説明

多流路形ロータリジョイント

【課題】 複数の流路における相対回転部分をバラツキなく適正にシールできる多流路形ロータリジョイントを提供する。
【解決手段】 ケース体1と回転軸体2との間には、シール手段3により区画形成された接続空間4を介して連通する複数の流路5が形成されている。各シール手段3は、回転軸体2の外周部に固定された一対の非弾性材製のシールリング11とケース体1の内周部に嵌合保持された弾性材製の環状シール部材12とからなる。環状シール部材12は両シールリング11に圧接する一対の環状のリップ部17を有する。環状シール部材12と回転軸体2との対向周面間には、一対のシールリング11及びリップ部17でシールされた接続空間4が形成される。各流路5は、接続空間4とケース体1及び環状シール部材12を貫通する固定側通路21と回転軸体2を貫通する回転側通路22とで構成される一連のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置,攪拌機,医療用機器,食品用機器等の各種回転機器の相対回転部材間において複数の流体を各別のルートで流動させるための多流路形ロータリジョイントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の多流路形ロータリジョイントとしては、ケース体とその内周部に相対回転自在に支持された回転軸体との対向周面部間に、両体に形成された各流路の相対回転部分を端面接触形のメカニカルシールでシールするようにしたもの(例えば、特許文献1を参照)や当該相対回転部分をリップシール等の弾性シール部材でシールするようにしたもの(例えば、特許文献2)が周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−005380号公報
【特許文献2】特開2002−022076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、メカニカルシールは、ケース体に設けた密封環と回転軸体に設けた密封環とをスプリングにより押圧接触させて、両密封環の相対回転摺接作用によりシールを行うものであり、構造上、大きな設置スペースが必要となるものである。したがって、メカニカルシールを使用したロータリジョイントでは、両体間に形成すべき流路が多くなると、メカニカルシールの設置スペースを確保するために、ロータリジョイントが必要以上に大型化し、用途も限定されることになる。また、メカニカルシールは密封環相互を強力に押圧接触させたものであるから、流路つまりメカニカルシールの設置数が多くなると、両体の回転抵抗力が大きくなり、回転機器の相対回転部材間に必要以上の負荷をかけることになる。さらに、潤滑性に乏しい流体を扱う場合には、密封環間の潤滑不足が生じるため、クエンチング手段等の格別の補助装置を必要とする等、ロータリジョイント構造がいたずらに複雑化することにもなる。
【0005】
一方、シール手段としてリップシール等の弾性シール部材を使用したロータリジョイントでは、上記した問題は生じないものの、回転軸体の外周面への弾性シール部材の圧接力(弾性接触力)によってシール力を確保するものであるため、回転軸体の形状,精度,表面粗さや回転軸体の振動,撓みによる径方向への振れ等によって各弾性シール部材によるシール力にバラツキが生じて、全流路の相対回転部分を均一且つ適正にシールすることが困難であり、ロータリジョイントとしての信頼性に乏しい。
【0006】
本発明は、このような問題を生じることなく、複数の流路における相対回転部分のシールを適正に行うことができる実用的な多流路形ロータリジョイントを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケース体とこれに回転自在に連結された回転軸体との間に、両体の対向周面間に軸線方向に並列する複数のシール手段により区画形成された複数の接続空間を介して連通する複数の流路を形成してなる多流路形ロータリジョイントにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、各シール手段が、回転軸体にその軸線方向に所定間隔を隔てて固定された一対の非弾性材製のシールリングとケース体の内周部に嵌合保持された弾性材製の環状シール部材であって内周部に両シールリングの対向端面に圧接する一対の環状のリップ部を有する環状シール部材とからなり、環状シール部材と回転軸体との対向周面間に一対のシールリング及び環状リップ部でシールされた接続空間を形成するように構成されると共に、各流路を、接続空間とケース体及び環状シール部材を貫通して当該接続空間に開口する固定側通路と回転軸体を貫通して当該接続空間に開口する回転側通路とで構成される一連のものとされている。