説明

大型エンジン用途に適した統合型燃料噴射点火装置および関連する使用および製造方法

【課題】大型エンジン用途に適した統合型燃料噴射点火装置を提供する。
【解決手段】噴射器本体300bは第2の端部と対向する第1の端部を有する。第2の端部は燃焼室312に隣接して配されるように形成され、第1の端部は燃焼室から間隔を空けて配されるように形成される。噴射器はまた点火導体314と絶縁体316とを含む。点火導体は本体を通じて第1の端部から第2の端部へと延びる。絶縁体は点火導体に沿って長手方向に延び、点火導体の少なくとも一部を包囲する。噴射器は弁318をさらに含む。この弁は絶縁体に沿って第1の端部から第2の端部へと長手方向に延びる。弁は密閉端部319を含み、絶縁体に沿って開位置と閉位置との間を移動可能である。弁が開位置に来ると密閉端部は弁座321から間隔を空けて配され、弁が閉位置に来ると密閉端部は弁座の少なくとも一部と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、燃焼室内の多様な燃料の噴射および点火を行うための大型エンジン用途および他の大きさのエンジン用途に適した統合型の燃料噴射器および点火装置に主に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料噴射システムは典型的には、入口マニホルードまたはエンジンの燃焼室内への燃料噴霧を噴霧する際に用いられる。燃料噴射システムは、自動車エンジンにおいて用いられる主要な燃料送達システムとなっており、1980年代後半からは、ほとんど完全にキャブレターの代替として用いられている。従来の燃料噴射システムは典型的には、加圧燃料供給へと接続され、これらの燃料噴射システムにおいて用いられる噴射装置は一般的には、エンジンの動力行程に相対する特定の時期において、加圧燃料を燃焼室内に噴射または他の場合に放出する。多くのエンジン(特に大型エンジン)において、噴射装置が燃焼室内に入る際の通路となるボアまたはポートの寸法は小型である。このような小型のポートに起因して、噴射器の作動または前記噴射器からの燃料噴射のために利用可能な構成要素の大きさが制限される。さらに、このようなエンジン内には一般的には吸気および排気の動弁機構が密集しているため、これらの噴射装置の構成要素のために利用可能な空間がさらに制限される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本開示の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置(「噴射器))の模式断面側面図である。
【図2A】本開示の別の実施形態によって構成された噴射器の部分分解断面側面図である。
【図2B】本開示の実施形態に従って構成された流量制御弁の断面側面図である。
【図3A】本開示のさらなる実施形態に従って構成された噴射器の一連の断面側面図である。
【図3B】本開示のさらなる実施形態に従って構成された噴射器の一連の断面側面図である。
【図4】本開示のさらなる実施形態に従って構成された噴射器の一連の断面側面図である。
【図5A】本開示のさらなる実施形態に従って構成された噴射器の一連の断面側面図である。
【図5B】図5Aの線5B−5Bに沿って実質的にとられた第1の流路の断面側面図である。
【図5C】図5Aの線5C−5Cに沿って実質的にとられた第2の流路の断面側面図である。
【図5D】図5Aの線5B−5Bに沿って実質的にとられた第1の流路の別の実施形態の断面側面図である。
【図5E】図5Aの線5C−5Cに沿って実質的にとられた第2の流路の別の実施形態の断面側面図である。
【図5F】本開示の実施形態に従って構成された流量制御弁の側面図である。
【図5G】本開示の実施形態に従って構成された流量制御弁の側面図である。
【図6】本開示のさらなる実施形態に従って構成された噴射器の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本出願は、以下の特許出願それぞれの内容全体を参考のため援用する:米国特許出願第12/841170号(出願日:2010年7月21日、名称:INTEGRATED FUEL INJECTORS AND IGNITERS AND ASSOCIATED METHODS OF USE AND MANUFACTYREE)、米国特許出願第12/804510号(出願日:2010年7月21日、名称:FUEL INJECTOR ACTUATOR ASSEMBLIES AND ASSOCIATED METHODS OF USE AND MANUFACTURE)、米国特許出願第12/841146号(出願日:2010年7月21日、名称:INTEGRATED FUEL INJECTOR IGNITERS WITH CONDUCTIVE CABLE ASSEMBLIES)、米国特許出願第12/841149号(出願日:2010年7月21日、名称:SHAPING A FUEL CHARGE IN A COMBUSTION CHAMBER WITH MULTIPLE DRIVERS AND/OR IONIZATION CONTROL)、米国特許出願第12/841135号(出願日:2010年7月21日、名称:CERAMIC INSULATOR AND METHODS OF USE AND MANUFACTURE THEREOF)、米国特許出願第12/804509号(出願日:2010年7月21日、名称:METHOD AND SYSTEM OF THERMOCHEMICAL REGENERATION TO PROVIDE OXYGENATED FUEL, FOR EXAMPLE, WITH FUEL-COOLED FUEL INJECTORS)、米国特許出願第12/804508号(出願日:2010年7月21日、名称:METHODS AND SYSTEMS FOR REDUCING THE FORMATION OF OXIDES OF NITROGEN DURING COMBUSTION IN ENGINES)、米国特許出願第12/581825号(出願日:2009年10月19日、名称:MULTIFUEL STORAGE, METERING AND IGNITION SYSTEM)、米国特許出願第12/653085号(出願日:2009年12月7日、名称:INTEGRATED FUEL INJECTORS AND IGNITERS AND ASSOCIATED METHODS OF USE AND MANUFACTURE)、米国特許出願第12/006774号(現米国特許第7628137号)(出願日:2008年1月7日、名称:MULTIFUEL STORAGE, METERING AND IGNITION SYSTEM)、PCT出願第PCT/US09/67044号(出願日:2009年12月7日、名称:INTEGRATED FUEL INJECTORS AND IGNITERS AND ASSOCIATED METHODS OF USE AND MANUFACTURE)、米国仮出願第61/237425号(出願日:2009年8月27日、名称:OXYGENATED FUEL PRODUCTION)、米国仮出願第61/237466号(出願日:2009年8月27日、名称:MULTIFUEL MULTIBURST)、米国仮出願第61/237479号(出願日:2009年8月27日、名称:FULL SPECTRUM ENERGY)、米国仮出願第61/304403号(出願日:2010年2月13日、名称:FULL SPECTRUM ENERGY AND RESOURCE INDEPENDENCE)、および米国仮出願第61/312100号(出願日:2010年3月9日、名称:SYSTEM AND METHOD FOR PROVIDING HIGH VOLTAGE RF SHIELDING, FOR EXAMPLE, FOR USE WITH A FUEL INJECTOR)。本出願は、以下の特許出願それぞれの内容全体を参考のため援用する:本出願と同時に2010年10月27日に出願され、名称がADAPTIVE CONTROL SYSTEM FOR FUEL INJECTORS AND IGNITERS(弁理士事件整理番号69545−8059US)、およびFUEL INJECTOR SUITABLE FOR INJECTING A PLURALITY OF DIFFERENT FUELS INTO A COMBUSTION CHAMBER(弁理士事件整理番号69545−8054US)という米国特許出願。
【0005】
A.概要
本開示は、内燃機関と共に用いられる統合型の燃料噴射および点火装置と、前記統合型の燃料噴射および点火装置に関する関連付けられたシステム、アセンブリー、構成要素および方法とについて説明する。例えば、以下に説明する実施形態のうちいくつかは一般的には、多様な燃料の噴射および燃焼を燃焼室状態に基づいて最適化することが可能な適応噴射装置/点火装置に関する。特定の実施形態において、これらの噴射装置/点火装置は、噴射器/点火装置における空間において制約のある大型エンジン用途(例えば、改造アセンブリーおよび新規アセンブリー)に特に適している。多様な本開示の実施形態の深い理解のために、以下の記載および図1〜図6において、特定の詳細について説明する。しかし、内燃機関、噴射器、点火装置および/または燃焼システムの他の局面と関連付けられれることの多い周知の構造およびシステムについての他の詳細については、多様な本開示の実施形態の記載を不必要に曖昧にしないようにするために、以下においては説明しない。よって、以下に記載される詳細のうちいくつかは、関連分野における当業者による記載の実施形態の作製および理解が可能なように以下の実施形態を記載することが理解される。しかし、詳細および利点のうちいくつかは、しかし、特定の本開示の実施形態の実行において不要である場合もある。
【0006】
図面中に記載される詳細、寸法、角度、形状および他の特徴のうちの多くは、本開示の特定の実施形態の例示に過ぎない。従って、他の実施形態においては、本開示の意図または範囲から逸脱することなく、他の詳細、寸法、角度および特徴が可能である。加えて、当業者であれば、本開示のさらなる実施形態は、以下に記載される詳細のうち一部がなくても実施可能であることを理解する。
【0007】
本明細書中において、「一実施形態」または「実施形態」とは、当該実施形態と関連して記載された特定特徴、構造または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態において含まれることを意味する。よって、本明細書中の多様な部分における「一実施形態において」または「実施形態において」という記載は、必ずしも同じ実施形態を指していない。さらに、特定の実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の他の実施形態における任意の適切な様態と組み合わせることができる。さらに、本明細書中に記載の見出しは、あくまで便宜上のものであり、請求される開示の範囲または意味を妨げるものではない。
【0008】
図1は、本開示の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置100(「噴射器100」)の模式断面側面図である。図1に示す噴射器100は、以下に記載される噴射器およびアセンブリーの特徴のうちのいくつかを模式的に示すことを意図する。よって、図1を参照して説明するこれらの特徴は、以下に説明する噴射器およびアセンブリーの特徴のいずれかを制限することを意図していない。図1に示すように、噴射器100は、本体102を含む。本体102は、中央部104を含む。中央部104は、第1の端部すなわち基部106と、ノズル部108の第2の端部との間に延びる。よって、基部106は、ノズル部108から間隔を空けて配置される。
【0009】
