説明

多色成形品の製造方法及びこの製造方法を用いて作製した多色FRP成形品

【課題】本発明は、スプレーによる色分けやマスキングによる色分けが困難なほどに柄模様が微細であっても、この微細な柄模様(凹凸)の凹部(底部)と凸部(頂部)が色分けされることにより、微細な柄模様が多色化された多色成形品の製造方法及びこの製造方法によって製造された多色成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、凹凸による型模様を備え、前記型模様が、前記凹凸の底部Aによって形成される第1パターンと、前記凹凸の頂部Bによって形成される第2パターンと、前記頂部Bよりも高い頂部Cによって形成される第3パターンとを有するFRP型を用い、それぞれのパターン毎に異なる色のゲルコート樹脂を塗布した後、スキージングすることにより、微細な多色模様を形成する多色成形品の製造方法、及び、この製造方法で製造した多色成形品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック(以下、「FRP」と言う)成形品の製造方法及びこの製造方法を用いて作製したFRP成形品に関するものであり、より詳細には、多色成形品の製造方法及びこの製造方法を用いて作製した多色FRP成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多色成形品の製造方法としては、ゲルコートを色分けする方法として、下型の型面に複数色の着色ゲルコート樹脂を複数の噴射口を有するスプレーガンで吹き付ける方法(特許文献1)、成形に施す柄模様の型紙かマスキングテープを用い、色分けする境界線までゲルコート樹脂をスプレーガンなどで塗布し、ゲルコート樹脂が未硬化状態でマスキングを取り外し、その樹脂が硬化してから、次のゲルコート樹脂を塗布する等の方法で色分けする方法(特許文献2〜5)が知られている。
【0003】
また、ゲルコートを色分けする方法以外としては、予め着色した強化繊維を吹き付ける方法(特許文献6)、予め異なる色に着色した成形材料を一体に成形して多色成形品を製造する方法(特許文献7)が知られている。
【特許文献1】特開平6−126757号公報
【特許文献2】特開平10−16070号公報
【特許文献3】特開平9−192595号公報
【特許文献4】特開平11−179812号公報
【特許文献5】特開平9−314682号公報
【特許文献6】特開平7−241916号公報
【特許文献7】特開2000−280269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの多色成形品の製造方法は、いずれも柄模様が幾何学模様のように単純で、色分けの領域が少なくとも1mmレベル以上の比較的大きい領域の色分けを行う場合に使用可能なものである。このため、これよりも微細な柄模様を有する成形品、例えば織物の織り目模様や、この織り目に施された刺繍等の装飾模様を転写したような微細な柄模様(凹凸)を有する成形品について、このような微細な柄模様を、織り目模様だけ、あるいは刺繍等の装飾模様だけを他の部分と色分けすることはできなかった。つまり、織物の織り目模様や、この織り目に施された刺繍等の装飾模様の凹部(底部)と凸部(頂部)の領域は、一般に1mmよりも小さく微細であるため、これらの凹部(底部)と凸部(頂部)の各領域を、従来のスプレーによって色分けしたり、型紙やマスキングテープを使ってマスキングによって色分けすることは不可能であった。このため、このような微細な柄模様を多色化した成形品は作製できなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するものであり、スプレーによる色分けやマスキングによる色分けが困難なほどに柄模様が微細であっても、この微細な柄模様(凹凸)の凹部(底部)と凸部(頂部)が色分けされることにより、微細な柄模様が多色化された多色成形品の製造方法及びこの製造方法によって製造された多色成形品を提供することを目的とする。また、特には、この微細な柄模様が、織物の織り目模様や、この織り目に施された刺繍による装飾模様を転写したような微細な柄模様である多色成形品の製造方法及びこの製造方法によって製造された多色成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に関するものである。
(1) 凹凸による型模様を備え、前記型模様が、前記凹凸の底部Aによって形成される第1パターンと、前記凹凸の頂部Bによって形成される第2パターンと、前記頂部Bよりも高い頂部Cによって形成される第3パターンとを有するFRP型を用い、前記底部Aを覆うように、1色目のゲルコート樹脂Aを塗布し、このゲルコート樹脂Aが前記底部Aに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Aを硬化させる工程Aと、前記頂部Bを覆うように、2色目のゲルコート樹脂Bを塗布し、このゲルコート樹脂Bが前記頂部Bに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Bを硬化させる工程Bと、前記頂部Cを覆うように、3色目のゲルコート樹脂Cを塗布し、このゲルコート樹脂Cが前記頂部Cに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Cを硬化させる工程Cと、を有する多色成形品の製造方法。
