説明

太陽電池モジュールの積層保管装置

【課題】多数枚の長尺の太陽電池モジュールを,装置コストの上昇を招くことなく且つ設置スペースの縮小化が可能な太陽電池モジュールの積層保管装置を提供する。
【解決手段】積層保管装置は、太陽電池モジュール1を搬入あるいは搬出するための搬入搬出口を有する筐体内に上下方向に複数段設けられて各段の支持部材上に太陽電池モジュール1を水平にして支持する保管棚を有する保管装置本体11と、太陽電池モジュール1を前工程から受け取り支持する搬送機構51を上下に移動させて該搬送機構上の太陽電池モジュール1を保管棚111の所定の支持部材上に積載する昇降機構53を有する搬入・搬出装置5とを備え、保管装置本体11と搬入・搬出装置5とを相対移動可能にして、搬入・搬出装置5に太陽電池モジュール1を搭載した状態で搬入・搬出装置5が保管装置本体11内に進入あるいは退出可能に構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の屋根、ビルディングの屋上等に敷設することにより、太陽光を利用して電力を発生させる太陽電池モジュールであって、裏面保護材と、表面保護材と、これら両者の間に配置される絶縁性封止材とにより、直列接続された複数の太陽電池セルを封止して構成される平面形状が矩形状で特に長尺の太陽電池モジュールを、複数段積層した形態で保管する太陽電池モジュールの積層保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽の光エネルギーから直接電気エネルギーを得る発電装置である。そのため、地球環境問題がクローズアップされる中、太陽電池はクリーンなエネルギー源として脚光を浴びており、住宅やビルディングなどへの導入が徐々に進んできている。
太陽電池は、太陽電池モジュールとして屋外で使用されることが多い。すなわち、この太陽電池モジュールは、住宅の屋根、ビルディングの屋上等の屋外に敷設することにより、太陽光を利用して電力を発生させており、一般に、裏面保護材と、表面保護材と、これら両者の間に配置される絶縁性封止材とにより、直列接続された複数の太陽電池セルを封止して構成される平面形状が矩形状に形成されている。
かかる太陽電池モジュールの製造過程においては、裏面保護材、表面保護材、及びこれら両者の間に配置される絶縁性封止材により、直列接続された複数の太陽電池セルを封止し、この封止後に裏面保護材を通したリード線を端子ボックスに接続し、しかる後、端子ボックス内を樹脂材で封止する。
そして、上記樹脂封止材が乾燥、硬化するまでの間は、太陽電池モジュールを保管エリアに一時的に保管しておき、樹脂封止材の乾燥、硬化後に太陽電池モジュールの特性評価試験、外観検査、耐電圧試験等の検査工程を行う。
【0003】
このような目的で、太陽電池モジュールを保管する手段の一つとして、特許文献1(特開2001−31215号公報)の技術が提供されている。
かかる技術においては、パネルストッカに対して矩形状のパネル(太陽電池モジュール)を出し入れするために、少なくとも一側面に開口する搬入搬出口を有する筐体と、搬入搬出口に隣り合う対向側面にそれぞれ設けられ、収納されるパネルを筐体内に実質的に水平に支持して案内する複数のローラガイドと、該ローラガイドを筐体内で昇降させる昇降機構を備えており、これによって、多数枚の大型パネルを容易に収納することができるとともに、安全に搬送できるように構成されている。
【特許文献1】特開2001−31215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建材一体型の太陽電池モジュールは、受光面側の保護材に透光性フィルムを用い、裏面保護材に鋼鈑やアルミニウム板等の建材を用いているため、軽量で大面積化が可能であり、量産性に優れて低コスト化が可能である。
しかしながら、裏面保護材に鋼鈑を用い、外形寸法が幅600mm×長さ4m程度の大型の太陽電池モジュールでは、質量が16Kgを超える重量物となる。一方、建材として折り曲げ加工をする前は厚さが1〜2mm程度の平板状であるため柔軟性に富んでいる。