ノズル部108は、燃焼室112のインターフェース111またはその近隣において燃料を噴射および点火するように、少なくとも部分的にエンジンヘッド110を通じて延びるように構成される。特定の実施形態において、ノズル部108に含まれ得る構成要素は、大型エンジン用途(例えば、舶用推進エンジンの用途)において用いられることの多い比較的小型の噴射器ポート内に適合するように構成される。図示の実施形態において、例えば噴射ポート107(例えば現在のディーゼルエンジンの噴射ポート)の直径Dは、およそ8.4ミリメートル(0.33インチ)以下であり得る。しかし、他の実施形態において、直径Dは、およそ8.4ミリメートルよりも大きい場合もある。以下に詳細に説明するように、噴射器100は、(このような比較的小型の噴射ポート107内であっても)燃焼室112内への不要な燃料滴下を排除しつつ、高い燃料送達圧力下において適応して高速に作動するように特に適合される。さらに、やはり以下に詳細に説明するように、噴射器100はまた、燃焼室インターフェース111と、本体102によって支えられるいくつかの作動構成要素との間の比較的大きな距離または長さLも考慮している。前記いくつかの作動構成要素は、エンジンヘッド110から間隔を空けて配置される。現在のディーゼルエンジンまたは他の大型エンジン(例えば、エンジンヘッド110における密集した吸気および排気の動弁機構)の場合、分離長さLを12〜36インチ以上にする必要がある場合がある。
【0010】
図1に示す実施形態において、噴射器100は、コアアセンブリー113を含む。コアアセンブリー113は、基部106からノズル部108へと延びる。噴射器110はまた、本体絶縁体142を含む。本体絶縁体142は、少なくともコアアセンブリー113の一部を覆って同軸に配置される。コアアセンブリー113は、点火ロッドまたは導体114、点火絶縁体116、および弁118を含む。点火導体114は、基部106において電源に動作可能に連結され、基部106からノズル部108を通じて延びる。点火導体114は、端部115を含む。端部115は、燃焼室112のインターフェース111の近隣に設けられる。燃焼室112は、1つ以上の点火機能部を含む。前記1つ以上の点火機能部は、ヘッド110によって点火イベントを生成するように構成される。点火絶縁体116は、少なくとも点火導体114の一部の情報において同軸に延び、基部106からノズル部108内へと少なくとも部分的に延びる。弁118は、少なくとも絶縁体116の一部を覆って同軸に配置される。図示の実施形態において、弁118は第1の長さを有し、点火絶縁体116は、第1の長さよりも長い第2の長さを有し、点火導体114は、第2の長さよりも長い第3の長さを有する。弁118は、(図1に示すような)開位置と、閉位置との間において移動するように構成される。より詳細には、弁118は、密閉端部119を有する。密閉端部119は、弁118が閉位置にある際に、対応する弁座121に対向して位置する。弁座121は、本体絶縁体142によって支えられ得る。弁118が開位置へと移動すると、端部119が弁座121から遠隔方向へ移動することで、燃料が弁座121を流動または通過する。
【0011】
噴射器100はまた、弁操作アセンブリー125を有する。弁操作アセンブリー125は、基部106によって支えられる。弁操作アセンブリー125は、アクチュエーターまたはドライバー120と、プロセッサーまたはコントローラー122とを少なくとも含む。より詳細には、ドライバー120は、基部106に配置され、弁118へと動作可能に連結される。ドライバー120もまた、コントローラー122へと動作可能に連結される。ドライバー120は、任意の適切な力生成機構(例えば電気、電気機械、磁気などを用いたもの)から作動させて、弁118を係合および移動させることができる。コントローラー122もまた、1つ以上のセンサーへ動作可能に連結され得る。前記1つ以上のセンサーは、噴射器100によって支えられるか、または、噴射器100が取り付けられたエンジン内のいずれかの位置に配置される。これらのセンサーは、燃焼室情報または燃焼室情報と相関付けることが可能な他のエンジン関連情報を検出することができる。一実施形態において、例えば、コントローラー122は、センサーへと動作可能に連結することができる。前記センサーは、点火導体114によって支えられる光ファイバーである。よって、コントローラー122は、1つ以上の燃焼室特性に応じて弁118を作動させるようにドライバー120を方向付けるかまたは制御することができる。
【0012】
動作時において、燃料が基部106内において燃料流路または通路124内に導入される。燃料通路124は、本体102と弁118との間において基部106から中央部104を通じてノズル部108へと延びる。正確に計量された燃料を噴射器100により選択的かつ適合的に燃焼室112内へと導入することができる。例えば、ドライバー120は、弁118を作動させて、弁118を長手方向に絶縁体116に沿ってスライドまたは移動させて、弁118の密閉端部119を弁座121から遠隔方向に移動させる。弁118が一般的には噴射器100の長手方向軸と平行な方向において開位置と閉位置との位置に移動すると、点火導体114および絶縁体116は、本体102内において静止状態となる。よって、絶縁体116は、弁118のための中央ジャーナル軸受として機能し、よって、弁118と接触する低摩擦外面を有する。さらに、以下に詳細に説明するように、点火導体114は、燃焼室112内へ燃料が入る前または入る際に前記燃料を点火するための点火イベントを発生させることができる。以下に詳細に説明するように、弁118の密閉端部119は、噴射器100内の多様な位置(例えば、噴射ポート107内および/または燃焼室112のインターフェース111の近隣)に配置することができる。
【0013】
図2Aは、本開示の別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置200(「噴射器200」)の断面側面図である。図2A中に図示される実施形態は、図1を参照して上述した噴射器100の対応する特徴に概して構造および機能において類似するいくつかの特徴を含む。例えば、図2に示す噴射器200は、本体202を含む。本体202は、中央部204を有する。中央部204は、第1の端部または基部206と、第2の端部またはノズル部208との間を延びる。ノズル部208は、エンジンヘッド210内の噴射ポート207内へ少なくとも部分的に挿入されるように、構成される。以下に詳細に説明するように、噴射器200は、噴射器ポート207の直径サイズが約8.4mm(0.33インチ)以下に制約されておりかつ燃焼室212におけるインターフェース211と噴射器200の弁作動構成要素との間における分離長さLがおよそ12〜36インチ以上必要になることが多い密集した吸気および排気の動弁機構における利用可能な空間が制約される、多くの現在のディーゼルエンジンまたは他の大型エンジンの困難な問題を解消するように構成される。
【0014】
図示の実施形態の特徴によれば、噴射器200は、コアアセンブリー213も含む。コアアセンブリー213は、基部206から本体202を通じてノズル部208内へと少なくとも部分的に延びる。コアアセンブリー213により、燃料噴射および点火が促進される。より詳細には、コアアセンブリー213は、コアまたは点火絶縁体216を含む。コアまたは点火絶縁体216は、点火ロッドまたは導体214を覆って同軸に配置される。コアアセンブリー213はまた、可動管弁218を含む。可動管弁218は、コア絶縁体216を覆って同軸に配置される。図示の実施形態において、点火導体214は固定点火部材であり、導電性ロッドまたはリッツ線束であり得る。点火導体214は、基部206内の点火または端子227へと連結されて、電圧エネルギーを受ける。より詳細には、点火端子227は電圧供給導体209へと連結され、電圧供給導体209は適切な電源へと連結される。一実施形態において、例えば、点火端子227は、少なくともおよそ80kV(DCまたはAC)を点火導体214へと供給することができる。しかし、他の実施形態において、点火端子227は、これよりも高いかまたは低い電圧を点火導体214へと供給することができる。
【0015】
点火導体214はまた、ノズル部208に配置された1つ以上の点火機能部234を含む。図示の実施形態において、点火機能部234は、針状スレッドまたは他の種類の突起であり得、点火部材214から遠隔方向において円周方向にに延びる。点火機能部234は、固定された状態であり、第1の電極として機能する。噴射ポート207の内径は、対応する第2の電極として機能し、点火イベント(例えば、プラズマ点火イベント)を発生させる。特定の実施形態において、例えば図2Aに示すように、ノズル部208は、肉薄の導電性電極ライナーまたはめっき層235を、噴射ポート207の内面または直径の少なくとも一部に含み得る。電極ライナー235を用いて、噴射ポート207の内面をプラズマ腐食から保護することができる。しかし、電極ライナー235を用いない実施形態において、しかし、高周波ACを用いて、噴射ポート207の内面上のプラズマ腐食を排除することができる。
【0016】
図示の実施形態において、点火導体214はまた、1つ以上のセンサーを含む(例えば、点火導体214内に配置された1つ以上の光ファイバー217)。これらの光ファイバー217は、点火導体214を通じて長手方向に延び得、燃焼室212からの情報を噴射器100内または噴射器100を用いたエンジン内の1つ以上の構成要素へと伝送するように、構成される。
【0017】
図示の実施形態の特定の特徴によれば、コア絶縁体216は、点火導体214上において固定され得、同時係属中の出願(上記文献全体を参考のため援用する)に開示されているようなセラミック絶縁体から構築され得る。一実施形態において、例えば、コア絶縁体216は、PTFEまたはPEEKモノフィラメントから構成されたらせん状長糸形状によって構成される。しかし、他の実施形態において、コア絶縁体216は、噴射器200へと送達される電圧および/または噴射器200内において生成される電圧を受けるのに適した他の材料で構成されてもよい。例えば、コア絶縁体216は、約1000°Fまでの温度において80kV(DCまたはAC)を受けるのに適した絶縁材料から構成され得る。しかし、他の実施形態において、絶縁体216は、これよりも高いか,または低い電圧を受けるように構成してもよいし、より高温または低温で動作するように構成してもよい。やはり以下に詳細に説明するように、コア絶縁体216は、弁218がコア絶縁体216に沿って開位置と閉位置との間で移動する際に、弁218のための低摩擦中央ジャーナル軸受表面として機能することもできる。
【0018】
図示の実施形態において、弁218は、外側方向に開口する弁(例えば燃焼室212に向かう方向において開口する弁)であり、絶縁体216に沿って移動可能であり、これにより、ノズル部208からの燃料を選択的に燃焼室212内へと導入することができる。より詳細には、弁218は、絶縁体216に沿って開位置と閉位置との間において噴射器200の長手方向軸に対して概して平行な方向においてスライドするように、構成される。弁218は、第2の端部または密閉端部219に対向する第1の端部223を含む。密閉端部219は、弁218が閉位置にある際、対応する弁座221に対して流体密封シールを形成する。弁218のさらなる詳細について、図2Bを参照して以下に説明する。
【0019】