(2) (1)において、工程Aでは、ゲルコート樹脂Aを塗布しスキージングした後に、頂部B及び頂部Cに残ったゲルコート樹脂Aを、溶剤を含ませた布地で拭き取り、工程Bでは、ゲルコート樹脂Bを塗布しスキージングした後に、頂部Cに残ったゲルコート樹脂Bを、溶剤を含ませた布地で拭き取る、多色成形品の製造方法。
(3) (1)又は(2)において、凹凸による型模様が、織物の織り目模様を転写した型模様である多色成形品の製造方法。
(4) (1)から(3)の何れかにおいて、スキージングが、ポリエチレン発泡体、ゴム系発泡体、ポリプロピレン発泡体、ウレタン発泡体、ゴムヘラ、布地をスキージとして用いて行われる多色成形品の製造方法。
(5) (1)から(4)の何れかの製造方法によって製造した多色成形品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スプレーによる色分けやマスキングによる色分けが困難なほどに柄模様が微細であっても、この微細な柄模様(凹凸)の凹部(底部)と凸部(頂部)が色分けされることにより、微細な柄模様が多色化された多色成形品の製造方法及びこの製造方法によって製造された多色成形品を提供することができる。また、特には、この微細な柄模様が、織物の織り目模様や、この織り目に施された刺繍による装飾模様を転写したような微細な柄模様である多色成形品の製造方法及びこの製造方法によって製造された多色成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1、図2、図4、図5に示すように、本発明の凹凸による型模様2とは、FRP型1の表面に形成される、主に装飾を目的として施す凹凸で表された柄模様を反転させた模様のことである。図1、図2のように、凹凸による型模様2は、底部A3と、略同じ高さの頂部B5からなる凹凸(単純凹凸)、または、図4、図5のように、底部A3と、複数の段階の高さを有する複数の頂部B5、C7を有する凹凸(多重凹凸)が含まれる。単純凹凸の例としては、織物の織り目模様が挙げられ、これを反転した型模様2としては、図1、図2に示すように、織物の繊維が転写された箇所が底部A3に、織物の織り目(開口)が転写された箇所が頂部B5に相当する。また、多重凹凸の例としては、織物の織り目模様に施された刺繍による装飾模様が挙げられ、これを反転した型模様2としては、図4、図5に示すように、刺繍による装飾模様が転写された箇所が底部A3に、織物の繊維が転写された箇所が第1段階の頂部B5に、織物の織り目(開口)が転写された箇所が第2段階の頂部C7に相当する。
【0009】
本発明の凹凸による型模様2を有するFRP型1は、これを用いて表面に凹凸による型模様2を有する成形品13を成形するものであり、例えば、以下のようにして、作製することができる。第1には、まず、モデル型の上にモデルとなる織物を載せ、この織物に硬化剤を配合した液状樹脂を含浸させた後、織物の織り目模様や刺繍による装飾模様が浮き出るように、織り目に残る前記液状樹脂の量を調整し、この樹脂を含浸した織物を硬化させてモデル型を作製し、その後、このモデル型から反転してFRP型1を作製する。また、第2には、まず、FRP型1にガラス繊維マットを載せて、このガラス繊維マットに液状樹脂を含浸させ、この上に織物を載せて、この織物に液状樹脂を含浸させた後、液状樹脂が半硬化となった状態で、織物を引き剥がすことにより、織物の織り目模様や刺繍による装飾模様を転写したFRP型1を作製する。
【0010】
図2、図5に示すように、本発明の凹凸による型模様2は、成形品13の表面側(図1、図4のFRP型の下側)から見たときに、凹凸の凹部(底部A3)に対応するパターンと凸部(頂部B5)に対応するパターンを有する。例えば、単純凹凸の場合、図1、図2に示すように、凹凸の底部A3によって形成される第1パターン4と、凹凸の頂部B5によって形成される第2パターン6とを有する。また、多重凹凸の場合、図4、図5に示すように、凹凸の底部A3によって形成される第1パターン4と、凹凸の頂部B5によって形成される第2パターン6と、頂部B5よりも高い頂部C7によって形成される第3パターン8とを有する。
【0011】
