説明

姿勢検出装置及び遊戯装置

【課題】例えばサイコロの出目の情報を良好に得ることが出来るようにする。
【解決手段】姿勢検出装置本体100には、複数のループコイルからなるセンサコイル群1が設けられる。またサイコロ3には、位置指示コイル2が各面を上にして置いたときにそれぞれ高さが異なるように配置される。そしてセンサコイル群1を成す複数のループコイルはそれぞれの端部が選択回路4Xまたは選択回路4Yに接続され、これらの選択回路4Xまたは4Yには送受信切替回路5が接続されて、位置指示コイル2に対応する特定周波数の交番磁界信号の送信とそれによる共振信号の受信の切り替えが行われる。さらに制御回路6からの制御信号に従って受信された信号が取り出され、この制御回路6において位置指示コイル2の高さ等の情報が判別される。従ってこの高さ等の情報によりサイコロ3の姿勢が検出され、姿勢情報としての例えば出目の情報が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサイコロを振ってその出目に従って進行する遊戯等に使用して好適な姿勢検出装置及び遊戯装置に関する。詳しくは、例えば正多面体若しくはそれに準ずる形状の立体構造物の姿勢を自動的に判別して、その情報を遊戯用のコンピュータ等に入力するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばサイコロを振ってその出目を判別する技術としては、電磁波信号の発生手段をサイコロの各面に設けると共に、サイコロを振る場所の床面に電磁波信号を検出するセンサーを設置してサイコロの底面の出目が何であるかを判別しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、例えばサイコロを振ってその出目を判別する他の技術としては、振られたサイコロそのものの画像をビデオカメラや画像センサーを用いて取り込み、取り込まれた画像の識別によって出目を判別しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに本願出願人は、先に球体の姿勢を検出する装置の提案を行っているが、内部に複数の検出コイルを所有するなど、複雑な構成を設ける必要のあるものである。(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
すなわち、上述の特許文献1、2に開示された発明は、いずれも振られたサイコロの面を検出して、その出目を判別しているものである。また特許文献3に開示された発明は、複雑な構成を用いて姿勢を検出しているものである。
【特許文献1】特開平5−177056号公報
【特許文献2】特開2005−245744号公報
【特許文献3】特開2003−196015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いわゆるサイコロを用いて、サイコロを振ったときの出目に従って進行する遊戯は古来より多く行われている。そのような遊戯をコンピュータで再現した遊戯装置に親和させようとした場合に、従来は例えばコンピュータで生成される画面の中にサイコロを表示してシミュレーションによって行う方法が採られている。しかしながらこのような方法では、サイコロを振るという臨場感に乏しく、また遊戯の進行とサイコロの変化が、共にコンピュータの内部で処理されることに対する不信感も拭えないものである。
【0007】
これに対して、上述の特許文献1、2に開示された発明では、それぞれ振られたサイコロの出目を自動的に判別して、その情報の出目、サイコロの位置及び姿勢をコンピュータ等に入力し、サイコロのオブジェクトをディスプレイに表示することができるようにされている。これによれば、臨場感も満足され、不信感も拭い去ることができる。しかしながらこれらの技術は、いずれも大掛かりな装置が必要とされるものであり、特に特許文献2に開示された発明では、サイコロだけでなく、サイコロの振られる場所の床面にも多大な設備が必要とされるものである。
【0008】
一方、本願出願人は、予てより電磁誘導方式を用いたタブレット/デジタイザと呼ばれる入力装置を開発してきた。上述の特許文献3は、その開発の中で生み出されたものであって、タブレット/デジタイザの技術を応用した姿勢検出装置が提案されている。しかしながらこの技術では、本来はいわゆるトラックボールに適用されるものであって、扇形の検出コイルの中央の指定された位置で指示コイルを操作する必要があるなど、本願の発明の目的であるサイコロ等に応用することは困難なものであった。
【0009】
この発明はこのような問題点に鑑みて成されたものであって、本発明の目的は、サイコロ等に応用することが可能なように単純な構成で、安定した判定を行うことのできる姿勢検出装置及びそれを利用した遊戯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決し、本発明の目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部とからなり、位置指示コイルを立体構造物の姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けると共に、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの高さを算定する演算手段を設け、演算手段で算定された位置指示コイルの高さに応じて立体構造物の姿勢を検出することを特徴とする姿勢検出装置である。