このように、長尺で且つ柔軟性に富み、重量物である太陽電池モジュールは、取扱い難く、これを台車に積み込む作業および台車から降ろす作業は重労働となる。また、かかる作業時に受光面側の保護材である透光性フィルムに傷を付けないように細心の注意を要し、作業が煩雑となる上、傷を付けた場合には当該太陽電池モジュールは不良品となるため良品歩留まり率が低下するという問題点を有している。
【0005】
然るに、上記特許文献1の技術にあっては、パネルストッカにおいて、少なくとも一側面にて開口する搬入搬出口を有する筐体と、該搬入搬出口に隣り合う対向側面にそれぞれ設けられ、収納されるパネル(太陽電池モジュール)を筐体内に実質的に水平に支持し案内する複数のローラガイドと、該ローラガイドを筐体内で昇降させる昇降機構を備えた構成であるため、パネル(太陽電池モジュール)を受け取るための支持案内部材を移動させる昇降機構及び制御手段が必要となる。その結果、装置が高コストとなり、量産時においてはパネルストッカが数十台必要となってパネルストッカの製作費用が増大するという不具合を有している。
【0006】
また、上記のような問題に対処するものとして、図7及び図8に示される手段が提案されている。
図7の手段においては、複数段の保管棚11のそれぞれに多数のローラガイド14を設ける一方、該保管棚11の側方に設置された昇降機構53上に搬送機構51を支持しており、該搬送機構51に太陽電池モジュール1を載置し、該搬送機構51を保管棚11に出し入れしてローラガイド14で太陽電池モジュール1を受けるように構成されている。
しかしながら、かかる手段にあっては、太陽電池モジュール1の面と接する支持部材を構成するローラガイド14は円形状であるから、薄肉で長尺の太陽電池モジュール1を撓みを生ずることなく支持するためには、太陽電池モジュール1の長辺方向に多数のローラガイド14が必要となり、保管棚11が大型化するとともに、装置の高コストを招くことになる。
また、ローラガイド14と太陽電池モジュール1とが線接触となるため、スリップによって太陽電池モジュール1の表面保護材に傷が発生するおそれもある。
【0007】
図8の手段においては、複数段の保管棚11のそれぞれに平面状の支持部材13を設ける一方、該保管棚11の側方に設置された昇降機構53の昇降台14上に伸縮アーム15を取付けており、該伸縮アーム15を備えた搬送機構51に太陽電池モジュール1を載置し、該搬送機構51の伸縮アーム15を伸縮させることにより保管棚11に出し入れして、支持部材13で太陽電池モジュール1を受けるように構成されている。
しかしながら、かかる手段にあっては、伸縮アーム15を伸縮させることにより保管棚11に出し入れすることにより太陽電池モジュール1を保管棚11に収納しているので、伸縮アーム15の伸縮量が太陽電池モジュール1の2倍必要となり、特に長尺の太陽電池モジュール1の場合は、伸縮アーム15を備えた搬送機構51及び昇降機構53の設置スペースが大きくなるとともに、剛性の高い機構が必要となって装置のコストが高くなってしまう。
【0008】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、多数枚の長尺の太陽電池モジュールを、傷の発生を回避しつつ自動的に収納、保管可能とするとともに、装置コストの上昇を招くことなく且つ設置スペースの縮小化が可能な太陽電池モジュールの積層保管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明は、裏面保護材と、表面保護材と、これら両者の間に配置される絶縁性封止材とにより、直列接続された複数の太陽電池セルを封止して構成される平面形状が矩形状の太陽電池モジュールを複数段積層した形態で保管する太陽電池モジュールの積層保管装置であって、一側面に前記太陽電池モジュールを搬入あるいは搬出するための搬入搬出口を有する筐体、及び該筐体内に上下方向に複数段設けられて各段の支持部材上に前記太陽電池モジュールを水平にして支持する保管棚を有する保管装置本体と、前記太陽電池モジュールを前工程から受け取り支持する搬送機構、及び前記搬送機構を上下に移動させて前記搬送機構上の前記太陽電池モジュールを前記保管棚の所定の支持部材上に積載する昇降機構を有する搬入・搬出装置とを備え、前記保管装置本体と前記搬入・搬出装置とを相対移動可能にして、前記搬入・搬出装置に前記太陽電池モジュールを搭載した状態で前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出可能に構成している。
