説明

多相分散系を処理する方法

多相分散系を処理する方法が提供される。該方法は、分散相および連続相を含む多相分散系を用意する工程、非溶媒を用意する工程、該多相分散系および該非溶媒を混合する工程、ならびに微粒子が該分散系から分離されるように、該分散相の該非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含む。ここで、該微粒子は、該非溶媒に実質的に不溶性であり、該非溶媒は、該連続相の密度を超える密度または該連続相の粘度を超える粘度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多相分散系、より詳細には、このような分散系を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で「微粒子」と総称して言及される微粒子、ミクロスフェア、およびマイクロカプセルは、1ミリメートル未満、より好ましくは100ミクロン未満の直径を有する固体または半固体であり、種々のポリマーおよびタンパク質(これらに限定されない)を含む種々の物質から形成することができる。微粒子は、様々な用途、主に分離、診断、および薬物送達において用いられてきた。
【0003】
分離技術で用いられる微粒子の最も周知な例は、ポリアクリルアミド、ヒドロキシアパタイト、またはアガロースなどの合成またはタンパク質起源のポリマーから形成されるものである。これらのポリマー微粒子は一般に、分子量および/またはイオン電荷に基づいて、あるいは微粒子に化学的に結合させた分子との相互作用によってタンパク質などの分子を分離するために用いられている。
【0004】
診断分野において、球形ビーズまたは粒子は、多年にわたって生化学者のための手段として市販されてきた。例えば、微粒子は、酵素、酵素に対する基質、または標識抗体で誘導体化され、次いで、分子と相互作用して、直接または間接に検出される。いくつかの誘導体化ビーズが市販されており、様々な構成要素および大きさを有する。
【0005】
制御された薬物送達分野では、分子は、微粒子内に被包され、またはマトリックス中に取り込まれて、その分子の制御された放出を提供してきた。相分離、溶媒蒸発、乳化、およびスプレー乾燥を含めて、多くの種々の技術が、様々なポリマーからこのような微粒子を作製するために用いられてきた。一般に、ポリマーは微粒子の支持構造を形成し、問題の薬物または分子は、その支持構造に取り込まれる。微粒子を形成するために用いられる例示的なポリマーには、乳酸およびグリコール酸のホモポリマーおよびコポリマー(PLGA)、ブロックコポリマー、ならびにポリホスファゼンが含まれる。
【0006】
特許文献1(‘205公開)には、溶解した相分離向上剤(複数可)を含む水性および/または水混和性溶媒(複数可)に活性剤を溶解させて、単一液相の溶液を形成する工程を含む微粒子を形成する相分離法が開示されている。次いで、この溶液に、液−固相分離を施し、該相分離向上剤(複数可)および溶媒(複数可)が該液相を含みながら、該活性剤によって、固体球状小粒子(すなわち、固相)を形成する。この‘205公開には、微粒子を含む溶液および/または乾燥粉末を、活性剤が不溶性であり、(望まれていない)相分離向上剤が可溶性である液体媒体で洗浄する工程を含む、微粒子を得る方法が開示されている。開示されている液体媒体には、有機溶媒および超臨界流体が含まれる。代表的な洗浄方法には、透析ろ過および遠心分離が含まれる。次いで、残存する液相は通常、凍結乾燥または蒸発によって除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0170005号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、多相分散系を処理する方法は、分散相および連続相を含み、固体微粒子および少なくとも第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、非溶媒を用意する工程、該多相分散系および該非溶媒を混合する工程、ならびに該微粒子の大部分が該分散系から分離されるように、該微粒子の該非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含み、該微粒子は、該非溶媒に実質的に不溶性であり、該非溶媒は、該連続相の密度を超える密度、または該連続相の粘度を超える粘度を有する。
【0009】
別の実施形態において、多相分散系を処理する方法は、分散相および連続相を含み、固体微粒子および第1の濃度における第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、該第1の濃度を超える第2の濃度における第2の不揮発性物質を含む非溶媒を与える工程であって、該微粒子が該非溶媒に実質的に不溶性である工程、該多相分散系および該非溶媒を混合する工程、ならびに該微粒子の大部分が該分散系から分離されるように、該微粒子の該非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、多相分散系、より詳細には、このような分散系を処理する方法に関する。具体的には、本開示は、反応/インキュベーション媒体から微粒子を含む分散相を分離する方法に関し、そのため、該微粒子を、収集し、ならびに/または薬物送達、診断、分離、および他の用途に適した組成物および製剤に取り込むことができる。
【0011】
開示される方法は、(1)微粒子集塊の減少を達成することができる(微粒子を処理する公知の方法と比べて);(2)微粒子は、薬学的に許容される希釈剤と/の中へ配合され、凍結乾燥または蒸発などの費用と時間のかかる乾燥工程を行うことなく、被験体に投与され得る組成物を得ることができる;ならびに(3)微粒子の精製および単離を比較的容易に達成することができる(微粒子を処理する公知の方法と比べて)こと(これらに限定されない)を含むいくつかの理由について有利である。
【0012】
一実施形態において、多相分散系を処理する方法は、分散相および連続相を含み、固体微粒子および少なくとも第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、非溶媒を用意する工程、該多相分散系および該非溶媒を混合する工程、ならびに該微粒子の大部分が該分散系から分離されるように、該微粒子の該非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含み、該微粒子は、該非溶媒に実質的に不溶性であり、該非溶媒は、該連続相の密度を超える密度、または該連続相の粘度を超える粘度を有する。
【0013】
別の実施形態において、多相分散系を処理する方法は、分散相および連続側を含み、固体微粒子および第1の濃度における第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、該第1の濃度を超える第2の濃度における第2の不揮発性物質を含む非溶媒を与える工程であって、該微粒子は該非溶媒に実質的に不溶性である工程、該多相分散系および該非溶媒を混合する工程、ならびに該微粒子の大部分が該分散系から分離されるように、該微粒子の該非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含む。
【0014】
本明細書で別に規定されない限り、本開示で用いられる科学および技術用語は、当業者によって一般に理解され、および用いられている意味を有するものとする。文脈により別に必要とされない限り、単数形の用語はその同一物の複数形を含むものとし、複数形の用語は、その単数形を含むものとする。具体的には、本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つ(a)」および「1つ(an)」は、文脈が明確に別に示さない限り、複数形の言及を含む。したがって、例えば、微粒子への言及は、当業者に公知のそれらの均等物も含めて、1個のこのような微粒子または複数のこのような微粒子への言及である。また、本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語は、同じ意味を有し、1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含む。別に示されない限り、以下の用語は、本開示の文脈で用いられる場合、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0015】
「分散系」は、固体または非固体連続相(例えば、流体、液体、水、有機、気体の)中に存在する少なくとも1つの分散相または不連続相(場合によって、例えば、固体微粒子の形態におけるように、細かく分けられている)を有する物質の混合物を指す。本開示による分散系の代表的な例には、固体中固体、液体中固体、気体中固体などが含まれる。分散系は、実質的に均一または非均一であり得る。懸濁液は、不連続の固相(微粒子など)が、長期間(例えば、少なくとも5秒間、10秒間または30秒間、例えば、数分間、数時間、数日間、数週間、数カ月間、もしくはさらに1年間またはそれ以上)連続相中に安定的に懸濁したままで(実質的に沈殿なしに)あり得る特定の分散系である。「多相分散系」は、少なくとも2相、例えば、3相またはそれ以上の相を有する分散系である。一例では、このような分散系は、1つの分散相に加えて、2種の不混和性溶媒または溶媒系を含み得る。
【0016】
「微粒子」は、約1mm未満、例えば、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約10ミクロン未満、約1ミクロン未満、約100nm未満、約10nm未満、約0.1nm超、約1nm超、およびこれらの値の間の範囲の平均幾何粒径(直径と称されることもある)を有する固体微粒子(実質的に固体または半固体を含むが、ゲル、液体および気体は除く)を指す。したがって、平均幾何粒径の適切は範囲には、約0.1nmから約1mm、約1nmから約1mm、約10nmから約1mm、約100nmから約1mm、約1ミクロンから約1mm、約10ミクロンから約1mm、約100ミクロンから約1mm、約200ミクロンから約1mm、約0.1nmから約200ミクロン、約1nmから約200ミクロン、約10nmから約200ミクロン、約100nmから約200ミクロン、約1ミクロンから約200ミクロン、約10ミクロンから約200ミクロン、約100ミクロンから約200ミクロン、約0.1nmから約100ミクロン、約1nmから約100ミクロン、約10nmから約100ミクロン、約100nmから約100ミクロン、約1ミクロンから約100ミクロン、約10ミクロンから約100ミクロン、約0.1nmから約10ミクロン、約1nmから約10ミクロン、約10nmから約10ミクロン、約100nmから約10ミクロン、約1ミクロンから約10ミクロン、約0.1nmから約1ミクロン、約1nmから約1ミクロン、約10nmから約1ミクロン、約100nmから約1ミクロン、約0.1nmから約100nm、約1nmから約100nm、約10nmから約100nm、約0.1nmから約10nm、約1nmから約10nm、および/または約0.1nmから約1nmが含まれる。平均幾何粒径は、動的光散乱法(例えば、光相関分光法、レーザ回折法、低角レーザ光散乱法(LALLS)、中角レーザ光散乱法(MALLS)、光遮蔽法(コールター分析法など)、または他の方法(レオロジー、光または電子顕微鏡など))によって測定され得る。肺送達のための微粒子は、飛行時間測定値またはアンダーセンカスケードインパクタ測定値によって決定した空気力学的粒径を有する。球形を有する微粒子は、ときに、ミクロスフェアおよびナノスフェアと称される。カプセル化構造を有する微粒子は、マイクロカプセルおよびナノカプセルと称されることもある。微粒子は、多孔性であり得、例えば、1つまたは複数の内部空隙および/または空洞を有する。他の微粒子は、非多孔性であり、および/またはこのような空隙または空洞を含まない。微粒子は、限定されないが、活性剤、担体、ポリマー、錯化剤、安定剤、賦形剤、イオン、水分、残留溶媒、不純物、副生成物、および/または製造関連化合物を含む1種または複数の物質から、部分的または全体的に形成される。微粒子は、結晶性、非晶性、微結晶性、ナノ結晶性、またはそれらの組合せであり得る。
【0017】
「活性剤」は、インビトロおよび/またはインビボで1つまたは複数の物理的、化学的、および/または生物学的作用を直接または間接に引き出すことができる天然に存在する物質、組換え物質、合成物質、または半合成物質(例えば、化合物、発酵物、抽出物、細胞構造物)を指す。活性剤は、例えば、寄生生物を破壊する、または宿主もしくは寄生生物の生理機能を実質的に変えることにより疾患もしくは異常の作用を制限するなどによって生体の異常および/または病的状態を予防し、緩和し、治療し、および/または治癒させることができる。活性剤は、生理学的身体機能を維持し、増大させ、低下させ、制限し、または破壊することができる。活性剤は、インビトロおよび/またはインビボでの試験によって生理学的状況または状態を診断することができる。活性剤は、動物または微生物を誘引し、不能にさせ、阻害し、殺し、変性し、撃退しおよび/または遅延させることによって、環境または生体を制御または保護することができる。活性剤は、身体を別の方法で治療する(脱臭、保護、装飾、手入れするなど)ことができる。その作用および/または用途に依存して、活性剤はさらに、生物活性剤、薬剤(予防薬、治療剤など)、診断薬、栄養剤、および/または化粧剤と称することができ、限定なしに、プロドッグ、アフィニティー分子、合成有機分子、ポリマー、2kDa以下の分子量を有する分子(約1.5kDa未満または約1kDa未満の分子量を有するものなど)、巨大分子(約2kDaより大きい、例えば、約5kDaより大きいまたは約2kDaから約5kDaの分子量を有するものなど)、タンパク質様化合物、ペプチド、ビタミン、ステロイド、ステロイド類似体、脂質、核酸、炭水化物、それらの前駆体、およびそれらの誘導体を含む。活性剤は、イオン性または非イオン性であることができ、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であることができ、単独で用いても、それらの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。活性剤は、水不溶性または水溶性であることができる。活性剤は、7.0以上、または7.0未満の等電点をもつことができる。
