、例えば光ファイバ(フィラメントなど)によって、光84の経路90が提供されてもよい。
【0087】
刺激に曝露させて硬化させた(すなわち初期硬化または第1の硬化)後は、接着材料が、通常、接着剤の所望の特性を得るために、第2の硬化工程で更に硬化されるが、これは特段の断りのない限り必須ではない。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる。
【0088】
塊の混合
別の追加の実施形態または代替の実施形態では、材料の2つ以上の塊が、接着材料を形成する、第1の硬化を開始させる、あるいはこの両方を行うために結合されてもよいことが考察される。塊は好ましくは固体または半固体であるが、液体(封入された液体など)のこともある。塊のうちの1つが固体または半固体であり、もう一方が液体であってもよい。通常、塊のうちの1つは第1の硬化剤を含み、他の塊は第1の硬化剤によって硬化可能なポリマー材料を含む。塊を混合する際には、例えば、2つの固体の塊を押圧して、接着材料の1つの塊に結合させることによって、ここに記載するように1つ以上の表面に接着材料を接着するために、第1の硬化剤がポリマー材料を硬化する。
【0089】
接着しょうとする表面に接着材料を接触させる前に、塊を圧着することができると一般に考えられるが、2つ以上の部材の2つ以上の表面の間に塊が置かれて、表面の間を押し、塊を結合および/または混合させることが好ましい。図6Aを参照すると、第1の硬化剤を有し、実質的に固体の材料の第1の塊が、第1の層100として提供され、第1の硬化剤によって硬化可能なポリマー材料(エポキシ樹脂など)を有する実質的に固体の材料の第2の塊が、第2の層102として提供される。2つの層100,102は、層100,102を混合させて接着材料103を形成するために圧着され、接着材料103は混合時に第1の硬化を受けて、この接着材料を、第1の部材106の第1の表面104と第2の部材110の第2の表面108に接着させる。上記のように、表面104,108への接着材料の接触と、混合による接着材料103の形成がほぼ同時に行われるように、表面104,108に接着材料を接触させる前に、層100,102が、接着材料を形成するために圧着されても、表面104,108が層100,102を一緒に押圧してもよい。
【0090】
混合され硬化される塊が、第1の多く(100個、1000個またはそれ以上など)の固体または半固体の塊と、第2の多く(100個、1000個またはそれ以上など)の固体または半固体の塊として提供されて、これらが、混合のために互いに接近されて圧着されてもよいことも考察される。図6Bを参照すると、第1の材料120が押出されて、次に、第1の硬化剤を含む第1の粉末として示す第1の多くの塊122に分けられ(粉末化されるなど)、第2の材料124が押出されて、次に、第1の硬化剤と反応性を有するポリマー材料を含む第2の粉末として示す第2の多くの塊126に分けられる(粉末化されるなど)。次に、塊122,126を(例えば、液体またはペースト材料の塊を結合することによって)互いに接近させて、接着材料130が形成される。次に、液体またはペースト材料130が、散布、噴霧、注入、塗付、ブラッシング等によって表面に置かれて、第1の硬化を行うために、第1の塊122と第2の塊126を結合および/または混合させるために、表面間で押されうる。
【0091】
塊を混合させることで硬化(すなわち初期硬化または第1の硬化)を行った後は、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために、第2の硬化工程で更に硬化される。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる。
【0092】
抵抗加熱
接着材料が、電位等の刺激への曝露を受けて加熱される1種類の原料を含んでもよいことも考えられる。原料が、金属(リン化鉄など)またはグラファイト(天然グラファイトまたは合成グラファイトなど)等の材料の塊(例えば粉末、ペレット、フレーク チャンク等)を含んでもよく、これらは、電流の流れについて導電性および/または抵抗性を示しうる。
【0093】
図7を参照すると、導電性および/または抵抗性を示す原料を含む接着材料140が、1つ以上の部材142,144(例えば航空機のスパー、リブ、外板など)の1つ以上の表面に接触されうる。接着材料140が、この接触の前、接触中またはその後に、電気的に正の部材(電極など)と電気的に負の部材(電極など)に曝露され(すなわち、接触され)、電流が材料140を通って流れる。次に、抵抗性物質が加熱されて、接着材料140の初期硬化または第1の硬化が起こる。
【0094】
初期接着または第1の接着または硬化の後は、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために第2の硬化を受ける。接着材料の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる(例えば、初期接着よりも高い温度に曝露するなど)。
【0095】
非硬化接着
接着材料が、活性化されて、実質的に硬化することなく(すなわち、接着材料の硬化が10%未満、より一般的には2%未満、おそらく0.1%未満)、1つ以上の部材の1つ以上の表面に接着できることが、一般に考えられる。このような実施形態では、材料の自然の接着性を利用して、表面への第1の接着の程度が得られ、その後、所望の特性が得られるように、接着材料が活性化されて硬化し表面に接着しうる。このような初期接着は、例えば、固体の比較的低い分子量または液体エポキシ樹脂を接着材料に添加することによって行うことができる。
【0096】
例として図8を参照すると、最初は粘着性であるか実質的に非粘着性の接着材料160を、接着させる1つ以上の表面に接触させる前か、接触させている間かその後にこの材料160が加熱され、材料160の所望の粘着のレベルが得られる。この際、特に材料160で濡らした後に材料160が冷却される場合、材料160が1つ以上の表面を濡らし、これに接着する。
【0097】
刺激への曝露による初期接着または第1の接着または硬化の後、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために第2の硬化を受ける。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる(例えば、初期接着よりも高い温度に曝露するなど)。
【0098】
各種実施形態の利点
本発明のいくつかの実施形態は、宇宙産業または自動車産業等の産業に利点をもたらしうる。例えば、本発明の接着材料は、ペーストまたはポンプ供給可能な製品とは対照的に、事前形成された塊(テープなど)として提供することができる。ここに記載するように、このような事前形成された塊は、手動で、または自動で表面に適用することができる。事前形成された塊は、表面に接着材料を手動でこて塗りしたり、ポンプ供給する場合とは対照的に、一定の状態で表面に適用される。このように一定の状態で適用できれば、適用すべき接着材料の量または重量を、良好に制御できるようになる。更に、本発明の接着材料、特に単一硬化の材料は、オープン時間(open time)が長い(すなわち、接着材料が、保持されている初期温度では剥離でき、その後少なくとも1時間、おそらく少なくとも3時間か4時間は再利用して適用することができる)が、これは特段の断りのない限り必須ではない。接着が不充分な箇所がほとんどないか全くないことを保証できるように、事前形成された塊を使用すると、接着材料が表面の間から均一にはみ出しうる。
【0099】
特段の断りのない限り、ここに記載した各種構造の寸法および外形は本発明を限定することを意図したものではなく、ほかの寸法または外形も可能である。1つの一体化された構造により、複数の構造構成要素が提供されうる。別の実施形態では、1つの一体化された構造が、独立した複数の構成要素に分けられうる。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つのみにより記載した場合もあるが、任意の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組合せることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明に係る方法を構成していることが、上記から理解されよう。
【0100】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかし、当業者は、本発明の教示に特定の変更例を取り入れることができることを理解するであろう。このため、本発明の真の範囲および内容を決定するには、添付の特許請求の範囲を検討すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一態様による、部材の表面に接着された例示的な接着材料の断面図である。
【図2】本発明の一態様による、例示的な組立工程を示す図である。
【図3】本発明の一態様に従って処理された例示的な接着材料を示す図である。
【図4】本発明による接着材料の例示的な形成および保持を示す図である。
【図5】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図5A】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図5B】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図6A】本発明の態様による、接着材料の形成、硬化および/または接着のための例示的な方法を示す図である。