【0011】
また、請求項2に記載された発明は、少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部とからなり、位置指示コイルを立体構造物の姿勢の変化に応じて傾斜角の異ならされる方向に設けると共に、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの傾斜角を算定する演算手段を設け、演算手段で算定された位置指示コイルの傾斜角に応じて立体構造物の姿勢を検出することを特徴とする姿勢検出装置である。
【0012】
さらに請求項3に記載の姿勢検出装置においては、位置指示コイルは、少なくとも立体構造物の姿勢が上下反転したときに高さの異ならされる位置に設けられ、演算手段は、位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの高さをさらに算定し、演算手段で算定された位置指示コイルの高さを加味して立体構造物の姿勢を検出することを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の姿勢検出装置においては、検出部は並べて設けられる複数の誘導コイルを有し、演算手段では、複数の誘導コイルからの検出レベルを順次プロットすることにより、複数の誘導コイルの並ぶ方向の検出波形を形成し、形成された検出波形の半値幅により位置指示コイルの高さを検出することを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の姿勢検出装置においては、検出部は並べて設けられる複数の誘導コイルを有し、演算手段では、予め特定の高さ及び姿勢の指示コイルにて信号レベルを教示し記憶しておき、複数の誘導コイルからの検出レベルを順次プロットすることにより、複数の誘導コイルの並ぶ方向の検出波形を形成し、記憶された信号レベルとの比較に基づき位置指示コイルの高さを検出することを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の姿勢検出装置においては、複数の誘導コイルは、少なくとも2方向に並べて設けられ、それぞれの方向ごとに検出波形の形成を行うことを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の姿勢検出装置においては、演算手段では、位置指示コイルの高さに加え、さらに少なくとも2方向を座標軸とする位置指示コイルの位置を検出することを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に記載の姿勢検出装置においては、立体構造物の姿勢の検出には、立体構造物は、正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、検出部は、立体構造物の姿勢が検出されたときの上面若しくは底面に相当する面に対応する情報を出力することを特徴とするものである。
【0018】
請求項9に記載の姿勢検出装置においては、立体構造物は、正四面体若しくはそれに準ずる形状とされ、検出部は、立体構造物の姿勢が検出されたときの底面に相当する面に対応する情報を出力することを特徴とするものである。
【0019】
請求項10に記載の姿勢検出装置においては、立体構造物は、六面以上の正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、検出部は、立体構造物の姿勢が検出されたときの上面に相当する面に対応する情報を出力することを特徴とするものである。
【0020】
請求項11に記載の姿勢検出装置においては、立体構造物は、正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、検出部は、立体構造物の姿勢が検出されたときの上面若しくは底面に相当する面に対応する情報と、立体構造物の少なくとも2方向を座標軸とする位置及び/または向きの情報とを出力することを特徴とするものである。
【0021】
請求項12に記載の姿勢検出装置においては、立体構造物をなす多面体の特定面の位置及び/または向きを検出することにより、特定面に対応したアプリケーションを起動することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の目的を達成するため、請求項13に記載された発明は、コンピュータプログラムに従って進行する遊戯装置であって、姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けられる少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部と、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角を算定する演算手段とを有する姿勢検出装置を接続し、演算手段で算定された位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角の検出出力に応じてコンピュータプログラムの進行を制御することを特徴とする遊戯装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明姿勢検出装置及び遊戯装置によれば、例えば正多面体若しくはそれに準ずる形状の立体構造物の姿勢(位置や向きを含んでも良い)を自動的に判別して、その情報を遊戯用のコンピュータ等に入力することにより、例えばサイコロを振ってその出目に従って進行する遊戯等に使用して良好な臨場感が得られると共に、コンピュータの内部のみで処理されることに対する不信感等も払拭することができる。