【0018】
「タンパク質様化合物」は、タンパク質またはそれに構造的および/もしくは機能的に関連した天然、合成、半合成、もしくは組換え化合物、例えば、ペプチド結合を介して共有結合されたα−アミノ酸を含むまたはそれから本質的になるものなどを指す。非限定的なタンパク質様化合物には、球状タンパク質(例えば、アルブミン、グロブリン、ヒストン)、繊維状タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン)、化合物タンパク質(1つまたは複数の非ペプチド成分を含むもの、例えば、糖タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、金属タンパク質を含む)、治療用タンパク質、融合タンパク質、受容体、抗原(合成または組換え抗原など)、ウイルス表面タンパク質、ホルモンおよびホルモン類似体、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル抗体など)、酵素、Fabフラグメント、環状ペプチド、線状ペプチドなどが含まれる。非限定的な治療用タンパク質には、骨形成タンパク質、薬物耐性タンパク質、トキソイド、エリスロポエチン、血液凝固カスケードのタンパク質(例えば、第VII因子、第VIII因子、第IX因子など)、サブチリシン、オボアルブミン、アルファ−1−アンチトリプシン(AAT)、DNase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、ヒト成長ホルモン(hGH)、エリスロポエチン、インスリン、インスリン様成長因子、インターフェロン、グラチラマー、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、デスモプレシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、ブセレリン、ゴナドレリン、ヒストレリン、ナファレリン、デスロレリン、フェルチレリン、トリプトレリン)、LHRHアンタゴニスト、バソプレシン、シクロスポリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンペプチド、グルコゲン様ペプチド、およびそれらの類似体が含まれる。タンパク質様化合物は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いても、それらの2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0019】
「核酸」は、2つ以上の同じまたは異なるヌクレオチドから少なくとも部分的に形成された天然、合成、半合成、または組換え化合物を指し、単鎖または二本鎖であり得る。核酸の非限定的な例には、オリゴヌクレオチド(20以下の塩基対を有するもの、例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンスなど)、アプタマー、ポリヌクレオチド(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、DNA(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、RNA(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、siRNA、ヌクレオチド酸構築物、それらの単鎖または二本鎖セグメント、ならびにそれらの前駆体および誘導体(例えば、糖化、過剰糖化、PEG化、FITC標識された、ヌクレオシド、それらの塩)が含まれる。核酸は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いても、それらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
「巨大分子」は、三次元(例えば、三次および/または四次の)構造を与えることができる物質を指し、担体および本開示のある種の活性剤を含む。巨大分子は通常、2kD以上、例えば、5kD超または2kDと5kDの間の分子量を有する。微粒子を形成するために用いられる非限定的な巨大分子には、とりわけ、ポリマー、コポリマー、タンパク質(例えば、酵素、組換えタンパク質、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、タンパク質様化合物)、ペプチド、脂質、炭水化物(例えば、単糖、二糖、多糖)、核酸、ベクター(例えば、ウイルス、ウイルス粒子)、ならびにそれらの複合体および結合体(例えば、2つの巨大分子間(例えば、炭水化物−タンパク質複合体もしくは結合体)の、または活性剤と巨大分子(例えば、ハプテン−タンパク質複合体もしくは結合体)との間の共有結合および/または非共有結合)が含まれる。巨大分子は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いてもそれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
「担体」は、ミクロスフェアに三次元構造(三次および/または四次構造を含む)を与える主な機能を有する化合物(通常巨大分子)を指す。担体は、上に記載されたとおりの微粒子を形成する際に活性剤と会合していなくても、または会合していてもよい(その結合体または複合体など)。担体はさらに、例えば、活性剤である、微粒子からのその活性剤の放出プロファイルを変更する、そして/または微粒子に1つもしくは複数の特定の性質を付与する(正味の表面電荷に少なくとも部分的に寄与するなど)などの他の機能を与え得る。一例では、担体は、1,500ダルトン以上の分子量を有するタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン)である。
【0022】
「ポリマー」または「ポリマーの」は、少なくとも1つの主鎖、分岐、または環状構造中に2つ以上の繰返しモノマー単位を有する天然、組換え、合成または半合成分子を指す。ポリマーには広く、二量体、三量体、四量体、オリゴマー、高分子量ポリマー、付加体、ホモポリマー、ランダムコポリマー、擬コポリマー、統計コポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、二元重合体、三元重合体、四元重合体、コポリマーの他の形態、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物が含まれる。一態様において、ポリマーおよびポリマーのという用語は、10以上の繰返しモノマー単位を有する分子を指す。ポリマーは、線状、分岐、ブロック、グラフト、単分散、多分散、規則性、不規則性、タクチック、イソタクチック、シンジオタクチック、立体規則性、アタクチック、立体障害、単鎖、二本鎖、星形、櫛形、樹状、および/またはイオノマーであることができ、イオン性または非イオン性であることができ、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であることができ、単独で用いてもそれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
「球状の」は、少なくとも「実質的に球状」である幾何学的形状を指す。「実質的に球状の」は、幾何中心を通る任意の断面上の最長長さ(すなわち、外周上の2点間の1つで、その形状の幾何中心を通る)対最短長さの比が、約1.5未満、例えば、約1.33未満、または約1.25未満であることを意味する。したがって、球状は、対称線を必要としない。さらに、微粒子は、表面組織性(微粒子の全体の大きさと比較した場合、一定の割合で小さい連続または不連続の線、島、格子、くぼみ、溝開口、隆起など)を有することができ、なお球状と考えることができる。微粒子が球状である場合、微粒子間の表面接触は最小化され、したがって、微粒子の望ましくない集塊は通常最小化される。相対的に、非球状結晶または薄片である微粒子は通常、相対的に大きな平面におけるイオン性および/または非イオン性相互作用を介して観測可能な集塊を示す。
【0024】
「固体」は、少なくとも実質的な固体および/または半固体を含むが、液体および気体を除く状態を指す。
【0025】
「周囲温度」は、室温付近の、通常約20℃から約40℃、例えば、約20℃から約25℃の範囲の温度を指す。
【0026】
「から形成される(formed from)」および「から形成される(formed of)」は、オープンランゲージを意味する。したがって、列挙された成分のリストから形成される(formed from;formed of)組成物は、少なくともこれらの列挙された成分を含む組成物であり、該組成物の配合の間におよび/または最終の得られた生成物において他の列挙されていない成分をさらに含むことができることが意図される。
【0027】
別に明示的に断らない限り、物質の量、時間、温度、反応条件、量の比、分子量の値(数平均分子量Mか重量平均分子量Mにかかわらず)および本明細書で開示されるその他のものについてなどの数値範囲、量、値およびパーセンテージのすべては、「約」が本明細書における前記範囲、量、値、およびパーセンテージと組み合わせて明示的に用いられないとしても、「約」という用語によってすべての場合に修飾されていると理解されるべきである。したがって、特に断らない限り、本開示および添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、変わり得る近似値である。最低限でも、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字に照らして、および通常の四捨五入の技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0028】
本開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、そのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差のために、任意の数値は本質的にいくらか不確かである。さらに、様々な範囲の数値範囲が本明細書で示される場合、列挙された値を含むこれらの値の任意の組合せは、本開示の教示に従って用いることができることが企図される。
【0029】
「例えば、〜など(such as)」および「例えば(e.g.)」に続くものを含めて、本明細書で与えられる例は、本開示およびその実施形態の様々な態様および特徴の単に説明的なものと考えられ、したがって、言及される用語または語句のいずれの範囲も変更するものではない。当業者に公知のおよび/または入手できるそれらのいずれの適当な均等、変更、および修正(物質(material)、物質(substance)、構築物、組成物、製剤、手段、方法、条件などを含む)も本明細書で開示されるものの代わりに、またはそれと組み合わせて使用または実施することができ、本開示の範囲内であると考えられる。その全体で本開示を通して、「例」、「例(複数)」、「例えば、〜など」、「例えば」、およびそれらの同様のものに続く、本明細書で開示される1つ、2つ、またはそれ以上の特徴および態様のいずれもおよびすべては、明示的または暗示的に、当業者によって理解されて適切な場合はいつでもどこでも、それらの2つ、3つ、またはそれ以上の任意の組合せ(それらの均等、変更、および修正を含む)で実施され得る。したがって、本明細書で開示される具体的な詳細は、限定的ではなく、単に特許請求の範囲に対する根拠として、および当業者によって理解されるような実質的に任意の適当な仕方で本開示の態様および特徴を様々に用いるために当業者に教示するための典型的な根拠として解釈されるべきである。
【0030】
微粒子
非限定的な微粒子、微粒子を作製するための物質および方法、微粒子を含む組成物および製剤、ならびにこのような微粒子、組成物、および製剤の有用性は、それらの開示がそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,525,519号、同第5,554,730号、同第5,578,709号、同第5,599,719号、同第5.981,719号、同第6,090,925号、同第6,268,053号、および同第6,458,387号、米国特許出願公開第20030059474号、同第20030064033号、同第20040043077号、同第20050048127号、同第20050142201号、同第20050142205号、同第20050142206号、同第20050147687号、同第20050170005号、同第20050233945号、同第20060018971号、同第20060024240号、同第20060024379号、同第20060260777号、同第20070092452号、同第20070207210号、および同第20070281031号に開示されているものが含まれる。微粒子は、一般に、単分散サイズ分布または多分散サイズ分布などの均一なサイズ分布、および一般に、実質的に球状であるなどの均一な形状を有し得る。成分またはそれらの組合せの選択、種々の成分の濃度、反応温度、反応時間、および/またはpH(反応が水溶液で行われる場合)など(これらに限定されない)の1つまたは複数の可変要素を操作することによって、微粒子の1つまたは複数の特性は作製の間に調整され得る。