【0010】
本発明において、上記保管装置本体及び搬入・搬出装置は、具体的には次のように構成されているのが好ましい。
(1)前記保管装置本体は、前記保管棚の支持部材が前記筐体の対向する内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って複数段取付けられ、各段における左右の支持部材上に前記太陽電池モジュールが載置可能に構成されている(請求項2)。
さらに具体的には、請求項5のように、前記保管棚における左右の支持部材間の距離(C)を前記太陽電池モジュールの幅(A)よりも小さく形成して(A>C)、前記太陽電池モジュールが前記左右の支持部材上に載置可能に構成されているとともに、前記搬入・搬出装置の最大幅(B)を前記左右の支持部材間の距離(C)よりも小さく形成して(C>B)、前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出可能に構成されているのが好ましい。
【0011】
(2)前記搬入・搬出装置の前記昇降機構は、昇降駆動装置により駆動されて上下に昇降する昇降台を備え、該昇降台上の前記搬送機構を載置して支持された前記太陽電池モジュールは、前記搬送機構とともに上下に昇降可能に構成されている(請求項3)。
【0012】
(3)前記搬入・搬出装置及び前記保管装置本体のいずれか一方または双方に移動機構が設けられ、該移動機構を駆動して前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出するように構成されている(請求項4)。
【0013】
さらに、本発明において、太陽電池モジュール及び前記保管装置本体の形状は具体的には次のように構成されているのが好ましい。
(1)前記矩形状の太陽電池モジュールの長辺方向が前記保管装置本体への搬送方向とされているとともに、前記太陽電池モジュールの長辺部が前記保管棚の支持部材上に支持されるように構成されている(請求項6)。
(2)前記保管装置本体は、長辺長さが短辺長さの4倍以上で且つ該長辺長さが2m以上の前記矩形状の太陽電池モジュールを内部に収納可能に構成されている(請求項7)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一側面に太陽電池モジュールを搬入あるいは搬出するための搬入搬出口を有する筐体内に、該筐体の対抗する内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って複数段取付けた支持部材上に太陽電池モジュールを水平にして支持する保管棚を備えた保管装置本体と、太陽電池モジュールを前工程から受け取り支持する搬送機構並びに該搬送機構及び太陽電池モジュールを載置した昇降台を上下に移動させて該搬送機構上の太陽電池モジュールを保管棚の所定の支持部材上に積載する昇降機構を有する搬入・搬出装置とを併設し、前記保管装置本体の保管棚における左右の支持部材間の距離(C)を太陽電池モジュールの幅(A)よりも小さく形成して(A>C)、該太陽電池モジュールを左右の支持部材上に載置可能に構成するとともに、搬入・搬出装置の最大幅(B)を左右の支持部材間の距離(C)よりも小さく形成し(C>B)、さらには前記搬入・搬出装置及び保管装置本体のいずれか一方または双方にキャスター等の移動機構を設けて、該移動機構を駆動して搬入・搬出装置を保管装置本体内に進入あるいは退出させるように構成したので、前工程から受け取って搬送機構上に載置した太陽電池モジュールを、昇降機構により保管棚の所要の保管高さ位置に移動させた状態で搬入・搬出装置上に支持したまま、該搬入・搬出装置を移動機構によって前記保管装置本体内に進入させ、太陽電池モジュールを保管棚の所要位置の支持部材上に載置してから、昇降機構により搬送機構を下降させて太陽電池モジュールから切り離し、搬送機構及び搬入・搬出装置を保管装置本体内から退出させることにより、太陽電池モジュールのみを前記支持部材上に載置することができる。
【0015】
