説明

大きな表面積を有するニオブ粉末及び/又はタンタル粉末の製造方法

本発明は、高純度と、大きい比表面積と、制御された含有量の酸素及び窒素と、コンデンサの製造に用いるのに適した形態とを有するニオブ粉末及び/又はタンタル粉末を製造する方法であって、ニオブ酸化物及び/又はタンタル酸化物(Nb、及び/又はTa(式中、x=1〜2且つy=1〜5))の制御された層であって、適切な純度の金属ニオブ及び/若しくは金属タンタル並びに/又はそれらの水素化物の粒子の上に慎重に形成された該層を、溶融塩の浴の中でアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属及び/又はそれらの水素化物によって還元する唯一の工程と、その後に続く、水溶液に前記塩を溶解して、ニオブ粉末及び/又はタンタル粉末を回収する工程とを包含することを特徴とする該製造方法に関する。前記の方法を用いて生成されるこれら粒子は、小さい粒径と、大きい表面積と、スポンジ様形態とを有しており、そのために、コンデンサを製造するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニオブ酸化物及び/又はタンタル酸化物[Nb、及び/又はTa(式中、x=1〜2且つy=1〜5)]の制御された層であって、制御雰囲気中、溶融塩の溶液に溶解している反応金属(reaction metal)によって、高純度の金属ニオブ及び/若しくは金属タンタル並びに/又はそれらの水素化物の粒子の上に慎重に形成された該層を還元することによって、ニオブ粉末及び/又はタンタル粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第1,728,941号;米国特許第2,516,863号;米国特許第4,687,632号;米国特許第6,136,062号;米国特許第6,171,363号;ドイツ国特許第19831280号;及び国際公開番号00/15555に記載されているように、ニオブ及び/又は他の耐熱金属の酸化物を、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の金属及び/又は水素化物によって還元することは周知である。
金属サーマル反応(metallothermal reaction)の主な問題は、それが著しく発熱性の無制御反応であって、装置が過剰に加熱され、且つ、製造される粉末の諸特性(平均粒径の増大、及び比表面積の減少)が損なわれる該反応である。
【0003】
その反応を制御する方法の1つは、幾つかの特許明細書に記述されているように、初期にニオブの亜酸化物を還元することである。なぜなら、この条件で、該反応の発熱特性はあまり激しくないからである。このようにして生成された該亜酸化物は、次いで、再びあまり激しくない発熱挙動によって、金属ニオブに還元されて、推奨される諸特性を持つ粉末を生成するであろう。しかし、そのような手順は、プロセスを二段階で行う必要性を創り出し、エネルギー及び時間の消耗を増大させる必要がある。更に、より多くの段階で、オーブン雰囲気;還元剤;及び反応が起こる容器;と高温で接触するために、該粉末が汚染される可能性が高まる。幾つかの特許明細書には、反応の発熱作用を減少させるために、また、熱の散逸を促進するために、反応器の強制冷却を利用する必要性、及び/又は機械的撹拌装置を利用する必要性が記述されている。記述されているもう1つの反応形態は、蒸気形態のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を用いることを包含する。還元剤が液体状態で用いられる場合に起こる問題を解消するのに、蒸気を用いることは是認される。しかし、この技術を使用すれば、頻繁に、後続の脱酸素工程を行うことが必要となる。なぜなら、ほとんどいつも、唯一の工程で完全な還元を達成することはできないからである。更に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の蒸発は吸熱性であるが、蒸気形態のこれら金属を用いたニオブ酸化物の還元は、それらが液体形態で用いられる場合よりより発熱性である。このことは、過熱を回避する方向へ反応を制御するには不利である。
【0004】
ニオブ及び/又は他の耐熱金属を生成するための、溶融塩中での還元技術を使用することは記述されている。しかし、ニオブの他の源(例えば、フルオロニオブ酸カリウム)が用いられているか;還元剤としてナトリウムが用いられているか(米国特許第4,684,399号明細書);又は、希釈剤として、KCl−KF若しくはKCl−NaClで構成される溶融塩の浴を用いながら、これと同じ化合物がナトリウムで還元されており(国際公開番号01/59166号);また、五塩化ニオブが、溶融塩の溶液に溶解されている反応金属によって還元されている(米国特許第4,725,312号及び国際公開番号01/59166号)。