【0031】
微粒子は、1種の活性剤または2種以上の活性剤の組合せを急速および/または制御された放出プロファイルで、インビボ、エキソビボ、および/またはインビトロで送達するために適切であり、薬物送達、ワクチン接種、遺伝子治療、および組織病理学的またはインビボでの組織または腫瘍の画像化などの多種多様な治療、製薬、診断、医学、薬剤、化粧、栄養、殺生物、分離、工業、商業、および研究用途に有用である。微粒子は、対象への経口、非経口、粘膜、眼、静脈内、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、皮内、関節内、筋内、肺(経口および鼻孔吸入を含む)、および/または局所投与のために製剤化され得る。静脈内投与には、カテーテル法および血管形成術が含まれる。
【0032】
微粒子は通常、1種または複数の巨大分子を含む。1種または複数の巨大分子(通常、1種もしくは複数の生物活性巨大分子および/または1種もしくは複数の担体巨大分子)は、微粒子の重量および/または体積で少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは98%、および最大100%、または100%未満を含み得るか、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲で存在し得る。微粒子は、別のより大きな巨大分子の一部(例えば、フラグメント、セグメント、サブユニット)であり得ることが当業者に理解される。巨大分子が、例えば、受容体−リガンド相互作用の受容体またはリガンド部分であり得るアフィニティー分子を含むことがさらに理解される。リガンドの非限定的な例には、ウイルス、細菌、多糖、または動物に投与される場合免疫応答を生じる抗原として作用し、抗体の産生を引き起こす毒素が含まれる。
【0033】
ポリマー、錯化剤、安定剤、賦形剤、イオン、水分、残留溶媒、不純物、副生成物(これに限定されない)を含む、上に記載された巨大分子および下に記載される活性剤以外の1種または複数の成分は、微粒子中に微粒子の重量および/または体積で50%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、もしくは2%以下、または0%超の、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲の量で存在し得る。さらに、微粒子の形成の間に反応/インキュベーション媒体中に存在する任意の成分(例えば、不揮発性物質など)は、得られた微粒子から実質的に除去することができ、したがって、この得られた微粒子の中に不存在であり得る。それらの形成(インサイチュであってもそうでなくてもよい)に続いて直ちにまたはその後の段階で、微粒子は、連続固相(例えば、その分散系を含む凍結固体)または非固相(例えば、反応/インキュベーション媒体(微粒子がその中で形成される)などの流動性媒体、または洗浄媒体)中に分散され得る(例えば、コロイドまたは懸濁液として)。
【0034】
微粒子は、連続相と実質的に同じまたは異なる(より大きいまたはより小さいなど)密度を有し得る(同じ温度、例えば、周囲温度で測定して)。微粒子、および連続相の密度は、それぞれの重量を体積で除したものに等しい。微粒子は、0.8g/cm、0.95g/cm、1.0g/cm、1.05g/cm、1.1g/cm、1.3g/cm、1.35g/cm、1.5g/cm、および1.9g/cmなどの値未満の、それらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、1.0g/cmと1.5g/cmの間、もしくは1.2g/cmと1.5g/cmの間の範囲の密度を有し得る。微粒子の密度は、適当な勾配媒体(例えば、アルカリ金属の塩、例えば、NaCl、NaBr、NaI、KBr、CsF、CsCl、CsBr、硫酸セシウム、酢酸セシウム、トリフルオロ酢酸セシウム、RbCl、および酒石酸カリウムなど;中性水溶性分子、例えば、(ブドウ糖、グリセロール、または鉱油を場合によって添加した)ショ糖など;親水性巨大分子、例えば、デキストラン、ショ糖−エピクロロヒドリンコポリマー、およびウシ血清アルブミンなど;他の合成分子、例えば、トリヨード安息香酸のナトリウム塩またはメチルグルカミン塩、およびメトリゾ酸のナトリウム塩またはメチルグルカミン塩、ならびにメトリザミドなど)を用いて密度−勾配法(例えば、遠心分離または超遠心分離を用いて)および他の公知の方法によって、周囲温度でヘリウム比重瓶法によって測定され得る。密度−勾配法に関連する標準法には、ASTM D1505−03、ASTM D1505−98、およびISO1183−2が含まれる。
【0035】
活性剤
1つまたは複数の活性剤は通常、微粒子の少なくとも一部(例えば、中心またはコア部、1つまたは複数の特異的またはランダムに分布した区画、内面および/または外面)と共有結合的および/または非共有結合的に結合しており、ならびに/あるいはそれらによって取り込まれている。例えば、1種または複数の活性剤は、1種もしくは複数の巨大分子(例えば、生物活性巨大分子および/または担体巨大分子)および/または1種もしくは複数の他の成分(例えば、その複合体または結合体として、1種または複数のポリマーと一緒に)の、少なくとも一部または実質的にすべてと、共有結合および/または非共有結合的に結合していてもよく、ならびに/あるいはそれらによって取り込まれていてもよい。
【0036】
活性剤は、製剤であることができる。その作用および/または用途に依存して、製剤には、アジュバント、アドレナリン作用薬、アドレナリン遮断薬、アドレノコルチコイド、抗アドレナリン薬、アドレナリン作動薬、アルカロイド、アルキル化剤、アロステリック阻害剤、アナボリックステロイド、蘇生薬、鎮痛剤、麻酔薬、食欲抑制剤、制酸剤、抗アレルギー剤、抗血管新生剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗生物質、抗体、抗癌剤(例えば、パクリタクセルおよび誘導体化合物など)、抗コリン剤、抗コリンエステラーゼ、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗痴呆薬、抗うつ剤、抗糖尿病薬、下痢止め薬、解毒剤、抗てんかん薬、抗葉酸剤、抗真菌剤、抗原、駆虫薬(antihelmintics)、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、降圧剤、抗感染薬、抗炎症薬、抗マラリア薬、代謝拮抗剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物薬、抗骨粗しょう剤、抗病原薬、抗原虫薬、接着分子、解熱薬、抗リウマチ剤、防腐剤、抗甲状腺薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、アストリンゼン、ベータ−アドレナリン受容体遮断薬、殺生剤、血液凝固因子、カルシトニン、強心剤、化学療法薬、コレステロール低下薬、補因子、コルチコステロイド、鎮咳剤、サイトカイン、利尿薬、ドーパミン作用薬、エストロゲン受容体調節剤、酵素およびその補因子、酵素阻害剤、増殖分化因子、増殖因子、血液系作用薬、造血薬、ヘモグロビン調整剤、止血薬、ホルモンおよびホルモン類似体、催眠薬、降圧利尿薬、免疫学的因子、免疫賦活薬、免疫抑制剤、阻害剤、リガンド、脂質調節剤、リンホカイン、ムスカリン作用薬、筋弛緩薬、神経遮断薬、向神経薬、副交感神経様作用薬、副甲状腺ホルモン、促進剤、プロスタグランジン、精神治療薬、向精神薬、放射性医薬品、受容体、鎮静剤、性ホルモン、滅菌剤、刺激剤、血小板新生剤、栄養因子、交感神経様作用薬、甲状腺薬、ワクチン、血管拡張薬、ビタミン、キサンチン、ならびにそれらの結合体、複合体、前駆体、および代謝産物が含まれるが、これらに限定されない。活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。一例では、活性剤は、ペプチド、炭水化物、核酸、他の化合物、それらの前駆体および誘導体、ならびにそれらの2種以上の組合せ(これらに限定されない)を含む予防薬および/または治療薬である。一態様において、活性剤は、従来小分子と称される薬剤である。
【0037】
活性剤は、生物活性剤、例えば、生物活性巨大分子、例えば、タンパク質(上に記載されたタンパク質様化合物を含む)、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、ベクター(例えば、ウイルスまたはウイルス粒子)、もしくは核酸、またはそれらの2種以上の組合せであり得る。巨大分子は、天然であっても合成であってもよい。例示的なタンパク質には、モノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体が含まれる。タンパク質は、天然源から単離されたまたは合成もしくは組換え法によって製造された任意の公知の治療用タンパク質であることもできる。治療用タンパク質の例には、血液凝固カスケードのタンパク質(例えば、第VII因子、第VIII因子、第IX因子など)、サブチリシン、オボアルブミン、アルファ−1−アンチトリプシン(AAT)、DNase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン様成長因子またはそれらの類似体、インターフェロン、グラチラマー、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、抗体、PEG化タンパク質、グリコシル化または過剰グリコシル化タンパク質、デスモプレシン、LHRHアゴニスト(例えば:ロイプロリド、ゴセレリン、ナファレリン、ブセレリンなど)、LHRHアンタゴニスト、バソプレシン、シクロスポリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンペプチドおよびインスリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
活性剤は、化粧剤であり得る。化粧剤の非限定的な例には、エモリエント、保湿剤、フリーラジカル阻害剤、抗炎症薬、ビタミン、脱色剤、抗ざ瘡薬、抗脂漏薬、角質溶解薬、痩せ薬、皮膚着色剤、および日焼け防止剤が含まれる。化粧剤として有用な非限定的な化合物には、リノール酸、レチノール、レチノイン酸、アスコルビン酸のアルキルエステル、多価不飽和脂肪酸、ニコチン酸エステル、ニコチン酸トコフェノール、(米、大豆またはシアバターノキの)不けん化物、セラミド、ヒドロキシ酸(グリコール酸など)、セレン誘導体、酸化防止剤、ベータ−カロチン、ガンマ−オリザノール、およびグリセリン酸ステアリルが含まれる。化粧剤は、市販されているか、および/または公知の技術によって調製され得る。上記のように、様々な活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
活性剤は、栄養補助剤であり得る。栄養補助剤の非限定的な例には、タンパク質、炭水化物、水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB複合体など)、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、Kなど)、およびハーブ抽出物が含まれる。栄養補助剤は、市販されているか、および/または公知の技術によって調製され得る。上記のように、様々な活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
活性剤は、2kDa以下の分子量を有する化合物であり得る。このような化合物の非限定的な例には、ステロイド、ベータ−アゴニスト、抗菌剤、抗真菌剤、タキサン(抗有糸分裂剤および微小管阻害薬)、アミノ酸、脂肪族化合物、芳香族化合物、および尿素化合物が含まれる。小分子(または小有機分子)として従来公知の活性剤は、2kDa以下の分子量を有する代表的な活性剤である。
【0041】
活性剤は、診断薬でもあり得る。非限定的な診断薬には、X線画像化剤および造影剤が含まれる。X線画像化剤の非限定的な例には、3,5−ジアセトアミド−2,4,6−トリヨード安息香酸エチル(WIN−8883、ジアトラゾ酸(diatrazoic acid)のエチルエステル);6−エトキシ−6−オキソヘキシル−3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾエート(WIN67722);エチル−2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)−ブチレート(WIN16318);エチルジアトリゾキシアセテート(WIN12901);2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)プロピオン酸エチル−(WIN16923);N−エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN65312);イソプロピル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN12855);ジエチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)マロネート(WIN67721);エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)フェニル−アセテート(WIN67585);プロパン二酸,[[3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,5−トリヨードベンゾイル]オキシ]ビス(1−メチル)エステル(WIN68165);および安息香酸,3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨード−4−(エチル−3−エトキシ−2−ブテノエート)エステル(WIN68209)が含まれる。造影剤は、望ましくは、生理学的条件下で比較的迅速に崩壊し、したがって、いずれの粒子関連炎症反応も最小化することが好ましい。崩壊は、酵素的加水分解、生理学的pHでのカルボン酸の可溶化、または他の機構から生じ得る。したがって、加水分解的に不安定なヨウ素処理した化学種(例えば、WIN67721、WIN12901、WIN68165、およびWIN68209など)とともに、難溶性のヨウ素処理したカルボン酸(例えば、ヨージパミド、ジアトリゾ酸、およびメトリゾ酸など)などが好まれ得る。