【図6B】本発明の態様による、接着材料の形成、硬化および/または接着のための例示的な方法を示す図である。
【図7】本発明の一態様による別の例示的な硬化法を示す図である。
【図8】本発明の一態様による接着および/または硬化のための別の例示的な方法を示す図である。
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、2006年8月4日出願の米国仮特許出願第60/821,467号、2006年9月13日出願の米国仮特許出願第60/825,500号、ならびに2007年7月25日出願の米国特許出願第11/782,806号の出願日の利益を主張する。これらの出願を、あらゆる目的のため、参照によりここに援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に接着材料に関する。より詳細には、本発明は、1、2またはそれ以上のメカニズムに従った硬化に適した接着材料に関する。
【背景技術】
【0003】
数多くの公知の接着材料があり、これらの接着材料は多くの異なるメカニズムに従って硬化することができる。しかし、産業界は、多くの場合、絶えず変わり続ける加工条件、製品の変更、ならびに特定の工程と物品、これらの組合せなどのために望ましい性質と特性に対応するために、新しくかつ革新的な接着材料を作り、調整することを求めた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、産業界が求める1つ以上の特性を示す革新的な接着材料を提供する。本発明は、製造技術またはその他の技術の効率、コスト効率、速度またはその他の特性を促進することができる接着材料の使用プロセスを、付加的あるいは試行的に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、接着プロセスが提供される。このプロセスによれば、第1の表面および第2の表面が提供される。接着材料も提供される。接着材料は、通常、エポキシ材料、硬化剤またはこの両方を含む。接着材料は、通常、使用前は第1の温度に保持されている。その後、接着材料が、第1の表面、第2の表面またはこの両方に接触される。このような接触が行われている間またはその後に、接着材料は、通常、接着材料を活性化して硬化させ、第1の表面および第2の表面への所望の接着レベルを得るためのある温度範囲内の第2の温度に曝露される(さらされる)。好ましくは、第2の温度は第1の温度よりも高い。
【0006】
本発明の各種特徴および態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、図面などを読むことで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、新しい接着材料、その接着材料を使用するプロセス、またはこの両方の提供に基づく。本接着材料は、ほぼあらゆる製品の1つ以上の表面に接着でき、この表面は、物品の同じ部材の一部であっても、別の部材の一部であってもよいことが理解される。しかし、本接着材料は、航空宇宙ビークル、自動車両、建物、家具等の1つ以上の部材の1つ以上の表面への接着に特に有用であることがわかっている。
【0008】
この接着材料は、以下の任意の組合せを含むが、これに限定するものではない。
1)通常、エポキシ樹脂等の1種類以上のポリマー材料を含む基材。
2)第1のメカニズムによって活性化されて硬化する第1の硬化剤。このような第1のメカニズムは、例えば、湿分、高い温度、放射、またはこの組合わせへの曝露を含みうる。
3)第2のメカニズムによって活性化されて硬化する第2の硬化剤。このような第2の機構は、例えば、高い温度への曝露を含みうる。
4)発泡剤。好適に活性化されるか、あるいはそれ以外で活性化されて、気泡を発生させるか、基材を発泡させるか、この両方を行う。
5)充填材、定着剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、難燃剤、サーファクタント、あるいはこれらの任意の組合せなど。
【0009】
接着材料の使用工程は、通常、次のステップの1つまたは任意の組合せを含む。
1)通常、自動車両、航空宇宙ビークル(航空機など)などの製品の1つ、2つまたはそれ以上の部材の1つ、2つまたはそれ以上の表面を提供するステップ。
2)表面に接着材料を接触させるステップ。
3)硬化および/または表面への接着の第1の程度を得るために、第1のメカニズムによって第1の硬化剤を活性化させるステップ。第1の機構は、例えば、第1の硬化剤の湿分曝露を含む。
4)表面への接着の第2の程度を得るために、第2のメカニズムによって第2の硬化剤を活性化させる段階。第2の機構は、例えば、高い温度への曝露を含む。
【0010】
基材
基材は、通常、硬化可能および/または熱硬化可能な材料であり、多くの場合、少なくとも部分的にまたはほぼ完全にポリマー材料から構成される。本明細書で使用されるように、「ポリマー材料」との文言には、ポリマーであるか、あるいは接着材料が硬化するとポリマーになる(すなわち重合する)任意の材料が含まれる。ポリマー材料は、1種類のポリマーの種類のみを含んでいても、2、3、4種類またはいくつかの異種のポリマーの混合物であってもよい。ポリマー材料の混合物は、熱可塑性ポリマー、エラストマ、プラストマ、これらの組合せなどのさまざまなポリマー(コポリマーなど)を含むことができる。ポリマー混合物に適切に添加可能なポリマーは、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリフォスファジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、シラン、スルホン、アリル、オレフィン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、シリコーン、フェノール樹脂、ゴム、ポリフェニレンオキシド、テルフタラート、アセテート(EVAなど)、アクリレート、メタクリレート(エチレンメチルアクリレートポリマーなど)、あるいはこれらの任意の組合せまたは混合物を含むが、これらに限定されない。
【0011】
ポリマー混合物は、通常は、かなりの割合の接着材料(例えば最大85重量%以上)を含んでいる。好ましくは、ポリマー混合物は、接着材料の約25%から約85%、より好ましくは約40%から約75%、更に好ましくは約50%から約70重量%含まれる。
【0012】
ポリマー混合物または基材は、通常、エポキシ化学に少なくとも部分的にまたはほぼ完全に基づいており、1種類以上のエポキシ材料を含みうる。ここで使用するエポキシ樹脂または材料は、少なくとも1つのエポキシ官能基またはその組合せを有する、従来のモノマー、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーのエポキシ材料のいずれかを指す。ポリマーベースの材料は、開環反応によって重合可能なオキシラン環を1つ以上有するエポキシ基含有物質でありうる。好ましい実施形態では、構造接着材料は最大約80%のエポキシ樹脂を含む。より好ましくは、接着材料は、約10重量%から70重量%のエポキシ樹脂、更に好ましくは約30重量%から50重量%のエポキシ樹脂を含む。
【0013】
エポキシ樹脂は、脂肪族、脂環族、芳香族等でありえる。エポキシ樹脂は、固体として(例えば、ペレット、チャンク、細片等として)、あるいは液体(23℃で液体のエポキシ樹脂等またはその組合せ)として供給されうる。エポキシ樹脂は、アルファオレフィンをもつエチレンのコポリマーまたはターポリマーを含んでもよい。コポリマーまたはターポリマーでは、当該ポリマーは、2種または3種の異なるモノマー(すなわち高い化学反応性を有し、類似する分子と結合可能な小分子)から構成される。好ましくは、エポキシ樹脂は、接着材料の接着性を向上させるために当該材料に添加される。1つの例示的なエポキシ樹脂はフェノール樹脂であってもよく、このフェノール樹脂はノボラック型(novalac type)または別のタイプの樹脂であってもよい。別の好ましいエポキシ含有材料は、ビスフェノール−Aエピクロロヒドリンエーテルポリマー、または改質されうるビスフェノールAエポキシ樹脂を含んでもよい。
【0014】
一部の実施形態では、接着材料に使用されるエポキシ樹脂の1種類以上は、多官能価および/または比較的高い官能価(例えばエポキシ官能価)を有する。このような官能価の比較的高い樹脂が使用される場合、エポキシ樹脂の少なくとも5%、より一般的には少なくとも10%、更により一般的には少なくとも15%、更には少なくとも20%は、約2を超える(約2.6以上など)、おそらく約3を超える(約3.6以上など)官能価を有する。有利なことに、このように高い官能価は、特定の場合、高温性能の改善(例えば、第1の硬化または第2の硬化の前、その間、あるいはその後に高いTgを示すなど)、ラップシェア強度の改善、あるいはこれらの組合せを与えることができる。
【0015】
好ましい一実施形態では、ポリマー材料の少なくとも70%、90%、95%またはそれ以上は、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、そのグリシジルエーテル、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0016】
