説明

天井扇風機の安全装置

【課題】天井面に吊り下げられたパイプとモータ側に設けたシャフトとを連結する連結部分に磨耗が生じて、不安全状態に近づいた場合においても、不安全状態を検出して自動的に停止できる天井扇風機の安全装置を提供することを目的とする。
【解決手段】モータ2の上部に突出したシャフト3の上端に接続して吊り下げるパイプ6と、パイプ6とシャフト3にそれぞれ設けた貫通孔7を介して連結する連結ボルト8と、シャフト3側に設けた安全スイッチ11の接点を閉じるためにパイプ6に設けた操作レバー12とを設け、貫通孔7の孔径が磨耗拡大した場合にパイプ6とシャフト3の相対的な回動範囲の増加に対応して操作レバー12により安全スイッチ11の接点を開放することにより、自動的に不安全状態を回避することのできる天井扇風機の安全装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードを回転するモータの上部に突出したシャフトと、天井面に吊り下げられたパイプに連結して形成される天井扇風機の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井扇風機の安全装置の一例として取り付けねじがゆるんだときに警報装置により知らせる天井扇風機の安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その天井扇風機の安全装置について図11を参照にしながら説明する。
【0004】
図に示すように、天井扇風機の中心を貫通するパイプ101は、半球状のフランジ102を介して取付金具103に吊り下げられ、取付金具103は天井面に木ねじ104で取り付けられる取付板105に結合ねじ106により取り付けられ、取付金具103にはマイクロスイッチ107を設け、マイクロスイッチ107のアクチュエータ108を天井面に当接させて構成している。
【特許文献1】特許第3032325号公報([0010][0011]図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の天井扇風機では、取付板105を取り付けている木ねじ104または取付板105に取付金具103を取り付ける結合ねじ106のゆるみが発生したときに、マイクロスイッチ107を介して警報装置等を作動して安全性を高めるものであって、天井扇風機の構造がモータ側に設けたシャフトと天井から吊り下げられたパイプを、貫通孔を介して連結ボルトにより連結する場合には、連結ボルトの貫通孔が経年変化等により磨耗して拡大することが生じ、不安全状態になるという課題があり、安全性を高めることが要求されている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、天井面に吊り下げられたパイプとモータ側に設けたシャフトを連結する連結部分に磨耗が生じた場合においても、不安全状態を自動的に回避できる天井扇風機の安全装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の天井扇風機の安全装置は上記目的を達成するために、水平方向に付設した複数のブレードを回転するモータと、このモータの上部に突出したシャフトと、このシャフトの上端に接続して天井面に吊り下げるためのパイプと、このパイプと前記シャフトにそれぞれ設けた貫通孔を介して連結する連結ボルトと、前記シャフト側に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの接点を閉じるために前記パイプに設けた操作レバーとを備え、前記貫通孔の孔径が磨耗拡大した場合に、前記パイプと前記シャフトの相対的な回動範囲の増加に対応して前記操作レバーが移動し、前記安全スイッチの接点を開放可能としたものである。
【0008】
この手段により、不安全状態を即座に自動的に回避することができるとともに、電源を再投入してもオン状態にならないことから、モータの吊り下げが正常状態でないことを使用者に知らしめることができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0009】
また、他の手段は、モータの上部に設けたモータカバーと、このモータカバー内に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの操作ボタンと、前記モータカバーの上面に形成した開口部とを備え、前記開口部を通して操作カバーが前記安全スイッチの操作ボタンを操作可能としたものである。
【0010】
この手段により、人手による不用意な操作を防ぎ、安全スイッチに不安全な加工が施されないようにすることができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0011】