【0042】
具体的な一実施形態において、活性剤は、肺疾患の予防および/または治療のための治療薬であり得る。このような薬剤の非限定的な例には、ステロイド、ベータ−作動薬、抗真菌薬、抗菌化合物、気管支拡張薬、抗喘息薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、AAT、および嚢胞性線維症を治療するための薬剤が含まれる。肺疾患の予防および/または治療のためのステロイドの非限定的な例には、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾンなど)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾンなど)、ブデソニド、エストラジオール、フルドロコルチゾン、フルシノニド、トリアムシノロン(トリアムシノロンアセトニドなど)、フルニソリド、およびそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。肺疾患の予防および/または治療のためのベータ作動薬の非限定的な例には、キシナホ酸サルメテロール、フマル酸ホルモテロール、レバルブテロール(levoalbuterol)、バンブテロール、トロブテロール、およびそれらの塩が含まれる。肺疾患の予防および/または治療のための抗真菌薬の非限定的な例には、イトラコナゾール、フルコナゾール、アンホテリシンB、およびそれらの塩が含まれる。
【0043】
活性剤は、それらの2種以上を組み合わせて用いることができる。非限定的な例示的組合せには、ステロイドとベータ−作動薬、例えば、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロール、ブデソニドとホルモテロールなどが含まれる。多くの他の実行可能な治療的活性剤の組合せは、当業者に周知である。
【0044】
連続相
多相分散系の連続相は、非固体、例えば、1種の溶媒、もしくは2種以上の溶媒の均一混合物(ここで、少なくとも第1の溶媒は、少なくとも第2の溶媒に可溶性またはそれと混和性である)を含む液相、または少なくとも2種の不混和性溶媒を含む多相系であり得る。溶媒の非限定的な例には、水性流体(例えば、水HO、DO、水性緩衝液、および他の水溶液)、非水性流体(例えば、有機溶媒、有機緩衝液)、および前述の2種以上の組合せが含まれる。一態様において、非固体連続相は、実質的に水性であってもよく、例えば、容積で10%超、例えば、25%以上、50%以上、もしくは75%、またはそれ以上の水を含んでいてもよい。連続相は、部分的または完全に、水性もしくは水混和性、水不混和性、水溶性、または水不溶性であってもよい。
【0045】
連続相またはその液相(複数可)は、周囲温度で、例えば、1.10g/cm、1.05g/cm、1.0g/cm、0.95g/cm、0.9g/cm、0.8g/cm、0.7g/cm、0.6g/cmなどの値未満であるかもしくはそれらに等しいか、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の密度を有し得る。同じ周囲温度、例えば、20℃または25℃で測定した場合、連続相または液相(複数可)は通常、分散相またはその中の微粒子の密度と同様のもしくは等しい、またはそれ未満の密度を有する。最も典型的には、連続相または液相(複数可)は、微粒子の密度未満の密度を有する。
【0046】
連続相は、イオン性および/または非イオン性ポリマー、塩、イオン、過剰試薬、賦形剤(例えば、糖、ポリオール、表面活性剤)、ならびに/あるいは製造関連化合物(これらに限定されない)を含めて、その中に溶解および/または分散させた1種または複数の成分をさらに含み得る。塩の非限定的な例には、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、および当業者に公知の他の緩衝塩が含まれる。糖の非限定的な例には、トレハロース、ショ糖、乳糖、および当業者に公知の他の炭水化物が含まれる。ポリオールの非限定的な例には、マンニトールおよび当業者に公知の他の糖アルコールが含まれる。連続相の1種または複数の流体および/または溶質は、独立して、部分的または完全に、水混和性、水不混和性、水溶性、および/または水不溶性であり得る。
【0047】
連続相は通常、その中に可溶化させた少なくとも1種の不揮発性物質を含む。連続相、例えば、その溶媒および/またはその中の不揮発性物質は、非溶媒に可溶性および/またはそれと混和性であることができ、例えば、周囲温度で、重量で10%以上、例えば、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%などの値に等しいかもしくはそれらを超える、またはこのような値の任意の2つの間の範囲のそれらにおける溶解度を有し得る。さらに、連続相、その溶媒および/またはその中の不揮発性物質は、非溶媒と完全に混和性であり得る。非溶媒における連続相および/またはその成分についてのより大きな溶解度値は一般に、このようなより大きい溶解度により、開示される方法によって分散系から連続相を除去することが容易になるので好ましい。
【0048】
不揮発性物質
前に示されたように、少なくとも連続相は通常、少なくとも1種の不揮発性物質を含み、該1種または複数の不揮発性物質は、それらの化学構造および/または組成において、微粒子を形成する1種または複数の巨大分子のものと異なる。不揮発性物質は、分散相の上/中に存在していてもよく、例えば、不揮発性物質は、微粒子の孔内に捕捉されていても、および/または、そうでなければ微粒子と結合していてもよいことが留意されるべきである。
【0049】
一般に、不揮発性物質は、約100℃超、約150℃超、および/または約200℃超の沸点および/または引火点を有する。不揮発性物質は、天然、合成、半合成、または組換えであり得る。1種または複数の不揮発性物質は通常、独立して、親水性、両親媒性、水溶性(aqueous−soluble)(例えば、水溶性(water−soluble))、および/または水混和性(aqueous−miscible)(例えば、水混和性(water−miscible))であり得る非イオン性ポリマーであるが、当然、イオン性ポリマーおよび非イオン性物質の塩を含む他の不揮発性物質も用いることができる。1種または複数の不揮発性物質は有利には、連続相中またはその中の1種もしくは複数の溶媒中の1種もしくは複数の巨大分子の(およびしたがってそれから形成される微粒子の)溶解度を独立してまたは集合的に低下させ得る。1種または複数の不揮発性物質は、独立して一般に、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、600ダルトン、800ダルトン、1,000ダルトン、1,500ダルトン、2,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、3,500ダルトン、4,000ダルトン、5,000ダルトン、8,000ダルトン、および10,000ダルトン、もしくは最大約3,000キロダルトン(kd)などの値を超えるかもしくはそれらに等しい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、200ダルトンと10,000ダルトンの間、200ダルトンと800ダルトンの間、1,000ダルトンと1,500ダルトンの間、1,000ダルトンと2,000ダルトンの間、1,000ダルトンと2,500ダルトンの間、1,000ダルトンと3,000ダルトンの間、1,000ダルトンと3,500ダルトンの間、1,000ダルトンと4,000ダルトンの間、1,000ダルトンと5,000ダルトンの間、1,000ダルトンと8,000ダルトンの間、1,000ダルトンと10,000ダルトンの間、1,500ダルトンと2,000ダルトンの間、1,500ダルトンと2,500ダルトンの間、1,500ダルトンと3,000ダルトンの間、1,500ダルトンと3,500ダルトンの間、1,500ダルトンと4,000ダルトンの間、1,500ダルトンと5,000ダルトンの間、1,500ダルトンと8,000ダルトンの間、1,500ダルトンと10,000ダルトンの間、2,000ダルトンと2,500ダルトンの間、2,000ダルトンと3,000ダルトンの間、2,000ダルトンと3,500ダルトンの間、2,000ダルトンと4,000ダルトンの間、2,000ダルトンと5,000ダルトンの間、2,000ダルトンと8,000ダルトンの間、2,000ダルトンと10,000ダルトンの間などの範囲の分子量を有する。
【0050】
連続相のための不揮発性物質の非限定的な例には、それらの開示がそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,525,519号、同第5,554,730号、同第5,578,709号、同第5,599,719号、同第5,918、719号、同第6,090,925号、同第6,268、053号、および同第6,458,387号、米国特許出願公開第20030059474号、同第20030064033号、同第20040043077号、同第20050048127号、同第20050142201号、同第20050142205号、同第20050142206号、同第20050147687号、同第20050170005号、同第20050233945号、同第20060018971号、同第20060024240号、同第20060024379号、同第20060260777号、同第20070092452号、同第20070207210号、および同第20070281031号に開示されている非イオン性の水溶性および/または水混和性ポリマーが含まれる。不揮発性物質(複数可)は通常、非イオン性であり、親水性、両親媒性、水溶性、水混和性、および/または40℃以下の温度で水溶性もしくは水混和性流体に可溶性もしくは混和性であり得る。適切な不揮発性物質の非限定的な例は、直鎖、分岐、または環状であり得、非イオン性ポリエーテル、非イオン性コポリエーテル、非イオン性ポリエステル、非イオン性コポリエステル、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー、非イオン性ビニルポリマー、非イオン性ピロリドン含有ポリマー、非イオン性ポリマー炭水化物、それらの誘導体および塩、ならびにそれらの2種以上の組合せを含む。非イオン性ポリエーテルおよび非イオン性コポリエーテル(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ヒドロキシ末端ポリエーテル(例えば、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール以外のエチレンオキシド末端封止ポリエーテル)およびそれらのアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)末端封止誘導体、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなポリオキシ−1,2−アルキレングリコール、ならびにポリトリメチレンエーテルグリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール)、ヒドロキシ末端コポリエーテル(例えば、コポリエーテルアルコール、コポリエーテルポリオール、エチレンオキシド末端封止コポリエーテル)およびそれらのアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)末端封止誘導体、例えば、2種以上の異なる1,2−アルキレンオキシドのブロックコポリエーテル(例えば、ポロキサマーのようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)ならびに1種または複数の1,2−アルキレンオキシドと、1種または複数のテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、および1,3−プロパンジオールとのコポリエーテル(例えば、(ポリエチレングリコール)−(ポリトリメチレンエーテルグリコール)コポリマー、(ポリエチレングリコール)−(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)コポリマー)が含まれるが、これらに限定されない。非イオン性ポリエステルおよび非イオン性コポリエステル(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ヒドロキシ末端ポリエステル(例えば、ポリエステルポリオール、コポリエステルポリオール、エチレンオキシド末端封止またはポリオキシエチレン末端ポリエステル)、およびある種のシリコーンポリエステル、例えば、ポリオキシエチレングリセリンジカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールジカルボン酸エステル、ポリオキシエチレングリコールジカルボン酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルエステルのようなものなどが含まれる。非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー(ターポリマーを含む)の非限定的な例には、1種または複数のラクトンおよび/またはジカルボン酸と1種または複数の1,2−アルキレンオキシドとのブロックコポリマー、本明細書で開示される非イオン性ポリエーテルおよび非イオン性コポリエーテルのエステル化誘導体、ならびに本明細書で開示される非イオン性ポリエステルおよび非イオン性コポリエステルのエステル化誘導体、例えば、(ポリエチレングリコール)−ポリカプロラクトンブロックコポリマーなどが含まれるが、これらに限定されない。非イオン性ビニルポリマー(コポリマーおよびターポリマーを含む)およびピロリドン含有非イオン性ポリマー(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキル(アルク)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート)のホモポリマーおよびコポリマー(ターポリマーを含む)、オリゴ−オキシアルキレン(アルク)アクリレート(例えば、オリゴ−オキシエチレンアクリレート、オリゴ−オキシエチレンメタクリレート)、および/またはアルキル末端封止オリゴ−オキシアルキレン(アルク)アクリレート(例えば、メチル封止)、ポリビニルピロリドン、ならびに(アルケニルピロリドン)含有ホモポリマーおよびコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