本発明の型模様2の凹凸の凹部(底部A3)と凸部(頂部B5、C7)とは、以下のように色分けすることができる。例えば、単純凹凸の場合、図1に示すように、まず、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9を塗布し、このゲルコート樹脂A9が底部A3に残りかつ頂部Bには残らないようにスキージングした後、ゲルコート樹脂A9を硬化させる工程Aを行う。次に、頂部B5を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10を塗布し、このゲルコート樹脂B10が頂部B5に残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂B10を硬化させる工程Bを行う。これにより、図3に示すように、型模様2の凹凸の凹部(底部A3)と凸部(頂部B5)とを色分けした成形品13を作製することができる。
【0012】
また、例えば、多重凹凸の場合、図4に示すように、まず、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9を塗布し、このゲルコート樹脂A9が底部A3に残りかつ頂部B5と頂部C7には残らないようにスキージングした後、ゲルコート樹脂A9を硬化させる工程Aを行う。次に、頂部B5と頂部C7を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10を塗布し、このゲルコート樹脂B10が頂部B5に残りかつ頂部Cには残らないようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂B5を硬化させる工程Bを行う。さらに、頂部C7を覆うように、3色目のゲルコート樹脂C11を塗布し、このゲルコート樹脂C11が頂部C7に残るようにスキージングした後、ゲルコート樹脂C11を硬化させる工程Cを行う。これにより、図6に示すように、型模様2の凹凸の凹部(底部A3)と複数の段階の高さの凸部(頂部B5、頂部C7)とを色分けした成形品13を作製することができる。
【0013】
さらに、多重の度合いが大きくなっても、複数の段階の高さの凸部(頂部)毎に、その凸部(頂部)を覆うように所定の色のゲルコート樹脂を塗布し、その凸部(頂部)にそのゲルコート樹脂が残り、その他の部分には残らないように、スキージングした後、そのゲルコート樹脂を硬化させることを繰り返すことにより、型模様2の凹凸の凹部(底部)と複数の段階の高さの各凸部(頂部)とを色分けすることができる。
【0014】
使用するゲルコート樹脂の粘度は、0.3〜2.0Pa・s(25℃)が好ましい。色分けの領域が1mmより小さい微細な型模様を施した型に使用する場合、1色目のゲルコート樹脂として使用するゲルコート樹脂の粘度を1.0Pa・s未満にすると、0.2mm〜0.05mm程度の微細な凹凸までゲルコート樹脂が入り込むことから、好ましい。色分けの領域が1mm以上の型模様が比較的大きい2色目以降のゲルコート樹脂B10としては、粘度が比較的高い1.0〜2.0Pa・sのゲルコート樹脂が適している。粘度が比較的高い1.0〜2.0Pa・sのゲルコート樹脂を、1色目のゲルコート樹脂A9として使用する場合は、0.3〜1mm程度の凹凸を有する型に使用できるが、0.2mm以下の凹凸を有する型では、型の凹部(底部A3)に微細な気泡が残る場合があり好ましくない。
【0015】
本発明の多色成形品の製造方法において用いるスキージは、ポリエチレン発泡体、ゴム系発泡体、ポリプロピレン発泡体、ウレタン発泡体、ゴムヘラ、布地等が挙げられる。これにより、スキージングの際に、スキージの硬度や力の入れ具合等により、スキージを適度に変形させることができ、スキージの先端が届く位置を調整することが可能となる。
【0016】
その中でも、ポリエチレン発泡体は、発泡倍率が10倍から40倍まで広範囲に有り、発泡倍率で硬度が異なるため、これをスキージとした場合は、発泡倍率によって、スキージの先端が凹凸に追従する度合いを調整することで、ゲルコート樹脂の除去量を調整できるので好ましい。また、ポリプロピレン発泡体も比較的ポリエチレン発泡体と同様に、発泡倍率や強さが近い事から好ましい。ウレタン発泡体は、前記2品種の材料に比較し発泡倍率も高く、しかも強さが弱い傾向にあるため、塗布したゲルコート樹脂を厚めに残すのに適している。これら発泡体の厚さと幅は、塗布したゲルコート樹脂の範囲と型模様により異なるが、概ね厚さは5mm〜10mm、幅50〜100mm程度が使いやすい。
【0017】
また、ゴムヘラ等の比較的硬い材料は、型模様2が、例えば図1、図2に示すような単純凹凸であるFRP型1に適しており、例えば図4、図5に示すような多重凹凸であるFRP型1では、底部A3や頂部B5にゲルコート樹脂が多めに残り、型模様2が鮮明に表れにくい傾向にある。ゴムヘラの厚さと幅は、塗布したゲルコート樹脂の範囲と型模様により異なるが、概ね厚さは2mm〜5mm、幅50〜75mm程度が使いやすい。
【0018】
また、布地で装飾部分のゲルコート樹脂をスキージングする場合は、綿布地がゲルコート樹脂を吸収しやすく効果的である。ポリエステル繊維やナイロン繊維などの化学繊維は、綿繊維布地に比較し樹脂の吸収が少なく、ゲルコート樹脂の削ぎ取る範囲が狭くなる傾向にある。これら布地の厚さと幅は、塗布したゲルコート樹脂の範囲と装飾模様により異なるが、概ね厚さ3mm〜5mm、幅50〜75mm程度に折りたたみ使用するのが使いやすい。