第1の硬化剤または第2の硬化剤
接着材料に、1種類以上の硬化剤および/または硬化剤用促進剤を添加してもよい。このため、1種類の硬化剤が使用されても、2種類以上の硬化剤が使用されてもよいことが理解できる。2種類以上の硬化剤が使用される場合、この2種類以上の硬化剤が、同じクラスの硬化剤であっても、別のクラスの硬化剤であってもよく、同じまたは別のポリマー材料を硬化するようにされていてもよいことがわかる。
【0017】
硬化剤および硬化剤用促進剤の量は、所望の網状構造のタイプ、接着材料が膨張可能である場合には、接着材料の所望の膨張の量または速度、所望の膨張速度、接着材料の所望の構造特性などに応じて、接着材料中で大きく変わりうる。接着材料中の硬化剤、硬化剤促進剤、またはこの両者の合計の有効量の例示的な範囲は、約0.1重量%から約7重量%である。
【0018】
好ましくは、硬化剤は、ポリマー、エポキシ樹脂またはこの両者を架橋することにより、接着材料の硬化に役立つ。また、硬化剤が接着材料の熱硬化に役立つことが好ましい。有用な硬化剤のクラスは、脂肪族または芳香族のアミンあるいはこれらのそれぞれの付加物、アミドアミン、ポリアミド、イミダゾール、脂環族アミン、無水物、ポリカルボキシルポリエステル、イソシアネート、フェノールベースの樹脂(例えばフェノールまたはクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペン、ポリビニルフェノール、ビスフェノールAホルムアルデヒドコポリマー等のコポリマー、ビスヒドロキシフェニアルカン等)、これらの過酸化物または混合物から選択される材料である。特に好ましい硬化剤は、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン テトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミドなどの改質または未改質のポリアミンまたはポリアミドを含む。また、接着材料を調製するために、硬化剤用の促進剤(例えばメチレンジフェニルビス尿素等の修飾または未修飾の尿素、第三級アミン、イミダゾールまたはこれらの組合せ)が与えられてもよい。必要に応じて、硬化および/または接着の第1の程度またはそれ以下の程度を得るために、これらの硬化剤のうちの特定のものが、非化学量論的レベルまたは化学量論的レベル以下で使用されてもよいことがと考察される。例えば、下記に更に記載する第1の硬化を行うために、このようなものが使用されてもよい。
【0019】
本発明の配合物では、5分未満、場合によっては30秒未満の硬化時間が可能であるが、硬化時間は長くてもよい。更に、この硬化時間は、追加のエネルギー(熱、光、放射など)が材料に与えられるかどうか、材料が室温で硬化されるかどうか、または製品の処理の所定の段階で望ましい硬化度によって決まりうる。
【0020】
発泡剤
必要に応じて、接着材料内に解放および/または密閉型の網状構造を形成する不活性ガスを発生させるために、接着材料に1種類以上の発泡剤を添加してもよい。このようにして、この材料から作製される物品の密度を低減させることが可能となりうる。更に、材料の膨張は、封止機能、音響抑制またはこの両者の改善に役立つことができる。
【0021】
発泡剤は、アミド、アミン等の窒素含有基を1つ以上含みうる。適切な発泡剤の例は、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4i−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン、およびN,Ni−ジメチル−N,Ni−ジニトロソテレフタルアミドを含む。熱可塑性シェル内に封入された溶媒などの物理発泡剤を使用することもできる。このような発泡剤は、商品名EXPANCELとして販売されており、アクゾノーベル社から商業的に入手可能である。
【0022】
下記に記載する湿分硬化接着材料の気泡の発生および/または発泡に使用することができる別の発泡剤は、アミンと反応して、このような発泡および/または気泡発生をする発泡剤である。このような発泡剤の例に、ポリメチル水素シロキサン等のシロキサンがある。このような発泡剤は、商品名MH1107液として販売されており、ダウコーニング社から商業的に入手可能である。この発泡剤は、好ましくは、接着材料の湿分硬化中に、このように発泡をする。
【0023】
また、接着材料に発泡剤用の促進剤を与えてもよい。発泡剤の活性化温度を低下させるか、発泡剤が不活性ガスを生成する速度を上げるか、この両方を行うために、さまざまな促進剤を使用することができる。1つの好ましい発泡剤用促進剤は、金属塩または金属酸化物(例えば酸化亜鉛)等の酸化物である。ほかの好ましい促進剤には、尿素等の有機塩基、またはアジピン酸や安息香酸等の有機酸が含まれる。亜鉛ベンゼンスルフィナートも、望ましい促進剤でありうる。
【0024】
発泡剤および発泡剤用促進剤の量は、所望の網状構造のタイプ、接着材料の所望の膨張量、所望の膨張速度などに応じて、接着材料内で大きく変わりうる。接着材料中の発泡剤および発泡剤用促進剤の量の例示的な範囲は約0.001重量%から約5重量%であり、好ましくは接着材料中、重量百分率で少量である。
【0025】
一実施形態では、本発明は、発泡剤を使用しない形態を考察する。しかし、好ましくは、本発明の材料、発泡剤またはこの両者は、熱によって活性化される。別の実施形態では、例えば湿分、放射などの別の手段によって活性化を得るために別の薬剤を使用してもよい。
【0026】
エラストマまたは付加物
接着材料が、非反応状態で接着剤に混入されるエラストマか、ほかの材料と反応されるエラストマ(付加物としてなど)か、この両方の組合せを含んでいてもよい。適切なエラストマの例としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン−ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ブタジエンニトリルゴム(例えばカルボキシル終端ブタジエンニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマ、アクリルエラストマ、アクリロニトリルエラストマ、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマ、EPDM(エチレン−プロピレンジエンゴム)、クロロスルフォン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されない一実施形態では、再生タイヤゴムが使用される。
【0027】
非常に好適な実施形態では、本発明の接着材料中にエラストマ含有付加物が、好ましくは比較的高濃度(例えば、ほぼエポキシ樹脂に匹敵する濃度で)で使用される。付加物は、接着材料の最大約80重量%の量で含有されうる。より好ましくは、エラストマ含有付加物は、接着材料の約20から60%、より好ましくは約35%から55重量%である。当然、エラストマ含有付加物が2つ以上の特定の付加物を組み合せたものであってもよく、付加物は、23℃の温度で固体の付加物であっても液体の付加物であっても、これらの組合せであってもよい。
【0028】
好ましいエポキシ/エラストマ付加物は、一般に、エポキシ:エラストマ比で約1:5から5:1部、より好ましくはエポキシ:エラストマ比で約1:3から3:1部である。より一般的には、付加物は、少なくとも約5%、より一般的には少なくとも約12%、更により一般的には少なくとも約18%のエラストマを含み、約50%以下、更により一般的には約40%以下、更により一般的には約30%以下のエラストマを含むが、これより割合が高くても低くてもよい。エラストマ化合物は、当業界で開示されている適切なエラストマ(熱硬化性エラストマなど)であれば、どのようなものであってもよい。追加または代替のエポキシ/エラストマの例、あるいは本発明に使用するのに適した他の付加物は、米国特許出願公開第2004/0204551号に開示されており、これを、あらゆる目的のために参照によりここに援用する。
【0029】
エラストマ含有付加物は、接着材料に添加される場合には、好ましくは、接着材料の強度、靭性、剛性、曲げ率等の構造特性を変えるために追加される。
【0030】
充填材
接着材料は1種類以上の充填材を含むことができ、これには粒状材料(粉末など)、ビーズ、小球体、ナノ粒子などがあるがここに挙げたものに限定されない。好ましくは、充填材は、接着材料に存在するほかの成分と通常は反応しない比較的低密度の物質を含む。
【0031】
充填材の例には、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ、タルク、色素、着色剤、ガラスのビーズまたはバブル、ガラスファイバー、カーボンファイバーまたはセラミックファイバー、抗酸化剤などがある。このような充填材(特にクレイ)は、接着材料の流動中にその高さを均一に保つ(level itself)のに役立つことができる。充填材として使用可能なクレイは、カオリナイト、イライト、クロリテム(chloritem)、スメシタイト(smecitite)またはセピオライトの群のクレイのナノ粒子および/またはクレイを含んでもよく、これらは焼成されてもよい。適切な充填材の例としては、タルク、バーミキュライト、パイロフィライト、ソーコナイト、サポナイト、ノントロナイト、モンモリロナイト、珪灰石またはこれらの混合物を含むが、ここに挙げたものに限定されない。また、クレイは、炭酸塩、長石、マイカおよび石英など、ほかの成分を微量含んでもよい。また、二酸化チタンも使用される可能性がある。本発明の1つ以上の実施形態では、充填剤(例えば、珪灰石やその他などの鉱物質充填剤)のかなりの部分(例えば40%、70%またはそれ以上)が、2:1以上の比較的高いアスペクト比を有することが望ましいことがあるが、これよりも低くてもよく、より一般的には3または4:1以上、おそらく8:1、12:1、20:1以上またはそれ以上であってもよい。