また、構成を極めて単純なものとして、容易に実施可能とすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、図1は本発明による姿勢検出装置及び遊戯装置を適用して成る例えばサイコロの出目の検出装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1において、姿勢検出装置本体100の構成は、例えば電磁誘導方式を用いたタブレット/デジタイザと近似のものである。そこでこの姿勢検出装置本体100には、例えば複数のループコイルからなるセンサコイル群1が設けられる。このセンサコイル群1は、X軸方向の検出とY軸方向の検出を行うように、それぞれ電磁誘導を行うループコイル(線分で略記する)の長辺が、図示の如く互いに交差するように設けられる。なお、図中の実線(X軸)と破線(Y軸)のループコイルはそれぞれ異なる層に設けられる。
【0026】
このようなセンサコイル群1に対して、通常は位置指示ペンの形態とされる位置指示コイル2が、この実施形態においては例えば正6面体のサイコロ3に内蔵されている。ここで図2にはサイコロ3を拡大して示し、この図2においてコイル21及びコンデンサ22からなる位置指示コイル2は、サイコロ3の各面を上にして置いたときに、それぞれ高さが異なるように配置される。具体的には、正6面体の対角線を任意にずらした線を軸として、その中央ではない位置に設けることによっても、大凡の目的は達せられる。
【0027】
また、センサコイル群1を成す複数のループコイルは、コイルの配線が所定のピッチとなるように順次重複して設けられる。さらにそれぞれの端部が各層ごとに選択回路4Xまたは選択回路4Yに接続され、これらのループコイルが順次選択されることにより走査されて駆動されるように構成される。また、これらの選択回路4Xまたは4Yには送受信切替回路5が接続され、この送受信切替回路5によって上述の位置指示コイル2に対応する特定周波数の交番磁界信号の送信と、それによる共振信号の受信の切り替えが行われる。
【0028】
さらに、この送受信切替回路5における交番磁界信号の送信と共振信号の受信との切り替えは例えば制御回路6からの制御信号に従って行われる。また、この制御回路6によって制御される信号発生回路61が設けられ、この信号発生回路61で発生される上述の特定周波数の送信信号がアンプ62を介して送受信切替回路5に供給される。これにより、上述の位置指示コイル2に対応する特定周波数の送信信号が送受信切替回路5を通じて選択回路4Xまたは4Yに供給される。
【0029】
そしてこの選択回路4Xまたは4Yでの順次走査により選択されたセンサコイル群1の1本のループコイルに送信信号が供給されて、選択された1本のループコイルから特定周波数の交番磁界信号の送信が行われる。なお、選択回路4Xまたは4Yでの順次走査による選択も制御回路6からの制御信号に従って行われる。従って制御回路6では、交番磁界信号の送信及び共振信号の受信の切り替えと、センサコイル群1内での選択されるループコイルの位置は常に把握されているものである。
【0030】
さらに交番磁界信号によってサイコロ3に内蔵された位置指示コイル3が駆動され、共振信号がセンサコイル群1で受信され、受信された信号が選択回路4X、4Y及び送受信切替回路5を通じて取り出される。この受信信号はアンプ63を介して上述の特定周波数を通過させるバンドパスフィルタ64に供給され、通過した信号が検波器65に供給される。そして検波器65で検波された信号がサンプルホールド回路66を通じてアナログ−デジタル変換器67に供給され、デジタル変換された信号が制御回路6に入力される。
【0031】
このようにして、サイコロ3が置かれたセンサコイル群1で受信された信号がデジタル変換されて制御回路6に入力される。なお、このセンサコイル群1での受信も、上述のように選択回路4X、4Yでの順次走査により選択された1本のループコイルごとに行われる。従ってこの場合には、順次選択されるセンサコイル群1の各1本のループコイルからは、サイコロ3が置かれているループコイル及びそれに隣接するループコイルでも、サイコロ3からの共振信号を受信した信号が取り出されることになる。
【0032】
そこで、センサコイル群1で受信された信号がデジタル変換されて入力された制御回路6では、センサコイル群1の複数のループコイルで受信された信号のレベルを順次プロットすることにより、例えば図3のAに示すような検出波形を形成することができる。なお、実際の検出レベルは絶対値であるので、そのままプロットした波形は図3のBに示すようになるが、左右のサブ信号の極性は負と考えられるので、これらの符号を反転して図3のAに示すような検出波形とする。
【0033】
そしてこの検出波形において、中央に形成されるメイン信号の半値幅(ΔX)、すなわちメイン信号のピーク値の半分のレベルにおける検出波形の幅の値が、センサコイル群1の設けられる面から位置指示コイル2の重心位置までの高さ(Z)に依存する関係にあることが実験により確認された。なお図4には、一般的なタブレット/デジタイザに使用される位置指示コイル2について実験した半値幅(ΔX)と高さ(Z)の関係を示し、この図4においてこれらの値の関係が略リニアなものであることを確認している。
