説明

媒体搬送装置

【課題】 ベルトの繋ぎ目に起因したフィード量のばらつきを効果的に補正できるようにすること。
【解決手段】 このベルト式搬送装置100では、ベルト53の繋ぎ目54のフィード側に穴等からなるマーク55を設けている。ベルト53には、第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2が設けられ、第1ロータリーエンコーダ1のバックフィード側の近傍には光学センサ13が設けられる。ベルト53が移動してマーク55を光学センサ13が検出すると、実際にベルト53のフィードを検出する有効なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。繋ぎ目54が第1ロータリーエンコーダ1を通過してベルト53が所定フィード量だけ移動すると、有効なエンコーダを第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。これにより、繋ぎ目54におけるフィードをエンコーダで検出しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトのフィード量をエンコーダにより検出して指定フィード量の補正を行う媒体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターの搬送機構として採用されるベルト搬送では、布や紙等のメディアを搬送する可撓性を有する無端状のベルトを一対のローラに掛け回して、当該ローラを駆動モータにより回転させることで当該ベルトを移動させる。ベルトの実際のフィード量は、ローラの偏芯やベルトの厚さの不均一により指定フィード量に対してばらつきが生じるため、ベルト上に設けたロータリーエンコーダにより実際の移動量を検出し、その検出信号によりモータの駆動信号を補正するようにしている。
【0003】
このようなローラの偏芯変動やベルトの厚さ変動を補正する技術として特許文献1に開示されたベルト装置が知られている。このベルト装置は、駆動ローラである第1のローラと、従動ローラである第2のローラと、第1のローラ及び第2のローラとの間に掛け回されている無端状のベルトと、第1のローラに前記ベルトを介して対向させて設けた対向ローラとを備えている。第1のローラと対向ローラにはそれぞれロータリーエンコーダが設けられている。
【0004】
このベルト装置は、前記第1のローラ及び対向ローラにそれぞれ設けたロータリーエンコーダにより検出したベルトの厚さ変動、第1ローラ及び対向ローラの偏芯変動を記憶させておき、この記憶させた変動成分に基づいて駆動モータの駆動信号に補正を行い、ベルトの移動速度変動又は移動速度距離変動が小さくなるように、第1のローラを回転させる。
【0005】
上記無端状のベルトは、短冊状のベルトの両端をフィンガー状に加工し、当該両端を突き合わせると共にこの突き合わせ部分の上から接着シートをラミネートすることで当該両端を連結し、全体として環状とした構造である。このため、無端状のベルトには、かかる繋ぎ目が存在し、当該繋ぎ目におけるベルト厚さ変動は他の部分の厚さ変動に比べて大きくなる。このため、ベルトの全周における比較的小さな厚さ変動を補正する従来のベルト装置における補正方法では、正確なフィード量を得ることが困難であるという問題点があった。
【0006】
また、継ぎ部における検出誤差を解消する技術として、特許文献2に記載のインクジェットプロッタが知られている。このインクジェットプロッタは、インクジェットヘッドを保持するスライダーの位置を検出する技術である。スライダーには、第1リニアエンコーダセンサと第2リニアエンコーダセンサとが設けられている。リニアエンコーダスケールは、第1リニアエンコーダスケールと第2リニアエンコーダスケールとが継ぎ部で継がれた構造である。前記第1リニアエンコーダスケールの目盛りは前記第1リニアエンコーダセンサにより読み取られ、前記第2リニアエンコーダスケールの目盛りは前記第2リニアエンコーダセンサにより読み取られる。
【0007】
走行位置検出手段は、検出手段により第1リニアエンコーダセンサが前記継ぎ部に接近したことを検出すると、第2リニアエンコーダセンサにより第2リニアエンコーダスケールの目盛りを読み取るように切り換える。このようにすれば、リニアエンコーダスケールに継ぎ部があっても、リニアエンコーダスケールの目盛りを連続的に読み取ることができる。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2のようなリニアエンコーダスケールを特許文献1のような可撓性のあるベルトに設けると、ベルトの振動によってリニアエンコーダスケールからリニアエンコーダセンサまでの距離が不安定となり正確なフィード量の検出ができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−86653号公報
【特許文献2】特開2001−341372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の目的は、繋ぎ目のある可撓性のあるベルトのフィード量を正確に検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明に係る媒体搬送装置は、繋ぎ合わせた部分に繋ぎ目のある可撓性のベルトと、当該ベルトを狭持手段により常に狭持した状態で当該ベルトのフィード量を検出する第1検出手段と、第1検出手段から前記繋ぎ目の幅より大きい間隔をもって設けられ、前記ベルトを常に狭持した状態で当該ベルトのフィード量を検出する第2検出手段と、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、前記繋ぎ目の上に第1検出手段が位置することになる前に、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える切換手段とを有することを特徴とする。
【0012】
即ち、当該発明では、可撓性のベルトを狭持手段により常に狭持した状態で当該ベルトのフィード量を検出するので、例えばベルトにリニアスケールを設けた場合に当該ベルトに振動が生じても、リニアスケールからセンサまでの距離が安定することになり、その結果、ベルトのフィード量を正確に検出できるようになる。また、第1検出手段をローラからなる狭持手段とローラの回転からフィード量を検出するロータリーエンコーダとを組み合わせた構成にした場合でも、ベルトの振動等が生じても当該ベルトのフィード量を正確に検出できる。また、第1検出手段と第2検出手段との間隔をベルトの繋ぎ目より大きくし、その上で、当該繋ぎ目の上に前記第1検出手段が位置することになる前に、第1検出手段から第2検出手段に切り換えて当該第2検出手段によりベルトのフィード量を検出するようにしたので、ベルトの繋ぎ目の部分で当該ベルトのフィード量を検出しなくても済むから、ベルトのフィード量を正確に検出できるようになる。
【0013】
第2の発明に係る媒体搬送装置は、第1の発明において、更に、前記第1検出手段又は第2検出手段は、前記ベルト上又はベルトに従動する部位に形成された被検出部を非接触で検出する非接触センサとからなることを特徴とする。
【0014】
狭持手段により狭持したベルト上の被検出部を非接触センサで検出することで前記ベルトの振動や伸びが生じても、当該ベルトのフィード量を正確に検出できる。前記非接触センサは、例えば光学センサであり、被検出部はリニアスケールや回転スリットである。
【0015】
第3の発明に係る媒体搬送装置は、第1又は第2の発明において、更に、前記ベルトに前記継ぎ目を避けてマークを設けると共に、第1検出手段に対応して設けられ、前記ベルトのマークを検出する第1マーク検出手段を設け、前記切換手段は、当該第1マーク検出手段によりベルト上の前記マークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換えることを特徴とする。
【0016】
即ち、当該発明では、第1マーク検出手段によりベルトの繋ぎ目を避けて設けたマークを検出し、このマークの検出に基づいて第1検出手段から第2検出手段に切り換えて当該第2検出手段によりベルトのフィード量を検出する。第2検出手段は、第1検出手段から繋ぎ目の幅より大きい間隔をもって設けられているから、繋ぎ目の上に第1検出手段が位置するときは、第2検出手段は繋ぎ目の上に位置しないことになる。よって、ベルトの繋ぎ目の部分で当該ベルトを検出しなくても済むから、ベルトのフィード量を正確に検出できる。
【0017】