【0032】
好ましい一実施形態では、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなど、1種類以上の鉱物型または石型の充填材を充填材として使用することができる。別の好ましい実施形態では、マイカ等のケイ酸塩鉱物を充填材として使用することができる。
【0033】
接着材料中の充填材は、使用される場合、接着材料の1重量%から90重量%の範囲をとりうる。一部の実施形態によれば、接着材料は、約3%から約30重量%、より好ましくは約10%から約20重量%のクレイまたは同様の充填材を含むことができる。
【0034】
材料の充填材のうちの1種類または他の成分は、引張り強度、圧縮強度またはシェア強度などの特性のほか、材料の流動を調整できるよう、チキソトロピックであってもよいことが考察される。
【0035】
他の添加剤
また、必要に応じて、その他の添加剤、薬剤または性能改質剤が接着材料に含まれてもよく、このような物質には、抗紫外線剤、難燃剤、衝撃改質剤、コア/シェルポリマー、粒状ゴム、熱安定剤、紫外光架橋剤、着色剤、加工助剤、抗酸化剤、潤滑剤、架橋助剤、補強材(チョップトガラスまたは連続ガラス、ガラスファイバー、セラミックまたはセラミックファイバー、アラミド繊維、アラミドパルプ、カーボンファイバー、アクリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、これらの組合せなど)が含まれるが、ここに挙げたものに限定されない。好ましい一実施形態では、例えば、硬化密度を向上させるために、アクリレート架橋助剤が使用されうる。接着材料は、酸化、硬化速度またはこの両者の調整を補助するために、(ペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)など)の抗酸化剤を、約0.10から約5.00重量%含んでいてもよい。このような抗酸化剤の例は、商品名IRGANOX(登録商標)1010として販売されており、スイス国バーゼル ポストファッチ クライベックシュトラーセ141、4002所在のチバ・スペシアリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals CoMPany)から商業的に入手可能である。
【0036】
形成
接着材料の形成は、各種の新規あるいは公知の技術に従って行うことができる。好ましくは、接着材料は、実質的に均質な組成の材料として形成される。しかし、各種の結合技術を使用して、接着材料の特定の部分において特定の成分の濃度を加減してもよいことが考察される。
【0037】
一実施形態によれば、接着材料は、当該材料の諸成分を、ペレット、チャンクなどの固体形状、液体形状、またはこれらを組合せた形状で供給することにより形成される。諸成分は、通常、例えば大型のビン(bin)または他の容器などの1つ以上の容器内で混合される。好ましくは、この容器は、当該容器を回転させるかほかの方法で移動させることにより成分を混合するために使用することができる。その後、熱、圧力またはこの両方が加えられて、成分が撹拌などにより混合されて、単一の均質な組成となるように、成分が軟化または液化されうる。
【0038】
別の実施形態によれば、接着材料は、ポリマーベースの材料など、成分のうち通常軟化または液化しやすい1種類以上の成分を加熱して、これらの成分を混合可能な状態とすることによって形成されうる。その後、残りの成分が軟化された成分と混合されうる。
【0039】
使用する成分によっては、接着材料の活性化(例えば、気体の生成、膨脹、流動化、硬化、熱硬化またはその他の活性化)を引き起こす可能性がある特定の活性化温度未満に、諸成分の温度が確実に保持されるようにすることが重要となりうる。特に、接着材料が発泡剤または特定の硬化剤を含む場合、通常は、接着材料を形成する間、または表面に接着材料を適用する前に、接着材料の温度を、その発泡剤または硬化剤の活性化温度未満に保持することが望ましい。接着材料を低温に保持することが望ましい状況においては、圧力を印加するか、圧力と熱の両方を印加して、成分を半固体または粘弾性状態に保持して、接着材料の諸成分を混合することが望ましいことがある。熱、圧力またはこの両方を材料に加えるためのさまざまな機械が設計されている。
【0040】
接着材料は、液体、半固体、固体またはその組合せに形成されうる。このようにして、接着剤が、噴霧可能な液体、ペースト、固体または半固体の塊などに形成され、ペースト、テープ、フィルムなどとして供給されうる。
【0041】
適用
接着材料は、通常、1つ以上の表面に接触させて、その1つ以上の表面に接着される。本発明の接着材料は、通常、第1の接着の程度またはレベルでその1つ以上の表面に接着され、その後、第2の接着の程度またはレベルでその1つ以上の表面に接着される。しかし、第1の接着の程度またはレベルで表面に接着されるだけであってもよい。
【0042】
好ましい実施形態では、接着材料および/または第1の硬化剤は、第1のメカニズムによって活性化されて硬化する。上で示唆したように、第1の硬化剤が唯一の硬化剤であって、このため、第1の硬化剤の硬化は接着材料の唯一の硬化であってもよい。その唯一の硬化剤は、1段階で(例えば、1つの連続する期間に)硬化し、その1段階で硬化して、接着材料を1つ以上の表面に接着しうる。しかし、本発明では、接着材料が、2段階以上で(すなわち、2つ以上の異なるが、ほぼ連続する期間に)接着および/または硬化し、通常、2種類の別の硬化剤を含むか、または別の硬化メカニズムまたは接着メカニズムを有するように構成されることが一般に好ましい。
【0043】
図1を参照すると、接着材料30は、少なくとも1、2、3またはそれ以上の表面に接触されるが、第1の表面32と第2の表面34が図示されている。この表面は、1、2、3またはそれ以上の部材によって提供されうるが、製品の第1の部材36と第2の部材38が図示されている。その後、接着材料30は、表面32,34に対する接着材料30の接着を強化するため、表面32,34、部材36,38またはこの両方の間の連結の強度(例えば引張強度またはラップシェア強度)を強化するため、あるいはこの両方のために、第1の硬化剤によって少なくとも部分的に、またはほぼ完全に硬化される。
【0044】
接着材料は、湿分曝露あるいはそれ以外の硬化メカニズムへの曝露前は、表面への接着を促進するためにある程度の天然の粘着力を有するか、あるいはほぼ半硬化乾燥となるように調製されることが理解されよう。第1の硬化剤による硬化中に、接着材料を膨張させる、接着材料を発泡させる、接着材料の表面への濡れ(whet)を促進するか、これらのうちの複数を行うために、発泡剤のうちの1つを使用することができることも考察される。
【0045】
前述のように、硬化は、第2の硬化剤を使用せずに、第1の硬化剤のみによってもよい。しかし、好ましい一実施形態によれば、接着材料は、少なくとも第2の硬化剤による基材の硬化が関与する第2の活性化段階を経る。
【0046】
第2の硬化剤は、第1の硬化剤と同様に、さまざまなメカニズムによって活性化することができ、その一部をここに記載した。好ましい一実施形態では、接着材料は、高い温度への曝すことによって活性化すると、膨張、発泡、硬化(架橋、熱硬化など)、濡れ、接着、あるいはこれらの組合せを起こす。第2の硬化のための例示的な高い温度は、望ましくは約80℃から約200℃、より一般的には約100℃から約140℃であるが、特段の断りのない限り、温度がこれより上下してもよい。このような温度は、例えば、オートクレーブまたはオーブン内か、あるいは例えば、加熱ブランケット、赤外線ランプ、誘導加熱によって得ることができる。
【0047】
有利なことに、2段階の接着材料硬化では、第1の硬化により、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で、表面への連結、あるいは2以上の表面間の連結が強化されて、その表面を有する部材に対して、後続の処理(輸送、移動、更なる組立など)ができるようになる。次に、第2の硬化により、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で、製品の使用に充分耐えうるだけの強度の連結が得られる。例えば、航空宇宙ビークルまたは自動車両の部材の場合、第1の硬化によって、部材が、連結が外れることなく、更なる組立またはほかの処理を受けるのに充分な強度を有する連結が与えられる。次に、第2の硬化によって、飛行中または車両の走行中に発生しうる力に耐えるだけの充分な連結が与えられる。ここでも、接着剤によるこれらの連結のそれぞれは、単独で、あるいは他の連結部材(メカニカルファスナなど)との併用で充分でありうる。
【0048】