【0034】
そこで、上述のサイコロ3に対しては、半値幅(ΔX)に応じて、例えば傾斜角θ=0としたときの図4の特性に準じたテーブルを用いて位置指示コイル2の重心位置までの高さ(Z)を求めることができる。一方、上述のサイコロ3は、各面を上にして置いたときにそれぞれの位置指示コイル2の高さが異なるので、高さ(Z)の検出によって、サイコロ3のどの面が上になっているかが判別される。すなわち、検出の分解能に対してそれより大きい高さの差の生じる位置に位置指示コイル2を配置することによって、サイコロ3の姿勢を判別することができるものである。
【0035】
従って、上述した本発明による姿勢検出装置及び遊戯装置を適用して成る例えばサイコロの出目の検出装置の一実施形態においては、サイコロ3の姿勢を自動的に判別して、その情報を遊戯用のコンピュータ等に入力することにより、例えばサイコロを振ってその出目に従って進行する遊戯等に使用して良好な臨場感が得られると共に、コンピュータの内部のみで処理されることに対する不信感等も払拭することができる。またこの装置は、サイコロ内に位置指示コイルを設けるだけの単純な構成であり、容易に実施可能とされるものである。
【0036】
すなわち上述の図1の実施形態においては、例えば図5に示すように姿勢検出装置本体100とサイコロ3とから成り、姿勢検出装置本体100に内蔵される制御回路6(図示せず)で検出された姿勢検出出力を接続コード7に出力して、コンピュータ(図示せず)の入力端子等に供給することができる。あるいは図6に示すように、姿勢検出装置本体100と表示装置200とコンピュータ300を一体化した遊戯装置として実施することも可能であり、この場合には姿勢検出の処理もコンピュータ300で行うことができるものである。
【0037】
ところで上述の姿勢検出装置において、検出の分解能を高めようとした場合には、位置指示コイル2の重心位置までの高さ(Z)の値に、位置指示コイル2のコイル21の軸とセンサコイル群1の設けられる面の法線とのなす角度(θ)が影響することが判明した。すなわち、高さ(Z)と角度(θ=0〜90度)との間には、図7に示すような関係が認められる。従って、検出の分解能を高めるためには、位置指示コイル2のコイル21の軸とセンサコイル群1の設けられる面とのなす傾斜角(合成傾斜角度θ)を求めて補正を行う必要が生じる。
【0038】
ここで上述した特許文献3において、本願発明者は位置指示コイル2のコイル21の軸とセンサコイル群1の設けられる面の法線とのなす傾斜角(合成傾斜角度θ)を求める方法を提案している。すなわち特許文献3の段落〔0062〕の記述によれば、本願図3のAに示した検出波形において、X軸のピーク値LUxm、最小値LUxmin、中間値LUxmedとした場合に、X方向の角度(θx)は
θx=(LUxmed−LUxmin)/(LUxm−LUxmin)*180(度)
で求められる。
【0039】
また、Y軸のピーク値LUym、最小値LUymin、中間値LUymedとした場合に、Y方向の角度(θy)は
θy=(LUymed−LUymin)/(LUym−LUymin)*180(度)
で求められる。さらに合成傾斜角(θ)は、図8に示すように
θ=tan−1(√((tanθx)+(tanθy))*180/π(度)
で求められる。従って、このようにして求められた合成傾斜角度(θ)を用いて、図7に示した関係の補正を行うことにより、検出の分解能を高めることができる。
【0040】
またこの場合に、位置指示コイル2のコイル21の軸とセンサコイル群1の設けられる面とのなす合成傾斜角度(θ)から、さいころ3の姿勢を判別することも可能である。ところが、この場合には、例えばサイコロの1の面と6の面、2の面と5の面、3の面と4の面とがそれぞれ上にある関係では、それぞれの組み合わせにおいて位置指示コイル2の配置は鏡像関係となり、角度(θ)だけではこれらの関係の判別はできないことになる。すなわち1と6、2と5、3と4の関係は判別できないものである。
【0041】
なお、図9、図10、図11には、それぞれ1の面と6の面、2の面と5の面、3の面と4の面を上にしたときのX軸コイル、Y軸コイルからの検出波形を示している。そしてこの場合に、角度(θ)はそれぞれ等しく求められるものであるが、例えば指示器の方位角(φ)を等しくした場合にも、それぞれのピーク値は位置指示コイル2の重心位置までの高さ(Z)が異なることによって変化している。従って、これらを併せて判断することにより、サイコロ3の姿勢を正しく検出することができるものである。
【0042】
また、図9、図10、図11においては、X軸コイル、Y軸コイルからの検出波形をそれぞれ示しているが、ここで検出波形の大きさは位置指示コイル2のコイル21の軸とX軸、Y軸の成す角によって変動する。そこで上述の半値幅を求めるには、より大きい波形を用いた方がノイズ等の影響を受け難くなる。さらに、横倒し場合には出力が得られないことも考えられ、このためX軸、Y軸の2方向のループコイルを設ける必要が生じるものである。
【0043】
さらに、本発明の姿勢検出装置及び遊戯装置においては、上述した正6面体のいわゆるサイコロに限らず、図12に示すような正4面体、正8面体、正12面体、正20面体の立体構造物やこれらに準じた形状の立体構造物においても実施することができる。また、これらの立体構造物において、例えば正6面体以上の形状の場合には置かれたときに上面が特定される。そこでその上面に記された目の情報を検出された姿勢情報から形成して、その目の情報を出力、あるいはコンピュータに供給してゲームを進行させたり、所望のアプリケーションを起動させたりすることができる。