第4の発明に係る媒体搬送装置は、第1〜第3の発明において、更に、前記切換手段は、第2検出手段への切換後に所定の切換フィード量だけベルトが移動したとき、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする。
【0018】
このように、第2検出手段への切換後、切換フィード量だけベルトが移動してからベルトのフィード量を検出する検出手段を再び第1検出手段に戻しておけば、繋ぎ目が一周しても、前記同様に第1検出手段から第2検出手段に切り換えて繋ぎ目の部分でフィード量を検出してしまうことを防止できる。
【0019】
第5の発明に係る媒体搬送装置は、第3の発明において、更に、第2検出手段に対応して設けられ、前記ベルトのマークを検出する第2マーク検出手段を設け、前記切換手段は、更に、前記第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする。
【0020】
即ち、この発明では、第1検出手段及び第2検出手段のいずれにも第1マーク検出手段及び第2マーク検出手段を対応付けて設け、この第1マーク検出手段又は第2マーク検出手段によるベルト上のマークの検出に基づいて、検出手段の切換を行うようにする。具体例としては、第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換え、且つ、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第1マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える。このようにしても、ベルトの繋ぎ目の部分で当該ベルトのフィード量を検出しなくても済むのでフィード量を正確に検出できるようになる。
【0021】
第6の発明に係る媒体搬送装置は、上記第1〜第5の発明において、前記第1検出手段と第2検出手段との間隔は、前記ベルト周長の半分とすることを特徴とする。
【0022】
このようにすれば、繋ぎ目を検出して検出手段を切り換えてから、ベルトが半周しなければ次の切換が行われないため、検出手段の切換回数を少なくできる。このため、加工時間が短縮化される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、振動や伸縮が生じる可撓性のベルトを狭持手段で狭持した状態で検出手段により検出を行い、その際、ベルトの繋ぎ目を検出手段で検出することがないようにするので、当該ベルトのフィード量を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1に係るベルト式搬送装置を示す説明図であり、(a)は、平面図(b)は、側面図である。
【図2】図1に示したベルト式搬送装置の一部斜視図である。
【図3】図1に示したベルト式搬送装置を示す構成図である。
【図4】この発明のベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るベルト式搬送装置を示す側面図である。
【図7】各エンコーダとベルトの繋ぎ目との相関関係を示す模式図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態7に係るベルト式搬送装置を示す一部斜視図である。
【図12】図11に示したベルト式搬送装置を示す側面図である。
【図13】この発明の実施の形態7の変形例に係るベルト式搬送装置を示す一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るベルト式搬送装置を示す説明図であり、(a)は、平面図(b)は、側面図である。図2は、図1に示したベルト式搬送装置の一部斜視図である。図3は、図1に示したベルト式搬送装置を示す構成図である。このベルト式搬送装置100は、カッティングプロッタやインクジェットプリンター等の媒体の搬送に用いる媒体搬送装置であり、第1ローラ51と第2ローラ52との間に可撓性で且つ無端状のベルト53を掛け回した構造である。
【0026】
ベルト53の片側縁には、一定間隔をもって第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2が設けられている。この一定間隔は、少なくとも前記繋ぎ目54の幅より大きい。このため、繋ぎ目54の上に第1検出手段である第1ロータリーエンコーダ1が位置するときは、第2検出手段である第2ロータリーエンコーダ2は繋ぎ目54の上に位置しないことになる。
【0027】
この第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2は、ベルト53に連動して回転するスリット板及び光学センサ等が内設された筐体が固定用のブラケットに固定され、回転軸にはベルト53に所定圧で当接する検出ローラ11,21が設けられている。検出ローラ11,21のベルト53との当接面には所定の摩擦力を得るための表面加工が施される。検出ローラ11,21にはベルト53を介して補助ローラ12,22が対向して設けられている。検出ローラ11,21は、補助ローラ12,22によりベルト53を所定圧で挟み込むことで当該ベルト53に対して滑りを生じさせることなく従動する。この狭持手段である検出ローラと補助ローラとによりベルト53を常に狭持した状態とすることで、可撓性のベルト53が振動したり伸びたとしても、ローラを介して従動するスリット板を光学センサにより安定して検出できる。
【0028】
また、第1ロータリーエンコーダ1の近傍であって第2ロータリーエンコーダ2が設けられている側には、第1マーク検出手段としての光学センサ13が設けられている。光学センサ13は、発光ダイオード等の光源14とホトダイオード等の受光素子15とからなり、光源14がベルト53の表側に配置され、受光素子15がベルト53の裏側に配置される。
【0029】
第1ローラ51の回転軸には駆動モータ61が設けられている。駆動モータ61は、ドライバユニット62により駆動される。ドライバユニット62はコントローラ63に接続される。コントローラ63には、第1ロータリーエンコーダ1、第2ロータリーエンコーダ2及び前記光学センサ13が接続されている。コントローラ63は、第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との検出信号のうち補正に用いる検出信号を切り換える切換部64と、フィード量の補正を行う補正部65とを有する。
【0030】
ベルト53は、搬送方向に直交する方向に一定の幅を有する帯状の繋ぎ目54を有する。繋ぎ目54は、長尺短冊状のベルト53の両端をフィンガー状に加工して当該両端を突き合わせ、その上から接着シートをラミネートした構造であって、当該繋ぎ目54の厚さはそれ以外の部分より厚くなっている。ベルト53のフィード方向の前側近傍には、繋ぎ目54の存在を表すマーク55としての穴が設けられている。換言すれば、このマーク55は、前記繋ぎ目54を避けてベルト53上に設けられている。この穴は、前記光学センサ13により検出可能となる。
【0031】
図4は、この発明のベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。図中において、ベルト53は矢印Aが示す搬送方向に移動するものとする。光学センサ13は、上記のように、第1ロータリーエンコーダ1の第2ロータリーエンコーダ側(若しくはバックフィード側)近傍に一つ設けられ、ベルト53の繋ぎ目54のフィード側近傍にはマーク55が一つ設けられているものとする。また、図中において、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダに「有効」と表記する。
【0032】
図4(a)に示す状態では、切換部64により、実際にベルト53のフィード量を検出するエンコーダとして第1ロータリーエンコーダ1が選択されている。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量に対して補正を行う。ドライバユニット62は、補正された駆動信号により前記駆動モータ61を駆動する。なお、図4(a)の状態では、ベルト53上の繋ぎ目54は、第2ロータリーエンコーダ2にさしかかっていない。
【0033】
ベルト53の搬送が進むと、図4(b)に示すように、繋ぎ目54が第2ロータリーエンコーダ2を通過するが、このときの第2ロータリーエンコーダ2の検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。
