太陽光発電システム
【課題】太陽電池モジュールのプラス側とマイナス側の両接続端子に誤接続防止コネクタを採用しても、直列接続を可能にする。
【解決手段】誤接続防止コネクタであるプラス側接続端子10(プラス側メスコネクタ12fとプラス側オスコネクタ12m)と、マイナス側接続端子14(マイナス側メスコネクタ16fとマイナス側オスコネクタ16m)とを備える太陽電池モジュール30A等を用いても、接続箱40Bの内部で直列接続が可能である。この場合、誤接続が完全に回避される。
【解決手段】誤接続防止コネクタであるプラス側接続端子10(プラス側メスコネクタ12fとプラス側オスコネクタ12m)と、マイナス側接続端子14(マイナス側メスコネクタ16fとマイナス側オスコネクタ16m)とを備える太陽電池モジュール30A等を用いても、接続箱40Bの内部で直列接続が可能である。この場合、誤接続が完全に回避される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続し、高電圧・大電力の直流出力が得られるようにした太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直列接続した太陽電池モジュールを並列接続し、高電圧・大電力の直流出力にしてパワーコンディショナに供給し交流電力に変換する太陽光発電システムが提案されている(特許文献1)。上記のパワーコンディショナにより、前記直流出力が、商用周波数の電源に変換され家庭用あるいは産業用として電力系統連系に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−124490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係る太陽光発電システムにおいては、2つの太陽電池モジュールを直列接続する際に、2つの中継器が必要とされ、さらに、直列接続された2つの太陽電池モジュールを並列接続する際に、2つのコネクタが必要とされる。そのため、ケーブルの接続構造が複雑となり、ケーブルの誤配線・誤接続を招き易いという問題がある。
【0005】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、接続構造が簡素で、高電圧・大電力の直流出力を得ることを可能とする太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0006】
また、この発明は、接続構造が簡素で、かつ誤配線の発生のおそれがなく、高電圧・大電力の直流出力を得ることを可能とする太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0007】
さらに、この発明は、簡単な構成で設置場所の形状への適応性の高い太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る太陽光発電システムは、以下の特徴(1)〜(5)を備える。
【0009】
(1)プラス側接続端子とマイナス側接続端子とを有し並列接続可能な公称出力電圧V0[V]の太陽電池モジュールが、それぞれ並列接続された複数個又は1個からなるストリングがm個(mは、2以上の整数)からなる太陽電池パネルアレイと、前記各ストリングの出力を接続するための、前記プラス側接続端子対応入力端子と前記マイナス側接続端子対応入力端子との端子対が、前記各ストリングの数だけ設けられた接続箱と、を備え、前記接続箱は、複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイをn個(nは、2以上の整数)形成し、さらに、出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士を並列接続して出力する内部結線構成とされていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、m個(mは、2以上の整数)のストリングを接続箱の入力側に接続するだけで、接続箱の出力側に、複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイがn個(nは、2以上の整数)形成され、さらに、n個の出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士が並列接続された高電圧・大電力の直流出力が得られる。
【0011】
(2)上記の特徴(1)を有する発明において、前記接続箱内で、各サブアレイの同一中間電位{(p−1)V0、(p−2)V0、…、V0}点(各中点という。)同士を短絡する構成とすることで、各サブアレイのいずれかの各中点に電位が発生していれば、他のサブアレイの対応する各中点も同電位となるので、後述するように、回路中に配される開閉器の耐電圧仕様を、中点同士を開放しておく場合に比較して小電圧使用にすることができる。
【0012】
(3)上記の特徴(1)又は(2)を有する発明において、前記pV0、(p−1)V0、…、V0の各同電位に接続される前記太陽電池モジュールの枚数を、同数にすることで、全ての太陽電池モジュールから効率よく出力電流を取り出すことができる。このような簡単な構成で設置場所の形状への適応性を高くすることができる。
【0013】
(4)上記の特徴(1)〜(3)のいずれかを有する発明において、前記接続箱内に、前記各ストリングの出力に対して逆流防止ダイオードと、バイパスダイオードとを接続配置することで、一部が日陰になっている太陽電池モジュールが存在した場合にも、逆流を確実に防止し、かつ日陰になっている太陽電池モジュールをバイパスして効率よく作動させることができる。
【0014】
(5)上記の特徴(1)〜(4)のいずれかを有する発明において、各太陽電池モジュールに、前記プラス側接続端子として、プラス側オスコネクタとプラス側メスコネクタとを備え、前記マイナス側接続端子として、マイナス側オスコレクタとマイナス側メスコネクタとを備え、プラス側コネクタ同士とマイナス側コネクタ同士とを嵌合不能な構造に構成する。そして、ある太陽電池モジュールを、プラス側マイナス側1対のオスコネクタ(又はメスコネクタ)を介して、前記接続箱に設けられた対応する1対のメスコネクタ(オスコネクタ)に嵌合する一方、プラス側マイナス側1対のメスコネクタ(オスコネクタ)を介して、他の太陽電池モジュールのプラス側マイナス側1対のオスコネクタ(メスコネクタ)に嵌合し並列接続可能に構成する。このように構成することで、接続構造が簡素で、かつ誤配線の発生のおそれがなく、高電圧・大電力の直流出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、接続構造が簡素で、高電圧・大電力の直流出力を得ることができる太陽光発電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aは、太陽電池モジュールに設けられたプラス側接続端子を構成するプラス側オスコネクタと、プラス側メスコネクタが嵌合されている状態を示す平面図であり、図1Bは、プラス側メスコネクタのIB−IB線断面図、図1Cは、プラス側オスコネクタのIC−IC線断面図である。
【図2】図2Aは、太陽電池モジュールに設けられたマイナス側接続端子を構成するマイナス側オスコネクタと、マイナス側メスコネクタが嵌合されている状態を示す平面図であり、図2Bは、マイナス側メスコネクタのIIB−IIB線断面図、図2Cは、プラス側オスコネクタのIIC−IIC線断面図である。
【図3】1個の太陽電池モジュールの模式図である。
【図4】図4Aは、太陽電池モジュール単体同士の並列接続が可能であることの説明図、図4Bは太陽電池モジュール単体同士の直列接続が不可能であることの説明図である。
【図5】第1実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【図6】この発明の背景技術の太陽光発電システムの構成図である。
【図7】第2実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図8】第3実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図9】第4実施例に係る太陽光発電システムが適用された家屋等の模式図である。
【図10】第4実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図11】図11Aは、中点同士を接続していない接続箱を含む太陽光発電システムの構成図、図11Bは、中点同士を接続した接続箱を含む太陽光発電システムの構成図である。
【図12】第5実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【図13】第6実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に係る太陽光発電システムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1Aは、この実施形態に係る太陽光発電システムにおける太陽電池モジュールの並列接続等のために使用されるプラス側接続端子10を構成するプラス側オスコネクタ12mと、プラス側メスコネクタ12fが嵌合されている状態を示す平面図である。
【0019】
図1Bは、プラス側メスコネクタ12fのIB−IB線断面図、図1Cは、プラス側オスコネクタ12mのIC−IC線断面図である。
【0020】
プラス側メスコネクタ12f及びプラス側オスコネクタ12mにおいて、針状のオス電極18mと筒状のメス電極18fは導電性金属で形成され、その他の部分は樹脂で形成される。
【0021】