【0044】
また、形状が正4面体の場合には置かれたときの上面が特定されないので、このときには底面に記された目の情報を検出された姿勢情報から形成して、その目の情報を出力、あるいはコンピュータに供給することができる。さらに上述の姿勢検出装置では、例えば特許文献3の段落〔0067〕の記述のように位置指示コイル2の方位角(φ)の検出が可能であるので、上部の特定面の向いている方位角等に合わせた情報を出力、あるいはコンピュータに供給してゲームを進行させたり、所望のアプリケーションを起動させたりすることもできる。
【0045】
こうして本発明の姿勢検出装置によれば、少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部とからなり、位置指示コイルを立体構造物の姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けると共に、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの高さを算定する演算手段を設け、演算手段で算定された位置指示コイルの高さに応じて立体構造物の姿勢を検出することにより、例えばサイコロの出目の情報を良好に得ることが出来ると共に、構成を極めて単純なものとして、容易に実施可能とすることができるものである。
【0046】
また、本発明の姿勢検出装置によれば、少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部とからなり、位置指示コイルを立体構造物の姿勢の変化に応じて傾斜角の異ならされる方向に設けると共に、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの傾斜角を算定する演算手段を設け、演算手段で算定された位置指示コイルの傾斜角に応じて立体構造物の姿勢を検出することにより、例えばサイコロの出目の情報を良好に得ることが出来ると共に、構成を極めて単純なものとして、容易に実施可能とすることができるものである。
【0047】
さらに本発明の遊戯装置によれば、コンピュータプログラムに従って進行する遊戯装置であって、姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けられる少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部と、誘導コイルと電磁結合される位置指示コイルからの検出波形を測定することにより位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角を算定する演算手段とを有する姿勢検出装置を接続し、演算手段で算定された位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角の検出出力に応じてコンピュータプログラムの進行を制御することにより、例えばサイコロを振ってその出目に従って進行する遊戯等に使用して良好な臨場感が得られると共に、コンピュータの内部のみで処理されることに対する不信感等も払拭することができるものである。
【0048】
なお本発明は、上述の説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能とされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による姿勢検出装置及び遊戯装置を適用して成る例えばサイコロの出目の検出装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】その要部の具体的な構造を示す構成図である。
【図3】その説明のための検出波形を示す波形図である。
【図4】その説明のための特性図である。
【図5】本発明による姿勢検出装置の具体的な実施形態を示す構成図である。
【図6】本発明による遊戯装置の具体的な実施形態を示す構成図である。
【図7】その説明のための特性図である。
【図8】その説明のための線図である。
【図9】その説明のための検出波形を示す波形図である。
【図10】その説明のための検出波形を示す波形図である。
【図11】その説明のための検出波形を示す波形図である。
【図12】本発明の他の実施形態の説明のための図である。
【符号の説明】
【0050】
100…姿勢検出装置本体、1…センサコイル群、2…位置指示コイル、21…コイル、22…コンデンサ、3…サイコロ、4X,4Y…選択回路、5…送受信切替回路、6…制御回路、61…信号発生回路、62,63…アンプ、64…バンドパスフィルタ、65…検波器、66…サンプルホールド回路、67…アナログ−デジタル変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、
誘導コイルの設けられた検出部とからなり、
前記位置指示コイルを前記立体構造物の姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けると共に、
前記誘導コイルと電磁結合される前記位置指示コイルからの検出波形を測定することにより前記位置指示コイルの高さを算定する演算手段を設け、
前記演算手段で算定された前記位置指示コイルの高さに応じて前記立体構造物の姿勢を検出する
