多相ナノ粒子
【課題】
【解決手段】
多相ナノオブジェクトの形成方法であって、サイドバイサイドのキャピラリ中の2つ又はそれ以上の異なる液体のジェットを行い、これによって複合液体流を発生する。次いで、複合体を、複合液体流を、少なくとも部分的にナノオブジェクトに固化させる力場に曝露する。前記方法は、ロッド、スフィア、及びファイバ等の多数の形状のナノオブジェクトを形成する。
【解決手段】
多相ナノオブジェクトの形成方法であって、サイドバイサイドのキャピラリ中の2つ又はそれ以上の異なる液体のジェットを行い、これによって複合液体流を発生する。次いで、複合体を、複合液体流を、少なくとも部分的にナノオブジェクトに固化させる力場に曝露する。前記方法は、ロッド、スフィア、及びファイバ等の多数の形状のナノオブジェクトを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
関連出願の相互参照
本出願は、2004年11月10日に出願された米国暫定出願第60/626,792号、及び2005年2月9日に出願された米国暫定出願第60/651,288号の利益を主張する。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は、多相ナノ粒子の形成方法及びその形成したナノ粒子に関する。
【0003】
2.背景技術
荷電ジェットは、電気流体力学的力を用いてナノメータサイズの直径を有する液体ジェットを開発するためのプロセスである。伝導性液体のペンダント液滴が、数キロボルトの電位に曝露されると、電場と表面張力の間の力平衡によって、ペンダント液滴がメニスカスになり、所謂テーラーコーンと呼ばれる円錐形ができる。臨界点よりも大きい高荷電液体ジェットがこのコーンの頂点から噴出する。この既知のプロセスは、i)電気スプレィと、ii)電気スピニングと、の2つのプロセスに用いられる。電気スプレィでは、不安定であるために噴出した液体ジェットが最終的に断片化し、液滴のスプレィを形成する。種々の用途の中で、質量分析用の生体高分子の荷電ガス相イオンの生成が、最も広く用いられている。ポリマ溶液又は融液をジェット液体として用いることによって、電気スピニングは、従来のスピニングから得られるものよりも直径が数桁小さいファイバを作り上げる方法を提供している。最近の10年間だけで、電気スピニングは高い注目を浴びており、様々なポリマからナノファイバを紡ぎ出してきた。
【0004】
近年、形状が異なるキャピラリを用いた、複合ジェットシステムがいくつか報告されている。とりわけ、同軸コアシェル形状は、外側及び内側液体供給チャネルを有し、サスティンドコアとシェル層を有する安定したコーンジェットを生成する。サイドバイサイド構造等の複合ジェットの代替形状については、余り知られていない。
【0005】
2つの異なる相を有する異方性多相ナノオブジェクトは、ナノテクノロジの大幅な進歩を確立しており、マイクロエレクトロニクスやバイオテクノロジ等の分野で、広範な影響力を有している。2相オブジェクトの各サイドの選択的な修飾の可能性は、このシステムを非常に魅力的なものにすると共に、電気的及び生物医学的応用に幅広く使えるようにしている。
【0006】
従って、ナノメータサイズの粒子を形成する改良された方法、及び、特有の化学的特性を有する多相粒子が求められている。
【0007】
本発明の概要
本発明は、少なくとも一の実施例で、荷電ジェットによる多相粒子の形成方法を提供することによって、先行技術の一又はそれ以上の問題を解決する。この実施例の方法は、サイドバイサイドのキャピラリの2又はそれ以上の異なる液体の噴射を含み、これによって、多相コーンジェットを有する複合液体流を発生する。次いで、この形成したコーンジェットを、ナノオブジェクト内に少なくとも部分的に複合液体流を固化させる力場に曝露する。
【0008】
本発明の別の実施例では、上述の方法によって形成した多相ナノオブジェクトを提供する。例えば、使用した液体の特異的特性、及び実施パラメータに依存して、本発明の方法を用いて、2相ナノスフィア又は2相ナノファイバを生成することができる。以下に説明するようなプロセスパラメータの制御を用いたジェット液体の適切な選択によって、2相ナノオブジェクトを、ナノファイバ又はナノスフィア等の種々の形態で形成することができる。この2相オブジェクトは、ナノクリスタルである複合構造と、選択的反応によって修飾した表面を有する構造を含む。本発明のナノオブジェクトは、光通信及び電子デバイス、記憶デバイス、及び生体医用材料等の、多くの実用的アプリケーションに有利に用いられる。
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
現在の好ましい組成物、又は、本発明者らに現在知られている発明を実施する最も好ましい態様を構成する本発明の実施例及び方法を詳細に説明する。
【0010】
本明細書で用いられている用語「ナノオブジェクト」は、数ナノメータのオーダでの少なくとも1つの空間的寸法を有するあらゆる形態の物体を意味する。一の変形例では、ナノオブジェクトは、約5から約5000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。別の変形例では、ナノオブジェクトは、約20nmから約2000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。更に別の変形例では、ナノオブジェクトは、約50から約500nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。このようなナノオブジェクトの例には、ナノスフィア、ナノロッド、及びナノファイバが含まれる。ナノスフィアは実質的に球状であるナノオブジェクトである。ナノロッドは実質的にロッド形状であるナノオブジェクトである。ナノファイバは断面寸法よりも長い寸法を有するナノオブジェクトである。「ナノ粒子」は、3つの空間的寸法が全て数ナノメータのオーダであるナノオブジェクトを意味する。また、一の変形例では、ナノ粒子は、約5から約5000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。別の変形例では、ナノ粒子は、約20から約2000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。更に他の変形例では、ナノ粒子は約50から約500nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。
【0011】
本明細書で用いられている用語「ナノサイズの」又は「ナノメータサイズの」は、数ナノメータのオーダを意味する。一の変形例では、ナノサイズは、約5から約5000nmである。別の変形例では、ナノサイズは、約20から約2000nmである。更に他の変形例では、ナノサイズは、約50から約500nmである。
【0012】
本明細書で用いられている用語「構造部材」は、ナノオブジェクトを固相にするナノオブジェクトの化合物を意味する。
【0013】
本発明の実施例では、化学的に異なる多面を有する異方性ナノオブジェクトが記載されている。図1A、図1B、図1Cを参照すると、本発明のナノオブジェクトの変形例が提供されている。図1Aでは、ナノオブジェクトが、ほぼ等しいサイズの2つの異なる相10、12を有する2相である(化学的に異なる面又は表面に相当する)、この実施例の変形例が示されている。図1Aでは、ナノオブジェクトが、サイズの異なる(化学的に異なる面又は表面に相当する)2つの別の相14、16を有する2相である、この実施例の別の変形例が示されている。図1Aと図1Bの相間の相対的サイズの差は、図1Aと図1Bの複合粒子間に存在する熱力学的平衡に起因する。その他の変形例では、ナノオブジェクトは、多くの化学的に異なる側面を有する3つ又はそれ以上の異なる相を有する。図1Cは、3つの相、18、20、22を有するナノオブジェクトの図を提供する。各変形例では、多数の形態があり得る。例えば、ナノオブジェクトは、多相ナノ粒子、多相ナノスフィア、ナノロッド、又はナノファイバであってよい。ある変形例のナノオブジェクト多相は、平行アラインメントを有する。この実施例の一の変形例では、ナノオブジェクトは、5nmと5000nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法(3つもあり得る)によって特徴付けられる。別の変形例では、ナノオブジェクトは、20と2000nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法によって特徴付けられる。更に別の変形例では、ナノオブジェクトは、50から500nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法によって特徴付けられる。
【0014】
本発明の別の実施例では、ナノオブジェクトは複数の化学的に異なる相から成る。いくつかの変形例では、これらの化学的に異なる相は、ポリマ相である。この実施例の更なる改良では、これらの相のうちの少なくとも1つは、更に、添加剤、例えば、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤(例えば、染料、顔料等)、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子(例えば、標的又は非標的)を含む。別の改良では、多相は、例えば、同じポリマを含むが、その相に加えられた添加物が異なる2又はそれ以上の相を具える。これらの相の1つは、例えば、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、又はポリ乳酸、ポリカプロラクトン、又はポリグリコール酸等の生分解性ポリマを含んでいてもよい。これらの相の1つは、酸化還元活性材料、導電性材料、又は、粒子生成後に反応する化学基を有する材料を含んでいてもよい。このような後続反応には架橋が含まれる。このような架橋には、熱的に誘導されるか、化学線によって誘導される(例えば、光化学的に誘導される)。更に、架橋は、生体分子の固定化も含まれる。生体分子は、例えば、細胞膜成分、細胞レセプタ、又は細胞外基質成分等の生物学的標的に結合するものであってよい。いくつかの実施例では、ナノオブジェクトは、生物学的標的を感知する少なくとも1つの相、又は、異なる生体学的標的分子を感知する少なくとも2つの相を有するナノ粒子を具える。例えば、このようなセンサは、細胞表面レセプタ、又は細胞外流動体の成分を感知する。細胞壁上のレセプタを感知する相は、信号機構、例えば、蛍光共鳴エネルギー伝達を具える信号機構と連結している。細胞のレセプタに結合する相は、信号機構と連結することができ、ナノ粒子は、細胞壁に結合しないように構成されている少なくとも1つの相を具えることができる。更なる改良では、ナノオブジェクトは、光パルスに反応する電位、例えば、典型的な電池電位と比較できる電位を作ることができる。ナノオブジェクトは、電池に対して選択的な配列を有するようにして電池電位を利用することができる。
【0015】
本発明の別の実施例では、多相ナノオブジェクトの形成方法が提供されている。いくつかの変形例で、化学的に異なる複数の表面を有するナノオブジェクトを形成する点で、この実施例の方法は、先行技術の電気スプレィ及び電気スピニング技術の改良である。この実施例の方法では、2つ又はそれ以上の液体流(液体ジェットを含む)を組み合わせて、この2つ又はそれ以上の液体流が、ナノメータサイズの寸法の多相コーンジェットを有する複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って接触するようにする。いくつかの変形例では、液体流が導電性である。この複合液体流、及び、特にコーンジェットを、複数の化学的に異なる化学的表面を有するナノオブジェクトに複合液体流(即ち、コーンジェット)を固定させるのに十分な力場に曝露する。いくつかの変形例では、液滴の液体流フラグメントが、ナノ粒子、ナノスフィア、又はナノロッドの形状を生じさせる。
【0016】
