説明

太陽電池搭載車両

【課題】比較的簡単に太陽電池を用いた発電が行え、かつ多様な使用形態を有する太陽電池搭載車両を得る。
【解決手段】下方太陽電池パネル10は、使用時において、車両1のルーフ部1r内の収納位置18からルーフ部1r外の展開位置に設定される。展開位置はルーフ部1rから車両1の車幅方向に下方太陽電池パネル10の大部分が突出した位置となり、展開位置における下方太陽電池パネル10の平面視配置領域は、車両1の乗降口の延長線上の領域を含むように設定され、その上面から太陽光を受光することができる。下方太陽電池パネル10の収納位置18の上方に上方太陽電池パネル20が固定配置される。上方太陽電池パネル20の上方に透明の樹脂カバー30が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池パネルを搭載した太陽電池搭載車両に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を搭載した車両として特許文献1及び特許文献2に開示された第1及び第2の車両がある。上記第1の車両は巻き取り収納式の太陽電池を搭載した車両であり、上記第2の車両は、車両の荷台に収納されている可動式ソーラパネルを引き出して使用する車両である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−91363号公報
【特許文献2】特開2009−254200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の上記第1及び第2の車両は以上のように太陽電池(ソーラパネル)を搭載しており、収納時には使用できず、使用するためには太陽電池(ソーラパネル)を車両外部に移動させる必要があるため比較的手間を要し、さらに使用形態も1種類に限定されているため発電の多様性に欠けるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、比較的簡単に太陽電池を用いた発電が行え、かつ多様な使用形態を有する太陽電池搭載車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る請求項1記載の太陽電池搭載車両は、ルーフ部内に収納される第1の配置、あるいは少なくとも一部が前記ルーフ部外となる第2の配置に設定可能な第1の太陽電池パネルと、前記ルーフ部に収納され、前記第1の配置に設定される前記第1の太陽電池パネルの上方に、上面から受光可能に配置される第2の太陽電池パネルと、前記第1の太陽電池パネルを前記第1及び第2の配置間で駆動する駆動機構と、前記第1及び第2の太陽電池パネルにより得られた電力を蓄積し、所定の車両電源系統に電源供給する電源系統制御部とを備える。
【0007】
請求項2記載の本願発明は、請求項1記載の太陽電池搭載車両であって、前記第2の太陽電池パネルの上方に配置され、その外面は耐擦傷性の優れたコーティングがなされた、透過性を有する最上部保護層をさらに備える。
【0008】
請求項3記載の本願発明は、請求項1あるいは請求項2記載の太陽電池搭載車両であって、前記第2の配置における前記第1の太陽電池パネルの平面視配置領域は、前記車両の乗降口の延長線上の領域を含む。
【0009】
請求項4記載の本願発明は、請求項1あるいは請求項2記載の太陽電池搭載車両であって、前記第2の配置における前記第1の太陽電池パネルの平面視配置領域は、前記フロントガラスの領域を含む。
【0010】
請求項5記載の本願発明は、請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の太陽電池搭載車両であって、前記第1及び第2の太陽電池パネルによる発電力に関連性のある周辺環境情報を検知するセンサ部と、前記センサ部より得られた前記周辺環境情報に基づき、前記駆動機構を制御して前記第1の太陽電池パネルの配置を制御する駆動機構制御部とをさらに備える。
【0011】
請求項6記載の本願発明は、請求項5記載の太陽電池搭載車両であって、前記駆動機構制御部は、さらに外部の所定の操作部より得られる外部操作信号に基づき、前記駆動機構を制御して前記第2の太陽電池パネルの配置を制御する。
【0012】
請求項7記載の本願発明は、請求項1記載の太陽電池搭載車両であって、前記第2の太陽電池パネルは、最上部に耐擦傷性の優れたハードコート層を有する。
【発明の効果】
【0013】
この発明における請求項1記載の本願発明は、上記第1の配置あるいは上記第2の配置に設定可能な第1の太陽電池パネルを備えることにより、第1の太陽電池パネルを上記第1の配置に設定した第2の太陽電池パネルのみによる第1の発電、第1の太陽電池パネルを第2の配置に設定した第1及び第2の太陽電池パネル双方による第2の発電を適宜使い分けることができる。
【0014】
その結果、比較的簡単に太陽電池を用いた発電(第1の発電)が行え、かつ多様な使用形態(第1及び第2の発電)を有する太陽電池搭載車両を得ることができる。