本発明の接着材料50を使用するプロセスの好ましい一実施形態が図2に示される。図に示すように、接着材料が第1の表面52と第2の表面54の間に置かれ、これらに接触している。図の実施形態では、第1の表面52は第1の部材58(パネルなど)の一部であり、第2の表面54は第2の部材60(パネルなど)の一部である。一実施形態では、第1の部材と第2の部材は、航空宇宙ビークルの部品である。考えられる適切な部品または部材としては、外板、リブ、スパー、ブラケット、これらの任意の組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい部品は、「箱形部品」またはトンネル形成部品であり、好ましくは航空宇宙用の操縦面、あるいは、エレベータ、ラダー、ウィングの可動部(例えば内側および外側のフラップおよび/またはエルロン)、安定板(水平安定板など)、フィン(垂直フィンなど)などの構造の一部である。
【0049】
接着剤は、表面52,54に接触している間かその後に、第1段階の硬化を受ける。その後、部材58,60が更に処理されうる。例えば、図に示すように、開口部(スルーホールなど)が、第1の部材、第2の部材、接着剤またはこれらの任意の組合せに形成される(穿孔されるなど)か、これらを貫通して形成されるか、この両方が行われうる。次に、第1の部材の第2の部材への取り付けを補助するために、リベット等の締結具が開口部に設けられる。更に、後続の処理前に、後続の処理中またはその後に、接着剤の接着材料50が第2の硬化を受けうる。例えば、接着材料は、第2の硬化のために、約80℃から約200℃、より一般的には約100℃から約140℃の高い温度に曝露されうる。
【0050】
第1の硬化後、接着材料は少なくとも約0.7MPaか、おそらくこれよりも低くてもよく、より一般的には少なくとも約1.6MPa、更におそらくは少なくとも約2.4MPaのラップシェア強度を示すと考察される。第1の硬化後、接着材料は100MPa未満か、おそらくこれよりも高くてもよく、より一般的には約10MPaまたは7MPa未満、更におそらくは4.5MPa未満のラップシェア強度を示すことも考察される。第2の硬化後、接着材料は少なくとも約10MPaか、おそらくこれよりも低くてもよく、少なくとも約15MPa、より一般的には少なくとも約20MPa、更におそらくは少なくとも約25MPaのラップシェア強度を示すと考察される。1段階の硬化では、強度は、通常、第2硬化後について記載した値に準ずる。本発明のラップシェア強度は、ASTM D1002-01「Apparent Shear Strength of Single-Lap-Joint Adhesively Noded Metal Specimens by Tesion Loading (Metal-to-Metal)」またはASTM D3528-96「Standard Test Method for Strength Properties of Double Lap Shear Adhesive Joints by Tension Loading」に従って計算することができる。
【0051】
湿分硬化
第1の硬化剤の活性化のための第1のメカニズムは、ここに記載したメカニズムのいずれかであっても、別のメカニズムであってもよい。しかし、好ましい実施形態では、第1の硬化剤は、接着材料、特に第1の硬化剤を湿分に曝露させることによって活性化されて、基材を硬化(架橋など)させる。
【0052】
本明細書で用いられる「湿分曝露」との文言は、通常は水への何らかの曝露を指すが、ほかの液体に対する曝露であってもよい。このため、特段の断りのない限り、湿分曝露には、湿気、蒸気、液体水、水を含む任意の材料、これらの組合せなどを含むことができるが、限定するものではない。
【0053】
第1の硬化剤は、接着材料の1つ以上の表面に湿分層を置く(塗付、噴霧、ブラッシング、塗布など)ことによって、湿分曝露されうる。接着材料は、接着材料を、水を含む液体中に沈めるか、あるいは霧または蒸気などの多湿環境または結露湿気環境に曝すことによって、湿分曝露されうる。接着剤が液体状態、ペースト、流動可能な状態、混合可能な状態、半固体状態、あるいはこれらの任意の組合せの状態で供給される場合、接着材料に水が混合されてもよい。
【0054】
接着材料、第1の硬化剤またはこの両者の曝露を促進するために、上記の方法に加えて、あるいはその別法として、複数の方法を使用することができる。一例として、接着材料の表面が受ける湿分曝露を上げやすい外部の湿分材料の場合、その湿分材料が、接着材料がとる任意の形態(フィルムまたはペーストなど)の接着材料の表面に積層および/または一体化されていてもよい。
【0055】
湿分材料は、繊維状材料(布帛など)、ファブリック、塊(agglomeration)またはそれ以外で提供されうる。好ましい一構成では、湿分材料は複数の開口部を提供しており、これが適用されると、開口部に湿分を集め、このため、接着材料の表面の湿分曝露の量を大きくするか、曝露の時間を長くするか、この両方を起こす。好ましい湿分材料の例は、湿分を受け容れる開口部を形成するように織られたり、ほかの方法で塊化された複数のポリマー繊維またはほかの繊維で形成されるスクリム材料の布帛である。
【0056】
湿分材料は、接着材料の1表面または複数の表面(例えば、2、3またはそれ以上の表面)に適用されうることが考察される。一実施形態では、湿分材料が接着材料の一方の表面に適用され、接着材料の他の表面には湿分材料が設けられない。有利なことに、湿分材料は、比較的非粘着で取り扱うための表面とされるに対し、もう一方の面は、湿分曝露の有無にかかわらず、部材の表面に接触および/または接着されうる。その後、湿分材料を有する表面が、同じか別の部材(the same of a different)の別の表面に接触および/または接着され、その際、好ましくは事前に湿分曝露されるが、事前の曝露が行われなくてもよい。
【0057】
これに加えて、あるいは別法として、表面の湿分曝露を、時間、量、あるいはこの両方について上げるために、複数の開口部(空洞など)および/または起伏(突出部など)が接着材料の1つ以上の表面に形成されてもよい。図3に示す一実施形態では、湿分保持用のポケットを作製するために、湿分材料の開口部が、接着材料の開口部と位置合わせされる。
【0058】
有利なことに、表面の湿分曝露を、時間、量、あるいはこの両方について上げると、接着材料の表面のほかに接着材料の内部の硬化が向上し、これは、湿分が表面から接着材料内にどの程度速くかつ効果的に拡散するかどうかによって決まる。接着材料への湿分の拡散を促進するために1つ以上の方法を使用することが望ましいこともある。このため、内部の湿分材料を接着材料に取り入れることが望ましいこともある。ここで上記した湿分材料のいずれも、接着材料の内部に取り入れることができるが、接着材料の内部に取り入れることができる追加あるいは代替の湿分材料について下記に記載する。これらの材料が、接着材料の内部にあるものとして説明するが、このような材料が、表面湿分材料として、表面の上で(層などで)使用されてもよいことも考えられる。
【0059】
内部湿分材料は、特段の断りのない限り、接着材料に混入するのに適した任意の親水性材料でありうる。内部湿分材料は、チャンク、ペレット、パルプ、繊維やこれらの組合せなどの、さまざまな構成の細片として提供することができる。繊維または繊維状材料が特に有効であることがわかっている。内部湿分材料のための材料は、ポリマー材料、セルロース、アラミド、ナイロン、ケブラー(登録商標)、シリカ、あるいはこれらの任意の組合せなどを含むことができる。有利なことに、内部湿分材料は、特に、湿分材料のない場合の接着材料の自然の拡散速度に比べて、接着材料への湿分の拡散速度を上げることができる。接着材料への水の移動を促進するために、接着材料を高い温度に加熱してもよいことが更に考察される。このような高い温度は、一般的には少なくとも約30℃、より一般的には少なくとも約40℃で、一般的には約120℃未満、より一般的には約100℃未満であるが、温度がこれよりも上下してもよい。
【0060】
接着材料は、表面に接着材料を接触させた前、接触中あるいはその後で、湿分曝露されうることが理解されよう。接着材料は、湿分曝露あるいはそれ以外の硬化メカニズムへの曝露前は、表面への接着を促進するためにある程度の天然の粘着力を有するか、あるいはほぼ半硬化乾燥となるように調製されることも理解されよう。第1の硬化剤による硬化中に、接着材料を膨張させる、接着材料を発泡させる、接着材料の表面への濡れ(whet)を促進するか、これらのうちの複数を行うために、発泡剤のうちの1つを使用することができることも考えられる。
【0061】
第1の硬化剤は、通常、所定の望ましいメカニズムに従って基材を硬化させるように選択される。第1の硬化剤の一部として含有されうる好ましい材料は、アミン アミド、ケタミン、またはこれらの組合せなどである。
【0062】
アミンは、使用される場合には、第一級アミン、第二級アミンまたはこれらの組合せでありえる。また、アミンは、ジアミン、第三級アミンまたはそれ以外であってもよい。アミンは、メチル基、エチル基、ブチル基、あるいはこれらの任意の組合せなどの炭化水素部分を1つまたはそれ以上有してもよいが、これらに限定されない。特に好ましい1つのアミンは、エチレンジアミンである。
【0063】