ことを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項2】
少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、
誘導コイルの設けられた検出部とからなり、
前記位置指示コイルを前記立体構造物の姿勢の変化に応じて傾斜角の異ならされる方向に設けると共に、
前記誘導コイルと電磁結合される前記位置指示コイルからの検出波形を測定することにより前記位置指示コイルの傾斜角を算定する演算手段を設け、
前記演算手段で算定された前記位置指示コイルの傾斜角に応じて前記立体構造物の姿勢を検出する
ことを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項3】
前記位置指示コイルは、少なくとも前記立体構造物の姿勢が上下反転したときに高さの異ならされる位置に設けられ、
前記演算手段は、前記位置指示コイルからの検出波形を測定することにより前記位置指示コイルの高さをさらに算定し、
前記演算手段で算定された前記位置指示コイルの高さを加味して前記立体構造物の姿勢を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の姿勢検出装置。
【請求項4】
前記検出部は並べて設けられる複数の誘導コイルを有し、
前記演算手段では、前記複数の誘導コイルからの検出レベルを順次プロットすることにより、前記複数の誘導コイルの並ぶ方向の検出波形を形成し、
前記形成された検出波形の半値幅により前記位置指示コイルの高さを検出する
ことを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項5】
前記検出部は並べて設けられる複数の誘導コイルを有し、
前記演算手段では、予め特定の高さ及び姿勢の指示コイルにて信号レベルを教示し記憶しておき、前記複数の誘導コイルからの検出レベルを順次プロットすることにより、前記複数の誘導コイルの並ぶ方向の検出波形を形成し、
前記記憶された信号レベルとの比較に基づき前記位置指示コイルの高さを検出する
ことを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項6】
前記複数の誘導コイルは、少なくとも2方向に並べて設けられ、それぞれの方向ごとに前記検出波形の形成を行う
ことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項7】
前記演算手段では、前記位置指示コイルの高さに加え、さらに前記少なくとも2方向を座標軸とする前記位置指示コイルの位置を検出する
ことを特徴とする請求項6記載の姿勢検出装置。
【請求項8】
前記立体構造物は、正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、
前記検出部は、前記立体構造物の姿勢が検出されたときの上面若しくは底面に相当する面に対応する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項9】
前記立体構造物は、正四面体若しくはそれに準ずる形状とされ、
前記検出部は、前記立体構造物の姿勢が検出されたときの底面に相当する面に対応する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項10】
前記立体構造物は、六面以上の正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、
前記検出部は、前記立体構造物の姿勢が検出されたときの上面に相当する面に対応する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の姿勢検出装置。
【請求項11】
前記立体構造物は、正多面体若しくはそれに準ずる形状とされ、
前記検出部は、前記立体構造物の姿勢が検出されたときの上面若しくは底面に相当する面に対応する情報と、前記立体構造物の前記少なくとも2方向を座標軸とする位置及び/または向きの情報とを出力する
ことを特徴とする請求項7記載の姿勢検出装置。
【請求項12】
前記立体構造物をなす多面体の特定面の位置及び/または向きを検出することにより、前記特定面に対応したアプリケーションを起動する
ことを特徴とする請求項11記載の姿勢検出装置。
【請求項13】
コンピュータプログラムに従って進行する遊戯装置であって、
姿勢の変化に応じて高さの異ならされる位置に設けられる少なくとも1個の位置指示コイルを内蔵した立体構造物と、誘導コイルの設けられた検出部と、前記誘導コイルと電磁結合される前記位置指示コイルからの検出波形を測定することにより前記位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角を算定する演算手段とを有する姿勢検出装置を接続し、
前記演算手段で算定された前記位置指示コイルの高さ及び/または位置、方位角の検出出力に応じて前記コンピュータプログラムの進行を制御する
ことを特徴とする遊戯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−334824(P2007−334824A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169076(P2006−169076)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】