【0015】
請求項2記載の本願発明は最上部保護層により第2の太陽電池パネルの受光面である上面を確実に保護することができる。
【0016】
請求項3記載の本願発明は第1の太陽電池パネルを第2の配置に設定することにより、車両のユーザの乗降時における雨よけとして機能させることができる。
【0017】
請求項4記載の本願発明は第1の太陽電池パネルを第2の配置に設定することにより、フロントガラスを介した車両内への光の透過を遮ることができるため、日照時における車両内の温度上昇を抑えることができる。
【0018】
請求項5記載の本願発明は、駆動機構制御部により周辺環境情報に適合して第1の太陽電池パネルを有効利用することができる。
【0019】
請求項6記載の本願発明は、外部の所定の操作部を用いて車両のユーザが第1の太陽電池パネルの配置を制御することができる。
【0020】
請求項7記載の本願発明において、第2の太陽電池パネルは最上部にハードコート層を形成しているため、第2の太陽電池パネル上に保護層を形成することなく、第2の太陽電池パネルの発電機能を保護することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1であるの太陽電池搭載車両の展開使用時の形態を模式的に示す説明図である。
【図2】下方太陽電池パネルの構造を示す断面図である。
【図3】下方太陽電池パネル、上方太陽電池パネル及び樹脂カバーそれぞれの断面構造を模式的に示す説明図である。
【図4】下方太陽電池パネルの駆動系、電源系統制御系を含む実施の形態1の車両システムを模式的に示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2である太陽電池搭載車両の展開使用時の形態を模式的に示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3である太陽電池搭載車両のルーフ部の構造を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である太陽電池搭載車両の展開使用時の形態を模式的に示す説明図である。
【0023】
同図に示すように、車両1のルーフ部1r内の収納位置18(第1の配置)からルーフ部1r外の展開位置(第2の配置)に突出された状態の下方太陽電池パネル10(第1の太陽電池パネル)が示されている。
【0024】
なお、展開位置はルーフ部1rから車両1の車幅方向に下方太陽電池パネル10の大部分が突出した位置となり、展開位置における下方太陽電池パネル10の平面視配置領域は、車両1の乗降口の延長線上の領域を含むように設定され、その上面から太陽光を受光することができる。
【0025】
下方太陽電池パネル10の収納位置18の上方に上方太陽電池パネル20(第2の太陽電池パネル)が配置される。上方太陽電池パネル20は固定されている。
【0026】
さらに、上方太陽電池パネル20の上方に透明の樹脂カバー30(最上部保護層)が形成されている。したがって、上方太陽電池パネル20はルーフ部1r内において上面から太陽光を樹脂カバー30を介して受光可能に配置されている。
【0027】
図2は下方太陽電池パネル10の構造を示す断面図である。同図に示すように、下方太陽電池パネル10は、基材層11、太陽電池群12、太陽電池保護層13及びハードコート層14から構成される。
【0028】
基材層11は例えば耐候性に優れ、透明性を有し、比較的軽量なポリカーボネートにより構成される。基材層11の下面に複数の太陽電池セルからなる太陽電池群12が設けられ、太陽電池群12の表面及び側面を覆って、絶縁性を有する太陽電池保護層13が形成される。
【0029】
一方、基材層11の上面に透明性を有するハードコート層14が形成される。ハードコート層14として、透明性、耐候性に優れ、紫外線カット効果も有し、耐擦傷性に優れた素材が用いられる。このような特性を有する素材として例えばアクリル系ハードコート、シリコン系ハードコートが用いられる。
【0030】
図3は下方太陽電池パネル10、上方太陽電池パネル20及び樹脂カバー30それぞれの断面構造を模式的に示す説明図である。なお、図3では下方太陽電池パネル10は収納位置18(図1参照)に配置された状態を示している。
【0031】
同図に示すように、下方太陽電池パネル10は図2で示した構造を呈している。下方太陽電池パネル10の上方に上方太陽電池パネル20が固定配置される。上方太陽電池パネル20は下方太陽電池パネル10の移動時において、下方太陽電池パネル10との接触が確実に回避できる空間を隔てて、下方太陽電池パネル10の上方に配置される。
【0032】
上方太陽電池パネル20は基材層21、太陽電池群22及び太陽電池保護層23から構成される。基材層21、太陽電池群22及び太陽電池保護層23の素材及び形成位置等は、下方太陽電池パネル10の基材層11、太陽電池群12及び太陽電池保護層13と同様である。
【0033】