図2Bは、図2Aに示す弁218の部分分解側断面図である。図2Bを参照して、弁218iは、中空のコアまたは本体244を含む。中空のコアまたは本体244は、外面248に対向する内面246を有する。本体244は、米国特許出願第12/857461号(出願日:2010年8月16日、名称:INTERNALLY REINFORCED STRUCTURAL COMPOSITES AND ASSOCIATED METHODS OF MANUFACTURING)(本明細書中、同文献全体を参考のため援用する)に開示されているような強化構造複合体から構成され得る。例えば、本体244は、比較的低密度に配置されたグラファイト構造またはグラフェン構造によって構成することができ、これにより、慣性低減の恩恵が得られ、高い強度および剛性が達成され、高い疲労耐久性強度が得られる。より詳細には、本体244は、軽量かつ高強度のグラファイト構造コアから構成することができる。このグラファイト構造コアは、1つ以上の炭素/炭素層によって補強される。前記炭素/炭素層(単数または複数)は、適切な前駆体用途の炭素供与体(例えば石油ピッチまたは熱可塑性物質(例えばポリオレフィンまたはPAN))から作製することができる。また、前記1つ以上の炭素/炭素層から、RF遮蔽および保護も得られる。外面248を適切な合金(例えば適切なろう付け用合金組成によって本体244へとろう付けされ得るニッケル合金)でめっきすることにより、さらなる保護が可能となる。内面246は、コア絶縁体216に沿ってスライドまたは移動するように構成される(図2A)。よって、内面246の少なくとも一部は、適切な低摩擦コーティング(例えばポリイミド、PEEK、パリレンH、またはPTFE共重合体)を含み得、これにより、弁218のコア絶縁体216に沿った移動が促進される(図2A)。加えて、外面248は、高強度材料(例えばグラファイトフィラメント強化ポリイミドまたは熱硬化接着剤を用いたグラファイトテープ)も含み得る。
【0020】
図示の実施形態のさらなる特徴によれば、弁218は、拡大密閉端部219を含む。拡大密閉端部219は、弁218が閉位置にある際、弁座221(図2A)を密閉するかまたは他の場合に弁座221(図2A)上に配置されるように構成される。密閉端部219は、概してじょうご形状であるか、または、本体244よりも直径が大きな概して環状フレア形状である。より詳細には、密閉端部219の本体244の端部はの直径は、漸次的に大きくなっている。特定の実施形態において、密閉端部219は、対応する弁座221(図2A)による密閉を促進するためのエラストマーコーティングまたはエラストマー部を含み得る。図示の実施形態において、例えば、密閉端部219の外面248は、対応する弁座の形状に少なくとも部分的に適合するように、エラストマーリングまたはコーティング(例えば、フルオロシリコーンコーティング、パーフロロエラストマー、または他のフルオロエラストマー)を含み得る。他の実施形態(例えば、以下に詳細に説明するような内側方向に開口する弁)において、内面246は、対応する弁座による密閉を促進するためのエラストマーリングまたはコーティングを含み得る。さらに、さらなる実施形態において、密閉端部219と接触する弁座は、密閉を促進するためのエラストマーコーティングまたはエラストマー部を含み得る。
【0021】
図示の実施形態において、弁218は、1つ以上の停止部材または停止カラー230(個々に第1の停止カラー230aおよび第2の停止カラー230bとして示す)も含む。これら1つ以上の停止部材または停止カラー230は、第1の端部223の外面248に取り付けることができる。停止カラー230は、図2B中の弁218と別個の構成要素として図示しているが、他の実施形態において、停止カラー230は、弁218の外面248上に一体形成することができる。以下に詳細に説明するように、停止カラー230は、噴射器200内のアクチュエーターまたはドライバーと接触するかまたは係合するように構成され、これにより、弁218を開位置と閉位置との間において移動させることができる。
【0022】
再度図2Aを参照して、以下に詳述するように、弁218が開位置へと作動すると、弁218の密閉端部219が弁座221から遠隔方向に配置され、これにより、燃料が選択的に噴射ポート207内へと導入される。図示の実施形態に示すように、弁座221は、コア絶縁体216の端部に隣接して配置される。弁座221はまた、点火導体214の点火機能部235に隣接して配置される。しかし、他の実施形態において、点火機能部235は、弁座221に相対する他の位置(例えば、弁座221から離隔しておりかつ燃焼室212のインターフェース211の近隣にある位置)に配置することも可能である。
【0023】
弁218の第1の端部223は、弁操作アセンブリー225へと動作可能に連結される。弁操作アセンブリー225は、弁218を開位置と閉位置との間で選択的に移動させるように、構成される。より詳細には、弁操作アセンブリー225は、弁218へと動作可能に連結されたドライバー220と、ドライバー220の移動を誘発するように構成された(模式的に示す)力生成器226と、力生成器226へ動作可能に連結されたプロセッサーまたはコントローラー222とを含む。力生成器226は、ドライバー220の移動を誘発するための任意の種類の適切な力生成器であればよい(例えば、上記において参考のため援用された特許および特許出願のうちのいずれかに開示された電気力生成器、電磁力生成器、磁気力生成器および他の適切な力生成器)。さらに、コントローラー222は、噴射器200の全体に配置された1つ以上のセンサーにも連結され得る。
【0024】
ドライバー220は、弁218の第1の端部223を覆って同軸に配置され、停止キャビティ228を含む。停止キャビティ228は、第1の接触表面229を有する。第1の接触表面229は、弁218の第1の端部223上の1つ以上の停止カラー230と係合する。付勢部材またはばね232は、第1の接触表面229に対向するドライバー220の第2の接触表面231と係合する。ばね232は、基部206内のばねキャビティ233内に配置される。よって、ばね232は、ドライバー220をノズル部208から遠隔方向に(例えば、基部206に向かう方向に)付勢する。ばね232がドライバー220を基部206へ向かって付勢すると、第1の接触表面229は、弁218上の停止カラー230と係合し、弁218に張力付与するかまたは他の場合に弁218を基部206へ向かって付勢し、これにより、弁218の密閉端部219を通常閉の弁座221に向かって保持する。特定の実施形態において、弁操作アセンブリー225はまた、1つ以上のさらなる付勢部材236を含み得る(例えば、電磁石または永久磁石)。これらの付勢部材236は、ドライバー220を基部206に向かって選択的に付勢して、噴射イベント間において、通常閉位置にある弁218に張力付与する。
【0025】
基部206は、燃料継手すなわち入口238も含む。燃料継手すなわち入口238は、燃料を噴射器200内へと導入するように構成される。燃料は、基部燃料経路239によって示すように、燃料入口238から力生成器226を通じて移動することができる。前記燃料は、力生成器226から複数の出口通路240を通じて出て行く。複数の出口通路240は、燃料流路または通路224へと流体接続される。燃料流路または通路22は、コアアセンブリー213に隣接して長手方向に延びる。より詳細には、燃料流路224は、弁218と、中央部204およびノズル部208の絶縁本体242の内面との間に延びる。絶縁本体242は、特許出願(上記文献全体を参考のため援用する)中に開示されるような、噴射器200中に発生する高電圧を受けるのに適したセラミックまたはポリマー絶縁体によって構成され得る。弁218の密閉端部219が弁座221と接触すると、密閉端部219は、燃料流路224を密閉するかまたは他の場合に閉口させる。しかし、ドライバー220が弁218を開口させると、燃料が弁座221および密閉端部219を通過して、燃焼室212へと移動する。燃料が燃焼室212に向かって流動すると、点火導体214は、DCおよび/またはAC電圧を209からイオン化開始機能部234へと搬送し、前記燃料をイオン化し、前記燃料を前記燃焼室へと高速伝搬させる。特定の実施形態において、例えば、力生成器226がドライバー220を作動させて弁218を動かすと、点火導体214の点火機能部234によって燃料が流動する。燃料流動により、点火機能部234は、点火イベントを発生させて、イオン化電圧を電圧供給導体209を介して電圧端子227へと付加することにより、前記燃料を部分的にまたは実質的にイオン化させる。より詳細には、点火機能部234へ付加された点火電圧に起因して、イオン化燃料のプラズマ放電爆発が発生し、このプラズマ放電爆発は、燃焼室212内へと高速加速および噴射される。点火機能部234においてこのような高電圧を発生させることでイオン化が発生し、その後前記イオン化はプラズマ中においてずっと多数のイオンとして高速伝搬し、外側移動して、インターフェース211を介して燃焼室212内において余剰空気中へと押し出し、これにより、より高断熱またはより低断熱の層状チャンバ燃焼の断熱を提供する。このようにして、噴射器200および本明細書中に記載の他の噴射器は、噴射器内の空気をイオン化した後、特許出願(上記文献全体を参考のため援用する)に開示されるようなイオン化空気、イオン化燃料および空気の組み合わせ、ならびに燃料およびイオン化燃料および空気の組み合わせを用いないイオン化空気の層内へと導入することができる。
【0026】
図3Aは、本開示の別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置300a(「噴射器300a」)の断面側面図である。図3Aに図示される噴射器300aに含まれるいくつかの特徴は、図1〜図2Bを参照して上述した噴射器の対応する特徴の構造および機能が一般的に類似する。例えば、図3Aに示すように、噴射器300aは、本体302を含む。本体302は、中央部304を有する。中央部304は、第1の端部または基部306と、第2の端部またはノズル部308との間を延びる。ノズル部308は、シリンダーヘッド310内の噴射ポート307内へと少なくとも部分的に延びる。特定の実施形態において、ノズル部308は、直径Dがおよそ8.4ミリメートル(0.33インチ)以下である噴射ポート307(例えば、現在のディーゼル噴射ポート)内に収まるように、構成される。しかし、他の実施形態において、ノズル部308は、より大きな直径D内に収まることも可能である。噴射器300aはまた、基部306によって支えられる弁操作アセンブリー325を含む。弁操作アセンブリー325は、コアアセンブリー313へと動作可能に連結される。コアアセンブリー313は、燃料を燃焼室312内へと噴射および点火する。
【0027】
コアアセンブリー313は、固定コア絶縁体316を含む。固定コア絶縁体316は、固定点火部材または導体314を覆って同軸に配置される。点火導体314は、1つ以上のセンサーまたは光ファイバーケーブル317を含み得る。これらのセンサーまたは光ファイバーケーブル317は、点火導体314内を長手方向に延びて、燃焼室312からの情報を弁操作アセンブリー325または別のコントローラーへと伝送する。コアアセンブリー313はまた、管弁318を含む。管弁318は、コア絶縁体316を覆って同軸に配置される。弁318は、基部306において第1の端部323を含む。第1の端部323は、弁操作アセンブリー325と係合する。弁318はまた、第2のまたは密閉端部319を含む。この端部319は、本体絶縁体342によって支えられる弁座321と係合するかまたは接触する。弁操作アセンブリー325は、弁318をコア絶縁体316に沿って(図3Aに示すような)開位置と閉位置との間で作動または移動させる。開位置において、弁318の密閉端部319は、弁座321から間隔を空けて配置され、これにより、燃料を燃料流路または通路324から弁座321を通じてノズル部308内へと流動させる。燃料流路324は、弁318と本体絶縁体342との間の環状空間中の本体302を通じて延びる。
【0028】
図3Aに示す実施形態において、弁318の密閉端部319は、噴射ポート307よりも小さい。より詳細には、密閉端部319の最大外径は、噴射ポート307の直径Dよりも小さい。図示の実施形態に示すように、密閉端部319は、比較的大きな距離または長さLだけ燃焼室インターフェース311から離隔して配置される。より詳細には、図示の実施形態において、長さLは、エンジンヘッド310の厚さにほぼ等しい。エンジンヘッド310の厚さは、いくつかの場合において12インチ以上である。しかし、他の実施形態において、例えば図3Bを参照して以下に詳細に説明するように、例えば弁318の密閉端部319は、インターフェース311に相対する他の位置に配置することも可能である。よって、図3Aに示す噴射器300aは、燃焼室インターフェース311と弁318の密閉端部319との間の比較的大きな長さLを考慮に入れて構成される。現在のディーゼルエンジンまたは他の大型エンジンにおいて、例えば密集した吸気および排気弁トレイン機構において必要となり得る分離長さLは12〜36インチ以上である。