また、他の手段は、モータカバーの上面に形成した開口部を、モータのシャフトを中心として操作レバーの移動する円周方向に、開口範囲を延設したものである。
【0012】
この手段により、危険状態に近づいたときに安全スイッチを確実に操作してモータへの通電を停止することができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0013】
また、他の手段は、安全スイッチの操作ボタンの上端部を、モータカバーの開口部の上面より下方に位置させたものである。
【0014】
この手段により、故意に操作ボタンを操作されないようにして、シャフトとパイプの連結が不安全状態のまま使用されることを防ぐことができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0015】
また、他の手段は、操作レバーを、パイプに固定する固定部と、この固定部から斜め下方に延設する腕部を設けて形成したものである。
【0016】
この手段により、安全スイッチを確実に操作できる寸法関係とすることができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0017】
また、他の手段は、天井面に一端を固定した落下防止用の安全ワイヤーと、この安全ワイヤーの他端に設けられるワイヤー固定部とを備え、前記ワイヤー固定部を操作レバーの内側に位置するシャフト面に固定したものである。
【0018】
この手段により、モータ等からなる本体を設置するときに簡単に取り外されることなく、施工業者に安全ワイヤーを使用した設置作業を促すことができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【0019】
また、他の手段は、連結ボルトの頭部の下面形状を、パイプの外面に沿わせて断面が円弧形状の曲面としたものである。
【0020】
この手段により、天井付近の高所における施工性が向上できるとともに、連結ボルトが頭部の裏面でパイプ表面に密着して固定されるので、連結ボルトの回り止めや緩み止めが確実に行え、安全性を高めることができる。
【0021】
また、他の手段は、連結ボルトの頭部を横長形状に形成し、前記頭部の下端部または両端部をR形状に形成したものである。
【0022】
この手段により、連結ボルトが正常な位置に確実に締め付けることができ、信頼性および作業性を高めることができる天井扇風機の安全装置が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、不安全状態を即座に自動的に回避することができるとともに、電源を再投入してもオン状態にならないことから、本体の吊り下げが正常状態でないことを使用者に知らしめることができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0024】
また、人手による不用意な操作を防ぎ、安全スイッチに不安全な加工が施されないようにすることができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0025】
また、危険状態に近づいたときに安全スイッチを確実に操作してモータへの通電を停止することができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0026】
また、故意に操作ボタンを操作されないようにして、シャフトとパイプの連結が不安全状態のまま再使用されることを防ぐことができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0027】
また、安全スイッチを確実に操作できる寸法関係とすることができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0028】
また、本体を設置するときに、簡単に取り外されることなく、施工業者に安全ワイヤーを使用した設置作業を促すことができるという効果のある天井扇風機を提供できる。
【0029】
また、天井付近の高所における施工性が向上できるとともに、連結ボルトが頭部の裏面でパイプ表面に密着して固定されるので、連結ボルトの回り止めや緩み止めが確実に行なえ、安全性を高めることができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【0030】