図2Aと図2Bを参照すると、本発明の方法の変形例を実施する並列エレクトロジェット装置の模式図が提供されている。図2Aは、2つのジェット液体を合わせて2相粒子を形成する本実施例のエレクトロジェット装置の模式図である。図2Bは、2つのジェット液体を合わせて2相ファイバを形成する本実施例のエレクトロジェット装置の模式図である。複合流28の両側の2つの異なる成分を組み込むために、チャネル30、32が、ノズル34内で互いに隣接して(即ち、並列に)構成されている。同様の変形例では、チャネル30、32がキャピラリである。チャネル30、32は、2つの異なるジェット液体流36、38を、電源装置42によって発生した電場を有する領域40に送り出す。チャネル30、32は、液体流36、38の接触によって複合流44を形成するのに十分な寸法を有する。一の変形例では、この電場は、ノズル34とプレート46の間の電位差によって発生する。通常、電場は、少なくとも2つの電極間の約0.1kVから約25kVの電位差を利用して形成する。種々のプレート構造と形状を用いて電場を発生することは当業者に自明であり、従って、これは本実施例の範囲内である。図2Aは、粒子48を形成する本発明の電気スプレィの変形例を示す。この変形例では、噴出した複合流28は、不安定さに起因して分裂し、これによって、液滴のスプレィができる。図3Bは、ポリマ溶液又は融液をジェット液体として用いて、ナノファイバを形成する変形例を示し、ファイバ58を得ている。図3Bでは、シリンジポンプ60を用いて、ノズル34中の液体を流す。
【0017】
図3を参照すると、コーンジェット形成の模式図が提供されている。本実施例は、結果として得られる2相オブジェクトを形成するための特定の機構に限定されるものではないが、ジェット液体36、38がサイドバイサイド構造を維持し、コーンの形をしたペンダント液滴52の先端50からジェット50が噴出するジェットの発生と考えられている。ペンダント液滴52が数キロボルトの電位に曝露されると、電気流体力学的力が働いて、液体が分裂する。特に、電場とペンダント液滴52の表面張力の間の力平衡によって、ペンダント液滴52がメニスカスになり、円錐形54(「テーラーコーン」という)ができる。臨界点以上では、高荷電液体が、コーンの先端から噴出する。
【0018】
図2A、2B、及び3に、模式的に示されているように、安定2相コーンによって噴出した2相ジェットは、2相ナノ液滴に分裂するか、2相ナノファイバに固化する。2相、即ち、2つのジェット液体(又は、溶液)は、互いに相溶性である、相溶性でないのいずれであってもよい。しかしながら、2つのポリマ溶液が互いに相溶性である場合、安定したコーンジェットと2相間の安定した界面にとって最も理想的な場合が存在する。このような状況では、このプロセスは、熱力学的ではなくむしろ動力学的に制御され、他相と混合する前に、1つの相が各側で閉じこめられる。尚、2つの相間に親和性があることが、界面の安定性の点で望ましい。
【0019】
形態学的な制御は、本発明の重要な特徴である。従って、ペンダントコーン54から噴出した複合液体流28は、小さな液滴に分裂するか、連続ファイバの形状で維持され伸長するかすることができる。液滴のサイズ及び繊維状ジェットの寸法も制御することができる。ジェット液体の材料特性か、ジェットを分散する荷電ジェットの加工パラメータのどちらかを変えることによって、このような制御が実現される。しかし、当然のことながら、液体ジェットの最終形態は、基板上に集められた固体生成物の最終形態と常に同じではない。最終生成物の形状は、明確なゾル−ゲル遷移によって最もよく制御される。本発明の方法を用いてファイバを形成する(即ち、電気スピニング)場合、このゾル−ゲル遷移はこのプロセスに固有である。というのも、ジェット液体は、ポリマ溶液又はポリマ融液、溶媒蒸発、又はジェットがゾル−ゲル処理ステップとして機能する間の、熱遷移温度より低い温度への温度低下であるからである。
【0020】
本発明の荷電ジェット法は、電気流体力学的プロセスに大きく依存しているので、ジェット液体特性及び操作パラメータは互いに密接な関係にある。更に、ジェット液体が一成分系でない場合(即ち、2種又はそれ以上の化合物の混合物)、ジェット液体は、溶媒と溶質のいくつかのパラメータによって決定される特性を有する溶液である。当然のことながら、液体特性、溶液パラメータ、及び操作パラメータは、本発明の方法において相互に関連性がある。関連する材料特性には、粘度、表面張力、揮発度、熱及び導電性、誘電率、及び密度が含まれる。関連する溶液特性には、濃度、分子量、溶媒混合液、界面活性剤、ドーピング剤、及び架橋剤が含まれる。最後に、関連する操作パラメータには、液体流の流速、電位、温度、湿度、及び周囲圧が含まれる。操作パラメータに関して、コーンジェットモードでの電気スプレィの液滴の平均サイズ及びサイズ分布は、流速(ジェット液体のポンプ流量)に高く依存することが知られている。固定した流速では、サイズ分布は、一又はいくつかの比較的単分散クラスの直径からなる。最小の流速では、分布の様式及び液滴自体の直径も最小を示す。流速が変わると、安定したコーンジェットモードを維持するために、電極間の距離又は電位のどちらかを変えることによって、電場を調節するべきである。より高い流速では、ジェット液体の質量バランスのためにより高い電場となる。液滴の直径が十分に小さくないと、液滴が収集用基板に達する前に溶媒が完全に蒸発することができず、従って、液滴は湿って平坦なものになる。以下に説明する図6は、形態決定の点で、重量平均分子量対濃度の相互作用を提供するものである。
【0021】
微細液滴を生成するために、ジェット液体は固化する前に分散すべきである。この目的のために、ジェット液体は、歪み硬化を示さない伸長粘度を有する非常に希薄なポリマ溶液であってよい。しかしながら、ポリマの分子量によっては、時に、この濃度範囲は、粒子生成には低すぎる。従って、いくつかの変形例では、ジェット液体として低分子量化合物を代替として用いる。このような変形例では、液滴は、収集の時点で液相である。従って、ジェットプロセスの後、又はジェットプロセス中に適切なゾル−ゲルの化学的性質が必然的に用いられる。いくつかの変形例では、ジェッティングの結果得られたナノオブジェクトを架橋して、これによって、不溶性ネットワーク構造を有するようにしている。ポリマ前駆体の架橋反応は、適切な方法によって開始される(熱による開始又はUVによる開始)。
【0022】
本発明の更に別の実施例では、選択的に化学修飾された多相ナノオブジェクトが提供されている。この実施例では、構造成分(即ち、ポリマ)と反応する一又はそれ以上の反応成分を含む一又はそれ以上の液体流からナノオブジェクトを形成する。これによって、一又はそれ以上の反応成分が存在しない場合に、多相ナノオブジェクトの表面を、表面と比較して化学的に修飾した状態にする。更に、この実施例における液体流は、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤(例えば、染料、顔料等)、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出が可能な分子(例えば、標的又は非標的)等の成分を含んでいてもよい。例えば、2相粒子の形成中にジェット溶液の各側に適切な成分を加えることによって、反応性官能基が組み込まれる。2相ジェッティングの後に、オブジェクトの表面が各側で異なる官能基を有する。いくつかの変形例では、この実施例の異なる相は、蛍光顕微鏡か電子顕微鏡のどちらかによって検出される。この例は、2以上の液体流を用いる場合でも同様である。
【0023】
上述のように、本発明のナノオブジェクトの種々の相に多数の添加物を含めることができる。従って、このような添加物は、ナノオブジェクトを形成するために用いられる一又はそれ以上の液体流にも含まれていなければならない。一の変形例では、ナノスフィア又はナノファイバの一方の側にのみ、特定の電気的、磁気的、光学的、又は生物医学的特性を有する量子ドットを組み込むことができる。別の変形例では、体外及び体内実験用細胞プローブとして、又は、ドラッグ標的能力を有する体内バイオセンサ用プラットフォームとして、本発明の多相ナノオブジェクトを薬剤送出に用いている。2相ナノオブジェクトの場合、2相特性の固有の複雑性が、これらのオブジェクトに多機能性を与える。このオブジェクトの一方の相を、細胞標的、認識、又は感知に利用する場合、他方の相は、ドラッグローディング、及び/又はプロービングに用いることができる。加えて、このシステムの最も魅力的な特徴の1つは、比較的低価格であり、この多機能性のために生成が容易であることである。同様に、2つの異なる細胞特異的抗体を用いて、組織のような形で、細胞を方向付けすることができる。量子ドットは、生物学的標識用の新しい材料として現れてきたものであり、高発光及び長期安定性等の独特な特徴のために、伝統的な有機着色剤及び蛍光タンパク質に急速に取って代わっている。これらの量子ドットは、2相オブジェクトにカプセル化されるか、又は2相オブジェクトに選択的に付着する。プロービング及びセンシングは、2相特徴と適切な物理学的機構(例えば、蛍光共鳴エネルギ伝達、FRET)とを組み合わせることで実現する。FRETに基づいたセンサ又はプローブについて、Foester距離(Foester distance)を考慮して供与体と受容体の間のサイズを制御し、インターフェイスを設計することは、重要な問題となる。
【0024】
図4を参照すると、特定の細胞型に対する多機能2相粒子の認識について記載した模式図が提供されている。この図で、2つのタイプが異なるナノ粒子100、102が使用されている。粒子100は、相104、106を具え、粒子102は、相108、110を具える。第1の細胞ターゲット114に対する受容体112は相104に結合するが、成分116は相106に結合する。成分116は薬剤である。同様に、第2細胞ターゲット120に対する受容体118は相108に結合する。粒子102は相100内に量子ドット122を含む。
【0025】
また、上述の応用では当然のことであるが、表面積対体積比が増加することに起因して、オブジェクトサイズがサブミクロンスケールにまで小さくなるので、オブジェクトの特徴の多くは、表面の構造及び組成に支配される。従って、薬剤送出用の潜在的な用途は、細胞特異的抗体の固定化を可能にする特定の表面反応から、多大な利益を受ける。
【0026】
本発明の別の実施例では、上述の方法によって作った2相ナノスフィアを、ハイパー構造用の構築ブロックとして用いている。例えば、2相ナノスフィアの単分子層は、外部力場(電場、又は磁場)の適用に応じて切り換わる表面として機能する。図5は、2相単分子層に基づく表示の機能を示す模式図である。図5では、切り換え可能なナノオブジェクトが、いくつかの方法で達成されている。一の変形例では、ナノオブジェクトの一の相に磁気粒子をロードし、これによって磁場と切り換え可能な構造を作る。第2の変形例では、電子供与体が一の相に、電子受容体が第2の相に含まれており、電場と切り換えることができる双極子モーメントを作る。これらの各変形例では、各相に適切な着色剤を組み込むことによって、表示を形成することができる。従って、例えば、3相ナノオブジェクトを、3原色のうちの1つの着色剤を有する各相と共に用いれば、ほとんど全ての色を達成することができる表示を得ることができる。
【0027】
ジェット液体としてポリマ溶液を用いる場合、ポリマ濃度に依存して、ほぼ3つの異なるレジメを荷電ジェットに対して指定することができる。2つの極端な濃度領域、即ち、非常に希薄な濃度(重複濃度、c*より小さい)、及び、かなりの高濃度(c*より大きい)で、ジェットは、それぞれ電気スプレィと電気スピニングとして分類される。非常に希薄なポリマ溶液は、粘弾性に関して低分子量液体(通常の溶媒)と同様である。質量分析に適用する場合と同様に、単分子高分子イオンを生成するように、ジェットのキャピラリ分解が生じて、容易に液滴を形成する。しかしながら、高濃度では、伸長した流れにおけるポリマ溶液の歪み硬化に起因して、ジェットのキャピラリ分解の達成が困難である。これが持続している間、ジェットの伸長によって、溶媒の蒸発が加速され、最終的には、このジェットは微細繊維として固化する。
【0028】
本発明の別の実施例には、多相ビードファイバの形成方法が提供されている。中濃度では、エレクトロジェットの際に、ポリマ溶液がビードファイバを形成することが観察される。本実施例では、2つ又はそれ以上のポリマ溶液流がノズルで組み合わされ、ナノメータサイズの寸法の断面を有する複合流体流を形成するのに十分な2つ又はそれ以上のポリマ溶液流が空間的寸法に沿って接触する。複合液体流の少なくとも一部が電場に曝露されて、複合液体流がビードファイバに十分に分散される。ときに、ビードファイバ構造は、「ビード−オン−ストリング」形態と呼ばれる。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)溶液は、この形態を示す例示的な溶液である。この固有の構造は、電場の伸長力とジェット液体の表面張力が競合する結果であると考えられている。というのも、ビードとストリングのサイズ及び形状は、種々の液体パラメータを調整し、パラメータを操作することによって制御することができるからである。ジェット溶液の粘度、荷電、及び表面張力は、この形態に作用する要因である。ポリマの分子量、濃度等の溶液パラメータ、及び共溶媒や界面活性剤等の別の成分の添加によって、溶液の粘度及び表面張力が変わる。ドーピング剤(即ち、イオン化塩)の添加、及び電位やイオン発生の中和等の操作パラメータによって、電荷密度を制御することができる。