従って、本発明によれば、太陽電池モジュールを保管棚上で相対摺動あるいは相対転動させることなく保管棚の所要位置の支持部材上に載置できるので、図7の従来技術における多数のローラガイド上を太陽電池モジュールが転接しながら移動する手段のように太陽電池モジュールの表面に一切傷を付けることなく、該太陽電池モジュールを保管装置本体内の保管棚に安定的に保管することができる。しかも、太陽電池モジュールの量産時における設備投資の費用を低減させることができる。
また、太陽電池モジュールを、その長辺方向を搬送方向にして搬送機構上に載置し、昇降機構により保管棚の所要の保管高さ位置に移動させた状態で搬入・搬出装置上に支持したまま、該搬入・搬出装置を保管装置本体内に移動、進入させ、太陽電池モジュールの全長に亘って長辺部側を保管棚の所要位置の支持部材上に均一に載置してから、昇降機構により搬送機構を下降させて太陽電池モジュールから切り離し、搬送機構及び搬入・搬出装置を保管装置本体内から退出させることが可能となるので、多数枚の長尺の太陽電池モジュールを、撓みや傷の発生を回避しつつ、前記移動機構及び昇降機構を作動させるのみで、工程の流れ方向のまま自動的に収納、保管することができる。
【0016】
これにより、太陽電池モジュールを昇降機構により保管棚の所要の保管高さ位置に支持した搬入・搬出装置を、保管棚を備えた保管装置本体内に進入、退出させるのみで、長尺の太陽電池モジュールを多数枚、撓みや傷の発生を回避しつつ、保管装置本体内に自動的に収納、保管することができ、従来技術のように、保管装置本体に搬送ベルト装置、ロールガイド機構、これらの駆動装置や制御装置等の格別な機器を必要とせず、構成機器が少なく簡単な構造で且つ装置コストを低減できる。
また、太陽電池モジュールを昇降機構により保管棚の所要の保管高さ位置に支持した搬入・搬出装置と、保管棚を備えた保管装置本体とを相対移動させることにより、太陽電池モジュールの保管装置本体内への収納、保管が可能となるので、図7及び図8に示す各手段のように、搬送機構及び昇降機構の支持部を固定した手段に比べて、太陽電池モジュールの積層保管装置の設置スペースを縮小できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は本発明が適用される太陽電池モジュールの構造を示し、(A)はその断面図、(B)はその平面図である。
図1に示すように、建材一体型の太陽電池モジュール1は、平面形状が矩形状に形成されており、受光面側の保護材として透光性フィルムを用いた表面保護材104と、反受光面側に建材として使用する鋼鈑やアルミニウム板からなる裏面保護材105とで覆われた絶縁性封止材103中に複数の太陽電池セル101を並設してなる太陽電池サブモジュール群102をラミネート装置(図示せず)によって封止して構成されている。
太陽電池モジュール1は、上記ラミネート装置による封止後、裏面保護材105内を通したリード線107を端子ボックス106に接続し、該端子ボックス106内を樹脂材で封止している。なお、108はリード線107に接続されるケーブルである。
【0019】
太陽電池モジュール1は、上記樹脂封止材が乾燥、硬化するまでの間は、保管エリアに一時的に保管しておき、樹脂封止材の乾燥、硬化後にこれの特性評価試験、外観検査、耐電圧試験等の検査工程を行っている。
本発明は、上記のように、平面形状が矩形状の太陽電池モジュール1を一時的に保管するための保管装置に係るものである。
【0020】
図2は本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュールの積層保管装置の全体構成を示す側面図、図3は上記第1実施形態における全体構成を示す斜視図、図4は上記第1実施形態における保管装置本体の正面図である。
第1実施形態に係る太陽電池モジュール1の積層保管装置は、図2〜図4に示すように、保管装置本体11、搬入・搬出装置5、前工程作業台2、前工程搬送機構3、及び前工程搬送機構3を駆動する前工程搬送モータ4を備えている。
【0021】
上記保管装置本体11は次のように構成されている。
すなわち、保管装置本体11は、鋼鈑またはアルミニウム板等からなる筐体112を有しており、この筐体112は、本実施形態では幅(短辺)500mm、長さ(長辺)4m、厚さ2mm程度の薄肉長尺の、平面形状が矩形状の太陽電池モジュール1を収納、保管することが可能となるように、太陽電池モジュール1の長辺に合った縦長の箱状に形成され、短辺方向の一面に太陽電池モジュール1を搬入あるいは搬出するための搬入搬出口112aが開口されている。