【0019】
本発明の多色成形品13の製造方法におけるスキージングは、以下のように行うことができる。例えば単純凹凸の場合、図1に示すように、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9を塗布し、このゲルコート樹脂A9をスキージングする際に、力の入れ具合によってスキージの変形量を調節することができるので、スキージの先端が底部Aまでは届かず、かつ、頂部B5までは追従して届く状態とすることができる。このことは、ゲルコート樹脂A9が底部A3には残りかつ頂部B5には残らないことを目視で確認することで判定可能である。この結果、ゲルコート樹脂A9が底部A3には残りかつ頂部B5には残らない状態になる。その後、ゲルコート樹脂A9を硬化させて工程Aを終了する。次に、今度は頂部B5及びゲルコート樹脂A9を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10を塗布し、このゲルコート樹脂B10をスキージングするが、この際は、力の入れ具合によって、スキージの変形を押さえ、スキージの先端が頂部B5までは届かない状態とする。これは、頂部B5にゲルコート樹脂B10が残ったままであることを目視で確認することで判定可能である。この結果、ゲルコート樹脂B10が頂部B5に残ったままの状態となる。その後、ゲルコート樹脂B10を硬化させて工程Bを終了する。
【0020】
次に、例えば多重凹凸の場合、図4に示すように、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9を塗布し、このゲルコート樹脂A9をスキージングする際に、力の入れ具合によってスキージの変形量を調節することができるので、スキージの先端が底部A3までは届かず、かつ、頂部B5と頂部C7までは追従して届く状態とすることができる。このことは、ゲルコート樹脂A9が底部A3には残りかつ頂部B5及び頂部C7には残らないことを目視で確認することで判定可能である。この結果、ゲルコート樹脂A9が底部A3には残りかつ頂部B5及び頂部C7には残らない状態になる。その後、ゲルコート樹脂A9を硬化させて工程Aを終了する。次に、今度は頂部B5を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10を塗布し、このゲルコート樹脂B10をスキージングする際に、力の入れ具合によってスキージを適度に変形させることができるため、スキージの先端が頂部B5までは届かず、かつ、頂部C7までは追従して届く状態とすることができる。このことは、ゲルコート樹脂B10が頂部B5には残りかつ頂部C7には残らないことを目視で確認することで判定可能である。この結果、ゲルコート樹脂B10が頂部B5残りかつ頂部C7には残らない状態になる。その後、ゲルコート樹脂B10を硬化させて工程Bを終了する。次に、今度は頂部C7を覆うように、3色目のゲルコート樹脂C11を塗布し、このゲルコート樹脂C11をスキージングするが、この際は、力の入れ具合によって、スキージの変形を押さえ、スキージの先端が頂部C7までは届かない状態とする。これは、頂部C7にゲルコート樹脂C11が残ったままであることを目視で確認することで判定可能である。この結果、ゲルコート樹脂C11が頂部C7に残ったままの状態となる。その後、ゲルコート樹脂C11を硬化させて工程Cを終了する。
【0021】
なお、上記の例では、単純凹凸、多重凹凸の何れの場合にも、底部A3、頂部B5、頂部C7に対応する第1パターン4、第2パターン6、第3パターン8のそれぞれのパターン毎に、ゲルコート樹脂(色)を異ならせたが、必ずしもパターン毎にゲルコート樹脂(色)を異ならせる必要はなく、一部又は全部のパターンに同色のゲルコートを用いてもよい。例えば、多重凹凸においては、上述したように、刺繍による装飾模様が転写された箇所が底部A3に、織物の繊維が転写された箇所が頂部B5に、織物の織り目(開口)が転写された箇所が頂部C7に相当する。このとき、刺繍による装飾模様が転写された底部A3に対応する第1パターン4にゲルコート樹脂A9を用い、織物の繊維が転写された頂部B5に対応する第2パターン6と、織物の織り目(開口)が転写された頂部C7に対応する第3パターン8に同じゲルコート樹脂B10を用いることもできる。このようにした場合、織物の繊維とその開口に対応する第2パターン6と第3パターン8はゲルコート樹脂B10の色となり、刺繍による装飾模様に対応する第1パターン4だけがゲルコート樹脂A9の色となるため、微細な刺繍による装飾模様だけを異なる色で色付けすることができる。
【0022】
また、刺繍による装飾模様が転写された底部A3に対応する第1パターン4にゲルコート樹脂A9を用いた後、織物の繊維が転写された頂部B5に対応する第2パターン6と、織物の織り目(開口)が転写された頂部C7に対応する第3パターン8の両者に、ゲルコート樹脂B10が残るように、スキージングすることによっても、同様に微細な刺繍による装飾模様(底部A3に対応する第1パターン4)だけを異なる色で色付けすることができる。これにより、わざわざ頂部B5、頂部C7に対応する第2パターン6、第3パターン8のそれぞれのパターン毎にスキージングする必要がなく、工数を低減することができる。