好ましい実施の形態にあっては、各シール手段が、リップ部のシールリングへの圧接が当該環状リップ部自身の弾性力と接続空間を通過する流体の圧力とによって行われるように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多流路形ロータリジョイントは、メカニカルシールやリップシール等の弾性シール部材を使用した場合における問題を排除して、複数の流路における相対回転部分をバラツキなく適正にシールすることができるものであり、信頼性の高いシール機能を発揮して用途の拡大を図りうる実用的価値極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明に係る多流路形ロータリジョイントの一例を示す縦断正面図である。
【図2】図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である。
【図3】図3は当該ロータリジョイントの変形例を示す図2相当の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明に係る多流路形ロータリジョイントの一例を示す縦断正面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である。
【0011】
図1に示す多流路形ロータリジョイントは、半導体製造装置等の相対回転部材間、例えばCMP装置における固定側部材である装置本体と回転側部材であるトップリング又はターンテーブルとの間で複数の流体(同種又は異種)を各別に流動させる場合に使用されるものである。
【0012】
すなわち、このロータリジョイントは、図1に示す如く、固定側部材(CMP装置本体)に取り付けられる筒状のケース体1と回転側部材(トップリング又はターンテーブル)に取り付けられる回転軸体2とを回転軸線(以下、単に「軸線」という)が鉛直をなした状態で相対回転自在に連結し、両体1,2の対向周面間に、軸線方向(鉛直方向である上下方向)に並列するN個(Nは2以上の自然数)のシール手段3…により区画形成されたN個の接続空間4…を介して連通するN本の流路5…を形成してなるものである。なお、以下の説明において、上下とは図1及び図2における上下をいうものとする。
【0013】
ケース体1は、図1に示す如く、内周部が断面円形をなす筒構造体であり、CMP装置等の固定側部材に取り付けられる。なお、ケース体1は、上下方向に分割された構造をなしており、複数個の筒状分割部分1a,1b,1cをボルト等(図示せず)により連結することによって、円筒状の一体構造物に組み立てられる。すなわち、ケース体1は、図1に示す如く、上下分割部分1a,1b及びその中間に配した流路数と同数(N個)の中間分割部分1cを上下に積層連結してなる。上下分割部分1a,1bと中間部分1c,1cとの接合面及び隣接する中間分割部分1c,1c相互の接合面には相互に係合する環状凹凸部が形成されていて、かかる環状凹凸部の係合により、これらの分割部分1a,1b,1cが同心状に位置決めされた状態で積層されるように工夫してある。
【0014】
回転軸体2は、図1に示す如く、円柱状の軸本体6と、これに軸線方向(上下方向)に所定間隔を隔てて並列状に嵌合固定されたN+1個の円筒状の保持筒7とで構成されており、上下一対のベアリング8,9によりケース体1の内周部に同心状をなして回転自在に支持されている。なお、最上端に位置する保持筒7は、軸本体6の上端部に固着された有底円筒状のベアリング受体10の周壁を構成している。また、上位のベアリング8はベアリング受体10の外周部とケース体1の上ベアリング支持部分1aの内周部との間に介装されており、下位のベアリング9は軸本体6の下端外周部とケース体1の下ベアリング支持部分1bの内周部との間に介装されている。
【0015】
各シール手段3は、図1及び図2に示す如く、回転軸体2に軸線方向に所定間隔を隔てて固定された一対のシールリング11,11と、両シールリング11,11間に配してケース体1の内周部に嵌合保持された環状シール部材12とを具備し、両体1,2の対向周面間に環状のシール空間である接続空間4を形成する。
【0016】
