説明

多波長センサアレイ

多波長光源を用いて複数の異なったセンサアレイのラダー、具体的にはサニャックセンサアレイ(SSA)ラダーのそれぞれに異なった波長のパルスを送ることにより、光源を1つ有するSSAシステムで使えるセンサの数を増やすことができる。さらに詳しく言えば、広帯域光源からの広帯域パルスを複数のより狭い波長帯域のパルスに波長分割して、当該より狭い波長帯域のパルスをそれぞれ別個のセンサアレイラダーにおいて用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には光ファイバセンサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来技術のサニャックセンサアレイ(SSA)システム1を示し、当該システム1は、光源3、入力ポート7A〜Cと出力ポート9A〜9Cとを有するカプラ5、時計回りの周回光路A、反時計回りの周回光路C、時計回りのチャネルカプラ15A(1)〜15A(N−1)(図では、N−1=2)、反時計回りのチャネルカプラ15C(1)〜15C(N−1)(図では、N−1=2)、ラング(rung)R1〜RN、センサ17(1)〜(N)、そして検出器19F、19Gを有する。3つ目のラングをNラングと呼ぶ理由は、さまざまなセンサアレイ間で実際のラングの数を変えられる、ということを示すためである。
【0003】
SSAシステム1においては、一連の光パルスを有する信号21が、3×3光カプラ5に連結された強度変調光源3により生成される。信号21はカプラ5により3つの出力ポート9A、9B、9C間で等分割され、光源3から出力された信号パルス21はそれぞれ、バスAに沿って進む時計回り(cw)のパルス(信号21A)と、バスCに沿って進む反時計回り(ccw)のパルス(信号21C)とに分割される。cw信号21Aとccw信号21Cとは、バスA、Cを進んでカプラ15A(1)、15C(1)に達し、カプラ15A(1)、15C(1)それぞれによって信号21A、21Cの一部は分割され、それによって分割された部分はラングR1を通り、分割されていなかった部分はバスA、Cを進み続ける。分割されていなかった部分は、次の一組のカプラ15A(2)、15C(2)に達するまで進み続け、こうして達した信号の一部はカプラ15A(2)、15C(2)それぞれによって分割され、それによって分割された部分はラングR2を通る。信号21A、21Cの残りの部分のこうした分割は最後のラングRNに達するまで繰り返され、最後のラング RNにおいて、信号21Aは複数の信号21A(R1)〜21A(N)に、信号21Cは複数の信号21C(R1)〜31C(N)に分割された状態となる。見て取れるように、バスA、Cはそれぞれ、一列に配置された複数のチャネルを有し、これらはカプラ15A、15Cにより連結されている。
【0004】
信号21A、21Cのうち分割された部分21A(R1)〜21A(RN)、21C(R1)〜31C(RN)は、ラングR1〜RNを通る際にラングR1〜RNのセンサ17(1)〜(N)により変化させられる。図示されているように、分割された部分21A(R1)〜21A(RN)はセンサ17(1)〜(N)を通過した後は21F(R1)〜21F(RN)と示され、分割された部分21C(R1)〜21C(RN)はセンサ17(1)〜(N)を通過した後は21G(R1)〜21G(RN)と示されている。センサ17(1)〜(N)を出ると、信号21F(R1)〜21F(RN)は、カプラ15C(1)〜15C(N)によりバスCで結合されて信号21Fを形成し、信号21G(R1)〜21G(RN)はカプラ15A(1)〜15A(N)によりバスAで結合されて信号21Gを形成する。
【0005】
信号21A、21C(21Cはセンサを通過後に21Gになった後)のパルスはそれぞれコイル6で遅延されてラングごとに分割されるため、信号21A、21Cのパルスはそれぞれ信号21F、21Gにおいて多重パルスとなり、その際のパルス数の増加はSSAシステム1におけるラングR1〜RNの数に比例する。信号21F、21Gにおける個々のパルスは互いに独立しており、信号21Fにおける各パルスには、1つの特定のセンサのラングにあるセンサを介して得られる感知情報が含まれており、信号21Gにおける各パルスには、もう1つの特定のセンサのラングにあるセンサを介して得られる感知情報が含まれている。
【0006】
信号21Fと21Gとは3×3カプラ5において結合される。信号21F、21Gの個々のパルスのタイミングは、特定のラングを通過した1つの入力パルスに対応するcwパルスとccwパルスとの両方がカプラ5を同時に通過する、というものである。結果として、特定のラングに関するパルスは干渉し合う。結果生じた(ポート7A、7Cを出た)信号21F’、21G’は検出器19F、19Gにより検出され、検出された信号はセンサ17(1)〜(N)により与えられた情報を得るため用いられる。
【0007】
SSAシステム1などのセンサシステムでは、持たせることができるセンサ/ラングの数に制限を加えて信号対ノイズの問題が生じないようにする。このことは、少なくとも部分的には、cw信号とccw信号とを全てのセンサ/ラングで分ける必要があるためである。残念ながら、センサの数に制限があることにより、SSAシステム1の対象となり得る感知区域が制限される。さらに、センサの数が制限されることによりSSAシステム1の感知能力も制限される。
【0008】
後で行う説明のため、以降、SSAシステム1のうちカプラ5の右側に当たる部分をSSAシステム1の「ラダー(はしご形構造)」または「SSAラダー」と呼ぶ。図から見て取れるように、SSAシステム1のラダー31は一対のバスA、Cと、バスAとバスCとの間に延びたラングR1〜RNと、そうしたラングのセンサとを有する。SSAラダー31は遅延コイル6をさらに有する。しかし、「ラダー」および「SSAラダー」という言葉を詳細な説明において用いる場合、それらに遅延コイルが含まれているとは限らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、多波長光源を利用して複数の別々のセンサアレイのラダー(具体的に言えば、サニャックセンサアレイ(SSA)のラダー)それぞれに異なった波長のルスを送ることにより、光源を1つ有するSSAシステムで使用できるセンサの数を増やすことを目的とする。さらに詳しく言えば、広帯域(broadband)光源からのそれぞれの広帯域パルスは複数のより狭い波長帯域のパルスに分割される波長で、当該より狭い波長帯域のパルスはそれぞれ別個のセンサアレイのラダーにおいて使われる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の例示的な実施の形態において、本発明は、クエリ信号を供給する信号源と、複数のセンサアレイのラダーと、そして、クエリ信号の第1の周波数スライス(frequency slice)を複数のセンサアレイの第1アレイに送り、クエリ信号の第2の周波数スライスを複数のセンサアレイの第2アレイに送る、という機構と、を有するセンサアレイシステムである。第1の周波数スライスと第2の周波数スライスとは周波数で分離されている(frequency separated)。