【0029】
図示の実施形態のさらなる特徴によれば、噴射器300aはまた、1つ以上の点火機能部334を含む。1つ以上の点火機能部334は、点火導体314の一部に沿って延びる。点火機能部334は、ヘッド310によってイオン化、推進スラストおよび/または点火イベントを発生させるように、構成される。より詳細には、図3Aに示すように、点火機能部334を構成することが可能な導電性材料は、ブラシ状ウィスカー状またはロッド状導体を含むコイル状またはコルクスクリュー状構成内において点火導体314の周囲にらせん状に巻かれる。よって、点火機能部334は、点火導体314から離隔方向において噴射ポート307の内面へ向かって延びる。点火エネルギーが点火導体314を介して点火機能部334へと付加されると、点火機能部334は、点火イベント(例えば、プラズマスパーク)を発生させて、イオン化燃料、空気および/または空気および燃料の混合物を点火する。点火イベントがプラズマイベントである実施形態において、プラズマ爆発による点火によって燃料がイオン化され、前記イオン化燃料は燃焼室312内へと加速される。
【0030】
図3Bは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置300b(「噴射器300b」)の断面側面図である。図示の噴射器300bは、図3Aに示される噴射器300aの同じ特徴のうちいくつかを含む。例えば、図3Bに示す噴射器300bは、弁操作アセンブリー325に動作可能に連結されたコアアセンブリー313を含む。コアアセンブリー313は、点火導体314と、コア絶縁体316と、弁318とを含み、基部306から少なくとも部分的にノズル部308内へと延びる。しかし図示の実施形態において、弁318の密閉端部319は、燃焼室312のインターフェース311に隣接してまたは燃焼室312のインターフェース311から若干奥の方に配置される。より詳細には、弁318の弁座321および密閉端部319は、燃焼室インターフェース311に隣接するかまたは燃焼室インターフェース311の近隣の位置において、噴射ポート307内に配置される。よって、点火導体314は、弁318の密閉端部319から下流においてかつ燃焼室インターフェース311の近隣において1つ以上の点火機能部を含み、これらの点火機能部により、燃焼室インターフェース311において点火イベントが発生する。
【0031】
図4は、本開示の別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置400(「噴射器400」)の断面側面図である。図4に示す噴射器400は、図1〜図3Bを参照して上述した噴射器の対応する特徴に概して構造および機能において類似するいくつかの特徴を含む。例えば、図4に示すように、噴射器400は、本体402を含む。本体402は、中央部404を有する。中央部404は、第1の端部または基部406と、第2の端部またはノズル部408との間を延びる。ノズル部408は、シリンダーヘッド内のスレッド型の14ミリメートルスパークプラグポート内へと延びるように構成されるか、または、例えば多くの現在のディーゼル噴射ポートにおいて見受けられるような直径がおよそ8.4ミリメートル(0.33インチ)以下であるポート内に適合するノズル(例えば、図1、図3A、図3Bまたは図6に示すようなもの)を持ち得る。しかし、他の実施形態において、ノズル部408は、異なるサイズの噴射ポートに合わせて構成することも可能である。ノズル部408は、燃焼室に対する確実な係合に適した別のスレッド選択外面409をさらに含み得る。
【0032】
噴射器400はまた、基部406によって支えられる弁操作アセンブリー425を含む。弁操作アセンブリー425は、燃焼室中の燃料を噴射および点火するためのコアアセンブリー413へと動作可能に連結される。コアアセンブリー413は、固定コア絶縁体416を含む。固定コア絶縁体416は、固定点火部材または導体414を覆って同軸に配置される。点火導体414は、1つ以上のセンサーまたは光ファイバーケーブル417を含み得る。これら1つ以上のセンサーまたは光ファイバーケーブル417は、点火導体414内を長手方向に延びて、燃焼室からの情報を弁操作アセンブリー425へと伝送する。弁操作アセンブリー425は、コントローラーまたはプロセッサー422あるいは通信ノードを介して適切なコンピュータ、コントローラーまたはプロセッサーへと接続された無線またはケーブルを含み得る。図示の実施形態において、点火導体414は、拡大または拡張端部433を含む。拡大または拡張端部433をは、燃焼室とのインターフェースに近接するように構成される。拡張端部433により、燃焼室とのインターフェースにおける光ファイバーケーブル417の領域が拡大する。拡張端部433はまた、1つ以上の点火機能部434を支える。1つ以上の点火機能部434は、ノズル部408の内面437と共に点火イベントを発生させるように、構成される。より詳細には、図示の実施形態において、点火機能部434は、複数のスレッドまたは針状突起を含み得る。これらの複数のスレッドまたは針状突起は、点火導体414の拡張端部433の周囲において円周方向に延びる。拡張端部433はまた、以下にさらに詳細に説明するような弁座421を含む。
【0033】
コアアセンブリー413は、本体402の絶縁本体442を通じて延びる。絶縁本体442は、噴射器400内において発生する高電圧を受けるのに適したセラミックまたはポリマー絶縁体から構成することができる。コアアセンブリー413はまた、コア絶縁体416を覆って同軸に配置された管弁418を含む。しかし、図4に示す実施形態において、弁418は、内側方向に開口する弁(例えば、燃焼室から離隔方向において開口する弁)であり、コア絶縁体414に対して移動可能であり、これにより、ノズル部408からの燃料を燃焼室内へと選択的に導入する。より詳細には、弁418は、噴射器400の長手方向軸に対して概して平行な方向において、コア絶縁体416に対してスライドまたは移動するように構成される。弁418は、上述した弁と同様の構造でよく、例えば、炭素/炭素層によって強化された軽量かつ強靱なグラファイト構造コアを含み得る。弁418は、基部406内において第1の端部423を含む。第1の端部423は、弁操作アセンブリー425と係合する。弁418はまた、第2のまたは密閉端部419を含む。第2のまたは密閉端部419は、点火導体414によって支えられるノズル部408内の弁座421と係合または接触する。密閉端部419および/または弁座421は、上記にて詳述した1つ以上のエラストマー部を含み得る。弁操作アセンブリー425は、弁418を(図4に示すような)開位置と閉位置との間でコア絶縁体416に対して作動させる。開位置において、弁418の密閉端部419は、弁座421から離隔して配置され、これにより、燃料流路または通路424からの燃料を弁座421を通じてノズル部408から流出させる。燃料流路424は、弁418おとコア絶縁体416との間の中央部404を通じて延びる。
【0034】
弁操作アセンブリー425は、ドライバー420を移動させるための力生成器426を含む(例えば、電気力生成器、電磁石力生成器、磁気力生成器)。力生成器426はまた、プロセッサーまたはコントローラー422に動作可能に連結され得る。プロセッサーまたはコントローラー422は、点火導体414を通じて延びる1つ以上の光ファイバーケーブル417へと連結され得る。このようにして、コントローラー422は、例えば1つ以上の燃焼室状態またはエンジンパラメータに応じて力生成器426を選択的にエネルギー付与または活性化することができる。ドライバー420は、1つ以上の停止部430と係合する。1つ以上の停止部430は、弁418の第1の端部423と一体形成されるかまたは弁418の第1の端部423へと取り付けられ、これにより、弁418を開位置と閉位置との間で移動させる。弁操作アセンブリー425はまた、第1の付勢部材432を含み得る。第1の付勢部材432は、弁418と接触し、ノズル部408に向かう方向において、少なくとも部分的に弁418を閉位置へと付勢する。弁操作アセンブリー425は、第2の付勢部材435をさらに含み得る。第2の付勢部材435は、ドライバー420を少なくとも部分的にノズル部408に向かって付勢する。特定の実施形態において、第1の付勢部材432は、ばね(例えば、コイルばね)であり得、第2の付勢部材435は、磁石または永久磁石であり得る。しかし、他の実施形態において、、第1の付勢部材432および第2の付勢部材435は、弁418およびドライバー420に向かって付勢力を付与するのに適した他の構成要素を含み得る。
【0035】
図4に示す実施形態のさらなる特徴によれば、ノズル部408は、燃焼室からの情報を検出し、噴射器400を介して1つ以上のコントローラーへと収集および送信するためのさらなる機能を含み得る。例えば、ノズル部408は、弁418の密閉端部419内の1つ以上の開口部491を含み得る。これらの開口部491により、燃焼室からの関連情報を少なくとも部分的に噴射器400を通じて送信することが可能となる。ノズル部408は、弁座421により支えられる圧力シール493と、光ファイバーケーブル417によって支えられる1つ以上の温度センサー495とをさらに含み得る。これらの検出機能は、関連燃焼室情報(例えば、温度情報、光情報、圧力情報、熱情報、音情報、および/または燃焼室からの他の任意の情報)の検出、感知または送信に合わせて構成することができる。
【0036】
動作時において、燃料は、燃料継手すなわち入口438を介して基部406内へと入る。燃料入口438は、前記燃料を力生成器426内へと導入し、前記燃料は、複数の出口通路440を通じて力生成器426から出て行く。これら複数の出口通路440は、燃料流路424へと流体接続される。燃料流路424は、コアアセンブリー413に隣接して長手方向に延びる。弁操作アセンブリー425が弁418を閉位置から開位置へと(例えば、燃焼室から離隔方向において)移動させると、ノズル部408は、前記燃料を噴射および点火する。より詳細には、力生成器426がドライバー420を移動させると、ドライバー420は、第1の距離D1だけ移動した後、弁418によって支えられる停止部430と接触する。このようにして、ドライバー420は、推進または運動エネルギーを得た後、弁418と係合する。ドライバー420が停止部430と接触した後、ドライバー420は、弁418と係合した状態で、継続して第2の距離D2へと移動し、これにより弁418上へと張力を付与し、弁418を開位置へと移動させる。このようにして、前記弁が(図4に示すような)開位置に来ると、弁418の密閉端部419は、弁座421から一定の開口距離だけ間隔を空けて配置される。この開口距離は一般的には、第2の距離D2から第1の距離D1を減算した値に等しい。燃料が弁418の開口状態の密閉端部419を通過すると、1つ以上の点火機能部434は、燃料イオン化、空気イオン化および/または混合燃料空気イベントのイオン化を発生させ得、これにより、燃料爆発を燃焼室中の層状給気として行う。よって、本明細書中に記載の噴射器のうちいずれかのドライバーまたはアクチュエーターは、所定の距離を移動して、少なくとも部分的に推進力を得た後、対応する弁と係合する。
【0037】
図5Aは、本開示の別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置500(噴射器500)の断面側面図である。図5に示す噴射器500は、図1〜図4を参照して上述した噴射器の対応する特徴に概して構造および機能において類似するいくつかの特徴を含む。例えば、図5に示すように、噴射器500は、本体502を含む。本体502は、中央部504を有する。中央部504は、第1の端部または基部506と、第2の端部またはノズル部508との間を延びる。ノズル部508は、図示のようにシリンダーヘッド内のスレッド型噴射ポート内に延びるように構成してもよいし、あるいは、図1、図3Aまたは図3Bまたは図6に示すように例えば多くの現在のディーゼル噴射ポートにおいて見受けられるような直径がおよそ8.4ミリメートル(0.33インチ)以下であるポート内に収まるように構成してもよい。しかし、他の実施形態において、ノズル部508は、異なるサイズの噴射ポートに合わせて構成することも可能である。ノズル部508は、燃焼室との係合に適した外面509上の任意の数の別のスレッド選択をさらに含み得る。