非イオン性ポリマー(オリゴマーを含む)炭水化物(200ダルトンから5,000,000ダルトン、例えば、500ダルトン、1,000ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、10,000ダルトン、30,000ダルトン、50,000ダルトン、100、000ダルトン、300,000ダルトン、500,000ダルトン、1,000,000ダルトン、もしくは3,000,000ダルトンなど、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の分子量を有する)およびその誘導体の非限定的な例には、デンプン、アミロペクチン(分岐多糖)、アミロース(線状多糖)、セルロース、グアールガム、グアール多糖、キサンタンガム、デキストリン(例えば、シクロデキストリン、マルトデキストリン)、デキストラン、ポリデキストロース、ゲランガム、プルラン、セロデキストリン、ベータ−グルカン、およびそれらの誘導体、例えば、エステル化によって形成された非イオン性エステル(安息香酸エステル、およびアルカン酸エステル、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびヘキサン酸エステルなどを含むがこれらに限定されない);またはエーテル化によって形成された非イオン性エーテル、例えば、非イオン性デンプンエーテル、非イオン性アミロペクチンエーテル、非イオン性アミロースエーテル、非イオン性セルロースエーテル、非イオン性グアールエーテル、非イオン性デンプンエステル、非イオン性アミロペクチンエステル、非イオン性アミロースエステル、非イオン性セルロースエステル、非イオン性デンプンエーテルエステル、非イオン性デンプンエステルエーテル、非イオン性セルロースエーテルエステル、および非イオン性セルロースエステルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。非イオン性デンプンエーテルの非限定的な例には、アルキルデンプン、例えば、メチルデンプン、エチルデンプン、プロピルデンプン、およびブチルデンプンなど;ヒドロキシアルキルデンプン、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(例えば、テトラデンプン、ペンタデンプン、ヘキサデンプン(hetastarch))、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシブチルデンプン、およびヒドロキシペンチルデンプンなど;ならびにアルキルヒドロキシアルキルデンプン、例えば、メチルヒドロキシエチルデンプン、メチルヒドロキシプロプルデンプン、およびエチルヒドロキシプロピルデンプンが含まれる。非イオン性アミロペクチンエーテルおよび非イオン性アミロースエーテルの非限定的な例には、ヒドロキシエチルアミロペクチン、ヒドロキシプロピルアミロペクチン、ヒドロキシエチルアミロース、およびヒドロキシプロピルアミロースが含まれる。非イオン性セルロースエーテルの非限定的な例には、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、イソプロピルセルロース、およびブチルセルロースなど;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、およびヒドロキシペンチルセルロースなど;ならびにアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、プロピルヒドロキシエチルセルロース、プロピルヒドロキシプロピルセルロース、イソプロピルヒドロキシプロピルセルロース、ブチルヒドロキシプロピルセルロース、ペンチルヒドロキシプロピルセルロース、およびヘキシルヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。非イオン性グアールエーテルの非限定的な例には、アルキルグアール多糖、例えば、メチルグアール多糖、エチルグアール多糖、プロピルグアール多糖、およびブチルグアール多糖など;ヒドロキシアルキルグアール多糖、例えば、ヒドロキシエチルグアール多糖、およびヒドロキシプロピルグアール多糖など;ならびにアルキルヒドロキシルアルキルグアール多糖、例えば、メチルヒドロキシエチルグアール多糖、メチルヒドロキシプロピルグアール多糖、エチルヒドロキシプロピルグアール多糖などが含まれる。他の非イオン性ポリマー炭水化物には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、ブチルグリシジルエーテルヒドロキシエチルセルロース、ラウリルグリシジルエーテルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ブチルグリシジルエーテル変性ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、デンプンエステル(例えば、アルキルコハク酸無水物変性デンプン、酢酸デンプン、およびアルケニルコハク酸デンプン)、セルロースエステル(モノ酪酸セルロースおよびモノプロピオン酸セルロース)、セルロースエーテルエステル(ヒドロキシアルキルセルロース−2−ヒドロシキカルボン酸エステル)、ポリ(3−ヒドロキシオキセタン)が含まれる。非イオン性ポリマー炭水化物エステルの非限定的な例は、0.5から1.0、例えば、0.7から0.9の範囲の置換度を有するものを含み、水溶性である。作製されることができれば、前述の非イオン性物質のイオン塩も用いることができる。例えば、多糖の塩、例えば、硫酸デキストラン、硫酸デキストリン、およびアルギン酸ナトリウムも用いることができる。
【0052】
分散相
多相分散系の分散相は、固体微粒子を含み得る。通常、該微粒子は、非溶媒に実質的に不溶性および/またはそれらと実質的に不混和性であり、例えば、周囲温度で、重量で10%未満、例えば、5重量%以下、3重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはこのような値の任意の2つの間の範囲のそれらにおける溶解度を有する。
【0053】
分散相は、固体微粒子と結合している他の物質、例えば、微粒子形成の間に添加される不揮発性物質、塩、または賦形剤をさらに含み得る。一般に、このような物質は、単離された微粒子中に望まれておらず、したがって、分散系から除去されることが望ましい。したがって、このような物質が、非溶媒におけるより大きい溶解度を有することが望ましい。
【0054】
非溶媒
非溶媒は一般に、比較的些少な量の微粒子がその中に溶解できるにすぎない限り、限定されない。したがって、分散相またはその中の少なくとも微粒子は、好ましくは非溶媒に実質的に不溶性である。したがって、微粒子が非溶媒中へまたはそれを通って(およびしたがって少なくとも一時的に分散して)移動するときに、少量の微粒子が非溶媒によって溶解されるにすぎない。より具体的には、微粒子は通常、微粒子が非溶媒に分散しているときに、5重量パーセント以下(例えば、3重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、および/もしくは0.01重量%以下、またはこのような値の2つの間の範囲)が溶解するように、非溶媒中の溶解度を有する。非溶媒中の微粒子の比較的低い溶解度により、微粒子が元の分散系の連続相中で/から直接処理または収集される場合、微粒子を処理する従来の方法に比べて、収集された微粒子において認められる微粒子集塊形成の量が有利に減少することが見出された。
【0055】
非溶媒は、単一の非溶媒成分単独、またはそれらの2種以上の組合せを含み得る。一般に、非溶媒の少なくとも1種の成分または部分(例えば、層)は、連続相の密度(D)を超えるかまたは実質的にそれに等しい密度(D)を有する。通常、非溶媒成分は、微粒子の密度(D)未満の密度Dを有する。微粒子の密度Dが連続相の密度Dを超え、非溶媒のDを超えるかまたはそれとほぼ同じである場合、以下にさらに詳細に記載されるように、微粒子の非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行うために遠心分離を用いることが可能である。以下にさらに詳細に記載されるように、微粒子、連続相、および非溶媒の密度値に関係なく微粒子の移動を選択的に行うように、かけた電場の方向を制御することができるので、電気泳動を用いる方法も同様に限定されない。
【0056】
一部の実施形態において、非溶媒は、例えば、より高い濃度の不揮発性物質の層の上により低い濃度の不揮発性物質の層を穏やかに載せることによって形成される密度勾配を含み得る。
【0057】
さらに、代わりの実施形態において、非溶媒の少なくとも1種の成分は、元の分散系の連続相の粘度を超える粘度を有し得る(連続相の密度を超える密度を有することに加えてまたはその代わりに)。
【0058】
非溶媒は、その中に可溶化された1種または複数の不揮発性物質を含み得る。代表的な不揮発性物質には、連続相における使用のために上に開示されたものが含まれる。非溶媒の不揮発性物質は、元の分散系内に含まれるものと無関係であり得る(例えば、化学構造および/または分子量において同じかまたは異なる)。より低い分子量の不揮発性物質(少なくとも連続相に存在する不揮発性物質と比べて)は、このような物質は除去することがより容易であり、例えば、このような物質は、単独でまたはエタノールなどの共溶媒と組み合わせて二酸化炭素による超臨界流体抽出を用いて除去することができるので、非溶媒における/としての使用に一般に好ましい。PEG300などの1000ダルトン未満の分子量を有する低分子量のPEGは、この点で特に有用である。1つの特定の実施形態において、非溶媒は、液体ポリエチレングリコールもしくは液体ポロキサマー、またはそれらの2種以上の組合せから選択され得る。その中に可溶化された1種または複数の水溶性非イオン性ポリマーを含む水溶液も非溶媒として使用され得る。
【0059】
非溶媒は、1種もしくは複数の水性液体、非水性液体、またはそれらの2種以上の組合せ(1種または複数の不揮発性物質に代えてまたはそれに加えて)を含み得る。非溶媒は、安定剤、塩、酸化防止剤、およびそれらの2種以上の組合せをさらに含み得る。
【0060】
非溶媒に有用な水性液体には、HO、DO、水性緩衝液、および任意の他の水溶液が含まれる。好適な水溶液は、カチオンとしてアンモニウム、Na、およびKならびにアニオンとして酢酸イオンおよび重炭酸イオンを有する緩衝塩、NaCl(これらに限定されない)を含む他の塩、安定剤(例えば、ヒスチジンおよびその塩)、酸化防止剤(例えば、EDTA)、糖(例えば、ショ糖、トレハロース、乳糖、麦芽糖)、密度勾配物質(例えば、アルカリ金属の塩、例えば、NaCl、NaBr、NaI、KBr、CsF、CsCl、CsBr、硫酸セシウム、酢酸セシウム、トリフルオロ酢酸セシウム、RbCl、および酒石酸カリウムなど;中性水溶性分子、例えば、ブドウ糖を任意選択で添加したショ糖など;グリセロール;鉱油;親水性巨大分子、例えば、デキストラン、ショ糖−エピクロロヒドリンコポリマー、およびウシ血清アルブミン;他の合成分子、例えば、トリヨード安息香酸およびメトリゾ酸のナトリウム塩またはメチルグルカミン塩;ならびにメトリザミド)、ポリオール、表面活性剤、賦形剤、およびそれらの2種以上の組合せを(これらに限定されない)を含めて可溶化された溶質を含み得る。密度勾配遠心分離のための材料および技術は、「Centrifugation in Density Gradients」、C.A. Price、Academic Press、New York、1982年に記載されている。密度勾配技術に関する標準法には、ASTM D1505−03、ASTM D1505−98、およびISO1183−2が含まれる。
【0061】