【0034】
更にベルト53が移動し、図4(c)に示すように、マーク55が光学センサ13の検出位置に入ると、光学センサ13の光源14からの光が穴(55)を通過しこれを受光素子15が受光することで、当該光学センサ13がマーク55を検出する。コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なロータリーエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。
【0035】
第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2とは、一定の間隔を持って配置されているため、ローラの偏芯やベルト53の厚さ変動に起因した誤差が生じる。即ち、ローラの偏芯により第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との間のベルト53は微小に伸縮している。また、第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との位置におけるベルト53の厚さは微小に異なる。このため、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えた際、実際の第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2との間隔(エンコーダの設置距離)と、ベルト53上での第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との間隔(エンコーダの検出信号から得られる距離)との間には誤差が生じる。また、エンコーダの個体差により得られる検出信号が異なるので、この個体差により生じる誤差も考慮する必要がある。図3に示した記憶部66には、これらのローラの偏芯、ベルト厚さ変動、エンコーダの個体差により生じる個体誤差を予め取得して記憶させておく。そして、補正部65は、エンコーダを切り換える際に前記記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0036】
図4(c)に戻り、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号は用いられない。
【0037】
続いて、図4(d)に示すように、繋ぎ目54が第1ロータリーエンコーダ1を通過し、光学センサ13がマーク55を検出してから(第2ロータリーエンコーダ2に切り換えてから)所定のフィード量(切換フィード量x1)だけベルト53が移動すると、切換部64は、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に使用するロータリーエンコーダを切り換える。前記フィード量の検出は、第2ロータリーエンコーダ2の検出信号に基づいて取得する。前記切換フィード量x1は、マーク55から繋ぎ目54の当該マーク55側と反対側の端までの距離x2より大きくする必要がある。第1ロータリーエンコーダ1により繋ぎ目54の部分でフィード量を検出することにならないようにするためである。
【0038】
また、この第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える際も、上記同様、ベルト53の移動を停止して前記個体誤差を埋めるための補正を行う。補正後、再び駆動モータ61を駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、ロータリーエンコーダの切換後は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0039】
以上のように、繋ぎ目54の近傍に設けたマーク55を光学センサ13により検出し、この検出信号により別の位置にあるエンコーダに切り換え、そのエンコーダによりベルト53のフィード量を検出するので、実際に検出を行うエンコーダがベルト53の繋ぎ目54でベルト53のフィード量を検出することがない。このため、繋ぎ目54によるベルト厚さの大きな変動を考慮せずに済むので、可撓性のベルト53のフィード量を正確に検出できるようになる。
【0040】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。このベルト式搬送装置200は、上記実施の形態1に係るベルト式搬送装置100と略同じ構成であるが、第2ロータリーエンコーダ2の近傍であって第1ロータリーエンコーダ1が設けられている側とは反対側に第2マーク検出手段としての光学センサ23を設けた点が異なる。光学センサ13,23は、実施の形態1のものと同一である。
【0041】
図中において、ベルト53は矢印Aが示す搬送方向に移動するものとする。光学センサ13,23は、第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2のバックフィード側の近傍にそれぞれ一つ設けられ、ベルト53の繋ぎ目54のフィード側近傍にはマーク55が一つ設けられているものとする。また、図中において、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダに「有効」と表記する。
【0042】
図5(a)に示す状態では、切換部64により、実際にベルト53のフィード量を検出するエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量に対して補正を行う。ドライバユニット62は、補正された駆動信号により前記駆動モータ61を駆動する。図5(a)の状態では、ベルト53上の繋ぎ目54は、第2ロータリーエンコーダ2にさしかかっていない。
【0043】
ベルト53の搬送が進み、図5(b)に示すように、繋ぎ目54の近傍に設けたマーク55が第2ロータリーエンコーダ2の光学センサの検出位置に入ると、光学センサ23の光源からの光が穴を通過しこれを受光素子が受光することで、当該光学センサ23がマーク55を検出する。コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0044】
図5(b)に戻り、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0045】
ベルト53の繋ぎ目54は、図5(c)に示すように、第2ロータリーエンコーダ2を通過するが、このときの第2ロータリーエンコーダ2の検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。
【0046】
次に、図5(d)に示すように、ベルト53の移動に伴い繋ぎ目54の近傍に設けたマーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13の検出位置に入ると、当該光学センサ13がマーク55を検出する。コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に前記記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0047】
第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、コントローラ63は、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0048】
ベルト53の繋ぎ目54は、図5(e)に示すように、第1ロータリーエンコーダ1を通過するが、当該第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。
【0049】
繋ぎ目54はベルト53の移動により掛け回された第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周し、図5(a)に示すように、再び第2ロータリーエンコーダ2に至る。その後は、上記同様の図5(b)〜(e)に示したステップを繰り返す。
【0050】
以上のようにすれば、実施の形態1のベルト式搬送装置100と同様の効果が得られると共に、第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2のそれぞれに光学センサ13,23を設けたので、ベルト53の繋ぎ目54が各エンコーダを通過する前にマーク55を検出してそのエンコーダが繋ぎ目54でフィード量を検出するのを防止できる。このため、ベルト53の正確なフィードが行えるようになる。
【0051】