図1B、図1C中、白い部分は凹部であり、クロスハッチング部分は凸部であって相互に嵌合する。嵌合する際、オス電極18mとメス電極18fとが嵌合して電気的に接続される。
【0022】
図2Aは、この実施形態に係る太陽光発電システムにおける太陽電池モジュールの並列接続等のために使用されるマイナス側接続端子14を構成するマイナス側オスコネクタ16mと、マイナス側メスコネクタ16fが嵌合されている状態を示す平面図である。
【0023】
図2Bは、マイナス側メスコネクタ16fのIIB−IIB線断面図、図2Cは、マイナス側オスコネクタ16mのIIC−IIC線断面図である。
【0024】
針状のオス電極20mと筒状のメス電極20fは導電性金属で形成され、その他の部分は樹脂で形成される。
【0025】
図2B、図2C中、白い部分は凹部であり、黒い部分は凸部であり嵌合する。嵌合する際、マイナス側接続端子14のオス電極20mとメス電極20fとが嵌合し電気的に接続される。
【0026】
ただし、プラス側接続端子10とマイナス側接続端子14とでは、樹脂部分の形状が異なっているので、プラス側接続端子10のプラス側オスコネクタ12m(図1C参照)とマイナス側接続端子14のマイナス側メスコネクタ16f(図2B参照)とは嵌合しないし、プラス側接続端子10のプラス側メスコネクタ12f(図1f参照)とマイナス側接続端子14のマイナス側オスコネクタ16m(図2C参照)とも嵌合しない。したがって、誤接続、誤配線の発生のおそれがない。
【0027】
図3に模式的に示すように、1個の太陽電池モジュール30は、太陽電池本体34に端子ボックス36が設けられた構造とされており、太陽電池本体34の一側面側には、端子ボックス36から2本のケーブル32がそれぞれ上述したプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fに接続され、他側面側には、端子ボックス36から2本のケーブル32がそれぞれプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mに接続される。すなわち、並列接続可能な太陽電池モジュール30は、コネクタ付きケーブル32が4本出ている構造になっている。
【0028】
このように構成される太陽電池モジュール30は、図4Aに示すように、単体同士で並列接続は可能であるが、図4Bに示すように、単体同士での直列接続は不可能になる。
【0029】
なお、太陽電池本体34は、薄膜系太陽電池セルを採用しており、半導体層(光吸収層)が数10μm〜数μm以下の厚さをもち、Si系薄膜系と化合物薄膜系に分類され、更に化合物薄膜系には、II−VI族化合物型、カルコパイライト型等の種類がある。薄膜系太陽電池セルは、1枚のセルで50〜100[V]の電圧を発生できるため、1つの太陽電池本体34を、1〜3枚のセルで製作し、50〜300[V]の電圧を確保することが容易である。
【0030】
この実施形態において、1つの太陽電池本体34からなる太陽電池モジュール30が発生する電圧は、略等しく、公称出力電圧V0[V]であるものとする。
【0031】
図5は、第1実施例に係る太陽光発電システム50の模式的構成図である。接続箱40の一側面には、プラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mの対が2対設けられている。
【0032】
基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mには、図5に示すように太陽電池モジュール30aのプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fがそれぞれ嵌合し、太陽電池モジュール30aに太陽電池モジュール30bが並列接続される。
【0033】
同様に、高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mには、太陽電池モジュール30cのプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fがそれぞれ嵌合し、太陽電池モジュール30cに太陽電池モジュール30dが並列接続される。
【0034】
接続箱40の内部で、基準電位(低圧)側のプラス側オスコネクタ12mと、高圧電位側のマイナス側オスコネクタ16mとが内部配線ケーブル38により接続されている。接続箱40の基準電位側のマイナス側オスコネクタ16mは内部配線ケーブル54を通じて接続箱40の外部接続端子92に接続されるとともに、接続箱40の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mは内部配線ケーブル58を通じて接続箱40の外部接続端子91に接続される。
【0035】
したがって、図5例の太陽光発電システム50では、接続箱40外の入力側で、並列接続された太陽電池モジュール30a、30bと、並列接続された太陽電池モジュール30c、30dと、が接続箱40にコネクタ接続されることで、接続箱40内のケーブル38により自動的に直列接続される。
【0036】
外部接続端子91、92間に現れる2並列2直列の出力は、後述するパワーコンディショナの直流入力側に接続される。パワーコンディショナはインバータを含んで構成され、直流電力を、例えば商用周波数の電源に変換して家庭用あるいは産業用の利用に供する。
【0037】
このように、上述した構成による太陽光発電システム50は、コネクタが繋がるべきところのみに繋がる構造のため、誤接続の懸念が払拭される。
【0038】
次に、この実施形態に係る太陽光発電システム50の詳細について説明する前に、その理解の容易化のために、図6を参照して、この発明の背景技術の太陽光発電システム50Aの構成について説明する。
【0039】
図6に示す背景技術に係る太陽光発電システム50Aは、それぞれ並列接続可能な太陽電池モジュール134、133、132、131と、接続箱40Aと、パワーコンディショナ60Aとから構成される。隣り合うストリング同士である太陽電池モジュール134と133とが2つのプラス側接続端子10と2つのマイナス側接続端子14とにより接続箱40Aの外部で直列に接続されサブアレイ74とされ、残りの隣り合うストリング同士である太陽電池モジュール132と131とが2つのプラス側接続端子10と2つのマイナス側接続端子14とにより接続箱40Aの外部で直列に接続されサブアレイ72とされる。
【0040】
直列接続されたサブアレイ72とサブアレイ74とが、接続箱40Aの中で、4つの開閉器64及び2つの逆流防止ダイオード66により並列接続され、高電圧大電流(2直列2並列)出力の直流電源に合成される。この直流電源が外部接続端子91、92を通じてパワーコンディショナ60Aに供給され、商用周波数の交流電源70Aに変換される。
【0041】
この図6例の太陽光発電システム50Aでは、太陽電池モジュール134〜131の1個の出力電圧(公称出力電圧)がV0[V](例えば200[V])である場合、各開閉器64の耐電圧は2V0[V](したがって、400[V])必要である。耐電圧が2V0=400[V]の開閉器64は、沿面距離等を所定距離以上設ける必要があることから開閉器64の容積が相当に大きくなり、重く取り扱いも不便になるという課題がある。
【0042】
また、背景技術に係る図6例の太陽光発電システム50Aでは、サブアレイ72(サブアレイ74)の上側のストリングの太陽電池モジュール133(131)と、下側のストリングの太陽電池モジュール134(132)の数は、直列接続であることから同数で接続しないと、電流使用効率が悪くなる。しかし、同数に接続しようとすると、屋根等への設置の自由度が阻害されるという課題がある。
【0043】
図7は、これらの課題を解決するためになされた、この発明の第2実施例に係る太陽光発電システム50Bの構成図を示す。
【0044】
図8は、同様に上述の課題を解決するためになされた、この発明の第3実施例に係る太陽光発電システム50Cの構成図である。
【0045】
太陽光発電システム50B、50Cにおいて、接続箱40Bの構成は同一である。接続箱40Bの入力側の基準電位側及び高圧側にそれぞれ2対のプラス側接続端子10とマイナス側接続端子14のそれぞれプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mが設けられる。
【0046】
接続箱40Bの外部接続端子91、92間には、直列接続されたストリングが並列接続された高電圧・大出力が出力される。
【0047】
図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、接続箱40Bの入力側の基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第3(第4)ストリング183(184)を構成する第3(第4)の太陽電池モジュール133(134)が接続され、接続箱40Bの入力側の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第1(第2)ストリング181(182)を構成する第1(第2)の太陽電池モジュール131(132)が接続される。
【0048】
一方、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、接続箱40Bの入力側の基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第3(第4)ストリング83(84)を構成する第3(第4)の太陽電池モジュール30D(30A、30B、30C)が接続され、接続箱40Bの入力側の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第1(第2)ストリング81(82)を構成する第1(第2)の太陽電池モジュール30F、30G、30H(30E)が接続される。太陽電池モジュール30A、30B、30Cは、並列接続され、太陽電池モジュール30F、30G、30Hも、並列接続されている。