【0038】
噴射器500はまた、基部506において弁操作アセンブリー525を含む。弁操作アセンブリー525は、噴射器500の本体502の全体に配置された複数の弁を作動させるように構成される。より詳細には、弁操作アセンブリー525は、力生成器526を含む(例えば圧電力生成器、電磁石力生成器、磁石力生成器)。力生成器526は、ドライバー520の移動を誘発する。力生成器526はまた、プロセッサーまたはコントローラーへ動作可能に連結され得、これにより、例えば1つ以上の燃焼室状態またはエンジンパラメータに応じて力生成器526へのパルス付加または力生成器526の活性化を選択的に行うことができる。ドライバー520は、基部506において第1の逆止め弁またはベース弁554と係合する。より詳細には、ベース弁554は、1つ以上の停止部530を含み得る。1つ以上の停止部530は、ドライバー520と係合することで、ドライバー520がベース弁554を開位置と閉位置との間で移動させる(図示のベース弁554は、図5Aにおいて閉位置にある)。1つ以上の停止部530は、ベース弁554の第1の端部555に取り付けることもできるし、あるいは、ベース弁554の第1の端部555と一体形成することもできる。ベース弁554はまた、ベース弁ヘッドまたは密閉部556を含む。ベース弁ヘッドまたは密閉部556は、図示のような管路部品542の第1の端部558に対向する。よって、ベース弁ヘッド556は、基部506から噴射器500の中央部504への移動時において、対応する弁座558と係合する。
【0039】
図示の実施形態のさらなる特徴によれば、噴射器500はまた、絶縁本体542を含む。絶縁本体542は、少なくとも中央部504およびノズル部502を通じて延びる。絶縁本体542は、噴射器500内に発生する高電圧を封じ込めるのに適したセラミックまたはポリマー絶縁体から構成され得る。噴射器500は、絶縁本体542を通じて延びる燃料流路をさらに含む。より詳細には、噴射器500において、第1の燃料流動部562が設けられる。第1の燃料流動部562は、逆止め弁554から離隔方向において中央部504内へと延びる。第1の燃料流動部562は、第2の燃料流動部564へと流体接続され、中央部504からノズル部508内へと延びる。
【0040】
特定の実施形態において、第1の燃料流動部562および第2の燃料流動部564を構成する材料は、燃料膨張および収縮に対応して、燃焼室インターフェースにおけるノズル部508からの燃料滴下を少なくとも部分的に回避できる材料である。より詳細には、第1の燃料流路562および第2の燃料流路564はそれぞれ、1つ以上の通路を含み得る。前記1つ以上の通路は、クローズドセルばね(例えば独立気泡ばね)を通じて延びる。前記クローズドセルばねは、その内部を燃料が流動できるような適切な断面を有する。特定の実施形態において、第1の燃料流動部562および第2の燃料流動部564は、適切な耐熱性および耐化学性または耐疲労性を有する材料によって構成することができる。より詳細には、そのような材料を挙げると、シリコーン、フルオロシリコーン、および多様なフルオロポリマー(例えばPFA、PTFE、PVDF、および他の共重合体)がある。これらの構成要素は、多数のオープンセルまたはクローズドセルと共に押し出しまたは射出成形してもよいし、あるいは、ガスまたは作動流体を充填および密封してもよい。例えば、このようなガスを挙げると、アルゴン、二酸化炭素、窒素などがあり、このような作動流体を挙げると、アンモニア、プロパン、ブタン、フッ素化メタン、エタンまたはブタンがある。さらに、上記ガスまたは作動流体により、多様な液体および蒸気が得られ、前記液体および蒸気は、熱付加時において蒸発物として機能することができ、熱損失時において相濃縮器として機能することができ、これにより、これにより、燃焼室インターフェースにおける望ましくない膨張および燃料滴下に対抗するばねおよび熱フライホイールまたはバリアの組み合わせとして機能することができる。
【0041】
図5Bおよび図5Dは、第1の燃料流路562の適切な断面形状の多様な実施形態を示し、図5Cおよび図5Eは、第2の燃料流路564の適切な断面形状の多様な実施形態を示す。より詳細には、図5Bは、図5Aの線5B−5Bに沿って実質的にとられた第1の流路562の断面図である。図5Bに示す実施形態において、第1の燃料流路562は、第1の流路案内部565を含む。第1の流路案内部565は、複数の第1の流路または通路567を含む。第1の案内部565はクローズドセルばね材料から構成することができ、通路567は、第1の案内部565を通じて長手方向に延びる。図5Cは、図5Aの線5C−5Cに沿って実質的にとられた第2の流路564の断面図である。図5Cに示す実施形態において、第2の流路564は、第2の流路案内部569を含む。第2の流路案内部569は、複数の別個の領域または部位563を、対応する第2の流路または通路571と共に含む。6個の領域563が図示の実施形態において図示されているが、他の実施形態において、第2の案内部569は、より多数またはより少数の第2の通路571を含み得る。前記第2の流路は、第2の案内部569を通じて長手方向に延びる。図5Dは、実質的に図5Aの線5B−5Bに沿ってとられた第1の流路562の別の実施形態の断面図である。図5Bに示す実施形態において、第1の燃料流路562は、第1の流路案内部565を含む。第1の流路案内部565は、十字型の第1の流路または通路567を含む。第1の案内部565はクローズドセルばね材料から構成することができ、通路567は、第1の案内部565を通じて長手方向に延びる。図5Eは、図5Aの線5C−5Cに沿って実質的にとられた第2の流路564の断面図である。図5Eに示す実施形態において、第2の流路564は、第2の流路案内部569を含む。第2の流路案内部569は、複数の第2の星形形状の流路または通路571を含む。第2の流路571は、第2の案内部569を通じて長手方向に延びる。
【0042】
再度図5Aを参照して、ノズル部508において、噴射器500は、径方向に拡張するスリーブまたは流量制御弁566をさらに含む。スリーブまたは流量制御弁566は、コアまたは点火アセンブリー575へと動作可能に連結される。点火アセンブリー575は、固定点火導体576を含む。固定点火導体576は、第2の流動部564の少なくとも一部を覆って同軸に配置される。特定の実施形態において、点火導体576は、導電性ケーシングまたはカバーであり得る(例えば、第2の流動部564の上に配置された金属ケーシングまたは金属めっきセラミック)。点火導体576は、電圧端子574を介して電圧供給導体509へと連結される。電圧供給導体509は、適切な電源へと連結される。一実施形態において、点火端子574は、少なくともおよそ80KV(DCまたはAC)を点火導体576へと供給することができる。しかし、他の実施形態において、点火端子574は、これよりも高いかまたは低い電圧を点火導体576へと供給することができる。点火アセンブリー575はまた、点火アダプター578を含む。点火アダプター578は、点火導体576へと連結される。点火アダプター578は、1つ以上の燃料通路578Hを提供し、ノズル点火導体またはロッド580へと連結される。点火ロッド580は、点火アダプター578内へと螺合様態で収容され、点火アダプター578からノズル部508の遠位端部へと延びて、燃焼室とのインターフェースへ配置される。図示の実施形態において、点火ロッド580は、点火部材または電極584を含む。点火部材または電極584は、ノズル部508において配置される。点火電極584は、点火ロッド580へと取り付けられた別個の構成要素であり得る。しかし、他の実施形態において、点火電極584は、点火ロッド580と一体形成することもできる。さらに、点火機能部586は、平滑部および/または針状スレッドあるいは円周方向において点火電極584から離隔方向において延びる他の種類の突起を含み得る。点火電極584および対応する点火機能部586は、固定された状態であり、第1の電極として機能する。ノズル部508の内径は、対応する第2の電極として機能し、点火機能部586と共に点火イベントを発生させる(例えば、プラズマ点火イベント)。
【0043】
点火アセンブリー575はまた、点火絶縁体582を含む。点火絶縁体582は、点火電極584の少なくとも一部を覆って同軸に配置される。点火絶縁体582は、適切な絶縁または誘電材料によって構成され得、よって、点火ロッド580を点火電極509から絶縁する。点火絶縁体582は、拡大端部583を含む。拡大端部583は、より大きな断面寸法(例えば、直径)を有し、点火電極584に隣接する。拡大端部583は、通常閉位置において、図示のように流量制御弁566と接触するように構成される。図示の実施形態のさらなる特徴によれば、ノズル部508はまた、1つ以上の付勢部材581を含み得る。1つ以上の付勢部材581は、流量制御弁566の部分を付勢するかまたは引き寄せるように構成される。
【0044】
図示の実施形態において、流量制御弁566は、径方向に開口するかまたは拡張する流量制御弁である。より詳細には、流量制御弁566は、変形可能であるかまたはエラストマー製のスリーブ弁566であり、図示のように第2の燃料流動部564、点火導体576、点火アダプター578、点火ロッド580および点火絶縁体582のうち少なくとも一部を覆って同軸に配置される。流量制御弁566は、第1の端部568または固定端部568を含む。端部568は、点火絶縁体582から下流の位置において、点火導体576へアンカー固定、接着または連結される。例えば、第1の端部568は、適切な接着剤、熱ポリマー、熱硬化性材料または他の適切な接着剤によって点火導体576へ接着することができる。流量制御弁566は、固定端部568に対向する第2の変形可能なまたは移動可能な端部570をさらに含む。移動可能な端部570は、点火絶縁体582の拡大端部583と接触し、少なくとも部分的に径方向に拡張、拡大または変形するように構成され、これにより、燃料を噴射器500のノズル部508から出て行かせることが可能となる。流量制御弁566の実施形態のさらなる詳細について、図5Fおよび図5Gを参照して以下において説明する。
【0045】
図5Fは、本開示の実施形態に従って構成された第1の流量制御弁566aの一実施形態の側面図である。第1の流量制御弁566aは、図5Aの噴射器500のノズル部508内において用いることができる。図5Fに示す実施形態において、第1の流量制御弁566aは一般的には、円筒状または管状のスリーブ形状を有し、第1のまたは固定端部568を含む。第1のまたは固定端部568は、第2の変形可能なまたは移動可能な端部570に対向する。第1の流量制御弁566aは、取付カラーまたは停止部569を含み得る。取付カラーまたは停止部569は、固定端部568の少なくとも一部の周囲に延びる。取付停止部569は、少なくとも部分的に絶縁本体542(図5A)と係合することにより、点火導体576上の所望の位置における固定端部568の保持を支援するように構成される。図示の実施形態のさらなる特徴によれば、変形可能なまたは移動可能な端部570は、複数の間隔を空けて配置された変形可能な指部またはリード571を含み得る。これらのリード571は、ノズル部508内において少なくとも部分的に点火絶縁体582の拡大端部583と重複しかつ接触するように、配置される。さらに、これらのリード571は、図示ののように破線で示すリード571によって径方向に外側方向に変形または拡張するように構成される。このようにして、加圧燃料および/または1つ以上のアクチュエーターは、リード571のうち1つ以上を偏向または変形させることができ、これにより、通常被覆されかつ閉口状態のポートを通じて燃料を出て行かせることができ、これにより、噴射器500のノズル部508からの燃料噴射が可能となる。一実施形態において、第1の流量制御弁566aは、金属材料(例えば、ばねスチール)によって構成することができる。しかし、他の実施形態において、第1の流量制御弁は、適切なエラストマーから構成することができる。