【0005】
米国特許第4,725,312号及び国際公開番号01/59166号明細書に開示されている方法は、元素の周期表のIV−B族及びV−B族の粉末形態の金属を製造する方法であって、還元剤としてリチウムを含有する溶融塩の浴を用いて、それら金属の塩を還元することによって該金属を製造する方法を提案している。塩の様々な二成分混合物が記述されており、とりわけ、LiCl−KCl、CsCl−LiCl、RbCl−LiBr、及びKBr−LiBr、LiCl−NaCl−CsCl、LiCl−NaCl−RbCl、及びLiCl−KCl−KFが指摘されているようである。この方法において、塩浴は、400〜550℃の温度に保持されている。溶融塩の浴に存在するリチウムの量は、少なくとも、Nb、Ti及びNdの塩化物を還元するのに必要な理論量であるのが望ましく、また、これら塩化物は、固体、液体又は気体の形態で導入されることがあり、後者が好ましい。
特許出願公開の国際公開番号01/82318号及び01/59166号明細書には、溶融塩(KCl−KF又はKCl−NaCl)の浴に添加される還元剤としてナトリウムを用い、KNbFを還元することによってニオブ粉末を生成することが記述されている。
【0006】
溶融塩での還元方法を使用する主な利点は、a)反応で生じる熱の散逸が塩浴の中で起こり、従って、局所過熱が回避されること、b)還元剤を溶融塩中に溶解することによって、該還元剤の還元電位を制御することができること、c)還元剤とNb及び/又はTaを含有する原料との両方を塩浴まで連続的に供給して、還元速度を制御することができ、その結果、熱の発生を制御することができること、d)還元剤とNb及び/又はTaの源の間の直接的接触が回避され、このようにして得られたNb及び/又はTaの粉末の焼結と不十分な成長とが生じる可能性が減少すること、e)塩浴を撹拌することが可能であり、従って、溶融塩中の還元剤とNb及び/又はTaの源との両方の溶解速度を増大させるか又は減少させて、反応速度を制御することができること、f)塩溶液であって、それの溶融温度が、反応を行うことが望ましい温度と一致している該塩溶液を適切に選定することによって、反応温度を制御することができること、g)このようにして得られたNb及び/又はTaを回収するためには、水溶液に該塩を溶解する必要があるのみであるから、該粉末を容易に回収できること、h)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物が、反応物と還元剤の間に障壁が形成されるのを防止しながら、塩に溶解していること、i)粉末化された形態又は粒状化された形態の還元剤を用いる必要がないこと、j)塩浴の中にNガスを注入するか、又は、ドーピング元素としての窒素を有している薬剤であって、溶融塩に溶解することのできる該薬剤を用いるかによって、塩を溶融状態に保持するオーブンの雰囲気を介して、Nb及び/又はTaに該ドーピング元素を導入することができること、並びに、k)溶融塩に溶解することのできる、ドーピング元素としてのリンを有する薬剤を用いて、Nb及び/又はTaに該ドーピング元素を導入することができること、である。
【0007】
この方法を用いれば、ニオブ酸化物及び/又はタンタル酸化物は、見掛け密度が小さく比表面積が大きいスポンジ様形態を有する高純度粉末を生成する強力な還元剤を用いて、制御されたやり方で還元することができる。加えて、原料は、高純度で適切な寸法の、金属ニオブ及び/若しくは金属タンタル並びに/又はそれらの水素化物であって、酸化物の適切な層を有するように制御されたやり方で前もって酸化されたものであるため、この酸化物層を還元するときに生じる熱エネルギーは、原料が完全に酸化物から成るものである場合に同一粒子を得るために生じる熱エネルギーよりも遥かに小さい。このようにエネルギーの発生がより小さいので、ガス及び他の金属によって汚染される可能性が著しく減少するようなやり方で、該方法を制御することが容易となる。エネルギーの発生がより小さいことは、該方法を用いて得られる粉末の漏れ電流が小さいことによって立証することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、溶融塩で金属サーマル還元を行うことによって、ニオブ及び/又はタンタルの金属粉末を製造する方法であって、還元を行う間に過熱される問題;又は、1つの工程より多いプロセスを行う必要があるという問題;を解消する該製造方法を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのような方法を用いれば、塩浴が存在するために、混合物中に発生する熱を制御し且つ散逸させ、その結果、諸反応物の供給速度を制御して還元剤と反応物の直接的接触を回避することによって、反応速度を制御することが可能である。