【0049】
また、図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、接続箱40B内で、第1〜第4ストリング181〜184(太陽電池モジュール131〜134)のプラス側オスコネクタ12mに開閉器64Aを介してそれぞれ逆流防止機能を有する逆流防止ダイオード66のアノード電極が接続される。逆流防止ダイオード66のカソード電極とマイナス側オスコネクタ16mに接続される開閉器64Aとの間にバイパス用ダイオード68のアノード電極が接続される。バイパス用ダイオード68のカソード電極は、開閉器64Aを介してマイナス側オスコネクタ16mに接続される。
【0050】
同様に、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、接続箱40B内で、第1〜第4ストリング81〜84のプラス側オスコネクタ12mにそれぞれ逆流防止機能を有する逆流防止ダイオード66のアノード電極が接続される。逆流防止ダイオード66のカソード電極とマイナス側オスコネクタ16mに接続される開閉器64Aとの間にバイパス用ダイオード68が接続される。バイパス用ダイオード68のアノード電極は、開閉器64Aを介してマイナス側オスコネクタ16mに接続される。
【0051】
そして、図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、第4ストリング184を構成する太陽電池モジュール134のプラス側接続端子10と、第3ストリング183を構成する太陽電池モジュール133のマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される一方、第2ストリング182を構成する太陽電池モジュール132のプラス側接続端子10と、第1ストリング181を構成する太陽電池モジュール131のマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される。それぞれ直列接続されたサブアレイ72Aと74Aとが、外部接続端子91、92の所で接続箱40Bの内部配線により並列接続される。
【0052】
同様に、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、第4ストリング84を構成する並列接続の太陽電池モジュール30A、30B、30Cのプラス側接続端子10と、第3ストリング83を構成する太陽電池モジュール30Dのマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続され、第2ストリング82を構成する太陽電池モジュール30Eのプラス側接続端子10と、第1ストリング81を構成する並列接続の太陽電池モジュール30F〜30Hのマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される。それぞれ直列接続されたサブアレイ72Bと74B(サブアレイ72Bとサブアレイ74Bを合わせてアレイ78という。)とが、外部接続端子91、92の所で接続箱40Bの内部配線により並列接続される。
【0053】
さらにまた、図7例及び図8例の太陽光発電システム50B、50Cの各接続箱40B内で、第1及び第2ストリング81(181)、82(182)の直列接続点である中点75と、第3及び第4ストリング83(183)、84(184)の直列接続点である中点76とが短絡接続される。
【0054】
中点75、76の短絡接続点(共通接続点)は、接続箱40Bの外部接続端子93を通じてパワーコンディショナ60Aに接続される。
【0055】
ここで、多数の太陽電池モジュール30A〜30Hを有する図8例の太陽光発電システム50Cを例として、外部接続端子91、92に現れる出力電圧及び出力電流について模式的に説明する。理解の容易化のため、仮に太陽電池モジュール30A〜30Hが陰っていないで日が当たっているときのそれぞれの(パネル1枚の)出力電圧(公称出力電圧V0)を200[V]、出力電流を1[A]とすれば、第4ストリング84のプラス側接続端子10から200[V]で3[A]の直流電流が流れ出し、内、1[A]分の直流電流が、第3ストリング83を通じプラス側接続端子10から400[V]で1[A]の直流電流として流し出される。
【0056】
一方、第2ストリング82のプラス側接続端子10から200[V]で1[A]の直流電流が流れ出し、この1[A]の直流電流と、上記の第4ストリング84のプラス側接続端子10から200[V]で3[A]で流れ出した直流電流が分岐した2[A]の直流電流とが、中点75で合成され、200[V]で3[A]の直流電流として第1ストリング81に流れ込み、第1ストリング81から400[V]で3[A]の直流電流として流れだす。この400[V]で3[A]の直流電流と、第3ストリング83から400[V]で流れ出した1[A]の直流電流とが外部接続端子91の所で合成され、外部接続端子91から400[V]で4Aの直流電流がパワーコンディショナ60Aに供給される。なお、外部接続端子92から接続箱40B側に0[V]で4[A]の直流電源が流れ込む。
【0057】
パワーコンディショナ60Aは、インバータであり、400[V]の直流出力を、例えば、200[V]の商用周波数の交流電源70Aに変換する。
【0058】
この場合、図8例の太陽光発電システム50Cでは、サブアレイ72B(74B)毎の第1及び第2ストリング81、82(第3及び第4ストリング83、84)のプラス側、マイナス側の太陽電池モジュールの数が揃っていなくても{サブアレイ72Bの第1ストリング81は3枚(プラス側)、第2ストリング82は1枚(マイナス側)、サブアレイ74Bの第3ストリング83は1枚(プラス側)、第4ストリング84は3枚(マイナス側)}となっており、アレイ78全体でのプラス側(高電位側)の太陽電池モジュール30F、30G、30H、30Dの数4枚とマイナス側(基準電位側、低電位側)の太陽電池モジュール30E、30A、30B、30Cの数4枚との枚数が同数であればよいので、太陽光発電システム50Cの設置自由度(設置場所の形状への適応性)が向上する。
【0059】
例えば、図9に模式的に描いた南向きの屋根に煙突114や天窓112が存在する家屋108であっても、太陽電池モジュール30を18個含む次に説明する第4実施例に係る太陽光発電システム50Dを構成する第1〜第8ストリングS1〜S8を、煙突114及び天窓112を避けて図示のように並べて当該太陽光発電システム50Dを適用することができる。
【0060】
この場合、図10の簡易回路図(入力側のプラス側接続端子10とマイナス側接続端子14等を省略して描いている。)に示すように、第4実施例に係る太陽光発電システム50Dを構成する接続箱40C内で、中点271、272、273、274を相互に接続する。
【0061】
また、接続箱40C内で、第8、第7ストリングS8、S7を直列に接続して(第8ストリングS8を低圧側とする。)、サブアレイ174Bbを形成し、400[V]、3[A]の出力とする。
【0062】
さらに、接続箱40C内で、第6、第5ストリングS6、S5を直列に接続して(第6ストリングS6を低圧側とする。)、サブアレイ174Baを形成し、400[V]、1[A]の出力とする。
【0063】
直列接続した第8、第7ストリングS8、S7からなるサブアレイ174Bbと、第6、第5ストリングS6、S5からなるサブアレイ174Baとを、接続箱40C内で並列接続して、400[V]、4[A]の出力(出力Aという。)を得る。
【0064】
次に、第4、第3ストリングS4、S3を直列に接続して(第4ストリングS4側を低圧側とする。)サブアレイ172Bbを形成し、中点272から流れ込む電流を合成した、400[V]で2[A]の直流電流出力とする。
【0065】
また、第2、第1ストリングS2、S1を直列に接続して(第2ストリングS2を低圧側とする。)サブアレイ172Baを形成し、400[V]、3[A]の出力とする。サブアレイ172Bb、172Baを接続箱40C内で並列接続して、400[V]、5[A]の出力(出力Bという。)とする。
【0066】
そして、接続箱40C内で、これら出力Aと出力Bとを並列接続して、すなわち4個のサブアレイ174Bb、174Ba、172Bb、172Baを並列接続し400[V]、9[A]の出力として、外部接続端子91、92に供給する。
【0067】
400[V]、9[A]の出力は、図9、図10に示すように、接続箱40Cからパワーコンディショナ60Bを通じて商用周波数の交流電源70Bに変換され、積算電力計110に接続される。積算電力計110には、電柱116から3相の商用交流電源も供給される。
【0068】
なお、図10に示したように、逆流防止ダイオード66は、低圧側(太陽電池モジュール30に電流が流れ込む側)に設けることができる。
【0069】
次に、サブアレイ172B、174B等の中点271、272、273、274を接続する意義について、説明する。
【0070】
中点を接続することで、第1に、ストリングS1〜S8を構成する太陽電池モジュール30の数が異なっていても、アレイ178全体で、プラス側(高圧側)とマイナス側(低圧側)の太陽電池モジュール30の数が同数(図10例では、9個)であれば、並列接続された太陽電池モジュール30の全(図10例では18個の)発電電流を出力として利用することができる。
【0071】