【0029】
本発明の別の実施例では、電子供与体及び受容体の多成分ポリマ混合物を作る方法が提供されている。同様のバルクヘテロ接合には、いくつかの制限がある。バルク材料では、混合によって作られるいくつかの領域が、励起子が界面に拡散するには大きすぎ、担体相が電極に到達する前にしばしば遮断される。本発明の実施例のナノファイバは、一の変形例では2相である。これらのナノファイバは、従来の混合システムと比較して、電子供与体と受容体の間のヘテロ接合の発生が強化されている。理論的には、両相によって発生したほとんど全ての励起子は再結合前に界面に到達することができる。従って、この実施例の2相ナノファイバによって認識されたヘテロ接合界面は励起子分離プロセスを改善する。対照的に、我々の2相ナノファイバは、制御可能な相寸法を有し、その直径は、数10ナノメータに小さくすることができる。従って、両相によって発生した理論上ほとんど全ての励起子は、再結合する前に界面に接触することができる。ナノファイバの2相構造によって認識されるこれらの擬似分子レベルヘテロ接合界面は、以前よりもよい励起子分離プロセスを改良する新規な方法を提供する。加えて、各相が一寸法オブジェクトを形成するので、電極に接触するまでその他によって妨害されることなく、それぞれが電荷担体として機能する。
【0030】
本発明の更に別の実施例では、2相構造を有する供与体/受容体構造が提供されている。この実施例では、無機ナノ粒子が、光活性担体として組み込まれている。この電気伝導度(効率のよい荷電分離に必要である)のために、これらの無機ナノ粒子を用いている。更に、これらの材料は粒子サイズを変更することによって調節可能であり、高密度層を形成する電気的及び光学的特性を有する。最終的に、このような材料は、多くの着色剤又はタンパク質よりも環境的に安定している。有益な無機材料の例には、CdTe及びCdSナノ粒子が含まれる。これらの材料は光ポテンシャルの優れた源であることが示されており、太陽電池に用いられている。更に、これらの接合は、光活性薄膜フィルムに見られる最も高い光ポテンシャルの1つを示す。ナノ粒子の価電子及び伝導帯のエネルギは、その直径を変更することによって制御することができるので、互いに対してエネルギレベルの最適位置を有するCdS及びCdTeナノ粒子を選択することによって、光ポテンシャルを更に増すことができる。CdTe及びCdSナノ粒子の光学的及び電子的特性は、その直径を変更することによって徐々に変えることができる。粒子サイズが減少するにつれて価電帯(「VB」)のトップと伝導帯(「CB」)のボトムの間のエネルギギャップは大きくなり、これを量子サイズ効果という。CdTeとCdSのCBとVBの相対位置を変更する能力は、2相ナノオブジェクトの価電分離の最大化の本質である。チオグリコール酸又はクエン酸イオンでキャップしたCdTe及びCdSナノクリスタルの水溶液を、予め準備する。
【0031】
また、本発明の更なる別の実施例では、異方性粒子を、層状シェル構造、フィルム、又はキャスティングと一体化することができる。これは、2次元又は3次元構造を作るのに有益である。更に、伝導帯エネルギィの段階的なプロファイルが、LBLによって形成される。このような層状シェル構造、フィルム、又はキャスティングは、ポリマとの界面からの電子の取り出し入れを可能にし、荷電再結合を防ぐ。異種間の光生成荷電分離を促進するために適切に位置したHOMO及びLUMOを有する半導体ナノ粒子の2Dフィルムをこの方法で形成することができる。エネルギスペクトラム位置が適切であるので、この現象を示す有益なシステムの例はCdS及びCdTeである。
【0032】
本発明の更なる別の実施例では、エレクトロジェットによって作られた多相着色剤(「MPC」)が提供されている。この実施例のMPCは、広範囲の光学特性を有する。このMPCの光学特性は、MPCに含まれる添加剤の着色分子の型及び濃度によって決まる。特定の添加剤は当業者に公知であり、限定するものではないが、レーザ染料、織物染料、ペンキ、コーティング、プラスチック着色剤、金属着色剤、セラミック着色剤、蛍光染料、天然染料、ポリマ染料、無機又は有機顔料、又はこれらの組み合わせといった低分子量染料等の染料及び顔料が含まれる。更に、MPCの各相の表面特性を調整して、MPCの全体の特性を変えることができる。MCPの相の着色剤の濃度の変化に応じて、及び各原色用の着色剤を含めることによって、実質的にどんな色のMCPでも得られる。更に、所望であれば、この実施例のMCPが、光沢、角度カラーバリエーション、及び半透明cy等の追加の光学的効果を生成する。
【0033】
ジェット液体が送り込まれるように設置した単一ノズルを有する荷電ジェットによって単一相着色剤が作られる。ジェット液体は、構造成分、着色剤、及び、全ての成分を溶解することができる溶剤の混合物である。構造成分は、電気スプレィ又は電気スピニングに適合するポリマを含む。この構造成分と着色剤は、通常、ジェットプロセス後に均質な混合物の形状の単一相着色剤を形成する。この成分は、熱力学的に互いに適合性があっても、なくてもよい。溶媒蒸発及びサイズ減少が同時に起こるジェットプロセスでは、非適合性成分であっても、動的封入によって一相の着色剤を作ることができる。
【0034】
この実施例の変形例において、並列デュアルキャピラリを荷電ジェットプロセスに用いて、2相の着色剤を作ることができる(図3)。各ジェットキャピラリ(ノズル)を通って、2つの化学的に異なるジェット液体を、力場、特に電場が存在する領域に送り込む。2つのジェット液体は、それぞれ一相着色剤の生成に一般的に用いられる全ての成分で構成されている。各相の異なる特徴を取り出すために、異なるドーピング剤(着色剤及び添加剤)を各ジェット液体に組み込む。各液体流の構造成分(即ち、ポリマ又はポリマ溶液)は、同じであっても、異なっていてもよい。更なる改良では、代替の着色剤が、コアシェル寸法を有していてもよい。別の変形例では、アニーリング又は光又はその他の形態のエネルギによる処理等の後処理ステップによって、この着色剤が、最終寸法に設定される。
【0035】
本発明の別の変形例では、3つのジェットキャピラリを通って送り込まれる3つのジェット液体を用いることによって、一の多相着色剤に3つの異なる相が組み込まれる。この変形例では、3つのキャピラリの寸法を、いくつかの異なる方法で変更することができる。一の変形例では、このキャピラリは三角形に配置される。この場合、3つの異なるドーピング剤混合システムを3相のそれぞれに組み込むことが出来る。これらの全てが着色剤の縁に曝露されている。別の実施例では、並列デュアルキャピラリを外側キャピラリに挿入することによってこのキャピラリ寸法が作られる。この2相及びコアシェルジェットを組み合わせた寸法は、興味のある内部材料分散によって3相着色剤を生成する。例えば、2つの内部(コア)液体を用いて、着色剤と添加剤を誘導する場合、できた着色剤は、2相着色剤のように挙動するであろう。第3の外側(シェル)液体は、カプセル層の誘導に用いることができる。この層は、不適合媒体から着色剤を保護することができる、及び/又は、着色剤の表面特性を制御することによって、着色剤の保持能力を強化することができる。
【0036】
また、本実施例は、3相以上の着色剤を包含する。2相及び3相荷電ジェットへの拡張は、3相以上を着色剤に用いるために、3つ以上のジェットキャピラリを用いている。全てのジェット液体が、各着色剤の生成に使用されることを保証するために、即ち、各着色剤が異なる組み合わせの相で構成されるのを防ぐために、キャピラリは、ちょうど、テーラーコーンの全てのジェット液体相の合流点からジェットが噴出されるような寸法である。
【0037】
この実施例のその他の変形例では、非球形の着色剤が提供されている。上で説明されているように、荷電ジェットプロセスは、複合パラメータウインドウによって管理される。これらのパラメータを変形させることによって、各種のジェットモード中で、多キャピラリジェットを適正化するコーンジェットモードが可能になる。また、これらのパラメータを変形させることによって、ナノオブジェクトの形状を制御することもできる。図6は、2つの独立した溶液パラメータ(構造ポリマの濃度及び分子量)を変えることによって、どのように形態を制御することができるかについての例を示す。この場合、より高濃度で、及びより大きな分子を使用することによって、ジェット溶液の粘度がより高くなり、結果としての形態がより繊維状になる。また、同じジェット液体に対して、異なる操作パラメータを用いることによっても、結果として生じる形態が変わる。着色剤のあり得る形態には、球状ナノ/マイクロ粒子、楕円形粒子、ナノ/マイクロロッド、ビード−オン−ストリング、ナノファイバ等が含まれる。
【0038】
この実施例の更に別の変形例では、白色不透明ペイント(即ち、TiO2を含まない白色顔料)で用いられる白色着色剤を提供する。一の改良では、純粋に有機材料からできた白色着色剤を、上述の方法によって準備する。重い、研磨用の無機TiO2粒子を用いる代わりに、一の着色剤中に3つ又はそれ以上の有機染料を合わせることによって、白色(低密度)が発生する。この染料は、原色の組み合わせであってよい。これらの染料は、これらの一相の着色剤中で互いに混合することができるか、多相着色剤の各相に組み込むことができる。例えば、3相着色剤は、加色混合の3原色(即ち、青、緑及び赤)の放射波長範囲を有する蛍光染料を含む。この例では、各相が一の染料を含む。これらの着色剤が蛍光灯にて照射されると、各相中の3つの染料は色を放射し、加色混合の3原色が白色光を生成する。
【0039】
本実施例のMCPは、電子表示アプリケーションに有用である。電子表示は、表面への、及び互いへのMCPの相対的配向性を制御することによって作られる。配向性の変化は、制御可能な外部力場の影響による。この場の切り換えに反応して、MCPの少なくとも一部の再配向が見られ、これは、ディスプレィイ画素の光学特性の変化をもたらす。各ピクセルは、少なくとも一のMPCでできている。このような技術によって、アドバンストカラーディスプレイが求められている場合に、表面特性の変化が増幅されて、色の変更を誘引することができる。
【0040】
次の例は、本発明の種々の実施例を示す。当業者は、本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識するであろう。
【0041】
例1−2相噴流
本実験用の実験装置は、図3のものに合致する。デュアルシリンジアプリケータアッセンブリ(FibriJet(登録商標)SA−0105,Micromedics,Inc.,MN,USA)を用いて、2つのジェット液体を送り込む。この装置では、2つの1mlシリンジを、1つのシリンジポンプによって制御する。各シリンジは、分離ジェット溶液で満たされている。これらの2つのシリンジは、26ゲージ及び3インチ長の寸法を有するデュアルカニューレを有するデュアルチャネルチップ(FibriJet(登録商標)SA−0105,Micromedics,Inc.,MN,USA)に連結されている。これらのデュアルカニューレ又はキャピラリを、これらの2つのキャピラリを並列に連結する透明なプラスチックチューブで覆う。2つの円形カニューラ間の溝によって生じるキャピラリ圧力を避け、並列キャピラリ装置から安定した2相のペンダント液滴を作るために、2つのキャピラリとプラスチックチューブを鋭く切断することによって、先端レベルができる。
【0042】
この例では、2相ジェットの理想的状態が考慮されている。特に、各液体の材料特性が類似している。2つのジェット溶液間には、2つの相間の安定した界面を達成するために適合性が必要であり、基本的成分(即ち、ポリマ及び溶媒)は、同じであることが必要である。しかしながら、各側が異なる対照的な成分を具え、識別可能な特徴(例えば、TEMについての異なる電子密度を有する共焦点顕微鏡検査又は分子用蛍光染料)を作る。これは、上のプロセスを通して各相に保つことができる。一方の相から他方の相へのこれらの対照的な成分の拡散は、凝固点まで避けなければならない。上記の目的と一致して、水に溶解したPEOと高分子蛍光染料の混合物をジェット溶液の各側に対して選択する。PEO(平均分子量600,000)、フルオレセインイソチオシアネート−デキストラン(FITC−Dextran、平均分子量250,000)、及びローダミンB−デキストラン(Rho−Dextran、平均分子量70,000)は、Aldrich Co.(USA)から購入する。ジェット溶液の各側について、3重量%のPEOと0.5重量%の各蛍光デキストランから構成されている溶液でジェットを実施する。8kVの電位を25cm離れた電極間に印加する。一の面の約80%の表面を除いて、アルミホイルでガラススライドを被覆し、ガラススライドの開放面にジェットを実施する。並列キャピラリとガラススライド基板を被覆するアルミホイルに、電極を直接連結する。流速は、各側について、0.1ml/時間である。等角顕微鏡法は、結果としてビード−オン−ストリング形態を示す(Model.SP2 CLSM manufactured by Leica,USA)。Ar/ArKrレーザ(波長488nm)及びGreNeレーザ(波長543nm)を用いて、FITC及びローダミンBをそれぞれ励起する。FITC及びローダミンBについて、吸収(放射)波長範囲は、それぞれ508〜523nm及び650〜750nmに設定されている。