非溶媒に有用な非水性液体には、極性非プロトン(または双極性非プロトン)有機液体、例えば、ケトン、ニトリル、エステル、アルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド;非極性非プロトン有機液体、例えば、エーテル(例えば、メトキシル化エーテル、アルキル化エーテル、ジエーテル、トリエーテル、環状エーテル、クラウンエーテル);および第三級有機液体、例えば、第三級アルコール、第三級酸、第三級アミドが含まれる。非溶媒に有用な具体的な代表的有機液体には、2−メチル−2−プロパノール、2−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、t−アミルアルコール、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、およびそれらの異性体)、環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、およびそれらの異性体)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、グリコフロール、炭化水素(直鎖、分岐、または環状)(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンまたはキシレンなど)、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、メントール、チモール、カンファー、イミダゾール、クマリン、ジメチルスルホン、尿素、バニリン、カンフェン、サリチルアミド、ピリジン、2−アミノピリジン、ピリミジン、ピペリジン、およびそれらの2種以上の組合せが含まれる。
【0062】
非溶媒に有用なさらなる非水性液体には、水混和性有機液体、例えば、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ベンジルアルコール、ブチロラクトン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、ジアセチン、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルエチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オン、エタノール、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレンカーボネート、エチレングリコール、エチレンオキシド、グリセリン、グリセロールホルマール、グリコフロール(「テトラグリコール」または「テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル」とも称される)、イソプロパノール、メタノール、酢酸メチル、メチルエチルケトン、2−メチル−2−プロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、オクタノール、ポリソルベート(例えば、20、40、60、65、80)、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、2−ピロリドン、シリコーン流体、テトラエチレングリコール、テトラヒドロフラン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリブチリン、クエン酸トリエチル、リン酸トリエチル、およびそれらの2種以上の組合せが含まれる。1つの特定の実施形態において、非溶媒は、液体PEG、液体ポロキサマー、グリコフロール、テトラエチレングリコール、水および/または水性緩衝液、ならびにアルコールの1種または複数を含み得る。
【0063】
非溶媒に有用なさらなる非水性液体の例には、ハロゲン化液体が含まれる。ハロゲン化液体の非限定的な例には、本明細書に開示される有機液体の部分的ハロゲン化(フッ素化、塩素化、臭素化、および/またはヨウ素化)および過ハロゲン化(過フッ素化、過塩素化、過臭素化、過ヨウ素化)誘導体(例えば、トリクロロ−t−ブタノール、ペルフルオロ−t−ブタノールなど)、クロロカーボン、クロロヒドロカーボン、ペルクロロカーボン、ペルクロロアルカン、ヒドロクロロエーテル、フルオロカーボン、フルオロヒドロカーボン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、ブロモカーボン、ブロモヒドロカーボン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、クロロペルフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロエーテル、ならびにそれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0064】
遠心分離法で用いられる場合、非溶媒は好ましくは、水の揮発度と同様のまたはそれを超える揮発度、および水の密度を超える密度を有する。したがって、非溶媒またはその中の少なくとも1種の非水性液体は、100℃未満のまたはそれに等しい沸点、および1g/cmを超える密度を有し得る。水の揮発度と同様のまたはそれを超える揮発度、および水の密度を超える密度を有する非水性液体の非限定的な例には、二硫化炭素、乳酸、ある種のクロロフルオロカーボン(例えば、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロフルオロメタン)、ある種のヒドロクロロフルオロカーボン(例えば、ジクロロフルオロメタン)、ある種のペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロ−N−メチルモルホリン)、ある種のペルフルオロエーテル(例えば、ペルフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン)、およびある種のヒドロフルオロエーテルが含まれる。
【0065】
非溶媒に適したある種の非限定的な液体およびそれらの特性は以下の表1に記載される。
【0066】
【表1−1】

【0067】
【表1−2】

【0068】
【表1−3】

【0069】
【表1−4】

【0070】
【表1−5】

【0071】
【表1−6】

【0072】
【表1−7】

【0073】
【表1−8】

25℃などの周囲温度で測定した、液体状態における密度
沸点(BP)、℃
凝固点/融点(FP)、℃
20〜25℃などの周囲温度で、g/100gまたはppm(重量で百万部当たりの部数)の液体における水の溶解度(Sol)
LD50(g/kg体重)は、ラットに経口投与されると突然(急性毒性)試験されているラットの50%に死亡をもたらすと、文献中に報告されている液体の最小量
20〜25℃などの周囲温度における蒸気圧(VP)(kPa)
FluorinertTM、FluoradTM、NovecTM、Performance Fluids(PF)、Secondary Fluid(SF)はすべて、3M(St.Paul、MN)から入手できる。 AK−225シリーズの液体物質は、AGC Chemicals Americas,Inc.(Bayonne、NJ)から入手できる。
Galden(登録商標)およびPerfuorosolv(登録商標)シリーズの液体は、Solvay Solexis,Inc.(Thorofare,NJ)から入手できる。
Genetron(登録商標)およびGenesolv(登録商標)シリーズの液体は、Honeywell(Morristown、NJ)から入手できる。
Freon(登録商標)シリーズの液体は、DuPont−Mitsui Fluorochemicals Co.Ltd(Tokyo、日本)から入手できる。
水と混和性(M)。
【0074】
微粒子の移動を選択的に行う工程
本方法により、微粒子の非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行うことが容易になって、微粒子が収集されることが可能になる。本方法により、分散系から微粒子の大部分、例えば、微粒子の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%を分離することが容易になる。微粒子の移動を得る非限定的な方法には、少なくとも一部で、遠心分離、電気泳動、および他の機械的手段が含まれる。
【0075】
有利には、微粒子を、さらに処理することを必要とせずに、例えば、乾燥工程(例えば、減圧および/または上昇した温度下での凍結乾燥または蒸発)またはその後の再構成工程を行うことを必要とせずに、被験体に投与され得るように、薬学的に許容される希釈液である非溶媒中に移動させ得る。これらの処理工程の回避は、それらがエネルギー集約型で、時間がかかり、連続フロー操作に容易に変換されないので、有利である。さらに、凍結乾燥は、タンパク質などの多くの巨大分子の変性および集塊を生じさせ得る。
【0076】
遠心分離などの非限定的な技術を用いることによって、微粒子を、非溶媒中へあるいはそれを通って元の分散系の連続相または少なくともその中の不揮発性物質の大部分が到達できない場所へ(例えば、非溶媒内、非溶媒とその容器との間の界面における場所、または非溶媒を超える場所)移動させ、したがって、元の分散系からの微粒子の分離を達成し得る。微粒子は、例えば、非溶媒においてその帯を形成することによって、もしくは容器の底部および/もしくは壁にそのペレットを形成することによって分離処理の結果として濃縮され得る。
【0077】
固定角またはスイング型バケットロータ付き遠心分離機を用いて、非溶媒は、単成分または多成分の非溶媒が用いられるかに依存して、単一添加または複合添加によって遠心分離管中に最初に入れることができる。次いで、分散系を、非溶媒の上部に、これらの2つを混合させることなく同じ遠心分離管中に入れることができる。不用意な望まれない混合を防ぐために、遠心分離管中の非溶媒は、分散系の添加前に凍結させ、次いで、加熱−冷却サイクルを用いて、分散系の添加後に解凍させることができる。凍結および/または解凍は、遠心分離機ロータ中に遠心分離管を装填する前または後に行うことができる。
【0078】
微粒子の移動を選択的に行うために、遠心分離機は、稼動速度(例えば、3,000×gから20,000×g)に加速させ、所定の時間(例えば、5秒間から1時間)作動させ、減速させて停止させる。少なくとも元の分散系の連続相の大部分が入っている遠心分離管中の上清を吸引して取り去るかまたは、そうでなければデカンテーションすることができる。非溶媒の大量部分を吸引することも可能であり得る。次いで、遠心分離管の底部におけるペレットまたは非溶媒中の帯(例えば、等密度帯)の形態の微粒子を容易に収集することができる。
【0079】
連続フロー型ロータ(例えば、Sorvall(登録商標)Contifuge(登録商標、Beckman Coulter’s JCF−ZおよびCF−32Ti)付き遠心分離機を用いる場合、非溶媒は最初に、低ロータ速度のロータ中に100mL/分から500mL/分の流速でポンプで供給することができる。稼動ロータ速度(例えば、3,000×gから20,000×g、例えば、7,000×gから10,000×g)に達した後に、分散系をロータ中に100mL/分から500mL/分(例えば、200mL/分から300mL/分)の流速でポンプで供給することができる。微粒子は、分散系の流れるストリームから沈殿することができ、その際、連続相の大部分を含む微粒子が除去された流出物がロータから出てくる。分散系をロータ中に完全にポンプで供給した後、ラインを洗い流すために、適当なチェーサー(例えば、緩衝液または水)をロータ中にポンプで供給し得る。微粒子がロータ壁にペレットを形成する場合、ロータは停止位置へ減速させられ得、ロータ中に残っている上清はデカンテーションすることができ、ロータ壁からペレットをこすり落とすことによって、微粒子を収集し得る。微粒子が、非溶媒中の残存物中に帯(例えば、等密度帯)を形成する場合、ロータは低速度へ減速させられ得る。濃厚溶液(例えば、同じ非溶媒もしくはその一部、または異なる非溶媒)をロータにポンプで供給して、微粒子を含む(microparticle−laden)非溶媒を置き換え、それにより収集を容易にさせ得る。
【0080】
連続相またはその中の非イオン性ポリマーから分散相またはその中の微粒子を分離する処理は、連続相および非溶媒の凝固温度を超える温度でおよび微粒子またはその中の生物活性巨大分子の分解温度未満の温度で、例えば、周囲温度でもしくはそれ未満、または40℃、37℃、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、2℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃などの温度を超えるか、もしくはそれらの温度で、もしくはそれら未満、あるいはこのような温度の任意の2つの間の範囲の温度で行うことができる。
【0081】
微粒子収集物は、乾燥および再構成させることなく、貯蔵(例えば、周囲温度以下で1週間から2年以上にわたる)および/またはヒト被験体への投与(例えば、同じ非溶媒または他の非溶媒を用いてさらに希釈してまたは希釈せずに注射可能または、そうでなければ送達可能である)のために適切であり得る。分離処理の後、微粒子収集物中の1種または複数の生物活性巨大分子の濃度は、50g/L以上、例えば、100g/L、150g/L、200g/L、250g/L、280g/L、300g/L、350g/L、400g/L、450g/L、500g/L、550g/L、600g/Lを超えるかもしくはそれに等しい、またはこのような値の任意の2つの間の範囲に増加させられ得る。
【0082】