第2に、中点を接続することで、開閉器64A(図7参照)やパワーコンディショナ60Bの入力側で外部接続端子91、92と外部接続端子93との間に接続される図示しない平滑コンデンサ等の電気部品の耐電圧を半分の1/2にすることができる。
【0072】
例えば、図11Aは、中点75、76を接続しない接続箱40Dを用いた太陽光発電システム50Eを示し、図11Bは、中点75、76同士を接続した接続箱40Bを用いた太陽光発電システム50Bを示している。
【0073】
理解の便宜のため、図11A、図11Bに示すように、低圧側の下から4番目の1個の開閉器64Aのみが開いている状態であって、かつ太陽電池モジュール131、132に日が当たっていて、太陽電池モジュール133、134にハッチングの範囲で示すように全く日が当たっていない場合を考えてみると、図11Aの中点75、76を接続していない接続箱40Dにおいて、中点76の電位は不定であるので0[V]になる場合もあり、このときに開閉器64Aを開閉することを考えると、開閉器64Aには400[V]の耐電圧仕様が必要である。
【0074】
しかし、図11Bの中点75、76同士を接続(短絡)している接続箱40Bにおいて、中点76には、太陽電池モジュール132に現れている200[V]の電圧が現れるので、開閉器64Aの耐電圧仕様は、半分の200[V]ですむことが分かる。
【0075】
そして、一般に、高耐圧・大電力の開閉器は、高耐圧になるほど、電極間の沿面距離を大きくする必要があるので容積(体積)が大きくなる。しかも開閉器を多数個使用するので、接続箱40Dの大きさを、接続箱40Bの大きさに比較して相当大きくする必要がある。換言すれば、中点75、76同士を接続することにより開閉器64Aの耐電圧の小さいものを使用することができ、接続箱40Bの大きさ(容積)を小さくすることができる。
【0076】
以上説明したように、上述した実施形態に採用されている接続箱40(図5)、40B(図7、図8)、40C(図9、図10)、40D(図11A)を備える太陽光発電システム50(図5)、50C(図7、図8)、50D(図9、図10)、50E(図11A)は、それぞれ誤接続防止コネクタであるプラス側接続端子10(プラス側メスコネクタ12fとプラス側オスコネクタ12m)と、マイナス側接続端子14(マイナス側メスコネクタ16fとマイナス側オスコネクタ16m)とを備える太陽電池モジュール30A等を用いても、接続箱40等の内部で直列接続が可能であるので、確実に誤接続が回避される。
【0077】
また、中点75、76(271〜274)を接続(短絡)することで、開閉器64A等の部品の耐圧を1ストリング分の耐圧、上述した実施形態では、出力電圧400[V]の半分の200[V]に下げることができる。
【0078】
なお、接続した中点75、76をパワーコンディショナ60A等側にも引き回わしているので、パワーコンディショナ60A等の内部の入力側でこの中点と、高圧電圧(上記の実施形態では400[V])及び基準電圧(0[V])との間に接続する平滑コンデンサ等の電気部品の耐圧を半分の200[V]にすることができる。
【0079】
さらに、図8(図10)に示したように、中点75、76(中点271〜274)を接続することで、サブアレイ72B(172B)の上下のストリング81、82(S1〜S4)の太陽電池モジュールの枚数を合わせる必要がなく、同様にサブアレイ74B(174B)の上下のストリング83、84(S5〜S8)の太陽電池モジュールの枚数を合わせる必要がない。アレイ78(178)トータルで上下(高圧側と低圧側)の太陽電池モジュールの枚数が揃っていればよいので、複雑形状の設置場所にも、適応性の高い柔軟な設置手法を採用することができる。
【0080】
さらにまた、接続箱40B等の入力側をコネクタにしているので、感電のおそれがない。
【0081】
図12は、第5実施例に係る太陽光発電システム50Fの模式的構成図である。
【0082】
この接続箱40Eでは、サブアレイ172Aを構成する3個の太陽電池モジュール130〜132が直列接続され、サブアレイ174Aを構成する3個の太陽電池モジュール133〜135が直列接続され、それらが並列接続されて出力される。
【0083】
この図12例では、開閉器64A等の耐電圧は、中点75、76、中点77、79を接続しない構成に比較して1/3にすることができる。
【0084】
図13は、第6実施例に係る太陽光発電システム50Gの模式的構成図である。
【0085】
この接続箱40Fでは、アレイ278のサブアレイ282〜285を構成する各3個のストリング(各1個の太陽電池モジュール)231〜233、234〜236、237〜239、240〜242がそれぞれ直列接続され、さらにサブアレイ282〜285を構成する同一出力電圧同士が並列接続されて、外部出力端子91〜94から出力される。
【0086】
図13例の太陽光発電システム50Gにおいて、一般的に説明すると、ストリングの数は、m(m=12、mは、2以上の整数)個である。
【0087】
そして、接続箱40F内で、出力電圧pV0(p=3、pは、2以上の整数)のサブアレイが、n(n=4、nは2以上の整数)個形成され、さらに、前記サブアレイ282〜285の同一電位の出力電圧pV0[V]=3V0のストリング231、234、237、240同士、出力電圧(p−1)V0=2V0のストリング232、235、238、241同士、及び出力電圧(p−2)V0=V0のストリング233、236、239、242同士を並列接続して出力する内部結線構成とされている。
【0088】
接続箱40Fは、さらに、各サブアレイ282〜285の同一中間電位{(p−1)V0=2V0、(p−2)V0、=V0}点同士を短絡する内部結線構成とされている。
【0089】
そして、好ましくは、図10等を参照して説明したように、太陽光発電システム50Dの各電位pV0=2V0、V0に接続される太陽電池モジュールの枚数を、それぞれ各9枚(pV0=2V0側が、3枚(S1)、2枚(S3)、1枚(S5)、3枚(S7)で9枚、V0側が、3枚(S2)、1枚(S4)、2枚(S6)、3枚(S8)で9枚)と同数にする。
【0090】
図13例の太陽光発電システム50Gでは、出力電圧3V0、2V0、V0に接続される太陽電池モジュールの枚数は、各4枚と同数になっている。
【0091】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0092】
10…プラス側接続端子 12f…プラス側メスコネクタ
12m…プラス側オスコネクタ 14…マイナス側接続端子
16f…マイナス側メスコネクタ 16m…マイナス側オスコネクタ
18f、20f…メス電極 18m、20m…オス電極
30、30a〜30d、30A〜30H、130〜134…太陽電池モジュール
32、38、54、58…ケーブル 34…太陽電池本体
36…端子ボックス 40、40A〜40F…接続箱
50、50A〜50G…太陽光発電システム 60A、60B…パワーコンディショナ
64、64A…開閉器 66…逆流防止ダイオード
68…バイパス用ダイオード 70A、70B…交流電源
72、72A、72B、74、74A、74B、172A、172B、172Ba、172Bb、174A、174B、174Bb、282〜285…サブアレイ
75〜77、79、271〜274…中点 78、178、278…アレイ
81〜84、181〜184、232〜242、S1〜S8…ストリング
91〜94…外部接続端子 108…家屋
112…天窓 114…煙突
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続し、高電圧・大電力の直流出力が得られるようにした太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直列接続した太陽電池モジュールを並列接続し、高電圧・大電力の直流出力にしてパワーコンディショナに供給し交流電力に変換する太陽光発電システムが提案されている(特許文献1)。上記のパワーコンディショナにより、前記直流出力が、商用周波数の電源に変換され家庭用あるいは産業用として電力系統連系に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−124490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係る太陽光発電システムにおいては、2つの太陽電池モジュールを直列接続する際に、2つの中継器が必要とされ、さらに、直列接続された2つの太陽電池モジュールを並列接続する際に、2つのコネクタが必要とされる。そのため、ケーブルの接続構造が複雑となり、ケーブルの誤配線・誤接続を招き易いという問題がある。
【0005】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、接続構造が簡素で、高電圧・大電力の直流出力を得ることを可能とする太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0006】
また、この発明は、接続構造が簡素で、かつ誤配線の発生のおそれがなく、高電圧・大電力の直流出力を得ることを可能とする太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0007】
さらに、この発明は、簡単な構成で設置場所の形状への適応性の高い太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る太陽光発電システムは、以下の特徴(1)〜(5)を備える。
【0009】