ただし、上方太陽電池パネル20は上方に樹脂カバー30が形成されるため、ハードコート層14に相当する層を、基材層21に形成する必要がないため形成していない。この上方太陽電池パネル20の上方に空間を隔てて樹脂カバー30が形成される。なお、樹脂カバー30は上方太陽電池パネル20上に直接形成しても良い。
【0034】
樹脂カバー30は基材層31及びハードコート層32から構成される。基材層31は下方太陽電池パネル10の基材層11と同様な材料で構成される。
【0035】
基材層31の上面全体にハードコート層32が形成される。ハードコート層32は下方太陽電池パネル10のハードコート層14と同様な材料で構成される。この太陽電池保護層23がルーフ部1rの最上部として外部露出される。
【0036】
図4は下方太陽電池パネル10の駆動系、電源系統制御系を含む車両システムを模式的に示す説明図である。
【0037】
同図に示すように、下方太陽電池パネル10及び下方太陽電池パネル10に関する車両システムは、日照センサ2、外気温センサ3、ボデーECU4、蓄電部5、分配部6、駆動制御部7及び駆動機構8から構成される。
【0038】
日照センサ2は日照量を検出して日照量検出情報を得、外気温センサ3は車両1の外気を検出して外気温情報を得る。
【0039】
ボデーECU4は日照センサ2及び外気温センサ3から上記日照量検出情報及び上記外気温情報を、下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル20の発電力に関連性がある周辺環境情報として取得し、この周辺環境情報に基づき、下方太陽電池パネル10駆動用の制御指令S4を駆動制御部7に与える。
【0040】
例えば、上記周辺環境情報から上方太陽電池パネル20による発電力で十分と判断した場合、下方太陽電池パネル10を収納位置18に設定する「収納」を指示する制御指令S4を出力し、上方太陽電池パネル20による発電力では不十分であり下方太陽電池パネル10による発電力も必要と判断した場合、下方太陽電池パネル10を展開位置に設定する「展開」を指示する制御指令S4を出力する。
【0041】
さらに、ボデーECU4はリモコン41(所定の操作部)より外部操作信号を受信し、外部操作信号に基づく内容を指示する制御指令S4を駆動制御部7に与える。
【0042】
駆動制御部7は制御指令S4に基づき駆動機構8を制御し、駆動機構8によって下方太陽電池パネル10を収納位置18と展開位置との間で駆動する。このように、ボデーECU4及び駆動制御部7は下方太陽電池パネル10を駆動する駆動制御部として機能する。
【0043】
また、駆動制御部7は下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル20の太陽光発電より得られる電力を蓄電部5に蓄電させる。分配部6は蓄電部5で蓄電された電力を車両1内の負荷に適宜分配供給する。分配部6による電力供給の具体例としては、車両1の駐車時における暗電流の供給、走行時の消費電流補助等が考えられる。このように、蓄電部5及び分配部6は電源系統制御部として機能する。
【0044】
このような構成における実施の形態1の太陽電池搭載車両の利用形態について説明する。
【0045】
(上方太陽電池パネル20のみの利用例)
例えば、ボデーECU4が日照センサ2及び外気温センサ3から取得した上記周辺環境情報に基づき、上方太陽電池パネル20のみの発電力で十分であると判断した場合、「収納」を指示する制御指令S4を駆動制御部7に与えることにより、下方太陽電池パネル10を収納位置18に設定することができる。
【0046】
そして、上方太陽電池パネル20によりのみによる得られる電力を蓄電部5に蓄積することができる。
【0047】
また、ユーザ40が車両1を走行させる場合、リモコン41によって「収納」を指示する外部操作信号S41を送信することにより、ボデーECU4及び駆動制御部7の制御下で下方太陽電池パネル10を収納位置18に設定することができる。
【0048】
(「下方太陽電池パネル10+上方太陽電池パネル20」の利用例)
例えば、ボデーECU4が日照センサ2及び外気温センサ3から取得した上記周辺環境情報に基づき、上方太陽電池パネル20のみの発電力で不十分であり下方太陽電池パネル10による発電力がさらに必要である判断した場合、「展開」を指示する制御指令S4を駆動制御部7に与えることにより、下方太陽電池パネル10を展開位置に設定することができる。
【0049】
そして、下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル20双方より得られる電力を蓄電部5に蓄積することができる。
【0050】
このように、実施の形態1の太陽電池搭載車両は、下方太陽電池パネル10を収納位置18あるいは展開位置に設定することにより、上方太陽電池パネル20のみによる発電(第1の発電)、「下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル20双方」による発電(第2の発電)を適宜使い分けることができるため、太陽電池発電として2種類の使用形態を実現することができる効果を奏する。