【0023】
さらに、刺繍による装飾模様が転写された領域の形状が、比較的単純で数cm以上の大きさであり、1箇所〜数箇所程度にまとまっているような場合は、頂部B5、頂部C7に対応する第2パターン6、第3パターン8のみを有する領域(例えば、図5の周囲の領域)をマスキングしておく。そして、刺繍による装飾模様が転写された底部A3に対応する第1パターン4と頂部B5に対応する第2パターン6のみを有する領域(例えば、図5の中央の四角形の領域)にだけ、ゲルコート樹脂A9を塗布し、スキージングする。この方法を使用しても、上述した方法と同様に、微細な刺繍による装飾模様(底部A3に対応する第1パターン4)だけを異なる色で色付けすることができる。これにより、マスキングの工数は増加するが、底部A3に対応する第1パターン4にゲルコート樹脂A9を塗布しても、頂部B5、頂部C7に対応する第2パターン6、第3パターン8には、ゲルコート樹脂A9は塗布されないので、これらの部分のゲルコート樹脂をスキージングによって除去する必要がない。
【0024】
単純凹凸、多重凹凸の何れの場合も、それぞれのゲルコート樹脂のスキージングを行った後には、頂部B5、C7にごく僅かに残るゲルコート樹脂B10、C11を、そのゲルコート樹脂B10、C11を硬化する前に、除去するのが望ましい。例えば、図1に示す単純凹凸の場合、底部A3を覆うようにゲルコート樹脂A9を塗布しスキージングした後に、頂部B5に残ったゲルコート樹脂A9を、溶剤を含ませた布地で拭き取る。また、図4に示す多重凹凸の場合、底部A3を覆うようにゲルコート樹脂A9を塗布しスキージングした後に、頂部B5及び頂部C7に残ったゲルコート樹脂A9を、溶剤を含ませた布地で拭き取り、次に、頂部B5を覆うようにゲルコート樹脂B10を塗布しスキージングした後に、頂部C7に残ったゲルコート樹脂B10を、溶剤を含ませた布地で拭き取る。これにより、図3、図6に示す凹凸による型模様2の凹部(底部A3)と各凸部(頂部B5、C7)の色分けを鮮明にすることができる。つまり、単純凹凸の場合、図3に示すように、成形が終了し、FRP型1から脱型した成形品13の表面側から見ると、頂部B5によって形成される第2パターン6には、底部A3と同色のゲルコート樹脂A9は残っておらず、底部A3によって形成される第1パターン4との色分けが鮮明になる。また、さらに多重凹凸の場合は、図6に示すように、頂部C7によって形成される第3パターン8には、頂B5と同色のゲルコート樹脂B10は残っていないため、底部A3によって形成される第1パターン4、及び、頂部B5によって形成される第2パターン6との色分けが鮮明になる。
【0025】
頂部B5、C6に残るゲルコート樹脂A9、B10を除去する具体的方法としては、綿布地にアセトンを含ませ、スキージングした型面を拭き取る方法を使用することができる。これにより、底部A3に残ったゲルコート樹脂A9は除去されず、頂部B5、C7に僅かに残ったゲルコート樹脂A9、B10だけが除去され、この上に塗布するゲルコート樹脂B10、C11の色相がより鮮明になる。綿布地に含ませるアセトンの量は、一旦綿布地に含ませたアセトンを強く絞り出した程度が望ましい。綿布地に含ませたアセトンの量が多いと、底部A3に残したゲルコート樹脂A9まで洗い流し、底部A3によって形成される模様(第1パターン4)が不鮮明になる傾向にある。また、綿布地に含ませたアセトンの量が少ないと、頂部B5、C7に僅かに残ったゲルコート樹脂A9、B10が十分に除去されず、頂部B5、C7によって形成される模様(第2パターン6、第3パターン8)が鮮明にならない傾向にある。
【0026】
1色目のゲルコート樹脂A9のスキージングを行った後、2色目のゲルコート樹脂B10を塗布する前に行う、1色目のゲルコート樹脂A9の硬化条件は、その上に2色目のゲルコート樹脂B10を塗布可能な程度に、1色目のゲルコート樹脂A9の表面が乾燥する程度以上であればよい。例えば、常温で1時間以上放置してもよく、60℃の硬化炉に20分程度入れて硬化させてもよい。3色目のゲルコート樹脂C11を塗布する前に行う2色目のゲルコート樹脂B10の硬化条件、及び、それ以降に塗布するゲルコートC11と樹脂の硬化条件も同様である。
【0027】
ゲルコート樹脂A9、B10、C11の最終的な硬化は、後述するFRP補強層12の硬化と一緒に行う。つまり、FRP補強層12の硬化工程は、ゲルコート樹脂A9、B10、C11の硬化工程を兼用して行われる。これにより、作業工数、硬化時間を大幅に削減することができる。なお、この最終硬化のときのゲルコート樹脂A9、B10、C11の硬化条件としては、好ましくは50〜60℃の温度で、好ましくは60〜120分間維持する。この温度が、40℃未満では、ゲルコート樹脂A9、B10、C11の硬化が充分でなく、ゲルコート樹脂A9、B10、C11により形成される多色成形品13の表面の硬度が十分でないため、傷が付き易い傾向があり、硬化温度が60℃を超えると、多色成形品13の製品面と型面とが剥がれ、製品面の表面に型離れ模様が出て、仕上げが必要となる傾向がある。硬化した多色成形品13は、型温度が常温に戻ってから、FRP型12から脱型し所定の寸法に切断し所望の製品になる。