(1)プラス側接続端子とマイナス側接続端子とを有し並列接続可能な公称出力電圧V0[V]の太陽電池モジュールが、それぞれ並列接続された複数個又は1個からなるストリングがm個(mは、2以上の整数)からなる太陽電池パネルアレイと、前記各ストリングの出力を接続するための、前記プラス側接続端子対応入力端子と前記マイナス側接続端子対応入力端子との端子対が、前記各ストリングの数だけ設けられた接続箱と、を備え、前記接続箱は、複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイをn個(nは、2以上の整数)形成し、さらに、出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士を並列接続して出力する内部結線構成とされていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、m個(mは、2以上の整数)のストリングを接続箱の入力側に接続するだけで、接続箱の出力側に、複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイがn個(nは、2以上の整数)形成され、さらに、n個の出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士が並列接続された高電圧・大電力の直流出力が得られる。
【0011】
(2)上記の特徴(1)を有する発明において、前記接続箱内で、各サブアレイの同一中間電位{(p−1)V0、(p−2)V0、…、V0}点(各中点という。)同士を短絡する構成とすることで、各サブアレイのいずれかの各中点に電位が発生していれば、他のサブアレイの対応する各中点も同電位となるので、後述するように、回路中に配される開閉器の耐電圧仕様を、中点同士を開放しておく場合に比較して小電圧使用にすることができる。
【0012】
(3)上記の特徴(1)又は(2)を有する発明において、前記pV0、(p−1)V0、…、V0の各同電位に接続される前記太陽電池モジュールの枚数を、同数にすることで、全ての太陽電池モジュールから効率よく出力電流を取り出すことができる。このような簡単な構成で設置場所の形状への適応性を高くすることができる。
【0013】
(4)上記の特徴(1)〜(3)のいずれかを有する発明において、前記接続箱内に、前記各ストリングの出力に対して逆流防止ダイオードと、バイパスダイオードとを接続配置することで、一部が日陰になっている太陽電池モジュールが存在した場合にも、逆流を確実に防止し、かつ日陰になっている太陽電池モジュールをバイパスして効率よく作動させることができる。
【0014】
(5)上記の特徴(1)〜(4)のいずれかを有する発明において、各太陽電池モジュールに、前記プラス側接続端子として、プラス側オスコネクタとプラス側メスコネクタとを備え、前記マイナス側接続端子として、マイナス側オスコレクタとマイナス側メスコネクタとを備え、プラス側コネクタ同士とマイナス側コネクタ同士とを嵌合不能な構造に構成する。そして、ある太陽電池モジュールを、プラス側マイナス側1対のオスコネクタ(又はメスコネクタ)を介して、前記接続箱に設けられた対応する1対のメスコネクタ(オスコネクタ)に嵌合する一方、プラス側マイナス側1対のメスコネクタ(オスコネクタ)を介して、他の太陽電池モジュールのプラス側マイナス側1対のオスコネクタ(メスコネクタ)に嵌合し並列接続可能に構成する。このように構成することで、接続構造が簡素で、かつ誤配線の発生のおそれがなく、高電圧・大電力の直流出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、接続構造が簡素で、高電圧・大電力の直流出力を得ることができる太陽光発電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aは、太陽電池モジュールに設けられたプラス側接続端子を構成するプラス側オスコネクタと、プラス側メスコネクタが嵌合されている状態を示す平面図であり、図1Bは、プラス側メスコネクタのIB−IB線断面図、図1Cは、プラス側オスコネクタのIC−IC線断面図である。
【図2】図2Aは、太陽電池モジュールに設けられたマイナス側接続端子を構成するマイナス側オスコネクタと、マイナス側メスコネクタが嵌合されている状態を示す平面図であり、図2Bは、マイナス側メスコネクタのIIB−IIB線断面図、図2Cは、プラス側オスコネクタのIIC−IIC線断面図である。
【図3】1個の太陽電池モジュールの模式図である。
【図4】図4Aは、太陽電池モジュール単体同士の並列接続が可能であることの説明図、図4Bは太陽電池モジュール単体同士の直列接続が不可能であることの説明図である。
【図5】第1実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【図6】この発明の背景技術の太陽光発電システムの構成図である。
【図7】第2実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図8】第3実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図9】第4実施例に係る太陽光発電システムが適用された家屋等の模式図である。
【図10】第4実施例に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図11】図11Aは、中点同士を接続していない接続箱を含む太陽光発電システムの構成図、図11Bは、中点同士を接続した接続箱を含む太陽光発電システムの構成図である。
【図12】第5実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【図13】第6実施例に係る太陽光発電システムの模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に係る太陽光発電システムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1Aは、この実施形態に係る太陽光発電システムにおける太陽電池モジュールの並列接続等のために使用されるプラス側接続端子10を構成するプラス側オスコネクタ12mと、プラス側メスコネクタ12fが嵌合されている状態を示す平面図である。
【0019】
図1Bは、プラス側メスコネクタ12fのIB−IB線断面図、図1Cは、プラス側オスコネクタ12mのIC−IC線断面図である。
【0020】
プラス側メスコネクタ12f及びプラス側オスコネクタ12mにおいて、針状のオス電極18mと筒状のメス電極18fは導電性金属で形成され、その他の部分は樹脂で形成される。
【0021】
図1B、図1C中、白い部分は凹部であり、クロスハッチング部分は凸部であって相互に嵌合する。嵌合する際、オス電極18mとメス電極18fとが嵌合して電気的に接続される。
【0022】
図2Aは、この実施形態に係る太陽光発電システムにおける太陽電池モジュールの並列接続等のために使用されるマイナス側接続端子14を構成するマイナス側オスコネクタ16mと、マイナス側メスコネクタ16fが嵌合されている状態を示す平面図である。
【0023】
図2Bは、マイナス側メスコネクタ16fのIIB−IIB線断面図、図2Cは、マイナス側オスコネクタ16mのIIC−IIC線断面図である。
【0024】
針状のオス電極20mと筒状のメス電極20fは導電性金属で形成され、その他の部分は樹脂で形成される。
【0025】
図2B、図2C中、白い部分は凹部であり、黒い部分は凸部であり嵌合する。嵌合する際、マイナス側接続端子14のオス電極20mとメス電極20fとが嵌合し電気的に接続される。
【0026】
ただし、プラス側接続端子10とマイナス側接続端子14とでは、樹脂部分の形状が異なっているので、プラス側接続端子10のプラス側オスコネクタ12m(図1C参照)とマイナス側接続端子14のマイナス側メスコネクタ16f(図2B参照)とは嵌合しないし、プラス側接続端子10のプラス側メスコネクタ12f(図1f参照)とマイナス側接続端子14のマイナス側オスコネクタ16m(図2C参照)とも嵌合しない。したがって、誤接続、誤配線の発生のおそれがない。
【0027】
図3に模式的に示すように、1個の太陽電池モジュール30は、太陽電池本体34に端子ボックス36が設けられた構造とされており、太陽電池本体34の一側面側には、端子ボックス36から2本のケーブル32がそれぞれ上述したプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fに接続され、他側面側には、端子ボックス36から2本のケーブル32がそれぞれプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mに接続される。すなわち、並列接続可能な太陽電池モジュール30は、コネクタ付きケーブル32が4本出ている構造になっている。
【0028】
このように構成される太陽電池モジュール30は、図4Aに示すように、単体同士で並列接続は可能であるが、図4Bに示すように、単体同士での直列接続は不可能になる。
【0029】
なお、太陽電池本体34は、薄膜系太陽電池セルを採用しており、半導体層(光吸収層)が数10μm〜数μm以下の厚さをもち、Si系薄膜系と化合物薄膜系に分類され、更に化合物薄膜系には、II−VI族化合物型、カルコパイライト型等の種類がある。薄膜系太陽電池セルは、1枚のセルで50〜100[V]の電圧を発生できるため、1つの太陽電池本体34を、1〜3枚のセルで製作し、50〜300[V]の電圧を確保することが容易である。
【0030】
この実施形態において、1つの太陽電池本体34からなる太陽電池モジュール30が発生する電圧は、略等しく、公称出力電圧V0[V]であるものとする。
【0031】
図5は、第1実施例に係る太陽光発電システム50の模式的構成図である。接続箱40の一側面には、プラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mの対が2対設けられている。