分離処理の前に、遠心分離および/または透析ろ過などの非限定的な技術を用いて分散系を濃縮し得る。透析ろ過は、周囲温度でのまたはそれ未満の温度(例えば、2〜8℃)で行い得る。透析ろ過媒体は、元の分散系の連続相の少なくとも一部を交換および/または置き換えるために用いることができる。透析ろ過媒体は、微粒子に対して非溶媒、例えば、本明細書で開示されるものであり得る。蠕動ポンプ、貯蔵容器、中空繊維カートリッジ、および管類を含む、当業者に公知の透析ろ過装置を濃縮処理に用いることができる。微粒子および非溶媒を含む中間分散系は、濃縮処理によって形成することができ、ここで、その中の1種または複数の生物活性巨大分子の濃度は、1mg/mL以上、例えば、10mg/mL以上に、元の分散系の濃度に比べて多数倍(例えば、2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、または40倍以上)上昇させられ得る。元の連続相中の1種または複数の不揮発性物質は、この濃縮処理の間に部分的もしくは実質的に除去されるか、または生物活性巨大分子および/もしくは微粒子のものと同じ程度に同様に中間分散系中で付随的に濃縮させられ得る。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
約50℃の高温で反応容器中約1mg/mLの抗体(マウスモノクローナル抗VIII因子、Baxter Healthcare、Hayward、CA)および約150mg/mLの代表的な不揮発性物質(非イオン性ポリマー、PEG8000)の約10mLの水性反応溶液(0.1M酢酸アンモニウム、pH5.8で緩衝化した)を用いて、抗体ミクロスフェアを調製した。次いで、この反応溶液を含む反応容器を氷浴(約4℃)中に約30分間浸漬させることによって、反応溶液を制御された速度で冷却した。反応容器中に濁りが生じ、このことは、PEG1000が溶解している水溶液を含む連続相中に抗体ミクロスフェアを含む分散相が形成したことを示す。連続相の密度を超える密度を有する非溶媒(PEG300)の容積(約3mL)を15mLの円錐状ポリプロピレン製遠心分離管に入れ、氷上(約4℃)で冷却した。ピペットを用いて、抗体ミクロスフェア懸濁液の約1mL試料を、遠心分離管中非溶媒の上部に、2つの系を実質的に混合させることなく注意深く置いた。遠心分離管を3,000×gで約4℃において約30分間遠心分離にかけ、連続相からの微粒子の非溶媒中へのおよびそれを通っての移動を選択的に行った。遠心分離管の底部に抗体ミクロスフェアのペレットが認められ、一部のミクロスフェアは非溶媒において懸濁液中のままであり、連続相の大部分は、非溶媒の上部に残ったままであった。上清(連続相および非溶媒の大部分を含む)を遠心分離管から吸引して出し、約0.2mLの新たな非溶媒(PEG300)を遠心分離管中に加え、抗体ミクロスフェアを再懸濁させた。再懸濁液の約20μLのアリコートを顕微鏡検査のために採取し、これにより、その中のミクロスフェアの大部分が直径約2〜3ミクロンの非集塊球状粒子として見えることがわかった。
【0084】
約1mL容積の生理溶液(PBS)との混合に際し、残りの再懸濁液(約180μL)は、数秒以内に目視で透明になり、抗体ミクロスフェアが生理溶液に可溶性であることを示す。この混合物を、生理溶液に対して透析し、非溶媒(PEG300)を完全に除去し、次いで、サイズ排除クロマトグラフィーで分析して、再可溶化抗体の分子完全性を評価した。出発物質は約98.4%のモノマー含有率を有したのに対し、再可溶化抗体のモノマーパーセントは、約98%であった。したがって、これらの結果は、抗体分子が損なわれておらず、ミクロスフェア形成または非溶媒分離処理によって悪影響を受けなかったことを示す。
【0085】
(実施例2)
約50℃の高温で反応容器中、PBS緩衝液(pH6)中1mg/mLの抗体(Baxter Healthcare(Hayward、CA)製マウスモノクローナル抗VIII因子)溶液約4.75mLおよび約500mgの代表的な不揮発性物質(非イオン性ポリマー、ポロキサマー188)を含む約5mLの水性反応溶液を用いて、抗体ミクロスフェアを調製した。次いで、この反応溶液が入っている反応容器を氷浴(約4℃)中に約30分間浸漬させることによって、この反応溶液を制御された速度で冷却した。反応容器中に濁りが生じ、このことは、ポロキサマー188が溶解している水溶液を含む連続相中に抗体ミクロスフェアを含む分散相が形成したことを示す。連続相の密度を超える密度を有する容積(1mL)の非溶媒(PEG300)を、15mLの円錐状ポリプロピレン製遠心分離管に入れ、氷上で冷却した(約4℃)。ピペットを用いて、抗体ミクロスフェア懸濁液を、遠心分離管中非溶媒の上部に、この2つの系を実質的に混合させることなく、注意深く入れた。遠心分離管を、3,000×gで約4℃において約30分間遠心分離にかけ、微粒子の連続相から非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行った。遠心分離管の底部に抗体ミクロスフェアのペレットが認められ、一部のミクロスフェアは、非溶媒において懸濁したままであり、連続相の大部分は非溶媒の上部にそのまま残った。上清(連続相の大部分を含む)の大部分(上部約4mLに相当)を遠心分離管から吸引して出し、遠心分離管中の残り(約2mLの上清およびペレットに相当)を、ミクロスフェアが実質的に不溶性である冷洗浄媒体で、繰り返し遠心洗浄し(−20℃におけるアセトニトリル、1度に2mL、3,000×gで−9℃において5分間遠心分離にかけた)、非溶媒および水を除去した。最後の洗浄に続いて、遠心分離管を10秒間ボルテックスして、ペレットをほぐし、その中に残留する洗浄媒体を溶媒蒸発で除去し(最初に、窒素のストリーム下、次いで、真空下で10分間)、抗体ミクロスフェアの乾燥粉末を形成した。
【0086】
乾燥粉末を2枚の顕微鏡ガラススライド間で穏やかに擦り、光学顕微鏡下500×倍率で調べた。ミクロスフェアの一部は、分離して(すなわち、集塊ではなく)みえ、直径約2〜3ミクロンであった。これらのミクロスフェアは、PBSに一部分は可溶性であった。
【0087】
(実施例3)
約50℃の高温で反応容器中、PBS緩衝液(pH6)中1mg/mLの抗体(Baxter Healthcare(Hayward、CA)製マウスモノクローナル抗VIII因子)溶液約4.75mL、約500mgの代表的な不揮発性物質(非イオン性ポリマー、ポロキサマー188)、および安定剤(0.1Mヒスチジンおよび0.05Mグルタミン酸)を含む約5mLの水性反応溶液を用いて、抗体ミクロスフェアを調製した。次いで、この反応溶液が入っている反応容器を氷浴(約4℃)中に約30分間浸漬させることによって、この反応溶液を制御された速度で冷却した。反応容器中に濁りが生じ、このことは、ポロキサマー188が溶解している水溶液を含む連続相中に抗体ミクロスフェアを含む分散相が形成したことを示す。連続相の密度を超える密度を有する容積(1mL)の非溶媒(PEG300)を、15mLの円錐状ポリプロピレン製遠心分離管に入れ、−20℃で凍結させた。ピペットを用いて、5mLの抗体ミクロスフェア懸濁液を、遠心分離管中凍結非溶媒の上部に、注意深く置き、2つの系の混合が実質的に起こらないことを確実にさせた。遠心分離管を水浴中約37℃で約15分間、次いで、別の水浴中約4℃で約30分間、次いで、氷上に約10分間置くことによって、非溶媒を解凍および冷却させた。遠心分離管を、3,000×gで約4℃において約30分間遠心分離にかけ、微粒子の連続相から非溶媒中へのおよびそれを通っての移動を選択的に行った。遠心分離管の底部に、抗体ミクロスフェアのペレットが認められ、一部のミクロスフェアは、非溶媒において懸濁したままであり、連続相の大部分は非溶媒の上部に残ったままであった。上清(連続相の大部分を含む)の大部分(上部約4mLに相当)を遠心分離管から吸引して出し、遠心分離管中の残部(約2mLの上清およびペレットに相当)を、微粒子が実質的に不溶性である冷洗浄媒体で繰り返し遠心洗浄して(約−20℃のアセトニトリル、1度に約2mLを用いる、および3,000×gで約−9℃において約5分間遠心分離した)、非溶媒および水を除去した。最後の洗浄に続いて、遠心分離管を約10秒間撹拌して(ボルテックスして)、ペレットをほぐし、その中の残留洗浄媒体を溶媒蒸発(最初に窒素のストリーム下、次いで真空下で約10分間)によって除去し、抗体ミクロスフェアの乾燥粉末を形成した。
【0088】
乾燥粉末を2枚の顕微鏡ガラススライド間で穏やかに擦り、光学顕微鏡下500×倍率で調べた。大部分のミクロスフェアは分離して(すなわち、集塊でなく)みえ、直径約2〜3ミクロンであった。これらのミクロスフェアは、PBSに容易に可溶性である。
【0089】
(実施例4)
再構成媒体中約100mg/mLの濃度でヒト化治療用モノクローナル抗体Infliximab(Centocor、Malvern、PA)の凍結乾燥濃縮物を溶解させることによって、約1mLの水性反応溶液を調製し、この再構成物を約0.1M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.9、ポロキサマー188を10%w/vで含む)に対して透析し、1mg/mLの抗体濃度を得た。この反応溶液を約45℃の高温で反応容器に入れた。次いで、反応溶液を第1の制御された速度で約30分間かけて約22℃に、次いで、第2の制御された速度で約15分間かけて約4℃に冷却した。反応容器中に濁りが生じ、このことは、ポロキサマー188が溶解している水溶液を含む連続相中に抗体ミクロスフェアを含む分散相が形成したことを示す。約60%w/vの水、約25%w/vのPEG300、約10%w/vのエタノール、約5%w/vのポロキサマー188を含む、連続相の密度を超える密度を有する容積(1mL)の非溶媒を15mLの円錐状ポリプロピレン製遠心分離管に入れ、約−20℃で凍結させた。ピペットを用いて、1の抗体ミクロスフェア懸濁液を、遠心分離管中凍結非溶媒の上部に注意深く置き、2つの系の混合が実質的に起こらないことを確実にした。遠心分離管を水浴中約37℃で約15分間、次いで別の水浴中約4℃で約30分間、次いで氷上に約10分間置くことによって、非溶媒を解凍および冷却した。遠心分離管を3,000×gで約4℃において約10分間遠心分離にかけ、微粒子の連続相から非溶媒中へのおよびそれを通っての移動を選択的に行った。遠心分離管の底部に、抗体ミクロスフェアのペレットが認められ、一部のミクロスフェアは非溶媒に懸濁したままであり、連続相の大部分は非溶媒の上部に残ったままであった。大部分(約1mLを超える)の上清を遠心分離管から吸引して出し、遠心分離管中の残部(約1mL未満の非溶媒およびペレット)は、この実施例で用いられた非溶媒が薬学的に許容される流体担体(例えば、希釈剤)であったので、撹拌による再懸濁後に最終用途(例えば、注射、吸入)に適していた。
【0090】
(実施例5)
約12%w/vの代表的不揮発性物質(非イオン性ポリマー、ポロキサマー188)を含む酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.8)中約1mg/mLの濃度でヒト免疫グロブリン(Bayer Corp.、Elkhart、IN)を溶解させることによって、約20Lの水性反応溶液を調製した。この反応溶液を約50℃に加熱し、次いで約2時間かけて約4℃に徐々に冷却し、ポロキサマー188が溶解している水溶液を含む連続相中にIVIGミクロスフェアを含む分散相を形成させた。約4℃で、抗体ミクロスフェア分散系の連続相の密度を超える密度を有する容積(約200mL)の非溶媒(無水PEG300)を、20,000×gで約4℃において回転させながら、連続フロー遠心分離機(Sorvall(登録商標)Contifuge(登録商標)、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)のロータ中にポンプで供給した。抗体ミクロスフェア懸濁液を、約120mL/分の流速で、続いて、第1の容積(約1L)の第1のチェーサー(脱イオン水)および第2の容積(約1L)の第2のチェーサー(無水PEG300)を、すべて同じ流速で回転ロータ中にポンプで供給した。チェーサーを用いて、過剰のポロキサマー188および残留水を洗い出した。ロータを止め、流体をすべて出した。IVIGミクロスフェアは、粘性ペーストとしてロータの内壁に堆積し、機械的手段で(例えば、掻き落として)収集した。
【0091】
大量の無水PEG300に懸濁させた後に、収集した抗体ミクロスフェアのアリコートを光学顕微鏡(500×倍率)で調べた。IVIGミクロスフェアは、直径約2〜3ミクロンのほとんど離散したミクロスフェアであり、集塊はほとんどないことがわかった。PBSの添加により、数秒内に目視で透明な溶液が生成し、これは、収集したIVIGミクロスフェアがPBSに可溶性であること、および目視で不溶性IVIG集塊を少しも含まないことを示す。
【0092】
(実施例6)
約12%w/vのポロキサマー188を含む酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.8)中約1mg/mLの濃度でヒト免疫グロブリンG(IgG)を溶解させることによって、約20Lの水性反応溶液を調製した。この反応溶液を約50℃に加熱し、次いで、約2時間かけて約4℃に徐々に冷却し、ポロキサマー188が溶解している水溶液を含む連続相中にIgGミクロスフェアを含む分散相を形成した。約4℃で、約75%w/vの脱イオン水、25%w/vのPEG−3350、10mMのヒスチジン、100mMのNaClを含み、約7.4のpH、および連続相の密度を超える密度を有する容積(約200mL)の非溶媒を、20,000×gで約4℃において回転させながら、連続フロー遠心分離機(Sorvall(登録商標)Contifuge(登録商標)、ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)のロータ中にポンプで供給した。約120mL/分の流速で回転ロータ中に抗体ミクロスフェア懸濁液、続いてチェーサーとして新たな容積(約1L)の非溶媒をポンプで供給し、収集したミクロスフェアから過剰のポロキサマー188を洗い出した。ロータを止め、流体をすべて出した。粘性ペーストとしてロータの内壁に堆積したIgGミクロスフェアを機械的手段で(例えば、掻き落として)収集した。
【0093】