【0028】
図1、図4に示すFRP補強層12の構成としては、例えば、塗布・硬化したゲルコート樹脂B10又はC11の上に、ガラス繊維からなるサーフィスマット(図示しない。)及びチョップドストランドマット(図示しない。)を、液状の不飽和ポリエステル樹脂(図示しない。)を塗布・含浸させながら積層し、肉厚を3〜5mmにする。
【0029】
図1、図4に示すFRP補強層12の積層方法としては、例えば、塗布・硬化したゲルコート樹脂B10又はC11の上に、硬化剤を配合した不飽和ポリエステル樹脂(図示しない。)を綿ローラで塗布し、その上にサーフィスマット(図示しない。)を載せ、さらにその上から不飽和ポリエステル樹脂(図示しない。)を綿ローラで塗布してサーフィスマット(図示しない。)に含浸させる。この際、サーフィスマット(図示しない。)に気泡が残らないように脱泡ローラで気泡を除去する。次に、チョップドストランドマット(図示しない。)を1層乗せ、その上から綿ローラで不飽和ポリエステル樹脂(図示しない。)を塗布後、脱泡ローラで気泡を除去する。この方法で更にチョップドストランドマット(図示しない。)2層から5層程度までの積層を繰り返す。
【0030】
液状の不飽和ポリエステル樹脂の塗布量は、チョップドストランドマットの1層当たりの塗布面積1mに対し、700〜900gが好ましい。この塗布量が、450g/m・層未満では、樹脂不足となりガラス繊維が白化する傾向があり、900g/m・層を超えると、樹脂過多となり積層作業がし難くなる傾向がある。
【0031】
FRP補強層12の硬化条件は、常温で6時間以上自然硬化させ、その後、好ましくは50〜60℃の温度で、好ましくは60〜120分間維持して不飽和ポリエステル樹脂の硬化を促進させる。この温度が、40℃未満では、不飽和ポリエステル樹脂の硬化が不足し、十分な強度が得られない傾向がある。また上述したように、このFRP補強層12の硬化と同時に行うゲルコート樹脂A9、B10、C11の硬化も不足するため、十分な表面硬度が得られず、多色成形品13の表面に傷が付き易い傾向がある。硬化温度が60℃を超えると、多色成形品13の製品面と型面とが剥がれ、製品面の表面に型離れ模様が出て、仕上げが必要となる傾向がある。硬化した多色成形品13は、型温度が常温に戻ってから、FRP型1から脱型し所定の寸法に切断し所望の製品になる。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1を説明する。図4、図5に示すように、本実施例の凹凸による型模様2は、織物の織り目模様の上に刺繍を施した表面形状を反転させた多重凹凸の型模様2である。この型模様では、図4、図5に示すように、刺繍による装飾模様が転写された箇所が底部A3に、織物の繊維が転写された箇所が第1段階の頂部B5に、織物の織り目(開口)が転写された箇所が頂部C7に対応する。
【0033】
凹凸による型模様2を有するFRP型1は、以下のようにして作製する。まず、モデル型の上にモデルとなる織物を載せ、この織物に硬化剤を配合した液状樹脂を含浸させた後、織物の織り目模様や刺繍による装飾模様が浮き出るように、織り目に残る前記液状樹脂の量を調整し、この樹脂を含浸した織物を硬化させてモデル型を作製し、その後、このモデル型から反転してFRP型1を作製する。
【0034】
図5に示すように、本実施例の凹凸による型模様2は、成形品13の表面側(図4のFRP型1の下側)から見たときに、凹凸の底部A3によって形成される第1パターン4と、凹凸の頂部B5によって形成される第2パターン6と、頂部B5よりも高い頂部C7によって形成される第3パターン8とを有する。
【0035】
型模様2の凹凸の凹部(底部A3)、それぞれの凸部(頂部B5、C7)は、以下のように色分けする。
【0036】
(工程A)
離形処理されたFRP型1の装飾模様部分(型模様2のある領域)以外をマスキングし、図4に示すように、まず、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9(ディーエイチマテリアル株式会社製サンドーマ663KB)をハケで、装飾部分の微細な部分に気泡が残らないよう全面塗布する。ポリエチレン発泡体のスキージを用いて、このゲルコート樹脂A9が底部A3に残り、かつ、頂部B5と頂部C7にはなるべく残らないようにスキージングする。頂部B5や頂部C7に残ったゲルコート樹脂A9を、アセトンを含ませて強く絞った綿布地を用いて拭き取る。その後、ゲルコート樹脂A9を60℃の硬化炉で20分程度硬化させる。
【0037】