【0043】
例2−選択的化学修飾
この例では、2相粒子を更に表面修飾するための選択的反応の実現可能性が明示されている。ジェット溶液の一方の側は、蒸留水に溶解させたPEO(Mw600,000)2重量%、アミン末端基を有する4アーム星型PEO(Mw10,000,Aldrich Co.)0.5重量%、及びデキストラン(Mw70,000)1重量%から構成されている。もう一方の側の組成は、蒸留水に溶解させたPEO(Mw600,000)2重量%、ヒドロキシル末端基を有する4アーム星型PEO(Mw10,000,Aldrich Co.)0.5重量%、及びローダミン−B−デキストラン(Mw70,000)1重量%から構成されている。ジェットに関する同等性を保証するために、各相でヒドロキシ末端基星形PEOを用いている。ジェット溶液の各側は、対照実験として試験される単相として電気スピニングする。同様の実験条件、即ち、電位7kVで、電極間が25cm離れており、流速が0.06ml/時間では、溶液の両側ともうまく電気スピニングして、前項に記載されているのと同じ実験装置でガラス基板の上にビード−オン−ストリング形態を形成する。両側に、6kV、25cm、0.05ml/hで2相ジェットを実施する。次いで、2つの対照単一相ジェット及び2相ジェットからのガラススライド上に電気スピニングさせたファイバを、15分間、n−ヘキサンのBODIPY(登録商標)に浸漬させる。n−ヘキサンは、全ての成分に対して非溶媒であるので、ガラススライド上のビード−オン−ストリング形態は、浸漬ステップ後もそのままである。アミンとスクシンイミヂルエステルの間の特異的反応を用いて、BODIPY(登録商標)染料を選択的にアミン基を有する表面に共有結合させる。この反応ステップ後に、ガラススライドを過剰量の汚染されていないn−ヘキサンに浸漬させて、2相粒子からの全ての可能な非選択的吸着した、又は拡散した染料が確実に洗い流されるようにする。次いで、この生成物を共焦点顕微鏡によって検査する。前項に記載したように、励起レーザが用いられており、BODIPY(登録商標)及びローダミンについての吸収波長範囲はそれぞれ、512〜539nm及び630〜670nmである。ローダミン吸収波長範囲は、BODIPY(登録商標)の励起スペクトルを導出するために、通常よりも長い波長領域が指定されている。
【0044】
例3
2相ナノオブジェクトは、ポリマ/無機材料ハイブリッドから作られ、透過顕微鏡(Model CM12,Philips)によって撮像される。2つのジェット溶液は、各側の電子密度の差によって対照をなすように構成されている。陰極(darker side)のジェット溶液は、蒸留水に溶解させた2%PEO(Mw600,000g/mol)、0.5%ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS,Mw200,000g/mol,Aldrich,USA)、及び0.3%硝酸銀から成る。溶液は暗いところに保持されているが、原子の銀ナノ結晶に起因して、TEM画像に暗斑ができる。陽極(brighter side)のジェット溶液は、2%PEO、0.5%FITC結合デキストランから成る。高分子蛍光染料を混合して、共焦点顕微鏡で同じ試料を検査し、2相特性を確かめる。TEM実験用試料を、炭素被覆銅格子(400mesh,TED PELLA,Redding CA,USA)上に直接ジェットすることによって準備する。Phillips社製の走査型電子顕微鏡(Model XL 30)を用いて、ナノオブジェクトの形態評価を実施する。各相の電子密度及び結晶構造等の内側構造及び詳細な構造特性を、透過型電子顕微鏡(JEOL 301 1,Japan)によって詳細に調べる。
【0045】
例4
ジェット溶液の一方の側のポリエチレンイミン(「PEI」)を用いて、一方の側に主アミン基を有する2相オブジェクトを生成する。アルミホイル上の炭素フィルム被覆銅格子を収集基板として用いて、ジェットを実施する。約1mgのエオシンイソチオシアナートを100miのn−ヘキサンに溶解させる。エオシン溶液内に、銅格子上の2相オブジェクトを20分間浸漬させる。また、この反応ステップ後に、この格子を汚染されていないヘキサンに60分間入れて、無差別に付着した染料を洗い流す。TEM実験は、2相特性を示す。
【0046】
本発明の実施例を例示し、記載したが、これらの実施例は、本発明の全ての可能な形態を例示し、記載することを意図していない。むしろ、本明細書で用いられる用語は、限定というよりも説明のための用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更が為されることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】図1Aは、本発明の方法によって形成した2相粒子の図である。
【図1B】図1Bは、本発明の方法によって形成した2相粒子の図である。
【図1C】図1Cは、本発明の方法によって形成した3相粒子の図である。
【図2A】図2Aは、電気スプレィによってナノメータサイズの粒子を形成するための本発明の実施例の装置の模式図である。
【図2B】図2Bは、電気スプレィによってナノメータサイズのファイバを形成するための本発明の実施例の装置の模式図である。
【図3】図3は、テーラーコーンを示す模式図である。
【図4】図4は、特定の細胞型に対する多機能2相粒子の認識を記載する模式図である。
【図5】図5は、2相単分子層に基づくディスプレィイの機能を示す模式図である。
【図6】図6は、形態に対する分子量と濃度の関係を示す図である。
【図7A】図7Aは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【図7B】図7Bは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【図7C】図7Cは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
関連出願の相互参照
本出願は、2004年11月10日に出願された米国暫定出願第60/626,792号、及び2005年2月9日に出願された米国暫定出願第60/651,288号の利益を主張する。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は、多相ナノ粒子の形成方法及びその形成したナノ粒子に関する。
【0003】
2.背景技術
荷電ジェットは、電気流体力学的力を用いてナノメータサイズの直径を有する液体ジェットを開発するためのプロセスである。伝導性液体のペンダント液滴が、数キロボルトの電位に曝露されると、電場と表面張力の間の力平衡によって、ペンダント液滴がメニスカスになり、所謂テーラーコーンと呼ばれる円錐形ができる。臨界点よりも大きい高荷電液体ジェットがこのコーンの頂点から噴出する。この既知のプロセスは、i)電気スプレィと、ii)電気スピニングと、の2つのプロセスに用いられる。電気スプレィでは、不安定であるために噴出した液体ジェットが最終的に断片化し、液滴のスプレィを形成する。種々の用途の中で、質量分析用の生体高分子の荷電ガス相イオンの生成が、最も広く用いられている。ポリマ溶液又は融液をジェット液体として用いることによって、電気スピニングは、従来のスピニングから得られるものよりも直径が数桁小さいファイバを作り上げる方法を提供している。最近の10年間だけで、電気スピニングは高い注目を浴びており、様々なポリマからナノファイバを紡ぎ出してきた。
【0004】
近年、形状が異なるキャピラリを用いた、複合ジェットシステムがいくつか報告されている。とりわけ、同軸コアシェル形状は、外側及び内側液体供給チャネルを有し、サスティンドコアとシェル層を有する安定したコーンジェットを生成する。サイドバイサイド構造等の複合ジェットの代替形状については、余り知られていない。
【0005】
2つの異なる相を有する異方性多相ナノオブジェクトは、ナノテクノロジの大幅な進歩を確立しており、マイクロエレクトロニクスやバイオテクノロジ等の分野で、広範な影響力を有している。2相オブジェクトの各サイドの選択的な修飾の可能性は、このシステムを非常に魅力的なものにすると共に、電気的及び生物医学的応用に幅広く使えるようにしている。
【0006】
従って、ナノメータサイズの粒子を形成する改良された方法、及び、特有の化学的特性を有する多相粒子が求められている。
【0007】
本発明の概要
本発明は、少なくとも一の実施例で、荷電ジェットによる多相粒子の形成方法を提供することによって、先行技術の一又はそれ以上の問題を解決する。この実施例の方法は、サイドバイサイドのキャピラリの2又はそれ以上の異なる液体の噴射を含み、これによって、多相コーンジェットを有する複合液体流を発生する。次いで、この形成したコーンジェットを、ナノオブジェクト内に少なくとも部分的に複合液体流を固化させる力場に曝露する。
【0008】
本発明の別の実施例では、上述の方法によって形成した多相ナノオブジェクトを提供する。例えば、使用した液体の特異的特性、及び実施パラメータに依存して、本発明の方法を用いて、2相ナノスフィア又は2相ナノファイバを生成することができる。以下に説明するようなプロセスパラメータの制御を用いたジェット液体の適切な選択によって、2相ナノオブジェクトを、ナノファイバ又はナノスフィア等の種々の形態で形成することができる。この2相オブジェクトは、ナノクリスタルである複合構造と、選択的反応によって修飾した表面を有する構造を含む。本発明のナノオブジェクトは、光通信及び電子デバイス、記憶デバイス、及び生体医用材料等の、多くの実用的アプリケーションに有利に用いられる。
【0009】
好ましい実施例の詳細な説明
現在の好ましい組成物、又は、本発明者らに現在知られている発明を実施する最も好ましい態様を構成する本発明の実施例及び方法を詳細に説明する。
【0010】
本明細書で用いられている用語「ナノオブジェクト」は、数ナノメータのオーダでの少なくとも1つの空間的寸法を有するあらゆる形態の物体を意味する。一の変形例では、ナノオブジェクトは、約5から約5000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。別の変形例では、ナノオブジェクトは、約20nmから約2000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。更に別の変形例では、ナノオブジェクトは、約50から約500nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。このようなナノオブジェクトの例には、ナノスフィア、ナノロッド、及びナノファイバが含まれる。ナノスフィアは実質的に球状であるナノオブジェクトである。ナノロッドは実質的にロッド形状であるナノオブジェクトである。ナノファイバは断面寸法よりも長い寸法を有するナノオブジェクトである。「ナノ粒子」は、3つの空間的寸法が全て数ナノメータのオーダであるナノオブジェクトを意味する。また、一の変形例では、ナノ粒子は、約5から約5000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。別の変形例では、ナノ粒子は、約20から約2000nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。更に他の変形例では、ナノ粒子は約50から約500nmの少なくとも1つの空間的寸法を有する。
【0011】
本明細書で用いられている用語「ナノサイズの」又は「ナノメータサイズの」は、数ナノメータのオーダを意味する。一の変形例では、ナノサイズは、約5から約5000nmである。別の変形例では、ナノサイズは、約20から約2000nmである。更に他の変形例では、ナノサイズは、約50から約500nmである。
【0012】
本明細書で用いられている用語「構造部材」は、ナノオブジェクトを固相にするナノオブジェクトの化合物を意味する。
【0013】