(実施の形態3)
図6は、この発明の実施の形態3に係るベルト式搬送装置を示す側面図である。図7は、各エンコーダとベルトの繋ぎ目との相関関係を示す模式図である。この実施の形態3に係るベルト式搬送装置300は、実施の形態1に係るベルト式搬送装置100と略同一の構成であるが、第2ロータリーエンコーダ2がベルト53のループの反対側に設けられている点に特徴がある。好ましくは、第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との間隔xはベルト53の周長の半分とする。これにより、頻繁にエンコーダの切換が行われないようにすることができる。
【0052】
特に、第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との間隔xを広くすることは、ベルト53をバックフィードする際に効果的である。図4に示した例で説明すると、第1ロータリーエンコーダ1に繋ぎ目54が至り、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えたにもかかわらず、ベルト53のバックフィードを行うと、再び第2ロータリーエンコーダ2に繋ぎ目54が至ってしてしまうため、ベルト53のフィードを再び停止し、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換えねばならない。これでは、メディアをベルト53の繋ぎ目54の近傍に設置した場合、エンコーダの切換回数が増えてしまうため、加工に時間がかかってしまう。
【0053】
そこで、この実施の形態3のように、第1ロータリーエンコーダ1と第2ロータリーエンコーダ2との間隔xが最大となるように、当該間隔xをベルト周長の半分とすることで、メディアをベルト53の繋ぎ目54の近傍に設置した場合でも、エンコーダの切換の回数が増えないようにできる。なお、この実施の形態3に係る構成は、下記実施の形態4〜6においても適用可能である。
【0054】
(実施の形態4)
図8は、この発明の実施の形態4に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。このベルト式搬送装置400は、上記実施の形態1に係るベルト式搬送装置100と略同じ構成であるが、ベルト53をバックフィードする際にもエンコーダの切換を可能にするため、第1ロータリーエンコーダ1の両側及び第2ロータリーエンコーダ2の両側に第1マーク検出手段としての光学センサ13,16及び第2マーク検出手段としての光学センサ23,26を設けた点が異なる。光学センサ13,16,23,26は、実施の形態1のものと同一である。また、繋ぎ目54の両側近傍(繋ぎ目54を避けた位置)にマーク55,56を設けた点が異なる。
【0055】
図中において、ベルト53は矢印Aが示す搬送方向に移動するものとする。光学センサ13,16,23,26は、第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2の両側近傍にそれぞれ設けられ、ベルト53の繋ぎ目54の両側近傍にはマーク55,56が設けられているものとする。説明のため、第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2のベルト53のフィード側の光学センサを左光学センサ16,26といい、バックフィード側の光学センサを右光学センサ13,23という。また、繋ぎ目54のフィード側のマークを左マーク55、バックフィード側のマークを右マーク56という。また、図中において、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダに「有効」と表記する。
【0056】
図8(a)に示す状態では、切換部64により、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量に対して補正を行う。ドライバユニット62は、補正された駆動信号により前記駆動モータ61を駆動する。図8(a)の状態では、ベルト53上の繋ぎ目54は、第2ロータリーエンコーダ2にさしかかっていない。
【0057】
ベルト53の搬送が進み、図8(b)に示すように、繋ぎ目54の左マーク55が第2ロータリーエンコーダ2の右光学センサ23の検出位置に入ると、当該右光学センサ23が左マーク55を検出する。コントローラ63は、左マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この左マーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0058】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0059】
ベルト53の繋ぎ目54は、図8(c)に示すように、第2ロータリーエンコーダ2を通過するが、当該第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。なお、図8(b)〜(c)にかけて第2ロータリーエンコーダ2の右光学センサ23から2回、左光学センサ26から2回の合計4回のマーク55を検出する信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングで第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換えを行うようにする。
【0060】
次に、図8(d)に示すように、ベルト53の移動に伴い繋ぎ目54の左マーク55が第1ロータリーエンコーダ1の右光学センサ13の検出位置に入ると、当該右光学センサが左マーク55を検出する。コントローラ63は、左マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この左マーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に前記記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0061】
第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0062】
ベルト53の繋ぎ目54は、図8(e)に示すように、第1ロータリーエンコーダ1を通過するが、当該第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。なお、図8(d)〜(e)にかけて第1ロータリーエンコーダ1の右光学センサ13から2回、左光学センサ16から2回の合計4回のマーク55を検出する信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングで第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えを行うようにする。
【0063】
ベルト53がフィード方向のみ移動する場合、繋ぎ目54はベルト53の移動により掛け回された第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周し、図8(a)に示すように、再び第2ロータリーエンコーダ2に至る。その後は、上記同様の図8(b)〜(e)に示したステップを繰り返す。
【0064】
一方、図8(c)の状態からベルト53がバックフィードする場合、図8(f)に示す状態では、「有効」なエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。そして、繋ぎ目54の右マーク56が第2ロータリーエンコーダ2の左光学センサ26の検出位置に入ると、当該左光学センサ26が右マーク56を検出する。コントローラ63は、右マーク56の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この右マーク56の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0065】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0066】
繋ぎ目54がこのまま第2ロータリーエンコーダ2を通過しても、この第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。この場合も、第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ23,26から4回の検出信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングでエンコーダの切換が行われる点は上記同様である。