(工程B)
1色目のゲルコート樹脂A9が硬化し型温が常温に戻ったのを確認し、頂部B5を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10(ディーエイチマテリアル株式会社製サンドーマ2620PW)を1色目同様、装飾部分にハケで塗布する。ポリエチレン発泡体のスキージを用いて、このゲルコート樹脂B10が頂部B5に残り、かつ、頂部C7にはなるべく残らないようにスキージングする。頂部C7に残ったゲルコート樹脂B10を、アセトンを含ませて強く絞った綿布地を用いて拭き取る。その後、ゲルコート樹脂B10を60℃の硬化炉で20分程度硬化させる。
【0038】
(工程C)
2色目のゲルコート樹脂B10が硬化し型温が常温に戻ったのを確認し、頂部C7を覆うように、3色目のゲルコート樹脂C11(東京インキ株式会社製PCG−7G−269)を1色目と同様に、装飾部分にハケで塗布する。ポリエチレン発泡体のスキージを用いて、このゲルコート樹脂C11が頂部C7に残るようにスキージングする。その後、ゲルコート樹脂C11を60℃の硬化炉で20分程度硬化させる。
【0039】
このようにして、装飾部分に多色ゲルコートA9、B10、C11を施した後に、マスキングを外し、装飾部分も含めたFRP型1面の全体に対するゲルコート樹脂D(図示しない。)(東京インキ株式会社製PCG(VA)308−GR−F25)を、スプレーガンで0.2mm〜0.5mm程度の厚みで塗布し、60℃硬化炉で20分程度硬化させる。これにより、図6に示すように、型模様の凹凸の凹部(底部A3)と複数の段階の高さの凸部(頂部B5、頂部C7)とを、3色に色分けすることができる。
【0040】
図4に示すFRP補強層12の構成は、塗布・硬化したゲルコート樹脂A9、B10、C11、D(図示しない。)の上に、ガラス繊維からなるサーフィスマット(旭ファイバーグラス株式会社製SMB−3600C)及びチョップドストランドマット(富士ファイバーグラス株式会社製FEM−450)を、液状の不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチマテリアル株式会社製PS−2130)を塗布・含浸させながら積層し、肉厚を3〜5mmにする。
【0041】
図4に示すFRP補強層12の積層方法は、塗布・硬化したゲルコート樹脂A9、B10、C11、D(図示しない。)の上に、硬化剤を配合した不飽和ポリエステル樹脂を綿ローラで塗布し、その上にサーフィスマットを載せ、さらにその上から不飽和ポリエステル樹脂を綿ローラで塗布してサーフィスマットに含浸させる。この際、サーフィスマットに気泡が残らないように脱泡ローラで気泡を除去する。次に、チョップドストランドマットを1層乗せ、その上から綿ローラで不飽和ポリエステル樹脂を塗布後、脱泡ローラで気泡を除去する。この方法で更にチョップドストランドマット2層から5層程度までの積層を繰り返す。
【0042】
FRP補強層12の硬化条件は、常温で6時間以上自然硬化させ、その後、60℃の温度で、120分間維持して不飽和ポリエステル樹脂の硬化を促進させる。図6に示す硬化した多色成形品13は、型温度が常温に戻ってから、FRP型1から脱型し所定の寸法に切断し所望の製品とする。
【0043】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2を説明する。本実施例の凹凸による型模様2は、図4、図5に示す実施例1と同様であり、織物の織り目模様の上に刺繍を施した表面形状を反転させた多重凹凸の型模様2である。また、凹凸による型模様2を有するFRP型1は、実施例1と同様にして作製する。
【0044】
本実施例の凹凸による型模様2は、図5に示す実施例1と同様に、成形品13の表面側(図4のFRP型1の下側)から見たときに、凹凸の底部A3によって形成される第1パターン4と、凹凸の頂部B5によって形成される第2パターン6と、頂部B5よりも高い頂部C7によって形成される第3パターン8とを有する。
【0045】
型模様2の凹凸の凹部(底部A3)と凸部(頂部B5、C7)とは、以下のように色分けする。
【0046】
(工程A)
離形処理されたFRP型1の装飾模様部分(型模様2のある領域)以外をマスキングし、図4に示すように、まず、底部A3を覆うように、1色目のゲルコート樹脂A9(ディーエイチマテリアル株式会社製サンドーマ663KB)をハケで、装飾部分の微細な部分に気泡が残らないよう全面塗布する。ポリエチレン発泡体のスキージを用いて、このゲルコート樹脂A9が底部A3に残り、かつ、頂部B5と頂部C7にはなるべく残らないようにスキージングする。頂部B5や頂部C7に残ったゲルコート樹脂A9は、アセトンを含ませて強く絞った綿布地を用いて拭き取る。その後、ゲルコート樹脂A9を60℃の硬化炉で20分程度硬化させる。
【0047】
(工程B)