【0032】
基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mには、図5に示すように太陽電池モジュール30aのプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fがそれぞれ嵌合し、太陽電池モジュール30aに太陽電池モジュール30bが並列接続される。
【0033】
同様に、高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mには、太陽電池モジュール30cのプラス側メスコネクタ12fとマイナス側メスコネクタ16fがそれぞれ嵌合し、太陽電池モジュール30cに太陽電池モジュール30dが並列接続される。
【0034】
接続箱40の内部で、基準電位(低圧)側のプラス側オスコネクタ12mと、高圧電位側のマイナス側オスコネクタ16mとが内部配線ケーブル38により接続されている。接続箱40の基準電位側のマイナス側オスコネクタ16mは内部配線ケーブル54を通じて接続箱40の外部接続端子92に接続されるとともに、接続箱40の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mは内部配線ケーブル58を通じて接続箱40の外部接続端子91に接続される。
【0035】
したがって、図5例の太陽光発電システム50では、接続箱40外の入力側で、並列接続された太陽電池モジュール30a、30bと、並列接続された太陽電池モジュール30c、30dと、が接続箱40にコネクタ接続されることで、接続箱40内のケーブル38により自動的に直列接続される。
【0036】
外部接続端子91、92間に現れる2並列2直列の出力は、後述するパワーコンディショナの直流入力側に接続される。パワーコンディショナはインバータを含んで構成され、直流電力を、例えば商用周波数の電源に変換して家庭用あるいは産業用の利用に供する。
【0037】
このように、上述した構成による太陽光発電システム50は、コネクタが繋がるべきところのみに繋がる構造のため、誤接続の懸念が払拭される。
【0038】
次に、この実施形態に係る太陽光発電システム50の詳細について説明する前に、その理解の容易化のために、図6を参照して、この発明の背景技術の太陽光発電システム50Aの構成について説明する。
【0039】
図6に示す背景技術に係る太陽光発電システム50Aは、それぞれ並列接続可能な太陽電池モジュール134、133、132、131と、接続箱40Aと、パワーコンディショナ60Aとから構成される。隣り合うストリング同士である太陽電池モジュール134と133とが2つのプラス側接続端子10と2つのマイナス側接続端子14とにより接続箱40Aの外部で直列に接続されサブアレイ74とされ、残りの隣り合うストリング同士である太陽電池モジュール132と131とが2つのプラス側接続端子10と2つのマイナス側接続端子14とにより接続箱40Aの外部で直列に接続されサブアレイ72とされる。
【0040】
直列接続されたサブアレイ72とサブアレイ74とが、接続箱40Aの中で、4つの開閉器64及び2つの逆流防止ダイオード66により並列接続され、高電圧大電流(2直列2並列)出力の直流電源に合成される。この直流電源が外部接続端子91、92を通じてパワーコンディショナ60Aに供給され、商用周波数の交流電源70Aに変換される。
【0041】
この図6例の太陽光発電システム50Aでは、太陽電池モジュール134〜131の1個の出力電圧(公称出力電圧)がV0[V](例えば200[V])である場合、各開閉器64の耐電圧は2V0[V](したがって、400[V])必要である。耐電圧が2V0=400[V]の開閉器64は、沿面距離等を所定距離以上設ける必要があることから開閉器64の容積が相当に大きくなり、重く取り扱いも不便になるという課題がある。
【0042】
また、背景技術に係る図6例の太陽光発電システム50Aでは、サブアレイ72(サブアレイ74)の上側のストリングの太陽電池モジュール133(131)と、下側のストリングの太陽電池モジュール134(132)の数は、直列接続であることから同数で接続しないと、電流使用効率が悪くなる。しかし、同数に接続しようとすると、屋根等への設置の自由度が阻害されるという課題がある。
【0043】
図7は、これらの課題を解決するためになされた、この発明の第2実施例に係る太陽光発電システム50Bの構成図を示す。
【0044】
図8は、同様に上述の課題を解決するためになされた、この発明の第3実施例に係る太陽光発電システム50Cの構成図である。
【0045】
太陽光発電システム50B、50Cにおいて、接続箱40Bの構成は同一である。接続箱40Bの入力側の基準電位側及び高圧側にそれぞれ2対のプラス側接続端子10とマイナス側接続端子14のそれぞれプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mが設けられる。
【0046】
接続箱40Bの外部接続端子91、92間には、直列接続されたストリングが並列接続された高電圧・大出力が出力される。
【0047】
図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、接続箱40Bの入力側の基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第3(第4)ストリング183(184)を構成する第3(第4)の太陽電池モジュール133(134)が接続され、接続箱40Bの入力側の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第1(第2)ストリング181(182)を構成する第1(第2)の太陽電池モジュール131(132)が接続される。
【0048】
一方、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、接続箱40Bの入力側の基準電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第3(第4)ストリング83(84)を構成する第3(第4)の太陽電池モジュール30D(30A、30B、30C)が接続され、接続箱40Bの入力側の高圧電位側のプラス側オスコネクタ12mとマイナス側オスコネクタ16mにそれぞれ第1(第2)ストリング81(82)を構成する第1(第2)の太陽電池モジュール30F、30G、30H(30E)が接続される。太陽電池モジュール30A、30B、30Cは、並列接続され、太陽電池モジュール30F、30G、30Hも、並列接続されている。
【0049】
また、図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、接続箱40B内で、第1〜第4ストリング181〜184(太陽電池モジュール131〜134)のプラス側オスコネクタ12mに開閉器64Aを介してそれぞれ逆流防止機能を有する逆流防止ダイオード66のアノード電極が接続される。逆流防止ダイオード66のカソード電極とマイナス側オスコネクタ16mに接続される開閉器64Aとの間にバイパス用ダイオード68のアノード電極が接続される。バイパス用ダイオード68のカソード電極は、開閉器64Aを介してマイナス側オスコネクタ16mに接続される。
【0050】
同様に、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、接続箱40B内で、第1〜第4ストリング81〜84のプラス側オスコネクタ12mにそれぞれ逆流防止機能を有する逆流防止ダイオード66のアノード電極が接続される。逆流防止ダイオード66のカソード電極とマイナス側オスコネクタ16mに接続される開閉器64Aとの間にバイパス用ダイオード68が接続される。バイパス用ダイオード68のアノード電極は、開閉器64Aを介してマイナス側オスコネクタ16mに接続される。
【0051】
そして、図7例の太陽光発電システム50Bにおいて、第4ストリング184を構成する太陽電池モジュール134のプラス側接続端子10と、第3ストリング183を構成する太陽電池モジュール133のマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される一方、第2ストリング182を構成する太陽電池モジュール132のプラス側接続端子10と、第1ストリング181を構成する太陽電池モジュール131のマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される。それぞれ直列接続されたサブアレイ72Aと74Aとが、外部接続端子91、92の所で接続箱40Bの内部配線により並列接続される。
【0052】
同様に、図8例の太陽光発電システム50Cにおいて、第4ストリング84を構成する並列接続の太陽電池モジュール30A、30B、30Cのプラス側接続端子10と、第3ストリング83を構成する太陽電池モジュール30Dのマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続され、第2ストリング82を構成する太陽電池モジュール30Eのプラス側接続端子10と、第1ストリング81を構成する並列接続の太陽電池モジュール30F〜30Hのマイナス側接続端子14とが接続箱40B内で、開閉器64A及び逆流防止ダイオード66を通じて直列接続される。それぞれ直列接続されたサブアレイ72Bと74B(サブアレイ72Bとサブアレイ74Bを合わせてアレイ78という。)とが、外部接続端子91、92の所で接続箱40Bの内部配線により並列接続される。
【0053】