【0067】
このままベルト53がバックフィードし、繋ぎ目54が第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周すると、図8(h)に示すように、繋ぎ目54の右マーク56が第1ロータリーエンコーダ1の左光学センサ16の検出位置に入り、左光学センサ16が右マーク56を検出する。この検出信号に基づいて切換部64は第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えを行う。その後は、上記同様の図8(f)〜(h)に示したステップを繰り返す。
【0068】
以上のようにすれば、実施の形態1のベルト式搬送装置100と同様の効果が得られると共に、バックフィードを行う場合にもベルト53の繋ぎ目54が各エンコーダを通過する前にマーク55を検出してそのエンコーダが繋ぎ目54でフィード量を検出するのを防止できる。このため、ベルト53の正確なフィードが行えるようになる。
【0069】
(実施の形態5)
図9は、この発明の実施の形態5に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。このベルト式搬送装置500は、上記実施の形態4に係るベルト式搬送装置400と略同じ構成であるが、第1ロータリーエンコーダ1のフィード側及び第2ロータリーエンコーダ2のバックフィード側に1個ずつ第1マーク検出手段としての光学センサ16及び第2マーク検出手段としての光学センサ23を設けた点が異なる。光学センサ16,23は、実施の形態1のものと同一である。また、繋ぎ目54の両側にマーク55,56を避けて所定距離をもって設けた点が異なる。
【0070】
図中において、ベルト53は矢印Aが示す搬送方向に移動するものとする。説明のため、繋ぎ目54のフィード側のマーク55を左マーク55、バックフィード側のマーク55を右マーク56という。また、図中において、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダに「有効」と表記する。
【0071】
図9(a)に示す状態では、切換部64により、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量に対して補正を行う。ドライバユニット62は、補正された駆動信号により前記駆動モータ61を駆動する。図9(a)の状態では、ベルト53上の繋ぎ目54は、第2ロータリーエンコーダ2にさしかかっていない。
【0072】
ベルト53の搬送が進み、図9(b)に示すように、繋ぎ目54の近傍に設けた左マーク55が第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ23の検出位置に入ると、当該光学センサ23が左マーク55を検出する。コントローラ63は、左マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この左マーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0073】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0074】
ベルト53の繋ぎ目54は、図9(c)に示すように、第2ロータリーエンコーダ2を通過するが、当該第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。なお、図9(b)〜(c)にかけて第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ23から2回のマーク55,56を検出する信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングで第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換えを行うようにする。
【0075】
次に、図9(d)に示すように、ベルト53の移動に伴い繋ぎ目54の近傍に設けた左マーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ16の検出位置に入ると、当該光学センサ16が左マーク55を検出する。ここで、繋ぎ目54のフィード側の端から左マーク55までの距離x1は、第1ロータリーエンコーダ1(検出ローラ11の中心軸)と光学センサ16との距離x2よりも大きい。これにより、当該繋ぎ目54が第1ロータリーエンコーダ1に入る前に光学センサ16が左マーク55を検出できる。
【0076】
左マーク55を検出すると、前記コントローラ63は、駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この左マーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に前記記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0077】
第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0078】
ベルト53の繋ぎ目54は、図9(e)に示すように、第1ロータリーエンコーダ1を通過するが、当該第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。なお、図9(d)〜(e)にかけて第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ16から2回のマーク55,56を検出する信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングで第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えを行うようにする。
【0079】
ベルト53がフィード方向のみ移動する場合、繋ぎ目54はベルト53の移動により掛け回された第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周し、図9(a)に示すように、再び第2ロータリーエンコーダ2に至る。その後は、上記同様の図9(b)〜(e)に示したステップを繰り返す。
【0080】
一方、図9(c)の状態からベルト53がバックフィードする場合、図9(f)に示す状態では、「有効」なエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。そして、繋ぎ目54の右マーク56が第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ23の検出位置に入ると、当該光学センサ23が右マーク56を検出する。コントローラ63は、右マーク56の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、この右マーク56の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0081】
ここで、繋ぎ目54のバックフィード側の端から右マーク56までの距離x3は、第2ロータリーエンコーダ2(検出ローラ21の中心軸)と光学センサ23との距離x4よりも大きい。これにより、当該繋ぎ目54が第2ロータリーエンコーダ2に入る前に光学センサ23が右マーク56を検出できる。
【0082】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。
【0083】
繋ぎ目54がこのまま第2ロータリーエンコーダ2を通過しても、この第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。この場合も、第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ23から2回の検出信号が発生するが、最初に発生した検出信号のタイミングでエンコーダの切換が行われる点は上記同様である。
【0084】