1色目のゲルコート樹脂A9が硬化し型温が常温に戻ったのを確認し、頂部B5を覆うように、2色目のゲルコート樹脂B10(ディーエイチマテリアル株式会社製サンドーマ2620PW)を1色目同様、装飾部分にハケで塗布する。ポリエチレン発泡体のスキージを用いて、このゲルコート樹脂B10が、頂部B5に残るようにスキージングする。その後、ゲルコート樹脂B10を60℃の硬化炉で20分程度硬化させる。
【0048】
このようにして、装飾部分に多色ゲルコートA9、B10を施した後に、マスキングを外し、装飾部分も含めたFRP型1面の全体に対するゲルコート樹脂D(図示しない。)(東京インキ株式会社製PCG(VA)308−GR−F25)を、スプレーガンで0.2mm〜0.5mm程度の厚みで塗布し、60℃硬化炉で20分程度硬化させる。これにより、図7に示すように、型模様の凹凸の凹部(底部A3)とそれ以外の凸部(頂部B5、頂部C7)とを2色に色分けすることができる。つまり、微細な型模様2である刺繍部分のみが色分けされ、浮き立たされた装飾模様を施すことができる。
【0049】
FRP補強層12の構成、積層方法、及び硬化条件は、実施例1と同様である。図7に示す硬化した多色成形品13は、型温度が常温に戻ってから、FRP型1から脱型し所定の寸法に切断し所望の製品とする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】凹凸による型模様が単純凹凸の場合のFRP型と多色成形品の断面図である。
【図2】凹凸による型模様が単純凹凸の場合のFRP型の平面図である。
【図3】凹凸による型模様が単純凹凸の場合の多色成形品の平面図である。
【図4】実施例1の凹凸による型模様が多重凹凸の場合のFRP型と多色成形品の断面図である。
【図5】実施例1の凹凸による型模様が多重凹凸の場合のFRP型の平面図である。
【図6】実施例1の凹凸による型模様が多重凹凸の場合の多色成形品の平面図である。
【図7】実施例2の凹凸による型模様が多重凹凸の場合の多色成形品の平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1…FRP型、2…型模様、3…底部A、4…第1パターン、5…頂部B、6…第2パターン、7…頂部C、8…第3パターン、9…1色目のゲルコート樹脂、10…2色目のゲルコート樹脂、11…3色目のゲルコート樹脂、12…FRP補強層、13…成形品(多色成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸による型模様を備え、前記型模様が、前記凹凸の底部Aによって形成される第1パターンと、前記凹凸の頂部Bによって形成される第2パターンと、前記頂部Bよりも高い頂部Cによって形成される第3パターンとを有するFRP型を用い、
前記底部Aを覆うように、1色目のゲルコート樹脂Aを塗布し、このゲルコート樹脂Aが前記底部Aに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Aを硬化させる工程Aと、
前記頂部Bを覆うように、2色目のゲルコート樹脂Bを塗布し、このゲルコート樹脂Bが前記頂部Bに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Bを硬化させる工程Bと、
前記頂部Cを覆うように、3色目のゲルコート樹脂Cを塗布し、このゲルコート樹脂Cが前記頂部Cに残るようにスキージングした後、前記ゲルコート樹脂Cを硬化させる工程Cと、
を有する多色成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
工程Aでは、ゲルコート樹脂Aを塗布しスキージングした後に、頂部B及び頂部Cに残ったゲルコート樹脂Aを、溶剤を含ませた布地で拭き取り、
工程Bでは、ゲルコート樹脂Bを塗布しスキージングした後に、頂部Cに残ったゲルコート樹脂Bを、溶剤を含ませた布地で拭き取る、
多色成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
凹凸による型模様が、織物の織り目模様、または刺繍による装飾模様を転写した型模様である多色成形品の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかにおいて、
スキージングが、ポリエチレン発泡体、ゴム系発泡体、ポリプロピレン発泡体、ウレタン発泡体、ゴムヘラ、布地をスキージとして用いて行われる多色成形品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかの製造方法によって製造した多色成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−96082(P2009−96082A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270087(P2007−270087)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(301050924)株式会社日立ハウステック (234)
【Fターム(参考)】