本発明の実施例では、化学的に異なる多面を有する異方性ナノオブジェクトが記載されている。図1A、図1B、図1Cを参照すると、本発明のナノオブジェクトの変形例が提供されている。図1Aでは、ナノオブジェクトが、ほぼ等しいサイズの2つの異なる相10、12を有する2相である(化学的に異なる面又は表面に相当する)、この実施例の変形例が示されている。図1Aでは、ナノオブジェクトが、サイズの異なる(化学的に異なる面又は表面に相当する)2つの別の相14、16を有する2相である、この実施例の別の変形例が示されている。図1Aと図1Bの相間の相対的サイズの差は、図1Aと図1Bの複合粒子間に存在する熱力学的平衡に起因する。その他の変形例では、ナノオブジェクトは、多くの化学的に異なる側面を有する3つ又はそれ以上の異なる相を有する。図1Cは、3つの相、18、20、22を有するナノオブジェクトの図を提供する。各変形例では、多数の形態があり得る。例えば、ナノオブジェクトは、多相ナノ粒子、多相ナノスフィア、ナノロッド、又はナノファイバであってよい。ある変形例のナノオブジェクト多相は、平行アラインメントを有する。この実施例の一の変形例では、ナノオブジェクトは、5nmと5000nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法(3つもあり得る)によって特徴付けられる。別の変形例では、ナノオブジェクトは、20と2000nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法によって特徴付けられる。更に別の変形例では、ナノオブジェクトは、50から500nmの間の一又はそれ以上の空間的寸法によって特徴付けられる。
【0014】
本発明の別の実施例では、ナノオブジェクトは複数の化学的に異なる相から成る。いくつかの変形例では、これらの化学的に異なる相は、ポリマ相である。この実施例の更なる改良では、これらの相のうちの少なくとも1つは、更に、添加剤、例えば、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤(例えば、染料、顔料等)、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子(例えば、標的又は非標的)を含む。別の改良では、多相は、例えば、同じポリマを含むが、その相に加えられた添加物が異なる2又はそれ以上の相を具える。これらの相の1つは、例えば、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、又はポリ乳酸、ポリカプロラクトン、又はポリグリコール酸等の生分解性ポリマを含んでいてもよい。これらの相の1つは、酸化還元活性材料、導電性材料、又は、粒子生成後に反応する化学基を有する材料を含んでいてもよい。このような後続反応には架橋が含まれる。このような架橋には、熱的に誘導されるか、化学線によって誘導される(例えば、光化学的に誘導される)。更に、架橋は、生体分子の固定化も含まれる。生体分子は、例えば、細胞膜成分、細胞レセプタ、又は細胞外基質成分等の生物学的標的に結合するものであってよい。いくつかの実施例では、ナノオブジェクトは、生物学的標的を感知する少なくとも1つの相、又は、異なる生体学的標的分子を感知する少なくとも2つの相を有するナノ粒子を具える。例えば、このようなセンサは、細胞表面レセプタ、又は細胞外流動体の成分を感知する。細胞壁上のレセプタを感知する相は、信号機構、例えば、蛍光共鳴エネルギー伝達を具える信号機構と連結している。細胞のレセプタに結合する相は、信号機構と連結することができ、ナノ粒子は、細胞壁に結合しないように構成されている少なくとも1つの相を具えることができる。更なる改良では、ナノオブジェクトは、光パルスに反応する電位、例えば、典型的な電池電位と比較できる電位を作ることができる。ナノオブジェクトは、電池に対して選択的な配列を有するようにして電池電位を利用することができる。
【0015】
本発明の別の実施例では、多相ナノオブジェクトの形成方法が提供されている。いくつかの変形例で、化学的に異なる複数の表面を有するナノオブジェクトを形成する点で、この実施例の方法は、先行技術の電気スプレィ及び電気スピニング技術の改良である。この実施例の方法では、2つ又はそれ以上の液体流(液体ジェットを含む)を組み合わせて、この2つ又はそれ以上の液体流が、ナノメータサイズの寸法の多相コーンジェットを有する複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って接触するようにする。いくつかの変形例では、液体流が導電性である。この複合液体流、及び、特にコーンジェットを、複数の化学的に異なる化学的表面を有するナノオブジェクトに複合液体流(即ち、コーンジェット)を固定させるのに十分な力場に曝露する。いくつかの変形例では、液滴の液体流フラグメントが、ナノ粒子、ナノスフィア、又はナノロッドの形状を生じさせる。
【0016】
図2Aと図2Bを参照すると、本発明の方法の変形例を実施する並列エレクトロジェット装置の模式図が提供されている。図2Aは、2つのジェット液体を合わせて2相粒子を形成する本実施例のエレクトロジェット装置の模式図である。図2Bは、2つのジェット液体を合わせて2相ファイバを形成する本実施例のエレクトロジェット装置の模式図である。複合流28の両側の2つの異なる成分を組み込むために、チャネル30、32が、ノズル34内で互いに隣接して(即ち、並列に)構成されている。同様の変形例では、チャネル30、32がキャピラリである。チャネル30、32は、2つの異なるジェット液体流36、38を、電源装置42によって発生した電場を有する領域40に送り出す。チャネル30、32は、液体流36、38の接触によって複合流44を形成するのに十分な寸法を有する。一の変形例では、この電場は、ノズル34とプレート46の間の電位差によって発生する。通常、電場は、少なくとも2つの電極間の約0.1kVから約25kVの電位差を利用して形成する。種々のプレート構造と形状を用いて電場を発生することは当業者に自明であり、従って、これは本実施例の範囲内である。図2Aは、粒子48を形成する本発明の電気スプレィの変形例を示す。この変形例では、噴出した複合流28は、不安定さに起因して分裂し、これによって、液滴のスプレィができる。図3Bは、ポリマ溶液又は融液をジェット液体として用いて、ナノファイバを形成する変形例を示し、ファイバ58を得ている。図3Bでは、シリンジポンプ60を用いて、ノズル34中の液体を流す。
【0017】
図3を参照すると、コーンジェット形成の模式図が提供されている。本実施例は、結果として得られる2相オブジェクトを形成するための特定の機構に限定されるものではないが、ジェット液体36、38がサイドバイサイド構造を維持し、コーンの形をしたペンダント液滴52の先端50からジェット50が噴出するジェットの発生と考えられている。ペンダント液滴52が数キロボルトの電位に曝露されると、電気流体力学的力が働いて、液体が分裂する。特に、電場とペンダント液滴52の表面張力の間の力平衡によって、ペンダント液滴52がメニスカスになり、円錐形54(「テーラーコーン」という)ができる。臨界点以上では、高荷電液体が、コーンの先端から噴出する。
【0018】
図2A、2B、及び3に、模式的に示されているように、安定2相コーンによって噴出した2相ジェットは、2相ナノ液滴に分裂するか、2相ナノファイバに固化する。2相、即ち、2つのジェット液体(又は、溶液)は、互いに相溶性である、相溶性でないのいずれであってもよい。しかしながら、2つのポリマ溶液が互いに相溶性である場合、安定したコーンジェットと2相間の安定した界面にとって最も理想的な場合が存在する。このような状況では、このプロセスは、熱力学的ではなくむしろ動力学的に制御され、他相と混合する前に、1つの相が各側で閉じこめられる。尚、2つの相間に親和性があることが、界面の安定性の点で望ましい。
【0019】
形態学的な制御は、本発明の重要な特徴である。従って、ペンダントコーン54から噴出した複合液体流28は、小さな液滴に分裂するか、連続ファイバの形状で維持され伸長するかすることができる。液滴のサイズ及び繊維状ジェットの寸法も制御することができる。ジェット液体の材料特性か、ジェットを分散する荷電ジェットの加工パラメータのどちらかを変えることによって、このような制御が実現される。しかし、当然のことながら、液体ジェットの最終形態は、基板上に集められた固体生成物の最終形態と常に同じではない。最終生成物の形状は、明確なゾル−ゲル遷移によって最もよく制御される。本発明の方法を用いてファイバを形成する(即ち、電気スピニング)場合、このゾル−ゲル遷移はこのプロセスに固有である。というのも、ジェット液体は、ポリマ溶液又はポリマ融液、溶媒蒸発、又はジェットがゾル−ゲル処理ステップとして機能する間の、熱遷移温度より低い温度への温度低下であるからである。
【0020】
本発明の荷電ジェット法は、電気流体力学的プロセスに大きく依存しているので、ジェット液体特性及び操作パラメータは互いに密接な関係にある。更に、ジェット液体が一成分系でない場合(即ち、2種又はそれ以上の化合物の混合物)、ジェット液体は、溶媒と溶質のいくつかのパラメータによって決定される特性を有する溶液である。当然のことながら、液体特性、溶液パラメータ、及び操作パラメータは、本発明の方法において相互に関連性がある。関連する材料特性には、粘度、表面張力、揮発度、熱及び導電性、誘電率、及び密度が含まれる。関連する溶液特性には、濃度、分子量、溶媒混合液、界面活性剤、ドーピング剤、及び架橋剤が含まれる。最後に、関連する操作パラメータには、液体流の流速、電位、温度、湿度、及び周囲圧が含まれる。操作パラメータに関して、コーンジェットモードでの電気スプレィの液滴の平均サイズ及びサイズ分布は、流速(ジェット液体のポンプ流量)に高く依存することが知られている。固定した流速では、サイズ分布は、一又はいくつかの比較的単分散クラスの直径からなる。最小の流速では、分布の様式及び液滴自体の直径も最小を示す。流速が変わると、安定したコーンジェットモードを維持するために、電極間の距離又は電位のどちらかを変えることによって、電場を調節するべきである。より高い流速では、ジェット液体の質量バランスのためにより高い電場となる。液滴の直径が十分に小さくないと、液滴が収集用基板に達する前に溶媒が完全に蒸発することができず、従って、液滴は湿って平坦なものになる。以下に説明する図6は、形態決定の点で、重量平均分子量対濃度の相互作用を提供するものである。
【0021】
微細液滴を生成するために、ジェット液体は固化する前に分散すべきである。この目的のために、ジェット液体は、歪み硬化を示さない伸長粘度を有する非常に希薄なポリマ溶液であってよい。しかしながら、ポリマの分子量によっては、時に、この濃度範囲は、粒子生成には低すぎる。従って、いくつかの変形例では、ジェット液体として低分子量化合物を代替として用いる。このような変形例では、液滴は、収集の時点で液相である。従って、ジェットプロセスの後、又はジェットプロセス中に適切なゾル−ゲルの化学的性質が必然的に用いられる。いくつかの変形例では、ジェッティングの結果得られたナノオブジェクトを架橋して、これによって、不溶性ネットワーク構造を有するようにしている。ポリマ前駆体の架橋反応は、適切な方法によって開始される(熱による開始又はUVによる開始)。
【0022】
本発明の更に別の実施例では、選択的に化学修飾された多相ナノオブジェクトが提供されている。この実施例では、構造成分(即ち、ポリマ)と反応する一又はそれ以上の反応成分を含む一又はそれ以上の液体流からナノオブジェクトを形成する。これによって、一又はそれ以上の反応成分が存在しない場合に、多相ナノオブジェクトの表面を、表面と比較して化学的に修飾した状態にする。更に、この実施例における液体流は、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤(例えば、染料、顔料等)、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出が可能な分子(例えば、標的又は非標的)等の成分を含んでいてもよい。例えば、2相粒子の形成中にジェット溶液の各側に適切な成分を加えることによって、反応性官能基が組み込まれる。2相ジェッティングの後に、オブジェクトの表面が各側で異なる官能基を有する。いくつかの変形例では、この実施例の異なる相は、蛍光顕微鏡か電子顕微鏡のどちらかによって検出される。この例は、2以上の液体流を用いる場合でも同様である。
【0023】