【0011】
第2の例示的な実施の形態において、本発明は、広帯域光源と、複数のセンサアレイのラダーと、信号源と複数のセンサアレイラダーとの間で光学的に連結された波長分割合波/分波装置と、をさらに有し、波長分割合波/分波装置は広帯域光源からの広帯域信号を受信し、それらをそれぞれが当該広帯域信号より狭い複数の重複しない信号に分割する、というセンサアレイシステムである。
【0012】
第3の例示的な実施の形態において、本発明は、複数のセンサアレイラダーから情報を取得する方法であって、広帯域のクエリ信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に変換するステップと、複数の波長域のより狭いクエリ信号に含まれる波長域のより狭いクエリ信号それぞれを複数のセンサアレイラダーの組のそれぞれの組に供給するステップと、そして、センサアレイラダーの組に供給されたそれぞれの波長域のより狭いクエリ信号を精査(review)し、センサアレイラダーの組からの情報を得るステップ、とが含まれていることを特徴とする方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の目的と効果、および本質については、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば容易に明らかになるだろう。なお、全ての図を通して、類似の参照番号は類似の部品を示すため用いられる。
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の形態について述べる。それらの形態の例は添付図面に示されている。本発明は好ましい実施の形態に関連付けて説明されるが、理解されるように、それらの実施の形態は本発明を限定するものではない。それどころか逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲を逸脱しない形で、代替や変形、あるいは均等のものを含むよう意図されている。
【0015】
以下の詳細な説明において、本発明が十分理解されるようさまざまな具体的な詳細を示す。しかし、当業者であれば理解できるように、本発明はそれらの具体的な詳細なしで実施することもできる。その他、公知の方法、手順、構成部品、そして回路については、本発明の重要な側面が無用に不明瞭にならないよう、詳細に説明はしない。
【0016】
サニャックセンサアレイシステムに持たせることができるセンサの数は、複数の狭帯域または単波長パルスを利用して複数のSSAラダーにクエリ(問い合わせ)することで増やすことができる。複数のラダーを用いることで、使用し得るセンサの数はラダーの使用数を乗じる形で増加する。そうした方法でセンサの数を増やすと、1つのシステムで容易により広い範囲を対象にすることができる。また、センサを増加させることで、アレイビームを形成し信号処理を行う際の信号対ノイズ比(SN)が改善される。さらに、このことにより潜在的な単一障害点が減少するため、ロバスト性のレベルも上がる。
【0017】
図2において、サニャックセンサアレイ(SSA)システム200は、強度変調光源203、波長分割合波/分波装置(WDM)241、検出器219F(1)、219G(1)、検出器219F(2)、219G(2)、検出器219F(3)、219G(3)、検出器219F(4)、219G(4)、カプラ205(1)、205(2)、205(3)、205(4)、遅延ループ206(1)、206(2)、206(3)、206(4)、そしてSSAラダー231(1)、231(2)、231(3)、231(4)を有する。光源203は、SSAラダー231(1)〜231(4)をクエリするために用いられる一連のパルスを供給する。ある程度までは、システム200は複数のシングルラダーのセンサアレイシステムが共通の光源203で動かされているものと考えられる。光源203のアウトプットは一連のパルスである。光源203からのパルスはWDM241により、重複しない周波スペクトルを有する一組のより狭い波長帯域のパルスに分けられる。その後、当該より狭い波長帯域のパルスはそれぞれSSAラダー231(1)〜231(4)をクエリするため用いられる。
【0018】
効果的な構成として、光源203はSLD(スーパールミネッセントダイオード)で成ることにすればよい。そうした場合、SLDは、半値全幅(FWHM)が30〜60ナノメータ(nm)の光学帯域幅を有し、少なくともある程度均等拡散またはガウス分布の形状をした波長スペクトル分布を有する、という特徴を持たせればよい。そうした光源については、波長重心が約1550nmであるか、または800〜1300nmの波長ウィンドウ内に重心を有することにすればよい。そうした光源からの光パワーは10〜100ミリワットの範囲内にあるが、対象の特定の波長域で最大の出力パワーを有することで分割された波長における出力パワーを最大化することが好ましい。場合によっては、以下の目的のため、SLD電源と合わせて熱電冷却器(TEC)を用いてもよい。それら目的とは、1)熱的に誘導される波長ドリフトを除去または最小化する、2)SLDの実用環境温度範囲を拡大させる、3)SLDの稼動寿命を延長する、というものである。
【0019】
場合によっては、光源203を光ファイバーベースの増幅自然放出(ASE)光源とすることもできる。そうした光源は通常長い添加(ドープト)光ファイバーでできており、当該添加光ファイバーは励起波長により励起され、その結果広帯域蛍光をフリーラン状態で発する。ASEまたは蛍光発光の波長は使用される添加イオンによって決まる。エルビウム(ER+3)は光増幅器において広く使用されるドープトイオンの1つとして公知であり、1550nmウィンドウでASEスペクトルを発する。ファイバーにはレーザ発光し得る他のイオンを添加してもよい。たとえば、プラセオジム(Pr+3)が添加されたファイバーは、1300nmウィンドウでASEスペクトルを発する。ASE光源のスペクトル幅は添加物の発光特性により決定され、光パワーレベルは添加濃度、励起光源のパワー、そしてASEシステムにおける内部損失により決定される。ER+3の場合、スペクトル幅は30nm以下で、パワーレベルは10〜19ミリワットの範囲となるだろう。
【0020】