このままベルト53がバックフィードし、繋ぎ目54が第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周すると、図9(h)に示すように、繋ぎ目54の右マーク56が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ16の検出位置に入り、光学センサ16が右マーク56を検出する。この検出信号に基づいて切換部64は第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えを行う。その後は、上記同様の図8(f)〜(h)に示したステップを繰り返す。
【0085】
以上のようにすれば、実施の形態4のベルト式搬送装置400と同様の効果が得られると共に、光学センサを第1ロータリーエンコーダ1及び第2ロータリーエンコーダ2にそれぞれ一つ設ければ済むのでコストダウンになる。なお、繋ぎ目54とマーク55との距離を実施の形態4より大きくしてもコストは同じである。
【0086】
なお、ベルト53の繋ぎ目54のフィード方向(バックフィード方向)にマーク55を設けた場合であってエンコーダのフィード方向(バックフィード方向)に光学センサを設けるときは、エンコーダの検出ローラ11,21の回転軸と光学センサとの間隔は、繋ぎ目54のフィード方向(バックフィード方向)の端からマーク55までの間隔よりも小さくなければならない。この条件が満たされれば、第1ロータリーエンコーダ1のいずれの側に光学センサが設けられても良いし、第2ロータリーエンコーダ2のいずれの側に光学センサが設けられても良い。
【0087】
(実施の形態6)
図10は、この発明の実施の形態6に係るベルト式搬送装置の動作を示す説明図である。このベルト式搬送装置100は、上記実施の形態4に係るベルト式搬送装置100と略同じ構成であるが、第1ロータリーエンコーダ1のバックフィード側及び第2ロータリーエンコーダ2のフィード側に1個ずつ第1マーク検出手段としての光学センサ13及び第2マーク検出手段としての光学センサ26を設けた点が異なる。光学センサ13,26は、実施の形態1のものと同一である。また、繋ぎ目54のフィード側にはマーク55が所定距離をもって設けられている点が異なる。
【0088】
図中において、ベルト53は矢印Aが示す搬送方向に移動するものとする。また、図中において、実際にベルト53のフィード量を検出するロータリーエンコーダに「有効」と表記する。
【0089】
図10(a)に示す状態では、切換部64により、「有効」なエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量に対して補正を行う。ドライバユニット62は、補正された駆動信号により前記駆動モータ61を駆動する。図10(a)の状態では、ベルト53上の繋ぎ目54は、第2ロータリーエンコーダ2にさしかかっていない。
【0090】
ベルト53の搬送が進み、図10(b)に示すように、繋ぎ目54の近傍に設けたマーク55が第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ26の検出位置に入ると、当該光学センサ26がマーク55を検出する。ここで、繋ぎ目54のフィード側の端からマーク55までの距離x1は、第2ロータリーエンコーダ2(検出ローラ21の中心軸)と光学センサ26との距離x2よりも大きい。これにより、当該繋ぎ目54が第2ロータリーエンコーダ2に入る前に光学センサ26がマーク55を検出することができる。
【0091】
コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0092】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。ベルト53の繋ぎ目54は、図10(c)に示すように、第2ロータリーエンコーダ2を通過するが、当該第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。
【0093】
次に、図10(d)に示すように、ベルト53の移動に伴い繋ぎ目54のマーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13の検出位置に入ると、当該光学センサ13がマーク55を検出する。ここで、繋ぎ目54のフィード側の端からマーク55までの距離x1は、第1ロータリーエンコーダ1(検出ローラ11の中心軸)と光学センサ13との距離x3よりも大きい。これにより、当該繋ぎ目54が第1ロータリーエンコーダ1に入る前に光学センサがマーク55を検出することができる。
【0094】
マーク55を検出すると、前記コントローラ63は、駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に前記記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0095】
第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。ベルト53の繋ぎ目54は、図10(e)に示すように、第1ロータリーエンコーダ1を通過するが、当該第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号は用いられないので、補正部65によるフィード量の補正精度に何ら影響はない。
【0096】
ベルト53がフィード方向のみ移動する場合、繋ぎ目54はベルト53の移動により掛け回された第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周し、図10(a)に示すように、再び第2ロータリーエンコーダ2に至る。その後は、上記同様の図10(b)〜(e)に示したステップを繰り返す。
【0097】
一方、図10(e)の状態からベルト53がバックフィードする場合、図10(f)に示す状態では、「有効」なエンコーダとして第2ロータリーエンコーダ2が選択されている。このため、ベルト53がバックフィードして繋ぎ目54が第1ロータリーエンコーダ1を通っても問題ない。その一方、繋ぎ目54のマーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13の検出位置に入ると、当該光学センサ13がマーク55を検出する。第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13によるマーク55の検出は、図10(d)のときから数えて2回目となる。
【0098】
コントローラ63は、2回目のマーク55の検出信号をもってベルト53のバックフィードと判断し、駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0099】
なお、繋ぎ目54のフィード側の端からマーク55までの距離x1は、第1ロータリーエンコーダ1(検出ローラの中心軸)と光学センサ13との距離x3よりも大きくなっている。
【0100】
そして、第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換え、補正部65によりエンコーダ切換の際に必要となる誤差の補正をした後、図10(g)に示すように、駆動モータ61を再び駆動してベルト53を移動させる。補正部65は、第1ロータリーエンコーダ1からの検出信号に基づいて指定フィード量を補正する。繋ぎ目54がこのまま第2ロータリーエンコーダ2を通過しても、この第2ロータリーエンコーダ2からの検出信号は用いられない。
【0101】
このままベルト53がバックフィードし、図10(h)に示すように、マーク55が第2ロータリーエンコーダ2の光学センサ26の検出位置に入ると、当該光学センサ26がマーク55を検出する。コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0102】
このままベルト53がバックフィードし、繋ぎ目54が第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周すると、図10(f)に示すように、繋ぎ目54のマーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13の検出位置に入り、光学センサ13がマーク55を検出する。この検出信号に基づいて切換部64は第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換えを行う。その後は、上記同様の図8(f)〜(h)に示したステップを繰り返す。
【0103】
一方、図10(g)のバックフィードの状態からベルト53がフィード方向に反転する場合、図10(i)に示す状態では、「有効」なエンコーダとして第1ロータリーエンコーダ1が選択されている。そして、繋ぎ目54のマーク55が第1ロータリーエンコーダ1の光学センサ13の検出位置に入ると、当該光学センサ13がマーク55を検出する。