また、連結ボルトを正常な位置に確実に締め付けることができ、信頼性および作業性を高めることができるという効果のある天井扇風機の安全装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の請求項1記載の発明は、水平方向に付設した複数のブレードを回転するモータと、このモータの上部に突出したシャフトと、このシャフトの上端に接続して天井面に吊り下げるためのパイプと、このパイプと前記シャフトにそれぞれ設けた貫通孔を介して連結する連結ボルトと、前記シャフト側に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの接点を閉じるために前記パイプに設けた操作レバーとを備え、前記貫通孔の孔径が磨耗拡大した場合に、前記パイプと前記シャフトの相対的な回動範囲の増加に対応して前記操作レバーが移動し、前記安全スイッチの接点を開放可能としたものであり、通常使用時はパイプに備えられた操作レバーにより、安全スイッチが閉じられた状態で、商用電源と接続して運転可能となるが、シャフトとパイプを連結する連結ボルトの締付力が弱いと、天井扇風機の運転停止を繰り返す過程で、経年変化により連結部にガタが発生し、連結ボルトが貫通するシャフトの連結ボルトの貫通孔が磨耗により孔径が拡大する。しかし、パイプとシャフトの相対的な回動範囲の増加に対応して操作レバーが移動し、安全スイッチの接点を開放することができ、モータの通電を停止することができるため、不安全状態を即座に自動的に回避することができるとともに、電源を再投入してもオン状態にならないことから本体の吊り下げが正常状態でないことを使用者に知らしめることができるという作用を有する。
【0032】
また、本発明の請求項2記載の発明は、モータの上部に設けたモータカバーと、このモータカバー内に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの操作ボタンと、前記モータカバーの上面に形成した開口部とを備え、前記開口部を通して操作レバーが前記安全スイッチの操作ボタンを操作可能としたものであり、モータカバーに安全スイッチを収納して、安全スイッチ自体を保護するとともに、開口部を通してパイプに固定した操作レバーが安全スイッチの操作ボタンを操作できるようにすることで、人手による不用意な操作を防ぎ、安全スイッチに不安全な加工が施されないようにすることができるという作用を有する。
【0033】
また、本発明の請求項3記載の発明は、モータカバーの上面に形成した開口部を、モータのシャフトを中心として操作レバーの移動する円周方向に、開口範囲を延設したものであり、経年変化で貫通孔の孔径が磨耗拡大すると、パイプに対してシャフトが相対的に回動範囲が増加して、パイプに付設された操作レバーも開口部内に移動するが、操作レバーはパイプを中心に円周方向に回動するため、開口部も円周方向に開口範囲を拡大することにより、操作レバーの移動範囲に対応した形状とすることができ、危険状態に近づいたときに安全スイッチを確実に操作してモータへの通電を停止することができるという作用を有する。
【0034】
また、本発明の請求項4記載の発明は、安全スイッチの操作ボタンの上端部を、モータカバーの開口部の上面より下方に位置させたものであり、操作レバーが移動して安全スイッチが自動的に開放状態となったときに、安全スイッチの操作ボタンがモータカバーの開口部の内側にあるので、操作ボタンを指などで無理に押すことが難しくなり、モータが停止したあとも、故意に操作ボタンを操作されないようにして、シャフトとパイプの連結が不安全状態のまま再使用されることを防ぐことができるという作用を有する。
【0035】
また、本発明の請求項5記載の発明は、操作レバーを、パイプに固定する固定部と、この固定部から斜め下方に延設する腕部を設けて形成したものであり、腕部がパイプに固定する固定部から斜め下方に延設することにより、モータカバー内に設けた安全スイッチを、開口部を介して操作可能とするとともに、パイプとシャフトとの相対的な角度変化を、腕部の円周方向の移動変化に変換して、安全スイッチを確実に操作できる寸法関係とすることができるという作用を有する。
【0036】
また、本発明の請求項6記載の発明は、天井面に一端を固定した落下防止用の安全ワイヤーと、この安全ワイヤーの他端に設けられるワイヤー固定部とを備え、前記ワイヤー固定部を操作レバーの内側に位置するシャフト面に固定したものであり、安全ワイヤーのワイヤー固定部がシャフトに固定される位置を、操作レバーの腕部の内側に設定することにより、ワイヤー固定部が操作レバーの腕部に覆われた状態で固定されるため、ワイヤー固定部は操作レバーを外さない限りは簡単には取り外すことができない。したがって工場出荷時に安全ワイヤーのワイヤー固定部を操作レバーの腕部の内側に固定することで、本体を設置するときに簡単に取り外されることなく、施工業者に安全ワイヤーを使用した設置作業を促すことができるという作用を有する。
【0037】