【0046】
図5Gは、本開示の実施形態に従って構成された第2の流量制御弁566bの側面図である。第2の流量制御弁566bは、噴射器500のノズル部508(図5A)内において用いることができる。第2の流量制御弁566bは一般的には、図5Bに示す第1の流量制御弁566aと同様の構造および機能を有する。しかし、第2の流量制御弁566bは、別個の変形可能な部またはリードを含まない。すなわち、第2の流量制御弁566bは、第2の変形可能なまたは移動可能な端部570を含む。第2の変形可能なまたは移動可能な端部570は、概して円筒状または管状のスリーブ形状を有する。前記変形可能な端部は、複数の間隔を空けて配置された変形可能な部位573を含む。これらの部位573は、第2の流量制御弁566b上に配置される。より詳細には、一実施形態において第2の流量制御弁566bは、適切なエラストマーまたは他の変形可能な材料から構成することができ、変形可能な部位573は、堆積強磁性材料(例えば、金属コーティング)の別個の部位またはセグメントを含み得る。例えば、変形可能な部位573は、金属コーティングを含み得る。前記金属コーティングは、材料(例えば、ガラス鉄、鉄コバルト合金(例えば、およそ48%コバルトおよび52%鉄)、クロム鉄シリコン)または他の適切な鉄合金)を含む。このようにして、変形可能な部位573は、第2の流量制御弁566に加えた磁力に応じて第2の流量制御弁566の第2の端部570を選択的に変形させることができる。
【0047】
再度図5Aを参照して、図示の実施形態のさらなる特徴によれば、噴射器500はまた、ノズル部508内の燃料出口通路572を含む。燃料出口通路572は、流量制御弁566と点火絶縁体582との間に配置される。燃料出口通路572は、点火アダプター578を介して第2の燃料流動部564へと流体接続される。動作時において、燃料は、燃料出口通路572内へと導入され、流量制御弁566の作動によってノズル部508から選択的に分散される。より詳細には、動作時において、燃料は、噴射装置500から第1の燃料継手すなわちまたは入口538aを介して基部506内へと入る。第1の燃料入口538aは、前記燃料を力生成器526内へと導入し、その後前記燃料は複数の出口通路540を通じて力生成器526から出て行く。出口通路540は、燃料流路または通路524へと流体接続される。しかし、他の実施形態において、基部506は、燃料を力生成器526を介してではなく燃料流路524内へと直接送るための任意選択の第2の燃料入口538b(破線で示す線)を含み得る。ドライバー520は、複数の燃料流路または通路を含む。これらの複数の燃料流路または通路は、ドライバー520を通じて延びて、燃料が中間燃料流量560まで流動することを可能にする。ベース弁ヘッド556が弁座558に対して配置されると、前記ベース弁ヘッドは、中間燃料流量560を密閉する。
【0048】
ベース弁ヘッド556を弁座558から上昇させることにより、弁操作アセンブリー525が逆止め弁すなわちベース弁554を開位置へと移動させると、加圧燃料が第1の燃料流動部564内へと流入する。特定の実施形態において、例えば、力生成器526は、ドライバー520を作動させて第1の距離を移動させた後、ベース弁554上の停止部530と接触させることができる。推進を得て停止部530と接触した後、ドライバー520は、ベース弁554と共に第2の距離を移動してベース弁ヘッド556を開口させることができる。その後、前記加圧燃料は、第1の燃料流動部564から第2の燃料流動部566および点火アダプター578を通じて燃料出口通路572内へと流入し得る。一実施形態において、燃料出口通路572中の燃料の圧力は、流量制御弁566の移動可能な端部570を少なくとも部分的に径方向に拡張/または変形させるのに十分であり、これにより、前記燃料は、点火絶縁体580の拡大端部583を通過する。よって、ノズル部508中の流量制御弁566の位置により、ノズル部508からの燃料の滴下または望ましくない液漏れが回避される。他の実施形態において、1つ以上のアクチュエーター、ドライバー、選択的付勢部材または他の適切な力生成器は、流量制御弁566の移動可能な端部570を少なくとも部分的に径方向に拡張および/または変形させることができる。流量制御弁566が燃料出口通路572からの燃料を選択的に分配すると、前記燃料は、1つ以上の点火機能部586を通過し得る。1つ以上の点火機能部586は、燃料を燃焼室内へと点火および噴射するための点火イベントを発生させることができる。
【0049】
図6は、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された統合型の噴射器/点火装置600(「噴射器600」)の断面側面図である。以下に詳細に説明するように、噴射器600は、大型エンジン用途(例えば、複数の燃料選択および/またはマルチバースト用途と共に動作するガスタービンおよび多様な高速ロータリー燃焼エンジン)に特に適している。噴射器600は、上述したような比較的小型の噴射ポートなどの用途にも特に適している。図6に示す噴射器600は、図1〜図5Gを参照して上述した噴射器の対応する特徴に概して構造および機能において類似するいくつかの特徴を含む。例えば、図6に示すように、噴射器600は、本体602を含む。本体602は、中央部604を有する。中央部604は、第1のまたは基部606と、第2のまたはノズル部608との間を延びる。ノズル部608は、シリンダーヘッド内の噴射ポート(例えば多くの現在のディーゼル噴射ポートにおいて見受けられるような直径がおよそ8.4ミリメートル(0.33インチ)以下であるポート)内へと延びるように構成される。しかし、他の実施形態において、ノズル部608は、異なるサイズの噴射ポートに合わせて構成することもできる。
【0050】
噴射器600は、1つ以上のベースアセンブリー629(第1のベースアセンブリー629aおよび第2のベースアセンブリー629bとして個別に示す)をさらに含む。第1のベースアセンブリー629aおよび第2のベースアセンブリー629bは、噴射器600の基部606内へと燃料を収容し、前記燃料をノズル部608へと計量するように構成される。より詳細には、各ベースアセンブリー629は、弁操作アセンブリー625を含む。弁操作アセンブリー625は、対応するポペットすなわちベース弁654を作動するように構成される。より詳細には、弁操作アセンブリー625は、ドライバー620の移動を誘発する力生成器626を含む(例えば電気力生成器、電磁石力生成器、磁石力生成器)。力生成器626はまた、対応するコントローラーまたはプロセッサー622(第1のコントローラー622aおよび第2のコントローラー622bとして個別に示す)へと動作可能に連結可能であり、これにより、例えば1つ以上の燃焼室状態またはエンジンパラメータに応じて力生成器626へのパルス付加または力生成器626の活性化を選択的に行うことができる。ドライバー620は、基部606において第1の逆止め弁すなわちベース弁654と係合する。より詳細には、ベース弁654は、1つ以上の停止部630を含む。これらの停止部630は、付勢部材617(例えばコイルばね)と係合する。付勢部材617は、付勢部材キャビティ619内に配置されて、ベース弁を図6に示すような閉位置へ向かって(例えばノズル部608に向かう方向に)付勢する。ベース弁停止630はまた、ドライバー620と係合し、これにより、ドライバー620は、ベース弁654を開位置と閉位置との間で移動させる。ベース弁654はまた、ベース弁ヘッドまたは密閉部656を含む。ベース弁ヘッドまたは密閉部656は、図示のように通常閉位置にある対応する弁座658と係合する。
【0051】
図示の実施形態のさらなる特徴によれば、噴射器600はまた、燃料入口継手638を含む(個別に第1の燃料入口継手638aおよび第2の燃料入口継手638bとして示す)。この燃料入口継手は、対応するベースアセンブリー629へと動作可能に連結され、これにより、燃料をベースアセンブリー629内へと導入する。ベース弁が開位置にある場合、各ベースアセンブリー629において、燃料は、力生成器626およびドライバー620内を通過して、ベース弁ヘッド656を通過する。噴射器600は、燃料接続管路657をさらに含む(個別に第1の燃料接続管路657aおよび第2の燃料接続管路657bとして示す)。第1の燃料接続管路657aおよび第2の燃料接続管路657bは、基部606からの燃料を燃料流路または通路624へと送るためのものである。燃料流路または通路624は、本体602の中央部606およびノズル部608を通じて延びる。燃料流路624は、コアアセンブリー613に隣接して長手方向に延びる。コアアセンブリー613は、基部606から本体602を通じて少なくとも部分的にノズル部608内へと延びる。コアアセンブリー613は、コア絶縁体616を含む。コア絶縁体616は、点火部材または導体614を覆って同軸に配置される。コアアセンブリー613はまた、円筒または管状筐体部材688を含む。円筒または管状筐体部材688は、点火絶縁体616と共に少なくとも部分的に燃料流路624を規定する。コアアセンブリー613は、本体402の絶縁本体642を通じて延びる。点火導体614は、点火端子627へ動作可能に連結され、これにより、1つ以上の点火機能部686を有する点火電極684へと点火電圧を供給する。点火電極684は第1の電極であり、第2の電極685と共に点火イベントを発生させることができる。第2の電極685は、ノズル部608の遠位端部の導電性部であり得る。点火絶縁体616は、拡大端部683を含む。拡大端部683は、より大きな断面寸法(例えばより大きな断面直径)を有し、点火電極684に隣接する。
【0052】
点火絶縁体616の拡大端部683は、ノズル部608によって支えられるフロー制御弁666と接触するように構成される。流量制御弁666は、径方向に拡張する弁であり、第1のまたは固定された端部668を含む。この端部668は、点火絶縁体616の拡大端部683から下流の位置において、筐体部材688にアンカー固定されるか、接着されるかまたは連結される。例えば、第1の端部668は、適切な接着剤、熱ポリマー、熱硬化性材料または他の適切な接着剤により、筐体部材688の外面に接着することができる。流量制御弁666は、第2の変形可能なまたは移動可能な端部670を含む。端部670は、固定端部668に対向する。移動可能な端部670は、点火絶縁体682の拡大端部683と接触し、少なくとも部分的に径方向に拡張、拡大または変形するように構成され、これにより、燃料を噴射器600のノズル部608から出て行かせることが叶となる。より詳細には、筐体部材688は、複数の燃料出口ポート669を含む。複数の燃料出口ポート669は、流量制御弁666の移動可能な端部670に隣接する。
【0053】
動作時において、燃料は、燃料入口継手638を介してベースアセンブリー629内へと導入される。前記燃料は、力生成器626およびドライバー622を通過して、ベース弁ヘッド656へと到着する。弁操作アセンブリー625が弁654を開位置へと移動させて、ベース弁ヘッド656を弁座658から離隔方向に移動させた場合、前記燃料は、ベース弁ヘッド656を通過して、燃料接続管路657内へと流入する。燃料接続管路657から、加圧燃料は燃料流路624内へと流入する。一実施形態において、燃料流路624内の燃料の圧力は、流量制御弁666の移動可能な端部670を少なくとも部分的に径方向に拡張/または変形させるのに十分であり、これにより、前記燃料は、点火絶縁体680の拡大端部683を通過する。しかし、他の実施形態において、1つ以上のアクチュエーター、ドライバー、選択的付勢部材または他の適切な力生成器により、流量制御弁666の移動可能な端部670をを少なくとも部分的に径方向に拡張/または変形させることも叶である。流量制御弁666が燃料出口ポート669から燃料を選択的に分配すると、燃料は、1つ以上の点火機能部686を通過する。点火機能部686は、燃焼室内への燃料の点火および噴射を行うための点火イベントを発生させることができる。