上述のように、本発明のナノオブジェクトの種々の相に多数の添加物を含めることができる。従って、このような添加物は、ナノオブジェクトを形成するために用いられる一又はそれ以上の液体流にも含まれていなければならない。一の変形例では、ナノスフィア又はナノファイバの一方の側にのみ、特定の電気的、磁気的、光学的、又は生物医学的特性を有する量子ドットを組み込むことができる。別の変形例では、体外及び体内実験用細胞プローブとして、又は、ドラッグ標的能力を有する体内バイオセンサ用プラットフォームとして、本発明の多相ナノオブジェクトを薬剤送出に用いている。2相ナノオブジェクトの場合、2相特性の固有の複雑性が、これらのオブジェクトに多機能性を与える。このオブジェクトの一方の相を、細胞標的、認識、又は感知に利用する場合、他方の相は、ドラッグローディング、及び/又はプロービングに用いることができる。加えて、このシステムの最も魅力的な特徴の1つは、比較的低価格であり、この多機能性のために生成が容易であることである。同様に、2つの異なる細胞特異的抗体を用いて、組織のような形で、細胞を方向付けすることができる。量子ドットは、生物学的標識用の新しい材料として現れてきたものであり、高発光及び長期安定性等の独特な特徴のために、伝統的な有機着色剤及び蛍光タンパク質に急速に取って代わっている。これらの量子ドットは、2相オブジェクトにカプセル化されるか、又は2相オブジェクトに選択的に付着する。プロービング及びセンシングは、2相特徴と適切な物理学的機構(例えば、蛍光共鳴エネルギ伝達、FRET)とを組み合わせることで実現する。FRETに基づいたセンサ又はプローブについて、Foester距離(Foester distance)を考慮して供与体と受容体の間のサイズを制御し、インターフェイスを設計することは、重要な問題となる。
【0024】
図4を参照すると、特定の細胞型に対する多機能2相粒子の認識について記載した模式図が提供されている。この図で、2つのタイプが異なるナノ粒子100、102が使用されている。粒子100は、相104、106を具え、粒子102は、相108、110を具える。第1の細胞ターゲット114に対する受容体112は相104に結合するが、成分116は相106に結合する。成分116は薬剤である。同様に、第2細胞ターゲット120に対する受容体118は相108に結合する。粒子102は相100内に量子ドット122を含む。
【0025】
また、上述の応用では当然のことであるが、表面積対体積比が増加することに起因して、オブジェクトサイズがサブミクロンスケールにまで小さくなるので、オブジェクトの特徴の多くは、表面の構造及び組成に支配される。従って、薬剤送出用の潜在的な用途は、細胞特異的抗体の固定化を可能にする特定の表面反応から、多大な利益を受ける。
【0026】
本発明の別の実施例では、上述の方法によって作った2相ナノスフィアを、ハイパー構造用の構築ブロックとして用いている。例えば、2相ナノスフィアの単分子層は、外部力場(電場、又は磁場)の適用に応じて切り換わる表面として機能する。図5は、2相単分子層に基づく表示の機能を示す模式図である。図5では、切り換え可能なナノオブジェクトが、いくつかの方法で達成されている。一の変形例では、ナノオブジェクトの一の相に磁気粒子をロードし、これによって磁場と切り換え可能な構造を作る。第2の変形例では、電子供与体が一の相に、電子受容体が第2の相に含まれており、電場と切り換えることができる双極子モーメントを作る。これらの各変形例では、各相に適切な着色剤を組み込むことによって、表示を形成することができる。従って、例えば、3相ナノオブジェクトを、3原色のうちの1つの着色剤を有する各相と共に用いれば、ほとんど全ての色を達成することができる表示を得ることができる。
【0027】
ジェット液体としてポリマ溶液を用いる場合、ポリマ濃度に依存して、ほぼ3つの異なるレジメを荷電ジェットに対して指定することができる。2つの極端な濃度領域、即ち、非常に希薄な濃度(重複濃度、c*より小さい)、及び、かなりの高濃度(c*より大きい)で、ジェットは、それぞれ電気スプレィと電気スピニングとして分類される。非常に希薄なポリマ溶液は、粘弾性に関して低分子量液体(通常の溶媒)と同様である。質量分析に適用する場合と同様に、単分子高分子イオンを生成するように、ジェットのキャピラリ分解が生じて、容易に液滴を形成する。しかしながら、高濃度では、伸長した流れにおけるポリマ溶液の歪み硬化に起因して、ジェットのキャピラリ分解の達成が困難である。これが持続している間、ジェットの伸長によって、溶媒の蒸発が加速され、最終的には、このジェットは微細繊維として固化する。
【0028】
本発明の別の実施例には、多相ビードファイバの形成方法が提供されている。中濃度では、エレクトロジェットの際に、ポリマ溶液がビードファイバを形成することが観察される。本実施例では、2つ又はそれ以上のポリマ溶液流がノズルで組み合わされ、ナノメータサイズの寸法の断面を有する複合流体流を形成するのに十分な2つ又はそれ以上のポリマ溶液流が空間的寸法に沿って接触する。複合液体流の少なくとも一部が電場に曝露されて、複合液体流がビードファイバに十分に分散される。ときに、ビードファイバ構造は、「ビード−オン−ストリング」形態と呼ばれる。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)溶液は、この形態を示す例示的な溶液である。この固有の構造は、電場の伸長力とジェット液体の表面張力が競合する結果であると考えられている。というのも、ビードとストリングのサイズ及び形状は、種々の液体パラメータを調整し、パラメータを操作することによって制御することができるからである。ジェット溶液の粘度、荷電、及び表面張力は、この形態に作用する要因である。ポリマの分子量、濃度等の溶液パラメータ、及び共溶媒や界面活性剤等の別の成分の添加によって、溶液の粘度及び表面張力が変わる。ドーピング剤(即ち、イオン化塩)の添加、及び電位やイオン発生の中和等の操作パラメータによって、電荷密度を制御することができる。
【0029】
本発明の別の実施例では、電子供与体及び受容体の多成分ポリマ混合物を作る方法が提供されている。同様のバルクヘテロ接合には、いくつかの制限がある。バルク材料では、混合によって作られるいくつかの領域が、励起子が界面に拡散するには大きすぎ、担体相が電極に到達する前にしばしば遮断される。本発明の実施例のナノファイバは、一の変形例では2相である。これらのナノファイバは、従来の混合システムと比較して、電子供与体と受容体の間のヘテロ接合の発生が強化されている。理論的には、両相によって発生したほとんど全ての励起子は再結合前に界面に到達することができる。従って、この実施例の2相ナノファイバによって認識されたヘテロ接合界面は励起子分離プロセスを改善する。対照的に、我々の2相ナノファイバは、制御可能な相寸法を有し、その直径は、数10ナノメータに小さくすることができる。従って、両相によって発生した理論上ほとんど全ての励起子は、再結合する前に界面に接触することができる。ナノファイバの2相構造によって認識されるこれらの擬似分子レベルヘテロ接合界面は、以前よりもよい励起子分離プロセスを改良する新規な方法を提供する。加えて、各相が一寸法オブジェクトを形成するので、電極に接触するまでその他によって妨害されることなく、それぞれが電荷担体として機能する。
【0030】
本発明の更に別の実施例では、2相構造を有する供与体/受容体構造が提供されている。この実施例では、無機ナノ粒子が、光活性担体として組み込まれている。この電気伝導度(効率のよい荷電分離に必要である)のために、これらの無機ナノ粒子を用いている。更に、これらの材料は粒子サイズを変更することによって調節可能であり、高密度層を形成する電気的及び光学的特性を有する。最終的に、このような材料は、多くの着色剤又はタンパク質よりも環境的に安定している。有益な無機材料の例には、CdTe及びCdSナノ粒子が含まれる。これらの材料は光ポテンシャルの優れた源であることが示されており、太陽電池に用いられている。更に、これらの接合は、光活性薄膜フィルムに見られる最も高い光ポテンシャルの1つを示す。ナノ粒子の価電子及び伝導帯のエネルギは、その直径を変更することによって制御することができるので、互いに対してエネルギレベルの最適位置を有するCdS及びCdTeナノ粒子を選択することによって、光ポテンシャルを更に増すことができる。CdTe及びCdSナノ粒子の光学的及び電子的特性は、その直径を変更することによって徐々に変えることができる。粒子サイズが減少するにつれて価電帯(「VB」)のトップと伝導帯(「CB」)のボトムの間のエネルギギャップは大きくなり、これを量子サイズ効果という。CdTeとCdSのCBとVBの相対位置を変更する能力は、2相ナノオブジェクトの価電分離の最大化の本質である。チオグリコール酸又はクエン酸イオンでキャップしたCdTe及びCdSナノクリスタルの水溶液を、予め準備する。
【0031】
また、本発明の更なる別の実施例では、異方性粒子を、層状シェル構造、フィルム、又はキャスティングと一体化することができる。これは、2次元又は3次元構造を作るのに有益である。更に、伝導帯エネルギィの段階的なプロファイルが、LBLによって形成される。このような層状シェル構造、フィルム、又はキャスティングは、ポリマとの界面からの電子の取り出し入れを可能にし、荷電再結合を防ぐ。異種間の光生成荷電分離を促進するために適切に位置したHOMO及びLUMOを有する半導体ナノ粒子の2Dフィルムをこの方法で形成することができる。エネルギスペクトラム位置が適切であるので、この現象を示す有益なシステムの例はCdS及びCdTeである。
【0032】
本発明の更なる別の実施例では、エレクトロジェットによって作られた多相着色剤(「MPC」)が提供されている。この実施例のMPCは、広範囲の光学特性を有する。このMPCの光学特性は、MPCに含まれる添加剤の着色分子の型及び濃度によって決まる。特定の添加剤は当業者に公知であり、限定するものではないが、レーザ染料、織物染料、ペンキ、コーティング、プラスチック着色剤、金属着色剤、セラミック着色剤、蛍光染料、天然染料、ポリマ染料、無機又は有機顔料、又はこれらの組み合わせといった低分子量染料等の染料及び顔料が含まれる。更に、MPCの各相の表面特性を調整して、MPCの全体の特性を変えることができる。MCPの相の着色剤の濃度の変化に応じて、及び各原色用の着色剤を含めることによって、実質的にどんな色のMCPでも得られる。更に、所望であれば、この実施例のMCPが、光沢、角度カラーバリエーション、及び半透明cy等の追加の光学的効果を生成する。
【0033】
ジェット液体が送り込まれるように設置した単一ノズルを有する荷電ジェットによって単一相着色剤が作られる。ジェット液体は、構造成分、着色剤、及び、全ての成分を溶解することができる溶剤の混合物である。構造成分は、電気スプレィ又は電気スピニングに適合するポリマを含む。この構造成分と着色剤は、通常、ジェットプロセス後に均質な混合物の形状の単一相着色剤を形成する。この成分は、熱力学的に互いに適合性があっても、なくてもよい。溶媒蒸発及びサイズ減少が同時に起こるジェットプロセスでは、非適合性成分であっても、動的封入によって一相の着色剤を作ることができる。
【0034】
この実施例の変形例において、並列デュアルキャピラリを荷電ジェットプロセスに用いて、2相の着色剤を作ることができる(図3)。各ジェットキャピラリ(ノズル)を通って、2つの化学的に異なるジェット液体を、力場、特に電場が存在する領域に送り込む。2つのジェット液体は、それぞれ一相着色剤の生成に一般的に用いられる全ての成分で構成されている。各相の異なる特徴を取り出すために、異なるドーピング剤(着色剤及び添加剤)を各ジェット液体に組み込む。各液体流の構造成分(即ち、ポリマ又はポリマ溶液)は、同じであっても、異なっていてもよい。更なる改良では、代替の着色剤が、コアシェル寸法を有していてもよい。別の変形例では、アニーリング又は光又はその他の形態のエネルギによる処理等の後処理ステップによって、この着色剤が、最終寸法に設定される。
【0035】
本発明の別の変形例では、3つのジェットキャピラリを通って送り込まれる3つのジェット液体を用いることによって、一の多相着色剤に3つの異なる相が組み込まれる。この変形例では、3つのキャピラリの寸法を、いくつかの異なる方法で変更することができる。一の変形例では、このキャピラリは三角形に配置される。この場合、3つの異なるドーピング剤混合システムを3相のそれぞれに組み込むことが出来る。これらの全てが着色剤の縁に曝露されている。別の実施例では、並列デュアルキャピラリを外側キャピラリに挿入することによってこのキャピラリ寸法が作られる。この2相及びコアシェルジェットを組み合わせた寸法は、興味のある内部材料分散によって3相着色剤を生成する。例えば、2つの内部(コア)液体を用いて、着色剤と添加剤を誘導する場合、できた着色剤は、2相着色剤のように挙動するであろう。第3の外側(シェル)液体は、カプセル層の誘導に用いることができる。この層は、不適合媒体から着色剤を保護することができる、及び/又は、着色剤の表面特性を制御することによって、着色剤の保持能力を強化することができる。