熱の面に加えて、還元剤が該塩に所望の濃度で希釈されているため、還元剤の電位を制御する可能性があることに起因して、その反応は、更に制御される。このように、還元のための原動力を制御することができ、該方法の制御を高めることが可能となる。金属ニオブ及び/若しくは金属タンタル並びに/又はそれらの水素化物から基本的に成る、粉末形態で適切な粒径の高純度原料であって、制御されたやり方で前もって酸化されている該原料(以下、「酸化粉末(oxidized powder)」という)を用いれば、液体塩の媒体内でスポンジの様相を有する、Nb及び/又はTaの均質な沈降物であって、望ましくない寸法のクラスターを形成することなく、適切な粒子分布を創り出す該沈降物が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
還元剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、好ましくはカルシウム若しくはマグネシウム及び/又はそのような金属の水素化物である。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の窒化物もまた、生成されるニオブ及び/又はタンタルを得るための、N源から成る反応器に供給することができる。
反応は、不活性雰囲気(アルゴン若しくはヘリウム)中;又は、例えば窒素(N)を含有する反応性雰囲気中;300〜1200℃の間、好ましくは500〜1000℃の間の温度で起こる。
反応が行われる間、該塩は機械撹拌を行うか、又は、該塩に、例えばNを含有する不活性ガス若しくは部分的に不活性なガスを注入する。該溶融塩は、複数の塩の混合物又は複数の純粋塩の混合物(例えば、Ca、Li、Ba、Mg、K及びNaのフッ化物並びに塩化物)で構成されていることがある。還元剤のより大きい溶解度を示す塩(例えば、還元剤としてカルシウムを用いる場合、CaCl)が好ましい。
【0011】
還元剤と、酸化されたNb粉末及び/又はTa粉末とは、両方の供給速度を制御することのできる装置を用いて、溶融塩へ連続的に供給することができる。該プロセスの温度は、それら原料の供給速度を制御することによって、一定に維持することができる。還元剤の使用量は、供給される、Nb及び/又はTaの酸化粉末の全ての酸化物を還元するための少なくとも化学量論的量であるのが望ましい。その化学的量論の800%以下の量を使用することができる。そのような過剰量は、数あるパラメータの中でも、とりわけ、塩浴の量によって決まる。
還元剤と「酸化粉末」の両方は、溶融工程の前、塩浴と一緒に還元反応器に添加することができるか、又は、塩が溶融する前、塩浴に別々に若しくは一緒に供給することができる。この供給工程は、連続的に又は別のやり方で実施することができる。還元剤の量は、酸化物粒子を還元する場合に比べて実質的に少なく、酸化粉末の酸素含有量によって決まる。また、還元剤の所要量は、前もって塩浴に添加することができる。
【0012】
反応を制御するのに、通常、次の塩又はそれらの混合物:CaCl、NaCl、KCl及びMgClを用いることができる。それら塩の混合物によると、より低い温度で還元を生じさせることができ、より小さい粒径とより大きい表面積とを得ることができる。塩の量、又は複数の塩の混合物の量は、反応温度の制御に影響を及ぼし、塩の量が多ければ多いほど、温度を制御することはいっそう容易となる。用いる塩の量は、供給される酸化粉末1g当り5〜100gの間で変動することがある。
反応は、ステンレス鋼、ニッケル、タンタル又はニオブの反応器で実施することができ、得られる生成物の許容可能な汚染度によって決まる。
【0013】
反応の後、金属ニオブ及び/又は金属タンタルを含有する、得られる塩混合物は、脱イオン水に溶解し、その後、濾過し、HClを含有する溶液であって、HF、HNO及びHSOをも含有することのできる該溶液を用いて浸出する。浸出を行った後、その物質は洗浄して乾燥する。
塩を溶解化するための水の量は、塩5kg毎に10〜100リットルの間で変動する。酸浸出工程のためには、塩の溶解によって得られた粉末1g毎に溶液1〜100mlを用いる。
【0014】
Nb及び/又はTaの中の窒素含有量の制御は、オーブンの雰囲気中のN分圧を制御することによって;溶融塩の中にNガスか、若しくはNを含有する諸ガスの混合物を注入することによって;又は、さもなければ、Nキャリヤ要素(例えば、該溶融塩に溶解できる窒化物)を添加することによって;行うことができる。窒素の一部分を塩溶液に溶解し、窒化物イオンを利用して、Nb及び/又はTaの粒子の中に窒素を可溶化することができる。同様に、塩浴に溶解できるリン化合物を添加することによって、リンをドーピングすることができる。
【0015】