WDM241は、複数の光ファイバー格子を使用した装置で、入力信号を複数のより狭い波長帯域のスペクトル的に分離されたパルスに変換する。その他、WDM241は複数の薄膜光フィルタで成ることにしてもよい。それらの薄膜フィルタは、誘電性コーティング材のスタックを溶融石英ガラス基板の上に置くことで形成される。スタックの設計により、特定の波長がフィルタ部品を通過できたり当該部品に反射されたりする。光源203の適当な波長スライスを実現できるだけの光損失および光通過域特性を有する装置を作るためには、当該装置は、かなりの正確性と許容誤差とを持たせた形で作ればよい。通信産業では、そうしたフィルタの形はWDM伝送システムの一部として用いられ、それらは温度が40℃〜+85℃の範囲でロバストであることが証明されている。光ファイバ格子または薄膜フィルタタイプのいずれかを使用することが、性能、入手の可能性、そしてコストの点から好ましい。ファブリペローフィルタもこうした用途における使用に適したフィルタのタイプである。このタイプの光フィルタでは、平行な2枚の溶融シリカのプレートを用いてキャビティを形成し、プレート同士の間隔を調節することでキャビティの長さを(限定的な)範囲にわたって合わせ、所望の波長を通過させることができる。F-Pフィルタは極めて正確に波長に合わせることが可能だが、スライスされた波長の形状と安定性とはこの用途に理想的な形で適していない上、そうした装置のコストは他の2つの選択肢に比べて大幅に高い。
【0021】
効果的な構成として、「多波長光源」というタイトルの本発明者の同時係属出願において説明された多波長光源を光源203として用いることも考えられ、前記出願はここでの参照により全体が本発明に組み入れられている。さらに詳細に言えば、同時係属出願において提案された多波長光源(MWOS)は、本発明において提案されたアレイ構造にとって理想的な機能性を有する。加えて、同時係属出願において説明されているように、多波長光源により、SSAの例示的な実施の形態のいずれかで用いることができる適当なスライス波長を送ることができる。
【0022】
ラダー231(1)〜231(4)のSSAラダーそれぞれには、対向する伝播パルスを利用した何らかのセンサシステムを持たせることができる。しかし、効果的な構成として、SSAラダーに複数のカプラおよびセンサと(図1のラダー31について図示された形で作られた)1つの遅延コイルとを持たせることも考えられる。場合によっては、そうしたカプラにテレメトリラダーを進んでいく光信号の一部分のみを分岐(結合)する装置を持たせることも考えられる。こうした用途に好ましいカプラは融着ファイバの一種でできたものである(これは、容易に入手可能で環境ロバスト性が高いためである)。融着ファイバカプラの別の手段として、1)研磨ファイバ、2)マイクロ光カプラ(小型ビームスプリッタとGRIN(グレーテッドインデックス)ロッドレンズとを利用した装置)、または2)ポリマーまたは有機結晶のいずれかで作られた導波装置、がある。後者の両方の場合において、光ファイバーリードは、装置の入力および出力として用い、光ファイバシステムへの組み入れを容易にするためピグテール型とする。ラダーに用いられるカプラは光信号が全てのセンサの間で等しく分配されるような段階的な結合率を有する。たとえば、8つの光センサを有するラダーにおいて理想的なカプラの分岐率は12.5%、14.3%、16.7%、20.0%、25.0%、33.3%、そして50.0%である。光入力信号から参照されるカプラそれぞれの分岐率は位置によって決まり、たとえば12.5%はテレメトリ鎖における最初のカプラ、50.0%は最後のカプラである。そうした種類の段階的なテレメトリ手法は、複数のセンサがテレメトリバスに沿って用いられるセンサシステムへの適用において効果的であることが証明されている。例において用いられた値は理想的な分岐カプラのものであって、それらが正確に製造されたことを前提にしている。市販されているカプラには目標結合比率があり、当該比率は上限と下限とを有する。一般的に、そうした限界値は目標値の2〜5%以内である。たとえば、カプラの目標結合値が22%で仕様限界が±2%であるとすれば、前記カプラは20〜24%の結合比率を有することになる。より高度な許容誤差を実現することもできるが、そうした場合の装置の価格は著しく上昇し、それに見合ったパフォーマンス上の利益の実現はない。誤差帯域内に結合比率がおさまるという認識をもとに、本例で触れた仮想上のカプラは少数に減らすことができ、それによって特定のカプラを増加させテレメトリの費用効果の向上を計ることもできる。例の場合において、数値は15%、15%、15%、22%、22%、33%、そして50%、と変化する。見てとれるように、必要とされる異なる結合比率の数は40%少なくなった。さらに、アーキテクチャに用いることのできるセンサとして以下の種類が考えられる。それら種類とは、水中聴音器(全方向式と指向式との両方)、速度(または移動)、磁場、そして電場である。また、留意すべき点として、そうした種類のセンサの何らかの組み合わせをアレイアーキテクチャ全体の機能と汎用性とを損わない形でSSAラダーの一部として配置することができる。
【0023】
好ましい構成として、カプラ205(1)〜205(4)はSSAシステムにおいてしばしば用いられる3×3カプラである。場合によっては、カプラ205(1)〜205(4)のうち1つまたは複数が融着ファイバカプラで成ることにするのが効果的である。そうした装置は上述した分岐カプラと同様の方法で作ることができる。理想的な装置では、出力は装置の3つの出力それぞれの間で均等に分割され、したがって元の入力パワーの3分の1が出力レッグそれぞれに伝えられる。理想的な結合比率は33%(4.8dB)だが、上述したように、作られた装置の結合比率は上下の性能幅を有する。本例において、挿入損失の必要条件は最大で5.6dB、結合均一性は1.0dB以下である。挿入損失は、理想的な結合比率プラス装置内部の過剰損失として定められる。均一性は、1組の隣接し合う出力レッグ同士の最大の出力差として定められ、入力光パワーが基準となる。
【0024】
カプラ205(1)〜205(4)はそれぞれ、システム1のカプラ5と類似した形で機能する。よって、カプラ205(1)〜205(4)それぞれは光源203からの信号を等分割する。その分割の形態は、光源203から出力された入力信号のそれぞれのパルスは時計回り(cw)のパルスと反時計回り(ccw)のパルスに分割され、カプラに連結されたSSAラダーに供給される、というものである。さらに、一組の対向する伝播パルスはそれぞれSSAラダーから戻る際にカプラを通過し、干渉し合い、その結果生じた信号は一組の検出器219F(1)〜219F(4)、219G(1)〜219G(4)に送り込まれる。
【0025】