【0036】
また、本実施例は、3相以上の着色剤を包含する。2相及び3相荷電ジェットへの拡張は、3相以上を着色剤に用いるために、3つ以上のジェットキャピラリを用いている。全てのジェット液体が、各着色剤の生成に使用されることを保証するために、即ち、各着色剤が異なる組み合わせの相で構成されるのを防ぐために、キャピラリは、ちょうど、テーラーコーンの全てのジェット液体相の合流点からジェットが噴出されるような寸法である。
【0037】
この実施例のその他の変形例では、非球形の着色剤が提供されている。上で説明されているように、荷電ジェットプロセスは、複合パラメータウインドウによって管理される。これらのパラメータを変形させることによって、各種のジェットモード中で、多キャピラリジェットを適正化するコーンジェットモードが可能になる。また、これらのパラメータを変形させることによって、ナノオブジェクトの形状を制御することもできる。図6は、2つの独立した溶液パラメータ(構造ポリマの濃度及び分子量)を変えることによって、どのように形態を制御することができるかについての例を示す。この場合、より高濃度で、及びより大きな分子を使用することによって、ジェット溶液の粘度がより高くなり、結果としての形態がより繊維状になる。また、同じジェット液体に対して、異なる操作パラメータを用いることによっても、結果として生じる形態が変わる。着色剤のあり得る形態には、球状ナノ/マイクロ粒子、楕円形粒子、ナノ/マイクロロッド、ビード−オン−ストリング、ナノファイバ等が含まれる。
【0038】
この実施例の更に別の変形例では、白色不透明ペイント(即ち、TiO2を含まない白色顔料)で用いられる白色着色剤を提供する。一の改良では、純粋に有機材料からできた白色着色剤を、上述の方法によって準備する。重い、研磨用の無機TiO2粒子を用いる代わりに、一の着色剤中に3つ又はそれ以上の有機染料を合わせることによって、白色(低密度)が発生する。この染料は、原色の組み合わせであってよい。これらの染料は、これらの一相の着色剤中で互いに混合することができるか、多相着色剤の各相に組み込むことができる。例えば、3相着色剤は、加色混合の3原色(即ち、青、緑及び赤)の放射波長範囲を有する蛍光染料を含む。この例では、各相が一の染料を含む。これらの着色剤が蛍光灯にて照射されると、各相中の3つの染料は色を放射し、加色混合の3原色が白色光を生成する。
【0039】
本実施例のMCPは、電子表示アプリケーションに有用である。電子表示は、表面への、及び互いへのMCPの相対的配向性を制御することによって作られる。配向性の変化は、制御可能な外部力場の影響による。この場の切り換えに反応して、MCPの少なくとも一部の再配向が見られ、これは、ディスプレィイ画素の光学特性の変化をもたらす。各ピクセルは、少なくとも一のMPCでできている。このような技術によって、アドバンストカラーディスプレイが求められている場合に、表面特性の変化が増幅されて、色の変更を誘引することができる。
【0040】
次の例は、本発明の種々の実施例を示す。当業者は、本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識するであろう。
【0041】
例1−2相噴流
本実験用の実験装置は、図3のものに合致する。デュアルシリンジアプリケータアッセンブリ(FibriJet(登録商標)SA−0105,Micromedics,Inc.,MN,USA)を用いて、2つのジェット液体を送り込む。この装置では、2つの1mlシリンジを、1つのシリンジポンプによって制御する。各シリンジは、分離ジェット溶液で満たされている。これらの2つのシリンジは、26ゲージ及び3インチ長の寸法を有するデュアルカニューレを有するデュアルチャネルチップ(FibriJet(登録商標)SA−0105,Micromedics,Inc.,MN,USA)に連結されている。これらのデュアルカニューレ又はキャピラリを、これらの2つのキャピラリを並列に連結する透明なプラスチックチューブで覆う。2つの円形カニューラ間の溝によって生じるキャピラリ圧力を避け、並列キャピラリ装置から安定した2相のペンダント液滴を作るために、2つのキャピラリとプラスチックチューブを鋭く切断することによって、先端レベルができる。
【0042】
この例では、2相ジェットの理想的状態が考慮されている。特に、各液体の材料特性が類似している。2つのジェット溶液間には、2つの相間の安定した界面を達成するために適合性が必要であり、基本的成分(即ち、ポリマ及び溶媒)は、同じであることが必要である。しかしながら、各側が異なる対照的な成分を具え、識別可能な特徴(例えば、TEMについての異なる電子密度を有する共焦点顕微鏡検査又は分子用蛍光染料)を作る。これは、上のプロセスを通して各相に保つことができる。一方の相から他方の相へのこれらの対照的な成分の拡散は、凝固点まで避けなければならない。上記の目的と一致して、水に溶解したPEOと高分子蛍光染料の混合物をジェット溶液の各側に対して選択する。PEO(平均分子量600,000)、フルオレセインイソチオシアネート−デキストラン(FITC−Dextran、平均分子量250,000)、及びローダミンB−デキストラン(Rho−Dextran、平均分子量70,000)は、Aldrich Co.(USA)から購入する。ジェット溶液の各側について、3重量%のPEOと0.5重量%の各蛍光デキストランから構成されている溶液でジェットを実施する。8kVの電位を25cm離れた電極間に印加する。一の面の約80%の表面を除いて、アルミホイルでガラススライドを被覆し、ガラススライドの開放面にジェットを実施する。並列キャピラリとガラススライド基板を被覆するアルミホイルに、電極を直接連結する。流速は、各側について、0.1ml/時間である。等角顕微鏡法は、結果としてビード−オン−ストリング形態を示す(Model.SP2 CLSM manufactured by Leica,USA)。Ar/ArKrレーザ(波長488nm)及びGreNeレーザ(波長543nm)を用いて、FITC及びローダミンBをそれぞれ励起する。FITC及びローダミンBについて、吸収(放射)波長範囲は、それぞれ508〜523nm及び650〜750nmに設定されている。
【0043】
例2−選択的化学修飾
この例では、2相粒子を更に表面修飾するための選択的反応の実現可能性が明示されている。ジェット溶液の一方の側は、蒸留水に溶解させたPEO(Mw600,000)2重量%、アミン末端基を有する4アーム星型PEO(Mw10,000,Aldrich Co.)0.5重量%、及びデキストラン(Mw70,000)1重量%から構成されている。もう一方の側の組成は、蒸留水に溶解させたPEO(Mw600,000)2重量%、ヒドロキシル末端基を有する4アーム星型PEO(Mw10,000,Aldrich Co.)0.5重量%、及びローダミン−B−デキストラン(Mw70,000)1重量%から構成されている。ジェットに関する同等性を保証するために、各相でヒドロキシ末端基星形PEOを用いている。ジェット溶液の各側は、対照実験として試験される単相として電気スピニングする。同様の実験条件、即ち、電位7kVで、電極間が25cm離れており、流速が0.06ml/時間では、溶液の両側ともうまく電気スピニングして、前項に記載されているのと同じ実験装置でガラス基板の上にビード−オン−ストリング形態を形成する。両側に、6kV、25cm、0.05ml/hで2相ジェットを実施する。次いで、2つの対照単一相ジェット及び2相ジェットからのガラススライド上に電気スピニングさせたファイバを、15分間、n−ヘキサンのBODIPY(登録商標)に浸漬させる。n−ヘキサンは、全ての成分に対して非溶媒であるので、ガラススライド上のビード−オン−ストリング形態は、浸漬ステップ後もそのままである。アミンとスクシンイミヂルエステルの間の特異的反応を用いて、BODIPY(登録商標)染料を選択的にアミン基を有する表面に共有結合させる。この反応ステップ後に、ガラススライドを過剰量の汚染されていないn−ヘキサンに浸漬させて、2相粒子からの全ての可能な非選択的吸着した、又は拡散した染料が確実に洗い流されるようにする。次いで、この生成物を共焦点顕微鏡によって検査する。前項に記載したように、励起レーザが用いられており、BODIPY(登録商標)及びローダミンについての吸収波長範囲はそれぞれ、512〜539nm及び630〜670nmである。ローダミン吸収波長範囲は、BODIPY(登録商標)の励起スペクトルを導出するために、通常よりも長い波長領域が指定されている。
【0044】
例3
2相ナノオブジェクトは、ポリマ/無機材料ハイブリッドから作られ、透過顕微鏡(Model CM12,Philips)によって撮像される。2つのジェット溶液は、各側の電子密度の差によって対照をなすように構成されている。陰極(darker side)のジェット溶液は、蒸留水に溶解させた2%PEO(Mw600,000g/mol)、0.5%ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS,Mw200,000g/mol,Aldrich,USA)、及び0.3%硝酸銀から成る。溶液は暗いところに保持されているが、原子の銀ナノ結晶に起因して、TEM画像に暗斑ができる。陽極(brighter side)のジェット溶液は、2%PEO、0.5%FITC結合デキストランから成る。高分子蛍光染料を混合して、共焦点顕微鏡で同じ試料を検査し、2相特性を確かめる。TEM実験用試料を、炭素被覆銅格子(400mesh,TED PELLA,Redding CA,USA)上に直接ジェットすることによって準備する。Phillips社製の走査型電子顕微鏡(Model XL 30)を用いて、ナノオブジェクトの形態評価を実施する。各相の電子密度及び結晶構造等の内側構造及び詳細な構造特性を、透過型電子顕微鏡(JEOL 301 1,Japan)によって詳細に調べる。
【0045】
例4
ジェット溶液の一方の側のポリエチレンイミン(「PEI」)を用いて、一方の側に主アミン基を有する2相オブジェクトを生成する。アルミホイル上の炭素フィルム被覆銅格子を収集基板として用いて、ジェットを実施する。約1mgのエオシンイソチオシアナートを100miのn−ヘキサンに溶解させる。エオシン溶液内に、銅格子上の2相オブジェクトを20分間浸漬させる。また、この反応ステップ後に、この格子を汚染されていないヘキサンに60分間入れて、無差別に付着した染料を洗い流す。TEM実験は、2相特性を示す。
【0046】
本発明の実施例を例示し、記載したが、これらの実施例は、本発明の全ての可能な形態を例示し、記載することを意図していない。むしろ、本明細書で用いられる用語は、限定というよりも説明のための用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更が為されることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】図1Aは、本発明の方法によって形成した2相粒子の図である。
【図1B】図1Bは、本発明の方法によって形成した2相粒子の図である。
【図1C】図1Cは、本発明の方法によって形成した3相粒子の図である。
【図2A】図2Aは、電気スプレィによってナノメータサイズの粒子を形成するための本発明の実施例の装置の模式図である。
【図2B】図2Bは、電気スプレィによってナノメータサイズのファイバを形成するための本発明の実施例の装置の模式図である。
【図3】図3は、テーラーコーンを示す模式図である。
【図4】図4は、特定の細胞型に対する多機能2相粒子の認識を記載する模式図である。
【図5】図5は、2相単分子層に基づくディスプレィイの機能を示す模式図である。
【図6】図6は、形態に対する分子量と濃度の関係を示す図である。
【図7A】図7Aは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【図7B】図7Bは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【図7C】図7Cは、化学修飾の例の化学反応の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノオブジェクトの形成方法において、前記方法が:
2又はそれ以上の液体流を、当該2又はそれ以上の液体流が複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って接触するように、合わせるステップと;