また、筐体112内には、鋼製またはアルミニウム製のフレーム等からなる保管棚111が複数段設けられている。この保管棚111は、筐体112の対向する内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って支持部材111aが間隔を置いて複数段取付けられて形成されており、各段における左右の支持部材111a上に太陽電池モジュール1を水平に積層した形態で載置可能に構成されている。
さらに、筐体112の底部には、複数個(本実施形態では左右に各2個)のキャスター等からなる移動機構12が取付けられており、保管装置本体11は当該移動機構12によって太陽電池モジュール1の長辺方向(任意の方向でもよい)に自在に移動可能となっている。なお、移動機構12はキャスターのみでも、あるいは該キャスターを駆動する後述の駆動モータを装備していてもよい。
【0022】
ここで、矩形状に形成された太陽電池モジュール1は、その長辺(本実施形態例では4m)方向が保管装置本体11への搬送方向とされているとともに、その長辺部が保管棚111の支持部材111a上に支持(載置)されるように構成されている。
従って、上記のような薄肉長尺の矩形状の太陽電池モジュール1を収納及び保管するため、保管装置本体11は、長辺長さが短辺長さの4倍以上で且つ該長辺長さが少なくとも2m以上の矩形状の太陽電池モジュール1を内部に収納可能な大きさ及び形状に構成されている。
【0023】
すなわち、図4に示すように、筐体112の内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って複数段設けられた保管棚111は、左右の支持部材111a間の距離Cが該支持部材111a上に載置される太陽電池モジュール1の幅(短辺の長さ)Aよりも小さく形成され(A>C)、水平方向に進入してきた太陽電池モジュール1を左右の支持部材111a上に載置可能に構成されているとともに、搬入・搬出装置5の最大幅、具体的には昇降台53aの最大幅Bが左右の支持部材111a間の距離Cよりも小さく形成され(C>B)、搬入・搬出装置5を保管装置本体11の支持部材111aの間に進入あるいは退出可能に構成されている。
【0024】
また、上記搬入・搬出装置5は次のように構成されている。
すなわち、搬入・搬出装置5は、昇降機構53と昇降用モータ54を有しており、昇降機構53は、下部の基台53bと上部の昇降台53aとの間を支持ピン53dの廻りに回動可能に支持されたパンタグラフ状のリンク53cを備え、該リンク53cの上部に昇降台53aをピン結合するとともに、該リンク53cの下部に基台53bをピン結合することにより構成され、昇降用モータ54にてリンク53cを図2の矢印で示すように上下方向に伸縮させることにより昇降台53aを上下動させるようになっている。
上記昇降機構53は、ボールねじによって昇降台53aを上下させるように構成することも可能である。
【0025】
上記昇降機構53の基台53bの底部に取付けられた移動機構55は、移動用モータ56によって駆動されるようになっている。したがって、昇降機構53の昇降台53a上に後述の搬送機構51が取付けられた搬入・搬出装置5は、移動機構12によって保管装置本体11内に進入及び退出可能となっている。
搬送機構51は、昇降台53a上に取付けられており、本実施形態ではベルトコンベアで構成されて搬送用モータ52によって駆動され、図2の矢印で示すように、太陽電池モジュール1を前工程搬送機構3から受け取って支持し、保管装置本体11内に進入の際に太陽電池モジュール1を保管棚111の方向に搬送するようになっている。
【0026】
次に、図5に基づきこの第1実施形態における太陽電池モジュール1の保管手順について説明する。
先ず、ラミネート装置による封止処理及び端子ボックス106の取付けを終了した太陽電池モジュール1は、前工程作業台2上に載置される(図5(A))。