【0051】
その結果、比較的簡単に太陽電池を用いた発電(第1の発電)が行え、かつ多様な使用形態(第1及び第2の発電)を有する太陽電池搭載車両を得ることができる。
【0052】
この際、日照センサ2及び外気温センサ3から得られる周辺環境情報に基づき、ボデーECU4が「収納」あるいは「展開」を指示する制御指令S4を出力するため、日照量や外気温等の周辺環境に適合して下方太陽電池パネル10を有効利用して必要な発電力を確保することができる。
【0053】
例えば、上方太陽電池パネル20(及び下方太陽電池パネル10)の発電利用期間における車両1の駐車時は、ボデーECU4への電力供給を上方太陽電池パネル20により得た電力を利用する等の対応も考えられる。
【0054】
また、リモコン41を用いて車両1のユーザ40が下方太陽電池パネル10の配置を直接制御することができる。
【0055】
加えて、上方太陽電池パネル20の上方の樹脂カバー30により上方太陽電池パネル20の受光面である上面を確実に保護することができる。したがって、上方太陽電池パネル20は基材層21の上面に特別な保護層(ハードコート層14相当)を設ける必要はない。
【0056】
また、下方太陽電池パネル10の主要部となる基材層11は比較的軽量な樹脂であるポリカーボネートで構成されるため、駆動機構8による下方太陽電池パネル10の駆動を精度良く行うことができる。
【0057】
加えて、上方太陽電池パネル20の主要部となる基材層21もポリカーボネートで構成されるため、ルーフ部1rに下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル20を設けることによる車両1にかかる負荷を必要最小限に抑えることができる。
【0058】
(下方太陽電池パネル10の他の利用例)
雨天時において、ユーザ40がリモコン41を用いて「展開」を指示する外部操作信号S41を送信することにより、ボデーECU4及び駆動制御部7の制御下で下方太陽電池パネル10を展開位置に設定することができる。
【0059】
前述したように、展開位置における下方太陽電池パネル10の平面視配置領域は、車両1の乗降口の延長線上の領域を含むように設定されているため、ユーザ40は車両1への乗降時における雨よけとして、展開位置の下方太陽電池パネル10を利用することができ、車両の利便性の向上を図ることができる。
【0060】
<実施の形態2>
図5はこの発明の実施の形態2である太陽電池搭載車両の展開使用時の形態を模式的に示す説明図である。
【0061】
同図に示すように、車両1のルーフ部1r内の収納位置18(第1の配置)からルーフ部1r外の展開位置(第2の配置)に突出された下方太陽電池パネル10(第1の太陽電池パネル)が示されている。
【0062】
なお、展開位置はルーフ部1rから車両1の前方向に下方太陽電池パネル10の大部分突出した位置となり、展開位置における下方太陽電池パネル10の平面視配置領域は、車両1のフロントガラス領域を含むように設定される。
【0063】
実施の形態1と同様、下方太陽電池パネル10の収納位置18の上方に上方太陽電池パネル20(第2の太陽電池パネル)が配置される。上方太陽電池パネル20は固定され、上方太陽電池パネル20の上方に透明の樹脂カバー30が形成される。
【0064】
なお、下方太陽電池パネル10、上方太陽電池パネル20及び樹脂カバー30の構造は図2及び図3で示した構造と同様である。また、下方太陽電池パネル10の駆動系、電源系統制御系を含む車両システムは図4で示した実施の形態1の構成と同様である。
【0065】
さらに、「上方太陽電池パネル20のみの利用例」及び「下方太陽電池パネル10+上方太陽電池パネル20の利用例」も実施の形態1の場合と同様である。
【0066】
(下方太陽電池パネル10の他の利用例)
晴天時等において、ユーザ40がリモコン41を用いて「展開」を指示する外部操作信号S41を送信することにより、ボデーECU4及び駆動制御部7の制御下で下方太陽電池パネル10を展開位置に設定することができる。
【0067】
前述したように、展開位置における下方太陽電池パネル10の平面視配置領域は、車両1のフロントガラス領域を含むように設定されているため、下方太陽電池パネル10を展開位置に設定することにより、フロントガラスを介した車両1内への光の透過を遮ることができる。
【0068】
このため、日照時における車両1内の温度上昇を抑えることができ、ユーザ40の車両1への乗車時における不快感を低減するとともに、温度低下目的のエアコンの使用も低減させることができる。その結果、エアコン使用による二酸化炭素排出量の低減化が図れ、地球環境保護に貢献することができる。
【0069】
<実施の形態3>