また、本発明の請求項7記載の発明は、連結ボルトの頭部の下面形状をパイプの外面に沿わせて、断面が円弧形状の曲面としたものであり、シャフトの端部をパイプの端部に挿入し、それぞれの貫通孔に連結ボルトを通し、ナットを螺合して締め付けるときに、連結ボルトの頭部がパイプ外面の曲面に沿うように係合するため、連結ボルトの頭部の支持が不要になり、スパナなど締め付け工具の使用がナット側のみでできるため、天井付近の高所における施工性が向上できるとともに、連結ボルトが頭部の裏面でパイプ表面に密着して固定されるので、連結ボルトの回り止めや緩み止めが確実に行なえ、安全性を高めることができるという作用を有する。
【0038】
また、請求項8記載の発明は、連結ボルトの頭部を横長形状に形成し、前記頭部の下端部または両端部をR形状に形成したものであり、連結ボルトを締め付け時に、連結ボルトの頭部の両端が最初にパイプ表面に接触しても、頭部の下端部または両端部をR形状としているので、パイプ表面とは曲面間の接触となり、連結ボルトの頭部が自然にパイプ曲面に沿う方向に回転して、正常な位置に確実に締め付けることができ、信頼性および作業性を高めることができるという作用を有する。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1〜図6に示すように、水平方向に付設した複数のブレード1を回転するモータ2と、モータ2の上部に突出したシャフト3と、シャフト3の上端に接続して天井面4に吊り下げ具5を介して吊り下げるためのパイプ6と、パイプ6とシャフト3にそれぞれ設けられる貫通孔7を介して連結する連結ボルト8および連結ボルト8に螺合して締め付けるナット9と、モータ2の上部に設けたモータカバー10と、モータカバー10内のシャフト3側に設けた安全スイッチ11と、安全スイッチ11の接点を閉じるためにパイプ6に設けた操作レバー12とを備え、貫通孔7の孔径が磨耗拡大した場合に、パイプ6とシャフト3の相対的な回動範囲の増加に対応して操作レバー12が移動し、安全スイッチ11の接点を開放可能に設ける。
【0041】
また、安全スイッチ11に操作ボタン13を設け、モータカバー10の上面に開口部14を形成し、開口部14を通して操作レバー12が安全スイッチ11の操作ボタン13を操作可能に設け、モータカバー10の上面に設けられる開口部14をモータ2のシャフト3を中心として操作レバー12の移動する円周方向に開口範囲を延設し、操作ボタン13の上端部をモータカバー10の開口部14の上面より下方に位置するように設け、操作レバー12を、パイプ6に固定する固定部15と、固定部15から斜め下方に延設する腕部16を設け形成する。
【0042】
また、天井面4に一端を固定した落下防止用の安全ワイヤー17と、安全ワイヤー17の他端に設けられるワイヤー固定部18とを設け、ワイヤー固定部18を操作レバー12の内側に位置するシャフト3面に固定し、シャフト3側に設けた安全スイッチ11と操作レバー12およびシャフト3とパイプ6の連結部分等全体をキャノピー19により覆い構成する。
【0043】
上記構成において、水平方向に付設した複数のブレード1を回転するモータ2と、モータ2の上部に突出したシャフト3と、シャフト3の上端に接続して天井面4に吊り下げるためのパイプ6と、パイプ6とシャフト3にそれぞれ設けた貫通孔7を介して連結する連結ボルト8と、シャフト3側に設けた安全スイッチ11と、安全スイッチ11の接点を閉じるためにパイプ6に設けた操作レバー12とを備え、貫通孔7の孔径が磨耗拡大した場合に、パイプ6とシャフト3の相対的な回転範囲の増加に対応して操作レバー12が移動し、安全スイッチ11の接点を開放可能としたので、通常使用時は、パイプ6に備えられた操作レバー12により、安全スイッチ11が閉じられた状態で商用電源と接続して運転可能となる。
【0044】
しかしシャフト3とパイプ6を連結する連結ボルト8の締付力が不充分な場合は、天井扇風機の運転停止を繰り返す過程で経年変化により連結部にガタが発生し、シャフト3の連結ボルト8の貫通孔7が磨耗により孔径が拡大する。このとき、パイプ6とシャフト3の相対的な回動範囲の増加に対応して、操作レバー12が移動して安全スイッチ11の接点を開放することができ、モータ2の通電を停止することができるため、不安全状態を即座に自動的に回避することができるとともに、電源を再投入してもオン状態にならないことから、本体の吊り下げが正常状態でないことを使用者に知らしめることができることとなる。
【0045】
また、モータ2の上部に設けたモータカバー10と、モータカバー10内に設けた安全スイッチ11と、安全スイッチ11の操作ボタン13と、モータカバー10の上面に形成した開口部14とを備え、開口部14を通して操作レバー12が安全スイッチ11の操作ボタン13を操作可能としたので、モータカバー10に安全スイッチ11を収納して、安全スイッチ11自体を保護するとともに、開口部14を通してパイプ6に固定した操作レバー12が安全のスイッチ11の操作ボタン13を操作できるようにすることで、人手による不用意な操作を防ぎ、安全スイッチ11に不安全な加工が施されないようにすることができることとなる。