第1の硬化剤は、基板またはバインダを有していてもよい。基板は通常ポリマー材料(コポリマーなど)であるが、これは必須ではない。基板は、アセテート、アクリレートまたはそれ以外であってもよい。更に、基板は、メチル基、エチル基、ブチル基、あるいはこれらの任意の組合せなどの部分を1つまたはそれ以上含みうるが、これに限定されない。特に好ましい1つの基板は、第1の硬化剤(例えばアミン)によって部分的またはほぼ完全に被覆されているか、これを含浸させたモレキュラシーブおよび/または担体材料などの多孔質材料である。このような材料は、微孔性の粉末またはペレットとして提供されうる。このような材料の例は、エチレンジアミンが実質的に含浸されており、エチレンブチルアクリレートコポリマーバインダを更に含むモレキュラシーブ材料である。このような硬化剤は、ペレットまたは粉末として供給され、商品名LOTADER XX1333Cとして販売されており、アルケマ・コーポレーション(Arkema Corporation)から商業的に入手可能である。このような硬化剤では、湿分は、アミンまたは他の硬化剤を、ポリマー材料を硬化(架橋など)させるように、基板、シーブまたは担体から移動させるように作用しうる。
【0064】
接着材料が、製品の部材または部品の表面に接着されるか、接着材料が第1の硬化を受けるか、この両方が行われると、前述のように、接着材料は、接着材料の表面への連結を強化するために、第2の硬化を受けうる。第2の硬化は、通常、接着材料を活性化させて、膨張、発泡、硬化(架橋、熱硬化など)、濡れ、接着、あるいはこれらの任意の組合せを起こさせることに関与する。第2の硬化剤は、第1の硬化剤と同様に、さまざまなメカニズムによって活性化され、その一部についてはここに記載した。好ましい一実施形態では、接着材料は、昇温または熱によって活性化される。
【0065】
湿分硬化接着材料は、それを適用する前は、低湿度環境に保管することが望ましいことがある。このため、接着材料が、密封容器(バッグなど)に入った、事前形成された塊として保管されてもよく、この容器には、乾燥剤、不活性ガスまたはこれらの複数が入っていてもよい。
【0066】
湿分/昇温硬化のための接着材料の例示的な配合を、量を重量%で表わして下記の表1に記載する。
【表1】
【0067】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0068】
2温度硬化
一実施形態では、接着材料は、第1の温度範囲内でほぼ硬化する第1の硬化剤と、第2の温度範囲内で硬化する第2の硬化剤を含むように調製される。第1の温度範囲には、周囲温度または室温またはその近傍の温度が入り、第2の温度範囲は、周囲温度または室温より高い温度が入りうる。別の実施形態では、第1の温度範囲と第2の温度範囲は、周囲温度または室温より高い温度でありうる。
【0069】
周囲温度/昇温の硬化では、第1の温度範囲には、一般的には少なくとも約−10℃、より一般的には少なくとも約8℃、更により一般的には少なくとも約15℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約55℃未満、更により一般的に25℃未満(約20℃近傍など)の温度が含まれる。第2の温度範囲には、一般には少なくとも約80℃、より一般的には少なくとも約105℃、更により一般的には少なくとも約115℃で、より一般的には約300℃未満、更により一般的には約180℃未満、更により一般的には約140℃未満の温度が含まれる。
【0070】
昇温/昇温の硬化では、第1の温度範囲には、一般には少なくとも約10℃、より一般的には少なくとも約25℃、更により一般的には少なくとも約35℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約55℃未満、更により一般的に45℃未満(約40℃近傍など)の温度が含まれる。第2の温度範囲には、一般には少なくとも約80℃、より一般的には少なくとも約105℃、更により一般的には少なくとも約115℃で、より一般的には約300℃未満、更により一般的には約180℃未満、更により一般的には約140℃未満の温度が含まれる。
【0071】
当然、特段の断りのない限り、上記の範囲よりも高い範囲や低い範囲も使用できると考えられる。第1の硬化剤または第2の硬化剤は、挙げた温度よりも高い温度で硬化しうるが、硬化剤が、記載した最低温度より低い温度では実質的に反応しないことが望ましいことがあるとも考えられる。
【0072】
接着剤の使用のために、接着剤の原料が混合されて、その後実質的に未硬化で保持される。周囲温度/昇温硬化では、原料は、通常混合されて、その後、周囲温度または室温より低い温度に保持される。例えば、図4において、接着材料の原料が、押出し機として示される混合装置66で混合されて、塊68(細片またはテープなど)に形成され(例えば、押出され)、その後、適用されるまで低温(例えば、15℃、0℃またはそれ以下)で保管される。接着剤の塊68は、上記のように適用され、第1の硬化を受けて、第1の硬化剤の活性化温度(すなわち周囲温度または室温)で表面に接着できるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。次に、接着剤が、第2の硬化剤の第2の活性化および/または硬化のための活性化温度に曝露されうる。
【0073】
昇温/昇温硬化では、原料は、通常混合されて、その後、第1の硬化剤の活性化温度より低い温度(例えば、周囲温度または室温)に保持される。例えば、再び図4を参照すると、接着材料の原料が、押出し機として示される混合装置66で混合されて、塊68(細片またはテープなど)に形成され(例えば、押出され)る。しかし、塊68を周囲温度または室温より低い温度で保管しなくてもよい。接着剤の塊68は、上記のように適用され、第1の硬化を受けて、第1の硬化剤の活性化温度で(すなわち、接着材料を第1の活性化範囲の昇温に曝露することによって)表面に接着できるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。次に、接着剤が、第2の硬化剤の第2の活性化および/または硬化のための活性化温度に曝露されうる。
【0074】
混合中に、温度が第1の硬化剤および/または第2の硬化剤の硬化温度を超える可能性があると考えられる。しかし、接着材料がすばやく混合され、塊に形成されて、好ましくは、活性化より低い温度に急速に冷却されれば、使用前に塊を実質的に未硬化のままで保つことができる。
【0075】
環境温度/昇温硬化
2温度硬化(環境温度/昇温硬化など)のための接着材料の1つの好ましい配合が、下記の表2に示されている。
【表2】
【0076】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0077】
昇温/昇温硬化
2温度硬化(昇温/昇温硬化など)のための接着材料の1つの好ましい配合が、下記の表3に示されている。
【表3】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0078】
単一硬化
一実施形態では、接着材料は、第1の温度で未硬化で保持されて、次に、一般に第1の温度よりも高い第2の温度で膨張、発泡、硬化、熱硬化、またはこれらの任意の組合せを起こすように設計される。この実施形態の接着材料は、一般に、所定の温度範囲内の第2の温度で、接着材料をほぼ完全に硬化させる(例えば、少なくとも90%、95%、99%またはそれ以上硬化させる)か、完全に硬化させる硬化剤を含むように調製される。第1の温度は一般には約40℃未満、より一般的には約15℃未満、更により一般的には約7℃未満、更により一般的には約0℃未満、おそらく約−11℃未満であるが、これより高い温度も可能である。通常、硬化剤および/または接着材料は、上に記載した温度よりも低い温度では、ほぼ反応しないことが望ましい。温度範囲には、少なくとも約−10℃、より一般的には少なくとも約8℃、更により一般的には少なくとも約15℃で、一般的には約100℃未満、より一般的には約75℃または50℃未満、更により一般的には約35℃未満、おそらく約25℃未満(23℃近傍など)の温度が通常含まれるが、温度がこれよりも上下してもよい。
【0079】
好ましい一実施形態では、接着材料は、接着材料の初期硬化および/または流動を促進する第1の温度範囲の高い温度(約40℃など)に曝露され、その後、硬化の継続中に別の温度(約23℃など)に冷却されうる。有利なことに、高い温度に曝露されると、一部の接着材料が流れ、接着材料が接着される2表面の間から一部はみ出すように促進されうる。このような利点については、下記で更に述べる。
【0080】
単一硬化の原料は、周囲温度/昇温での硬化に使用されるのと同じ方法で混合されて塊、細片に形成され、その後、同様の方法で保管されうる。接着剤の塊は、上記のように適用され、硬化剤の活性化温度で活性化(硬化、発泡またはこの両方など)を受けて、表面に接着されるようにされうる。上記のように、接着剤とその接着剤が接着される部材は、その後、後続の処理を受けうる。
【0081】
混合中に、温度が硬化剤の硬化温度を超える可能性があることが考えられる。しかし、接着材料がすばやく混合され、塊に形成されて、好ましくは、活性化より低い温度に急速に冷却されれば、使用前に塊を実質的に未硬化のままで保つことができる。
【0082】
【表4】
【0083】
上に、接着材料の例示的な配合について記載した。これらは単に例に過ぎないため、さまざまな原料の重量パーセントが±50%以上、±30%、または±10%変動しうることが考察される。例えば、50±10%という値は、45から55の範囲にある。更に、原料を追加したり、除外してもよい。
【0084】
刺激