【0054】
特定の実施形態において、各ベースアセンブリー629および他の燃料フローコントローラーは、以下を行うように構成することができる:1)前記弁アセンブリーのうちのいずれかを開口させることによる、燃料フローの制御、およびおよび2)弁開口機能の完了時におけるイオン化電圧の生成。これらの機能双方を達成するために、特定の実施形態において、例えば、各力生成器626は、第1のまたは主要巻線および第2の巻線を含むソレノイド巻線であり得る。第2の巻線は、第1の巻線よりも多数の巻き数を含み得る。各巻線はまた、1つ以上の絶縁層を含み得る(例えばニスまたは他の適切な絶縁体)。しかし第2の巻線は、第1の巻線よりも多数の絶縁層を含んでもよい。力生成器626はまた、導体614へと電気的に連結。より多くの巻き数を有する主要巻線および第2の巻線で変圧器としての力生成器626またはソレノイドを巻くことにより、前記主要巻線は、電圧印加時において高電流を搬送することが可能となり、これにより、プランジャー内におけるドライバー620の移動を生成または誘発させる。主要巻線へのリレーが開くと、前記ドライバー620が解放され、極めて高い電圧が第2の巻線によって生成される。第2の巻線の高電圧は、初期イオン化を提供することにより、プラズマ生成点火イベントへと印加され得る。その後、任意の適切なソース(例えば光起電発電機、熱電発電機、および圧電発電機によって燃焼室から収集されたエネルギー)によって充電されたコンデンサーからの比較的低電圧の放電により、燃焼室内へのイオン化電流の供給および燃料の押し込みが継続する。
【0055】
統合型の噴射器点火装置の実施形態および詳細には本明細書中に詳細に開示される流量制御弁により、従来の噴射器および点火装置と比べていくつかの利点が得られる。例えば、1つの利点として、これらの流量制御弁は径方向にコンパクトな形状および構成であり、噴射ポートにおける寸法が極めて制限されている現在のディーゼルエンジンまたは他の大型エンジンにおいて用いられる噴射器のノズル部へ特に適切に配置される。上記したように、例えば、現在のディーゼルエンジンの噴射ポートの場合、噴射ポートの直径は約8.4mm(0.33インチ)であることが多い。本明細書中開示されるように、これらの流量制御弁と、関連付けられた作動構成要素、絶縁構成要素および点火構成要素とは、限られた利用可能空間内において動作することができる。さらに、これらの弁を燃焼室インターフェースまたはその近隣に配置することで、望ましくない燃料滴下を少なくとも部分的に回避することができる。熱利得に起因して燃料が膨張する傾向となり、その結果噴射イベント間に圧力が発生した場合、図5B、図5C、図5Dおよび/または図5Eに示す実施形態と同様の実施形態を用いて、望ましくないタイミングにおける燃焼室内への燃料滴下を回避することができる。さらに、本明細書中に開示される流量制御弁の実施形態は、共振するのに特に適しており、これにより、極めて高い動作速度を達成する。さらに、本明細書中に開示される実施形態は、内側方向に開口する構成および外側方向に開口する構成双方において、弁操作(例えばドライバーまたはプランジャー)と対応する弁との固定接続も可能にする。加えて、これらの実施形態により、燃焼室からの熱進入量が比較的多い断熱エンジンにおける用途および他の用途における高温動作能力が可能となる。さらに、これらの実施形態により、点火電圧の固定送達が可能となり、これにより、極めて高い電圧およびよって電極ギャップ電流の送達が可能となり、その結果、液体燃料の噴射時において、前記液体燃料をイオン化蒸気およびプラズマの高速爆発へと極めて高速に変換することが可能となる。また、これらの実施形態により、ずっと高い出力率も達成することが可能となる(例えば予燃焼室および燃焼カンの必要/利用を不要とするために極めて高速の燃焼完了に対応できる、選択されたガスタービンおよび大型ピストンエンジン用途のための10000HPの噴射器)。さらに、これらの実施形態により、中央点火または電極アセンブリーも可能となり、これにより、構成要素が統合され、複合機能(例えばファイバー617(例えば光フィラメント、電流および電圧導通)による装備)が可能となり、これにより、通常閉状態の弁のための固定弁座として機能する。さらに、これらの実施形態により、図示のような点火電極を通じて、1000以上の即時振幅の電流パルスにおいて50kV〜150kVのイオン化電圧が可能な極めて高い誘電強度が可能となる。
【0056】
加えて、前記噴射装置の上記詳細において説明した実施形態のうちいくつかは、水素によって特徴付けられる燃料(例えばアンモニア)またはエネルギー密度の低い他の燃料(例えばエネルギー密度がディーゼルよりも3000倍低い一酸化炭素および水素)を燃焼させるように構成されたエンジンにおいて用いることができる。例えば、液体メタン、プロパン、アンモニア、メタノールおよび/または他の物品を搬送する海洋タンカーのエンジンは、本明細書中に開示される噴射器のいくつかの実施形態を備えれば、作動コストを節約することができる。一実施形態において、例えば、搬送される物品は、エンジンからの廃熱を用いて以下のように改質することができる。
2NH3→3H2+N2
CH3OH→CO+H2
【0057】
このような物品を吸熱反応によって改質することが可能な燃料によって動作するように推進エンジン(例えば、熱エンジン(例えば圧縮点火ディーゼル型エンジン、多様なロータリー燃焼エンジン、およびガスタービン))を変換することにより、これが達成される。吸熱反応において、このような熱エンジンによって拒否された熱を用いて、このような反応を促進する。他の実施形態において、前記噴射器は、発電所、化学向上および/または発熱エンジンを用いた他の適切な位置において用いられ得る。
【0058】
これらの種類の実施形態において、エンジンによって拒否された熱を用いた熱化学再生により、魅力的な燃料節約が可能となる。なぜならば、水素によって特徴付けられた燃料は、原料よりも15〜30%以上高いエネルギー生産収率が可能であるからである。さらに、本明細書中に開示される噴射器の実施形態により、水素によって特徴付けられた燃料をディーゼル燃料または重油燃料よりも12倍高速で燃焼させることが可能となるため、エンジン効率が大幅に向上し、エンジン排気中の粒子も無くなる。
【0059】
上記から、本明細書中、本開示の特定の実施形態について例示目的のために記載してきたが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく多様な改変が可能であることが理解される。例えば、本明細書中開示される絶縁体の誘電強度は、別の材料および処理手段を含むように変更および改変することが可能である。アクチュエーターおよびドライバーは、燃料および/または対応する噴射器の使用に応じて変更することができる。さらに、前記噴射器の構成要素はも変更することができる。例えば、電極、光学部品、アクチュエーター、弁、およびノズルまたは本体を別の材料で構成することができるし、あるいは、図示および記載の構成以外の別の構成にすることができ、このような構成も、本開示の意図内である。
【0060】
本記載および特許請求の範囲全体において、文脈から明らかに分かる場合を除いて、「含む」などの用語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味として(すなわち、非限定的に「含む」意味として)とらえられるべきである。単数形および複数形を用いた単語は、それぞれ複数形および単数形を含む。特許請求の範囲中において2つ以上のものについて「または」という言葉が用いられる場合、この言葉は、以下の解釈全てを網羅する:すなわち、羅列されたもののうち任意のもの、羅列されたもの全て、および羅列されたものの任意の組み合わせ。さらに、上述した多様な実施形態を組み合わせることで、さらなる実施形態が得られる。本明細書中に記載されかつ/または出願データシート中に羅列された米国特許、米国特許出願公開文献、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公開文献全体を参考のため本明細書中において援用する。必要であれば、噴射装置および点火装置を多様な特許、出願および公開文献の多様な構成および思想と共に用いるように本開示の局面を変更することで、本開示のさらなる実施形態が可能となる。
【0061】
これらの変更および他の変更は、上記において詳述した記載を鑑みて本開示において行うことが可能である。一般的に、以下の特許請求の範囲において、用いられる用語は、本明細書中および特許請求の範囲中に開示される特定の実施形態に本開示を限定するものとして解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に従って動作する全てのシステムおよび方法を含むものとして解釈されるべきである。よって、本発明は本開示によって制限されるのではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって広範に決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室とのインターフェースにおいて燃料を導入および点火する噴射器であって、
噴射器本体であって、
この噴射器本体内に燃料を収容するように構成された基部と、
この基部と対向し、前記燃焼室近隣に配置されて燃料を前記燃焼室中に噴射するように構成されるノズル部と、
前記本体の少なくとも一部を通じて延びる本体絶縁体と、
前記本体絶縁体によって支えられ、前記ノズル部またはその近隣に配置される弁座と
を含む噴射器本体と、
前記本体を通じて延びる燃料流路と、
前記本体を通じて前記燃料流路の少なくとも一部と同軸に延びるコアアセンブリーであって、
前記基部から前記ノズル部へと延びる点火ロッドと、
この点火ロッドを覆って同軸に配置され、前記基部から少なくとも部分的に前記ノズル部内へと延びる点火絶縁体と、
前記点火絶縁体を覆って同軸に配置された弁であって、前記弁座に隣接する密閉ヘッドを含み、前記点火絶縁体に沿って開位置と閉位置との間に移動し、前記開位置において前記密閉ヘッドは前記弁座から間隔を空けて配置され、これにより燃料が前記燃料流路から出て行き、前記閉位置において前記密閉ヘッドは前記弁座と少なくとも部分的に接触して前記燃料流路を閉鎖する弁と
を含むコアアセンブリーと
を具えたことを特徴とする噴射器。
【請求項2】
前記ノズル部の直径がおよそ0.33インチ以下であることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項3】
前記ノズル部の長さがおよそ12インチ以上であることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項4】
前記基部によって支えられる弁操作アセンブリーをさらに含み、この弁操作アセンブリーは、
前記弁の少なくとも一部を包囲するドライバーであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、このドライバーが前記第1の位置にある場合、前記弁は前記閉位置に保持され、当該ドライバーが前記第2の位置へと移動すると、前記弁を前記開位置へと係合および移動させるドライバーと、
このドライバーを作動させて前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成された力生成器と、
この力生成器を選択的に作動させるように構成されたコントローラーと
を具えたことを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項5】
燃料入口をさらに含み、この燃料入口は、燃料を前記力生成器を介して前記基部内へと導入するように、前記力生成器に流体接続されることを特徴とする請求項4に記載の噴射器。
【請求項6】