本方法を用いて生成された、Nb及び/又はTaの粉末の粒子は、粒径が減少しており、大きい表面積とスポンジ様形態とを有しており、しかも、コンデンサを製造するのに適している。
還元方法は、当初、ステンレス鋼、ニッケル、ニオブ又はタンタルの反応器の中で、不活性ガス雰囲気中、酸化粉末及び還元剤の存在下又は非存在下で該塩を溶融することを包含する。オーブン室は、反応器を加熱する前、真空にし、次いで、400〜1200トールで変動することのある圧力の不活性ガスで加圧するのが望ましい。塩が溶融した後、その温度は、該塩又は還元性金属のどちらかがより高い融点を有していても、該塩又は該還元性金属の融点よりも30〜150℃高い温度で安定化させる。この時点から、機械的撹拌器を用いること;又は、不活性ガス若しくは反応性ガス(N、若しくはNと不活性ガスの混合物)を注入すること;によって、浴の撹拌工程を開始する。還元剤及び/又は「酸化粉末」が前もって添加されていない場合、塩浴への供給速度を制御することのできる適切な装置を用いて、両方、又はそれらの一方を添加することを開始する。
【0016】
反応に要する時間が経過した後、撹拌を中断し、オーブンを切って、金属Nb及び/又は金属Taを含有する塩を冷却する。
反応に要する時間は、還元剤若しくは酸化粉末の供給速度;又は、反応開始前に塩と一緒に供給される粉末及び還元剤の量;によって決まる。
酸化粉末の供給速度は、該プロセスを制御するための重要なパラメータである。なぜなら、該供給速度によって、熱の局所発生を制御することができるからである。しかし、前に説明した通り、この熱量は、Nb及び/又はTaの源としてNb酸化物及び/又はTa酸化物を用いた場合と比べて、実質的に小さい。
【0017】
還元温度は、生成される粉末の表面積に影響を受けることがある。高温は、より小さい比表面積を有するより大きい粒子を生じることがある。従って、複数の塩の混合物を選定することは、該プロセスの温度を下げるために重要である。
局所過熱を回避するために、また、浴中における酸化粉末の偏析を回避しながら、酸化粉末を分散させるためには塩を撹拌することも重要である。
【0018】
図1は、溶融塩で還元を行うのに用いられる反応器の概略図であって、溶融塩の入っているるつぼの中に酸化粉末が連続的に供給されている該概略図である。溶融塩の入っている前記るつぼの中に、該溶融塩中に沈められているもう1つの容器であって、液体のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の入っている該容器が置かれている。図1に関する識別表示は、1−液体のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の入っているるつぼ;2−溶融塩の入っているるつぼ;3−撹拌軸;4−溶融塩;5−不活性ガス又は反応性ガスの入口;6−「酸化粉末」;7−容器であって、その中に「酸化粉末」が入っている該容器;8−熱電対;9−オーブン室;及び10−真空系統出口である。
この装置において、機械的撹拌は、不活性ガス又は反応性ガスの注入によって生じる撹拌で代用することができる。
【0019】
不活性雰囲気で反応器を冷却した後、生成された物質は、脱イオン水に溶解する。該塩の溶解によって得られる溶液は、濾過し、次いで、HCl、HNO、HSO及びHFを含有する溶液で浸出する。用いる浸出用溶液の量は、濾過された生成物1g当り1〜100mlであり、好ましくは1g当り10〜40mlである。この浸出を行った後、脱イオン水を用いた最終の洗浄、濾過、及び真空乾燥を行う。
本発明によって得られたNb及び/又はTaの粉末は、Mg及びCaの含有量が500ppm未満であり、カリウム含有量が50ppm未満であり、酸素含有量が1000〜4000ppm/(m/g)の間であり、Fe、Cr及びNiの総量が300ppm未満であり、比表面積が1〜30m/gの間である。
【実施例1】
【0020】
本発明は、以下に記述する諸例によって更に詳しく例示する。
(例1)
図1に描かれる密閉反応器であって、それの内部に、塩化カルシウム4kgの中に金属カルシウム124gを含有するもう1つの容器を備えている該反応器を、アルゴン雰囲気(800トール)中、900℃の温度に加熱した。この混合物を機械撹拌によって均質化した後、「酸化粉末」100g(平均粒径2.3μm)を連続的方法で添加した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
その反応器から物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水10リットルで洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、18,000ppmから3,850ppmに減少したことが立証された。
【実施例2】
【0021】
(例2)