さらにまた、図7例及び図8例の太陽光発電システム50B、50Cの各接続箱40B内で、第1及び第2ストリング81(181)、82(182)の直列接続点である中点75と、第3及び第4ストリング83(183)、84(184)の直列接続点である中点76とが短絡接続される。
【0054】
中点75、76の短絡接続点(共通接続点)は、接続箱40Bの外部接続端子93を通じてパワーコンディショナ60Aに接続される。
【0055】
ここで、多数の太陽電池モジュール30A〜30Hを有する図8例の太陽光発電システム50Cを例として、外部接続端子91、92に現れる出力電圧及び出力電流について模式的に説明する。理解の容易化のため、仮に太陽電池モジュール30A〜30Hが陰っていないで日が当たっているときのそれぞれの(パネル1枚の)出力電圧(公称出力電圧V0)を200[V]、出力電流を1[A]とすれば、第4ストリング84のプラス側接続端子10から200[V]で3[A]の直流電流が流れ出し、内、1[A]分の直流電流が、第3ストリング83を通じプラス側接続端子10から400[V]で1[A]の直流電流として流し出される。
【0056】
一方、第2ストリング82のプラス側接続端子10から200[V]で1[A]の直流電流が流れ出し、この1[A]の直流電流と、上記の第4ストリング84のプラス側接続端子10から200[V]で3[A]で流れ出した直流電流が分岐した2[A]の直流電流とが、中点75で合成され、200[V]で3[A]の直流電流として第1ストリング81に流れ込み、第1ストリング81から400[V]で3[A]の直流電流として流れだす。この400[V]で3[A]の直流電流と、第3ストリング83から400[V]で流れ出した1[A]の直流電流とが外部接続端子91の所で合成され、外部接続端子91から400[V]で4Aの直流電流がパワーコンディショナ60Aに供給される。なお、外部接続端子92から接続箱40B側に0[V]で4[A]の直流電源が流れ込む。
【0057】
パワーコンディショナ60Aは、インバータであり、400[V]の直流出力を、例えば、200[V]の商用周波数の交流電源70Aに変換する。
【0058】
この場合、図8例の太陽光発電システム50Cでは、サブアレイ72B(74B)毎の第1及び第2ストリング81、82(第3及び第4ストリング83、84)のプラス側、マイナス側の太陽電池モジュールの数が揃っていなくても{サブアレイ72Bの第1ストリング81は3枚(プラス側)、第2ストリング82は1枚(マイナス側)、サブアレイ74Bの第3ストリング83は1枚(プラス側)、第4ストリング84は3枚(マイナス側)}となっており、アレイ78全体でのプラス側(高電位側)の太陽電池モジュール30F、30G、30H、30Dの数4枚とマイナス側(基準電位側、低電位側)の太陽電池モジュール30E、30A、30B、30Cの数4枚との枚数が同数であればよいので、太陽光発電システム50Cの設置自由度(設置場所の形状への適応性)が向上する。
【0059】
例えば、図9に模式的に描いた南向きの屋根に煙突114や天窓112が存在する家屋108であっても、太陽電池モジュール30を18個含む次に説明する第4実施例に係る太陽光発電システム50Dを構成する第1〜第8ストリングS1〜S8を、煙突114及び天窓112を避けて図示のように並べて当該太陽光発電システム50Dを適用することができる。
【0060】
この場合、図10の簡易回路図(入力側のプラス側接続端子10とマイナス側接続端子14等を省略して描いている。)に示すように、第4実施例に係る太陽光発電システム50Dを構成する接続箱40C内で、中点271、272、273、274を相互に接続する。
【0061】
また、接続箱40C内で、第8、第7ストリングS8、S7を直列に接続して(第8ストリングS8を低圧側とする。)、サブアレイ174Bbを形成し、400[V]、3[A]の出力とする。
【0062】
さらに、接続箱40C内で、第6、第5ストリングS6、S5を直列に接続して(第6ストリングS6を低圧側とする。)、サブアレイ174Baを形成し、400[V]、1[A]の出力とする。
【0063】
直列接続した第8、第7ストリングS8、S7からなるサブアレイ174Bbと、第6、第5ストリングS6、S5からなるサブアレイ174Baとを、接続箱40C内で並列接続して、400[V]、4[A]の出力(出力Aという。)を得る。
【0064】
次に、第4、第3ストリングS4、S3を直列に接続して(第4ストリングS4側を低圧側とする。)サブアレイ172Bbを形成し、中点272から流れ込む電流を合成した、400[V]で2[A]の直流電流出力とする。
【0065】
また、第2、第1ストリングS2、S1を直列に接続して(第2ストリングS2を低圧側とする。)サブアレイ172Baを形成し、400[V]、3[A]の出力とする。サブアレイ172Bb、172Baを接続箱40C内で並列接続して、400[V]、5[A]の出力(出力Bという。)とする。
【0066】
そして、接続箱40C内で、これら出力Aと出力Bとを並列接続して、すなわち4個のサブアレイ174Bb、174Ba、172Bb、172Baを並列接続し400[V]、9[A]の出力として、外部接続端子91、92に供給する。
【0067】
400[V]、9[A]の出力は、図9、図10に示すように、接続箱40Cからパワーコンディショナ60Bを通じて商用周波数の交流電源70Bに変換され、積算電力計110に接続される。積算電力計110には、電柱116から3相の商用交流電源も供給される。
【0068】
なお、図10に示したように、逆流防止ダイオード66は、低圧側(太陽電池モジュール30に電流が流れ込む側)に設けることができる。
【0069】
次に、サブアレイ172B、174B等の中点271、272、273、274を接続する意義について、説明する。
【0070】
中点を接続することで、第1に、ストリングS1〜S8を構成する太陽電池モジュール30の数が異なっていても、アレイ178全体で、プラス側(高圧側)とマイナス側(低圧側)の太陽電池モジュール30の数が同数(図10例では、9個)であれば、並列接続された太陽電池モジュール30の全(図10例では18個の)発電電流を出力として利用することができる。
【0071】
第2に、中点を接続することで、開閉器64A(図7参照)やパワーコンディショナ60Bの入力側で外部接続端子91、92と外部接続端子93との間に接続される図示しない平滑コンデンサ等の電気部品の耐電圧を半分の1/2にすることができる。
【0072】
例えば、図11Aは、中点75、76を接続しない接続箱40Dを用いた太陽光発電システム50Eを示し、図11Bは、中点75、76同士を接続した接続箱40Bを用いた太陽光発電システム50Bを示している。
【0073】
理解の便宜のため、図11A、図11Bに示すように、低圧側の下から4番目の1個の開閉器64Aのみが開いている状態であって、かつ太陽電池モジュール131、132に日が当たっていて、太陽電池モジュール133、134にハッチングの範囲で示すように全く日が当たっていない場合を考えてみると、図11Aの中点75、76を接続していない接続箱40Dにおいて、中点76の電位は不定であるので0[V]になる場合もあり、このときに開閉器64Aを開閉することを考えると、開閉器64Aには400[V]の耐電圧仕様が必要である。
【0074】
しかし、図11Bの中点75、76同士を接続(短絡)している接続箱40Bにおいて、中点76には、太陽電池モジュール132に現れている200[V]の電圧が現れるので、開閉器64Aの耐電圧仕様は、半分の200[V]ですむことが分かる。
【0075】
そして、一般に、高耐圧・大電力の開閉器は、高耐圧になるほど、電極間の沿面距離を大きくする必要があるので容積(体積)が大きくなる。しかも開閉器を多数個使用するので、接続箱40Dの大きさを、接続箱40Bの大きさに比較して相当大きくする必要がある。換言すれば、中点75、76同士を接続することにより開閉器64Aの耐電圧の小さいものを使用することができ、接続箱40Bの大きさ(容積)を小さくすることができる。
【0076】
以上説明したように、上述した実施形態に採用されている接続箱40(図5)、40B(図7、図8)、40C(図9、図10)、40D(図11A)を備える太陽光発電システム50(図5)、50C(図7、図8)、50D(図9、図10)、50E(図11A)は、それぞれ誤接続防止コネクタであるプラス側接続端子10(プラス側メスコネクタ12fとプラス側オスコネクタ12m)と、マイナス側接続端子14(マイナス側メスコネクタ16fとマイナス側オスコネクタ16m)とを備える太陽電池モジュール30A等を用いても、接続箱40等の内部で直列接続が可能であるので、確実に誤接続が回避される。
【0077】
また、中点75、76(271〜274)を接続(短絡)することで、開閉器64A等の部品の耐圧を1ストリング分の耐圧、上述した実施形態では、出力電圧400[V]の半分の200[V]に下げることができる。
【0078】
なお、接続した中点75、76をパワーコンディショナ60A等側にも引き回わしているので、パワーコンディショナ60A等の内部の入力側でこの中点と、高圧電圧(上記の実施形態では400[V])及び基準電圧(0[V])との間に接続する平滑コンデンサ等の電気部品の耐圧を半分の200[V]にすることができる。
【0079】
さらに、図8(図10)に示したように、中点75、76(中点271〜274)を接続することで、サブアレイ72B(172B)の上下のストリング81、82(S1〜S4)の太陽電池モジュールの枚数を合わせる必要がなく、同様にサブアレイ74B(174B)の上下のストリング83、84(S5〜S8)の太陽電池モジュールの枚数を合わせる必要がない。アレイ78(178)トータルで上下(高圧側と低圧側)の太陽電池モジュールの枚数が揃っていればよいので、複雑形状の設置場所にも、適応性の高い柔軟な設置手法を採用することができる。