別の追加の実施形態または代替の実施形態では、接着材料内で硬化反応を生じさせる放射、エネルギーまたは電流等の刺激に接着剤を曝露させることで、第1の硬化を行うことができる。一般に、本明細書で使用するように、「放射」とは、光線、波、粒子等によるエネルギーの伝達を含む。放射は、使用される場合には、例えば、電磁放射、熱放射、赤外線、紫外線、可視光、マイクロ波、これらの組合せなどから選択されうる。
【0085】
図5を参照すると、接着材料74が、1つ以上の部材の1つ以上の表面と接触して配置され、接着材料74を硬化(例えば第1の硬化)させる刺激78に、接着材料74を曝露させるために、機械または装置76を使用することができると考えられる。刺激78は、ここに記載したものであればどのような刺激であってもよい。刺激78は、例えば、接着材料を加熱してこれによって硬化させるマイクロ波であってもよい。刺激78は、(誘導によってなどによって)電流の流れおよび/または加熱を引き起こし、これによって接着材料を硬化させる起電力であってもよい。刺激78は、硬化を起こさせる紫外線であってもよい。
【0086】
刺激として紫外線などの光が使用される場合、図5Aに示すように、光84によって生じる化学反応(硬化反応など)のために、接着材料88を通って光84が伝搬されてもよいことが考察される。しかし、別法として、図5Bに示すように、例えば光ファイバ(フィラメントなど)によって、光84の経路90が提供されてもよい。
【0087】
刺激に曝露させて硬化させた(すなわち初期硬化または第1の硬化)後は、接着材料が、通常、接着剤の所望の特性を得るために、第2の硬化工程で更に硬化されるが、これは特段の断りのない限り必須ではない。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる。
【0088】
塊の混合
別の追加の実施形態または代替の実施形態では、材料の2つ以上の塊が、接着材料を形成する、第1の硬化を開始させる、あるいはこの両方を行うために結合されてもよいことが考察される。塊は好ましくは固体または半固体であるが、液体(封入された液体など)のこともある。塊のうちの1つが固体または半固体であり、もう一方が液体であってもよい。通常、塊のうちの1つは第1の硬化剤を含み、他の塊は第1の硬化剤によって硬化可能なポリマー材料を含む。塊を混合する際には、例えば、2つの固体の塊を押圧して、接着材料の1つの塊に結合させることによって、ここに記載するように1つ以上の表面に接着材料を接着するために、第1の硬化剤がポリマー材料を硬化する。
【0089】
接着しょうとする表面に接着材料を接触させる前に、塊を圧着することができると一般に考えられるが、2つ以上の部材の2つ以上の表面の間に塊が置かれて、表面の間を押し、塊を結合および/または混合させることが好ましい。図6Aを参照すると、第1の硬化剤を有し、実質的に固体の材料の第1の塊が、第1の層100として提供され、第1の硬化剤によって硬化可能なポリマー材料(エポキシ樹脂など)を有する実質的に固体の材料の第2の塊が、第2の層102として提供される。2つの層100,102は、層100,102を混合させて接着材料103を形成するために圧着され、接着材料103は混合時に第1の硬化を受けて、この接着材料を、第1の部材106の第1の表面104と第2の部材110の第2の表面108に接着させる。上記のように、表面104,108への接着材料の接触と、混合による接着材料103の形成がほぼ同時に行われるように、表面104,108に接着材料を接触させる前に、層100,102が、接着材料を形成するために圧着されても、表面104,108が層100,102を一緒に押圧してもよい。
【0090】
混合され硬化される塊が、第1の多く(100個、1000個またはそれ以上など)の固体または半固体の塊と、第2の多く(100個、1000個またはそれ以上など)の固体または半固体の塊として提供されて、これらが、混合のために互いに接近されて圧着されてもよいことも考察される。図6Bを参照すると、第1の材料120が押出されて、次に、第1の硬化剤を含む第1の粉末として示す第1の多くの塊122に分けられ(粉末化されるなど)、第2の材料124が押出されて、次に、第1の硬化剤と反応性を有するポリマー材料を含む第2の粉末として示す第2の多くの塊126に分けられる(粉末化されるなど)。次に、塊122,126を(例えば、液体またはペースト材料の塊を結合することによって)互いに接近させて、接着材料130が形成される。次に、液体またはペースト材料130が、散布、噴霧、注入、塗付、ブラッシング等によって表面に置かれて、第1の硬化を行うために、第1の塊122と第2の塊126を結合および/または混合させるために、表面間で押されうる。
【0091】
塊を混合させることで硬化(すなわち初期硬化または第1の硬化)を行った後は、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために、第2の硬化工程で更に硬化される。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる。
【0092】
抵抗加熱
接着材料が、電位等の刺激への曝露を受けて加熱される1種類の原料を含んでもよいことも考えられる。原料が、金属(リン化鉄など)またはグラファイト(天然グラファイトまたは合成グラファイトなど)等の材料の塊(例えば粉末、ペレット、フレーク チャンク等)を含んでもよく、これらは、電流の流れについて導電性および/または抵抗性を示しうる。
【0093】
図7を参照すると、導電性および/または抵抗性を示す原料を含む接着材料140が、1つ以上の部材142,144(例えば航空機のスパー、リブ、外板など)の1つ以上の表面に接触されうる。接着材料140が、この接触の前、接触中またはその後に、電気的に正の部材(電極など)と電気的に負の部材(電極など)に曝露され(すなわち、接触され)、電流が材料140を通って流れる。次に、抵抗性物質が加熱されて、接着材料140の初期硬化または第1の硬化が起こる。
【0094】
初期接着または第1の接着または硬化の後は、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために第2の硬化を受ける。接着材料の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる(例えば、初期接着よりも高い温度に曝露するなど)。
【0095】
非硬化接着
接着材料が、活性化されて、実質的に硬化することなく(すなわち、接着材料の硬化が10%未満、より一般的には2%未満、おそらく0.1%未満)、1つ以上の部材の1つ以上の表面に接着できることが、一般に考えられる。このような実施形態では、材料の自然の接着性を利用して、表面への第1の接着の程度が得られ、その後、所望の特性が得られるように、接着材料が活性化されて硬化し表面に接着しうる。このような初期接着は、例えば、固体の比較的低い分子量または液体エポキシ樹脂を接着材料に添加することによって行うことができる。
【0096】
例として図8を参照すると、最初は粘着性であるか実質的に非粘着性の接着材料160を、接着させる1つ以上の表面に接触させる前か、接触させている間かその後にこの材料160が加熱され、材料160の所望の粘着のレベルが得られる。この際、特に材料160で濡らした後に材料160が冷却される場合、材料160が1つ以上の表面を濡らし、これに接着する。
【0097】
刺激への曝露による初期接着または第1の接着または硬化の後、特段の断りのない限り必須ではないが、接着材料は、通常、接着剤の所望の特性を得るために第2の硬化を受ける。接着材料の第2の硬化は、ここに記載した第2の硬化方法またはそれ以外によって行うことができる(例えば、初期接着よりも高い温度に曝露するなど)。
【0098】
各種実施形態の利点
本発明のいくつかの実施形態は、宇宙産業または自動車産業等の産業に利点をもたらしうる。例えば、本発明の接着材料は、ペーストまたはポンプ供給可能な製品とは対照的に、事前形成された塊(テープなど)として提供することができる。ここに記載するように、このような事前形成された塊は、手動で、または自動で表面に適用することができる。事前形成された塊は、表面に接着材料を手動でこて塗りしたり、ポンプ供給する場合とは対照的に、一定の状態で表面に適用される。このように一定の状態で適用できれば、適用すべき接着材料の量または重量を、良好に制御できるようになる。更に、本発明の接着材料、特に単一硬化の材料は、オープン時間(open time)が長い(すなわち、接着材料が、保持されている初期温度では剥離でき、その後少なくとも1時間、おそらく少なくとも3時間か4時間は再利用して適用することができる)が、これは特段の断りのない限り必須ではない。接着が不充分な箇所がほとんどないか全くないことを保証できるように、事前形成された塊を使用すると、接着材料が表面の間から均一にはみ出しうる。
【0099】
特段の断りのない限り、ここに記載した各種構造の寸法および外形は本発明を限定することを意図したものではなく、ほかの寸法または外形も可能である。1つの一体化された構造により、複数の構造構成要素が提供されうる。別の実施形態では、1つの一体化された構造が、独立した複数の構成要素に分けられうる。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つのみにより記載した場合もあるが、任意の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組合せることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明に係る方法を構成していることが、上記から理解されよう。