検出器219F(1)〜219F(4)、219G(1)〜219G(4)は、光エネルギーを電流に変換し、カプラ205(1)〜205(4)を出る信号を正確に検出することができる何らかの光センサとする。好ましい構成として、用いられる光センサ(光検出器)は、時変的な光信号を追跡し、それを当該検出光信号の忠実な再現である時変電流に変換することができるものとする。このことによって生じる信号ひずみとノイズ発生とは最小限で済むことが好ましい。こうした用途に用いる光検出器は、単純な非増幅型で光信号の衝突により単純な光電流を発生させるとしてもよいし、あるいは装置に、信号処理に先立って光電流を増幅させる一体型のトランスインピーダンス増幅器を持たせてもよい。いずれの場合も、SSAが作動する光波長ウィンドウに応じて適切な光検出器の基材を正しく選ばなくてはならない。850nmまでの近赤外領域においてSSAを作動させるには、一般的に感光性の素材としてシリコン(Si)が選ばれる。検出器の使用時の選択においては光応答性が重要であり、1300〜1550nm(ならびに1000nm以上)の波長域における検出器の素材は多数市販されており、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、そしてヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)などがある。シリコンで作られた検出器は一般的に850nmで0.55〜0.6A/W(アンペア/ワット)の応答度を有し、一方、InGaAs、InGaAsPの検出器は1310nm、1550nmでそれぞれ約0.7A/W、約0.85A/Wの応答度を有する。
【0026】
1つの実施の形態において、強度変調光源203は約30nm幅の信号を生成する広帯域光源とし、光源203からの広帯域信号はWDM241によりそれぞれが約7.5nm幅である4つのサブ信号/スライスに分波されることにすればよい。2nmの保護周波数帯が必要であれば幅は約5.5nmとする。
【0027】
重要な点として、図および説明では主にSSAラダーを4つ有するシステムが取り上げられているが、SSAラダーの実際の数は実施の形態によって変化し得る。ラダーの数が増加すれば、それに従ってWDM241により生成されるスライスの数も増加する。波長スライス法が利用されない従来技術のSSAにおいては、単一の光信号源を用いてラダーが1つだけ形成される。したがって、ラダーの数を増やせば1対1の割合で光源の数を増やさなければならない。波長スライスにおいては、単一の光信号源でより多くのラダーを動かすことができ、ラダーの数は広帯域スペクトル源からスライスされた波長の数によって決まる。したがって、スペクトル源の帯域幅が広ければそれだけ多くの波長がそこからスライスされ得ることになる。注意しなければならないもう1つの点として、ラダーごとのラングおよびセンサの数がある。ここでは、ノイズフロア、最小検出信号、そしてダイナミックレンジといったシステム全体の必要条件も考慮しなければならない。こうした値は光検出器に戻された光信号の量に影響される。このことは、波長スライスが行われるシステムをスライスが行われないシステムと比較する際に考慮されねばならない。波長スライスを用いる場合、スライスされた波長それぞれに利用可能な光パワーの合計は、元のスライス前の信号の光パワーよりも小さく、したがってスライスが行われないシステムと比べてラダー当たりのセンサ数が少なくなる可能性があるが、ラダーの数を増やすことによりシステム当たりのセンサ全体の正味のゲインは実現できる。
【0028】
ラダー当たりのセンサの数をさらに増やすため、波長スライスが行われた後に光増幅器を用いることもできる。増幅器により、波長スライスそれぞれにおいて利用可能なパワー量が大きくなるため、ラダー当たりのセンサの数を増やすことができる。SSAにおける利点に関わる重要な数は光源当たりのセンサの数であり、この数が大きいほど、波長および光パワーの利用という点に関してシステムの効率は高くなる。
【0029】
図3において、SSAシステム300は、強度変調光源303、WDM341A、341C、341F、341G、光検出器319F(1)〜319F(4)、光検出器319G(1)〜319G(4)、カプラ305、遅延ループ306、そしてSSAラダー331(1)〜331(4)を有する。システム300は、1つの信号3×3カプラ305と1つの遅延コイル306とを用いてSSAラダー331(1)〜331(4)全てに、対向する時計回りと反時計回りの伝播パルスを供給する、という点においてシステム200と異なっている。このことは、遅延コイル306とラダー331(1)〜331(4)との間にWDM341A、カプラ305とラダー331(1)〜331(4)との間にWDM341C、カプラ305と検出器319G(1)〜319G(4)との間にWDM341G、そしてカプラ305と検出器319F(1)〜319F(4)との間にWDM341Fを挿入することにより実現される。結果として、光源303からのそれぞれのパルスはWDM341Aおよび341Cにより周波数スライスされ、波長帯域がより狭くてスペクトル的に重複しないパルスをラダー331(1)〜331(4)に供給する。戻ってきてWDM341Aおよび341Cを通過したパルスは共通の導波管に合流し、カプラ305(そして、いくらかは遅延コイル306)を通過してWDM341F、341Gに進む。WDM341A、341Gはパルスを分割し、狭い/個々のパルスを検出器319G(1)〜319G(4)、319F(1)〜319F(4)に送り込む。
【0030】
1つの遅延コイルを複数のSSAラダーに用いることにより重要な効果が実現される。そうしたコイルはそれぞれ長さが数十キロメートルとなり得るため、コイルの数を減らせば必要となる光ファイバーまたは他の導波管の量が大幅に減る。
【0031】
図4において、SSAシステム400は、強度変調光源403、WDM441H、441I、441F、441G、光検出器419F(1)〜419F(4)、光検出器419G(1)〜419G(4)、カプラ405、遅延ループ406、WDMアド/ドロップ(合分波)モジュール432A(1)〜432A(4)、432C(1)〜432C(4)、そしてSSAラダー431(1)〜431(4)を有する。
【0032】
システム400は、一組のWDM441H、441Iを組み入れており、(必至ではないが)カプラ405の手前に光増幅器442を有し、図3のシステム300のWDM341A、341Cの代わりに一連のWDMアド/ドロップモジュール432A(1)〜432A(4)、432C(1)〜432C(4)を利用する、という点においてシステム300と異なる。モジュール432A(1)〜432A(4)、432C(1)〜432C(4)は、時計回りおよび反時計回りの信号からの狭い波長帯域のパルスを除去(split off)または追加(add back)するのに用いられ、それらをSSAラダー431(1)〜431(4)のAバスおよびCバスから、そしてAバスおよびCバスに送る。この配置を用いると、より多くのWDMが必要となるが、個々のSSAラダー431(1)〜431(4)に、そして当該SSAラダー431(1)〜431(4)から信号を送信するのに必要な光ファイバーの量を削減することができる。
【0033】
光増幅器を図4に示すように位置付けることは、カプラのブランチ/光源側で増幅が生じ、カプラ405とラダー431(1)〜431(4)との間に見られる双方向信号に関して心配しなくてもよい、ということから効果的であると考えられる。