各シールリング11は、セラミックス等の非弾性材で構成された円環状板であり、図1に示す如く、軸本体6に嵌合させると共に、軸本体6の下端段部13と最上位の保持筒7との間又は保持筒7,7相互間にOリング14を介在させて挟圧させることにより、軸線と同心をなす状態で軸線方向に等間隔を隔てて回転軸体2の外周部に固定されている。各シール手段3における一対のシールリング11,11の対向端面は、図2に示す如く、軸線に直交する平滑な環状平面であるシール面15,15に構成してある。
【0017】
この例では、図1に示す如く、各シール手段3の一方のシールリング11とこれに隣接するシール手段3の一方のシールリング11とを共通のシールリングとして兼用してある。すなわち、上下両端に位置するシール手段3,3を除いて、隣接する2つのシール手段3,3のシールリング11は共通とされており、最上位及び最下位の各シールリング11については、その一端面のみをシール面15に構成してあるが、これら以外の各シールリング11については、その両端面をシール面15,15に構成してある。なお、シールリング11の構成材としては、弾性変形しないセラミックス(炭化珪素,酸化アルミニウム等)、金属(超硬合金等)や硬質プラスチック(PEEK,PES,PC等のエンジニアリングプラスチック又はPTFE,PFA,FEP等の弗素樹脂等)が使用される。この例では、各シールリング11を炭化珪素で構成してある。
【0018】
各環状シール部材12は弾性材で構成されたものであり、図2に示す如く、円筒状をなす本体部16とその内周両端部から内方に突出する一対の円環状のリップ部17,17とからなり、ケース体1の中間分割部分1cの内周部に一対のOリング18,18を介して嵌合保持されている。なお、Oリング18,18は、ケース体1の中間分割部分1cの内周部に形成したOリング溝に係合保持されており、ケース体1と環状シール部材12の本体部16との嵌合部をシール(二次シール)している。
【0019】
各環状シール部材12のリップ部17,17は、図1及び図2に示す如く、当該環状シール部材12のシールリング11,11の対向端面であるシール面15,15に相対回転自在に圧接しており、環状シール部材12と回転軸体2の保持筒7との対向端面間にシールされた環状空間である接続空間4を形成する。なお、環状シール部材12の構成材としては、環状リップ部17が接続空間4をシールすべくシール面15に圧接する弾性力を有するプラスチック,ゴム等の弾性材が使用されるが、その選定はシール条件に応じて行われる。例えば、当該環状シール部材12によってシールすべき流体(接続空間4を通過する流体)が高温である場合には耐熱性の弾性材が使用され、また当該流体19が腐食性を有するものである場合には耐食性の弾性材(弗素樹脂,弗素ゴム等)が使用されるが、一般には、自己潤滑性,低摩擦性(摩擦係数0.2〜0.3程度)を有するPTFE等の弗素樹脂やこれにガラス繊維,炭素繊維,二硫化モリブデン等の充填材を一種以上配合してなる弾性複合材等を使用することが好ましい。この例では、PTFEにガラス繊維及び二硫化モリブデン又はポリイミド樹脂を配合した、低摩擦性,耐摩耗性等に優れる弾性複合材が使用されている。
【0020】
ところで、上記した如く、複数のシールリング11及び保持筒7がこれらを交互に配して軸線方向に並列されていること及び複数の環状シール部材12がこれらを各々保持する中間分割部分1cが軸線方向に並列されていることから、シール手段群の一端側においてシールリング11と環状シール部材12との軸線方向位置関係が適正であって両者11,12の接触状態が適正である場合にも、保持筒7、シールリング11及び中間分割部分1cの少なくとも何れかに軸線方向寸法の製作誤差があると、それが寸法公差であるとしても、その誤差が軸線方向に累積することにより、当該シール手段群の他端側においてはシールリング11と環状シール部材12との軸線方向位置関係が不適正となり、両者11,12が適正に接触しない(例えば、環状シール部材12の一方のリップ部17と他方のリップ部17とでシール面15,15への接触圧が大きく異なる)といった問題が生じ、シール手段3によるシール機能が良好に発揮されない虞れがある。かかる問題は、軸線方向寸法の誤差が大きい程、誤差のある部材点数が多くなる程、又はシール手段3の配置数が多くなる程、顕著となる。
【0021】