【0046】
また、モータカバー10の上面に形成した開口部14を、モータ2のシャフト3を中心として操作レバー12の移動する円周方向に、開口範囲を延設したものであり、経年変化で貫通孔7の孔径が磨耗拡大すると、パイプ6に対してシャフト3が相対的に回動範囲が増加して、パイプ6に付設された操作レバー12も開口部14内に移動するが、操作レバー12はパイプ6を中心に円周方向に回動するため、開口部14も円周方向に開口範囲を拡大することにより、操作レバー12の移動範囲に対応した形状とすることができ、危険状態に近づいたときに安全スイッチ11を確実に操作してモータ2への通電を停止することができることとなる。
【0047】
また、安全スイッチ11の操作ボタン13の上端部を、モータカバー10の開口部14の上面より下方に位置させたので、操作レバー12が移動して安全スイッチ11が自動的に開放状態となったときに、安全スイッチ11の操作ボタン13がモータカバー10の開口部14の内側にあるので、操作ボタン13を指などで無理に押すことが難しくなり、モータ2が停止したあとも、故意に操作ボタン13を操作されないようにして、シャフト3とパイプ6の連結が不安全状態のまま再使用されることを防ぐことができることとなる。
【0048】
また、操作レバー12をパイプ6に固定する固定部15と、固定部15から斜め下方に延設する腕部16を形成したので、腕部16がパイプ6に固定する固定部15から斜め下方に延設することにより、モータカバー10内に設けた安全スイッチ11を、開口部14を介して操作可能とするとともに、パイプ6とシャフト3との相対的な角度変化を腕部16の円周方向の移動変化に変換して、安全スイッチ11を確実に操作できる寸法関係とすることができることとなる。
【0049】
また、天井面4に一端を固定した落下防止用の安全ワイヤー17と、安全ワイヤー17の他端に設けられるワイヤー固定部18とを備え、ワイヤー固定部18を操作レバー12の内側に位置するシャフト3面に固定したので、安全ワイヤー17のワイヤー固定部18をシャフト3に固定する位置を、操作レバー12の腕部16の内側に設定できることにより、ワイヤー固定部18は、操作レバー12を外さない限りは簡単に取り外すことができない。したがって工場出荷時に安全ワイヤー17のワイヤー固定部18を操作レバー12の腕部16の内側に固定することで、本体を設置するときに簡単に取り外されることなく、施工業者に安全ワイヤー17を使用した設置作業を促すことができることとなる。
【0050】
(実施の形態2)
図7および図8に示すように、連結ボルト8Aの頭部20の下面形状をパイプ6Aの外面21に沿わせて、断面が円弧形状の曲面22とし、連結ボルト8Aは平ワッシャ23とスプリングワッシャ24を介してナット9Aを螺合して設け、連結ボルト8Aにはナット9Aが抜け落ちないように、ピン挿入孔25を形成し、ピン(図示せず)を挿入して設け構成する。
【0051】
上記構成において、連結ボルト8Aの頭部20の下面形状をパイプ6Aの外面21に沿うように断面が円弧形状の曲面22としたので、シャフト3の端部をパイプ6Aの端部に挿入し、それぞれの貫通孔7に連結ボルト8Aを通しナット9Aを螺合して締め付けるときに連結ボルト8Aの頭部20に設けた曲面22がパイプ6Aの外面21に沿うように係合するため連結ボルト8Aの頭部20の支持が不要となり、スパナなどの締め付け工具の使用がナット9A側のみでできることとなり、天井付近の高所における施工性が向上できるとともに、連結ボルト8Aの頭部20の裏面に設けた曲面22がパイプ6Aの外面21に密着して固定されるので、連結ボルト8Aの回り止めや緩み止めが確実に行なえ、安全性を高めることができることとなる。
【0052】
(実施の形態3)
図9および図10に示すように、連結ボルト8Bの頭部20Aを横長形状に形成し、頭部20Aの下面形状をパイプ6Bの外面21に沿うように、断面が円弧形状の曲面22Aとし、頭部20Aの下端部または両端部をR形状26に形成し構成する。
【0053】
上記構成においては、連結ボルト8Bを締め付けたときに、連結ボルト8Bの頭部20Aの下面側が最初にパイプ6Bの表面に接触しても、頭部20Aの下端部または両端部をR形状26としているので、パイプ6Bの外面21とは曲面間の不安定な接触となり、連結ボルト8Bの頭部20Aが自然にパイプ6Bの外面21に沿う方向に回転して、頭部20Aの曲面22Aがパイプ6Bの外面21に重なり合い、正常な位置に確実に締め付けることができ、信頼性および作業性を高めることができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる天井扇風機の安全装置は、不安全状態を即座に自動的に回避することができるとともに、電源を再投入してもオン状態にならないことから、本体の吊り下げが正常状態でないことを使用者に知らしめることができるという効果を有し、ブレードを回転するモータの上部に突出したシャフトと、天井面に吊り下げられたパイプに連結して形成される天井扇風機の安全装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1の天井扇風機の安全装置を示す断面図