【0100】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかし、当業者は、本発明の教示に特定の変更例を取り入れることができることを理解するであろう。このため、本発明の真の範囲および内容を決定するには、添付の特許請求の範囲を検討すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一態様による、部材の表面に接着された例示的な接着材料の断面図である。
【図2】本発明の一態様による、例示的な組立工程を示す図である。
【図3】本発明の一態様に従って処理された例示的な接着材料を示す図である。
【図4】本発明による接着材料の例示的な形成および保持を示す図である。
【図5】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図5A】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図5B】本発明の一態様による例示的な硬化法を示す図である。
【図6A】本発明の態様による、接着材料の形成、硬化および/または接着のための例示的な方法を示す図である。
【図6B】本発明の態様による、接着材料の形成、硬化および/または接着のための例示的な方法を示す図である。
【図7】本発明の一態様による別の例示的な硬化法を示す図である。
【図8】本発明の一態様による接着および/または硬化のための別の例示的な方法を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および第2の表面を提供するステップと、
(i)エポキシ材料と、
(ii)硬化剤とを含む接着材料を提供するステップと、
前記接着材料を第1の温度に保持するステップと、
前記接着材料を、前記第1の表面、前記第2の表面またはこの両方に接触させるステップと、
前記接着材料を活性化して硬化させ、前記第1の表面および前記第2の表面に対する所望の接着レベルを得るためのある温度範囲内の第2の温度に前記接着材料を曝露するステップとを含み、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、接着方法。
【請求項2】
前記第1の温度は15℃より低い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の表面および前記第2の表面が航空宇宙ビークルの少なくとも1つの部材の一部であり、前記少なくとも1つの部材は、外板、リブ、スパー、ブラケット、エレベータの部品、ラダー、ウィングの可動部、安定板、フィンまたはこれらの任意の組合せから選択される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記温度範囲は少なくとも15℃、および100℃より低い温度が含まれる請求項1、2、または3記載の方法。
【請求項5】
前記接触ステップ中または前記接着材料の活性化中に、前記接着材料の少なくとも一部が前記第1の表面と前記第2の表面の間からはみ出る、請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の表面および前記第2の表面への第2の接着レベルを得るために、第2の硬化剤によって前記接着材料を更に硬化させるステップを更に有する請求項1乃至5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記第2の硬化剤は前記第2の硬化剤を高い温度に曝露することを含むメカニズムによって活性化されて前記接着材料を硬化させる請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記接着材料は、前記温度範囲での硬化後に、少なくとも15MPaのラップシェア強度を示す請求項1乃至7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記接着材料は前記第2の温度に曝露されると発泡する請求項1乃至8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記第1の温度は約7℃より低い請求項1乃至9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度は約0℃より低い請求項1乃至10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記接着材料は湿分に曝露されると硬化し、前記接着材料はモレキュラシーブ硬化剤を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記接着材料は、前記接着材料への前記湿分の輸送を促進するセルロース繊維、スクリムあるいはこの両方を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記接着材料は膨張剤を更に含む請求項1乃至13のいずれか一項記載の方法。
【請求項1】
第1の表面および第2の表面を提供するステップと、
(i)エポキシ材料と、
(ii)硬化剤とを含む接着材料を提供するステップと、
前記接着材料を第1の温度に保持するステップと、
前記接着材料を、前記第1の表面、前記第2の表面またはこの両方に接触させるステップと、
前記接着材料を活性化して硬化させ、前記第1の表面および前記第2の表面に対する所望の接着レベルを得るためのある温度範囲内の第2の温度に前記接着材料を曝露するステップとを含み、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、接着方法。
【請求項2】
前記第1の温度は15℃より低い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の表面および前記第2の表面が航空宇宙ビークルの少なくとも1つの部材の一部であり、前記少なくとも1つの部材は、外板、リブ、スパー、ブラケット、エレベータの部品、ラダー、ウィングの可動部、安定板、フィンまたはこれらの任意の組合せから選択される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記温度範囲は少なくとも15℃、および100℃より低い温度が含まれる請求項1、2、または3記載の方法。
【請求項5】
前記接触ステップ中または前記接着材料の活性化中に、前記接着材料の少なくとも一部が前記第1の表面と前記第2の表面の間からはみ出る、請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の表面および前記第2の表面への第2の接着レベルを得るために、第2の硬化剤によって前記接着材料を更に硬化させるステップを更に有する請求項1乃至5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記第2の硬化剤は前記第2の硬化剤を高い温度に曝露することを含むメカニズムによって活性化されて前記接着材料を硬化させる請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記接着材料は、前記温度範囲での硬化後に、少なくとも15MPaのラップシェア強度を示す請求項1乃至7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記接着材料は前記第2の温度に曝露されると発泡する請求項1乃至8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記第1の温度は約7℃より低い請求項1乃至9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度は約0℃より低い請求項1乃至10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記接着材料は湿分に曝露されると硬化し、前記接着材料はモレキュラシーブ硬化剤を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記接着材料は、前記接着材料への前記湿分の輸送を促進するセルロース繊維、スクリムあるいはこの両方を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記接着材料は膨張剤を更に含む請求項1乃至13のいずれか一項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−95071(P2008−95071A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−203067(P2007−203067)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(507150873)ゼファロス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203067(P2007−203067)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(507150873)ゼファロス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]