新たな容積の非溶媒中に懸濁させた後で、収集した抗体ミクロスフェアのアリコートを光学顕微鏡(500×倍率)で調べた。IgGミクロスフェアは、直径約2〜3ミクロンの大部分が離散したミクロスフェアであり、集塊はほとんどないことがわかった。収集した抗体ミクロスフェア中ヒトIgGの濃度は、収集したミクロスフェアのアリコートをPBS中に容積で1000倍に希釈し(IgGミクロスフェアを完全に溶解させて)、希釈液の光学密度を280nmで測定することによって決定した。約1.38の減衰係数に基づいて、収集したミクロスフェア中IgG濃度は約298mg/mLであると決定した。この濃度を反応溶液中IgGの1mg/mL濃度と比較すると、上記の処理はIgG分子を約300倍濃縮した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相分散系を処理する方法であって、
分散相および連続相を含み、固体微粒子および少なくとも第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、
非溶媒を用意する工程、
前記多相分散系および前記非溶媒を混合する工程、ならびに
大部分の前記微粒子が前記分散系から分離されるように、前記微粒子の前記非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程を含み、
前記微粒子は、前記非溶媒に実質的に不溶性であり、前記非溶媒は、前記連続相の密度を超える密度または前記連続相の粘度を超える粘度を有する、方法。
【請求項2】
前記非溶媒を用意する工程が、前記非溶媒を遠心分離装置中に導入し、それにより、その中に非溶媒層を形成する工程を含み、
前記多相分散系および前記非溶媒を混合する工程が、前記多相分散系を前記非溶媒層の上面に層状化し、それにより、層状化された組成物を形成する工程を含み、
前記微粒子の前記非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程が、前記層状化された組成物を遠心分離にかける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多相分散系および前記非溶媒を混合する前に、前記非溶媒を凍結させる工程をさらに含む、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記遠心分離装置が遠心分離管を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記遠心分離装置が連続フロー遠心分離機を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記分散系から分離された前記微粒子を収集する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記非溶媒が、第2の不揮発性物質を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記分散系から分離された前記微粒子を収集する工程、および前記収集された微粒子を超臨界流体に曝露し、少なくとも前記固体微粒子を保持しながら、前記第2の不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非溶媒が、薬学的に許容される希釈剤である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子が密度Dを有し、前記連続相が密度Dを有し、前記非溶媒が、均一であり、D≧D≧Dのように密度Dを有する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
が1g/cmを超える、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記非溶媒が密度勾配を含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記非溶媒が、水性液体、有機液体、ハロゲン化液体、不揮発性物質、およびそれらの組合せからなる群より選択される1種または複数の成分を含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2の不揮発性物質が、水溶性であるか、周囲温度で液体であるか、または両方である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記非溶媒中の前記第2の不揮発性物質の濃度が、前記分散系中の前記第1の不揮発性物質の濃度を超える、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の不揮発性物質が、前記第1の不揮発性物質と異なり、およびそれより低い分子量を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2の不揮発性物質が同じである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の不揮発性物質が、液体ポリエチレングリコール、液体ポロキサマー、およびそれらの組合せから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記第1および第2の不揮発性物質が、非イオン性ポリエーテル、非イオン性コポリエーテル、非イオン性ポリエステル、非イオン性コポリエステル、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー、非イオン性ビニルポリマー、非イオン性ピロリドン含有ポリマー、非イオン性ポリマー炭水化物、前述の物質の誘導体および塩、ならびにそれらの組合せからなる群より独立して選択される非イオン性ポリマーを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記非溶媒が、安定剤、塩、酸化防止剤、およびそれらの組合せからなる群より選択される1種または複数の溶質をさらに含む、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記非溶媒が、前記連続相に可溶性であるかまたはそれと混和性である、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
それぞれの微粒子が、少なくとも前記微粒子の外面に存在する少なくとも1種の生物活性巨大分子を含む、請求項1から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種の生物活性巨大分子が、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ベクター、核酸、それらの複合体、それらの結合体、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記微粒子が、非晶質、球状、固体、またはそれらの2つ以上の組合せである、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記微粒子が、帯電しているかまたは誘導性電荷を有し、前記微粒子の移動を選択的に行う工程が電気泳動によって達成される、請求項1および6から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記固体微粒子が、少なくとも1種の活性剤を含む、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記活性剤が、生物活性剤、薬剤、診断薬、栄養補助剤、および化粧剤からなる群より選択される、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記活性剤が、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ベクター、核酸、それらの複合体、それらの結合体、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1種の生物活性巨大分子を含む生物活性剤である、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記活性剤が、アジュバント、アドレナリン作用薬、アドレナリン遮断薬、アドレノコルチコイド、抗アドレナリン薬、アドレナリン作動薬、アルカロイド、アルキル化剤、アロステリック阻害剤、アナボリックステロイド、蘇生薬、鎮痛剤、麻酔薬、食欲抑制剤、制酸剤、抗アレルギー剤、抗血管形成剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗生物質、抗体、抗癌剤、抗コリン剤、抗コリンエステラーゼ、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗痴呆薬、抗うつ剤、抗糖尿病薬、下痢止め薬、解毒剤、抗てんかん薬、抗葉酸剤、抗真菌剤、抗原、駆虫薬、抗ヒスタミン、抗高脂血症薬、降圧剤、抗感染薬、抗炎症薬、抗マラリア薬、代謝拮抗剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物薬、抗骨粗しょう剤、抗病原薬、抗原虫薬、接着分子、解熱薬、抗リウマチ剤、防腐剤、抗甲状腺薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、アストリンゼン、ベータ−アドレナリン受容体遮断薬、殺生剤、血液凝固因子、カルシトニン、強心剤、化学療法薬、コレステロール低下薬、補因子、コルチコステロイド、鎮咳剤、サイトカイン、利尿薬、ドーパミン作用薬、エストロゲン受容体調節剤、酵素およびその補因子、酵素阻害剤、増殖分化因子、増殖因子、血液系作用薬、造血薬、ヘモグロビン調整剤、止血薬、ホルモンおよびホルモン類似体、催眠薬、降圧利尿薬、免疫学的因子、免疫賦活薬、免疫抑制剤、阻害剤、リガンド、脂質調節剤、リンホカイン、ムスカリン作用薬、筋弛緩薬、神経遮断薬、向神経薬、パクリタクセルおよび誘導体化合物、副交感神経様作用薬、副甲状腺ホルモン、促進剤、プロスタグランジン、精神治療薬、向精神薬、放射性医薬品、受容体、鎮静剤、性ホルモン、滅菌剤、刺激剤、血小板新生剤、栄養因子、交感神経様作用薬、甲状腺薬、ワクチン、血管拡張薬、ビタミン、キサンチン、ならびにそれらの結合体、複合体、前駆体、代謝産物、および混合物からなる群より選択される薬剤である、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記微粒子が担体巨大分子を含む、請求項1から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
多相分散系を処理する方法であって、
分散相および連続相を含み、固体微粒子および第1の濃度における第1の不揮発性物質を含む多相分散系を用意する工程、
前記第1の濃度を超える第2の濃度における第2の不揮発性物質を含む非溶媒を用意する工程であって、前記微粒子が前記非溶媒に実質的に不溶性である、工程、
前記多相分散系および前記非溶媒を混合する工程、ならびに
前記微粒子の大部分が前記分散系から分離されるように、前記微粒子の前記非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程
を含む、方法。
【請求項32】
前記非溶媒を用意する工程が、前記非溶媒を遠心分離装置中に導入し、それにより、その中に非溶媒層を形成する工程を含み、
前記多相分散系および前記非溶媒を混合する工程が、前記非溶媒層の上部面に前記多相分散系を層状化し、それにより、層状化された組成物を形成する工程を含み、
前記微粒子の前記非溶媒中へのまたはそれを通っての移動を選択的に行う工程が、前記層状化された組成物を遠心分離にかける工程を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記微粒子が、帯電しているかまたは誘導性電荷を有し、前記微粒子の移動を選択的に行う工程が、電気泳動で達成される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記微粒子が活性剤を含む、請求項31から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記微粒子が、担体巨大分子、生物活性巨大分子、およびそれらの組合せからなる群より選択される巨大分子を含む、請求項31から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記巨大分子が、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ベクター、核酸、それらの複合体、それらの結合体、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1種の生物活性巨大分子を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1および第2の不揮発性物質が、それらの化学構造および/または分子量において異なる、請求項31から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記第1および第2の不揮発性物質が同じである、請求項31から37のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−500797(P2012−500797A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524009(P2011−524009)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054525
【国際公開番号】WO2010/022276
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】