図1に描かれる密閉反応器であって、それの内部に、塩化カルシウム4kgの中に金属カルシウム124gを含有するもう1つの容器を備えている該反応器を、アルゴン雰囲気(800トール)中、900℃の温度に加熱した。この混合物を機械撹拌によって均質化した後、「酸化粉末」100g(平均粒径18.6μm)を連続的方法で添加した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
その反応器から物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水10リットルで洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、6,300ppmから785ppmに減少したことが立証された。
【実施例3】
【0022】
(例3)
図1に描かれる密閉反応器であって、それの内部に、塩化カルシウム4kgの中に金属カルシウム124gを含有するもう1つの容器を備えている該反応器を、アルゴン雰囲気(800トール)中、900℃の温度に加熱した。この混合物を機械撹拌によって均質化した後、「酸化粉末」100g(平均粒径1.1μm)を連続的方法で添加した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
その反応器から物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水10リットルで洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、52,210ppmから10,500ppm[4565ppm/(m/g)に相当]に減少したことが立証された。
【実施例4】
【0023】
(例4)
図1に描かれる密閉反応器であって、それの内部に、塩化カルシウム3.2kgと塩化カリウム0.8kgの混合物の中に金属マグネシウム40gを含有するもう1つの容器を備えている該反応器を、アルゴン雰囲気(800トール)中、900℃の温度に加熱した。この混合物を機械撹拌によって均質化した後、「酸化粉末」100g(平均粒径1.9μm)を連続的方法で添加した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
その反応器から物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水10リットルで洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、39,620ppmから6,700ppm[4,188ppm/(m/g)に相当]に減少したことが立証された。
【実施例5】
【0024】
(例5)
図2に示されるように、るつぼ1の内部で支持軸11に取り付けられている金属スクリーンの上に、酸化粉末(11g)を置いた。支持軸2に更に取り付けられている還元容器(reducer container)(Ca/Mg、NbH)の中に金属マグネシウム(25g)を置いた。るつぼの内部に、該酸化粉末及び該金属マグネシウムと一緒に、塩化カルシウム(240g)と塩化カリウム(60g)の混合物を置いた。該るつぼは、その上に蓋を溶接して密閉した。その混合物は、900℃の温度に2時間の間加熱した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
そのるつぼから物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水で洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、52,210ppmから5,850ppm[3,250ppm/(m/g)に相当]に減少したことが立証された。
【実施例6】
【0025】
(例6)
図2に示されるように、るつぼ1の内部で支持軸11に取り付けられている金属スクリーンの上に、酸化粉末(11g)を置いた。支持軸に更に取り付けられている還元容器(Ca/Mg、NbH)の中に金属カルシウム(25g)を置いた。るつぼの内部に、該酸化粉末及び該金属カルシウムと一緒に、塩化カルシウム(300g)を置いた。該るつぼは、その上に蓋を溶接して密閉した。その混合物は、900℃の温度に2時間の間加熱した。その混合物は、還元を行った後、周囲温度まで冷却した。
そのるつぼから物質を取り出し、脱イオン水に溶解した。固相は、HCl及びHFを含有する水溶液で90分間浸出した。この混合物は、次いで、濾過して、脱イオン水で洗浄した。濾過によって得られたケーキは、その後、真空乾燥した。得られた粉末の化学分析によって、酸素含有量は、52,210ppmから5,520ppm[3,070ppm/(m/g)に相当]に減少したことが立証された。
【0026】