【0104】
第1ロータリーエンコーダ1が「有効」の場合における光学センサ13によるマーク55検出は、ベルト53のフィード方向の移動と判断できるから、コントローラ63は、マーク55の検出信号に基づいて駆動モータ61を制御してベルト53を停止する。そして、切換部64は、このマーク55の検出信号に基づいて、「有効」なエンコーダを、第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。補正部65は、エンコーダを切り換える際に図3に示す記憶部66に記憶している個体誤差を読み出してこれを埋める補正を行う。
【0105】
ベルト53がフィード方向に移動して繋ぎ目54が第1ローラ51と第2ローラ52との間を1周すると、図10(a)に示すように、再び第2ロータリーエンコーダ2に至る。その後は、上記同様のステップを繰り返す。
【0106】
即ち、第1ロータリーエンコーダ1が「有効」となっているときに光学センサ13がマーク55を検出すると、切換部64は、「有効」なエンコーダを第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換える。一方、第1ロータリーエンコーダ1が「有効」でないとき(第2ロータリーエンコーダ2が「有効」であるとき)に光学センサ13がマーク55を検出すると、切換部64は、「有効」なエンコーダを第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。また、第2ロータリーエンコーダ2が「有効」となっているときに光学センサ26がマーク55を検出すると、切換部64は、「有効」なエンコーダを第2ロータリーエンコーダ2から第1ロータリーエンコーダ1に切り換える。一方、第2ロータリーエンコーダ2が「有効」でないとき(第1ロータリーエンコーダ1が「有効」であるとき)に光学センサ26がマーク55を検出すると、切換部64は、「有効」なエンコーダを第1ロータリーエンコーダ1から第2ロータリーエンコーダ2に切り換えることになる。
【0107】
以上のようにすれば、実施の形態5のベルト式搬送装置500と同様の効果が得られると共にマーク55が一つで済む。なお、上記では、第1ロータリーエンコーダ1のバックフィード側に光学センサ13を設け、第2ロータリーエンコーダ2のフィード側に光学センサ26を設けたが、図9のように、第1ロータリーエンコーダ1のフィード側、第2ロータリーエンコーダ2のバックフィード側に光学センサ16,23を設けても良い。
【0108】
なお、上記実施の形態1〜6において、前記マーク55は、ベルト53に設けた穴としたが、これを反射マーク55とし、ベルト53の表側に光学センサを設けても良い(図示省略)。また、光学センサに代えて、穴等のマーク55の凹凸を検出するローラプランジャ型のリミットスイッチを用いても良い。
【0109】
(実施の形態7)
図11は、この発明の実施の形態7に係るベルト式搬送装置を示す一部斜視図である。図12は、図11に示したベルト式搬送装置を示す側面図である。このベルト式搬送装置200は、狭持手段として対向して設けられた一対の突起部201と、当該突起部201を軸方向に可動支持する筒体202とを有する。この突起部201は筒体202に内設されるスプリング(図示省略)によりベルト53方向に付勢されている。突起部201の先端は半球状となり、ベルト53に対して低摩擦力で摺動しやすく且つ摩耗し難いように表面処理されている。なお、突起部201の先端形状は半球状に限定されない。突起部201は、断面コの字形状のブラケット203の内側上下に設けられている。ブラケット203は、ベルト式搬送装置200の図示しないフレーム等に固定される。これにより、ベルト53の端部は、突起部201により表裏から挟まれる。なお、前記突起部201の先端は回転可能なボールやローラになっていても良い(図示書略)。
【0110】
また、ベルト53の端部には、所定のパターンを備えたアブソリュート型のリニアスケール204が設けられている。また、リニアスケール204は、前記突起部201が摺動する部分を避けて設けるのが好ましい。ベルト53には、上記実施の形態1〜6のような穴55は設けられていない。なお、上記同様に、当該ベルト53は搬送方向に直交する方向に一定の幅を有する帯状の繋ぎ目54を有する。
【0111】
前記ブラケット203には第1光学センサ205が取り付けられている。換言すれば、第1光学センサ205はブラケット203を介して突起部201の近傍に設けられている。また、この第1光学センサ205は、前記リニアスケール204に対向し、当該リニアスケール204の目盛りを読み取り可能なように所定位置に設けられている。第2光学センサ206は、第1光学センサ205から前記繋ぎ目54の幅より大きい間隔をもって設けられている。
【0112】
このベルト式搬送装置200では、突起部201によりベルト53を所定の圧力で挟むことで、ベルト53が移動する際のベルト53の振動を防止できる。このため、第1光学センサ205とリニアスケール204との距離が一定に保たれるので、ベルト53のフィード量を正確に検出できる。また、切換部(図示省略、図3の切換部に相当)は、第1光学センサ205の出力信号に基づき、前記繋ぎ目54の上に第1光学センサ205が位置することになる前に、第1光学センサ205から第2光学センサ206に切り換えを行う。そして、少なくとも、繋ぎ目54の上に第1光学センサ205が位置する間は、この第2光学センサ206でフィード量を検出する。そして、繋ぎ目54の上に第1光学センサ205が位置しなくなったとき、第2光学センサ206から第1光学センサ205に切り換える。なお、第2光学センサ206にも、上記同様の突起部201等からなる狭持手段を設けることで、当該第2光学センサ206付近でのベルト53の振動を防止して、より精密なフィード量の検出ができるようになる。
【0113】
また、図13に示すように、ブラケット203の内側上下から先端が円形となる板状の突起部251を対向して設け、上の突起部251と下の突起部251の間隔をベルト53の厚さよりも若干大き目にしても良い。ブラケット203は、厚さや材料等の選定によりベルト53の厚さ変動を弾性変形により吸収できるようにしておく。このような形状の狭持手段であってもベルト53の振動を防止できるので、上記同様の効果が得られる。
【0114】
なお、上記実施の形態1〜7に係る発明は、以下のように特定することもできる。
【0115】
第1の発明に係る媒体搬送装置は、端同士が接合され、この接合された繋ぎ目を避けてマークを設けた可撓性のベルトと、前記ベルトを常に狭持した状態で前記ベルトのフィード量を検出する第1検出手段と、第1検出手段に対応し、前記ベルトのマークを検出する第1マーク検出手段と、前記ベルトを常に狭持した状態で、前記第1検出手段から前記繋ぎ目の幅より大きい間隔をもって設けられた当該ベルトのフィード量を検出する第2検出手段と、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第1マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える切換手段とを有することを特徴とする。
【0116】
即ち、当該発明では、第1マーク検出手段によりベルトの繋ぎ目を避けて設けたマークを検出し、このマークの検出に基づいて第1検出手段から第2検出手段に切り換えて当該第2検出手段によりベルトのフィード量を検出する。第2検出手段は、第1検出手段から繋ぎ目の幅より大きい間隔をもって設けられているから、繋ぎ目の上に第1検出手段が位置するときは、第2検出手段は繋ぎ目の上に位置しないことになる。よって、前記マークの検出に基づいて前記第1検出手段から第2検出手段に切り換えれば、ベルトの繋ぎ目の部分で当該ベルトを検出しなくても済む。このようにすれば、前記繋ぎ目における大きな厚さ変動による誤差の補正を行う必要がないため、フィード量の正確な検出が行える。
【0117】
また、前記検出手段は、ベルトを常に狭持した状態でフィード量を検出する、例えばローラとロータリーエンコーダとを組み合わせた構成のものである。ベルトを常に狭持する構造の検出手段を用いるのは、可撓性のあるベルトのフィード量の検出を行うのに好適だからである。例えば、可撓性のあるベルトにスケールを設け、これを非接触のセンサで認識しようとしても、ベルトの振動等に起因した撓みや温度変化による伸び等によりスケールを正確に読み取ることができない。これに対して常にベルトを狭持した状態でフィード量を検出するようにすれば、ベルトが撓んだり伸びたとしてもベルトの実際のフィード量を正確に検出できる。また、前記マークは、例えばベルト上の穴や反射材であり、前記第1マーク検出手段は、例えば光学センサやリミットスイッチである。