【0034】
一組の多重/分離器(mux/demux)を本発明で説明した他の実施の形態に用いることの利点は、403からの光源信号が3×3カプラ405へ入力される前に前処理(たとえば、波長スライス)されることである。これにより波長スライス機能はセンサラダーの外部に置かれ、スライスされた波長を必要に応じて光学的に増幅させることがより容易になる。
【0035】
WDMアド/ドロップモジュールには、複数の波長が含まれた複合(Composite)信号に対して1つの特定の波長を追加または除去することが可能な部品を持たせる。さらに、アド/ドロップモジュールは、性能における劣化が殆どまたは全くない形態で除去されずにいる波長を通過(または急送)できるものとすべきである。逆に、波長を急峻な(express)波長に追加する場合、その追加された波長、または急峻な波長には劣化は全くあるいは殆どあってはならない。パッシブなアド/ドロップモジュールは、膜フィルタまたはファイバブラッグ格子で作ることができるが、本発明の用途ではブラックボックスとして扱うものであるため、その機構についての詳細な説明は省略する。こうした装置の一般的な性能は、急峻な波長の挿入損失は0.8dB以下、アド/ドロップ波長の挿入損失は1.0dB以下、そしてアド/ドロップ波長と急峻な波長との間の光分離は25dB以上、というものである。
【0036】
ここまで説明してきた本発明の実施の形態には新規性のある特徴が複数含まれ、記載した実施の形態の各々は、そうした特徴の1つまたはそれらの組み合わせを有する。他に考えられる実施の形態には、そうした特徴の1つまたは複数の全ての組み合わせが含まれるが、それらの組み合わせを明示はしない。ここまでに記述した実施の形態から容易に分かるためである。考えられるさまざまな実施の形態を踏まえ、以下の段落でそうしたいくつかの特徴の例を示しながら本発明についてさまざまな形で特徴づけることができる。
【0037】
図2〜4に示す本発明の実施の形態は、同種の実施の形態の例で、それぞれが広帯域光源と、複数のセンサアレイラダーと、そして広帯域光源と複数のセンサアレイラダーとの間に光学的に連結された波長分割合波/分波装置(WDM)とを有するセンサアレイシステムとして示されている。前記波長分割合波/分波装置は、広帯域光源からの広帯域信号を受信し、重複しない複数の(それぞれが広帯域信号より狭い)信号に分割する。図2に示す実施の形態を参照する。システム200は、広帯域光源203と、波長分割合波/分波装置241と、複数のセンサアレイラダー231(1)〜231(4)とを有する。波長分割合波/分波装置241は、広帯域光源203からの広帯域信号を受信し、重複しない複数の(それぞれが広帯域信号より狭い)信号に分割する。図3に示す実施の形態を参照する。システム300は、広帯域光源303と、波長分割合波/分波装置341Aと、複数のセンサアレイラダー331(1)〜331(4)とを有する。波長分割合波/分波装置341は、広帯域光源303からの広帯域信号を受信し、重複しない複数の(それぞれが広帯域信号より狭い)信号に分割する。図4に示す実施の形態を参照する。システム400は、広帯域光源403と、波長分割合波/分波装置441Hと、複数のセンサアレイラダー431(1)〜431(4)とを有する。波長分割合波/分波装置441Hは、広帯域光源403からの広帯域信号を受信し、重複しない複数の(それぞれが広帯域信号より狭い)信号に分割する。
【0038】
また、図2〜4の実施の形態は、複数のセンサアレイラダー全てがサニャックセンサアレイラダーであるという意味においても同種の実施の形態である。これらはまた、それぞれのセンサアレイラダーが、重複しない複数の信号を有する別個の信号を受信する、という点でも同種の実施の形態である。しかし、図2および3の実施の形態においては、波長分割合波/分波装置を用いてそうした重複しない信号を生成するのに対し、図4の実施の形態においては、一列に置かれたアド/ドロップモジュールを用いてそうした重複しない信号を生成している。
【0039】
さらに、図2の実施の形態は、複数の光カプラ205(1)〜205(4)と、複数の光検出器の組219F(1)〜219F(4)、219G(1)〜219G(4)とを有する、という種類の実施の形態の一例でもある。また、この実施の形態は、複数の光カプラ205(1)〜205(4)の各光カプラが、サニャックセンサアレイラダー231(1)、231(2)、231(3)、231(4)の両側と、複数の光検出器の組219F(1)〜219F(4)、219G(1)〜219G(4)の1組の光検出器の両方の光検出器とに光学的に連結されている、という種類の実施の形態の一例でもある。
【0040】
また、図2の実施の形態は、以下のように特徴付けられる種類の実施の形態の一例でもある。それら特徴とは、(a)複数の光カプラ205(1)〜205(4)には少なくとも、第1の光カプラ205(1)と、第2の光カプラ205(2)と、第3の光カプラ205(3)と、そして第4の光カプラ205(4)とが含まれ、それぞれの光カプラは少なくとも6つのポートを有すること、(b)複数のサニャックセンサアレイラダー231(1)〜231(4)には少なくとも、第1のセンサアレイラダー231(1)と、第2のセンサアレイラダー231(2)と、第3のセンサアレイラダー231(3)と、第4のセンサアレイラダー231(4)とが含まれていること、(c)複数の光検出器の組219F(1)〜219F(4)、219G(1)〜219G(4)には少なくとも、第1の検出器の組219F(1)、219G(1)と、第2の検出器の組219F(2)、219G(2)と、第3の検出器の組219F(3)、219G(3)と、第4の検出器の組219F(4)、219G(4)とが含まれ、当該第1、第2、第3、第4の4組の検出器はそれぞれ、第1の検出器(219F(1)、219F(2)、219F(3)、または219F(4))と第2の検出器(219G(1)、219G(2)、219G(3)、または219G(4))とを有すること、(d)システム200は少なくとも、第1の遅延コイル206(1)と、第2の遅延コイル206(2)と、第3の遅延コイル206(3)と、そして第4の遅延コイル206(4)とをさらに有すること、(e)第1の光カプラ205(1)の第1ポートは波長分割合波/分波装置241の第1ポートに、第2の光カプラ205(2)の第1ポートは波長分割合波/分波装置241の第2ポートに、第3の光カプラ205(3)の第1ポートは波長分割合波/分波装置241の第3ポートに、第4の光カプラ205(4)の第1ポートは波長分割合波/分波装置241の第4ポートに光学的に連結され、光源203は波長分割合波/分波装置241の第5ポートに光学的に連結されていること、(f)第1の光カプラ205(1)の第2ポートは第1の遅延コイル206(1)の