【図2】同天井扇風機の安全装置の貫通孔と連結ボルト部分を示す断面図
【図3】同天井扇風機の安全装置の要部拡大断面図
【図4】同天井扇風機の安全装置の安全スイッチと開口部の関係を示す上面図
【図5】同天井扇風機の安全装置の開口部と操作レバーの関係を示す斜視図
【図6】同天井扇風機の安全装置の回路図
【図7】本発明の実施の形態2の天井扇風機の安全装置の連結ボルトとパイプとの関係を示す断面図
【図8】同天井扇風機の安全装置の連結ボルトの取付状態を示す正面図
【図9】本発明の実施の形態3の天井扇風機の安全装置の連結ボルトとパイプとの関係を示す断面図
【図10】同天井扇風機の安全装置の連結ボルトの取付状態を示す正面図
【図11】従来の天井扇風機の安全装置の断面図
【符号の説明】
【0056】
1 ブレード
2 モータ
3 シャフト
4 天井面
6 パイプ
6A パイプ
7 貫通孔
8 連結ボルト
8A 連結ボルト
8B 連結ボルト
10 モータカバー
11 安全スイッチ
12 操作レバー
13 操作ボタン
14 開口部
15 固定部
16 腕部
17 安全ワイヤー
18 ワイヤー固定部
20 頭部
20A 頭部
21 外面
22 曲面
26 R形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に付設した複数のブレードを回転するモータと、そのモータの上部に突出したシャフトと、このシャフトの上端に接続して天井面に吊り下げるためのパイプと、このパイプと前記シャフトにそれぞれ設けた貫通孔を介して連結する連結ボルトと、前記シャフト側に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの接点を閉じるために前記パイプに設けた操作レバーとを備え、前記貫通孔の孔径が磨耗拡大した場合に、前記パイプと前記シャフトの相対的な回動範囲の増加に対応して前記操作レバーが移動し、前記安全スイッチの接点を開放可能とした天井扇風機の安全装置。
【請求項2】
モータの上部に設けたモータカバーと、このモータカバー内に設けた安全スイッチと、この安全スイッチの操作ボタンと、前記モータカバーの上面に形成した開口部とを備え、前記開口部を通して操作レバーが前記安全スイッチの操作ボタンを操作可能とした請求項1記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項3】
モータカバーの上面に形成した開口部を、モータのシャフトを中心として操作レバーの移動する円周方向に、開口範囲を延設した請求項2記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項4】
安全スイッチの操作ボタンの上端部を、モータカバーの開口部の上面より下方に位置させた請求項2記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項5】
操作レバーを、パイプに固定する固定部と、この固定部から斜め下方に延設する腕部を設けて形成した請求項2記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項6】
天井面に一端を固定した落下防止用の安全ワイヤーと、この安全ワイヤーの他端に設けられるワイヤー固定部とを備え、前記ワイヤー固定部を操作レバーの内側に位置するシャフト面に固定した請求項2または5記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項7】
連結ボルトの頭部の下面形状を、パイプの外面に沿わせて、断面が円弧形状の曲面とした請求項1記載の天井扇風機の安全装置。
【請求項8】
連結ボルトの頭部を横長形状に形成し、前記頭部の下端部または両端部をR形状に形成した請求項7記載の天井扇風機の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−121551(P2008−121551A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306357(P2006−306357)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】