このような問題を排除するためには、環状シール部材12を中間分割部分1cに固定せず、これに軸線方向変位可能として、上記した寸法誤差による環状シール部材12とシールリング11との軸線方向位置を適正に調整できるようにすればよい。しかし、このように構成した場合、当該ロータリジョイントをその回転軸線が鉛直となる状態で使用すると、環状シール部材12が自重により下方に変位して両リップ部17,17のシール面15,15への接触圧にバラツキが生じる(当該接触圧が下側のリップ部17において高く、上側のリップ部17において低くなる)虞れがある。
【0022】
そこで、この実施の形態では、各環状シール部材12を中間分割部分1cの内周部にOリング18,18を介して軸線方向変位可能に内嵌保持させると共に、最上位及び最下位の環状シール部材12,12と上下分割部分1a,1bとの間及び隣接する環状シール部材12,12間に夫々軸線方向に伸縮するスプリング19を装填して、各環状シール部材12のシールリング11に対する軸線方向位置を適正に調整し、各環状シール部材12における両リップ部17,17のシール面15,15への接触圧が可及的に均等となるように工夫してある。なお、各環状シール部材12のケース体1に対する相対回転は、共通のドライブバー20により阻止されている。すなわち、図1に示す如く、ケース体1に軸線方向(上下方向)に平行させた状態で両端支持させた断面円形棒であるドライブバー20を、各環状シール部材12の本体部16に形成した貫通孔に挿通させることにより、全環状シール部材12…をその軸線方向変位を許容する状態でケース体1に対して相対回転不能に保持させてある。ドライブバー20を挿通させる貫通孔は、各環状シール部材12に形成される流路5部分とは干渉しない位置に形成されている。
【0023】
各流路5は、図1に示す如く、シール手段3によってシールされた接続空間4と、ケース体1及び環状シール部材12を貫通して接続空間4に開口する固定側通路21と、回転軸体2を貫通して接続空間4に開口する回転側通路22とで構成される一連のものであり、所望の流体23(圧縮空気等のガス又はウエハ研摩液等のスラリ流体や洗浄用純水等の液体)を回転機器の相対部材間において流動させることができるようになっている。
【0024】
すなわち、ケース体1の各中間分割部分1c及びこれに内嵌保持された環状シール部材12の本体部16には、図1に示す如く、Oリング18,18間を通過する固定側通路21が径方向に貫通形成されている。各固定側通路21の一端部は接続空間4に開口されている。また、各固定側通路21の他端部はケース体1の外周部に開口されており、前記固定側部材(CMP装置本体)に形成した固定側流路に接続される。
【0025】
また、回転軸体2には、図1に示す如く、相互に交差することなく各接続空間5に開口するN個の回転側通路22が形成されている。すなわち、各回転側通路22は軸本体6を軸線方向に貫通して、その一端部は保持筒7を貫通して接続空間4に開口されている。また、各回転側通路22の他端部は軸本体12の下端部に開口されており、前記回転側部材(トップリング又はターンテーブル)に形成した回転側流路に接続される。
【0026】
したがって、両体1,2には、固定側通路21と回転側通路22とを接続空間4により相対回転自在に接続してなるN本の流路5…が相互に独立した形態で形成されることになり、N種(同種又は異種)の流体23を、図1に矢印で示す如く固定側通路21から回転側通路22へと、或いは逆に回転側通路22から固定側通路21へと、各別のルートで流動させることができる。
【0027】
以上のように構成された多流路形ロータリジョイントによれば、N本の流路5が相互に干渉せず各々独立して形成されていることから、N種の流体23を固定側流路と回転側流路との間で混在させることなく良好に流動させることができ、それらの流動状態制御も各別に行うことができる。
【0028】
また、回転軸体2に振動,撓みにより振れが生じて、シール面15の軸線方向位置が変化した場合にも、リップ部17がこれに追従して弾性変形し、リップ部17とシール面15とが適正な接触状態に維持される。また、流体23の圧力が変動した場合にも、リップ部17は接続空間4内の流体圧力によってシール面15への圧接力が変化するものであり、当該圧接力が接続空間4に供給される流体つまりシールすべき流体23の圧力に比例して増減変化することになる。しかも、リップ部17に作用する流体23の圧力は、リップ部15の全周において均一に作用することから、リップ部17のシール面15への圧接力もバラツキを生じることなく均等となり、メカニカルシールのように密封端面の接触が不均一(片当たり,外高,内高)となることがない。したがって、回転軸体2の振動,撓み等や流体23の圧力変動等によるシール条件変動に拘わらず、常に、各接続空間4のシールを良好且つ適正に行うことができ、各流体23を両体1,2間において漏れを生じたりすることなく良好に流動させることができる。