次いで、前工程搬送機構3及び搬入・搬出装置5の搬送機構51を駆動して太陽電池モジュール1を図の矢印で示すように搬送機構51上に移動させる。太陽電池モジュール1の移動を停止させる際には、図示しないリミットスイッチもしくは光電センサ等により位置検出を行って所要位置で停止させる(図5(B))。
そして、昇降用モータ54により昇降機構53の昇降台53aを、図の矢印で示すように、太陽電池モジュール1を保管しようとする保管棚111の保管段(空き段)の位置まで下降させる。該保管段(空き段)の検出は図示しない光電センサ等によって行う。この下降位置は、保管棚111の支持部材111aの数mm〜数十mm上方に太陽電池モジュール1の下面が来るような位置として、この位置で昇降機構53を停止させる(図5(C))。
【0027】
次いで、移動用モータ56により移動機構55を駆動して、太陽電池モジュール1を搭載した搬入・搬出装置5を水平移動させ、保管装置本体11内に進入せしめる。この際において、保管装置本体11にVガイドを使用することにより、水平移動時の直進性が確保されている。搬入・搬出装置5の停止位置は、太陽電池モジュール1の長辺が保管棚111の長辺(奥行き深さ)に完全に収容される位置とする。この位置で、昇降機構53及び搬送機構51をさらに下降させると、太陽電池モジュール1が切り離されて保管棚111の支持部材111a上に載置される(図5(D))。
かかる太陽電池モジュール1の保管棚111への移載を完了すると、移動用モータ56により移動機構55を駆動して搬入・搬出装置5を元の位置まで水平移動させ、さらに昇降用モータ54により昇降機構53の昇降台53aを上昇させて定位置に戻せば、一連の太陽電池モジュール保管作業が終了する(図5(E))。
【0028】
[第2実施形態]
図6(A),(B)は本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールの積層保管装置の全体構成及び太陽電池モジュールの保管手順を示す側面図である。
この第2実施形態においては、上記搬入・搬出装置5が床面や地面等の基礎面に固定され、保管装置本体11が移動可能に構成されている。
図6において、太陽電池モジュール1を搬送機構51上に移動させ、昇降用モータ54により昇降機構53の昇降台53aを、太陽電池モジュール1を保管しようとする保管棚111の保管段(空き段)の位置まで下降させるステップまでは上記第1実施形態と同様である(図6(A))。
【0029】
次いで、保管装置本体11の移動機構12によって(駆動モータで移動機構12を駆動してもよい)、保管棚111を有する保管装置本体11を搬入・搬出装置5の方向に水平移動させ、該保管装置本体11の保管棚111が搬入・搬出装置5を完全に覆う位置で停止せしめる。この際において、移動機構12にVガイドを使用することにより、水平移動時の直進性が確保されている。保管装置本体11の停止位置は、太陽電池モジュール1の長辺が保管棚111の長辺(奥行き深さ)に完全に収容される位置とする。
この位置で、昇降機構53及び搬送機構51をさらに下降させると、太陽電池モジュール1が切り離されて保管棚111の支持部材111a上に載置される(図6(B))。
かかる太陽電池モジュール1の保管棚111への移載を完了すると、移動機構12により保管装置本体11を元の位置まで水平移動させ、さらに昇降用モータ54により昇降機構53の昇降台53aを上昇させて定位置に戻せば、一連の太陽電池モジュール保管作業が終了する。
以上のような、第1実施形態及び第2実施形態における一連の保管工程は、コンピュータによるシーケンス制御を行うことにより、完全に自動化される。
【0030】
かかる第1実施形態及び第2実施形態によれば、搬入搬出口112aを有する筐体112内に、該筐体112の対向する内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って複数段取付けた支持部材111a上に太陽電池モジュール1を水平にして支持する保管棚111を備えた保管装置本体11と、太陽電池モジュール1を前工程から受け取り支持する搬送機構51並びに該搬送機構51及び太陽電池モジュール1を載置した昇降台53aを上下に移動させて搬送機構51上の太陽電池モジュール1を保管棚111の所定の支持部材111a上に積載する昇降機構53を有する搬入・搬出装置5とを