【0118】
第2の発明に係る媒体搬送装置は、第1の発明において、更に、前記切換手段は、第2検出手段への切換後に所定の切換フィード量だけベルトが移動したとき、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする。
【0119】
このように、第2検出手段への切換後、切換フィード量だけベルトが移動してからベルトのフィード量を検出する検出手段を再び第1検出手段に戻しておけば、繋ぎ目が一周しても、前記同様に第1検出手段から第2検出手段に切り換えて繋ぎ目の部分でフィード量を検出してしまうことを防止できる。
【0120】
第3の発明に係る媒体搬送装置は、上記第1の発明において、更に、第2検出手段に対応し、前記ベルトのマークを検出する第2マーク検出手段を備え、前記切換手段は、更に、前記第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする。
【0121】
この発明では、第1検出手段及び第2検出手段のいずれにも第1マーク検出手段及び第2マーク検出手段を対応付けて設け、この第1マーク検出手段又は第2マーク検出手段によるベルト上のマークの検出に基づいて、検出手段の切換を行うようにする。具体例としては、第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換え、且つ、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第1マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える。このようにしても、ベルトの繋ぎ目の部分で当該ベルトのフィード量を検出しなくても済むのでフィード量を正確に検出できるようになる。
【0122】
第4の発明に係る媒体搬送装置は、上記第3の発明において、前記マークは、前記繋ぎ目を避けて当該繋ぎ目の移動方向の両側に二つ設けられ、前記第1マーク検出手段は、前記第1検出手段のベルト移動方向の両側に二つ設けられ、前記第2マーク検出手段は、前記第2検出手段のベルト移動方向の両側に二つ設けられたことを特徴とする。
【0123】
即ち、この発明では、第1検出手段及び第2検出手段の両側に二つのマーク検出手段をそれぞれ設け、且つ、繋ぎ目の両側にもマークを設け、フィード方向及びバックフィード方向のいずれにおいても第1検出手段と第2検出手段の切り換えを行うようにしたものである。具体例としては、第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、一つの第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換え、且つ、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、一つの第1マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える。この発明は、媒体をカットするためにバックフィードが必要となるカッティングプロッタにおいて、特に有用である。
【0124】
第5の発明に係る媒体搬送装置は、上記第3の発明において、前記マークは、前記繋ぎ目を避けて当該繋ぎ目の移動方向の両側に二つ設けられ、前記第1マーク検出手段は、前記第1検出手段からの間隔が、前記繋ぎ目の端から一方のマークまでの間隔より小さくなるように一つ設けられ、前記第2マーク検出手段は、前記第2検出手段からの間隔が、前記繋ぎ目の端から他方のマークまでの間隔より小さくなるように一つ設けられたことを特徴とする。
【0125】
即ち、この発明では、検出手段からの間隔が繋ぎ目の端からマークまでの間隔よりも小さければ、フィード方向及びバックフィード方向のいずれにおいても、前記検出手段により繋ぎ目の部分でフィード量を検出することになる前にマークを検出し、前記検出手段を切り換えることができる。具体例としては、第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換え、且つ、第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第1マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える。係る構成では、マーク検出手段を検出手段に対して一つ設ければ済むので部品点数を削減できる。
【0126】
第6の発明に係る媒体搬送装置は、上記第1〜第5の発明において、前記第1検出手段と第2検出手段との間隔は、前記ベルト周長の半分とすることを特徴とする。
【0127】
このようにすれば、繋ぎ目を検出して検出手段を切り換えてから、ベルトが半周しなければ次の切換が行われないため、検出手段の切換回数を少なくできる。このため、加工時間が短縮化される。
【符号の説明】
【0128】
100 ベルト式搬送装置
1 第1ロータリーエンコーダ
2 第2ロータリーエンコーダ
13,23,16,26 光学センサ
51 第1ローラ
52 第2ローラ
53 ベルト
54 繋ぎ目
55 マーク
61 駆動モータ
62 ドライバユニット
63 コントローラ
64 切換部
65 補正部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋ぎ合わせた部分に繋ぎ目のある可撓性のベルトと、
当該ベルトを狭持手段により常に狭持した状態で当該ベルトのフィード量を検出する第1検出手段と、
第1検出手段から前記繋ぎ目の幅より大きい間隔をもって設けられ、前記ベルトを常に狭持した状態で当該ベルトのフィード量を検出する第2検出手段と、
第1検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、前記繋ぎ目の上に第1検出手段が位置することになる前に、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換える切換手段と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1検出手段又は第2検出手段は、前記ベルト上又はベルトに従動する部位に形成された被検出部を非接触で検出するとからなることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
更に、前記ベルトに前記継ぎ目を避けてマークを設けると共に、
第1検出手段に対応して設けられ、前記ベルトのマークを検出する第1マーク検出手段を設け、
前記切換手段は、当該第1マーク検出手段によりベルト上の前記マークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第1検出手段から第2検出手段に切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
更に、前記切換手段は、第2検出手段への切換後に所定の切換フィード量だけベルトが移動したとき、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
更に、第2検出手段に対応して設けられ、前記ベルトのマークを検出する第2マーク検出手段を設け、
前記切換手段は、更に、前記第2検出手段によりベルトのフィード量を検出している場合において、第2マーク検出手段により前記ベルト上のマークが検出されたとき、ベルトのフィード量を検出する検出手段を、第2検出手段から第1検出手段に切り換えることを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記第1検出手段と第2検出手段との間隔は、前記ベルト周長の半分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の媒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−1512(P2013−1512A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134664(P2011−134664)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】