本明細書に開示する諸方法を使用して生成された粉末の典型的な形態は、図3に示される後方散乱電子像で見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述する。図面において、種々の図を通して、同一番号は、同一の構造を表わす。
【図1】酸化粉末を還元するための反応器の概略図である。
【図2】るつぼ内部における支持軸の詳細を描く図である。
【図3】本明細書に開示する方法を用いて生成した粉末の典型的な形態の後方散乱電子像を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きい表面積を有するニオブ粉末及び/又はタンタル粉末の製造方法において、酸化粉末(高純度の、金属ニオブ及び/若しくは金属タンタル並びに/又はそれらの水素化物から基本的に成る適切な粒径を持つ粉末であって、制御されたやり方で前もって酸化された粉末)を、溶融塩浴の中又は溶融塩溶液の中で、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属及び/又はそれらの金属水素化物で還元し、続いて、このようにして得られた生成物を浸出し、濾過し、洗浄し、次いで、乾燥する諸工程を包含する、上記製造方法。
【請求項2】
還元工程は、反応性元素として、カルシウム及びマグネシウム、又はもう1種のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属及び/又はそれらの金属水素化物であって、ニオブ酸化物及び/若しくはタンタル酸化物、又はそれらの酸化化合物を還元することのできる上記の金属及び/又は金属水素化物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
浴は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩化物又はフッ化物によって構成される、1種の溶融塩、又は複数種の溶融塩の混合物を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩化物又はフッ化物は、CaCl、NaCl、MgCl、KCl、CaFを包含する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
還元工程は、300℃〜1200℃の間の温度の塩浴を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
酸化した金属の還元は、塩浴中、機械的に撹拌しながら、又は、窒素を含有する不活性ガス若しくは反応性ガスによって撹拌しながら、実施する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
酸化粉末を、連続的な制御されたやり方で、還元剤を含有する塩浴に供給する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
塩浴中における酸化粉末と還元剤の混合を、溶融工程の前に実施する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
窒素含有量が100ppmから70,000ppmまで変動するニオブ粉末及び/又はタンタル粉末が得られるように、溶融塩中の還元は、0.0005気圧(0.506625ミリバール)〜1気圧(1013.25ミリバール)の間で変動することのある窒素分圧を有する制御雰囲気の中で又は、該溶融塩の中に、Nガス、若しくは(N0.1〜50%を含有する)不活性ガスとNの混合物を注入することによって、また、塩浴に窒素化合物を添加することによって実施する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
ニオブ粉末及び/又はタンタル粉末を回収する工程は、水中で塩を可溶化し、次いで、得られた固体生成物を、HCl及びHFを含有する酸性水溶液を用いることによって浸出する諸手順によって行う、請求項1に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−516039(P2006−516039A)
【公表日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548947(P2004−548947)
【出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【国際出願番号】PCT/BR2003/000122
【国際公開番号】WO2004/042095
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505163763)コンパニア ブラジレイラ デ メタルージャ エ ミネラサオ (2)
【Fターム(参考)】