併設し、保管装置本体11の保管棚111における左右の支持部材111a間の距離Cを太陽電池モジュール1の幅Aよりも小さく形成して、太陽電池モジュール1を左右の支持部材111a上に載置可能に構成するとともに、搬入・搬出装置5の最大幅Bを左右の支持部材111a間の距離Cよりも小さく形成し、さらには搬入・搬出装置5及び保管装置本体11のいずれか一方または双方にキャスター等の移動機構12あるいは55を設けて、該移動機構を駆動して搬入・搬出装置5及び保管装置本体11を相対移動させて、搬入・搬出装置5を保管装置本体11内に進入あるいは退出可能に構成したので、前工程から受け取って搬送機構上に載置した太陽電池モジュール1を、昇降機構53により保管棚111の所要の保管高さ位置に移動させた状態で搬入・搬出装置5上に支持したまま、搬入・搬出装置5を移動機構によって保管装置本体11内に進入させ(第1実施形態)あるいは保管装置本体11を搬入・搬出装置5の位置まで移動させ(第2実施形態)、太陽電池モジュール1を保管棚111の所要位置の支持部材111a上に載置してから、昇降機構53により搬送機構51を下降させて太陽電池モジュール1から切り離し、搬送機構51を含む搬入・搬出装置5を保管装置本体11内から退出させることにより、太陽電池モジュール1のみを支持部材111a上に載置することが可能となる。
【0031】
従って、かかる実施形態によれば、太陽電池モジュール1を保管棚111上で相対摺動あるいは相対転動させることなく保管棚11の所要位置の支持部材111a上に載置することが可能となるので、太陽電池モジュール1の表面に一切傷を付けることなく、保管装置本体11内の保管棚111に安定的に保管することができる。
また、太陽電池モジュール1を、長辺方向を搬送方向にして搬送機構51上に載置し、昇降機構53により保管棚11の所要の保管高さ位置に移動させた状態で搬入・搬出装置5上に支持したまま、搬入・搬出装置5と保管装置本体11とを相対移動させて搬入・搬出装置5を保管装置本体11内に移動、進入させ、太陽電池モジュール1の全長に亘って長辺部側を保管棚111の所要位置の支持部材111a上に均一に載置してから、昇降機構53により搬送機構51を下降させて太陽電池モジュール1から切り離し、搬送機構51を含む搬入・搬出装置5を保管装置本体11内から退出させることが可能となるので、多数枚の長尺の太陽電池モジュール1を、撓みや傷の発生を回避しつつ、移動機構11及び昇降機構53を作動させるのみで、自動的に収納及び保管することができる。
【0032】
これにより、太陽電池モジュール1を昇降機構53により保管棚111の所要の保管高さ位置に支持した搬入・搬出装置5を、保管棚111を備えた保管装置本体11内に進入、退出させるのみで、多数枚の長尺の太陽電池モジュール1を、撓みや傷の発生を回避しつつ、保管装置本体11に自動的に収納及び保管することができ、格別な機器を必要とせず、構成機器が少なく簡単な構造で且つ装置コストを低減できる。
また、太陽電池モジュール1を昇降機構53により保管棚111の所要の保管高さ位置に支持した搬入・搬出装置51と、保管棚111を備えた保管装置本体11とを相対移動させることにより、太陽電池モジュール1の保管装置本体11内への収納及び保管が可能となるので、太陽電池モジュールの積層保管装置の設置スペースを縮小できる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用される太陽電池モジュールの構造を示し、(A)はその断面図、(B)はその平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュールの積層保管装置の全体構成を示す側面図である。
【図3】上記第1実施形態における全体構成を示す斜視図である。
【図4】上記第1実施形態における保管装置本体を示す正面図である。
【図5】(A)〜(E)は上記第1実施形態における太陽電池モジュールの保管手順を説明する側面図である。
【図6】(A)及び(B)は本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールの積層保管装置の全体構成及び太陽電池モジュールの保管手順を示す側面図である。