【0080】
さらにまた、接続箱40B等の入力側をコネクタにしているので、感電のおそれがない。
【0081】
図12は、第5実施例に係る太陽光発電システム50Fの模式的構成図である。
【0082】
この接続箱40Eでは、サブアレイ172Aを構成する3個の太陽電池モジュール130〜132が直列接続され、サブアレイ174Aを構成する3個の太陽電池モジュール133〜135が直列接続され、それらが並列接続されて出力される。
【0083】
この図12例では、開閉器64A等の耐電圧は、中点75、76、中点77、79を接続しない構成に比較して1/3にすることができる。
【0084】
図13は、第6実施例に係る太陽光発電システム50Gの模式的構成図である。
【0085】
この接続箱40Fでは、アレイ278のサブアレイ282〜285を構成する各3個のストリング(各1個の太陽電池モジュール)231〜233、234〜236、237〜239、240〜242がそれぞれ直列接続され、さらにサブアレイ282〜285を構成する同一出力電圧同士が並列接続されて、外部出力端子91〜94から出力される。
【0086】
図13例の太陽光発電システム50Gにおいて、一般的に説明すると、ストリングの数は、m(m=12、mは、2以上の整数)個である。
【0087】
そして、接続箱40F内で、出力電圧pV0(p=3、pは、2以上の整数)のサブアレイが、n(n=4、nは2以上の整数)個形成され、さらに、前記サブアレイ282〜285の同一電位の出力電圧pV0[V]=3V0のストリング231、234、237、240同士、出力電圧(p−1)V0=2V0のストリング232、235、238、241同士、及び出力電圧(p−2)V0=V0のストリング233、236、239、242同士を並列接続して出力する内部結線構成とされている。
【0088】
接続箱40Fは、さらに、各サブアレイ282〜285の同一中間電位{(p−1)V0=2V0、(p−2)V0、=V0}点同士を短絡する内部結線構成とされている。
【0089】
そして、好ましくは、図10等を参照して説明したように、太陽光発電システム50Dの各電位pV0=2V0、V0に接続される太陽電池モジュールの枚数を、それぞれ各9枚(pV0=2V0側が、3枚(S1)、2枚(S3)、1枚(S5)、3枚(S7)で9枚、V0側が、3枚(S2)、1枚(S4)、2枚(S6)、3枚(S8)で9枚)と同数にする。
【0090】
図13例の太陽光発電システム50Gでは、出力電圧3V0、2V0、V0に接続される太陽電池モジュールの枚数は、各4枚と同数になっている。
【0091】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0092】
10…プラス側接続端子 12f…プラス側メスコネクタ
12m…プラス側オスコネクタ 14…マイナス側接続端子
16f…マイナス側メスコネクタ 16m…マイナス側オスコネクタ
18f、20f…メス電極 18m、20m…オス電極
30、30a〜30d、30A〜30H、130〜134…太陽電池モジュール
32、38、54、58…ケーブル 34…太陽電池本体
36…端子ボックス 40、40A〜40F…接続箱
50、50A〜50G…太陽光発電システム 60A、60B…パワーコンディショナ
64、64A…開閉器 66…逆流防止ダイオード
68…バイパス用ダイオード 70A、70B…交流電源
72、72A、72B、74、74A、74B、172A、172B、172Ba、172Bb、174A、174B、174Bb、282〜285…サブアレイ
75〜77、79、271〜274…中点 78、178、278…アレイ
81〜84、181〜184、232〜242、S1〜S8…ストリング
91〜94…外部接続端子 108…家屋
112…天窓 114…煙突
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス側接続端子とマイナス側接続端子とを有し並列接続可能な公称出力電圧V0[V]の太陽電池モジュールが、それぞれ並列接続された複数個又は1個からなるストリングがm個(mは、2以上の整数)からなる太陽電池パネルアレイと、
前記各ストリングの出力を接続するための、前記プラス側接続端子対応入力端子と前記マイナス側接続端子対応入力端子との端子対が、前記各ストリングの数だけ設けられた接続箱と、を備え、
前記接続箱は、
複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイをn個(nは、2以上の整数)形成し、さらに、出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士を並列接続して出力する
内部結線構成とされている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1記載の太陽光発電システムにおいて、
前記接続箱は、さらに、
各サブアレイの同一中間電位{(p−1)V0、(p−2)V0、…、V0}点同士を短絡する
内部結線構成とされている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の太陽光発電システムにおいて、
前記pV0、(p−1)V0、…、V0の各同電位に接続される前記太陽電池モジュールの枚数を、同数にする
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電システムにおいて、
前記接続箱内に、前記各ストリングの出力に対して逆流防止ダイオードと、バイパスダイオードとが接続配置されている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電システムにおいて、
各太陽電池モジュールには、前記プラス側接続端子として、プラス側オスコネクタとプラス側メスコネクタとが備えられ、前記マイナス側接続端子としてマイナス側オスコレクタとマイナス側メスコネクタとが備えられ、プラス側コネクタとマイナス側コネクタとは嵌合不能に構成され、
前記ある太陽電池モジュールは、プラス側マイナス側1対のオスコネクタ(又はメスコネクタ)を介して、前記接続箱に設けられた対応する1対のメスコネクタ(オスコネクタ)に嵌合される一方、前記接続箱外でプラス側マイナス側1対のメスコネクタ(オスコネクタ)を介して、他の太陽電池モジュールのプラス側マイナス側1対のオスコネクタ(マスコネクタ)に嵌合されて並列接続可能にされる
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項1】
プラス側接続端子とマイナス側接続端子とを有し並列接続可能な公称出力電圧V0[V]の太陽電池モジュールが、それぞれ並列接続された複数個又は1個からなるストリングがm個(mは、2以上の整数)からなる太陽電池パネルアレイと、
前記各ストリングの出力を接続するための、前記プラス側接続端子対応入力端子と前記マイナス側接続端子対応入力端子との端子対が、前記各ストリングの数だけ設けられた接続箱と、を備え、
前記接続箱は、
複数の前記ストリングを同一の数ずつ直列接続して出力電圧pV0(pは、2以上の整数)[V]のサブアレイをn個(nは、2以上の整数)形成し、さらに、出力電圧pV0[V]の前記サブアレイ同士を並列接続して出力する
内部結線構成とされている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1記載の太陽光発電システムにおいて、
前記接続箱は、さらに、
各サブアレイの同一中間電位{(p−1)V0、(p−2)V0、…、V0}点同士を短絡する
内部結線構成とされている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の太陽光発電システムにおいて、
前記pV0、(p−1)V0、…、V0の各同電位に接続される前記太陽電池モジュールの枚数を、同数にする
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電システムにおいて、
前記接続箱内に、前記各ストリングの出力に対して逆流防止ダイオードと、バイパスダイオードとが接続配置されている
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電システムにおいて、
各太陽電池モジュールには、前記プラス側接続端子として、プラス側オスコネクタとプラス側メスコネクタとが備えられ、前記マイナス側接続端子としてマイナス側オスコレクタとマイナス側メスコネクタとが備えられ、プラス側コネクタとマイナス側コネクタとは嵌合不能に構成され、
前記ある太陽電池モジュールは、プラス側マイナス側1対のオスコネクタ(又はメスコネクタ)を介して、前記接続箱に設けられた対応する1対のメスコネクタ(オスコネクタ)に嵌合される一方、前記接続箱外でプラス側マイナス側1対のメスコネクタ(オスコネクタ)を介して、他の太陽電池モジュールのプラス側マイナス側1対のオスコネクタ(マスコネクタ)に嵌合されて並列接続可能にされる
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−239083(P2010−239083A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88188(P2009−88188)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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