【0029】
さらに、シール手段3としてメカニカルシールを使用する場合に比して、ロータリジョイントを大幅に小型することができ、シール手段3としてリップシール等の弾性シール部材を使用する場合のように回転軸体2の形状,精度,表面粗さ等に影響されることなく、接続空間4のシールを良好に行うことができ、信頼性も高い。また、シールリング11及び環状シール部材12として、シール面15とリップ部17との接触抵抗が低くなる材質のものを使用することによって、流体23が潤滑性を有しないガス等である場合にも、クエンチング等の潤滑,冷却手段を設けることなく良好なシール機能を発揮させることができ、ロータリジョイント構造をいたずらに複雑化,大型化させるようなことがない。
【0030】
なお、本発明に係る多流路形ロータリジョイントは、上記した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に変更,改良することができる。
【0031】
例えば、上記したロータリジョイントの各環状シール部材12において、図3に示す如く、本体部16の内周中央部に形成した環状突起24と各リップ部17との間に断面コ字状の環状をなす板ばね25を装填して、各リップ部17のシール面15への圧接力を増大させるように工夫することも可能である。この場合において、環状突起24と各リップ部17との間には、板ばね25以外の弾性部材(例えば、Oリング等)を装填させてもよい。
【0032】
また、本発明に係る多流路形ロータリジョイントを、環状シール部材12の自重による変位,変形を考慮する必要がない状態で使用する場合(例えば、当該ロータリジョイントをその回転軸線が水平となる状態で使用する場合)には、図1に示すスプリング19を排除しておくことも可能である。
【0033】
また、本発明の多流路形ロータリジョイントは、上記したCMP装置以外の各種回転機にも相対回転部材間の流体流動手段として好適に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 ケース体
2 回転軸体
3 シール手段
4 接続空間
5 流路
11 シールリング
12 環状シール部材
15 シール面(シールリングの対向端面)
17 リップ部
21 固定側通路
22 回転側通路
23 流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体とこれに回転自在に連結された回転軸体との間に、両体の対向周面間に軸線方向に並列する複数のシール手段により区画形成された複数の接続空間を介して連通する複数の流路を形成してなる多流路形ロータリジョイントであって、
各シール手段は、回転軸体の外周部にその軸線方向に所定間隔を隔てて固定された一対の非弾性材製のシールリングとケース体の内周部に嵌合保持された弾性材製の環状シール部材であって内周部に両シールリングの対向端面に圧接する一対の環状のリップ部を有する環状シール部材とからなり、環状シール部材と回転軸体との対向周面間に一対のシールリング及びリップ部でシールされた接続空間を形成するように構成されており、
各流路は、接続空間とケース体及び環状シール部材を貫通して当該接続空間に開口する固定側通路と回転軸体を貫通して当該接続空間に開口する回転側通路とで構成される一連のものであることを特徴とする多流路形ロータリジョイント。
【請求項2】
各シール手段が、リップ部のシールリングへの圧接が当該リップ部自身の弾性力と接続空間を通過する流体の圧力とによって行われるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載する多流路形ロータリジョイント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−7274(P2011−7274A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151895(P2009−151895)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000229737)日本ピラー工業株式会社 (337)
【Fターム(参考)】