前記複合液体流の少なくとも一部をナノサイズのコーンジェットを形成するのに十分な力場に曝露させて、これによって、前記複合液体流を前記ナノオブジェクトの状態に固化するステップであって、前記ナノオブジェクトが、多相、及び化学的に異なる多表面を具えるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記力場が、電場、圧力勾配場、又は重力場であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が、蒸発、ゾル−ゲル遷移、冷却及びこれらの組み合わせからなる群より選択された固化プロセスによって、少なくとも一部が固化することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が、コーンジェットを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が力場に曝露されると、液滴に断片化することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、一又はそれ以上の前記液体流が、液体溶液、硬化性ポリマ前駆体、ポリマ溶液、及びポリマ融液から成る群より選択された成分を具えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法が、硬化性ポリマ前駆体を具える一又はそれ以上の液体流を硬化させるステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記ポリマ前駆体が、熱的に、又は化学線への曝露によって硬化することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約5nmと約5000nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約20nmと2000nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約50nmと500nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、電場が、少なくとも2つの電極間に約0.1kVから約25kVの電位差を適用することによって形成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記2又はそれ以上の液体流が、各々別々に着色剤を含み、前記ナノオブジェクトが多相着色剤であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、構造成分と反応する一又はそれ以上の反応性成分を含み、これによって、前記一又はそれ以上の反応成分が存在しない場合に、前記ナノオブジェクトの表面を、前記表面と比較して、化学修飾することを特徴とする方法。
【請求項17】
ナノオブジェクトの形成方法において、前記方法が:
2又はそれ以上の液体流を、ナノサイズのコーンジェットを有する複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って前記2又はそれ以上の液体が接触するように、ノズルで合わせるステップと;
前記複合液体流の少なくとも一部を電場に曝露して、前記複合液体流を前記ナノオブジェクトに十分に固化させ、前記ナノオブジェクトが、多相及び化学的に異なる多表面を具えるステップであって、前記複合液体流が、約20nmと約2000nmとの間の空間的寸法を有するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、2相ナノオブジェクトであり、前記一又はそれ以上の液体流が2つの化学的に異なる液体流を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、一又はそれ以上の前記液体流が、液体溶液、硬化性ポリマ前駆体、ポリマ溶液、及びポリマ融液から成る群より選択された成分を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法が、硬化性ポリマ前駆体を具える一又はそれ以上の液体流を硬化させるステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約50nmと約500nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
約20nmから約2000nmの少なくとも一の空間的寸法を有し、化学的に異なる多表面を有するナノオブジェクト。
【請求項25】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、前記ナノオブジェクトが、2相ナノオブジェクトであることを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項26】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、前記ナノオブジェクトが、スフィア、ロッド、ファイバ、及びこれらの組み合わせから選択された形態を有することを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項27】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項28】
請求項27に記載のナノオブジェクトにおいて、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載のナノオブジェクトにおいて、前記添加物が、着色剤であり、前記ナノオブジェクトが、多相着色剤であることを特徴とする方法。
【請求項1】
ナノオブジェクトの形成方法において、前記方法が:
2又はそれ以上の液体流を、当該2又はそれ以上の液体流が複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って接触するように、合わせるステップと;
前記複合液体流の少なくとも一部をナノサイズのコーンジェットを形成するのに十分な力場に曝露させて、これによって、前記複合液体流を前記ナノオブジェクトの状態に固化するステップであって、前記ナノオブジェクトが、多相、及び化学的に異なる多表面を具えるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記力場が、電場、圧力勾配場、又は重力場であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が、蒸発、ゾル−ゲル遷移、冷却及びこれらの組み合わせからなる群より選択された固化プロセスによって、少なくとも一部が固化することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が、コーンジェットを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記複合液体流が力場に曝露されると、液滴に断片化することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、一又はそれ以上の前記液体流が、液体溶液、硬化性ポリマ前駆体、ポリマ溶液、及びポリマ融液から成る群より選択された成分を具えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法が、硬化性ポリマ前駆体を具える一又はそれ以上の液体流を硬化させるステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記ポリマ前駆体が、熱的に、又は化学線への曝露によって硬化することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約5nmと約5000nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約20nmと2000nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約50nmと500nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、電場が、少なくとも2つの電極間に約0.1kVから約25kVの電位差を適用することによって形成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記2又はそれ以上の液体流が、各々別々に着色剤を含み、前記ナノオブジェクトが多相着色剤であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、構造成分と反応する一又はそれ以上の反応性成分を含み、これによって、前記一又はそれ以上の反応成分が存在しない場合に、前記ナノオブジェクトの表面を、前記表面と比較して、化学修飾することを特徴とする方法。
【請求項17】
ナノオブジェクトの形成方法において、前記方法が:
2又はそれ以上の液体流を、ナノサイズのコーンジェットを有する複合液体流を形成するのに十分な空間的寸法に渡って前記2又はそれ以上の液体が接触するように、ノズルで合わせるステップと;
前記複合液体流の少なくとも一部を電場に曝露して、前記複合液体流を前記ナノオブジェクトに十分に固化させ、前記ナノオブジェクトが、多相及び化学的に異なる多表面を具えるステップであって、前記複合液体流が、約20nmと約2000nmとの間の空間的寸法を有するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、2相ナノオブジェクトであり、前記一又はそれ以上の液体流が2つの化学的に異なる液体流を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、一又はそれ以上の前記液体流が、液体溶液、硬化性ポリマ前駆体、ポリマ溶液、及びポリマ融液から成る群より選択された成分を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法が、硬化性ポリマ前駆体を具える一又はそれ以上の液体流を硬化させるステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法において、前記ナノオブジェクトが、約50nmと約500nmの間の空間的寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
約20nmから約2000nmの少なくとも一の空間的寸法を有し、化学的に異なる多表面を有するナノオブジェクト。
【請求項25】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、前記ナノオブジェクトが、2相ナノオブジェクトであることを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項26】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、前記ナノオブジェクトが、スフィア、ロッド、ファイバ、及びこれらの組み合わせから選択された形態を有することを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項27】
請求項24に記載のナノオブジェクトにおいて、一又はそれ以上の液体流が、更に添加物を具えることを特徴とするナノオブジェクト。
【請求項28】
請求項27に記載のナノオブジェクトにおいて、前記添加物が、無機ナノクリスタル、量子ドット、生体分子、着色剤、架橋剤、医薬化合物、分子プローブ、及び薬剤送出を可能にする分子から成る群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載のナノオブジェクトにおいて、前記添加物が、着色剤であり、前記ナノオブジェクトが、多相着色剤であることを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公表番号】特表2008−520407(P2008−520407A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540190(P2007−540190)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/040560
【国際公開番号】WO2006/137936
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/040560
【国際公開番号】WO2006/137936
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】
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