前記弁は、前記密閉ヘッドに対向する第1の端部を含み、前記噴射器は、ドライバーをさらに含み、このドライバーは、前記基部内において第1の位置と第2の位置との間に移動可能に配置され、当該ドライバーが前記第1の位置にある場合、前記弁は前記開位置に保持され、該ドライバーが前記第2の位置へと移動すると、該ドライバーは、前記弁の前記第1の端部と係合し、前記弁を前記開位置へと移動させることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項7】
前記弁の前記第1の端部は停止部を含み、前記ドライバーが前記弁の前記第1の端部と係合した場合、前記ドライバーは前記停止部と接触することを特徴とする請求項6に記載の噴射器。
【請求項8】
前記ドライバーが所定距離を移動した後、前記ドライバーが前記第2の位置に向かって移動する場合、前記ドライバーは前記弁の前記第1の端部と係合することを特徴とする請求項6に記載の噴射器。
【請求項9】
前記点火ロッドを通じて延びる1つ以上の光ファイバーをさらに含み、この1つ以上の光ファイバーは、前記噴射器へ動作可能に連結されたコントローラーへ前記燃焼室からの燃焼室情報を送信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項10】
前記点火ロッドは1つ以上の点火機能部を含み、この1つ以上の点火機能部は、前記ノズル部内において前記弁の前記密閉ヘッドと前記燃焼室との間に配置され、当該1つ以上の点火機能部は、前記ノズル部から出て行く燃料を点火するための点火イベントを発生させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項11】
前記1つ以上の点火機能部は、前記点火ロッドの少なくとも一部の周囲にらせん状に巻かれることを特徴とする請求項10に記載の噴射器。
【請求項12】
前記弁の前記密閉ヘッドは、前記燃焼室との前記インターフェースから、少なくともおよそ12インチ以上の距離だけ間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項13】
前記弁の前記密閉ヘッドは、前記燃焼室との前記インターフェースに隣接する前記ノズル部中に配置されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項14】
コントローラーをさらに含み、このコントローラーは、
前記点火絶縁体に対する前記弁の移動を選択的に制御するステップと、
前記点火ロッドによって発生された点火イベントと選択的に制御するステップと
を行うことを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項15】
前記弁は第1の長さを有し、前記点火絶縁体は、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有し、前記点火ロッドは、前記第2の長さよりも長い第3の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項16】
前記弁は、外側方向に開口する弁であり、前記弁が前記閉位置から前記開位置へと移動した場合に前記燃焼室に向かって移動することを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項17】
前記弁は、内側方向に開口する弁であり、前記弁が前記閉位置から前記開位置へと移動した場合に前記燃焼室から離隔方向において移動することを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項18】
前記燃料流路は、前記本体を通じて前記弁と前記本体絶縁体との間に延びることを特徴とする請求項1に記載の噴射器。
【請求項19】
燃焼室内へ燃料を導入する噴射器であって、
第2の端部に対向する第1の端部を有する本体であって、前記第2の端部が前記燃焼室のインターフェースに隣接して配置されるように構成され、前記第1の端部が前記燃焼室から間隔を空けて配置されるように構成される本体と、
この本体を通じて前記第1の端部から前記第2の端部へと延びる点火導体であって、点火エネルギーを前記第1の端部から前記第2の端部へと伝送し、前記燃焼室の前記インターフェースの近隣において点火イベントを発生させるように構成される点火導体と、
この記点火導体に沿って長手方向に延び、前記点火導体の少なくとも一部を包囲する前記絶縁体と、
長手方向において前記絶縁体に沿って前記第1の端部から前記第2の端部へと延びる弁であって、密閉端部を含み、前記絶縁体に沿って開位置と閉位置との間で移動可能である弁と、
前記本体の前記第2の端部またはその近隣に配置された弁座であって、前記弁が前記開位置に来ると、前記密閉端部はこの弁座から間隔を空けて配置され、前記弁が前記閉位置に来ると、前記密閉端部は当該弁座の少なくとも一部と接触する弁座と
を具えたことを特徴とする噴射器。
【請求項20】
前記絶縁体は第1の絶縁体であり、前記噴射器は、
長手方向において前記本体に沿って延び、前記弁から間隔を空けて径方向に配置される第2の絶縁体と、
この第2の絶縁体と前記弁との間において前記第1の端部から前記第2の端部へと延びる環状燃料流路と
をさらに具えたことを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項21】
燃料流路をさらに具え、この燃料流路は、前記弁の周囲を囲んで同軸に配置されることを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項22】
前記弁の前記密閉端部は、前記弁の拡大端部を含み、この弁の拡大端部は第1の直径を有し、この第1の直径が前記弁の第2の直径よりも大きいことを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項23】
1つ以上の光センサーをさらに具え、この1つ以上の光センサーは、前記第1の端部から前記第2の端部へと延び、前記燃焼室からの燃焼室情報を検出および送信するように構成されることを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項24】
前記1つ以上の光センサーは、前記点火導体を通じて長手方向に延びることを特徴とする請求項23に記載の噴射器。
【請求項25】
前記弁は、前記密閉端部に対向する基部をさらに具え、前記噴射器は、
前記第1の端部に配置されたアクチュエーターであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、このアクチュエーターが前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該アクチュエーターは前記弁の前記基部と接触し、前記弁を前記閉位置から前記開位置に向かって移動させるアクチュエーターと、
このアクチュエーターに隣接する前記第1の端部に配置された力生成器であって、前記アクチュエーターを起動して前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成される力生成器と
をさらに具えたことを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項26】
前記弁は、前記本体の前記第2の端部を通じて少なくとも部分的に延び、前記弁の前記密閉端部は、前記燃焼室の前記インターフェースに隣接して配置されることを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項27】
前記点火導体によって支えられる1つ以上の点火機能部をさらに具え、この1つ以上の点火機能部は、前記弁の前記密閉端部と前記燃焼室の前記インターフェースとの間に配置され、前記弁の前記密閉端部を越えて通過する燃料を点火するための点火イベントを発生させるように構成されることを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項28】
前記本体の前記第2の端部の直径がおよそ0.33インチ以下であることを特徴とする請求項19に記載の噴射器。
【請求項29】
燃焼室内へ燃料を導入する噴射器であって、
前記燃焼室とのインターフェースに隣接して配置されるように構成されたノズル部と、
このノズル部と対向し、当該ノズル部から間隔を空けて配置されるように構成される基部と、
前記ノズル部を通じて少なくとも部分的に延びる点火導体と、
この点火導体の少なくとも一部を覆って同軸に配置された点火絶縁体と、
前記ノズル部内に配置された弁であって、前記点火絶縁体の少なくとも一部を覆って同軸に配置されると共に前記点火絶縁体の少なくとも一部から径方向に間隔を空けて配置され、
前記点火絶縁体に対して概して固定された第1の端部と、
この第1の端部と前記燃焼室との間に配置される第2の密閉端部であって、前記点火絶縁体から径方向に離隔する方向において少なくとも部分的に変形可能であり、これにより、閉位置から開位置へと移動して前記ノズル部からの燃料を前記燃焼室内へと噴射する第2の密閉端部と
0を含む弁と
を具えたことを特徴とする噴射器。
【請求項30】
前記弁は第1の弁であり、前記噴射器は、前記基部に配置された第2の弁をさらに具え、この第2の弁は、前記噴射器の長手方向軸に対して概して平行な方向において閉位置および開位置から移動して、前記燃料を前記基部から前記ノズル部へと流動させることを特徴とする請求項29に記載の噴射器。
【請求項31】
前記第2の弁は、前記第1の弁から独立して移動可能であることを特徴とする請求項30に記載の噴射器。
【請求項32】
ドライバーをさらに具え、このドライバーは、前記基部に移動可能に配置され、前記基部は、前記第2の弁の少なくとも一部を同軸に包囲し、当該ドライバーは、第1の位置と第2の位置との間に移動可能であり、該ドライバーが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動すると、該ドライバーは、前記第2の弁と係合して前記第2の弁を前記閉位置から前記開位置に向かって移動させることを特徴とする請求項29に記載の噴射器。
【請求項33】
前記点火導体は第1の点火導体であり、前記噴射器は、第2の点火導体をさらに具え、この第2の点火導体は、前記第1の点火導体に電気的に接続され、当該第2の点火導体は、前記ノズル部から前記基部に向かって延び、前記噴射器を通じて長手方向に延びる燃料流路を少なくとも部分的に収容することを特徴とする請求項29に記載の噴射器。
【請求項34】
前記基部において点火端子を具え、この点火端子は、点火エネルギー源に動作可能に連結されるように構成され、前記点火導体は、前記基部内の前記点火端子から前記ノズル部へと延びることを特徴とする請求項29に記載の噴射器。
【請求項35】
前記点火絶縁体は、前記点火導体を覆って同軸に配置され、前記基部から前記ノズル部内へと少なくとも部分的に延びることを特徴とする請求項34に記載の噴射器。
【請求項36】
前記点火絶縁体は拡大端部を含み、この拡大端部は、前記燃焼室との前記インターフェースに隣接して配置され、前記弁の前記第2の密閉端部は、前記点火絶縁体の前記拡大端部に隣接して配置されることを特徴とする請求項29に記載の噴射器。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図5G】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−92153(P2013−92153A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−241(P2013−241)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2012−543103(P2012−543103)の分割
【原出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(511201174)マクアリスター テクノロジーズ エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】