図6はこの発明の実施の形態3である太陽電池搭載車両のルーフ部1rの構造を模式的に示す説明図である。
【0070】
同図に示すように、実施の形態3のルーフ部1rの構造は、下方太陽電池パネル10及び上方太陽電池パネル25による2段構成であり、上方太陽電池パネル25は上面が外部に露出している。
【0071】
下方太陽電池パネル10は図2で示した構造を呈している。下方太陽電池パネル10の上方に上方太陽電池パネル25が固定配置される。上方太陽電池パネル25は下方太陽電池パネル10の移動時において、下方太陽電池パネル10との接触が確実に回避できる空間を隔てて、下方太陽電池パネル10の上方に配置される。
【0072】
上方太陽電池パネル25は基材層21、太陽電池群22、太陽電池保護層23及びハードコート層24から構成される。基材層21、太陽電池群22、太陽電池保護層23及びハードコート層24の素材及び形成位置等は、下方太陽電池パネル10の基材層11、太陽電池群12、太陽電池保護層13及びハードコート層24と同様である。ハードコート層24がルーフ部1rの最上部として外部露出される。
【0073】
このように、上方太陽電池パネル25はハードコート層24を基材層21の上面に形成している。このため、実施の形態1及び実施の形態2の3段構造(下方太陽電池パネル10、上方太陽電池パネル20及び樹脂カバー30)のように、上方太陽電池パネル25上に樹脂カバー30を設けることなく、ハードコート層24により基材層21及び太陽電池群22を確実に保護することができる効果を奏する。
【0074】
なお、上方太陽電池パネル20が上方太陽電池パネル25に置き換わり、樹脂カバー30が存在しない点以外において、実施の形態3の太陽電池搭載車両は、実施の形態1あるいは実施の形態2と同様である。
【符号の説明】
【0075】
1 車両
2 日照センサ
3 外気温センサ
4 ボデーECU
5 蓄電部
6 分配部
7 駆動制御部
8 駆動機構
10 下方太陽電池パネル
20,25 上方太陽電池パネル
30 樹脂カバー、
11,21,31 基材層
12,22 太陽電池群
13,23 太陽電池保護層
14,24,32 ハードコート層
41 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフ部内に収納される第1の配置、あるいは少なくとも一部が前記ルーフ部外となる第2の配置に設定可能な第1の太陽電池パネルと、
前記ルーフ部に収納され、前記第1の配置に設定される前記第1の太陽電池パネルの上方に、上面から受光可能に配置される第2の太陽電池パネルと、
前記第1の太陽電池パネルを前記第1及び第2の配置間で駆動する駆動機構と、
前記第1及び第2の太陽電池パネルにより得られた電力を蓄積し、所定の車両電源系統に電源供給する電源系統制御部とを備える、
太陽電池搭載車両。
【請求項2】
請求項1記載の太陽電池搭載車両であって、
前記第2の太陽電池パネルの上方に配置され、その外面は耐擦傷性の優れたコーティングがなされた、透過性を有する最上部保護層をさらに備える、
太陽電池搭載車両。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2記載の太陽電池搭載車両であって、
前記第2の配置における前記第1の太陽電池パネルの平面視配置領域は、
前記車両の乗降口の延長線上の領域を含む、
太陽電池搭載車両。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2記載の太陽電池搭載車両であって、
前記第2の配置における前記第1の太陽電池パネルの平面視配置領域は、
前記フロントガラスの領域を含む、
太陽電池搭載車両。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の太陽電池搭載車両であって、
前記第1及び第2の太陽電池パネルによる発電力に関連性のある周辺環境情報を検知するセンサ部と、
前記センサ部より得られた前記周辺環境情報に基づき、前記駆動機構を制御して前記第1の太陽電池パネルの配置を制御する駆動機構制御部とをさらに備える、
太陽電池搭載車両。
【請求項6】
請求項5記載の太陽電池搭載車両であって、
前記駆動機構制御部は、さらに外部の所定の操作部より得られる外部操作信号に基づき、前記駆動機構を制御して前記第2の太陽電池パネルの配置を制御する、
太陽電池搭載車両。
【請求項7】
請求項1記載の太陽電池搭載車両であって、
前記第2の太陽電池パネルは、最上部に耐擦傷性の優れたハードコート層を有する、
太陽電池搭載車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−244610(P2011−244610A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115064(P2010−115064)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】