第1端部に、第2の光カプラ205(2)の第2ポートは第2の遅延コイル206(2)の第1端部に、第3の光カプラ205(3)の第2ポートは第3の遅延コイル206(3)の第1端部に、第4の光カプラ205(4)の第2ポートは第4の遅延コイル206(4)の第1端部に光学的に連結されていること、(g)第1の遅延コイル206(1)の第2端部は第1のセンサアレイラダー231(1)の第1端部に、第2の遅延コイル206(2)の第2端部は第2のセンサアレイラダー231(2)の第1端部に、第3の遅延コイル206(3)の第2端部は第3のセンサアレイラダー231(3)の第1端部に、第4の遅延コイル206(4)の第2端部は第4のセンサアレイラダー231(4)の第1端部に光学的に連結されていること、(h)第1の光カプラ205(1)の第4ポートは第1のセンサアレイラダー231(1)の第2端部に、第2の光カプラ205(2)の第4ポートは第2のセンサアレイラダー231(2)の第2端部に、第3の光カプラ205(3)の第4ポートは第3のセンサアレイラダー231(3)の第2端部に、第4の光カプラ205(4)の第4ポートは第4のセンサアレイラダー231(4)の第2端部に光学的に連結されていること、そして、(i)第1の光カプラ205(1)の第5ポートは第1の検出器の組の第1の検出器219F(1)に、第1の光カプラ205(1)の第6ポートは第1の検出器の組の第2の検出器219G(1)に、第2の光カプラ205(2)の第5ポートは第2の検出器の組の第1の検出器219F(2)に、第2の光カプラ205(2)の第6ポートは第2の検出器の組の第2の検出器219G(2)に、第3の光カプラ205(3)の第5ポートは第3の検出器の組の第1の検出器219F(3)に、第3の光カプラ205(3)の第6ポートは第3の検出器の組の第2の検出器219G(3)に、第4の光カプラ205(4)の第5ポートは第4の検出器の組の第1の検出器219F(4)に、第4の光カプラ205(4)の第6ポートは第4の検出器の組の第2の検出器219G(4)に光学的に連結されていること、である。
【0041】
また、図3および4の実施の形態は、それぞれが第2の波長分割合波/分波装置(図3において341G、図4において441G)と、第1の光検出器の組(図3において319G(1)〜319G(4)、図4において419G(1)〜419G(4))とを有し、第1の光検出器の組のそれぞれの光検出器は第2の波長分割合波/分波装置(図3において341G、図4において441G)に光学的に連結されている、という同種の実施の形態の一例でもある。さらに、図3および4の実施の形態は同種の実施の形態の一例であり、この種のそれぞれの形態は、第3の波長分割合波/分波装置(図3において341F、図4において441F)と、第2の光検出器の組(図3において319F(1)〜319F(4)、図4において419F(1)〜419F(4))とを有し、第2の光検出器の組のそれぞれの光検出器は第3の波長分割合波/分波装置(図3において341F、図4において441F)に光学的に連結されている。さらに、図3および4の実施の形態は、それぞれが光カプラ(図3において305、図4において405)と第3の波長分割合波/分波装置(図3において341F、図4において441F)とを有し、前記光カプラは第2の波長分割合波/分波装置(図3において341G、図4において441G)に光学的に連結されている、という同種の実施の形態の一例でもある。
【0042】
また、図3の実施の形態は、第4の波長分割合波/分波装置341Aと遅延コイル306とを有する、という種類の実施の形態の一例でもある。さらに、この実施の形態は以下のとおり特徴付けられる種類の実施の形態の一例でもある。それらの特徴とは、(a)遅延コイル306は第4の波長分割合波/分波装置341Aと光カプラ305との間に光学的に連結されていること、(b)第1の波長分割合波/分波装置341Cは光カプラ305に光学的に連結されていること、(c)第4の波長分割合波/分波装置341Aは、複数のセンサアレイラダー331(1)〜331(4)のそれぞれの第1端部に光学的に連結されていること、(d)第1の波長分割合波/分波装置341Cは、複数のセンサアレイラダー331(1)〜331(4)のそれぞれの第2端部に光学的に連結されていること、そして、(e)重複しない複数の信号はそれぞれ、複数のセンサアレイラダー331(1)〜331(4)の別個のセンサアレイラダーに送られること、である。
【0043】
また、図4の実施の形態は、それぞれが遅延コイル406と、第1のアド/ドロップモジュール432A(1)〜432A(4)の組と、第2のアド/ドロップモジュール432C(1)〜432C(4)の組とを有する、という種類の実施の形態の一例でもある。さらに、この実施の形態は、以下のとおり特徴付けられる種類の実施の形態の一例でもある。それらの特徴とは、(a)第1のアド/ドロップモジュールの組432A(1)〜432A(4)のそれぞれのアド/ドロップモジュールは、センサアレイラダー(431(1)、431(2)、431(3)、または431(4))の第1端部に光学的に連結されていること、(b)第2のアド/ドロップモジュールの組432C(1)〜432C(4)のそれぞれのアド/ドロップモジュールは、センサアレイラダー(431(1)、431(2)、431(3)、または431(4))の第2端部に光学的に連結されていること、(c)遅延コイル406は、第1のアド/ドロップモジュールの組432A(1)〜432A(4)と光カプラ405との間に光学的に連結されていること、そして(d)第2のアド/ドロップモジュールの組432C(1)〜432C(4)は光カプラ405に光学的に連結されていること、である。
【0044】
また、図4の実施の形態は、以下の特徴を有する種類の実施の形態の一例であり、その種類の実施の形態はそれぞれ、第4の波長分割合波/分波装置441Iを有し、第1の波長分割合波/分波装置441Hと第4の波長分割合波/分波装置441Iとは両方とも、広帯域光源403と光カプラ405との間で光学的に連結され、光源403からの広帯域信号は第1の波長分割合波/分波装置441Hにより重複しない複数のより狭い波長帯域の信号に分割され、当該重複しない複数のより狭い波長帯域の信号は第4の波長分割合波/分波装置441Iにより結合されて1つの信号に戻る。図4の実施の形態はさらに、それぞれが光アイソレータ442を有し、当該光アイソレータ442は第4の波長分割合波/分波装置441Iと光カプラ405との間に置かれている、という種類の実施の形態の一例でもある。
【0045】