【図7】従来技術の第1例を示す図2に対応した側面図である。
【図8】従来技術の第2例を示す図2に対応した側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 太陽電池モジュール
2 前工程作業台
5 搬入・搬出装置
11 保管装置本体
12 移動機構
51 搬送機構
53 昇降機構
55 移動機構
111 保管棚
111a 支持部材
112 筐体
112a 搬入搬出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面保護材と、表面保護材と、これら両者の間に配置される絶縁性封止材とにより、直列接続された複数の太陽電池セルを封止して構成される平面形状が矩形状の太陽電池モジュールを複数段積層した形態で保管する太陽電池モジュールの積層保管装置であって、一側面に前記太陽電池モジュールを搬入あるいは搬出するための搬入搬出口を有する筐体、及び該筐体内に上下方向に複数段設けられて各段の支持部材上に前記太陽電池モジュールを水平にして支持する保管棚を有する保管装置本体と、前記太陽電池モジュールを前工程から受け取り支持する搬送機構、及び前記搬送機構を上下に移動させて前記搬送機構上の前記太陽電池モジュールを前記保管棚の所定の支持部材上に積載する昇降機構を有する搬入・搬出装置とを備え、前記保管装置本体と前記搬入・搬出装置とを相対移動可能にして、前記搬入・搬出装置に前記太陽電池モジュールを搭載した状態で前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出可能に構成したことを特徴とする太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項2】
前記保管装置本体は、前記保管棚の支持部材が前記筐体の対向する内壁面の左右両側に且つ上下方向に沿って複数段取付けられ、各段における左右の支持部材上に前記太陽電池モジュールが載置可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項3】
前記搬入・搬出装置の前記昇降機構は、昇降駆動装置により駆動されて上下に昇降する昇降台を備え、該昇降台上の前記搬送機構に載置して支持された前記太陽電池モジュールは、前記搬送機構とともに上下に昇降可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項4】
前記搬入・搬出装置及び前記保管装置本体のいずれか一方または双方に移動機構が設けられ、該移動機構を駆動して前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項5】
前記保管棚における左右の支持部材間の距離(C)を前記太陽電池モジュールの幅(A)よりも小さく形成して(A>C)、前記太陽電池モジュールが前記左右の支持部材上に載置可能に構成されているとともに、前記搬入・搬出装置の最大幅(B)を前記左右の支持部材間の距離(C)よりも小さく形成して(C>B)、前記搬入・搬出装置が前記保管装置本体内に進入あるいは退出可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項6】
前記矩形状の太陽電池モジュールの長辺方向が前記保管装置本体への搬送方向とされているとともに、前記太陽電池モジュールの長辺部が前記保管棚の支持部材上に支持されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。
【請求項7】
前記保管装置本体は、長辺長さが短辺長さの4倍以上で且つ該長辺長さが2m以上の前記矩形状の太陽電池モジュールを内部に収納可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの積層保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−1746(P2007−1746A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186058(P2005−186058)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】