また、図2〜4の実施の形態は、それぞれが、複数のセンサアレイラダーから情報を取得する方法が組み込まれている、という種類の実施の形態の例でもあり、当該方法には以下のステップが含まれる。それらのステップとは、(a)広帯域のクエリ信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に変換するステップ、(b)複数の波長域のより狭いクエリ信号に含まれる波長域のより狭いクエリ信号それぞれを複数のセンサアレイラダーの組のそれぞれの組に供給するステップ、そして、(c)センサアレイラダーの組に供給されたそれぞれの波長域のより狭いクエリ信号を精査(review)し、センサアレイラダーの組からの情報を得るステップ、である。この方法は図5において、ステップ501、503、505を有する形で示されている。
【0046】
また、図3および4は以下のとおり特徴付けられる種類の実施の形態の例でもある。それらの特徴とは、この種の実施の形態はそれぞれ、(a)広帯域のクエリ信号を時計回りおよび反時計回りの信号に分けた後に当該時計回りおよび反時計回りの信号をそれぞれ複数の波長域のより狭いクエリ信号に変換する、という方法、および、(b)時計回りまたは反時計回りの信号のいずれかを遅延コイルを用いて遅延させた後、当該信号を複数の波長域のより狭い信号に変換する、という方法が組み込まれていることである。
【0047】
さらに、図3の実施の形態は、それぞれが第1の波長分割合波/分波装置を用いて時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に同時に分け、第2の波長分割合波/分波装置を用いて反時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に同時に分ける、という方法が組み込まれている、という種類の実施の実施の形態の一例でもある。また、図4の実施の形態は、それぞれが直列的に置かれたアド/ドロップモジュールの第1の組を用いて時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に分け、直列的に置かれたアド/ドロップモジュールの第2の組を用いて反時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に分ける、という方法が組み込まれている、という種類の実施の形態の一例でもある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来技術のサニャックセンサアレイ(SSA)システムの概略図である。
【図2】本発明の例示的な実施の形態によるSSAシステムの概略図である。
【図3】本発明の例示的な実施の形態による別のSSAシステムの概略図である。
【図4】本発明の例示的な実施の形態によるさらに別のSSAシステムの概略図である。
【図5】本発明の例示的な実施の形態による方法を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアレイシステムであって、
クエリ信号を供給する信号源と、
複数のセンサアレイのラダーと、
クエリ信号の第1の周波数スライス(frequency slice)を複数のセンサアレイの第1アレイに送り、クエリ信号の第2の周波数スライスを複数のセンサアレイの第2アレイに送る、という機構と、を有し、
第1の周波数スライスと第2の周波数スライスとは周波数で分離されている(frequency separated)こと、
を特徴とするシステム。
【請求項2】
信号源は広帯域光源で成ること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
信号源は多波長光源で、供給されたクエリ信号は周波数分離された複数の周波数スライスを有し、異なった周波数スライスが複数のセンサアレイラダーのそれぞれのセンサアレイラダーに送られること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
複数のセンサアレイラダーのうち少なくとも1つのセンサアレイラダーはサニャックセンサアレイラダーであること、
を特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
複数のセンサアレイラダーの全てのセンサアレイラダーはサニャックセンサアレイラダーであること、
を特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
信号源と複数のセンサアレイラダーとの間で光学的に連結された波長分割合波/分波装置をさらに有し、
波長分割合波/分波装置は信号源からのクエリ信号を受信し、それぞれが元のクエリ信号より狭い複数の重複しない信号に分割し、これら複数の重複しない信号は第1の周波数スライスと第2の周波数スライスとを有し、
当該重複しない複数の信号はそれぞれ、複数のセンサアレイラダーのうちの別々のセンサアレイラダーに送られること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサアレイシステム。
【請求項7】
複数の光カプラと、複数の光検出器の組とをさらに有し、複数の光カプラの各光カプラが、サニャックセンサアレイラダーの両側と、複数の光検出器の組の1組の光検出器の両方の光検出器とに光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
複数の光カプラには少なくとも、第1の光カプラと、第2の光カプラと、第3の光カプラと、そして第4の光カプラとが含まれ、それぞれの光カプラは少なくとも6つのポートを有し、
複数のサニャックセンサアレイラダーには少なくとも、第1のセンサアレイラダーと、第2のセンサアレイラダーと、第3のセンサアレイラダーと、第4のセンサアレイラダーとが含まれており、
複数の光検出器の組には少なくとも、第1の検出器の組と、第2の検出器の組と、第3の検出器の組と、第4の検出器の組とが含まれ、当該第1、第2、第3、第4の4組の検出器はそれぞれ、第1の検出器と第2の検出器とを有し、
システムは少なくとも、第1の遅延コイルと、第2の遅延コイルと、第3の遅延コイルと、そして第4の遅延コイルとをさらに有し、
第1の光カプラの第1ポートは波長分割合波/分波装置の第1ポートに、第2の光カプラの第1ポートは波長分割合波/分波装置の第2ポートに、第3の光カプラの第1ポートは波長分割合波/分波装置の第3ポートに、第4の光カプラの第1ポートは波長分割合波/分波装置の第4ポートに光学的に連結され、光源は波長分割合波/分波装置の第5ポートに光学的に連結されており、
第1の光カプラの第2ポートは第1の遅延コイルの第1端部に、第2の光カプラの第2ポートは第2の遅延コイルの第1端部に、第3の光カプラの第2ポートは第3の遅延コイルの第1端部に、第4の光カプラの第2ポートは第4の遅延コイルの第1端部に光学的に連結されており、
第1の遅延コイルの第2端部は第1のセンサアレイラダーの第1端部に、第2の遅延コイルの第2端部は第2のセンサアレイラダーの第1端部に、第3の遅延コイルの第2端部は第3のセンサアレイラダーの第1端部に、第4の遅延コイルの第2端部は第4のセンサアレイラダーの第1端部に光学的に連結されており、
第1の光カプラの第4ポートは第1のセンサアレイラダーの第2端部に、第2の光カプラの第4ポートは第2のセンサアレイラダーの第2端部に、第3の光カプラの第4ポートは第3のセンサアレイラダーの第2端部に、第4の光カプラの第4ポートは第4のセンサアレイラダーの第2端部に光学的に連結されており、
そして、第1の光カプラの第5ポートは第1の検出器の組の第1の検出器に、第1の光カプラの第6ポートは第1の検出器の組の第2の検出器に、第2の光カプラの第5ポートは第2の検出器の組の第1の検出器に、第2の光カプラの第6ポートは第2の検出器の組の第2の検出器に、第3の光カプラの第5ポートは第3の検出器の組の第1の検出器に、第3の光カプラの第6ポートは第3の検出器の組の第2の検出器に、第4の光カプラの第5ポートは第4の検出器の組の第1の検出器に、第4の光カプラの第6ポートは第4の検出器の組の第2の検出器に光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
第2の波長分割合波/分波装置と第1の光検出器の組とを有し、第1の光検出器の組のそれぞれの光検出器は第2の波長分割合波/分波装置に光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
第3の波長分割合波/分波装置と第2の光検出器の組とを有し、第2の光検出器の組のそれぞれの光検出器は第3の波長分割合波/分波装置に光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
光カプラと第3の波長分割合波/分波装置とをさらに有し、前記光カプラは第2の波長分割合波/分波装置に光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第4の波長分割合波/分波装置と遅延コイルとをさらに有し、
遅延コイルは第4の波長分割合波/分波装置と光カプラとの間に光学的に連結されており、第1の波長分割合波/分波装置は光カプラに光学的に連結されており、第4の波長分割合波/分波装置は、複数のセンサアレイラダーのそれぞれの第1端部に光学的に連結されており、第1の波長分割合波/分波装置は、複数のセンサアレイラダーのそれぞれの第2端部に光学的に連結されており、そして、重複しない複数の信号はそれぞれ、複数のセンサアレイラダーの別個のセンサアレイラダーに送られること、
を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
遅延コイルと、第1のアド/ドロップモジュールの組と、第2のアド/ドロップモジュールの組とをさらに有し、
第1のアド/ドロップモジュールの組のそれぞれのアド/ドロップモジュールは、センサアレイラダーの第1端部に光学的に連結されており、第2のアド/ドロップモジュールの組のそれぞれのアド/ドロップモジュールは、センサアレイラダーの第2端部に光学的に連結されており、遅延コイルは、第1のアド/ドロップモジュールの組と光カプラとの間に光学的に連結されており、そして、第2のアド/ドロップモジュールの組は光カプラに光学的に連結されていること、
を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
第4の波長分割合波/分波装置をさらに有し、第1の波長分割合波/分波装置と第4の波長分割合波/分波装置とは両方とも、広帯域光源と光カプラとの間で光学的に連結され、光源からの広帯域信号は第1の波長分割合波/分波装置により重複しない複数のより狭い波長帯域の信号に分割され、当該重複しない複数のより狭い波長帯域の信号は第4の波長分割合波/分波装置により結合されて1つの信号になること、
を特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
光アイソレータは第4の波長分割合波/分波装置と光カプラとの間に置かれていること、
を特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
複数のセンサアレイラダーから情報を取得する方法であって、
広帯域のクエリ信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に変換するステップと、複数の波長域のより狭いクエリ信号に含まれる波長域のより狭いクエリ信号それぞれを複数のセンサアレイラダーの組のそれぞれの組に供給するステップと、そして、センサアレイラダーの組に供給されたそれぞれの波長域のより狭いクエリ信号を精査(review)し、センサアレイラダーの組からの情報を得るステップ、とが含まれていること、
を特徴とする方法。
【請求項17】
広帯域のクエリ信号を時計回りおよび反時計回りの信号に分けた後に当該時計回りおよび反時計回りの信号をそれぞれ複数の波長域のより狭いクエリ信号に変換すること、
を特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
時計回りまたは反時計回りの信号のいずれかを遅延コイルを用いて遅延させた後、当該信号を複数の波長域のより狭い信号に変換すること、
を特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の波長分割合波/分波装置を用いて時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に同時に分け、第2の波長分割合波/分波装置を用いて反時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に同時に分けること、
を特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
直列的に置かれたアド/ドロップモジュールの第1の組を用いて時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に分け、直列的に置かれたアド/ドロップモジュールの第2の組を用いて反時計回りの信号を複数の波長域のより狭いクエリ信号に分けること、
を特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−544395(P2008−544395A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518115(P2008−518115)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/036184
【国際公開番号】WO2007/001411
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(506118629)ノースロップ グルーマン コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】